JP2006213133A - 車両の減速制御装置 - Google Patents

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Kunihiro Iwatsuki
邦裕 岩月
Kazuyuki Shiiba
一之 椎葉
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Abstract

【課題】車速に応じてダウンシフト量を変える制御を行なう場合に、運転者が違和感を感じることを抑制可能な車両の減速制御装置を提供する。
【解決手段】変速機をダウンシフトして車両の減速を行う車両の減速制御装置であって、車速が予め設定された設定値Bを超えているか否かを判定する判定手段と、前記判定の結果に応じて、前記変速機のダウンシフト先の変速段を異なる変速段に設定するダウンシフト量決定手段と、車両に作用する減速度を調整する減速度調整手段とを備え、前記減速度調整手段は、前記判定の結果に応じて前記ダウンシフト先が異なる変速段に設定されることにより生じる車両に作用する減速度の差(301a,302a)が小さくなるように、前記車両に作用する減速度を調整する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、車両の減速制御装置に関し、特に、車速に応じて、ダウンシフト量を変えて、車両の減速を行う車両の減速制御装置に関する。
先方のコーナの大きさ、道路勾配、又は先行車との車間距離などの車両前方の状況に基づいて、変速機を相対的に低速用の変速段に変速する制御が行なわれることにより、車両の減速制御を行う技術が知られている。
また、自動変速機とブレーキとを協調制御する技術として、自動変速機をエンジンブレーキを働かせる方向にマニュアルシフトする際に、ブレーキを作動させるものが知られている。そのような自動変速機とブレーキの協調制御装置として、特開昭63−38060号公報(特許文献1)に開示された技術がある。
上記特許文献1には、自動変速機(A/T)においてエンジンブレーキを動作するためのマニュアルシフトの際に、変速開始時から実際にエンジンブレーキが働くまでのニュートラル状態による空走を車両のブレーキを作動して防止する技術が開示されている。
また、上記特許文献1には、以下のように記載されている。マニュアルダウンシフトの変速指令時間から所定時間又はエンジンブレーキが効きはじめる(A/Tの出力軸の負トルクが大きくなる)まで、変速の種類と車速等から求められる変速時のエンジン負トルクのピーク値に対応して、車両のブレーキを作動させる。マニュアルシフト時に車両のブレーキが変速時の負のA/T出力軸トルクに対応した制動力で作動されることから、マニュアルシフト時にエンジンブレーキの大きさに対応して、車両に制動力が加えられる。マニュアルシフトが行われた時から変速が完了する時まで、安定した制動力が車両に加えられ、マニュアルシフト時に応答性が高くかつ安定した制動力が得られる。自動変速機のニュートラル状態の間、車両のブレーキが作動されて急激にエンジンブレーキがかからないので、制動力の変動が小さくなる。
特開昭63−38060号公報
変速後の変速段(ダウンシフト量)が同じ場合であっても、車速が低い場合には、車速が高い場合に比べて、発生する減速度は小さい。本来、ある程度の減速度が必要とされる状況において、車速が低い状態でダウンシフトが行なわれると、減速度が不足することが考えられる。このことから、車速が低い場合には、高い場合に比べて、ダウンシフト量を多くし、これにより、車速が低い場合の減速度不足を補うことが考えられる。
しかしながら、車速に応じてダウンシフト量を変える制御を行なう場合の制御内容については検討が行なわれていない。運転者に違和感を与えることなく制御されることが望まれる。
本発明の目的は、車速に応じてダウンシフト量を変える制御を行なう場合に、運転者が違和感を感じることを抑制可能な車両の減速制御装置を提供することである。
本発明の車両の減速制御装置は、変速機をダウンシフトして車両の減速を行う車両の減速制御装置であって、車速が予め設定された設定値を超えているか否かを判定する判定手段と、前記判定の結果に応じて、前記変速機のダウンシフト先の変速段を異なる変速段に設定するダウンシフト量決定手段と、車両に作用する減速度を調整する減速度調整手段とを備え、前記減速度調整手段は、前記判定の結果に応じて前記ダウンシフト先が異なる変速段に設定されることにより生じる車両に作用する減速度の差が小さくなるように、前記車両に作用する減速度を調整することを特徴としている。
本発明の車両の減速制御装置において、前記減速度調整手段は、車輪を制動するブレーキ、又はモータジェネレータであることを特徴としている。
本発明の車両の減速制御装置において、前記減速度調整手段は、車両の内燃機関による駆動力を制御する手段、又は、モータジェネレータの力行モードであることを特徴としている。
本発明の車両の減速制御装置において、前記ダウンシフトは、マニュアルダウンシフト、若しくは、道路勾配、先方のコーナの大きさ、又は車間距離に基づいて行なわれるダウンシフトであることを特徴としている。
本発明の車両の減速制御装置において、前記減速度調整手段は、車速が前記設定値近傍の予め設定された範囲に入っているときに、前記車両に作用する減速度を調整することを特徴としている。
本発明の車両の減速制御装置によれば、車速に応じてダウンシフト量を変える制御を行なう場合に、運転者が違和感を感じることを抑制することが可能となる。
以下、本発明の車両の減速制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1から図7を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、変速機を相対的に低速用の変速段に変速するときに、必要に応じて、減速度調整手段により、車両に作用する減速度を調整する車両の減速制御装置に関する。
本実施形態では、変速判断(マニュアルダウンシフトと変速点制御の両方が含まれる)がなされたときに、車速に関するしきい値に基づいて、ダウンシフト量が変わるように制御するときに、車速が上記しきい値前後でダウンシフト量に差が生じることに起因する減速度の差が小さくなるように、上記減速度調整手段により減速度が調整される。上記しきい値近傍の車速では、上記しきい値から離れた車速のときと比べて、変速機の変速段により生じる減速度に差が生じるが、その減速度の差が小さくなるように、上記減速度調整手段により減速度が調整される。
上記において、マニュアルダウンシフトとは、運転者がエンジンブレーキ力の増加を望むときに手動操作により行うダウンシフトを意味する。また、変速点制御とは、車両の前方のコーナRや路面勾配を含む車両が走行する道路に関する走行道路情報や、車間距離を含む車両が走行する道路の交通に関する道路交通情報等の情報に基づく変速である。なお、変速点制御については、第2実施形態以降で詳細に説明する。
図2において、符号10は自動変速機、40はエンジン、200はブレーキ装置である。自動変速機10は、電磁弁121a、121b、121cへの通電/非通電により油圧が制御されて5段変速が可能である。図2では、3つの電磁弁121a、121b、121cが図示されるが、電磁弁の数は3に限定されない。電磁弁121a、121b、121cは、制御回路130からの信号によって駆動される。
エンジン40の吸気配管41には、電子式スロットルバルブ43が設けられている。アクセルペダル(図示せず)の操作によって変化するアクセル開度がアクセル開度センサ(図示せず)によって検出されると、制御回路130は、そのアクセル開度に基づいて、スロットル弁制御指令をスロットル開度制御装置(図示せず)に出力する。そのスロットル開度制御装置は、そのスロットル弁制御指令に基づいて、電子スロットルバルブ43の開度を制御する。
スロットル開度センサ114は、電子スロットルバルブ43の開度を検出する。エンジン回転数センサ116は、エンジン40の回転数を検出する。車速センサ122は、車速に比例する自動変速機10の出力軸120cの回転数を検出する。シフトポジションセンサ123は、シフトポジションを検出する。パターンセレクトスイッチ117は、変速パターンを指示する際に使用される。
加速度センサ90は、車両の減速度(減速加速度)を検出する。マニュアルシフト判断部95は、運転者の手動操作に基づいて、運転者の手動操作によるダウンシフト(マニュアルダウンシフト)又はアップシフトの必要性を示す信号を出力する。路面μ検出・推定部115は、路面の摩擦係数μを検出又は推定する。車間距離計測部100は、車両前部に搭載されたレーザーレーダーセンサ又はミリ波レーダーセンサなどのセンサを有し、先行車両との車間距離を計測する。相対車速検出・推定部112は、自車と前方の車両との相対車速を検出又は推定する。
