JP2006330367A - ポジ型感放射線性樹脂組成物、転写フィルムおよびメッキ造形物の製造方法 - Google Patents

ポジ型感放射線性樹脂組成物、転写フィルムおよびメッキ造形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
感度や解像性などに優れるとともに、基板との密着性に優れ、露光後の引き置き耐性に優れ、現像後に開口部に残渣を発生させず、メッキ後のクラック発生を抑制することができるポジ型感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いた転写フィルム、および、バンプや配線などの厚膜のメッキ造形物を精度よく形成することができる製造方法を提供すること。
【解決手段】
本発明に係るポジ型感放射線性樹脂組成物は、(A)酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体、(B)下記一般式(1a)および/または(1b)で表されるポリエーテル樹脂、(C)放射線の照射により酸を発生する成分および(D)有機溶媒を含有することを特徴とする。
【化1】
Figure 2006330367

[式(1a)および(1b)中、nは1以上の整数である。]
【選択図】 なし

Description

本発明は、メッキ造形物の製造に好適なポジ型感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いた転写フィルムおよびメッキ造形物の製造方法に関する。
近年、集積回路素子の微細化に伴い、大規模集積回路(LSI)の高集積化および特定用途に適合させた集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)へ
の移行が急激に進んでいる。そのため、LSIを電子機器に搭載するための多ピン薄膜実装が必要とされ、テープオートメーテッドボンディング(TAB)方式やフリップチップ方式によるベアチップ実装などが採用されてきている。このような多ピン薄膜実装法では、接続用端子として、バンプと呼ばれる高さ10μm以上の突起電極が基板上に高精度に配置されることが必要とされている。
このようなバンプは、通常、以下のような手順で加工されている。まず、LSI素子が加工されたウェハー上に、導電層となるバリアメタルを積層した後、感放射線性樹脂組成物(いわゆるレジスト)を塗布して乾燥する。次いで、バンプを形成する部分が開口するように、マスクを介して放射線を照射(以下「露光」ともいう)した後、現像してパターンを形成する。このパターンを鋳型として、電解メッキにより金や銅などの電極材料を析出させる。次いで、樹脂部分を剥離した後、バリアメタルをエッチングにより除去してバンプを形成する。その後、ウェハーからチップが方形に切り出されて、TABなどのパッケージングやフリップチップなどの実装工程に移っていく。
上記のようなバンプ加工の際に用いられるレジストとしては、従来、保護基を含有するベース樹脂、光酸発生剤および添加剤からなるポジ型感放射線性樹脂組成物(ポジ型化学増幅レジスト)が用いられてきた(たとえば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような従来の組成物からなるレジストは、感度が低く、現像しても、パターン形状が基板面からレジスト表面に向かって先細りした傾斜形状(順テーパー状)となり、垂直な側壁を有するパターンが得られず、解像度や、厚膜のメッキ析出物のマスク寸法に対する忠実性の点でも十分とはいえなかった。また、このような組成物からなるレジストを、所定の方法でパターニングし金メッキすると、熱による膨潤・収縮によりレジスト膜に割れ(クラック)が入りやすいという問題もあった。また、KrF用レジストなどに用いられているようなベース樹脂を用いると、基板との密着不足によるメッキ後の染み出しの原因にもなる。さらに、上記のようなポジ型化学増幅レジストは、そのメカニズムから、露光後の引き置き(Post Exposure Delay:PED)によって、発生した酸
が失活してしまい解像できなくなるという問題もある。
したがって、金メッキ用途のレジストとしては、通常の感度、解像性、剥離性といった要求の他に、基板との密着性が良好であること、メッキ後にクラック発生しないこと、PED耐性を向上させることが求められている。
特開2001−281863号公報(特許文献2)には、ベースとなるノボラック樹脂の他に添加剤としてポリビニルエーテル化合物を含有するポジ型感放射線性樹脂組成物が開示されている。このポリビニルエーテル化合物は、バインダー樹脂として作用し、基板密着性に寄与するだけでなく、レジスト中で可塑剤(バインダーポリマー)として作用するため、金メッキ後のクラック抑制に効果的である。しかしながら、可塑剤自体のアルカ
リ溶解性が低いため、その添加量によっては現像残渣が発生したり、ベース樹脂との相溶性が悪くなったりして塗膜の白化やパターン側壁の荒れの原因となっていた。
特開平10−207067号公報 特開2001−281863号公報
本発明の課題は、感度や解像性などに優れるとともに、基板との密着性に優れ、露光後の引き置き耐性に優れ、現像後に開口部に残渣を発生させず、メッキ後のクラック発生を抑制することができるポジ型感放射線性樹脂組成物、該組成物を用いた転写フィルム、および、バンプや配線などの厚膜のメッキ造形物を精度よく形成することができる製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した。その結果、両末端にメトキシ基を有するポリエーテル樹脂を用いることにより、アルカリ溶解性をある程度保持し、かつ、レジスト中で可塑剤として作用させることができるため、現像後の残渣やベース樹脂との相溶性といった問題を解決できるとともに、露光後の引き置きによって見られる解像不良や形状異常を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明に係るポジ型感放射線性樹脂組成物は、(A)酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体、(B)下記一般式(1a)および/または(1b)で表されるポリエーテル樹脂、(C)放射線の照射により酸を発生する成分、および(D)有機溶媒を含有することを特徴とする。
Figure 2006330367
式(1a)および(1b)中、nは1以上の整数である。
本発明の組成物において、上記重合体(A)は、下記一般式(2)および/または(3)で表される構造単位を有することが好ましく、さらに下記一般式(4)で表される酸解離性官能基を有することが好ましい。
Figure 2006330367
式(2)および(3)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は−(CH2j−(jは0〜3の整数である。)であり、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
であり、mは1〜4の整数である。
Figure 2006330367
式(4)中、R4は水素原子またはメチル基であり、R5〜R7は、それぞれ同一でも異
なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、芳香族基、または、これらの基において少なくとも一つの水素原子を炭化水素基以外の極性基に置換した置換炭化水素基であり、R5〜R7のいずれか2つがアルキル基もしくは置換アルキル基である場合は、そのアルキル鎖が相互に結合して、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基もしくは置換脂環式炭化水素基を形成していてもよい。
