JP2007031831A - 磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末とその製造方法、および得られる押出構造体とその製造方法、並びにそれを用いた磁気冷凍システム - Google Patents
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Abstract
【課題】NaZn13型結晶構造を有し、0°C近傍にキュリー温度を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末、還元拡散法を用いて容易にシャープな粒度分布の合金粉末が得られる製造方法、さらに上記合金を用いた押出構造体とその製造方法、並びに磁気冷凍システムを提供。
【解決手段】希土類酸化物粉末、酸化珪素粉末、及び鉄粉末を含む原料粉末と、還元剤と、崩壊促進剤とを所定の割合で混合し、この混合物を不活性ガス雰囲気中、1000〜1250°Cで還元拡散するのに十分な時間加熱し、引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で冷却し、その後、不活性ガスを排気してから水素ガスを供給し、水素ガス雰囲気中100〜500°Cで反応生成物を熱処理した後、水中に投入して湿式処理し、還元剤成分、崩壊促進剤成分、副生成物を分離除去する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法などにより提供。
【選択図】なし
【解決手段】希土類酸化物粉末、酸化珪素粉末、及び鉄粉末を含む原料粉末と、還元剤と、崩壊促進剤とを所定の割合で混合し、この混合物を不活性ガス雰囲気中、1000〜1250°Cで還元拡散するのに十分な時間加熱し、引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で冷却し、その後、不活性ガスを排気してから水素ガスを供給し、水素ガス雰囲気中100〜500°Cで反応生成物を熱処理した後、水中に投入して湿式処理し、還元剤成分、崩壊促進剤成分、副生成物を分離除去する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法などにより提供。
【選択図】なし
Description
本発明は、磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末とその製造方法、および得られる押出構造体とその製造方法、並びにそれを用いた磁気冷凍システムに関し、より詳しくは、NaZn13型結晶構造を有し、0°C近傍にキュリー温度を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末、および還元拡散法を用いて容易にシャープな粒度分布の合金粉末を得ることができる、その製造方法、さらに上記合金を用いた押出構造体とその製造方法、並びにそれを用いた磁気冷凍システムに関する。
従来、冷蔵庫、冷凍庫、あるいは空調設備などに用いられる冷凍装置では、フロンガスなどを室温付近で断熱的に膨張圧縮させる方法が一般的であった。ところが、近年、地球温暖化問題が深刻化するに伴い、上記フロンガスあるいは代替フロンガスなどを用いない冷凍装置の研究開発が推進され、最近では磁性体の磁気熱量効果を用いた磁気冷凍法が注目されている。
磁気冷凍法は、磁気熱量効果、すなわち磁性物質に対して断熱状態で外部印加磁界を変化させると、その磁性物質の温度が変化する現象を利用して、以下のような原理で低温を生成する方法である。すなわち、磁性物質では、磁界印加時の状態と磁界除去時の状態の間で、電子磁気スピン系の自由度の相違に起因してエントロピーが変化する。このようなエントロピー変化に伴い、電子磁気スピン系と格子系との間でエントロピーの移動が起こる。磁気冷凍では、大きな電子磁気スピンを持った磁性物質を使用して、磁界印加時と磁界除去時の間での大きなエントロピーの変化を利用して、電子磁気スピン系と格子系との間でエントロピーの授受を行わせ、これによって低温を生成している。
具体的には、内部に磁性材料が充填された磁気冷凍作業室と、磁気冷凍作業室の中に熱交換媒体を導入するための導入配管と、磁気冷凍作業室の中から熱交換媒体を排出するための排出配管と、磁気冷凍作業室の近傍に配置された可動式の永久磁石と、該磁気冷凍作業室に対する該永久磁石の相対位置を変化させることによって、該磁性材料に対する磁界の印加及び除去を行う駆動装置と、を備えた磁気冷凍システムが知られている。
上記のような磁気冷凍システムに用いられる磁気冷凍用の作業物質(磁性物質)として、金属Gd、GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)、Gd5Si2Ge2、MnAs、MnFe(P1−xAsx)、La(Fe、Si)13Hxが知られている。
これらの中でも、La(Fe、Si)13Hxは、遍歴電子メタ磁性転移を示す化合物で、磁界の変化に伴う磁気エントロピーΔSmや、断熱温度変化ΔTad、熱伝導度κ、化合物の安定性などでトータルバランスに優れ、また永久磁石で発生可能な磁界が適用できることから有望な材料として着目されている。
具体的には、内部に磁性材料が充填された磁気冷凍作業室と、磁気冷凍作業室の中に熱交換媒体を導入するための導入配管と、磁気冷凍作業室の中から熱交換媒体を排出するための排出配管と、磁気冷凍作業室の近傍に配置された可動式の永久磁石と、該磁気冷凍作業室に対する該永久磁石の相対位置を変化させることによって、該磁性材料に対する磁界の印加及び除去を行う駆動装置と、を備えた磁気冷凍システムが知られている。
上記のような磁気冷凍システムに用いられる磁気冷凍用の作業物質(磁性物質)として、金属Gd、GGG(ガドリニウム・ガリウム・ガーネット)、Gd5Si2Ge2、MnAs、MnFe(P1−xAsx)、La(Fe、Si)13Hxが知られている。
これらの中でも、La(Fe、Si)13Hxは、遍歴電子メタ磁性転移を示す化合物で、磁界の変化に伴う磁気エントロピーΔSmや、断熱温度変化ΔTad、熱伝導度κ、化合物の安定性などでトータルバランスに優れ、また永久磁石で発生可能な磁界が適用できることから有望な材料として着目されている。
従来、これらの合金粉末は、一般に次のようにして製造されている。すなわち、それぞれの金属原料をアーク溶解し、得られた鋳塊中に残留するα−Fe相やLa3Si2相を無くし、La(Fe、Si)13化合物単相とするために、1050°Cで10日間程度、均一化熱処理が行われる(特許文献1、2、及び非特許文献1、2参照)。
しかしながら、均一化熱処理によって単相化された鋳塊は極めて硬く粉砕しづらい。たとえ粉砕できても、細かな微粉末から粗い粉末まで粒度分布がブロードとなるため、磁気冷凍用作業物質として磁気冷凍作業室内に充填するとポロシティが小さくなり、熱交換媒体の圧力損失が大きくなる。大きなポロシティを確保するには粉砕粉を分級して微粉を除去すればよいが、製品収率が低下する問題があった。
しかしながら、均一化熱処理によって単相化された鋳塊は極めて硬く粉砕しづらい。たとえ粉砕できても、細かな微粉末から粗い粉末まで粒度分布がブロードとなるため、磁気冷凍用作業物質として磁気冷凍作業室内に充填するとポロシティが小さくなり、熱交換媒体の圧力損失が大きくなる。大きなポロシティを確保するには粉砕粉を分級して微粉を除去すればよいが、製品収率が低下する問題があった。
そのため、磁気冷凍システムの作業物質として、少なくとも二つの相で構成される複合磁性材料が提案されている(特許文献3参照)。ここには、第一の相が、一般式:La(Fe、(Co、Ni)、Si)13で表され、NaZn13型の結晶構造を備えた金属間化合物からなり、且つ、その平均広がり大きさが100μm以下であり、第二の相が、Siを含有する鉄合金からなる複合磁性材料が開示されている。これによれば、Siを含有する鉄合金からなる第二の相は、機械的強度が高く、延性に富んでいるので、金属間化合物からなる相の中に延性に富む鉄合金相を分散させることによって、金属間化合物に起因する大きな磁気熱量効果を維持しながら、複合磁性材料の全体としての機械的強度を改善することができる。
ところが、従来の希土類含有合金粉末の製造方法では、安価な原料を用いても長時間にわたる熱処理と二段階からなる溶解工程を行うために製造コストが高くなる上、合金中に含まれる酸素濃度が上昇するという問題があった。
ところが、従来の希土類含有合金粉末の製造方法では、安価な原料を用いても長時間にわたる熱処理と二段階からなる溶解工程を行うために製造コストが高くなる上、合金中に含まれる酸素濃度が上昇するという問題があった。
そのため、一般式R(T1−xAx)13−yで表される希土類含有合金の効率的な製造方法として、合金原料を1200〜1800°Cの温度で溶解する工程の後、得られた溶湯を急冷凝固し、希土類含有合金を生成する凝固工程を付加することが提案されている(特許文献4)。式中、Rは希土類元素;TはFeなどの遷移金属元素;AはAl、As、Si、Ga、Ge、Mn、Sn及びSbから選択される。ここには、得られた化合物粉末を焼結後に水素雰囲気中で熱処理し、水素を導入することで強磁性相転移温度(キュリー温度:Tc)を制御できると記載されている。この方法によれば、低コストかつ短時間でも、粉砕が容易であり脆すぎない合金粉末を得ることができると記載されているものの、凝固工程は急冷によるものであり温度制御が容易であるとはいえない。
一方、Nd−Fe−BやSm−Fe−Nなどの永久磁石用希土類−鉄系合金粉末を製造する方法として、特許文献5に開示されているような還元拡散法が知られている。これは、原料として希土類酸化物粉末と鉄粉末などを用い、これらの混合物をアルカリ金属またはアルカリ土類金属(たとえば金属Ca粒)と共に加熱して、希土類酸化物を還元し鉄粉末に拡散させることにより、希土類−鉄系合金粉末を得る方法である。加熱後の反応生成物は、合金粉末と副生したCaOや未反応の金属Caとからなる焼結した塊状物質である。この反応生成物を水中に投入すると、Ca成分はCa(OH)2となって崩壊し、比重の大きな希土類−鉄系合金粉末は速やかに沈降する。この状態でデカンテーションを繰り返し、必要に応じて希酸による洗浄も行うことによって、目的の希土類−鉄系合金粉末を分離して得ることができる。
一方、Nd−Fe−BやSm−Fe−Nなどの永久磁石用希土類−鉄系合金粉末を製造する方法として、特許文献5に開示されているような還元拡散法が知られている。これは、原料として希土類酸化物粉末と鉄粉末などを用い、これらの混合物をアルカリ金属またはアルカリ土類金属(たとえば金属Ca粒)と共に加熱して、希土類酸化物を還元し鉄粉末に拡散させることにより、希土類−鉄系合金粉末を得る方法である。加熱後の反応生成物は、合金粉末と副生したCaOや未反応の金属Caとからなる焼結した塊状物質である。この反応生成物を水中に投入すると、Ca成分はCa(OH)2となって崩壊し、比重の大きな希土類−鉄系合金粉末は速やかに沈降する。この状態でデカンテーションを繰り返し、必要に応じて希酸による洗浄も行うことによって、目的の希土類−鉄系合金粉末を分離して得ることができる。
また、上記希土類−鉄系合金の製造方法において、還元拡散反応後の生成物を水素中で熱処理する技術も知られており、塊状反応生成物中に存在しているNdリッチ相やSmFe3相やSmFe2相などのSmリッチ相に水素を吸収させ、10%を超える体積膨張を与えることで該生成物にクラックを発生させ、その崩壊を促進することが行われている。
合金原料のみを用いて得られたLaとFeをベースとする反応生成物では、これを水素中で熱処理しても大きな体積膨張を引き起こす相が無いので、クラックが発生せず崩壊も促進されないが、このような方法を応用することで、粒度分布がシャープなLa(Fe、Si)13Hxで表される希土類含有合金をより効率的に製造することが期待される。
合金原料のみを用いて得られたLaとFeをベースとする反応生成物では、これを水素中で熱処理しても大きな体積膨張を引き起こす相が無いので、クラックが発生せず崩壊も促進されないが、このような方法を応用することで、粒度分布がシャープなLa(Fe、Si)13Hxで表される希土類含有合金をより効率的に製造することが期待される。
しかしながら、このような従来の還元拡散法で製造した希土類−鉄系合金粉末を水素雰囲気中で熱処理しても十分に水素が導入できず、0°C近傍にキュリー温度を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を得ることはできなかった。
特開2002−356748号公報
特開2003−96547号公報
特開2005−15911号公報
特開2005−36302号公報
特開昭61−295308号公報
深道和明、藤田麻哉;希土類 43巻(2004)35頁
A.Fujita、S.Fujieda、Y.Hasegawa and K.Fukamichi;Phys.Rev.B67(2003)104416
