JP2016046410A - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光層がAlxGa1-xN(0.3≦x≦1)層である場合に窒化物半導体発光素子の光取り出し効率を高める。【解決手段】窒化物半導体発光素子は、発光層と、発光層とは異なる少なくとも1つの窒化物半導体層とを備える。発光層は、極性面を主面として有し、且つ、AlxGa1-xN(0.3≦x≦1)からなる。少なくとも1つの窒化物半導体層は、窒化物半導体結晶のc軸に対して平行な方向において窒化物半導体よりも低い屈折率を有する第1媒質に接しており、第1媒質との界面の少なくとも一部に光取り出し面を有する。光取り出し面には、光取り出し面を有する窒化物半導体層から第1媒質へ向かって突出する凸部61が複数形成されている。【選択図】図5

Description

本発明は、窒化物半導体発光素子に関する。
AlN、GaN及びInNは、それぞれ、約6.0eV、約3.4eV及び約0.6eVのバンドギャップエネルギーを有している。そのため、これらの混晶を発光層の材料として用いた窒化物半導体発光素子は、紫外領域から赤外領域までの波長を有する光を発生させることが可能であり(例えば特許文献1)、照明用光源又は液晶ディスプレイのバックライト等の様々な用途に応用されつつある。特に、紫外領域の波長を有する光を発生可能な窒化物半導体発光素子としては、AlNとGaNとの混晶であるAlaGabN(0≦a、b≦1、a+b=1)からなる層を発光層として有する発光ダイオードが実現されつつある。
AlN及びGaNの各結晶構造は、ウルツ鉱型構造である。AlN及びGaNの各価電子帯は、結晶場とスピン‐軌道相互作用とにより3つの状態に分裂している。
GaNでは、結晶場による価電子帯の分裂エネルギーが11meVであり、スピン‐軌道相互作用による価電子帯の分裂エネルギーが11meVである。そのため、Γ点付近の価電子帯は、価電子帯の頂上から順に、重い正孔バンド、軽い正孔バンド、及び、結晶場による正孔バンドに分裂される。よって、GaNの発光は、上述の重い正孔バンドと伝導帯との間の光学遷移によるものが支配的となる。かかる遷移は光の電界ベクトルEがc軸([0001])に対して垂直な場合に許容となる(E⊥c偏光が発生する)ので、C面からの発光が強くなる。
一方、AlNでは、結晶場による価電子帯の分裂エネルギーが−217meVであり、スピン‐軌道相互作用による価電子帯の分裂エネルギーが36meVである。そのため、Γ点付近の価電子帯は、価電子帯の頂上から順に、結晶場による正孔バンド、重い正孔バンド、及び、軽い正孔バンドに分裂される。よって、AlNの発光は、上述の結晶場による正孔バンドと伝導帯との間の光学遷移によるものが支配的となる。かかる遷移は光の電界ベクトルEがc軸に対して平行な場合に許容となる(E||c偏光が発生する)ので、C面からの発光は弱くなる。
このように、GaNとAlNとでは、発生する光の偏光面が異なる。そのため、極性面を主面として含み、且つ、AlsGa1-sN(0<s≦1)からなる発光層を有する発光ダイオードでは、Al組成sを0から1へ増加させると、発光層において発生する光はE⊥c偏光からE||c偏光へ変化する。本明細書では、(0001)面を「+C面」と表し、(000−1)面を「−C面」と表し、(0001)面と(000−1)面とを含む表記である{0001}面を「C面」と表す。「極性面」には、例えば特定の面方位に対するオフ角が±5°である面方位を有する面も含まれる。
E⊥c偏光は、発光層の主面に対して垂直な方向へ支配的に進行する。そのため、C面からの発光が強くなるので、発光ダイオードの表面(発光層の主面に対して平行に延びる発光ダイオードの面)からの取り出しには有利となる。一方、E||c偏光は、発光層の主面に対して平行な方向へ支配的に進行する。そのため、C面からの発光は弱くなるので、発光ダイオードの表面からの取り出しには不利となる。発光層において発生する光がE⊥c偏光からE||c偏光へ切り替わる付近では、結晶場による正孔バンドのエネルギーと重い正孔バンドのエネルギーとが近くなるので、両方の光学遷移をとることができる。つまり、発光層において発生する光には、E⊥c偏光とE||c偏光とが含まれる。
特開2008−91664号公報
E||c偏光は、発光層の主面に対して平行な方向に支配的に進行するが、その一部は、発光層の主面から所定の角度に傾斜した方向へ進行する。ここで、「所定の角度」は、一般的には、発光層の主面と、発光層において発生した光であって窒化物半導体層とその上下に位置する媒質との界面で全反射する光の進行方向とがなす角度を意味する。そのため、発光層の主面から所定の角度に傾斜した方向へ進行する光は、発光ダイオードの内部で全反射を繰り返すので、吸収層(その光を吸収する層)に吸収され、よって、発光ダイオードの外部へ取り出され難い。
このように、AlGaNからなりE||c偏光を放出する活性層を備えた発光ダイオードにおいては光取り出し効率が低いという課題がある。発光層のAl組成を高めることにより発光層において発生する光がE⊥c偏光からE||c偏光へ変化することを考慮すれば、上述の課題は、発光層がAlを含んでいない場合(例えば特許文献1)及び発光層がAlxGa1-xN(0≦x<0.3)層である場合には生じ得ず、発光層がAlxGa1-xN(0.3≦x≦1)層である場合に初めて生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発光層がAlxGa1-xN(0.3≦x≦1)層である場合に窒化物半導体発光素子の光取り出し効率を高めることである。
窒化物半導体発光素子は、発光層と、発光層とは異なる少なくとも1つの窒化物半導体層とを備える。発光層は、極性面を主面として有し、且つ、AlxGa1-xN(0.3≦x≦1)からなる。少なくとも1つの窒化物半導体層は、窒化物半導体結晶のc軸に対して平行な方向において窒化物半導体よりも低い屈折率を有する第1媒質に接しており、第1媒質との界面の少なくとも一部に光取り出し面を有する。光取り出し面には、光取り出し面を有する窒化物半導体層から第1媒質へ向かって突出する凸部が複数形成されている。下記式1及び下記式2が満たされている。下記式1及び下記式2において、Dは隣り合う凸部の間隔を表し、Hは凸部の高さを表し、θ1は凸部の側面の傾斜角を表し、αはc軸に対して垂直な方向を中心としたE||c偏光の広がり角を表し、θtはE||c偏光の全反射角を表す。
D≧H(1−tanθ1×tanα)/tanα・・・式1
0<θ1<θt・・・式2。
好ましくは、上記式1において、Dは、200μm以下である。より好ましくは、上記式1及び上記式2において、0<α≦40°である場合には、θ1は20°以上40°以下であり、Hは0.1μm以上10μm以下である。
凸部は、円錐形状を有することが好ましい。
本発明では、発光層がAlxGa1-xN(0.3≦x≦1)層である場合に窒化物半導体発光素子の光取り出し効率を高めることである。
E||c偏光が従来の窒化物半導体発光素子の内部を伝搬する様子を示す断面図である。 従来の窒化物半導体発光素子に対するシミュレーションの結果を示すグラフである。 (a)は、E||c偏光がn型窒化物半導体層又はp型窒化物半導体層から空気へ入射するときの入射角と透過率Tとの関係を示すグラフであり、(b)は、E||c偏光がn型窒化物半導体層又はp型窒化物半導体層からサファイア基板へ入射するときの入射角と透過率Tとの関係を示すグラフである。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子において、E||c偏光が光取り出し面へ入射したときの光の伝搬を説明する断面図である。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子において、E⊥c偏光が光取り出し面へ入射したときの光の伝搬を説明する断面図である。 (a)及び(b)は、本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子の製造方法を工程順に示す断面図である。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。 本発明の一実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。
[課題の詳細]
本発明者らは、以下に示すシミュレーションを行って、従来の窒化物半導体発光素子(C面を主面として含むとともにAl組成が高いAlGaNからなる発光層を備え、本発明の光取り出し面が形成されていない窒化物半導体発光素子)では光取り出し効率が低下することを確認した。