道路勾配計測・推定部118は、CPU131の一部として設けられることができる。道路勾配計測・推定部118は、加速度センサ90により検出された加速度に基づいて、道路勾配を計測又は推定するものであることができる。また、道路勾配計測・推定部118は、平坦路での加速度を予めROM133に記憶させておき、実際に加速度センサ90により検出した加速度と比較して道路勾配を求めるものであることができる。
ナビゲーションシステム装置113は、自車両を所定の目的地に誘導することを基本的な機能としており、演算処理装置と、車両の走行に必要な情報(地図、直線路、カーブ、登降坂、高速道路など)が記憶された情報記憶媒体と、自立航法により自車両の現在位置や道路状況を検出し、地磁気センサやジャイロコンパス、ステアリングセンサを含む第1情報検出装置と、電波航法により自車両の現在位置、道路状況などを検出するためのもので、GPSアンテナやGPS受信機などを含む第2情報検出装置等を備えている。
制御回路130は、スロットル開度センサ114、エンジン回転数センサ116、車速センサ122、シフトポジションセンサ123、加速度センサ90の各検出結果を示す信号を入力し、また、パターンセレクトスイッチ117のスイッチング状態を示す信号を入力し、また、路面μ検出・推定部115による検出又は推定の結果を示す信号を入力し、また、マニュアルシフト判断部95からのシフトの必要性を示す信号を入力し、また、ナビゲーションシステム装置113からの信号を入力し、また、相対車速検出・推定部112による検出又は推定の結果を示す信号を入力し、また、車間距離計測部100による計測結果を示す信号を入力する。制御回路130は、これらの入力した情報に基づいて、降坂制御と、コーナ制御と、交差点制御と、追従制御を含む変速点制御のシフト判断(指令)の有無を判断する。
制御回路130は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、CPU131、RAM132、ROM133、入力ポート134、出力ポート135、及びコモンバス136を備えている。入力ポート134には、上述の各センサ114、116、122、123、90からの信号、上述のスイッチ117からの信号、路面μ検出・推定部115、マニュアルシフト判断部95、車間距離計測部100、相対車速検出・推定部112、及びナビゲーションシステム装置113のそれぞれからの信号が入力される。出力ポート135には、電磁弁駆動部138a、138b、138c、及びブレーキ制御回路230へのブレーキ制動力信号線L1が接続されている。ブレーキ制動力信号線L1では、ブレーキ制動力信号SG1が伝達される。また、制御回路130は、エンジン40の点火時期の遅角制御を行う。
ROM133には、予め図1のフローチャートに示す動作(制御ステップ)が格納されているとともに、自動変速機10のギヤ段を変速するための変速マップ及び変速制御の動作(図示せず)が格納されている。制御回路130は、入力した各種制御条件に基づいて、自動変速機10の変速を行う。
ブレーキ装置200は、制御回路130からブレーキ制動力信号SG1を入力するブレーキ制御回路230によって制御されて、車両を制動する。ブレーキ装置200は、油圧制御回路220と、車両の車輪204、205、206、207に各々設けられる制動装置208、209、210、211とを備えている。各制動装置208、209、210、211は、油圧制御回路220によって制動油圧が制御されることにより、対応する車輪204、205、206、207の制動力を制御する。油圧制御回路220は、ブレーキ制御回路230により、制御される。
油圧制御回路220は、ブレーキ制御信号SG2に基づいて、各制動装置208、209、210、211に供給する制動油圧を制御することで、ブレーキ制御を行う。ブレーキ制御信号SG2は、ブレーキ制動力信号SG1に基づいて、ブレーキ制御回路230により生成される。ブレーキ制動力信号SG1は、自動変速機10の制御回路130から出力され、ブレーキ制御回路230に入力される。ブレーキ制御の際に車両に与えられるブレーキ力は、ブレーキ制動力信号SG1に含まれる各種データに基づいてブレーキ制御回路230により生成される、ブレーキ制御信号SG2によって定められる。
ブレーキ制御回路230は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、CPU231、RAM232、ROM233、入力ポート234、出力ポート235、及びコモンバス236を備えている。出力ポート235には、油圧制御回路220が接続されている。ROM233には、ブレーキ制動力信号SG1に含まれる各種データに基づいて、ブレーキ制御信号SG2を生成する際の動作が格納されている。ブレーキ制御回路230は、入力した各制御条件に基づいて、ブレーキ装置200の制御(ブレーキ制御)を行う。
本実施形態では、運転者がマニュアルダウンシフトとしてシフトレバー(シフトスイッチ等の操作子を含む)を1回操作した場合、車速が予め設定されたしきい値を超える場合には、1段ダウンシフトさせるのに対して、車速がしきい値以下である場合には、2段ダウンシフトさせ、これにより、運転者に確実な減速感を与えるようにしている。
即ち、上記のように、変速後の変速段(ダウンシフト量)が同じ場合であっても、車速が低い場合には、車速が高い場合に比べて、発生する減速度は小さい。そのため、運転者がエンジンブレーキ力の増加を望んだ状況において、車速が低い状態でマニュアルダウンシフトが行なわれると、減速度が不足することが考えられる。このことから、予め設定されたしきい値よりも車速が低い場合には、高い場合に比べて、ダウンシフト量を多くし、これにより、車速が低い場合の減速度不足を補うこととしている。
ところが、上記のように、車速に応じてダウンシフト量を変える制御を行なう場合、車速がしきい値前後で、エンジンブレーキ力の不連続感が生じ、運転者に違和感を与える可能性がある。例えば、しきい値を僅かに超える車速でマニュアルダウンシフトが行なわれた場合には、ダウンシフト量は小さく制御されるため、運転者は減速度不足を感じ、一方、しきい値を僅かに下回る車速でマニュアルダウンシフトが行なわれると、ダウンシフト量は大きく制御されるため、運転者は減速度過多を感じる可能性がある。
また、運転者は、しきい値を僅かに下回る車速と僅かに上回る車速に対しては、体感的には同程度の車速と感じることが多いにもかかわらず、制御装置側で厳密にしきい値前後でダウンシフト量を変える制御が行なわれると、運転者は違和感を感じることがある。
本実施形態では、上記のように、車速としきい値との関係で、ダウンシフト量が変わる制御が行われる場合に、しきい値前後でダウンシフト量が異なることに伴う運転者の違和感を抑制すべく、しきい前後で車両に作用する減速度の差が小さくなるように、減速度を調整している。
次に、図1及び図4を参照して、第1実施形態の動作について説明する。
図1は、第1実施形態の制御フローを示すフローチャートである。
図3は、第1実施形態において、車速と車両に作用する減速度(最大目標減速度Gt)との関係を示したものである。
図4は、本実施形態を説明するためのタイムチャートである。図4には、ブレーキ力、クラッチトルク、車両に作用する減速加速度(G)が示されている。
[ステップS1]
図1に示すように、ステップS1では、スロットル開度センサ114の検出結果に基づいて、制御回路130により、アクセル(スロットル開度)が全閉か否かが判定される。アクセルが全閉である場合(ステップS1−Y)に、シフトが行われた時にはエンジンブレーキが望まれるシフトであると判断されて、ステップS2以降に規定される本実施形態の制御に進む。図4では、図示はしないが、t1の時点でアクセル開度が全閉になっているとする。
一方、ステップS1の判定の結果、アクセルが全閉であるとは判定されない場合(ステップS1−N)には、本実施形態のブレーキ制御を終了する旨の指令が出力される(ステップS17)。ここで、ブレーキ制御が実行されていない場合には、そのままの状態が継続される。次いで、ステップS18にて、フラグFが0にリセットされた後、本制御フローはリセットされる。
[ステップS2]
ステップS2では、制御回路130により、フラグFがチェックされる。本制御フローの最初は、フラグFは0であるので、ステップS3に進む。一方、フラグFが1である場合には、ステップS11に進む。
[ステップS3]
ステップS3では、制御回路130により、シフト判断(指令)の有無が判定される。ここでは、マニュアルシフト判断部95から、自動変速機10の変速段を変速する必要性を示す信号が出力されているか否かが判定される。
図4では、t1の時点でステップS3の判定が行われる。ステップS3の判断の結果、マニュアルシフト判断部95から、シフトする必要性を示す信号が出力されていると判定された場合(ステップS3−Y)には、ステップS4に進む。一方、そのように判定されない場合(ステップS3−N)には、本制御フローは、リセットされる。