本発明の目的は、このような状況に鑑み、NaZn13型結晶構造を有し、0°C近傍にキュリー温度を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末、および還元拡散法を用いて容易にシャープな粒度分布の合金粉末を得ることができる製造方法、さらに上記合金を用いた押出構造体とその製造方法、並びに磁気冷凍システムを提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために、還元拡散法を用いた磁気冷凍用合金の製造可能性を模索し、鋭意検討を重ねた結果、原料粉末中に特定の崩壊促進剤粉末を配合して特定条件で熱処理し、還元拡散によって得られた反応生成物を冷却後、水素雰囲気中で熱処理することで、シャープな粒度分布の磁気冷凍用合金粉末が容易に得られ、この合金粉末は0°C付近にキュリー温度を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、NaZn13型結晶構造を持ち、かつ、少なくともLaを含む希土類元素と、Siと、Hと、残部が実質的にFeからなる組成を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を製造する方法において、希土類酸化物粉末、酸化珪素粉末、及び鉄粉末を含む原料粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤と、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物または酸化物から選ばれる少なくとも1種の崩壊促進剤とを所定の割合で混合する工程、得られた混合物を不活性ガス雰囲気中、1000〜1250°Cで還元拡散するのに十分な時間加熱する工程、引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で冷却する工程、その後、不活性ガスを排気してから、水素ガスを供給し、水素ガス雰囲気中100〜500°Cで反応生成物を熱処理する工程、および得られた熱処理物を水中に投入して湿式処理し、還元剤成分、崩壊促進剤成分およびそれらの副生成物を分離除去する工程を含むことを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、希土類酸化物粉末は、その80%以上が0.1〜10μmの粒径を有し、酸化珪素粉末は、その80%以上が10〜200μmの粒径を有し、また、鉄粉末は、その70%以上が10〜100μmの粒径を有することを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、還元剤は、カルシウムまたは水素化カルシウムであることを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、崩壊促進剤は、塩化カルシウムまたは酸化カルシウムであることを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、混合物は、5〜240時間加熱することを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、還元剤は、カルシウムまたは水素化カルシウムであることを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1の発明において、崩壊促進剤は、塩化カルシウムまたは酸化カルシウムであることを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、混合物は、5〜240時間加熱することを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法が提供される。
一方、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に係る製造方法で得られる磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末であって、0°C近傍にキュリー温度を有することを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、水素の含有量が0.08重量%以上であり、一方、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第6の発明において、合金粉末の粒度分布(レーザー回折式粒度分布計で測定)は、d10/d50が0.30以上で、d90/d50が1.90以下であることを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、水素の含有量が0.08重量%以上であり、一方、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第6の発明において、合金粉末の粒度分布(レーザー回折式粒度分布計で測定)は、d10/d50が0.30以上で、d90/d50が1.90以下であることを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末が提供される。
一方、本発明の第9の発明によれば、第6〜8のいずれかの発明に係る磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を主材料として含む成形原料に、バインダーを混合・混練した後、この混練物を磁気冷凍システムの熱交換媒体の流路が十分に確保される形状を有する構造体に押出成形する工程と、得られた該構造体を焼成する工程とを含むことを特徴とする押出構造体の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、バインダーが、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、アルコール系共重合体、又はポリアルキレングリコール系アクリル酸エステルから選ばれる有機化合物であることを特徴とする押出構造体の製造方法が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第9の発明において、バインダーの混合量が、混練物全体に対して2〜20質量%であることを特徴とする押出構造体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第12の発明によれば、第9の発明において、押出構造体が、ハニカム状、メッシュ状、または粒子状のいずれかの形状に成形されることを特徴とする押出構造体の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、バインダーが、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、アルコール系共重合体、又はポリアルキレングリコール系アクリル酸エステルから選ばれる有機化合物であることを特徴とする押出構造体の製造方法が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第9の発明において、バインダーの混合量が、混練物全体に対して2〜20質量%であることを特徴とする押出構造体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第12の発明によれば、第9の発明において、押出構造体が、ハニカム状、メッシュ状、または粒子状のいずれかの形状に成形されることを特徴とする押出構造体の製造方法が提供される。
一方、本発明の第13の発明によれば、第9〜12のいずれかの発明に係る製造方法で得られる押出構造体が提供される。
また、本発明の第14の発明によれば、第13の発明に係る押出構造体が、磁気冷凍作業室の内部に充填されている磁気冷凍システムが提供される。
さらに、本発明の第15の発明によれば、第14の発明において、磁気冷凍作業室内の押出構造体の表面を熱交換媒体が流通するように、磁気冷凍作業室の一方の端部に熱交換媒体の導入配管、他方の端部に熱交換媒体の排出配管を設けるとともに、磁気冷凍作業室の近傍に永久磁石が配置され、かつ押出構造体に含まれる磁性材料に対する永久磁石の相対位置を変化させて磁界の印加及び除去を行う駆動装置を備えていることを特徴とする磁気冷凍システムが提供される。
また、本発明の第14の発明によれば、第13の発明に係る押出構造体が、磁気冷凍作業室の内部に充填されている磁気冷凍システムが提供される。
さらに、本発明の第15の発明によれば、第14の発明において、磁気冷凍作業室内の押出構造体の表面を熱交換媒体が流通するように、磁気冷凍作業室の一方の端部に熱交換媒体の導入配管、他方の端部に熱交換媒体の排出配管を設けるとともに、磁気冷凍作業室の近傍に永久磁石が配置され、かつ押出構造体に含まれる磁性材料に対する永久磁石の相対位置を変化させて磁界の印加及び除去を行う駆動装置を備えていることを特徴とする磁気冷凍システムが提供される。
本発明の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法によれば、特定の原料粉末と還元剤、崩壊促進剤を用いて還元拡散するので、従来に比べて短時間で、粒度分布を制御してシャープな粒度分布の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を製造できる。これにより、溶解法では均一化熱処理によって単相化された鋳塊は極めて粉砕しづらく、所望の粒度分布が得られないという問題や、前記粉砕粉を分級して微粉を除去すると製品収率が低下してしまうという問題などを回避できるだけでなく、大幅な低コスト化が可能であり工業的に有用である。
この磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末は、NaZn13型結晶構造を有し、0°C近傍にキュリー温度を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末であって、シャープな粒度分布を有しているため、有機化合物からなるバインダーによって磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体を効率的に製造できる。さらに、この押出構造体は熱交換媒体の流路が十分に確保できる形状であるから、これを用いれば、優れた特性の磁気冷凍システムを得ることができる。
この磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末は、NaZn13型結晶構造を有し、0°C近傍にキュリー温度を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末であって、シャープな粒度分布を有しているため、有機化合物からなるバインダーによって磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体を効率的に製造できる。さらに、この押出構造体は熱交換媒体の流路が十分に確保できる形状であるから、これを用いれば、優れた特性の磁気冷凍システムを得ることができる。
以下、本発明の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末とその製造方法、および得られる押出構造体とその製造方法、並びにそれを用いた磁気冷凍システムについて、さらに詳しく説明する。
1.磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法
本発明の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法は、(i)希土類酸化物粉末、酸化珪素粉末、及び鉄粉末を含む原料粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤と、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物または酸化物から選ばれる少なくとも1種の崩壊促進剤とを所定の割合で混合する工程、(ii)得られた混合物を不活性ガス雰囲気中、1000〜1250°Cで還元拡散するのに十分な時間加熱する工程、(iii)引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で冷却する工程、(iv)その後、不活性ガスを排気してから水素ガスを供給し、水素ガス雰囲気中100〜500°Cで反応生成物を熱処理する工程、(v)および得られた熱処理物を水中に投入して湿式処理し、還元剤成分、崩壊促進剤成分およびそれらの副生成物を分離除去する工程を含むことを特徴とする。
本発明の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法は、(i)希土類酸化物粉末、酸化珪素粉末、及び鉄粉末を含む原料粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤と、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物または酸化物から選ばれる少なくとも1種の崩壊促進剤とを所定の割合で混合する工程、(ii)得られた混合物を不活性ガス雰囲気中、1000〜1250°Cで還元拡散するのに十分な時間加熱する工程、(iii)引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で冷却する工程、(iv)その後、不活性ガスを排気してから水素ガスを供給し、水素ガス雰囲気中100〜500°Cで反応生成物を熱処理する工程、(v)および得られた熱処理物を水中に投入して湿式処理し、還元剤成分、崩壊促進剤成分およびそれらの副生成物を分離除去する工程を含むことを特徴とする。
(1)合金原料粉末
本発明においては、希土類−鉄系母合金粉末を還元拡散法で製造するために、合金原料粉末として希土類酸化物粉末、鉄粉末、酸化珪素粉末を用いる。
本発明においては、希土類−鉄系母合金粉末を還元拡散法で製造するために、合金原料粉末として希土類酸化物粉末、鉄粉末、酸化珪素粉末を用いる。
希土類酸化物粉末としては、希土類成分のLaを必須元素とし、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選択された1種または2種以上の希土類元素を含んでもよい。このときLaは希土類全体の60重量%以上、好ましくは90重量%以上にすることが好ましい。Laが希土類全体の60重量%未満では、磁気冷凍効果を期待することができない。また、その粒径は0.1〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めることが好ましい。この粒径範囲の粉末が80%未満では、粉末や反応生成物などの取り扱い性が悪化し、あるいは還元された希土類元素等の鉄粉末への拡散が不十分になり、磁気冷凍効果を期待することができない。
希土類酸化物粉末の使用量は、目的とする磁気冷凍用合金の種類によって異なるが、例えば、得られる合金に対して、希土類元素の含有量が13〜20重量%となるようにすることが望ましい。この希土類酸化物粉末の使用量がこの範囲を外れると、所望の磁気冷凍効果が得られない。ところで、希土類元素がSmを主成分とする従来の希土類−鉄−窒素系磁性合金粉末、あるいはNdを主成分とする従来の希土類−鉄−ホウ素系磁性合金粉末では、母合金(熱処理生成物)を粉砕する際、希土類リッチ相に水素を吸蔵させて、体積膨張を与えることで該生成物にクラックを発生させ、その崩壊を促進させている。ところが、本発明においては、希土類元素がLaを主成分とするため、水素の吸蔵による崩壊促進効果を期待するものではない。そのため、希土類リッチ相が生成しない、最低限の希土類酸化物粉末を使用すればよいという特徴がある。
