JP2006502116A - タンパク質の酸化分解を防ぐ方法及び組成物 - Google Patents

タンパク質の酸化分解を防ぐ方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

タンパク質、特に抗体に対する酸化損傷を防ぐための方法及び組成物を提供する。本組成物は、DTPA、EGTA、及び/又はDEFなどの金属キレート剤の組合せを含有し、さらに、一種以上のフリーラジカル中和剤、特に酸素ラジカルの中和剤、を含むことができる。本発明の組成物を用いてタンパク質安定性を高める方法も開示されている。

Description

発明の分野
関連出願
本出願は、この引用をもってその出願の内容全体をここに援用することとする、2002年7月12日出願の米国仮特許出願第60/395,411号に基づく優先権を主張するものである。
発明の背景
タンパク質は精製及び保管中に様々な程度の分解を起こす。酸化はタンパク質の主な分解経路の一つであり、タンパク質の安定性に破壊的な影響を及ぼす。タンパク質が酸化分解すると電子が失われ、アミノ酸残基の破壊やタンパク質の凝集 [Davies, J. Biol. Chem. 262: 9895-901 (1987)]、ペプチド結合の加水分解 [Kang and Kim, Mol. Cells 7: 553-58 (1997)]が起き、従ってタンパク質の三次構造変化を原因とするタンパク質の不安定性が生ずる。
酸化は、数多くの異なる、そして互いに接続した経路で起き、温度の上昇、酸素量、水素イオンレベル(pH)、並びに、遷移金属、過酸化物及び光線への曝露を含め、多様な惹起条件によって触媒される。典型的には、タンパク質の酸化分解を起こす大きな因子は酸素及び金属への曝露である。いくつかの医薬品添加物が、凝集を防ぐために医薬組成物中に調合されてはいるが、それらは酸素を含有するためにやはり酸化を促進し得る。 例えば、Tweenは微量の混入過酸化物を含有するが、これにより、低濃度の金属の存在下であってもTweenの酸化が起きることがある。酸素ラジカルと金属との組合せにより自己酸化が起き、Tweenの分解がさらに進むことで酸化反応にとっての触媒となるため、こうしてTweenと一緒に調合されたタンパク質の分解が起きるのである。
治療用のヒト化及び完全ヒト抗体の登場により、酸化分解を防ぐことで医薬組成物中のタンパク質安定性を維持する必要が出てきた。モノクローナル抗体を含有する溶液などのタンパク質の酸化は、抗体の分解、凝集及びフラグメント化を引き起こし、抗体活性を失わせることがある。従って、ペプチドや抗体を含有する医薬組成物を、多種の惹起因子を原因とする酸化分解からタンパク質を保護するような医薬品添加物と一緒に調合することが好ましい。このように、当業においては、長期にわたって酸化的条件に耐えることのできる安定なタンパク質含有医薬組成物を提供するために、タンパク質分解の加速を軽減する物理的及び化学的条件を明らかにする必要がある。
発明の概要
本発明は、酸化を原因とする損傷からタンパク質を保護するための優れた組成物及び調合物を提供するものである。本組成物は、金属キレート剤と、任意に、やはり一種以上のフリーラジカル中和剤、特に酸素ラジカルの中和剤(「ROS中和剤」)、との組合せと一緒に調合された酸化し易い一種以上のタンパク質を含有する。本組成物は、酸化に対する高い耐性を示し、その結果、例えば製品貯蔵寿命も長く、安定性が高いために室温での保存が可能であり、及び/又は、製品梱包上の柔軟性も大きくなっている。加えて、本組成物は、一つ以上のサブユニット又はポリペプチド鎖を有すると共に、酸化による損傷を特に頻繁に受けやすいような多ユニットのタンパク質にさえも、著しい保護作用があることを示した。従って、本発明は、抗体組成物など、多ユニットのタンパク質組成物でも保護する(即ち安定化させる)ための重要な手段を提供するものである。
従って、ある実施態様では、本発明は、デフェロキサミン (DEF)、ジエチレントリアミン五酢酸 (DTPA)及び/又はビス(アミノエチル)グリコールエーテルN,N,N',N' 四酢酸(EGTA)から選択される金属キレート剤の組合せと一緒に(例えば実験室用の等級又は医薬組成物などの製剤として)調合されたタンパク質を含む組成物を提供する。キレート剤の好適な組合せは、タンパク質酸化から保護する上で意外な相乗作用を示すDTPA及びDEFである。キレート剤のもう一つの好適な組合せはEGTA及びDEFである。
さらに本発明の組成物には、酸素のフリーラジカルを中和する一種以上の薬剤(即ちROS中和剤)を含めることができる。適したROS中和剤には、例えば、マンニトール、メチオニン及び/又はヒスチジンがある。従って、別の実施態様では、本発明はDEF及び/又はDTPAなどの一種以上の金属キレート剤と、マンニトール、メチオニン及び/又はヒスチジンなどの一種以上のROS中和剤と一緒に調合された一種以上のタンパク質を含有する組成物を提供するものである。
酸化し易いいずれの適したタンパク質又はポリペプチドも、本発明によって保護することができ、従って安定化させることができる(即ち、ここで解説した通りの被酸化保護組成物中に調合することができる)。当該のタンパク質はその天然型(例えばネイティブ)の状態であってもよく、あるいは、例えばマイクロ封入又は接合などにより、修飾されていてもよい。当該のタンパク質は治療用でも又は診断用でもよい。このようなタンパク質には、例えば、酸化による損傷に対するイムノブロブリン、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト成長ホルモン(hGH)、副甲状腺ホルモン(PTH)及び副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)、がある。
加えて、抗体など、酸化による損傷、タンパク質凝集及び分解を特に起こし易く、診断上及び治療上、非機能的になるような多サブユニットタンパク質を、本発明に従って保護することができる。ある具体的な実施態様では、本発明は、完全ヒト抗体や、そのフラグメント及び免疫結合体(即ち、毒素、ポリマ、撮像剤又は薬物などの治療的薬剤に結合させてある抗体)を含め、一種以上のモノクローナル抗体を含むものなど、保護された(即ち安定化した)抗体組成物を提供する。
本発明の組成物には、さらに、タンパク質凝集を阻害する一種以上の薬剤を含めることもできる。ある具体的な実施態様では、該薬剤を、ポリソルベート80、ポリソルベート20、グリセロール及びポロキサマ・ポリマから選択する。本組成物には、さらに、本組成物のpHを、好ましくは約5.0乃至約8.0に維持する緩衝剤を含めることができる。適した緩衝剤には、例えば、Tris、酢酸塩、MES、コハク酸、PIPES、Bis-Tris、MOPS、ACES、BES、TES、HEPES、EPPS、エチレンジアミン、リン酸、及びマレイン酸、がある。
従って、別の局面では、本発明は、一種以上の金属キレート剤、ROS中和剤及び/又は上で解説した他の選択的な薬剤と一緒にタンパク質を調合することにより、安定化したタンパク質組成物を調製する方法を提供する。
本発明の他の特徴及び利点は、限定的なものと捉えられてはならない以下の詳細な説明及び実施例から明白であろう。本出願全体を通じて引用された全参考文献、特許及び公開済み特許出願の内容を、引用をもってここに援用することを明示しておく。
発明の詳細な説明
本発明は、タンパク質の分解及び凝集などを起こすタンパク質の酸化を減少又は防ぐ方法及び組成物を提供するものである。ここに示すように、遷移金属キレート剤、ROS中和剤及び他の活性薬剤など、多様な組合せの酸化保護性化合物と一緒にタンパク質を調合することにより、著しい保護を達成することができる。ある具体的な実施態様では、本発明の被酸化保護組成物には、酸化機序によって損傷を受けやすく、従って安定な形で維持することが困難なモノクローナル抗体が含まれる。
具体的には、本発明は、DTPA又はEGTAと組み合わされたDEFなど、所定の組合せのキレート剤が、金属(例えば銅及び鉄)、過酸化物、温度及び光線など、多種の作用物質及び環境因子により引き起こされるタンパク質の酸化に対し、著しい保護作用があることを初めて実証する。さらに本発明は、DEF及びDTPAが、組み合わせで使用されたとき、タンパク質の酸化分解に対して相乗的な保護効果(即ち、いずれかのキレート剤単独を用いて観察される効果と比較した場合に、予測されるよりも大きな効果)を示すという驚くべき結果を実証するものである。さらに本発明は、特定の組合せのキレート剤及びROS中和剤は、例えばDTPAをマンニトール、メチオニン及び/又はヒスチジンと組み合わせるなどすると、タンパク質酸化に対して著しい保護効果があることを実証するものである。
本発明がより容易に理解されるように、いくつかの用語をまず、以下に記載するように定義しておく。付加的な定義は、詳細な説明の項全般に記載されている。
定義
ここで用いる場合、本発明を記述するために用いられた以下の用語及び文言は、以下に提供する意味を有するものとする。
用語「酸化保護性化合物」とは、タンパク質の酸化を、例えば酸化を引き起こす又は促進し得る金属をキレートするか、又は、酸素のフリーラジカル(ここでは「反応性酸素種」又は「ROS」と言及する)を中和することにより、防止、制限、減少又は制御するいずれかの物質を言う。本発明の組成物中に用いられる酸化保護性化合物は、概して、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約60%、そして最も好ましくは少なくとも約80%又はそれ以上の、酸化に対する相対的保護を提供するものである。
ここで用いられる「相対的保護」とは、一種以上の酸化保護性化合物の非存在下で起きる酸化に比較したときの、前記一種以上の酸化保護性化合物により提供される保護を言う。ある具体的な実施態様では、相対的保護(RP)は以下の通りに計算される:
RP=100%−[(保護性化合物を含有する、Asc及び金属で処理された試料中の特定のバンドの強度)÷(保護性化合物のない、Asc及び金属で処理された試料中の特定のバンドの強度)]