なお、上記ステップS1では、アクセルの全閉操作が、t1の時点で行われた例について説明したが、ステップS3が行われる時期t1よりも以前に行われていればよい。図4の例では、マニュアルシフト判断部95から出力されたシフトする必要性を示す信号に関して、制御回路130では、t1の時点において、シフトする必要性有りと判定された場合が示されている。本例では、そのシフトは、ダウンシフトであるとする。後述するように、制御回路130は、上記t1の時点におけるダウンシフトする必要性有りとの判定結果に基づいて、同じくt1の時点にて、ダウンシフト指令を出力する(ステップS4)。
[ステップS4]
ステップS4では、まず、制御回路130は、車速センサ122により検出された車速に基づいて、予め設定されたしきい値以下であるか否かを判定する。上記のように、本実施形態では、車速がしきい値(図3の車速B)を超えたときには、マニュアルシフトレバーの1操作につき、1段変速が行なわれるのに対して、車速がしきい値B以下である場合には、確実な減速感を出すために、2段変速が行なわれるようにされている。その車速のしきい値は、変速の種類(例えば4速→3速、3速→2速のように、変速前の変速段と変速後の変速段の組合わせ)ごとに、予めROM133に登録されている。
マニュアルシフトの変速の種類と、その変速の種類ごとに設定された車速のしきい値と、現在の車速に基づいて、実行される変速が1段変速であるか2段変速であるかが判定されると、その判定結果を示すシフト指令(変速指令)が出力される。本例では、車速Bを超えた車速であるため、1段変速を示すシフト指令が出力される。
制御回路130のCPU131から電磁弁駆動部138a〜138cにシフト指令が出力される。シフト指令に応答して、電磁弁駆動部138a〜138cは、電磁弁121a〜121cを通電又は非通電にする。これにより、自動変速機10では、シフト指令に指示される変速が実行される。シフト指令は、シフトする必要性有りとt1の時点で制御回路130により判断されると(ステップS3−Y)、それと同時(t1の時点)に出力される。
図4に示すように、t1の時点にダウンシフト指令が出力される(ステップS4)と、その時点から変速の種類に基づいて決定される上記時間taが経過した後のt3の時点で、自動変速機10の変速が実際に開始されて、クラッチトルク408が上昇し始めるとともに、自動変速機10の変速による減速度402が上昇し始める。ステップS4の次に、ステップS5が実行される。
[ステップS5]
ステップS5では、制御回路130により、上記ステップS3でシフト判断(指令)が有ると判定されたシフトは、ダウンシフトであるか否かが判定される。ここでは、マニュアルシフト判断部95から出力された信号が、自動変速機10の変速段を相対的に低速側に変速(ダウンシフト)する必要性を示す信号であるか否かが判定される。ステップS5の判定の結果、シフトがダウンシフトである場合(ステップS5−Y)には、ステップS6に進み、そうでない場合(即ちアップシフトである場合)には、本制御フローはリセットされる。本例では、マニュアルシフト判断部95から出力された信号が、ダウンシフトの必要性を示す信号であるため、ステップS6に進む。
[ステップS6]
ステップS6において、制御回路130は、上記ステップS4で出力されたシフト判断は、1段変速であるのか、それとも2段変速(2段シフト車速領域)であるのかが判定される。その判定の結果、2段シフト車速領域であると判定された場合(ステップS6−Y)には、本制御フローはリセットされ、そうではないと判定された場合(ステップS6−N)には、ステップS7に進む。
上記のように、図3の例では、車速Bがしきい値に設定され、車速B以下が2段シフト車速領域とされ、車速Bを超えると1段シフト車速領域とされている。本例では、車速Bを超えた車速であるため、ステップS7に進む。
[ステップS7]
ステップS7において、制御回路130は、車速センサ122により検出された車速に基づいて、予め設定されたブレーキアシスト領域であるか否かが判定される。その判定の結果、ブレーキアシスト領域であると判定された場合(ステップS7−Y)には、ステップS8に進み、そうでない場合(ステップS7−N)には、本制御フローはリセットされる。本例では、車速がD以下である領域がブレーキアシスト領域とされる。このブレーキアシスト領域についても、変速の種類ごとに、予めROM133に登録されている。
車速がしきい値Bを上回る場合には、1段変速が行なわれるが、車速がしきい値Bを僅かに上回るに過ぎない場合には、十分な大きさのエンジンブレーキ力は発生せず、運転者は十分な減速感が得られない。また、しきい値Bを僅かに上回るに過ぎない車速で1段変速により発生するエンジンブレーキ力は、車速がしきい値Bである場合、又は、しきい値Bを僅かに下回る場合のときに、2段変速により発生するエンジンブレーキ力に比べて、大幅に下回っているため、運転者に違和感が生じる。そこで、本実施形態では、1段シフト車速領域(車速Bを超えた領域)であって、しきい値Bを僅かに上回るに過ぎない領域(十分なエンジンブレーキ力が発生せず、2段変速時のエンジンブレーキ力との段差が問題となる領域)である車速がD以下の領域を、ブレーキアシスト領域として設定している。本例では、車速がD以下であるため、ステップS8に進む。
[ステップS8]
ステップS8では、制御回路130により、最大目標減速度Gtが求められる。以下、最大目標減速度Gtについて説明する。最大目標減速度Gtは、後述するように、ブレーキのフィードバック制御(ステップS10)が行なわれるときの目標減速度(図4の符号403)の最大値である。
符号301は、2段変速が行なわれた場合のエンジンブレーキ力(減速度)を示し、符号302は、1段変速が行なわれた場合のエンジンブレーキ力を示している。符号301及び302にそれぞれ示すように、変速段による減速度(エンジンブレーキ力)は、車速の増加とともに増加する。
車速がしきい値B以下でマニュアルダウンシフトが行なわれると、2段変速が行なわれ、車速がしきい値Bのときには、符号301aで示すエンジンブレーキ力が発生する(以下、これを基準エンジンブレーキ力301aと称する)。一方、車速がしきい値Bを上回った状態でマニュアルダウンシフトが行なわれると、1段変速が行なわれ、しきい値B近傍の車速では、符号302aに示すエンジンブレーキ力が発生する。即ち、しきい値B近傍であってしきい値Bの前後の車速でマニュアルダウンシフトが行なわれると、エンジンブレーキ力に、最大で符号301a及び302aとの間に対応する差が生じることになり、運転者に違和感を与える可能性がある。
そこで、車速がしきい値Bを僅かに上回った状態でマニュアルダウンシフトが行なわれ、エンジンブレーキ力302が基準エンジンブレーキ力301aよりも下回るときには、後述するように、ブレーキ力を付加して、減速度が基準エンジンブレーキ力301aに比べて大幅に小さくなることを抑制する。これにより、十分な減速感が得られるようにしている。
この場合、最大目標減速度Gtを基準エンジンブレーキ力301aと同じ値(又は付近)に設定し、基準エンジンブレーキ力301aに比べてエンジンブレーキ力302が不足する領域(図で塗りつぶされた領域)をブレーキ力で補えば、しきい値B近傍であってしきい値Bの前後の車速でマニュアルダウンシフトが行なわれたときの減速度の段差を最小限に抑えることができる。
換言すると、車速がしきい値Bを超えて1段変速が行なわれた場合に、エンジンブレーキ力302は、車速の増加とともに増加するが、車速D以下では、基準エンジンブレーキ力301a以下の値であることから、車速Dでエンジンブレーキ力302のみで基準エンジンブレーキ力301aと同じ減速度を発生するまでは、最大目標減速度Gtに基づいて、ブレーキで減速度をアシストして、エンジンブレーキ力302とブレーキ力の合計で、基準エンジンブレーキ力301a(最大目標減速度Gt)と同じ減速度が発生するようにしている。
車速Dを超えると、基準エンジンブレーキ力301a以上のエンジンブレーキ力302が発生し、ブレーキによるアシストは不要となることから、上記ステップS7では、車速D以下がブレーキアシスト領域に設定されている。
なお、この場合、最大目標減速度は、例えば符号Gtaの破線に示すように、車速の増加とともに増加するように設定することができる。上記のように、通常の場合、変速段による減速度(エンジンブレーキ力)は車速の増加とともに増加するため、しきい値Bを僅かに超えた車速で1段変速が行なわれた場合にも、この傾向を与えるべく、エンジンブレーキ力302にブレーキ力が付加されてなる全体の減速度が車速の増加とともに、増加するように最大目標減速度Gtaが設定されることができる。
また、最大目標減速度は、基準エンジンブレーキ力301aよりも小さな値であってもよい。しきい値B前後の車速での減速度の落差に伴う違和感が生じることが回避できれば、例えば符号Gtbの一点鎖線で示すように、基準エンジンブレーキ力301aとエンジンブレーキ力302aの中間の値に最大目標減速度を設定することができる。この場合には、ブレーキ負荷が軽減される。
図4は、しきい値Bを僅かに上回った車速(上記例では車速D以下)でダウンシフトが行われた場合のタイムチャートである。同図において、符号402で示す破線は、自動変速機10の出力軸120cの負トルク(エンジンブレーキ)に対応した減速加速度を示しており、変速の種類と車速によって決まる。自動変速機10の変速により車両に作用する減速度402の最大値402maxが、図3のエンジンブレーキ力302に対応している。
