JP2007036174A - 窒化ガリウム系発光ダイオード - Google Patents
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Abstract
【課題】信頼性に優れた加工基板LED、とりわけ、短時間の通電による逆耐圧の著しい低下が発生することのない加工基板LEDを提供する。
【解決手段】 結晶成長面に凹部が形成された異種材料基板1の上に、n型窒化ガリウム系半導体を含む窒化ガリウム系半導体層である第1の層2と、窒化ガリウム系半導体からなる多重量子井戸構造の活性層3と、p型窒化ガリウム系半導体層4とをこの順に含む積層体が、MOVPE法により成長されてなる窒化ガリウム系発光ダイオードであって、第1の層2は、前記凹部を埋め込むとともに、その上面が平坦面となるように成長しており、かつ、少なくともその最上部に、0.1μm〜1μmの厚さに成長した、インジウムを含む窒化ガリウム系半導体からなる第2の層22を含んでおり、活性層3は、井戸層にのみインジウムが添加されており、かつ、第2の層22に接して成長している。
【選択図】図1
【解決手段】 結晶成長面に凹部が形成された異種材料基板1の上に、n型窒化ガリウム系半導体を含む窒化ガリウム系半導体層である第1の層2と、窒化ガリウム系半導体からなる多重量子井戸構造の活性層3と、p型窒化ガリウム系半導体層4とをこの順に含む積層体が、MOVPE法により成長されてなる窒化ガリウム系発光ダイオードであって、第1の層2は、前記凹部を埋め込むとともに、その上面が平坦面となるように成長しており、かつ、少なくともその最上部に、0.1μm〜1μmの厚さに成長した、インジウムを含む窒化ガリウム系半導体からなる第2の層22を含んでおり、活性層3は、井戸層にのみインジウムが添加されており、かつ、第2の層22に接して成長している。
【選択図】図1
Description
本発明は窒化ガリウム系発光ダイオードに関し、特に、結晶成長面に凹部が形成された異種材料基板の上に、該凹部を埋め込んで、pn接合型の発光素子構造を備える窒化ガリウム系半導体層が成長されてなる、窒化ガリウム系発光ダイオードに関する。
化学式AlaInbGa1−a−bN(0≦a≦1、0≦b≦1、0≦a+b≦1)で決定される組成を有する、3族窒化物系化合物半導体が知られている。以下、この化学式におけるaをAl組成、bをIn組成、1−a−bをGa組成とも呼ぶ。3族窒化物系化合物半導体は、例えば、GaN、InGaN、AlGaN、AlInGaN、AlN、InNなど、任意の組成のものを含み、また、上記化学式において、3族元素の一部をホウ素(B)、タリウム(Tl)などで置換したもの、また、N(窒素)の一部をリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)などで置換したものも、3族窒化物系化合物半導体に含まれる。
本明細書では、窒化ガリウム系半導体(以下「GaN系半導体」ともいう。)を、Ga組成が0.5以上の3族窒化物系化合物半導体と定義する。
本明細書では、また、GaN系半導体結晶のエピタキシャル成長に使用可能な基板であって、GaN系半導体とは異なる材料からなる基板を、異種材料基板と定義する。
本明細書では、また、チップ化したLED素子に、逆方向に10μAの電流を流すのに要する電圧の絶対値を、逆耐圧と定義する。
本明細書では、窒化ガリウム系半導体(以下「GaN系半導体」ともいう。)を、Ga組成が0.5以上の3族窒化物系化合物半導体と定義する。
本明細書では、また、GaN系半導体結晶のエピタキシャル成長に使用可能な基板であって、GaN系半導体とは異なる材料からなる基板を、異種材料基板と定義する。
本明細書では、また、チップ化したLED素子に、逆方向に10μAの電流を流すのに要する電圧の絶対値を、逆耐圧と定義する。
近年、n型GaN系半導体とp型GaN系半導体とで、GaN系半導体からなる活性層を挟んでなる、pn接合型の発光素子構造を有する窒化ガリウム系発光ダイオード(以下「GaN系LED」という。)が実用化されている。
特に優れた発光効率を有するGaN系LEDとして、結晶成長面にエッチングなどの方法で凹部が形成された異種材料基板(以下「加工基板」ともいう。)の上に、該凹部を埋め込んで、上記の発光素子構造を含むGaN系半導体層が成長されたGaN系LED(以下「加工基板LED」ともいう。)が開発されている(例えば、特許文献1)。
特に優れた発光効率を有するGaN系LEDとして、結晶成長面にエッチングなどの方法で凹部が形成された異種材料基板(以下「加工基板」ともいう。)の上に、該凹部を埋め込んで、上記の発光素子構造を含むGaN系半導体層が成長されたGaN系LED(以下「加工基板LED」ともいう。)が開発されている(例えば、特許文献1)。
図2は、従来の加工基板LEDの断面構造の一例を示す模式図であり、サファイアからなる加工基板100の上に、n型GaN層200、GaN障壁層とInGaN井戸層とが交互に積層されてなるMQW(多重量子井戸)構造の活性層300、p型AlGaN層401、p型GaN層402が順次積層され、n型GaN層200の表面にn側電極P100が形成され、p型GaN層500の表面にp側電極P200が形成されている。加工基板100の表面に形成された凹部は、n型GaN層200により平坦に埋め込まれている。n型GaN層200は、好ましくは、GaN系半導体材料からなる低温成長バッファ層(図示せず)を介して、加工基板100の上に成長される。
加工基板100とn型GaN層200との間に形成される凹凸状の屈折率界面(屈折率の異なる物質間を隔てる界面領域)によって、活性層300で生じる横方向(基板の厚さ方向と直交する方向)の光の進行方向が変化し、素子外部に取り出される光の量が増加するために、この加工基板LEDは高い発光効率を示す。
加工基板100とn型GaN層200との間に形成される凹凸状の屈折率界面(屈折率の異なる物質間を隔てる界面領域)によって、活性層300で生じる横方向(基板の厚さ方向と直交する方向)の光の進行方向が変化し、素子外部に取り出される光の量が増加するために、この加工基板LEDは高い発光効率を示す。
加工基板LEDは、発光効率が高いことから照明用途に適しているが、該用途においては、特に、長時間使用した時の劣化が小さいことが要求される。
しかしながら、本発明者等が、図2に示す構造を有する加工基板LEDを試作し、通電劣化試験を行ったところ、短時間のうちに逆耐圧の著しい低下が生じる場合があることが判明した。具体的には、一辺の長さが0.35mmの正方形状のLEDチップに対して、順方向に20mAの電流を連続的に流したとき、1000時間の通電により逆耐圧が5V未満に低下する場合があった。
GaN系LEDは、通常、LED駆動回路に接続された状態で使用されるが、種々の原因でLED駆動回路に発生する異常電圧によって故障することがないように、少なくとも5V以上の逆耐圧を有していることが望ましいとされている。
しかしながら、本発明者等が、図2に示す構造を有する加工基板LEDを試作し、通電劣化試験を行ったところ、短時間のうちに逆耐圧の著しい低下が生じる場合があることが判明した。具体的には、一辺の長さが0.35mmの正方形状のLEDチップに対して、順方向に20mAの電流を連続的に流したとき、1000時間の通電により逆耐圧が5V未満に低下する場合があった。
GaN系LEDは、通常、LED駆動回路に接続された状態で使用されるが、種々の原因でLED駆動回路に発生する異常電圧によって故障することがないように、少なくとも5V以上の逆耐圧を有していることが望ましいとされている。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、信頼性に優れた加工基板LED、とりわけ、短時間の通電による逆耐圧の著しい低下が発生することのない加工基板LEDを提供することを目的とする。
本発明者等は、従来の加工基板LEDにおいて、通電によって短時間のうちに逆耐圧が著しく低下する原因について、次のように考察した。
加工基板の結晶成長面に形成された凹部を埋め込んで、かつ、その上面が平坦となるまで成長したGaN系半導体層(以下、「埋め込み層」という。)は、変形し難い、硬い結晶層となる。これは、埋め込み層の成長面が平坦化する過程で、横方向の成長成分を含む結晶成長モードが発生し、それによって結晶中の転位の伝播方向が横方向に曲げられるために、該埋め込み層に含まれる転位の密度が低くなるからである。その結果、高温で結晶成長を行うMOVPE法を用いて、埋め込み層の直上に活性層を形成した場合、その成長温度から室温に降温された活性層は、強いストレスを受けることになる。これは、加工基板と活性層とが、固い埋め込み層によって連結された状態となるために、両者の熱膨張率差に起因して活性層が受ける熱応力が緩和されないからである。
