JP2007037363A - ギヤードモータ - Google Patents

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和憲 西川
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Abstract

【課題】 寸法的な制約がある場合でも大きな減速比を得ることができ、かつ、コストの低減を図ることのできるギヤードモータを提供すること。
【解決手段】 ギヤードモータ7では、モータ軸線方向Lにおいて外径寸法が略一定の円筒状のケース16の内部に、DCモータ11の回転出力を減速して出力軸19に伝達するための減速機構40が配置されている。減速機構40は、入力側の不思議遊星歯車減速機構20と、出力側の遊星歯車減速機構30とによって構成されている。不思議遊星歯車減速機構20の減速比は78.2であり、遊星歯車減速機構30の減速比は5であり、減速機構40全体としての減速比は391である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、モータの回転が減速機構を介して出力軸に伝達されるギヤードモータに関するものである。
洋式トイレの便座や便蓋を開閉するための駆動装置などでは、便座などに連結された出力軸に対してモータの回転出力が減速機構によって減速して伝達されるギヤードモータが用いられている。このようなギヤードモータでは、円筒状のケース内に配置されることが多いため、減速機構としては、このようなケース内に収納するのに適した遊星歯車減速機構が採用されることが多い。
しかしながら、遊星歯車減速機構は、一般的に減速比があまり大きく取れないため、減速機構に、例えば数百分の1などといった大きな減速比が求められる場合、複数の遊星歯車減速機構を直列に接続する必要がある。このため、ギヤードモータに対して、モータ軸線方向の寸法に制約がある場合には、十分な減速比を確保できないという問題点がある。また、遊星歯車減速機構を多段に配置すると、部品点数や組立工数が増大し、コストが増大してしまう。
以上の問題点に鑑みて、本発明では、寸法的な制約がある場合でも大きな減速比を得ることができ、かつ、コストの低減を図ることのできるギヤードモータを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、モータと、減速機構と、該減速機構を介して前記モータの回転出力が減速して伝達される出力軸とを有するギヤードモータにおいて、前記減速機構には、不思議遊星歯車減速機構と遊星歯車減速機構とが含まれ、前記不思議遊星歯車減速機構は、前記遊星歯車減速機構より入力側に構成されていることを特徴とする。
本発明においては、減速機構に、大きな減速比が得られる不思議遊星歯車減速機構を用いたため、大きな減速比を得る場合でも、例えば、不思議遊星歯車減速機構と遊星歯車減速機構の2段で済む。それ故、ギヤードモータに寸法的な制約がある場合でも、大きな減速比を得ることができる。また、部品点数が少なく済み、かつ、組立工数を削減できるので、コストを低減することができる。さらに、入力側に不思議遊星歯車減速機構を構成したため、遊星歯車減速機構は、大きく減速された状態で遊星歯車が回転するので、ノイズなどの発生を効果的に低減できる。
本発明は、前記モータ、前記減速機構、および前記出力軸は、モータ軸線方向で外径寸法が略一定の円筒状のケース内で当該モータ軸線方向に沿ってこの順に配置されているタイプのギヤードモータを構成するのに適している。すなわち、不思議遊星歯車減速機構は、中心側に配置されて前記モータによって回転駆動される入力歯車と、該入力歯車の周囲に配置されて前記入力歯車によって駆動される遊星歯車と、該遊星歯車の周囲に固定配置され、前記遊星歯車を前記入力歯車との間に保持して、前記遊星歯車の回転を規制する固定内歯車と、前記遊星歯車の周囲で前記固定内歯車と軸線方向で隣接配置されて前記遊星歯車によって駆動される可動内歯車とを備えており、このような構造は、基本的には遊星歯車減速機構と類似している。このため、不思議遊星歯車減速機構も、遊星歯車減速機構同様、円筒状のケース内に配置するのに適している。