本発明の組成物は、メッキ造形物、特にバンプの製造に好適に用いられ、上記成分(A)100重量部に対して、成分(B)が2〜50重量部、成分(C)が0.1〜20重量部の範囲で含まれることが望ましく、さらに、上記成分(A)および(B)以外のアルカリ可溶性樹脂や酸拡散制御剤を含有してもよい。
上記成分(C)は、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムピレンスルホネートおよび4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
本発明に係る転写フィルムは、支持フィルム上に、上記本発明のポジ型感放射線性樹脂
組成物からなる樹脂膜を有することを特徴とし、該樹脂膜の膜厚は20〜100μmであることが好ましい。
本発明に係るメッキ造形物の製造方法は、(1)バリアメタル層を有するウェハー上に、上記本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物からなる樹脂膜を形成する工程、(2)上記樹脂膜を露光した後に現像してパターンを形成する工程、(3)上記パターンを鋳型として、電解メッキにより電極材料を析出させる工程、および(4)残存する樹脂膜を剥離した後、バリアメタル層をエッチングにより除去する工程を含むことを特徴とする。
上記工程(1)における樹脂膜の形成は、上記本発明の転写フィルムの樹脂膜をウェハー上に転写することにより行ってもよい。
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、感度および解像度に優れることから、電解メッキの鋳型となるパターンをマスク寸法に忠実に形成でき、また、電解メッキ段階でも、鋳型となるパターンの形状を正確に転写し、マスク寸法に忠実なメッキ造形物を形成でき、さらに、基板との密着性およびPED耐性に優れるとともに、メッキ中もしくはメッキ後における塗膜のクラック発生を低減することができる。したがって、本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、集積回路素子(たとえば、LCDドライバーIC)におけるバンプまたは配線などの厚膜のメッキ造形物の製造に極めて好適に使用することができる。
以下、本発明に係るポジ型感放射線性樹脂組成物、該組成物からなる樹脂膜を有する転写フィルム、および、これらを用いたメッキ造形物の製造方法について詳細に説明する。
〔ポジ型感放射線性樹脂組成物〕
本発明に係るポジ型感放射線性樹脂組成物は、(A)酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体、(B)下記一般式(1a)および/または(1b)で表される末端変性ポリエーテル樹脂、(C)放射線の照射により酸を発生する成分、(D)有機溶媒および必要に応じてその他の成分を含有する。
<成分(A)>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物を構成する成分(A)は、酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体である。
本発明の組成物は、露光により酸を発生する成分(C)(以下「酸発生剤」ともいう)を含有し、露光により発生した酸と、成分(A)の酸解離性官能基とが反応して酸性官能基および酸解離物質を生じる。このような酸解離性官能基の分解反応は、露光後に加熱(Post Exposure Bake:以下「PEB」ともいう)することにより促進され、その結果、重合体の露光された部分のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大するため、所望のパターンを高感度(すなわち低露光量)かつ高解像度で形成することができる。
上記酸解離性官能基を有する重合体(A)としては、下記一般式(2)および/または(3)で表される構造単位(以下、それぞれ「構造単位(2)」、「構造単位(3)」ともいう)を有することが好ましい。
Figure 2006330367
式(2)および(3)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は−(CH2j−(jは0〜3の整数である。)であり、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
であり、mは1〜4の整数である。
重合体(A)が上記構造単位(2)および/または(3)を含有することにより、レジストの基板密着性を良好にするとともに、メッキ時において、基板とレジストとの界面へのメッキ液のしみ出しを防ぐ効果がある。また、上記構造単位(2)は、そのアミド成分が塗膜中で弱アルカリとして作用するため、環境中にあるアミン成分による酸の失活を抑制する働きがある。さらに、上記構造単位(2)および(3)中に含有される置換基の種類および数を調整することにより、フェノール性水酸基の酸性度を変えることができるので、アルカリ現像液に対するレジストの溶解性を調整できる。
上記構造単位(2)となる単量体(以下「単量体(2’)」という)としては、たとえば、p−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、o−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、m−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、m−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、p−ヒドロキシベンジルアクリルアミド、p−ヒドロキシベンジルメタクリルアミド、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアクリルアミド、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルメタクリルアミド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルアクリルアミド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメタクリルアミド、o−ヒドロキシベンジルアクリルアミド、o−ヒドロキシベンジルメタクリルアミドなどのアミド基含有ビニル化合物が挙げられる。
また、上記構造単位(3)となる単量体(以下「単量体(3’)」という)としては、たとえば、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、o−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、m−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、o−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
上記単量体(2’)および(3’)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記単量体(2’)および(3’)の中では、p−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルアクリルアミド、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジルメタクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート、p−ヒドロキシベンジルメタクリレー
トが好ましい。
上記酸解離性官能基としては、酸により解離して酸性官能基を生成する限り特に限定されず、たとえば、酸により解離してカルボキシル基やフェノール性水酸基を生成する官能基などが挙げられる。好ましい酸解離性官能基としては、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