本発明の酸化保護性化合物は、例えば、遷移金属キレート剤(例えばDTPA、DEF、EGTA等)、ROS中和剤(例えばマンニトール、ソルビトール、メチオニン、ヒスチジン、メラトニン)及びタンパク質酸化から保護する他の薬剤、を包含するものである。
用語「被酸化保護組成物」とは、一種以上の酸化保護性化合物と組み合わされた、酸化し易い一種以上のタンパク質を含有する組成物を言う。このような組成物は、例えば存在する酸化関連凝集物又は分解生成物のパーセンテージの減少などで示される、酸化を起こす傾向の低下を示す。これは、例えばSDS-PAGEや、又は他の生化学的もしくは生物物理学的技術によって測定可能であり、また例えば相対的保護を判定するなどにより、定量可能である。
用語「中和する」とは、例えばキレート剤又はROS中和剤などの一種以上の酸化保護性化合物の、酸化から保護する能力、即ち、酸化保護性化合物として作用する能力、を言う。
用語「キレート剤」、「金属キレート剤」、「遷移金属キレート剤」及びこれらの他の文法的変形は交換可能に用いられており、金属イオンを様々な親和性で可溶状態に留めておくことのできる複数の負に帯電した、及び/又は、電子を豊富に持つ配位子を有する多官能性分子を言う。適した電子を豊富に持つ官能基には、カルボン酸基、水酸基及びアミノ基がある。アミノポリカルボン酸、ヒドロキシポリカルボン酸、ヒドロキシアミノカルボン酸等の中にこれらの基が配置されると、金属への結合能を有し、従ってそれを溶液からなくして、O2を含有する化合物とそれが反応できないようにする部分ができる。キレート剤の例には、アミノポリカルボン酸、例えば、エチレンジアミン四酢酸 (EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸 (DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N-2-アセトアミド-2-イミノ二酢酸(ADA)、ビス(アミノエチル)グリコールエーテル、N,N,N',N'-四酢酸(EGTA)、trans-ジアミノシクロヘキサン四酢酸(DCTA)、グルタミン酸、及びアスパラギン酸;並びにヒドロキシアミノカルボン酸、例えばN-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、N,N-ビス-ヒドロキシエチルグリシン(ビシン)及びN-(トリスヒドロキシメチルメチル)グリシン(トリシン);及びN-置換グリシン、例えばグリシルグリシン、がある。他の候補キレート剤には、2-(2-アミノ-2-オキクチル)アミノエタンスルホン酸 (BES)及びデフェロキサミン (DEF)がある。本発明のタンパク質調合物で用いられる適したキレート剤には、例えば、溶液中の金属イオンに結合して、その周りのO2と反応できなくすることで、当該タンパク質と自由に反応して分解してしまうOHラジカルの発生を抑える又は防ぐものがある。このようなキレート剤は、キレート剤による保護なしで調合されたタンパク質の分解を減らす又は防ぐことができる。
本発明で用いられるキレート剤は、例えば前述のキレート剤のカルボキシルもしくは他の酸性官能基など、それらの塩の形で存在していてもよい。このような塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及び他の結合の弱い金属イオンで形成された塩がある。当業で公知のように、塩の性質と、中和しようとする電荷の数は、存在するカルボキシル基の数と、安定化させるキレート剤が提供されるpHとに依存するであろう。やはり当業で公知のように、キレート剤に対して特定の標的イオンが結合する強度は様々である。一般的には、重金属イオンは、それらと同様な電荷だが低分子の相当する金属イオンよりも、結合力が強い。
用語「フリーラジカル酸素中和剤」、「反応性酸素種中和剤」及び「ROS中和剤」は交換可能に用いられており、酸素を中心に持つフリーラジカル又はROSを溶液から取り除く化合物を言う。酸素を中心に持つフリーラジカルとは、中心の酸素と、外側の殻に2つの不対電子とを持つあらゆるフリーラジカルである。フリーラジカルは、不対電子の存在のために反応性が高い。最もよくあるROSには、超酸化物陰イオン(O2-)、水酸基ラジカル(-OH)、一重項酸素(1O2)、及び過酸化水素(H2O2)、がある。 本発明の適したROS中和剤には、限定はしないが、メチオニン、ヒスチジン及びマンニトールがある。
I. タンパク質の安定性に影響する因子
酸素/酸化損傷
タンパク質の酸化は、どこにでもある元素の酸素が参与しているために、分解の最もよくある原因の一つである。過酸化水素及び遊離過酸化物(O2-)及び水酸基ラジカル(-OH)を含め、反応性の酸素種は、タンパク質の凝集 (Davies, JBC 1987 vol. 262 pg. 9895)、ペプチド結合の加水分解(Kang and Kim, Mol. Cells 1997 vol.7 pg. 553) 及び分子間架橋ジチロシン (Davies, JBC 1987 vol. 262 pg. 9908)を含め、タンパク質に対して相当な損傷を及ぼすことができる。
典型的な精製及び保管法では、タンパク質による生物療法薬が、酸化損傷を引き起こす条件及び成分にさらされることがある。微量の(ppmレベル)金属(Cu2+、Fe2+、Co2+及びMn2+、鉄及び銅は最もよくある (Packer, Method Enz. Vol 186 pg. 14) (Ahmed, J. Biol. Chem. 1975 vol. 250 pg. 8477)であっても、ガラス製のバイアルなど、最終的な容器包装から浸出して、アミド結合の加水分解を促進し (Wang and Hanson, J. Parent. Sci. Tech. 1988 vol.42 pg. s4-s25)、酸化を高め、タンパク質凝集に至らしめることができる。光線への曝露も、酸化カスケードに参与する反応性種を生じ得る。一般に用いられているFDA認可の界面活性剤であるTween (ポリソルベート)は、酸化損傷を助長する不純物として(Packer, Method in Enzymology 1990 Vol. 186) 反応性酸素種を含有している場合がある (Hunt, Biochem. J. 1988 vol.250 pg. 87) (Chang and Bock, Anal. Biochem. 1980, vol. 104 pg. 112)。加えて、例えばチオール誘導体、亜硫酸塩、例えば硫酸ナトリウム及びアスコルビン酸などを含め、従来より低分子を酸化から保護するのに用いられてきたいくつかの抗酸化剤は、これらの添加剤がジスルフィド結合に有害であるため、タンパク質、特にモノクローナル抗体などの巨大なタンパク質にとって有害である。
従って、本発明は、上述の酸化機序のうちの一つ以上を制御することにより、タンパク質調合物中の酸化損傷を減らす方法及び組成物を提供する。この結果、例えば製品の安定性が向上し、及び/又は、製造プロセス及び保管条件がより柔軟となるであろう。
温度及びpH
大半のタンパク質の化学的分解プロセスは温度依存的である。しかしながら、酸化の場合、逆説が存在する。温度が低いと酸素の可溶性が増すが、酸素分解率は低下する。温度が高いと酸素の可溶性が低下するが、酸素分解率は増す (J. Par. Sci Tech. Vol.36,1982, pg.222)。
pHは酸化に影響を与えるもう一つの因子である。pHが7.0を越えて上昇すると、水素イオン濃度が上昇し、それと共に、酸化電位も上昇する(ネルンストの式)。ペプチド加水分解に対するpHの作用はよく記載されており、MAbでは酸性pHでもアルカリ性pHでも起こり得る。タンパク質の加水分解は、アミノ酸配列がX-Asp-X、Ser/Thr-X、Pro-Xとなった部位では酸性条件下で、あるいはX-Asn-X、X-Asp-Xとなった部位ではアルカリ性条件下で起き得る(Volkin, Mol. BioTech. 1997 vol.8, pg.105) (Reubsaet, J. Pharm. BioMed. Anal. 1998 vol. 17, pg.955)。酸性条件下で切断されるSer-X及びThr-Xは、ミクロ環境と、 N又はC末端側の隣接アミノ酸の影響を受ける(Wang and Hanson, J. Parent. Sci. Tech. 1988 vol.42 pg. s4-s25)。Pro-Xは酸性及び酸化条件下でグルタミルセミアルデヒドを形成するか、あるいは、2-ピロリドン位置で加水分解されて新しいN末端が形成される(Reubsaet, J. Pharm. Biomed. Ana. 1998 vol. 17 pg. 955)。
II. 非還元性共有結合型タンパク質凝集体の形
大半のタンパク質凝集型は、新しいジスルフィド間の架橋か、又は、新たに形成された非ジスルフィド間の架橋の結果である。酸化により引き起こされる二種類の非還元性の架橋には、Trpのキヌレニン(開環したペンチル環構造)への転化が関与しており、その結果、蛍光の減少及びタンパク質凝集が起きるか、あるいは、介在ジチロシンが形成されて、410-420nm域(315nmでの励起)での蛍光スペクトル放出が増加する (Wold and Moldave, ME, 1984 vol. 107, pg. 377)。
他の形の非還元性ジスルフィド架橋がアミド化 (酸性条件下でLysアミドに、カルボキシル基が加わる)又はアミド基転移化(酸性もしくはアルカリ性条件下でLysアミドにAsn/Glnが加わる)である。タンパク質のアミド基転移は、金属が存在すると亢進/促進される ( Hirs and Timasheff, ME. 1972 vol. 25, pg. 411)。
ベータ脱離は、ジスルフィド結合の還元、ペルスルフィドの形成、チオアルデヒドのアルデヒドへの形成、及び、アルカリ性のpHで促進される反応性デヒドロアラニンの形成、である。デヒドロアラニンは、Tyr、Lys、His、Arg及びシステインと新しい非還元性の架橋を形成することができ、そして酸性条件下では、ペプチドの加水分解がデヒドロアラニンのC末端側で起きる ("Chemical Deterioration of Protein" 1980 Whitaker J. ACS Symp Ser.123 Pg. 147)。