上述したように、E||c偏光は発光層の主面に対して平行な方向に支配的に進行するが、その一部は発光層の主面から所定の角度に傾斜した方向へ進行する。図1は、E||c偏光が従来の窒化物半導体発光素子の内部を伝搬する様子を示す断面図である。ここでは、n型窒化物半導体層(厚さが500nm)の上に活性層とp型窒化物半導体層5(厚さが400nm)とが順に形成された窒化物半導体発光素子を想定した。活性層は、3層の量子井戸層3と3層の障壁層とを有し、1層の量子井戸層3と1層の障壁層とが交互に積層されて構成されていた。量子井戸層3のそれぞれは、C面を主面として含み、アンドープAlsGa1-sN(0<s≦1)からなり、3nmの厚さを有していた。障壁層のそれぞれは、n型ドーパントを含み、6nmの厚さを有していた。なお、図1には、説明を簡略化するために、n型窒化物半導体層と3層の障壁層とを合わせてn型窒化物半導体層1(厚さが518nm)と図示している。
また、量子井戸層3のみがE||c偏光L01を吸収すると仮定した(以下「量子井戸層3」を「吸収層3」と記すことがある)。窒化物半導体発光素子の一辺を1mmとし、窒化物半導体発光素子の左端Pを原点として右方向にx軸をとった。つまり、窒化物半導体発光素子の右端Qは、x=106の地点であった。
図1に示すθoutは、E||c偏光L01の出射角を意味し、つまり任意の地点x=x1においてE||c偏光L01の進行方向と窒化物半導体結晶のc軸に対して平行な方向(成長面に対して垂直な方向)とのなす角度を意味する。E||c偏光L01は、n型窒化物半導体層1の下面1Aへθoutで入射し、その下面1Aで全反射した後、p型窒化物半導体層5の上面5Bへθoutで入射する。このように、E||c偏光L01は、n型窒化物半導体層1の下面1Aとp型窒化物半導体層5の上面5Bとで全反射を繰り返しながら、窒化物半導体発光素子の左端Pから窒化物半導体発光素子の右端Qへ進む。そのため、E||c偏光L01は、吸収層3内を通過し、よって、吸収層3に吸収される。
このような窒化物半導体発光素子において、任意の地点x=x1において発生した光の強度を1と仮定した場合に、その光がその任意の地点から全反射を繰り返しながら窒化物半導体発光素子の右端Q側の地点へ到達したときのその到達地点における光の強度を算出した。この算出に際しては、n型窒化物半導体層1、量子井戸層3及びp型窒化物半導体層5のそれぞれの屈折率を考慮に入れなかった。また、E||c偏光L01はθoutに依らずn型窒化物半導体層1の下面1A及びp型窒化物半導体層5の上面5Bで全反射されると仮定した。吸収層3の吸収係数を5000/cmと仮定した場合の算出結果を図2に示す。図2の横軸「発光点(x=x1)までの距離[nm]」は、窒化物半導体発光素子の左端Pから発光点までの距離を意味する。そのため、「発光点(x=x1)までの距離が0nmである」とは、窒化物半導体発光素子の左端Pにおいて光が発生したことを意味する。「発光点(x=x1)までの距離が1×106nmである」とは、窒化物半導体発光素子の右端Qにおいて光が発生したことを意味する。図2の縦軸「入射角[°]」は、E||c偏光L01がn型窒化物半導体層1の下面1A又はp型窒化物半導体層5の上面5Bへ入射されるときの入射角を意味し、つまりθoutである。
実際には、全反射角を考慮に入れる必要がある。全反射角は、n型窒化物半導体層1の屈折率とそのn型窒化物半導体層1に接する媒質の屈折率とによって定まり、p型窒化物半導体層5の屈折率とそのp型窒化物半導体層5に接する媒質の屈折率とによって定まる。図3(a)には、E||c偏光がn型窒化物半導体層又はp型窒化物半導体層から空気へ入射するときの入射角と透過率Tとの関係を示し、図3(b)には、E||c偏光がn型窒化物半導体層又はp型窒化物半導体層からサファイア基板へ入射するときの入射角と透過率Tとの関係を示す。図3(a)及び(b)において、TsはS偏光での透過率を表し、TpはP偏光での透過率を表す。透過率Tが0であるときの入射角が全反射角となる。
n型窒化物半導体層1又はp型窒化物半導体層5が空気に接する場合(図3(a))、窒化物半導体の屈折率は2.5であり、空気の屈折率は1であり、よって、全反射角は24°となる。つまり、θout>24°であれば、E||c偏光L01は、n型窒化物半導体層1と空気との界面(n型窒化物半導体層1の下面1A)へθoutで入射されその界面において全反射され、p型窒化物半導体層5と空気との界面(p型窒化物半導体層5の上面5B)へθoutで入射されその界面において全反射される。図2において入射角が24°よりも大きな領域に着目すると、窒化物半導体発光素子の左端Pから発光点(x=x1)までの距離が長いほど、規格化された強度(窒化物半導体発光素子の右端Q側で観測される光の強度)が大きいことが分かる。このことから、次に示すことが言える。E||c偏光L01は、窒化物半導体発光素子の内部で全反射を繰り返しながら、窒化物半導体発光素子の左端P側から窒化物半導体発光素子の右端Q側へ進む。そのため、窒化物半導体発光素子の左端Pから発光点(x=x1)までの距離が長いほど、発光点から右端Qまでの距離は短くなる。よって、窒化物半導体発光素子の内部で全反射を繰り返しながら吸収層3内を伝搬する光の光路長が短くなる。したがって、吸収層3で吸収される光の強度が小さくなり、最終的に右端Qで観測される光強度は大きくなる。
また、n型窒化物半導体層1又はp型窒化物半導体層5がサファイア基板に接する場合(図3(b))、窒化物半導体の屈折率は2.5であり、空気の屈折率は1.8であり、よって、全反射角は47°となる。つまり、θout>47°であれば、E||c偏光L01は、n型窒化物半導体層1とサファイア基板との界面へθoutで入射されその界面において全反射され、p型窒化物半導体層5とサファイア基板との界面へθoutで入射されその界面において全反射される。
c軸に対して垂直な方向とE||c偏光L01の進行方向とがなす角度のうちの小さい方の角度の最大値を角度βとし、角度βを用いてθout>24°を書き直すと、角度β<66°(=90°−24°)となる。つまり、n型窒化物半導体層1又はp型窒化物半導体層5が空気に接する場合には、角度β<66°の範囲に存在する光がn型窒化物半導体層1と空気との界面又はp型窒化物半導体層5と空気との界面で全反射する。そのため、発光層の主面(c軸に対して垂直な方向)から所定の角度に傾斜した方向へ進行する光のほとんどがn型窒化物半導体層1と空気との界面又はp型窒化物半導体層5と空気との界面で全反射する。
実際には、窒化物半導体発光素子では、1辺が300μm(3×105nm)よりも大きい。そのため、発光層の主面から所定の角度に傾斜した方向へ進行する光が窒化物半導体発光素子の左端Pから窒化物半導体発光素子の右端Qへ進む間には、その光のほとんどが吸収層3に吸収される。よって、窒化物半導体発光素子の端面から取り出される光には、窒化物半導体発光素子の端面付近において発生したE||c偏光L01が支配的に含まれ、c軸に対して垂直な方向の中央付近において発生したE||c偏光L01は殆ど含まれない。c軸に対して垂直な方向の中央付近において発生したE||c偏光L01は、全反射を繰り返しながら窒化物半導体発光素子内を進むので、窒化物半導体発光素子内の吸収層3に吸収され、よって、窒化物半導体発光素子の外へ取り出され難くなる。したがって、光取り出し効率が低下する。
このような考察を踏まえ、本発明者らは、発光層がAlxGa1-xN(0.3≦x≦1)層である場合に窒化物半導体発光素子の光取り出し効率を高めることに成功した。以下、図面を参照しながら、本発明を具体的に説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
[第1の実施形態]
<窒化物半導体発光素子の構造>
図4は、本発明の第1の実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。本実施形態の窒化物半導体発光素子20は、第1n型窒化物半導体層25と、第2n型窒化物半導体層27と、活性層31と、キャリアバリア層33と、第1p型窒化物半導体層35と、第2p型窒化物半導体層37とを備える。このように、窒化物半導体発光素子20は、第1n型窒化物半導体層25と第2n型窒化物半導体層27とを含むn型窒化物半導体層29と、第1p型窒化物半導体層35と第2p型窒化物半導体層37とを含むp型窒化物半導体層39と、n型窒化物半導体層29とp型窒化物半導体層39との間に設けられた活性層31とを備える。なお、n型窒化物半導体層29は、単層であっても良いし、3層以上のn型窒化物半導体層が積層されて構成されていても良い。p型窒化物半導体層39についても同様のことが言える。