Figure 2006330367
式(4)中、R4は水素原子またはメチル基であり、R5〜R7は、それぞれ同一でも異
なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、芳香族基、または、これらの基において少なくとも一つの水素原子を炭化水素基以外の極性基に置換した置換炭化水素基であり、R5〜R7のいずれか2つがアルキル基もしくは置換アルキル基である場合は、そのアルキル鎖が相互に結合して、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基もしくは置換脂環式炭化水素基を形成していてもよい。
上記炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基などが挙げられる。
上記炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基、および、上記R5〜R7のいずれか2つのアルキル鎖が相互に結合してそれぞれが結合して形成された炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基としては、たとえば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルキル類;アダマンタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、テトラシクロ[6.2.1.13,6 .02,7]ドデカン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等の有橋式炭化水素類に由来する基;これらのシクロアル
カン類または有橋式炭化水素類に由来する基を、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル 基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−
ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基で置換した基などを挙げることができる。
上記芳香族基としては、たとえば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−クロロフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、ベンジル基などが挙げられる。
上記置換炭化水素基における、水素原子と置換可能な炭化水素基以外の極性基としては、たとえば、ヒドロキシル基;カルボキシル基;オキソ基(=O基);ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基;メトキシ基、エ
トキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシル基;シアノ基;シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等のシアノアルキル基などが挙げられる。
上記式(4)で表される酸解離性官能基は、紫外線照射による酸の発生とそれに続く加熱により分解反応が促進され、酸性官能基および酸解離物質を生成してアルカリ水溶液に対する溶解性が高くなる。この酸解離物質は、1気圧における沸点(以下、単に「沸点」という)が20℃以上であることが好ましく、20℃以下の場合、メッキ造形物を製造する際のパターン形状に悪影響を与えるおそれがある。
一般に、集積回路素子の回路を形成する場合のように、レジスト被膜の厚さが1〜50μm程度であるときには、沸点が20℃を下回るような酸解離物質であっても、PEBの過程でガス成分としてレジスト被膜中を透過してしまうので、酸解離物質はパターン形状に実際上影響を与えない。しかし、バンプなどを製造するときは、レジスト被膜の厚さを50μm以上にしなければならない場合がある。この場合、発生したガス成分が、レジスト被膜内に滞留して大きな気泡を形成し、現像した際にパターン形状が著しく損なわれるおそれがある。そのため、酸解離物質が低沸点、特に沸点が20℃未満の場合は、レジスト被膜の厚さが50μmを超える用途への使用は困難である。
したがって、上記式(4)で表される酸解離性官能基は、重合体(A)から生成する酸解離物質の沸点が20℃以上となるような単量体からなることが好ましい。
このような単量体(以下「単量体(4’)」という)としては、たとえば、t−ブチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−プロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−ブチル(メタ)アクリレート、2−シクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−フェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、2−t−ブトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、2−ベンジルオキシカルボニルエチル(メタ)アクリレート、2−メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−3−オキソブチル(メタ)アクリレート、2−ベンジルプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、上記単量体(4’)としては、酸により解離してフェノール性水酸基を生成する単量体を用いることもできる。具体的には、p−1−メトキシエトキシスチレン、p−1−エトキシエトキシスチレンなどのアセタール基で保護されたヒドロキシスチレン類、t−ブトキシスチレン、t−ブトキシカルボニルオキシスチレンなどが挙げられる。
上記単量体(4’)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記単量体(4’)の中では、1,1−ジメチル−3−オキソブチル(メタ)アクリレートおよび2−ベンジルプロピル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記重合体(A)は、さらに、単量体(2’)、(3’)および(4’)以外の共重合可能な単量体(以下「単量体(I)」という)を共重合させてもよい。
このような単量体(I) としては、たとえば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロ
キシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどの芳香族ビニル化合物;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタムなどのヘテロ原子含有脂環式ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物;
1.3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド基含有ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n
−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。
上記単量体(I)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記単量体(I)の中では、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記樹脂組成物中に含まれる酸解離性官能基の含有率は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されるものではない。
