JP2006312711A - インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録用インク及びインクジェット画像記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録用インク及びインクジェット画像記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた定着性を維持しつつ、滲みや隣接する噴射インクの打滴干渉が抑制され、高画質な画像を形成することができるインクジェット記録用インクセット、インクジェット記録用インク及びインクジェット画像記録方法を提供すること。
【解決手段】第1の液体及び第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットであって、前記第1の液体が、金属化合物を溶解してなり、前記複数種の液体の少なくとも1つが、重合性化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセット、及び前記第1の液体を組成とするインクジェット記録用インク、並びに前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に同時又はいずれか一方を先に、他方をその後に、両液体が接触するように付与することによって画像を形成するインクジェット画像記録方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録用インク、及びインクジェット画像記録方法に関し、詳細には、多液凝集型のインクジェット画像記録方法に用いられるインクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録用インク、並びに高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法に関する。
ノズル等のインク吐出口からインクを吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、印字媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から多くのプリンターに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び、熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用しインクを吐出する熱インクジェット方式は高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
現在、インクジェットプリンターにより、普通紙或いはプラスチックなど非吸水性の記録媒体に印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっている。特に、印字後の液滴の乾燥に時間が掛かると、画像の滲みが生じやすく、また、隣接するインク液滴間の混合による打滴干渉が生じ、鮮鋭な画像形成の妨げとなるばかりでなく、非吸水性記録媒体を用いた場合、溶剤の乾燥が極めて遅いために印字直後には記録物を重ねずに乾燥させる必要があるなど、実用上の問題があった。尚、打滴干渉とは、隣接して打滴された液滴同士が表面エネルギーを低下させるため(表面積を小さくするため)に、合一する現象である。隣接する液滴が合一するときに液滴の移動が起こるために、着弾した位置からずれ、特に着色剤を含むインクで細線を描く場合には、線幅の不均一が生じ、面を描写する場合には、ムラとなって現れる。
画像のにじみや打滴干渉の抑制のため、インクの硬化を促進する方法の一つとして、インク溶媒の揮発ではなく放射線によって硬化し固着するインクジェット用インクが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これらのインクでは、重合性化合物と重合開始剤が共存しているために、インク保存中に好ましくない重合反応が起こりやすく、保存安定性が十分ではない場合があった。
保存性と高速乾燥性との両立を目的として、2液式のインクを用いて、記録媒体上で両者を反応させる技術が提案され、例えば、塩基性ポリマーを有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有するインクを記録する方法(例えば、特許文献2参照。)、カチオン性物質を含む液体組成物を適用した後、アニオン性化合物と色材を含有するインクを適用する方法(例えば、特許文献3参照。)、また、一方に光硬化型樹脂を、もう一方に光重合開始剤を含んだインクを用いる記録方法(例えば、特許文献4参照。)などが開示されている。
しかし、これらの方法は、染料自体の析出により画像のにじみを抑制させようとするものであり、打滴干渉を抑制しうるものではなく、また、水性溶媒を含むため、乾燥速度が遅く、さらに、析出した染料が記録媒体上に不均一に分布しやすく、画質の低下を招く懸念もあった。
特開平5−214279号公報 特開昭63−60783号公報 特開平8−174997号公報 特許第3478495号明細書
本発明の目的は、長期保存安定性と優れた定着性を維持すると共に、滲みや隣接する噴射インクの打滴干渉が抑制され、高画質な画像を形成することができるインクジェット記録用インクセット、及びインクジェット記録用インクを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、優れた定着性を維持しつつ、滲みや隣接する噴射インクの打滴干渉が抑制され、高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明のインクジェット記録用インクセットは、
<1> 第1の液体及び第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
前記第1の液体が、金属化合物を溶解してなり、
前記複数種の液体の少なくとも1つが、重合性化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセットである(以下、本発明の第1の態様という。)。