希土類酸化物粉末の使用量は、目的とする磁気冷凍用合金の種類によって異なるが、例えば、得られる合金に対して、希土類元素の含有量が13〜20重量%となるようにすることが望ましい。この希土類酸化物粉末の使用量がこの範囲を外れると、所望の磁気冷凍効果が得られない。ところで、希土類元素がSmを主成分とする従来の希土類−鉄−窒素系磁性合金粉末、あるいはNdを主成分とする従来の希土類−鉄−ホウ素系磁性合金粉末では、母合金(熱処理生成物)を粉砕する際、希土類リッチ相に水素を吸蔵させて、体積膨張を与えることで該生成物にクラックを発生させ、その崩壊を促進させている。ところが、本発明においては、希土類元素がLaを主成分とするため、水素の吸蔵による崩壊促進効果を期待するものではない。そのため、希土類リッチ相が生成しない、最低限の希土類酸化物粉末を使用すればよいという特徴がある。
また、鉄粉末としては、例えば還元鉄粉、ガスアトマイズ粉、水アトマイズ粉、電解鉄粉などが使用でき、その粒径は10〜100μmの粉末が全体の70%以上を占めることが好ましい。この粒径範囲の粉末が70%未満では、粉末や反応生成物などの取り扱い性が悪化し、あるいは還元された希土類元素等の拡散が不十分になり、磁気冷凍効果を期待することができない。ここで鉄粉末の20重量%までを鉄酸化物粉末として投入し、還元拡散反応の発熱量を調整することもできる。また、本発明の目的を損なわない範囲で、Fe以外に、Ni、Co、Mn、Crなどの遷移金属元素を含有しても良い。
鉄粉末の使用量は、目的とする磁気冷凍用合金の種類によって異なるが、例えば、得られる合金に対して、鉄の含有量が72〜84重量%となるようにすることが望ましい。この鉄粉末の使用量がこの範囲を外れると、所望の磁気冷凍効果が得られない。
鉄粉末の使用量は、目的とする磁気冷凍用合金の種類によって異なるが、例えば、得られる合金に対して、鉄の含有量が72〜84重量%となるようにすることが望ましい。この鉄粉末の使用量がこの範囲を外れると、所望の磁気冷凍効果が得られない。
さらに、酸化珪素粉末としては、二酸化珪素粉末または一酸化珪素粉末を用いることができ、その粒径は10〜200μmの粉末が全体の80%以上を占めることが好ましい。この粒径の粉末が80%未満では、粉末や反応生成物などの取り扱い性が悪化し、あるいは還元された希土類元素等の鉄粉末への拡散が不十分になり、磁気冷凍効果を期待することができない。また、鉄と珪素の合金粉末を用いることもできる。
酸化珪素粉末の使用量は、目的とする磁気冷凍用合金の種類によって異なるが、例えば、得られる合金に対して、珪素が3〜8重量%となるようにすることが望ましい。この酸化珪素粉末の使用量がこの範囲を外れると、所望の磁気冷凍効果が得られない。
酸化珪素粉末の使用量は、目的とする磁気冷凍用合金の種類によって異なるが、例えば、得られる合金に対して、珪素が3〜8重量%となるようにすることが望ましい。この酸化珪素粉末の使用量がこの範囲を外れると、所望の磁気冷凍効果が得られない。
(2)還元拡散
本発明においては、次に、上記の合金原料粉末、還元剤粉末、及び崩壊促進剤の混合物を不活性ガス雰囲気中、所定の温度で熱処理し、還元拡散法でNaZn13型結晶構造を有する希土類−鉄系母合金粉末を製造する。
本発明においては、次に、上記の合金原料粉末、還元剤粉末、及び崩壊促進剤の混合物を不活性ガス雰囲気中、所定の温度で熱処理し、還元拡散法でNaZn13型結晶構造を有する希土類−鉄系母合金粉末を製造する。
還元剤としては、Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属、Ca、Mg、Sr、Baなどのアルカリ土類金属およびこれらの水素化物からなる群から選ばれる少なくとも一種が使用できる。このうち、取り扱いの安全性とコストの点で、目開き4.00mm以下に篩い分級した粒状金属カルシウムが好ましい。還元剤は上記原料粉末と混合するか、カルシウム蒸気が原料粉末と接触しうるよう分離しておけばよい。還元剤を上記原料粉末と混合して還元拡散させれば、反応生成物が多孔質となり、引き続き行われる水素化処理を一層効率的に行うことができる。
上記還元剤の使用量は、合金原料粉末中の酸化物粉末を還元するのに必要な量に対して、1.05〜1.5倍の量とし、好ましくは1.1〜1.3倍となるようにする。還元剤の使用量が、1.05倍未満では合金原料を十分に還元できず、1.5倍を越えると反応生成物中に未反応物や副生成物が残存するため好ましくない。
上記還元剤の使用量は、合金原料粉末中の酸化物粉末を還元するのに必要な量に対して、1.05〜1.5倍の量とし、好ましくは1.1〜1.3倍となるようにする。還元剤の使用量が、1.05倍未満では合金原料を十分に還元できず、1.5倍を越えると反応生成物中に未反応物や副生成物が残存するため好ましくない。
本発明では、合金原料粉末や還元剤とともに、後の湿式処理工程において反応生成物の崩壊を促進させる添加剤(崩壊促進剤)を混合する必要がある。崩壊促進剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物および/または酸化物、たとえば塩化カルシウムや酸化カルシウムを用いることができる。これらは合金原料粉末や還元剤と同時に均一に混合することが望ましい。これにより、反応生成物の合金結晶の粒界にこれらのカルシウム化合物が均一に存在することになり、後で行われる湿式処理(水洗浄)の際にカルシウム化合物が水溶液中に溶出し、崩壊が促進される。
上記崩壊促進剤の使用量は、合金原料粉末中の酸化物粉末の合計量に対して、3〜30重量%とし、好ましくは7〜20重量%となるようにする。崩壊促進剤の使用量が、3重量%未満では反応生成物を十分に崩壊できず、30重量%を越えると反応生成物中に未反応物や副生成物が残存するため好ましくない。
上記崩壊促進剤の使用量は、合金原料粉末中の酸化物粉末の合計量に対して、3〜30重量%とし、好ましくは7〜20重量%となるようにする。崩壊促進剤の使用量が、3重量%未満では反応生成物を十分に崩壊できず、30重量%を越えると反応生成物中に未反応物や副生成物が残存するため好ましくない。
各原料粉末などは、それぞれの粉体特性差によって分離しないように均一に混合することが重要である。混合方法としては、たとえばリボンブレンダー、タンブラー、S字ブレンダー、V字ブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー、ボールミル、振動ミル、アトライター、ジェットミルなどが使用できる。
得られた原料粉末などの混合物は、熱処理炉に装入して、不活性ガスを供給し炉内から空気を置換する。不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられるが、通常はアルゴンが用いられる。
得られた原料粉末などの混合物は、熱処理炉に装入して、不活性ガスを供給し炉内から空気を置換する。不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられるが、通常はアルゴンが用いられる。
原料粉末などの混合物は、熱処理炉に装入して加熱する。熱処理温度は、1000〜1250°Cの範囲とすることが望ましい。1000°C未満では鉄粉末に対して、希土類元素と珪素の拡散が不均一となり、NaZn13型結晶構造を有する粉末が形成されない。一方、1200°Cを超えると、生成する希土類−鉄系母合金粉末が互いに焼結し、後で述べる湿式処理工程で粉末化することが難しくなる。
熱処理時間は、5〜240時間、特に30〜150時間とすることが好ましい。5時間未満では、十分に還元拡散が行われず、240時間を超えると合金の焼結によって生産性が低下し製造コストが高くなるので好ましくない。熱処理中に不活性ガスを常時流通して、還元拡散反応により生成するガスをパージすることが望ましい。
熱処理時間は、5〜240時間、特に30〜150時間とすることが好ましい。5時間未満では、十分に還元拡散が行われず、240時間を超えると合金の焼結によって生産性が低下し製造コストが高くなるので好ましくない。熱処理中に不活性ガスを常時流通して、還元拡散反応により生成するガスをパージすることが望ましい。
還元拡散反応生成物は、還元剤として粉末状の金属カルシウム、崩壊促進剤として塩化カルシウムを用いた場合には、NaZn13型結晶構造を有する希土類−鉄系母合金粉末と酸化カルシウム、未反応の余剰の金属カルシウムと塩化カルシウムなどからなる塊状の混合物として得られる。還元剤として粒状金属カルシウムを原料粉末、崩壊促進剤に混合して還元拡散反応させた場合には、多孔質の塊状混合物として得られる。
(3)反応生成物の冷却
本発明では、還元拡散反応後の反応生成物に対して、炉内の雰囲気ガスを不活性ガスとしたまま冷却する。
冷却後の温度は400°C以下とするのが望ましい。冷却後の温度が400°Cを超えると、次の工程において反応生成物が水素ガス雰囲気に晒されたときに、NaZn13型結晶構造が、α−Feと希土類水素化物に分解するので好ましくない。冷却速度は、特に制限されず、急冷してもよいが、通常は、10〜3000℃/hrの速度で徐冷するとよい。
本発明では、還元拡散反応後の反応生成物に対して、炉内の雰囲気ガスを不活性ガスとしたまま冷却する。
冷却後の温度は400°C以下とするのが望ましい。冷却後の温度が400°Cを超えると、次の工程において反応生成物が水素ガス雰囲気に晒されたときに、NaZn13型結晶構造が、α−Feと希土類水素化物に分解するので好ましくない。冷却速度は、特に制限されず、急冷してもよいが、通常は、10〜3000℃/hrの速度で徐冷するとよい。
(4)水素化熱処理
反応生成物を冷却した後、炉内を排気し、不活性ガスを除去する。水素化熱処理は、炉内から反応生成物を取り出して、専用の水素化反応容器に移して行うこともできる。
反応生成物を冷却した後、炉内を排気し、不活性ガスを除去する。水素化熱処理は、炉内から反応生成物を取り出して、専用の水素化反応容器に移して行うこともできる。
ここで水素ガスを導入する前に、炉内の不活性ガスをゲージ圧で−60kPa以下となるように排気することが望ましい。−60kPaより高いと、還元拡散後の反応生成物の細孔中に不活性ガスが残存して水素ガスが十分拡散しないため、水素化が不十分になる。なお本発明において、ゲージ圧とは大気圧との差圧であり、大気圧は絶対圧で101.3kPaである。
次いで、水素ガスをゲージ圧で0kPa以上となるよう導入するのが好ましい。また、導入した水素ガス圧は、大気圧でもよいが加圧するのが水素化を促進するために好ましい。大気圧以下に減圧すると水素化が遅く、また炉にリークがあったときに安全上問題になるため好ましくない。
この状態で、100〜500°Cに加熱し所定時間維持することによって、反応生成物中の希土類−鉄系母合金粉末を水素化することができる。加熱温度が100℃未満では水素化が不十分となり、500℃を越えるとNaZn13型結晶構造が、α−Feと希土類水素化物に分解するので好ましくない。また、加熱時間は、ゲージ圧や温度などによって適宜設定されるが、0.5〜15時間とし、好ましくは1〜10時間とする。
次いで、水素ガスをゲージ圧で0kPa以上となるよう導入するのが好ましい。また、導入した水素ガス圧は、大気圧でもよいが加圧するのが水素化を促進するために好ましい。大気圧以下に減圧すると水素化が遅く、また炉にリークがあったときに安全上問題になるため好ましくない。
この状態で、100〜500°Cに加熱し所定時間維持することによって、反応生成物中の希土類−鉄系母合金粉末を水素化することができる。加熱温度が100℃未満では水素化が不十分となり、500℃を越えるとNaZn13型結晶構造が、α−Feと希土類水素化物に分解するので好ましくない。また、加熱時間は、ゲージ圧や温度などによって適宜設定されるが、0.5〜15時間とし、好ましくは1〜10時間とする。
希土類−鉄系母合金粉末への水素導入量は、水素化熱処理の温度と保持時間によって調整できる。水素導入量を調整することによって、特許文献4に記載されているように、希土類−鉄系母合金粉末のキュリー温度Tcを任意に変えることができる。本発明によれば、従来のNaZn13型希土類−鉄系母合金粉末に水素を吸蔵させることで磁気相転移温度を制御することができる上、水素吸蔵によってもエントロピー変化量が低下しない合金粉末が得られるという特長がある。
水素化熱処理の終了後は、塊状の処理物を室温まで冷却し、炉内の水素ガスを不活性ガスで置換してから回収する。
水素化熱処理の終了後は、塊状の処理物を室温まで冷却し、炉内の水素ガスを不活性ガスで置換してから回収する。
(5)湿式処理
最後に、水素化熱処理した後の反応生成物に含まれている還元剤成分、およびその副生成物(還元剤としてカルシウムを使用した場合は、酸化カルシウムなど)を、湿式処理して希土類−鉄−水素系合金粉末から分離除去する。この操作を行うことで塊状の反応生成物は崩壊してスラリーとなる。
最後に、水素化熱処理した後の反応生成物に含まれている還元剤成分、およびその副生成物(還元剤としてカルシウムを使用した場合は、酸化カルシウムなど)を、湿式処理して希土類−鉄−水素系合金粉末から分離除去する。この操作を行うことで塊状の反応生成物は崩壊してスラリーとなる。
水素化熱処理した後に反応生成物を長期間大気中に放置すると、還元剤成分の炭酸化物、例えば炭酸カルシウムが生成し除去しにくくなり、反応生成物が崩壊しにくくなる。したがって、大気中に放置された反応生成物は、反応容器から取り出してから2週間以内を目安に湿式処理するのがよい。
湿式処理するには、まず塊状の反応生成物を水中に投入する。水中で反応生成物は緩やかに反応し、塊はスラリー状に崩壊する。その後、デカンテーション−注水−デカンテーションを繰り返し行い、生成したCa(OH)2の大半を除去する。さらに、残留するCa(OH)2を除去するために、酢酸および/または塩酸などの希酸を用いて酸洗浄することが望ましい。このとき水溶液の水素イオン濃度がpH4〜7の範囲で実施するとよい。湿式処理の目安は、処理後に得られる合金粉末中のアルカリ金属、アルカリ土類金属(カルシウム)含有量が0.1重量%未満、特に0.01重量%未満となるまで行うことが望ましい
