JP4734994B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

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本発明は、自動変速機の制御装置に関する。
自動変速機の多段化が進んでいる。そのため、特に、アクセル開度が中間開度(パーシャル開度)の状態で車両が発進する場合などでは、車速の変化量(増加分)が相対的に小さくても、直ちに変速マップの変速線を越えることとなり、変速終了から短時間で次の変速を実施しなければならない場合も多い。
特開2000−145937号公報(特許文献1)には、ナビゲーションシステムに記憶されている道路情報に基づき、道路状況に応じたシフトダウン制御を実施する技術が開示されている。
特開2000−145937号公報
前回の変速動作からの遅れが少なく短期間で、その次の変速動作が行なわれることが望まれている。
また、変速機をダウンシフトすることにより減速制御を行なう場合においては、例えば車両の旋回判定やタイヤの滑り判定が行われたときのように車両挙動に影響が及び易い状態で車両が走行しているときには、車両の安定性が損なわれないように制御することが好ましいが、その場合、ダウンシフトが行なわれた後に車両挙動に影響が及び易い状態が検出された場合には、その検出時点から短期間で、車両の安定性を確保するための制御が行なわれることが望まれている。
本発明の目的は、変速特性の悪化や変速遅れを抑制可能な自動変速機の制御装置を提供することである。
本発明の他の目的は、変速機をダウンシフトすることにより減速制御を行なう場合において、ダウンシフトの後に、車両の旋回判定やタイヤの滑り判定が行われたときのように車両挙動に影響が及び易い状態が検出されたときに、その検出時点から遅れが少ない状態で、車両の安定性を確保するための制御が行われることが可能な自動変速機の制御装置を提供することである。
本発明の自動変速機の制御装置は、自動変速機の制御装置であって、前記自動変速機の変速の後、所定期間内に次の変速の必要性が生じるか否かを予想する手段を備え、前記自動変速機の変速の終了段階では、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記自動変速機の摩擦係合装置への油圧は、ライン圧に基づく油圧よりも低い状態とされ、前記所定期間内に次の変速の必要性が生じると予想される場合には、前記所定期間内に次の変速の必要性が生じると予想されない場合に比べて、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置への油圧が低くされていることを特徴としている。ライン圧に基づく油圧は、ライン圧に対応した油圧であることができる。
本発明の自動変速機の制御装置において、前記摩擦係合装置への油圧は、前記変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置の係合状態を維持するために必要とされる油圧から、前記ライン圧の間に設定されていることを特徴としている。
本発明の自動変速機の制御装置において、前記摩擦係合装置への油圧は、前記変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置の回転数差が概ね所定回転数差になるように制御されることを特徴としている。
本発明の自動変速機の制御装置において、車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることを検出する手段を備え、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出された場合には、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出されない場合に比べて、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置への油圧が低くされていることを特徴としている。
本発明の自動変速機の制御装置において、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出された場合には、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出されない場合に比べて、前記変速の実行に関する取り扱いが変更されることを特徴としている。
本発明の自動変速機の制御装置において、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態には、前記車両がコーナに進入している状態と、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が含まれ、前記車両がコーナに進入している状態が検出され、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が検出されない場合には、前記変速が前記終了段階に入る前であれば、前記変速が中止されることを特徴としている。
本発明の自動変速機の制御装置において、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態には、前記車両がコーナに進入している状態と、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が含まれ、前記車両がコーナに進入している状態及び前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が検出された場合には、前記変速が前記終了段階に入る前と後とを問わず、前記変速が中止されることを特徴としている。
本発明の自動変速機の制御装置において、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態には、前記車両がコーナに進入している状態と、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が含まれ、前記車両がコーナに進入している状態が検出され、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が検出されない場合には、前記変速が前記終了段階に入る前と後とを問わず、前記変速が中止されることを特徴としている。
また、本発明の自動変速機の制御装置は、自動変速機の制御装置であって、車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることを検出する手段を備え、前記自動変速機の変速の終了段階では、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記自動変速機の摩擦係合装置への油圧は、ライン圧に基づく油圧よりも低い状態とされ、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出された場合には、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出されない場合に比べて、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置への油圧が低くされていることを特徴としている。
本発明の自動変速機の制御装置によれば、変速特性の悪化や変速遅れを抑制することが可能となる。
以下、本発明の自動変速機の制御装置の一実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1から図5を参照して、第1実施形態について説明する。
第1実施形態では、変速の終了後、クラッチトルクを変速段を確保可能な低いレベルに保持する、又は、変速を終了させずに、摩擦係合装置を所定相対回転速度に保持することによって、以下のことを行う。即ち、多段化された自動変速機を用いてアクセル開度がパーシャル開度で車両が発進する場合に、変速後に短期間(時間、距離)のうちに次の変速判断がなされることが予想される場合、変速段構成用のクラッチトルクを通常時よりも低レベルから低下させることで、変速特性の悪化や変速遅れを抑制する。
本実施形態の構成としては、以下に詳述するように、(1)から(3)が前提とされる。
(1)自動変速機。
(2)変速時に、次の変速が短時間のうちに判断されるか否かを予測する手段。
(3)上記(2)の判断結果に基づいて、現在の変速の制御態様を変更する手段。
図2において、符号10は有段の自動変速機、40はエンジンである。自動変速機10は、電磁弁121a、121b、121cへの通電/非通電により油圧が制御されて6段変速が可能である。図2では、3つの電磁弁121a、121b、121cが図示されるが、電磁弁の数は3に限定されない。電磁弁121a、121b、121cは、制御回路130からの信号によって駆動される。
スロットル開度センサ114は、エンジン40の吸気通路41内に配置されたスロットルバルブ43の開度を検出する。エンジン回転数センサ116は、エンジン40の回転数を検出する。車速センサ122は、車速に比例する自動変速機10の出力軸120cの回転数を検出する。シフトポジションセンサ123は、シフトポジションを検出する。パターンセレクトスイッチ117は、変速パターンを指示する際に使用される。
加速度センサ90は、車両の減速度(減速加速度)を検出する。マニュアルシフト判断部94は、運転者の手動操作に基づいて、運転者の手動操作によるダウンシフト(マニュアルダウンシフト)又はアップシフトの必要性を示す信号を出力する。