本発明は、前記不思議遊星歯車減速機構の外径寸法と前記遊星歯車減速機構の外径寸法が略同一であることが求められるギヤードモータを構成するのに適している。不思議遊星歯車減速機構の外径寸法と遊星歯車減速機構の外径寸法が略同一であること求められる場合、双方の歯車機構を構成する部品については、概ね同等の機械的強度をもって形成されることになる。この場合でも、トルクが小さい入力側に減速比の大きな不思議遊星歯車を配置すれば、減速比の大きな不思議遊星歯車減速機構をトルクが大きな出力側に配置した場合と違って、無理な設計を行わなくても、不思議遊星歯車減速機構の外径寸法と遊星歯車減速機構の外径寸法とを略同一とすることができる。
本発明において、前記不思議遊星歯車減速機構は、遊星歯車の外周側に配置された可動内歯車が前記遊星歯車減速機構の太陽歯車と共通の回転体に構成されていることが好ましい。このように構成すると、各々の別々の部品を用いた場合と違って、部品点数や組立工数を削減できるとともに、減速機構が占有する部分が狭くてよいため、ギヤードモータの低コスト化および小型化の双方を図ることができる。
本発明において、前記不思議遊星歯車減速機構では、例えば、中心側に配置された入力歯車を挟んで2つの遊星歯車が対称位置に配置されている構成を採用することができる。すなわち、不思議遊星歯車減速機構では、遊星歯車の数と、固定内歯車の歯数と可動内歯車の歯数の差とを等しく設定するので、遊星歯車の数が2であれば、固定内歯車の歯数と可動内歯車の歯数の差が2であり、大きな減速比を得ることができる。
本発明において、前記モータから前記出力軸への動力伝達経路の途中位置にはトルクリミッタが配置されていることが好ましい。このように構成すると、出力軸の駆動中に外力が加わってもトルクリミッタが空回りするため、過大な力が減速機構に加わらないので、部品の破損が発生しない。特に本発明では、減速機構の減速比が大きい分、出力軸に外力が加わると、減速機構を構成する部品に過大な力が加わるので、トルクリミッタを付加した効果が大きい。
また、前記トルクリミッタは、前記モータの回転出力が入力される入力側部材と、前記モータの回転出力を前記動力出力部に向けて出力する出力側部材とを備え、前記モータの回転軸の回転中心軸線、前記入力側部材の回転中心軸線、および前記出力側部材の回転中心軸線とが同一の軸線上にあることが好ましい。
さらに、前記トルクリミッタは、例えば、前記入力側部材の外周面で軸線方向に延びた溝と、該溝内に収納されたピンと、前記出力側部材に保持されて前記ピンを前記溝内に向けて付勢するバネとを備えているものを用いることが好ましい。このように構成すると、トルクリミッタを付加した場合でも、大きなスペースを必要とせず、かつ、動力の伝達を効率よく行うことができる。
本発明において、不思議遊星歯車減速機構の可動内歯車に固定された支軸は、基端側が入力歯車のセンター出しを行い、先端側は、遊星歯車減速機構の遊星ホルダのセンター出しを行っていることが好ましい。このように構成すると、支軸自身のセンター出しを確実に行うことができ、不思議遊星歯車減速機構の入力歯車および可動内歯車、さらには遊星歯車減速気候の遊星ホルダの芯出しを確実に行うことができる。それ故、モータ軸の傾き、可動内歯車や遊星ホルダの位置ずれを確実に防止できるので、回転駆動力の伝達損失が少なく、かつ、ノイズの発生を確実に防止することができる。