III. タンパク質分解レベルを判定する分析技術
ここで説明するように、本発明は、ある実施態様において、化合物によるタンパク質分解のレベルを判定するための確認済みの方法を用いる。この方法を用いると、このような分解から保護する化合物を同定したり、提供された保護レベルを判定することができる。具体的には、紹介する方法は、タンパク質の酸化損傷を亢進させるステップと、この損傷が、リアルタイムで、加速された経時変化の間に観察されるのと同じ種を生じるかどうかを確認するステップとを含む。ある具体的な実施態様では、酸化条件を、試料をアスコルビン酸ナトリウムに曝露することでシミュレートする(例えば 4 mM、pH 7.5、37℃、48時間)。酸化性の種は、試料をSDS-PAGEに泳動させた後、銀染色することにより、可視化することができる。我々の分析の場合、3μgの材料を泳動させたが、これは、ナノグラム・レベルの感受性を有する銀染色の典型的な泳動量よりも多い。これにより、存在度がかなり低い場合でも種の検出が保証される。当業では、ゲルのバンド強度を分析して試料間の比較を簡単に行うデンシトメトリが公知である。この方法は、例えば、酸化発生性化合物により提供される保護のレベルを、多種の金属との関連から評価するために、用いることができる。RP-HPLC、UV測定、蛍光測定及びイソクラティック(原語:isocratic)溶出法などの数多くの分析法を、酸化した生成物の存在を確認するために用いることができる(Reubasaet et al., (1998) J. Pharm. Biomed. Anal. 17: 955-978)。適当な酸化は、典型的には、試料をpH 7.5、37℃のアスコルビン酸に48時間曝露することにより、達成される。酸化は、銀染色SDS-PAGE法により可視化するなどの分析法で確認することができる。
熟成がリアルタイムで、かつ、加速して起きたときに生じる損傷に相当するように、酸化損傷を促進させる他の公知の方法も、本発明の包含するところである。例えば、アルカリ培地、銅、鉄、ペルオキシダーゼ及びアスコルビン酸などの数多くの酸化剤を用いることができる。
IV. タンパク質
結合タンパク質、免疫グロブリン、酵素、受容体、ホルモン及びこれらのフラグメントを含め、酸化を起こし易い、いずれのタンパク質も、本発明の方法及び組成物により、安定化させる(即ち保護する)ことができる。例えば適した精製スキームで細胞又は組織源から単離されたか、組換えDNA技術で作製されたか、標準的なペプチド合成技術を用いて化学的に合成されたか、など、当該タンパク質を得る又は作製する源又は態様は重要ではない。例えば、キメラ及び/又は融合タンパク質を含め、多種の天然、合成及び/又は組換えタンパク質を、本発明の方法及び組成物により安定化させることができる。
ある具体的な実施態様では、本発明は、モノクローナル抗体及びヒト抗体を含め、抗体を安定化させる組成物及び方法に関する。用語「抗体」及び「免疫グロビン」はここでは交換可能に用いられており、そのフラグメント及び誘導体を包含するものである。本発明で用いられる抗体はポリクローナルでも、又はモノクローナルでもよい。用語「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」とは、ここで用いられる場合、特定のエピトープと免疫反応することのできる抗原結合部位を一種のみ含有する抗体分子の一集団を言う。さらに本発明は、本発明の組成物及び方法により安定化させた組換え抗体にも関する。組換え抗体には、限定はしないが、ヒト及び非ヒト部分の両方を含むキメラ及びヒト化モノクローナル抗体や、一本鎖抗体及び多重特異的抗体が含まれる。キメラ抗体とは、異なる部分が異なる動物種由来であるような分子であり、例えば、マウスmAb由来の可変領域と、ヒト免疫グロブリン定常領域とを有するものである。一本鎖抗体は抗原結合部位を有し、単一のポリペプチドから成る。多重特異的抗体とは、異なる抗原に特異的に結合する少なくとも2つの抗原結合部位を有する抗体分子である。このような分子は当業で公知の技術により作製可能である。ヒト化抗体とは、ヒト以外の種由来の一つ以上の相補性決定領域(CDR)と、ヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域とを有する非ヒト種由来の抗体分子である。さらに、完全ヒト抗体は、その抗体がヒト由来であるか、又は、ヒト遺伝子を含有するトランスジェニック動物由来であるかに関係なく、本発明の調合物及び方法により、安定化させることができる。
当業者であれば、本発明の組成物及び方法を用いて調合された抗体は、抗体フラグメント、具体的には、一つの抗体の抗原結合部分を含有するフラグメント、であってよいことは理解されるであろう。用語「抗原結合部分」とは、抗原への結合能を維持した一つ以上の抗体フラグメントを言う。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体のうちの数フラグメントに行わせることができることが示されている。抗体の「抗原結合部分」という用語で包含される結合フラグメントの例には、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインから成る一価のフラグメントであるFabフラグメント;(ii)2つのFabフラグメントがヒンジ領域でジスルフィドの架橋により連結されて成る二価のフラグメントであるF(ab')2フラグメント;(iii)VH及びCH1ドメインから成るFdフラグメント;(iv)抗体の一本のアームのVL及びVHドメインから成るFvフラグメント、(v)VHドメインから成るdAb フラグメント (Ward et al., 1989, Nature 341:544-546);及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、がある。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインであるVL及びVHは、別々の遺伝子にコードされてはいるが、組換え法を用いて、これらを、VL及びVH領域が対になって一価の分子を形成しているような単一のタンパク質鎖に作製できる合成リンカにより接合することができる (一本鎖 Fv (scFv)として知られる;例えばBird et al., 1988, Science 242:423-426; and Huston et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。このような一本鎖抗体も、抗体の用語「抗原結合部分」に包含されるものと、意図されている。これらの抗体フラグメントは、当業で公知の従来技術を用いて得られ、当該フラグメントは、インタクト抗体と同じ態様で実用性についてスクリーニングされている。
従って、さらに本発明は、ここで解説された通りに調合された、安定化した治療用及び/又は診断用抗体組成物を提供するものである。適した治療用抗体には、いずれの抗体又はそのフラグメントや、抗体誘導体及び免疫結合体(例えば、細胞毒、治療用薬剤又は放射性金属イオンなどの治療用部分に結合させた抗体)も含まれる。細胞毒又は細胞傷害性薬剤には、細胞にとって有害なあらゆる薬剤が含まれる。例にはタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、ミトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びプロマイシン並びにこれらの類似体又は相同体、がある。治療用薬剤には、限定はしないが、抗代謝産物(例えばメトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシル、デカルバジン)、アルキル化剤(例えばメクロレタミン、チオテパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU) 及びロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ミトマイシンC、及びcis-ジクロロジアミンプラチナム(II) (DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン(以前のダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えばダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン (AMC))、及び抗有糸分裂剤(例えばビンクリスチン及びビンブラスチン)、がある。このような治療的部分を抗体に結合させる技術は当業で公知である。
さらに本発明は、本発明の酸化保護性組成物により安定化させた(例えば中に調合された一種以上のタンパク質と、選択的には使用上の指示とを含むキットも提供するものである。
V. 酸化保護性化合物
金属キレート剤は、フリーラジカルの形成及びTween(ポリソルベート)の酸化を阻害/減少させることが示されている。それらの有効性は、実験条件によって様々であるが、文献に記載されている。最もよく用いられているキレート剤であるEDTAは、Cu触媒性フェントン反応においてフリーラジカルの形成を阻害することが示されている。特定の場合において、EDTAはFe触媒性フェントン反応でのフリーラジカルの形成を促進する(Bioch. Biophy. Acta 1997, vol. 1337, pg. 319)。これが起きる理由はFe-EDTAの錯体が、水酸基ラジカル(HO・)を逃がしてしまう開放構造を有するからである。さらに、EDTAは、Feを溶液中に維持して、生理pHでそれが沈殿する妨げとなることも示されている(ME 1990, vol 186 pg 16)。
DTPAは、O2及びH2O2からの鉄依存的な水酸基ラジカル(HO・)形成を減らすことができる(Packer, ME 1990,vol 186 pg. 42)。DEFは、鉄依存的.脂質過酸化の強力な阻害剤である (Packer, ME 1990, vol 186 pg. 42)。両キレート剤はタンパク質調合に用いられてはきたが、これらが、例えば酸化からタンパク質を保護する調合物中などで、一緒に用いられたことはなかった。