また、埋め込み層は加工基板の凹部を埋め込んで成長していることから、変形の自由度が低くなっており、このことも、活性層が受けるストレスの緩和を妨げる要因となる。
また、埋め込み層と加工基板との間にも熱膨張率差があるために、これに起因して埋め込み層も熱応力を受けることになるが、この熱応力も活性層にストレスを与える要因となる。
また、活性層が硬い結晶層からなる場合には、当該活性層のストレスを、当該活性層自体の変形により緩和することができない。
このようなことから、従来の加工基板LEDに連続通電を行うと、活性層の内部において、通電による発熱とストレスの作用によって、欠陥の生成または増殖が生じ、そのために素子の逆耐圧が低下すると考えられる。
加工基板の結晶成長面に形成された凹部を埋め込んで、かつ、その上面が平坦となるまで成長したGaN系半導体層(以下、「埋め込み層」という。)は、変形し難い、硬い結晶層となる。これは、埋め込み層の成長面が平坦化する過程で、横方向の成長成分を含む結晶成長モードが発生し、それによって結晶中の転位の伝播方向が横方向に曲げられるために、該埋め込み層に含まれる転位の密度が低くなるからである。その結果、高温で結晶成長を行うMOVPE法を用いて、埋め込み層の直上に活性層を形成した場合、その成長温度から室温に降温された活性層は、強いストレスを受けることになる。これは、加工基板と活性層とが、固い埋め込み層によって連結された状態となるために、両者の熱膨張率差に起因して活性層が受ける熱応力が緩和されないからである。
また、埋め込み層は加工基板の凹部を埋め込んで成長していることから、変形の自由度が低くなっており、このことも、活性層が受けるストレスの緩和を妨げる要因となる。
また、埋め込み層と加工基板との間にも熱膨張率差があるために、これに起因して埋め込み層も熱応力を受けることになるが、この熱応力も活性層にストレスを与える要因となる。
また、活性層が硬い結晶層からなる場合には、当該活性層のストレスを、当該活性層自体の変形により緩和することができない。
このようなことから、従来の加工基板LEDに連続通電を行うと、活性層の内部において、通電による発熱とストレスの作用によって、欠陥の生成または増殖が生じ、そのために素子の逆耐圧が低下すると考えられる。
本発明者等は、上記考察に基づき研究した結果、井戸層にのみインジウム(In)を添加した活性層の直下に、活性層のストレスを緩和することを目的として、Inを含むGaN系半導体層を設けたところ、従来の加工基板LEDにおいて発生していた前述の問題が改善されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、次の特徴を有する。
本発明は、次の特徴を有する。
(1)結晶成長面に凹部が形成された異種材料基板の上に、n型窒化ガリウム系半導体を含む窒化ガリウム系半導体層である第1の層と、窒化ガリウム系半導体からなる多重量子井戸構造の活性層と、p型窒化ガリウム系半導体層とをこの順に含む積層体が、MOVPE法により成長されてなる窒化ガリウム系発光ダイオードであって、前記第1の層は、前記凹部を埋め込むとともに、その上面が平坦面となるように成長しており、かつ、少なくともその最上部に、0.1μm〜1μmの厚さに成長した、インジウムを含む窒化ガリウム系半導体からなる第2の層を含んでおり、前記活性層は、井戸層にのみインジウムが添加されており、かつ、前記第2の層に接して成長している、窒化ガリウム系発光ダイオード。
(2)前記凹部の深さが0.1μm以上である、前記(1)に記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(3)前記第2の層の厚さが0.2μm以上である、前記(1)または(2)に記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(4)前記第2の層が、インジウム組成が0.01以上であり、かつ、前記井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する窒化ガリウム系半導体からなる、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(5)前記第1の層が、前記凹部を埋め込んで成長したGaN層と、その上に接して成長した前記第2の層とからなる、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(6)活性層を横切って流れる電流の平均的な電流密度が1μA/μm2となる条件で、順方向に12時間連続通電した後において、逆方向に10μAの電流を流すのに要する電圧の絶対値が5V以上である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(2)前記凹部の深さが0.1μm以上である、前記(1)に記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(3)前記第2の層の厚さが0.2μm以上である、前記(1)または(2)に記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(4)前記第2の層が、インジウム組成が0.01以上であり、かつ、前記井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する窒化ガリウム系半導体からなる、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(5)前記第1の層が、前記凹部を埋め込んで成長したGaN層と、その上に接して成長した前記第2の層とからなる、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
(6)活性層を横切って流れる電流の平均的な電流密度が1μA/μm2となる条件で、順方向に12時間連続通電した後において、逆方向に10μAの電流を流すのに要する電圧の絶対値が5V以上である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
本発明の窒化ガリウム系発光ダイオードは、結晶成長面に凹部が形成された異種材料基板の上に、n型窒化ガリウム系半導体を含む窒化ガリウム系半導体層である第1の層と、窒化ガリウム系半導体からなり、井戸層にのみInが添加された多重量子井戸構造の活性層が、MOVPE法によって、この順に成長した構造を有する。第1の層は、上記基板表面の凹部を埋め込んで、その上面が平坦となるまで成長しており、かつ、その最上部に、0.1μm以上の厚さに成長した、Inを含む窒化ガリウム系半導体からなる第2の層を含んでいる。そして、活性層は、この第2の層に接して成長している。このような構成によって、この窒化ガリウム系発光ダイオードは、短時間の通電によって逆耐圧が著しく低下する問題のない、信頼性に優れたものとなる。
その理由について、本発明者等は、次のように考えている。すなわち、Inは、アルミニウム(Al)やガリウム(Ga)よりも大きな原子半径を有するので、Inを含む窒化ガリウム系半導体結晶は、Inを含まないものに比べて変形し易い、柔らかい結晶になるといわれている。一方、井戸層にのみInが添加された活性層は、硬い結晶層となるために、基板と該活性層との熱膨張率差や、基板と第1の層との熱膨張率差に起因して受けるストレスを、該活性層自体の変形により緩和することができない。しかし、該活性層の直下に、Inを含む窒化ガリウム系半導体からなる第2の層を、0.1μm以上の厚さに設けることにより、このストレスが緩和される。その結果、通電によって活性層で発熱が生じても、活性層内部での欠陥の生成または増殖が抑制され、逆耐圧の急速な低下が防止される。
その理由について、本発明者等は、次のように考えている。すなわち、Inは、アルミニウム(Al)やガリウム(Ga)よりも大きな原子半径を有するので、Inを含む窒化ガリウム系半導体結晶は、Inを含まないものに比べて変形し易い、柔らかい結晶になるといわれている。一方、井戸層にのみInが添加された活性層は、硬い結晶層となるために、基板と該活性層との熱膨張率差や、基板と第1の層との熱膨張率差に起因して受けるストレスを、該活性層自体の変形により緩和することができない。しかし、該活性層の直下に、Inを含む窒化ガリウム系半導体からなる第2の層を、0.1μm以上の厚さに設けることにより、このストレスが緩和される。その結果、通電によって活性層で発熱が生じても、活性層内部での欠陥の生成または増殖が抑制され、逆耐圧の急速な低下が防止される。
