JP2002089640A - 直交回転駆動装置 - Google Patents

直交回転駆動装置

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JP2002089640A
JP2002089640A JP2000283562A JP2000283562A JP2002089640A JP 2002089640 A JP2002089640 A JP 2002089640A JP 2000283562 A JP2000283562 A JP 2000283562A JP 2000283562 A JP2000283562 A JP 2000283562A JP 2002089640 A JP2002089640 A JP 2002089640A
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orthogonal
gear
pinion
roller
transmission mechanism
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English (en)
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Seiji Minegishi
清次 峯岸
Atsushi Tamenaga
淳 為永
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Sumitomo Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直交回転駆動装置が本来有している優れた機
能(直交伝達、静粛性、低バックラッシ)は維持しなが
らも、製造コストを大幅に低減する 【解決手段】 モータ112の回転が、ピニオン118
及びギヤ120介して出力軸122に伝達される直交回
転駆動装置100において、ピニオン118又はギヤ1
20の少なくとも一方を、その歯面が鍛造工程を経て形
成されているものを採用し、更に、モータ112と直交
歯車伝達機構116の間に、太陽ローラ132、遊星ロ
ーラ134、リングローラ136、及びキャリア138
を有する摩擦ローラ減速機構130を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータの回転動力
を、直交歯車伝達機構によって回転軸線方向を直角に変
換して出力する直交回転駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の直交回転駆動装置は、設
置空間が狭いために相手機械の外壁に沿ってモータを設
置しなければならない状況や、出力軸を中空(ホロータ
イプ)にしたい状況等で、幅広く利用されている。
【0003】特に、モータに制動機構(ブレーキ)が備
えられる場合は、高精度に相手機械を位置決めする際
や、相手機械の回転を積極的に停止(静止)させる際に
採用されることが多い。
【0004】図5に、従来の直交回転駆動装置10の構
成を示す。
【0005】この直交回転駆動装置10は、回転動力を
発生する制動機構11付きのモータ12と、このモータ
12におけるモータ軸14の回転が伝達される直交歯車
伝達機構16とを備える。
【0006】直交歯車伝達機構16は、モータ軸14に
連結されるハイポイドピニオン18と、このハイポイド
ピニオン18と噛合するハイポイドギヤ20と、このハ
イポイドギヤ20と同軸状に設けられる出力軸22と、
これらを内部に収容する歯車箱26と、を備える。従っ
て、この従来例では、出力軸22の回転軸線は、モータ
軸14の回転軸線に対して直角をなした1段減速態様と
なっており、このハイポイドピニオン18とハイポイド
ギヤ20から構成されるハイポイドギヤセット24によ
って、一般的に1/5〜1/20の減速比を得ることが
出来る。
【0007】なお、入力側であるハイポイドピニオン1
8の軸線と、出力側であるハイポイドギア20軸線が直
角となっている動力伝達機構を広く「直交」伝達機構と
いう。従って、この直交伝達機構の概念の範疇には、こ
の従来例のように互いの軸線が交わっていない場合を含
んでおり、勿論、互いの軸線が交わるベベルピニオンと