本発明の他の酸化保護性化合物には、例えばFDAにより認可されている医薬品添加物&OH中和剤であるマンニトールなど、公知のフリーラジカル中和剤(Kocha, BBA vol.1337, 1997 pg. 319)、ヒスチジン (Kammeyer, BBA vol.49,1999 pg.117)、及びメラトニン(フリーラジカル中和剤)(Reiter, Nutr. 1998 vol. 19 pg. 691)、がある。
本発明の酸化保護性化合物を、タンパク質凝集を防ぐ薬剤と組み合わせることもできる。これは、タンパク質試料及び製剤の損傷及び失活を防ぐためにさらに役立つ。適した薬剤には、例えば、ポリソルベート(例えばポリソルベート 80 及び/又はポリソルベート 20)、グリセロール、ポロキサマ・ポリマ(例えばポロキサマ407及びポロキサマ188)、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、及びBrij、がある。このような薬剤は市販のものを入手でき、また当業で公知である。
VI. 医薬組成物
本発明の酸化保護性化合物を、投与に適した医薬組成物中に組み込むことができる。さらに本発明の酸化保護性化合物を、診断及び/又は研究目的に適した組成物中に組み込むこともできる。このような組成物は、典型的には、目的のタンパク質を、酸化保護性化合物及び薬学的に許容可能な担体の組合せと一緒に含有する。ここで用いられる場合の言語「薬学的に許容可能な担体」とは、薬学的投与に適合する、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗カビ剤、等張剤並びに吸収遅延剤等を包含するものと、意図されている。薬学的に活性な物質のためのこのような媒質及び薬剤の使用は当業で公知である。いずれかの従来の媒質又は薬剤が当該活性化合物と不適合でない限り、組成物中へのその使用は、考察されたところである。補助的な活性化合物も、本組成物中に組み込むことができる。
従って、さらに本発明は、安定化させたタンパク質を含有する診断用及び治療用医薬組成物や、当該タンパク質を、酸化保護性化合物及び薬学的に許容可能な担体の組合せと一緒に調合することにより、このような製剤を調製する方法も、提供するものである。このような組成物には、さらに、様々な濃度のポリソルベート及びグリセロール、及び、pHを例えば約5.0乃至約8.0に維持する様々な緩衝剤を含め、付加的な薬剤を含めることができる。このように、ある具体的な実施態様では、本発明は、一種以上のタンパク質をDEF及びEGTA又はDTPAと、選択的にはROS中和剤と組み合わせて、そして薬学的に許容可能な担体とを一緒に、調合することにより、被酸化保護組成物を調製する方法を提供する。
医薬組成物の適した用量は、熟練した医師、獣医、又は研究者の知見の範囲内の数多くの因子に左右されると考えられる。当該用量は、例えば、治療しようとする対象又は試料の種類、大きさ、及び状態などに応じて様々であろうが、さらに、適当な場合には本組成物を投与する経路や、本発明に従って調合された当該タンパク質組成物に対して当該薬剤が及ぼして欲しいと担当医が期待する効果にも依るであろう。本発明のタンパク質の発現又は活性を調節するために、これらの組成物のうちの一つ以上を動物(例えばヒト)に投与する場合、医師、獣医又は研究者は、例えば、まず比較的に低用量を処方した後、適した応答が得られるまで、この用量を増加させていくことができる。加えて、いずれか特定の動物の対象にとっての具体的な用量レベルは、用いる特定の薬剤の活性、対象の年齢、体重、全身の健康、性別、及び食事、投与時間、投与経路、排出速度、薬物の何らかの組合せや、調節しようとする発現又は活性の程度を含め、様々な因子に依るであろうと考えられる。
本発明の医薬組成物は、それに意図された投与経路と適合性があるように調合される。投与経路の例には、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、経口(例えば吸入)、経皮(局所)、経粘膜、及び直腸投与、がある。非経口、皮内、又は皮下投与に用いられる溶液又は懸濁液には、以下の成分を含めることができる:無菌の希釈剤、例えば注射用の水、生理食塩水、非揮発性の油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩や、塩化ナトリウム又はデキストロースなど、張性調節のための薬剤。pHは、塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調節することができる。非経口用製剤は、ガラス製又はプラスチック製のアンプル、使い捨て用シリンジ又は多人数用バイアル内に封入することができる。
注射用用途に適した医薬組成物は、無菌の注射用溶液又は分散液の即時調製用の無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌粉末を含む。静脈投与の場合、適した担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL (ニュージャージー州パーシパニー;BASF社)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、がある。いずれの場合も、組成物は無菌でなくてはならず、また、注射筒への注入が容易な程度に流動性でなくてはならない。また製造及び保管条件下で安定でなくてはならず、細菌及びカビなどの微生物の汚染作用から保護されていなくてはならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール)、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)及びこれらの適した混合物を含有する溶媒又は分散媒であってよい。適した流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを利用したり、分散液の場合には必要な粒子サイズを維持したり、また界面活性剤を利用するなどにより、維持することができる。微生物の活動を防ぐには、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、チメロサール等の多種の抗菌剤及び抗カビ剤により、達成が可能である。多くの場合、糖類、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、又は塩化ナトリウムなどの等張剤を組成中に含めることが好ましいであろう。注射用組成物の吸収を長引かせるには、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなど、吸収を遅らせる作用物質を組成中に含めることで、可能である。
無菌の注射用溶液は、必要量の活性化合物(例えばポリペプチド又は抗体)を、適した溶媒に入れて、必要に応じて上に列挙した成分の一つ又は組合せと一緒に取り入れた後、滅菌濾過することにより調製することができる。一般的には、分散液は、塩基性の分散媒を含有する無菌の賦形剤に活性化合物を取り入れた後、上に列挙したうちで必要な他の成分を取り入れることにより、調製される。無菌の注射用溶液の調製用の無菌粉末の場合、好適な調製法は真空乾燥及び凍結乾燥であり、その結果、活性成分と、前に滅菌濾過されたその溶液から出る付加的な所望の成分の粉末が生じる。
経口組成物は一般に、不活性の希釈剤又は食用の担体を含有する。これらをゼラチン・カプセルに封入することも、又は、圧縮して錠剤にすることもできる。経口による治療的投与を目的とした場合、活性化合物を医薬品添加物と一緒に取り入れ、錠剤、トローチ、又はカプセルの形で用いることができる。経口用組成物は、さらに、口内洗浄剤として用いられる流動性の担体を用いて調製することができ、この場合、この流動性の担体中の化合物は経口投与され、喀出及び吐出されるか、又は飲み込まれる。
薬学的に適合性ある結合剤、及び/又はアジュバント材料を組成物の一部として含めることができる。当該の錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等には、以下の成分、又は、同様の性質の化合物のいずれかを含めることができる:微結晶セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤;でんぷん又は乳糖などの医薬品添加物、アルギン酸、Primogel、又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotesなどの潤滑剤;コロイド状二酸化珪素などの推進剤;ショ糖又はサッカリンなどの甘味料;又は、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料などの着香料。
吸入による投与の場合、当該化合物は、二酸化炭素などのガスなどの適した推進薬を含有する加圧した容器又はディスペンサや、又はネブライザから、エーロゾル噴霧の形で送達される。
全身投与は、経粘膜又は経皮手段によってもよい。経粘膜又は経皮投与の場合、透過させようとする障壁に適した浸透剤を当該調合物中に用いる。このような浸透剤は、広く当業で公知であり、その中には、例えば、経粘膜投与の場合、界面活性剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体、がある。経粘膜投与は、鼻孔用スプレー又は座薬の使用を通じて達成することができる。経皮投与の場合、活性化合物を軟膏、軟膏剤、ゲル、又はクリームに、、当業で広く公知のように調合する。
さらに本化合物を、直腸送達用に、座薬(例えばココアバター及び他のグリセリドなどの従来の座薬用基剤と一緒に)や、 又は停留注腸剤の形で調製することもできる。