本発明に係るGaN系LEDは、加工基板を用いた構成によって高い発光効率を有することに加え、短時間の通電によって逆耐圧が著しく低下する問題のない、信頼性に優れたLEDとなるので、照明用途などに好適に用いることができる。
以下、図面を用いて、本発明の具体的な実施形態を説明する。
なお、以下の説明では、n型GaN系半導体層を単にn型層、p型GaN系半導体層を単にp型層とも呼ぶ。
図1は、本発明の一実施形態に係るGaN系LEDの断面図である。図1において、1はサファイアからなる加工基板である。2は第1の層であって、加工基板の凹部を埋め込んで成長した、ケイ素(Si)ドープGaNからなるn型コンタクト層21と、その上に0.2μmの厚さに成長した、アンドープIn0.01Ga0.99Nからなる第2の層22と、からなっている。3は7層のGaN障壁層(膜厚:10nm)と6層のInGaN井戸層(膜厚:3nm、発光波長:400nm)が、最上層および最下層がGaN障壁層となるように交互に積層されてなる、多重量子井戸(MQW)構造の活性層である。4はp型層であり、マグネシウム(Mg)ドープAl0.1Ga0.9Nからなるp型クラッド層41と、MgドープGaNからなるp型コンタクト層42と、からなっている。P1はチタン(Ti)とAlからなるn側電極であり、P2はニッケル(Ni)と金(Au)からなるp側電極である。
以下、図1に示すGaN系LEDの各部位について、更に詳細に説明する。
なお、以下の説明では、n型GaN系半導体層を単にn型層、p型GaN系半導体層を単にp型層とも呼ぶ。
図1は、本発明の一実施形態に係るGaN系LEDの断面図である。図1において、1はサファイアからなる加工基板である。2は第1の層であって、加工基板の凹部を埋め込んで成長した、ケイ素(Si)ドープGaNからなるn型コンタクト層21と、その上に0.2μmの厚さに成長した、アンドープIn0.01Ga0.99Nからなる第2の層22と、からなっている。3は7層のGaN障壁層(膜厚:10nm)と6層のInGaN井戸層(膜厚:3nm、発光波長:400nm)が、最上層および最下層がGaN障壁層となるように交互に積層されてなる、多重量子井戸(MQW)構造の活性層である。4はp型層であり、マグネシウム(Mg)ドープAl0.1Ga0.9Nからなるp型クラッド層41と、MgドープGaNからなるp型コンタクト層42と、からなっている。P1はチタン(Ti)とAlからなるn側電極であり、P2はニッケル(Ni)と金(Au)からなるp側電極である。
以下、図1に示すGaN系LEDの各部位について、更に詳細に説明する。
加工基板1は、一方の表面に、複数のストライプ状凹部Aが、6μmの周期(p)で平行に形成されたC面サファイア基板である。ストライプ状凹部は、深さdが1μm、幅wが3μmである。なお、図1は、このストライプ状凹部の長手方向に垂直な断面を見た図となっている。このような凹部Aが形成されることによって、加工基板1の表面Sは、凹部Aと凸部Bが交互に並んだ凹凸面となっている。
加工基板1の表面Sの上には、バッファ層(図示せず)を介して、第1の層2が、凹部Aを埋め込むとともに、その上面が平坦面となるように成長している。
第1の層のうち、加工基板の凹部を埋め込んでいるのは、n型コンタクト層21であるが、サファイアとGaNとは屈折率が異なるために、加工基板と第1の層との間には屈折率界面が形成される。この屈折率界面は、加工基板の表面Sの形状に即した凹凸面となっているために、活性層3で発生される光が、該屈折率界面で散乱され、それによって、素子内部での多重反射が抑制されるため、このLEDは良好な発光効率を示す。
加工基板1の表面Sの上には、バッファ層(図示せず)を介して、第1の層2が、凹部Aを埋め込むとともに、その上面が平坦面となるように成長している。
第1の層のうち、加工基板の凹部を埋め込んでいるのは、n型コンタクト層21であるが、サファイアとGaNとは屈折率が異なるために、加工基板と第1の層との間には屈折率界面が形成される。この屈折率界面は、加工基板の表面Sの形状に即した凹凸面となっているために、活性層3で発生される光が、該屈折率界面で散乱され、それによって、素子内部での多重反射が抑制されるため、このLEDは良好な発光効率を示す。
n型コンタクト層21には露出面が形成されており、その露出面上にn側電極P1が形成されている。n側電極P1からn型コンタクト層21に注入される電流は、このn型コンタクト層21によって横方向に拡散され、活性層3に供給されることになる。そのために、n型コンタクト層21は、シート抵抗が十分低くなるように、キャリア濃度を、好ましくは1×1018cm−3以上、より好ましくは5×1018cm−3以上とし、膜厚(加工基板1の凸部の上方における膜厚)を、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上とする。
アンドープのIn0.01Ga0.99Nからなる第2の層22は、活性層3のストレスを緩和するために設ける層である。この第2の層の膜厚が小さ過ぎると、活性層のストレスを緩和する効果が十分に生じないことから、第2の層は、膜厚を0.1μm以上とし、より好ましくは、0.2μm以上とする。
活性層3は、第1の層2の直上に成長しており、その下面は、第2の層22に接している。この活性層3は、InGaNからなる井戸層を有するために発光効率が高く、また、かかる井戸層が、GaNからなる障壁層によって挟まれることにより、障壁層と井戸層との境界でバンドギャップが急峻に変化しているために、鋭い発光ピークを有する、スペクトル純度の高い光を発生する。
一方で、この活性層は、GaN障壁層の膜厚が10nm、InGaN井戸層の膜厚が3nmと、その大部分が、Inを含まないGaN結晶で占められているために、変形し難い、硬い結晶層となっており、当該活性層自体の変形によって、自らが受けるストレスを緩和することができない。そこで、直下にIn0.01Ga0.99Nからなる第2の層を設けることによって、このストレスを緩和している。
一方で、この活性層は、GaN障壁層の膜厚が10nm、InGaN井戸層の膜厚が3nmと、その大部分が、Inを含まないGaN結晶で占められているために、変形し難い、硬い結晶層となっており、当該活性層自体の変形によって、自らが受けるストレスを緩和することができない。そこで、直下にIn0.01Ga0.99Nからなる第2の層を設けることによって、このストレスを緩和している。
活性層3の上に成長しているp型クラッド層41は、好ましくは、膜厚が2nm〜100nmとされ、Mg濃度が1×1019cm−3〜1×1021cm−3とされる。その上に成長しているp型コンタクト層42は、好ましくは、膜厚が2nm〜200nmとされ、Mg濃度が5×1019cm−3〜1×1021cm−3とされる。
n型コンタクト層21の露出面上に形成されたn側電極P1は、TiとAlを、n型コンタクト層と接する側がTiとなるように積層したものである。
p型コンタクト層42の上面に形成されたp側電極P2は、NiとAuを、p型コンタクト層と接する側がNiとなるように積層したものである。p側電極P2は、p型コンタクト層の上面を略全面的に覆うように形成し、目的に応じて、透光性としたり、反射性とする。透光性とする方法としては、NiとAuの積層体からなる電極膜を、光が透過し得る程度に薄く、例えば、20nm以下の膜厚に形成する方法や、電極膜に光が透過し得る開口部を設ける方法がある。
n側電極P1およびp側電極P2の上には、必要に応じて、ボンディングパッドを形成してもよい。
p型コンタクト層42の上面に形成されたp側電極P2は、NiとAuを、p型コンタクト層と接する側がNiとなるように積層したものである。p側電極P2は、p型コンタクト層の上面を略全面的に覆うように形成し、目的に応じて、透光性としたり、反射性とする。透光性とする方法としては、NiとAuの積層体からなる電極膜を、光が透過し得る程度に薄く、例えば、20nm以下の膜厚に形成する方法や、電極膜に光が透過し得る開口部を設ける方法がある。
n側電極P1およびp側電極P2の上には、必要に応じて、ボンディングパッドを形成してもよい。
次に、図1に示すGaN系LEDの製造方法を説明する。
加工基板1は、GaN系LEDの製造に通常用いられるC面サファイア基板を出発材料として作製すればよく、凹部は、エッチングによって、該基板の表層を部分的に除去することにより形成することができる。凹部をストライプ状に形成するには、基板の表面に、ストライプ状のエッチングマスクをライン・アンド・スペースのパターンに形成し、その上からエッチングを行えばよい。