活性層31は、発光層を有しており、好ましくは量子井戸層(発光層として機能)と障壁層とが交互に積層されて構成された多重量子井戸構造を有している。量子井戸層は、極性面(本実施形態ではC面)を主面として有し、且つ、AlxGa1-xN(0.3≦x≦1)からなる。量子井戸層のAl組成xは、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.7以上である。量子井戸層のAl組成xが1に近いほど、E||c偏光L02の発光が支配的になるので、本実施形態の効果を効果的に得ることができる。なお、「極性面」には、面方位(0001)を有する面及び面方位(000−1)を有する面以外に、面方位(0001)に対するオフ角が±5°である面方位を有する面も含まれ、面方位(000−1)に対するオフ角が±5°である面方位を有する面も含まれる。
第2p型窒化物半導体層37、第1p型窒化物半導体層35、キャリアバリア層33、活性層31及び第2n型窒化物半導体層27の一部がエッチングされている。第2n型窒化物半導体層27の第1露出面(エッチングにより露出した第2n型窒化物半導体層27の面)にはn電極41が設けられており、第2p型窒化物半導体層37の上面にはp電極43が設けられている。
図5は、E||c偏光が光取り出し面へ入射したときの光の伝搬を説明する断面図である。窒化物半導体発光素子20では、第1n型窒化物半導体層25は、窒化物半導体結晶のc軸([0001])に対して平行な方向(以下では「c軸方向」と記す)において第1媒質に接しており、第1媒質との界面に光取り出し面60を有する。第1媒質は、窒化物半導体の屈折率n1よりも低い屈折率n2を有し、本実施形態では空気51である。
光取り出し面60には、複数の凸部61が互いに間隔をあけて形成されている。凸部61のそれぞれは第1n型窒化物半導体層25(光取り出し面を有する窒化物半導体層)から第1媒質(空気51)へ向かって突出しており、隣り合う凸部61の間隔Dは下記式1及び下記式2を満たしている。
D≧H(1−tanθ1×tanα)/tanα ・・・式1
0<θ1<θt ・・・式2。
上記式1及び上記式2において、D、H、θ1、α及びθtは、図5に示す通りである。隣り合う凸部61の間隔Dは、c軸方向における平坦部65の大きさを意味する。ここで、「平坦部65」とは、隣り合う凸部61の間に位置し、凸部61が形成されていない光取り出し面60の部分である。Hは、凸部61の高さを表し、凸部61の突出方向における凸部61の大きさ、つまりc軸方向における凸部61の大きさを意味する。θ1は、凸部61の側面63の傾斜角を表し、c軸方向と凸部61の側面63とがなす角度のうちの小さい方の角度を意味する。αは、c軸方向に対して垂直な方向を中心としたE||c偏光L02の広がり角を表し、c軸方向に対して垂直な方向と量子井戸層から出射したE||c偏光L02の進行方向とがなす角度のうち小さい方の角度の最大値を意味する。θtは、E||c偏光L02の全反射角を表し、E||c偏光L02が光取り出し面60において全反射するときのE||c偏光L02の光取り出し面60への入射角を意味する。
上記式1及び上記式2を満たしていれば、量子井戸層において発生したE||c偏光L02の少なくとも一部は、光取り出し面60へθt未満の角度で入射して光取り出し面60から出射する。つまり、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射したE||c偏光L02の少なくとも一部は、第1n型窒化物半導体層25の下部から取り出される。よって、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射したE||c偏光L02の少なくとも一部を窒化物半導体発光素子20の外部へ取り出すことができる。
E||c偏光の一部はp偏光として窒化物半導体層と第1媒質との界面へ入射することが知られている。P偏光での透過率Tpは、S偏光での透過率Tsよりも大きく、入射角がブリュースター角である場合には1.0となる(例えば図3(a)及び(b))。よって、光取り出し面60へθt未満の角度で入射したE||c偏光L02は窒化物半導体発光素子20の外部へ更に取り出され易くなる。
それだけでなく、上記式1及び上記式2を満たしていれば、窒化物半導体発光素子20から取り出されたE||c偏光L02が光取り出し面60から第1n型窒化物半導体層25へ再入射することを防止できる。以上より、窒化物半導体発光素子20の光取り出し効率を従来の窒化物半導体発光素子よりも高めることができる。
その上、窒化物半導体発光素子20では、E⊥c偏光の光取り出し効率の低下を招くことなく、E||c偏光の光取り出し効率を高めることができる。図6は、E⊥c偏光が光取り出し面へ入射したときの光の伝搬を説明する断面図である。E⊥c偏光L03が、c軸方向からθ2だけ傾斜して量子井戸層から出射して凸部61へ入射した場合を考える。以下では、E⊥c偏光L03がc軸に対して右側へ傾斜して凸部61の側面63へ入射した場合を前提としているが(図6)、E⊥c偏光L03がc軸に対して左側へ傾斜して凸部61の側面63へ入射した場合についても同様のことが言える。
90°−θ1+θ2<θtのとき、E⊥c偏光L03は、光取り出し面60へ1回目に入射したとき、光取り出し面60から第1媒質(空気51)へ出射し、特定の透過率で第1媒質を透過してから窒化物半導体発光素子20の外へ取り出される。E⊥c偏光L03のうち第1媒質を透過しなかった光は、光取り出し面60で反射する。
90°−θ1+θ2≧θtのとき、E⊥c偏光L03は、光取り出し面60へ1回目に入射したとき、光取り出し面60で全反射する。全反射の後に入射される光取り出し面60への入射角θ3<θtであれば、光取り出し面60から第1媒質(空気51)へ出射し、特定の透過率で第1媒質を透過してから窒化物半導体発光素子20の外へ取り出される。一方、入射角θ3≧θtであれば、光取り出し面60において全反射されて別の光取り出し面(不図示)へ入射される。ここで、入射角θ3はθ1に依存する。(90°+θ2)>3θ1である場合には、θ3=(90°+θ2)−3θ1である。(90°+θ2)<3θ1である場合には、θ3=3θ1−(90°+θ2)である。
光取り出し面60におけるE⊥c偏光L03の全反射が(n−1)回目であり(ただし、nは正の整数とする)、且つ、(90°+θ2)>(2n−1)θ1である場合、そのE⊥c偏光L03がn回目に光取り出し面60へ入射するときの入射角は(90°+θ2)−(2n−1)θ1であり、(90°+θ2)−(2n−1)θ1<θtである場合に光取り出し面60から第1媒質(空気51)へ出射し、第1媒質を透過する。同様に、光取り出し面60におけるE⊥c偏光L03の全反射が(n−1)回目であり、且つ、(90°+θ2)<(2n−1)θ1である場合、そのE⊥c偏光L03がn回目に光取り出し面60へ入射するときの入射角は(2n−1)θ1−(90°+θ2)であり、(2n−1)θ1−(90°+θ2)<θtである場合に光取り出し面60から第1媒質(空気51)へ出射し、第1媒質を透過する。このように、本実施形態では、E⊥Cの偏光L03の光取り出し効率の低下を防止することができる。
以上をまとめると、上記式1及び上記式2を満たしていれば、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射したE||c偏光L02を第1n型窒化物半導体層25の下部から窒化物半導体発光素子20の外部へ取り出すことができる。さらに、上記式1及び上記式2を満たしていれば、窒化物半導体発光素子20から取り出されたE||c偏光L02の再入射を防止できる。これらのことから、窒化物半導体発光素子20の光取り出し効率を従来の窒化物半導体発光素子よりも高めることができる。また、E||c偏光L01の光取り出し効率を高めたことに起因してE⊥c偏光L03の光取り出し効率が低下することを防止できる。以下では、窒化物半導体発光素子20の各構成要素を具体的に示す。
(第1n型窒化物半導体層)
第1n型窒化物半導体層25としては、好ましくは、Alt1Ga1-t1N(0<t1≦1)からなる層にn型ドーパントがドープされた層を用い、より好ましくは、Alt1Ga1-t1N(0.6≦t1≦0.9)からなる層にn型ドーパントがドープされた層を用いる。n型ドーパントとしては、例えばSi、Ge又はSn等を挙げることができる。
第1n型窒化物半導体層25のn型ドーパント濃度は、好ましくは5×1016/cm3以上1×1021/cm3以下であり、より好ましくは5×1017/cm3以上2×1019/cm3以下である。また、第1n型窒化物半導体層25の厚さは、好ましくは0.5μm以上20μm以下であり、より好ましくは3μm以上10μm以下である。
(凸部)
本実施形態では、第1n型窒化物半導体層25の下面が光取り出し面60として機能する。そのため、凸部61は第1n型窒化物半導体層25の下面に形成されている。
