JP2006336776A - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】運転者の減速意図に基づいて、車両の減速制御を行う車両用駆動力制御装置であって、前記車両を安定化させるための制御を行う制御部と、前記車両の走行安定性に影響を与える複数の指標値を推定又は検出することが可能な指標値推定検出部とを備え、前記制御部は、第1の前記指標値(S60)に基づいて、前記車両を安定化させるための制御である第1の制御(S70)を行い、第2の前記指標値(S80)に基づいて、前記車両を安定化させるための制御であり前記第1の制御の制御内容とは異なる第2の制御(S110、S120)を行う。
【選択図】 図1
Description
この場合、特に、ダウンシフト指令が出力された後には、減速度が増大することにより車両の安定性に悪影響が出ないように制御される必要がある。
一方、車両の安定性を確保するための制御が行われるに際して、運転者に違和感が生じることを抑制することが望まれている。
上記において、前記指標値は、前記車両が不安定な状態になることを予測することが可能な前記車両の走行状態に対応し、又は、前記車両が不安定な状態であることを示す前記車両の走行状態に対応していることができる。
上記において、前記第1の制御は、変速の禁止であり、前記第2の制御は、変速機の摩擦係合装置の係合油圧を低下させることであることができる。
上記において、前記第1から第3設定条件は、変速の進行度合いが異なっていることができる。
図1から図5を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、車両前方のコーナに関する情報に基づいて、変速機を変速することにより駆動力制御(コーナ制御)を行う車両の駆動力制御装置に関する。
ステップS10では、制御回路130により、アクセル開度センサ113からの信号に基づいて、アクセルがOFFの状態(全閉)か否かが判定される。ステップS10の結果、アクセルがOFFの状態であると判定されれば、ステップS20に進む。アクセルが全閉である場合(ステップS10−Y)に、運転者に減速の意図があると判断されて、本実施形態の減速制御が行われる。一方、アクセルがOFFの状態であると判定されなければ、ステップS180に進む。上記のように、図3では、符号aの位置(時点)にてアクセル開度がゼロ(全閉)とされている。符号aの位置での変速段は6速であるとする。
ステップS20では、制御回路130により、フラグFがチェックされる。その結果、フラグFが0であればステップS30に進み、フラグFが1又は2であればステップS60に進む。本制御フローが実行されたときに、最初は、フラグFが0であるので、ステップS30に進む。
ステップS30では、制御回路130により、例えば制御実施境界線Lに基づいて、本制御の要否が判定される。その判定では、図3において、現在の車速とコーナ402の入口403までの距離との関係で、制御実施境界線Lよりも上方に位置すれば、本制御が必要と判定され、制御実施境界線Lよりも下方に位置すれば、本制御は不要と判定される。ステップS30の判定の結果、本制御が必要と判定された場合には、ステップS40に進み、本制御が不要と判定された場合には、本制御フローはリターンされる。
ステップS40では、制御回路130により、自動変速機10の変速制御(シフトダウン)に際して選択すべき変速段が決定される。上記選択すべき変速段の決定に際しては、まず必要減速度が求められ、次いで、その必要減速度に基づいて、上記選択すべき変速段が決定される。以下、必要減速度の算出を(A)として説明し、次いで、上記選択すべき変速段の決定を(B)として説明する。
制御回路130により、必要減速度が計算により求められる。必要減速度は、先方のコーナを予め設定された所望の旋回Gで旋回するために(所望の車速Vreqでコーナに進入するために)必要とされる減速度である。図3において、必要減速度は、符号401で示されている。
予めROM133には、図4に示すようなアクセルOFF時の各変速段の車速毎の減速Gを示す車両特性のデータが登録されている。
ステップS50では、制御回路130により、上記ステップS40で決定された、選択されるべき変速段に係る変速指令が出力される。即ち、制御回路130のCPU131から電磁弁駆動部138a〜138cに6速から4速へのダウンシフト指令(変速指令)が出力される。
