JP2006328416A - ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂とその製造法および電子写真感光体ならびにコーティング材 - Google Patents

ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂とその製造法および電子写真感光体ならびにコーティング材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐汚染性と耐摩耗性に優れた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂とその製造方法、ならびにこの共重合樹脂を用いた耐汚染性と耐久性に優れた電子写真感光体や導電性ゴムロール用コーティング材、導電性ゴムロール、フィルム、シートなどを提供する。
【解決手段】ポリカーボネート単位とシロキサン単位を有する共重合体であって、該シロキサン単位の部位において、他の重合体鎖のシロキサン単位と結合してなる新規な架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂と、その製造方法、該共重合樹脂を含有する感光層を導電性基体上に設けてなる電子写真感光体ならびに該共重合樹脂を含有する導電性ロール用コーティング材。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面特性に優れるポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂において、耐摩耗性などの機械的特性をバランス良く向上した架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂と、その製造方法、ならびにこれを含有する耐久性に優れた、電子写真感光体、導電性コムロール用コーティング材、導電性コムロール、フィルム、シートに関するものである。
ポリカーボネート樹脂は、機械的性質や熱的性質、電気的性質に優れていることから、様々な産業分野において成形品の素材に用いられてきた。近年、さらにこのポリカーボネート樹脂の光学的性質などをも併せて利用した機能的な製品の分野においても多用されている。このような用途分野の拡大に伴って、ポリカーボネート樹脂に対する要求性能も多様化している。
このような機能的な製品として、ポリカーボネート樹脂を有機電荷発生材料や電荷輸送材料用のバインダー樹脂とする感光層を導電性基体上に形成した有機電子写真感光体がある。この電子写真感光体としては、従来、セレンやα−シリコンなどの無機光導電性材料を用いたものが使用されていたが、最近では、前記有機電子写真感光体の性能が向上したことから、その使用割合が拡大している。
この有機電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じて、所定の感度や電気特性、光学特性を備えていることが要求される。この電子写真感光体は、その感光層の表面に、コロナ帯電、トナー現像、紙への転写、ブレードなどによるクリーニングなどの操作が繰返し行われるため、これら操作を行う度に電気的、機械的な外力が加えられる。したがって、長期間にわたって電子写真の画質を維持するためには、電子写真感光体の表面に設けた感光層に、これら外力に対する耐久性が要求される。
このような要請に応えるため、有機電子写真感光体のバインダー樹脂としては、感光層に用いる電荷輸送物質との相溶性がよく光学特性も良好なポリカーボネート樹脂が使用されてきた。しかしながら、従来の2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンや、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどを原料とするポリカーボネート樹脂を使用したものでは、トナーや紙粉などの異物が感光体上に蓄積する、いわゆるフィルミング現象が発生し、電子写真感光体の耐久性の点で充分に満足できるに至っていない。
そこで、ポリカーボネート樹脂の表面エネルギーを低減し、耐汚染性の向上を図るため、ポリジメチルシロキサンを共重合したポリカーボネート樹脂が提案(特開平2−240658号公報、特開平5−188616号公報)されている。ところで、これらポリカーボネート共重合樹脂は、上記フィルミング現象の抑制には効果的であるが、ポリジメチルシロキサンに固有の性質である低い凝集エネルギー密度のため、その機械的強度においては、通常のポリカーボネート樹脂と比較して、著しく低下し、殊に耐摩耗性の低下に由来して耐久性が充分に満足できるものではないという難点があった。
また、この電子写真感光体のほか、電子写真プロセスで用いる各種の導電性ロール(接触帯電ロール、転写ロール、現像ロール)の表面保護コーティング材としても、ポリジメチルシロキサンを共重合したポリカーボネート樹脂を用いることが提案(特開平7−230201号公報)されている。しかしながら、この場合においても、表面保護コーティングを施した導電性ロール表面への異物の付着防止効果は大きいのであるが、機械的強度が充分でないことから、長期間の使用により、表面保護層の摩耗や傷が発生し、画像劣化が生ずるようになるという問題があった。
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、優れた耐汚染性を有すると同時に高い耐摩耗性を有し、電子写真プロセスなどの電子機器の部材を構成する素材として好適な架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂とその製造方法、ならびにこの共重合樹脂を用いた耐久性を有する電子写真感光体、導電性ロール用コーティング材、導電性ゴムロール、フィルム、シートを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、従来公知のポリジメチルシロキサンを共重合したポリカーボネート樹脂における機械的強度の低下が、凝集エネルギー密度の低いポリシロキサン部位の絡み合いの低下に由来していることに着目し、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のシロキサン部分同士を共有結合で固定化すること、すなわち、このポリカーボネート−シロキサン共重合体鎖のシロキサン部分を介して他の重合体鎖のシロキサン部分と結合した架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を合成することによって、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた機械的強度などの特性を維持したうえで、シロキサン単位の導入による前記耐汚染性や耐摩耗性を付与することができることを見出し、これら知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)下記の一般式〔1〕で表される繰返し単位(1)、および一般式〔2〕で表される繰返し単位(2)を、繰返し単位(1)と繰返し単位(2)の合計に対する繰返し単位(1)のモル比〔(1)/((1)+(2))〕が、0.0001〜1となる割合で有する成分を含有してなるポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂。
Figure 2006328416
〔式〔1〕中のR1 は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基であり、aは1〜200の整数、bは0〜200の整数であり、X1 は、−O−または下記一般式〔3〕〔4〕、
Figure 2006328416
(式〔3〕中のR1 は、前記R1 と同一の意味を有し、cは0〜6の整数、dは0〜4の整数であり、式〔4〕中のcは前記cと同一である)で示される基を表し、X2 は、−O−または下記一般式〔5〕〔6〕、
Figure 2006328416
(式〔5〕中のR1 は、前記R1 と同一の意味を有し、cは0〜6の整数、dは0〜4の整数であり、式〔6〕中のcは前記cと同一である)で示される基を表し、式〔2〕中のArは、フェニレン基または下記一般式〔7a〕〔7b〕、
Figure 2006328416
(式〔7a〕中のYは、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SO2 −、−CR2 3 −(ただし、R2 、R3 は各々独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、トリフルオロメチル基または炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリール基である)、炭素数5〜12の置換もしくは無置換のシクロアルキリデン基、炭素数2〜12の置換もしくは無置換のα,ω−アルキレン基、9,9−フルオレニリデン基、1,8−メンタンジイル基、2,8−メンタンジイル基、置換もしくは無置換のピラジリデン基、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリーレン基であり、式〔7a〕、〔7b〕中のR1 は、前記R1 と同一の意味を有し、eは、各々独立に0〜4の整数であり、fは、0〜6の整数である)で示される基を表す。〕
(2)下記の一般式〔8〕で表される繰返し単位(3)、および前記一般式〔2〕で表される繰返し単位(2)を、繰返し単位(2)と繰返し単位(3)の合計に対する繰返し単位(3)のモル比〔(3)/((2)+(3))〕が、0.0001〜1となる割合で有する成分を含有してなる架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂。
Figure 2006328416
〔式〔8〕中のR1 、X1 、X2 は、前記R1 、X1 、X2 と同一の意味を有し、Wは,下記一般式〔9a〕〜〔9h〕、
Figure 2006328416
(式〔9a〕〜〔9h〕中のR1 は、前記R1 と同一の意味を有し、Zは、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、トリアルキルシロキシ基またはハロゲン原子であり、gは1〜6の整数、hは0〜2の整数、iは1〜6の整数、jは1〜100の整数、kは1〜100の整数である)で示される基を表す。〕
(3)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を、この共重合体鎖のシロキサンを含む繰返し単位において、他の共重合体鎖と結合させることを特徴とする架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
(4)前記シロキサンを含む繰返し単位中に、炭素−炭素不飽和結合、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、珪素原子に隣接した炭素原子上に水素原子が1つ以上結合した脂肪族基から選ばれた少なくとも1つの基を有し、これら基において、他の共重合体鎖との結合を形成させる前記(3)記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
(5)前記シロキサンを含む繰返し単位中に、珪素原子に直結したメチル基および/またはビニル基を有するポリカーボネート−シロキサン共重合体を用いて、他の共重合体鎖との結合を形成させる前記(3)記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
(6)前記シロキサンを含む繰返し単位における他の共重合体鎖との結合を、ラジカル開始剤を用いて行う前記(3)記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
(7)前記シロキサンを含む繰返し単位における他の共重合体鎖との結合を、分子骨格中に、珪素−水素結合を2つ以上有する化合物を用いて行う前記(4)または(5)記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
(8)前記シロキサンを含む繰返し単位における他の共重合体鎖との結合を、分子骨格中に、珪素−水素結合および加水分解により珪素−水酸基結合を生ずる基を有する化合物を用いて行う前記(4)または(5)記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
(9)導電性基体上に、少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層に少なくとも前記(2)記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を含有していることを特徴とする電子写真感光体。
(10)前記感光層が少なくとも電荷発生物質を含有する電荷発生層と、少なくとも電荷輸送物質およびバインダー樹脂を含有する電荷輸送層からなるものである前記(9)記載の電子写真感光体。
(11)電荷輸送物質と前記(1)記載のポリカーボネート−シロキサン共重合体を含有してなることを特徴とする塗工液。
(12)前記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を含有していることを特徴とする導電性ゴムロール用コーティング材。
(13)前記(12)記載の導電性ゴムロール用コーティング材で被覆されてなることを特徴とする導電性ゴムロール。
(14)前記導電性ゴムロールが、接触帯電ロール、転写ロールまたは現像ロールである前記(13)の導電性ゴムロール。
(15)前記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を含有していることを特徴とするフィルム。
(16)前記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を含有していることを特徴とするシート。
本発明の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、優れた耐汚染性を有するとともに、高い耐摩耗性を有し、電子写真プロセスなどの電子機器の部材を構成する素材として有用性の高いものである。また、本発明の電子写真感光体や導電性ロール用コーティング材、フィルム、シートは、いずれも上記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いていることから、耐汚染性と耐摩耗性にすぐれ、耐久性の向上した製品が得られる。
本発明のポリカーボネート樹脂は、これを構成する繰返し単位が、前記一般式〔1〕で表される繰返し単位(1)からなる重合体、あるいは前記一般式〔1〕で表される繰返し単位(1)と一般式〔2〕で表される繰返し単位(2)とからなる共重合体であり、その重合体鎖は直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造を有するものであってもよく、さらに特殊な末端構造や特殊な分岐構造が導入されたものであってもよい。
これら式〔1〕および〔2〕で表される繰返し単位からなるポリカーボネート樹脂について、さらに具体的に述べると、前記式〔1〕〜〔9h〕において示すR1 〜R3 が表わす炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられ、炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、トリル基、スチリル基、ビフェニリル基、ナフチル基などが挙げられ、炭素数1〜12のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、2−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基などが挙げられ、炭素数6〜12の置換もしくは無置換のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、トリルオキシ基、スチリルオキシ基、ナフチルオキシ基、ビフェニルオキシ基などが挙げられる。
