JP2006504744A - 神経成長因子アンタゴニストを投与することによって術後疼痛を処置するための方法および神経成長因子アンタゴニストを含有する組成物 - Google Patents

神経成長因子アンタゴニストを投与することによって術後疼痛を処置するための方法および神経成長因子アンタゴニストを含有する組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、神経成長因子(NGF)のアンタゴニストを投与することによって、手術または切開から生じる疼痛を予防または処置するための方法および組成物を特徴とする。NGFアンタゴニストは、hNGFに結合し得る抗NGF(例えば、抗hNGF)抗体であり得る。別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される任意の方法において使用するためのキットを特徴とする。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書中に記載される任意のNGFアンタゴニストを、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含み、さらに、本明細書中に記載される任意の方法におけるNGFアンタゴニストの使用のための説明書を含む。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2002年10月8日に出願された米国仮特許出願第60/417,347号明細書の優先権を主張するものであり、その内容を参照によってその内容全体を本願明細書に援用したものとする。
(連邦政府支援研究または開発に関する申立て)
本発明は、DARPAにより与えられた米国政府の支援の契約番号DAAD19−03−C−0006の下で作成された。米国政府は、本発明のある一定の権利を有する場合がある。
(発明の分野)
本発明は、術後疼痛を予防、緩和または処置するための神経成長因子(NGF)アンタゴニストの使用に関する。
(本発明の背景技術)
神経成長因子(NGF)は同定された最初のニューロトロフィンであり、末梢性および中枢ニューロンの両方の発生および生存におけるその役割は十分に評価されている。NGFは、末梢性交感神経性 および胚性感覚ニューロン、および基底前脳コリン作動性ニューロンの発達に不可欠な生存および維持因子であることが示されている(Smeyneら、Nature、368:246−249(1994年);Crowleyら、Cell、76:1001−1011(1994年))。NGFは、神経ペプチドの発現を上方制御し(Lindsayら、Nature 337:362−364(1989))、その活性は2つの異なる膜結合型レセプター、TrkAチロシンキナーゼレセプターおよびp75レセプターにより媒介される。これは腫瘍壊死因子レセプターファミリーの他のメンバーと構造的に関連する(Chaoら、Science、232:518−521(1986))。
神経系におけるその効果に加えて、NGFは神経系以外のプロセスが増加している。例えば、外因的に投与されたNGFは、血管透過性を亢進し(Ottenら、Eur.J.Pharmacol.106:199−201(1984年))、TおよびB細胞免疫応答を増強し(Ottenら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86:10059−10063(1989年))、リンパ球分化および肥満細胞増殖を誘起し、肥満細胞からの可溶性生物学的信号の遊離を引き起こす(Matsudaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:6508−6512(1988年)、Pearceら、J.Physiol.372:379−393(1986年)、Bisehoffら、Blood、79:2662−2669(1992年)、Horigomeら、J.Biol.Chem.268:14881−14887(1993年))ことが示された。外因性に加えられたNGFは、これらの作用の全てを有し得ることが示されているが、外因性NGFが、インビボにおけるこれらのプロセスのいずれかにおいて重要であることは、ごく稀に示されているだけであることに留意することが重要である(Torciaら、Cell.85(3):345−56(1996年))。従って、存在する場合、いかなる効果が外因性NGFの生物活性を阻害し得るのかは明らかではない。
NGFは、肥満細胞(Leonら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91:3739−3743(1994年)、Bリンパ球(Torciaら、Cell、85:345−356(1996年)、ケラチノサイト(Di Marcoら、J.Biol.Chem.268:22838−22846))、平滑筋細胞(Ueyamaら、J.Hypertens、11:1061−1065(1993年)、線維芽細胞(Lindholmら、Eur.J.Neurosci.2:795−801(1990年))、気管支上皮細胞(Kasselら、Clin,Exp.Allergy、31:1432−40(2001年))、腎メサンギウム細胞(Steinerら、Am.J.Physiol.261:F792−798(1991年))、および骨格筋筋管(Schwartzら、J.Photochem.Photobiol.B 66:195−200(2002年))などの多数の細胞系により産生される。NGFレセプターは、神経系の外側の種々の細胞系列上で見いだされた。例えば、TrkAはヒトの単球、TおよびBリンパ球、および肥満細胞上で発見された。
増加したNGFレベルと様々な炎症性状態との間の関連性が、ヒト患者ならびにいくつかの動物モデルで観察された。これらには、全身性エリテマトーデス(Bracci−Laudieroら、Neuroreport 4:563−565(1993年))、多発性硬化症(Bracci−Laudieroら、Neurosci Lett.147:9−12(1992年))、乾癬(Raychaudhuriら、Acta Derm.l’enereol.78:84−86(1998年))、関節炎(Falcimiら、Ann.Rheum.Dis.55:745−748(1996年)、間質性膀胱炎(Okraglyら、J.Urology、161:438−441(1999年))、および喘息(Braunら、Eur.J Immunol.28:3240−3251(1998年))などが含まれる。
一貫して、末梢組織中の高レベルのNGFは、痛覚過敏および炎症と関係があり、多数の関節炎形態において観察されている。関節リウマチに罹患した患者の関節滑膜では、高レベルのNGFを発現するが、一方、非炎症性関節滑膜では、NGFは検出不可能であることが報告されている(Aloeら、Arch.Rheum.35:35、1−355(1992年))。実験的に関節リウマチ誘発させたラットで同様の結果が認められた(Aloeら、Clin.Exp.Rheumatol.10:203−204(1992年))。遺伝子導入関節炎マウスにおいて、高レベルのNGFは肥満細胞数の増加と共に報告された(Aloeら、Int.J.Tissue Reactions−Exp.Clin.Aspects 15:139−143(1993))。
外因性のNGFを用いる処置は、疼痛および疼痛の感受性を増加させる。これは、NGFの注射が動物モデル(Amannら、Pain 64,323−329(1996);Andreevら、Pain 63,109−115(1995))よびヒト(Dyckら、Neurology 48,501−505(1997);Pettyら、Annals Neurol.36,244−246(1994))の両方において疼痛および疼痛の感受性をかなり増加させるという事実により例示される。NGFは、次いで、脊髄における疼痛シグナルプロセシングを変更する(Hainsら、Neurosci Lett.320(3),125−8(2002);Mileticら、Neurosci Lett.319(3),137−40(2002);Thompsonら、Proc Natl Acad Sci USA 96(14),7714−8(1999))ニューロトロフィンBDNFを誘導する工程(Apfelら、Mol.Cell.Neurosci.7(2),134−142(1996);Michaelら、J.Neurosci 17,8476−8490(1997))、脊髄における感覚ニューロンおよび他の痛感伝達ニューロンの末梢および中枢での接続部における変化を誘導する工程(Lewinら、European Journal of Neuroscience 6,1903−1912(1994);Thompsonら、Pain 62,219−231(1995))、軸索成長における変化を誘導する工程(Lindsay,RM,JNeurosci 8(7),2394−405(1988))、ブラジキニンレセプターを誘導する工程(Petersonら、Neuroscience 83:161−168(1998))、イオンチャネルなどの神経の活性化および伝導を担う遺伝子の発現における変化を誘導する工程(Boettgerら、Brain 125(put2),252−63(2002);Kerrら、Neuroreport 12(14),3077−8(2001);Gouldら、Brain Res 854(1−2),19−29(2000))、疼痛関連レセプターVR1を増強する工程(Chuangら、Nature 411(6840),957−62(2001))、ならびに、筋肉における病理学的変化を生じる工程(Fosterら、JPathol 197(2),245−55(2002))を含む、複数の機構によって機能するようである。これらの変化の多くは、痛覚伝達感覚ニューロン上で直接起こり、明らかに、同時に起こる炎症とは無関係である。さらに、NGFに応答性であることが知られている少なくとも2つの他の細胞型が存在し、これらは、疼痛感作または感受性の変化に関与し得る。これらのうちの一方は、肥満細胞であり、これは、脱顆粒によりNGFに応答すると報告されているか(Yanら、Clin.Sci.(Lond)80:565−569(1991))、または、他の研究においては、他の因子と組み合せて、メディエイターの生成もしくは放出を生じることが報告されている(PearceおよびThompson,J:Physiol.372:379−393(1986),Kawamotoら、J Immunol.168:6412−6419(2002))。これは、この関連する可能性はヒトにおいては示されるべきままであるが、明らかに、ラットにおいて、NGF媒介性の疼痛応答が、少なくともいくらか、脂肪細胞によって媒介されていることを示している(Lewinら、Eur.J Neurosci.6:1903−1912(1994),Woolfら、R Neurosci.16:2716−2723(1996))。原発性の交感神経ニューロンがまた、NGFに応答性であることが公知であり、そしてまた、疼痛のシグナル伝達に関与することが公知である(Aleyら、Neuroscience 71:1083−1090(1996))。交感神経支配が、NGFを用いる処置に対して応答する際に通常見られる過栄養を変更させることが明らかである(Woolfら、J Neurosci.16:2716−2723(1996))。
毎年、二千三百万人人の患者が、手術を受ける。疼痛は通常、外科的部位の近くに局在する。術後疼痛は、2つの臨床的に重要な局面、すなわち、安静時疼痛、すなわち、患者が動いていない場合に生じる疼痛、および、動きによって悪化される機械的な疼痛(咳/くしゃみ、ベッドから降りる、理学療法など)を有し得る。主要な手術についての術後疼痛管理に関する主な問題は、現在使用されている薬物が、種々の顕著な副作用を有することであり、これにより、回復が遅れ、入院が長くなり、そして、特定の脆弱な患者群が、重篤な合併症の危険にさらされる。術後疼痛すなわち、手術または外傷損傷の後に生じる疼痛は深刻であり、しばしば、難治性の医学的問題である。
不利益の両方を有する疼痛の処置について、2つの一般的な医薬のカテゴリーが存在する。第1のカテゴリーは、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)を含み、これは、軽いまたは中程度の疼痛を処置するために使用されるが、その処置的使用は、胃粘膜糜爛、消化性潰瘍の形成、または、十二指腸および結腸の炎症などの、望ましくない消化管作用により制限される。NSAIDはまた、長期使用により腎毒性を生じ得、さらに、以下に記載されるように、術後疼痛を含む特定の症状に関連するか、もしくは特定の症状から生じる疼痛の処置にあまり有効でない。第2のカテゴリーは、モルヒネおよび関連オピオイドを含み、これらは、中程度〜重篤な疼痛を処置するために使用されるが、その処置的使用は、鎮痛、錯乱、便秘、呼吸抑制、腎疝痛、長期使用に対する抵抗性および依存の危険性などの望ましくない作用により制限される。従って、ほとんどまたは全く副作用を伴うことなく、疼痛を処置するために有用な化合物が必要とされている。
疼痛はしばしば、「炎症性」、「神経障害性」または「内臓的」として分類されるが、これらの代表的な一般的な肩書きは、固有の問題を有する。これらは、これらの非常に一般的な分類のうちの1つにおける疼痛の全ての供給源の中で、機構的な類似性または同一性を示唆する。実際、多くの異なる型の炎症性疼痛および炎症性でも神経障害性でもない疼痛の供給源が存在する。さらに、炎症性の要素を有する、および/または、従来「炎症性」と呼ばれている型の疼痛は、他の生理学的局面が、疼痛状態に寄与しないことを意味しない。例えば、変形性関節炎および間質性膀胱炎の両方が、それぞれの結合部または膀胱の無菌の炎症性状態としてのその名前により規定されるが、これらの2つの症状に関連する疼痛が、互いに機構的にかなり異なることは明らかである。これは、これらの型の疼痛に関する、抗疼痛医薬の所定の型の可変の効果によって示される。変形性関節炎を有する患者の大半は、NSAIDで良好な疼痛軽減(少なくとも最初は)を受ける。しかし、NSAIDによる処置は、間質性膀胱炎には全く効果がない。
術後疼痛(交換可能に、切開後疼痛と呼ばれる)は、しばしば、種々の炎症性疼痛と考えられる。術後疼痛に対する「炎症性」要素が存在し得るが、明らかに、さらなる機構が関与する。例えば、手術または他の損傷の間に、血管および神経の両方が切断されるか、または、引き裂かれる。これは、炎症のみを生じている組織において生じるわけではない。神経の切断は、有痛性であると知覚される進行中の活動を誘導し得ることが明らかである。さらに、血管の切断は、比較的虚血である組織をもたらし、そしてまた、炎症のみの間には存在しない有痛性の刺激をもたらす。
炎症と比較して、術後疼痛または損傷誘発性の疼痛に関与する異なる機構は、2つの状態における疼痛の軽減の、変化する薬理学的かつ根底にある解剖学的下地により例示される。Yamamotoら、(Brian Res.909(1−2):138−144(2001))は、脊髄のN−アセチル−α結合酸性ジペプチダーゼ(NAALADase)の阻害が、カラゲニン注射の炎症性刺激を伴う機械的疼痛の顕著な減弱を生じることを示した。しかし、NAALADaseが切開後に同一の様式で阻害された平行実験において、機械的疼痛の減弱を示さなかった。これらの観察は、術後疼痛の根底にある生化学または薬理学が、これらの根底に存在する炎症性疼痛とは異なることを示す。疼痛感作を調節することにおいて重要な解剖学的構造はまた、術後疼痛および他の疼痛状態において試験されている(Pogatzkiら、Snesthesiology,96(5):1153−1160(May 2002))。脳幹、より具体的には、吻延髄正中部についての下行性の影響は、一般的な炎症性、神経障害性および内臓的な疼痛状態における二次的な痛覚過敏の重要なモジュレーターである。脳幹領域が損傷された場合、切開後に測定された任意の疼痛応答における変化は観察されなかった。これらの結果は、切開後の原発的および二次的な痛覚過敏が、RMMからの下行性の影響により調節されないことを示唆する。RMMからの下行性の促進的な影響が、腓腹筋切開後の二次的な痛覚過敏に寄与しないことが、切開誘発性の疼痛が、炎症性および神経障害性の疼痛と比較して類似していない機構を含むという概念を支持する。術後疼痛または損傷誘発性の疼痛と、炎症性、内臓または神経障害性疼痛との明らかな差に加えて、これらの結果は、術後疼痛(または損傷誘発性疼痛)に関与する機構が、他の疼痛とは明らかに異なることを示す。さらに、術後疼痛の処置における特定の薬理学的(または他の)インターベンションの利用は、炎症性、内臓性または神経障害性の疼痛モデルにおいて、これらの薬剤または薬理学的インターベンションを試験することによっては、予測できない。
安静時疼痛の消失、ならびに、活動に伴う疼痛および創傷部位における機械的刺激に応答する疼痛の持続がまた、術後の患者に存在する(Moinicheら、Acta Anaesthesiol.Scand.41:785−9(1997))。安静時疼痛および切開により生じる誘起性疼痛が、別個の求心性線維集団および/または別個のレセプターによって伝達される可能性があることが、研究により示唆される。これらの誘起性応答を阻害するためには、局所麻酔薬を使用する以外には、咳および手術後の動きによる疼痛を顕著に減少する薬物はほとんど利用可能でない。
実験的切開の間の疼痛をブロックするための、局所麻酔薬を用いる前処置は、まず、進行中の疼痛および原発性の機械的痛覚過敏を予防することが示されている。切開からの疼痛がまた、損傷後にリドカインを注射すると消失する。しかし、局所麻酔薬の効果が収まるにつれて、原発性の痛覚過敏が再び起こる。患者においては、手術前になされる局所麻酔薬の注射は、疼痛を減少することについて、手術後になされる注射と大まかに同等である(Moinicheら、Anesthesiology 96:725−41(2002))。
切開の前後の局所麻酔の投与に同意したヒトのボランティア、および、全臨床切開モデルにおける臨床研究実験は、大まかに同等である。切開および感作の間の中枢痛覚伝達ニューロンの活性化は、数日後の疼痛挙動に必須ではない。むしろ、切開については、中枢ニューロンの増強された応答性および疼痛が、切開からの進行中の求心性入力を必要とする。任意の切開前の麻酔処置がおさまった後、外科的創傷が、感作を再び開始し、疼痛応答を再生し得るようである(Pogatzkiら、J Neurophysiol 87:721(2002))。
切開により生じた痛覚過敏の領域(損傷していない領域も含む)がまたマッピングされている。二次的な痛覚過敏(損傷した領域の外側の痛覚過敏)は、中枢神経系の応答性の増強(すなわち、中枢感作)の1つの尺度である。切開により生じる発赤または赤熱状態(おそらくは、軸索反射の結果である)の領域が、痛覚過敏の領域とは異なったことが示されている。安静時疼痛および原発性の機械的痛覚過敏とは対照的に、局所麻酔薬の注射が切開前になされた場合、痛覚過敏の広い領域は決して生じなかった。さらに、これは、切開後の局所麻酔薬注射によって無効にされ得ない。術後の患者において、いくつかの場合、特定の処置が、痛覚過敏の領域を大いに減少するが、術後疼痛の臨床的尺度(疼痛スコアおよびオピオイドの消費)は大きく変更しない。結腸切除術後の痛覚過敏の領域の減少は、急性疼痛を大いに減少しなかったが、これは、結腸切除術後、少なくとも6ヶ月ほどでも、残留する疼痛を発生した患者の数における減少と相関した(De Kockら、Pain 92:373−80(2001))。
慢性内臓疼痛を処置するための抗NGF抗体の使用が記載されている。PCT公報WO 01/78698を参照のこと。Brennanらは、術後疼痛のラットモデルにおけるTrkA免疫接着因子の投与を報告する。Society for Neuroscience Abstracts 24(1−2)880(1998年)を参照のこと。
特許出願明細書および出版物を含む本明細書に引用された全ての参考文献は、その内容全体を参照により引用する。
(本発明の概要)
本発明は、NGFのアンタゴニストが、術後疼痛の処置に有効であるという発見に基づく。処置は、本明細書中に記載されるような術後疼痛の1つ以上の局面に取り組む。
1つの局面において、本発明は、神経成長因子(NGF)のアンタゴニストを投与することによって、術後疼痛(「切開後」または「外傷後」と交換可能に呼ばれる)を予防または処置するための方法を特徴とする。NGFアンタゴニストは、術後疼痛から生じる疼痛(手術または切開もしくは外傷創傷からの疼痛を含む)を阻害またはブロックし得ることが、本発明に従って示されている。
別の局面において、本発明は、術後疼痛の徴候を減少し、術後疼痛を緩和し、術後疼痛を和らげ;そして/または個体における術後疼痛の発生もしくは悪化を遅延するための方法を提供し、上記方法は、NGFアンタゴニストの有効量を投与する工程を包含する。
別の局面において、本発明は、個体における疼痛の閾値を上昇させるための方法を提供し、この方法は、NGFアンタゴニストの有効量を投与する工程を包含する。
別の局面において、本発明は、個体において手術および/または損傷誘発性の外傷創傷からの回復を促進するための方法を提供し、この方法は、NGFアンタゴニストの有効量を投与する工程を包含する。