本発明においては、減速機構に、大きな減速比が得られる不思議遊星歯車減速機構を用いたため、大きな減速比を得る場合でも、例えば、不思議遊星歯車減速機構と遊星歯車減速機構の2段で済む。それ故、ギヤードモータに寸法的な制約がある場合でも、大きな減速比を得ることができる。また、入力側に不思議遊星歯車減速機構を構成したため、遊星歯車減速機構は、大きく減速された状態で遊星歯車が回転するので、ノイズなどの発生を効果的に低減できる。
図面を参照して、本発明を適用したギヤードモータを説明する。
(全体構成)
図1は、本発明が適用されたギヤードモータを便座ユニットに用いた洋式トイレの説明図である。図2は、本発明を適用したギヤードモータの断面図である。図3(a)、(b)、(c)、(d)は各々、図2のA−A線、B−B線、C−C線およびD−D線での断面図である。
図1に示す洋式トイレ1は、便器本体2、水タンク3、便蓋6、便座ユニット4などから構成され、便座ユニット4は、便座5と、この便座5を開閉駆動するギヤードモータ7とを備えている。
図2において、ギヤードモータ7は、全体として円柱形状を有しており、その基端側から先端側に向かって、概ね、DCモータ11、モータ軸線方向Lにおいて外径寸法が略一定の円筒状のケース体16、およびカバー15がこの順に配置されている。カバー15からは先端側に向けて出力軸19の先端部が突出しており、この出力軸19の先端部は、図1に示した便座5に連結されている。ケース体16は、DCモータ11の側に配置された第1のケース体13と、第1のケース体13の先端側端部に固定された第2のケース体14とを備えており、第2のケース体14の先端側端部にはカバー15が固定されている。DCモータ11において、モータ本体の出力側の端面には連結プレート12がネジ111により固着されており、この連結プレート12に対しては第1のケース16の基端側端部がネジ112により固着されている。
(減速機構の構成)
本形態のギヤードモータ7では、ケース16の内部に、DCモータ11の回転出力を減速して出力軸19に伝達するための減速機構40が配置されており、本形態において、減速機構40は、以下に詳述する不思議遊星歯車減速機構20と遊星歯車減速機構30とによって構成されている。
図2および図3(a)、(b)に示すように、まず、不思議遊星歯車減速機構20は、中心側でDCモータ11からの駆動力が伝達される入力歯車21と、この入力歯車21の周囲に配置されて入力歯車21によって駆動される遊星歯車22と、プレート26によって遊星歯車22が回転可能に支持された軸部25を備えた遊星ホルダ27と、遊星歯車22の周囲で遊星歯車22を入力歯車21との間に保持して、遊星歯車22の回転を規制する固定内歯車23と、遊星歯車22の周囲で固定内歯車23に対してモータ軸線方向Lで隣接配置されて遊星歯車22によって駆動される可動内歯車24とを備えている。本形態では、2つの遊星歯車22が入力歯車21を挟んで対称位置に配置されている。
このような不思議遊星歯車減速機構20において、入力歯車21の歯数をZ1、遊星歯車の歯数をZ2、固定内歯車23の歯数をZ3、可動内歯車24の歯数をZ4とすると、減速比は以下の式
減速比=[(Z3+Z1)/Z1]×[Z4/(Z3−Z4)]
で表され、遊星歯車減速機構30と比較して大きな減速比が得られる。例えば、各歯数を以下の条件
入力歯車21の歯数Z1=10
遊星歯車の歯数Z2=12
固定内歯車23の歯数Z3=36
可動内歯車24の歯数Z4=34
に設定すると、減速比は78.2となる。すなわち、不思議遊星歯車減速機構20では、遊星歯車22の数と、固定内歯車23の歯数Z3と可動内歯車24の歯数Z4の差とを等しく設定するので、遊星歯車22の数が2であれば、固定内歯車23の歯数Z3と可動内歯車24の歯数Z4の差が2であり、大きな減速比を得ることができる。
本形態において、入力歯車21は、DCモータ11のモータ軸110の先端部に固着されたモータピニオンによって構成されている。固定内歯車23は第1のケース体13の内周面に形成されている。可動内歯車24は、固定内歯車23に対してモータ軸線方向Lの先端側で隣接する円筒状胴部を備えたカップ形状を有し、その円筒状胴部の内周面に内歯が形成されている。また、可動内歯車24では、その底面部中央から先端側に向けて円筒部42が延びており、この円筒部42の内部は、金属製の支軸45が嵌め込み固定された軸孔になっている。
