JP2007014946A - シリカエアロゲル膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アルコキシシランの加水分解重合により得られた湿潤ゲルを有機修飾剤と反応させて有機修飾シリカとし、それを超音波処理により分散させて有機修飾シリカ分散液を生成し、それに紫外線硬化性樹脂及び光重合開始剤を添加して塗工液を調製し、基材に塗工した後紫外線を照射することによりシリカエアロゲル膜を製造する。
【選択図】 図1
Description
(1) 湿潤ゲルの形成
シリカ骨格形成化合物及び触媒を溶媒に溶解させ、加水分解重合反応をさせた後、エージングすることにより湿潤ゲルを形成する。
(a-1) 飽和アルコキシシラン及びシルセスキオキサン
アルコキシシラン及び/又はシルセスキオキサンの加水分解重合により、シリカゾル及びシリカゲルが生成する。飽和アルコキシシランはモノマーでも、オリゴマーでも良い。飽和アルコキシシランモノマーはアルコキシル基を3つ以上有するのが好ましい。アルコキシル基を3つ以上有する飽和アルコキシシランをシリカ骨格形成原料とすることにより、優れた均一性を有する反射防止膜が得られる。飽和アルコキシシランモノマーの具体例としてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが挙げられる。飽和アルコキシシランオリゴマーとしては、上述のモノマーの縮重合物が好ましい。飽和アルコキシシランオリゴマーはモノマーの加水分解重合により得られる。
シリカ骨格形成原料として、紫外線重合性の不飽和基を有する不飽和アルコキシシラン又はシルセスキオキサンのモノマー又はオリゴマーを使用しても良い。シリカ骨格形成原料として不飽和基を有するものを使用することによって、バインダーの配合量が少ない場合にも、優れた靭性を有するシリカエアロゲル膜を得ることができる。不飽和アルコキシシランモノマーは、少なくとも一つの二重結合又は三重結合を有する有機基(以下「不飽和基」という)と、アルコキシル基とを有する。不飽和基の炭素数は2〜10であり、2〜4であるのが好ましい。
RaSi(ORb)3 ・・・(1)
(ただし、Raは不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基を示し、RbOは炭素数1〜4のアルコキシル基を示す。)により表される。
SimOm-1Ra 2m+2-xORb x ・・・(2)
(ただし、Raは不飽和結合を有しかつ炭素数2〜10の有機基を示し、RbOは炭素数1〜4のアルコキシル基を示し、mは2〜5の整数を示し、xは4〜7の整数を示す。)により表されるものが好ましい。不飽和基Ra及びアルコキシル基RbOの好ましい例は、上述のアルコキシシランモノマーのものと同じである。
溶媒は水とアルコールからなるのが好ましい。アルコールとしてはメタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましく、メタノールが特に好ましい。加水分解重縮合反応の活性の程度は、アルコキシシラン又はシルセスキオキサンのモノマー及び/又はオリゴマー(シリカ骨格形成化合物)に対する水のモル比に依存する。したがって水/アルコールのモル比は加水分解重縮合反応の進行に直接影響を及ぼすものではないが、実質的には0.1〜2とするのが好ましい。水/アルコールのモル比が2超であると、加水分解反応が速く進行し過ぎる。水/アルコールのモル比が0.1未満であると、シリカ骨格形成化合物の加水分解が十分に起こりにくい。
シリカ骨格形成化合物の水溶液に加水分解反応用の触媒を添加する。触媒は酸性であっても塩基性であっても良い。例えば酸性の触媒を含有する水溶液中でシリカ骨格形成化合物モノマーを縮合させることによってオリゴマーを得、これを塩基性触媒を含有する溶液中で重合させると、効率良く加水分解反応を進行させることができる。酸性触媒の例として塩酸、硝酸及び酢酸が挙げられる。塩基性触媒の例としてアンモニア、アミン、NaOH及びKOHが挙げられる。好ましいアミンの例としてアルコールアミン、アルキルアミン(例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、n-ブチルアミン、n-プロピルアミン。)が挙げられる。
溶媒/アルコキシシランのモル比が3〜100となるように、シリカ骨格形成化合物を溶媒に溶解するのが好ましい。モル比を3未満とするとアルコキシシランの重合度が高くなり過ぎ、モル比を100超とするとアルコキシシランの重合度が低くなり過ぎる。触媒/アルコキシシランのモル比は1×10-7〜1×10-1にするのが好ましく、1×10-2〜1×10-1にするのがより好ましい。モル比が1×10-7未満であると、アルコキシシランの加水分解反応が十分に起こらない。モル比を1×10-1超としても、触媒効果は増大しない。また水/アルコキシシランのモル比は0.5〜20にするのが好ましく、5〜10にするのが更に好ましい。
加水分解により縮合したシリカ骨格形成化合物を含有する溶液を、約20〜60時間25〜90℃で静置するかゆっくり撹拌することにより、エージングする。エージングによりゲル化が進行し、酸化ケイ素を含有する湿潤ゲルが生成する。本明細書中、「酸化ケイ素を含有する湿潤ゲル」は、酸化ケイ素からなる粒子と溶媒とを含有する湿潤状態のゲルを意味する。
湿潤ゲルの分散媒は、エージングを促進したり遅らせたりする表面張力及び/又は固相−液相の接触角や、有機修飾工程における表面修飾の範囲に影響する他、後述する塗工工程における分散媒の蒸発率にも関係する。ゲルに取り込まれている分散媒は、別の分散媒を注ぎ、振とうした後でデカンテーションする操作を繰り返すことによって別の分散媒に置換することができる。分散媒の置換は有機修飾反応の前でも後でも良いが、工程数を少なくする観点から、有機修飾反応の前に行うのが好ましい。
(a) 有機修飾剤
湿潤ゲルに有機修飾剤溶液を加えることにより、湿潤ゲルを構成する酸化ケイ素の末端にある水酸基等の親水性基を疎水性の有機基に置換する。有機修飾剤との反応を効率的に進行させるために、5〜30 mm角程度に切断して表面積を大きくした湿潤ゲルに有機修飾剤溶液を加えるのが好ましい。
好ましい飽和有機修飾剤は下記式(3)〜(8)