上記のように、自動変速機10の変速により車両に作用する減速度402の最大値402max(エンジンブレーキ力302)よりも大きい値として、最大目標減速度Gtが決定される。自動変速機10の変速による減速度402の最大値402maxは、予めROM133に格納された最大減速度マップ(図5参照)が参照されて決定される。図5に示すように、最大減速度マップには、最大減速度402maxの値が変速の種類と車速(自動変速機の出力軸の回転数)に基づく値として定められている。ブレーキアシスト領域(上記例では、車速D以下)では、最大目標減速度Gtは、最大減速度402maxよりも大きな値(上記例では、車速がしきい値Bであって変速の種類が1段変速(符号302参照)に対応するときの最大減速度402max)として設定される。ステップS8の次に、ステップS9が行われる。
[ステップS9]
ステップS9では、制御回路130により、目標減速度403の勾配αが決定される。勾配αの決定に際しては、まず、ダウンシフト指令が出力されてから(ステップS4にて図4のt1の時点に出力された)、変速が実際に(実質的に)開始(t3)されるまでの時間taに基づいて、その変速開始時点t3までに車両に実際に作用する減速度(以下、車両の実減速度401という)が最大目標減速度Gtに到達するように目標減速度403の初期の勾配最小値が決定される。上記において、ダウンシフト指令が出力された時点t1から実際に変速が開始される時点t3までの時間taは、変速の種類に基づいて決定される。
図6において、符号404で示す二点鎖線が上記初期の目標減速度の勾配最小値に対応している。また、予め、目標減速度403として設定可能な勾配には、減速に伴うショックが大きくならないように、かつ、車両に不安定現象が発生したときにその対応(不安定現象の回避)が可能なように、勾配上限値と下限値が設定されている。図7の符号405で示す二点鎖線が上記の勾配上限値に対応している。
なお、車両の不安定現象とは、車両に減速加速度(ブレーキ制御によるもの及び/又は変速によるエンジンブレーキによるもの)が作用している時に、路面の摩擦係数μの変化やステアリング操作を含む何らかの理由により、例えばタイヤのグリップ度が減少したり、滑ったり、挙動が不安定になるなど、車両が不安定な状態になることを意味する。
ステップS9において、目標減速度403の勾配αは、図6に示すように、勾配最小値404と同じ勾配となるように設定される。
目標減速度403の初期の勾配αは、車両の初期の減速度の変化を滑らかにしたり、車両の不安定現象の回避のために、最適な減速度の変化態様を設定する意義を有する。勾配αは、アクセル戻し速度(図1のステップS1でアクセルが全閉とされたときの戻し速度)や、路面μ検出・推定部115によって検出又は推定される路面の摩擦係数μ等に基づいて決定されることができる。また、勾配αは、マニュアルシフトの場合と変速点制御(第2〜第4実施形態)によるシフトの場合とで変更されることができる。これらについて、図7を参照して、以下に具体的に説明する。
図7は、勾配αの設定方法の一例を示している。図7に示すように、路面μが小さいほど勾配αは小さくなるように設定され、アクセル戻し速度が大きいほど勾配αは大きくなるように設定される。また、変速点制御によるシフトの場合には、マニュアルシフトの場合と比べて、勾配αが小さくなるように設定される。変速点制御によるシフトは、運転者の意思に直接基づく変速ではないため、減速の割合を緩やかに(減速加速度を相対的に小さく)設定するためである。なお、図7では、勾配αと路面μやアクセル戻し速度等との関係は、線形な関係になっているが非線形な関係となるように設定することもできる。ステップS9の次に、ステップS10が行われる。
[ステップS10]
ステップS10では、ブレーキのフィードバック制御がブレーキ制御回路230により実行される。符号406に示すように、ブレーキのフィードバック制御は、ダウンシフト指令が出力された時点t1の後の時点t2(上記時間taが経過する前の時間)にて開始される。
即ち、t2の時点から目標減速度403を示す信号がブレーキ制動力信号SG1として制御回路130からブレーキ制動力信号線L1を介してブレーキ制御回路230に出力される。ブレーキ制御回路230は、制御回路130から入力したブレーキ制動力信号SG1に基づいて、ブレーキ制御信号SG2を生成し、そのブレーキ制御信号SG2を油圧制御回路220に出力する。
油圧制御回路220は、ブレーキ制御信号SG2に基づいて、制動装置208、209、210、211に供給する油圧を制御することで、ブレーキ制御信号SG2に含まれる指示通りのブレーキ力(ブレーキ制御量406)を発生させる。
ステップS10のブレーキ装置200のフィードバック制御において、目標値は目標減速度403であり、制御量は車両の実減速度401であり、制御対象はブレーキ(制動装置208、209、210、211)であり、操作量はブレーキ制御量406であり、外乱は主として自動変速機10の変速による減速度402である。車両の実減速度401は、加速度センサ90により検出される。
即ち、ブレーキ装置200では、車両の実減速度401が目標減速度403となるように、ブレーキ制動力(ブレーキ制御量406)が制御される。即ち、ブレーキ制御量406は、車両に目標減速度403を生じさせるに際して、自動変速機10の変速による減速度402では不足する分の減速度を生じさせるように設定される。
図4の例では、ダウンシフト指令が出力された時点t1から自動変速機10の変速が実際に開始される時点t3までは、自動変速機10による減速度402はゼロであるため、ブレーキで目標減速度403の全ての減速度が生じさせるような、ブレーキ制御量406とされている。t3の時点から自動変速機10の変速が開始され、自動変速機10による減速度402が増加するに伴って、ブレーキ制御量406は減少する。ステップS10の次に、ステップS11が行なわれる。
[ステップS11]
ステップS11では、制御回路130により、自動変速機10の変速が終了する前(又はその付近)か否かが判定される。その判定は、自動変速機10の回転メンバーの回転速度に基づいて行われ、ここでは、以下の関係式が成立するか否かにより判定される。
No*If−Nin≦ΔNin
ここで、Noは、自動変速機10の出力軸120cの回転速度、Ninは入力軸回転速度(タービン回転速度等)、Ifは変速後のギヤ比、ΔNinは定数値である。制御回路130は、自動変速機10の入力軸回転速度(タービン翼車の回転速度等)Ninを検出する検出部(図示せず)から、その検出結果を入力している。
ステップS11の上記関係式が成立しない場合には、自動変速機10の変速が終了する段階ではないと判断され、ステップS16にてフラグFが1に設定された後に、本制御フローがリセットされる。その後、ステップS1→ステップS2→ステップS11にて、上記関係式の成立を待つ。この間、アクセル開度が全閉以外となったとき(ステップS1−N)には、ステップS17に進み、本実施形態のブレーキ制御は終了する。
一方、ステップS11の上記関係式が成立した場合には、ステップS12に進む。図4では、t4の時点で変速が終了し、上記関係式が成立する。図4に示すように、t4の時点では、自動変速機10の変速により車両に作用する減速加速度402がその最大値402maxに到達し、自動変速機10の変速が終了したことが示されている。
[ステップS12]
ステップS12では、制御回路130により、所定時間が経過したか否かが判定される。その判定の結果、所定時間が経過していない場合には、本制御フローはリセットされ、経過した場合には、ステップS13に進む。ステップS12の所定時間は、図4の符号Tに対応している。
[ステップS13]
ステップS13では、上記ステップS10にて開始されたブレーキのフィードバック制御が終了する。ステップS13以降において、制御回路130は、ブレーキ制御回路230に出力するブレーキ制動力信号SG1に、ブレーキのフィードバック制御に対応する信号を含めないこととする。
即ち、ブレーキのフィードバック制御は、自動変速機10の変速の終了の後、所定時間Tが経過した時点t5まで行われる。ステップS13の次に、ステップS14が行われる。
[ステップS14]
ステップS14では、制御回路130は、ブレーキ制御回路230に出力するブレーキ制動力信号SG1を介して、ブレーキに変速イナーシャ分のブレーキトルク(減速加速度)を出力させ、その後、漸次減少させる。変速イナーシャは、自動変速機10の変速が終了した後、図4のt6の時期にかけて発生している。変速イナーシャ(イナーシャトルク)は、自動変速機10の変速が終了した時点(t4)の自動変速機10の回転メンバーの回転速度の時間微分値とイナーシャ値から決まる。