酸洗浄後は、例えば水洗し、アルコールあるいはアセトン等の有機溶媒で脱水し、不活性ガス雰囲気中または真空中で乾燥する。
湿式処理するには、まず塊状の反応生成物を水中に投入する。水中で反応生成物は緩やかに反応し、塊はスラリー状に崩壊する。その後、デカンテーション−注水−デカンテーションを繰り返し行い、生成したCa(OH)2の大半を除去する。さらに、残留するCa(OH)2を除去するために、酢酸および/または塩酸などの希酸を用いて酸洗浄することが望ましい。このとき水溶液の水素イオン濃度がpH4〜7の範囲で実施するとよい。湿式処理の目安は、処理後に得られる合金粉末中のアルカリ金属、アルカリ土類金属(カルシウム)含有量が0.1重量%未満、特に0.01重量%未満となるまで行うことが望ましい
酸洗浄後は、例えば水洗し、アルコールあるいはアセトン等の有機溶媒で脱水し、不活性ガス雰囲気中または真空中で乾燥する。
2.希土類−鉄−水素系合金粉末
上記製造方法で得られる希土類−鉄−水素系合金粉末は、NaZn13型結晶構造を持ち、少なくともLaを含む希土類元素と、Siと、Hと、残部が実質的にFeからなり、0°C近傍、すなわち−40°C〜30°Cに、キュリー温度を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末となる。上記キュリー温度の範囲であれば、永久磁石を用いた室温付近で動作可能な磁気冷凍作業物質として用いることができる。これに対して、キュリー温度が−40℃よりも低いものでは、このような磁気冷凍作業物質として使用できない。
上記製造方法で得られる希土類−鉄−水素系合金粉末は、NaZn13型結晶構造を持ち、少なくともLaを含む希土類元素と、Siと、Hと、残部が実質的にFeからなり、0°C近傍、すなわち−40°C〜30°Cに、キュリー温度を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末となる。上記キュリー温度の範囲であれば、永久磁石を用いた室温付近で動作可能な磁気冷凍作業物質として用いることができる。これに対して、キュリー温度が−40℃よりも低いものでは、このような磁気冷凍作業物質として使用できない。
本発明の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を走査型電子顕微鏡で観察すると、図2に示すように、丸みを帯びた均一な粒径を有する粉末状を呈している。また、粉末X線回折法により解析すると、図3に示すように、α−Fe相とLa3Si12相とがわずかに残留する以外、NaZn13型結晶構造を有するほぼ単相の粉末であり、その格子定数は1.16〜1.20nmの範囲である。
磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金の組成は、特に限定されるわけではないが、例えば、希土類元素を16.0〜19.0重量%、Siを4.0〜5.5重量%、Hを0.08〜0.20重量%とすることができる。特に、希土類元素を16.5〜18.5重量%、Siを4.2〜5.3重量%、Hを0.085〜0.195重量%とすることが好ましい。ここで、アルカリ土類金属(カルシウム)は、含有しないことが望ましく、含有する場合でも0.1重量%未満、特に0.01重量%未満とすることが望ましい。この範囲を外れると、所望の磁気冷凍性能を得ることができない場合がある。
磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金の組成は、特に限定されるわけではないが、例えば、希土類元素を16.0〜19.0重量%、Siを4.0〜5.5重量%、Hを0.08〜0.20重量%とすることができる。特に、希土類元素を16.5〜18.5重量%、Siを4.2〜5.3重量%、Hを0.085〜0.195重量%とすることが好ましい。ここで、アルカリ土類金属(カルシウム)は、含有しないことが望ましく、含有する場合でも0.1重量%未満、特に0.01重量%未満とすることが望ましい。この範囲を外れると、所望の磁気冷凍性能を得ることができない場合がある。
また、上記希土類−鉄−水素系合金粉末の平均粒径は、10〜100μmであり、特に10〜80μmが好ましい。また、レーザー回折式粒度分布計で測定した時の粒度分布において、d10/d50が0.30以上、d90/d50が1.90以下であることが好ましい。上記のようにシャープな粒度分布とすることによって、ポロシティを高め熱交換媒体の圧力損失を少なくすることができる。この範囲を外れると、所望の磁気冷凍性能を得ることができない場合がある。
得られた合金粉末は、希土類と鉄を多量に含んだ微細な粉末であるため、そのままでは空気あるいは水分に触れる雰囲気で酸化・腐食されて特性を低下してしまう。これを防ぐには、微量の酸素を含んだ雰囲気下、徐々に酸化させる徐酸化法、あるいはリン酸塩化合物、シリケート化合物、カップリング剤や各種樹脂組成物を用いて表面を被覆する被覆法などによって粉末を処理することができる。
3.希土類−鉄−水素系合金押出構造体とその製造方法
本発明の押出構造体の製造方法は、上記磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を主材料として含む成形原料に、バインダーを混合・混練した後、この混練物を磁気冷凍システムの熱交換媒体の流路が十分に確保される形状を有する構造体に押出成形する工程と、得られた該構造体を焼成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の押出構造体の製造方法は、上記磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を主材料として含む成形原料に、バインダーを混合・混練した後、この混練物を磁気冷凍システムの熱交換媒体の流路が十分に確保される形状を有する構造体に押出成形する工程と、得られた該構造体を焼成する工程とを含むことを特徴とする。
すなわち、本発明の押出構造体は、上記の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を主材料として用いた成形原料を、磁気冷凍システムの熱交換媒体の流路が十分に確保された形状を有する構造体に押出成形する工程と、得られた該構造体を焼成する工程とを含むことを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体の製造方法よって得ることができる。
この時、上記の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末にバインダーを加えて混練し、表面積の大きな成形体に押出成形した押出構造体を焼成して用いることが好ましい。
この時、上記の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末にバインダーを加えて混練し、表面積の大きな成形体に押出成形した押出構造体を焼成して用いることが好ましい。
バインダーは、成形助剤として機能する有機化合物であれば特に限定されない。例えば、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、アルコール系共重合体、又はポリアルキレングリコール系アクリル酸エステルから選ばれる有機化合物を用いることができる。この中でも好ましいのは、ポリビニルアルコール又はアルコール系共重合体である。
セルロース誘導体としては、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、プロピルメチルセルロース、結晶セルロースなどが挙げられる。ポリビニルアルコールは、一般には酢酸ビニルモノマーを重合したポリ酢酸ビニルを鹸化して得られ、その数平均分子量は、通常2,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000である。数平均分子量が2,000未満のものはバインダー効果が小さく、500,000を超えるものは取り扱い性に劣るので好ましくない。
また、アルコール系共重合体としては、ポリエチレンビニルアルコール、ポリプロピレンビニルアルコール、ポリブチレンビニルアルコールなどが挙げられる。さらに、ポリアルキレングリコール系アクリル酸エステルとしては、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレートなどのポリアルキレングリコールアクリル酸エステルなどが使用可能である。
これら以外に、デンプンもしくはその変性体(酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白、マンナンガラクタン誘導体、カルボキシメチルセルロース等);ポリアクリルアミド類[アクリルアミド重合物、アクリルアミド−(メタ)アクリル酸ソーダ共重合物、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物等];ホルマリン樹脂(尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂等)、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン、スチレン−マレイン酸共重合物のソーダ塩などを用いることもできる。
セルロース誘導体としては、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、エチルメチルセルロース、プロピルメチルセルロース、結晶セルロースなどが挙げられる。ポリビニルアルコールは、一般には酢酸ビニルモノマーを重合したポリ酢酸ビニルを鹸化して得られ、その数平均分子量は、通常2,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000である。数平均分子量が2,000未満のものはバインダー効果が小さく、500,000を超えるものは取り扱い性に劣るので好ましくない。
また、アルコール系共重合体としては、ポリエチレンビニルアルコール、ポリプロピレンビニルアルコール、ポリブチレンビニルアルコールなどが挙げられる。さらに、ポリアルキレングリコール系アクリル酸エステルとしては、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールテトラメチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレートなどのポリアルキレングリコールアクリル酸エステルなどが使用可能である。
これら以外に、デンプンもしくはその変性体(酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白、マンナンガラクタン誘導体、カルボキシメチルセルロース等);ポリアクリルアミド類[アクリルアミド重合物、アクリルアミド−(メタ)アクリル酸ソーダ共重合物、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物等];ホルマリン樹脂(尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂等)、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン−エピクロルヒドリン、スチレン−マレイン酸共重合物のソーダ塩などを用いることもできる。
これらのバインダーは、混練物全体に対して2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲で配合され、その後、バンバリミキサー、ニーダー、ミキシングロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機などの混練機で混練される。ここでバインダー量が2質量%未満では、所望の形状に押出成形できず、20質量%を超えると成形後から焼成するまでの間の保形性が損なわれる。
押出成形で得られる構造体は、ハニカム状、メッシュ状、または粒子状(すなわちペレット状)のいずれかの形状に加工されていることが好ましい。この中でも好ましいのはハニカム状である。ハニカム状構造の場合、孔の形状は丸、三角、四角、五画、六角などの多角形でよく、四角形であれば、例えば、外寸が20〜40mm×20〜40mm、長さ50〜200mm、セル壁厚が0.1〜0.5mm、セル数が100〜500個/inの角形棒状のハニカム成形体が好ましい。メッシュ状構造の場合、孔の形状は丸、三角、四角、五画、六角などの多角形でよく、四角形であれば、例えば、外寸が20〜40mm×20〜40mm×2〜5mmのものが好ましい。また、粒子状の場合、断面形状は丸、三角、四角、五画、六角などの多角形でよく、四角形であれば、例えば、3〜10mm×3〜10mm×3〜10mmのものが好ましい。
このような形状とするのは、該構造体を磁気冷凍システムにおいて磁気冷凍作業物質として用いる場合、磁気熱量効果によって大きな温度差が発生することに加えて、熱交換媒体との間での十分な熱交換を可能にする必要があるからであり、そのためには、該構造体を、比表面積が大きく且つ熱交換媒体の流路が十分に確保されるような形状に加工する必要があるからである。
押出成形後の構造体は、水素、窒素、アルゴンなどの非酸化性雰囲気中または減圧下で400°C以下、好ましくは50〜300℃の温度で加熱され,バインダー成分が除去される。乾燥時間は、加熱温度によって異なるので規定できないが、例えば、80℃であれば、30〜60時間とすることが好ましい。その後、さらに昇温され800〜1200°C、好ましくは900〜1100℃で焼結される。焼結時の雰囲気は、上記非酸化性雰囲気又は減圧下で行われるが、特に水素雰囲気であることが好ましい。焼成時間は、温度にもよるが、例えば、2〜8時間、特に3〜5時間とすることが好ましい。
4.磁気冷凍システム
本発明の磁気冷凍システムは、上記の押出構造体を、磁気冷凍作業室の内部に充填したものである。