ある実施態様では、インプラント及びマイクロ封入送達系を含め、制御放出調合物など、身体からの急速な消失から当該化合物を保護するような担体と一緒に、活性化合物を調製する。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸など、生分解性で生体適合性あるポリマを用いることができる。このような調合物の調製法は当業者に明白であろう。また材料は、アルザ・コーポレーション及びノヴァ・ファーマシューティカルズ社から市販のものを入手することもできる。(内部又はその上にモノクローナル抗体を取り入れて有するようなリポソームを含め)リポソーム懸濁液も、薬学的に許容可能な担体として用いることができる。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に解説されているように、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
経口用又は非経口用組成物を単位剤形で調合すると、投与が簡単になり、また投薬量が均一になるため、特に有利である。ここで用いる単位剤形とは、治療しようとする対象にとって単位型の投薬量として調整された物理的に別個の単位を言う。各単位は、必要な薬品用担体との関連から所望の治療効果を生ずるよう計算された所定量の活性化合物を含有する。本発明の単位剤形の詳細は、活性化合物の固有の特徴、及び、達成しようとする特定の治療効果、及びこのような活性化合物を、個体の治療に向けて配合する技術に内在する限界、によって決定され、またこれらに直接依存する。
抗体の場合、好適な投薬量は体重1kg当たり0.1 mg乃至100 mgである(一般的には10 mg/kg 乃至20 mg/kg)。抗体を脳内で作用させたい場合、50 mg/kg 乃至100 mg/kg の投薬量が通常、適当である。一般的には、部分的ヒト抗体及び完全ヒト抗体は、他の抗体よりも、人体内での半減期が長い。従って、投薬量を少なくし、投与回数を少なくすることが可能である。脂質化などの修飾を用いると抗体を安定化させ、取り込み及び(例えば結腸上皮などへの)組織浸透を高めることができる。抗体を脂質化する方法はCruikshank et al. (1997) J. Acquired Immune Deficiency Syndromes and Human Retrovirology 14:193に解説されている。
VII. 例示的な組成物の処方
この項では、本発明に従った例示的な組成物を作製するための範囲及び処方を紹介する。熟練した実務者であれば、ごく慣例的な実験を用いるのみで、本発明の範囲内でさらに代替的な組成物を容易に処方することができる。
適した組成物には、一種以上のタンパク質を、約1μg/mL乃至約500 mg/mL、約50μg/mL乃至約300 mg/mL、又は約1 mg/mL乃至約100 mg/mLの濃度で含めることができる。
一種以上の金属キレート剤を以下の例示的な範囲内の濃度で含めることができる。適した組成物には、DTPA及び/又はEGTAを、約1μM乃至約10 mM、約10μM乃至約10 mM、約50μM乃至約5 mM、又は約75μM乃至約2.5 mMの濃度で含めることができる。加えて又は代替的には、DEFを、約1μM乃至約5 mM、約10μM乃至約1 mM、又は約20μM乃至約250μMの濃度で含めることができる。
一種以上のROS中和剤を含有する組成物を、ROS中和剤を以下の例示的な範囲の濃度で含有するように処方することができる。適した組成物には、マンニトールを、約0.01% 乃至約25%、0.1%乃至約25%、約0.5% 乃至約12%、又は約1% 乃至約5%の濃度で含めることができる。加えて又は代替的には、本組成物に、メチオニンを、約10μM乃至約200 mM、約100μM乃至約200 mM、約500μM 乃至約100 mM、又は約15 mM乃至約35 mMの濃度で含めることができる。加えて又は代替的には、適した組成物には、ヒスチジンを、約10μM 乃至約200 mM、約100μM乃至約200 mM、約500μM乃至約100 mM、又は約15 mM 乃至約35 mMの濃度で含めることができる。
適した組成物には、一種以上のポリソルベート(例えばポリソルベート80 及び/又はポリソルベート20)を、約0.0005% 乃至12%、約0.001% 乃至約0.1%、又は約0.005% 乃至約0.1%の濃度で含めることができる。加えて又は代替的には、適した組成物には、グリセロールを、約0.1% 乃至約20%、又は約1% 乃至約5%の濃度で含めることができる。加えて又は代替的には、適した組成物には、一種以上のポロキサマ(例えばポロキサマ407及び/又はポロキサマ188)を、約0.001%乃至約30%、又は約0.2%乃至約10%の濃度で含めることができる。
適した組成物には、選択的に、pHを約5.0乃至約8.0、又は約5.5乃至約7.5に維持するために緩衝剤を含めることができる。緩衝剤の濃度は、約5 mM乃至約100 mM、又は約20 mM乃至約50 mMであってよい。
ある例示的な組成物は:結合性タンパク質;約50μM乃至約5 mM のDTPA;約10μM乃至約1 mMのDEF;組成物のpHを約5.0乃至8.0に維持する緩衝剤;及び以下の薬剤のうちの一つ以上:約0.0005% 乃至約12% のポリソルベート 20、約0.0005%乃至約12% のポリソルベート80、約0.1%乃至約20%のグリセロール、約0.001%乃至約30% のポロキサマ407、及び約0.001% 乃至約30%のポロキサマ188、を含む。この組成物には、さらに、メチオニン、ヒスチジン及び/マンニトールを含め、更なる薬剤も含めることができる。
別の例示的な組成物では、本組成物は、結合性タンパク質;約50μM乃至約5 mM のDTPA;以下の薬剤のうちの一つ以上:約0.5%乃至約12%のマンニトール、約500μM 乃至約100 mMのヒスチジン、及び約500μM乃至約100 mMのメチオニン;以下の薬剤のうちの一つ以上:約0.0005% 乃至約12% のポリソルベート 20、約0.0005% 乃至約12% のポリソルベート 80、約0.1% 乃至約20%のグリセロール、約0.001% 乃至約30% のポロキサマ407、及び約0.001% 乃至約30%のポロキサマ188;及び組成物のpHを約5.0 乃至 8.0に維持する緩衝剤、を含有する。
さらに別の例示的な組成物は、DTPA、マンニトール、ポリソルベート、Tris、塩化ナトリウム、及び抗体又は抗体フラグメントを含有するものである。
実施例
材料及び方法
1. タンパク質酸化検定
タンパク質を酸化に曝露する数多くの方法が当業で公知であり、本発明に従って酸化条件からの保護能について調合物を検査するために用いることができる。通常用いられている方法には、タンパク質のH2O2又はアスコルビン酸+金属及びO2への曝露(空気への曝露)がある (Reubsaet, J. Pharm. Biomed. Ana. (1998) 17: 955。本実施例では、試料をアスコルビン酸ナトリウム(4mMの濃度)、pH7.5の1μMの銅又は鉄で処理し、37℃で典型的には48時間インキュベートすることにより、酸化条件をシミュレートした。特に記載しない限り、用いた試料タンパク質濃度は1 mg/mLだった。
2. 加速された安定性実験
適した温度を選択することは、精確な加速された安定性実験にとって重要である。当業においては、高温によりタンパク質の折り畳み構造が部分的にほどけて不可逆的な変性を起こすことがあることが知られている。このような変化のために安定性実験が複雑になる場合がある。なぜなら、タンパク質の変性遷移が起きる温度又はそれより高い温度で行われる加速された安定性実験で観察される化学的変化は、最終的なバイアル製品の保管温度、例えば4℃、で起きる実際の変性を表していないかも知れないからである。熱量測定法及び蛍光分光法などの生物物理学的技術を用いると、高温がこのような変化を引き起こすかどうかを確認することができる。従って、この実験の場合、37℃が、タンパク質構造中で折り畳み構造の破壊を何ら引き起こさないことが判明した。
3. 金属キレート剤、銅及び鉄溶液
銅及び鉄が媒介する酸化損傷からタンパク質を保護する上での金属キレート剤の保護能を調べるために、EDTA、EGTA、DTPA、及びDEF などの金属キレート剤を、上の1で解説した通りの加速された酸化条件下で行われた一連の実験で調べた。タンパク質試料は、SDS-PAGE、GPC-HPLC、及びELISA(所定の試料)により分析された。
4. SDS-PAGE
SDS-PAGEを、バイオ・ラド社のクライテリオン・ゲル(還元試料の場合4-20%、未還元試料の場合4-15%)を用いて行った。ゲルはすべて、1ウェル当たり3μgの試料の一定充填量で充填した。GPC-HPLC分析を、Tosohaas TSK3000 SWXLカラム(7.8mm×30 cm)を用いて75μgの注射で行った。
5. 対生物活性実験
対生物活性を、抗Tリンパ球抗原抗体に特異的なELISAを用いて判定した。96ウェル・プレートを、可溶性Tリンパ球抗原で被覆した。該抗体を多様な濃度でプレートに加え、可溶性Tリンパ球抗原を結合させた。結合した抗体は、抗ヒトIgGアルカリホスファターゼ結合抗体の次に、ホスファターゼ基質パラニトロフェニルホスフェートで検出された。OD405をELISAプレート・リーダを用いて測定した。報告されている活性は、酸化剤又は酸化保護性化合物のいずれにも曝露していない抗Tリンパ球抗原抗体の参照標準の結合活性を100%としたときの相対値である。
6. 酸化保護の有効性を評価する
タンパク質試料を高温だが、タンパク質の変性に必要な遷移温度よりは低い温度(37℃)で48時間、インキュベートした。酸化からの保護の程度を分析するために、タンパク質試料を還元性SDS-PAGEで泳動させ、銀染色法を用いて可視化した。タンパク質のバンドの強度は、デンシトメトリを用いて定量された。コントロール組成物中の酸化に関連する種の強度を、被酸化保護組成物の強度と比較した。
保護の範囲は以下の通りに分類された:
バンド強度の10%以上の減少、又は、少なくとも約10%の相対的保護;
バンド強度の20%以上の減少、又は、少なくとも約20%の相対的保護;
バンド強度の40%以上の減少、又は、少なくとも約40%の相対的保護;
バンド強度の60%以上の減少、又は、少なくとも約60%の相対的保護;
バンド強度の80%以上の減少、又は、少なくとも約80%の相対的保護;
実施例1: 銅及びアスコルビン酸により誘導されるタンパク質酸化に対するキレート剤の効果
