JP2006329342A - 粘性流体封入ダンパー及び振動減衰装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 攪拌筒部12の底部12b側と軸部5bの先端5i側とに接合部を設ける。そして、収容凹部13の開口端13c側の内周面13bと軸部5bの外周面5gとを接離自在な非拘束部としている。このため、取付シャフト5が収容凹部13内で滑ることや抜けることがない。また、収容凹部13の開口端13c側が柔軟に変形し、可撓部3の破れが起こらないので、十分な振動減衰効果が得られる。
【選択図】 図1
Description
また本発明では、収容凹部の開口端側の内周面と軸部の外周面とを接離自在な非拘束部としている。このため、軸心方向に大きな振幅の振動が加わった場合でも、非拘束部において収容凹部の開口端側の攪拌筒部が柔軟に変形し、収容凹部の開口端側周辺の可撓部の厚みが収容凹部の開口端側の攪拌筒部の厚みと比べて薄く伸ばされない。よって可撓部の破れが起こらない。
また、本発明によれば、接合部が粘性流体と全く接触しない構造となる。このため粘性流体が攪拌筒部を通じて外部に漏れ出すことはない。
また、本発明では、粘性流体封入ダンパーと圧縮コイルばねとが一体化しており、一部品として取扱うことができる。このため、本発明であれば、筐体とメカニカルシャーシとの間に従来技術で説明した吊下げばねのような、別途のばねを組み付ける必要がない。よって、ディスク装置への組付けが容易であり、部品点数を削減できる。
また、本発明では、粘性流体封入ダンパーと引張コイルばねとが一体化しており、一部品として取扱うことができる。このため、本発明であれば、筐体とメカニカルシャーシとの間に従来技術で説明した吊下げばねのような、別途のばねを組み付ける必要がない。よって、ディスク装置への組付けが容易であり、部品点数を削減できる。
本実施形態の粘性流体封入ダンパー15は、密閉容器2に粘性流体10を封入した概略構成である。密閉容器2は、硬質樹脂でなる筒状の周壁部11、周壁部11の図中上端開口を閉塞するゴム状弾性体でなる可撓部3、周壁部11の図中下端開口を閉塞する蓋部6に加えて、取付シャフト5を一体に備える構成とされている。
このうち、軸部5bの先端は、前述の攪拌筒部12の底部12bにおける硬質樹脂部12cと固定されている。すなわち、軸部5bと硬質樹脂部12cとの固定部分が接合部16を形成している。このため本実施形態では、その接合部16においてのみ、取付シャフト5と攪拌筒部12とが固定(拘束)されており、それ以外の部分では固定(拘束)されない「非拘束部」となっている。
軸部5bと軸部5bを収容する収容凹部13はともに、軸心方向に沿って等径であり、軸部5bの断面積は硬質樹脂部12cよりも小さい。よって、軸部5bを収容凹部13と軸合わせして硬質樹脂部12cに接合すれば、軸部5bと収容凹部13との間には実質的に同心円状の隙間が形成される。このため、軸部5bと収容凹部13とが、出来るだけ擦れないようにして収容凹部13が破断する不都合がないようにされている。
軸部5bの長さは、その先端を硬質樹脂部12cに対し固定した状態で、その反対側の端部が、収容凹部13の上端開口から突出する程度の全長となっており、隔壁部5cはその突出する端部に形成されている。つまり、隔壁部5cと可撓部2との間には隙間が形成され、ほとんど相互に接触しないようになっている。
取付部5dは、前述のように、二分割した一対の矢尻形状の係止片5eにて構成されている。各係止片5eは、筐体7(支持体)又はメカニカルシャーシ4(被支持体)に形成された係止孔4a,7aを通じてそれらの板面に対し係止するようになっている。この係止に機能する段部5fと、段部5fと対向する前述の隔壁部5cとの間隔は、ちょうど筐体7又はメカニカルシャーシ4の板厚と略同じとされている。