本発明の磁気冷凍システムは、上記の押出構造体を、磁気冷凍作業室の内部に充填したものである。
この磁気冷凍システムは、その種類によって特に限定されるわけではないが、磁気冷凍作業室内の押出構造体の表面を熱交換媒体が流通するように、磁気冷凍作業室の一方の端部に熱交換媒体の導入配管、他方の端部に熱交換媒体の排出配管を設けるとともに、磁気冷凍作業室の近傍に永久磁石が配置され、かつ押出構造体に含まれる磁性材料に対する永久磁石の相対位置を変化させて磁界の印加及び除去を行う駆動装置を備えているものが好ましい。
磁気冷凍作業室は、断面形状によって特に限定されないが、例えば、矩形断面の筒型の形状を備えているものが挙げられる。磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体は、磁気冷凍作業室内に押出構造体の種類に応じた量で充填される。押出構造体がハニカム状であれば、50〜80%の容積充填率で充填されることが好ましい。
磁気冷凍作業室の一方の端には、熱交換用媒体の導入配管が接続され、もう一方の端には、熱交換用媒体の排出配管が接続される。例えば、同一形状の二つの磁気冷凍作業室を設け、互いに平行に並べて配置することができる。磁気冷凍作業室の大きさ、配置数、互いの位置関係は適宜決定することができる。
駆動装置を作動させて作業室と永久磁石の相対位置を変化させると、磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体に対して磁界が印加された状態から、除去された状態に切り替わる際、結晶格子から電子スピンにエントロピーが移動し,電子スピン系のエントロピーが増加する。それによって、磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体の温度が低下し、それが熱交換用媒体に伝達され、熱交換用媒体の温度が低下する。このようにして温度が低下した熱交換用媒体は、磁気冷凍作業室から排出配管を通って排出され、外部の低温消費施設に冷媒として供給され、優れた磁気冷凍システムが得られる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)16.0gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.5gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)42.2gと、無水塩化カルシウム7.5gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そしてゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、250°Cで1時間保持し、冷却した。
炉内の水素ガスをArガスで置換してから試料を取り出したが、反応生成物は全く崩壊しておらず、多孔質塊状のままであった。この反応生成物を直ちに純水中に投入したところ、緩やかに崩壊してスラリーが得られた。純水を注水後に1分間攪拌し、次いでデカンテーションを行う操作を5回繰り返すことによって、このスラリーからCa(OH)2懸濁物を除去し合金粉末スラリーを得た。
得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に10分間保持した。合金粉末を濾過後、純水とエタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.9重量%、Si4.2重量%、H0.087重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
得られた粉末をレーザー回折式粒度分布計(日本レーザー製asd−dfg)で評価したところ、平均粒径は47μmだった。粒度分布の測定結果を図1に示す。また、20〜80μmの粉末が全体の77%であった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.35、d90/d50が1.89であった。
走査型電子顕微鏡で観察すると、図2に示すように、丸みを帯びた均一な粒径を有する粉末だった。また、粉末X線回折法により解析した結果、図3に示すように、α−Fe相とLa3Si12相とがわずかに残留する以外、NaZn13型結晶構造を有するほぼ単相の粉末であり、その格子定数は1.163nmであった。振動試料型磁力計を用いてキュリー温度を評価したところ、−29°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)16.0gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.5gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)42.2gと、無水塩化カルシウム7.5gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そしてゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、250°Cで1時間保持し、冷却した。
炉内の水素ガスをArガスで置換してから試料を取り出したが、反応生成物は全く崩壊しておらず、多孔質塊状のままであった。この反応生成物を直ちに純水中に投入したところ、緩やかに崩壊してスラリーが得られた。純水を注水後に1分間攪拌し、次いでデカンテーションを行う操作を5回繰り返すことによって、このスラリーからCa(OH)2懸濁物を除去し合金粉末スラリーを得た。
得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に10分間保持した。合金粉末を濾過後、純水とエタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.9重量%、Si4.2重量%、H0.087重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
得られた粉末をレーザー回折式粒度分布計(日本レーザー製asd−dfg)で評価したところ、平均粒径は47μmだった。粒度分布の測定結果を図1に示す。また、20〜80μmの粉末が全体の77%であった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.35、d90/d50が1.89であった。
走査型電子顕微鏡で観察すると、図2に示すように、丸みを帯びた均一な粒径を有する粉末だった。また、粉末X線回折法により解析した結果、図3に示すように、α−Fe相とLa3Si12相とがわずかに残留する以外、NaZn13型結晶構造を有するほぼ単相の粉末であり、その格子定数は1.163nmであった。振動試料型磁力計を用いてキュリー温度を評価したところ、−29°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例2)
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、無水塩化カルシウム7.6gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1070°Cまで昇温し、還元拡散反応のために100時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+30kPaまで導入した。そしてゲージ圧+30kPaを維持するようにして昇温し、390°Cで1時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.3重量%、Si4.9重量%、H0.133重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は38μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.41、d90/d50が1.80であった。また、X線回折の結果から、1.171nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は−2°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、無水塩化カルシウム7.6gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1070°Cまで昇温し、還元拡散反応のために100時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+30kPaまで導入した。そしてゲージ圧+30kPaを維持するようにして昇温し、390°Cで1時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.3重量%、Si4.9重量%、H0.133重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は38μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.41、d90/d50が1.80であった。また、X線回折の結果から、1.171nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は−2°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例3)
合金原料粉末として、粒径が1〜10μmの粉末が全体の72%を占めるカルボニル鉄粉末(Fe純度99%)115.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、無水塩化カルシウム7.6gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1020°Cまで昇温し、還元拡散反応のために100時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、110°Cで10時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.4重量%、Si5.0重量%、H0.099重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は13μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.38、d90/d50が1.79であった。また、X線回折の結果から、1.165nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は−21°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、粒径が1〜10μmの粉末が全体の72%を占めるカルボニル鉄粉末(Fe純度99%)115.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、無水塩化カルシウム7.6gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1020°Cまで昇温し、還元拡散反応のために100時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、110°Cで10時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.4重量%、Si5.0重量%、H0.099重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は13μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.38、d90/d50が1.79であった。また、X線回折の結果から、1.165nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は−21°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例4)
管状炉を1240°Cまで昇温し還元拡散反応のために72時間保持した点と、水素ガス雰囲気中270°Cで10時間保持した点以外は、実施例2と同様にして、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.3重量%、Si4.8重量%、H0.105重量%、Ca0.01重量%、残部Feだった。
得られた粉末の平均粒径は69μmで、1.166nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。また、該粒度分布において、d10/d50が0.34、d90/d50が1.84であった。キュリー温度は−19°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
管状炉を1240°Cまで昇温し還元拡散反応のために72時間保持した点と、水素ガス雰囲気中270°Cで10時間保持した点以外は、実施例2と同様にして、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.3重量%、Si4.8重量%、H0.105重量%、Ca0.01重量%、残部Feだった。
得られた粉末の平均粒径は69μmで、1.166nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。また、該粒度分布において、d10/d50が0.34、d90/d50が1.84であった。キュリー温度は−19°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例5)