車間距離計測部100は、車両前部に搭載されたレーザーレーダーセンサ又はミリ波レーダーセンサなどのセンサを有し、前車との車間距離を計測する。相対車速計測部115は、ミリ波レーダーセンサなどのセンサを有し、前車と自車の相対車速を直接計測することができる。ここで、相対車速とは、(自車速−前車速)である。車間距離計測部100と相対車速計測部115は、単一の(同一の)ミリ波レーダーにより構成される。
道路勾配計測・推定部118は、CPU131の一部として設けられることができる。道路勾配計測・推定部118は、加速度センサ90により検出された加速度に基づいて、道路勾配を計測又は推定するものであることができる。また、道路勾配計測・推定部118は、平坦路での加速度を予めROM133に記憶させておき、実際に加速度センサ90により検出した加速度と比較して道路勾配を求めるものであることができる。
ナビゲーションシステム装置95は、自車両を所定の目的地に誘導することを基本的な機能としており、演算処理装置と、車両の走行に必要な情報(地図、直線路、カーブ、登降坂、高速道路など)が記憶された情報記憶媒体と、自立航法により自車両の現在位置や道路状況を検出し、地磁気センサやジャイロコンパス、ステアリングセンサを含む第1情報検出装置と、電波航法により自車両の現在位置、道路状況などを検出するためのもので、GPSアンテナやGPS受信機などを含む第2情報検出装置等を備えている。
制御回路130は、スロットル開度センサ114、エンジン回転数センサ116、車速センサ122、シフトポジションセンサ123、加速度センサ90、マニュアルシフト判断部94の各検出結果を示す信号を入力し、また、パターンセレクトスイッチ117のスイッチング状態を示す信号を入力し、また、相対車速検出・推定部115による検出又は推定の結果を示す信号を入力し、また、車間距離計測部100による計測結果を示す信号を入力し、また、ナビゲーションシステム装置95からの信号を入力する。
制御回路130は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、CPU131、RAM132、ROM133、入力ポート134、出力ポート135、及びコモンバス136を備えている。入力ポート134には、上述の各センサ114、116、122、123、90からの信号、上述のスイッチ117からの信号、相対車速検出・推定部115、マニュアルシフト判断部94、ナビゲーションシステム装置95及び車間距離計測部100のそれぞれからの信号が入力される。出力ポート135には、電磁弁駆動部138a、138b、138cが接続されている。
ROM133には、予め図1のフローチャートに示す動作(制御ステップ)を記述したプログラムが格納されているとともに、自動変速機10の変速段を変速するための変速マップ(図5参照)及び変速制御の動作(図示せず)が格納されている。
制御回路130は、例えば図5に示す予め記憶された変速線図から実際のエンジン負荷に対応するアクセル開度および車速に基づいて自動変速機10のギヤ段を決定し、この決定されたギヤ段を成立させるように自動変速機10に設けられた油圧制御回路の電磁弁121a〜121cを制御する自動変速制御を実行する。図5の実線はアップシフト線で、破線はダウンシフト線である。
多段化(本例では6段)された自動変速機10では、その分、変速線図のアップシフト線及びダウンシフト線がそれぞれ密に配置されることになる。この場合、図5において、矢印P1に示すように、特に、アクセル開度がパーシャル開度で車両が発進した場合には、車速の相対的に小さな増加によって、直ぐにアップシフト線を越えるため、前回の変速(アップシフト)から短時間でその次の変速(アップシフト)が行なわれる。同様に、矢印P2に示すように、アクセル開度が全閉近くで車速が低下する場合(コースとダウン変速の場合)にも、車速の相対的に小さな減少によって、直ぐにダウンシフト線を越えるため、前回の変速(ダウンシフト)から短時間でその次の変速(ダウンシフト)が行なわれる。以上のことから、本実施形態では、前回の変速動作からの遅れが少なく短時間で、その次の変速動作が行なわれることが可能な自動変速機の制御装置を提供することを目的としている。
図1から図4を参照して、本実施形態の動作を説明する。
図4は、アクセル開度がパーシャル開度の状態で車両が発進したときの状態を示している。
図4において、符号301は、本実施形態の自動変速機10の出力軸120cのトルクを示しており、符号301’は、従来技術における自動変速機10の出力軸120cのトルクを示している。符号302は、エンジン40の回転数を示している。符号500は、自動変速機10のクラッチの油圧のライン圧を示している。
符号501は、本実施形態の最新変速の係合側クラッチ(最新変速の次の変速の解放側クラッチ)の油圧を示しており、符号501’は、従来技術における最新変速の係合側クラッチ(最新変速の次の変速の解放側クラッチ)の油圧を示している。符号502は、最新変速の次の変速の係合側クラッチの油圧を示しており、符号502’は、従来技術における最新変速の次の変速の係合側クラッチの油圧を示している。
[ステップS10]
図1のステップS10では、制御回路130により、変速判断の有無が判定される。ここでは、図5の変速線図が参照されて、アクセル開度と車速に基づいて、変速線(アップシフト線及びダウンシフト線の両方を含む)を越えたことによる変速判断の有無と、マニュアルシフト判断部94により判断されたマニュアルシフトの変速判断の有無の両方が判定される。ステップS10の判定の結果、変速判断が有りと判定されれば、ステップS20に進み、そうでない場合には、ステップS30に進む。
なお、コーナの大きさ、道路勾配、先行車との車間距離などの車両前方の状況に基づく車両の減速制御として、自動変速機の変速段をダウンシフトさせる変速点制御の技術があるが、ステップS10では、変速点制御による変速判断も含まれる。
ステップS10では、アップシフト及びダウンシフトのいずれかの変速判断があれば、肯定的に判断される。本例では、ステップS10において、アップシフト(パワーオンアップシフト)が判断されたとして以下の動作を説明する。なお、後述するステップS40の詳細を示す図3の動作は、ステップS10において、アップシフト及びダウンシフトのいずれの変速判断がなされたケースにも対応している。
図4では、符号Aの時点で変速判断がなされているため、ステップS10で肯定的に判断されて、ステップS20に進む。
[ステップS20]
ステップS20では、制御回路130のCPU131から電磁弁駆動部138a〜138cに変速指令(本例では、アップシフト指令)が出力される。変速指令に応答して、電磁弁駆動部138a〜138cは、電磁弁121a〜121cを通電又は非通電にする。これにより、自動変速機10では、変速指令に指示される変速が実行される。図4において、変速指令は、符号Aの時点で変速判断有りと制御回路130により判断されると(ステップS10−Y)、それと同時(符号Aの時点)に出力される。
図4に示すように、符号Aの時点に変速指令が出力される(ステップS20)と、自動変速機10の変速が開始されて、係合側クラッチ油圧(クラッチトルク)501が上昇し始める。ステップS20の次に、ステップS30が実行される。
[ステップS30]
ステップS30では、制御回路130により、最新の変速が終了したか否かが判定される。最新の変速が終了したと判定された場合には、ステップS40に進み、そうでない場合には、本制御フローはリセットされる。
上記ステップS10において否定的に判断された場合にも、ステップS30において、最新の変速の終了を判断しているのは、今回の制御フローでは、変速判断(ステップS10)がなくても、先回の制御フローでは変速判断があり、その変速判断に基づく変速が変速動作中であった場合を考慮している。本例では、上記ステップ10と同様に、ステップS30での最新変速は、アップシフトであるとされる。図4の例では、符号Cの時点にて最新の変速が終了したと判断される。
[ステップS40]
ステップS40では、制御回路130により、上記ステップS30において終了したと判定された上記最新の変速の次の変速が短時間のうちに判断される可能性が大きいか否かが判定される。その判定の結果、次の変速が短時間のうちに判断される可能性が大きいと判定された場合には、ステップS60に進み、そうでない場合には、ステップS50に進む。ステップS40の判断は、図3に示す動作に基づいて行われる。
[ステップSA31]
図3のステップSA31では、制御回路130により、スロットル開度センサ114からの信号に基づいて、アクセルがOFFの状態(全閉)か否かが判定される。ステップSA31の判定の結果、アクセルがOFFの状態であると判定されれば、ステップSA37に進み、そうでない場合には、ステップSA32に進む。
アクセル開度が全閉以外の場合(ステップSA31−N)には、上記次の変速がパワーオンアップシフト(図5の矢印P1参照)である場合が想定されている。一方、アクセル開度が全閉である場合(ステップSA31−Y)には、上記次の変速がコーストダウンシフト(図5の矢印P2参照)である場合が想定されている。本例では、アクセル開度が全閉以外であると判定されるため、ステップSA32に進む。
[ステップSA32]
ステップSA32では、制御回路130により、自動変速機10の現在の変速段が最高速段(本例では6速)であるか否かが判定される。その判定の結果、現在の変速段が最高速段であると判定されれば、ステップSA39に進み、そうでない場合には、ステップSA33に進む。現在の変速段が最高速段であれば、次の変速としてアップシフトが判断されることは無いため、ステップSA39において、次の変速が短時間のうちに判断される可能性は小であると判定される。
[ステップSA33]