上記式1及び上記式2を満たすのであれば、光取り出し面60に形成された凸部61の形状は、同一であっても良いし互いに異なっても良い。また、凸部61は、光取り出し面60にストライプ状に形成されていても良いが、光取り出し面60に格子状に配置されていても良い。凸部61が格子状に光取り出し面60に配置されている場合、凸部61は、錐形であることが好ましく、角錐形であっても良いが円錐形であることがより好ましい。
凸部61が円錐形であれば、次に示す効果を得ることができる。光学遷移の選択則によれば、E||c偏光はc軸周りには全方位に放射する。つまり、光学遷移の選択則によれば、E||c偏光の放射はc軸を中心とした場合には異方性を有さない。そのため、凸部61が円錐形であれば、c軸周りに全方位に放射したE||c偏光L02を窒化物半導体発光素子20の外部へ取り出すことができる。よって、窒化物半導体発光素子20の外部へ取り出される光の配向がc軸周りに全方位的となる。
上記式1及び上記式2を満たすのであれば、側面視における凸部61の外形は、三角形であっても良いし台形であっても良い。側面視における凸部61の側面63は、曲率を持っていても良く、例えば湾曲していても良いし放物線を描いていても良い。
上記式1及び上記式2を満たすように、且つ、E||c偏光L02の広がり角αが0<α≦90−θtとなるように、隣り合う凸部61の間隔D、凸部61の高さH及び凸部61の側面63の傾斜角θ1を設定することが好ましい。例えば、Dは200μm以下であることが好ましい。これにより、光取り出し面60には複数の凸部61が形成されることとなるので、凸部61を設けたことによる効果を得ることができる。つまり、窒化物半導体発光素子20の光取り出し効率を効果的に高めることができる。
量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光のうち0<α≦40°の範囲に存在するE||c偏光の光取り出し効率を効果的に高めるためには、θ1は20°以上40°以下であることが好ましく、Hは0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。これにより、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の大部分を窒化物半導体発光素子20から取り出すことができる。このとき、Dは8.3μm以上200μm以下となる。
量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光が0<α≦5°の範囲に集中していることを考慮すれば、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光のうち0<α≦5°の範囲に存在するE||c偏光の光取り出し効率を効果的に高めることが好ましい。そのためには、θ1は20°以上40°以下であることが好ましく、Hは0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。このとき、Dは111μm以上200μm以下となる。なお、触針式段差計、レーザ顕微鏡等の非接触式の段差計測装置、又は、走査型電子顕微鏡等を用いて、θ1、H及びDを求めることができる。
なお、凸部61の個数は、図4に示す個数に限定されない。また、1つの光取り出し面60において、θ1は、同一であっても良いし、互いに異なっても良い。例えば、1つの凸部61において、一方のθ1と他方のθ1とが互いに異なっても良い。また、平坦部65を挟んで隣り合うθ1が互いに異なっても良い。どちらの場合においても、θ1は、規則的に異なっても良いし、不規則的に異なっても良い。なお、以下に示す方法にしたがって凸部61を形成すると、θ1のばらつきを防止できる。
また、1つの光取り出し面60において、Hは、同一であっても良いし、互いに異なっても良い。Hが互いに異なる場合、Hは、規則的に異なっても良いし、不規則的に異なっても良い。なお、以下に示す方法にしたがって凸部61を形成すれば、Hのばらつきを防止できる。
また、1つの光取り出し面60において、Dは、同一であっても良いし、互いに異なっても良い。Dが互いに異なる場合、Dは、規則的に異なっても良いし、不規則的に異なっても良い。
隣り合う凸部61においてθ1が互いに異なる場合には、上記式1におけるθ1には小さい方の値を代入することが好ましい。隣り合う凸部61においてHが互いに異なる場合には、上記式1におけるHには大きい方の値を代入することが好ましい。
凸部61と平坦部65との接続部位、又は、凸部61の先端は、凸部61の製造工程の制約等によって丸みを帯びていても良いし、平面部分を一部に有していても良い。
(第1媒質)
第1媒質は、窒化物半導体の屈折率よりも小さな屈折率を有する媒質であれば空気51に限定されず、窒素、アルゴン又はヘリウム等の不活性ガスであっても良い。後述の第3の実施形態で説明するように、第1媒質は、基板21(図9等参照)であっても良い。第1媒質は、窒化物半導体層の成長後に窒化物半導体層の上に形成される誘電体層又は金属層であっても良いし、封止用樹脂又は固定用樹脂であっても良い。
第1媒質は、1種類であっても良いし2種類以上であっても良い。例えば、2種以上の第1媒質が光取り出し面60に接していても良い。
(第2n型窒化物半導体層)
第2n型窒化物半導体層27は、n型コンタクト層として機能する。このような第2n型窒化物半導体層27としては、好ましくは、Alt2Ga1-t2N(0<t2≦1)からなる層にn型ドーパントがドープされた層を用い、より好ましくは、Alt2Ga1-t2N(0.4≦t2≦0.8)からなる層にn型ドーパントがドープされた層を用いる。
第2n型窒化物半導体層27のn型ドーパント濃度は、好ましくは5×1016/cm3以上1×1021/cm3以下であり、より好ましくは5×1017/cm3以上2×1019/cm3以下である。また、第2n型窒化物半導体層27の厚さは、好ましくは1μm以上20μm以下であり、より好ましくは4μm以上10μm以下である。
(活性層)
活性層31における量子井戸層及び障壁層の各層数は、特に限定されず、好ましくは1以上20以下であり、より好ましくは3以上6以下である。
活性層31の量子井戸層の厚さは、好ましくは1nm以上15nm以下であり、より好ましくは3nm以上12nm以下である。
活性層31の障壁層は、量子井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有することが好ましく、例えばAlyGa1-yN(0<y≦1)からなることが好ましく、より好ましくはAlyGa1-yN(0.7≦y≦0.9)からなる。障壁層の厚さは、好ましくは1nm以上25nm以下であり、より好ましくは3nm以上10nm以下である。障壁層は、n型ドーパントを含んでいても良く、アンドープであっても良い。
(キャリアバリア層)
キャリアバリア層33は、n型窒化物半導体層29から活性層31へ注入された電子がp型窒化物半導体層39へオーバーフローすることを防止するために設けられた層である。キャリアバリア層33は、p型ドーパントを含むことが好ましいが、アンドープ層であっても良い。このp型ドーパントは、意図的にドーピングされたものであっても良いし、p型窒化物半導体層39からの拡散により混入したものであっても良い。
キャリアバリア層33としては、好ましくはAlt3Ga1-t3N(0<t3≦1)からなり、より好ましくはAlt3Ga1-t3N(0.7≦t3≦0.9)からなる。キャリアバリア層33の厚さは、好ましくは1nm以上30nm以下であり、より好ましくは5nm以上25nm以下である。
(第1p型窒化物半導体層)
第1p型窒化物半導体層35としては、好ましくは、Alt4Ga1-t4N(0<t4≦1)からなる層にp型ドーパントがドープされた層を用い、より好ましくは、Alt4Ga1-t4N(0.7≦t4≦0.9)からなる層にp型ドーパントがドープされた層を用いる。p型ドーパントとしては、例えば、Mg等を挙げることができる。
第1p型窒化物半導体層35のp型ドーパント濃度は、好ましくは1×1018/cm3以上5×1020/cm3以下であり、より好ましくは5×1018/cm3以上1×1020/cm3以下である。また、第1p型窒化物半導体層35の厚さは、好ましくは0.01μm以上5μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上1μm以下である。
(第2p型窒化物半導体層)
第2p型窒化物半導体層37としては、好ましくは、Alt5Ga1-t5N(0<t5≦1)からなる層にp型ドーパントがドープされた層を用い、より好ましくは、Alt5Ga1-t5N(0.7≦t5≦0.9)からなる層にp型ドーパントがドープされた層を用いる。