ここで、支軸45は、可動内歯車24に固定され、支軸45の基端側は、入力歯車21の先端側で開口する孔内に嵌っている。また、支軸45の先端側は、後述する遊星歯車減速機構30の遊星ホルダ34の基端側で開口する孔内に嵌っている。
遊星歯車減速機構30において、太陽歯車31は、可動内歯車24の円筒部42の外周面に形成されており、この太陽歯車31の周りには遊星歯車32が配置されている。本形態においては、減速機構40では後段でトルクが大きいため、その分、遊星歯車減速機構30に大きな強度が求められることから、遊星歯車32が3つ、用いられている。これらの遊星歯車32は、遊星ホルダ34に固着された軸体33に対して、その軸線周りに回転可能な状態に支持プレート36によって支持されている。遊星歯車32の外側には、遊星歯車32を太陽歯車31との間に保持して、遊星歯車32の回転を規制する固定内歯車35が配置されており、この固定内歯車35は第2のケース体13の内周面に所定の周り止め構造により固定されている。なお、本形態では、遊星歯車減速機構30の減速比が5であるため、減速機構40全体としては減速比が391である。
(トルクリミッタなどの構成)
図2および図3(c)に示すように、遊星歯車減速機構30の遊星ホルダ34に対しては、出力軸19が機構的に連結されており、遊星ホルダ34の回転が出力軸19に伝達される。ここで、遊星ホルダ34と出力軸19との間には、遊星ホルダ34をDCモータ11の回転出力が入力される入力側部材とし、出力軸19自身を出力側部材とするトルクリミッタ50が構成されている。
このようなトルクリミッタ50を構成するにあたって、本形態では、図2および図3(d)に示すように、まず、遊星ホルダ34において先端側に向けて突出するホルダ側円筒部340の外周面にはモータ軸線方向Lに延びた複数本の溝341が断面半円弧状に形成され、これらの溝341の各々には丸棒状のローラピン55が嵌っている。また、出力軸19のモータ軸線方向Lの途中位置には、半径方向に広がるフランジ部195が形成され、このフランジ部195には、基端側に延びてホルダ側円筒部340を囲む出力軸側円筒部190が形成されている。ここで、出力軸側円筒部190には、モータ軸線方向Lに延びた複数本の孔191が出力軸側円筒部190を半径方向で貫通するように形成されており、ホルダ側円筒部340に形成された溝341に収納されているローラピン55は、出力軸側円筒部190に形成された孔191内にも一部が嵌っている。この状態で、ローラピン55は半径方向に移動可能、すなわち、図3(d)に実線で示すように、ホルダ側円筒部340に形成された溝341に嵌った状態、および図3(d)に点線で示すように、溝341から脱出して出力軸側円筒部19に形成された孔190内に完全に移動可能な状態にある。但し、ホルダ側円筒部190の周りにはコイルバネ57が装着されており、コイルバネ57は、ローラピン55を溝341内に向けて付勢している。
このようにして、DCモータ11のモータ軸110の回転中心軸線、遊星ホルダ34の回転中心軸線、および出力軸19の回転中心軸線を同一の軸線上に配置したまま、トルクリミッタ50を構成してある。
このようなトルクリミッタ50では、遊星ホルダ34が回転した際、出力軸19に加わっている負荷が小さい場合には、ローラピン55が遊星ホルダ34と出力軸19とを連結しているので、遊星ホルダ34の回転は、出力軸19にも伝達される。これに対して、遊星ホルダ34が回転した際、出力軸19に大きな負荷が加わると、コイルバネ57のバネ力に抗してローラピン55が遊星ホルダの溝341から脱出して遊星ホルダ34と出力軸19との連結が解除されるので、遊星ホルダ34が回転してもトルクリミッタ50で空回りが起こり、遊星ホルダ34の回転は出力軸19に伝達されない。その際、ローラピン55は、周方向で隣接する別の溝341に入り込み、再び、遊星ホルダ34と出力軸19とを連結した状態とする。