ステップS60では、制御回路130により、タイヤ滑り判定部91から入力した信号に基づいて、タイヤ滑りの有無が判定される。その判定の結果、所定値以上のタイヤ滑りがあると判定されれば、ステップS70に進み、そうでないと判定されれば、ステップS80に進む。
ステップS70において、制御回路130は、現時点が、上記ダウンシフト指令に係る変速の終了時点(又は、変速終了前のある時点)の前後のいずれかであるかを問わず、上記ダウンシフト指令に係る変速をキャンセルするとともに、上記ダウンシフト指令に係る変速の変速前の変速段にアップシフトを行う。即ち、上記ダウンシフト指令に係る全ての変速指令(6速から4速への変速指令)がキャンセルされ、上記ダウンシフト指令に係る変速前の変速段(6速)に対する復帰指令(アップシフト指令)が出力される。ステップS70の次には、ステップS80が行われる。
ステップS80では、制御回路130により、車両が旋回しているか否か、即ちコーナ402に進入したか否かが判定される(車両の旋回判定)。制御回路130は、車両の横Gの大きさ等に基づいて、ステップS80の判定を行う。又は、ナビゲーションシステム装置95から入力した、車両の現在位置とコーナ402の入口403の位置を示すデータに基づいて、ステップS80の判定を行う。ステップS80の判定の結果、コーナ402に進入を開始した後であれば(ステップS80−Y)、フラグFが2にセットされた上で(ステップS90)、ステップS100に進み、そうでない場合にはステップS160に進む。
ステップS160では、制御回路130により、フラグFがチェックされる。その結果、フラグFが0であればステップS170に進んでフラグFが1にセットされて本制御フローはリセットされ、フラグFが1であれば本制御フローはリセットされ、フラグFが2であればステップS140に進む。
ステップS100では、制御回路130により、新たなアップシフトが規制される。コーナ402に進入後のコーナリング中には、上記ステップS50で出力されたダウンシフト指令に係る変速段(上記例では4速)よりも相対的に高速用の変速段にアップシフトされることが規制される。但し、ステップS70において行われる上記ダウンシフト指令に係る変速前の変速段へのアップシフト(復帰)は、規制の対象外とされる。通常一般のコーナに対する変速点制御においても、コーナ進入後のコーナリング中のアップシフトは禁止されている。ステップS100の次には、ステップS110に進む。
ステップS110では、制御回路130により、未終了のダウンシフトが有るか否かが判定される。特に複数段の変速指令が出力された場合には、全ての変速が終了するまでに時間がかかるために、ステップS110の判定が行われる。ここで、未終了のダウンシフトとは、例えば、イナーシャ相が終了していない変速を意味する。上記ステップS100において、新たなダウンシフトは禁止されていないので、ステップS110で判定の対象となる変速は、非コーナリング中のステップS50にて出力されたダウンシフト指令に係る変速、及びコーナリング中に(旋回判定:ステップS80がなされた後に)出力されたダウンシフト指令に係る変速の両方である。
ステップS120では、制御回路130により、上記ステップS110にて変速が終了していないと判定された変速がキャンセルされるとともに、変速段は、その未終了の変速の前の変速段(終了した変速が行われた後の変速段)に保持される。本例では、上記ステップS110にて、5速から4速への変速が未終了であると判定されたため、ステップS120では、5速から4速への変速がキャンセルされるとともに、変速段は5速とされる(6速へのアップシフトは行われない)。
ステップS130では、制御回路130により、車両が旋回しているか否か、即ちコーナ402を脱出したか否かが判定される(車両の旋回判定)。制御回路130は、上記ステップS80と同様の方法で旋回判定を行うことができる。ステップS130の判定の結果、コーナ402を脱出した後であれば(ステップS130−N)、上記ステップS100にて行われたシフト規制が解除された上で(ステップS140)、フラグFが0にセットされ(ステップS150)、その後、本制御フローはリセットされる。一方、ステップS130の判定の結果、コーナ402を脱出していなければ(ステップS130−Y)、本制御フローはリセットされる。
本実施形態の減速制御が開始される前に(フラグF=0で)、アクセルが非全閉の場合(ステップS10−N)、フラグFがチェックされ(ステップS180)、フラグFが0であれば本制御フローはリセットされ、フラグFが1であれば旋回中であるか否かが判定され(ステップS190)、その判定の結果、旋回中ではない場合(ステップS190−N)には、本制御フローはリセットされ、旋回中である(ステップS190−Y)と判定されるのを待つ。
