JP2006315364A - 複合フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 第1のフィルム11と、含アミノ有機シリコン化合物から形成されるプライマ層12aと、アルカリシリケート膜12bと、接着剤層13と、第2のフィルム14を有し、この順にこれら5つの層が積層されており、前記アルカリシリケート膜12bが前記プライマ層12aに接していることを特徴とする複合フィルム10。
【選択図】 図1
Description
蒸着法により得られるガスバリア性フィルムは、ガスバリア性に優れるものの、生産性や機械的な耐久性に劣り、フィルムの曲げや揉みによって細かなクラックが生じ、ガスバリア性の性能面の低下が指摘されている。コーティング法により得られるガスバリア性フィルムは、曲げや揉みによる性能面の低下は少ないが、逆に生産性を考慮して塗布量を下げ乾燥時間を短くするとガスバリア性が低下する。このようにガスバリア性の向上と生産性の改善は、相反する性質がある。
特許文献1(東セロ株式会社)に記載のガスバリア性皮膜形成用組成物およびフィルムには、水分散性重合体(合成樹脂)と水ガラス(無機化合物)の混合により透明性が低下すること、ガスバリア性を上げると接着性が低下することなどの問題がある。
特許文献2(王子製紙株式会社)に記載のガスバリアー性積層体及びその製造方法には、ガスバリア性が不十分であること、塗膜の乾燥に大きな乾燥エネルギーを要することなどの問題がある。
特許文献3(三菱化学株式会社)に記載のガスバリア性コーティング剤組成物およびガスバリア性積層フィルムには、ガスバリア性が不十分であること、塗膜の乾燥に大きな乾燥エネルギーを要することなどの問題がある。
式(1)中、R1はアミノ基を有する炭化水素基を、OR2はアルコキシ基を示す。
式(2)中、R3およびR4のうち少なくとも一つはアミノ基を有する炭化水素基を、OR5はアルコキシ基を示す。
式(3)中、R6、R7およびR8のうち少なくとも一つはアミノ基を有する炭化水素基を、OR9はアルコキシ基を示す。
本発明の請求項5に記載の複合フィルムは、請求項2に記載の複合フィルムにおいて、前記含アミノ有機シリコン化合物が3−アミノプロピルトリアルコキシシランであり、前記カルボニル化合物がアセトンであることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の複合フィルムは、請求項1ないし5のいずれかに記載の複合フィルムにおいて、前記アルカリシリケート膜がケイ酸リチウムであることを特徴とする。
本発明の請求項8に記載の複合フィルムは、請求項1ないし7のいずれかに記載の複合フィルムにおいて、前記第1のフィルムおよび第2のフィルムのうちシーラント層となるフィルムは、ポリオレフィン系フィルムであることを特徴とする。
本発明の請求項9に記載の複合フィルムは、請求項1ないし8のいずれかに記載の複合フィルムにおいて、前記接着剤層は、縮重合可能なシリコン化合物を含有する接着剤が硬化してなるものであることを特徴とする。
図1は、本発明の複合フィルムの一例を示す模式的断面図である。この複合フィルム10は、基材フィルム11と、含アミノ有機シリコン化合物から形成されるプライマ層12aと、アルカリシリケート膜12bと、接着剤層13と、シーラント層14を有し、この順にこれら5つの層が積層されており、前記アルカリシリケート膜12bが前記プライマ層12aに接していることを特徴とする。図1の層構成の場合、請求項に係る第1のフィルムは基材フィルム11であり、請求項に係る第2のフィルムはシーラント層14である。また、プライマ層12aとアルカリシリケート膜12bとにより、ガスバリア性を有するバリアコート層12が構成される。
第1のフィルム11とプライマ層12aとの間には、第1のフィルム11上へのプライマ層12aの形成に支障のない限り、印刷インキ層などの他の層を介在させても良い。アルカリシリケート膜12bと接着剤層13との間には、両者の接着に支障のない限り、印刷インキ層などの他の層を介在させても良い。接着剤層13と第2のフィルム14との間には、両者の接着に支障のない限り、印刷インキ層などの他の層を介在させても良い。
基材フィルム11の厚みは特に限定されず、包装適性や機械的強度を考慮して適宜選択することができる。通常は3〜200μm、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは10〜50μm程度とすることができる。