ストライプ状凹部は、その長手方向が、加工基板上に成長するGaN系半導体結晶の<11−20>方向と平行となるように形成すると、n型コンタクト層を成長させたときに、該長手方向と直交する方向の横方向成長が抑制されるため、該n型コンタクト層によって凹部を埋め込むうえで都合がよい。
エッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよいが、好ましくはプラズマを利用したドライエッチングであり、中でも反応性イオンエッチング(RIE)が好ましい。エッチングガスとしては、塩素、フッ素などのハロゲン元素を含むガスを好ましくい用いることができ、塩素ガス(Cl2)、四塩化ケイ素(SiCl4)、三塩化ホウ素(BCl3)、臭化水素(HBr)、六フッ化イオウ(SF6)、トリフロロメタン(CHF3)、テトラフロロメタン(CF4)などのガスを単独で、または混合して用いることができる。これらのガスを、アルゴン(Ar)などの不活性ガスと混合して用いることもできる。
エッチングマスクとしては、フォトレジストの他、酸化ケイ素などの無機膜、Niなどの金属膜を用いることができる。エッチングマスクのパターニングは、フォトリソグラフィ法やインプリント法により行うことができる。
加工基板1は、GaN系LEDの製造に通常用いられるC面サファイア基板を出発材料として作製すればよく、凹部は、エッチングによって、該基板の表層を部分的に除去することにより形成することができる。凹部をストライプ状に形成するには、基板の表面に、ストライプ状のエッチングマスクをライン・アンド・スペースのパターンに形成し、その上からエッチングを行えばよい。
ストライプ状凹部は、その長手方向が、加工基板上に成長するGaN系半導体結晶の<11−20>方向と平行となるように形成すると、n型コンタクト層を成長させたときに、該長手方向と直交する方向の横方向成長が抑制されるため、該n型コンタクト層によって凹部を埋め込むうえで都合がよい。
エッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよいが、好ましくはプラズマを利用したドライエッチングであり、中でも反応性イオンエッチング(RIE)が好ましい。エッチングガスとしては、塩素、フッ素などのハロゲン元素を含むガスを好ましくい用いることができ、塩素ガス(Cl2)、四塩化ケイ素(SiCl4)、三塩化ホウ素(BCl3)、臭化水素(HBr)、六フッ化イオウ(SF6)、トリフロロメタン(CHF3)、テトラフロロメタン(CF4)などのガスを単独で、または混合して用いることができる。これらのガスを、アルゴン(Ar)などの不活性ガスと混合して用いることもできる。
エッチングマスクとしては、フォトレジストの他、酸化ケイ素などの無機膜、Niなどの金属膜を用いることができる。エッチングマスクのパターニングは、フォトリソグラフィ法やインプリント法により行うことができる。
第1の層2、活性層3、p型層4の形成には、高品質のGaN系半導体結晶を、実用上十分な成長速度で成長させることができる、MOVPE法を用いる。
MOVPE法により、GaN系半導体層を成長する方法は公知であり、MOVPE装置や、GaN系半導体の原料、成長条件等に限定はなく、制御系、配管系、成長炉、有機金属原料、ガス原料、キャリアガス、サブフローガス、基板の加熱方法、原料・ガスの供給条件、成長温度条件、その他については、従来技術を適宜参照することができる。
MOVPE法により、GaN系半導体層を成長する方法は公知であり、MOVPE装置や、GaN系半導体の原料、成長条件等に限定はなく、制御系、配管系、成長炉、有機金属原料、ガス原料、キャリアガス、サブフローガス、基板の加熱方法、原料・ガスの供給条件、成長温度条件、その他については、従来技術を適宜参照することができる。
第1の層2を成長させる前に、加工基板1の表面の有機汚染を除去するために、該加工基板を水素雰囲気中で1100℃以上に加熱することが好ましい。第1の層は、加工基板の表面上に直接成長させることもできるが、好ましくは、先にバッファ層を成長させたうえで、成長させる。サファイア基板上にGaN系半導体結晶を成長させるうえで好適に用い得る、種々のバッファ層が公知となっている。好ましいバッファ層としては、AlGaN、GaN、AlN、InGaNなどの、3族窒化物半導体材料を用いた低温成長バッファ層が挙げられる。
n型コンタクト層21を、加工基板1の凹部を埋め込んで成長させるには、結晶の横方向成長速度が大きくなり過ぎない成長条件を用いる。横方向成長速度が大き過ぎると、加工基板の凹部の底部から成長する結晶が、凸部の上方から成長する結晶と合体する前に、凸部の上方から横方向に成長する結晶同士の合体が起こって、凹部が塞がれてしまい、凹部内への原料ガスの供給が遮断されるために、凹部の底部から成長した結晶と、凸部の上方から成長した結晶との合体が起こらなくなり、凹部を埋め込むことができない。
n型コンタクト層を、加工基板の凹部を埋め込んで成長させるには、前記特許文献1に開示されたファセット成長法を用いてもよい。
n型コンタクト層により埋め込まれた凹部の内部において、n型コンタクト層と基板表面との間にはボイドが残っていてもよい。このようなボイドが散在していると、活性層で発生される光の散乱が促進されるため、多重反射の抑制による発光効率の向上効果が期待できる。また、加工基板の凹部内は、ボイドを残すことなく、GaN結晶により完全に充填してもよいが、そのような場合には、加工基板とn型コンタクト層の接触面積が最大となるので、活性層が受けるストレスも大きくなり、よって、本発明の効果が顕著に現れることになる。
n型コンタクト層を、加工基板の凹部を埋め込んで成長させるには、前記特許文献1に開示されたファセット成長法を用いてもよい。
n型コンタクト層により埋め込まれた凹部の内部において、n型コンタクト層と基板表面との間にはボイドが残っていてもよい。このようなボイドが散在していると、活性層で発生される光の散乱が促進されるため、多重反射の抑制による発光効率の向上効果が期待できる。また、加工基板の凹部内は、ボイドを残すことなく、GaN結晶により完全に充填してもよいが、そのような場合には、加工基板とn型コンタクト層の接触面積が最大となるので、活性層が受けるストレスも大きくなり、よって、本発明の効果が顕著に現れることになる。
GaNからなるn型コンタクト層21は、成長時の基板温度が高い程、結晶品質が良好となり、また、原料ガスの分解速度が大きくなるために、結晶成長が速くなるという利点がある。前述のように、この層は2μm以上の厚さに成長させることが好ましいことから、成長速度を大きくすることは、製造効率向上のうえで極めて重要である。
一方で、基板温度を高くし過ぎた場合には、装置が損傷を受け易くなり、また、5族原料として用いられるアミン系ガスが腐食性を有するために、基板加熱用ヒータの劣化が速くなるといった問題もある。
このようなことから、n型コンタクト層の成長温度は、950℃〜1200℃とすることが好ましく、とりわけ、1000℃〜1100℃とすることが好ましい。
一方で、基板温度を高くし過ぎた場合には、装置が損傷を受け易くなり、また、5族原料として用いられるアミン系ガスが腐食性を有するために、基板加熱用ヒータの劣化が速くなるといった問題もある。
このようなことから、n型コンタクト層の成長温度は、950℃〜1200℃とすることが好ましく、とりわけ、1000℃〜1100℃とすることが好ましい。
次に、第2の層22として、アンドープIn0.01Ga0.99N層を成長させるが、Inを含むGaN系半導体結晶は、混晶成分であるInNの分解温度が低いことから、成長時の基板温度が高すぎると、Inが結晶中に取り込まれなくなる。一方、基板温度が低すぎると、成長速度が下がり、製造効率が低下する問題が生じる。従って、第2の層を成長させる際の基板温度は650℃〜850℃とすることが好ましく、700℃〜800℃とすることがより好ましい。
また、Inを含むGaN系半導体結晶は、雰囲気の水素ガス(H2)分圧が高すぎると、上記温度範囲において成長よりも分解が優勢となる。従って、第2の層の成長時には、MOVPE装置の成長炉内に供給する水素ガスの量をゼロに近くすることが好ましいが、基板温度が低く、かつ、水素ガス分圧も低い条件では、有機金属原料が分解し難くなるために、第2の層の成長速度は、前述のn型コンタクト層の成長速度と比べてかなり低くなる。よって、製造効率の観点から、第2の層の厚さは、1μm以下とすることが好ましく、0.5μm以下とすることがより好ましく、0.3μm以下とすることが特に好ましい。