いくつかの実施形態において、安静時疼痛が抑制、緩和および/または予防され、いくつかの実施形態において、機械的に誘発された疼痛(動きから生じる疼痛を含む)が抑制、緩和および/または予防され、そして、いくつかの実施形態において、熱誘発性の疼痛が抑制、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、機械的に誘発された疼痛は、抗NGF抗体を投与することによって抑制、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、安静時疼痛は、抗NGF抗体を投与することによって抑制、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、熱誘発性の疼痛は、こうNGF抗体を投与することによって抑制、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、異痛症(すなわち、正常な非侵害性刺激に対する応答の上昇(すなわち、上昇した侵害性感作))が抑制、緩和および/もしくは予防されるか、ならびに/または、痛覚過敏(すなわち、正常な侵害性刺激または不快な刺激に対する応答の上昇)が抑制、緩和および/もしくは予防される。なおさらなる実施形態において、異痛症および/または痛覚過敏は、熱的な性質の疼痛もしくは機械的な性質の疼痛(触覚)または安静時疼痛である。いくつかの実施形態において、疼痛は慢性疼痛である。他の実施形態において、疼痛は、切開、創傷または外傷の部位に関連し、および/または、切開、創傷および/または外傷の部位の近位または近くにある。
本発明の方法で使用するのに適するNGFアンタゴニストは、直接的にあるいは間接的に減少したNGF生物活性を生じることのできる任意の薬剤である。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニスト(例えば、抗体)は、NGFと結合し(物理的に相互作用し)、NGFレセプター(trkAレセプターおよび/またはp75レセプターなど)に結合し、および/または下流のNGFレセプター情報伝達(例えばリン酸化酵素情報伝達の阻害薬)を減少させる(ブロックおよび/または妨害する)。したがって、いくつかの実施形態では、NGFアンタゴニストはNGFと結合する(物理的に相互作用する)。別の実施形態において、NGFアンタゴニストは、NGFレセプター(trkAレセプターあるいはp75など)に結合する。他の実施形態では、NGFアンタゴニストは下流のNGFレセプター情報伝達(例えばリン酸化酵素情報伝達の阻害薬)を減少させる(ブロックおよび/または妨害する)。他の実施形態では、NGFアンタゴニストはNGF合成および/または遊離を阻害する(減少させる)。別の実施形態では、NGFアンタゴニストはTrkA免疫接着因子である。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、抗NGF抗体、NGFにに向けたアンチセンス分子(NGFを符号化する核酸に向けたアンチセンス分子を含む)、NGFレセプター(Trk Aおよび/またはp75など)に向けたアンチセンス分子、NGF阻害化合物、NGF構造類似体、NGFと結合するTrkAおよび/またはp75レセプターのドミナントネガティブ突然変異、抗−TrkA抗体、抗−p75抗体およびリン酸化酵素阻害薬の任意の1つ以上から選択される。別の実施形態では、NGFアンタゴニストは抗NGF抗体である。さらに別の実施形態において、抗NGF抗体はヒトのNGFを認識する。またさらに他のの実施形態では、抗NGF抗体は特異的にヒトNGFと結合する。さらに別の実施形態では、この抗体は、MAb911、MAb912、およびMAb938のマウスモノクローナル抗体の任意の1つ以上から選択される抗体と同じNGFエピトープ6と本質的に結合する(Hongoら、Hybridoma、19:215−227(2000年)を参照)。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストはNGF(hNGFなど)と結合するが、NT−3、NT4/5、および/またはBDNFなどの関連するニューロトロフィンと有意に結合しない。さらに別の実施形態において、抗NGF抗体はヒト化されている(本明細書に記載された抗体E3など)。さらに別の実施形態において、抗NGF抗体は抗体E3(本明細書で述べたように)である。他の実施形態では、抗NGF抗体は、抗体E3の1つ以上のCDR(いくつかの実施形態において、E3由来の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、あるいは全ての6つのCDRなど)を含む。他の実施形態では、抗体はヒトである。さらに別の実施態において、抗NGF抗体は、表1に示す(配列番号:1)重鎖可変領域のアミノ酸配列、および表2に示す(配列番号:2)軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する。さらに別の実施形態において、抗体は、例えば、補体媒介性溶解を誘発しない、または抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)を刺激しないなどの免疫学的に不活性の定常領域などの改質された定常領域を有する。他の実施形態では、Eur.J.Immunol.(1999年)29:2613−2624、PCT特許出願第PCT/GB99/01441号明細書、および/または英国特許出願公開第9809951.8号明細書で述べたように、定常領域が改質されている。
いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストはNGF分子に結合する。さらに別の実施形態において、NGFアンタゴニストは、特異的にNGFに結合する(ヒトのNGFなど)抗体である。しかしながら、NGFアンタゴニストは代わりにtrkAレセプターに結合する。NGFアンタゴニストは、hNGFと結合し、hNGFのヒトTrkA(hTrkA)への結合を効果的に阻害、および/またはTrkAレセプターの活性化を効果的に阻害することのできる抗ヒトのNGF(抗−hNGF)モノクローナル抗体でもよい。
NGF(hNGFなど)への抗NGF抗体の結合親和性は、約0.10nMから約0.80nMまで、約0.15から約0.75nMまで、および約0.18から約0.72nMまでが可能である。一実施形態において、結合親和性は約2pMと22pMの間である。いくつかの実施形態において、結合親和性は約10nMである。他の実施形態では、結合親和性は約10nM未満である。他の実施形態では、結合親和性は約0.1nMあるいは約0.07nMである。他の実施形態では、結合親和性は約0.1nM未満、あるいは約0.07nM未満である。他の実施形態では、結合親和性は約100nM、50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、あるいは約50pMの任意から、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、あるいは40pMのうちの任意である。いくつかの実施形態において、結合親和性は、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、あるいは約50pMの、あるいは約50pM未満のいずれかである。いくつかの実施形態において、結合親和性は、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、あるいは50pMのうちのいずれか未満である。さらに別の実施形態において、結合親和性は、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pM、あるいは約40pMを越えるものである。当業者において公知であるように、結合親和性はK、すなわち解離定数として表現でき、増加した結合親和性はKの減少に相当する。ヒトNGFへの抗NGFマウスモノクローナル抗体911(Hongoら、Hybridoma、19:215−227(2000年))の結合親和性は、約10nMであり、ヒトNGFへのヒト化抗NGF抗体E3(本明細書に記載された)の結合親和性は、約0.07nMである。
NGFアンタゴニストは、術後疼痛を生じるか、または術後疼痛に関連する手術、切開および/または創傷の前、間、および/または後に投与され得る。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、手術、切開または創傷の前に投与される。NGFアンタゴニストの投与は、当該分野で公知の任意の手段によってであり得、これらの手段としては、以下が挙げられる:経口、静脈内、皮下、動脈内、筋肉内、心臓内、脊髄内、胸部内、腹腔内、くも膜下腔内、舌下および/または経粘膜。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、抗NGF抗体であり、投与は、以下の手段の1つ以上によってである:静脈内、皮下、吸入を介して、動脈内、筋肉内、心臓内、心室内および腹腔内。投与は、全身(例えば、静脈内)または局所であり得る。
いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、約0.1〜10mg/体重kgの用量で投与され、他の実施形態においては、NGFアンタゴニストは、約0.3〜2.0mg/体重kgの用量で投与される。
別の局面において、本発明は、1種以上の薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて、有効量の神経成長因子(NGF)アンタゴニストを含む、術後疼痛を処置および/または予防するための組成物を特徴とする。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、NGF分子に特異的に結合する抗体である。他の実施形態において、NGFアンタゴニストは、本明細書中に記載される任意のアンタゴニストである。
別の局面において、本発明は、本明細書中に記載される任意の方法において使用するためのキットを特徴とする。いくつかの実施形態において、キットは、本明細書中に記載される任意のNGFアンタゴニストを、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む。他の実施形態において、キットはさらに、本明細書中に記載される任意の方法におけるNGFアンタゴニストの使用のための説明書を含む。
(発明の詳細な説明)
本発明は、治療有効量のNGFアンタゴニスト(例えば、抗NGFモノクローナル抗体)のインビボ投与を用いて、術後疼痛を予防および/または処置し得るという発見に基づく。術後疼痛は、以前は、高用量のオピオイド麻酔薬を用いて処置されてきた。これらの薬剤は、胃の運動性の減少、鎮静、呼吸抑制および腎疝痛のような望ましくない副作用を生じる。他の疼痛薬(例えば、NSAID)は、この型の疼痛を処置するのに、比較的施工していない。さらに、いくつかのNSAIDは、創傷治癒を阻害することが知られている。
本発明は、抗NGF抗体のようなNGFアンタゴニスト(例えば、抗ヒトNGF(抗hNGF)モノクローナル抗体)の有効量を投与することによって、個体(ヒトおよび非ヒトの両方を含む哺乳動物が挙げられる)における術後疼痛を予防または処置する方法を特徴とする。
別の局面において、本発明は、術後疼痛の発生を緩和、遅延し、そして/または術後疼痛の悪化を防止する方法を提供し、この方法は、個体に対してNGFアンタゴニストの有効量を投与する工程を包含する。
いくつかの実施形態において、安静時疼痛が抑制、緩和および/または予防され、いくつかの実施形態において、機械的に誘発された疼痛(例えば、動きまたは他の機械的もしくは触覚刺激から生じる疼痛)が抑制、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、熱誘発性の疼痛が、抑制、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、機械的に誘発された疼痛は、抗NGF抗体を投与することによって、抑制、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、安静時疼痛は、抗NGF抗体を投与することによって、抑制、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、熱誘発性の疼痛は、抗NGF抗体を投与することによって、予防、緩和および/または予防される。いくつかの実施形態において、異痛症が抑制、緩和および/または予防され、いくつかの実施形態において、痛覚過敏が抑制、緩和および/または予防される。なおさらなる実施形態において、異痛症および/または痛覚過敏は、熱的性質もしくは機械的性質(痛覚)の疼痛または安静時疼痛である。いくつかの実施形態において、疼痛は慢性疼痛である。他の実施形態において、疼痛は、切開、創傷または外傷の1つ以上の部位の近位および/または近くである。
本発明はまた、抗NGF抗体のようなNGFアンタゴニスト(例えば、抗NGFモノクローナル抗体)を含む、術後疼痛を処置するための組成物およびキットを特徴とし、これらは、本明細書中に提供される方法のいずれかにおいて使用されるためのものである。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体は、そのTrkAおよび/もしくはp75レセプターに対するNGFの結合を効率的に阻害し得、ならびに/または、NGFのそのTrkAおよび/もしくはp75レセプターの活性化を効率的に阻害し得る。
(一般的な技術)
本発明の実施は、他に説明のない限り、当業者の範囲内にある分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学に関する従来技術を使用するものとする。このような技術は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版(Sambrookら、1989年)、Cold Spring Harbor Press、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編、1984年)Methods in Molecular Biology、Humana Press、Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis編、1998年)Academic Press、Animal Cell Culture;(R.I.Freshney編、1987年)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather、およびP.E.Roberts、1998年)Plenum Press、Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A.Doyle、J.B.Griffiths、およびD.G.Newell編集、1993−8年)J.Willey&Sons、Methods in Enzymology(Academic Press社)、Handbook of Experimental Immunology(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.MillerおよびM.P.Cabos編、1987年)、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubelら、編、1987年)、PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、1994年)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coliganら編、1991年)、Short Protocols in Molecular Biology(Willey&Sons、1999年)、Immunobiology(C.A.Janeway、およびP.Travers、1997年)、Antibodies(P.Finch、1997年)、Antibodies:a practical approach(D.Catty編、IRLPress、1988−1989年)、Monoclonal antibodies:a practical approach(P.Shepherd、およびC.Dean編、Oxford University Press、2000年)、Using antibodies:a laboratory manual (E.HarlowおよびD.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory、1999年)、The Antibodies(M.Zanetti、およびJ.D.Capra編、Harwood Academic Publishers、1995年)などの文献で詳細に説明されている。
(定義)
「抗体」(複数形での使用と交換可能)は、免疫グロブリン分子の可変領域に位置した少なくとも1つの抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどの標的に特異的に結合することが可能な免疫グロブリン分子である。本明細書で使用されるこの用語は、完全な多クローン性またはモノクローナル抗体のみではなく、そのフラグメント(Fab,Fab’,F(ab’)2,Fvなど)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を有する融合蛋白質、ヒト化抗体、キメラ抗体、ディアボディdiabodies直鎖状抗体、単鎖抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および必要な特異性の抗原認識部位を有する免疫グロブリン分子の他の任意の改質された構造も含まれる。抗体には、IgG、IgA、あるいはIgM(あるいはそのサブクラス)などの任意のクラスの抗体が含まれるが、抗体は任意の特別のクラスである必要はない。その重鎖の定常ドメインの抗体アミノ酸配列に依存して、免疫グロブリンを種々のクラスに割り当てることができる。5つの主要なクラスの免疫グロブリンが存在し:IgA、IgD、IgE、IgG、および1gM、これらのいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2に分類される。異なるクラスの免疫グロブリンに相当する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構造は公知である。
「モノクローナル抗体」は、モノクローナル抗体が抗原の選択的結合に関係するアミノ酸(天然および非天然物)で構成される均質な抗体集団を指す。モノクローナル抗体の集団は、単一抗原部位に向けられており、高度に特異的である。用語「モノクローナル抗体」は、完全なモノクローナル抗体および完全長モノクローナル抗体のみではなく、そのフラグメント(Fab,Fab’,F(ab’)2,Fvなど)、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を有する融合蛋白質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、必要な特異性、および抗原に結合することのできる抗原認識部位を有する免疫グロブリン分子の他の任意の改質された構造も含まれる。抗体源、またはそれを作成する方法(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え型発現、遺伝子導入動物など)に関して制限することは意図していない。
「ヒト化」抗体は、非ヒトの種からの免疫グロブリン、およびヒト免疫グロブリンの構造および/またはシーケンスに基づくこの分子の残留する免疫グロブリン構造に実質的に由来する抗原結合部位を有する分子を指す。抗原結合部位は、定常ドメイン上に融合した可変ドメイン、または可変ドメインの適切なフレームワーク領域上にグラフトされた相補性決定領域(CDR)のみのいずれかを有してもよい。抗原結合部位は、野生型、あるいは1つ以上のアミノ酸置換によって改質された、例えば、ヒト免疫グロブリンにより類似するように改質されたものでもよい。ヒト化抗体のいくつかの形態では、全てのCDRシーケンス(例えば、マウス抗体からの全ての6つのCDRを含むヒト化マウス抗体)を保持する。ヒト化抗体の他の形態は、オリジナル抗体に関して変化された1つ以上のCDR(1、2、3、4、5、6)を有する。いくつかの実施形態では、フレームワーク領域(FR)残基、あるいはヒト免疫グロブリンの他の残基は、相当する非ヒト残基と交換されている。更に、ヒト化抗体は、レセプター抗体またはドナー抗体中では認められない残基を有してもよい。
本明細書で使用される用語「神経成長因子」および「NGF」は、NGFの活性の少なくとも一部を保持する神経成長因子およびその変異体を指す。本明細書で使用されるNOFは、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、あるいはウシを含む、天然シーケンスNGFの全ての哺乳類種を含む。