また、上記酸解離性官能基が単量体(4’)に由来する場合、上記重合体(A)に含まれる単量体(4’)に由来する単位と、単量体(2’)、(3’)および(I)に由来する単位の合計との重量比〔単量体(4’)/{単量体(2’)+単量体(3’)+単量体(I)}〕は、通常、5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは20/80〜80/20の範囲である。
単量体(4’)に由来する単位の比率が上記範囲よりも低いと、生成される酸性官能基の割合が低くなるため、得られる重合体のアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターン形成が困難になることがある。
重合体(A)は、たとえば、単量体(2’)および/または(3’)と、単量体(4’)と、必要に応じて単量体(I)とを、直接共重合する方法によって製造することができる。重合はラジカル重合によって行うことができ、重合開始剤としては、有機過酸化物などの通常のラジカル重合開始剤を用いることができる。また、重合方法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などが挙げられるが、特に溶液重合法が好ましい。
また、上記溶液重合法に用いられる溶媒は、使用される単量体成分と反応せず、生成する重合体を溶解するものであれば特に限定されない。具体的には、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
重合体(A)の分子量は、単量体組成、ラジカル重合開始剤、必要に応じて用いられる分子量調節剤、重合温度などの重合条件を適切に選択することにより調節することができる。重合体(A)の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)で、通常、5,000〜200,000、好ましくは7,000〜100,000である。重合体(A)のMwが上記範囲にあることにより、樹脂膜の強度、メッキ耐性、重合体の露光後のアルカリ溶解性などに優れ、微細パターンの形成が容易となる。
なお、重合体(A)が溶液重合法により製造された場合、得られる重合体溶液をそのままポジ型感放射線性樹脂組成物の調製に供してもよく、あるいは、重合体溶液から重合体(A)を分離してポジ型感放射線性樹脂組成物の調製に供してもよい。本発明において、重合体(A)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<成分(B)>
本発明に用いられる末端変性ポリエーテル樹脂(B)は、下記一般式(1a)および/または(1b)で表される重合体もしくはオリゴマーである。
Figure 2006330367
感光性樹脂組成物が、このようなポリエーテル樹脂を含有することにより、良好な形状のパターンを形成することができるとともに、塗膜のクラック発生を低減させることができ、さらに、上記ポリエーテル樹脂が未添加のものと比較して、PED耐性を飛躍的に向上させることができる。また、上記のように両末端が変性されているポリエーテル樹脂を用いることにより、末端が変性されていないポリエーテル樹脂を用いた場合と比較して、現像液に対する溶解性をある程度抑制することで、解像性を維持することができる。
上記末端変性ポリエーテル樹脂(B)は、重合度により室温で流動性を有するものから結晶のものがあり、適宜選択して使用される。したがって、式(1)中のnとしては特に限定されないが、通常1以上の整数、好ましくは1〜30、より好ましくは10〜20である。
上記末端変性ポリエーテル樹脂(B)は、本発明の感光性樹脂組成物中に、成分(A)100重量部に対して、2〜50重量部、好ましくは5〜30重量部、特に好ましくは5〜20重量部の範囲で含有される。成分(B)の含有量が上記範囲よりも低いと、電解メッキの際、または、メッキ後の水洗もしくは乾燥の際に、塗膜中にクラックが発生することがあり、上記範囲を超えると、現像の際、露光部と未露光部のコントラストがとれず、パターン形状が悪化することがある。
<成分(C)>
本発明に用いられる酸発生剤(C)は、露光により酸を発生する化合物である。この発生する酸の作用により、重合体(A)中に存在する酸解離性官能基が解離して、たとえば、カルボキシル基、フェノール性水酸基などの酸性官能基が生成する。その結果、ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成された樹脂膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のパターンを形成することができる。
酸発生剤(C)としては、たとえば、オニウム塩化合物(チオフェニウム塩化合物を含む)、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物などを挙げることができる。
オニウム塩化合物としては、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジア
ゾニウム塩、ピリジニウム塩などが挙げられる。具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムピレンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートが好ましい。
ハロゲン含有化合物としては、たとえば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物、ハロアルキル基含有複素環式化合物などが挙げられる。具体的には、1,10−ジブロモ−n−デカン、1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタンや、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、スチリル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどの(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体が好ましい。
ジアゾケトン化合物としては、たとえば、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物などが挙げられる。具体的には、フェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル化物、フェノール類の1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル化物などが好ましい。
スルホン化物としては、たとえば、β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンや、これらの化合物のα−ジアゾ化合物などが挙げられる。具体的には、4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタンなどが好ましい。
スルホン酸化合物としては、たとえば、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネートなどが挙げられる。具体的には、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、o−ニトロベンジル−p−トルエンスルホネートなどが好ましい。
スルホンイミド化合物としては、たとえば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)−
7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)−7−オキサビシクロ[2.1.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.1.1]ヘプタン−5,6−オキシ−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファ−スルホニルオキシ)ナフチルイミドなどが挙げられる。