また、Inを含むGaN系半導体結晶は、雰囲気の水素ガス(H2)分圧が高すぎると、上記温度範囲において成長よりも分解が優勢となる。従って、第2の層の成長時には、MOVPE装置の成長炉内に供給する水素ガスの量をゼロに近くすることが好ましいが、基板温度が低く、かつ、水素ガス分圧も低い条件では、有機金属原料が分解し難くなるために、第2の層の成長速度は、前述のn型コンタクト層の成長速度と比べてかなり低くなる。よって、製造効率の観点から、第2の層の厚さは、1μm以下とすることが好ましく、0.5μm以下とすることがより好ましく、0.3μm以下とすることが特に好ましい。
活性層3は、障壁層がGaNからなるのに対し、井戸層がInGaNからなるために、それぞれの最適な成長条件が異なっている。しかし、InGaN結晶のIn組成(これが発光波長を決定する)は、成長時の基板温度によって極めて敏感に影響されるために、障壁層と井戸層とを異なる基板温度で成長させようとすると、障壁層の成長後、基板温度を井戸層成長時の温度に戻す度に、精密な温度制御が必要となり、製造効率が大きく低下する。そこで、活性層成長時の基板温度は、井戸層成長時を基準に設定し、障壁層の成長も同じ基板温度にて行うことが好ましい。更に、先に行う第2の層の成長時の基板温度も、このようにして設定した活性層の成長時の基板温度と同じにすると、製造効率改善のうえで好ましい。
一方で、活性層成長時の基板温度を、井戸層の成長にとっての最適温度とすると、該基板温度は、障壁層にとっては、最適成長温度よりも低温となる。それによる障壁層の結晶品質の低下を抑えるうえで、障壁層を2元結晶のGaNで形成することは有効である。
一方で、活性層成長時の基板温度を、井戸層の成長にとっての最適温度とすると、該基板温度は、障壁層にとっては、最適成長温度よりも低温となる。それによる障壁層の結晶品質の低下を抑えるうえで、障壁層を2元結晶のGaNで形成することは有効である。
p型層4の各層を成長させる際の基板温度については、n型コンタクト層21の場合と同様の理由から、900℃〜1200℃とすることが好ましく、とりわけ、1000℃〜1100℃とすることが好ましい。
結晶成長工程が終了した後は、得られたウェハに対して、必要に応じて、アニーリング処理や電子線照射処理を行い、p型層にドープしたp型不純物を活性化させる。
結晶成長工程が終了した後は、得られたウェハに対して、必要に応じて、アニーリング処理や電子線照射処理を行い、p型層にドープしたp型不純物を活性化させる。
n型コンタクト層21にn側電極P1を形成するには、塩素ガスを用いた反応性イオンエッチング法によって、p型層4の表面側から、p型層4、活性層3、第2の層22の一部を除去し、n型コンタクト層21の露出面を形成する。この露出面上へのn側電極P1の形成は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法など、通常の金属薄膜形成法を用いて行うことができる。p型コンタクト層42に対するp側電極P2の形成についても同様である。
以上、本発明の一実施形態に係るGaN系LEDの構成および製造方法ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
加工基板の出発材料としては、サファイア(C面、A面、R面)基板の他、SiC(6H、4H、3C)基板、AlN基板、Si基板、スピネル基板、ZnO基板、GaAs基板、NGO基板、LGO基板、LAO基板、ZrB2基板またはTiB2基板など、GaN系半導体結晶の成長に使用可能な異種材料基板を限定なく用いることができる。また、サファイア、SiC、AlN、Si、スピネル、ZnO、GaAs、NGO、LGO、LAO、ZrB2、TiB2などからなる単結晶層を表層として有する、多層構造の異種材料基板も使用可能である。これらの中でも、サファイア基板は、その上に成長するGaN系半導体結晶の品質が良好であり、かつ、高品質のものが安価で入手できることから、最も好ましい基板である。サファイアとGaN系半導体とは熱膨張率差が大きいことから、サファイア基板を用いたとき、本発明の効果は顕著に現れる。
加工基板の表面に設けられる凹部は、ストライプ状凹部(溝)に限定されるものではなく、ドット状凹部(窪み)であってもよい。ドット状凹部の形状(結晶成長面の上方から見たときの形状)は任意であり、三角形、四角形、六角形、円形などが例示される。また、加工基板の結晶成長面は、ドット状の凸部を有する凹凸面とすることもできる。かかる凹凸面においては、それぞれのドット状凸部を隔てる空間が、凹部となる。凸部をドット状とする場合の形状も任意であり、三角柱状、四角柱状、六角柱状、円柱状、円錐状、ドーム状などが例示される。また、前記特許文献1には、各種の凹凸パターンが表面に加工された基板が例示されているが、該文献に例示された凹凸パターンは任意に採用することができる。
凹部の形成方法は、エッチング法に限定されるものではなく、ダイシングやスクライビングなどの機械的な方法や、レーザ加工法であってもよいが、エッチング法は凹部を一様な深さに形成することができ、また、深さの制御も容易であるため、最も好ましい方法である。その他、加工基板の結晶成長面は、出発材料とする基板の表層をなす単結晶層の表面に、該単結晶層と同じ材料からなる凸部をエピタキシャル成長によって付加することによって、凹凸面としたものであってもよい。
凹部の形成方法は、エッチング法に限定されるものではなく、ダイシングやスクライビングなどの機械的な方法や、レーザ加工法であってもよいが、エッチング法は凹部を一様な深さに形成することができ、また、深さの制御も容易であるため、最も好ましい方法である。その他、加工基板の結晶成長面は、出発材料とする基板の表層をなす単結晶層の表面に、該単結晶層と同じ材料からなる凸部をエピタキシャル成長によって付加することによって、凹凸面としたものであってもよい。
加工基板と第1の層の間の屈折率界面による光散乱効果を強くするためには、加工基板の凹部の深さを0.1μm以上とすることが好ましく、0.5μm以上とすることがより好ましく、1μm以上とすることが更に好ましい。また、凹部と凸部とがなすパターンを周期的パターンとする場合には、その周期を20μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。
このように、凹部の深さを大きく、また、凹部と凸部とがなす周期的パターンの周期を小さくする程、加工基板と第1の層との接触面積が大きくなることから、第1の層の変形の自由度が低くなり、また、加工基板との熱膨張率差により第1の層が受ける熱応力が大きくなるので、活性層が受けるストレスが大きくなる傾向が生じる。よって、本発明の効果が顕著に現れるようになる。
このように、凹部の深さを大きく、また、凹部と凸部とがなす周期的パターンの周期を小さくする程、加工基板と第1の層との接触面積が大きくなることから、第1の層の変形の自由度が低くなり、また、加工基板との熱膨張率差により第1の層が受ける熱応力が大きくなるので、活性層が受けるストレスが大きくなる傾向が生じる。よって、本発明の効果が顕著に現れるようになる。
第1の層は、当該第1の層と、活性層およびp型層とで、pn接合型の発光素子構造が形成されるように、その内部にn型層を設ける。このn型層は、その一部に第2の層を含んでいてもよいし、第2の層と一致していてもよく、また、第2の層の中に含まれていてもよい。また、第1の層は、このn型層の上や下に、アンドープ層を含んでいてもよい。また、本発明の効果を損なわない限りで、第1の層にはp型不純物をドープした層を含めることもできる。
第1の層の内部には、n型コンタクト層だけでなく、更に、キャリアの閉じ込めや光の閉じ込めを目的とする層、光を横方向に導波させるための層、光を反射させるための層、電流の通路を限定するための層、結晶の転位密度を低減させるための層など、各種の機能を有する機能層を設けることができる。これらの機能層の構成については、従来技術を適宜参照してよい。図1に示す例では、加工基板が絶縁性のサファイアからなるために、n型コンタクト層を第1の層の内部に設けているが、導電性を有する加工基板を用いる場合には、該加工基板にn側電極を形成することができるので、第1の層からn型コンタクト層を省略することもできる。
第1の層の内部には、n型コンタクト層だけでなく、更に、キャリアの閉じ込めや光の閉じ込めを目的とする層、光を横方向に導波させるための層、光を反射させるための層、電流の通路を限定するための層、結晶の転位密度を低減させるための層など、各種の機能を有する機能層を設けることができる。これらの機能層の構成については、従来技術を適宜参照してよい。図1に示す例では、加工基板が絶縁性のサファイアからなるために、n型コンタクト層を第1の層の内部に設けているが、導電性を有する加工基板を用いる場合には、該加工基板にn側電極を形成することができるので、第1の層からn型コンタクト層を省略することもできる。