「NGFレセプター」は、NGFによって結合されるか、または活性化されるポリペプチドを指す。NGFレセプターは、これに限定されないが、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、霊長類、あるいはウシなどを含む任意の哺乳類種のTrkAレセプターおよびp75レセプターが含まれる。
「NGFアンタゴニスト」は、NGFに対する細胞反応のレセプター結合および/または誘発などのNGF情報伝達により媒介された下流経路を含むNGF生物活性を(顕著に)ブロックし、抑制し、減少させあらゆる分子のことを指す。用語「アンタゴニスト」は、生物学的作用の特定の機序をまったく意味しておらず、直接的または間接的に、あるいはNGFによる、レセプターによる、または他の機序を介して相互作用することのいずれかで、NGFによる全ての可能性のある薬理学的、生理的、および生化学的相互作用を明らかに含むと考えられ、多様に異なり、化学的に多岐にわたる組成物により達成することができるその結果を意味する。代表的なNGFアンタゴニストは、抗NGF抗体、NGFに向けたアンチセンス分子(NGFを符号化する核酸へ向けたアンチセンス分子を含む)、NGF阻害化合物、NGF構造類似薬、NGFと結合するTrkAレセプターのドミナントネガティブ突然変異体、TrkA免疫接着因子、抗−TrkA抗体、抗−p75抗体、およびリン酸化酵素阻害薬などが含まれるが、これに限定されるものではない。本発明の目的において、用語「アンタゴニスト」は、全ての事前に特定された用語、表題、およびNOF自体、NGF生物活性(疼痛の任意の局面を仲介する能力を含むが、これに限定されない)、または生物活性の結果による機能的状態および特性は、任意の意味のある程度に実質的に無効にされ、減少され、中和されていることを含むことが明示的に理解される。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニスト(例えば、抗体)は、NGFと結合し(物理的に相互作用し)、NGFレセプター(trkAレセプターおよび/またはp75レセプターなどの)に結合し、下流のNGFレセプター情報伝達を減少させ(妨害および/またはブロックさせ)、および/またはNGF合成、産生あるいは遊離を阻害する(減少させる)。他の実施形態では、NGFアンタゴニストは、NGFと結合し、TrkAレセプター二量体化および/またはTrkA自己リン酸化を防止する。他の実施形態では、NGFアンタゴニストは、NGF合成および/または産生(遊離)を阻害するか減少させる。NGFアンタゴニストの種類に関する事例は本明細書に提供される。
本明細書で使用される「抗NGF抗体」は、NGFに結合し、さらにNGF生物活性および/またはNGF情報伝達によって媒介された下流の経路を阻害することのできる抗体を指す。
「TrkA免疫接着因子」は、TrkAレセプターの結合特異性を保持するTrkAレセプターのフラグメント、例えばTrkAレセプターの細胞外ドメインおよび免疫グロブリンシーケンスを有する可溶性キメラ分子を指す。
NGFの「生物活性」は、一般にNGFレセプターと結合する、および/またはNGFレセプター信号伝達経路を活性化する能力を指す。制限なしで、生物活性は、NGFレセプター(p75および/またはTrkAなど)と結合する機能、TrkAレセプターの二量体化および/または自己リン酸化を促進する能力、NGFレセプター情報伝達経路を活性化する能力、細胞分化、増殖、生存、成長、および神経形態学上の変化(ニューロンの場合には末梢および中枢ニューロンを含む)、シナプス形成、シナプス機能、神経伝達物質および/または神経ペプチドの遊離、および損傷後の再生などの細胞生理学におけるその他の変化を促進する能力、および疼痛を媒介する能力、などの任意の1つ以上の能力を含んでいる。
用語「エピトープ」は、タンパク質抗原上の(モノクローナルまたは多クローン性)抗体のための結合部位を参照するために使用される。
本明細書で使用される「処置」は、有益なあるいは所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的において、有益なあるいは所望の臨床結果は、急性、慢性、炎症性、神経障害性、あるいは術後疼痛を含む疼痛の任意の局面の改善または緩和を含むが、これに限定されるものではない。本発明の目的において、重症度の軽減、疼痛の任意の局面を含み疼痛に関連した1つ以上の症状の緩和(疼痛の持続時間の短縮、および/または疼痛感度の減少など)など、有益なあるいは所望の臨床結果を1つ以上含むが、これに限定されるものではない。
「有効量」とは、痛覚の緩和あるいは減少を含む有益なまたは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。本発明の目的において、NGFアンタゴニストの有効量は、術後疼痛を処置し、緩和し、強度を減少させ、あるいは予防するのに十分な量を含んでいる。いくつかの実施形態において、「有効量」は、安静時の疼痛(安静時疼痛)または機械的に誘発された疼痛(移動語の疼痛または両方を含む)を減少し得、切開、切断ン、引き裂きまたは損傷の前、間および/または後に投与され得る。いくつかの実施形態において、「有効量」は術後疼痛の発生を遅延させるのに十分な量である。
疼痛の「発生率を減少させること」は、重症度(この状態で一般に使用される他の薬剤および/または処置の必要性、および/または量(例えば暴露させること)を減少させることを含む)、持続時間、およびまたは頻度(例えば、個体における疼痛に対する時間を遅延させるか、または増加させることを含む)を任意に減少させることを意味する。当業者に理解されるように、個体は処置に対する反応性により変動する可能性があり、またこのような事例として例えば、「個体における疼痛の発生率を減少させる方法」は、そのような投与により、その特定の個体における発生率を減少させるようなことを引き起こす可能性があるという合理的な期待値に基づいて、本明細書に記載されたNGFアンタゴニストを投与することに反映される。
疼痛あるいは疼痛の1つ以上の症状を「緩和する」とは、NGFアンタゴニストを投与しない場合と比較して、疼痛の1つ以上の症状の減少あるいは改善を意味する。「緩和する」は、症状の持続時間の短縮または減少をさらに含んでいる。
疼痛あるいは疼痛の1つ以上の症状を「軽減する」とは、本発明に従って、NGFアンタゴニストにより処置された個体または個体の集団における疼痛の1つ以上の望ましくない臨床症状の範囲を減少させることを意味する。
本明細書で使用される疼痛の発生を「遅延させる」とは、疼痛の悪化を遅らせ、妨害し、遅くし、遅延させ、安定化させ、および/または引き延ばすことを意味する。この遅延では病歴および/または処置される個体により時間の長さを変化させることができる。当業者に明らかであるように、十分または有意な遅延は、その個体が疼痛を発生しないという予防を実質的に含むことができる。症状の発生を「遅延させる」方法は、本発明による方法を使用しない場合と比較して、与えられた時間枠において症状が発生する確率を減少させ、および/または与えられた時間枠内で症状の範囲を減少させる方法である。このような比較は、統計学的に有意な数の被験者を使用する臨床研究に一般に基づく。
疼痛の「発生」あるいは「悪化」は、最初症状発現および/または障害の悪化に続いて起こる事象を意味する。疼痛の発生は検出可能であり、当技術分野において公知の標準的な臨床技術を使用して評価することができる。しかしながら、発生は検出不可能な場合がある悪化も含む。本発明の目的において、発生または悪化は、症状の生物学的経過を指す。「発生」は、出現、再発、および発生を含む。本明細書で使用される、疼痛の「発生」あるいは「出現」は最初の発生および/または再発を含む。
「個体」は、脊椎動物であり、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトである。哺乳類としては、家畜、スポーツ動物、ペット、霊長類、ウマ、雌ウシ、イヌ、ネコ、マウス、およびラットなどが含まれるが、これに限定されない。
「術後疼痛」(「切開後」または「外傷後疼痛」という用語と交換可能)は、個体の組織内への切断、穿刺、切開、断裂、または創傷など(侵襲性あるいは非侵襲性の全ての手術手順より生じるものを含む)の外傷により生じ、あるいはその結果生じた疼痛を指す。本明細書で使用される術後疼痛は、外部の身体的な外傷なしで生じる(起こる、または始まる)疼痛を含まない。いくつかの実施形態において術後疼痛は、内部あるいは外部(末梢性を含む)疼痛であり、創傷、切断、外傷、断裂、あるいは切開が偶発的に(外傷性創傷のように)あるいは故意に(外科的切開のように)発生した場合でもよい。本明細書で使用される「疼痛」は痛覚と疼痛の感覚を含み、また疼痛は疼痛スコア、および当業者において公知の他の方法を使用して、客観的および主観的に評価できる。本明細書に使用されたように、術後疼痛は異痛症(すなわち、正常非侵害刺激に対する増加した反応)、および痛覚過敏(すなわち、正常に侵害性または不快な刺激に対する増加した反応)を含み、その結果性質上、熱的または機械的(触覚)である。いくつかの実施形態において、疼痛は、温熱感受性、機械的感度、および/または安静時疼痛によって特徴づけられる。いくつかの実施形態において、術後疼痛は、機械的に誘発された疼痛あるいは安静時疼痛を含む。他の実施形態では、術後疼痛は安静時疼痛を有する。当業者において公知であるように、疼痛は一次あるいは二次痛覚である。
「安静時疼痛」とは、例えば、個人が動く、あるいは他の機械的刺激(例えば、突くこと、またはつつくこと)に供される場合に生じる疼痛に対して、個人が、安静時に生じる疼痛のことを指す。
「機械的に誘発された疼痛」(交換可能に機械的疼痛と呼ばれる)は、表面への重みの適用、動きにより生じるか、もしくは動きに関連する刺激(せき、重量の変更を含む)などの機械的刺激によって誘発される疼痛を指す。
手術、外傷、または創傷からの回復は、手術、外傷、または創傷の局面が、(NGFアンタゴニストを投与しない場合の手術、外傷または創傷からの回復と比較して)改善される場合、「増強される」。例えば、望ましくない副作用(従来の鎮痛剤(例えば、オピオイド麻酔薬)の使用と関連する副作用)の存在および/もしくは強度が減少され、ならびに/または、NGFアンタゴニストがない場合のこのような副作用の存在および/もしくは強度と比較して、NGFアンタゴニストの存在下で排除され得る。この増強は、NGFアンタゴニストの投与によって示され、そして意味されない、このような比較(NGFアンタゴニストの投与 対 投与なし)が、所定の個体に関して実施かつ照明されなければならないということを告げることは意味しない。
(本発明の方法)
本明細書中に記載された全ての方法に関して、NGFアンタゴニストに対する言及がまた、これらの薬剤の1つ以上含む組成物を含む。これらの組成物はさらに、当該分野で周知の、緩衝液を含む薬学的に受容可能な賦形剤(キャリア)のような、適切な賦形剤を含み得る。本発明は単独で、あるいは他の従来の処置方法と組み合せて使用され得る。
(術後疼痛を予防または処置するための方法)
本発明は、全ての哺乳動物(ヒトおよび非ヒトの両方)を含む個体における術後疼痛の発生を処置、遅延、および/または、予防するために有用である。さらに、本発明は、切開、穿孔または引き裂きのいずれかで、内側または外側のいずれかで、組織に切開創傷を有する個体において有用である。こにような切開創傷は、手術と同様に、外傷創傷または故意に、偶然生じ得る。
したがって、1つの局面において、本発明は抗NGF抗体のような、NGFアンタゴニストの効果的な量を投与する工程を包含する、個人の術後疼痛を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、術後疼痛は1以下のうちの1つ以上から構成される:異痛症、痛覚過敏、機械的に誘発された疼痛、熱誘発性の疼痛、機械的な疼痛、または安静時疼痛。いくつかの実施形態において、術後疼痛は機械的に誘発された疼痛および/または安静時疼痛から構成される。本発明者らは、例えば、抗NGF抗体がこれらの局面の両方ともを軽減することを確認した。他の実施形態において、術後疼痛は安静時疼痛を含む。疼痛は原発性のおよび/または二次的な疼痛であり得る。他の実施形態において、異痛症が、抑制、緩和、および/または予防され、いくつかの実施形態において、痛覚過敏が抑制、緩和および/または予防される。なおさらなる実施形態において、異痛症および/または痛覚過敏は、熱的性質もしくは機械的性質(痛覚)の疼痛または安静時疼痛である。いくつかの実施形態において、疼痛は慢性疼痛である。他の実施形態において、疼痛は、切開、創傷または外傷の1つ以上の部位の近位および/または近くである。
別の局面において、本発明は、術後疼痛の発生または悪化を抑制、緩和および/または防止する方法を提供する。
いくつかの実施形態において、抗NGF抗体のような、NGFアンタゴニストは手術の前に(いくつかの実施形態において、結果として外部の外傷および/または創傷を生じる可能性が高い活動性の前に)与えられる。例えば、NGFアンタゴニストは、外傷、創傷もしくは切開の危険性、または(いくつかの実施形態において、外傷、創傷または切開生じる可能性が高い)手術の前に、30分、1時間、5時間、10時間、15時間、24時間またはそれ以上、(例えば、1日、数日、または1週間、2週間、3週間またはそれ以上)で投与され得る。他の実施形態において、NGFアンタゴニストは手術あるいは外部の外傷あるいは創傷をもたらす可能性が高い活動性の間におよび/または後に投与される。1つの実施形態において、NGFアンタゴニストは、手術、創傷、あるいは外傷後、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、30時間、36時間、またはそれ以上、投与され得る。
別の局面において、本発明は疼痛閾値を上昇させるための方法を提供する。本明細書中で用いられる場合、「疼痛閾値を上昇させる」とは、手術、切開、外傷もしくは創傷に関連する疼痛の退行、消失および/または最小化(疼痛の主観的な認識の減少した、衰えた、および/または最小を含む)を指す。
さらに別の局面において、本発明は(創傷、外傷損傷および/または切開からの回復を促進することに加えて、)手術からの回復を促進するための方法を提供する。
術後疼痛を処置または予防するために、参照が一般になされるが、NGFアンタゴニストは、外部の外傷(例えば、衝撃)、損傷または創傷の危険性が増加した事象または症状の前に投与され得ることが理解される。当業者に理解されるように、外部の外傷、損傷または創傷の危険性が増加した事象または状態は、危険な職業、戦闘および/またはスポーツ活動を含む。
疼痛の診断または評価は、当該分野で十分に確立されている。評価は、主観的な尺度(例えば、刺激に対する反応、表情などのような挙動の観察)に基づいて実施され得る。評価はまた、種々の疼痛尺度を使用して、疼痛の患者特性のような客観的な尺度に基づいてもなされ得る。例えば、Katzら、Surg Clin North Am.(1999)79(2):231−52;Caraceniら、J Pain Symptom Manage(2002)23(3):239−55。
疼痛の軽減はまた、軽減の時間経過により特徴付けられ得る。従って、いくつかの実施形態において、疼痛の軽減は、1時間、2時間または数時間後に、主観的または客観的に観察される。別の実施形態において、疼痛の軽減は、術後(または、創傷もしくは外傷に関連する事象の後)24時間、36時間、48時間、60時間、72時間またはそれ以上において、主観的または客観的に観察される。
(NGFアンタゴニスト)
本発明の方法ではNGFアンタゴニストを使用するが、これはレセプター結合および/またはNGFに対する細胞反応の誘発などのNGF情報伝達により媒介された下流経路を含むNGF生物活性をブロックし、抑制し、または減少させる(有意にを含む)任意の分子を指す。用語「アンタゴニスト」は、生物学的作用の特定の機序をまったく意味しておらず、NGFによる全ての可能性のある薬理学的、生理的、および生化学的相互作用、ならびに多様な種々の、化学的に多岐にわたる組成物により達成することができるその結果を明らかに含むと考えられる。代表的なNGFアンタゴニストは、抗NGF抗体、NGFに向けたアンチセンス分子(NGFを符号化する核酸に向けたをアンチセンス分子を含む)、NGFレセプターに向けたアンチセンス分子(TrkAレセプターおよび/またはp75レセプターなど)、(TrkAおよび/またはp75を符号化する核酸に向けたアンチセンス分子を含む)、NGF阻害化合物、NGF構造類似体、NGFと結合するTrkAレセプターのドミナントネガティブ突然変異体、TrkA免疫接着因子、抗−TrkA抗体、抗−p75抗体、およびリン酸化酵素阻害薬などがあるが、これに限定されない。本発明の目的において、用語「アンタゴニスト」は、全ての事前に特定された用語、表題、およびNOF自体、NGF生物活性(疼痛の任意の局面を仲介する能力を含むが、これに限定されない)、または生物活性の結果による機能的状態および特性は、任意の意味のある程度に実質的に無効にされ、減少され、中和されていることを含むことが明示的に理解される。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニスト(例えば、抗体)は、NGFと結合し(物理的に相互作用し)、NGFレセプター(trkAレセプターおよび/またはp75レセプターなどの)に結合し、下流のNGFレセプター情報伝達を減少させる(妨害および/またはブロックさせる)。したがって、いくつかの実施形態では、NGFアンタゴニストはNGFと結合する(物理的に相互作用する)。別の実施形態において、NGFアンタゴニストは、NGFレセプター(trkAレセプターあるいはp75など)に結合する。他の実施形態では、NGFアンタゴニストは下流のNGFレセプター情報伝達(例えば、リン酸化酵素情報伝達阻害薬)を減少させる(妨害および/またはブロックする)。他の実施形態では、NGFアンタゴニストはNGF合成および/または遊離を阻害する(減少させる)。別の実施形態では、NGFアンタゴニストはTrkA免疫接着因子である。別の実施形態では、NGFアンタゴニストは抗NGF抗体以外である。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストはNGF(hNGFなど)と結合し、NT−3、NT4/5、および/またはBDNFなどの関連したニューロトロフィンには有意に結合しない。他の実施形態では、NGFアンタゴニストは抗NGF抗体である。さらに他の実施形態において、抗NGF抗体はヒト化されている(本明細書に記載された抗体E3など)。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体は(本明細書で述べたように)抗体E3である。他の実施形態において、抗NGF抗体は、抗体E3の1つ以上のCDR(いくつかの実施形態において、E3由来の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、あるいは全ての6つのCDRなど)を含む。他の実施形態では、抗体はヒトである。さらに他の実施形態では、抗NGF抗体は、表1(配列番号:1)に示す重鎖可変領域のアミノ酸配列、および表2(配列番号:2)に示す軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。さらに他の実施形態において、抗体は、免疫学的に不活性な、例えば、補体媒介性溶解を引き起こさない、あるいは抗体依存性細胞媒介性細胞障害性(ADCC)を刺激しない定常領域などの改質された定常領域を備える。他の実施形態において、Eur.J.Immunol.(1999年)29:2613−2624、PCT出願番号PCT/GB99/01441号明細書、および/または英国特許出願第9809951.8号明細書で記載されるように定常領域は改質される。
(抗NGF抗体)
本発明のいくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは抗NGF抗体を含む。抗NGF抗体は、(a)NGFへの結合、(b)NGF生物活性、あるいはNGF情報伝達関数により媒介された下流経路を阻害する、(c)特に、疼痛の任意の局面が処置または予防されること、(d)NGFレセプター活性化(TrkAレセプター二量体化および/または自己リン酸化を含む)をブロックあるいは減少させること、(e)NGFクリアランスの増加、(f)NGF合成、産生、または遊離を阻害する(減少させる)、(g)疼痛のオピオイド処置を増強する特性のうち任意の1つ以上の特性を示す必要がある。
抗NGF抗体は当業者において公知である。例えば、PCT出願番号、国際公開第01/78698号パンフレット、国際公開第01/64247号パンフレット、米国特許第5,844,092号明細書、5,877,016号明細書、および6,153,189号明細書、Hongoら、Hybridoma、19号、215−227(2000年)、Cell.Molec.Biol.13号、559−568(1993年)、GenBank目録、第U39608号、U39609号、L17078号、あるいはL17077号参照。