ステップSA33では、制御回路130により、車速センサ122からの検出結果に基づいて、車速が増加中であるか否かが判定される。その判定の結果、車速が増加中であると判定されれば、ステップSA34に進み、そうでない場合には、ステップSA39に進む。図5の変速マップに示すように、車速が増加中であれば、早かれ遅かれ、次の変速が判断されることになるためである。
[ステップSA34]
ステップSA34では、制御回路130により、スロットル開度センサ114からの信号に基づいて、アクセル開度がパーシャル開度であるか否かが判定される。その判定の結果、アクセル開度がパーシャル開度であると判定されれば、ステップSA35に進み、そうでない場合には、ステップSA39に進む。アクセル開度がパーシャル開度である場合には、全開時に比べて、変速マップ上で変速線が密に配置されているため、次の変速が短時間のうちに判断される可能性が高いためである。
[ステップSA35]
ステップSA35では、制御回路130により、スロットル開度センサ114からの信号に基づいて、アクセル開度の変化が所定値よりも小さいか、又は、アクセルを戻す側の変化であるか否かが判定される。その判定の結果、アクセル開度の変化が所定値よりも小さい、又は、アクセルを戻す側の変化である場合には、ステップSA36に進む。図5の変速マップの矢印P1に示すように、アクセル開度の変化が小さい場合やアクセルを戻す側の変化である場合には、アップシフト線を越え易く、アップシフト(上記次の変速)が行われ易いためである。
[ステップSA36]
ステップSA36では、制御回路130により、次の変速が短時間のうちに判断される可能性が大きいと判断される。上記ステップSA32〜ステップSA35の全ての条件をクリアした場合には、次の変速(アップシフト)が短時間のうちに判断される可能性が大きいと判断することが可能である。また、後述するように、ステップSA37及びステップSA38の両方の条件をクリアした場合には、次の変速(ダウンシフト)が短時間のうちに判断される可能性が大きいと判断することが可能である。その結果、制御回路130は、図1の制御フローに戻り、ステップS40を肯定的に判断する。
[ステップSA37]
ステップSA37では、制御回路130により、自動変速機10の現在の変速段が最低速段(本例では1速)であるか否かが判定される。その判定の結果、現在の変速段が最低速段であると判定されれば、ステップSA39に進み、そうでない場合には、ステップSA38に進む。現在の変速段が最低速段であれば、次の変速としてダウンシフトが判断されることは無いため、ステップSA39において、次の変速が短時間のうちに判断される可能性は小である(可能性は大ではない)と判定される。
[ステップSA38]
ステップSA38では、制御回路130により、車速センサ122からの検出結果に基づいて、車速が減少中であるか否かが判定される。その判定の結果、車速が減少中であると判定されれば、ステップSA36に進み、そうでない場合には、ステップSA39に進む。図5の変速マップに示すように、車速が減少中であれば、早かれ遅かれ、次の変速が判断されることになるためである。
[ステップSA39]
ステップSA39では、制御回路130により、次の変速が短時間のうちに判断される可能性は小さいと判断される。上記ステップSA32〜ステップSA35、ステップSA37、ステップSA38のいずれかの条件を満たさない場合には、次の変速が短時間のうちに判断される可能性が小さいと判断することが可能である。その結果、制御回路130は、図1の制御フローに戻り、ステップS40を否定的に判断する。
[ステップS50]
図1のステップS50では、制御回路130のCPU131により、上記ステップS30にて変速が終了した(本例では、図4のC点で変速が終了)と判定された上記最新変速(本例では、符号Aの時点にて変速判断がなされた変速)の係合側クラッチの油圧501をライン圧500まで上昇させる指令が電磁弁駆動部138a〜138cに出力される。その係合側クラッチの油圧501の上昇指令は、図4のD点にて出力される、
本例では、上記最新変速は、アップシフトであるため、上記最新変速の係合側クラッチは、ハイ側クラッチである。上記係合側クラッチの油圧501上昇指令に応答して、電磁弁駆動部138a〜138cは、電磁弁121a〜121cを通電又は非通電にする。これにより、図4のD点から係合側クラッチの油圧501は、ライン圧500まで上昇する(符号501’参照)。
ステップS50では、上記ステップS40において、次の変速(上記最新変速の次の変速)が短時間のうちに判断される可能性が大きくないと判断されているため(ステップS40−N)、従来技術と同様に、上記最新変速の係合側クラッチの油圧501を、ライン圧500まで上昇させる。ステップS50の次に、本制御フローはリターンされる。
[ステップS60]
ステップS60では、制御回路130のCPU131により、上記ステップS30にて変速が終了したと判定された上記最新変速の係合側クラッチの油圧501を、その上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510に保持させる指令が電磁弁駆動部138a〜138cに出力される。その係合側クラッチの油圧501の保持指令は、図4のD点にて出力される。
上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510は、例えば推定入力トルク(エンジントルク)と、上記係合側クラッチで分担すべきトルクに基づいて決定される。即ち、上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510は、上記最新変速の変速段を維持するために最低限必要なトルクに対応した油圧である。ステップS60の次に、本制御フローはリターンされる。
図4を参照して、本実施形態の効果について説明する。
図4のC点にて上記最新変速が終了すると(図1のステップS30−Y)、上記最新変速の次の変速が短時間のうちに判断されることが予測されるため(ステップS40−Y)、係合側クラッチの油圧501をそのまま保持する(上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510に保持する,ステップS60)。
その後(D点近傍で)、上記最新変速の次の変速判断がなされれば、その変速判断についての変速指令が出力される。この場合、上記最新変速の次の変速のローギヤクラッチ(上記最新変速のハイ側クラッチ)の油圧501が上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510に安定的に保持されているため(ステップS60)、E点から(上記最新変速の次の変速の変速指令から短時間のうちに)、上記最新変速の次の変速を開始することができる(符号301参照)。即ち、上記最新変速の次の変速のハイ側クラッチ(係合側クラッチ)の油圧502を遅れなく速やかに立ち上げることができる。
これに対して、従来技術においては、図4のC点で上記最新変速の終了が判定されると、係合側クラッチの油圧501をライン圧500まで上昇させていた(符号501’参照)。この場合、上記最新変速の終了の後、直ぐに次の変速判断があっても、その変速のために、ライン圧500まで上昇した状態にある係合側クラッチの油圧501’を低下させるのに時間がかかっていた。
具体的には、まず、係合側クラッチの油圧501’を再度調圧モードにするために時間がかかる(符号T1)。その後、符号(1)に示すように、係合側クラッチの油圧501’を急速に低下させると、アンダーシュートが生じ、一瞬ダウンシフトが生じてしまう可能性があるため、符号(2)に示すように、ある程度ゆっくりと低下させる必要があり、そのための時間が必要となる(符号T2)。その後、その低下後の油圧が安定的に保持可能となるために必要な待ち時間(符号T3)が必要である。その結果、上記最新変速の次の変速の開始(ハイ側クラッチ(係合側クラッチ)の油圧502’を立ち上げるタイミング)が遅れてしまっていた。
(第1実施形態の第1変形例)
次に、上記第1実施形態の第1変形例について説明する。
本変形例において、上記第1実施形態と共通する部分についての説明は省略される。
上記第1実施形態では、係合側クラッチの油圧501は、上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510に保持される(ステップS60)として説明したが、それに限定されず、係合側クラッチの油圧501は、上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510からライン圧500までの間の値に保持されることもできる。この変形例においても、係合側クラッチの油圧501’をライン圧500まで上昇させていた従来技術に比べると、係合側クラッチの油圧501を速やかに低下させることができるため、その分、上記最新変速の次の変速を早期に開始することができる。
(第1実施形態の第2変形例)
次に、上記第1実施形態の第2変形例について説明する。
本変形例において、上記第1実施形態と共通する部分についての説明は省略される。
次の変速が短時間のうちに判断される可能性が大きいか否かの判定方法(図1の上記ステップS40)に関して、以下の方法が採用されることができる。以下の方法は、次の変速がアップシフトである場合の方法である。車速センサ122からの信号に基づいて、車速の増速率を求め、その車速の増速率と変速マップの変速線(変速点)とに基づいて、次の変速が判断されるまでの時間を推定し、その推定された時間が予め設定された所定値以下であれば、次の変速が短時間のうちに判断される可能性が大きいと判定されることができる。
上記方法は、次の変速がコーストダウンシフトである場合にも適用することができる。即ち、車速センサ122からの信号に基づいて、車速の減速率を求め、その車速の減速率と変速マップの変速線(変速点)とに基づいて、次の変速が判断されるまでの時間を推定し、その推定された時間が予め設定された所定値以下であれば、次の変速が短時間のうちに判断される可能性が大きいと判定されることができる。