そして、前記繰返し単位(1)と繰返し単位(2)からなる共重合体である場合には、繰返し単位(1)のモル比〔(1)/((1)+(2))〕が、0.0001以上であるもの、好ましくは0.001〜0.6の範囲であるものが好適に用いられる。このモル比が、0.0001未満のものでは、共重合成分としてシロキサン単位を導入したことによる、共重合体の表面エネルギーの低減効果がほとんど得られなくなる。
また、このポリカーボネート樹脂には、本発明の目的達成を阻害しない範囲でこれら繰返し単位(1)および(2)のほか、前記式〔1〕、〔2〕で規定した以外の構造単位を有するポリカーボネート単位や、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン構造を有する単位を含有しているものであってもよい。
そして、このポリカーボネート樹脂は、塩化メチレンを溶媒とする0.5g/デシリットルの濃度、20℃の温度で測定した還元粘度〔ηSP/c〕が0.01〜10デシリットル/gであるものが好ましい。この還元粘度〔ηSP/c〕が、0.01デシリットル/g未満のものでは、機械的強度が充分でなく、10デシリットル/gを超えるものでは成形加工性が充分でないことがある。
つぎに、本発明の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、これを構成する単位が、前記一般式〔8〕で表される繰返し単位(3)からなる重合体、あるいは前記一般式〔8〕で表される繰返し単位(3)と一般式〔2〕で表される繰返し単位(2)とからなる共重合体であり、その重合体鎖は直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造を有するものであってもよく、さらに特殊な末端構造や特殊な分岐構造が導入されたものであってもよい。
そして、前記繰返し単位(3)と繰返し単位(2)からなる共重合体である場合には、繰返し単位(3)のモル比〔(3)/((3)+(2))〕が、0.0001以上であるもの、好ましくは0.001〜0.6の範囲であるものが好適に用いられる。このモル比が、0.0001未満のものでは、共重合成分としてシロキサン単位を導入したことによる、共重合体の表面エネルギーの低減効果がほとんど得られなくなる。
また、この架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂には、本発明の目的達成を阻害しない範囲でこれら繰返し単位(3)および(2)のほか、前記式〔8〕、〔2〕で規定した以外の構造単位を有するポリカーボネート単位や、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン構造を有する単位を含有しているものであってもよい。
つぎに、このような繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂を製造する方法については、例えば、炭酸エステル形成性化合物としてホスゲンなどを用い、適当な酸結合剤の存在下に、二価フェノールとシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物とを反応させる方法、あるいは、炭酸エステル形成性化合物としてビスアリールカーボネートを用いてエステル交換法により製造する方法などを採用すればよい。ここで用いる二価フェノールは、1種単独でも2種以上を併用してもよく、またシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物についても1種単独でも2種以上を併用してもよい。これら反応は、必要に応じて末端停止剤および/または分岐剤の存在下で行われる。
前記二価フェノールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジシクロヘキシルビフェニルなどの4,4’−ジヒドロキシビフェニル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシフェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−4メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−フェニル−1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−4−sec−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ペンチルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(2−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン類;4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類;4,4”−ジヒドロキシ−p−ターフェニルなどのジヒドロキシ−p−ターフェニル類;4,4’’’−ジヒドロキシ−p−クォーターフェニルなどのジヒドロキシ−p−クォーターフェニル類;2,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ピラジン、2,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジメチルピラジン、2,5−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,6−ジエチルピラジンなどのビス(ヒドロキシフェニル)ピラジン類;1,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メンタン、2,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メンタン、1,8−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メンタン、1,8−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メンタンなどのビス(ヒドロキシフェニル)メンタン類;1,4−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンなどのビス〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン類;1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン類;レゾルシン、ヒドロキノン、カテコールなどのジヒドロキシベンゼン類;α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス〔3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル〕ポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサン類;1,1,8,8−テトラヒドロ−1,8−ジヒドロキシパーフルオロオクタン、1,1,6,6−テトラヒドロ−1,6−ジヒドロキシパーフルオロヘキサンなどのジヒドロパーフルオロアルカン類などが挙げられる。
これら各種の二価フェノール類の中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、α,ω−ビス〔3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピル〕ポリジメチルシロキサン、レゾルシン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどが好ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
前記末端停止剤としては、一価のカルボン酸とその誘導体や、一価のフェノールを用いることができる。例えば、p−tert−ブチル−フェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−(パーフルオロノニルフェニル)フェノール、p−(パーフルオロキシルフェニル)フェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、1−(P−ヒドロキシベンジル)パーフルオロデカン、p−〔2−(1H,1H−パーフルオロトリドデシルオキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕フェノール、3,5−ビス(パーフルオロヘキシルオキシカルボニル)フェノール、p−ヒドロキシ安息香酸パーフルオロドデシル、p−(1H,1H−パーフルオロオクチルオキシ)フェノール、2H,2H,9H−パーフルオロノナン酸、1,1,1,3,3,3−テトラフロロ−2−プロパノールなどが好適に用いられる。これら末端停止剤の添加割合は、共重合組成比として、1〜30モル%、さらに好ましくは1〜10モル%であり、この割合が30モル%を超えると機械的強度の低下を招くことがあり、1モル%未満であると成形性の低下を招くことがある。
また、分岐剤の具体例としては、フロログリシン、ピロガロール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、2,4−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,4−ビス〔2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス〔4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ〕メタン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、5−ブロモイサチンなどが挙げられる。
これら分岐剤の添加量は、共重合組成比で30モル%以下、好ましくは5モル%以下であり、これが30モル%を超えると成形性の低下を招くことがある。炭酸エステル形成性化合物としては、ホスゲンなどの各種ジハロゲン化カルボニルや、クロロホーメートなどのハロホーメート、炭酸エステル化合物などを用い、酸結合剤の存在下に重縮合を行う反応は、通常、溶媒中で行う。ホスゲンなどのガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。この炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。
酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ピリジンなどの有機塩基、あるいはこれらの混合物を用いることができる。この酸結合剤の使用割合も反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。具体的には、原料の二価フェノールの水酸基1モル当たり、1当量もしくはそれより過剰量、好ましくは1〜5当量の酸結合剤を使用すればよい。
ここで用いる溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素や、塩化メチレン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、アセトフェノンなどが好適なものとして挙げられる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、互いに混ざり合わない2種の溶媒を用いて界面重縮合反応を行ってもよい。
また、前記触媒としては、トリメチルアミンや、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリンなどの三級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイドなどの四級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどの四級ホスホニウム塩などが好適である。
さらに、所望により、この反応系に亜硫酸ナトリウムやハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。つぎに、前記重縮合反応を行う際の反応条件については、反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは5〜40℃であり、反応圧力は減圧、常圧、加圧のいずれでもよいが、通常は常圧もしくは反応系の自圧程度の加圧下に行うことができる。反応時間については、反応温度により左右されるが、0.5分間〜10時間、好ましくは1分間〜2時間程度である。
ポリカーボネート樹脂の分子量の調節をするには、例えば前記反応条件の選択、前記末端停止剤や分岐剤の使用量の増減などにより行うことができる。また、場合によっては、得られた重合体に適宜物理的処理(混合、分画など)および/または化学的処理(ポリマー反応、部分分解処理など)を施して所望の分子量範囲のものを得るようにしてもよい。
このポリカーボネート樹脂の製造法は、様々な態様で実施可能であり、例えば前記二価フェノールおよび/またはシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物とホスゲンなどを反応させて、ポリカーボネートオリゴマーを製造し、ついでこのポリカーボネートオリゴマーに、上記二価フェノールおよび/またはシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物を、前記溶媒および酸結合剤のアルカリ水溶液の混合液の存在下に反応させる方法を採用してもよい。また、前記二価フェノールおよび/またはシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物とホスゲンを、前記溶媒とアルカリ水溶液との混合液中で反応させる方法を採用してもよい。通常は、前者の、予めポリカーボネートオリゴマーを製造する方法が効率的であることから好ましい。
ポリカーボネートオリゴマーを製造するには、まず、アルカリ水溶液に二価フェノールおよび/またはシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物(必要に応じて分岐剤を含めて)を溶解し、二価フェノールのアルカリ水溶液を調製する。ついで、このアルカリ水溶液と塩化メチレンなどの有機溶媒との混合液に、ホスゲンを導入して反応させ、二価フェノールおよび/またはシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物のポリカーボネートオリゴマーを合成する。ついで、反応溶液を水相と有機相とに分離し、ポリカーボネートオリゴマーを含む有機相を得る。この際、アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、1〜15重量%の範囲が好ましく、また有機相と水相との容積比は、10:1〜1:10、好ましくは5:1〜1:5の範囲である。反応温度は、冷却下に通常0〜70℃、好ましくは5〜65℃であり、反応時間は15分間〜4時間、好ましくは30分間〜3時間程度である。このようにして得られるポリカーボネートオリゴマーの平均分子量は2000以下、重合度は,通常20以下、好ましくは2〜10量体のものである。
このようにして得られるポリカーボネートオリゴマーを含む有機相に、前記二価フェノールおよび/またはシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物を加えて反応させる。反応温度は、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃であり、反応時間は、通常30分間〜2時間程度である。この反応にあたって、二価フェノールおよび/またはシロキサン構造単位を有するジヒドロキシ化合物は有機溶媒溶液および/またはアルカリ水溶液として添加するのが望ましい。その添加順序については、特に制限はない。なお、触媒、末端停止剤および分岐剤などは、上記の製造法において、必要に応じ、ポリカーボネートオリゴマーの製造時、その後の高分子量化の反応時のいずれか、またはその両方において添加して用いることができる。
