JP2007008434A - 自動二輪車のフレーム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ヘッドパイプ3から車体後方に延びるメインフレーム10と、このメインフレーム10の下側に延在し、ヘッドパイプ3から車体下方に延びるダウンチューブ20Aとを含むフレーム構成部を備えた自動二輪車のフレーム2において、ヘッドパイプ3とダウンチューブ20Aとの接続部90を鍛造品で構成し、その他のフレーム構成部を鋳造品で構成するようにした。この場合、上記接続部90を除くヘッドパイプ3の一部3Aと、メインフレーム10と、ダウンチューブ20Aと、補強フレーム24とをアルミニウム大型鋳造により一体的に成形するようにした。
【選択図】 図2
Description
この種のものでは、ヘッドパイプ、メインフレーム及びダウンチューブ等のフレーム構成部を、マグネシウム合金等の軽金属材料によって一体に鋳造成形し、車体の軽量化を図ったものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、トライアル競技用の自動二輪車を使用したトライアル競技では例えば10mもの高さから落下する場合があるため、トライアル競技用の自動二輪車には、その衝撃に耐え得る強度が要求されている。
この発明によれば、ヘッドパイプとダウンチューブとの接続部を強度とじん性に優れた鍛造品で構成し、その他、ダウンチューブ等のフレーム構成部を鋳造品で構成したので、フレームの軽量化を維持しつつ、ヘッドパイプとダウンチューブとの接続部(いわゆる「あご下」)の強度が向上し、ジャンプ時等の衝撃によるクラックの発生を回避可能なフレーム剛性を得ることができる。また、上記その他、ダウンチューブ等のフレーム構成部を大型鋳造で一体成形することによって、フレーム製造時の溶接作業の省力化を図ることもできる。
この発明によれば、ヘッドパイプ、メインフレーム及びダウンチューブ並びにロアーパイプを鋳造品で構成し、メインフレームとダウンチューブとを鍛造品のピボットプレートで接続したので、フレームの軽量化を維持しつつピボットプレートの強度を向上させることができ、ジャンプ時等の衝撃によるクラックの発生を回避可能なフレーム剛性を得ることができる。また、ヘッドパイプ、メインフレーム及びダウンチューブ並びにロアーパイプを大型鋳造で一体成形することによって、フレーム製造時の溶接作業の省力化を図ることもできる。
この発明によれば、ダウンチューブとロアーパイプを連結するジョイントを、強度とじん性に優れた鍛造品で構成し、その他のフレーム構成部を鋳造品で構成したので、フレームの軽量化を維持しつつダウンチューブとロアーパイプとの連結強度を向上させることができ、ジャンプ時等の衝撃によるクラックの発生を回避可能なフレーム剛性を得ることができる。また、上記その他、ダウンチューブ等のフレーム構成部を大型鋳造で一体成形することによって、フレーム製造時の溶接作業の省力化を図ることもできる。
この発明によれば、ヘッドパイプ及びダウンチューブの接続部と、メインフレームとロアーパイプとを連結するピボットプレートと、ダウンチューブ及びロアーパイプを連結するジョイントとの少なくとも2カ所を強度とじん性に優れた鍛造品で構成し、その他、ダウンチューブ等のフレーム構成部を鋳造品で構成したので、フレームの軽量化を維持しつつ上記鍛造品によりフレーム剛性を向上させることができ、ジャンプ時等の衝撃によるクラックの発生を回避可能なフレーム剛性を得ることができる。また、上記その他、ダウンチューブ等のフレーム構成部の各鋳造品を大型鋳造で一体成形することによって、フレーム製造時の溶接作業の省力化を図ることもできる。
また、本発明は、ヘッドパイプから車体後方に延びるメインフレームと、このメインフレームの下側に延在し、ヘッドパイプから車体下方に延びるダウンチューブと、このダウンチューブに連なるロアーパイプとを含むフレーム構成部を備えた自動二輪車のフレームにおいて、前記ヘッドパイプと、前記ダウンチューブと、このダウンチューブ及び前記ロアーパイプを接続するジョイントとを一体鋳造し、この一体鋳造品のあご下に鍛造品の補強体を溶接したことを特徴とする。