(第1実施形態の第3変形例)
次に、上記第1実施形態の第3変形例について説明する。
本変形例において、上記第1実施形態と共通する部分についての説明は省略される。
次の変速が短時間のうちに判断される可能性が大きいか否かの判定方法(図1の上記ステップS40)に関して、以下の方法が採用されることができる。この方法は、次の変速がコーストダウンシフトである場合の方法である。運転者によるフットブレーキの操作の有無に基づいて判断し、フットブレーキの操作が有れば、車速の低下に伴うコーストダウンシフトが短時間のうちに判断される可能性が大きいと判定することができる。
(第1実施形態の第4変形例)
上記第1実施形態では、ステップS60において、上記ステップS30にて変速が終了したと判定された上記最新変速の係合側クラッチの油圧501を、その上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510に保持させる制御が行われた。これに対して、本変形例では、この制御に代えて、以下の構成が採用される。
即ち、低速段クラッチ(又は高速段クラッチ)と摩擦係合する高速段クラッチ(又は低速段クラッチ)との間の回転数差が所定回転数差(例えば50rpm)に保持されるように係合側クラッチの油圧501をフィードバック制御する構成を採用することができる。
この場合、低速段クラッチ(又は高速段クラッチ)と摩擦係合する高速段クラッチ(又は低速段クラッチ)の間には、回転数差(滑り)があるため、変速が完全に終了したとはいえない。本変形例では、変速は終了していないがその直前の時点(変速の終了段階に含まれる)において、低速段クラッチ(又は高速段クラッチ)と摩擦係合する高速段クラッチ(又は低速段クラッチ)とを、所定の回転数差に保持するようにクラッチ圧をフィードバック制御する。
(第1実施形態の第5変形例)
上記第1実施形態では、ステップS40において、次の変速が短時間のうちに判断される可能性が大きいと判定された場合に、係合側クラッチの油圧501を上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510に保持する制御が行われた。これに代えて、ステップS40の判断を行うことなく、常に、係合側クラッチの油圧501を上記最新変速の変速段を確保可能な下限圧510に保持する制御を行うことができる。また、ステップS40の判断を行うことなく、常に、変速を終了させずに、摩擦係合装置を所定相対回転速度に保持する制御を行うことができる。
(第2実施形態)
次に、図6から図10を参照して、第2実施形態について説明する。
第2実施形態において、上記第1実施形態と共通する部分についての説明は省略する。
本実施形態は、車両前方のコーナに関する情報に基づいて、変速機を変速することにより減速制御(コーナ制御)を行う自動変速機の制御装置に関する。
第2実施形態では、変速の終了後、クラッチトルクを変速段を確保可能な低いレベルに保持する、又は、変速を終了させずに、摩擦係合装置を所定相対回転速度に保持することによって、以下のことを行う。即ち、コーナ制御を含む変速点制御において、ダウンシフト指令が出力されたときに、低速段構成用クラッチ圧を所定期間、上記のレベルに保持し、旋回判定時やタイヤ滑り判定時には、迅速に低速段構成用クラッチ圧を解放し、減速トルクを低下させる。
コーナ制御が行なわれるためのダウンシフト指令が出力された後、車両旋回判定やタイヤ滑り判定があったときには、その判定が変速のイナーシャ相開始前に行なわれれば、その変速をキャンセルすることが考えられている。車両旋回判定やタイヤ滑り判定があったときには、車両安定性の面から、そのダウンシフトをキャンセルすることが望ましいが、イナーシャ相開始後に変速をキャンセルすると、違和感を生じドライバビリティを損なうため、変速のイナーシャ相開始前に限り、ダウンシフトをキャンセルすることとし、イナーシャ相開始後であれば、そのままダウンシフトを実行するというものである。
これに対して、本実施形態では、ダウンシフト指令が出力された後の状態に応じて、以下の[1]及び[2]の処置をとることとしている。
[1]車両旋回判定が有り、タイヤ滑り判定が無いときには、その車両旋回判定が、イナーシャ相開始後になされた場合であっても、その変速が終了する時点(又は、変速終了前のある時点)よりも前になされた場合には、その変速をキャンセルする。
この[1]の場合には、後述する[2]の場合と異なり、車両旋回判定がある(車両がコーナリング中である)だけで、車両が不安定な状態になっている(タイヤ滑り判定が有る)訳ではないので、その変速をキャンセルするだけで、その変速前の変速段は保持され、その変速前の変速段からアップシフトを行なうわけではない。
[2]車両旋回判定が有り、タイヤ滑り判定も有るときには、それらの判定が、その変速が終了する時点(又は、変速終了前のある時点)よりも後になされた場合であっても、その変速をキャンセルするとともに、その変速前の変速段からアップシフトが行なわれ、減速力を低下させる(以下の例では、その変速の行き先変速段が予め設定された所定段以下である場合に限り、この[2]の動作を行うこととする)。
変速中に変速をキャンセルしたり、クラッチの係合圧を低下させると、減速度の抜け感が生じる他、エンジン回転速度も上昇から下降に変化するため、運転者に違和感を与える可能性がある。但し、タイヤ滑り判定が有った場合には、車両が不安定になる可能性があるため、フィーリングに優先して、変速のキャンセルや、クラッチの係合圧の低下を行うこととした。
本実施形態では、先方コーナ、道路勾配、又は前車との車間距離に基づく変速点制御として、又は、運転者によるダウンシフト指令に基づき、少なくとも変速機の変速段や変速比を変更して変速する制御において、車両の旋回判定又はタイヤの滑り判定が行われたときには、変速開始後(イナーシャ相開始後)であっても、上記[1]又は[2]を行い、減速度の増大を防止するように変速機を制御する。
本実施形態の構成としては、以下に詳述するように、変速段ないしは変速比を変更可能な自動変速機と、先方コーナRに基づいて、運転者の減速意図が検出されたときに、少なくとも変速によって車両の減速度を制御する手段と、少なくとも変速の種類や走行環境に基づいて、変速制御の態様を変更制御する手段とが前提となる。
図7は、第2実施形態の概略構成を示す図である、図7において、上記図2と同じ構成要素については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
タイヤ滑り判定部91は、タイヤ滑りの有無を検出する。タイヤ滑り判定部91は、各種条件、例えば、フロント車輪速センサ(図示せず)により検出された前輪(図示せず)の回転速度(従動輪速度)及び車速センサ122により検出された後輪(図示せず)の回転速度(駆動輪速度)の差に基づいて、タイヤ滑りの有無を検出する。
ここで、タイヤ滑り判定部91によるタイヤ滑りの有無の検出の具体的方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができる。例えば、上記の前後の車輪速差の他に、車輪速の変化率や、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やTRS(トラクション・コントロール・システム)やVSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)の作動履歴、車両の加速度と車輪スリップ率の関係の少なくともいずれか一つを用いて、タイヤ滑りの有無を検出することができる。
路面μ検出・推定部92は、路面の摩擦係数μに代表される路面の滑り易さ(低μ路か否か)を検出又は推定する。ここで、低μ路には、悪路(路面の凹凸が大きい場合や路面に段差がある等を含む)が含まれる。即ち、路面μ検出・推定部92では、走行路面の摩擦係数μが演算され、その演算された摩擦係数μが予め定められたしきい値を超えているか否かによって、低μ路か否かが決定される。
路面μ検出・推定部92は、将来に走行予定の路面についての情報(ナビ情報など)に基づいて、低μ路であるか否かを予測する。ここで、ナビ情報には、ナビゲーションシステム装置95のように予め記憶媒体(DVDやHDDなど)に記録されている路面(例えば非舗装路)の情報の他、車両自体が過去の実走行や他の車両や通信センターとの通信(車車間通信や路車間通信を含む)を介して得た情報(道路状況を示す情報や天候状況を示す情報を含む)が含まれる。その通信には、道路交通情報通信システム(VICS)やいわゆるテレマティクスが含まれる。
制御回路130は、タイヤ滑り判定部91、路面μ検出・推定部92の各検出結果を示す信号を入力する。
制御回路130の入力ポート134には、上述のタイヤ滑り判定部91及び路面μ検出・推定部92のそれぞれからの信号が入力される。出力ポート135には、電磁弁駆動部138a、138b、138c、及びブレーキ制御回路230へのブレーキ制動力信号線L1が接続されている。ブレーキ制動力信号線L1では、ブレーキ制動力信号SG1が伝達される。
ブレーキ装置200は、制御回路130からブレーキ制動力信号SG1を入力するブレーキ制御回路230によって制御されて、車両を制動する。ブレーキ装置200は、油圧制御回路220と、車両の車輪204、205、206、207に各々設けられる制動装置208、209、210、211とを備えている。各制動装置208、209、210、211は、油圧制御回路220によって制動油圧が制御されることにより、対応する車輪204、205、206、207の制動力を制御する。油圧制御回路220は、ブレーキ制御回路230により、制御される。