<2> 前記金属化合物が、脂肪族カルボン酸の金属塩又は1,3−ジケトン金属化合物であることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<3> 前記金属化合物の金属が、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<4> 前記第1の液体が、着色剤を実質的に含有しないことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<5> 前記第2の液体が、着色剤を含有することを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<6> 前記第2の液体が、金属化合物を実質的に含有しないことを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<7> 前記第2の液体が、重合性化合物を含有することを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<8> 前記第1の液体と前記第2の液体とが、それぞれに重合性化合物を含有することを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<9> 前記金属化合物を含有する液体のうち少なくとも1つに、高沸点有機溶媒を含有してなることを特徴とする前記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<10> 前記複数種の液体が溶媒を含有するとき、該溶媒が実質的に水溶性の液体を含有しないことを特徴とする前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<11> 前記高沸点有機溶媒が、100℃以上の沸点を有することを特徴とする前記<9>又は<10>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<12> 前記着色剤が、油溶性染料又は顔料であることを特徴とする前記<5>〜<11>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<13> 前記着色剤が、顔料であることを特徴とする前記<12>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
また、本発明のインクジェット記録方法は、
<14> 第1の液体と第2の液体とを少なくとも含み、複数種の液体から構成される前記<1>〜<13>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、
前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に、両液体が接触するように付与することによって画像を形成することを特徴とするインクジェット画像記録方法である(以下、本発明の第2の態様という。)。
<15> 前記第1の液体を記録媒体上に付与すると同時、又は付与した後に、前記第2の液体をインクジェットノズルによって噴射し画像を形成することを特徴とする前記<14>に記載のインクジェット画像記録方法である。
<16> 前記第1の液体を記録媒体上に付与する手段が、塗布装置を用いた塗布であり、第1の液体を塗布した後に第2の液体をインクジェットノズルによって噴射することを特徴とする前記<14>又は<15>に記載のインクジェット画像記録方法である。
<17> 前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に付与する手段が、インクジェットノズルによる噴射であることを特徴とする前記<14>又は<15>に記載のインクジェット画像記録方法である。
<18> 記録媒体上に形成された画像に、エネルギーを付与して画像を固定する工程を設けたことを特徴とする前記<14>〜<17>のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法である。
<19> 前記エネルギーの付与が、光照射又は加熱により行われることを特徴とする前記<18>に記載のインクジェット画像記録方法である。
更に、本発明のインクジェット記録用インクは、
<20> 少なくとも、高沸点有機溶媒と、金属化合物とを含有するインクジェット記録用インクである(以下、本発明の第3の態様という。)。
<21> 前記金属化合物が、脂肪族カルボン酸の金属塩又は1,3−ジケトン金属化合物であることを特徴とする前記<20>に記載のインクジェット記録用インクである。
<22> 前記金属化合物の金属が、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする前記<20>又は<21>に記載のインクジェット記録用インクである。
<23> 更に、重合開始剤を含有することを特徴とする前記<20>〜<22>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクである。
<24> 着色剤を実質的に含有しないことを特徴とする前記<20>〜<23>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクである。
<25> 重合性化合物を実質的に含有しないことを特徴とする前記<20>〜<24>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクである。
<26> 少なくとも1つの液体で重合性化合物を含有してなる複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットに用いることを特徴とする前記<20>〜<25>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクである。
本発明によれば、長期保存安定性と優れた定着性を維持すると共に、滲みや隣接する噴射インクの打滴干渉が抑制され、高画質な画像を形成することができるインクジェット記録用インクセット及びインクジェット記録用インクを提供することができる。
また、優れた定着性を維持しつつ、滲みや隣接する噴射インクの打滴干渉が抑制され、高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法を提供することができる。
以下では、始めに本発明の第1の態様である、インクジェット記録用インクセットについて、次に本発明の第3の態様である、インクジェット記録用インクについて、引き続いて本発明の第2の態様である、インクジェット画像記録方法について説明を行う。
<インクジェット記録用インクセット:本発明の第1の態様>
本発明のインクジェット記録用インクセット(以下、単に「インクセット」ということがある。)は、第1の液体及び第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットであって、前記第1の液体が、金属化合物を溶解してなり、前記複数種の液体の少なくとも1つが、重合性化合物を含有することを特徴とする。
ここで、「溶解」とは、第1の液体に25℃において、0.05g/cm3以上溶けることをいう。このように本発明にかかる金属化合物を第1の液体に溶解させるには、第1の液体自身が油性であることが好適であり、仮に第1の液体が溶媒を含有する場合には該溶媒として高沸点有機溶媒を用いることが好ましく、実質的に水溶性溶媒を含まないことが好ましい。
このような第1の液体を用いることにより、これに含まれる金属化合物が着色剤の記録媒体上の拡散を抑制し、その結果、滲みや打滴干渉を効果的に抑制でき、また色分かれが無い画像を得ることができる。
また、金属化合物が記録媒体上での着色剤の拡散を抑えるという本発明の特徴から、金属化合物と着色剤とは別々の液体に含有させることが好ましく、金属化合物を含有する第1の液体には、着色剤を実質的に含有しないことが好ましく、一方、第2の液体には、着色剤を含有することが好ましい。よって、着色剤を含有する第2の液体には、金属化合物を実質的に含有しないことが好適である。
また、第2の液体に重合性化合物を含有させることも好ましい。なお、第1の液体及び第2の液体ともに重合性化合物を含有させる場合も、両液間の馴染みが良好となるため、好ましい態様である。