Rc pSiClq ・・・(3)
Rc 3SiNHSiRc 3 ・・・(4)
Rc pSi(OH)q ・・・(5)
Rc 3SiOSiRc 3 ・・・(6)
Rc pSi(ORb)q ・・・(7)
Rc pSi(OCOCH3)q ・・・(8)
(ただしpは1〜3の整数を示し、qはq = 4−p の条件を満たす1〜3の整数を示し、RbOは炭素数1〜4のアルコキシル基を示し、Rcは水素、炭素数1〜18の置換又は無置換のアルキル基、又は炭素数5〜18の置換又は無置換のアリール基を示す。)のいずれかにより表される化合物、又はそれらの混合物である。
不飽和有機修飾剤を使用すると、バインダーの配合量が少ない場合にも、優れた靭性を有するシリカエアロゲル膜を得ることができる。不飽和有機修飾剤の好ましい例は、下記式(9)〜(14)
Rd pSiClq ・・・(9)
Rd 3SiNHSiRd 3 ・・・(10)
Rd pSi(OH)q ・・・(11)
Rd 3SiOSiRd 3 ・・・(12)
Rd pSi(ORd)q ・・・(13)
Rd pSi(OCOCH3)q ・・・(14)
(ただしpは1〜3の整数であり、qはq = 4−p の条件を満たす1〜3の整数を示し、Rdは紫外線重合性不飽和結合を有し、炭素数が2〜10の有機基を示す。)により表される。不飽和基Rdはメチル基、エチル基等の置換基を有してもよい。不飽和基Rdの例としてビニル基、アリル基、メタクリロキシ基、アミノプロピル基、グリシドキシ基、アルケニル基及びプロパルギル基が挙げられる。不飽和有機修飾剤は一種でも二種以上でも良い。また不飽和有機修飾剤に飽和有機修飾剤を併用しても良い。
有機修飾剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の炭化水素類、アセトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物のような溶媒に溶解するのが好ましい。有機修飾剤の種類や濃度にもよるが、有機修飾反応は10〜40℃で進行させるのが好ましい。10℃未満であると、有機修飾剤が酸化ケイ素と反応しにくい。40℃超であると、有機修飾剤が酸化ケイ素以外の物質と反応し易過ぎる。反応中、溶液の温度及び濃度に分布が生じないように、溶液を撹拌するのが好ましい。例えば有機修飾剤溶液がトリエチルクロロシランのヘキサン溶液の場合、10〜40℃で20〜40時間(例えば30時間)程度保持すると、シラノール基が十分にシリル化される。
超音波処理により、ゲル状及び/又はゾル状有機修飾シリカを塗工に好適な状態にすることができる。ゲル状の有機修飾シリカの場合、超音波処理により、電気的な力若しくはファンデルワールス力によって凝集していたゲルが解離するか、ケイ素と酸素との共有結合が壊れて、分散状態になると考えられる。ゾル状の場合も、超音波処理によってコロイド粒子の凝集を少なくすることができる。超音波処理には、超音波振動子を利用した分散装置を使用することができる。照射する超音波の周波数は10〜30 kHzとするのが好ましい。出力は300〜900 Wとするのが好ましい。
有機修飾シリカのバインダーとして作用する紫外線硬化性樹脂は、有機修飾シリカの分散液と相溶性を有するのが好ましい。紫外線硬化性樹脂を溶解しえるとともに、有機修飾シリカ分散液と相溶性を有する溶媒であれば、特に限定されない。従って、有機修飾シリカ分散液の置換分散媒として上に記載したものの中から適宜選択すれば良い。
塗工液は、有機修飾シリカと、一種又は二種以上の紫外線硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含有する。塗工液は、(a)有機修飾シリカを含有する分散液と、紫外線硬化性樹脂及び重合開始剤を含有する溶液とを混合するか、(b)有機修飾シリカ及び重合開始剤を含有する分散液と、紫外線硬化性樹脂を含有する溶液とを混合するか、(c) 有機修飾シリカ及び光重合開始剤を含有する分散液と、紫外線硬化性樹脂及び光重合開始剤を含有する溶液とを混合するか、(d) 有機修飾シリカを含有する分散液と紫外線硬化性樹脂を含有する溶液とを混合した後に光重合開始剤を添加することにより、調製することができる。混合前の分散液の有機修飾シリカの含有量は、上述のように、分散媒に対して0.1〜20質量%とするのが好ましい。フルオロオレフィン系共重合体をバインダーとする場合、共重合体の濃度は0.5〜2.0質量%とするのが好ましい。
(1) 塗工
塗工液を基材等に塗工すると、分散媒が揮発し、有機修飾シリカ、紫外線硬化性樹脂及び光重合開始剤からなる膜が形成される。塗工方法の例としてスプレーコート法、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法及びバーコート法が挙げられる。好ましい塗工方法は、スプレーコート法である。スプレーコート法に拠ると、凹凸のある面にも、均一な厚さで有機修飾シリカ含有ゾルからなる層を形成できる。
塗工液中の溶媒は揮発性であるので、自然乾燥でも良いが、50〜100℃に加熱すると乾燥を促進することができる。有機修飾シリカの空隙率は、分散媒が揮発している間は、毛管圧によって生じるゲルの収縮のために小さくなるが、揮発し終わると、スプリングバック現象によって回復する。このため乾燥によって得られる有機修飾シリカエアロゲル膜の空隙率は、ゲルネットワークの元々の空隙率とほぼ同じであり、大きな値を示す。シリカゲルネットワークの収縮及びスプリングバック現象については、米国特許5,948,482号に詳細に記載されている。
有機修飾シリカと、紫外線硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含有する塗工膜に紫外線を照射し、紫外線硬化性樹脂、又は紫外線硬化性樹脂及び有機修飾シリカの不飽和基を重合させる。紫外線照射装置を用いて塗工膜に50〜10000 mJ/cm2程度の紫外線を照射するのが好ましい。塗工膜の厚さにも依るが、10〜2000 nm程度の場合、照射時間は1〜30秒程度とするのが好ましい。