図4において、ステップS14は、t5からt6の間に実行されている。変速に伴うショックを最小限に抑えるべく、制御回路130において、t5の時点以降の目標減速度403は、t5の後は緩やかな勾配になるように設定される。その目標減速度403の緩やかな勾配は、自動変速機10のシフトダウンによって得られる最終減速度Geに到達するまで延びる。目標減速度403の設定は、最終減速度Geに到達したところで終了する。その時点において、シフトダウンにより望まれたエンジンブレーキである最終減速度Geが車両の実減速度401として車両に作用しているため、その時点からは、本実施形態のブレーキ制御が不要であるためである。
ステップS14では、ブレーキ制御回路230において入力したブレーキ制動力信号SG1に基づいて生成されたブレーキ制御信号SG2に応答して、油圧制御回路220により、変速イナーシャ分のブレーキ制御量406が与えられた後、目標減速度403の勾配に対応するように、ブレーキ制御量406が漸次減少される。ステップS14の次にステップS15が行われる。
[ステップS15]
ステップS15において、制御回路130により、フラグFが0にクリアされた後に、本制御フローがリセットされる。
本実施形態によれば、車速がしきい値以下であるときには、しきい値を超えているときに比べて、マニュアルシフトの1回の操作当たりのダウンシフト量が多くされるときに、しきい値前後の車速でダウンシフト量が異なることにより生じる、車両に作用する減速度の差が小さくなるように制御されるため、運転者がしきい値前後の車速で、違和感を感じることが抑制される。
(第2実施形態)
次に、図8、図9−1、及び、図9−2を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、上記実施形態と共通する部分についての説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上記のように、第1実施形態は、マニュアルシフトに関する制御であったが、第2実施形態は、道路勾配に基づく変速段の制御(登降坂制御)に関する。
図8のステップS1及びステップS2は、上記第1実施形態のステップS1及びステップS2と同じであるため、その説明を省略する。
[ステップS3]
ステップS3では、制御回路130により、登降坂制御による変速が必要であるか否かが判定される。ステップS3の判定に際しては、図9−1及び図9−2に示す目標変速段マップが使用される。図9−1及び図9−2には、アクセルがOFFの場所(ステップS1−Y)の道路勾配θに基づいて、登降坂制御における変速先の変速段が定められている。
道路勾配がある所定値である場合に、車両に所定の大きさの減速度が作用することが望ましいとする。ところが、この場合、上記のように、変速後の変速段(ダウンシフト量)が同じ場合であっても。車速が低い場合には、車速が高い場合に比べて、発生する減速度は小さい。このことから、本実施形態では、車速が、予め設定された車速のしきい値(図3の車速B)よりも高い状態では、図9−1に示す目標変速段マップが用いられ、一方、車速がしきい値以下である場合には、図9−2に示す目標変速段マップが用いられる。図9−1に示す目標変速段マップに比べて、図9−2に示す目標変速段マップでは、アクセルがOFFの場所(ステップS1−Y)の道路勾配θが同じ状況において、より低速用の変速段が選択されるようにされている。これにより、道路勾配がある所定値である場合に、車速によらず、車両には所定の大きさの減速度を作用させることが可能となる。
制御回路130は、車速に応じて図9−1及び図9−2のいずれか一方の目標変速段マップを参照し、その目標変速段マップに示される現在の道路勾配に対応する変速段と、現在の変速段とを比較して、変速段をシフトする必要があるか否かを判定する。ここで、制御回路130は、上記変速段マップの参照に代えて、又は上記変速段マップの参照とともに、登降坂制御の閾値を参照して、現在の道路勾配に対応する変速段と、現在の変速段とを比較して、変速段をシフトする必要があるか否かを判定することができる。
ステップS3において、例えば、図9−1の変速段マップを参照して、又は/及び、上記登降坂制御の閾値を参照して、現在の道路勾配が中降坂であり、その道路勾配に対応する変速段が5速であり、現在の変速段が6速であれば、登降坂制御により、変速段をシフト(6速から5速へのダウンシフト)する必要があると判定される。
また、ステップS3では、上記例と反対に、現在の道路勾配に対応する変速段と、現在の変速段とを比較した結果、登降坂制御により、変速段をアップシフトする必要があると判定される場合も含まれる。
ステップS3の判定の結果、登降坂制御により、変速段をシフトする必要があると判定される場合には、ステップS4に進み、そうで無い場合には、本制御フローはリターンされる。本例では、6速から5速へのダウンシフトする必要がありと判定されたとする。
ステップS4以降は、上記第1実施形態と共通であるため、その説明を省略する。
第2実施形態によれば、車速がしきい値以下であるときには、しきい値を超えているときに比べて、登降坂制御によるダウンシフト量が多くされるときに、しきい値前後の車速でダウンシフト量が異なることにより生じる、車両に作用する減速度の差が小さくなるように制御されるため、運転者がしきい値前後の車速で、違和感を感じることが抑制される。
(第3実施形態)
次に、図10、図11−1、図11−2、図12、及び図13を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、上記実施形態と共通する部分についての説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上記のように、第1実施形態は、マニュアルシフトに関する制御であったが、第3実施形態は、コーナの大きさに基づく変速段の制御(コーナ制御)に関する。
図10のステップS1及びステップS2は、上記第1実施形態のステップS1及びステップS2と同じであるため、その説明を省略する。
[ステップS3]
ステップS3では、制御回路130により、コーナ制御の要否が判定される。
図12は、本実施形態のコーナ制御の要否判断を説明するための図である。図12には、制御実施境界線Lc、コーナ501を含む道路形状上面視が示されている。
図12において、縦軸は車速、横軸は距離を示しており、車両Cの先方のコーナ501は、符号Bの地点502から先に存在している。図12の符号Aに対応する場所において、アクセルがOFF(アクセル開度が全閉)にされたとする。この場所Aでは、ブレーキもOFFであるとする。この場所Aは、コーナ501の入口502から手前に距離Lだけ離間した位置である。
ステップS3では、制御回路130により、例えば制御実施境界線Lcに基づいて、コーナ制御の要否が判定される。その判定では、図12において、現在の車速とコーナ501の入口502までの距離との関係で、制御実施境界線Lcよりも上方に位置すれば、本制御が必要と判定され、制御実施境界線Lcよりも下方に位置すれば、コーナ制御は不要と判定される。その判定の結果、コーナ制御が必要と判定された場合には、ステップS4に進み、コーナ制御が不要と判定された場合には、本制御フローはリセットされる。
制御実施境界線Lcは、現在の車速とコーナ501の入口502までの距離との関係で、予め設定された通常制動による減速度を超えた減速度が車両に作用しない限り、コーナ501の入口502において推奨車速Vreqに到達できない(コーナ501を所望の旋回Gで旋回できない)範囲に対応した線である。即ち、制御実施境界線Lcよりも上方に位置する場合に、コーナ501の入口502において推奨車速Vreqに到達するためには、予め設定された通常制動による減速度を超えた減速度が車両Cに作用することが必要である。
そこで、制御実施境界線Lcよりも上方に位置する場合には、本実施形態のコーナRに対応した減速制御が実行されて(ステップS3−Y)、減速度の増大によって、運転者によるブレーキの操作量がなくても、ないしは操作量が相対的に小さくても(フットブレーキを少ししか踏まなくても)、コーナ501の入口502において推奨車速Vreqに到達できるようにしている。
図13は、制御実施境界線Lcを説明するための図である。図の斜線部分において、車両進行方向の道路のコーナ501の曲率半径Rから決定される推奨車速Vreqに基づいて算出された減速領域を示している。この減速領域は、高車速側且つコーナからの距離Lが小さい側の位置に設けられており、その減速領域の境界を示す制御実施境界線Lcは、コーナ501の曲率半径Rが大きくなるほど高車速側且つコーナ501に接近する側へ移動させられるように設定されている。コーナ領域手前を走行する車両の実際の車速Vが、図13の制御実施境界線Lcを越えたときに、本実施形態のコーナRに対応した減速制御が実行される(ステップS3−Y)。
本実施形態の制御実施境界線Lcとしては、従来一般のコーナRに対応した変速点制御に使用される制御実施境界線がそのまま適用可能である。制御実施境界線Lcは、ナビゲーションシステム装置95から入力した、コーナ501のRとコーナ501までの距離を示すデータに基づいて、制御回路130により作成される。
