JP2007022136A - 車軸検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐ノイズ性に優れた車軸検知装置を提供する。
【解決手段】 送信コイル及びその送信コイルを有し、列車の走行するレールの所定の検知箇所に設けられた検知子と、所定の周波数からなる送信信号を発生させる信号発生手段と、発生された送信信号を所定の変調信号に変調処理する変調処理手段と、変調処理された信号を前記送信コイルに送信する送信手段と、前記受信コイルから信号を受信する受信手段と、受信された信号を復調処理する復調処理手段と、復調処理された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、分別された信号の値が所定のしきい値を越えるときに車軸なしと判定し、その分別された信号の値が所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段とからなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は車軸検知装置に係り、特に符号伝送を採用したものに関する。
従来、この種の車軸検知装置は、列車の走行するレールの所定の検知箇所に検知子を設けて構成されている。そしてこの検知子には、送信コイルと受信コイルの2つのコイルが設けられていて、このうち、送信コイルはレールを中間にした一方側(外側)に設けられ、受信コイルはレールを中間にした他方側(内側)で、かつ送信コイルに対向した位置に設けられている。
上記送信コイルには、常時所定の周波数からなる信号電流が供給されて、常時、交流磁界が発生するように構成されている。そして、受信コイルには、送信コイルの交流磁界により誘導電圧が生成され、その生成された誘導電圧が受信コイルの受信信号として出力されるように構成されている。
受信信号の受信レベルは、送信コイルと受信コイルとの間に列車の車軸(車輪)が位置すると低下する性質を有している。すなわち、送信コイルと受信コイルとの間に車輪が位置すると、車輪には送信コイルの交流磁界により誘導電流が流れ、その誘導電流によって生成された磁界が送信コイルの交流磁界を打消すように作用し、受信コイルから出力される受信レベルが低下する。したがって、受信レベルが低下したことをもって、検知子に車軸が位置したことを検知することができる(特許文献1参照)。
特開2000−6808号公報
しかしながら、上記従来の車軸検知装置は、送信コイルの交流磁界を受信コイルで受けて車軸を検知するように構成されているので、車軸が検知子に位置したときの信号の変化以外に、例えばノイズを受信した場合に受信信号のレベルが低下したり、あるいは増加して検知性能が低下するおそれがあった。
図7を用いてさらに説明すると、この図7は、受信コイルから出力された出力信号の状態を示している。この出力信号を用いた車軸検知は、信号レベルが所定のしきい値下限を越え、かつ所定のしきい値上限以下のときは「車軸なし」を検知するように構成されている(図7のイ参照)。そして、送信コイルと受信コイルとの間に列車の車輪が位置すると、すなわち検知子に車軸が位置すると信号レベルは所定のしきい値下限以下となり「車軸あり」が検知される。
ところが、何らかの原因により検知子で用いられている周波数帯と同じ周波数帯のノイズが存在すると、検知子の信号の信号波形と干渉して信号レベルが所定のしきい値上限を越えたり(図7のロ参照)、あるいは所定のしきい値下限以下となって(図7のハ参照)、「車軸あり」と誤検知するおそれがあり、このため、ノイズに強い車軸検知装置の出願が待たれていた。
そこで、本発明は、上記要望に応えるためになされたものであって、その目的は、耐ノイズ性に優れた車軸検知装置を提供することにある。
本発明に係る車軸検知装置は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、送信コイル及びその送信コイルと所定の間隔を保って設けられた受信コイルを有し、列車の走行するレールの所定の検知箇所に設けられた検知子と、所定の周波数からなる送信信号を発生させる信号発生手段と、発生された送信信号を所定の変調信号に変調処理する変調処理手段と、変調処理された信号を前記送信コイルに送信する送信手段と、前記受信コイルから信号を受信する受信手段と、受信された信号を復調処理する復調処理手段と、復調処理された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、分別された信号の値が所定のしきい値を越えるときに車軸なしと判定し、その分別された信号の値が所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段と、からなることを特徴としている。