第2の層を構成するGaN系半導体は、Inを含むものであればよく、InGaNに限定されない。Inの効果が十分に生じるように、好ましくは、In組成が0.01以上のものを用いる。該GaN系半導体の結晶組成は、第2の層の厚さ方向に一様である必要はなく、連続的または不連続的に変化していてもよい。好ましくは、活性層で発生される光を第2の層が強く吸収することのないよう、該GaN系半導体のバンドギャップエネルギーが、井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きくなるように、その結晶組成を定める。また、該GaN系半導体のバンドギャップエネルギーを、井戸層のバンドギャップエネルギーより小さくすることもできるが、その場合は、第2の層の膜厚を大きくし過ぎないようにする(好ましくは0.3μm以下とする。)。
また、第2の層はアンドープ層(不純物を意図的にドープしない層)に限定されるものではなく、第2の層へのn型不純物のドーピングは任意に行うことができる。例えば、第2の層は、その全体にn型不純物をドープしてもよく、また、厚さ方向にn型不純物をドープした部分とドープしない部分を一層ずつ、もしくは交互に積層した構成としてもよい。また、n型不純物をドープした部分においては、その濃度が一様であってもよいし、または、厚さ方向に濃度の高い部分と低い部分とが1層ずつ、もしくは交互に積層された部分や、厚さ方向に濃度が段階的または連続的に変化する部分が存在していてもよい。第2の層には、本発明の効果が生じる範囲で、p型不純物をドープすることもできる。
また、第2の層はアンドープ層(不純物を意図的にドープしない層)に限定されるものではなく、第2の層へのn型不純物のドーピングは任意に行うことができる。例えば、第2の層は、その全体にn型不純物をドープしてもよく、また、厚さ方向にn型不純物をドープした部分とドープしない部分を一層ずつ、もしくは交互に積層した構成としてもよい。また、n型不純物をドープした部分においては、その濃度が一様であってもよいし、または、厚さ方向に濃度の高い部分と低い部分とが1層ずつ、もしくは交互に積層された部分や、厚さ方向に濃度が段階的または連続的に変化する部分が存在していてもよい。第2の層には、本発明の効果が生じる範囲で、p型不純物をドープすることもできる。
本発明の一実施形態においては、第1の層2と第2の層22とが一致していてもよい。すなわち、活性層と加工基板の間に形成されたGaN系半導体層が、全て、Inを含む組成を有しているものであってもよい。ただし、前述のように、Inを含むGaN系半導体は成長速度を高くすることが難しいので、製造効率を考慮すると、実用的には、第1の層のうち、第2の層を除く部分については、インジウムを含まないGaN系半導体で形成することが好ましい。また、第1の層は、活性層の下地となる層であることから、活性層の品質を良好なものとするためには、第1の層のうち、第2の層を除く部分は、2元混晶のGaNで形成することが好ましい。
活性層は、膜厚0.1nm〜10nmの井戸層と、該井戸層よりもバンドギャップの大きい障壁層とを交互に積層した多重量子井戸構造とする。井戸層の膜厚は、好ましくは5nm以下であり、井戸層の数は、好ましくは4層〜15層である。障壁層の膜厚は、井戸層よりも大きく、かつ、30nm以下であり、好ましくは、10nm〜20nm以下である。活性層の最下層および最上層は、障壁層であってもよいし、井戸層であってもよいが、好ましくは、両方とも障壁層とする。
井戸層は、Inを含むGaN系半導体で形成すると、Inが濃縮された部分が自発的に生じ、該部分が発光中心として働くために、発光効率が高くなる。Inの含有量が少ないと、この効果が小さくなるので、波長380nm未満の紫外光を発生させる場合には、井戸層をAlInGaNで形成することが好ましい。Alは、Inの添加により狭くなるバンドギャップを広げるために添加する。また、青色〜緑色の光を発生させる場合には、井戸層をInGaNで形成することが好ましい。紫外光と青色光の間の波長の光を発生させる場合には、AlInGaN、InGaNのいずれも好適に使用できる。発光波長が380nm以上の場合、障壁層は、結晶品質の向上の観点から、2元結晶のGaNで形成することが好ましい。
井戸層および障壁層には、n型不純物、p型不純物のドーピングを任意に行うことができる。
井戸層は、Inを含むGaN系半導体で形成すると、Inが濃縮された部分が自発的に生じ、該部分が発光中心として働くために、発光効率が高くなる。Inの含有量が少ないと、この効果が小さくなるので、波長380nm未満の紫外光を発生させる場合には、井戸層をAlInGaNで形成することが好ましい。Alは、Inの添加により狭くなるバンドギャップを広げるために添加する。また、青色〜緑色の光を発生させる場合には、井戸層をInGaNで形成することが好ましい。紫外光と青色光の間の波長の光を発生させる場合には、AlInGaN、InGaNのいずれも好適に使用できる。発光波長が380nm以上の場合、障壁層は、結晶品質の向上の観点から、2元結晶のGaNで形成することが好ましい。
井戸層および障壁層には、n型不純物、p型不純物のドーピングを任意に行うことができる。
p型層は、第1の層および活性層とで、pn接合型の発光素子構造を構成するものであればよく、前記例示に係る構造に限定されない。p型層の上下または内部には、更に、光の閉じ込めを目的とする層、光を横方向に導波させるための層、光を反射させるための層、電流の通路を限定するための層、不純物の拡散を防止するための層など、各種の機能を有する機能層を設けることができる。これらの機能層の構成については、従来公知の技術を参照してよい。また、p型層の上に、更に、トンネル接合を介してn型層を形成し、このn型層にp側電極を形成することもできる。
n側電極、p側電極については、従来公知のGaN系LEDで用いられているn側電極、p側電極を任意に用いることができる。
実施例1
図1に示す構造のGaN系LEDを以下に記す手順により作製し、逆耐圧特性を評価した。
図1に示す構造のGaN系LEDを以下に記す手順により作製し、逆耐圧特性を評価した。
直径2インチのC面サファイア基板の一方の主面上に、フォトレジスト膜をライン&スペースのパターンに形成した。パターニングには通常のフォトリソグラフィ技法を用いた。ストライプ状のフォトレジスト膜の幅および、隣接するフォトレジスト膜間の間隔は、いずれも3μmとし、ストライプの長手方向がサファイアの<1−100>方向と平行になるようにした。これは、C面サファイア基板上に成長するGaN系半導体結晶の<11−20>方向に平行な方向である。
次に、反応性イオンエッチング装置を用いて、基板表面の、フォトレジスト膜に覆われていない部分を、1μmの深さまでエッチングすることにより、断面が逆台形状で幅約3μmのストライプ状の凹部を形成した。その後、フォトレジスト膜を除去して、複数の該凹部が等間隔で平行に並んだ凹凸を表面に有する加工基板1を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、凹部の底面は実質的に平坦で、また、その側壁面の傾斜は約70°であった。
次に、反応性イオンエッチング装置を用いて、基板表面の、フォトレジスト膜に覆われていない部分を、1μmの深さまでエッチングすることにより、断面が逆台形状で幅約3μmのストライプ状の凹部を形成した。その後、フォトレジスト膜を除去して、複数の該凹部が等間隔で平行に並んだ凹凸を表面に有する加工基板1を得た。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察したところ、凹部の底面は実質的に平坦で、また、その側壁面の傾斜は約70°であった。
上記作製した加工基板1の、凹凸が形成された表面上に、公知のMOVPE法(有機金属化合物気相成長法)を用いて、GaN系半導体層を成長した。
まず、加工基板1をMOVPE装置の成長炉内にセットし、水素雰囲気下で基板温度を1100℃まで上昇させ、表面のクリーニングを行った。
続いて、基板温度を500℃まで下げ、キャリアガスに水素ガス、3族原料にトリメチルガリウム(TMG)、5族原料にアンモニア(NH3)を用いて、加工基板1の表面にGaNよりなる低温バッファ層を、凸部上面および凹部底面における膜厚が0.03μmとなるように成長させた。