ジアゾメタン化合物としては、たとえば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−1,1−ジメチルエチルスルホニルジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタンなどが挙げられる。
上記酸発生剤(C)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記酸発生剤(C)の中では、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムピレンスルホネート、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートがより好ましく、特に、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートが好ましい。
本発明の組成物を調製する際に用いられる酸発生剤(C)の量は、レジストとしての感度、解像性、パターン形状などを確保する観点から、重合体(A)100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部の範囲である。酸発生剤(C)の使用量が上記範囲にあることにより、感度、解像性および放射線に対する透明性に優れたレジストが得られるとともに、優れた形状のパターンが得られる。
<成分(D)>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物は、上記重合体(A)、ポリエーテル樹脂(B)、酸発生剤(C)、後述する他のアルカリ可溶性樹脂および必要に応じて配合される添加剤を均一に混合する目的で、有機溶媒(D)で希釈することができる。
このような有機溶媒としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコール
ジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサンのような環式エーテル類;および2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル類を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶媒(D)の使用量は、樹脂組成物の塗布方法および用途などを考慮し、組成物を均一に混合させることができれば、使用量は特に限定されないが、樹脂組成物の固形分濃度が20〜65重量%の範囲となるような量で用いることが好ましい。固形分濃度が上記範囲よりも低いと、バンプ形成用材料に好適な20μm以上の膜厚を得ることが困難であり、上記範囲を超えると組成物の流動性が著しく悪化して取り扱いが困難になり、均一な樹脂膜が得られにくい傾向にある。
<他のアルカリ可溶性樹脂>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、必要に応じて、上記成分(A)および(B)以外のアルカリ可溶性樹脂(以下「他のアルカリ可溶性樹脂(E)」という)を添加することができる。
本発明で用いることができる他のアルカリ可溶性樹脂(E)は、アルカリ現像液と親和性を示す官能基、たとえば、フェノール性水酸基やカルボキシル基などの酸性官能基を1種以上有し、アルカリ現像液に可溶な樹脂である。このようなアルカリ可溶性樹脂を添加することにより、ポジ型感放射線性樹脂組成物から形成した樹脂膜のアルカリ現像液への溶解速度の制御がより容易となるので、現像性をさらに向上することができる。
他のアルカリ可溶性樹脂(E)は、アルカリ現像液に可溶である限り特に限定されず、たとえば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、p−ビニル安息香酸、p−カルボキシメチルスチレン、p−カルボキシメトキシスチレンや、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸 メサコン酸、ケイ皮酸などの酸性官能基を有する少なくとも1種の単量体を重合して得られる付加重合系樹脂、およびノボラック樹脂に代表される酸性官能基を有する重縮合系樹脂などが挙げられる。
上記付加重合系樹脂は、上記酸性官能基を有する単量体の重合性不飽和結合が開裂した繰返し単位のみから構成されていてもよく、生成した樹脂がアルカリ現像液に可溶である限り、1種以上の他の繰返し単位をさらに含有してもよい。
上記他の繰返し単位としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、無水マレイン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル、メサコンニトリル、シトラコンニトリル、イタコンニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、マレインアミド、フマルアミド、メサコンアミド、シトラコンアミド、イタコンアミド、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニ
ルアニリン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾールなどから導かれる単位が挙げられる。
上記付加重合系樹脂としては、樹脂膜としたときの放射線の透過性が高く、またドライエッチング耐性にも優れるという観点から、特に、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、p−イソプロペニルフェノールの共重合体が好ましい。
上記付加重合系樹脂の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常、1,000〜200,000、好ましくは5,000〜70,000である。
上記重縮合系樹脂は、酸性官能基を有する縮合系繰返し単位のみから構成されていてもよく、生成した樹脂がアルカリ現像液に可溶である限り、他の縮合系繰返し単位をさらに含有してもよい。
このような重縮合系樹脂は、たとえば、1種以上のフェノール類と1種以上のアルデヒド類とを、必要に応じて他の縮合系繰返し単位を形成しうる重縮合成分とともに、酸性触媒または塩基性触媒の存在下、水媒質中または水と親水性溶媒との混合媒質中で(共)重縮合することによって製造することができる。
上記フェノール類としては、たとえば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノールなどが挙げられる。また、上記アルデヒド類としては、たとえば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒドなどが挙げられる。
上記重縮合系樹脂の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常、1,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000である。
これらの他のアルカリ可溶性樹脂(E)は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記他のアルカリ可溶性樹脂(E)の使用量は、重合体(A)100重量部に対して、通常、200重量部以下である。
<酸拡散制御剤>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、酸発生剤(C)から発生する酸の樹脂膜中における拡散を制御し、未露光部における好ましくない化学反応を抑制するために、酸拡散制御剤を配合することが好ましい。このような酸拡散制御剤を使用することにより、組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上するとともに、露光からPEBまでの引き置き時間の変動によるパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れる。