本発明の請求項2に記載の車軸検知装置は、送信コイル及びその送信コイルと所定の間隔を保って設けられた受信コイルを有し、列車の走行するレールの所定の検知箇所に設けられた検知子と、ハイとローを交互に繰り返すパルス状の所定のデータ信号を発生させる信号発生手段と、発生されたデータ信号を所定のPN符号を用いて互いに周波数が異なり、かつ所定の順序を有する周波数成分に切替える周波数切替手段と、切替えられた信号を前記送信コイルに送信する送信手段と、前記受信コイルから信号を受信する受信手段と、受信された信号を前記PN符号と同じPN符号を用いて前記周波数切替手段で切替えられた信号と同期して切替える切替手段と、切替えられた信号から周波数成分を抽出する抽出手段と、抽出された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、分別された信号の値が所定のしきい値を越え、かつ前記データ信号中のハイ又はローの所定の時間内に1つ以上の周波数成分が所定の順序を保って存在するときに車軸なしと判定し、その所定の時間内で分別された信号の値が全て所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段と、からなることを特徴としている。
本発明の請求項3に記載の車軸検知装置は、送信コイル及びその送信コイルと所定の間隔を保って設けられた受信コイルを有し、列車の走行するレールの所定の検知箇所に設けられた検知子と、所定の周波数を有する送信信号を発生させる信号発生手段と、発生された送信信号を所定のPN符号で拡散処理して変調処理する変調処理手段と、変調処理された信号を前記送信コイルに出力する出力手段と、前記受信コイルから信号を受信する受信手段と、受信された信号を前記所定のPN符号と同じPN符号で同期して逆拡散処理して復調処理する復調処理手段と、復調処理された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、分別された値が所定のしきい値を越えるときに車軸なしと判定し、その復調処理された信号の値が所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段と、からなることを特徴としている。
本発明の請求項4に記載の車軸検知装置は、前記検知手段は、車軸なしと車軸ありとの繰返検知から車軸数も検知することを特徴としている。
本発明の請求項1に記載の車軸検知装置は、所定の周波数からなる送信信号を発生させる信号発生手段と、発生された送信信号を所定の変調信号に変調処理する変調処理手段と、変調処理された信号を検知子の送信コイルに送信する送信手段と、上記検知子の受信コイルから信号を受信する受信手段と、受信された信号を復調処理する復調処理手段と、復調処理された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、分別された信号の値が所定のしきい値を越えるときに車軸なしと判定し、その分別された信号の値が所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段とからなるので、送信コイル及び受信コイル間の車軸検知信号が符号伝送方式で行われ、耐ノイズ性に優れた車軸検知装置とすることができる。
本発明の請求項2に記載の車軸検知装置は、ハイとローを交互に繰り返すパルス状の所定のデータ信号を発生させる信号発生手段と、発生されたデータ信号を所定のPN符号を用いて互いに周波数が異なり、かつ所定の順序を有する周波数成分に切替える周波数切替手段と、切替えられた信号を検知子の送信コイルに送信する送信手段と、上記検知子の受信コイルから信号を受信する受信手段と、受信された信号を前記PN符号と同じPN符号を用いて前記周波数切替手段で切替えられた信号と同期して切替える切替手段と、切替えられた信号から周波数成分を抽出する抽出手段と、抽出された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、分別された信号の値が所定のしきい値を越え、かつ前記データ信号中のハイ又はローの所定の時間内(一つのパルス幅内)に1つ以上の周波数成分が所定の順序を保って存在するときに車軸なしと判定し、その所定の時間内で分別された信号の値が全て所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段とからなるので、特に一過性のノイズを効率よく除去できる車軸検知装置とすることができる。また、送信コイル側に接続される送信部の機器と受信コイル側に接続される受信部の機器とを同一のブロック(筐体)内に設けることができるので簡単に同期をとることができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