なお、異材質であっても超音波融着可能であったり、同材質であっても超音波融着不能であることも、場合によっては想定され得る。したがって、超音波融着により接合面16aとして超音波融着面を形成する場合には、材質の異同に拘わらず、超音波融着可能な材質にて取付シャフト5と硬質樹脂部12cとを形成することになる。
また、攪拌筒部12を出来るだけ周壁部11の軸心方向に沿わせることができることから、攪拌筒部12と連続する可撓部3も変形せず、自然な状態とされている。このため、全方向で理想的な弾性変形が可能となり、振動減衰効果を適切に発揮できる。
なお、この場合には次善の策として、滑材を塗布しておくことで、接触部分の破断のおそれを回避することも可能である。
また、例えば図3で示すように、取付シャフト5の先端に位置決め突起5hを形成し、硬質樹脂部12cにそれと係合する位置決め凹部12dを形成することで、軸合わせを容易に行える構成することもできる。もちろん、取付シャフト5に位置決め凹部を形成し、硬質樹脂部12cに位置決め突起を形成することもできる。
第2実施形態の粘性流体封入ダンパー18が、第1実施形態の粘性流体封入ダンパー15と相違する点は、第1に取付シャフト5の構造であり、第2に取付シャフト5と攪拌筒部12との接合部16の接合構造である。残余の構成は第1実施形態と同様であるから、重複説明を省略する。
このような取付シャフト5の軸部5bと攪拌筒部12との接合を得る製造方法としては、取付シャフト5に対して攪拌筒部12を二色成形すればよい。すなわち、二色成形金型を用いて取付シャフト5の軸部5bを射出成形により得てから、可撓部3を射出成形することで、上記のように軸部5bと攪拌筒部12とを成形接合する。そして、軸部5bの連結突起を、別途成形して得た隔壁部5cの連結凹部に差し込み、両者を接着剤にて一体に連結する。
第3実施形態の粘性流体封入ダンパー19は、前述の第2実施形態の粘性流体封入ダンパー18と比較すると、攪拌筒部12の底部12b側と軸部5の先端5i側との接合部16の構造が異なっている。残余の構成は第2実施形態と同様であるから重複説明を省略する。
また、接合部16は粘性流体10と接触しない。このため接合部16に小さな未接着部分があってもその部分から粘性流体10が漏れ出すことを防げる。
なお、本実施形態の粘性流体封入ダンパー19においても、第2実施形態と同様に、攪拌筒部12の開口端側が、第2実施形態と同様に断面L字状の屈曲部分を支点として展開する。このため、接着剤による接合部16に対して直接的に剥離する力が作用せず、接合部16の耐久性を第1実施形態よりも高めることができる。
第4実施形態の粘性流体封入ダンパー20は、前述の第1実施形態の粘性流体封入ダンパー15の変形形態である。本実施形態の粘性流体封入ダンパー20は、第1実施形態と比較すると、第1に、取付シャフト5の軸直方向で突出する隔壁部5cを、被支持部材となるメカニカルシャーシ4のコーナー形状と合致するように屈曲部分を介して延長し、その上端部に引張コイルばね25を固定する取付部5kを設けた点で相違している。第2に、攪拌筒部12の底部12bの全体に硬質樹脂部12cを二色成形で設ける構造も相違している。
また、攪拌筒部12の底部12bの全体が硬質樹脂部12cであるため、大きな軸心方向の振幅によって攪拌筒部12の底部12bが蓋部6に接触したとしても、攪拌筒部12の底部12bが破れることがなく、耐久性、信頼性が高く、高品質な粘性流体封入ダンパー20とすることができる。