なお、第2のケース16と出力軸19との間には、第2のケース16側に基板82が保持されたポテンショメータ81が構成され、その検出結果は、コネクタ83を介して外部に出力されるようになっている。また、出力軸19の外周面と第2のケース16との間にはOリング17が配置され、カバー15と出力ケース16との間にもOリング18が配置されている。これらのOリング17、18は、ポテンショメータ81をグリスやオイルから保護するためのものである。
(本形態の主な効果)
このように構成したギヤードモータ7では、DCモータ11が回転すると、その回転出力が不思議遊星歯車減速機構20によって減速された後、遊星歯車減速機構30によってさらに減速されて出力軸19に伝達される。ここで、減速機構40には、大きな減速比が得られる不思議遊星歯車減速機構20が用いられているため、大きな減速比を得る場合でも、不思議遊星歯車減速機構20と遊星歯車減速機構30の2段で済む。それ故、ギヤードモータ7に寸法的な制約がある場合でも、大きな減速比を得ることができる。また、部品点数が少なく済み、かつ、組立工数を削減できるので、コストを低減することができる。
また、入力側に不思議遊星歯車減速機構20を構成したため、遊星歯車減速機構30は、大きく減速された状態で遊星歯車32が回転するので、ノイズなどの発生を効果的に低減できる。
さらに、不思議遊星歯車減速機構20は、基本的には遊星歯車減速機構30と類似しており、遊星歯車減速機構30と同様、円筒状のケース16内に配置するのに適している。従って、モータ軸線方向Lで外径寸法が略一定の円筒状のケース16内に対して、DCモータ11、減速機構40、および出力軸19をモータ軸線方向Lに沿ってこの順に配置することができ、ギヤードモータ7の小型化を図ることができる。
また、本形態では、減速機構40を外径寸法が略一定の円筒状のケース16内に収納するため、不思議遊星歯車減速機構20の外径寸法と遊星歯車減速機構30の外径寸法を略同一にしてある。ここで、不思議遊星歯車減速機構20の外径寸法と遊星歯車減速機構30の外径寸法を略同一とすると、双方の歯車機構を構成する部品については、概ね同等の機械的強度をもって形成されることになるが、本形態では、トルクが小さい入力側に減速比の大きな不思議遊星歯車減速機構20を配置したので、トルクが大きな出力側に減速比の大きな不思議遊星歯車減速機構を配置した場合と違って、不思議遊星歯車減速機構20には過大な力が加わらない。それ故、無理な設計をしなくても、不思議遊星歯車減速機構20の外径寸法と遊星歯車減速機構30の外径寸法を略同一とすることができる。
本発明において、不思議遊星歯車減速機構20は、遊星歯車22の外周側に配置された可動内歯車24が遊星歯車減速機構30の太陽歯車31と共通の回転体に構成されているため、各々の別々の部品を用いた場合と違って、部品点数や組立工数を削減できるとともに、減速機構40が占有する部分が狭くてよいため、ギヤードモータ7の低コスト化および小型化の双方を図ることができる。
また、DCモータ11から出力軸19への動力伝達経路の途中位置にはトルクリミッタ50を構成したため、出力軸19の駆動中に外力が加わってもトルクリミッタ50が空回りする。従って、過大な力が減速機構40に加わらないので、部品の破損が発生しない。特に本形態では、減速機構40の減速比が大きい分、出力軸19に外力が加わると、減速機構40を構成する部品に過大な力が加わるので、トルクリミッタ50を付加した効果が大きい。また、トルクリミッタ50は、遊星ホルダ34の側で軸線方向に延びた溝341と、溝341内に収納されたローラピン55と、出力軸19に保持されてローラピン55を溝341内に向けて付勢するコイルバネ57とを備えているものを用いたため、トルクリミッタ50を付加した場合でも、大きなスペースを必要とせず、かつ、動力の伝達を効率よく行うことができる。