本実施形態によれば、コーナリング中である場合(ステップS80−Y)には、コーナを脱出するまで(ステップS130−N)、新たなアップシフトが規制されるとともに(ステップS100)、未終了のダウンシフトについては変速指令がキャンセルされる(ステップS110−Y、ステップS120)。コーナリング中である場合には、車両の減速度が増大すると、車両安定性を損なう可能性があるため、未終了のダウンシフト指令はキャンセルされる。
タイヤ滑りがある場合(ステップS60−Y)には、変速の完了・未完了を問わず、ダウンシフト指令の全てがキャンセルされ、かつそのダウンシフト指令に係るダウンシフトが行われる前の変速段にアップシフトされる(ステップS70)。タイヤ滑り判定がなされた場合には、車両が不安定な状態であるため、そのダウンシフトの進行度合いによらず、そのダウンシフトの全てをキャンセルすると共にそのダウンシフトが行われる前の変速段にアップシフトを行うことで、減速度を低下させ、車両安定性を確保する。
上記第1実施形態において、コーナ制御は、有段の自動変速機10の変速段の制御によって行なわれるとして説明したが、これに代えて、同様に、CVTの変速比の制御が行われることができる。
上記第1実施形態において、コーナ制御は、自動変速機の変速制御のみによって行なわれたが、自動変速機とブレーキの協調制御により行なわれることができる。この場合、自動変速機10の変速制御のみならず、ブレーキ装置200のフィードバック制御がブレーキ制御回路230により実行される。ブレーキのフィードバック制御とは、目標減速度(必要減速度401)と車両の実減速度との偏差に応じてブレーキ力を制御することを意味する。
本変形例では、上記第1実施形態において、車両旋回判定時及びタイヤ滑り判定時のそれぞれにおいて、変速指令をキャンセルする変速は、特定の低速段への変速のみとする。イナーシャ相中に変速指令をキャンセルすると、減速度の抜け感が生じ、また、エンジン回転速度も上昇から下降に変化するため、違和感を生ずる可能性がある。このことから、イナーシャ相中に変速指令をキャンセルする対象は、特に車両安定性を優先すべき特定の低速段への変速のみとする。また、イナーシャ相開始前に変速指令のキャンセルを行うことに関しても、現状の変速機では、変速量が限られるため、全ての変速をキャンセルしても大きな支障は生じないが、今後の変速機の多段化や減速度の上昇に伴って、全ての変速をキャンセルすると問題となるおそれがあるためである。
図6を参照して、上記第1実施形態の第4変形例について説明する。
図7を参照して、上記第1実施形態の第5変形例について説明する。
図8を参照して、第2実施形態について説明する。
第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の点については、その説明を省略する。
本変形例では、上記第2実施形態において、イナーシャ相が開始された後(イナーシャ相中)であっても、係合圧を低下させる変速は、特定の低速段への変速のみとする。イナーシャ相中に係合圧を低下させると、減速度の抜け感が生じ、また、エンジン回転速度も上昇から下降に変化するため、違和感を生ずる可能性がある。このことから、イナーシャ相中に係合圧を低下させる対象は、特に車両安定性を優先すべき特定の低速段への変速のみとする。
図9を参照して、第3実施形態について説明する。
第3実施形態において、上記実施形態と同様の点については、その説明を省略する。
図10を参照して、第4実施形態について説明する。
第4実施形態において、上記実施形態と同様の点については、その説明を省略する。
図11を参照して、第5実施形態について説明する。
第5実施形態において、上記実施形態と同様の点については、その説明を省略する。
40 エンジン
90 加速度センサ
91 タイヤ滑り判定部
92 路面μ検出・推定部
94 マニュアルシフト判断部
95 ナビゲーションシステム装置
100 車間距離計測部
113 アクセル開度センサ
114 スロットル開度センサ
115 相対車速計測部
116 エンジン回転数センサ
117 パターンセレクトスイッチ
118 道路勾配計測・推定部
122 車速センサ
123 シフトポジションセンサ
130 制御回路
131 CPU
133 ROM
200 ブレーキ装置
230 ブレーキ制御回路
401 必要減速度
402 コーナ