本発明の請求項3に記載の車軸検知装置は、所定の周波数を有する送信信号を発生させる信号発生手段と、発生された送信信号を所定のPN符号で拡散処理して変調処理する変調処理手段と、変調処理された信号を検知子の送信コイルに出力する出力手段と、上記検知子の受信コイルから信号を受信する受信手段と、受信された信号を前記所定のPN符号と同じPN符号で同期して逆拡散処理して復調処理する復調処理手段と、復調処理された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、分別された値が所定のしきい値を越えるときに車軸なしと判定し、その復調処理された信号の値が所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段とからなるので、ノイズ成分が拡散されて減衰するため、従来よりもS/N比が向上し、特に白色ノイズに対しても効率よく対処することができる。また、送信コイル側に接続される送信部の機器と受信コイル側に接続される受信部の機器とを同一のブロック(筐体)内に設けることができるので簡単に同期をとることができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
本発明の請求項4に記載の車軸検知装置において、検知手段は、車軸なしと車軸ありとの繰返検知から車軸数を検知することができるので、列車の通過状態等を効率よく検知することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る車軸検知装置を周波数ホッピング方式の符号伝送を採用して実現した車軸検知装置の概略構成を示すブロック図、図2はその車軸検知装置の信号の流れに注目したフローチャートである。
図中、1は検知子であり、図示しない列車の走行するレールRの所定の車軸検知箇所に設けられている。この検知子1には送信コイル2a及び受信コイル2bの一対のコイルが設けられていて、このうちの送信コイル2aは、レールRの一方側(図示の例では外側)に設けられ、受信コイル2bはその送信コイル2aと対向する位置でレールRの他方側(図示の例では内側)に設けられている。
これらコイル2a,2bは、当然にレールRを走行する列車の車軸(車輪)Wの移動に障害とならないように大きさと設置位置が決められて設けられているとともに、送信コイル2aから発生した交流磁界が受信コイル2bと最も効果的に交差できる配置関係を保って設けられている。したがって、送信コイル2aに所定の周波数からなる信号電流が供給されると、その送信コイル2aからは交流磁界が発生するので、その発生した交流磁界により受信コイル2bには、誘導電圧を効率よく生成されることができる。
図中、3は本発明の信号発生手段をなす発振回路であって、所定の同じ時間でハイ(図示の例では「1」)とロー(図示の例では「0」)とを交互に繰り返すパルス状の所定のデータ信号(送信データ信号)を出力できるように構成されている。そしてこの発振回路3から出力されたデータ信号は、周波数切替回路4においてPN符号発生回路5から発生された所定のPN符号を用いて切替処理(拡散処理)されて複数の周波数成分が所定の順序となる信号に変調処理されるように構成されている。
この周波数切替回路4では、説明を簡単にするために、PN符号によって生成される複数の周波数成分は、データ信号のハイ及びローの各時間内において、すなわち一つのパルス幅内において互いに周波数の異なる3つの周波数成分f1 ,f2 ,f3 で、しかもこれら周波数成分はf1 →f2 →f3 の順に出現するように決められている(後述する図3参照)。もちろんこれら周波数成分は一例であり、一つのパルス幅内に4個以上の周波数成分を含むものとすることができる。
上記周波数切替回路4から出力された信号(変調信号)は、増幅回路6で増幅処理されたのち、帯域制限回路7で周波数成分f1 ,f2 ,f3 以外の周波数成分が除去され、さらに増幅回路8で増幅処理されて送信コイル2aに供給(印加)されるように構成されている。したがって、送信コイル2aからは、供給された変調信号に対応した交流磁界を発生させることができる。
図中、9はマッチングトランスであって、受信コイル2bから出力される信号を受信して減衰器10に出力できるように構成されている。この減衰器10により所定のレベルに調整された信号は、増幅回路11に入力されて増幅処理されるように構成されている。そして、この増幅回路11から出力された信号は、切替回路12に入力されるように構成されている。
切替回路12は、上述の周波数切替回路4で用いたPN符号と同じPN符号を用いてその周波数切替回路4の切替処理(変調処理)と同期して切替処理(復調処理)されるように構成されている。すなわち切替回路12には、PN符号発生回路5から発生されたPN符号が遅延回路13を介して同期がとられて入力され、その入力されたPN符号を用いて受信コイル2bで受信された信号が切替処理されるように構成されている。