第2p型窒化物半導体層37のp型ドーパント濃度は、好ましくは5×1018/cm3以上5×1021/cm3以下であり、より好ましくは5×1019/cm3以上5×1020/cm3以下である。また、第2p型窒化物半導体層37の厚さは、好ましくは0.01μm以上0.1μm以下であり、より好ましくは0.01μm以上0.05μm以下である。
(n電極、p電極)
n電極41及びp電極43のそれぞれは、透明電極であっても良いし、非透明電極であっても良い。透明電極の材料としては、例えば、In、Ga、Zn及びSnの少なくとも1つを含む金属酸化物を挙げることができる。非透明電極の材料としては、例えば、Al又はAg等の金属を挙げることができる。n電極41及びp電極43の各厚さは、好ましくは1nm以上10000nm以下である。
<窒化物半導体発光素子の製造>
図7(a)及び(b)は、窒化物半導体発光素子20の製造方法を工程順に示す断面図である。以下では、ダイシング工程を経て図4に示す窒化物半導体発光素子20を製造する方法の一例を示す。
(積層体の形成)
基板21の上面(例えばサファイア基板のC面)に、バッファ層23、第1n型窒化物半導体層25と、第2n型窒化物半導体層27と、活性層31と、キャリアバリア層33と、第1p型窒化物半導体層35と、第2p型窒化物半導体層37とを順に形成する。例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によりこれらの層を形成することが好ましい。基板21としては、サファイア、ZnO、ダイヤモンド、グラファイト、グラフェン、石英ガラス、又は、SiO2を主成分とする石英ガラス以外のガラス等からなる基板を用いることができる。このようにして図7(a)に示す積層体が得られる。
(基板の剥離)
得られた積層体から基板21を除去する。例えば、基板21側からレーザ光を照射すると、レーザ光がバッファ層23に吸収される。これにより、レーザ光のエネルギーが熱エネルギーに変換されるので、バッファ層23の少なくとも一部が蒸発し、よって、基板21が剥離される。したがって、バッファ層23又は第1n型窒化物半導体層25が露出する。
(光取り出し面の形成)
例えばフォトリソグラフィーにより、剥離面(図7(b)では第1n型窒化物半導体層25の下面。光取り出し面60となる面)にマスク45を形成する。その後、例えばRIE(Reactive Ion Etching)により、マスク45から露出する第1n型窒化物半導体層25の部分を除去する。これにより、複数の凸部61が形成される。このとき、上記式1及び上記式2を満たすようにマスク45を形成することが好ましく、上記式1及び上記式2を満たすように第1n型窒化物半導体層25のエッチング条件を最適化することが好ましい。例えば、化学エッチングの代わりに物理エッチングを行っても良いし、化学エッチングと物理エッチングとを併用しても良い。
(p型ドーパントの活性化)
熱処理を行ってp型ドーパントを活性化させる。窒化物半導体結晶にドーピングされたp型ドーパントは、III族原子と置換されてIII族原子のサイトに位置しているが、水素に結合された状態でIII族原子のサイトに位置しているので不活性である。そのため、熱処理を行って水素とp型ドーパントとの結合を切断することが好ましい。
この熱処理では、図7(b)に示す積層体を800℃以上900℃以下の温度で10分以下、加熱することが好ましい。これにより、この熱処理による窒化物半導体層への不要のダメージ(例えば、この熱処理による窒化物半導体層の表面の荒れ)を防止できる。この熱処理は、窒素雰囲気又は窒素と酸素との混合ガス雰囲気で行われることが好ましいが、Ar等の希ガス雰囲気又は希ガスと酸素との混合ガス雰囲気で行われても良い。酸素を含む雰囲気で熱処理を行えば、その酸素とp型ドーパントに結合されている水素との反応が起こるため、水素とp型ドーパントとの結合を効果的に切断することができる。しかし、雰囲気中の酸素濃度が高すぎると、図7(b)に示す積層体の表面に酸化膜が形成される等の悪影響が生じる。そのため、雰囲気中の酸素濃度は50ppm以下であることが好ましい。例えば、抵抗加熱又はハロゲンランプ加熱による急速昇降温可能な熱処理炉を用いて、この熱処理を行うことが好ましい。
(電極の形成)
第2p型窒化物半導体層37、第1p型窒化物半導体層35、キャリアバリア層33、活性層31及び第2n型窒化物半導体層27の一部をエッチングした後、このエッチングにより露出した第2n型窒化物半導体層27の面にn電極41を形成する。また、第2p型窒化物半導体層37の上面にp電極43を形成する。その後、必要に応じて合金化を目的とした熱処理を行ってから、ダイシングを行ってチップに分割する。このようにして窒化物半導体発光素子20を得ることができる。
[第2の実施形態]
図8は、本発明の第2の実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。以下では、上記第1の実施形態とは異なる点を主に示す。
窒化物半導体発光素子120では、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質(空気51)との界面の少なくとも一部も光取り出し面60として機能する。つまり、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面の少なくとも一部には、凸部61が複数形成されている。凸部61のそれぞれは、第2p型窒化物半導体層37(光取り出し面を有する窒化物半導体層)から第1媒質へ向かって突出している。更に、上記式1及び上記式2が満たされている。
このような窒化物半導体発光素子120では、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第1n型窒化物半導体層25の下部から取り出され、量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第2p型窒化物半導体層37の上部から取り出される。このように量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部をも窒化物半導体発光素子120の外部へ取り出すことができるので、窒化物半導体発光素子120の光取り出し効率を窒化物半導体発光素子20の光取り出し効率よりも高めることができる。
凸部61の高さH、隣り合う凸部61の間隔D、凸部61の側面63の傾斜角θ1及び凸部61の形状の少なくとも1つは、一方の光取り出し面60と他方の光取り出し面60とにおいて互いに異なっていても良い。なお、上記第1の実施形態の(光取り出し面の形成)に記載の方法にしたがって、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面の少なくとも一部に凸部61を形成することができる。
後述の第5の実施形態で示すように、第1媒質は、一方の光取り出し面60と他方の光取り出し面60とにおいて互いに異なっていても良い。
p電極43は、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面の一部に設けられていても良いし(図8)、その界面全体に設けられていても良い。
p電極43が透明電極である場合、凸部61は、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面のうちp電極43が設けられている部分にも形成されていても良い。
p電極43が非透明電極である場合、p電極43の厚さは、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。これにより、量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光がp電極43で吸収されることを防止できる。よって、かかるE||c偏光を窒化物半導体発光素子120の外部へ効率良く取り出すことができる。しかし、窒化物半導体発光素子120の光取り出し効率を高めるという観点では、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面のうちp電極43が設けられていない部分の少なくとも一部に凸部61が形成されていることが好ましい。
第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面のうちp電極43が設けられている部分にも凸部61が形成されている場合には、次に示すようにして隣り合う凸部61の間隔D、凸部61の高さH及び凸部61の側面63の傾斜角θ1を決定することが好ましい。p電極43が設けられている部分では、p電極43を第1媒質として上記式1及び上記式2が満たされるようにD、H及びθ1を決定する。p電極43が設けられていない部分では、空気51を第1媒質として上記式1及び上記式2が満たされるようにD、H及びθ1を決定する。