さらに、可動内歯車24に固定された支軸45の基端側は、入力歯車21の先端側で開口する孔内に嵌り、支軸45の先端側は、後述する遊星歯車減速機構30の遊星ホルダ34の基端側で開口する孔内に嵌っている。このため、支軸45は、入力歯車21のセンター出しを行うとともに、遊星ホルダ34の孔に嵌ることにより、支軸45自身のセンター出しを行っている。従って、入力歯車21、可動内歯車24および遊星ホルダ34の芯出しを確実に行うことができるので、モータ軸110の傾き、可動内歯車24や遊星ホルダ34の位置ずれを確実に防止できる。それ故、回転駆動力の伝達損失が少なく、かつ、ノイズの発生を確実に防止することができる。
[その他の実施の形態]
出力軸19の位置検出については、ポテンショメータ81に限らず、磁気センサや光学センサなどのセンサ、あるいはリーフスイッチ、リードスイッチ、マイクロスイッチなどのスイッチ類を用いてもよい。また、出力軸19に対しては、アシストバネを設け、便座の開駆動および閉駆動のうち、大きなトルクを必要とする開方向の駆動の際、付勢力を出力軸19に加えてもよい。さらに、ギアードモータ7については便座5に限らず、便蓋6を開閉するのに用いてもよく、さらには、洋式トイレ1以外に構成された各種部材の開閉用に用いてもよい。
本発明が適用されたギヤードモータを便座ユニットに用いた洋式トイレの説明図である。 本発明を適用したギヤードモータの断面図である。 図3(a)、(b)、(c)、(d)は各々、図2のA−A線、B−B線、C−C線およびD−D線での断面図である。
符号の説明
7 ギヤードモータ
11 DCモータ
16 ケース
19 出力軸
20 不思議遊星歯車減速機構
21 不思議遊星歯車減速機構の入力歯車
22 不思議遊星歯車減速機構の遊星歯車
23 不思議遊星歯車減速機構の固定内歯車
24 不思議遊星歯車減速機構の可動内歯車
30 遊星歯車減速機構
31 遊星歯車減速機構の太陽歯車
32 遊星歯車減速機構の遊星歯車
35 遊星歯車減速機構の固定内歯車
40 減速機構
45 支軸
50 トルクリミッタ
55 ローラピン
57 コイルバネ
190 出力軸側円筒部
340 ホルダ側円筒部

Claims (5)

  1. モータと、減速機構と、該減速機構を介して前記モータの回転出力が減速して伝達される出力軸とを有するギヤードモータにおいて、
    前記減速機構には、不思議遊星歯車減速機構と遊星歯車減速機構とが含まれ、
    前記不思議遊星歯車減速機構は、前記遊星歯車減速機構より入力側に構成されていることを特徴とするギヤードモータ。
  2. 請求項1において、前記モータ、前記減速機構、および前記出力軸は、モータ軸線方向で外径寸法が略一定の円筒状のケース内で当該モータ軸線方向に沿ってこの順に配置されていることを特徴とするギヤードモータ。
  3. 請求項1または2において、前記不思議遊星歯車減速機構の外径寸法と前記遊星歯車減速機構の外径寸法が略同一であることを特徴とするギヤードモータ。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記不思議遊星歯車減速機構は、遊星歯車の外周側に配置された可動内歯車が前記遊星歯車減速機構の太陽歯車と共通の回転体に構成されていることを特徴とするギヤードモータ。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記不思議遊星歯車減速機構では、中心側に配置された入力歯車を挟んで2つの遊星歯車が対称位置に配置されていることを特徴とするギヤードモータ。
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