本実施形態では、図12において、アクセル開度がゼロとされた符号Aに対応する場所は、制御実施境界線Lcよりも上方に位置するため、本制御が必要と判定され(ステップS3−Y)、ステップS4に進む。なお、上記では、制御実施境界線Lcを用いて、本実施形態のコーナRに対応した減速制御の実行の有無の判定(ステップS3)が行われる例について説明したが、制御実施境界線Lc以外のものに基づいて、本実施形態のコーナRに対応した減速制御の実行の有無の判定が行われることができる。
[ステップS4]
ステップS4では、制御回路130により、まず、ダウンシフト量が確定される。ステップS4の判定に際しては、図11−1及び図11−2に示す目標変速段マップが使用される。図11−1及び図11−2には、アクセルがOFFの場所(ステップS1−Y)の道路勾配θと先方のコーナRに基づいて、コーナ制御における変速先の変速段が定められている。
道路勾配及びコーナRがある条件である場合に、車両には所定の大きさの減速度が作用することが望ましいとする。ところが、上記のように、変速後の変速段(ダウンシフト量)が同じ場合であっても。車速が低い場合には、車速が高い場合に比べて、発生する減速度は小さい。このことから、本実施形態では、車速が、予め設定された車速のしきい値(図3の車速B)よりも高い状態では、図11−1に示す目標変速段マップが用いられ、一方、車速がしきい値以下である場合には、図11−2に示す目標変速段マップが用いられる。図11−1に示す目標変速段マップに比べて、図11−2に示す目標変速段マップでは、アクセルがOFFの場所(ステップS1−Y)の道路勾配θ及び先方のコーナRが同じ状況において、より低速用の変速段が選択されるようにされている。これにより、道路勾配及びコーナRがある条件である場合に、車速によらず、車両には所定の大きさの減速度を作用させることが可能となる。
制御回路130は、車速に応じて図11−1及び図11−2のいずれか一方の目標変速段マップを参照し、その目標変速段マップに示される現在の道路勾配及びコーナRに対応する最適な変速段と、現在の変速段とを比較して、変速段をシフトする必要があるか否かを判定する。その判定の結果、現在の変速段の方が最適な変速段よりも高い場合には、コーナ制御のダウンシフト出力有りと判定され、変速指令が出力され、一方、現在の変速段の方が最適な変速段よりも高くない場合には、コーナ制御のダウンシフト出力無しと判定され、変速指令は出力されない。
本例では、道路勾配θが緩降坂でコーナRが緩コーナであり、車速がしきい値Bを超えているため、図11−1の目標変速段マップに従って、4速が最適な変速段であることが示され、場所Aでの現在の変速段は5速であるため、ステップS4では、4速へのダウンシフト出力が有りと判定されるとする。ステップS4では、上記のように、制御回路130により、選択されるべき変速段(本例では、4速)が決定されると、変速指令が出力される。
ステップS4以降は、上記第1実施形態と共通であるため、その説明を省略する。
第3実施形態によれば、車速がしきい値以下であるときには、しきい値を超えているときに比べて、コーナ制御によるダウンシフト量が多くされるときに、しきい値前後の車速でダウンシフト量が異なることにより生じる、車両に作用する減速度の差が小さくなるように制御されるため、運転者がしきい値前後の車速で、違和感を感じることが抑制される。
(第4実施形態)
次に、図14、図15−1、図15−2、及び図16を参照して、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、上記実施形態と共通する部分についての説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上記のように、第1実施形態は、マニュアルシフトに関する制御であったが、第4実施形態は、車間距離に基づく変速段の制御(追従制御)に関する。
[ステップS1]
まず、図14のステップS1に示すように、制御回路130では、車間距離計測部100から入力した車間距離を示す信号に基づいて、自車と前方の車両との車間距離が所定値以下であるか否かを判定する。ステップS1の結果、車間距離が所定値以下であると判定されれば、ステップS2に進む。一方、車間距離が所定値以下であると判定されなければ、ステップS17に進む。
制御回路130では、車間距離が所定値以下であるか否かを直接的に判定する代わりに、車間距離が所定値以下に詰まったことが判るパラメータ、例えば衝突時間(車間距離/相対車速)、車間時間(車間距離/自車速)、それらの組み合わせなどにより、間接的に車間距離が所定値以下であるか否かを判定してもよい。
図14のステップS2及びステップS3は、上記第1実施形態のステップS1及びステップS2と同じであるため、その説明を省略する。
[ステップS4]
ステップS4では、制御回路130により、変速先の変速段(ダウンシフト量)が決定される。その決定に際して、まず、制御回路130により、変速段目標減速度が求められる。変速段目標減速度は、自車に対してその変速段目標減速度に基づく変速段の制御が行われたときに、前方車両との関係が目標の車間距離や相対車速になるような値(減速加速度)として求められる。
変速段目標減速度は、予めROM133に記憶された変速段目標減速度マップ(図15−1及び図15−2)を参照して求められる。図15−1及び図15−2に示すように、変速段目標減速度は、自車と前方車両との相対車速[km/h]と車間時間[sec]に基づいて求められる。なお、ここで、車間時間は、上記の通り、車間距離/自車速である。
図15−1において、例えば、相対車速が−20[km/h]であって、車間時間が1.0[sec]であるときの目標減速度は−0.20(G)である。自車と前方車両との関係が安全な相対車速や車間距離に近づく程、目標減速度は、小さな値として(減速しないように)設定される。即ち、目標減速度は、自車と前方車両との距離が十分に確保される程、図15−1の目標減速度マップの右上側の小さな値として求められ、自車と前方車両とが接近している程、同目標減速度マップの左下側の大きな値として求められる。
相対車速及び車間時間がある条件である場合に、車両には所定の大きさの減速度が作用することが望ましいとする。ところが、上記のように、変速後の変速段(ダウンシフト量)が同じ場合であっても。車速が低い場合には、車速が高い場合に比べて、発生する減速度は小さい。このことから、本実施形態では、車速が、予め設定された車速のしきい値(図3の車速B)よりも高い状態では、図15−1に示す変速段目標減速度マップが用いられ、一方、車速がしきい値以下である場合には、図15−2に示す変速段目標減速度マップが用いられる。図15−1に示す変速段目標減速度マップに比べて、図15−2に示す変速段目標減速度マップでは、相対車速及び車間時間が同じ状況において、より低速用の変速段が選択されるようにされている。これにより、相対車速及び車間時間がある条件である場合に、車速によらず、車両には所定の大きさの減速度を作用させることが可能となる。
次に、制御回路130により、変速段目標減速度に基づいて、自動変速機10の変速制御(シフトダウン)に際して選択すべき変速段(ダウンシフト量)が決定される。予めROM133に、図16に示すようなアクセルOFF時の各ギヤ段の車速毎の減速Gを示す車両特性のデータが登録されている。
ここで、出力回転数が1000[rpm]であり、変速段目標減速度が−0.12Gである例を想定すると、図16において、出力回転数が1000[rpm]のときの車速に対応し、かつ変速段目標減速度の−0.12Gに最も近い減速度となるギヤ段は、4速であることが判る。これにより、上記例の場合、ステップS4では、選択すべきギヤ段は、4速であると決定される。
なお、ここでは、変速段目標減速度に最も近い減速度となるギヤ段を選択すべきギヤ段として選択したが、選択すべきギヤ段は、変速段目標減速度以下(又は以上)の減速度であって変速段目標減速度に最も近い減速度となるギヤ段を選択してもよい。ステップS4の次にステップS5が実行される。
ステップS5以降は、上記第1実施形態のステップS4以降と共通であるため、その説明を省略する。
第4実施形態によれば、車速がしきい値以下であるときには、しきい値を超えているときに比べて、追従制御によるダウンシフト量が多くされるときに、しきい値前後の車速でダウンシフト量が異なることにより生じる、車両に作用する減速度の差が小さくなるように制御されるため、運転者がしきい値前後の車速で、違和感を感じることが抑制される。
(第5実施形態)
次に、図17から図19を参照して、第5実施形態について説明する。
第5実施形態において、上記実施形態と共通する部分についての説明を省略し、相違点のみについて説明する。
上記のように、第1実施形態では、減速度調整手段がブレーキであったが、第5実施形態では、減速度調整手段が電子スロットルとされる。