また、本発明においては、優れた定着性を得る観点から、上記インクセットを構成する複数種の液体(上記第1の液体及び第2の液体を含む)の内、少なくともいずれかに、重合性化合物を硬化させるための重合開始剤を含有することが好ましい。該重合開始剤は、液体の保存安定性の観点から、重合性化合物を含まない液体中に含有させることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まず上記複数種の液体を構成する成分について述べる。
[金属化合物]
本発明においては、第1の液体に金属化合物を含有する。既述のように、金属化合物は、記録媒体上での着色剤の拡散を抑えると推測され、上記条件を満たす第1の液体と第2の液体とを付与することにより、滲みや打滴干渉を効果的に抑制できる。
金属化合物としては脂肪族カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、乳酸、ピルビン酸等)の金属塩、芳香族カルボン酸(例えば安息香酸、サリチル酸、フタル酸、桂皮酸等)の金属塩、脂肪族スルホン酸(例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、2−エチルヘキサンスルホン酸等)の金属塩、芳香族スルホン酸(ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等)の金属塩、または1,3−ジケトン金属化合物があげられ、これらのうち脂肪族カルボン酸の金属塩または1,3−ジケトン金属化合物が好ましい。
前記脂肪族カルボン酸としては直鎖でも分岐でも環状でもよく、炭素数2〜40が好ましく、炭素数6〜25がより好ましい。また、置換基を有していてもよく、該置換基としてはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
置換基としてのアリール基として、好ましくは、フェニル基、アルキルフェニル基(例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、クメニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基)、ナフチル基、フロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、アセトキシフェニル基、シアノフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
置換基としてのアルコキシ基として、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基であり、より好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基である。
置換基としてのアリールオキシ基として、好ましくは、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、クメニルオキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、ナフチルオキシ基、クロロフェノキシ基、ヒドロキシフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、アセトキシフェノキシ基であり、より好ましくはフェノキシ基である。
置換基としてのハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。
置換基としてのカルバモイル基として、好ましくは、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基など)、アリールカルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基)であり、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基がより好ましい。
置換基としてのアミノ基として、好ましくは、1級アミノ基、N−置換アミノ基(例えば、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、N−ヘキシルアミノ基、N−オクチルアミノ基、N−ベンジルアミノ基)、N,N−2置換アミノ基(例えば、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−エチル−N−オクチルアミノ基、N−メチル−N−ベンシルアミノ基)であり、N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基がより好ましい。
特に好ましい脂肪族カルボン酸は、n−ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、n−オクタン酸、ラウリル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸である。さらにはエチレンジアミン4酢酸も好ましく挙げることができる。
前記1,3−ジケトンとしては、直鎖でも分岐でも環状でもよく、炭素数5〜40が好ましく、炭素数5〜25がより好ましい。例えば、2,4−ペンタジオン、3,5−ヘプタジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタジオン、4,6−ノナジオン、7,9−ペンタデカジオン、2,4−ジメチル−7,9−ペンタデカジオン、2−アセチルシクロペンタノン、2−アセチルシクロヘキサノン、3−メチル−2,4−ペンタジオン、3−(2−エチルヘキシル)2,4−ペンタジオン、3−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンジル]−2,4−ペンタジオン等があげられ、2,4−ペンタジオン、7,9−ペンタデカジオン、3−[4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンジル]−2,4−ペンタジオンが好ましい。
これらの基は、更に置換基を有していてもよく、該置換基としてはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。置換基としてより好ましいアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルバモイル基、アミノ基については、上記脂肪族カルボン酸の場合と同様である。
前記金属化合物の金属としては、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群より選択される1種を挙げることができ、中でも亜鉛、アルミニウム、ニッケルが好ましく、特に亜鉛が好ましい。
本発明における好ましい脂肪族カルボン酸の金属塩として、以下のものを挙げることができる。
Figure 2006312711
さらに、本発明における好ましい1,3−ジケトン金属化合物として、以下の具体例を挙げることができる。
Figure 2006312711
脂肪族カルボン酸の金属塩及び1、3−ジケトン金属化合物は、溶液中での錯形成反応により合成することが可能である。あるいは、これに限定されず、その他の公知の方法を採用することもできる。