ベベルギアの組み合わせも直交伝達機構の一種である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ハイポイドギヤセット
24は、直交伝達機構の中では比較的大きな減速比が得
られ、その歯形、噛み合いの特性から精度良く製作すれ
ば動力伝達が極めて低騒音となるが、逆に、精度が悪い
と騒音が発生し、トルク伝達にも悪影響を及ぼしてしま
う。
【0009】又、この構成のようにハイポイドピニオン
18がモータ軸14に直結されている場合には、該ハイ
ポイドピニオン18が、モータ軸14とともに極めて高
速で回転するため、歯車の噛合い振動とモータ軸14自
身の振動とが共振して騒音が増大し易く、その歯形特性
による低騒音作用だけでは不十分である。そこで、各歯
車18、20を、切削による歯切り作業で高精度に製造
し、出来る限り騒音を低減させるように努めている。
【0010】又、このようにハイポイドギヤセット24
が切削によって歯切りされた結果、制動機構11を利用
して相手機械を高精度に位置決めしたり、出力軸22の
回転速度を頻繁に加減速させたりする場合であっても、
十分な低騒音、滑らかな動力伝達が確保されている。
【0011】ところが、ハイポイドギヤセット24の歯
切り作業は非常に困難である。この作業を行う特殊用途
の歯切り盤は、装置の値段も他の歯切り盤よりも大幅に
高価である。従って、高額な設備コストが直接的に直交
回転駆動装置10の製品価格にはねかえっていた。
【0012】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
であり、従来よりも大幅に安価で、且つ従来と同等或い
はそれに近い能力を発揮でき、ある一面では従来を凌ぐ
能力を有する直交回転駆動装置を提供することを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、モータと、該
モータの回転が伝達されるピニオン、該ピニオンの軸線
と自身の軸線が直角になると共に該ピニオンと噛合する
ギヤ、及び該ギヤの回転が伝達される出力軸、を有する
直交歯車伝達機構と、を備えた直交回転駆動装置におい
て、前記直交歯車伝達機構における前記ピニオン又は前
記ギヤの少なくとも一方を、その歯面が鍛造工程を経て
形成されたものを採用し、前記モータと前記直交歯車伝
達機構の間に、該モータの回転が伝達される太陽ロー
ラ、該太陽ローラの周囲に配置されて該太陽ローラに転
接する遊星ローラ、該遊星ローラが自身の内周面に転接
するリングローラ、及び前記遊星ローラの公転成分を伝
達するキャリア、を有する摩擦ローラ減速機構を介在さ
せるようにして上記目的を達成するものである。
【0014】本発明者は、極めて高コストの切削による
歯切り作業を回避するために、鍛造工程によって製造す
ることに着目した。鍛造工程は短時間に大量の歯車を製
造することができるので製造コストが大幅に低減され、
直交回転駆動装置を、一般的な平歯車等によるギヤドモ
ータとほぼ同程度或いはそれ以下の価格設定にすること
が出来る。
【0015】ところで、鍛造工程によって歯面を形成し
た場合、歯の形状精度が切削と比較して著しく低下する
ので、高速回転するピニオンとの噛合から生じる騒音が
増大し、低騒音、低バックラッシ、直交伝達機構、の3
つの優れた機能を兼ね備えた直交回転駆動装置用に用い
るギヤあるいはピニオンとしてはそのままでは到底採用
できない。
【0016】こうした状況の中、本発明者は更に検討を
重ねたところ、モータと直交歯車伝達機構の間に摩擦ロ
ーラ減速機構を介在させることを発案し、これにより多
くの問題点をまとめて解決することが出来ること見出し
た。具体的には以下のように作用する。
【0017】この摩擦ローラ減速機構は単純遊星減速タ
イプであるので、コンパクトでありながら比較的大きい
減速比を得ることが出来る。これがモータと直交歯車伝
達機構の間に介在して回転が減速されるので、ピニオン
側の回転速度が低下し、更にその分だけ直交歯車伝達機
構の減速比を小さく設定することが出来る。従って、鍛
造歯車を採用しても直交歯車伝達機構の騒音が増大する
ことがなく、むしろ低速で回転する分だけ低騒音とな
る。
【0018】勿論、摩擦ローラ減速機構を介在させる発
想以前に、単純遊星タイプの歯車減速機を介在させるこ
とも試みた。しかし、減速作用によって直交歯車伝達機