403 入口
405 コーナR
501 クラッチ係合圧
501a クラッチ係合圧
501b クラッチ係合圧
502 出力軸トルク
502a 出力軸トルク
502b 出力軸トルク
a 地点
c 地点
Vreq 目標旋回車速
L 制御実施境界線
L1 ブレーキ制動力信号線
SG1 ブレーキ制動力信号
SG2 ブレーキ制御信号
Claims (9)
- 運転者の減速意図に基づいて、車両の減速制御を行う車両用駆動力制御装置であって、
前記車両を安定化させるための制御を行う制御部と、
前記車両の走行安定性に影響を与える複数の指標値を推定又は検出することが可能な指標値推定検出部とを備え、
前記制御部は、第1の前記指標値に基づいて、前記車両を安定化させるための制御である第1の制御を行い、第2の前記指標値に基づいて、前記車両を安定化させるための制御であり前記第1の制御の制御内容とは異なる第2の制御を行う
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 請求項1記載の車両用駆動力制御装置において、
前記第1の指標値は、前記車両が旋回している状態にあることに関するものであり、
前記第2の指標値は、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがあることに関するものである
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両用駆動力制御装置において、
前記車両を安定化させるための制御は、変速の禁止であり、
前記第1の制御及び前記第2の制御の少なくとも一つは、変速が開始された後の前記変速の禁止である
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両用駆動力制御装置において、
前記車両を安定化させるための制御は、変速機の摩擦係合装置の係合油圧を低下させることであり、
前記第1の制御及び前記第2の制御の少なくとも一つは、変速が開始された後に前記摩擦係合装置の係合油圧を低下させることである
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用駆動力制御装置において、
前記第1の指標値が第1条件の下で推定又は検出されたときに、前記第1の制御として、前記車両を安定化させるための制御が行われ、
前記第2の指標値が第2条件の下で推定又は検出されたときに、前記第2の制御として、前記車両を安定化させるための制御が行われる
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 請求項5記載の車両用駆動力制御装置において、
前記第1条件は、変速が開始されていないという第1設定条件、変速が終了していないという第2設定条件、及び、変速の終了・未終了を問わないという第3設定条件のうちのいずれか一方であり、
前記第2条件は、前記第1から第3設定条件のうちのいずれか他方である
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 請求項1、2、3、5及び6のいずれか1項に記載の車両用駆動力制御装置において、
前記車両を安定化させるための制御は、変速の禁止であり、
前記第1の制御として前記変速が禁止される際に禁止される変速量と、前記第2の制御として前記変速が禁止される際に禁止される変速量とは、異なっている
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 請求項1または2に記載の車両用駆動力制御装置において、
前記車両を安定化させるための制御は、変速の禁止、又は、変速機の摩擦係合装置の係合油圧を低下させることであり、
予め設定された特定の変速段に対してのみ、前記変速の禁止、又は、前記摩擦係合装置の係合油圧の低下が行われる
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。 - 請求項1、2及び8のいずれか1項に記載の車両用駆動力制御装置において、
前記車両を安定化させるための制御は、変速の禁止、又は、変速機の摩擦係合装置の係合油圧を低下させることであり、
前記車両が走行する路面の滑り易さが設定値以上であると検出又は推定されたときに、前記変速の禁止、又は、前記摩擦係合装置の係合油圧の低下が行われる
ことを特徴とする車両用駆動力制御装置。
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