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、無水塩化カルシウム7.6gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、100°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、250°Cで1時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.5重量%、Si4.9重量%、H0.114重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は44μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.33、d90/d50が1.88であった。また、X線回折の結果から、1.168nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は−11°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、無水塩化カルシウム7.6gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、100°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、250°Cで1時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.5重量%、Si4.9重量%、H0.114重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は44μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.33、d90/d50が1.88であった。また、X線回折の結果から、1.168nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は−11°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例6)
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、無水塩化カルシウム7.6gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、300°Cまで冷却した。次に、温度を300°Cに保ったまま、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そしてゲージ圧+20kPaを維持するようにして6時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La 17.2重量%、Si 4.9重量%、H 0.158重量%、Ca 0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は41μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.32、d90/d50が1.89であった。また、X線回折の結果から、1.175nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は20°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、無水塩化カルシウム7.6gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、300°Cまで冷却した。次に、温度を300°Cに保ったまま、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そしてゲージ圧+20kPaを維持するようにして6時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La 17.2重量%、Si 4.9重量%、H 0.158重量%、Ca 0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は41μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.32、d90/d50が1.89であった。また、X線回折の結果から、1.175nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は20°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例7)
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)16.0gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.5gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)42.2gと無水塩化カルシウム7.5gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、480°Cで3時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.2重量%、Si4.8重量%、H0.189重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
得られた粉末の平均粒径は42μmで、1.199nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。また、該粒度分布において、d10/d50が0.31、d90/d50が1.87であった。キュリー温度は34°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)16.0gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.5gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)42.2gと無水塩化カルシウム7.5gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、480°Cで3時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.2重量%、Si4.8重量%、H0.189重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
得られた粉末の平均粒径は42μmで、1.199nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。また、該粒度分布において、d10/d50が0.31、d90/d50が1.87であった。キュリー温度は34°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例8)
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、酸化カルシウム8.2gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、300°Cまで冷却した。次に、温度を300°Cに保ったまま、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そしてゲージ圧+20kPaを維持するようにして6時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.6重量%、Si4.8重量%、H0.152重量%、Ca0.01重量%、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は47μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.32、d90/d50が1.88であった。また、X線回折の結果から、1.173nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は16°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)17.7gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)37.9gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)45.0gと、酸化カルシウム8.2gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、300°Cまで冷却した。次に、温度を300°Cに保ったまま、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そしてゲージ圧+20kPaを維持するようにして6時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La17.6重量%、Si4.8重量%、H0.152重量%、Ca0.01重量%、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は47μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.32、d90/d50が1.88であった。また、X線回折の結果から、1.173nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は16°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例9)
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)16.0gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)33.5gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の90%を占める酸化セリウム粉末(Ce2O3純度99%)4.0gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)42.2gと、無水塩化カルシウム6.7gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、350°Cで6時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、(La、Ce)−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La15.3重量%、Ce1.9重量%、Si5.1重量%、H0.173重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は50μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.36、d90/d50が1.84であった。また、X線回折の結果から、1.164nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は43°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)16.0gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)33.5gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の90%を占める酸化セリウム粉末(Ce2O3純度99%)4.0gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)42.2gと、無水塩化カルシウム6.7gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、350°Cで6時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、(La、Ce)−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La15.3重量%、Ce1.9重量%、Si5.1重量%、H0.173重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は50μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.36、d90/d50が1.84であった。また、X線回折の結果から、1.164nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は43°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例10)
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)16.0gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)35.5gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の97%を占める酸化ネオジム粉末(Nd2O3純度99%)2.0gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)42.2gと、無水塩化カルシウム7.1gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、350°Cで6時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、(La、Nd)−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La16.2重量%、Nd0.9重量%、Si5.1重量%、H0.175重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は48μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.39、d90/d50が1.81であった。また、X線回折の結果から、11.170nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は30°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