次に、前述した実施形態の粘性流体封入ダンパーと、従来例で示したコイルばねとを一体化しモジュール構成とした振動減衰装置に関する実施形態の例を説明する。なお、振動減衰装置に備える粘性流体封入ダンパーについては、前述の第1実施形態を一部変更したものを代表例として説明するが、第1実施形態以外の粘性流体封入ダンパーに同様の変更を加えて後述の各振動減衰装置として構成することも、もちろん可能である。
第1実施形態の振動減衰装置21は、粘性流体封入ダンパー22と、圧縮コイルばね23とを備えて構成される。
第1に、第1実施形態における取付シャフト5の隔壁部5cを、さらに外向きに角板状に突出させた突出部5mとして構成している。よって、この突出部5mは、隔壁部として機能するほか、後述の圧縮コイルばね23の付勢を受ける部分としても機能する。
第2に、本実施形態の粘性流体封入ダンパー22では、密閉容器2の周壁部11に、外向きに大きく円環状に突出する突出部11aを設けた構成としている。
また、振動減衰装置21は、粘性流体封入ダンパー22と圧縮コイルばね23とを合わせたモジュールとして構成している。このため、従来例のように別途ばねを組み付ける必要を無くすことができるため、ディスク装置24をアッセンブリし易くすることができる(図9)。
第2実施形態の振動減衰装置25は、粘性流体封入ダンパー26と、引張コイルばね27とを備えて構成される。
第1に、第1実施形態における取付シャフト5の隔壁部5cを、さらに外向きに円板状に突出させた突出部5nとして構成している。
第2に、蓋部6に、周壁部11の筒軸方向に突出する円筒状の突出部6bを設けた構成とした点である。
また、振動減衰装置25は、粘性流体封入ダンパー26と引張コイルばね27とを一体に合わせたモジュールとして構成している。このため、ディスク装置28に第2実施形態の振動減衰装置25を組み付けると、従来例のように別途ばねを組み付ける必要を無くすことができるため、ディスク装置28をアッセンブリし易くすることができる(図11)。
第3実施形態の振動減衰装置29は、粘性流体封入ダンパー30と、引張コイルばね31とを備えて構成される。
第1に、取付シャフト5の隔壁部5cに、断面L字状の取付突起5pを突設するとともに、引張コイルばね31の一端を固定する取付部5rを設けた点である。
第2に、蓋部6に、断面L字状の取付突起6cを突設するとともに、引張コイルばね31の他端を固定する取付突起6dを設けた点である。
また、振動減衰装置29は、粘性流体封入ダンパー30と引張コイルばね31とを合わせたモジュール構成としている。このため、ディスク装置32に振動減衰装置29を組み付けると、従来例のように別途ばねを組み付ける必要を無くすことができるため、ディスク装置32をアッセンブリし易くすることができる(図13)。
次に、以上の実施形態の変形例について説明する。
粘性流体封入ダンパーの第2実施形態では、取付シャフト5を軸部5bと、取付部5d及び隔壁部5cとを別体として構成したが、第2実施形態以外の粘性流体封入ダンパーおよび各振動減衰装置の粘性流体封入ダンパーの取付シャフトについても、そのような構造で実施できる。
すなわち、取付具4bには、メカニカルシャーシ4に形成した係止孔4aを通って孔縁に係止する一対の矢尻形状の係止片4cと、取付シャフト5の端部を固定する爪部4dを突設した係合部4eとを形成してある。そして、取付シャフト5の端部の外周面には、爪部4dと係合する係合凹部5sが形成されている。したがって、取付シャフト5を係合部4eに差し込ませると、爪部4dが係合凹部5sと係合して、粘性流体封入ダンパーがメカニカルシャーシ4に対して固定されることとなる。
なお、図14では、メカニカルシャーシ4に対して取付シャフト5を固定する例を示したが、筐体7に同様の取付具を設け、これに取付シャフト5を固定するようにしてもよい。
2 密閉容器
3 可撓部
4 メカニカルシャーシ
4a 係止孔
4b 取付具