このような酸拡散制御剤としては、メッキ造形物の製造工程における露光や加熱により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
上記含窒素有機化合物としては、たとえば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、イミダゾール、
ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、8−オキシキノリン、アクリジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、2,4,6−トリ(2−ピリジル)−S−トリアジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。これらの中では、特に2,4,6−トリ(2−ピリジル)−s−トリアジンが好ましい。上記酸拡散制御剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸拡散制御剤の使用量は、重合体(A)100重量部に対して、通常、15重量部以下、好ましくは0.001〜10重量部、さらに好ましくは0.005〜5重量部である。酸拡散制御剤の使用量が上記範囲内にあることにより、感度、現像性、パターン形状および寸法忠実度に優れたレジストが得られる。
<界面活性剤>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物には、塗布性、現像性などを改良するために界面活性剤を添加してもよい。
このような界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレートなどが挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記界面活性剤の使用量は、上記重合体(A)100重量部に対して、通常、2重量部以下である。
<他の添加剤>
本発明のポジ型感放射線性樹脂組成物に配合可能な他の添加剤としては、たとえば、紫外線吸収剤、増感剤、分散剤、可塑剤、保存安定性を高めるための熱重合禁止剤、酸化防止剤などが挙げられる。中でも紫外線吸収剤は、露光時の散乱光の未露光部への回り込みによる光反応を阻止する作用があることから有用である。このような紫外線吸収剤としては、露光に使用される紫外線の波長域で、高い吸光係数を有する化合物が好ましい。また、有機顔料も同様の目的に使用することができる。
〔転写フィルム〕
本発明に係る転写フィルムは、支持フィルム上に上記ポジ型感放射線性樹脂組成物からなる樹脂膜を有する。このような転写フィルムは、支持フィルム上に上記組成物を塗布して乾燥することにより作製することができる。
上記組成物を塗布する方法としては、たとえば、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷、アプリケーター法などが挙げられる。また、支持フィルムの材料は、転写フィルムの作製および使用に耐えうる強度を有する限り、特に限定されるものではない。
上記転写フィルムは、樹脂膜の厚みを10〜100μmとして用いることができる。本発明の転写フィルムは、支持フィルムを剥離してポジ型感放射線性樹脂膜とすることができる。上記樹脂膜は、本発明の組成物と同様に、後述するメッキ造形物の製造に使用することができる。
〔メッキ造形物の製造方法〕
本発明に係るメッキ造形物の製造方法は、
(1)バリアメタル層を有するウェハー上に、上記のポジ型感放射線性樹脂組成物からなる樹脂膜を形成する工程、
(2)上記樹脂膜を露光した後に現像してパターンを形成する工程、
(3)上記パターンを鋳型として、電解メッキにより電極材料を析出させる工程、および(4)残存する樹脂膜を剥離した後、バリアメタル層をエッチングにより除去する工程
を含むことを特徴とする。
<感放射線性樹脂膜の形成>
上記感放射線性樹脂組成物を所定の基材、特に電子部品の基板に塗布し、乾燥(加熱または減圧などにより溶媒を除去)することによって、膜厚5〜60μm、好ましくは10〜30μmの感放射線性樹脂膜(レジスト膜)を形成する。レジスト膜の膜厚が上記範囲よりも小さいと、メッキ後に形成されるバンプの厚さが不足する場合があり、上記範囲を超えると均質な樹脂膜を形成することが難しくなる傾向にある。なお、予め本発明の感放射線性樹脂組成物から形成したドライフィルム状のレジスト膜を有する上記転写フィルム用いて、転写等により基板上にレジスト膜を形成してもよい。この方法により製造工程を簡略化することができる。
感放射線性樹脂組成物の基板上への塗布方法としては、たとえば、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などの方法を採用することができる。上記のようにして感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して形成された塗膜を乾燥(プレベーク)する際の条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗膜の厚みなどによって異なるが、通常は70〜140℃、好ましくは100〜120℃で5〜60分間程度である。プレベーク時間が短すぎると、現像時の密着状態が悪くなり、また、長すぎると現像時、露光部の溶解性が悪くなり、解像度の低下を招く傾向にある。
<放射線照射(露光)>
得られたレジスト膜に所定のパターンのマスクを介して、波長が300〜500nmの紫外線または可視光線を照射することにより、バンプを形成するパターン部分のみ露光させる。これらの放射線の線源として、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザーなどを用いることができる。ここで放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線などを意味する。放射線照射量は、組成物中の各成分の種類、配合量、塗膜の膜厚などによって異なるが、たとえば、超高圧水銀灯使用の場合、100〜3,000mJ/cm2である。
<PEB>
放射線照射後、上記レジスト膜中の酸解離性官能基の酸による分解反応を促すため、基板を加熱処理(PEB)する。加熱する際の条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗膜の厚みなどによって異なるが、通常は80〜140℃、好ましくは90〜120℃で5〜60分間程度である。
<現像>
上記PEB後、現像液としてアルカリ性水溶液を用いて現像することにより、放射線を照射した不要な部分を溶解して除去し、放射線未照射部分のみ残存させて所望のレジストパターンを形成する。現像方法としては、特に限定されず、たとえば、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー法などが挙げられる。
現像液としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒ
ドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を、現像液として使用することもできる。
本発明におけるアルカリ可溶性とは、上記アルカリ性水溶液、たとえば、水酸化ナトリウムの5%水溶液に溶解可能なことを意味する。
現像時間は、組成物各成分の種類、配合割合、組成物の乾燥膜厚によって異なるが、通常1〜30分間である。現像後は、たとえば、流水洗浄を30〜90秒間行ない、エアーガンなどを用いて風乾、あるいは、オーブン中またはスピンドライで乾燥させることが好ましい。