これら発明では、ヘッドパイプとダウンチューブとを一体鋳造し、或いは、ヘッドパイプと、ダウンチューブと、このダウンチューブ及びロアーパイプを接続するジョイントとを一体鋳造したから、製造コストが低減され、しかも、この一体鋳造品のあご下に鍛造品の補強体を溶接したから、「あご下」の剛性が向上する。
また、上記各発明において、前記鍛造品及び前記鋳造品を、それぞれアルミニウム製の鍛造品及び鋳造品とし、フレームの軽量化を図ることが好ましい。
(1)第1実施形態
図1は、本実施形態に係るモトクロス競技用の自動二輪車(モトクロス車両)の全体構成を示す側面図であり、図2は車体フレームを示す斜視図であり、図3はその側面図、図4は背面図、図5は車体フレームを斜め上方から見た図である。
この自動二輪車1の車体フレーム2は、図1に示すように、ヘッドパイプ3から車体後方に延びる左右一対のメインフレーム10と、メインフレーム10の下側をヘッドパイプ3から車体下方に延びるダウンチューブ20Aと、このダウンチューブ20Aにジョイント20Cを介して連なり、車体下方を後方に延びる左右一対のロアーパイプ20Bと、メインフレーム10の後端とロアーパイプ20Bの後端とを連結する左右一対のピボットプレート30と、ピボットプレート30から車体後方に延出するリアフレーム40とを備えて構成されている。なお、20は、ダウンチューブ20A、ロアーパイプ20B、ジョイント20Cで構成されるダウンフレームを指し示す。
この車体フレーム2は、上記メインフレーム10、ダウンチューブ20A及びピボットプレート30に囲まれる間隙内にエンジン4を懸架するクレードル型のフレームに構成されている。
上記湾曲部30Aには、車体左右方向に貫通する貫通孔31が形成され、これら貫通孔31には、枢軸32が挿通されて軸支され、この枢軸32には、後輪70を軸支するリアフォーク71の前端が上下に揺動自在に支持される。また、後輪70とエンジン4の出力軸5Aには、各々スプロケット72、73が設けられ、スプロケット72、73にはドライブチェーン74が巻回され、このドライブチェーン74を介してエンジン4の動力が後輪70に伝達される。
本実施形態では、図2及び図3に示すように、上記ヘッドパイプ3の一部3Aと、メインフレーム10と、ダウンチューブ20Aと、補強フレーム24とが、アルミニウム大型鋳造により一体に成形されている。そして、ヘッドパイプ3とダウンチューブ20Aとの、図中、太線で示す接続部(以下、補強体という)90がアルミニウム鍛造品とされ、その他のフレーム構成部、すなわち、上述したヘッドパイプ3の一部3A、メインフレーム10、ダウンチューブ20A、補強フレーム24の他、ロアーパイプ20B、ジョイント20C、ピボットプレート30等が全てアルミニウム鋳造品とされている。
このアルミニウム鋳造品は、鋳物用アルミニウム合金を用いて例えば金型鋳造され、或いはダイカスト、さらには中空ダイカストであってもよい。
また、アルミニウム鍛造品は、アルミニウム鋳造品に比して強度とじん性が高く、鍛造用アルミニウム合金、例えば高力合金、耐熱合金、耐食合金等を用いて型鍛造により製造され、冷間鍛造品であってもよい。ここで、アルミニウムにはアルミニウム合金の他、純アルミニウムを含む。
図6乃至図9は、第2実施形態を示す。
この実施形態では、メインフレーム10の後端とダウンチューブ20の後端とを連結する左右一対のピボットプレート300(図中、太線で示す)だけがアルミニウム鍛造品とされ、その他のフレーム構成部がアルミニウム鋳造品とされている。
上記湾曲部30Aには、車体左右方向に貫通する貫通孔31が形成され、これら貫通孔31には、図1と同様に、枢軸32を介して、後輪70を軸支するリアフォーク71の前端が上下に揺動自在に支持され、湾曲部300A間の下方には、図8に示すように、クロスメンバを兼ねるロッド用ブラケット33が設けられる。このロッド用ブラケット33には、図1と同様に、ロッド75の一端が回動自在に連結され、このロッド75の他端は、リアサスペンション80の下端が連結された連結体76に連結されて、この連結体76のリアフォーク71との連結支点71Cを基準とする回動方向への動きを抑制する。