プライマ層12aは、好ましくは、アミノ基を有し加水分解によって縮重合可能な含アミノ有機シリコン化合物と、前記アミノ基と反応してイミン化合物を生成するカルボニル化合物とを混合して得られる皮膜が好ましい。
具体例として、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン;3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン等が挙げられる。さらに、これらの含アミノ有機シリコン化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ただし、式(1)中、R1はアミノ基を有する炭化水素基を、OR2はアルコキシ基を示す。式(2)中、R3およびR4のうち少なくとも一つはアミノ基を有する炭化水素基を、OR5はアルコキシ基を示す。式(3)中、R6、R7およびR8のうち少なくとも一つはアミノ基を有する炭化水素基を、OR9はアルコキシ基を示す。
なかでも化学式(1)で表される化合物が好ましい。
シリコン処理液を塗布するに際して、前記含アミノ有機シリコン化合物と前記カルボニル化合物とを混合した後、得られたシリコン処理液を液温15〜35℃にて5分〜600時間の範囲で静置(エージング)した後に第1のフィルム11上にコーティングすることが望ましい。前記静置時間は、カルボニル化合物がアセトンの場合、72時間〜600時間の範囲が好ましく、カルボニル化合物がメチルエチルケトンの場合、5分〜60分の範囲が好ましい。
アルカリシリケート膜12bを構成するアルカリシリケート(アルカリ金属ケイ酸塩)としては、リチウムシリケート(ケイ酸リチウム)、ナトリウムシリケート(ケイ酸ナトリウム)、カリウムシリケート(ケイ酸カリウム)などが挙げられるが、なかでもリチウムシリケートの場合には、アルカリシリケート膜12bとして、ガスバリア性に極めて優れたリチウムポリシリケート層が形成されるため、好適である。さらに、リチウムシリケートが含有するSiO2とLi2Oとのモル比(SiO2/Li2O)は2.0〜7.0が好ましく、より好ましくは3.0〜6.0である。
シーラント層14の厚みは特に限定されず、包装適性や機械的強度を考慮して適宜選択することができる。通常は3〜200μm、好ましくは5〜100μmとすることができる。
(1) 前記含アミノ有機シリコン化合物と、前記カルボニル化合物とを混合してシリコン処理液とする混合工程、
(2) 前記シリコン処理液を第1のフィルム11上にコーティングする処理液コーティング工程、
(3) 第1のフィルム11上にコーティングされた前記シリコン処理液を乾燥してプライマ層12aとするプライマ層形成工程、
(4) 前記プライマ層12aの直上にアルカリシリケート溶液をコーティングするシリケートコーティング工程、
(5) 前記プライマ層12aの直上にコーティングされた前記アルカリシリケート溶液を乾燥してアルカリシリケート膜12bを形成するアルカリシリケート膜形成工程、
(6) 前記アルカリシリケート膜12bの上に接着剤層13を介して第2のフィルム14を貼着する貼着工程。
図2は、本発明の複合フィルムの第2の例を示す模式的断面図である。この複合フィルム20は、第1の基材フィルム21と、第1の接着剤層22と、第1のアルカリシリケート膜23bと、第1のプライマ層23aと、第2の基材フィルム24と、第2のプライマ層25aと、第2のアルカリシリケート膜25bと、第2の接着剤層26と、シーラント層27とを有し、この順にこれら10の層が積層されており、第1のアルカリシリケート膜23bが第1のプライマ層23aに接しており、第2のアルカリシリケート膜25bが第2のプライマ層25aに接していることを特徴とする。図2に示す層構成の場合、請求項に係る第1のフィルムは第2の基材フィルム24であり、請求項に係る第2のフィルムは、第1の基材フィルム21およびシーラント層27である。また、第1のプライマ層23aとアルカリシリケート膜23bとにより第1のバリアコート層23が構成されており、第2のプライマ層25aとアルカリシリケート膜25bとにより第2のバリアコート層25が構成されている。
(1) 前記含アミノ有機シリコン化合物と、前記カルボニル化合物とを混合してシリコン処理液とする混合工程、
(2) 前記シリコン処理液を第1のフィルム24上の両面にコーティングする処理液コーティング工程、
(3) 第1のフィルム24上にコーティングされた前記シリコン処理液を乾燥してプライマ層23a、25aとするプライマ層形成工程、
(4) 各プライマ層23a、25aの直上にアルカリシリケート溶液をコーティングするシリケートコーティング工程、