塗工膜は50〜150℃で焼成するのが好ましい。焼成によって層中の溶媒や表面の水酸基等を除去し、膜の強度を大きくすることができる。また焼成温度が50〜150℃程度であれば、分解はほとんど起こらないので、焼成後のシリカエアロゲル膜は紫外線硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂と有機修飾シリカの不飽和基の重合によって形成した硬化樹脂を有する。
図1は本発明のシリカエアロゲル膜の断面を概略的に示す。シリカエアロゲル膜は、Si-O-Si結合を有する有機修飾シリカエアロゲル1と、紫外線重合により得られた硬化樹脂層2とからなる多孔質膜である。シリカエアロゲル膜は高温に加熱を要することなく形成できるので、シリカエアロゲル膜が形成される基材10はポリオレフィン系等非耐熱性のものでも良い。紫外線重合により形成した硬化樹脂層2は有機修飾シリカエアロゲル1の表面及び空隙の内壁を被覆するものの、有機修飾シリカエアロゲル1の空隙を完全に埋めていないので、シリカエアロゲル膜はナノメートルサイズの空隙1aを有する。
[飽和アルコキシシラン(シリカ骨格形成化合物)+飽和クロロシラン(有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(1-i) シリカ湿潤ゲルの作製
テトラエトキシシラン5.21 gと、エタノール4.38 gとを混合した後、塩酸(0.01 N)0.4 gを加えて90分間撹拌した後、エタノール44.3 gと、アンモニア水溶液(0.02 N)0.5 gとを添加して46時間撹拌した。得られた混合液を60℃に昇温して46時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
シリカ湿潤ゲルにエタノールを加えて10時間振とうした後デカンテーションすることにより、未反応物等を除去するとともに湿潤ゲルの分散媒をエタノールに置換した。次いで、エタノール分散湿潤ゲルにメチルイソブチルケトン(MIBK)を加えて10時間振とうし、デカンテーションすることにより、エタノール分散媒をMIBKに置換した。
2−プロペン−1−オール及びパーフルオロ−3,6−ジオキサオクタン−1,8−二酸を0.5 molずつジエチルエーテル/MIBK混合溶媒に入れ、脱水縮合反応させた。得られたエステル化合物と、1H,1H,6H,6H-パーフルオロ-1,6-ヘキサンジオールジアクリレートとを共重合させた。得られた共重合体と、光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンとをMIBKに溶解して紫外線硬化性樹脂溶液を調製した。紫外線硬化性樹脂溶液中の共重合体の濃度は10質量%とし、重合開始剤の濃度は0.5質量%とした。
工程(1-ii)で得た有機修飾シリカ分散液と工程(1-iii)で得た紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をシリコン基材の一面にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で1時間焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[飽和アルコキシシラン(シリカ骨格形成化合物)+飽和クロロシラン(有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(2-i) シリカ湿潤ゲルの作製
メチルシリケート(MS51、平均構造がテトラメトキシシラン3量体)5.90gと、メタノール50.55 gとを混合した後、アンモニア水(0.05 N)3.20 gを加えて30分間撹拌した。得られた混合液を室温で72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(2-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、トリメチルクロロシランを反応させた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度3質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによってゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。
工程(2-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をシリコン基材の一面にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射し、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[不飽和アルコキシシラン(シリカ骨格形成化合物)+飽和クロロシラン(有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(3-i) 不飽和結合を有するシリカ湿潤ゲルの作製
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 6.21 gと、メタノール3.04 gとを混合した後、塩酸(0.01 N)0.4 gを加えて60℃で3時間撹拌した。これにメタノール30.8 gとアンモニア水溶液(0.02 N)0.5 gとを添加して48時間撹拌した後、60℃に昇温して72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(3-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、トリメチルクロロシランを反応させた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度1質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによってゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。有機修飾シリカ分散液に光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンをシリカの固形分濃度に対して3質量%添加した。