つぎに、このようにして得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いて、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造する方法について説明する。この架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造に用いる原料のポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂としては、そのシロキサン構造単位において、他の重合体鎖のシロキサン構造単位との間で化学結合が形成できる形態のシロキサン構造単位を有するものであれば使用可能であるが、好ましい形態としては、シロキサン構造単位に、ビニル基やアルコキシシリル基、ヒドロシリル基、珪素原子に隣接した炭素原子上に水素原子が1つ以上結合した脂肪族基、珪素原子に直接結合したメチル基、ビニル基を有するポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂が好適に用いられる。
このポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の架橋法については、複数の重合体鎖のシロキサン構造単位同士が結合する方法であれば、特に制約はないが、例えば、このシロキサン構造単位にビニル基を有するものでは、ラジカル開始剤を添加する方法や、ヒドロシリル化触媒の存在下に、1分子内に2つ以上の珪素−水素結合を有する化合物を反応させる方法、あるいは、ヒドロシリル化触媒の存在下に、珪素原子上に加水分解性の基および水素原子を有する化合物を反応させる方法を好適に採用することができる。
また、このシロキサン構造単位にアルコキシシリル基を有するものでは、加熱による方法や酸の添加による方法、塩基の添加による方法、ジブチルジアセチルオキシスズやジブチルオクチル酸スズ、ジブチルドデシル酸スズなどのスズ化合物を添加する方法、テトラプロポキシチタンやジプロポキシビス(アセト酢酸エチルキレート)チタンなどのチタン化合物を添加する方法、金属脂肪酸塩を添加する方法、金属アルコラートを添加する方法を好適に採用することができる。
さらに、シロキサン構造単位にヒドロシリル基を有するものでは、ヒドロシリル化触媒の存在下、シロキサン構造単位にビニル基を有するポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を反応させる方法、ヒドロシリル化触媒の存在下に、1分子内に2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物を反応させる方法を好適に採用することができる。
また、シロキサン構造単位に、珪素原子に隣接した炭素原子上に水素原子が1つ以上結合した脂肪族基を有するものでは、ラジカル開始剤を添加する方法を好適に採用することができる。ここで用いるラジカル開始剤としては、公知のすべての熱開始剤、光開始剤を用いることができる。熱開始剤としては、有機過酸化物が好適に用いられる。その具体的な化合物としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルシクロヘキサンスルホニルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類、t−ブチルヒドロパーオキサイド、キュメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイドなどのヒドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチル−α−クミルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオキサイド、1,4−ビス〔(t−ブチルジオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、1,3−ビス〔(t−ブチルジオキシ)イソプロピル〕ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3−ヘキシンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジパーオキシフタレート、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのアルキルパーエステル類;ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ビス(3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、OO−t−ブチル−O−イソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシカーボネート類;コハク酸パーオキサイド;過硫酸カリウム;過硫酸アンモニウム;ペルオキソ二硫酸カリウム;ペルオキソ二硫酸アンモニウム;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビス−2−アミジノプロパン塩酸塩などのアゾ化合物;過酸化水素;レドックス系開始剤;トリエチルアルミニウム;トリエチルホウ素;ジエチル亜鉛などが挙げられる。
また、光開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−クロロアントラセン、2−メチルアントラキノン、チオキサントン、ジフェニルジサルファイド、ジメチルジチオカルバメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパノンなどが挙げられる。これら光開始剤を用いる場合、紫外線などの照射の強度は、1〜100mJ/cm2 程度とする。
前記ヒドロシリル化触媒としては、ベンゾイルパーオキサイドやアゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル系触媒、トリアルキルアミンなどの塩基系触媒、あるいは周期律表の第VIII〜X族遷移金属錯体触媒を用いることができる。これら触媒系の中でも、反応の収率や副反応の少なさ、触媒添加量の少なさなどの理由から、第VIII〜X族遷移金属錯体触媒が好適に用いられる。この第VIII〜X族遷移金属錯体触媒の具体例としては、Fe(CO)5 などの鉄触媒、RuCl3 などのルテニウム触媒、オスミウム触媒、Co2 (CO)8 などのコバルト触媒、(Ph3 P)3 RhCl、〔Rh(C2 4 2 Cl〕2 などのロジウム触媒、IrCl3 などのイリジウム触媒、(Ph3 P)2 Ni、(Ph3 P)2 NiCl2 などのニッケル触媒、(Ph3 P)4 Pd、(Ph3 P)2PdCl2 などのパラジウム触媒、H2 PtCl6 ・6H2 O、(Ph3 P)4Pt、(Pt(C2 4 )Cl2 2 、(Ph3 P)2 PtCl2 、Pt(C24 )(Ph3 P)Cl2 、(PhCN)2 PtCl2 、K2 PtCl4 、Pt−Al2 3 、Pt−C、白金−1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金カルボニル錯体、Speier触媒(H2 PtCl6 ・6H2 Oのイソプロパノール溶液)などの白金触媒などが好ましいものとして挙げられる。
そして、これら触媒の添加量は、ビニル基に対し、1wtPPM〜1wt%、好ましくは、100〜1000wtPPMの範囲において、反応性を考慮して適宜決定すればよい。この触媒の添加量が、1wtPPM未満では反応速度が遅くて架橋反応が充分に進行しないことがあり、1wt%を超えると得られる製品が着色することがあることから、上記範囲内とするのが適当である。
また、前記の分子内に2つ以上の珪素−水素結合を有する化合物としては、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ジフェニルシランなどが好適なものとして挙げられる。
そして、前記珪素原子上に加水分解性の基および水素原子を有する化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、トリブトキシシラン、トリ−t−ブトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、ジフェニルエトキシシラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン、メチルビス(トリメチルシロキシ)シラン、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、ジフェニルクロロシランなどが好適なものとして挙げられる。
さらに、分子内に2つ以上の炭素−炭素不飽和結合を持つ化合物としては、ジビニルベンゼン、ジアリルカーボネート、ジアリルビスフェノールAやジアリルビフェノールなどのジアリルビスフェノール類、ジアリルビスフェノール類から合成されるポリカーボネート、ジアリルビスフェノール類から合成されるポリエステル、ジアリルビスフェノール類から合成されるポリエーテル、ジアリルビスフェノール類から合成されるポリエポキシド、ジアリルビスフェノール類から合成されるポリホルマール樹脂、ポリビニルメチルシロキサンなどが好適なものとして挙げられる。
前記ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の架橋反応を実施する際の反応条件としては、反応温度は20〜200℃、好ましくは50〜150℃である。反応温度を20℃よりも低くすると、反応速度が低下し、またこれを200℃以上で行ってもそれに見合う効果はなく、かえって不経済である。反応時間については、1秒間〜24時間、好ましくは1分間〜12時間である。この反応時間を1秒間未満としたのでは充分に反応が進行しないことがあり、また24時間を超える時間をかけるのは経済的でない。
このようにして得られる架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、高い透明性を保持しているので、高い透明性の要求される素材に適している。また、耐熱性や耐衝撃性、耐摩耗性などの機械的性質、さらに電気絶縁性に優れていることから、このような諸性質を兼ね備えていることが要求される電気機器、電子機器、光学機器などの構成部材や部品、自動車部品、金属あるいは木工製品のコート材、塗料など広い産業分野において、有用性の高い素材として利用することができる。つぎに、本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、その感光層が上記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を含有する表面層を有するものである。
本発明の電子写真感光体は、このような感光層が導電性基体上に形成されたものである限り、その構造に特に制限はなく、単層型、積層型などの公知の種々の形式の電子写真感光体はもとより、どのようなものとしてもよい。通常は、感光層が少なくとも1層の電荷発生層と、表面層を形成する少なくとも1層の電荷輸送層を有する積層型電子写真感光体が好ましく、少なくとも1層の電荷輸送層中に、上記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂がバインダー樹脂としておよび/または前記表面保護層として用いられていることが好ましい。
本発明の電子写真感光体において、上記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂をバインダー樹脂として用いる場合、この架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を1種のみまたは2種以上を組合せて用いてもよいし、また、所望に応じて本発明の目的達成を阻害しない範囲で、他のポリカーボネート樹脂などの樹脂成分と併用してもよい。
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性基体としては、公知のものなど各種のものを使用することができ、具体的には、アルミニウムやニッケル、クロム、パラジウム、チタン、モリブデン、インジウム、金、白金、銀、銅、亜鉛、真鍮、ステンレス、酸化鉛、酸化錫、酸化インジウム、ITOもしくはグラファイトからなる板やドラム、シート、ならびに蒸着、スパッタリング、塗布などによりコーティングするなどして導電処理したガラス、布、紙もしくはプラスチックのフィルム、シートおよびシームレスベルト、ならびにアルミニウムなどの金属箔を積層したプラスチックのフィルム、シートおよびシームレスベルトならびに金属板のフィルム状シートおよびシームレスベルト、ならびに電極酸化などにより金属酸化処理した金属ドラムなどを使用することができる。
積層型電子写真感光体の電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含むものであり、この電荷発生層はその下地となる基体上に、真空蒸着法や化学蒸着法、スパッタリング法によって、電荷発生物質の層を形成するか、またはその下地となる層上に電荷発生物質をバインダー樹脂を用いて結着してなる層を形成せしめることによって得ることができる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法としては公知の方法など、各種の方法を使用することができるが、通常、たとえば、電荷発生物質をバインダー樹脂と共に適当な溶媒により分散もしくは溶解した塗工液を、所定の下地となる層上に塗布し、乾燥せしめる方法が好適に用いられる。このようにして得られる電荷発生層の厚さは、0.01〜2.0ミクロン、好ましくは0.1〜0.8ミクロンである。電荷発生層の厚さを0.01ミクロン未満にすると均一な厚さに層を形成することが困難であり、また、2.0ミクロンを超えると電子写真特性の低下を招くことがあるからである。
ここで用いる電荷発生物質としては、たとえば特開平8−225639号公報等で公知の各種化合物を使用することができる。具体的な化合物としては、非晶性セレンや三方晶セレンなどのセレン単体、テルル単体、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金などのセレン合金、As2 Se3 などのセレン化合物もしくはセレン含有組成物、酸化亜鉛、硫化カドミウム、硫化アンチモン、硫化亜鉛、CdS−Seなどの合金、第12族および第16族元素からなる無機材料、酸化チタンなどの酸化物系半導体、アモルファスシリコンなどのシリコン系材料、τ型無金属フタロシアニン、χ型無金属フタロシアニンなどの無金属フタロシアニン顔料、α型銅フタロシアニン、β型銅フタロシアニン、γ型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、X型銅フタロシアニン、A型チタニルフタロシアニン、B型チタニルフタロシアニン、C型チタニルフタロシアニン、D型チタニルフタロシアニン、E型チタニルフタロシアニン、F型チタニルフタロシアニン、G型チタニルフタロシアニン、H型チタニルフタロシアニン、K型チタニルフタロシアニン、L型チタニルフタロシアニン、M型チタニルフタロシアニン、N型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、X線回折図におけるブラック角2θが27.3±0.2度に強い回折ピークを示すチタニルフタロシアニンなどの金属フタロシアニン顔料、シアニン染料、アントラセン顔料、ビスアゾ顔料、ピレン顔料、多環キノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、ピリリウム染料、スクェアリウム顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、アゾ顔料、チオインジゴ顔料、キノリン顔料、レーキ顔料、オキサジン顔料、ジオキサジン顔料、トリフェニルメタン顔料、アズレニウム染料、トリアリールメタン染料、キサンチン染料、チアジン染料、チアピリリウム染料、ポリビニルカルバゾール、ビスベンゾイミダゾール顔料などが挙げられる。