(5) 各プライマ層23a、25aの直上にコーティングされたアルカリシリケート溶液を乾燥してアルカリシリケート膜23b、25bを形成するアルカリシリケート膜形成工程、
(6) 各アルカリシリケート膜23b、25bの上に接着剤層22、26を介して第2のフィルム21、27を貼着する貼着工程。
(1) 前記含アミノ有機シリコン化合物と、前記カルボニル化合物とを混合してシリコン処理液とする混合工程、
(2) 前記シリコン処理液を第1のフィルム34上にコーティングする処理液コーティング工程、
(3) 第1のフィルム34上にコーティングされた前記シリコン処理液を乾燥してプライマ層33aとするプライマ層形成工程、
(4) プライマ層33aの直上にアルカリシリケート溶液をコーティングするシリケートコーティング工程、
(5) プライマ層33aの直上にコーティングされたアルカリシリケート溶液を乾燥してアルカリシリケート膜33bを形成するアルカリシリケート膜形成工程、
(6) アルカリシリケート膜33bの上に第1の接着剤層32を介して第2のフィルム31を貼着する貼着工程。
(7) 第1のフィルム(第2の基材フィルム)34の下面(バリアコート層33とは反対側の面)に第2の接着剤層35を介してシーラント層36を貼着するシーラント層貼着工程。
前記したように、接着剤層は1分子中に2個以上のOH基を有する化合物(ポリオール)と、1分子中に2個以上のNCO基を有する化合物(ポリイソシアネート)との混合系が好ましい。また縮重合可能なシリコン化合物を含有する接着剤を用いることによりアルカリシリケート膜への密着性が向上する。
ここでは、接着主剤(ポリオール)として大日本インキ化学工業株式会社製の商品名ディックドライLX71を100部、硬化剤(ポリイソシアネート)として大日本インキ化学工業株式会社製の商品名KR90を10部、添加剤としてトリアルコキシシランを含有する日本ユニカー株式会社製の商品名A187を0.62部を配合し、接着剤Cを調製した。
片面にコロナ処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)のコロナ処理面に、25℃で75時間エージング調製した3−アミノプロピルトリメトキシシラン溶液(濃度1%のアセトン溶液)を塗布量0.1g/m2(固形分)になるようバーコーターにて塗工し、温度120℃にて10秒間乾燥した後、リチウムシリケート溶液(濃度20%の水溶液)を塗布量0.5g/m2(固形分)になるようバーコーターにて塗工し、温度120℃にて10秒間乾燥して積層体(A−1)を得た。
この積層体(A−1)に上記接着剤Cを3g/m2(固形分)塗工し、片面にコロナ処理を施したポリエチレンフィルム(厚さ60μm)のコロナ処理面を上記接着剤C面に向けてラミネートし、実施例1に係る複合フィルム(B−1)を得た。この複合フィルム(B−1)を実施例1のサンプルとした。
片面にコロナ処理を施した二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)のコロナ処理面に、25℃で75時間エージング調製した3−アミノプロピルトリメトキシシラン溶液(濃度1%のアセトン溶液)を塗布量0.1g/m2(固形分)になるようバーコーターにて塗工し、温度120℃にて10秒間乾燥した後、リチウムシリケート溶液(濃度20%の水溶液)を塗布量0.5g/m2(固形分)になるようバーコーターにて塗工し、温度120℃にて10秒間乾燥して積層体(A−2)を得た。
この積層体(A−2)に上記接着剤Cを3g/m2(固形分)塗工し、片面にコロナ処理を施したポリエチレンフィルム(厚さ60μm)のコロナ処理面を上記接着剤C面に向けてラミネートし、実施例2に係る複合フィルム(B−2)を得た。この複合フィルム(B−2)を実施例2のサンプルとした。
片面にコロナ処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)のコロナ処理面に、25℃で75時間エージング調製した3−アミノプロピルトリメトキシシラン溶液(濃度1%のアセトン溶液)を塗布量0.1g/m2(固形分)になるようバーコーターにて塗工し、温度120℃にて10秒間乾燥した後、リチウムシリケート溶液(濃度20%の水溶液)を塗布量0.7g/m2(固形分)になるようバーコーターにて塗工し、温度120℃にて10秒間乾燥して積層体(A−3)を得た。
この積層体(A−3)に上記接着剤Cを3g/m2(固形分)塗工し、片面にコロナ処理を施したポリエチレンフィルム(厚さ60μm)のコロナ処理面を上記接着剤C面に向けてラミネートし、実施例2に係る複合フィルム(B−3)を得た。この複合フィルム(B−3)を実施例3のサンプルとした。