油圧制御回路220は、ブレーキ制御信号SG2に基づいて、各制動装置208、209、210、211に供給する制動油圧を制御することで、ブレーキ制御を行う。ブレーキ制御信号SG2は、ブレーキ制動力信号SG1に基づいて、ブレーキ制御回路230により生成される。ブレーキ制動力信号SG1は、自動変速機10の制御回路130から出力され、ブレーキ制御回路230に入力される。ブレーキ制御の際に車両に与えられるブレーキ力は、ブレーキ制動力信号SG1に含まれる各種データに基づいてブレーキ制御回路230により生成される、ブレーキ制御信号SG2によって定められる。
ブレーキ制御回路230は、周知のマイクロコンピュータによって構成され、CPU231、RAM232、ROM233、入力ポート234、出力ポート235、及びコモンバス236を備えている。出力ポート235には、油圧制御回路220が接続されている。ROM233には、ブレーキ制動力信号SG1に含まれる各種データに基づいて、ブレーキ制御信号SG2を生成する際の動作が格納されている。ブレーキ制御回路230は、入力した各制御条件に基づいて、ブレーキ装置200の制御(ブレーキ制御)を行う。
図6から図10を参照して、本実施形態の動作を説明する。
図8は、本実施形態の減速制御を説明するためのチャートである。図8には、制御実施境界線L、必要減速度401、目標旋回車速Vreq、道路形状上面視、アクセルがOFF(アクセル開度が全閉)とされた地点aが示されている。
図9において、符号601は、本実施形態の自動変速機10の出力軸120cのトルクを示しており、符号601’は、従来技術における自動変速機10の出力軸120cのトルクを示している。符号700は、自動変速機10のクラッチの油圧のライン圧を示している。
符号701は、本実施形態のコーナ制御によるダウンシフトの係合側クラッチの油圧を示しており、符号701’は、従来技術におけるコーナ制御によるダウンシフトの係合側クラッチの油圧を示している。
[ステップSB10]
図6のステップSB10では、制御回路130により、スロットル開度センサ114からの信号に基づいて、アクセルがOFFの状態(全閉)か否かが判定される。ステップSB10の結果、アクセルがOFFの状態であると判定されれば、ステップSB20に進む。アクセルが全閉である場合(ステップSB10−Y)に、運転者に減速の意図があると判断されて、本実施形態の減速制御が行われる。一方、アクセルがOFFの状態であると判定されなければ、ステップSB125に進む。上記のように、図8では、符号aの位置(時点)にてアクセル開度がゼロ(全閉)とされている。
[ステップSB20]
ステップSB20では、制御回路130により、フラグFがチェックされる。その結果、フラグFが0であればステップSB30に進み、フラグFが1であればステップSB60に進み、フラグFが2であればステップSB80に進む。本制御フローが実行されたときに、最初は、フラグFが0であるので、ステップSB30に進む。
[ステップSB30]
ステップSB30では、制御回路130により、例えば制御実施境界線Lに基づいて、本制御の要否が判定される。その判定では、図8において、現在の車速とコーナ402の入口403までの距離との関係で、制御実施境界線Lよりも上方に位置すれば、本制御が必要と判定され、制御実施境界線Lよりも下方に位置すれば、本制御は不要と判定される。ステップSB30の判定の結果、本制御が必要と判定された場合には、ステップSB40に進み、本制御が不要と判定された場合には、本制御フローはリターンされる。
制御実施境界線Lは、現在の車速とコーナ402の入口403の手前の地点cまでの距離との関係で、予め設定された通常制動による減速度を超えた減速度が車両に作用しない限り、コーナ402の入口403の手前の地点cにおいて目標旋回車速Vreqに到達できない(コーナ402を所望の旋回Gで旋回できない)範囲に対応した線である。即ち、制御実施境界線Lよりも上方に位置する場合には、コーナ402の入口403の手前の地点cにおいて目標旋回車速Vreqに到達するためには、予め設定された通常制動による減速度を超えた減速度が車両に作用することが必要である。
そこで、制御実施境界線Lよりも上方に位置する場合には、本実施形態のコーナRに対応した減速制御が実行されて(ステップSB50)、減速度の増大によって、運転者によるブレーキの操作量がなくても、ないしは操作量が相対的に小さくても(フットブレーキを少ししか踏まなくても)、コーナ402の入口403の手前の地点cにおいて目標旋回車速Vreqに到達できるようにしている。
本実施形態の制御実施境界線Lとしては、従来一般のコーナRに対応した変速点制御に使用される制御実施境界線がそのまま適用可能である。制御実施境界線Lは、ナビゲーションシステム装置95から入力した、コーナ402のR405とコーナまでの距離を示すデータに基づいて、制御回路130により作成される。
本実施形態では、図8において、アクセル開度がゼロとされた符号aに対応する時点は、制御実施境界線Lよりも上方に位置するため、本制御が必要と判定され(ステップSB30−Y)、ステップSB40に進む。
[ステップSB40]
ステップSB40では、制御回路130により、自動変速機10の変速制御(シフトダウン)に際して選択すべき変速段が決定される。上記選択すべき変速段の決定に際しては、まず必要減速度が求められ、次いで、その必要減速度に基づいて、上記選択すべき変速段が決定される。以下、必要減速度の算出を(A)として説明し、次いで、上記選択すべき変速段の決定を(B)として説明する。
(A)必要減速度の算出について
制御回路130により、必要減速度が計算により求められる。必要減速度は、先方のコーナを予め設定された所望の旋回Gで旋回するために(所望の車速Vreqでコーナに進入するために)必要とされる減速度である。図8において、必要減速度は、符号401で示されている。
図8において、横軸は距離を示しており、「道路形状上面視」に示すように、先方のコーナ402は、地点403から地点404に存在している。そのコーナ402を予め設定された所望の旋回Gで旋回するために、コーナ402の入口403から所定量手前にオフセットされた地点cにおいて、コーナ402の半径(又は曲率)R405に対応した、目標旋回車速Vreqにまで減速されている必要がある。即ち、目標旋回車速Vreqは、コーナ402のR405に対応した値である。
上記ステップSB10においてアクセルが全閉であると判定された場所aの車速から、コーナ402の入口403の手前の地点cで要求される目標旋回車速Vreqまで減速するには、必要減速度401で示すような減速が必要とされる。制御回路130は、車速センサ122から入力した現在の車速と、ナビゲーションシステム装置95から入力した、現在位置からコーナ402の入口403(の手前の地点c)までの距離及びコーナ402のR405に基づいて、必要減速度401を算出する。
(B)上記選択すべき変速段の決定について
予めROM133には、図10に示すようなアクセルOFF時の各変速段の車速毎の減速Gを示す車両特性のデータが登録されている。
ここで、出力回転数が1000[rpm]であり、必要減速度401が−0.18Gである場合を想定すると、図10において、出力回転数が1000[rpm]のときの車速に対応し、かつ必要減速度401の−0.18Gに最も近い減速度となる変速段は、3速であることが判る。これにより、上記例の場合、ステップSB40では、選択すべき変速段は、3速であると決定される。
なお、ここでは、必要減速度401に最も近い減速度となる変速段を選択すべき変速段として選択したが、選択すべき変速段は、必要減速度401以下(又は以上)の減速度であって必要減速度401に最も近い減速度となる変速段を選択してもよい。ステップSB40の次にステップSB50が実行される。
[ステップSB50]
ステップSB50では、制御回路130により、上記ステップSB40で決定された、選択されるべき変速段に係る変速指令が出力される。即ち、制御回路130のCPU131から電磁弁駆動部138a〜138cにダウンシフト指令(変速指令)が出力される。
この場合、上記ステップSB40で決定された上記選択されるべき変速段(行き先変速段)が、予め設定された所定段よりも高速段(ハイギヤ段)であれば、変速終了後、係合側クラッチの油圧701をライン圧700まで上昇させる指令が上記ダウンシフト指令に含まれる(符号701’参照)。
一方、上記ステップSB40で決定された上記選択されるべき変速段(行き先変速段)が、予め設定された所定段以下の変速段であれば、変速終了後、係合側クラッチの油圧701を、上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710に保持させる指令が上記ダウンシフト指令に含まれる。
上記予め設定された所定段は、例えば3速であり、上記例では、上記選択すべき変速段は、3速であることから、上記ダウンシフト指令には、変速終了後、係合側クラッチの油圧701を、上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710に保持させる指令が含まれる。
上記ダウンシフト指令に応答して、電磁弁駆動部138a〜138cは、電磁弁121a〜121cを通電又は非通電にする。これにより、自動変速機10では、ダウンシフト指令に指示される変速が実行される。
ダウンシフト指令は、本実施形態の変速点制御としてダウンシフトする必要性有りと図8の符号aに対応する場所(時点)で制御回路130により判断されると(ステップSB30−Y)、それと同時(図8の符号aに対応する時点,図9の符号Aの時点)に出力される。これにより、図9の符号Aに対応する時点から、自動変速機10は、上記のように決定された選択すべき変速段(上記例では、3速)に向けてのダウンシフト動作が開始され、係合側クラッチの油圧701の上昇に伴い、エンジンブレーキ力(出力軸トルク601)が増加し、符号aの場所(時点)から自動変速機10の変速段による減速度が増加する。ステップSB50の次にステップSB60が実行される。