構側での騒音は低減するが、介在させた歯車減速機自身
で新たな騒音が発生して全体としては従来よりも騒音が
増大してしまった。又、歯車を介在させるとバックラッ
シ量が累積されるので、例えば制動機構を利用した相手
機械の高精度な位置決め作業が困難であった。
【0019】その一方で、摩擦ローラ減速機構の場合
は、自身が殆ど騒音を発生しないという特徴を有してい
るというだけではなく、モータと直交歯車伝達機構との
間での振動の伝達を遮断することができ、従って、モー
タと直交歯車伝達機構の共振に起因した騒音が殆どなく
なり、これが極めて大きな要因となって相乗的に大幅な
騒音低減作用を得ることが出来ることが新たに見出され
た。
【0020】更に、摩擦ローラ減速機はバックラッシが
零に近いので、これが中間に介在しても、装置全体のバ
ックラッシ量が殆ど増大しない。従って、相手機械を位
置決めしたり、制動機構を利用した加減速を繰り替えす
運転に特に有効に作用し、この種の装置に要求されてい
る低バックラッシ、動力伝達特性を十分に発揮すること
が出来る。この観点から、本発明は制動機構を備えたモ
ータに適用することが好ましいといえる。
【0021】例えば、急制動、急始動等を繰り返す運転
状況では歯車の強度を十分に確保する必要が生じるが、
鍛造工程、とりわけ冷間鍛造工程による歯車は加工硬化
によって歯面強度が向上するので、その様な使用環境に
も十分対応することが出来る。これは従来の製造に比べ
てむしろ有利に作用するメリットである。
【0022】結果として、鍛造歯車と摩擦ローラ減速機
が合理的に組み合わされているため、直交伝達構造、低
騒音、低バックラッシ等の市場のニーズを十分に満足で
き、それに加えて、極めて安価、長寿命であるという特
徴を有する直交回転駆動装置を得ることが出来る。
【0023】なお、上記発明において、前記直交歯車伝
達機構における前記ピニオン及び前記ギヤが傘歯車であ
ることが好ましい。歯のねじれが大きいハイポイドギヤ
セットと比較して、傘歯車の方が容易に鍛造することが
出来るからである。一般的に傘歯車は、ハイポイドギヤ
セットよりも小さい減速比しか得ることが出来ないが、
本発明では、介在する摩擦ローラ減速機構が減速比を補
ってくれるので、全体としてハイポイドギヤセットと同
等或いはそれ以上の減速比を得ることも可能である。
【0024】又、傘歯歯車の採用により、モータ、摩擦
ローラ減速機構、及び直交歯車伝達機構の各回転軸心
を、全て同一の平面上に収めることができるようになる
というメリットも得られる。なお、容易に鍛造できると
いう観点では、特に歯すじが直線となる傘歯車(例えば
すぐば傘歯車等)が望ましい。
【0025】又、製造コスト(部品コスト)を更に低減
させるためには、前記直交歯車伝達機構の前記ピニオン
及び前記ギヤの双方が、その歯面が鍛造工程を経て形成
されているようにする。
【0026】ところで、本発明のように直交回転駆動装
置を構成する場合は、前記摩擦ローラ減速機構の前記キ
ャリアに設けられて前記直交歯車伝達機構側に動力を伝
達する動力伝達軸が、該動力伝達軸自身に設置される1
つの軸受と、該動力伝達軸の入力側端部における前記キ
ャリアとのスプライン結合と、によって保持されるよう
にすると共に、前記軸受と前記キャリアとの間に複数の
オイルシールを設置して、前記直交歯車伝達機構及び前
記摩擦ローラ減速機構のそれぞれの潤滑油が混合される
ことを抑制することが好ましい。
【0027】なお、この動力伝達軸は、上記直交歯車伝
達機構のピニオン軸となる場合の他、摩擦ローラ減速機
構と直交歯車伝達機構の間に他の減速機等が介在してい
る場合はこの減速機等のピニオン軸となり得るものであ
る。
【0028】この種の駆動装置は、装置全体がコンパク
トであることや長寿命であることが市場での競争力を高
めることにつながる。本発明の摩擦ローラ減速機構はそ
れ自身コンパクトであり、減速機能を有する分だけ直交
歯車伝達機構側(特にギヤ側)をコンパクトに構成する
ことが出来る。
【0029】直交歯車伝達機構に使用される潤滑油は、
噛み合い面の滑り抵抗を小さくして伝達効率を高めるこ
とを目的としており、例えばパラフィン系の鉱油が使用
される。一方、摩擦ローラ減速機構に使用される潤滑剤
は一般的にトラクション油と呼ばれており、各ローラの
接触面の滑り抵抗、即ち摩擦力を増大させて回転動力を