次に、基板温度を1000℃に上げ、n型コンタクト層21を成長させた。その際、まず、キャリアガスに水素ガス、3族原料にTMG、5族原料にアンモニアを用いて、アンドープのGaN結晶を、平坦な基板上における2μmの成長に相当する時間だけ成長させ、続いて、更に、Si(ケイ素)原料としてシランを供給して、Siを濃度が5×1018cm−3となるようにドープしたGaN結晶を、平坦な基板上における4μmの成長に相当する時間だけ成長させた。加工基板1の表面の凹凸は、このSiドープGaN結晶の成長途中で、平坦に埋め込まれた(SiドープGaN結晶の成長面が略平坦となった。)。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察すると、加工基板1の表面の凹部は、n型コンタクト層21によって、ボイドを残すことなく略完全に埋め込まれていた。
まず、加工基板1をMOVPE装置の成長炉内にセットし、水素雰囲気下で基板温度を1100℃まで上昇させ、表面のクリーニングを行った。
続いて、基板温度を500℃まで下げ、キャリアガスに水素ガス、3族原料にトリメチルガリウム(TMG)、5族原料にアンモニア(NH3)を用いて、加工基板1の表面にGaNよりなる低温バッファ層を、凸部上面および凹部底面における膜厚が0.03μmとなるように成長させた。
次に、基板温度を1000℃に上げ、n型コンタクト層21を成長させた。その際、まず、キャリアガスに水素ガス、3族原料にTMG、5族原料にアンモニアを用いて、アンドープのGaN結晶を、平坦な基板上における2μmの成長に相当する時間だけ成長させ、続いて、更に、Si(ケイ素)原料としてシランを供給して、Siを濃度が5×1018cm−3となるようにドープしたGaN結晶を、平坦な基板上における4μmの成長に相当する時間だけ成長させた。加工基板1の表面の凹凸は、このSiドープGaN結晶の成長途中で、平坦に埋め込まれた(SiドープGaN結晶の成長面が略平坦となった。)。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察すると、加工基板1の表面の凹部は、n型コンタクト層21によって、ボイドを残すことなく略完全に埋め込まれていた。
次に、基板温度を750℃に下げ、キャリアガスに窒素ガス(N2)、3族原料にTMGおよびトリメチルインジウム(TMI)、5族原料にアンモニアを用いて、第2の層22として、アンドープIn0.01Ga0.99N層を、0.2μm成長させた。
続いて、同じ条件で、TMIの供給と停止を繰り返すことにより、GaN障壁層とInGaN井戸層とを交互に成長させて、活性層3を形成した。InGaN井戸層を成長する際のTMIの供給量は、活性層3の発光波長が400nmとなるように調節した。
活性層3の成長後、基板温度を1050℃に上げるとともに、再びキャリアガスを水素ガスに変えて、3族原料にTMG、トリメチルアルミニウム(TMA)、5族原料にアンモニア、Mg(マグネシウム)原料としてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いて、Mgを濃度が5×1019cm−3となるようにドープした、Al0.1Ga0.9Nからなるp型クラッド層41を0.03μm成長させた。
続いて、TMAの供給を停止し、Mgを濃度が1×1020cm−3となるようにドープした、GaNからなるp型コンタクト層42を0.15μm成長させた。
p型コンタクト層42の成長終了後、基板加熱を停止するとともに、アンモニア以外のガスの供給を停止し、基板温度を室温まで降下させた。
その後、GaN系半導体層が成長された加工基板1をMOVPE装置から取出し、p型クラッド層41およびp型コンタクト層42にドープしたMgを活性化させるために、ラピッドサーマルアニーリング(RTA)装置を用いて、窒素雰囲気中、900℃、1分間の熱処理を行った。
このようにして、発光波長400nmのLEDウエハを得た。
続いて、同じ条件で、TMIの供給と停止を繰り返すことにより、GaN障壁層とInGaN井戸層とを交互に成長させて、活性層3を形成した。InGaN井戸層を成長する際のTMIの供給量は、活性層3の発光波長が400nmとなるように調節した。
活性層3の成長後、基板温度を1050℃に上げるとともに、再びキャリアガスを水素ガスに変えて、3族原料にTMG、トリメチルアルミニウム(TMA)、5族原料にアンモニア、Mg(マグネシウム)原料としてビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いて、Mgを濃度が5×1019cm−3となるようにドープした、Al0.1Ga0.9Nからなるp型クラッド層41を0.03μm成長させた。
続いて、TMAの供給を停止し、Mgを濃度が1×1020cm−3となるようにドープした、GaNからなるp型コンタクト層42を0.15μm成長させた。
p型コンタクト層42の成長終了後、基板加熱を停止するとともに、アンモニア以外のガスの供給を停止し、基板温度を室温まで降下させた。
その後、GaN系半導体層が成長された加工基板1をMOVPE装置から取出し、p型クラッド層41およびp型コンタクト層42にドープしたMgを活性化させるために、ラピッドサーマルアニーリング(RTA)装置を用いて、窒素雰囲気中、900℃、1分間の熱処理を行った。
このようにして、発光波長400nmのLEDウエハを得た。
n型コンタクト層21に対するn側電極P1の形成、p型コンタクト層42に対するp側電極P2の形成と、電極形成後のウェハのチップへの分離を、この技術分野でよく知られた慣用の手段を用いて行った。
このようにして、図1に示す断面構造を有する、0.35mm角のGaN系LEDを得た。
なお、このGaN系LEDに含まれる活性層3の面積は9.4×104μm2であった。
このようにして、図1に示す断面構造を有する、0.35mm角のGaN系LEDを得た。
なお、このGaN系LEDに含まれる活性層3の面積は9.4×104μm2であった。
上記作製したGaN系LEDに対して、順方向に20mAの電流を連続的に流す通電劣化試験を行い、1000時間が経過した時の逆耐圧を測定した。その結果、得られた逆耐圧の値は、連続通電を開始する前と略同じ値であり、1000時間の連続通電を行った後も、初期の逆耐圧特性が維持されていた。
次に、上記作製したGaN系LEDについて、加速劣化条件の下での通電劣化試験を行い、逆耐圧特性を評価した。以下、この試験を加速通電試験と呼ぶことにする。
この加速通電試験では、LEDに流す順方向の電流値は100mAとし、1時間毎に逆耐圧を測定しながら、12時間が経過するまで連続通電を行った。
LEDに100mAの電流を流したとき、活性層3を横切って流れる電流の平均的な電流密度は、100mAを上記断面積値で除すことにより、約1μA/μm2と計算される。350μm角のGaN系LEDの標準的な駆動電流は20mAであるため、この通電劣化試験は、加速劣化条件での試験ということができる。
この加速通電試験では、LEDに流す順方向の電流値は100mAとし、1時間毎に逆耐圧を測定しながら、12時間が経過するまで連続通電を行った。
LEDに100mAの電流を流したとき、活性層3を横切って流れる電流の平均的な電流密度は、100mAを上記断面積値で除すことにより、約1μA/μm2と計算される。350μm角のGaN系LEDの標準的な駆動電流は20mAであるため、この通電劣化試験は、加速劣化条件での試験ということができる。
実施例2
第2の層22のIn組成を0.02としたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22のIn組成を0.02としたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
実施例3
第2の層22のIn組成を0.03としたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22のIn組成を0.03としたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
実施例4
第2の層22のIn組成を0.04としたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22のIn組成を0.04としたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
実施例5
第2の層22を成長する際に、Siを濃度が1×1018cm−3となるようにドープしたこと以外は、実施例4と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22を成長する際に、Siを濃度が1×1018cm−3となるようにドープしたこと以外は、実施例4と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