上記金属化合物は、少なくとも第1の液体に含有する。本発明における金属化合物の好ましい使用量は、上記複数種の液体全体に対して1質量%〜90質量%が好ましく、5質量%〜75質量%が更に好ましく、10質量%〜50質量%が特に好ましい。上記使用量より少ないと、本発明の効果を有効に発揮できない場合があり、一方、多過ぎると高粘になるため、インク液の吐出性に問題が生じる場合がある。
また、第1の液体以外の液体(第2の液体など)は、金属化合物を含有しても、含有しなくてよいが、本発明においては実質的に金属化合物を含有しないことが好ましい。具体的には、金属化合物の含有率、特に着色剤を含有する液体における金属化合物の含有率は、0質量%〜10質量%が好ましく、0質量%〜5質量%がより好ましい。
[着色剤]
本発明においては、第1の液体及び第2の液体を含む複数種の液体のうち、いずれの液体にも着色剤を含有しない無色インクであってもよいし、少なくともいずれか1つの液体に着色剤を含有してもよい。
金属化合物を含む第1の液体においては、着色剤の含有率は、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、特に好ましくは、前述の通り、第1の液体には実質的に着色剤を含有しない場合である。尚、「実質的に含有せず」とは、これは無色透明の染料・顔料の含有や、視認できない程度のごく微量の含有をも除外するものではない。
一方、第2の液体においては、着色剤を含有しなくても良いが、着色剤を含有することが好ましい。第2の液体に着色剤を含有させ、第1の液体に金属化合物を含有させると、着色剤と金属化合物が別々の液体に含有されることになり、特に本発明の効果のうちの一つである色分かれ防止の効果を発揮するため好ましい。
また、上記着色剤は、第1の液体及び第2の液体以外の他の液体に含有することもできる。但し、既述のように、他の液体であっても着色剤を含む液体には金属化合物を含有しないことが好ましい。
本発明に用いられる着色剤には特に制限はなく、インクの使用目的に適合する色相、色濃度を達成できるものであれば、公知の水溶性染料、油溶性染料及び顔料から適宜選択して用いることができる。なかでも、前述の通り、第1の液体及び第2の液体を含む本発明のインクジェット記録用インクセットを構成する液体自身が、非水溶性の液体であることが好適であり、溶剤を用いた場合であっても水性溶媒を含有しないことがインク打滴安定性及び速乾性の観点から好ましく、そのような観点からは、非水溶性の液体に均一に分散、溶解しやすい油溶性染料や顔料を用いることが好ましく、本発明の効果である画質を特に良好にできること、また耐候性が良好であるという観点から顔料を用いることがより好ましい。
(油溶性染料)
本発明に使用可能な油溶性染料には特に制限はなく、任意のものを使用することができる。以下、本発明に使用しうる油溶性染料を色相別に例示する。
イエロー染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などが挙げられ、その他の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
マゼンタ染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
シアン染料としては、例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
前記の各染料は、発色原子団(クロモフォア)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
着色剤として油溶性染料を用いる場合の染料の含有量は、第2の液体中において、固形分換算で0.05〜20質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜15質量%が更に好ましく、0.2〜6質量%が特に好ましい。また、第1の液体及び第2の液体以外の別の液体に含有する場合の含有量としては、該液体中における固形分換算で0〜1質量%の範囲が好ましい。
(顔料)
着色剤として顔料を用いる態様もまた、複数種の液体の混合時に凝集が生じやすいという観点から好ましい。
本発明において使用される顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用できるが、黒色顔料としては、カーボンブラック顔料等が好ましく挙げられる。また、一般には黒色、及び、シアン、マゼンタ、イエローの3原色の顔料が用いられるが、その他の色相、例えば、赤、緑、青、茶、白等の色相を有する顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料なども目的に応じて用いることができる。
また、シリカ、アルミナ、樹脂などの粒子を芯材とし、表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することができる。
さらに、樹脂被覆された顔料を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などから市販品としても入手可能である。
本発明における液体中に含まれる顔料粒子の体積平均粒子径は、光学濃度と保存安定性とのバランスといった観点からは、30〜250nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50〜200nmである。ここで、顔料粒子の体積平均粒子径は、例えば、LB−500(HORIBA(株)製)などの測定装置により測定することができる。
着色剤として顔料を用いる場合の含有量は、光学濃度と噴射安定性の観点から、第2の液体中において、固形分換算で0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。また、第1の液体及び第2の液体以外の別の液体に含有する場合の含有量としては、該液体中における固形分換算で0〜1質量%の範囲が好ましい。
着色剤は1種のみならず、2種以上を混合して使用してもよい。また、液体毎に異なった着色剤を用いても、同じであってもよい。
[重合性化合物]
本発明においては、第1の液体及び第2の液体を含む複数種の液体の内、少なくとも1つの液体に重合性化合物を含有する。好適には、第2の液体に重合性化合物を含有させる場合であるが、第1の液体及び第2の液体ともに重合性化合物を含有させる場合も、両液間の馴染みが良好となるため、好ましい態様である。第2の液体に着色剤を含有することは好適な態様の一つであるが、両液間の馴染みが良好となることで、第2の液体に含有される着色剤が有効に捕捉されているものと推測する。
上記重合性化合物は、後述する重合開始剤から発生するラジカルなどの開始種により、重合反応を生起し、硬化する機能を有する。このような重合性化合物をいずれかの液体に含有させることで、光または熱等のエネルギーにより重合固化し、形成された画像を定着することができる。