合金原料粉末として、アトマイズ法で製造された、粒径が10〜100μmの粉末が全体の99%を占める鉄粉末(Fe純度99%)120.0gと、粒径が10〜200μmの粉末が全体の85%を占める二酸化珪素粉末(SiO2純度99%)16.0gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の92%を占める酸化ランタン粉末(La2O3純度99%)35.5gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の97%を占める酸化ネオジム粉末(Nd2O3純度99%)2.0gを秤量し、粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)42.2gと、無水塩化カルシウム7.1gを加えて自転公転型ミキサーで混合した。
これを鉄製反応容器に装入し管状炉に設置した。次に、炉内をロータリーポンプで真空引きしてArガス置換した後、Arガスを流しながら1150°Cまで昇温し、還元拡散反応のために30時間保持し、30°Cまで冷却した。次に、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、350°Cで6時間保持し、冷却した。
その後は、実施例1と同様に湿式処理し乾燥することによって、(La、Nd)−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末組成は、La16.2重量%、Nd0.9重量%、Si5.1重量%、H0.175重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。
実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は48μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.39、d90/d50が1.81であった。また、X線回折の結果から、11.170nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。キュリー温度は30°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(実施例11)
実施例1で得られたLa−Fe−Si−H合金粉末73体積%(90.5質量%)を用意し、これにバインダーとしてポリビニルアルコール27体積%(9.5質量%)を混合し、ニーダーで混練した。次に、押出成形機で、外寸が30mm×30mm、セル壁厚が0.3mm、セル数が200個/inの角形棒状のハニカム成形体を得た。この成形体を100mmの長さに切断し、窒素ガスをフローしながら80°Cの雰囲気下で48時間乾燥した後、アルゴンガス雰囲気中1050°Cで4時間焼成することにより、ハニカム状の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体を得た。
次に、磁気冷凍作業室と、磁気冷凍作業室の近傍に配置されたNdFeB系焼結磁石と、該磁気冷凍作業室に対する該永久磁石の相対位置を変化させることによって、該磁性材料に対する磁界の印加及び除去を行う駆動装置とを備えた磁気冷凍システムを用意した。この磁気冷凍作業室は矩形断面の筒型の形状を備えており,上記の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体が充填されている。磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体の磁気冷凍作業室内への容積充填率は、65%であった。磁気冷凍作業室の一方の端には、熱交換用媒体の導入配管を接続し、もう一方の端には、熱交換用媒体の排出配管を接続した。この磁気冷凍作業室を間に挟むように、NdFeB系焼結磁石を互いに対向するとともに、ヨークを介して互いに結合させた。これによって永久磁石の間隙部分に、強い磁界空間が形成される。永久磁石の間隙内部に磁気冷凍作業室が出入りするよう永久磁石を駆動させる。永久磁石の間に形成された磁界空間の中に磁気冷凍作業室が入ると、その中に収容されている磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体に磁界が印加される。
実際に駆動装置を1Hzで1時間作動させることによって、磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体の温度が3℃低下することを確認した。
実施例1で得られたLa−Fe−Si−H合金粉末73体積%(90.5質量%)を用意し、これにバインダーとしてポリビニルアルコール27体積%(9.5質量%)を混合し、ニーダーで混練した。次に、押出成形機で、外寸が30mm×30mm、セル壁厚が0.3mm、セル数が200個/inの角形棒状のハニカム成形体を得た。この成形体を100mmの長さに切断し、窒素ガスをフローしながら80°Cの雰囲気下で48時間乾燥した後、アルゴンガス雰囲気中1050°Cで4時間焼成することにより、ハニカム状の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体を得た。
次に、磁気冷凍作業室と、磁気冷凍作業室の近傍に配置されたNdFeB系焼結磁石と、該磁気冷凍作業室に対する該永久磁石の相対位置を変化させることによって、該磁性材料に対する磁界の印加及び除去を行う駆動装置とを備えた磁気冷凍システムを用意した。この磁気冷凍作業室は矩形断面の筒型の形状を備えており,上記の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体が充填されている。磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体の磁気冷凍作業室内への容積充填率は、65%であった。磁気冷凍作業室の一方の端には、熱交換用媒体の導入配管を接続し、もう一方の端には、熱交換用媒体の排出配管を接続した。この磁気冷凍作業室を間に挟むように、NdFeB系焼結磁石を互いに対向するとともに、ヨークを介して互いに結合させた。これによって永久磁石の間隙部分に、強い磁界空間が形成される。永久磁石の間隙内部に磁気冷凍作業室が出入りするよう永久磁石を駆動させる。永久磁石の間に形成された磁界空間の中に磁気冷凍作業室が入ると、その中に収容されている磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体に磁界が印加される。
実際に駆動装置を1Hzで1時間作動させることによって、磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金押出構造体の温度が3℃低下することを確認した。
(比較例1)
還元拡散反応を980°Cで100時間行ったこと以外は、実施例3と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。
この粉末組成は、La16.8重量%、Si4.3重量%、H0.048重量%、Ca0.03重量%、残部Feだった。
得られた粉末は凝集が激しく、粉末X線回折ではα−Fe相とLa3Si2相とが多く認められ、NaZn13型結晶構造を有する相はごくわずかだった。還元温度が低いために、拡散が十分進まなかったものと思われる。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
還元拡散反応を980°Cで100時間行ったこと以外は、実施例3と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。
この粉末組成は、La16.8重量%、Si4.3重量%、H0.048重量%、Ca0.03重量%、残部Feだった。
得られた粉末は凝集が激しく、粉末X線回折ではα−Fe相とLa3Si2相とが多く認められ、NaZn13型結晶構造を有する相はごくわずかだった。還元温度が低いために、拡散が十分進まなかったものと思われる。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(比較例2)
還元拡散反応を1270°Cで72時間行ったこと以外は、実施例4と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。ここで水素化熱処理後の反応生成物は、水中に投入しても崩壊性が悪く、塊のものが多かった。
わずかに得られた粉末の組成は、La16.3重量%、Si4.2重量%、H0.033重量%、Ca0.32重量%、残部Feだった。還元温度が高いために焼結が進み、崩壊性が悪化して残留Caが高くなったと思われる。また、焼結により水素量も、実施例4の0.105重量%に対して0.033重量%と低い値に留まっている。粉末X線回折では1.160nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有する相ができていたが、水素量が低いためにキュリー温度は−83°Cだった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
還元拡散反応を1270°Cで72時間行ったこと以外は、実施例4と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。ここで水素化熱処理後の反応生成物は、水中に投入しても崩壊性が悪く、塊のものが多かった。
わずかに得られた粉末の組成は、La16.3重量%、Si4.2重量%、H0.033重量%、Ca0.32重量%、残部Feだった。還元温度が高いために焼結が進み、崩壊性が悪化して残留Caが高くなったと思われる。また、焼結により水素量も、実施例4の0.105重量%に対して0.033重量%と低い値に留まっている。粉末X線回折では1.160nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有する相ができていたが、水素量が低いためにキュリー温度は−83°Cだった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(比較例3)
無水塩化カルシウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。ここで水素化熱処理後の反応生成物は、水中に投入しても比較例2以上に崩壊性が悪く、塊のものが多かった。
わずかに得られた粉末の組成は、La15.7重量%、Si3.7重量%、H0.023重量%、Ca3.9重量%、残部Feだった。無水塩化カルシウムや酸化カルシウムが添加されていないために、崩壊性が悪化して残留Caが高くなったと思われる。また、比較例2と同様に、水素量も低い値に留まっている。粉末X線回折では1.163nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有する相ができていたが、水素量が低いためにキュリー温度は−88°Cだった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
無水塩化カルシウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。ここで水素化熱処理後の反応生成物は、水中に投入しても比較例2以上に崩壊性が悪く、塊のものが多かった。
わずかに得られた粉末の組成は、La15.7重量%、Si3.7重量%、H0.023重量%、Ca3.9重量%、残部Feだった。無水塩化カルシウムや酸化カルシウムが添加されていないために、崩壊性が悪化して残留Caが高くなったと思われる。また、比較例2と同様に、水素量も低い値に留まっている。粉末X線回折では1.163nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有する相ができていたが、水素量が低いためにキュリー温度は−88°Cだった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(比較例4)
水素化熱処理温度を80°Cとしたこと以外は、実施例1と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。
得られた粉末の組成は、La17.9重量%、Si4.2重量%、H0.011重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。水素化熱処理温度が低いために、水素量が低い値に留まっている。そのため粉末X線回折では1.152nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有する相ができていたが、キュリー温度は−91°Cだった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
水素化熱処理温度を80°Cとしたこと以外は、実施例1と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。
得られた粉末の組成は、La17.9重量%、Si4.2重量%、H0.011重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。水素化熱処理温度が低いために、水素量が低い値に留まっている。そのため粉末X線回折では1.152nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有する相ができていたが、キュリー温度は−91°Cだった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(比較例5)