確実に伝達することを目的としており、例えばナフテン
系の合成油が使用される。これらが混合してしまうと各
々の目的を達成できなくなり、寿命が低下する恐れがあ
る。
【0030】上記発明によれば、動力伝達軸が、1つの
軸受と端部のスプライン結合という簡潔な構成によって
保持されるので、動力伝達軸の周囲に空間を十分に確保
することができ、そこに、複数のオイルシールが設置さ
れるので、一方から他方側に移動しようとする各々の潤
滑油の混合がより効果的に抑制される。従って、良好な
潤滑(トラクション)状態を長期に亘って維持すること
ができるので直交回転駆動装置の長寿命化を図ることが
出来る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら本発明の
実施の形態の例について詳細に説明する。
【0032】図1に、本発明の第1実施形態に係る制動
機構付き直交回転駆動装置(以下、直交回転駆動装置と
いう)100を示す。
【0033】この直交回転駆動装置100は、制動機構
111を備えたモータ112と、このモータ112の回
転が伝達される直交歯車伝達機構116と、この直交歯
車伝達機構116とモータ112との間に介在される摩
擦ローラ減速機構130と、を備える。
【0034】制動機構111は、モータ軸114の端部
にボスを介して固定されるブレーキライナ150と、モ
ータ112の後部カバーの役目を兼ねる固定鉄心152
と、この固定鉄心152に収容される電磁石コイル15
4と、この固定鉄心152にボルトを介して移動不能な
状態で固定される固定板156と、この固定板156と
協働してブレーキライナ150を挟持可能な移動鉄心1
58と、移動鉄心158と固定鉄心152の間に挿入さ
れ、移動鉄心158をブレーキライナ150側に付勢す
るスプリング160と、を備える。
【0035】電磁石コイル154に電流が流れると磁界
が生じ、固定鉄心152が移動鉄心158を磁力によっ
て吸引する。スプリング160の付勢力に抗して移動鉄
心158が固定鉄心152側に移動すると、この移動鉄
心158と固定板156によって挟持・固定されていた
ブレーキライナ150が開放され、モータ軸114が自
由に回転できるようになる。電磁石コイル154の電流
がカットされた場合には、スプリング160によって移
動鉄心158がブレーキライナ150側に移動し、この
ブレーキライナ150が移動鉄心158と固定板156
によって挟持されてモータ軸114が制動される。従っ
て、この実施形態では、制動機構111が無励磁作動形
(スプリング制動形)となっている。
【0036】直交歯車伝達機構116は、すぐば傘歯車
であるピニオン118と、このピニオン118の軸線と
自身の軸線が直角になると共にピニオン118と噛合す
る同様にすぐば傘歯車であるギヤ120と、このギヤ1
20と同軸に設置されてギヤ120の回転が伝達される
出力軸122と、を有する。従って、ピニオン118と
ギヤ120によって傘歯車セット124が構成されてい
る。
【0037】なお、ピニオン118とギヤ120の双方
は、その歯面が鍛造工程を経て形成されている。鍛造工
程については後述する。
【0038】モータ112と直交歯車伝達機構116の
間に介在される摩擦ローラ減速機構130は、図2に示
されるようにモータ112のモータ軸114に同軸に設
けられる太陽ローラ132と、この太陽ローラ132の
周囲に配置されて太陽ローラ132に転接する遊星ロー
ラ134と、遊星ローラ134が内周面に転接するリン
グローラ136と、遊星ローラ132の公転成分をピニ
オン118に伝達するキャリア138と、を有する。リ
ングローラ136はモータ112の前面カバー140に
ボルトによって固定されており、自身が回転しないよう
になっている。
【0039】各遊星ローラ134の中心には内ローラを
介してピン138aが挿入されており、このピン138
aは端部においてキャリア138に固定されている。従
って、遊星ローラ134の公転成分がピン138aを介
してキャリア138に伝達されて同期回転する。その結
果、太陽ローラ132が入力要素、キャリア138が出
力要素となった減速機として機能する。
【0040】図1に戻って、このキャリア138の回転
中心には挿入孔138bが形成され、その内周面には内