なお、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面のうちp電極41により被覆されている割合(p電極41の被覆率)が50%よりも大きく、且つ、(p電極43の屈折率)<(第2p型窒化物半導体層37の屈折率)である場合、p電極43を第1媒質として上記式1及び上記式2が満たされるようにD、H及びθ1を決定することが好ましい。
[第3の実施形態]
図9は、本発明の第3の実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。以下では、上記第1の実施形態とは異なる点を主に示す。
窒化物半導体発光素子220では、基板21と第1n型窒化物半導体層25との界面(実際には、基板21と第1n型窒化物半導体層25との間にはバッファ層23(不図示、図7(a)参照)が形成されている)が光取り出し面60として機能する。つまり、基板21と第1n型窒化物半導体層25との界面には、凸部61が複数形成されている。凸部61のそれぞれは、第1n型窒化物半導体層25から基板21へ向かって突出している。更に、上記式1及び上記式2が満たされている。
このような窒化物半導体発光素子220では、上記第1の実施形態に記載の効果を得ることができる。よって、第1媒質として基板21を用いた場合であっても、窒化物半導体発光素子220の光取り出し効率を従来の窒化物半導体発光素子よりも高めることができる。
また、窒化物半導体発光素子220では、全反射角θtが窒化物半導体発光素子20よりも大きいので、凸部61の側面63の傾斜角θ1を窒化物半導体発光素子20よりも大きくできる(上記式2)。これにより、広がり角αのより大きなE||c偏光を基板21と第1n型窒化物半導体層25との界面から基板21側へ取り出すことができる。よって、窒化物半導体発光素子220の光取り出し効率を窒化物半導体発光素子20の光取り出し効率よりも高めることができる。
なお、サファイア基板に窒化物半導体層を成長させると、窒化物半導体層の成長条件によっては光取り出し面となるサファイア基板と窒化物半導体層との界面付近に空隙が生じることがある。このような場合であっても、空隙が生じていないものとして窒化物半導体発光素子20での光の導波を考えることが好ましい。
上記第1の実施形態の(光取り出し面の形成)に記載の方法にしたがって基板21の主面(本実施形態ではC面)に凹部を形成してから、凹部が形成された基板21の主面に第1n型窒化物半導体層25を形成する。これにより、第1n型窒化物半導体層25から基板21へ突出する凸部61が形成される。
[第4の実施形態]
<窒化物半導体発光素子の構成>
図10は、本発明の第4の実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。以下では、上記第3の実施形態とは異なる点を主に示す。
窒化物半導体発光素子320では、基板21の上面にはバッファ層(不図示)を挟んで第3窒化物半導体層26が設けられており、第3窒化物半導体層26の上面に第2n型窒化物半導体層27及び活性層31等が順に設けられている。
第3窒化物半導体層26としては、好ましくは、Alt6Ga1-t6N(0<t6≦1)からなる層を用い、より好ましくは、Alt6Ga1-t6N(0.1≦t6≦0.9)からなる層を用いる。第3窒化物半導体層26は、アンドープ層であることが好ましいが、熱処理等によって拡散されたn型ドーパントを含んでいても良い。第3窒化物半導体層26の厚さは、好ましくは0.5μm以上20μm以下であり、より好ましくは3μm以上10μm以下である。
光取り出し面60は、p型窒化物半導体層39側にも形成されている。具体的には、第2p型窒化物半導体層37の第1露出面(第2p型窒化物半導体層37の上面のうちp電極43から露出する部分)には第3窒化物半導体層26と基板21とがこの順に積層されており、第3窒化物半導体層26と基板21との界面が光取り出し面60として機能する。つまり、第3窒化物半導体層26と基板21との界面には、凸部61が複数形成されている。凸部61のそれぞれは、第3窒化物半導体層26から基板21へ向かって突出している。更に、上記式1及び上記式2が満たされている。
このような窒化物半導体発光素子320では、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第1n型窒化物半導体層25の下部から取り出され、量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第2p型窒化物半導体層37の上部から取り出される。このように量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部をも窒化物半導体発光素子320の外部へ取り出すことができるので、窒化物半導体発光素子320の光取り出し効率を窒化物半導体発光素子20,220の光取り出し効率よりも高めることができる。
なお、基板21と第2n型窒化物半導体層27との間に設けられた第3窒化物半導体層26は、n型ドーパントを意図的に含んでいても良いが、後述の方法にしたがって窒化物半導体発光素子320を製造する場合にはアンドープ層であることが好ましい。
<窒化物半導体発光素子の製造>
上記第3の実施形態に記載の方法にしたがって基板21の主面(本実施形態ではC面)に凹部を形成する。その後、上記第1の実施形態の(積層体の形成)に記載の方法にしたがって、凹部が形成された基板21の主面にバッファ層(不図示)及び第3窒化物半導体層26を順に形成する。得られた母材基板をダイシングして、第1基板と基板面積が第1基板よりも小さな第2基板とを得る。
次に、上記第1の実施形態の(積層体の形成)に記載の方法にしたがって、第1基板の第3窒化物半導体層26の上面に第2n型窒化物半導体層27及び活性層31等を順に形成する。その後、上記第1の実施形態に記載の(p型ドーパントの活性化)及び(電極の形成)を順に行う。その後、第2基板の第3窒化物半導体層26が第2p型窒化物半導体層37の第1露出面に接するように、第2基板を第2p型窒化物半導体層37の第1露出面に設ける。このようにして窒化物半導体発光素子320を得ることができる。
[第5の実施形態]
図11は、本発明の第5の実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。以下では、上記第2及び上記第3の実施形態とは異なる点を主に示す。
窒化物半導体発光素子420では、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質(空気51)との界面の少なくとも一部も光取り出し面60として機能する。つまり、上記第2の実施形態で記載したように、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面の少なくとも一部には凸部61が複数形成されており、凸部61のそれぞれは第2p型窒化物半導体層37から第1媒質へ向かって突出しており、上記式1及び上記式2が満たされている。
このような窒化物半導体発光素子420では、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第1n型窒化物半導体層25の下部から取り出され、量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第2p型窒化物半導体層37の上部から取り出される。このように量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部をも窒化物半導体発光素子420の外部へ取り出すことができるので、窒化物半導体発光素子420の光取り出し効率を窒化物半導体発光素子20,220の光取り出し効率よりも高めることができる。
また、窒化物半導体発光素子420では、一方の光取り出し面60は空気51に接するのに対し、他方の光取り出し面60は基板21に接する。このような場合であっても、窒化物半導体発光素子320と同様の効果を得ることができる。
なお、上記第2の実施形態に記載のp電極43と凸部61との位置関係等は本実施形態においても言える。
[第6の実施形態]
<窒化物半導体発光素子の構成>
図12は、本発明の第6の実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。窒化物半導体発光素子520は、縦型構造の窒化物半導体発光素子であり、第2n型窒化物半導体層27、活性層31、キャリアバリア層33、第1p型窒化物半導体層35及び第2p型窒化物半導体層37が順に積層されて構成されている。第2p型窒化物半導体層37の上面にはp電極43が設けられている。