そして、これら化合物のなかでも染料や顔料については、前記特開平8−225639号公報で具体的に例示されている化合物がことに好適に用いられる。また、これら化合物は、1種単独で、あるいは2種以上のものを混合して、電荷発生物質として用いることができる。また、電荷発生層に用いるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の各種のものを使用することができる。具体的には、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。上記電荷発生層におけるバインダー樹脂として、本発明の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を使用することもできる。
つぎに、電荷輸送層は、下地となる層(例えば電荷発生層)上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層を形成することによって得ることができる。この電荷輸送層の形成方法としては、公知の方法などの各種の方式を使用することができるが、通常、電荷輸送物質を、本発明における架橋前のポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂や架橋用触媒、架橋用化合物などと共に、適当な溶媒に分散もしくは溶解した塗工液を、所定の下地となる層上に塗布し、乾燥させる方式などが使用される。電荷輸送層形成に用いられる電荷輸送物質とポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂との配合割合は、好ましくは重量比で20:80〜80:20、さらに好ましくは30:70〜70:30である。
この電荷輸送層において、上記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、1種単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。また、本発明の目的達成を阻害しない範囲で前記電荷発生層に用いられるバインダー樹脂として挙げたような樹脂を、上記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂と併用することもできる。
このようにして形成される電荷輸送層の厚さは、5〜100ミクロン、好ましくは10〜30ミクロンである。この厚さが5ミクロン未満にすると初期電位が低くなり、100ミクロンを超えると電子写真特性が低下することがある。この電荷輸送物質として用いることのできる化合物についても、前記特開平8−225639号公報等において公知の各種の化合物を使用することができる。このような化合物としては、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルベン化合物、フルオレノン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、あるいはこれら構造を主鎖や側鎖に有する重合体などが好適に用いられる。
これら化合物のなかでも、前記特開平8−225639号公報において具体的に例示されている化合物がことに好適に用いられる。これら化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明の電子写真感光体においては、前記導電性基体と感光層との間に、通常使用されるような下引き層を設けることができる。この下引き層としては、酸化チタンや酸化アルミニウム、ジルコニア、チタン酸、ジルコン酸、ランタン鉛、チタンブラック、シリカ、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化珪素などの微粒子、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、カゼイン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂などの成分を使用することができる。また、この下引き層に用いる樹脂として、前記バインダー樹脂を用いてもよいし、本発明の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いてもよい。これら微粒子や樹脂は単独または種々混合して用いることができる。これらの混合物として用いる場合には、無機質微粒子と樹脂を併用すると、平滑性のよい皮膜が形成されることから好適である。
この下引き層の厚みは、0.01〜10ミクロン、好ましくは0.01〜1ミクロンである。この厚みが0.01ミクロン未満であると、下引き層を均一に形成することが困難であり、また10ミクロンを超えると電子写真特性が低下することがある。また、前記導電性基体と感光層との間には、通常使用されるような公知のブロッキング層を設けることができる。このブロッキング層としては、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。また本発明の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いてもよい。このブロッキング層の厚みは、0.01〜20ミクロン、好ましくは0.1〜10ミクロンである。この厚みが0.01ミクロン未満であると、ブロッキング層を均一に形成することが困難であり、また20ミクロンを超えると電子写真特性が低下することがある。
さらに、本発明の電子写真感光体には、感光層の上に、保護層を積層してもよい。この保護層には、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。また、本発明の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いることが特に好ましい。この保護層の厚みは、0.01〜20ミクロン、好ましくは0.1〜10ミクロンである。そして、この保護層には、前記電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤、金属やその酸化物、窒化物、塩、合金、カーボンブラック、有機導電性化合物などの導電性材料を含有していてもよい。
さらに、この電子写真感光体の性能向上のために、前記電荷発生層および電荷輸送層には、結合剤、可塑剤、硬化触媒、流動性付与剤、ピンホール制御剤、分光感度増感剤(増感染料)を添加してもよい。また、繰返し使用に対しての残留電位の増加、帯電電位の低下、感度の低下を防止する目的で種々の化学物質、酸化防止剤、界面活性剤、カール防止剤、レベリング剤などの添加剤を添加することができる。
前記結合剤としては、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソブレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリクロロプレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂などが挙げられる。また、熱および/または光硬化性樹脂も使用できる。いずれにしても、電気絶縁性で通常の状態で皮膜を形成し得る樹脂であれば、特に制限はない。
この結合剤は電荷輸送物質に対して、5〜200重量%の配合割合で添加することが好ましく、10〜100重量%がより好ましい。この結合剤の配合割合が5重量%未満では感光層の皮膜が不均一になりやすく、画質が劣る傾向があり、200重量%を超えると感度が低下し、残留電位が高くなる傾向がある。前記可塑剤の具体例としては、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ラウリル酸ブチル、メチルフタリールエチルグリコレート、ジメチルグリコールフタレート、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、ポリプロピレン、ポリスチレン、フルオロ炭化水素などが挙げられる。
前記硬化触媒の具体例としては、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などが挙げられ、流動性付与剤としては、モダフロー、アクロナール4Fなどが挙げられ、ピンホール制御剤としては、ベンゾイン、ジメチルフタレートが挙げられる。これら可塑剤や硬化触媒、流動付与剤、ピンホール制御剤は、前記電荷輸送物質に対して、5重量%以下で用いることが好ましい。
また、分光感度増感剤としては、増感染料を用いる場合には,例えばメチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルーなどのトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシンなどのアクリジン染料、メチレンブルー、メチレングリーンなどのチアジン染料、カプリブルー、メルドラブルーなどのオキサジン染料、シアニン染料、メロシアニン染料、スチリル染料、ピリリュウム塩染料、チオピリリュウム塩染料などが適している。
感光層には、感度の向上、残留電位の減少、反復使用時の疲労低減などの目的で、電子受容性物質を添加することができる。その具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、2,3−ジクロロベンゾキノン、ジクロロジシアノパラベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4’−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)アクリル酸エチル、9−アントラセニルメチルマロンジニトリル、1−シアノ−(p−ニトロフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノニトリル)、ポリニトロ−9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノジニトリル)、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸などの電子親和力の大きい化合物が好ましい。これら化合物は電荷発生層、電荷輸送層のいずれに加えてもよく、その配合割合は、電荷発生物質または電荷輸送物質に対して0.01〜200重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。
また、表面性の改良のため、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体、フッ素系グラフトポリマーを用いてもよい。これら表面改質剤の配合割合は、前記バインダー樹脂に対して、0.1〜60重量%、好ましくは5〜40重量%である。この配合割合が0.1重量%より少ないと、表面耐久性、表面エネルギー低下などの表面改質が充分でなく、60重量%より多いと、電子写真特性の低下を招くことがある。
前記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、スルフィド系酸化防止剤、有機リン酸系酸化防止剤などが好ましい。これら酸化防止剤のなかでも、前記特開平8−225639号公報に具体的に例示されている化合物がとくに好適に用いることができる。これら酸化防止剤の配合割合は、前記電荷輸送物質に対して、通常、0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%である。
そして、これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。さらに、これらは前記感光層のほか、表面保護層や下引き層、ブロッキング層に添加して用いてもよい。前記電荷発生層、電荷輸送層の形成の際に用いる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族系溶媒や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、酢酸エチル、エチルセロソルブなどのエステル類、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミドなどが挙げられる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
つぎに、前記電荷輸送層を形成する方法としては、前記電荷輸送物質、添加剤、バインダー樹脂の形成に用いる未架橋のポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂および架橋用触媒、架橋用化合物を溶媒に分散または溶解させてなる塗工液を調製し、これを所定の下地となる例えば前記電荷発生層の上に塗工し、架橋化したポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂がバインダー樹脂として電荷輸送物質と共存する形態の電荷輸送層を形成する。
ここで、珪素原子上に水素原子および加水分解により珪素−水酸基結合が生成する基を持つ化合物による架橋法については、硬化触媒は、未添加でも、塗工液中に添加しても、塗工液中に添加することなく、電荷輸送層を形成した後に、これを添加してもよい。前記塗工液を調製する方法としては、前記の調合原料をボールミル、超音波、ペイントシェーカー、レッドデビル、サンドミル、ミキサー、アトライターなどを用いて、分散あるいは溶解させることができる。
このようにして得られた塗工液を塗工する方法については、浸漬塗工法、静電塗工法、粉体塗工法、スプレー塗工法、ロール塗工法、アプリケーター塗工法、スプレーコーター塗工法、バーコーター塗工法、ロールコーター塗工法、ディップコーター塗工法、ドクターブレード塗工法、ワイヤーバー塗工法、ナイフコーター塗工法、アトライター塗工法、スピナー塗工法、ビード塗工法、ブレード塗工法、カーテン塗工法などが採用できる。
また、単層型電子写真感光体の感光層は、前記の電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤、バインダー樹脂の形成に用いる未架橋のポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂および架橋用触媒、架橋用化合物を溶媒に分散または溶解した溶液を所定の下地となる基体上に塗布した後、このポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の架橋処理を行うことによって形成される。この場合の塗工液の調製やその塗工法、添加剤などに関しては、上記積層型電子写真感光体の感光層の形成の場合と同様である。さらに、この単層型電子写真感光体においても、上記と同様に下引き層、ブロッキング層、表面保護層を設けてもよい。これら層の形成にも、本発明の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いることが好ましい。
単層型電子写真感光体における感光層の厚さは、5〜100ミクロン、好ましくは8〜50ミクロンであり、これが5ミクロン未満であると初期電位が低くなりやすく、100ミクロンを超えると電子写真特性が低下することがある。この単層型電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生物質:バインダー樹脂の比率は、重量比で1:99〜30:70、好ましくは3:97〜15:85である。また、電荷輸送物質:バインダー樹脂の比率は、重量比で10:90〜80:20、好ましくは30:70〜70:30である。
つぎに、このようにして形成した塗膜中の未架橋のポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の架橋処理を行うが、この場合の処理条件は、共重合体の化学構造や架橋用触媒の種類に応じて、前述の架橋処理条件を選択すればよい。このようにして得られる本発明の電子写真感光体は、優れた耐摩耗性を有し、長期間にわたって優れた耐刷性および電子写真特性を維持する感光体であり、複写機(モノクロ、マルチカラー、フルカラー;アナログ、デジタル)プリンター(レーザー、LED、液晶シャッター)、ファクシミリ、製版機などの各種の電子写真分野に好適に用いられる。