重合性化合物としては、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、二量化反応など公知の重合性化合物を適用することができる。少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、オキセタン系化合物、オキシラン系化合物、マレイミド基を側鎖に有する高分子化合物、芳香核に隣接した光二量化可能な不飽和二重結合を有するシンナミル基、シンナミリデン基やカルコン基等を側鎖に有する高分子化合物などが挙げられ、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物がより好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物(単官能又は多官能化合物)から選択されるものであることが特に好ましい。具体的には、本発明に係る産業分野において広く知られるものの中から適宜選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものが含まれる。
重合性化合物は、分子内に、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)などの重合性基を有することが好ましく、なかでも、アクリロイル基、メタクリロイル基を有する化合物が低エネルギーで硬化反応を生起させることができるので好ましい。
本発明に用いうる多官能の重合性化合物としては、ビニル基含芳香族化合物、2価以上のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである(メタ)アクリレート、2価以上のアミンと(メタ)アクリル酸とのアミドである(メタ)アクリルアミド、多塩基酸と2価アルコールの結合で得られるエステル又はポリカプロラクトンに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステル(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイドと多価アルコールの結合で得られるエーテルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入するか、あるいは2価以上のアルコールとエポシキ含有モノマーを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン結合をもったウレタンアクリレート、アミノ樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレート、アルキッド樹脂アクリレート、スピラン樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーの反応生成物およびワックス類と前記重合性モノマーの反応生成物などが挙げられ、(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーの反応生成物が好ましく、アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートが特に好ましい。
なお、本明細書では、アクリル酸、メタアクリル酸のいずれか、又は、双方を指すとき、「(メタ)アクリル酸」と表記することがある。
多官能重合性化合物の具体例としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,6−アクリロイルアミノヘキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、2塩基酸と2価アルコールからなる分子量500〜30000のポリエステルの分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基をもつポリエステルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノール(AあるいはS、F)骨格を含有する分子量450〜30000のエポキシアクリレート、フェノールノボラック樹脂の骨格を含有する分子量600〜30000のエポキシアクリレート、分子量350〜30000の多価イソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリル酸モノマーとの反応物、また分子内にウレタン結合を有するウレタン変性物などが挙げられる。
また、本発明に用いうる単官能の重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート、スチレン、アクリルアミド、ビニル基含有モノマー(ビニルエステル類、ビニルエーテル類、N−ビニルアミドなど)、(メタ)アクリル酸などが挙げられ、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ビニルエステル類、ビニルエーテル類が好ましく、(メタ)アクリレート、アクリルアミドが特に好ましい。これらの重合性モノマーは、置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミド基、カルボン酸基などが挙げられる。
単官能重合性モノマーとしては、具体的には、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、アリルアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、2−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチルアクリレート、エステルにポリブチルアクリレート部位を含有するアクリレート、エステルにポリジメチルシロキサン部位を含有するアクリレートなどが挙げられる。
重合性化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。複数種の液体に重合性化合物を含有させる場合には、それぞれの液体において異なる種類の重合性化合物を用いてもよいし、同種の重合性化合物を用いてもよいが、複数種の液体の馴染みが良好となることから、同種の重合性化合物を用いることが好適である。
複数種の液体の内、いずれか1つ若しくはそれ以上に含有させる重合性化合物の含有量としては、1種の液体中においては、固形分換算で50〜99.6質量%の範囲が好ましく、70〜99.0質量%の範囲がより好ましく、80〜99.0質量%の範囲がさらに好ましい。また、全液体中における固形分換算で20〜98質量%の範囲が好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましく、50〜90質量%の範囲がさらに好ましい。
また、第1の液体及び第2の液体ともに重合性化合物を含有させる場合、第2の液体に含有させる重合性化合物の含有量を100重量部とした場合、第1の液体に含有させる重合性化合物の含有量は、1〜1,000重量部であることが好ましく、5〜100重量部であることがより好ましく、10〜50重量部であることが更に好ましい。
[重合開始剤]
本発明においては、前述したように、用いる複数種の液体(第1の液体及び第2の液体を含む)の内、少なくともいずれかに、重合性化合物を硬化させる重合開始剤を含有することが好ましい。また、該重合開始剤は、液体の保存安定性の観点から、重合性化合物を含まない液体中に含有させることが好ましく、記録媒体上において両者が活性エネルギーを付与されることで重合・硬化反応が生起する。