工程(3-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)と同じ方法で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をガラス基板上にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[飽和アルコキシシラン(シリカ骨格形成化合物)+不飽和クロロシラン(有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(4-i) シリカ湿潤ゲルの作製
メチルシリケート(MS51、平均構造がテトラメトキシシラン3量体)5.90gと、メタノール50.55 gとを混合した後、アンモニア水(0.05 N)3.20 gを加えて30分間撹拌した。得られた混合液を室温で72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(4-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、MIBKを溶媒とするアリルジメチルクロロシラン溶液(濃度5体積%)を加えて反応させた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度1質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによってゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。この有機修飾シリカ分散液に光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンをシリカの固形分濃度に対して3質量%添加した。
工程(4-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)と同じ方法で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をガラス基板上にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[不飽和アルコキシシラン(シリカ骨格形成化合物)+不飽和クロロシラン(有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(5-i) 不飽和結合を有するシリカ湿潤ゲルの作製
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 6.21 gと、メタノール3.04 gとを混合した後、塩酸(0.01 N)0.4 gを加えて60℃で3時間撹拌した。メタノール30.8 gとアンモニア水溶液(0.02 N)0.5 gとを添加して48時間撹拌した後、得られた混合液を60℃に昇温して72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(5-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、アリルジメチルクロロシラン溶液(濃度5体積%)を加えて反応させた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度1質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによりゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。この有機修飾シリカ分散液に光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンをシリカの固形分濃度に対して3質量%添加した。
工程(5-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)と同じ方法で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をガラス基板上にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[飽和アルコキシシラン:不飽和アルコキシシラン(1:2) (シリカ骨格形成化合物)+飽和クロロシラン(有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(6-i) 不飽和結合を有するシリカ湿潤ゲルの作製
メチルシリケート(MS51、平均構造がテトラメトキシシラン3量体)2.37gと、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.22 gと、メタノール40.44 gとを混合した後、アンモニア水(0.05 N)2.56 gを加えて30分間撹拌した。得られた混合液を室温で72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(6-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、トリメチルクロロシラン溶液(濃度5体積%)を加えて反応させた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度1質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによりゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。この有機修飾シリカ分散液に光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンをシリカの固形分濃度に対して3質量%添加した。
工程(6-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)と同じ方法で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をガラス基板上にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[飽和アルコキシシラン:不飽和アルコキシシラン(1:2) (シリカ骨格形成化合物)+不飽和クロロシラン(有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(7-i) 不飽和結合を有するシリカ湿潤ゲルの作製