いくつかの実施形態において、抗NGF抗体は、抗体「E3」と命名されたヒト化されたマウス抗NGFモノクローナル抗体であり、これはA330P331からS330S331(野生型IgG2aシーケンスを基準として番号付けされたアミノ酸、Eur.J.Immunol.(1999年)29号、2613−2624参照)まで、ヒト軽鎖κ定常領域、および表1および2に示す重鎖および軽鎖可変領域の変異を含むヒト重鎖IgG2a定常領域を有する。
(表1:重鎖可変領域)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLIGYDLNWIRQPPGKGLEWIGIIWGDGTTDYNSAVKSRVTISKDTSKNQFSLKLSVTAADTAVYYCARGGYWYATSYYFDYWGQGTLVTV(配列番号:1)。
(表2:軽鎖可変領域)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISNNLNwYQQKPGKAP KLLIYYTSRFHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQEHTLPYTFGQGTKLEIKRT(配列番号:2)。
E3 重鎖可変領域あるいはE3 軽鎖可変領域を符号化する以下のポリヌクレオチドが、2003年1月8日にATCCに寄託された。
Figure 2006504744
ベクターEb.911.3Eは、表2に示す軽鎖可変領域を符号化するポリヌクレオチドである。ベクターEb.pur.911.3Eは、表2に示す軽鎖可変領域を符号化するポリヌクレオチドである。また、ベクターDb.911.3Eは、表1に示す重鎖可変領域を符号化するポリヌクレオチドである。
別の実施形態では、抗NGF抗体は、抗体E3の1つ以上のCDR(いくつかの実施形態において、E3由来の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、あるいは全ての6つのCDRなど)を有する。CDR領域の判定は当業者において熟知されている。
本発明に有用な抗体としては、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロ共役抗体、単鎖(ScFv)、その変異体、抗体部分を有する融合蛋白質、ヒト化抗体、および抗体の糖鎖形成変異体、抗体のアミノ酸配列変異体、および共有結合的に改質された抗体を含み、必要とされた特異性の抗原認識部位を有する免疫グロブリン分子の他の任意の改質された構造などが含まれる。抗体は、マウス、ラット、ヒト、あるいは他の起源(キメラあるいはヒト化抗体を含む)でもよい。本発明の目的において、抗体はNTGFをに阻害する様式でNGFと、および/またはNGF情報伝達機能により媒介された下流経路と反応する。一実施形態において、抗体はヒトNGFの上の1つ以上のエピトープを認識するヒト化抗体である。別の実施形態では、抗体は、ヒトNGFの上の1つ以上のエピトープを認識するマウスまたはラット抗体である。別の実施形態では、抗体は、霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシから成る群から選択されるNGF上の1つ以上のエピトープを認識する。他の実施形態では、抗体は、免疫学的に不活性な、例えば、補体媒介性溶解を引き起こさないか、または抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)を刺激しない定常領域などの改質された定常領域を有する。ADCC活性は、米国特許第5,500,362号明細書に開示された方法を使用して評価できる。他の実施形態において、定常領域はEur.J.Immunol.(1999年)29号、2613−2624、PCT出願番号PCT/GB99/01441、および/または英国特許第9809951.8号明細書で記載されるように改質される。
NGF(hNGFなど)への抗NGF抗体の結合能は、約0.10から約0.80nMまで、0.15から約0.75nM、および約0.18から約0.72nMまでである可能性がある。いくつかの実施形態において、結合能は約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pM、あるいは約40pMより高い。一実施形態において、結合能は、約2pMと22pMとの間にある。他の実施形態では、結合能は約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約50pM、約10pM未満である。いくつかの実施形態において、結合能は約10nMである。他の実施形態では、結合能は約10nM未満である。他の実施形態では、結合能は約0.1nM、あるいは約0.07nMである。他の実施形態では、結合能は、約0.1nM未満、あるいは約0.07nM未満である。他の実施形態では、結合能は約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、あるいは約50pMのいずれかから、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、あるいは約40pMのうちいずれかまでである。いくつかの実施形態において、結合能は約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、あるいは約50pMの、あるいは約50pM未満のいずれかである。さらに他の実施形態において、結合能は約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、約40pM、あるいは約40pM以上である。
NGFへの抗体の結合能を測定する一つの方法は、抗体の単官能Fabフラグメントの親和性を測定することによる。単官能Fabフラグメントを得るために、抗体(例えばIgG)をパパインで切断するか、あるいは組み換え的に発現させることができる。抗体の抗NGF Fabフラグメントの親和性は、表面プラズモン共鳴(BIAcore3000(登録商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、BIAcore、Piscaway、ニュージャージー州)により決定することができる。CM5チップは、製造者の説明に従って、N−エチル−N’(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(carbodiinid)塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)により活性化することができる。ヒトNGFを10mM酢酸ナトリウムpH4.0で希釈し、0.005mg/mLの濃度で活性化されたチップ上に注入することができる。個々のチップチャネル全体にわたって可変流時間を使用すると、2つの範囲の抗原密度、すなわち詳細な動態検査における100〜200反応単位(RU)、およびスクリーニング検査における500〜600RUを達成することができる。このチップはエタノールアミンでブロックすることができる。再生試験の結果、ピアス溶出緩衝液(製品番号21004、Pierce Biotechnology、イリノイ州ロックフォード)および4MNaCl(2:1)の混合物は、200回以上の注入の間、チップ上のhNGF活性を維持しながら結合Fabを効率的に除去することが分かった。HBS−EP緩衝液(0.01M HEPES、pH7.4、および0.15NaCl、3mMのEDTA、0.005%界面活性剤P29)は、ランニング緩衝液としてBIAcore分析に使用される。精製Fab試料の連続的希釈(0.1〜10x推定K)は、100μl/分で1分間注入され、また2時間までの解離時間が可能である。Fabタンパク質の濃度は、標準として既知濃度(アミノ酸分析により測定する場合と同様に)のFabを使用して、ELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動法によって定量される。動力学的会合速度(kon)および解離速度(koff)は、BIA評価基本規定を使用して、データを1:1ラングミュア結合モデルにフィッティングさせることにより同時に得られる(Karlsson、R.Roos、H.Fagerstam、L.Petersson、B.(1994年)Methods Enzyology 6、99−110)。平衡解離定数(K)値は、koff/konとして計算することができる。本プロトコルは、このプロトコルは、ヒトNGF、別の脊椎動物のNGF(いくつかの実施形態では哺乳類)(マウスNGF、ラットNGF、霊長類NGFなど)を含む任意の種のNGF抗体の結合親和性を測定するために使用すること、ならびに、関連したニューロトロフィンNT3、NT4/5、および/またはBDNFなどのその他のニューロトロフィンとともに使用することに適している。
いくつかの実施形態において、抗体はヒトNGFと結合し、別の脊椎動物種(いくつかの実施形態において哺乳類)由来のNGFとは結合しない。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトNGFならびに別の脊椎動物種(いくつかの実施形態では哺乳類)由来の1つ以上のNGFと結合する。さらに別の実施形態において、抗体はNGFと結合するが、他のニューロトロフィン(関連したニューロトロフィン、NT3、NT4/5、および/またはBDNFなど)とは有意に交差反応しない。いくつかの実施形態において、抗体はNGFならびに少なくとも1つの他のニューロトロフィンと結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、ウマ、イヌなどの哺乳類種のNGFと結合するが、他の哺乳類のNGFとは有意に結合しない。
このエピトープ(複数)は、連続的または非連続的である可能性がある。一実施形態において、抗体は、Hongoら、Hybridoma、19:215−227(2000年)に記載されたような、MAb911、MAb912、およびMAb938から成る群から選択される抗体と本質的に同一のhNGFエピトープと結合する。別の実施形態では、抗体はMAb911と本質的に同じhNGFエピトープと結合する。さらに別の実施形態では、抗体はMAb909と本質的に同じエピトープと結合する。上述のHongoら。例えば、エピトープは、hNGFの可変領域1(アミノ酸23〜35)内の残基K32、K34、およびE35、hNGFの可変領域4(アミノ酸81〜88)内の残基F79およびT81、可変領域4以内の残基H84およびK88、hNGFの可変領域5(アミノ酸94〜98)とhNGFのC末端(アミノ酸111〜118)との間の残基R103、hNGFの全可変領域1(アミノ酸10〜23)内の残基E11、hNGFの可変領域2(アミノ酸40〜49)とhNGFの可変領域3(アミノ酸59〜66)との間のY52、hNGFのC末端の内の残基L112およびS113、hNGFの可変領域3内の残基R59およびR69、あるいはhNGFの前可変領域1内の残基V18、V20およびG23の1つ以上を有してもよい。さらに、エピトープは、可変領域1、可変領域3、可変領域4、可変領域5、N末端領域、および/またはhNGFのC末端の1つ以上を含むことができる。さらに別の実施形態において、この抗体は、hNGFの残基R103の溶解能を有意に減少させる。上述のエピトープはヒトNGFに関連するが、当業者はヒトNGFの構造を他の種のNGFと整合させることができ、これらのエピトープに対応すると考えられる物を同定することができることが分かる。
一局面において、NGFを阻害することができる抗体(例えば、ヒト、ヒト化、マウス、キメラ)は、NGFの完全長あるいは部分配列を発現する免疫原の使用により作成してもよい。別の局面では、NGFを過剰発現する細胞を有する免疫原を使用してもよい。使用することができる免疫原の別の実施例は、完全長NGFあるいはNGFタンパク質の一部を含むNGFタンパク質である。
抗NGF抗体は、当業者において公知の任意の方法により作成される。本明細書にさらに記載されるように、宿主動物の免疫化の経路およびスケジュールは、一般に抗体刺激および産生のための確立された従来技術に準拠する。ヒトおよびマウスの抗体産生のための一般的な技術は、当業者において公知であり、本明細書に記載されている。
ヒトを含む任意の哺乳類検体またはその検体由来の抗体産生細胞を処理し、ヒトを含む哺乳類のハイブリドーマ細胞系の産生のためのベースとして寄与することができると考えられる。一般に、宿主動物は、本明細書で述べたものを含み、腹腔内に、筋肉内に、経口的に、皮下に、足底内に、および/または免疫原量で皮内に接種される。
ハイブリドーマは、Kohler,B、およびMilstein,C.(1975年)Nature 256:495−497、あるいはBuck,D.W In Vitro,18:377−381(1982年)で修正されたように、一般的な体細胞ハイブリッド形成技術を使用するリンパ球および不死化された骨髄細胞から調製することができる。X63−Ag8.653、およびSalk Institute、Cell Distribution Center、カリフォルニア州、サンディエゴ、米国より供給される同種のものなどがこれらに限定されずに含まれる入手可能な骨髄腫ラインが、ハイブリッド形成法に使用される。一般に、この技術は、ポリエチレングリコールなどの融合剤を使用し、あるいは当業者において公知である電気的手段により、骨髄細胞とリンパ球を融合することを含んでいる。融合の後、細胞は融合培地から分離され、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)培地などの選択成長培地中で成長され、ハイブリッド形成されていない親細胞を除去する。血清の補充されたまたは血清の補充されていない本明細書で述べた任意の培地を、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの培養に使用することができる。細胞融合技術の別の代わりとして、EBVに不死化されたB細胞を使用して、本発明の抗NGFモノクローナル抗体を産生してもよい。ハイブリドーマは、必要に応じ、拡張され、サブクローン化され、さらに上澄を従来の免疫測定法(例えば、ラジオイムノアッセイ、酵素免疫測定法、あるいは蛍光免疫測定法)により、抗免疫原活性を分析する。抗体の源として使用されるハイブリドーマは、全ての誘導体、NGFに特異的なモノクローナル抗体を産生する親ハイブリドーマの娘細胞、あるいはそれらの一部が含まれる。
このような抗体を産生するハイブリドーマは、公知の手順を使用してインビトロまたはインビボで成長させてもよい。必要に応じ、硫安塩析、ゲル電気泳動法、透析、クロマトグラフィー、および限外濾過などの従来の免疫グロブリン精製手法により、モノクローナル抗体を培地または体液から単離してもよい。好ましくない活性が存在する場合は、固相に付着させた免疫原で作成された吸着剤上に調製液を通過させること、あるいは免疫原から所望の抗体を溶出させることにより除去することができる。ヒトNGF、あるいは免疫化される種における免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシニアン、血清アルブミン、ウシチログロブリン、あるいは二官能性試薬または誘導体化試薬、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基による接合)、N−ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基による)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl、あるいはRとR1が異なるアルキル基であるR1N=C=NRを使用する大豆トリプシン阻害因子に接合された標的アミノ酸配列を含むフラグメントによる宿主動物の免疫化により、抗体(例えばモノクローナル抗体)の集団を産出することができる。
必要に応じ、対象となる抗NGF抗体(モノクローナルまたは多クローン性)はシーケンスされ、続いてポリヌクレオチドシーケンスは、発現または増殖のためにベクター内にクローン化される。対象の抗体を符号化するシーケンスは、宿主細胞中のベクター中で維持され、続いてその後の使用のために宿主細胞を拡張し、凍結することができる。あるいは、ポリヌクレオチドシーケンスを遺伝子操作のため、あるいは抗体を「ヒト化する」あるいは抗体の親和性またはその他の特性を改善するために使用してもよい。例えば、この抗体が臨床試験およびヒトの処置に使用される場合に、免疫応答を回避するためヒトの定常領域により類似させるために定常領域を工学的に改良してもよい。抗体シーケンスを遺伝学的に操作し、NGFに対するより高い親和性およびNGFを阻害する際により大きな効力を得ることが望ましい。抗NGF抗体における1つ以上のポリヌクレオチドを変化させることができ、またそれでもそのNGFへ結合能を維持することができることは当業者において明白であろう。
モノクローナル抗体をヒト化する一般的な4つのステップがある。これらは、(1)ヌクレオチドおよび開始抗体軽鎖および重鎖可変ドメインの予想されたアミノ酸配列を決定すること、(2)ヒト化抗体を設計すること、すなわちヒト化プロセスの間にどの抗体フレームワーク領域を使用するかを決定すること、(3)実際のヒト化するための方法論/技術、および(4)ヒト化抗体の形質移入および発現である。例えば、米国特許第4,816,567号明細書、同第5,807,715号明細書、同第5,866,692号明細書、同第6,331,415号明細書、同第5,530,101号明細書、同第5,693,761号明細書、同第5,693,762号明細書、同第5,585,089号明細書、および同第6,180,370号明細書を参照。
非ヒト免疫グロブリンに由来した抗原結合性部位を有する多数の「ヒト化」抗体分子が議論されているが、齧歯類動物あるいは改質された齧歯類動物可変領域、およびヒト定常ドメインに融合するこれと関連する相補性決定領域(CDR)を有するキメラ抗体が含まれる。例えば、Winterら、Nature 349:293−299(1991年)、Lobuglioら、Proc.Nat.Acad Sci.U.S.A.86:4220−4224(1989年),Shawら、J Immunol.138:4534−4538(1987年),およびBrownら、Cancer Res.47:3577−3583(1987年)を参照。別の参考文献では、適切なヒト化抗体定常ドメインによる融合前に、ヒトの支持フレームワーク領域(FR)内に移植した齧歯類CDRについて述べている。例えば、Riechmannら、332:323−327(1988年)、Verhoeyenら、Science239:1534−1536(1988年)、およびJonesら、Nature、321:522−525(1986年)を参照。別の参考文献は、組み換えベニア齧歯類フレームワーク領域で支援された齧歯類CDRについて述べている。例えば、欧州特許第519,596号明細書を参照。これらの「ヒト化」分子は、ヒトのレセプターにおけるこれらの成分の処置適用期間および有効性を制限する齧歯類抗ヒト化抗体分子への不要な免疫学的応答を最小化するように設計されている。利用される可能性がある、抗体をヒト化するその他の方法は、Daughertyら、Nucl.AcidsRes.19:2471−2476(1991年)、および米国特許第6,180,377号明細書、第6,054,297号明細書、第5,997,867号明細書、第5,866,692号明細書、第6,210,671号明細書、第6,350,861号明細書、およびPCT国際公開第01/27160号パンフレットにより開示されている。
さらに別の変更では、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように設計された市販のマウスの使用により完全ヒト化抗体が得られる。より好ましい(例えば、完全ヒト化抗体)、あるいはより堅牢な免疫応答を生成するようにデザインされた遺伝子導入動物をヒト化またはヒト抗体の産生に使用してもよい。このような技術事例は、Abgenix社(カリフォルニア州、フリーモント)のXenomouse(登録商標)、およびMedarex社(ニュージャージー州、プリンストン)のHuMAb−Mouse(登録商標)およびTC Mouse(登録商標)である。