また、第1の液体と第2の液体の両液に前記重合性化合物を含有する場合、上述のように、液体の保存安定性の観点から、重合開始剤は重合性化合物を含まない第3の液体に含有させることも好ましい。第3の液体における重合開始剤の含有率は、経時安定性の観点から、該液体中、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。一方、第1の液体と第2の液体の二液のみからなるインクジェット記録用インクセットの場合には、両液に重合性化合物が含有されているが、経時安定性の観点からは、着色剤の添加されている第2の液体に、重合開始剤を含有させることが好ましい。着色剤がフィルターとして働き、経時中の硬化を抑制すると考えられる。
本発明で用いられる重合開始剤は、光、熱、或いはその両方のエネルギーによりラジカルなどの開始種を発生し、前記重合性化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。本発明における重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを選択して使用することができる。
そのようなラジカル発生剤としては、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物等が挙げられる。
本発明における重合開始剤の好ましい例として以下に示す光重合開始剤が挙げられる。例えば、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等の光重合開始剤が挙げられ、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が好ましく、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が特に好ましい。
このような光重合開始剤の具体的化合物としての例を挙げれば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,2−ジメチルプロピオイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルナフチルフォスフォネート、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フィニル)チタニウム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
また、他の好ましい光重合開始剤の例として、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤を挙げることができる。
なお、重合開始剤としては、感度に優れるものが好ましいが、例えば、80℃以下の温度で熱分解を起こすものを用いることは、保存安定性の観点から好ましくなく、80℃までの温度では熱分解を起こさない重合開始剤を選択することが好ましい。
重合開始剤は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、感度向上の目的で公知の増感剤と併用することもできる。
[インクセット]
本発明においては、第1の液体に金属化合物(a)を溶解させ、複数種の液体の少なくとも1つに重合性化合物(c)を含有すれば特に制限はないが、好ましくは、着色剤(b)を実質的に含有せず、且つ金属化合物(a)を含有してなる第1の液体と、金属化合物(a)を実質的に含有せず、且つ着色剤(b)を含有してなる第2の液体と、を少なくとも含む複数種の液体を用い、該複数種の液体の少なくとも1つに重合性化合物(c)を含有することが好ましい。
ここで、第1の液体と第2の液体とからなる、2液式を例に挙げて説明すれば、
(1)第1の液体に金属化合物(a)と重合性化合物(c)が、第2の液体に着色剤(b)が含まれる組み合わせ、
(2)第1の液体に金属化合物(a)が、第2の液体に着色剤(b)と重合性化合物(c)が含まれる組み合わせ、
(3)第1の液体に金属化合物(a)と重合性化合物(c)が、第2の液体に着色剤(b)と重合性化合物(c)が含まれる組み合わせ、
が挙げられる。
尚、(1)〜(3)のそれぞれにおいて、第1の液体及び/又は第2の液体中に、更に重合開始剤を含有することが好ましいが、この場合には保存安定性の観点から、(1)又は(2)の態様において、重合性化合物(c)が含まれない液体の方に含有することが好ましい。
また、3液式など、3液以上の液体を用いる場合においては、第1の液体及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有してもよく、また第1の液体及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有せず第3の液体に含有してもよい。あるいは第1の液体及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有し且つ第3の液体に含有してもよい。
<その他の成分>
本発明における複数種の液体には、上記した成分の他、目的に応じて下記のような添加剤を併用することができる。
(溶媒)
本発明においては、複数種の液体のいずれか1つ、又はそれ以上の液体中に、インクの極性や、粘度、表面張力、着色材料の溶解性・分散性の向上、導電性の調整および印字性能の調整などのため、溶媒を用いることができる。前記溶媒としては、非水溶性の液体であることが好ましく、実質的に水性溶媒を含有しないことがインク打滴安定性及び速乾性の観点から好ましい。
また、第1の液体等の金属化合物を含有する液体の少なくとも1つに、下記高沸点有機溶媒を用いることが好ましい。なお、高沸点有機溶媒は、金属化合物を含有しない液体にも用いることはできる。
溶媒として、100℃以下の有機溶媒である低沸点有機溶媒も挙げられるが、硬化性に影響を与える懸念があり、また、低沸点有機溶媒は環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましい。使用する場合には、安全性の高いものを用いることが好ましく、安全性が高い溶媒とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶媒であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、メタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
溶媒は一種類でも複数組み合わせて使用してもよいが、水及び/又は上記低沸点有機溶媒を用いる場合、両者の使用量としてはそれぞれ各液体中0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないのが特に好ましい。液体中に水を含有すると、経時による不均一化、染料の析出等に起因する液体の濁りが生じるという経時安定性の点、及び、非吸水性の記録媒体を用いた場合の乾燥性の観点から好ましくない。尚、ここで実質的に含まないとは、不可避不純物の存在を容認することを意味する。
−高沸点有機溶媒−
本発明においては、複数種の液体のいずれか1つ、又はそれ以上の液体中に、高沸点有機溶媒を含有することができる。本発明における高沸点有機溶媒とは、(1)沸点が100℃以上である有機溶媒をいう。