図17のステップS1〜ステップS6は、図1のステップS1〜ステップS6と同様であるため、その説明を省略する。但し、図17のステップS6において、2段シフト車速領域は、図18に示すように、車速がG以下とされている(即ち、しきい値は車速Gである)。本例では、車速がG以下であるため、ステップS6にて肯定的に判断されて、ステップS7に進む。
[ステップS7]
ステップS7では、制御回路130により、逆アシスト領域であるか否かが判定される。ここで、逆アシスト領域とは、上記第1実施形態のブレーキアシスト領域とは反対に、減速力を減らす領域を意味する。その判定の結果、逆アシスト領域であると判定された場合(ステップS7−Y)には、ステップS8に進み、そうでない場合には、本制御フローはリセットされる。本例では、車速がEを超えたときに逆アシスト領域であるとされる。この逆アシスト領域についても、変速の種類ごとに、予めROM133に登録されている。
車速がしきい値G以下である場合には、2段変速が行なわれるが、車速がしきい値Gである場合、又は車速がしきい値Gを僅かに下回るに過ぎない場合には、エンジンブレーキ力が過大となり、運転者は違和感を感じることがある。また、車速がしきい値Gである場合、又は、しきい値Gを僅かに下回る場合の2段変速により発生するエンジンブレーキ力は、しきい値Gを僅かに上回るときに、1段変速により発生するエンジンブレーキ力に比べて、大幅に上回っているため、運転者に違和感を与えることがある。そこで、本実施形態では、2段シフト車速領域(車速G以下である領域)であって、しきい値Gを僅かに下回るに過ぎない領域(過大なエンジンブレーキ力が発生し、1段変速時のエンジンブレーキ力との段差が問題となる領域)である車速がEを超えた領域を、逆アシスト領域として設定している。本例では、車速がEを超えているため、ステップS8に進む。
[ステップS8]
ステップS8では、制御回路130により、電子スロットルバルブ43の開き量が決定される。まず、その決定に際しては、最大目標減速度Gtが設定される。以下に、本実施形態における最大目標減速度Gtについて説明する。
符号301は、2段変速が行なわれた場合のエンジンブレーキ力(減速度)を示し、符号302は、1段変速が行なわれた場合のエンジンブレーキ力を示している。車速がしきい値Gを越えた状態でマニュアルダウンシフトが行なわれると、1段変速が行なわれ、車速がしきい値Gの近傍のときには、符号302aで示すエンジンブレーキ力が発生する(これを基準エンジンブレーキ力302aと称する)。一方、車速がしきい値G以下の状態でマニュアルダウンシフトが行なわれると、2段変速が行なわれ、車速がしきい値Gのときには、符号301aに示すエンジンブレーキ力が発生する。即ち、しきい値G近傍であって、しきい値Gの前後の車速でマニュアルダウンシフトが行なわれると、エンジンブレーキ力に、最大で符号301a及び302aとの間に対応する差が生じることになり、運転者に違和感を与える可能性がある。
そこで、車速がしきい値Gを僅かに下回った状態でマニュアルダウンシフトが行なわれ、エンジンブレーキ力301が基準エンジンブレーキ力302aよりも上回るときには、後述するように、エンジントルクを付加して、減速度が基準エンジンブレーキ力302aに比べて大幅に大きくなることを抑制する。これにより、過大な減速度が作用することが抑制される。
この場合、最大目標減速度Gtを基準エンジンブレーキ力302aと同じ値(又は付近)に設定し、基準エンジンブレーキ力302aに比べてエンジンブレーキ力301が大きい領域(図で塗りつぶされた領域)をエンジントルクで補えば、しきい値G近傍であってしきい値Gの前後の車速でマニュアルダウンシフトが行なわれたときの減速度の段差を最小限に抑えることができる。
換言すると、車速がしきい値G以下となり2段変速が行なわれた場合に、エンジンブレーキ力301は、車速の減少とともに減少するが、車速Eを超えた領域では、基準エンジンブレーキ力302a以上の値であることから、車速Eでエンジンブレーキ力301のみで基準エンジンブレーキ力302aと同じ減速度を発生するまでは、最大目標減速度Gtに基づいて、エンジントルクで減速度を逆アシストして、エンジンブレーキ力301とエンジントルクの合計で、基準エンジンブレーキ力302a(最大目標減速度Gt)と同じ減速度が発生するようにしている。
車速E以下となると、基準エンジンブレーキ力302以下のエンジンブレーキ力301が発生し、エンジントルクによる逆アシストは不要となることから、上記ステップS7では、車速E以下が逆アシスト領域に設定されている。
なお、この場合、最大目標減速度は、図示はしないが、車速の増加とともに増加するように設定することができる。上記のように、通常の場合、変速段による減速度(エンジンブレーキ力)は車速の増加とともに増加するため、しきい値Gを以下の車速で2段変速が行なわれた場合にも、この傾向を与えるべく、エンジンブレーキ力301にエンジントルクが付加されてなる全体の減速度が車速の増加とともに、増加するように最大目標減速度が設定されることができる。
また、最大目標減速度は、基準エンジンブレーキ力302aよりも大きな値であってもよい。しきい値G前後の車速での減速度の落差に伴う違和感が生じることが回避できればよく、例えば図示はしないが、基準エンジンブレーキ力302aとエンジンブレーキ力301aの中間の値に最大目標減速度を設定することができる。この場合には、燃費が軽減される。
図19は、しきい値Gを僅かに下回った車速(上記例では車速Eを越えているとき)でダウンシフトが行われた場合のタイムチャートである。同図において、符号402で示す破線は、自動変速機10の出力軸120cの負トルク(エンジンブレーキ)に対応した減速加速度を示しており、変速の種類と車速によって決まる。自動変速機10の変速により車両に作用する減速度402の最大値402maxが、図18のエンジンブレーキ力301に対応している。
上記のように、自動変速機10の変速により車両に作用する減速度402の最大値402max(エンジンブレーキ力301)よりも小さい値として、最大目標減速度Gtが決定される。自動変速機10の変速による減速度402の最大値402maxは、予めROM133に格納された最大減速度マップ(図5参照)が参照されて決定される。逆アシスト領域(上記例では、車速Eを越えた領域)では、最大目標減速度Gtは、最大減速度402maxよりも小さな値(上記例では、車速がしきい値Gであって変速の種類が2段変速(符号301参照)に対応するときの最大減速度402max)として設定される。
上記のように、最大目標減速度Gtが決定されると、電子スロットルバルブ43の開き量は、次のように決定される。図18に示すように、エンジントルクによる逆アシスト量は、車速がEであるときにゼロであり、車速の増加とともに増加し、車速がGのときに、エンジンブレーキ力301aと基準エンジンブレーキ力302aの差に対応する最大値となる。電子スロットルバルブ43の開き量は、車速に基づいて、エンジントルクによる逆アシスト量が上記の量だけ発生するように制御される。ステップS8の次に、ステップS9が行われる。
[ステップS9]
ステップS9では、フューエルカット(F/C)が復帰するように制御される。即ち、フューエルカットが停止され、通常に燃料がエンジン40に供給される状態とする。通常一般に行なわれているように、アクセルが全閉状態であって、エンジン回転数が所定値以上であるときには、フューエルカットが行なわれている。本実施形態では、電子スロットルバルブ43が開とされてエンジントルクにより減速度を減少させる(逆アシスト)制御が行なわれる。その逆アシストのために、電子スロットルバルブ43が開とされるときには、燃料がエンジン40に供給されるように、フューエルカットが復帰するように制御される。
なお、ステップS9において、エンジン回転数が上記所定値未満であって、もともとフューエルカットが行なわれていないときには、そのままとされる。ステップS9の次にステップS10が行なわれる。
[ステップS10]
ステップS10では、制御回路130により、上記ステップS4で出力されたシフト指令に係る変速が開始されているか否かが判定される。その判定の結果、変速が開始されていると判定されれば、ステップS11に進む。変速が開始されていないと判定された場合には、ステップS18にて、フラグFが1に設定された後に、本制御フローがリセットされる。その後、ステップS1→ステップS2→ステップS10にて、変速の開始を待つ。この間、アクセル開度が全閉以外となったとき(ステップS1−N)には、ステップS16に進み、本実施形態の電子スロットルの開制御は終了する。
図19の例では、ステップS4にてシフト指令が出力されたt1の時期から、変速の種類に基づいて決定される上記時間taが経過した後のt3の時点で変速が実際に開始される。
[ステップS11]
ステップS11では、上記ステップS8で決定された電子スロットルバルブ43の開き量だけ電子スロットルバルブ43が開くように制御される。これにより、上記ステップS8で述べた量のエンジントルクが発生し、減速度が減少する(逆アシスト)。