[ステップSB60]
ステップSB60では、制御回路130により、車両がコーナ402に進入したか否かが判定される(車両の旋回判定)。制御回路130は、車両の横Gの大きさ等に基づいて、ステップSB60の判定を行う。又は、ナビゲーションシステム装置95から入力した、車両の現在位置とコーナ402の入口403の位置を示すデータに基づいて、ステップSB60の判定を行う。ステップSB60の判定の結果、コーナ402に進入を開始した後であれば、ステップSB70に進み、そうでない場合にはステップSB160に進む。
本制御フローが実施された最初の段階では、車両はコーナ402に進入していないため(ステップSB60−N)、ステップSB160でタイヤ滑りの有無が判定される。
[ステップSB160]
ステップSB160では、制御回路130により、タイヤ滑り判定部91から入力した信号に基づいて、タイヤ滑りの有無が判定される。その判定の結果、所定値以上のタイヤ滑りがあると判定されれば、ステップSB170に進み、そうでないと判定されれば、ステップSB180に進む。
なお、ステップSB160では、タイヤ滑りの有無のみならず、路面μ検出・推定部92から入力した信号に基づいて、路面が低μ路であるか否かを判定し、所定値以上のタイヤ滑りがある場合又は低μ路であると判定された場合には、ステップSB170に進み、いずれの場合でもないと判定されれば、ステップSB180に進むように構成することもできる(以下のステップSB80及びステップSB105で同様)。
[ステップSB170]
ステップSB170では、制御回路130により、新たなアップシフト及びダウンシフトが規制される。上記ステップSB50で出力されたダウンシフト指令に係る変速段(上記例では3速)よりも相対的に高速用の変速段にアップシフトされることが規制される。また、ダウンシフトに関しても、上記ステップSB50で出力されたダウンシフト指令に係る変速段よりも相対的に低速用の変速段にダウンシフトされることが規制される。減速度の増大を防止し、車両安定性に寄与するためである。
また、ステップSB170では、上記ステップSB50で出力されたダウンシフト指令に係る変速が終了する時点(又は、変速終了前のある時点)よりも前であれば、その変速をキャンセルすべく、係合側クラッチの油圧701を低下させる。ステップSB170の次には、ステップSB180に進む。
[ステップSB180]
ステップSB180では、フラグFが1にセットされて、本制御フローはリセットされる。再度の制御フローでは、アクセルが全閉である場合(ステップSB10−Y)には、フラグFが1であるので(ステップSB20−1)、ステップSB60に進み、ステップSB60の条件が成立するまで繰り返される。
[ステップSB70]
ステップSB70では、制御回路130により、新たなアップシフト及びダウンシフトが規制される。コーナ402に進入後のコーナリング中には、上記ステップSB50で出力されたダウンシフト指令に係る変速段(上記例では3速)よりも相対的に高速用の変速段にアップシフトされることが規制される。通常一般のコーナに対する変速点制御においても、コーナ進入後のコーナリング中のアップシフトは禁止されている。また、ダウンシフトに関しても、コーナ402に進入後のコーナリング中には、上記ステップSB50で出力されたダウンシフト指令に係る変速段よりも相対的に低速用の変速段にダウンシフトされることが規制される。減速度の増大を防止し、車両安定性に寄与するためである。
また、ステップSB70では、上記ステップSB50で出力されたダウンシフト指令に係る変速が終了する時点(又は、変速終了前のある時点)よりも前であれば、その変速をキャンセルすべく、係合側クラッチの油圧701を低下させる。ステップSB70の次には、ステップSB80に進む。
[ステップSB80]
ステップSB80では、上記ステップSB160と同様に、制御回路130により、タイヤ滑り判定部91から入力した信号に基づいて、タイヤ滑りの有無が判定される。その判定の結果、所定値以上のタイヤ滑りがあると判定されれば、ステップSB90に進み、そうでないと判定されれば、ステップSB100に進む。
[ステップSB90]
ステップSB90では、制御回路130により、上記ステップSB40で決定された上記選択されるべき変速段(行き先変速段)が、予め設定された所定段以下の変速段である場合には、上記ダウンシフト指令に係る変速が終了する時点(又は、変速終了前のある時点)の前後を問わず、その変速をキャンセルするとともに次のその変速前の変速段からのアップシフトに備えるべく、係合側クラッチの油圧701を低下させる。なお、上記アップシフトでは、クラッチの油圧701は、ローギヤ側クラッチの油圧701となる。
上記選択されるべき変速段が、予め設定された所定段以下の変速段である場合には、変速終了後、係合側クラッチの油圧701が、上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710に保持され、ライン圧700まで上昇していないため(ステップSB50)、ステップSB90の係合側クラッチの油圧701の低下指令の出力と略同時に減速度を低下させることが可能である。
なお、ステップSB90において、上記選択されるべき変速段である上記所定段以下の変速段を形成する係合側クラッチの油圧701が、上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710まで上がっていない場合には、ステップSB90は実行されずにそのままである。即ち、ステップSB90によるアップシフトは行われない。ここで、係合側クラッチの油圧701が上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710まで上がっていない場合とは、ステップSB70において、上記選択されるべき変速段への変速が終了する時点よりも前に、係合側クラッチの油圧701が低下させられた場合である。
このことから、ステップSB90において、上記所定段以下の変速段を形成する係合側クラッチの油圧701を低下させる場合とは、既に係合側クラッチの油圧701が上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710に達して、上記選択されるべき変速段である上記所定段以下の変速段が形成された後に、タイヤ滑り判定(ステップSB80)が行われた場合である。ステップSB90の次には、ステップSB100が行われる。
[ステップSB100]
ステップSB100では、制御回路130により、車両がコーナ402を脱出したか否かが判定される。制御回路130は、車両に作用する横Gに基づいて、車両がコーナ402を脱出したか否かを判定する。又は、ナビゲーションシステム装置95から入力した、車両の現在位置とコーナ402の出口404の位置を示すデータに基づいて、ステップSB100の判定を行う。ステップSB100の判定の結果、コーナ402を脱出した後であれば、ステップSB105に進み、そうでない場合にはステップSB190に進む。
本制御フローが実施された最初の段階では、車両はコーナ402を脱出していないため(ステップSB100−N)、ステップSB190でフラグFが2にセットされて、本制御フローはリセットされる。再度の制御フローでは、アクセルが全閉である場合(ステップSB10−Y)には、フラグFが2であるので(ステップSB20−2)、タイヤ滑り判定がなされ(ステップSB80)、上記ステップSB40で決定された上記選択されるべき変速段が、予め設定された所定段以下の変速段である場合に、上記ダウンシフト指令に係る変速が終了する時点の前後を問わず、係合側クラッチの油圧701を低下させた後に(ステップSB90)、ステップSB100に進み、ステップSB100の条件が成立するまで繰り返される。ステップSB100の条件が成立したら(ステップSB100−Y)、ステップSB105に進む。
[ステップSB105]
ステップSB105では、上記ステップSB160と同様に、制御回路130により、タイヤ滑り判定部91から入力した信号に基づいて、タイヤ滑りの有無が判定される。その判定の結果、所定値以上のタイヤ滑りがあると判定されれば、ステップSB120に進み、そうでないと判定されれば、ステップSB110に進む。
[ステップSB110]
ステップSB110では、制御回路130により、上記選択されるべき変速段が、予め設定された所定段以下の変速段である場合に、係合側クラッチの油圧701をライン圧700まで上昇させる指令が出力される。ステップSB110の次にはステップSB120が行われる。
[ステップSB120]
ステップSB120では、制御回路130により、シフト規制が解除される。これにより、上記ステップSB70にて行われていたアップシフト及びダウンシフトの規制が解除される。また、ステップSB120では、制御回路130により、フラグFが0にセットされる。ステップSB120の次には、本制御フローはリセットされる。
[ステップSB125]〜[ステップSB150]
アクセルが非全閉の場合(ステップSB10−N)には、上記ステップSB110と同様に、上記選択されるべき変速段が、予め設定された所定段以下の変速段である場合に、係合側クラッチの油圧701をライン圧700まで上昇させる指令が出力される(ステップSB125)。これにより、上記選択されるべき変速段が確定される。その後、コーナリング中であるか否かが判定される(ステップSB130)。その判定の結果、コーナリング中である場合(ステップSB130−Y)には、本制御フローはリセットされる。コーナリング中ではない場合(ステップSB130−N)には、シフト規制が解除され(ステップSB140)、フラグFがクリアされてリセットされる(ステップSB150)。なお、本制御が開始された初期の状態では、シフト規制もされていないしフラグFも0であるのでそのままである。