キレート剤を、銅を加えた、及び、銅を加えていない、モノクローナル抗体を含有するアスコルビン酸処理試料に加え、分解を3回の時点(48、96、144時間目)で評価した。加えて、Tween-80を(DTPAを加えた、及び、加えていない)含有する試料も評価した。結果を表1に示す。
Figure 2006502116
結果:
抗Tリンパ球抗原抗体を含有する試料を37℃で48時間、アスコルビン酸処理すると、銀染色されたSDS-PAGEゲルで可視化したときの分解及び凝集が、明白に亢進されていた。新たなバンドが観察され、モノクローナル抗体に、低レベルながら通常伴う特異的な凝集体及び分解生成物(即ち、参照標準中にバンドの総強度の5%未満の強度で存在するもの)がアスコルビン酸処理で亢進されていた。酸化損傷は、銅イオンの存在により悪化しており、凝集体及び分解生成物の両者を表す約12本のバンドが形成されていた。EDTA(0.1又は1mM)の添加により、酸化損傷が亢進した。
対照的に、DTPA (0.1 及び1 mM) は強い保護効果(即ち、抗体の凝集及び分解生成物の減少で証左される酸化の減少)、を銅の非存在下及び存在下の両方で有していた。銅が存在しない場合には、DEFは酸化損傷からのいくらかの保護を提供したが、DEFで処理されたDEF銅を含有する試料では損傷が観察された。1 mM のDTPAを、抗Tリンパ球抗原抗体及び0.02% Tween-80を含有する溶液に加えても、保護があり、酸化損傷の大きさを反映するバンドの数及び強度を大きく低下させた。
インキュベーション時間が増すにつれ、酸化損傷の程度も増し、そのことは、SDS-PAGEで、既存のポリペプチド分解生成物の最高10倍までバンド強度が上昇したことと、新しいポリペプチド分解生成物を表す新しいバンドの形成があったことで、可視化された。例えば144時間のインキュベーションでは、保護のない試料には、SDS-PAGE上で暗い染みのバンドとして見える激しい酸化が起きた。しかし、重要なことに、インキュベーション時間をより長くしても、DEF及びDTPAの保護効果はSDS-PAGEで可視化しても明白であり、バンドの強度の上昇も小さく、また新しいバンドの形成も少なかった。
0.1対1.0mMのDTPAで処理した試料については、バンドの強度に明白な違いはなく、最大の保護がこの低濃度で達成されたことを示唆していた。このように、保護のある最小の濃度を明らかにするために、低いキレート剤濃度を検査した。
アスコルビン酸処理は比較的に厳しく、酸化種を生ずるため、アスコルビン酸及び金属の添加ではなく、高温により生じるタンパク質種を調べるために、更なる実験を行った。高温(45及び53℃)で数週間、アスコルビン酸及び金属なしでインキュベートした抗Tリンパ球抗原抗体の試料を、アスコルビン酸及び金属に曝露してある試料と一緒にSDS-PAGEゲルを泳動させた。アスコルビン酸処理レーンから(SDS-PAGE上のバンドとして)可視化された酸化種は、還元条件下及び非還元条件下の両方で、非アスコルビン酸処理レーンと、(SDS-PAGE上のバンドが整列していたことに基づくと)同じだった。これは、抗体の関連する凝集及び分解種を生じさせるアスコルビン酸処理プロトコルの妥当性を実証するものである。
実施例2. 金属及びアスコルビン酸で誘導されるタンパク質酸化に対する、キレート剤、Tween-80及びタンパク質濃度の影響
以下の実験では、2つの主なパラメータ:有効なキレート剤濃度(例えば、実施例1で用いられたものより低い濃度を調べる)及び多様な金属処理に基づく示差的な効果、に焦点を当てた。
抗Tリンパ球抗原モノクローナル抗体と0.02%Tween-80とを含有する試料を、0.025、0.05、0.075、及び0.1 mM のキレート剤で処理し、48時間、37℃でインキュベートした。さらにこの試料を銅又は鉄又は金属なしのいずれかで処理した。また、付加的なタンパク質試料は、銅への曝露及びアスコルビン酸処理の間、高い(5 mg/mL)タンパク質濃度を含有した。結果を表2に示す。
Figure 2006502116
結果:
金属の非存在下では、銀染色SDS-PAGEで可視化したところ、DTPAは、たとえ0.025 mMのときでも保護効果を示したが、DEFで処理された試料はいくらかの程度、保護された。
銅の存在下では、実施例1で観察されたのと同じ傾向 (SDS-PAGE)が観察され、即ち、DTPAは、0.025 mMといった低い濃度でも抗体を保護するが、DEFは、破壊的な酸化を促進した。
鉄の存在下では、DTPAを有する試料は、酸化損傷の促進を示したが、DEF試料は、金属のないDEF試料と同様な保護を示し、鉄が媒介する酸化損傷からタンパク質を保護する上でのDEFの有効性を実証した。
これらのデータは、様々な金属キレート剤による酸化保護効果における金属依存的な違いを明白に示すものである。DTPAは、銅に対するほうがよく保護し、DEFは鉄に対して保護した。さらに、抗体濃度を高くしてもDTPAの保護効果に影響はないようである。なぜなら、5mg/mLの抗体を含有する試料と1mg/mLの試料とでは、同じバンド・パターンがSDS-PAGE上で観察されたからである。
実施例3: タンパク質酸化からの保護に対するDTPA及びDEFの組合せの相乗効果
前述の研究(実施例2)では、DTPA及びDEFが、酸化に対して金属特異的な保護効果を有することを示した。具体的には、DTPAは、銅が媒介するタンパク質損傷に対して保護効果を有し、DEFは、鉄が媒介する損傷に対して保護効果を有する。銅及び鉄は両者とも、医薬用等級のガラスに通常見られるため、銅及び鉄で処理されたDTPA及びDEFの組合せの効果を、一緒の場合及び別々の場合で、研究した。加えて、DTPAの濃度を(0.1mMを越えて)高くすると鉄の存在下で酸化に対する保護があるかどうかも研究した。従って、モノクローナル抗体、0.02% Tween-80、銅もしくは鉄又は両者の金属、及び多様な濃度のDTPA濃縮液又はDTPA/DEF組合せ、を含有するタンパク質試料を評価した。
結果:
DTPA濃度を高く(0.5 及び1.0 mM)すると、鉄で処理された試料では保護効果が見られた。銅もしくは鉄又は両者の金属で処理された試料では、DTPA及びDEFの組合せにより、驚くべき保護効果があることが観察された。具体的には、実施例1及び2に示すように、0.1 mM のDTPA又はDEFのいずれかで処理されたタンパク質試料は、いくらかの酸化損傷を、SDS-PAGE上の様々なバンド・パターンにより、示した。しかしながら、0.1 mMのDTPA 及び DEF の組合せ処理では、これら個々のキレート剤による観察上の保護との比較から予測されるよりもはるかに大きな保護効果があった。さらに、1 mM のDTPA及び0.1 mMのDEF組合せでは、0.1 mMの DTPA/DEFの組合せの提供する保護より小さかった。
実施例1及び2で調べた抗Tリンパ球抗原抗体試料に加え、タンパク質酸化に対するDTPA及びDEFのこのような相乗的な保護効果は、調査した他のタンパク質試料でも観察された。例えば、分解生成物は、いくつかの抗体では特に大きかった。いくつかの抗体の場合、二種以上の酸化保護性化合物が、アスコルビン酸及び金属で処理されなかった試料で見られたレベルまで、バンド強度を回復させたが、他の抗体では、当該の組合せにより、強度は低くなったが、完全な保護までは見られなかった。DTPA及びDEFの意外な相乗効果を実施例4でさらに調べた。
実施例4: タンパク質酸化に対する保護におけるDTPA及びDEF間の相乗作用に対するキレート剤濃度の影響
タンパク質調合物の酸化に対するDTPA及びDEF の相乗的な保護効果を、DTPA及びDEFを様々な濃度にしたタンパク質組成物を調合することにより、調べた。具体的には、抗体、0.02% Tween-80を含有するタンパク質試料を、銅及び鉄に一緒に曝露し、様々な濃度のDTPA/DEFで処理した。
結果
検査された試料はすべて、酸化損傷からの抗体保護をいくらかの程度、示した。いくつかの組合せは、より高分子量の凝集を防ぐのに役立ったが、重鎖及び軽鎖バンド間で溶出する種の形成は防がなかった。最も大きな保護が観察されたのは、1 mM のDTPA/0.5 mM のDEF、0.02 mM のDTPA/0.1 mM のDEF、及び0.1 mMのDTPA/0.5 mMのDEFで処理された試料においてであった。
銀染色後、SDS-PAGEゲルを、BIO-RAD GS-800デンシトメータを用いてスキャンした。デンシトメータによる分析では、「調節された体積」(即ち、バンドの強度をその体積に対して積分して、着色バックグラウンドについて調節したもの)が提供される。バンドの強度をQuantity Oneソフトウェアを用いて比較して、保護効果を定量した。これらのバンドは、実験全体を通じて常に観察された、凝集体及び抗体分解生成物を含む、特異的な酸化種を表すものである。
代表的なバンド/酸化種のデンシトメトリ・データから得た調節された体積に基づくと、酸化からの保護とDTPA/DEF濃度との間の関係は、単なる和ではないことは明白だった。ある一つの種を減らすのに有効だったDTPA及びDEFの組合せは、別の種の形成を必ずしも妨げるものではなかった。最も有効な(即ち酸化によるバンドを減らした)特定の濃度範囲は、DTPA濃度が0.1 乃至0.5 mM で、DEF濃度が0.02 乃至0.1 mMというものだった。これらの結果は、たとえキレート剤濃度が最低(例えば0.02 mMのDEF/0.1 mM のDTPA)でも、著しい保護がDTPA及びDEFの組合せによりもたらされることを実証している。
実施例5: EDTAにより亢進する酸化損傷に対するDTPA、DEF及びEGTAの効果
DTPAとDEFとの間の相乗効果の観察をもとに、いずれか又は両者のキレート剤が、EDTAにより亢進する酸化損傷を「救う」ことができるかどうかを判定する研究に至った。加えて、単独の場合、又は、前に調べられたキレート剤との組合せの場合の、保護効果を提供する上でのEGTAの能力を研究した。具体的には、0.02%のTween-80及びEGTA又はEDTAを、他のキレート剤と組み合わせて含有するタンパク質試料を銅及び/又は鉄に曝露し、評価した。
結果:
DTPA、DEF又は両方のキレート剤の存在下で、ひどい酸化損傷が、EDTAで処理された試料で観察された。1mMのEGTAがCuに基づく酸化に対する(コントロールに比較して)相当な保護を提供し、また程度はより小さいが、(コントロールに比較したときの付加的な凝集体及び分解生成物を証左とすると)Feにより引き起こされる酸化に対しても保護を提供した。1 mM のEGTA+0.1 mM のDTPAは僅かな酸化の増加を示したが、1 mM のEGTA+0.1 mM のDEFは(コントロールに比較して)良好な保護を示した。しかしながら、1 mM のEGTA+0.1 mMの両DEF及びDTPAでは、保護は小さかった。興味深いことに、両DEF及びDTPAをより高濃度(1mM)にしても、EDTA又はEGTAのいずれでも向上は見られなかった。
実施例6: キレート剤、Tween-80、タンパク質濃度、マンニトール、メチオニン及び/又はヒスチジンが、金属及びアスコルビン酸により誘導されるタンパク質酸化に及ぼす影響
前記の実施例で紹介された酸化保護性組成物の融通性を調べるために、二種のモノクローナル抗体並びに五種の他のタンパク質及びペプチドを、金属及びアスコルビン酸と、付加的なキレート剤、及び、酸素に関与するフリーラジカル(ここでは反応性酸素種又は「ROS」と言及)の中和剤の組合せとに曝露した。これらの実験では、本発明の酸化保護性かつ安定化作用のある組成物を、広範囲の分子量、濃度及び生物物理学的及び生化学的特徴を有する多種のタンパク質に用いることができることが、実証されている。
1. モノクローナル抗体の酸化に対する影響
二種のモノクローナル抗体(抗Tリンパ球抗原抗体及び抗表面腫瘍抗原抗体)を、キレート剤及びROS中和剤の更なる組合せの存在下で調べた。
酸化からの保護レベルを、SDS-PAGEにより、抗体の分子量にとって最適なゲル濃度を用いて判定した。ゲルを銀染色した後、BIO-RAD GS-800デンシトメータを用いてスキャンした。もれなく観察された、一揃いの酸化関連種(凝集体及び分解生成物の両方)を表すバンドを検出し、付属のQuantity One ソフトウェアを用いて定量した。デンシトメータによる分析では、「調節された体積」、即ち、バンドの強度がその体積に対して積分され、着色のバックグラウンドに関して調節されたもの、が提供される。最適な保護混合物は、これらの調節された体積の数値を減らすはずである。
抗体試料はすべて、4 mMのAsc及び金属(それぞれ1μMのCu 及びFe)で処理された。検査された付加的な組合せには:キレート剤なし、100μMのDTPA 及び20μMのDEF;100μMのDTPA及び3% のマンニトール;100μMのDTPA及び25 mMのメチオニン;100μMのDTPA及び25mMのヒスチジン;100μMのDTPA、20μMのDEF及び25 mMのメチオニン;並びに100μMのDTPA、20μMのDEF及び3%のメチオニン、が含まれていた。当該抗体タンパク質溶液は、1 mg/mLのタンパク質PBS溶液を、0.01%の Tween-80又は2%のグリセロールと一緒に含有していた。試料をすべて、室温で少なくとも48時間、インキュベートした後、4℃で保存した。(検査した両方のmAbで同様な)結果を表3に示す。
Figure 2006502116
酸化に対する相対的保護の値も以下の通りに測定した:
RP=100%−[(保護化合物のあるバンド強度)÷(保護化合物のないバンド強度)]
モノクローナル抗体タンパク質試料の相対的酸化保護レベルの結果を表4に示す。(A=抗Tリンパ球抗原抗体;B=抗表面腫瘍抗原抗体)
Figure 2006502116
結果
キレート剤の組合せ、又は、キレート剤及びROS中和剤の組合せの非存在下では、両方のモノクローナル抗体タンパク質試料とも、銀染色SDS-PAGEで可視化された新しい別個のバンドや、アスコルビン酸、金属、Tween-80及びグリセロールなど、酸化、分解及び凝集を起こす化合物を含有することが公知のバンドの強度の上昇に見られるように、酸化を示した。キレート剤の組合せ、又は、キレート剤及びROS中和剤の組合せを含有する条件のそれぞれで、タンパク質試料の分解及び凝集は、ゲル上のバンド強度が大きく低下したことで証左されるように、著しく弱まった。
2. IgG、BSA、hGH、PTH及びACTHの酸化に対する保護効果
ヒトIgG、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト成長ホルモン、副甲状腺ホルモン(PTH)及び副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を、キレート剤及びROS中和剤の付加的な組合せの存在化で調べた。保護のレベルを、SDS-PAGEにより、当該タンパク質又はペプチドの分子量にとって最適なゲル濃度を用いて判定した。ゲルを銀染色した後、BIO-RAD GS-800デンシトメータを用いてスキャンした。もれなく観察された、一揃いの酸化関連種(凝集体及び分解生成物の両方)を表すバンドを検出し、付属のQuantity Oneソフトウェアを用いて定量した。デンシトメータによる分析では、「調節された体積」、即ち、バンドの強度がその体積に対して積分され、着色のバックグラウンドに関して調節されたもの、が提供される。最適な保護混合物は、これらの調節された体積の数値を減らすはずである。タンパク質試料の濃度及び対応するゲル濃度を表5に要約する。
Figure 2006502116
すべてのタンパク質試料を、4 mM Asc 及び金属(それぞれ1μMのCu及びFe)で処理した。検査された付加的な組合せには:キレート剤なし、100μMのDTPA 及び20μMのDEF;100μMのDTPA及び3% のマンニトール;100μMのDTPA及び25 mMのメチオニン;100μMのDTPA及び25mMのヒスチジン;100μMのDTPA、20μMのDEF及び25 mMのメチオニン;並びに100μMのDTPA、20μMのDEF及び3%のメチオニン、が含まれていた。当該抗体タンパク質溶液は、1 mg/mLのタンパク質PBS溶液を、0.01%の Tween-80又は2%のグリセロールと一緒に含有していた。試料をすべて、室温で少なくとも48時間、インキュベートした後、4℃で保存した。
結果:
金属及びアスコルビン酸に曝露すると、IgGは、前の実施例で研究した抗体と同様に、より高分子量の酸化誘導性凝集体や、抗体酸化の重鎖及び軽鎖の間で泳動する分解生成物及び種での増加を示した。酸化保護性化合物の組合せを当該IgG試料に導入すると、酸化による分解が減少した。
金属及びアスコルビン酸に曝露すると、BSAは、2つの主たる分解生成物(最初の「主なバンド」のそれよりも強い強度(即ち、試料中の主たる、最も豊富なタンパク質種に相当するバンド)を銀染色SDS-PAGE上で示した。DTPA及びDEF、並びにキレート剤及びROS中和剤のすべての組合せが、これらの酸化種の形成を妨げた(検出可能なバンドなし)。
金属及びアスコルビン酸に曝露すると、ヒト成長ホルモンは、おそらくは重合体化が原因と思われる、僅かに小さな見かけ上の分子量のバンドを示した。このバンドは、DTPA 及びDEFの組合せや、これらのキレート剤及びROS中和剤を含有する試料では検出されなかった。
金属及びアスコルビン酸に曝露すると、PTH中の凝集種の数が増加した。DTPA及びDEFの組合せや、これらのキレート剤及びROS中和剤による処理で、凝集種が減少した。
金属及びアスコルビン酸に曝露すると、数多くの凝集種がACTH中に生じた。これらの種は、DTPA及びDEFの組合せや、これらのキレート剤及びROS中和剤を含有する試料では、減少していた。
表6では、前記のタンパク質及びペプチドを用いた実験の結果を要約する。全体的には、DTPA及びDEFの組合せや、これらのキレート剤をROS中和剤と一緒に含めた結果、定量可能な保護効果が、幅広い範囲のタンパク質濃度、タンパク質サイズ、及びタンパク質の種類(抗体、ホルモン等)で起きた。
Figure 2006502116
実施例7: タンパク質酸化を調べるGPC-HPLC法との相関
GPC-HPLC
銀染色SDS-PAGEに加え、GPC-HPLCを用いて、酸化を原因とするタンパク質凝集の発生や、分子量及び/又は三次構造の変化を調べた。抗Tリンパ球抗原抗体を、この研究全般で用いた。この研究の焦点は、主な単量体ピークの変化、即ち全(影響を受けていない)タンパク質(典型的には12乃至12.2で溶出する)や、凝集体ピークの発生であった。酸化損傷に曝露された試料は、主なピーク保持(減少)及び主なピーク形状(拡がった)の両方で大きな変化を示した。酸化損傷が広汎だったタンパク質試料の場合、2つの更なるピークが、9 乃至9.5分と7.3分という(カラムのボイド体積に相当する)保持時間で見られた。アスコルビン酸及び金属キレート剤は、典型的には、14 乃至16分の保持時間で溶出し、相当するピークは無視された。
キレート剤の間の保護の違いを、銅及びアスコルビン酸に曝露した試料で観察した。DTPAで処理された試料は、12.175分で、天然抗体構造の指標である鋭い単量体のピークを示し、他方、DEF試料の主なピークは、拡がっており、またシフトして(全天然抗体と比較したときの抗体構造の変化を示唆するものである)おり、保持時間は11.5分だった。EDTAも、SDS-PAGEで観察される大半の酸化損傷に伴い、広い、シフトした単量体ピークと、付加的な凝集体ピークとを有する。
アスコルビン酸及び鉄で処理された同様の組のタンパク質試料では、GPC-HPLCクロマトグラフィはSDS-PAGEの結果と並行し、即ち、DTPAは、広くなり、またシフトしたピークに見られた、小さな保護を提供したが、他方、DEF処理試料は、天然抗体のそれに近い単量体ピークを有していた。EDTA処理試料のクロマトグラフィは、酸化損傷の存在をはっきりと示していた。
対生物活性/結合親和性
4つの代表的な試料を、対生物活性に関する検査の対象に選抜した。ELISAを用いて、抗原を力価測定するのに必要な抗体の濃度を測定することにより対生物活性を判定した。結果を表7に示す。
Figure 2006502116
結果
3つの方法、即ち、SDS-PAGE、GPC及びELISAすべてで、酸化によりタンパク質構造に損傷が起きて、活性が大きく失われ、また、DTPA、DEF、及びこれらの組合せなど、酸化保護性の医薬品添加物を加えると、酸化プロセスを原因とした対生物活性の消失が妨げられることが、例外なく示された。