また、図7に示すように、このブラケット34と上記湾曲部30Aとには、連結部35A、35Bが設けられ、各連結部35A、35Bには、図1と同様に、リアフレーム40のアルミニウムパイプ40A、40Bの一端が各々連結され、これによって、リアフレーム40がピボットプレート300に支持される。
また、この車体フレーム2では、第1実施形態で説明したアルミニウム鍛造製の補強体90を備えておらず、ヘッドパイプ3と、メインフレーム10と、ダウンチューブ20Aと、補強フレーム24とが、アルミニウム大型鋳造により一体的に成形され、これ以外のピボットプレート300を除くフレーム構成部、すなわち、ロアーパイプ20B及びジョイント20C等が全てアルミニウム鋳造品とされている。上記以外の構成は、上記第1実施形態の構成と同一であるので、その説明を省略する。
しかも、本実施形態では、アルミニウム鍛造品が上記ピボットプレート300のみで、それ以外の車体フレーム2を構成する部品、すなわち、ヘッドパイプ3、メインフレーム10、ダウンチューブ20A等が、アルミニウム鍛造に比して製造コストが低いアルミニウム鋳造製で構成されるので、フレームの軽量化を維持しつつフレーム剛性を確保可能で、かつ、製造コストが低いフレームが得られ、更に、大型鋳造品を採用するので、フレーム形状の自由度が向上する。
図10乃至図12は、第3実施形態を示す。
この実施形態では、ダウンチューブ20Aとロアーパイプ20Bとを連結するジョイント200C(図中、太線で示す)だけがアルミニウム鍛造品とされ、その他のフレーム構成部がアルミニウム鋳造品とされている。
しかも、本実施形態では、アルミニウム鍛造品がジョイント200Cのみで、それ以外の車体フレーム2を構成する部品、すなわち、ヘッドパイプ3、メインフレーム10、ダウンチューブ20A及びピボットプレート30等が、アルミニウム鍛造に比して製造コストが低いアルミニウム鋳造製で構成されるので、上記各実施形態と同様に、フレームの軽量化を維持しつつフレーム剛性を確保可能で、かつ、製造コストが低いフレームが得られ、更に、大型鋳造品を採用するので、フレーム形状の自由度が向上する。
図13は、第4実施形態を示す。
この実施形態では、ヘッドパイプ3の一部3Aとダウンチューブ20Aとが一体鋳造され、この一体鋳造品に対して、同じく鋳造品のメインフレーム10等の各フレーム構成部を溶接により接合すると共に、この一体鋳造品の「あご下」に強度とじん性に優れたアルミニウム鍛造品の補強体90を溶接してフレームが構成されている。この構成では、ヘッドパイプ3の一部3Aとダウンチューブ20Aとを一体鋳造したから、製造コストが低減され、しかも、この一体鋳造品の「あゴ下」に鍛造品の補強体90を溶接したから、「あご下」の剛性が向上する。
しかも、本実施形態では、アルミニウム鍛造品が補強体90のみで、それ以外の車体フレーム2を構成する部品、すなわち、ヘッドパイプ3、メインフレーム10、ダウンチューブ20A及びピボットプレート30等が、アルミニウム鍛造に比して製造コストが低いアルミニウム鋳造製で構成されるので、上記各実施形態と同様に、フレームの軽量化を維持しつつフレーム剛性を確保可能で、かつ、製造コストが低いフレームが得られ、更に、大型鋳造品を採用するので、フレーム形状の自由度が向上する。
図14は、第5実施形態を示す。
この実施形態では、ヘッドパイプ3の一部3Aと、ダウンチューブ20Aと、ダウンチューブ20A及びロアーパイプ20Bを接続するジョイント20Cとが一体鋳造され、この一体鋳造品に対して、同じく鋳造品のメインフレーム10等の各フレーム構成部を溶接により接合すると共に、この一体鋳造品の「あご下」に強度とじん性に優れたアルミニウム鍛造品の補強体90を溶接してフレームが構成されている。この構成では、ヘッドパイプ3の一部3Aとダウンチューブ20Aとジョイント20Cとを一体鋳造したから、製造コストが低減され、しかも、この一体鋳造品の「あご下」に鍛造品の補強体90を溶接したから、「あご下」の剛性が格段に向上する。
しかも、本実施形態では、アルミニウム鍛造品が補強体90のみで、それ以外の車体フレーム2を構成する部品、すなわち、ヘッドパイプ3、メインフレーム10、ダウンチューブ20A及びピボットプレート30等が、アルミニウム鍛造に比して製造コストが低いアルミニウム鋳造製で構成されるので、フレームの軽量化を維持しつつフレーム剛性を確保可能で、かつ、製造コストが低いフレームが得られ、更に、大型鋳造品を採用するので、フレーム形状の自由度が向上する。