スプラインが形成されている。一方、ピニオン118の
入力側端部118aの外周面には外スプラインが形成さ
れており、この入力側端部118aが挿入孔138bに
挿入されることで、ピニオン118とキャリア138が
スプライン結合している。このスプライン結合は、回転
方向に係合すると共に多少の軸方向の摺動を許容する役
割を有する。
【0041】モータ112の前面カバー140に連結さ
れ、傘歯車セット124を内部に収容する歯車箱141
には、ピニオン118(の一部)を内部に収容可能な筒
部141aが一体的に形成されている。この筒部141
aの内周面には、ピニオン118を保持する軸受142
が1つだけ設置されており、この軸受142と上記スプ
ライン結合の計2箇所によってピニオン118が回転自
在に保持されている。このように出来るのは、入力側端
部118aを収容するキャリア138自体が、リングロ
ーラ136、遊星ローラ134、太陽ローラ132によ
って保持されているからである。つまり、摩擦ローラ減
速機構130自体が、第2の軸受として作用して間接的
にピニオン118を保持しているといえる。
【0042】以上のように、スプライン結合を上手く利
用して実際の軸受142を1つに集約することが出来た
結果、ピニオン118の周囲空間(筒部141aの内部
空間)に余裕が生じるため、そこには2つのオイルシー
ル144、145が設置されている。具体的には、軸受
142とキャリア138との間のピニオン118にはス
リーブ146が被覆され、このスリーブ146と筒部1
41aとの隙間に、オイルシール144、145が配置
されている。モータ112側のオイルシール144は、
摩擦ローラ減速機構130の潤滑油(トラクション油)
が直交歯車伝達機構116側に流入するのを防止する役
目を有し、他方のオイルシール145は、直交歯車伝達
機構116の潤滑油が摩擦ローラ減速機構130側に流
入するのを防止する役目を有している。この結果、直交
歯車伝達機構116及び摩擦ローラ減速機構130のそ
れぞれの潤滑油が混合しないようになっている。
【0043】次に、傘歯車セット124の製造工程につ
いて説明する。なお、工程中の基本的な部分は、ピニオ
ン118とギヤ120とで同様であるので、ピニオン1
18の製造工程についてのみ詳細に説明し、ギヤ120
については重複を避けるために省略する。
【0044】図3(A)に示されるように、まず、柱状
の歯車用素材160を用意する。図3(B)に示される
ように、この歯車用素材160を、ピニオンと反対形状
であるが歯形を有しない一対の第1型162を利用して
冷間鍛造する。大まかな形に型鍛造された歯車用素材1
60は、その後、焼ならし及びボンデ処理(ボンデライ
ト処理)され、歯形が形成されている一対の第2型16
3によって冷間鍛造される(図3(C)参照)。そして
更に歯形の精度を出すために再度仕上げ鍛造する。その
後、浸炭焼入れ処理して表面(特に歯面)の機械的強度
を向上させ、図3(D)に示されるように、歯車用素材
160における軸部160aを研削して高い円筒度を確
保する。このような工程を経てピニオン118が製造さ
れる。
【0045】従って、この直交回転駆動装置100で
は、極めて高コストの切削による歯切り作業が回避さ
れ、傘歯車セット124が鍛造工程によって極めて安価
に製造されている。具体的に鍛造工程は、短時間で大量
生産することが出来て材料損失も少ないため、総合的な
製造コストが大幅に低減され、直交回転駆動装置100
を一般的なギヤドモータとほぼ同程度の価格設定にする
ことが出来る。
【0046】又、モータ112と直交歯車伝達機構11
6の間に摩擦ローラ減速機構130が介在しているの
で、ピニオン118の回転速度が低下し、切削と比較し
て歯形精度が低下するにも拘わらず騒音を小さく抑える
ことが出来る。更に、上段側で減速される分だけ直交歯
車伝達機構116の減速比が小さくなりコンパクトに構
成される結果、摩擦ローラ減速機構130を含めてもそ
れほど装置100が大型化しない。むしろ、小型で低騒
音となる。
【0047】又、摩擦ローラ減速機構130は自身が殆
ど騒音を発生しないのは勿論であるが、更に、モータ1
12と直交歯車伝達機構116との間の振動の伝達を遮
断することができる。その結果、従来騒音の大部分を占
めていたと考えられるモータ112と直交歯車伝達機構