(1)の条件である沸点は、150℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることが特に好ましい。更に、上記高沸点有機溶媒は、融点が80℃以下であることが好ましく、25℃以下であることがより好ましい。
上記高沸点有機溶媒を含有させることにより、滲み、打滴干渉の発生をより効果的に防止することができる。
(1)の沸点条件を満たさない高沸点有機溶媒では、沸点が低くなりすぎて画像形成中に蒸発し、本発明の打滴干渉回避の効果を阻害することがある。また、蒸発して大気中に放出されるということは、環境面からも好ましくない。
尚、滲み、打滴干渉の発生の更なる抑制という観点からは、上記高沸点有機溶媒は、金属化合物を含む液体に含有することが好ましく、また重合性化合物を含まない液体中に含有することがより好ましい。
上記高沸点有機溶媒は、(2)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であるものが好適である。この(2)の粘度条件のいずれをも満たさない高沸点有機溶媒では、粘度が高くなり、記録媒体上への液体の付与に好ましくない場合がある。
尚、(2)の条件の内、25℃での粘度は、更に70mPa・s以下であることが好ましく、40mPa・s以下であることがより好ましく、20mPa・s以下であることが特に好ましい。60℃での粘度は、更に20mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることが特に好ましい。また、上記高沸点有機溶媒は、水の溶解度(25℃)が4g以下であることが好ましい。水の溶解度は、更に3g以下であることが好ましく、2g以下であることがより好ましく、1g以下であることが特に好ましい。
ここで、本発明における「粘度」は、下記手段によって求めた粘度をさす。
粘度は、東機産業(株)社製RE80型粘度計を用いて測定した値である。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、通常、ロータコードNo.1のロータを用い、回転数は10rpmで測定する。但し、60mPa・sより高粘なものについては、必要により回転数を5,2.5,1,0.5に適宜変更し測定する。
また、本発明において「水の溶解度」とは、25℃における高沸点有機溶媒中の水の飽和濃度であり、25℃での高沸点有機溶媒100gに溶解できる水の質量(g)を意味する。
高沸点有機溶媒の液体中における添加量としては、該液体の全質量に対して、50%質量以上100質量%以下の範囲が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
本発明のインクセットにおいては、上記高沸点有機溶媒の使用量としては、使用する着色剤に対し、塗設量換算で5〜2000質量%が好ましく、10〜1000質量%がより好ましい。
本発明において、前記高沸点有機溶媒としては、下記式〔S−1〕から〔S−9〕で表される化合物が好ましい。
Figure 2006312711
前記式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。また、a,b,cは、各々独立に0又は1を表す。
式〔S−2〕においてR4及びR5は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R6は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I以下同じ)、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、dは0〜3の整数を表す。dが複数のとき、複数のR6は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−3〕においてArはアリール基を表し、eは1〜6の整数を表し、R7はe価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
式〔S−4〕においてR8は脂肪族基を表し、fは1〜6の整数を表し、R9はf価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
式〔S−5〕においてgは2〜6の整数を表し、R10はg価の炭化水素基(ただしアリール基を除く)を表し、R11は脂肪族基又はアリール基を表す。
式〔S−6〕においてR12、R13及びR14は各々独立に、水素原子、脂肪族基又はアリール基を表す。Xは−CO−又は−SO2−を表す。R12とR13又はR13とR14は互いに結合して環を形成していてもよい。
式〔S−7〕においてR15は脂肪族基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基又はシアノ基を表し、R16はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、hは0〜3の整数を表す。hが複数のとき、複数のR16は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−8〕においてR17及びR18は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R19はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、iは0〜5の整数を表す。iが複数のとき、複数のR19は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−9〕においてR20及びR21は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。jは1又は2を表す。R20及びR21は互いに結合して環を形成していてもよい。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21が脂肪族基又は脂肪族基を含む基であるとき、脂肪族基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、また不飽和結合を含んでいても置換基を有していてもよい。置換基の例として、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、エポキシ基等がある。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21が環状脂肪族基、すなわちシクロアルキル基であるか、又はシクロアルキル基を含む基であるとき、シクロアルキル基は3〜8員の環内に不飽和結合を含んでよく、また置換基や架橋基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、脂肪族基、ヒドロキシル基、アシル基、アリール基、アルコキシ基、エポキシ基等があり、架橋基の例としてメチレン、エチレン、イソプロピリデン等が挙げられる。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R11〜R21、Arがアリール基又はアリール基を含む基であるとき、アリール基はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基等の置換基で置換されていてもよい。