メチルシリケート(MS51、平均構造がテトラメトキシシラン3量体)2.37gと、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン3.22 gと、メタノール40.44 gとを混合した後、アンモニア水(0.05 N)2.56 gを加えて30分間撹拌した。得られた混合液を室温で72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(7-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、アリルジメチルクロロシラン溶液(濃度5体積%)を加えた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度1質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによりゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。この有機修飾シリカ分散液に光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンをシリカの固形分濃度に対して3質量%添加した。
工程(7-ii)で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)と同じ方法で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をガラス基板上にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[飽和アルコキシシラン(シリカ骨格形成化合物)+飽和クロロシラン:不飽和クロロシラン(1:1) (有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(8-i) シリカ湿潤ゲルの作製
メチルシリケート(MS51、平均構造がテトラメトキシシラン3量体)5.90gと、メタノール50.55 gとを混合した後、アンモニア水(0.05 N)3.20 gを加えて30分間撹拌した。得られた混合液を室温で72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(8-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、MIBKを溶媒とするトリメチルクロロシランとアリルジメチルクロロシランの混合溶液(体積比;メチルイソブチルケトン:トリメチルクロロシラン:アリルジメチルクロロシラン=90:5:5)を加えた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度1質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによりゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。この有機修飾シリカ分散液に光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンをシリカの固形分濃度に対して3質量%添加した。
工程(8-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)と同じ方法で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をガラス基板上にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[不飽和アルコキシシラン(シリカ骨格形成化合物)+飽和クロロシラン:不飽和クロロシラン(1:1) (有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(9-i) 不飽和結合を有するシリカ湿潤ゲルの作製
3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 6.21 gと、メタノール3.04 gとを混合した後、塩酸(0.01 N)0.4 gを加えて60℃で3時間撹拌した。メタノール30.8 gとアンモニア水溶液(0.02 N)0.5 gとを添加して48時間撹拌した後、得られた混合液を60℃に昇温して72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(9-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、MIBKを溶媒とするトリメチルクロロシランとアリルジメチルクロロシランの混合溶液(体積比;メチルイソブチルケトン:トリメチルクロロシラン:アリルジメチルクロロシラン=90:5:5)を加えた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度1質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによりゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。この有機修飾シリカ分散液に光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンをシリカの固形分濃度に対して3質量%添加した。
工程(9-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)と同じ方法で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をガラス基板上にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
[飽和アルコキシシラン:不飽和アルコキシシラン(1:2) (シリカ骨格形成化合物)+飽和クロロシラン:不飽和クロロシラン(1:1)(有機修飾剤)+紫外線硬化性樹脂]
(10-i) 不飽和結合を有するシリカ湿潤ゲルの作製