水素化熱処理温度を530°Cとしたこと以外は、実施例1と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。
得られた粉末の組成は、La17.9重量%、Si4.2重量%、H0.087重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだったが、粉末X線回折ではNaZn13型結晶構造を有する相が認められず、ほとんどがα−Fe相だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
水素化熱処理温度を530°Cとしたこと以外は、実施例1と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。
得られた粉末の組成は、La17.9重量%、Si4.2重量%、H0.087重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだったが、粉末X線回折ではNaZn13型結晶構造を有する相が認められず、ほとんどがα−Fe相だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(比較例6)
水素ガスを導入する前の、ロータリーポンプによる真空引きを行わなかったこと以外は、実施例2と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。
得られた粉末の組成は、La17.4重量%、Si4.9重量%、H0.013重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。実施例2に比べて水素量が低い値に留まっている。炉内を真空引きせずに水素ガスを導入したために、反応生成物内部に水素が浸透しなかったものと思われる。そのため粉末X線回折では1.151nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有する相ができていたが、キュリー温度は−85°Cだった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
水素ガスを導入する前の、ロータリーポンプによる真空引きを行わなかったこと以外は、実施例2と同様にしてLa−Fe−Si−H合金粉末を作製した。
得られた粉末の組成は、La17.4重量%、Si4.9重量%、H0.013重量%、Ca0.01重量%未満、残部Feだった。実施例2に比べて水素量が低い値に留まっている。炉内を真空引きせずに水素ガスを導入したために、反応生成物内部に水素が浸透しなかったものと思われる。そのため粉末X線回折では1.151nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有する相ができていたが、キュリー温度は−85°Cだった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(従来例1)
純度99%の金属ランタンと、純度99%のシリコンと、純度99%の電解鉄を、アルゴンガス雰囲気中でアーク溶解し、およそ150gのインゴットを得た。このインゴットを1050°Cで240時間熱処理した。次に、熱処理後のインゴットをジョークラッシャーにかけて粉砕しようとしたが、インゴットが硬く12メッシュ(目開き1.4mm)の篩いを通過しない粗い塊が87重量%も残った。
12メッシュの篩い下からさらに32メッシュ(目開き500μm)で篩った篩い下を、管状炉に装入し、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そしてゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、300°Cで6時間保持し、冷却した。
このようにして得られたLa−Fe−Si−H合金粉末はわずか12gに過ぎなかった。この粉末は、組成が、La17.2重量%、Si5.0重量%、H0.082重量%、残部Feで、1.161nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は212μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.15、d90/d50が2.42であった。キュリー温度は−20°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
純度99%の金属ランタンと、純度99%のシリコンと、純度99%の電解鉄を、アルゴンガス雰囲気中でアーク溶解し、およそ150gのインゴットを得た。このインゴットを1050°Cで240時間熱処理した。次に、熱処理後のインゴットをジョークラッシャーにかけて粉砕しようとしたが、インゴットが硬く12メッシュ(目開き1.4mm)の篩いを通過しない粗い塊が87重量%も残った。
12メッシュの篩い下からさらに32メッシュ(目開き500μm)で篩った篩い下を、管状炉に装入し、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そしてゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、300°Cで6時間保持し、冷却した。
このようにして得られたLa−Fe−Si−H合金粉末はわずか12gに過ぎなかった。この粉末は、組成が、La17.2重量%、Si5.0重量%、H0.082重量%、残部Feで、1.161nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。実施例1と同様に粒度分布測定を行ったところ、得られた粉末の平均粒径は212μmであった。また、該粒度分布において、d10/d50が0.15、d90/d50が2.42であった。キュリー温度は−20°C(0°C近傍)だった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示した。
(従来例2)
実施例2と同様にして得られた還元拡散後の反応生成物を、水素化熱処理せずに純水中に投入したところ、緩やかに崩壊してスラリーが得られた。純水を注水後に1分間攪拌し、次いでデカンテーションを行う操作を5回繰り返すことによって、このスラリーからCa(OH)2懸濁物を除去し合金粉末スラリーを得た。
得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に10分間保持した。合金粉末を濾過後、純水とエタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、水素化していないLa−Fe−Si合金粉末を得た。この粉末は32メッシュ(目開き500μm)の篩いを全部通過するものだった。
得られたLa−Fe−Si合金粉末を管状炉に装入し、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、300°Cで6時間保持し、冷却することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末は、組成が、La17.6重量%、Si4.9重量%、H0.009重量%、残部Feで、1.152nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。湿式処理後に水素化熱処理しても合金粉末内に水素が十分導入されず、そのためキュリー温度は−82°Cに留まった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示し
た。
実施例2と同様にして得られた還元拡散後の反応生成物を、水素化熱処理せずに純水中に投入したところ、緩やかに崩壊してスラリーが得られた。純水を注水後に1分間攪拌し、次いでデカンテーションを行う操作を5回繰り返すことによって、このスラリーからCa(OH)2懸濁物を除去し合金粉末スラリーを得た。
得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら希酢酸を滴下し、pH5.0に10分間保持した。合金粉末を濾過後、純水とエタノールで数回洗浄し、40°Cで真空乾燥することによって、水素化していないLa−Fe−Si合金粉末を得た。この粉末は32メッシュ(目開き500μm)の篩いを全部通過するものだった。
得られたLa−Fe−Si合金粉末を管状炉に装入し、炉内をロータリーポンプでゲージ圧−95kPaまで真空引きし、水素ガスをゲージ圧で+20kPaまで導入した。そして、ゲージ圧+20kPaを維持するようにして昇温し、300°Cで6時間保持し、冷却することによって、La−Fe−Si−H合金粉末を得た。
この粉末は、組成が、La17.6重量%、Si4.9重量%、H0.009重量%、残部Feで、1.152nmの格子定数を有するNaZn13型結晶構造を有していた。湿式処理後に水素化熱処理しても合金粉末内に水素が十分導入されず、そのためキュリー温度は−82°Cに留まった。主な製造条件、得られた合金粉末の特性などを表1に示し
た。
Claims (15)
- NaZn13型結晶構造を持ち、かつ、少なくともLaを含む希土類元素と、Siと、Hと、残部が実質的にFeからなる組成を有する磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を製造する方法において、
希土類酸化物粉末、酸化珪素粉末、及び鉄粉末を含む原料粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はこれらの水素化物から選ばれる少なくとも1種の還元剤と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物または酸化物から選ばれる少なくとも1種の崩壊促進剤とを所定の割合で混合する工程、得られた混合物を不活性ガス雰囲気中、1000〜1250°Cで還元拡散するのに十分な時間加熱する工程、引き続き、得られた反応生成物を不活性ガス雰囲気中で冷却する工程、その後、不活性ガスを排気してから水素ガスを供給し、水素ガス雰囲気中100〜500°Cで反応生成物を熱処理する工程、および得られた熱処理物を水中に投入して湿式処理し、還元剤成分、崩壊促進剤成分およびそれらの副生成物を分離除去する工程を含むことを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法。 - 希土類酸化物粉末は、その80%以上が0.1〜10μmの粒径を有し、酸化珪素粉末は、その80%以上が10〜200μmの粒径を有し、また、鉄粉末は、その70%以上が10〜100μmの粒径を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法。
- 還元剤は、カルシウムまたは水素化カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法。
- 崩壊促進剤は、塩化カルシウムまたは酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法。
- 混合物は、5〜240時間加熱されることを特徴とする請求項1に記載の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得られる磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末であって、0°C近傍にキュリー温度を有することを特徴とする磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末。
- 水素の含有量が0.08重量%以上であり、一方、アルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項6に記載の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末。
- 合金粉末の粒度分布(レーザー回折式粒度分布計で測定)は、d10/d50が0.30以上で、d90/d50が1.90以下であることを特徴とする請求項6に記載の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の磁気冷凍用希土類−鉄−水素系合金粉末を主材料として含む成形原料に、バインダーを混合・混練した後、この混練物を磁気冷凍システムの熱交換媒体の流路が十分に確保される形状を有する構造体に押出成形する工程と、得られた構造体を焼成する工程とを含むことを特徴とする押出構造体の製造方法。
- バインダーが、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、アルコール系共重合体、又はポリアルキレングリコール系アクリル酸エステルから選ばれるいずれかの有機化合物であることを特徴とする請求項9に記載の押出構造体の製造方法。
- バインダーの混合量が、混練物全体に対して2〜20質量%であることを特徴とする請求項9に記載の押出構造体の製造方法。
- 押出構造体が、ハニカム状、メッシュ状、または粒子状のいずれかの形状に成形されることを特徴とする請求項9に記載の押出構造体の製造方法。
- 請求項9〜12のいずれかに記載の製造方法で得られる押出構造体。
- 請求項13に記載の押出構造体が、磁気冷凍作業室の内部に充填されてなる磁気冷凍システム。
- 磁気冷凍作業室内の押出構造体の表面を熱交換媒体が流通するように、磁気冷凍作業室の一方の端部に熱交換媒体の導入配管、他方の端部に熱交換媒体の排出配管を設けるとともに、磁気冷凍作業室の近傍に永久磁石が配置され、かつ押出構造体に含まれる磁性材料に対する永久磁石の相対位置を変化させて磁界の印加及び除去を行う駆動装置を備えていることを特徴とする請求項14に記載の磁気冷凍システム。
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- 2006-06-21 JP JP2006171320A patent/JP2007031831A/ja active Pending
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