図中、14a〜14cは帯域制限回路であって、切替回路12の出力側に接続されている。これら帯域制限回路14a〜14cのうち、帯域制限回路14aは、切替回路12から出力される信号中の周波数成分f1 の信号(以下、「f1 信号」という。)のみを通過させることができるように構成され、帯域制限回路14bは、切替回路12から出力される信号中の周波数成分f2 の信号(以下、「f2 信号」という。)のみを通過させることができるように構成され、そして、帯域制限回路14cは、切替回路12から出力される信号中の周波数成分f3 の信号(以下、「f3 信号」という。)のみを通過させることができるように構成されている。
図中、15は整流器であって、各帯域制限回路14a〜14cから出力された信号を整流処理ができるように構成されている。そしてその整流器15で整流された信号は、本発明の分別手段をなすレベル判定回路16に入力されるように構成されている。このレベル判定回路16は、後述する図3に示されるように、所定のしきい値からなる「しきい値下限」及びそのしきい値下限よりも少し値の大きいしきい値からなる「しきい値上限」の2種類のしきい値を用いて分別処理ができるように構成されている。
図中、17は出力回路であって、パルス出力回路17a及びパルスカウンタ出力回路17bを含んで構成されている。このうちパルス出力回路17aは、レベル判定回路16においてしきい値下限を越え、かつしきい値上限以下の一つの信号で一つのパルス信号を形成して図示しない伝送装置に出力できるように構成されている。また、パルスカウンタ出力回路17bは、パルス出力回路17aから出力されたパルス数を計数して伝送装置に出力できるように構成されている。伝送装置では、パルス出力回路17a及びパルスカウンタ出力回路17bから得られたパルス信号に基づいて検知子1上の車軸(車輪)Wの有無と、通過した車軸数、すなわち列車の通過状態とを検知できるように構成されている。
上述の送信コイル2a側に接続される発振回路3から増幅回路8までの送信部、及び受信コイル2b側に接続されるマッチングトランス9から出力回路17までの受信部は、図示しない装置の同じブロック、すなわち同じ筐体内に設けられている。
上記構成からなる車軸検知装置の車軸検知動作を図3の波形図を用いて説明する。図3中、(a)は発振回路3から出力されて周波数切替回路4に入力されるデータ信号であり、「1」と「0」を同じ時間で繰り返すパルス状の信号であり、同図(b)は、そのデータ信号を変調処理するためのPN符号発生回路5から発生される変調信号、すなわちPN符号であり、この変調信号は、同図(b´)に示されるようにf1 信号、f2 信号、f3 信号をこの順に含んで形成されている。そして同図(c)は、データ信号をPN符号で変調処理(拡散処理)した信号で送信コイル2aに供給される信号を示している。なお、図示の例では、f1 信号は4個のピーク値を持ち、f2 信号は1個のピーク値を持ち、そしてf3 信号は2個のピーク値を持つように決められている。これらピーク値は、上述したパルス出力回路17aで検出される。
図3(d)は、受信コイル1bで受信されて切替回路12に入力される信号を示している。この図3(d)は、送信コイル2a及び受信コイル2b間に車軸Wが存在しなければ上記図3(c)と同じ波形になる性質を有している。ところで、この図3(d)において破線で示される波形は、一過性のノイズでしきい値下限以下となったことを示している。したがって、このノイズ部分に係る信号(図示の例ではf2 信号)は欠落した状態となる(図3(d´)のノイズの影響の下のf2 参照)。また、送信コイル2a及び受信コイル2b間に車軸Wが存在すると(位置すると)、波形のピーク値が連続して低下し、全てしきい値下限以下となってf1 信号、f2 信号、f3 信号は欠落した状態となる(図3(d)の車軸通過の下の同図(d´)のf1 ,f2 ,f3 参照)。
図3(e)は、同図(d)の受信波形をPN符号で切替処理して復調されて同図(a)と同じデータ信号が出現されたことを示している。そしてこのデータ信号と上述のf1 信号〜f3 信号とを用いて伝送装置において検知子1上の車軸Wの有無が判定される。この判定基準は、パルス状のデータ信号の一つのパルス幅中にf1 信号〜f3 信号のうちのいずれか1つの信号が所定の順序を保って検出されたときは車軸なしとされ、その一つのパルス幅中にf1 信号〜f3 信号の全てが検出されないときに車軸ありとされる。すなわち、一過性のノイズのために一つのパルス幅中にf1 信号〜f3 信号の全てが存在しなくとも車軸なしと判定できるように構成されている。また、車軸Wが検知されると、この車軸Wの検知は、列車の速度に対応して間欠的に出現するので、検知回数から車軸数を検知することができ、さらに検知間隔から列車速度を推定することもできる。