130の共振騒音も殆どなくなり、相乗的に騒音低減作
用を得ることが出来る。
【0048】更に、摩擦ローラ減速機130はバックラ
ッシが零に近いので、これが中間に介在しても、相手機
械を位置決めする際に一般的に要求されるバックラッシ
の許容範囲内に納めることが出来る。その結果、制動機
構111を利用して相手機械を高精度に静止させる場合
や、ブレーキを利用して加減速を繰り返す場合等におい
ても十分な制御精度を発揮することが出来る。
【0049】又一般的に、傘歯車セット124はハイポ
イドギヤセットよりも小さい減速比しか得ることが出来
ないが、ここでは、介在する摩擦ローラ減速機構130
が減速比を補っているので、全体としてハイポイドギヤ
セットと同等或いはそれ以上の減速比を得ることが出来
る。
【0050】ところで、直交歯車伝達機構116には、
潤滑油として安価で良好な特性を発揮できるパラフィン
系の鉱油が使用されている。これは、傘歯車セット12
4の噛合面の滑り抵抗を小さくして伝達効率を高めるこ
とを目的としており、トラクション係数が小さいという
特徴がある。一方、摩擦ローラ減速機構130には、潤
滑剤としてナフテン系の合成油が使用される。これは一
般的にトラクション油と呼ばれており、各ローラの接触
面の滑り抵抗、即ち摩擦力を増大させて回転動力を確実
に伝達することを目的としており、トラクション係数が
大きいという特徴がある。
【0051】この直交回転駆動装置100では、2つの
オイルシール144、145によって各々の潤滑油の混
合が抑制され、良好な潤滑状態、摩擦状態を長期に亘っ
て維持することができるので、直交回転駆動装置の長寿
命化を図ることが出来る。
【0052】特に、制動機構111によって相手機械を
確実に停止させる必要がある場合、常に、制動機構11
1のブレーキトルクより摩擦ローラ減速機構130の伝
達トルクが勝っていること必要となる。その様な場合
に、潤滑機能に着目した直交歯車伝達機構116側の潤
滑油が摩擦ローラ減速機構130に混入すると、伝達ト
ルクが著しく低下し、各ローラが滑ってしまうことで制
動機構111の制動トルクが相手機械まで伝達されない
可能性がある。本直交回転駆動装置100ではその様な
問題が発生することが確実に防止され、制動機能も長期
に亘って発揮することが出来るようになる。
【0053】以上のことから、制動機構付きモータ11
2と、鍛造による傘歯車セット124、摩擦ローラ減速
機130が極めて合理的に組み合わされており、直交伝
達構造、低騒音、低バックラッシ、制動機能等の市場の
ニーズを十分に満足でき、それに加えて、極めて安価で
ある直交回転駆動装置100を得ることが出来る。
【0054】なお、直交歯車伝達機構116におけるピ
ニオン118、ギヤ120はすぐば傘歯車である。すぐ
ば傘歯車は歯すじが直線であり、且つこの歯すじがピッ
チ円錐の母線方向と一致しているため、容易に「型」鍛
造加工できるからである。しかし、歯すじが母線に対し
て傾斜するはすば傘歯車や、歯すじ曲線である曲がりば
傘歯車であっても、その程度によっては十分に冷間鍛造
が可能である。
【0055】次に本発明にの第2実施形態に係る直交回
転駆動装置200について説明する。なお、以下に説明
する直交歯車伝達機構216を除いては、図1〜図3で
示した第1実施形態の直交回転駆動装置100とほぼ同
様の構成であるので、同一又は類似する部分・部材につ
いては下二桁をこの直交回転駆動装置100と同じ符号
を付することにより構成・作用等の説明は省略する。
【0056】図4に示されるように、この直交歯車伝達
機構216のピニオン218及びギヤ220はハイポイ
ド歯車である。従って、ピニオン216の軸線とギヤ2
20の軸線は交わっていないが直角となっている。ここ
では、ギヤ220側のみが、既に図3で示したのとほぼ
同様な工程で冷間鍛造されており、ピニオン218は歯
切り盤によって切削加工されている。
【0057】この直交回転駆動装置200では、ギヤ2
20が冷間鍛造によって製造されているので、従来より
も製造コストを大幅に低減することが出来る。更に、第
1実施形態の傘歯車セットよりもハイポイドギヤセット
224の方が大きい減速比を得ることが出来る。勿論、
その他についても既に説明した第1実施形態の直交回転
駆動装置100とほぼ同様の効果を得ることが出来る。