メチルシリケート(MS51、平均構造がテトラメトキシシラン3量体)2.37gと、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 3.22 gと、メタノール40.44 gとを混合した後、アンモニア水(0.05 N)2.56 gを加えて30分間撹拌した。得られた混合液を室温で72時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
工程(10-i)で得た湿潤ゲルの分散媒をエタノール、MIBKの順に置換した後、MIBKを溶媒とするトリメチルクロロシランとアリルジメチルクロロシランの混合溶液(体積比;メチルイソブチルケトン:トリメチルクロロシラン:アリルジメチルクロロシラン=90:5:5)を加えた以外実施例1の工程(1-ii)と同様にして、有機修飾シリカ湿潤ゲルを得た。有機修飾シリカ湿潤ゲルにMIBKを加えて濃度1質量%にした後、実施例1の工程(1-ii)と同様に超音波照射することによりゾル状有機修飾シリカ(有機修飾シリカ分散液)を生成した。この有機修飾シリカ分散液に光重合開始剤として2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オンをシリカの固形分濃度に対して3質量%添加した。
工程(10-ii) で得た有機修飾シリカ分散液と、実施例1の工程(1-iii)と同じ方法で調製した紫外線硬化性樹脂溶液とを9:1の体積比で混合し、塗工液とした。
塗工液をガラス基板上にディップコートし、40℃で5分間乾燥し、紫外線照射装置(フュージョンシステムズ社製)を用いて1500 mJ/cm2で紫外線照射した後、150℃で焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
(A-i) 有機修飾シリカ含有ゾルの作製
テトラエトキシシラン5.21 gと、エタノール4.38 gとを混合した後、塩酸(0.01 N)0.4 gを加えて90分間撹拌した。エタノール44.3 gと、アンモニア水溶液(0.02 N)0.5 gとを添加して46時間撹拌した後、得られた混合液を60℃に昇温して46時間エージングしたところ、湿潤ゲルが生成した。
(A-i)で得られた有機修飾シリカ分散液をシリコン基材の一面にディップコートし、40℃で5分間乾燥した後、150℃で1時間焼成し、シリカエアロゲル膜を形成した。
1a・・・空隙
2・・・バインダー
10・・・基材
Claims (11)
- 有機修飾シリカ、紫外線硬化性樹脂及び光重合開始剤を含有する層を形成し、前記層に紫外線を照射することを特徴とするシリカエアロゲル膜の製造方法。
- 請求項1に記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、(a) 前記有機修飾シリカを含有する分散液と、前記紫外線硬化性樹脂及び前記光重合開始剤を含有する溶液とを混合するか、(b) 前記有機修飾シリカ及び前記光重合開始剤を含有する分散液と、前記紫外線硬化性樹脂を含有する溶液とを混合するか、(c) 前記有機修飾シリカ及び前記光重合開始剤を含有する分散液と、前記紫外線硬化性樹脂及び前記光重合開始剤を含有する溶液とを混合するか、(d) 前記有機修飾シリカを含有する分散液と前記紫外線硬化性樹脂を含有する溶液とを混合した後に前記光重合開始剤を添加することにより塗工液を調製し、前記塗工液用いて前記層を形成することを特徴とする方法。
- 請求項1又は2に記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記紫外線硬化性樹脂として、重合反応によって1.33〜1.5の屈折率を有する硬化樹脂となるものを用いることを特徴とする方法。
- 請求項2又は3に記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、アルコキシシラン及び/又はシルセスキオキサンの加水分解重合によって湿潤ゲルを生成し、前記湿潤ゲルを有機修飾剤と反応させ、得られた前記有機修飾シリカを超音波処理によって分散させることにより、前記有機修飾シリカを含有する分散液を得ることを特徴とする方法。
- 請求項2〜4のいずれかに記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記分散液の分散媒をカルボン酸エステル、ケトン及びアルコールからなる群より選ばれた少なくとも一種とすることを特徴とする方法。
- 請求項4又は5に記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記湿潤ゲルの溶媒を炭素数1〜3のアルコールとすることを特徴とする方法。
- 請求項4〜6のいずれかに記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記アルコキシシランとして不飽和基及びアルコキシル基を有するモノシランを用いることを特徴とする方法。
- 請求項4〜7のいずれかに記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記有機修飾剤としてシランカップリング剤を用いることを特徴とする方法。
- 請求項4〜8のいずれかに記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記有機修飾剤として紫外線重合性の不飽和基を有するものを用いることを特徴とする方法。
- 請求項4〜9のいずれかに記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記アルコキシシランとして不飽和基及びアルコキシル基を有するモノシランを用い、酸触媒を用いて前記モノシランを重合させることによってオリゴマーを生成し、塩基触媒を用いて前記オリゴマーを重合させることによって前記湿潤ゲルを得ることを特徴とする方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のシリカエアロゲル膜の製造方法において、前記層に紫外線を照射した後、50〜150℃で焼成することを特徴とする方法。
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