以上に述べた本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
図9は、コーナ制御によるダウンシフトが行われたときの出力軸トルク601と、係合側クラッチの油圧701を示している。コーナ制御によるダウンシフト指令が出力されると(ステップSB50)、係合側クラッチの油圧701が上昇し、出力軸トルク601による減速度が増大する。図9のC点で変速が終了する。この場合、ダウンシフトの行き先変速段が上記所定段以下である場合には、変速終了後、係合側クラッチの油圧701が、上記行き先変速段を確保可能な下限圧710に保持され、ライン圧700まで上昇しないように制御される(ステップSB50)。
変速終了後、図9のE点でタイヤ滑り判定が有った場合(ステップSB80−Y)、その変速をキャンセルするとともに次のその変速前の変速段からのアップシフトに備えるべく、係合側クラッチの油圧701を低下させる。この場合、係合側クラッチの油圧701が、上記行き先変速段を確保可能な下限圧710に保持され、ライン圧700まで上昇していないため(ステップSB50)、変速終了後にタイヤ滑り判定があった場合には、そのタイヤ滑り判定があった時点と略同時に減速度を低下させることが可能である。これに対して、従来技術では、変速終了後に、係合側クラッチの油圧701’をライン圧700まで上昇させてしまうため、係合側クラッチの油圧701’を低下させるのに時間がかかり、減速度を低下させるのが遅れてしまう。
また、本実施形態によれば、コーナリング中である場合(ステップSB60−Y)、又は、非コーナリング中(直線路を走行中)であって、タイヤ滑りがある場合(ステップSB60−N,ステップSB160−Y)には、コーナを脱出するまで(ステップSB100−Y)、新たなアップシフト及びダウンシフトが規制されるとともに(ステップSB70、又はステップSB170)、未完了変速については変速指令がキャンセルされるべく、係合側クラッチの油圧701が低下させられる(ステップSB70、又はステップSB170)。コーナリング中である場合には、車両の減速度が増大すると、車両安定性を損なう可能性があるため、未完了のダウンシフト指令はキャンセルされる。また、直線路でタイヤ滑りがある場合にも同様の理由から未完了のダウンシフト指令はキャンセルされる。
更に、コーナリング中である場合(ステップSB60−Y)に、タイヤ滑りがある場合(ステップSB80−Y)であって、上記選択されるべき変速段が、予め設定された所定段以下の変速段である場合には、変速の完了・未完了を問わず、変速指令がキャンセルされ、かつアップシフトが行なわれるべく、係合側クラッチの油圧701が低下させられる(ステップSB90)。コーナリング中にタイヤ滑り判定が有る場合には、車両が不安定な状態であるところ、上記選択されるべき変速段が、予め設定された所定段以下の変速段である場合には、大きな減速度が車両に作用することになるため、その変速をキャンセルすると共にアップシフトを行うことで、減速度を低下させ、車両安定性に寄与するためである。
(第2実施形態の第1変形例)
上記第2実施形態において、コーナ制御は、有段の自動変速機10の変速段の制御によって行なわれるとして説明したが、これに代えて、CVTの変速比の制御が行われることができる。CVTの場合、コーナリング中であるとの旋回判定が行われた時点やタイヤの滑りが有ると判定された時点において、変速が停止されるようにする。
(第2実施形態の第2変形例)
上記第1実施形態において、コーナ制御は、自動変速機の変速制御のみによって行なわれたが、自動変速機とブレーキの協調制御により行なわれることができる。この場合、自動変速機10の変速制御のみならず、ブレーキ装置200のフィードバック制御がブレーキ制御回路230により実行される。ブレーキのフィードバック制御とは、目標減速度(必要減速度401)と車両の実減速度との偏差に応じてブレーキ力を制御することを意味する。
ブレーキのフィードバック制御は、ダウンシフト指令が出力された場所aにて開始される。即ち、必要減速度401を示す信号がブレーキ制動力信号SG1として制御回路130からブレーキ制動力信号線L1を介してブレーキ制御回路230に出力される。ブレーキ制御回路230は、制御回路130から入力したブレーキ制動力信号SG1に基づいて、ブレーキ制御信号SG2を生成し、そのブレーキ制御信号SG2を油圧制御回路220に出力する。
油圧制御回路220は、ブレーキ制御信号SG2に基づいて、制動装置208、209、210、211に供給する油圧を制御することで、ブレーキ制御信号SG2に含まれる指示通りのブレーキ力(ブレーキ制御量)を発生させる。
ブレーキ装置200のフィードバック制御において、目標値は必要減速度401であり、制御量は車両の実減速度であり、制御対象はブレーキ(制動装置208、209、210、211)であり、操作量はブレーキ制御量であり、外乱は主として自動変速機10の変速による減速度である。車両の実減速度は、加速度センサ90等により検出される。
即ち、ブレーキ装置200では、車両の実減速度が必要減速度401となるように、ブレーキ制動力(ブレーキ制御量)が制御される。即ち、ブレーキ制御量は、車両に必要減速度401を生じさせるに際して、自動変速機10の変速による減速度では不足する分の減速度を生じさせるように設定される。
なお、上記第2変形例におけるブレーキ制御は、上記ブレーキに代えて、パワートレーン系に設けたMG装置による回生ブレーキなどの他の、車両に制動力を生じさせる制動装置を用いても可能である。
(第2実施形態の第3変形例)
上記第2実施形態は、コーナ制御に適用した例を示したが、第3変形例では、コーナ制御に限定されずに、登降坂制御や追従制御にも適用することができる。この場合、図2の車間距離計測部100、相対車速計測部115及び道路勾配計測・推定部118の構成を用いることができる。
(第2実施形態の第4変形例)
第4変形例では、シフト規制指令(ステップSB70、ステップSB170)及び係合圧の徐減指令(ステップSB90)が出力されるのは、上記路面μ検出・推定部92により、低μ路であると判定された場合に限定される。上記のように、イナーシャ相中や変速終了後に変速指令をキャンセルすると、減速度の抜け感が生じ、また、エンジン回転速度も上昇から下降に変化するため、違和感を生ずる可能性がある。このことから、特に車両安定性を重視すべき状況として、低μ路であると判定された状況のみにおいて、イナーシャ相中や変速終了後に変速指令をキャンセルすることとしている。
(第2実施形態の第5変形例)
上記第2実施形態では、ステップSB50において、上記ステップSB40で決定された上記選択されるべき変速段(行き先変速段)が、予め設定された所定段以下の変速段であれば、変速終了後、係合側クラッチの油圧701を、上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710に保持させる制御が行われた。これに対して、本変形例では、この制御に代えて、以下の構成が採用される。
即ち、低速段クラッチ(又は高速段クラッチ)と摩擦係合する高速段クラッチ(又は低速段クラッチ)との間の回転数差が所定回転数差(例えば50rpm)に保持されるように係合側クラッチの油圧701をフィードバック制御する構成を採用することができる。
この場合、低速段クラッチ(又は高速段クラッチ)と摩擦係合する高速段クラッチ(又は低速段クラッチ)の間には、回転数差(滑り)があるため、変速が完全に終了したとはいえない。本変形例では、変速は終了していないがその直前の時点(変速の終了段階に含まれる)において、低速段クラッチ(又は高速段クラッチ)と摩擦係合する高速段クラッチ(又は低速段クラッチ)とを、所定の回転数差に保持するようにクラッチ圧をフィードバック制御する。
(第2実施形態の第6変形例)
上記第2実施形態では、ステップSB50において、上記ステップSB40で決定された上記選択されるべき変速段(行き先変速段)が、予め設定された所定段以下の変速段であるときに、変速終了後、係合側クラッチの油圧701を、上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710に保持させる制御が行われた。これに代えて、上記選択されるべき変速段(行き先変速段)に問わず、常に、変速終了後、係合側クラッチの油圧701を、上記選択されるべき変速段を確保可能な下限圧710に保持させる制御を行うことができる。また、上記選択されるべき変速段(行き先変速段)に問わず、常に、変速を終了させずに、摩擦係合装置を所定相対回転速度に保持する制御を行うことができる。
(第2実施形態の第7変形例)
上記第2実施形態では、上記[2]において説明したように、車両旋回判定が有り、かつタイヤ滑り判定もあるときに、それらの判定が、その変速が終了する時点よりも後になされた場合であっても、その変速をキャンセルするとともに、その変速前の変速段からアップシフトさせる制御が行われた。本変形例では、これに代えて、車両旋回判定が有り、タイヤ滑り判定が無いときにおいても、その判定が、その変速が終了する時点よりも後になされた場合であっても、その変速をキャンセルするとともに、その変速前の変速段からアップシフトさせる制御が行われることができる。
上記においては、車両が減速すべき量を示す減速度は、減速加速度(G)を用いて説明したが、減速トルクをベースに制御を行うことも可能である。
以上の実施形態から、以下の項が開示される。
(項1)