図19の例では、変速が実際に開始されたt3の時期から、電子スロットルバルブ43が開くように制御されている。これにより、エンジントルクが発生し、車両に作用する実減速度407は、変速による減速度(エンジンブレーキ)402よりも小さくなる。これにより、車速がしきい値G以下であって、2段変速が行なわれた場合であって、しきい値Gよりも僅かに低いに過ぎない車速であるときに、過大な減速度が作用することが防止される。
ステップS11において電子スロットルバルブ43が開かれる前に、ステップS10において変速開始の判断がなされている理由は、変速開始前に実質的にエンジントルクが上昇すると、トルク抜けが発生するので、これを防止するためである。
なお、電子スロットルバルブ43の開指令が出力された後、実際にエンジントルクが上昇するまでには時間遅れがあることから、上記ステップS4のシフト指令の出力と同時にタイマにて計時を開始させ、所定時間を計時したら電子スロットルバルブ43の開指令が出力されるようにしてもよい。即ち、変速の開始前に電子スロットルバルブ43の開指令が出力されてもよい。電子スロットルバルブ43が開とされることにより、エンジントルクが上昇する時期が変速開始後となれば、問題がない。ステップS11の次にステップS12が行なわれる。
ステップS12及びステップS13は、上記第1実施形態のステップS11及びステップS12とそれぞれ同様であるため、説明を省略する。
ステップS14では、電子スロットルバルブ43の開き量の漸減指令が出力される。その後、フラグFがクリアされて、本制御フローがリセットされる。
第5実施形態では、車両に作用する実減速度407を下げるために、図示はしないが、クラッチトルク(油圧)が低下されている。即ち、変速に際して、ダウンシフト先のギヤをつかむ力を弱くして、発生する減速度が大きくなることを抑制している。但し、上記のようにクラッチトルクは低下しているが、電子スロットルバルブ43の開によりエンジントルクの負トルクは減少しているため、変速時間は概ね同等となっている。
上記第1〜第4実施形態では、減速度調整手段(アシスト手段)として、ブレーキが用いられたが、ブレーキに代えて、MG(モータジェネレータ)であってもよい。また、上記第5実施形態では、減速度調整手段(逆アシスト手段)として、電子スロットルバルブが用いられたが、MGの力行であってもよい。
また、上記実施形態においては、有段変速機が用いられたが、CVT(無段変速機)に適用されることも可能である。また、車両が減速される量を示す減速度として、減速加速度(G)を用いたが、減速トルクをベースに制御を行うことも可能である。
図1は、本発明の車両の減速制御装置の第1実施形態の制御内容を示すフローチャートである。 図2は、本発明の車両の減速制御装置の第1実施形態の概略構成図である。 図3は、本発明の車両の減速制御装置の第1実施形態におけるブレーキアシスト領域を示す図である。 図4は、本発明の車両の減速制御装置の第1実施形態における減速制御の効果を示す図である。 図5は、本発明の車両の減速制御装置の第1実施形態の変速段の最大減速度マップを示す図である。 図6は、本発明の車両の減速制御装置の第1実施形態の目標減速度の勾配を説明するための図である。 図7は、本発明の車両の減速制御装置の第1実施形態の目標減速度の勾配の決め方を説明するための図である。 図8は、本発明の車両の減速制御装置の第2実施形態の制御内容を示すフローチャートである。 図9−1は、本発明の車両の減速制御装置の第2実施形態において車速がしきい値を超えているときに用いられる道路勾配に対応した最適変速段を示すマップである。 図9−2は、本発明の車両の減速制御装置の第2実施形態において車速がしきい値以下であるときに用いられる道路勾配に対応した最適変速段を示すマップである。 図10は、本発明の車両の減速制御装置の第3実施形態の制御内容を示すフローチャートである。 図11−1は、本発明の車両の減速制御装置の第3実施形態において車速がしきい値を超えているときに用いられる道路勾配及びコーナRに対応した最適変速段を示すマップである。 図11−2は、本発明の車両の減速制御装置の第3実施形態において車速がしきい値以下であるときに用いられる道路勾配及びコーナRに対応した最適変速段を示すマップである。 図12は、本発明の車両の減速制御装置の第3実施形態において制御実施境界線を説明するための図である。 図13は、本発明の車両の減速制御装置の第3実施形態において制御実施境界線を説明するための他の図である。 図14は、本発明の車両の減速制御装置の第4実施形態の制御内容を示すフローチャートである。 図15−1は、本発明の車両の減速制御装置の第4実施形態において車速がしきい値を超えているときに用いられる変速段目標減速度マップである。 図15−2は、本発明の車両の減速制御装置の第4実施形態において車速がしきい値以下であるときに用いられる変速段目標減速度マップである。 図16は、本発明の車両の減速制御装置の第4実施形態において、車速と各変速段の減速度を示す図である。 図17は、本発明の車両の減速制御装置の第5実施形態の制御内容を示すフローチャートである。 図18は、本発明の車両の減速制御装置の第5実施形態における逆アシスト領域を示す図である。 図19は、本発明の車両の減速制御装置の第5実施形態における減速制御の効果を示す図である。
符号の説明
10 自動変速機
40 エンジン
43 電子スロットルバルブ
90 加速度センサ
95 マニュアルシフト判断部
100 車間距離計測部
112 相対車速検出・推定部
113 ナビゲーションシステム装置
114 スロットル開度センサ
115 路面μ検出・推定部
116 エンジン回転数センサ
117 パターンセレクトスイッチ
118 道路勾配計測・推定部
120c 出力軸
121a〜121c 電磁弁
122 車速センサ
123 シフトポジションセンサ
130 制御回路
131 CPU
133 ROM
138a〜138c 電磁弁駆動部
200 ブレーキ装置
230 ブレーキ制御回路
301 2段変速によるエンジンブレーキ力
302 1段変速によるエンジンブレーキ力
401 車両の実減速度
402 自動変速機の変速による減速度
402max 自動変速機の変速による減速度の最大値
403 目標減速度
404 目標減速度の勾配最小値
405 勾配上限値
406 ブレーキ制御量
407 車両の実減速度
408 クラッチトルク
409 電子スロットルバルブの開度
501 コーナ
502 コーナの入口
L1 ブレーキ制動力信号線
Lc 制御実施境界線
Gt 最大目標減速度
SG1 ブレーキ制動力信号
SG2 ブレーキ制御信号
ta ダウンシフト指令から変速が開始されるまでの時間
V 車速
Vreq 推奨車速

Claims (5)

  1. 変速機をダウンシフトして車両の減速を行う車両の減速制御装置であって、
    車速が予め設定された設定値を超えているか否かを判定する判定手段と、
    前記判定の結果に応じて、前記変速機のダウンシフト先の変速段を異なる変速段に設定するダウンシフト量決定手段と、
    車両に作用する減速度を調整する減速度調整手段とを備え、
    前記減速度調整手段は、前記判定の結果に応じて前記ダウンシフト先が異なる変速段に設定されることにより生じる車両に作用する減速度の差が小さくなるように、前記車両に作用する減速度を調整する
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  2. 請求項1記載の車両の減速制御装置において、
    前記減速度調整手段は、車輪を制動するブレーキ、又はモータジェネレータである
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  3. 請求項1記載の車両の減速制御装置において、
    前記減速度調整手段は、車両の内燃機関による駆動力を制御する手段、又は、モータジェネレータの力行モードである
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の減速制御装置において、
    前記ダウンシフトは、マニュアルダウンシフト、若しくは、道路勾配、先方のコーナの大きさ、又は車間距離に基づいて行なわれるダウンシフトである
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の車両の減速制御装置において、
    前記減速度調整手段は、車速が前記設定値近傍の予め設定された範囲に入っているときに、前記車両に作用する減速度を調整する
    ことを特徴とする車両の減速制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008247188A (ja) * 2007-03-30 2008-10-16 Aisin Aw Co Ltd 走行制御装置及び走行制御方法
JP2014201137A (ja) * 2013-04-03 2014-10-27 日野自動車株式会社 ハイブリッド車両の自動変速制御装置
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