あるいは、抗体は組み換えにより作成してもよく、当業者において公知の方法を使用して、発現させてもよい。別の変更形態では、抗体は、ファージディスプレイ技術により組み換えにより作成してもよい。例えば、米国特許第5,565,332号明細書、第5,580,717明細書、第5,733,743明細書、第6,265,150明細書、およびWinterらAnnu.Rev.Immunol.12:433−455(1994年)参照。あるいは、免疫化されていないドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリから、インビトロでヒト抗体および抗体フラグメントを産生するために、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、Nature 348:552−553(1990年))を使用することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、M13またはfdなどの糸状バクテリオファージのメインまたはマイナーのいずれかのコートタンパク質遺伝子内のフレーム内にクローン化され、ファージ粒子の表面の官能性抗体フラグメントとして発揮する。線維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能特性に基づいた選択により、これらの性質を示す抗体を符号化する遺伝子の選択もなされる。したがって、このファージはB細胞の特性のうちのいくつかを模倣する。ファージディスプレイは種々のフォーマットで行なうことができる。解説は、Johnson,Kevin S.Chiswell、David J、Current Opinion in Structural Biology3、564−571(1993年)などを参照。V遺伝子セグメントのいくつかのソースはファージディスプレイに使用することができる。Clacksonら、Nature 352:624−628(1991年)は、免疫化マウスの脾臓に由来したV遺伝子の小さなランダムな組合わせライブラリから抗オキサゾロン抗体の多様なアレイを単離した。免疫化されていないヒトドナーからのV遺伝子のレパートリを構築することができ、さらに抗原(自己抗原を含む)の多様なアレイ抗体は、Markら、J.Mol.Biol.222:581−597(1991年)、またはGriffithら、EMBO J.12:725−734(1993年)で述べた技術に従って本質的に単離することができる。自然な免疫応答では、抗体遺伝子は高い割合で変異(体細胞超変異)を蓄積する。導入されたいくつかの変化は、より高い親和性を与えると予想され、高親和性表面免疫グロブリンを呈するB細胞は、優先的に複製され、後続の抗原攻撃により分化する。このナチュラルプロセスは、「鎖混合」として知られる技術の使用により模倣することができる。Marksら、Bio/Technol.10:779−783(1992年))この方法では、ファージディスプレイによって得られた「一次」ヒト抗体の親和性は、重鎖および軽鎖V領域遺伝子を、免疫化されていないドナーから得られたVドメイン遺伝子の自然発生変異体(レパートリ)のレパートリと連続的に交換することにより改善することができる。この技術により、pM〜nM範囲の親和性を備えた抗体および抗体フラグメントの産生を可能となる。非常に大きなファージ抗体レパートリ(「全ての母ライブラリ(mother−of−all libraries)」として知られる)を作るための方法は、Waterhouseら、Nuci.Acids Res.21:2265−2266(1993年)によって議論された。遺伝子混合は、齧歯類抗体からヒト抗体を引き出すためにも使用することができ、ここでヒト抗体は開始する齧歯類抗体と同様な親和性および特異性を有する。この方法(これは「エピトープ刷り込み(epitopeimprinting」とも呼ばれる)により、ファージディスプレイ技術によって得られた齧歯類抗体の重鎖、または軽鎖Vドメイン遺伝子は、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリと交換され、齧歯類−ヒトのキメラが形成される。抗原の選択により、機能的(官能性)抗原結合性部位を回復することができるヒト可変領域が単離される。すなわち、エピトープはパートナーの選択を支配する(刷り込む)。残りの齧歯類Vドメインを置換するためにこのプロセスを反復すると、ヒト抗体が得られる(1993年4月1日に刊行されたPCT特許出願国際公開第9306213号パンフレットを参照)。CDR移植による齧歯類抗体の従来のヒト化と異なり、この技術は完全ヒト抗体を提供し、これには齧歯類起源のフレームワークまたはCDR残基を持たない。
上記の議論は、ヒト化抗体に関するが、議論される一般原理は、例えば、イヌ、ネコ、霊長類、ウマおよびウシのようなものの抗体を使用するためにカスタマイズすることも可能であることが明らかである。本明細書中に記載されるヒト化抗体の1つ以上の局面は、例えば、CDR移植、フレームワーク変異およびCDR変異を組み合わされ得ることがさらに明らかである。
宿主動物から抗体および抗体産生細胞を最初に単離し、遺伝子配列を得て、この遺伝子配列を使用することにより宿主細胞(例えばCHO細胞)中の抗体を組み換え的に発現させることにより、抗体を組み換え的に作成してもよい。使用してもよい別の方法は、植物(例えばタバコ)あるいは遺伝子導入乳中の抗体シーケンスを発現させることである。植物または乳中で抗体を組み換え的に発現させる方法が開示された。例えば、Peetersら、Vaccine19:2756(2001年)、Lonberg、N.およびD.HuszarInt.Rev.Immunol13:65(1995年)、およびポラックら、J lmmunol Methods 231:147(1999年)を参照。例えばヒト化、単鎖などの抗体の誘導体を作成方法は当業者において公知である。
免疫測定法および蛍光活性化セルソーティング(FACS)などのフローサイトメトリーソート技術も、NGFに特異的な抗体を単離するために使用することができる。
抗体は多くの様々な担体と結合することができる。担体は活性および/または不活性なタイプが可能である。よく知られた担体の実例としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然または改質セルロース類、ポリアクリルアミド、アガロースおよび磁鉄鉱などがある。担体の性質は、本発明の目的には可溶あるいは不溶性でもよい。当業者は結合抗体に適した担体を把握しており、あるいはルーチンの実験法を使用し、このような担体を確認することができるであろう。
モノクローナル抗体を符号化するDNAは、従来手法を用いて容易に単離され、配列決定される(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖を符号化する遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブの使用による)。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好ましいソースとして有用である。一度単離されると、このDNAは発現ベクター(国際公開第87/04462号パンフレットに開示された発現ベクターなど)に配置され、続いて、大腸菌細胞、サルのコス細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリンタンパク質を産生することを除く骨髄細胞などの宿主細胞内に形質移入され、組み換え宿主細胞中のモノクローナル抗体が合成される。例えば、PCT特許出願公開第87/04462号明細書を参照。例えば、同種マウスシーケンスの代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインコード配列を用いることにより、Morrisonら、Proc.Nat.Acad.Sci.81:6851(1984年)、あるいは非免疫グロブリンポリペプチドにおけるコード配列の全てまたは一部である免疫グロブリンコード配列と共有結合することによりDNAを改質してもよい。このように、本明細書の抗NGFモノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラ」あるいは「ハイブリッド」抗体が調製される。
当業者において公知の方法を使用して、抗NGF抗体を評価してもよい。例えば、1つの方法は、それが結合するエピトープを同定すること、すなわち「エピトープマッピング」である。例えば、HarlowおよびLane、Using Antibodies、Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、ニューヨークNew York、1999年の第11章に記載されているように、抗体抗原複合体の結晶構造の解明、競合分析、遺伝子フラグメント発現分析、および合成ペプチドに基づいた分析などを含むタンパク質上のエピトープの位置をマッピングし評価するための当業者において公知の多くの方法がある。補足例において、エピトープマッピングを使用し、抗NGF抗体が結合するシーケンスを決定することができる。エピトープマッピングは、例えば、Pepsean System社(Edelhertweg 15、8219 PH Lelystad、オランダ)など様々な供給業者より市販されている。エピトープはアミノ酸の単一ストレッチ内に含まれるいわゆる線状エピトープ、あるいは単一ストレッチ内に必ずしも含まれていないアミノ酸の三次元相互作用により形成された高次構造エピトープが可能である。可変長のペプチド(例えば、少なくとも4〜6アミノ酸長)を単離または合成する(例えば、組み換えにより)ことができ、抗NGF抗体による結合分析に使用することができる。別の実施例において、NGFシーケンスに由来した重複ペプチドを使用すること、および抗NGF抗体により結合を判定することにより、抗NGF抗体が結合するエピトープを系統的スクリーニングにて決定することができる。遺伝子フラグメント発現分析によると、NGFを符号化するこの読取枠は、無作為あるいは特定の遺伝的構成にいずれかにより断片化され、さらに試験されるべき抗体によるNGFの発現フラグメントの反応性により判定される。遺伝子フラグメントは、例えば、放射性アミノ酸の存在下で、PCRにより産生され、続いてインビトロで転写され、タンパク質に翻訳される。さらに、放射性ラベル化NGFフラグメントへの抗体の結合が、免疫沈降法とゲル電気泳動法により決定される。ファージ粒子(ファージライブラリ)の表面に表示されたランダムなペプチドシーケンスの大きなライブラリの使用により、特定のエピトープも同定することができる。あるいは、重複ペプチドフラグメントにより、単純な結合分析において試験抗体へ結合することを検査することができる。補足例において、抗原結合領域の変異原性、ドメインスワッピング試験、およびアラニン走査変異原性試験を行い、エピトープ結合に必要とされ、十分な、および/または必須の残基を同定することができる。例えば、ドメインスワッピング試験は、NGFポリペプチドの種々のフラグメントが密接に関連しているが、抗原的には別個のタンパク質由来(ニューロトロフィンタンパク質ファミリーの別のメンバーなど)のシーケンスと置換され(スワップされ)ている変異体NGFを使用して行なうことができる。変異体NGFへの抗体結合の評価により、抗体結合に対する特定のNGFフラグメントの重要性を評価することができる。
抗NGF抗体を評価するために使用することができるさらに別の方法は、同じ抗原に結合することが知られている他の抗体、すなわちNGF上の種々のフラグメントとの競合分析を使用し、抗NGF抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するか否かを判定することである。競合分析は当業者において公知である。本発明において競合分析に使用することができる抗体例は、Hongoら、Hybridoma19:215−227(2000年)に記載されるように、MAb911、912,および938などである。
(他のNGFアンタゴニスト)
抗NGF抗体以外のNGFアンタゴニストを使用してもよい。本発明のいくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、官能性NGFの発現をブロッキングまたは減少させることが可能な少なくとも1つのアンチセンス分子を含む。NGFのヌクレオチド配列は公知であり、公的に利用できるデータベースから容易に入手可能である。例えば、Borsaniら、Nuc.Acids Res.1990年,18,4020、登録番号NM002506、Ulirichら、Nature 303:821−825(1983年)参照。他のポリヌクレオチドと交差反応せずに特異的にNGFmRNAと結合すると予想されるアンチセンスオリゴヌクレオチド分子を調製することが一般的である。ターゲティングの代表的な部位は、開始コドン、5’制御領域、コード配列、および3’未翻訳領域などがあるがこれに限定されない。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さ約10〜100ヌクレオチド、長さ15〜50ヌクレオチド、長さ約18〜25ヌクレオチドあるいはそれ以上である。例えば当業者において公知のホスホロチオネート結合および2’−O糖改質などのバックボーン改質を含むことができる。代表的なアンチセンス分子は、米国特許出願公開第20010046959号明細書に記載されたNGFアンチセンス分子などがある。http://www.rna−tec.com/repair.htmも参照。
他の実施形態においては、NGFアンタゴニストは、官能性NGFレセプター(TrkAおよび/またはp75など)の発現をブロックまたは減少させることのできる少なくとも1つのアンチセンス分子を有する。Woolfら、J.Neuroscie(2001年)21(3):1047−55、Taglialetelaら、J Neurochem(1996年)66(5):1826−35。TrkAおよびp75のヌクレオチド配列は公知であり、公的に利用可能なデータベースから容易に入手できる。
あるいは、NGF発現および/または遊離は、当業者において公知の遺伝子ノックダウン、モルホリノオリゴヌクレオチド、RNAi、あるいはリボザイム法を使用して減少させることができる。
http://www.macalester.edu/〜montgomery/RNAi.html;
http://pub32.ezboard.com/fmorpholinosfrm1 9.showMessage?topicID=6.topic;
http://www.highveld.com/ribozyme.html
を参照。
他の実施形態において、NGFアンタゴニストは、少なくとも1つのNGF阻害化合物を有する。本明細書で使用される、「NGF阻害化合物」は、NGF生物活性を直接的にあるいは間接的に、減少させるか、抑制するか、中和するか、無効にする抗NGF抗体以外の化合物のことを指す。NGF阻害化合物は、以下の特性のうちの1つ以上を呈する必要がある。すなわち、(a)NGFへの結合すること、(b)NGF生物活性および/またはNGF情報伝達機能により媒介された下流経路を阻害すること、(c)特に、疼痛の任意の局面を処置するかまたは予防すること、(d)(trkAレセプター二量体化および/または自己リン酸化を含む)NGFレセプター活性をブロックあるいは減少させること、(e)NGFクリアランスを増加させること、(f)NGF合成、産生、あるいは遊離を阻害する((減少させる)こと、(g)疼痛のオピオイド処置を増強すること。代表的なNGF阻害化合物は、米国特許出願公開第20010046959号明細書に記載された低分子NGF阻害薬、PCT特許出願国際公開第00/69829号パンフレットに記載のNGFのp75への結合を阻害する化合物、PCT特許出願国際公開第98/17278号パンフレットに記載のNGFのTrkA/p75への結合を阻害する化合物などが含まれる。NGF阻害化合物の追加例としては、PCT特許出願公開第02/17914号パンフレット、国際公開第02/20479号パンフレット、米国特許第5,342,942号明細書、第6,127,401号明細書、および第6,359,130号明細書に記載された化合物などがある。さらに代表的なNGF阻害化合物は、NGFの拮抗阻害薬である化合物であり、米国特許第6,291,247号明細書を参照。更に、当業者はその他の低分子NGF阻害化合物を調製することができる。
いくつかの実施形態において、NGF阻害化合物はNGFと結合する。ターゲティング(結合)の代表的な部位は、TrkAおよび/またはp75レセプターに結合するNGF部分、およびレセプターを結合する領域に隣接する、およびレセプター結合部分の適切な三次元形状と部分的に関連する複数のNGF部分など含むが、これに限定されない。別の実施形態では、NGF阻害化合物はNGFレセプター(TrkAおよび/またはp75などの)と結合し、NGF生物活性を阻害する。ターゲティングの代表的な部位は、NGFに結合するTrkAおよび/またはp75部分を含む。
低分子を有する実施形態では、低分子は、100〜20,000ダルトン、500〜15,000ダルトン、または1000〜10,000ダルトンのうちの任意のおよその分子量を有することができる。低分子のライブラリは市販されている。低分子は、腹腔内に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、くも膜下腔内に、脳室内に、経口的に、経腸的に、非経口的に、鼻腔内に、あるいは経皮的に投与する方法を含む当業者において公知の任意の手段を使用して投与することができる。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストが低分子である場合は、1〜3回またはそれ以上の投与量に分割された患者の体重当たり0.1〜300mg/kgの割合で投与される。標準体重の成人患者の場合、1回の投与量当たり1mg〜5gの範囲の投与量を投与することができる。
他の実施形態においては、NGFアンタゴニストは少なくとも1つのNGF構造類似体を有する。本発明における「NGF構造類似体」は、NGFの一部として同様な3次元構造を有し、インビトロあるいはインビボの生理学的条件下でNGFレセプターへ結合する化合物を指す。一実施形態において、NGF構造類似体はTrkAおよび/またはp75レセプターに結合する。代表的なNGF構造類似体は、PCT特許出願公開第97/15593号パンフレットに記載の2環式ペプチド、米国特許第6,291,247号明細書番に記載された2環式ペプチド、米国特許第6,017,878号明細書に記載された環状化合物、およびPCT特許出願公開第89/09225号パンフレットに記載されたNGF由来のペプチドなどがあるが、これに限定されない。適切なNGF構造類似体は、例えばPCT特許出願公開第98/06048号パンフレットに記載された方法により、NGFレセプター結合の分子モデリングによりデザインし合成することもできる。NGF構造類似体は、改善された親和性および生物学的作用を得るためにm同じまたは別の構造の任意の所望の組み合わせのモノマーあるいは二量体/オリゴマーが可能である。
他の実施形態において、本発明は、TrkAおよび/またはp75レセプターの少なくとも1つのドミナントネガティブ変異体を有するNGFアンタゴニストを提供する。当業者は、例えば、レセプターがNGFと結合し、このためNGFを捕捉する「シンク」として作用するようなTrkAレセプタードミナントネガティブ変異体を調製することができる。しかしながら、ドミナントネガティブな変異体は、NGFに結合することでレセプター(TrkAレセプターなどの)の正常な生理活性を保有しないと予想される。代表的なドミナントネガティブな変異体は、以下の参考文献に記載された変異体などがあるが、これに限定されない。すなわち、各々はその内容全体を参照によって本明細書に引用されている、Liら、Proc.Nat.Acad Sci.U.S.A.1998年、95、10884、Eideら、J.Neurosci.1996年、16、3123、Liuら、J.Neurosci 1997年、17、8749、Clinら、Cell 1990年、61、647、Valenzuelaら、Neuron 1993年、10,963、Tsoulfasら、Neuron1993年、10、975、およびLamballeら、EMBOJ1993年、12、3083である。ドミナントネガティブ変異体は、タンパク質形状で、あるいはインビボでドミナントネガティブ変異体(例えば、変異体TrkAレセプター)を発現するような発現ベクターの形態で投与することができる。タンパク質または発現ベクターは、腹腔内に、静脈内に、筋肉内に、皮下に、くも膜下腔内に、脳室内に、経口的に、経腸的に、非経口的に、鼻腔内に、経皮的に、あるいは吸入により投与する方法などの当業者において公知の任意の手段を使用して投与することができる。例えば、発現ベクターの投与では、注射、経口投与、粒子銃、あるいはカテーテル投与、および局所投与をはじめとする局所または全身投与を含む。当業者は、インビボで外因性のタンパク質の発現を得るための発現ベクターの投与に精通している。例えば、米国特許第6,436,908号明細書、第6,413,942号明細書、第6,376,471号明細書を参照。
アンチセンスポリヌクレオチド、発現ベクター、あるいはサブゲノムポリヌクレオチドを含む処置組成物の標的化伝達も使用することができる。レセプター媒介DNA伝達技術は、例えば、Findeisら、Trends Biotechnol.(1993年)11:202、Chiouら、Gene Therapeutics、Methods And Applications Of Direct Gene Transfer、(J.A.Wolff編)(1994年)、Wuら、J.Biol.Chem.(1988年)263:621、Wuら、J.Biol.Chem.(1994年)269:542、Zenkeら、Proc.Natl.Acad Sci.(米国)(1990年)87:3655、Wuら、J.Biol.Chem.(1991年)266:338で述べられている。遺伝子処置プロトコルにおいて、ポリヌクレオチドを含む処置組成物は、局所投与では約100ng〜約200mg(あるいはそれ以上)のDNA範囲で投与される。いくつかの実施形態において、遺伝子処置プロトコルにおいて、DNAの約500ng未満、約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜約100μg、またはそれ以上の濃縮範囲も使用することができる。本発明の処置ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、遺伝子伝達媒体を使用して伝達することができる。遺伝子伝達媒体は、ウイルス性または非ウイルス性起源が可能である。(一般に、Jolly、Cancer Gene Therapy、(1994年)1:51、Kimura、Human Gene Therapy(1994年)5:845、Connelly、Human Gene Therapy(1995)1:185、およびKaplitt、Nature Genetics(1994)6:148を参照)。そのようなコード配列の発現は、内在性哺乳類あるいは異種性プロモータおよび/またはエンハンサーを使用して誘発することができる。コード配列の発現は、構成的または制御的のいずれかが可能である。