実施例8: タンパク質酸化を調べる光酸化法との相関
試料の光酸化を、SDS-PAGEを用いて観察されるバンドは、化学的に酸化させた、リアルタイムの安定性実験で見られたバンドと整列する。当該のタンパク質試料の分子量及びゲル上の溶出プロファイルは、凝集体及び分解生成物は、例えば重鎖及び軽鎖の連結部の酸化など、生成物に関連していることを示している。この実験では、化学的酸化実験と並行して行われた、より短いタイムスケールの光酸化実験に焦点を当てた。これにより、2つの種類の酸化プロセスにより生じる種を並行して比較することができる。
タンパク質試料を含有する抗体(抗免疫受容体抗体及び抗Tリンパ球抗原抗体)を1mg/mLの濃度で検査タンパク質として用いた。緩衝条件には、前に解説したとおりのPBSと、さらにDTPA (1 mM)、マンニトール(10%)、メチオニン (15 mM) 及びヒスチジン(50 mM)が含まれていた。DTPA (1 mM) 及びマンニトール (10%) も組み合わせた。化学的酸化を生じさせるために、試料を4 mMのアスコルビン酸及び1μMの銅及び鉄に曝露した。試料は銀染色SDS-PAGEで分析された。
両方のタンパク質試料で、顕著な光酸化種の発生が、10倍の光処理の一日後に観察された。抗免疫受容体抗体の光酸化種と化学的酸化種との間で、同じ様な配列のバンドが観察された。しかしながら、抗Tリンパ球抗原抗体では、光酸化種と化学的酸化バンドの間に顕著な違いがあった。このことは、本発明の調合物は、様々な種類の機序で生ずる酸化種を減らす上で有効であることを示している。
結果
1mMのDTPAで処理された試料は、未保護の試料に対していくらかの向上を示した。マンニトール、DTPA/マンニトール、及びヒスチジンで処理された試料も、保護効果を示した。メチオニンは、SDS-PAGE上で重鎖及び軽鎖間で可視化される光酸化種の形成を減らす上で、特に有効だった。
結び:
前述の実施例では、酸化により、タンパク質、特にモノクローナル抗体に大きな損傷が起きること、そして、この酸化損傷は、DTPA、EGTA、及びDEFを含む金属キレート剤を、単独で、又は、一種以上のROS中和剤(例えばマンニトール、ヒスチジン及び/又はメチオニン)と組み合わせる、といった所定の組合せと一緒にタンパク質を調合することにより、減らすことができることを実証するものである。前述の実施例は、さらに、 DTPA 及びDEFは、酸化を減らす上で意外な相乗効果を有することを示している。具体的には、少なくとも0.1 mMのDTPA 及び0.02 mMのDEFを、ROS中和剤を加えて、又は加えずに組み合わせると、抗体及び他のタンパク質調合物に対する、酸化から保護するための万能の添加物として有効である。さらに前述の実施例では、キレート剤EDTAがタンパク質に対して有する破壊的作用を示し、前述の組成物が、酸化から保護する、即ち、この作用からタンパク質を「救う」ことができることも示されている。
均等物
当業者であれば、慣例的な実験を用いるのみで、ここに解説した本発明の具体的な実施態様の均等物を数多く、認識し、又は確認できることであろう。このような均等物は以下の請求の範囲の包含するところと、意図されている。本出願全体を通じて引用された全参考文献、特許及び公開済み特許出願の内容全文を、引用をもってここに援用することとする。

Claims (44)

  1. DTPA及びDEFと一緒に調合されたタンパク質を含む組成物。
  2. EGTA及びDEFと一緒に調合されたタンパク質を含む組成物。
  3. マンニトール、メチオニン及びヒスチジンから成る群より選択されたROS中和剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. タンパク質と、DTPAと、マンニトール、メチオニン及びヒスチジンから成る群より選択されたROS中和剤とを含む組成物。
  5. DTPAの濃度が約1μM乃至約10 mMである、請求項1、3又は4のいずれかに記載の組成物。
  6. DEFの濃度が約1μM乃至約5 mMである、請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
  7. マンニトールを約0.01%乃至約25%の濃度含む、請求項3乃至5のいずれかに記載の組成物。
  8. メチオニンを約10μM乃至約200mMの濃度含む、請求項3乃至5のいずれかに記載の組成物。
  9. ヒスチジンを約100μM乃至約200mMの濃度含む、請求項3乃至5のいずれかに記載の組成物。
  10. タンパク質の凝集を阻害する薬剤をさらに含む、請求項1乃至9のいずれかに記載の組成物。
  11. タンパク質の凝集を阻害する前記薬剤が、ポリソルベート 80、ポリソルベート20、グリセロール、及びポロキサマ・ポリマから成る群より選択される、請求項10に記載の組成物。
  12. タンパク質の凝集を阻害する前記薬剤が、濃度が0.001%乃至約0.1%のポリソルベート 80又はポリソルベート 20である、請求項11に記載の組成物。
  13. 組成物のpHを約5.0乃至約8.0に維持する緩衝剤をさらに含む、請求項1乃至12のいずれかに記載の組成物。
  14. 前記緩衝剤が、リン酸塩、クエン酸塩、Tris、酢酸塩、MES、コハク酸、PIPES、Bis-Tris、MOPS、ACES、BES、TES、HEPES、EPPS、エチレンジアミン、リン酸、及びマレイン酸から成る群より選択される、請求項13に記載の組成物。
  15. マンニトール、ポリソルベート、Tris、及び塩化ナトリウムを含み、前記タンパク質が抗体又はその一フラグメントである、請求項1に記載の組成物。
  16. 前記タンパク質の濃度が約1μg/mL 乃至約500 mg/mLである、請求項1乃至15のいずれかに記載の組成物。
  17. 前記タンパク質が抗体又はその一フラグメントである、請求項1乃至16のいずれかに記載の組成物。
  18. 前記抗体がモノクローナル抗体又はその一フラグメントである、請求項17に記載の組成物。
  19. 前記抗体がヒト抗体又はその一フラグメントである、請求項17に記載の組成物。
  20. 前記抗体が、毒素、ポリマ、撮像剤及び薬物から成る群より選択される薬剤に結合されている、請求項17乃至19のいずれかに記載の組成物。
  21. 前記タンパク質がマイクロ封入されている、請求項1乃至20のいずれかに記載の組成物。
  22. 前記組成物が医薬組成物である、請求項1乃至21のいずれかに記載の組成物。
  23. タンパク質をDTPA及びDEFと一緒に調合するステップを含む、安定化したタンパク質組成物を調製する方法。
  24. タンパク質をEGTA及びDEFと一緒に調合するステップを含む、安定化したタンパク質組成物を調製する方法。
  25. マンニトール、メチオニン及びヒスチジンから成る群より選択されるROS中和剤を加えるステップをさらに含む、請求項23又は24に記載の方法。
  26. 安定化したタンパク質組成物を調製する方法であって、DTPAと、マンニトール、メチオニン及びヒスチジンから成る群より選択されるROS中和剤とをタンパク質と一緒に調合するステップを含む、方法。
  27. タンパク質をDTPA及びDEFと一緒に調合するステップを含む、タンパク質を酸化から保護する方法。
  28. タンパク質をEGTA及びDEFと一緒に調合するステップを含む、タンパク質を酸化から保護する方法。
  29. マンニトール、メチオニン及びヒスチジンから成る群より選択されるROS中和剤を加えるステップをさらに含む、請求項27又は28に記載の方法。
  30. タンパク質を酸化から保護する方法であって、DTPAと、マンニトール、メチオニン及びヒスチジンから成る群より選択されるROS中和剤とをタンパク質と一緒に調合するステップを含む、方法。
  31. DTPA又はEGTAの濃度が、約1μM乃至約10mMである、請求項23乃至30のいずれかに記載の方法。
  32. DEFの濃度が、約1μM乃至約5mMのDEFである、請求項23乃至30のいずれかに記載の方法。
  33. 前記酸化保護性化合物が、約0.01% 乃至約25%のマンニトール、約10 μM 乃至約200 mM のヒスチジン、及び約10μM乃至約200 mMのメチオニンから成る群より選択される、請求項25、26、及び29乃至32のいずれかに記載の方法。
  34. タンパク質凝集を阻害する薬剤を組成物に加えるステップをさらに含む、請求項23乃至33のいずれかに記載の方法。
  35. pHを約5.0乃至約8.0に維持する緩衝剤を組成物に加えるステップをさらに含む、請求項23乃至33のいずれかに記載の方法。
  36. 前記緩衝剤が、約5 mM 乃至約100 mMのリン酸塩、クエン酸塩、Tris、酢酸塩、MES、コハク酸、PIPES、Bis-Tris、MOPS、ACES、BES、TES、HEPES、EPPS、エチレンジアミン、リン酸、及びマレイン酸から成る群より選択される、請求項35に記載の方法。
  37. 前記組成物が、マンニトール、ポリソルベート、Tris、及び塩化ナトリウムを含み、前記タンパク質が抗体又はその一フラグメントである、請求項36に記載の方法。
  38. 前記タンパク質の濃度が、約1μg/mL 乃至約500 mg/mLである、請求項23乃至37のいずれかに記載の方法。
  39. 前記タンパク質が抗体又はその一フラグメントである、請求項23乃至38のいずれかに記載の方法。
  40. 前記抗体がヒト抗体又はその一フラグメントである、請求項39に記載の方法。
  41. 前記抗体がモノクローナル抗体又はその一フラグメントである、請求項39又は40に記載の方法。
  42. 前記抗体が、毒素、ポリマ、撮像剤又は薬物から選択される薬剤に結合されている、請求項39乃至41のいずれかに記載の方法。
  43. 前記タンパク質がマイクロ封入されている、請求項23乃至42のいずれかに記載の方法。
  44. 前記組成物が医薬組成物である、請求項23乃至43のいずれかに記載の方法。
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