なお、図3(d)に示される受信波形において、ノイズ等により波形がしきい値上限を越える場合も存在するが、この場合は、車軸ありと判定することも可能であるが、車軸検知装置の異常と判定される。
上述のように、この車軸検知装置は周波数ホッピング方式の符号伝送を採用して実現したので、一過性のノイズに強い車軸検知装置とすることができる。しかも周波数ホッピング方式を採用するときに必要なPN符号発生回路5は、変復処理で兼用することができるので、同期を採るのが容易であり、また、送信コイル2a側の送信部と受信コイル2b側の受信部を同一のブロック(筐体)内に実装できるので、装置を小型化できる特長がある。
図4は、本発明に係る車軸検知装置を直接拡散方式の符号伝送を採用して実現した車軸検知装置の概略構成を示すブロック図、図5はその車軸検知装置の信号の流れに注目したフローチャートである。なお、上述した図1及び図2に示した車軸検知装置と同一構成要素には同一符号を付してその説明は省略する。
図中、20は発振回路であり、正弦波からなる送信信号を出力できるように構成されている。そしてこの送信信号は、拡散回路からなる変調回路21においてPN符号発生回路5から発生されるPN符号で変調処理(拡散処理)されるように構成されている。また、22は逆拡散回路からなる変調回路であり、受信コイル2bで受信した信号をPN符号発生回路5から発生されるPN符号を用いて同期して復調処理(逆拡散処理)できるように構成されている。なお、14は帯域制限回路であり、上述の図1に示されるように複数の帯域制限回路14a〜14cと異なり、1個の帯域制限回路で構成されている。
上記構成からなる車軸検知装置の車軸検知動作を図6の波形図を用いて説明する。図6中、(a)は発振回路20から出力される送信信号(搬送波)の正弦波を示しており、(b)はPN符号発生回路5から発生されるPN符号であり、そして(c)は、そのPN符号で拡散処理(変調処理)された波形で送信コイル2aに供給される信号を示している。
図6中、(d)は、受信コイル2bから受信された信号を復調回路22で上述のPN符号を用いて逆拡散処理(復調処理)された波形を示し、(e)はそれを帯域制限回路14でフィルタ処理された出力波形で、ノイズの除去された状態を示し、そして(f)は、整流器15で整流した波形をしきい値で分別する状態を示している。
上述の波形のうち、(a)と(e)の波形は、送信コイル2aと受信コイル2bとの間に車軸Wが存在しなければ車軸Wによって減衰せずに同一になる性質を有している。このため、図6(f)の車軸なしの部分に示されるように、下限のしきい値を越えるので、これにより車軸なしと判定される。また、送信コイル2aと受信コイル2bとの間に車軸Wが存在すると(位置すると)、受信コイル2bに受信される受信レベルが低下するので、波形のピーク値は下限のしきい値以下となり、これにより車軸ありと判定される。なお、図6(f)に示される波形において、ノイズ等により上限しきい値を越える場合も存在するが、この場合は、車軸ありと判定することも可能であるが、車軸検知装置の異常と判定される。
上述のように、この車軸検知装置は直接拡散方式の符号伝送を採用して実現したので、耐ノイズ性に優れ、さらに装置の小型化を図ることができる。すなわち、送信コイル2a側の送信部と受信コイル2b側の受信部が同一ブロック(筐体)上に構成できることから、同期回路は伝送路上の遅延時間のみを考慮すればよく、動作開始時のイニシャル処理にてタイミングを調整することで、その後の同期検出が不要になり、無線通信などに使用されているスペクトラム拡散方式と比較して処理を単純化することが可能であり、また、PN符号の特性を用いて同期検出する必要がなくなるため、常に高い相関値を用いて処理することができる特長がある。つまり、PN符号の全パターンを検知して相関値を取る手法ではなく、PN符号1チップごとに高い相関値を得ることができ、同期を得るためのPN符号1周期分の時間を必要としない特長がある。そして、この利点を用いることで、1チップごとの逆拡散によって搬送波を抽出することができる。
また、スペクトラム拡散方式のメリットとして、狭帯域のノイズが入った場合には、ノイズ成分が拡散されることで減衰するため、従来の車軸検知装置よりもSN比を向上させることができる。さらに、白色ノイズに対しては、従来では同期検出できなくなり十分な相関値が得られずSN比が劣化していたが、この車軸検知装置では、相関値による同期検出が不要のため、逆拡散後の帯域制限回路14を狭帯域化することで、その欠点を補うことが可能である。