所望のポリヌクレオチドの伝達、および所望の細胞の発現のためのウイルスをベースとするベクターは、当業者において公知である。代表的なウイルスをベースとした媒体は、組換え型レトロウイルス(例えば、PCT特許出願公開第90/07936号パンフレット、国際公開第94/03622号パンフレット、国際公開第93/25698号パンフレット、国際公開第93/25234号パンフレット、国際公開第93/11230号パンフレット、国際公開第93/10218号パンフレット、国際公開第91/02805号パンフレット、米国特許第5,219,740号明細書、第4,777,127号明細書、英国特許出願第2,200,651号明細書、欧州特許出願公開第0345242号明細書参照)、アルファウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林熱ウイルス(ATCC VR−67、ATCC VR−1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR−373、ATCC VR−1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923、ATCC VR−1250、ATCC VR 1249、ATCC VR−532)、およびアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT特許出願公開第94/12649号パンフレット、国際公開第93/03769号パンフレット、国際公開第93/19191号パンフレット、国際公開第94/28938号パンフレット、国際公開第95/11984号パンフレット、および国際公開第95/00655号パンフレット参照)などがあるが、これに限定されない。Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147で述べたように、不活化アデノウイルスに結合したDNAの投与も使用することができる。
非ウイルス性伝達手段および方法も使用することができ、これには、単独の不活化アデノウイルスに結合または非結合のポリカチオン性濃縮DNA(例えば、Curiel,Hum.Gene Ther.(1992)3:147参照)、配位子結合DNA(例えばWu、J.Biol Chem.(1989)264:16985参照)、真核細胞伝達媒体細胞(例えば米国特許第5,814,482号明細書、PCT特許出願国際公開第95/07994号パンフレット、国際公開第96/17072号パンフレット、国際公開第95/30763号パンフレット、および国際公開第97/42338号パンフレット参照)、細胞膜との核酸電荷の中和または融合などがあるが、これに限定されない。裸のDNAも使用することができる。代表的な裸のDNA導入方法は、PCT特許出願公開第90/11092号パンフレット、および米国特許第5,580,859号明細書に記載されている。遺伝子送達媒体として作用することができるリポソームが、米国特許第5,422,120号明細書、PCT特許出願公開第95/13796号パンフレット、国際公開第94/23697号パンフレット; 国際公開第91/14445号パンフレット、および欧州特許出願公開第0 524 968号明細書に記載されている。さらなるアプローチがPhilip、Mol.Cell Biol.(1994年)14:2411、およびWoffendin、Proc.Natl.Acad.Sci.(1994年)91:1581に記載されている。
さらに、発現ベクターを使用し、本明細書に記載されたタンパク質ベースのNGFアンタゴニスト(例えば、抗NGF抗体、TrkA免疫接着因子など)のうちの任意の発現をの指図することができることも明白である。例えば、NGFおよび/またはNGF生物活性をブロッくする(部分的から完全なブロッキングまで)ことができる他のTrkAレセプターフラグメントは、当業者において公知である。
別の実施形態において、NGFアンタゴニストは少なくとも1つのTrkA免疫接着因子を含む。本明細書に使用されるTrkA免疫接着因子は、TrkAレセプターの結合特異性を保持し(いくつかの実施形態において、本質的に結合特異性を保持する)、NGFに結合することができるTrkAレセプター(あるいはその一部)および免疫グロブリンシーケンスの細胞外ドメインを有する可溶性キメラ分子を指す。本明細書で述べたように、trkA免疫接着因子は、NGF生物活性をブロック(減少および/または抑制)することができる。
TrkA免疫接着因子は当業者において公知であり、TrkAレセプターへのNGFの結合をブロック(減少または抑制)することが分かった。例えば、米国特許第6,153,189号明細書参照。一実施形態において、TrkA免疫接着因子は、NGFと結合可能なTrkAレセプターアミノ酸配列(あるいはtrkAレセプターの結合特異性を本質的に保持するアミノ酸配列)、および免疫グロブリンシーケンス(あるいはTrkAレセプターの結合特異性を本質的に保持するアミノ酸)の融合を含む。いくつかの実施形態において、TrkAレセプターはヒトTrkAレセプターシーケンスであり、またこの融合は免疫グロブリン定常ドメインシーケンスを有する。他の実施形態では、免疫グロブリン定常ドメインシーケンスは、免疫グロブリン重鎖定常ドメインシーケンスである。他の実施形態において、(例えば、ジスルフィド結合(複数)による共有結合を介した)2つのTrkAレセプター−免疫グロブリン重鎖融合体の会合により、ホモ二量体性免疫グロブリン様構造を生じる。免疫グロブリン軽鎖は、ジスルフィド結合化二量体中のTrkAレセプター免疫グロブリンキメラの1つまたは両方とさらに会合し、ホモ三量体またはホモ四量体構造を生成することができる。好ましいTrkA免疫接着因子の実例は、米国特許第6,153,189号明細書において記載されたものが含まれる。
別の実施形態において、NGFアンタゴニストは、TrkAレセプターおよび/または下流の情報伝達とのNGFの物理的相互作用をブロックし、抑制し、変化させ、および/または減少させることのできる少なくとも1つの抗−TrkA抗体を含み、これによりNGF生物活性が減少および/またはブロックされる。抗−TrkA抗体は当業者において公知である。代表的な抗−TrkA抗体は、PCT特許出願国際公開第97/21732号パンフレット、国際公開第00/73344号パンフレット、国際公開第02/15924号パンフレット、および米国特許出願公開第20010046959号明細書に記載されたものが含まれる。
別の実施形態において、NGFアンタゴニストは、p75レセプターおよび/または下流情報伝達とのNGFの物理的相互作用をブロックし、抑制し、および/または減少させることのできる少なくとも1つ抗−p75抗体を含み、これによりNGF生物活性が減少および/またブロックされる。
別の実施形態において、NGFアンタゴニストは、TrkAおよび/またはp75レセプター活性に関連した下流のリン酸化酵素情報伝達を抑制することができる少なくとも1つのリン酸化酵素阻害薬を含む。代表的なリン酸化酵素阻害薬は、K252aまたはK252bであり、これらは当業者において公知であり、Knuselら、J.Neurochem、59:715−722(1992年)、Knuselら、J.Neurochemistry、57:955−962(1991年)、Koizumiら、J.Neuroscience、8:715−721(1988年)、Hirataら、Chemical Abstracts111:728、XP00204135、アブストラクトおよび12巻Collective Chemical Substance Index、p34237、c.3(5−7)、55−60、66−69、p.34238、c.1(41−44)、c.2(25−27と32−33)、p.3423、c.3(48−50と52−53)参照、米国特許第6,306,849号明細書に記載されている。
臨床医によって探究さると、多数の他のカテゴリーのNGFアンタゴニストが同定されると期待される。
(NGFアンタゴニストの同定)
抗NGF抗体および他のNGFアンタゴニストは、当業者において公知の方法を使用して、同定しまたは評価することができ、これによりNGF生物活性の減少、改善、あるいは中和が検出、および/または測定される。例えば、米国特許第5,766,863号明細書および第5,891,650号明細書に記載されたリン酸化酵素レセプター活性化(KIRA)分析を使用して、NGFアンタゴニストを同定することができる。このELISA型分析は、レセプターたんぱくチロシンキナーゼ(以後「rPTK」)例えば、TrkAレセプターのリン酸化酵素ドメインの自己リン酸化の測定により、リン酸化酵素活性化の定性的あるいは定量的測定、ならびに選択されたrPTK、例えばTrkAの潜在的アンタゴニストの同定および評価に適している。この分析の第1ステージは、リン酸化酵素レセプター、例えばTrkAレセプターのリン酸化酵素ドメインのリン酸化を含み、このレセプターは、真核細胞の細胞膜の中に存在する。レセプターは内因性レセプターあるいはレセプターを符号化する核酸、すなわち細胞内で形質転換されるレセプター構成物でもよい。一般に、第1の固相(例えば、最初の分プレートのウェル)は、細胞が固相に付着するような請求(通常、哺乳動物細胞ライン)の本質的に均質な集団で被覆される。多くの場合、この細胞は粘着性で、このため自然に第1の固相に接着する。「レセプター構成物」が使用される場合、これは、通常リン酸化酵素レセプターおよびフラグポリペプチドの融合を含む。分析のELISA部分において、フラグポリペプチドは、捕捉薬、時に捕捉抗体により認識される。続いて、抗NGF抗体候補、あるいは他のNGFアンタゴニストなどの分析物は、チロシンキナーゼレセプター(例えば、TrkAレセプター)が、NGFおよび分析物に曝露される(あるいは接触する)ように、接着細胞を含むウェルにNGFと一緒に加えられる。この分析により、その配位子NGFによるTrkAの活性化を阻害する抗体(あるいは他のNGFアンタゴニスト)の同定が可能となる。NGFおよび分析物への接触に続いて、(可溶化する洗浄剤を有する)溶解緩衝液および穏やかな攪拌を使用してこの接着細胞が可溶化され、これにより細胞可溶化物の濃縮または分類の必要なしに、分析のELISA部分に直接供することができる細胞可溶化物が遊離される。
このように調製された細胞可溶化物は、次に分析のELISAステージに供する準備ができている。ELISAステージの第一段階として、第2の固相(通常ELISAマイクロタイタープレートのウェル)は、チロシンキナーゼレセプター、あるいはレセプター構成物の場合には、フラグポリペプチドに特異的に結合する捕捉薬(しばしば捕捉抗体)で被覆される。捕捉薬が第2の固相に付着するように、第2の固相の被覆が行われる。捕捉薬は一般にモノクローナル抗体であるが、本明細書の実施例において記述されるように、ポリクローナル抗体も使用される。続いて、レセプターまたはレセプター構成物が第2の固相に接着する(あるいは捕捉される)ように、得られた細胞可溶化物を接着している捕捉薬に曝露するかまたは接触させる。次に、捕捉されたレセプターまたはレセプター構成物を残して、未結合の細胞可溶化物を除去するように洗浄ステップを実施する。その後、接着または捕捉されたレセプターあるいはレセプター構成物は、チロシンキナーゼレセプター中のリン酸化チロシン残基を同定する抗ホスホチロシン抗体に曝露または接触される。一実施形態において、抗ホスホチロシン抗体は、非放射性発色試薬の色変化を触媒する酵素に(直接または間接的に)接合される。従って、このレセプターのリン酸化は、その後の試薬の色変化により測定することができる。この酵素は、抗ホスホチロシン抗体に直接結合させることができ、あるいは、接合分子(例えばビオチン)は、抗ホスホチロシン抗体に接合させることができ、続いて酵素を抗ホスホチロシン抗体に接合分子を介して結合させることができる。最終的に、捕捉されたレセプターあるいはレセプター構成物の抗ホスホチロシン抗体の結合は、例えば、発色試薬の色変化によって測定される。
NGFアンタゴニストも、NGFとともに候補薬剤をインキュベートし、任意の1つ以上の以下に示す特性をモニターすることにより同定することができる。すなわち、(a)NGFに結合する特性、(b)NGF情報伝達機能により媒介されるNGF生物活性あるいは下流経路を阻害する特性、(c)(TrkA二量体化および/または自己リン酸化を含む)NGFレセプター活性化をブロックあるいは減少する特性、(d)NGFのクリアランスを増加させる特性、(e)疼痛(特に)の任意の局面を処置し、緩和し、または予防する特性、(f)NGF合成、産生、あるいは遊離を阻害(減少)させる特性、(g)疼痛のオピオイド処置を増強する特性である。いくつかの実施形態では、NGFのアンタゴニストは、NGFとともに候補薬剤をインキュベートし、結合および付随する減少、あるいはNGFの生物活性の中和をモニタリングすることにより同定される。結合分析は、(複数の)精製NGFポリペプチドで、あるいは細胞の自然発現により、または(複数の)NGFポリペプチドを発現するために形質移入させることにより行ってもよい。一実施形態において、結合分析は競合結合測定法であり、この方法では、NGF結合のための既知のNGFアンタゴニストと競合する候補抗体の能力が評価される。分析はELISAフォーマットを含む多様なフォーマットで行なわれる。他の実施形態において、NGFアンタゴニストは、候補薬剤をNGFとインキュベートし、TrkAレセプター二量体化および/または自己リン酸化の付随する阻害をモニタリングすることにより同定される。
最初の同定に続き、候補抗NGFアンタゴニスト活性は、標的とする生物活性を試験するために知られた生物検定によってさらに確認し精製することができる。あるいは、生物検定を使用し、候補薬を直接スクリーンニングすることができる。例えば、NGFは、応答細胞における多くの形態学的に認識しうる変化を促進する。これらには、PC12細胞の分化を促進し、さらにこれらの細胞からの神経突起の成長を増強すること(Urferら、Biochem、36:4775−4781(1997年)、Tsoulfasら、Neuron、10:975−990(1993年))、応答性知覚神経節および交感神経節の外植体からの神経突起成長を促進すること(Levi−Montalcini、RおよびAngeletti、P.Nerve growth factor.Physiol.Rev、48、534−569、1968年)、および胚性後根神経節、三叉神経節、あるいは交感神経節ニューロンなどのNGF依存性ニューロンの生存を促進すること(例えば、ChunおよびPatterson,Dcv.Biol.75:705−711(1977年)、BuchmanおよびDavies、Development、118:989−1001(1993年)などがあるがこれに限定されない。したがって、NGF生物活性の阻害に関する分析では、NGFプラス抗NGF抗体候補あるいはNGFアンタゴニスト候補などの分析物とともにNGF応答性細胞を培養することが必要である。適切な時間の後、細胞応答が分析される(細胞分化、神経突起成長、あるいは細胞生存)。
Hongoら、Hybridoma19:215−227(2000年)に記述されるように、胚性ラット後根神経節生存率生物検定において、NGFを媒介する生存を阻害する能力モニターすることにより、NGFアンタゴニスト候補のNGFの生物活性をブロックまたは中和する能力も評価することができる。
(本発明の方法において使用するための組成物)
本発明の方法において使用される組成物は、NGFアンタゴニスト(例えば、抗NGF抗体)の有効量を含み、いくつかの実施形態においては、さらに、薬学的に受容可能な賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、この組成物は、本明細書中に記載される方法のいずれかにおいて使用するためのものである。このような組成物の例、ならびに、その処方方法はまた、これより前の節および以下に記載される。1つの実施形態において、組成物は、1種のNGFアンタゴニストを含む。別の実施形態において、組成物は、1種以上のNGFアンタゴニストを含む。別の実施形態において、組成物は、以下のいずれかの1種以上から選択される1種以上のNGFアンタゴニストを含む:NGFと結合する(物理的に相互作用する)アンタゴニスト(例えば、抗体)、NGFレセプター(例えば、TrkAおよび/またはp75レセプター)に結合するアンタゴニスト、ならびに、下流NGFレセプターシグナル伝達系を減少する(妨害および/または遮断する)アンタゴニスト。なお別の実施形態において、組成物は、TrkA免疫付着因子ではない(すなわち、TrkA免疫付着因子以外のものである)。他の実施形態において、組成物は、抗NGF抗体以外のものである、任意のNGFアンタゴニストを含む。なお他の実施形態において、組成物は、TrkA免疫接着因子および抗NGF抗体以外の任意のNGFアンタゴニストを含む。他の実施形態において、NGFアンタゴニストは、NGFの合成、生成または放出を阻害(減少)する。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、NGFに結合し、そして、ニューロトロフィン(例えば、NT3、NT4/5および/またはBDNF)に関連して、有意に交差反応しない。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、接着性の免疫応答と関連しない。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは、抗NGF抗体、NGFに対するアンチセンス分子(NGFをコードする拡散に関するアンチセンス分子を含む)、NGFレセプターに対するアンチセンス分子(例えば、TrkAおよび/またはp75)、NGF阻害化合物、NGF構造アナログ、NGFに結合するTrkAレセプターのドミナントネガティブ変異体、TrkA免疫付着因子、抗TrkA抗体、抗p75抗体およびキナーゼインヒビターからなる群から選択される。別の実施形態において、NGFアンタゴニストは、抗NGF抗体である。他の実施形態において、抗NGF抗体は、ヒトNGFを認識する。いくつかの実施形態において、抗NGF抗体はヒト抗体である。なお他の実施形態において、抗NGF抗体は、ヒト化抗体(例えば、本明細書中に記載されるE3抗体)である。なお他の実施形態において、抗NGF抗体は、望ましくないか、または所望でない免疫応答(例えば、抗体媒介性溶解またはADCCC)を引き起こさない定常領域を含む。他の実施形態において、抗NGF抗体は、抗体E3の1つ以上のCDR(例えば、1、2、3、4、5、または、いくつかの実施形態においては、E3由来の6つ全てのCDR)を含む。
組成物は1つを越えるNGFアンタゴニストを有することができることが分かる。例えば、組成物は、異なるクラスのNGFアンタゴニスト(例えば、抗NGF抗体およびNGF阻害化合物)のメンバーと同様に、NGFアンタゴニストのクラスの1つを越えるメンバー(例えば、NGFの異なるエピトープを認識する抗NGF抗体の混合物)を含むことができる。その他の代表的な組成物は、同じエピトープを認識する1つを越える抗NGF抗体、NGFの異なるエピトープに結合する抗NGF抗体の異なる種、あるいは異なるNGF阻害化合物を有する。他の実施形態では、組成物は、NGFと結合する(物理的相互作用する)アンタゴニスト(例えば抗体)、NGFレセプター(TrkAレセプターあるいはp75レセプターなど)に結合するアンタゴニスト、および/または下流のNGFレセプター情報伝達を減少(妨害および/またはブロック)するアンタゴニストから成る群から選択される1つ以上のNGFアンタゴニストを有する。
本発明において使用される組成物は、凍結乾燥処方または水溶液の形で、薬剤的に容認できる担体、賦形剤、あるいは安定剤(Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、(2000年)Lippincott、Williams、およびWilkins編、K.E.フーバー)をさらに含む。容認できる担体、賦形剤、あるいは安定剤は、その投与量および濃度で受容者に対して無毒であり、リン酸、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液、アスコルビン酸およびメチオニンなどの抗酸化剤、防腐剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラオキシ安息香酸エステル類などのアルキルパラオキシ安息香酸エステル類、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストランなどのその他の炭水化物、EDTAなどのキレート薬、ショ糖、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールなどの糖類、ナトリウムなどの塩を生ずる対イオン、金属錯体(例えば亜鉛−タンパク質錯体)、および/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。薬剤的に容認できる賦形剤は、本明細書にさらに記載される。