<電解メッキ>
現像によりパターニングした基板を、電解メッキ用の各種メッキ液を用いて、メッキ推奨条件と同じ温度と時間で浸漬して電解メッキを行い、上記レジストパターンを鋳型とするメッキパターンを形成させる。上記メッキ液は金メッキ液、半田メッキ液、銅メッキ液、銀メッキ液などのいずれのメッキ液でもよい。
<剥離処理>
電解メッキ後、基板を、室温〜80℃にて攪拌中の剥離液に1〜10分間浸漬することによって、基板上に残存するレジストパターン(未露光部分)を剥離することができる。これにより、突起状となったメッキパターン(バンプ)が得られる。
上記剥離液としては、たとえば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサンのような環式エーテル類;および2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル類などが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
上記のような工程を経ることにより、基板上に高精度で狭ピッチのバンプを形成することができる。
<リフロー工程>
バンプが半田バンプの場合は、さらにリフロー工程を経て、球状のバンプを形成する。具体的には、レジスト剥離後、基板を、室温〜500℃のリフロー炉内に1〜60分間流すことによって、基板上に形成した半田バンプを過熱溶融し、球状となった半田メッキパターン(バンプ)が得られる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」および「%」は、特記しない限り重量基準である。
<合成例1> 重合体(A)の調製
p−ヒドロキシフェニルメタクリレート20g、p−イソプロペニルフェノール18g、イソボロニルアクリレート10g、ベンジルアクリレート20g、およびt−ブチルアクリレート32gを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150gと混合して攪拌し、均一溶液とした。この溶液を30分間窒素ガスによりバブリングした後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3gを添加し、窒素ガスによるバブリングを継続しつつ、反応温度を70℃に維持して3時間重合した。その後、さらにAIBN1gを添加して3時間重合し、次いで反応温度を100℃に維持して1時間反応させた。重合終了後、反応溶液を多量のヘキサンと混合し、生成した重合体を凝固させた。次いで、重合体をテトラヒドロフランに再溶解した後、再度ヘキサンにより凝固させる操作を数回繰り返して未反応モノマーを除去し、減圧下50℃で乾燥して白色の重合体(A1)を得た。
〔実施例1〕
<樹脂組成物の調製>
上記合成例1で得られた重合体(A1)100重量部と、ポリエーテル樹脂(B1)として、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(日本油脂(株)製「MM−500」、平均分子量500)5重量部と、酸発生剤(C1)として4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート3重量部と、酸拡散制御剤(F1)として2,4,6−トリ(2−ピリジル)−S−トリアジン0.04重量部とを、有機溶媒(D1)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150重量部に溶解した後、孔径3μmのテフロン(R)製メンブレンフィルターでろ過して樹脂組成物を調製した。
<金スパッタ基板の作製>
直径4インチのシリコンウエハ基板上に、クロムを厚さが約500Åとなるようにスパッタリングした後、その上に金を厚さが1,000Åとなるようにスパッタリングして、導電層を形成した。以下、この導電層を形成した基板を「金スパッタ基板」という。
<パターンの形成>
上記金スパッタ基板に、得られた樹脂組成物をスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレート上にて、120℃で5分間加熱して、厚さ25μmの樹脂膜を形成した。次いで、パターンマスクを介し、超高圧水銀灯(OSRAM社製「HBO」、出力1,000W)を用いて、300〜1500mJ/cm2の紫外光を照射した。露光量は、照度計
((株)オーク製作所製「UV−M10」(照度計)にプローブ「UV−35」(受光器)をつないだもの)により確認した。露光後、ホットプレート上にて、100℃で5分間PEBを行った。次いで、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、室温で1〜5分間浸漬して現像した後、流水洗浄し、窒素ブローしてパターンを形成した。以下、このパターンを形成した基板を「パターニング基板」という。
<メッキ造形物の形成>
上記パターニング基板に対して、電解メッキの前処理として、酸素プラズマによるアッシング処理(出力100W、酸素流量100ミリリットル、処理時間1分)を行って、親水化処理を行った。次いで、この基板をシアン金メッキ液(日本エレクトロプレイティングエンジニヤース(株)製「テンペレックス401」)1リットル中に浸漬し、メッキ浴
温度42℃、電流密度0.6A/dm2に設定して、約60分間電解メッキを行い、厚さ
15〜18μmのバンプ用メッキ造形物を形成した。次いで、流水洗浄し、窒素ガスにてブローして乾燥した後、室温にて、N−メチルピロリドン中に10分間浸漬して、樹脂膜部分を剥離し、さらに基板上のメッキ造形物を形成した領域以外の導電層をウエットエッチングにより除去することにより、メッキ造形物を有する基板を得た。以下、このメッキ造形物を有する基板を「メッキ基板」という。
<評価>
(1)感度
金スパッタ基板に、マスク設計寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したとき、抜きパターンの底部の寸法が30μmになる露光量を最適露光量とし、この最適露光量より評価した。
(2)解像度
マスク設計寸法で40μmピッチの2種のパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン、32μm幅抜きパターン/8μm幅残しパターン)を別々に形成した2枚のパターニング基板を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察し、下記の基準で評価した。
○:32μm幅抜きパターン/8μm幅残しパターンが解像できる。
△:30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターンは解像できるが、32μm幅抜きパターン/8μm幅残しパターンは解像できない。
×:40μmピッチのパターンが解像できない、または再現性よく解像できない。
(3)クラック耐性
パターニング基板に対して、上記メッキ造形物の形状と同様にして、バンプ用メッキ造形物を形成した後、流水洗浄し、窒素ガスにてブローして乾燥した基板(樹脂膜部分を剥離していない基板)を、室温23℃および湿度約45%に保持したクリーンルーム内に放置して、3時間後および24時間後に、光学顕微鏡にて基板表面を観察し、下記の基準で評価した。ここで、「残しパターン」は、レジストパターンに相当するものである。
○:24時間後も、残しパターン中にクラックが発生しない。
△:3時間後は、残しパターン中にクラックが発生しないが、24時間後に、残しパターン中にクラックが発生する。
×:3時間後に、残しパターン中にクラックが発生する。
(4)パターンの寸法忠実性
マスク寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したパターニング基板を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察し、抜きパターンの頂部寸法(Wt)と底部寸法(Wb)を測定して、マスク寸法(30μm)に対するパターンの寸法忠実性を評価した。