4c 係止片
4d 爪部
4e 係合部
5 取付シャフト
5a 係合頭部
5b 軸部
5c 隔壁部
5d 取付部
5e 係止片
5f 段部
5g 外周面
5h 位置決め突起
5i 先端
5k 取付部
5m 突出部
5n 突出部
5p 取付突起
5r 取付部
5s 係合凹部
6 蓋部
6a ねじ孔
6b 突出部
6c 取付突起
6d 取付突起
7 筐体
7a 係止孔
8 吊下げばね
9 ディスク装置
10 粘性流体
11 周壁部
11a 突出部
12 攪拌筒部
12a 筒状部
12b 底部
12c 硬質樹脂部
12d 位置決め凹部
12e 接合面
13 収容凹部
13a 底部
13b 内周面
13c 開口端
14 粘性流体封入ダンパー(第2従来例)
15 粘性流体封入ダンパー(第1実施形態)
16 接合部
16a 接合面
17 非拘束部
18 粘性流体封入ダンパー(第2実施形態)
19 粘性流体封入ダンパー(第3実施形態)
20 粘性流体封入ダンパー(第4実施形態)
21 振動減衰装置(第1実施形態)
22 粘性流体封入ダンパー
23 圧縮コイルばね
24 ディスク装置
25 振動減衰装置(第2実施形態)
26 粘性流体封入ダンパー
27 引張コイルばね
28 ディスク装置
29 振動減衰装置(第3実施形態)
30 粘性流体封入ダンパー
31 引張コイルばね
32 ディスク装置
N 取付けねじ
Claims (8)
- 収容凹部を形成した攪拌筒部を有し、内部に粘性流体を封入した密閉容器と、
該収容凹部に収容される軸部および収容凹部の開口端から外部に突出して支持体又は被支持体の何れか一方に取付ける取付部とを形成した取付シャフトと、を備えており、該支持体又は被支持体の振動を、攪拌筒部により攪拌される粘性流体の粘性抵抗によって減衰させる粘性流体封入ダンパーにおいて、
該攪拌筒部の底部側と軸部の先端側とに接合部を設け、収容凹部の開口端側の内周面と軸部の外周面とを接離自在な非拘束部としたことを特徴とする粘性流体封入ダンパー。 - 攪拌筒部の底部における取付シャフトの先端面との対向位置に硬質樹脂部を設け、
前記接合部として、取付シャフトの先端面と該硬質樹脂部とを接合した請求項1記載の粘性流体封入ダンパー。 - 前記接合部として、攪拌筒部の底部を取付シャフトの先端側外周面に対し接合した請求項1記載の粘性流体封入ダンパー。
- 前記接合部として、取付シャフトの先端側を攪拌筒部の底部に対し埋没状態で接合した請求項1記載の粘性流体封入ダンパー。
- 取付シャフトの軸部と取付部との間に、取付シャフトの軸交差方向に突出する隔壁部を形成した請求項1〜請求項4何れか1項記載の粘性流体封入ダンパー。
- 密閉容器を、筒状の周壁部と、該周壁部の筒軸方向に沿って前記攪拌筒部を有するとともに該周壁部の一端側を閉塞するゴム状弾性体でなる可撓部と、該周壁部の他端側を閉塞する蓋部とで形成してなる請求項1〜請求項5何れか1項記載の粘性流体封入ダンパー。
- 請求項1〜請求項6何れか1項記載の粘性流体封入ダンパーを備える振動減衰装置であって、前記粘性流体封入ダンパーの取付シャフトと密閉容器に、外向きに突出する突出部をそれぞれ設けるとともに、該突出部の間に、被支持体の荷重を支持する圧縮コイルばねを粘性流体封入ダンパーと同心状に設けた振動減衰装置。
- 請求項1〜請求項6何れか1項記載の粘性流体封入ダンパーを備える振動減衰装置であって、一端側が前記粘性流体封入ダンパーの取付シャフトに対し固定され、他端側が密閉容器に対し固定されて、被支持体の荷重によって攪拌筒部が変位しないように被支持体の荷重が加わる取付シャフトを吊下げ支持する引張コイルばねを設けた振動減衰装置。
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