更に、上記各実施形態では、本発明を、ダウンチューブ20Aがヘッドパイプ3からは1本で延びた後、エンジン4の前方で2本となるセミダブルクレードル型の車体フレームに適用する場合について説明したが、ダウンチューブがヘッドパイプ3から2本のまま車体下方に延びて後方に延在するダブルクレードル型の車体フレーム等にも適用することが可能である。また、本発明は、モトクロス車両やトライアル車両等のオフロード用の自動二輪車の他、オンロード用の自動二輪車の車体フレームに広く適用することができる。
2 車体フレーム
3 ヘッドパイプ
4 エンジン
10 メインフレーム
13、26、27 エンジンハンガ
20A ダウンチューブ
20B ロアーパイプ
20C、200C ジョイント
24 補強フレーム
30、300 ピボットプレート
40 リアフレーム
56 燃料タンク
57 シート
61 フロントフォーク
71 リアフォーク
90 補強体
90A パイプ部
90B 延長部
90C 湾曲面
Claims (7)
- ヘッドパイプから車体後方に延びるメインフレームと、このメインフレームの下側に延在し、ヘッドパイプから車体下方に延びるダウンチューブとを含むフレーム構成部を備えた自動二輪車のフレームにおいて、前記ヘッドパイプと前記ダウンチューブとの接続部を鍛造品で構成し、その他のフレーム構成部を鋳造品で構成したことを特徴とする自動二輪車のフレーム。
- ヘッドパイプから車体後方に延びるメインフレームと、このメインフレームの下側に延在し、ヘッドパイプから車体下方に延びるダウンチューブと、このダウンチューブに連なるロアーパイプとを含むフレーム構成部を備えた自動二輪車のフレームにおいて、前記メインフレームと前記ロアーパイプとを鍛造品のピボットプレートで接続し、その他のフレーム構成部を鋳造品で構成したことを特徴とする自動二輪車のフレーム。
- ヘッドパイプから車体後方に延びるメインフレームと、このメインフレームの下側に延在し、ヘッドパイプから車体下方に延びるダウンチューブと、このダウンチューブに連なるロアーパイプとを含むフレーム構成部を備えた自動二輪車のフレームにおいて、前記ダウンチューブと前記ロアーパイプとを鍛造品のジョイントで接続し、その他のフレーム構成部を鋳造品で構成したことを特徴とする自動二輪車のフレーム。
- ヘッドパイプから車体後方に延びるメインフレームと、このメインフレームの下側に延在し、ヘッドパイプから車体下方に延びるダウンチューブと、このダウンチューブに連なるロアーパイプとを含むフレーム構成部を備えた自動二輪車のフレームにおいて、前記ヘッドパイプ及び前記ダウンチューブの接続部と、前記メインフレームと前記ロアーパイプとを連結するピボットプレートと、前記ダウンチューブ及び前記ロアーパイプを連結するジョイントとの少なくとも2カ所を鍛造品で構成し、その他のフレーム構成部を鋳造品で構成したことを特徴とする自動二輪車のフレーム。
- ヘッドパイプから車体後方に延びるメインフレームと、このメインフレームの下側に延在し、ヘッドパイプから車体下方に延びるダウンチューブとを含むフレーム構成部を備えた自動二輪車のフレームにおいて、前記ヘッドパイプと前記ダウンチューブとを一体鋳造し、この一体鋳造品のあご下に鍛造品の補強体を溶接したことを特徴とする自動二輪車のフレーム。
- ヘッドパイプから車体後方に延びるメインフレームと、このメインフレームの下側に延在し、ヘッドパイプから車体下方に延びるダウンチューブと、このダウンチューブに連なるロアーパイプとを含むフレーム構成部を備えた自動二輪車のフレームにおいて、前記ヘッドパイプと、前記ダウンチューブと、このダウンチューブ及び前記ロアーパイプを接続するジョイントとを一体鋳造し、この一体鋳造品のあご下に鍛造品の補強体を溶接したことを特徴とする自動二輪車のフレーム。
- 前記鍛造品及び前記鋳造品が、それぞれアルミニウム製の鍛造品及び鋳造品であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の自動二輪車のフレーム。
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