【0058】なお、本第1及び第2実施形態では、直交
歯車伝達機構が傘歯車又はハイポイド歯車の場合に限っ
て示したが、本発明はそれに限定されず、要は、鍛造に
よって製造することが出来る歯車セットであればよい。
【0059】又、ここでは第1、第2実施形態を示した
が、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、これらの
各部分等を適宜組み合わせた実施形態も存在し、更に、
今回示した形態以外の各種実施形態も存在する。
【0060】なお、明細書全文に表れてくる部材の形容
(機能・形状)はあくまで例示であって、これらの記載
に限定されるものではない。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、直交回転駆動装置にお
いて、確実な制動、直交伝達機能、低騒音、低バックラ
ッシ等の製品の基本機能を維持し、それにも拘わらず製
造コストを大幅に低減することが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る直交回転駆動装置
を示す全体図
【図2】図1のII−II断面図
【図3】動直交回転駆動装置のピニオンを冷間鍛造によ
って製造する際の工程図
【図4】本発明の第2実施形態に係る直交回転駆動装置
を示す全体図
【図5】従来の直交回転駆動装置を示す全体図
【符号の説明】
100、200…直交回転駆動装置 111、211…制動機構 116、216…直交歯車伝達機構 118、218…ピニオン 120、220…ギヤ 130、230…摩擦ローラ減速機構 132、232…太陽ローラ 134、234…遊星ローラ 136、236…リングローラ 138、238…キャリア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J009 EA16 EA23 EB01 EB30 3J051 AA01 BA03 BB08 BC01 BD02 BE03 4E087 HA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モータと、 該モータの回転が伝達されるピニオン、該ピニオンの軸
    線と自身の軸線が直角になると共に該ピニオンと噛合す
    るギヤ、及び該ギヤの回転が伝達される出力軸、を有す
    る直交歯車伝達機構と、を備えた直交回転駆動装置にお
    いて、 前記直交歯車伝達機構における前記ピニオン又は前記ギ
    ヤの少なくとも一方を、その歯面が鍛造工程を経て形成
    されているものを採用し、 前記モータと前記直交歯車伝達機構の間に、 該モータの回転が伝達される太陽ローラ、該太陽ローラ
    の周囲に配置されて該太陽ローラに転接する遊星ロー
    ラ、該遊星ローラが自身の内周面に転接するリングロー
    ラ、及び前記遊星ローラの公転成分を伝達するキャリ
    ア、を有する摩擦ローラ減速機構を介在させるようにし
    たことを特徴とする直交回転駆動装置。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記直交歯車伝達機構における前記ピニオン及び前記ギ
    ヤの双方が傘歯車であることを特徴とする直交回転駆動
    装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、 前記直交歯車伝達機構の前記ピニオン及び前記ギヤの双
    方が、その歯面が鍛造工程を経て形成されていることを
    特徴とする直交回転駆動装置。
  4. 【請求項4】請求項1、2又は3において、 前記摩擦ローラ減速機構の前記キャリアに設けられて前
    記直交歯車伝達機構側に動力を伝達する動力伝達軸が、
    該動力伝達軸自身に設置される1つの軸受と、該動力伝
    達軸の入力側端部における前記キャリアとのスプライン
    結合と、によって保持されるようにすると共に、 前記軸受と前記キャリアとの間に複数のオイルシールを
    設置して、前記直交歯車伝達機構及び前記摩擦ローラ減
    速機構のそれぞれの潤滑油が混合されることを抑制した
    ことを特徴とする直交回転駆動装置。
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