窒化物半導体発光素子520では、第2n型窒化物半導体層27と第1媒質(空気51)との界面の少なくとも一部が光取り出し面60として機能する。つまり、第2n型窒化物半導体層27と第1媒質との界面の少なくとも一部には、凸部61が複数形成されている。凸部61のそれぞれは、第2n型窒化物半導体層(光取り出し面を有する窒化物半導体層)27から第1媒質へ向かって突出している。更に、上記式1及び上記式2が満たされている。
このような窒化物半導体発光素子520では、量子井戸層から第2n型窒化物半導体層27側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第2n型窒化物半導体層27の下部から取り出される。よって、窒化物半導体発光素子520の光取り出し効率を従来の窒化物半導体発光素子よりも高めることができる。かかる効果は、光取り出し面60を横型構造の窒化物半導体発光素子(例えば窒化物半導体発光素子20)に形成した場合よりも顕著となる。
詳細には、縦型構造の窒化物半導体発光素子の方が横型構造の窒化物半導体発光素子よりも薄い。そのため、縦型構造の窒化物半導体発光素子の方が、横型構造の窒化物半導体発光素子よりも、窒化物半導体発光素子内におけるE||c偏光の全反射の回数が多くなるので光取り出し効率の低下を招き易い。しかし、上記第1の実施形態等で示したように、光取り出し面60を形成すると、光取り出し効率の低下を防止できる。よって、縦型構造の窒化物半導体発光素子の方が、横型構造の窒化物半導体発光素子よりも、光取り出し面60の形成により得られる効果が顕著となる。
n電極41は、第2n型窒化物半導体層27と第1媒質との界面の一部に形成されても良いし(図12)、その界面全体に設けられていても良い。
n電極41が透明電極である場合、凸部61は、第2n型窒化物半導体層27と第1媒質との界面のうちn電極41が設けられている部分にも形成されていても良い。
n電極41が非透明電極である場合、n電極41の厚さは、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは20nm以下である。これにより、量子井戸層から第2n型窒化物半導体層27側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光がn電極41で吸収されることを防止できる。よって、かかるE||c偏光を窒化物半導体発光素子520の外部へ効率的に取り出すことができる。しかし、窒化物半導体発光素子520の光取り出し効率を高めるという観点では、第2n型窒化物半導体層27と第1媒質との界面のうちn電極41が設けられていない部分の少なくとも一部に凸部61が形成されていることが好ましい。
第2n型窒化物半導体層27と第1媒質との界面のうちn電極41が設けられている部分にも凸部61が形成されている場合には、次に示すようにして隣り合う凸部61の間隔D、凸部61の高さH及び凸部61の側面63の傾斜角θ1を決定することが好ましい。n電極41が設けられている部分では、n電極41を第1媒質として上記式1及び上記式2が満たされるようにD、H及びθ1を決定する。n電極41が設けられていない部分では、空気51を第1媒質として上記式1及び上記式2が満たされるようにD、H及びθ1を決定する。
なお、第2n型窒化物半導体層27と第1媒質との界面のうちn電極41により被覆されている割合(n電極41の被覆率)が50%よりも大きく、且つ、(n電極41の屈折率)<(第2n型窒化物半導体層27の屈折率)である場合、n電極41を第1媒質として上記式1及び上記式2が満たされるようにD、H及びθ1を決定することが好ましい。
また、第2n型窒化物半導体層27と第1媒質との界面の少なくとも一部を光取り出し面60として機能させても良い。この場合、n電極41は反射電極であることが好ましい。
<窒化物半導体発光素子の製造>
上記第1の実施形態の(積層体の形成)に記載の方法にしたがって積層体を形成してから、RIEにより基板21、バッファ層23及び第1n型窒化物半導体層25を除去する。これにより、第2n型窒化物半導体層27が露出する。その後、上記第1の実施形態の(光取り出し面の形成)、(p型ドーパントの活性化)及び(電極の形成)に記載の方法にしたがって窒化物半導体発光素子520を製造する。
[第7の実施形態]
図13は、本発明の第7の実施形態の窒化物半導体発光素子の断面図である。以下では、上記第6の実施形態とは異なる点を主に示す。
窒化物半導体発光素子620では、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質(空気51)との界面の少なくとも一部も光取り出し面60として機能する。つまり、第2p型窒化物半導体層37と第1媒質との界面の少なくとも一部には、凸部61が複数形成されている。凸部61のそれぞれは、第2p型窒化物半導体層37から第1媒質へ向かって突出している。更に、上記式1及び上記式2が満たされている。
このような窒化物半導体発光素子620では、量子井戸層からn型窒化物半導体層29側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第2n型窒化物半導体層27の下部から取り出され、量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部が第2p型窒化物半導体層37の上部から取り出される。このように量子井戸層からp型窒化物半導体層39側へ向かって斜めに出射されたE||c偏光の少なくとも一部をも窒化物半導体発光素子620の外部へ取り出すことができるので、窒化物半導体発光素子620の光取り出し効率を窒化物半導体発光素子520の光取り出し効率よりも高めることができる。
なお、上記第2の実施形態に記載のp電極43と凸部61との位置関係等は本実施形態においても言える。
[実施形態の総括]
例えば図4に示す窒化物半導体発光素子20は、発光層と、発光層とは異なる少なくとも1つの窒化物半導体層27とを備える。発光層は、極性面を主面として有し、且つ、AlxGa1-xN(0.3≦x≦1)からなる。少なくとも1つの窒化物半導体層27は、窒化物半導体結晶のc軸に対して平行な方向において窒化物半導体よりも低い屈折率を有する第1媒質に接しており、第1媒質との界面の少なくとも一部に光取り出し面60を有する。光取り出し面60には、光取り出し面60を有する窒化物半導体層27から第1媒質へ向かって突出する凸部61が複数形成されている。下記式1及び下記式2が満たされている。下記式1及び下記式2において、Dは隣り合う凸部61の間隔を表し、Hは凸部61の高さを表し、θ1は凸部61の側面63の傾斜角を表し、αはc軸に対して垂直な方向を中心としたE||c偏光の広がり角を表し、θtはE||c偏光の全反射角を表す。これにより、発光層のAl組成が高い場合に窒化物半導体発光素子20の光取り出し効率を高めることができる。
D≧H(1−tanθ1×tanα)/tanα・・・式1
0<θ1<θt・・・式2。
上記式1及び上記式2において、Dは200μm以下であることが好ましい。上記式1及び上記式2において、0<α≦40°である場合には、θ1は20°以上40°以下であり、Hは0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。
凸部61は、円錐形状を有することが好ましい。これにより、窒化物半導体発光素子20の外部へ取り出される光の配向がc軸周りに全方位的となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、図1に示す窒化物半導体発光素子を製造した。
(積層体の形成)
まず、水素雰囲気において、サファイア基板のC面に対して1250℃で10分間、エッチングを行った。
次に、サファイア基板をMOCVD装置の反応炉に搬入して反応炉内のサセプタの上に配置した後、サファイア基板の温度を900℃に降温した。水素をキャリアガスとして用い、TMA(トリメチルアルミニウム)及びアンモニアを原料ガスとして用いて、AlNバッファ層(厚さが300nm)をサファイア基板のC面に成長させた。その後、サファイア基板の温度を1175℃に昇温してから、水素をキャリアガスとして用い、TMA及びアンモニアを原料ガスとして用いて、AlN層(厚さが5μm)をAlNバッファ層の上面に成長させた。
続いて、水素をキャリアガスとして用い、TMA、トリメチルガリウム(TMG)、アンモニア及びシラン(水素で希釈されたシラン(40ppm))を原料ガスとして用いて、n型AlGaN層(厚さが2μm)をAlN層の上面に成長させた。
続いて、水素をキャリアガスとして用い、TMA、TMG及びアンモニアを原料ガスとして用いて、Al0.9Ga0.1N層(厚さが10nm、障壁層)とAl0.6Ga0.4N層(厚さが5nm、量子井戸層)とからなる多重量子井戸構造(活性層、3周期)をn型AlGaN層の上面に成長させた。
続いて、水素をキャリアガスとして用い、TMA及びアンモニアを原料ガスとして用いて、AlN層(厚さが10nm、キャリアバリア層)を多重量子井戸構造の上面に成長させた。