多段化された自動変速機の変速終了後、短時間で次の変速判断がなされることが予想される場合、クラッチトルクを変速段確保可能なレベルに保持する、又は、変速を終了させずに摩擦係合装置を所定相対回転速度に保持することによって、変速特性の悪化や変速遅れを抑制することを特徴とする自動変速機の制御装置。
(項2)
ダウシフト指令(コーナ制御、登降坂制御、追従制御、マニュアルシフト、又は変速マップに基づく変速を含む)が出力されたとき、低速段構成用クラッチ圧を変速後もほぼ変速段を保持できる所定レベルに保持する、又は、所定低相対回転速度を保持し、旋回判定時やタイヤ滑り判定時などに低速段構成用クラッチ圧を速やかに解放し、速やかに減速トルクを低下させることを特徴とする自動変速機の制御装置。
(項3)
コーナ制御による変速指令が出力された後、旋回判定及びタイヤ滑り判定の少なくともいずれか一つが生じた場合に、制御(処置)の仕方を変更することを特徴とする自動変速機の制御装置。例えば、コーナリング中であって、タイヤ滑り判定がないときは、変速開始前又は変速終了前であれば変速をキャンセルする。コーナリング中であって、タイヤ滑り判定があるときには、変速終了後であっても変速をキャンセルする。
本発明の自動変速機の制御装置の第1実施形態の動作を示すフローチャートである。 本発明の自動変速機の制御装置の第1実施形態の概略構成図である。 本発明の自動変速機の制御装置の第1実施形態の他の動作を示すフローチャートである。 本発明の自動変速機の制御装置の第1実施形態の効果を説明するための図である。 本発明の自動変速機の制御装置の第1実施形態における変速マップを示す図である。 本発明の自動変速機の制御装置の第2実施形態の動作を示すフローチャートである。 本発明の自動変速機の制御装置の第2実施形態の概略構成図である。 本発明の自動変速機の制御装置の第2実施形態の動作を説明するための図である。 本発明の自動変速機の制御装置の第2実施形態の効果を説明するための図である。 本発明の自動変速機の制御装置の第2実施形態において、各変速段の車速毎の減速度を示す図である。
符号の説明
10 自動変速機
40 エンジン
90 加速度センサ
91 タイヤ滑り判定部
92 路面μ検出・推定部
94 マニュアルシフト判断部
95 ナビゲーションシステム装置
100 車間距離計測部
114 スロットル開度センサ
115 相対車速計測部
116 エンジン回転数センサ
118 道路勾配計測・推定部
122 車速センサ
123 シフトポジションセンサ
130 制御回路
131 CPU
133 ROM
200 ブレーキ装置
230 ブレーキ制御回路
301 出力軸トルク
301’ 従来の出力軸トルク
302 エンジン回転数
401 必要減速度
402 コーナ
403 コーナの入口
404 コーナの出口
405 コーナR
500 ライン圧
501 係合側クラッチの油圧
501’ 従来の係合側クラッチの油圧
502 次の変速の係合側クラッチの油圧
502’ 従来の次の変速の係合側クラッチの油圧
510 変速段を確保可能な下限圧
601 出力軸トルク
601’ 従来の出力軸トルク
700 ライン圧
701 係合側クラッチの油圧
701’ 従来の係合側クラッチの油圧
710 変速段を確保可能な下限圧
a アクセルオフ地点
c コーナの入口からオフセットされた地点
Vreq 目標旋回車速
L1 ブレーキ制動力信号線
L 制御実施境界線
SG1 ブレーキ制動力信号
SG2 ブレーキ制御信号

Claims (9)

  1. 自動変速機の制御装置であって、
    前記自動変速機の変速の後、所定期間内に次の変速の必要性が生じるか否かを予想する手段を備え、
    前記自動変速機の変速の終了段階では、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記自動変速機の摩擦係合装置への油圧は、ライン圧に基づく油圧よりも低い状態とされ、
    前記所定期間内に次の変速の必要性が生じると予想される場合には、前記所定期間内に次の変速の必要性が生じると予想されない場合に比べて、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置への油圧が低くされている
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 請求項1記載の自動変速機の制御装置において、
    前記摩擦係合装置への油圧は、前記変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置の係合状態を維持するために必要とされる油圧から、前記ライン圧の間に設定されている
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  3. 請求項1記載の自動変速機の制御装置において、
    前記摩擦係合装置への油圧は、前記変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置の回転数差が概ね所定回転数差になるように制御される
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の自動変速機の制御装置において、
    車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることを検出する手段を備え、
    前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出された場合には、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出されない場合に比べて、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置への油圧が低くされている
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  5. 請求項4記載の自動変速機の制御装置において、
    前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出された場合には、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出されない場合に比べて、前記変速の実行に関する取り扱いが変更される
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  6. 請求項5記載の自動変速機の制御装置において、
    前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態には、前記車両がコーナに進入している状態と、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が含まれ、
    前記車両がコーナに進入している状態が検出され、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が検出されない場合には、前記変速が前記終了段階に入る前であれば、前記変速が中止される
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  7. 請求項記載の自動変速機の制御装置において、
    前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態には、前記車両がコーナに進入している状態と、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が含まれ、
    前記車両がコーナに進入している状態及び前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が検出された場合には、前記変速が前記終了段階に入る前と後とを問わず、前記変速が中止される
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  8. 請求項記載の自動変速機の制御装置において、
    前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態には、前記車両がコーナに進入している状態と、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が含まれ、
    前記車両がコーナに進入している状態が検出され、前記車両のタイヤに所定値以上の滑りがある状態が検出されない場合には、前記変速が前記終了段階に入る前と後とを問わず、前記変速が中止される
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
  9. 自動変速機の制御装置であって、
    車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることを検出する手段を備え、
    前記自動変速機の変速の終了段階では、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記自動変速機の摩擦係合装置への油圧は、ライン圧に基づく油圧よりも低い状態とされ、
    前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出された場合には、前記車両の走行状態が車両挙動に影響を与え易い状態であることが検出されない場合に比べて、前記変速の後の変速段を維持するために必要とされる前記摩擦係合装置への油圧が低くされている
    ことを特徴とする自動変速機の制御装置。
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