(キット)
本発明は、簡易法において使用されるキットを提供する。本発明のキットは、NGFアンタゴニスト(本明細書に記載されたヒト化抗体E3などの抗NGF抗体など)を含む1つ以上の容器を含み、またいくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法のうちの任意の方法に従った使用説明書をさらに備える。いくつかの実施形態において、キットは抗NGF抗体(本明細書に記載された抗体E3などの)を有する。他の実施形態では、キットは、抗体E3(いくつかの実施形態において、E3由来の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、あるいは全ての6つのCDRなど)の1つ以上のCDRを含む抗NGF抗体を有する。このキットは、その個体が疼痛を有するかどうか、またはその個体が疼痛のリスクを有するかどうかを同定することに基づいた処置に適した個体の選択に関する記載をさらに備える。いくつかの実施形態において、本発明は本明細書に記載された方法のうちの任意の方法を使用するためのキットを提供し、このキットはNGFアンタゴニストを有する。さらに別の実施形態において、キットは(本明細書に記載された抗体E3などの)ヒト化抗体を備える。さらに別の実施形態において、その説明書には、任意の疼痛(術後疼痛など)を処置し、予防し、および/または緩和するために、NGFアンタゴニストを投与する説明書を含む。
NGFアンタゴニストの使用に関連する説明は、一般に処置を意図した場合の投与量、服薬スケジュール、および投与経路に関する情報が含まれる。容器は、単位投与量、バルクパッケージ(例えば、マルチ投与パッケージ)またはサブユニット投与量でもよい。本発明のキットで供給された説明は、一般にラベルまたは添付文書での書面による説明書(例えば、キットに含まれる紙シート)であるが、機械可読の説明(例えば、磁気ディスクあるいは光記憶装置ディスク上に記録された説明)も許容される。
ラベルまたは添付文書は、組成物が術後疼痛を処置し、緩和し、および/または予防するために使用されることを示す。説明は本明細書に記載された方法のうちの任意の方法を実行するために提供してもよい。
本発明のキットは適切なパッケージングにある。適切なパッケージングは、バイアル、ビン、ジャー、軟包装(例えば、封着されたマイラーまたはプラスチック袋)、およびその類似物などを含むがこれに限定されない。さらに、吸入器、鼻投与装置(例えば噴霧器)、またはミニポンプなどの輸液用器具などの特定の装置との組み合わせも考慮される。キットは無菌アクセスポートを有する(例えば、容器は、皮下注射針により貫通可能なストッパを有する静脈用注射液バッグあるいはバイアルでもよい)。容器は、無菌のアクセスポートさらに有する(例えば、容器は、皮下注射針により貫通可能なストッパを有する静脈用注射液バッグあるいはバイアルでもよい)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、抗NGF抗体などのNGFアンタゴニストである。容器は第2の薬剤的に活性な薬剤をさらに備える。
キットは、緩衝液および解釈情報などの追加成分を任意に提供する。通常はこのキットは、容器、およびこの容器上あるいはそれに付随するラベルまたは添付文書を備える。
(NGFアンタゴニストの投与、および処置の評価)
NGFアンタゴニストは、任意の適切な経路を介して個体に投与することができる。例えば、それらは共にまたは別々に、経口的に、静脈内に、舌下に、皮下に、動脈内に、直腸に、筋肉内に、胸郭内に、脊髄内に、腹腔内に、脳室内に、舌下に、経皮的に、あるいは吸入により投与することができる。それらは、当業者により認知された手順により調製された錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、オブラート、チューインガム、ロリオポップスlolliopops、坐薬、またはその類似の形態で経口的に投与することができる。本明細書に記載された実施例は、制限のためではなく利用可能な技術の明示のためであることは当業者において明白であろう。
したがっていくつかの実施形態では、抗NGF抗体などのNGFアンタゴニストは、静脈内投与、例えば、ボーラスとしてあるいは長時間にわたる持続注入による、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、腱骨液鞘内、くも膜下腔内、経口、吸入、または局所経路によるなどの既知の方法に従って個体に投与される。ジェット噴霧器および超音波噴霧器を含む液剤処方用の市販の噴霧器が投与に有用である。液体処方は直接噴霧され、凍結乾燥された粉末は再構成後に噴霧することができる。あるいは、NGFアンタゴニストは、フルオロカーボン処方および計量式吸入器を使用してエアロゾル化し、あるいは凍結乾燥されミルにかけられた粉末として吸入させることができる。
1つの実施形態において、NGFアンタゴニストは、部位特異的、または標的化局所伝達技術により投与される。部位特異性または標的化局所伝達技術の実例は、NGFアンタゴニストの多様な移植可能な貯蔵物源、あるいは注入カテーテル、留置カテーテル、または針カテーテルなどの局所伝達カテーテル、人工血管移植、外膜ラップ、バイパス形成、およびステント、あるいはその他の他の移植用デバイス、部位特異性担体、直接注入、患者管理鎮痛(PCA)技術または装置、および/または直接塗布などがある。例えば、PCT特許出願公開第00/53211号パンフレット、および米国特許第5,981,568号明細書参照。
抗NGF抗体などのNGFアンタゴニストの様々な処方を投与に使用してもよい。いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストはそのまま投与される。いくつかの実施形態では、NGFアンタゴニストは抗NGF抗体を含み、薬剤的に容認可能な賦形剤を含む配合物を有する多様な処方でもよい。薬剤的に容認できる賦形剤は、当業者において公知であり、薬理学的有効物質の投与を促進する比較的不活性の物質である。例えば、賦形剤は、成型または硬さを与えるか、あるいは希釈剤として作用することができる。適切な賦形剤には、安定化剤、湿潤および乳化剤、モル浸透圧濃度を変化させるための塩、封入薬、緩衝液、および皮膚浸透エンハンサーなどがあるがこれに限定されない。非経口的および非非経口的薬剤伝達のための賦形剤ならびに処方は、Remingtonら、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000年)に記載される。
いくつかの実施形態において、NGFアンタゴニストは注射による投与(例えば、腹腔内に、静脈内に、皮下に、筋肉内になど)のために処方される。したがってこれらの薬剤は、生理食塩水、リンゲル液、ブドウ糖溶液、およびその類似物などの薬剤的に容認できる媒体と併用することができる。特定の投与計画、すなわち投与量、タイミング、および反復は、特定の個体およびその個体の病歴に依存すると予想される。投薬計画(使用されるNGFアンタゴニストを含む)は、時間により変動する可能性がある。
抗NGF抗体は、注射(例えば腹腔内に、静脈内に、皮下に、筋肉内になど)によるなどの任意の適切な方法を使用して投与することができる。本明細書で述べたように、抗NGF抗体は吸入により投与することもできる。一般に、抗NGF抗体の投与の場合、最初の候補投与量は約2mg/kgである。いくつかの実施形態において、代表的な1日投与量は、約3μg/kgから30μg/kgまで、300μg/kgまで、3mg/kgまで、30mg/kgまで、100mg/kgまたはそれ以上の任意の範囲であってもよい。数日以上にわたる連続投与の場合、条件に依存して、症状の所望の抑制が生じるまで、あるいは疼痛を軽減するために十分な処置のレベルが達成されるまで、その処置は継続される。代表的な投薬計画は、約2mg/kgの初回量を投与し、その後、約1mg/kgの抗NGF抗体の週間維持量を投与するか、あるいは一週おきに約1mg/kgの維持量を投与することを含む。しかしながら、開業医が達成したいと考える薬物動態学的減衰のパターンに依存して、他の投与計画も有用である。例えば、週1〜4回の投薬が考慮される。他の投薬計画は、一日に1回以内、週に週1〜4回、あるいはより少ない頻度の計画が含まれる。いくつかの実施形態において、この化合物は、およそ週1回、月約1〜4回投与される。抗NGF抗体の投与量は本明細書に記載される。この処置の経過は、従来技術および分析により容易にモニターされる。
一般に、本発明によるNGFアンタゴニストは、(いくつかの実施形態では)患者の体重の0.1〜300mg/kgの割合で1〜3回に分割し、または本明細書に開示されたように投与してもよい。標準体重の何名かの成人患者では、約0.3から5.00mg/kgまでの範囲の投与量が投与される。特定の投与計画、すなわち、投与量、タイミング、反復は、特定個体およびその個体の病歴、あるいは個々の薬剤の特性(薬剤の半減期、および当業者において公知の他の配慮事項など)に依存すると予想される。
本発明の目的のために、NGFアンタゴニストの適切な投薬量は、薬剤が、予防目的または処置目的のいずれかで投与されるにかかわらず、使用されるNGFアンタゴニスト(またはその組成物)、処置される疼痛の型および重篤度、以前の処置、患者の病歴および薬剤に対する応答、ならびに主治医の判断に依存する。代表的には、医師は、所望の結果を達成する投薬量に到達するまで、NGFアンタゴニスト(例えば、抗NGF抗体)を投与する。
半減期などの経験的な配慮は、一般に投与量の決定に寄与すると予想される。例えば、ヒト化抗体あるいは完全ヒト化抗体などのヒトの免疫系と適合する抗体を使用し、抗体の半減期を延長し、さらにこの抗体が宿主の免疫系によって攻撃されることが防止される。一般に、必須ではないが、疼痛の処置および/または抑制および/または改善および/または遅延に基づいて、処置の間に投与の頻度を決定し、調整してもよい。あるいは、NGFアンタゴニストの持効性連続遊離(徐放)処方が好ましい。徐放を達成するための多様な配合物および装置は当業者において公知である。
一実施形態において、NGFアンタゴニストの投与量は、疼痛を処置するために1回以上のNGFアンタゴニストの投与を受けた個体において経験的に決定してもよい。個体は、NGFアンタゴニスト(例えば抗NGF抗体)の投与量を徐々に増加して投与される。この処置の効果を評価するために、疼痛の尺度に従うことができる。
本発明中の方法に従ったNGFアンタゴニストは、例えば、投与が処置目的か予防目的かにかかわらず、患者の生理的状態、および当該開業医で公知のその他の因子に依存して、連続的または間欠的な投与が可能である。NGFアンタゴニストの投与は、あらかじめ選ばれた期間の間、本質的に連続的でもよく、あるいは一連の一定間隔をあけた例えば、疼痛の発生前か、発生中、または発生後のいずれか、疼痛の発生前後、発生中とその後、発生前と発生中、発生中、および発生後に投与してもよい。例えば、創傷、切開、外傷、手術、および疼痛を生じさせる可能性のあるその他のイベント前、中、および/または後に投与することができる。
いくつかの実施形態において、抗体などの1種を越えるNGFアンタゴニストが提供される。このアンタゴニストは互いに同一または異なるものが可能である。少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、あるいは少なくとも5種以上の異なるNGFアンタゴニストが提供できる。一般に、これらのNGFアンタゴニストは互いに逆効果を及ぼさずに相補的活性を有する。NGFアンタゴニストは、この薬剤の有効性を増強し、および/または補足する役目を有する他の薬剤と併用して使用することができる。
本発明に従って使用されるNGFアンタゴニスト(抗体など)の治療用処方は、所望の純度を有する抗体の任意の薬剤的に容認できる担体、賦形剤、あるいは安定剤(Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、マーク出版(2000年))との混合により、凍結乾燥処方または水溶液の形で貯蔵用に調製される。容認できる担体、賦形剤あるいは安定剤は使用された投与量と濃度において受容者に対して無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸などの緩衝液、塩化ナトリウムなどの塩、アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤、防腐剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラオキシ安息香酸エステル類などのアルキルパラオキシ安息香酸エステル類、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾールなど)、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、あるいは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、あるいはリジンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、あるいはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAなどのキレート薬、ショ糖、マンニトール、トレハロース、あるいはソルビトールなどの糖類、ナトリウムなどの塩を生ずる対イオン、金属錯体(例えば亜鉛タンパク質複合体)、および/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、あるいはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
NGFアンタゴニスト(抗体などの)を含むリポソームは、Epsteinら、Proc.Natl.Acad Sci.USA 82:3688(1985年)、Hwangら、Proc.Natl.Acad Sci.USA 77:4030(1980年)、および米国特許第4,485,045号明細書および第4,544,545号明細書などの当業者において公知の方法により調製される。循環時間の増強されたリポソームは、米国特許第5,013,556号明細書に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含む脂質組成による逆相蒸発法によって産生することができる。リポソームは、規定された細孔径のフィルタにより押し出され、所望の直径を有するリポソームが得られる。
活性成分は、例えば、コアセルベーション技術、あるいは界面重合法により調製された、例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース、あるいはゼラチンマイクロカプセルおよびポリメチルメタクリレートマイクロカプセルなどのマイクロカプセル内に、コロイド状薬物伝達システム内(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、およびナノカプセル剤)に、あるいはマクロエマルジョン内に取り込まれる。このような技術は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、マーク出版(2000年)に開示されている。
徐放性処方を調製してもよい。徐放性処方の適切な例は、抗体を含む固体の疎水性ポリマーの半透性基質などがあり、この基質は、例えばフィルムまたはマイクロカプセルなどの造形品の形態を有する。徐放性行列の事例は、ポリエステル類、ヒドロゲル類(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、または「ポリ(Vニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号明細書)、L−グルタミン酸および7−エチルL−グルタミン酸の共重合体、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸グリコール酸共重合体および酢酸ロイプロリドからなる注射用微小球)などの分解性乳酸グリコール酸共重合体、ショ糖酢酸イソ酪酸塩、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸などがある。
インビボでの投与に使用される処方は無菌でなければならない。これは、例えば濾過滅菌膜による濾過によって容易に達成される。例えば、処置用抗NGF抗体組成物は、一般に無菌のアクセスポート、例えば静脈用注射液バッグ、あるいは皮下注射針により貫通可能なストッパを有するバイアルを有する容器に入れられる。
本発明による組成物は、経口、非経口、あるいは直腸内投与、または吸入または通気法による投与のための錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、溶液または懸濁液、あるいは坐薬などの単位剤形でもよい。
錠剤などの固体組成物の調製の場合、主要な活性成分は医薬用担体、例えばコーンスターチ、ラクトース、ショ糖、ソルビトール、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸2カルシウム、ガム、および例えば水などのその他の医薬用希釈剤などの従来の錠剤化成分で混合され、本発明の化合物の均一な混合物を含む固体の予備処方組成物、あるいはこれらの無毒な薬剤的に容認できる塩が形成される。均質なものとしてこれらの予備処方組成物を参照する場合、組成物が錠剤、丸剤、およびカプセルなどの有効単位剤形内に容易に等しく細分されるように、活性成分が組成物の全体にわたって均等に分散されていることを意味する。続いて、この固体予備処方組成物は、本発明の活性成分の約0.01mgから約0.1mgまで、約500mgまでを含む上述の種類の単位剤形へ細分される。新規な組成物の錠剤または丸剤は被覆し、あるいは調合し、持続性作用の利点を供与する剤形を提供することができる。例えば、錠剤あるいは丸剤は、後者は前者と比較して外皮形態である内部投与および外部投与成分を有することができる。この2つの成分は、胃内での崩壊に抵抗する役割を果たす腸溶層によって分離し、内部成分を十二指腸へ無損傷で通過させ、あるいは遊離を遅延させることができる。このような腸溶層あるいはコーティングには種々の材料を使用することができ、このような材料には、多数の高分子酸およびシェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースのような材料による高分子酸の混合物などがある。
好ましい界面活性剤は、特に、ポリオキシエチレンソルビタン(例えばTween(登録商標)20、40、60、80または85)およびその他のソルビタン(例えばスパン(登録商標)20、40、60、80または85)などの非イオン性薬剤などがある。界面活性薬剤との組成物は、0.05〜5%、あるいは0.1〜2.5%の界面活性剤を含むことが好ましい。必要に応じて、その他の成分、例えばマンニトール、または他の薬剤的に容認できる媒体を添加してもよいことが分かる。
好ましい乳剤は、Intralipid(登録商標)、Liposyn(登録商標)、Infonutrol(登録商標)、Lipofundin(登録商標)およびLipiphysan(登録商標)などの市販の脂肪乳剤を使用して調製してもよい。この活性成分はあらかじめ混合された乳剤組成物の中に溶解されるか、あるいはオイル(例えばダイズ油、サフラワー油、綿実油、胡麻油、トウモロコシ油、または扁桃油)およびリン脂質(例えば卵リン脂質、大豆リン脂質、または大豆レシチン)および水に混合することで形成された乳剤中に溶解してもよい。他の成分、例えばギルセロールgylcerolあるいはグルコースを添加し、乳剤の張度を調整してもよいことが分かる。乳剤は一般にオイル20%まで、例えば5と20%の間を含むことが好ましい。脂肪乳剤は、0.1〜1.0μmの間、特に0.1〜0.5μmの脂肪滴を有し、また5.5〜8.0の範囲のpH値を有する。
エマルジョン組成物は、Intralipid(登録商標)あるいはそれらの成分(ダイズ油、卵リン脂質、グリセリンおよび水)により神経成長因子アンタゴニストを混合することにより調製された組成物である。
吸入または通気用組成物は、薬剤的に容認可能な水性あるいは有機溶剤、またはこれらの混合物および粉末中の溶液および懸濁液を含む。液体または固体組成物は、上述のような適切な薬剤的に容認できる賦形剤を含む。この組成物は、局所または全身作用のため経口あるいは鼻の呼吸器経路により投与される。適切に無菌化された薬剤的に容認できる溶媒中の組成物を気体の使用によって噴霧してもよい。霧状となった溶液は噴霧器により直接吸入してもよく、あるいは噴霧器をフェイスマスク、栓塞杵、または間欠的陽圧呼吸機械に接続してもよい。溶液、懸濁液、あるいは粉末組成物は、適切な方法で処方を伝達する装置から投与(経口的または経鼻的投与を含む)される。