また、本発明の電子写真感光体を使用するにあたっては、帯電には、コロナ放電(コロトロン、スコロトロン)、接触帯電(帯電ロール、帯電ブラシ)などが用いられる。また、露光には、ハロゲンランプや蛍光ランプ、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式のいずれを採用してもよい。現像には、カスケード現像、二成分磁気ブラシ現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像などの乾式現像方式や湿式現像方式が用いられる。転写には、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法や、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着には、熱ローラ定着、ラジアントフラッシュ定着、オープン定着、圧力定着などが用いられる。さらに、クリーニング・除電には、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなどが用いられる。
また、本発明の導電性ゴムロール用コーティング材は、前記電子写真感光体の帯電に用いる帯電ロールや、前記ローラ転写法において用いる転写ロール、また前記現像工程において用いる現像ロールなどの導電性を有するゴムロールの表面保護層を形成するためのコーティング材であり、前記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を含有するものである。
このコーティング材には、耐汚染性や機械的特性とくに耐摩耗性に優れた物質から構成されることが要請されることから、その基材として、前記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いることにより、このような要請に応えることができる。本発明において表面保護層の形成に用いられる組成物は、上記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂と導電性物質からなる。導電性物質は、表面保護層の電気抵抗を低下させ、感光体の絶縁破壊や、それに伴う画像欠陥を防止するために用いられる。導電性物質としては、例えば、導電性高分子や導電性無機質粒子、金属粉末などが好適に用いられる。この導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンなどが挙げられる。また、導電性無機質粒子としては、チタニア、酸化亜鉛、酸化インジウム−酸化スズ混合物、硫化銅、カーボンブラック、グラファイトなどの粒子が挙げられる。さらに、金属粉末としては、アルミニウム粉、鉄粉、銅粉などが挙げられる。
これら導電性物質の中でもカーボンブラックが特に好ましく、スーパーコンダクティブファーネスブラックやコンダクティブファーネスブラック、エクストラコンダクティブファーネスブラック、スーパーアブレイジョンファーネスブラックなどが特に好ましく用いられる。これらカーボンブラックの平均粒径は、10〜100ナノメーター、好ましくは20〜50ナノメーターである。
そして、このコーティング材を構成する両成分の配合割合は、前記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂100重量部に対して、前記導電性物質を0.1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部である。この導電性物質の配合割合が0.1重量部未満であると、表面保護層の電気抵抗値が充分に低下しないことがあり、またこれが40重量部を超えるものでは、表面保護層の弾性率が高くなり過ぎるようになるからである。この導電性物質の配合割合は、導電性物質が上記範囲内にある場合でも、これが比較的少ない場合には、帯電時の印加電圧が低いと表面保護層の導電性が低くなることがあるが、印加電圧を高めると充分な導電性が得られるようになる。
本発明において表面保護層の形成に用いられる上記導電性物質からなる組成物の調整法は、特に限定されるものではない。例えば、前記未架橋および/または架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂粉末と導電性物質とを混合する方法、前記未架橋ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の溶融物と導電性物質とを混合して混練する溶融混練法、あるいは前記未架橋ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を溶媒に溶解させる溶液に導電性物質を分散させた後、適宜溶媒を除去する方法などが好適に用いられる。中でも、組成物中に導電性物質を均一に分散させるためには、上記のポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の溶液に導電性物質を分散させる方法が好適である。その際、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の溶液と導電性物質を混合した後、さらに超音波照射することにより、導電性物質をより均一に分散させることができる。
上記組成物には、所望により、補強材や充填剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染料、顔料、難燃剤などの添加剤を配合することができる。本発明のコーティング材により被覆処理を行う導電性ゴムロールは、様々な形態のものを用いることができるが、例えば、ステンレスや銅、鉄などの金属製の芯棒の上に、導電性物質を配合して導電性を付与したゴムや合成樹脂からなる導電性弾性層を浸漬塗布やスプレー塗布によりロール状に形成した形態のものが用いられる。この導電性弾性層の構成成分として用いる導電性物質としては、導電性高分子、導電性無機質粒子、金属粉などを用いたものが好適である。ここに添加されている導電性物質は、前記コーティング材に添加する導電性物質と同様な物質であるものが好ましく、導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンなどが、また、導電性無機質粒子としては、チタニア、酸化亜鉛、酸化インジウム−酸化スズ混合物、硫化銅、カーボンブラック、グラファイトなどの粒子が、さらに、金属粉末としては、アルミニウム粉、鉄粉、銅粉などが好ましい。そして、この導電性ゴムロールの導電性弾性層は、その体積抵抗率が、表面保護層の体積抵抗率よりも小さいことが好ましく、通常は105 〜1010Ω・cmに調整してあるものが好適に用いられる。
つぎに、上記表面保護層の形成方法については、前記の未架橋ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂と、その架橋化触媒や架橋時に用いる化合物、および必要に応じて導電性物質などを溶媒に溶解させ、溶液状態において、ディップ法、キャスト法、スプレー法などの方法により塗膜を形成し、溶媒を除去し乾燥させてから、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の架橋反応を行ったり、上記組成物をフィルム状にして貼付けるなどの方法により、導電性を有する表面保護層が得られる。
このようにして形成される表面保護層は、導電性ゴムロールの寸法や使途により、その膜厚の好適範囲が異なるが、通常、6〜200μm、好ましくは、20〜160μmとする。また、本発明において形成される表面保護層には、本発明の効果を阻害しない範囲で前記ロールに添加されるのと同様の添加剤を加えてもよい。
本発明の導電性ゴムローラ用コーティング材は、電子写真プロセスにおける上記の接触帯電ロールのほか、同プロセスで用いる転写ロールや現像ロールについても、同様にして表面保護層を形成することができる。そして、これらロールは、その形態が能動回転型でも、受動回転型でも、静止状態で使用されるものであっても同様に適用することができ、この表面保護層を形成することにより、前記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂が有する優れた機械的強度、ことに耐摩耗性に基づいた耐久性の高い導電性ゴムロールとすることができる。
さらに、この架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、溶液状態での塗工による塗膜形成のほか、一般的な押出成形やプレス成形などの成形法によりフィルムやシートに成形して、これを導電性ゴムロールをはじめとする電子写真分野などの各種機器における耐摩耗性の要求される部材表面に融着あるいは接着して用いてもよい。これらフィルムやシートに形成するに際しては、未架橋状態のポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に、架橋触媒や架橋時に用いる化合物、添加剤などを加えて成形し、フィルムやシートに成形した後に、該共重合樹脂の架橋化処理を施すことによって、適度の弾性を有し、かつ耐摩耗性にすぐれたフィルムやシートを得ることができる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gを、6重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液550ミリリットルに溶解した溶液に、塩化メチレン250ミリリットルを加えて攪拌しながら、冷却下、該溶液にホスゲンガスを950ミリリットル/分の割合で15分間吹き込んだ。ついで、この反応液を静置して有機層を分離し、重合度が2〜4であり、分子末端がクロロホーメート基であるポリカーボネートオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
このポリカーボネートオリゴマーの塩化メチレン溶液200ミリリットルに、塩化メチレンを加えて全量を450ミリリットルとした後、これに、下記式で表されるシリコーン化合物127g、および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gを、8重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液150ミリリットルと混合し、さらに分子量調節剤としてp−tert−ブチルフェノール2.0gを加え、混合液を激しく攪拌しながら、触媒として7重量%濃度のトリエチルアミン水溶液を2ミリリットル加え、28℃において、攪拌下に1.5時間反応させた。
Figure 2006328416
反応終了後、反応生成物を塩化メチレン1リットルで希釈し、ついで、水1.5リットルで2回、0.01規定濃度の塩酸1リットルで1回、さらに水1リットルで2回の順で洗浄した後、有機層をメタノール中に投入し、析出した固体を濾過し、乾燥することにより、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を得た。
上記で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/デシリットルの溶液の20℃で測定(以下の実施例も同一条件において測定)した還元粘度〔ηsp/c〕は、0.75デシリットル/gであった。還元粘度の測定は、離合社製の自動粘度測定装置VMR−042を用い、自動粘度用ウッベローデ改良型粘度計(RM型)で測定した。また、このポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂について測定した1 H−NMRスペクトルにおいては、0ppmにシロキサンに基づく吸収ピークが認められ、また7〜8ppmに全芳香族に基づく吸収ピークが、また1.7ppmにイソプロピリデン基に基づく吸収ピークが認められ、これらの強度比より、〔a〕2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する繰返し単位と、〔b〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位との共重合組成を算出した結果、〔a〕:〔b〕=0.90:0.10であった。したがって、この重合体は、下記化学構造を有するポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂であるものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
つぎに、(1)で得られた共重合樹脂0.5gおよび1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン0.1gを、塩化メチレン5ミリリットルに溶解し、これに、触媒として白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体(白金原子として3〜3.5重量%のシクロビニルメチルシロキサン溶液)3mgを添加し、これをポリエチレンテレフタレート製のフィルム上に、アプリケーターを用いてキャスト製膜した。ついで、このキャストフィルムを、1時間風乾した後、120℃において、常圧で2時間反応させた。ひきつづき、120℃、1mmHgの条件で、12時間乾燥することにより、ヒドロシリル化によって架橋化された架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。
ここで得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、赤外線吸収スペクトル分析(IR分析)を測定した結果、このものの架橋前に存在したビニル基由来の吸収ピークが架橋後には消失したことから、下記のとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋ポリカーボネート樹脂フィルムにつき、その透明性を評価するため可視光線の光線透過率を測定した。また、耐汚染性を評価するために、水の接触角を測定した。さらに、耐摩耗性を評価するため、スガ試験機社製のスガ摩耗試験機NUS−ISO−3型を用いて、耐摩耗性の評価試験をした。耐摩耗評価試験の条件としては、500gの荷重をかけた摩耗紙(スガ試験機社製;粒径3ミクロンのアルミナ粒子を含有)上で、試料を2000回往復運動させた後の試料の重量減少量を測定する方法を採用した。
これら結果を第1表に示す。なお、第1表中の透明性の欄に、○印が表示してあるものは、350〜600nmの波長域の全域における光線透過率が90%以上であったことを示し、×印が表示してあるものは、350〜600nmの波長域において光線透過率が90%未満の波長域があったことを示す。
〔実施例2〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例1と同様にして、分子末端にクロロホーメート基を有するポリカーボネート・オリゴマーを製造し、その塩化メチレン溶液200ミリリットルに塩化メチレンを加えて450ミリリットルとした。その後、実施例1で用いた、シリコーン化合物127gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gに代えて、同一のシリコーン化合物63.0gと4,4’−ジヒドロキシビフェニル8.4gとを用いた他は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の還元粘度〔ηsp/c〕は、0.72デシリットル/gであった。また、1 H−NMRスペクトルを測定した結果、0ppmのシロキサンに基づく吸収ピークと、7〜8ppmの全芳香族水素に基づく吸収ピーク、および1.7ppmのイソプロピリデン基に基づく吸収ピークとの強度比から、このものの共重合組成を算出した結果、〔a〕2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する繰返し単位と〔b〕4,4'−ジヒドロキシビフェニルに由来する繰返し単位、および〔c〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位とが、〔a〕:〔b〕:〔c〕=0.85:0.10:0.05であった。したがって、このものは下記の化学構造を有するものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