(5)メッキの形状(A)
マスク寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したパターニング基板を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察し、下記の基準で評価した。
○:メッキの形状が、樹脂膜から形成されたパターン形状を忠実に転写しており、こぶ状の異常突出は認められない。
×:メッキの形状が、樹脂膜から形成されたパターン形状を忠実に転写せず、こぶ状の異常突出が認められる。
(6)メッキの形状(B)
マスク寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したパターニング基板を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察し、下記の基準で評価した。
○:メッキ底部の形状が、樹脂膜から形成されたパターン形状を忠実に転写しており、パターン底部にメッキが染み出した形跡が見られない。
×:メッキ底部の形状が、樹脂膜から形成されたパターン形状を忠実に転写せず、パターン底部にメッキが染み出した形跡が見られる。
(7)メッキの寸法忠実性
マスク寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したパターニング基板にメッキ造形物を形成したメッキ基板を、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察し、メッキ部分の頂部寸法(Wt)と底部寸法(Wb)を測定して、マスク寸法(30μm)に対するメッキの寸法忠実性を評価した。
(8)PED耐性
最適感度で露光して所定の時間引き置いた後、PEBして現像し、マスク寸法で40μmピッチのパターン(30μm幅抜きパターン/10μm幅残しパターン)を形成したパターニング基板を光学顕微鏡で観察し、以下の基準で評価した。
○:露光後48時間引き置いた後も解像する。
△:露光後24時間引き置いた後は解像可能だが、48時間後は解像不良となる。
×:露光後24時間引き置いた後、解像不良となる。
上記評価結果を表2に示す。
〔実施例2〜9〕
表1に記載されている各組成で、実施例1と同様に樹脂組成物を調製し、パターンの形成、メッキ造形物の形成を行い、評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、樹脂(B2)はポリエチレングリコールジメチルエーテル(日本油脂(株)製「MM−1000」、平均分子量1000)であり、樹脂(B3)はポリプロピレングリコールジメチルエーテル(日本油脂(株)製「DM−18」、平均分子量2000)である。
〔比較例1〜3〕
表1に記載されている各組成で、実施例1と同様に樹脂組成物を調製し、パターンの形成、メッキ造形物の形成を行い、評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、樹脂(B4)はポリビニルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)である。
Figure 2006330367
Figure 2006330367

Claims (13)

  1. (A)酸により解離して酸性官能基を生じる酸解離性官能基を有する重合体、
    (B)下記一般式(1a)および/または(1b)で表されるポリエーテル樹脂、
    (C)放射線の照射により酸を発生する成分、および
    (D)有機溶媒
    を含有することを特徴とするポジ型感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2006330367
    [式(1a)および(1b)中、nは1以上の整数である。]
  2. 上記重合体(A)が、下記一般式(2)および/または(3)で表される構造単位を有することを特徴とする請求項1に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2006330367
    [式(2)および(3)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は−(CH2j−(jは0〜3の整数である。)であり、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基
    であり、mは1〜4の整数である。]
  3. 上記重合体(A)の酸解離性官能基が下記一般式(4)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
    Figure 2006330367
    [式(4)中、R4は水素原子またはメチル基であり、R5〜R7は、それぞれ同一でも異
    なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基、芳香族基、または、これらの基において少なくとも一つの水素原子を炭化水素基以外の極性基に置換した置換炭化水素基であり、R5〜R7のいずれか2つがアルキル基もしくは置換アルキル基である場合は、そのアルキル鎖が相互に結合して、炭素数4〜20の脂環式炭化水素基もしくは置換脂環式炭化水素基を形成していてもよい。]
  4. 上記ポジ型感放射線性樹脂組成物がメッキ造形物製造用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  5. 上記メッキ造形物がバンプであることを特徴とする請求項4に記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  6. 上記成分(A)100重量部に対して、成分(B)が2〜50重量部、成分(C)が0.1〜20重量部の範囲で含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  7. 上記重合体(A)および成分(B)以外のアルカリ可溶性樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  8. 酸拡散制御剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  9. 上記成分(C)が、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムピレンスルホネートおよび4,7−ジ−n−ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物。
  10. 支持フィルム上に、請求項1〜9のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物からなる樹脂膜を有することを特徴とする転写フィルム。
  11. 上記樹脂膜の膜厚が20〜100μmであることを特徴とする請求項10に記載の転写フィルム。
  12. (1)バリアメタル層を有するウェハー上に、請求項1〜9のいずれかに記載のポジ型感放射線性樹脂組成物からなる樹脂膜を形成する工程、
    (2)上記樹脂膜を露光した後に現像してパターンを形成する工程、
    (3)上記パターンを鋳型として、電解メッキにより電極材料を析出させる工程、および(4)残存する樹脂膜を剥離した後、バリアメタル層をエッチングにより除去する工程
    を含むことを特徴とするメッキ造形物の製造方法。
  13. 上記工程(1)における樹脂膜の形成が、請求項10または11に記載の転写フィルムの樹脂膜をウェハー上に転写することにより行われることを特徴とする請求項13に記載のメッキ造形物の製造方法。
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