処置の有効性は、当業者において公知の方法により評価することができる。
次の実施例は、例示のために提供されるが、本発明を制限するものではない。
(実施例1 抗NGFモノクローナル抗体は、術後疼痛の処置に有効である)
本発明者らは、抗NGF抗体911(マウスモノクローナル抗体、Hongoら、Hybridom a 19:215−227(2000)を参照のこと)を用いる処置の効率を評価するために、術後疼痛を模倣する疼痛モデルを使用した。各実験には、16匹の動物(群あたりn=8)を含んだ。抗NGF抗体を、実験あたり、種々の濃度(35mg/kgまたは7mg/kg)で、切開の15時間前に、腹腔内(i.p.)注射した。対照群には、抗体は与えなかったが、生理緩衝溶液をi.p.注射した。
動物。220〜240gの間の重量の雄性Sprague DawleyラットをHarlan(San Diego)から購入し、手術前1週間、動物施設に慣らした。
手術。手術はBrennanら、Pain、64:493−501(1996年)により記載された手順に基づいた。ノーズコーンを介して手術中は、動物に2%イソフルランおよび空気を混合した維持麻酔を行った。右後肢の足底面をポビドンヨードパッドで準備し、皮膚および筋膜を含み1cmの中央の長軸方向の切開を踵の縁から0.5cmより切開を開始し、つま先の方へ拡張して行った。測定は、曲がった位置に足を保持したルーラーにより行った。湾曲鉗子を使用して足底筋を上げ、長軸方向に切開した。筋肉は原点と挿入との間で十分な深さで切開された。ガーゼパッドに圧力を加えることより手術全体にわたって出血をコントロールした。創傷は2本のふとんとじ縫合糸で(5−0エチロンブラックモノフィラメント)閉鎖した。これらの縫合では、最初の結紮は緩く縛り5〜6回結紮された。創傷部位はバシトラシン溶液を塗布した。動物は回復させ、清潔なケージ中で行動性試験を開始する前に、少なくとも2時間休息させた。
安静時疼痛の評価。累積疼痛スコアを使用し、体重負荷に関連した疼痛を評価した。動物を透明なプラスチックケージ中のプラスチックメッシュ(格子:8mm)に置き、足の下面を検査できるようにプラットフォーム上で上昇させた(h:18”)。20分の順化後、0〜2のスケールで体重負荷を評価した。足が白化した場合、またはメッシュに圧着した場合、スコア0が与えられ、全体重に耐えられることを示す。皮膚がメッシュに触れた直後、皮膚の白化または凹みがなく、足をかばう場合はスコア1が与えられた。足が完全にメッシュから離れた状態である場合は、スコア2が与えられた。ラットがまだ休息している場合に、足を引っ込める場合はスコア2と判断した。それぞれの動物は30分間に5分ごとに1分間観察された。1/2時間の間に得られた6スコア(0−12)の総和を使用し、切開された足の疼痛の評価を行った。スコア2の頻度も計算し、激痛の発生率を評価し、あるいは動物による足の警戒度を合計するために使用した。それぞれの動物は手術24時間前(ベースライン)、手術後2時間および24時間に試験を行った。体重負荷は、どの程度自発的に動物が肢を使用するかと良好な関連性を示し、したがって鎮痛の有効な尺度であった。
触覚の異痛症を使っている、機械的に呼び起こされた疼痛の評価。触覚の異痛症をSemmes−Weinstein von Frey毛(Stoelting,Wood Dale,IL)で測定した。動物を透明なプラスチックケージ中のプラスチックメッシュ(格子:8mm)に置き、足の下面を検査できるようにプラットフォーム上で上昇させた(h:18”)。動物を、実験の開始前にこの環境(週の前1〜2日にわたって)に慣らした。15分の順化の期間の後に、皮膚に触れることによって、触覚の異痛症が、足撤退反応が引き出されるまで、力を段階的に並べる際にvon Frey毛を用いて動物の後ろ足の足の切開の、かかとの上のエントリーポイントに近位でテストされた。von Frey番号4.08から5.46が使った;下に記述されるように、それぞれの数がグラムで力と関連する。それぞれのvon Frey毛を、反応が起こるまで毛を2秒間曲げて、直角の表面に適用した。撤退反応が確立されると、反応が起こらなくなるまで、足を次の下降的なvon Frey毛から始めて、もう2回のトライアルについて再びテストした。
3つのトライアルに対する反応を引き出すために必要とされる最も低い量の力をグラムで撤退閾値として記録した。29gの最も強い力は、反応を引き出すことに加えて、足を持ち上げ、これがカットオフポイントを表す。反応が検出されない場合、次の微細繊維5.88インチを記録した。両方の左と右の足をこの方法でテストした。手術の24時間前(ベースライン)と、術後2時間、24時間、48時間と72時間に、それぞれの動物をテストした。安静時疼痛がスコアづけされた後、触覚の異痛症をテストした。この実験結果は図3に示され、抗NGF抗体911の7mg/kgで処理した動物における、機械の刺激に応えて累積的なスコアを提供する。これらの結果は、抗NGF抗体を用いる処置が手術後の機械的に呼び起こされた疼痛を減少させたことを明示した。
熱の痛覚過敏の評価。熱の痛覚過敏を、Hargreavesら(1988)の修正された実験方法の後のマウスプランターテスト(Ugo Basile,Italy)によって評価した。ラットを高尚なガラステーブルで4つの個別のプレキシガラスの箱から成ル構造に慣らした。可動的な放射熱源をテーブルの下に位置づけ、そして後ろ足の足に焦点を合わせた。動物がじっとしているが眠っていない間に、対照の箱の上のボタンは押されており、放射熱源が起動し、そして動物が熱源から離れる時点が自動的に記録される。この足撤退潜時(PWL)は放射源の反射率の変更によってラット足の動きを感じる放射熱源で探知器が埋め込まれたライトによって検出される。足撤退潜時を、数秒で記録した:組織損害を妨げる22.5秒の自動のカットアウトポイントがあった。PWLを各動物の両方の後脚について3〜4回取得し、これらの平均が、右後脚および左後脚についてのベースラインを示した。結果を、右の足(手術部位)と左の足において測られたスコアの比率として提示する。装置は(研究の始まりに)1度目盛りを付けられて、そして通常におよそ6秒のPWLを与えるために40の強度に設定した。各動物を、手術24時間前(ベースライン)と術後3時間、24時間、48時間と72時間にテストした。熱の痛覚過敏測定を、触覚の異痛症測定の後に行った。この実験の結果を、図2に示し、これは、熱の刺激作用に対する抗NGF抗体911の35mg/kgで処置された動物における累積的なスコアが観察されるのを描写する。これらの結果は、抗NGF抗体による処置が、有意に術後の熱の痛覚過敏を減らしたことを明示した。
(実施例2 ヒト化抗NGF抗体を用いる術後疼痛の処置、および、術後疼痛のオピオイド処置との比較)
術後疼痛に対するE3と名付けられたヒト化抗NGF抗体の効果を、実施例1に記載されるような、術後疼痛の動物モデルにおいて試験した。E3抗体は、以下の変異を含む、ヒト重鎖IgG2α定常領域:A330P331からS330S331(野生型のIgG2α配列に対するアミノ酸番号付け;Eur.J.Immunol.(1999)29:2613−2624を参照のこと);ヒト軽鎖κ定常領域;ならびに、表1および2に示される重鎖および軽鎖の可変領域を含む。
切開の15時間前に、種々の濃度(動物重量の1kgあたり0.004mg、0.01mg、0.02mg、0.1mg、0.6mg、そして1mg)で、抗NGF抗体を腹腔内注射(i.p)した。ネガティブ対照群は生理食塩溶液をi.p.投与した。術後24時間に試験を開始する30分前に、ポジティブ対照として、0.01mg/kgのフェンタニールを、i.p.注射した。それぞれの実験が、それぞれの状態に8匹の動物(グループ毎にn=8)を含み、そして対照群は56匹の動物を有した。手術を行い、そして、雄のSDラットをHarlan(Wisconsin)から購入したこと以外は、実施例1に記述されるように、累積的な疼痛スコアを測定した。実施例1に記述されるように、安静時疼痛を手術の24時間後に評価した。
図4に示されるように、ヒト化抗NGF抗体E3は、0.02mg/kg〜1mg/kgの投薬量で投与される場合、術後の安静時疼痛を有意に減少した(p<0.05)。「」は、対照からの有意差を示す(p<0.05)。0.02mg/kgを用いる処置は、0.01mg/kgのフェンタニールを用いる処置と少なくとも同じ程度効率的に疼痛挙動を緩和した。フェンタニールのこの用量は、この強力なオピオイドの通常のヒト用量の10倍である。
(実施例3 抗NGF抗体を用いる術後疼痛の術前および術後の処置)
切開後に投与された場合の術後疼痛の減少における抗NGF抗体の効率を、Harlan(Wisconsin)から購入した雄SDラットを使用して、実施例1に記載した術後疼痛動物モデルにおいて試験した。ヒト化抗NGF抗体E3(0.5mg/kg)を、切開後2時間で、静脈内(i.v.)注射した。対照群には、抗体は与えなかったが、生理食塩溶液をi.v.注射した。手術を行い、実施例1に記載したように、術後24時間後に、累積性の疼痛スコアとして発現した安静時疼痛を評価した。図5に示されるように、抗NGF抗体による処置は、抗体が、術後2時間で投与される場合、切開後24時間において、安静時疼痛を有意に(p<0.05)減少した。これらの結果は、抗NGFが、術後に投与される場合に、術後疼痛を効率的に緩和したことを示した。
Harlan(Wisconsin)から購入した雄のSDラットを使用する、実施例1で記述された動物モデルにおいて切開前14日もしくは21日間に投与される場合の、術後疼痛を減らすことにおける抗NGF抗体の有効性。911がそうであった抗NGFラットモノクローナル抗体を、切開前14日もしくは21日において、種々の濃度(1mg/kgあるいは5mg/kg)で腹腔内投与した。対照群には、抗体は与えなかったが、生理食塩溶液を腹腔内投与した。手術を行い、そして、実施例1で記述されるように、累積的な疼痛スコアとして表された安静時疼痛を手術の24時間後に算出した。図6および7に示されるように、手術の14日前に投与される場合、抗NGF抗体911が5mg/kg量において有意に安静時疼痛を緩和、そして、手術の21日前に注射される場合、安静時疼痛を緩和した。
(実施例4 抗NGF抗体による処置は、創傷治癒に対して影響を示さない)
過剰のNGFを用いる処置が、糖尿病の動物において(Matsudaら(1998)J Exp Med 187(3):297−30)、ならびに角膜潰瘍および皮膚(Lambiaseら(2003)Arch Ital Biol.141(2−3):141−8)創傷治癒を促進し得ることが、科学文献において示唆されている。抗NGF抗体の使用が創傷治癒を妨害するか否かを決定するために、抗NGF抗体処置の創傷治癒に対する効果を、ラットにおいて試験した。
250〜350gの体重の雄のSDラットをHarlan(Wisconsin)から購入し、施設に移動させ、そして少なくとも1週間順応させた。動物をイソフルランで麻酔し、そして背(背中(back))の表面の毛を削り、そしてポビドンヨード、その後アルコールパッドできれいにした。皮膚を通して、2.5センチの切開を背板肩甲部の間に正中線の上に作った。出血を、ガーゼパッドに圧力をかけて制御した。傷を、4つの単一の4−0 エチロン(ethilon)縫合糸で閉じ、そして動物を回復させた。次いで、動物を3つのグループに分けた:1つのグループは単一用量のマウスモノクローナル抗NGF抗体911を手術時に受け(1mg/kg、i.p.);1つのグループは、ポジティブ対照としてケトロラク(Ketorolac)(5mg/kgが、手術の日からの5日間毎日である筋肉内(IMO)に投与し)を受け;そして生理食塩水で処置した対照群(ネガティブ対照)。ケトロラクは創傷治癒を抑制することが知られている。Hawsら(1996)Ann Plast Surg.37(2):147−51;Gerstenfeldら(2003)J Orthop Res.21(4):670−5。
切開の領域を、術後1日目から、毎日試験および写真撮影を開始した。縫合糸を、術後2日で取り外した。切開が完全に閉じたままである場合、切開を、「インタクト」とスコア付けし、いくらかもしくは全ての切開が再び開いた場合は「失敗」とスコア付けした。結果を、インタクトな創傷の比率(すなわち、インタクトな創傷の数をスコア付けした動物の総数で割った数)として表した。
図8に示されるように、抗NGF抗体911で処置された動物の創傷治癒は、生理食塩水で処理された動物の創傷治癒と比較して有意に異ならなかった。従って、抗NGF処置は、創傷治癒に大して明らかな影響を示さなかった。対照的に、創傷治癒は、生理食塩水もしくは抗NGF抗体911で処置した動物と比較した場合ケトロラクで処置された動物において優位に阻害された(p<0.05)。
治癒された創傷の組織学的外観を、抗NGF抗体で処置した3匹のラットと生理食塩水で処置した3匹のラットでまた調べた。切開後21日間で、動物を屠殺し、そして切開のその区域を含む皮膚サンプルをホルマリン固定し、パラフィンに包埋し、そして切開部位を横断して切片にした。これらのセクションは抗NGF抗体あるいは生理食塩水で処理され、ヘマトキシリンとエオシンで染色し、そして動物処置に対して盲目的な獣医の病理学者によって検査した。創傷治癒の異常がラットのいずれかのグループにおいても見られなかった。
(実施例5 低分子NGFアンタゴニストK252aを用いる術後疼痛の処置)
術後疼痛の処置における、NGFアンタゴニストK252aの有効性を、実施例1で記述された切開モデルでテストした。K252aの25mg/mlの溶液をDMSO中で作製した。この溶液の250μlに、45%のシクロデキストリンの溶液3500μlを加え、そして十分に混ぜた。次いで、生理食塩水3750μlを0.8333mg/mlのK252aの最終濃度まで加えた。切開を受けた動物(実施例2において記載されるように得た)と安静時疼痛を評価した。「ベースライン」の累積的な安静時疼痛は、切開後の24時間に決定した。次いで、K252aを試験動物に4mg/kgでi.p.注射し、対照動物に、ビヒクル溶液(K252a以外のK252a溶液の全ての成分を含む溶液)を注射した。累積低な安静時疼痛のスコアを、処置に盲目的な実験者によってK252a処置またはビヒクル処置の1時間(図中で「1H−P−tmt」と記す)およびK252a処置またはビヒクル処置の3時間後(図中で「3H−P−tmt」と記す)を決定した。図9に示されるように、K252aによる処置は、投薬後3時間において安静時疼痛を有意に減少した(p<0.005)が、ビヒクルでの処置は、減少しなかった。これらの結果は、K252a処置が、同じ実験での抗NGF抗体を用いる処置が示したのと同じ程度、安静時疼痛を減少させた。
(実施例6 抗NGF抗体またはアイソタイプ適合性の対照抗体で処置された動物における術後疼痛の比較)
NGFの阻害に必要とされる抗NGF抗体の鎮痛効果を示すために、術後疼痛の処置における抗NGFマウス抗体911の効果を、ショウジョウバエタンパク質である健忘症(amnesiac)と免疫反応性である、同じ用量のアイソタイプ適合性の対照マウス抗体のの効果と比較した。SDラットをHarlan(Wisconsin)から購入したこと以外は、実施例1のように実験を行った。ラットを、術前に15分間、抗NGF抗体911(図中で「911」と記す)またはアイソタイプ適合性の抗健忘症抗体(図中で「amnab」と記す)の1mg/kgを用いてIP処置した。術後24時間において、安静時疼痛(累積的な疼痛スコア)を、動物の処置に盲目的な観察者によって評価した。図10に示すように、抗NGF抗体911での処置は、健忘症抗体で処置した動物と比較して、有意に安静時疼痛を減少した(p<0.005)。これらの結果は、抗NGF抗体での処置の鎮痛効果が特異的であることを示した。
上記の本発明は、理解の明確さの目的で、例示および実例として幾分詳細に記載されているが、説明および実施例は、本発明の範囲を限定するものとしてみなされるべきではない。
図1は、術前24時間(「ベースライン」)、術後2時間(「術後」)および、術後1日および2日に評価した、累積的な安静時疼痛を示すグラフである。「対照」は、抗NGF抗体処置がなされていないことを表し、「911」は、35mg/kgの抗NGF抗体911(「Mab911」とも呼ばれる)で処置された動物を表す。Hongoら、Hybridoma 19:215−227(2000)。抗NGF抗体での処置は、術後の安静時疼痛を有意に減少した。 図2は、術前24時間(「ベースライン」)、術後4時間(「術後」)および、術後1日および2日に評価した、熱的な疼痛(痛覚過敏)を示すグラフである。「対照」は、抗NGF抗体処置がなされていないことを表し、「911」は、35mg/kgの抗NGF抗体911で処置された動物を表す。抗NGF抗体での処置は、術後の熱的痛覚過敏を有意に減少した。 図3は、術前24時間(「ベースライン」)、術後3時間(「術後」)および術後1日および2日に評価した、機械的刺激に応答する機械的疼痛(痛覚過敏)を示すグラフである。「対照」は、抗NGF抗体処置がなされていないことを表し、「911」は、抗NGF抗体911で処置された動物を表す。7mg/kgの抗NGF抗体での処置は、術後の機械的に誘発された疼痛を有意に減少した。 図4は、術後24時間に評価された安静時疼痛を示し、そして、0.02mg/kg、0.12mg/kg、0.2mg/kgまたは12mg/kgのヒト化抗NGF抗体E3が疼痛を減少したことを示すグラフである。「」は、ネガティブ対照からの統計的有意差(p<0.5)を示す。 図5は、術後24時間に評価された安静時疼痛を示し、そして、0.5mg/kgのヒト化抗NGF抗体E3が、術後2時間で投与された場合に、安静時疼痛を有意に減少した(p<0.005)ことを示すグラフである。 図6は、術後24時間で評価された安静時疼痛を示し、そして、5mg/kgの抗NGF抗体911が、術前14日に注射された場合に、安静時疼痛を有意に減少した(p<0.02)ことを示すグラフである。 図7は、術後24時間に評価された安静時疼痛を示し、そして、5m/kgの抗NGF抗体911での処置が、術前21に注射された場合に、安静時疼痛を減少したことを示すグラフである。 図8は、切開後に存在するインタクトな創傷の生成、ならびに生理食塩水、1mg/kgの抗NGF抗体911、またはポジティブ対照であるケトロラクでの処置を示すグラフである。抗NGF抗体911での処置の後のインタクトな創傷の比率は、生理食塩水での処置(ネガティブ対照)の後のインタクトな創傷の比率と異ならなかった。従って、抗NGF抗体での処置は、創傷治癒に影響を示さなかった。対照的に、NSAIDであるケトロラクで処置された動物(ポジティブ対照)は、有意に減少されたインタクトな創傷の比率を示した。 図9は、低分子NGFアンタゴニストであるK252aでの処置が、K252aでの処置後3時間(「3H−P−tmt」)に評価された場合、術後の安静時疼痛を有意に(p<0.005)減少したことを示すグラフである。「1H−P−tmt」は、K252aでの処置後1時間を指す。 図10は、抗NGF抗体911での処置と、アイソタイプ適合性の対照抗体での処置とを比較するグラフである。1mg/kgの抗NGF抗体(911)で処置された動物は、有意に減少された安静時疼痛(p<0.05)を示した。対照的に、1mg/kgのショウジョウバエ健忘症タンパク質に対するアイソタイプ適合性の対照抗体で処置された動物は、正常な安静時疼痛レベルを示した。この実験は、抗NGF抗体の鎮痛効果が特異的であったことを示した。

Claims (8)

  1. 個体における術後疼痛を処置するための方法であって、該方法は、有効量の神経成長因子(NGF)アンタゴニストを該個体に投与する工程を包含し、ここで、該NGFアンタゴニストが、TrkA免疫付着因子以外である、方法。
  2. 安静時疼痛が抑制または緩和される、請求項1に記載の方法。
  3. 機械的に誘発された疼痛が抑制または緩和される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記NGFアンタゴニストが、抗NGF抗体以外である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記NGFアンタゴニストが、NGFレセプター活性に関連する下流のキナーゼシグナル伝達を阻害し得るキナーゼインヒビターである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記キナーゼインヒビターがK252aである、請求項5に記載の方法。
  7. NGFアンタゴニストと、該NGFアンタゴニストを用いて術後疼痛を処置するための説明書とを含む、術後疼痛を処置するためのキットであって、ここで、該NGFアンタゴニストが、TrkA免疫付着因子以外である、キット。
  8. 前記NGFアンタゴニストが、抗NGF抗体以外である、請求項7に記載のキット。
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