上記(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を、実施例1の(2)と同様にして、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、IR分析の結果より、下記化学構造を有するものであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例3〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gに代えて、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン124gを用いて、実施例1と同様にして、分子末端にクロロホーメート基を有するポリカーボネート・オリゴマーを製造し、その塩化メチレン溶液200ミリリットルに塩化メチレンを加えて450ミリリットルとした。その後、実施例1で用いた、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gに代えて、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン8.4gを用いた他は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の還元粘度〔ηsp/c〕は、0.83デシリットル/gであった。また、1 H−NMRスペクトルを測定した結果、0ppmのシロキサンに基づく吸収ピークと、7〜8ppmの全芳香族水素に基づく吸収ピークとの強度比から、このものの共重合組成を算出した結果、〔a〕2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する繰返し単位と 〔b〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位とが、〔a〕:〔b〕=0.90:0.10であり、下記の化学構造を有するものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
上記(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を、実施例1の(2)と同様にして、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、IR分析の結果より、下記化学構造を有するものであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例4〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gに代えて、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン87.1gを用いて、実施例1と同様にして、分子末端にクロロホーメート基を有するポリカーボネート・オリゴマーを製造し、その塩化メチレン溶液200ミリリットルに塩化メチレンを加えて450ミリリットルとした。その後、実施例1で用いた、シリコーン化合物127gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gに代えて、下記のシリコーン化合物137gと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン5.9gとを用いた他は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。
Figure 2006328416
得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の還元粘度〔ηsp/c〕は、0.71デシリットル/gであった。また、1 H−NMRスペクトルを測定した結果、0ppmのシロキサンに基づく吸収ピークと、7〜8ppmの全芳香族水素に基づく吸収ピークとの強度比から、このものの共重合組成を算出した結果、〔a〕1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンに由来する繰返し単位と、〔b〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位とが、〔a〕:〔b〕=0.92:0.08であり、下記の化学構造を有するものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
上記(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を、実施例1の(2)と同様にして、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、IR分析の結果より、下記化学構造を有するものであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例5〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gに代えて、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン123gを用いて、実施例1と同様にして、分子末端にクロロホーメート基を有するポリカーボネート・オリゴマーを製造し、その塩化メチレン溶液200ミリリットルに塩化メチレンを加えて450ミリリットルとした。その後、実施例1で用いた、シリコーン化合物127gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gに代えて、実施例4と同一のシリコーン化合物40.7gと9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン20.4gを用いた他は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。
得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の還元粘度〔ηsp/c〕は、0.73デシリットル/gであった。また、1 H−NMRスペクトルを測定した結果、0ppmのシロキサンに基づく吸収ピークと、7〜8ppmの全芳香族水素に基づく吸収ピークとの強度比から、このものの共重合組成を算出した結果、〔a〕9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンに由来する繰返し単位と、〔b〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位とが、〔a〕:〔b〕=0.97:0.03であり、下記の化学構造を有するものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
上記(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を、実施例1の(2)と同様にして、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、IR分析の結果より、下記化学構造を有するものであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例6〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gに代えて、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン83.2gを用いて、実施例1と同様にして、分子末端にクロロホーメート基を有するポリカーボネート・オリゴマーを製造し、その塩化メチレン溶液200ミリリットルに塩化メチレンを加えて450ミリリットルとした。その後、実施例1で用いた、シリコーン化合物127gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gに代えて、下記のシリコーン化合物54.0gと1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン6.4gとを用いた他は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。
Figure 2006328416
得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の還元粘度〔ηsp/c〕は、0.74デシリットル/gであった。また、1 H−NMRスペクトルを測定した結果、0ppmのシロキサンに基づく吸収ピークと、1.7ppmのイソプロピリデン基に基づく吸収ピーク、および7〜8ppmの全芳香族水素に基づく吸収ピークとの強度比から、このものの共重合組成を算出した結果、〔a〕2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する繰返し単位と、〔b〕1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンに由来する繰返し単位、および〔c〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位とが、〔a〕:〔b〕:〔c〕=0.85:0.05:0.10であり、下記の化学構造を有するものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
上記(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を、実施例1の(2)と同様にして、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、IR分析の結果より、下記化学構造を有するものであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例7〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gに対して、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1gを用い、実施例1の(2)と同様にして、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、IR分析の結果より、下記化学構造を有するものであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(1)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例8〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gに対して、ジフェニルシラン0.1gを用い、実施例1の(2)と同様にして、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、IR分析の結果より、下記化学構造を有するものであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(1)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例9〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例4の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gに対して、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1gを用い、実施例1の(2)と同様にして、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、IR分析の結果より、下記化学構造を有するものであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(1)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例10〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例5の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gに対して、ジフェニルシラン0.1gを用い、実施例1と同様にして架橋反応を行うことにより、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を得た。この架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、下記に示すとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例11〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gに対して、メチルジエトキシシラン0.1gを用い、実施例1と同様にして架橋反応を行うことにより、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を得た。この架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、下記に示すとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例12〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例5の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gに対して、ジメチルエトキシシラン0.1gを用い、実施例1と同様にして架橋反応を行うことにより、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を得た。この架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、下記に示すとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例13〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例6の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gに対して、トリス(トリメチルシロキシ)シラン0.1gを用い、実施例1と同様にして架橋反応を行うことにより、架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を得た。この架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、下記に示すとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例14〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例1の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gと過酸化ベンゾイル0.1gを、塩化メチレン5ミリリットルに溶解し、これをポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、アプリケーターを用いてキャスト製膜した。ついで、これを1時間風乾した後、120℃に昇温して、常圧で8時間、架橋反応を行った。ひきつづき、140℃、1mmHgの条件で、12時間乾燥することにより、ラジカルによって架橋化したポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。ここで得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、IR分析の結果において、架橋前に観察されたビニル基に由来する吸収ピークが架橋後には消失したことから、下記のとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(1)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例15〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例4の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gを用いた他は、実施例14の(1)と同様にして、架橋化したポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。ここで得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、IR分析の結果から、下記のとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(1)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例16〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例6の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gを用いた他は、実施例14の(1)と同様にして、架橋化したポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。ここで得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、IR分析の結果から、下記のとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(1)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例17〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gに代えて、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン114gを用いて、実施例1と同様にして、分子末端にクロロホーメート基を有するポリカーボネート・オリゴマーを製造し、その塩化メチレン溶液200ミリリットルに塩化メチレンを加えて450ミリリットルとした。