本発明の一実施の形態に係る車軸検知装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態に係る車軸検知装置の信号の流れに注目したフローチャートである。 本発明の一実施の形態に係る車軸検知装置の車軸検知動作を示す波形図である。 本発明の他の実施の形態に係る車軸検知装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の他の実施の形態に係る車軸検知装置の信号の流れに注目したフローチャートである。 本発明の他の実施の形態に係る車軸検知装置の車軸検知動作を示す波形図である。 従来の車軸検知を示す説明図である。
符号の説明
W 車軸(車輪)
R レール
1 検知子
2a 送信コイル
2b 受信コイル
3,20 発振回路
4 周波数切替回路
5 PN符号発生回路
6 増幅回路
7 帯域制限回路
8 増幅回路
9 マッチングトランス
10 減衰器
11 増幅回路
12 切替回路
13 遅延回路
14,14a〜14c 帯域制限回路
15 整流器
16 レベル判定回路
17 出力回路
17a パルス出力回路
17b パルスカウンタ出力回路
21 変調回路
22 復調回路

Claims (4)

  1. 送信コイル及びその送信コイルと所定の間隔を保って設けられた受信コイルを有し、列車の走行するレールの所定の検知箇所に設けられた検知子と、
    所定の周波数からなる送信信号を発生させる信号発生手段と、
    発生された送信信号を所定の変調信号に変調処理する変調処理手段と、
    変調処理された信号を前記送信コイルに送信する送信手段と、
    前記受信コイルから信号を受信する受信手段と、
    受信された信号を復調処理する復調処理手段と、
    復調処理された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、
    分別された信号の値が所定のしきい値を越えるときに車軸なしと判定し、その分別された信号の値が所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段と、
    からなることを特徴とする車軸検知装置。
  2. 送信コイル及びその送信コイルと所定の間隔を保って設けられた受信コイルを有し、列車の走行するレールの所定の検知箇所に設けられた検知子と、
    ハイとローを交互に繰り返すパルス状の所定のデータ信号を発生させる信号発生手段と、
    発生されたデータ信号を所定のPN符号を用いて互いに周波数が異なり、かつ所定の順序を有する周波数成分に切替える周波数切替手段と、
    切替えられた信号を前記送信コイルに送信する送信手段と、
    前記受信コイルから信号を受信する受信手段と、
    受信された信号を前記PN符号と同じPN符号を用いて前記周波数切替手段で切替えられた信号と同期して切替える切替手段と、
    切替えられた信号から周波数成分を抽出する抽出手段と、
    抽出された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、
    分別された信号の値が所定のしきい値を越え、かつ前記データ信号中のハイ又はローの所定の時間内に1つ以上の周波数成分が所定の順序を保って存在するときに車軸なしと判定し、その所定の時間内で分別された信号の値が全て所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段と、
    からなることを特徴とする車軸検知装置。
  3. 送信コイル及びその送信コイルと所定の間隔を保って設けられた受信コイルを有し、列車の走行するレールの所定の検知箇所に設けられた検知子と、
    所定の周波数を有する送信信号を発生させる信号発生手段と、
    発生された送信信号を所定のPN符号で拡散処理して変調処理する変調処理手段と、
    変調処理された信号を前記送信コイルに出力する出力手段と、
    前記受信コイルから信号を受信する受信手段と、
    受信された信号を前記所定のPN符号と同じPN符号で同期して逆拡散処理して復調処理する復調処理手段と、
    復調処理された信号を所定のしきい値を用いて分別する分別手段と、
    分別された値が所定のしきい値を越えるときに車軸なしと判定し、その復調処理された信号の値が所定のしきい値以下のときに車軸ありと判定する判定手段と、
    からなることを特徴とする車軸検知装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載に車軸検知装置において、前記検知手段は、車軸なしと車軸ありとの繰返検知から車軸数も検知することを特徴とする車軸検知装置。
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