実施例6
第2の層22を成長する際に、最初の0.18μmはアンドープで成長させ、残りの0.02μmを成長する際に、Siを濃度が5×1018cm−3となるようにドープしたこと以外は、実施例4と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22を成長する際に、最初の0.18μmはアンドープで成長させ、残りの0.02μmを成長する際に、Siを濃度が5×1018cm−3となるようにドープしたこと以外は、実施例4と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
実施例7
第2の層22の膜厚を0.1μmとするとともに、該第2の層22を成長する際に、Siを濃度が1×1018cm−3となるようにドープしたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22の膜厚を0.1μmとするとともに、該第2の層22を成長する際に、Siを濃度が1×1018cm−3となるようにドープしたこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
比較例1
第2の層22を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
比較例2
第2の層22に代えて、膜厚0.2μmのアンドープGaN層を基板温度1000℃で成長したこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22に代えて、膜厚0.2μmのアンドープGaN層を基板温度1000℃で成長したこと以外は、実施例1と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
参考例
第2の層22と活性層3の間に、基板温度1000℃で成長した膜厚0.05μmのアンドープGaN層を挿入したこと以外は、実施例4と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
第2の層22と活性層3の間に、基板温度1000℃で成長した膜厚0.05μmのアンドープGaN層を挿入したこと以外は、実施例4と同様にして、GaN系LEDを作製し、加速通電試験を行った。
上記加速通電試験により得られた、逆耐圧の初期値と、3時間通電後、6時間通電後、12時間通電後の値を、表1にまとめて示す。
上記加速通電試験の結果から、次のことがいえる。
(a)実施例および比較例のいずれも、12時間以内の通電により、逆耐圧が一定の値に収束する傾向を示している。実施例1〜7では、12時間通電後の逆耐圧が5V以上であるのに対し、比較例1および2では5V未満の低い値となっていることから、第2の層には、逆耐圧特性の劣化防止効果がある。
(b)実施例1〜4(いずれも、第2の層がアンドープで、膜厚が0.2μm)で、12時間通電後の逆耐圧が同じレベルであることから、第2の層のIn組成が0.01以上であるとき、逆耐圧特性の劣化防止効果に対する、第2の層のIn組成の影響は小さい。
(c)実施例4〜6(いずれも、第2の層の膜厚が0.2μmで、In組成が0.04)で、12時間通電後の逆耐圧が同じレベルであることから、逆耐圧特性の劣化防止効果に対する、第2の層へのn型不純物のドーピングの影響は小さい。
(d)実施例7(第2の層のIn組成が0.01で、膜厚が0.1μm)においても、12時間通電後に、5V以上の逆耐圧が得られた。一方で、この値は実施例1〜6で得られた値と比較すると、半分程度である。よって、第2の層の膜厚は0.1μm以上とすればよいが、好ましくは、0.2μm以上とすべきである。
(e)参考例によれば、実施例4のGaN系LEDにおいて、第2の層と活性層の間にアンドープGaN層を挿入することによって、12時間通電後の逆耐圧が半分程度となる。よって、活性層は第2の層に接して成長させるべきである。
(a)実施例および比較例のいずれも、12時間以内の通電により、逆耐圧が一定の値に収束する傾向を示している。実施例1〜7では、12時間通電後の逆耐圧が5V以上であるのに対し、比較例1および2では5V未満の低い値となっていることから、第2の層には、逆耐圧特性の劣化防止効果がある。
(b)実施例1〜4(いずれも、第2の層がアンドープで、膜厚が0.2μm)で、12時間通電後の逆耐圧が同じレベルであることから、第2の層のIn組成が0.01以上であるとき、逆耐圧特性の劣化防止効果に対する、第2の層のIn組成の影響は小さい。
(c)実施例4〜6(いずれも、第2の層の膜厚が0.2μmで、In組成が0.04)で、12時間通電後の逆耐圧が同じレベルであることから、逆耐圧特性の劣化防止効果に対する、第2の層へのn型不純物のドーピングの影響は小さい。
(d)実施例7(第2の層のIn組成が0.01で、膜厚が0.1μm)においても、12時間通電後に、5V以上の逆耐圧が得られた。一方で、この値は実施例1〜6で得られた値と比較すると、半分程度である。よって、第2の層の膜厚は0.1μm以上とすればよいが、好ましくは、0.2μm以上とすべきである。
(e)参考例によれば、実施例4のGaN系LEDにおいて、第2の層と活性層の間にアンドープGaN層を挿入することによって、12時間通電後の逆耐圧が半分程度となる。よって、活性層は第2の層に接して成長させるべきである。
1 加工基板
2 第1の層
21 n型コンタクト層
22 第2の層
3 活性層
4 p型層
41 p型クラッド層
42 p型コンタクト層
P1 n側電極
P2 p側電極
2 第1の層
21 n型コンタクト層
22 第2の層
3 活性層
4 p型層
41 p型クラッド層
42 p型コンタクト層
P1 n側電極
P2 p側電極
Claims (6)
- 結晶成長面に凹部が形成された異種材料基板の上に、n型窒化ガリウム系半導体を含む窒化ガリウム系半導体層である第1の層と、窒化ガリウム系半導体からなる多重量子井戸構造の活性層と、p型窒化ガリウム系半導体層とをこの順に含む積層体が、MOVPE法により成長されてなる窒化ガリウム系発光ダイオードであって、
前記第1の層は、前記凹部を埋め込むとともに、その上面が平坦面となるように成長しており、かつ、少なくともその最上部に、0.1μm〜1μmの厚さに成長した、インジウムを含む窒化ガリウム系半導体からなる第2の層を含んでおり、
前記活性層は、井戸層にのみインジウムが添加されており、かつ、前記第2の層に接して成長している、窒化ガリウム系発光ダイオード。 - 前記凹部の深さが0.1μm以上である、請求項1に記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
- 前記第2の層の厚さが0.2μm以上である、請求項1または2に記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
- 前記第2の層が、インジウム組成が0.01以上であり、かつ、前記井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きいバンドギャップエネルギーを有する窒化ガリウム系半導体からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
- 前記第1の層が、前記凹部を埋め込んで成長したGaN層と、その上に接して成長した前記第2の層とからなる、請求項1〜4のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
- 活性層を横切って流れる電流の平均的な電流密度が1μA/μm2となる条件で、順方向に12時間連続通電した後において、逆方向に10μAの電流を流すのに要する電圧の絶対値が5V以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の窒化ガリウム系発光ダイオード。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2018110174A (ja) * | 2016-12-28 | 2018-07-12 | 豊田合成株式会社 | 半導体構造体および半導体素子 |
JP2019067832A (ja) * | 2017-09-28 | 2019-04-25 | 豊田合成株式会社 | 発光素子の製造方法 |
-
2005
- 2005-12-07 JP JP2005354173A patent/JP2007036174A/ja active Pending
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