その後、実施例1で用いた、シリコーン化合物127gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gに代えて、下記のシリコーン化合物79.2gと2,7−ナフタレンジオール7.2gとを用いた他は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の還元粘度〔ηsp/c〕は、0.70デシリットル/gであった。また、1 H−NMRスペクトルを測定した結果、0ppmのシロキサンに基づく吸収ピークと、7.9ppmの2,7−ナフタレンジオールに基づく吸収ピーク、および7〜8ppmの全芳香族水素に基づく吸収ピークの強度比から、このものの共重合組成を算出した結果、〔a〕ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタンに由来する繰返し単位と、〔b〕2,7−ナフタレンジオールに由来する繰返し単位、および〔c〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位とが、〔a〕:〔b〕:〔c〕=0.85:0.10:0.05であり、このものは下記の化学構造を有するものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
上記(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gを用い、かつ過酸化ベンゾイルの使用量を0.2gとした他は、実施例14の(1)と同様にして、架橋化したポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。ここで得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、IR分析の結果から、下記のとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例18〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gに代えて、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−テトラフルオロプロパン109gを用いて、実施例1と同様にして、分子末端にクロロホーメート基を有するポリカーボネート・オリゴマーを製造し、その塩化メチレン溶液200ミリリットルに塩化メチレンを加えて450ミリリットルとした。その後、実施例1で用いた、シリコーン化合物127gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gに代えて、下記のシリコーン化合物30.0gと4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン8.6gとを用いた他は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。
Figure 2006328416
得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の還元粘度〔ηsp/c〕は、0.77デシリットル/gであった。また、1 H−NMRスペクトルを測定した結果、0ppmのシロキサンに基づく吸収ピークと、7〜8ppmの全芳香族基に基づく吸収ピークの強度比およびモノマーの仕込み比から、このものの共重合組成を算出した結果、〔a〕2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−テトラフルオロプロパンに由来する繰返し単位と、〔b〕4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノンに由来する繰返し単位、および〔c〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位とが、〔a〕:〔b〕:〔c〕=0.80:0.10:0.10であり、このものは下記の化学構造を有するものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
上記(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gを用い、かつ過酸化ベンゾイルの使用量を0.2gとした他は、実施例14の(1)と同様にして、架橋化したポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。ここで得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、IR分析の結果から、下記のとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例19〕
(1)ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン74gに代えて、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル65.7gを用いて、実施例1と同様にして、分子末端にクロロホーメート基を有するポリカーボネート・オリゴマーを製造し、その塩化メチレン溶液200ミリリットルに塩化メチレンを加えて450ミリリットルとした。
その後、実施例1で用いた、シリコーン化合物127gと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブロパン5.0gに代えて、下記のシリコーン化合物60.0gと、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン11.3gとを用いた他は、実施例1と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を製造した。
Figure 2006328416
得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の還元粘度〔ηsp/c〕は、0.68デシリットル/gであった。また、1 H−NMRスペクトルを測定した結果、0ppmのシロキサンに基づく吸収ピークと、7〜8ppmの全芳香族基に基づく吸収ピークの強度比およびモノマーの仕込み比から、このものの共重合組成を算出した結果、〔a〕4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテルに由来する繰返し単位と、〔b〕4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンに由来する繰返し単位、および〔c〕上記シリコーン化合物の残基に由来する繰返し単位とが、〔a〕:〔b〕:〔c〕=0.85:0.10:0.05であり、このものは下記の化学構造を有するものと認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.25gを用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、上記の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.25gを用いた他は、実施例1と同様にして、架橋化したポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、IR分析の結果から、下記のとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(3)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(2)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔実施例20〕
(1)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造
実施例19の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gを用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、ジビニルベンゼン0.1gを用いた他は、実施例1と同様にして、架橋化したポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の化学構造は、IR分析の結果から、下記のとおりであると認められた。
Figure 2006328416
(2)架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の評価
上記(1)で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔比較例1〕
実施例17の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5gを、塩化メチレン5ミリリットルに溶解し、これをポリエチレンテレフタレート製のフィルム上に、アプリケーターを用いてキャスト製膜した以外は、実施例1の(2)と同様にして、ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂のフィルムを得た。上記で得られた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
〔比較例2〕
比較例1の(1)で用いた架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを原料とするポリカーボネート樹脂を用いた以外は、比較例と同様にしてフィルムを得た。ここで得られたポリカーボネート樹脂につき、実施例1の(3)と同様にして評価した。結果を第1表に示す。
Figure 2006328416
Figure 2006328416
〔実施例21〕
電荷発生物質のオキソチタニウムフタロシアニン0.5重量部と、バインダー樹脂のブチラール樹脂0.5重量部および溶媒の塩化メチレン19重量部を、ボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターにより、導電性基体として用いたアルミニウムを蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗工して乾燥させることにより、膜厚約0.5μmの電荷発生層を形成した。
つぎに、電荷輸送物質として4−ジベンジルアミノ−2−メチルベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン0.5gと、バインダー樹脂として前記実施例1の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.5g、架橋用の化合物として1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン0.1gを塩化メチレン5ミリリットルに溶解した後、触媒として白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体(白金原子として3〜3.5重量%のシクロビニルメチルシロキサン溶液)3mgを添加し、塗工液とした。この塗工液をアプリケーターにより、上記電荷発生層の上に塗布した。ついで、120℃、常圧、4時間の条件で架橋反応を行い、引続いて120℃、1mmHg、12時間の条件で乾燥を行ない、塩化メチレン不溶成分(架橋化物)を含有する約20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。
得られた電子写真感光体の電気特性(電子写真特性)の評価は、静電気帯電試験装置EPA−8100(株式会社川口電機製作所製)を用い、−6kvでコロナ放電を行った際の初期表面電位(V0 )、光照射(10Lux)から5秒後の残留電位(VR )、半減露光量(E1/2 )の測定により行った。また、耐摩耗性は、スガ摩耗試験機NUS−ISO−3型(スガ試験機社製)を用いて評価した。試験条件は、500gの荷重をかけた摩耗紙(スガ試験機社製:Al2 3 ;3μm)上で、試料を2000回往復運動させ、重量減少量を測定して評価した。さらに、耐汚染性は、水との接触角を測定することにより、評価した。これら結果を第2表に示す。