実施例1で作製した積層体(A−1)を比較例1のサンプルとした。
実施例2で作製した積層体(A−2)を比較例2のサンプルとした。
実施例3で作製した積層体(A−3)を比較例3のサンプルとした。
(1)外観
目視にて判定し、曇りがない場合を「○」、曇りがある場合を「×」とした。
(2)耐水性
各サンプルを水温25℃の水に浸漬した後、バリアコート層の外観を目視にて判定し、曇りがない場合を「○」、曇りがある場合を「×」とした。
MOCON社製の酸素測定装置(商品名OXTAN)を用いて温度23℃、相対湿度60%の環境下で測定した。ここで、酸素透過度の単位はcm3/(m2・day)である。
比較例の各サンプルにおいて、バリアコート層上にセロハン粘着テープを貼り付けて剥離した後、バリアコート層の剥離がない状態を「○」、剥離がある場合を「×」とした。
なお、実施例のサンプルではバリアコート層が露出していないので、本評価方法による接着性は測定できない。
実施例の各サンプルにおいて、複合フィルムより幅15mmの試験片を作製し、該試験片のT型剥離強度を単位N/15mmによりラミネート強度を測定した。
上記評価による結果を表1に示す。なお、表1において、PETはポリエチレンテレフタレートを、ONは二軸延伸ナイロンを表す。
Claims (11)
- 第1のフィルムと、含アミノ有機シリコン化合物から形成されるプライマ層と、アルカリシリケート膜と、接着剤層と、第2のフィルムを有し、この順にこれら少なくとも5つの層が積層されており、前記アルカリシリケート膜が前記プライマ層に接していることを特徴とする複合フィルム。
- 前記プライマ層が、アミノ基を有し加水分解によって縮重合可能な含アミノ有機シリコン化合物と、前記アミノ基と反応してイミン化合物を生成するカルボニル化合物とを混合して得られる皮膜であることを特徴とする請求項1に記載の複合フィルム。
- 前記カルボニル化合物は、ケトン化合物であることを特徴とする請求項2または3に記載の複合フィルム。
- 前記含アミノ有機シリコン化合物が3−アミノプロピルトリアルコキシシランであり、前記カルボニル化合物がアセトンであることを特徴とする請求項2に記載の複合フィルム。
- 前記アルカリシリケート膜がケイ酸リチウムであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の複合フィルム。
- 前記第1のフィルムおよび/または第2のフィルムは、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリオレフィン系フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の複合フィルム。
- 前記第1のフィルムおよび第2のフィルムのうちシーラント層となるフィルムは、ポリオレフィン系フィルムであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の複合フィルム。
- 前記接着剤層は、縮重合可能なシリコン化合物を含有する接着剤が硬化してなるものであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の複合フィルム。
- アミノ基を有し加水分解によって縮重合可能な含アミノ有機シリコン化合物と、前記アミノ基と反応してイミン化合物を生成するカルボニル化合物とを混合してシリコン処理液とする混合工程と、
前記シリコン処理液を第1のフィルム上にコーティングする処理液コーティング工程と、
前記第1のフィルム上にコーティングされた前記シリコン処理液を乾燥してプライマ層とするプライマ層形成工程と、
前記プライマ層の直上にアルカリシリケート溶液をコーティングするシリケートコーティング工程と、
前記シリケートコーティング工程後、前記プライマ層の直上にコーティングされた前記アルカリシリケート溶液を乾燥してアルカリシリケート膜を形成するアルカリシリケート膜形成工程と、
前記アルカリシリケート膜の上に接着剤を介して第2のフィルムを貼着する貼着工程と
を有することを特徴とする複合フィルムの製造方法。 - 前記シリコン処理液中の前記含アミノ有機シリコン化合物の濃度が0.1〜10質量%であり、前記シリコン処理液は、前記含アミノ有機シリコン化合物と前記カルボニル化合物とを混合した後、液温15〜35℃で5分〜600時間の範囲で静置した後に第1のフィルム上にコーティングすることを特徴とする請求項10に記載の複合フィルムの製造方法。
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