続いて、水素をキャリアガスとして用い、TMA、TMG、アンモニア及びCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用いて、p型Al0.8Ga0.2N層(厚さが100nm)をAlN層の上面に成長させた。その後、TMAの供給を停止してから、p型GaN層(厚さが50nm)をp型Al0.8Ga0.2N層の上面に成長させた。このようにして積層体が得られた。
(基板の剥離)
得られた積層体をMOCVD装置から取り出した。積層体のサファイア基板の下面にArFエキシマレーザからのレーザ光を照射してサファイア基板を剥離した。
(光取り出し面の形成)
フォトリソグラフィーにより、SiO2からなるマスク(線幅が2μm、間隔が60μm、ストライプ状)を剥離面(サファイア基板の剥離により生じた面)に形成した。このとき、マスクの長手方向をAlN層のm軸方向に対して平行とした。その後、RIEにより、Cl2及びSiCl4を用いて、マスクが形成されていない部分を約2μmの深さまでエッチングした。その後、HF系のエッチング液を用いてマスクを除去した。これにより、凸部(凸部の高さHが約2μm、隣り合う凸部の間隔Dが約60μm、凸部の側面の傾斜角θ1が約20°)が剥離面(光取り出し面)に形成された。
AlN層と空気との界面が光取り出し面となる場合、全反射角θtは24°となる(上述)。ここで、α=10°と仮定すると、上記式1からD≧10.5μmとなる。よって、本実施例では、上記式1を満たすこととなる。
(p型ドーパントの活性化)
凸部が形成された積層体に対して、窒素と5ppmの酸素とを含む混合ガス雰囲気で、850℃で2分間、熱処理を行った。これにより、p型ドーパントが活性化された。
(電極の形成)
フォトリソグラフィーにより電極パターン及びエッチングパターンを形成してから、RIEによりエッチングを行った。これにより、n型AlGaN層の一部が露出した。
次に、露出したn型AlGaN層の表面にn電極を形成し、p型GaN層の上面にp電極を形成した。その後、熱処理を行ってから、ダイシングを行ってチップに分割した。このようにして本実施例の窒化物半導体発光素子を得た。
<実施例2>
サファイア基板のC面に凹部を形成してからそのC面に結晶成長を行うことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、本実施例の窒化物半導体発光素子を製造した。
具体的には、フォトリソグラフィーにより、SiO2からなるマスク(線幅が60μm、間隔が2μm、ストライプ状)をサファイア基板のC面に形成した。その後、RIEにより、Cl2及びSiCl4を用いて、マスクが形成されていない部分を約2μmの深さまでエッチングした。その後、HF系のエッチング液を用いてマスクを除去した。これにより、凹部(凹部の深さが約2μm、隣り合う凹部の間隔が約60μm、凹部の側面の傾斜角が約40°が剥離面(光取り出し面)に形成された。このようにして凹部がサファイア基板のC面に形成された。
次に、凹部が形成されたサファイア基板のC面にAlNバッファ層を形成した。これにより、AlNバッファ層の下面には、凸部(凸部の高さHが約2μm、隣り合う凸部の間隔Dが約60μm、凸部の側面の傾斜角θ1が約40°)が形成された。
AlN層とサファイア基板との界面が光取り出し面となる場合、全反射角θtは47°となる(上述)。
<実施例3>
円錐形の凸部を形成したことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、本実施例の窒化物半導体発光素子を製造した。具体的には、サファイア基板を剥離した後、フォトリソグラフィーにより、SiO2からなるマスク(直径が2μm、間隔が60μm)を剥離面(サファイア基板の剥離により生じた面)に格子状に形成した。その後、上記実施例1に記載の方法にしたがってエッチングを行った。これにより、円錐形の凸部(凸部の高さHが約2μm、隣り合う凸部の間隔Dが約60μm、凸部の側面の傾斜角θ1が約20°)が剥離面(光取り出し面)に形成された。
<比較例1>
上記実施例1に記載の(光取り出し面の形成)を行うことなく窒化物半導体発光素子を製造したことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、比較例1の窒化物半導体発光素子を製造した。
<比較例2〜5>
隣り合う凸部の間隔D、凸部の高さH及び凸部の側面の傾斜角θ1が表1に示す値となるように凸部を光取り出し面に形成したことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって、比較例2〜5の窒化物半導体発光素子を製造した。
(考察)
実施例1〜3及び比較例1〜5の窒化物半導体発光素子に対して光取り出し効率を測定した。その結果を表1に示す。
表1において、「D(μm)」は隣り合う凸部の間隔を表し、「H(μm)」は凸部の高さを表し、「θ1(°)」は凸部の側面の傾斜角を表し、「θt(°)」はE||c偏光の全反射角を表す。「式1におけるDの下限値(μm)」は、Hとθ1とα(α=5°)とを上記式1に代入することにより算出されたDの下限値を表す。
表1に示すように、実施例1〜3では比較例1よりも光取り出し効率が高かった。その理由としては、実施例1〜3では光取り出し面が形成されているのに対し、比較例1では光取り出し面が形成されていないことが考えられる。
実施例1〜3では比較例2〜5よりも光取り出し効率が高かった。その理由としては、実施例1〜3では上記式1及び上記式2が満たされているのに対し、比較例2〜5では上記式1及び上記式2が満たされていないことが考えられる。
実施例2では実施例1よりも光取り出し効率が高かった。その理由としては、実施例2では、第1媒質がサファイア基板であるので、広がり角αのより大きなE||c偏光が窒化物半導体発光素子の外部へ取り出されたことが考えられる。
実施例3では実施例1よりも光取り出し効率が高かった。その理由としては、実施例3では、凸部が円錐形であるので、c軸周りに全方位に放射したE||c偏光が窒化物半導体発光素子の外部へ取り出されたことが考えられる。
今回開示された実施の形態及び実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,29 n型窒化物半導体層、1A 下面、3 量子井戸層、5,39 p型窒化物半導体層、5B 上面、20,120,220,320,420,520,620 窒化物半導体発光素子、21 基板、23 バッファ層、25 第1n型窒化物半導体層、26 第3窒化物半導体層、27 第2n型窒化物半導体層、31 活性層、33 キャリアバリア層、35 第1p型窒化物半導体層、37 第2p型窒化物半導体層、41 n電極、43 p電極、45 マスク、51 空気、60 光取り出し面、61 凸部、63 側面、65 平坦部。

Claims (4)

  1. 発光層と、前記発光層とは異なる少なくとも1つの窒化物半導体層とを備えた窒化物半導体発光素子であって、
    前記発光層は、極性面を主面として有し、且つ、AlxGa1-xN(0.3≦x≦1)からなり、
    前記少なくとも1つの窒化物半導体層は、窒化物半導体結晶のc軸に対して平行な方向において前記窒化物半導体よりも低い屈折率を有する第1媒質に接しており、前記第1媒質との界面の少なくとも一部に光取り出し面を有し、
    前記光取り出し面には、前記光取り出し面を有する窒化物半導体層から前記第1媒質へ向かって突出する凸部が複数形成されており、
    下記式1及び下記式2が満たされている窒化物半導体発光素子。
    D≧H(1−tanθ1×tanα)/tanα・・・式1
    0<θ1<θt・・・式2
    上記式1及び上記式2において、Dは隣り合う前記凸部の間隔を表し、Hは前記凸部の高さを表し、θ1は前記凸部の側面の傾斜角を表し、αは前記c軸に対して垂直な方向を中心としたE||c偏光の広がり角を表し、θtは前記E||c偏光の全反射角を表す。
  2. 上記式1においてDは200μm以下である請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 上記式1及び上記式2において、0<α≦40°である場合には、θ1は20°以上40°以下であり、Hは0.1μm以上10μm以下である請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記凸部は円錐形状を有する請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
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