〔実施例22〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。この場合にも、塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例23〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例3の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例24〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例4の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例25〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例5の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例26〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例6の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例27〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例28〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、ジフェニルシラン0.1gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例29〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例4の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン0.1gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例30〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例5の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、ジフェニルシラン0.1gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例31〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、メチルジエトキシシラン0.1gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例32〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例5の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、ジメチルエトキシシラン0.1gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例33〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例6の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、トリス(トリメチルシロキシ)シラン0.1gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例34〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例2の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.25g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、実施例19の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂0.25gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔実施例35〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例19の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を0.5g用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンの代わりに、ジビニルベンゼン0.1gを用いた他は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。塗布から乾燥に至る過程で、電荷輸送層が結晶化することはなかった。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔比較例3〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを原料とするポリカーボネート樹脂を用い、架橋用の化合物および触媒を用いなかったこと以外は、実施例21と同様にして積層型電子写真感光体を作製した。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
〔比較例4〕
電荷輸送層のバインダー樹脂として、実施例17の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いた他は、比較例3と同様にして、積層型電子写真感光体を作製した。上記で得られた積層型電子写真感光体につき、実施例21と同様にして、電気特性(電子写真特性)、耐摩耗性および耐汚染性の評価をした。これら評価結果を第2表に示す。
Figure 2006328416
〔実施例36〕
クロロプレンゴム100重量部に、カーボンブラック(電気化学工業社製:デンカブラック;平均粒径40μm、吸油量125ミリリットル/g、表面積45m2 )を溶融混練し、中心に直径10mm、長さ330mmのステンレス軸を通して、直径20mm、長さ300mmとなるように成形し、一次帯電ロールを作製した。
つぎに、実施例1の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂20重量部と、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン2重量部、およびカーボンブラック(電気化学工業社製:デンカブラック;平均粒径40μm、吸油量125ミリリットル/g、表面積45m2 )1重量部を塩化メチレン200重量部に溶解した後、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体(白金原子として3〜3.5重量%のシクロビニルメチルシロキサン溶液)を0.12重量部添加した後、上記の一次帯電ロールの表面に浸漬塗工し、120℃、常圧、4時間の条件下に架橋反応をおこなった後、120℃、1mmHg、12時間の条件下に乾燥を行い、帯電ロールを作製した。乾燥後の表面保護層の厚さは、200μmであった。
得られた帯電ロールの表面保護層の帯電の均一性、耐久性、耐汚染性については、下記の方法により測定した。帯電の均一性、耐久性は、上記帯電ロールを電子写真複写機に組込み、複写画像の初期の10枚につき、画像濃度、画像欠陥、耐久画像欠陥(キズに起因するすじ)を観察することにより評価した。また、耐汚染性は、アルミニウム平板上に、上記と同一組成の表面保護層を作製し、この層の水に対する接触角を測定した。これら結果を第3表に示す。なお、画像濃度は、マクベス濃度計で1.3のベタ原稿を複写した際、1.2以上に再現できるものを◎、1.1以上で1.2未満のものを○、1.0以上で1.1未満のものを△、1.0未満のものを×として、表中に示す。
〔実施例37〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例2の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例38〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例3の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例39〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例4の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例40〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例5の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例41〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例6の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例42〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例2の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン2重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例43〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例2の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、ジフェニルシラン2重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例44〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例4の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン2重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例45〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例5の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、ジフェニルシラン2重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例46〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例2の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、メチルジエトキシシラン2重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例47〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例5の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、ジメチルエトキシシラン2重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例48〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例6の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、トリス(トリメチルシロキシ)シラン2重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例49〕
実施例36で用いた1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、過酸化ベンゾイル4重量部を用い、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体(白金原子として3〜3.5重量%のシクロビニルメチルシロキサン溶液)を添加しなかった他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例50〕
実施例49で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例4の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例49と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例51〕
実施例49で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例6の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例49と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例52〕
実施例49で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例17の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例49と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例53〕
実施例49で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例8の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用いた他は、実施例49と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例54〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例2の(1)で得られた共重合樹脂10重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、実施例19の(1)で得られたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂10重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔実施例55〕
実施例36で用いたポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂に代えて、実施例19の(1)で得られた共重合樹脂20重量部を用い、1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼンに代えて、ジビニルベンゼン2重量部を用いた他は、実施例36と同様にして、帯電ロールを作製した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
〔比較例5〕
特開平7−230201号公報の実施例1に記載された製造方法に従って、帯電ロールを製造した。上記で得られた帯電ロールにつき、実施例36と同様にして、帯電の均一性、耐久性、耐汚染性の評価を行った。結果を第3表に示す。
Figure 2006328416
Figure 2006328416
本発明の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂は、優れた耐汚染性を有するとともに、高い耐摩耗性を有し、電子写真プロセスなどの電子機器の部材を構成する素材として有用性の高いものである。また、本発明の電子写真感光体や導電性ロール用コーティング材、フィルム、シートは、いずれも上記架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を用いていることから、耐汚染性と耐摩耗性にすぐれ、耐久性の向上した製品が得られる。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂を、この共重合体鎖のシロキサンを含む繰返し単位において、他の共重合体鎖と結合させることを特徴とする架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
  2. 前記シロキサンを含む繰返し単位中に、炭素−炭素不飽和結合、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基、珪素原子に隣接した炭素原子上に水素原子が1つ以上結合した脂肪族基から選ばれた少なくとも1つの基を有し、これら基において、他の共重合体鎖との結合を形成させる請求項1に記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
  3. 前記シロキサンを含む繰返し単位中に、珪素原子に直結したメチル基および/またはビニル基を有するポリカーボネート−シロキサン共重合体を用いて、他の共重合体鎖との結合を形成させる請求項1に記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
  4. 前記シロキサンを含む繰返し単位における他の共重合体鎖との結合を、ラジカル開始剤を用いて行う請求項1に記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
  5. 前記シロキサンを含む繰返し単位における他の共重合体鎖との結合を、分子骨格中に、珪素−水素結合を2つ以上有する化合物を用いて行う請求項2または3に記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
  6. 前記シロキサンを含む繰返し単位における他の共重合体鎖との結合を、分子骨格中に、珪素−水素結合および加水分解により珪素−水酸基結合を生ずる基を有する化合物を用いて行う請求項2または3に記載の架橋型ポリカーボネート−シロキサン共重合樹脂の製造法。
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