式〔S−3〕、〔S−4〕、〔S−5〕においてR7、R9又はR10が炭化水素基であるとき、炭化水素基は環状構造(例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環)や不飽和結合を含んでいてもよく、また置換基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基等がある。
以下に、式〔S−1〕〜〔S−9〕で表される高沸点有機溶媒の中でも、特に好ましい高沸点有機溶媒について述べる。
式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えばn−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシリル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R1、R2及びR3は特に、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、2−クロロエチル、2−ブトキシエチル、シクロヘキシル、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、クメニルが好ましい。
a、b、cは各々独立に0又は1であり、より好ましくはa、b、cすべて1である。
式〔S−2〕においてR4及びR5は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えば前記R1について挙げた脂肪族基と同じ基、ヘプチル、エトキシカルボニルメチル、1,1−ジエチルプロピル、2−エチル−1−メチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、1−エチル−1,5−ジメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ボルニル、1−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R1について挙げたアリール基、4−t−ブチルフェニル、4−t−オクチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2,4,−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,−ジ−t−ペンチルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R4及びR5は更に、脂肪族基が好ましく、特に、n−ブチル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、2−ブトキシエチル、エトキシカルボニルメチルが好ましい。
6はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、炭素原子数1〜18のアルキル基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ドデシル)、炭素原子数1〜18のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ)又は炭素原子数2〜19のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)又は炭素原子数6〜25のアリールオキシカルボニル基が好ましい。これらの中でも、R6は更に、アルコキシカルボニル基がより好ましく、特に、n−ブトキシカルボニルが好ましい。
dは0又は1である。
式〔S−3〕においてArは炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、1−ナフチル、4−n−ブトキシフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、Arは特に、フェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニルが好ましい。
eは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
7はe価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基〔例えば前記R4について挙げた脂肪族基、n−オクチル、前記R4について挙げたアリール基、−(CH22−、
Figure 2006312711
〕又はe価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに結合した炭化水素基〔例えば、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2(OCH2CH23−、−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−、
Figure 2006312711
〕が好ましい。これらの中でも、R7は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
式〔S−4〕においてR8は炭素原子数1〜24(好ましくは1〜17)の脂肪族基(例えばメチル、n−プロピル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、n−ヘプチル、n−ウンデシル、n−トリデシル、ペンタデシル、8,9−エポキシヘプタデシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)が好ましく、これらの中でも、R8は特に、n−ヘプチル、n−トリデシル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、8,9−エポキシヘプタデシルが好ましい。
fは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
9はf価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基又はf価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに連結した炭化水素基(例えば前記R7について挙げた基、1−メチル−2−メトキシエチル、2−ヘキシルデシル)が好ましく、これらの中でも、R9は特に、2−エチルヘキシル、2−ヘキシルデシル、1−メチル−2−メトキシエチル、
Figure 2006312711
が好ましい。
式〔S−5〕においてgは2〜4(好ましくは2又は3)である。
10はg価の炭化水素基〔例えば、−CH2−、−(CH22−、−(CH24−、−(CH27−、−(CH28−、
Figure 2006312711
〕が好ましく、これらの中でも、R10は特に、−(CH24−、−(CH28−、
Figure 2006312711
が好ましい。
11は炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R4について挙げた脂肪族基、アリール基)が好ましく、これらの中でも、R11は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
式〔S−6〕において、R12は水素原子、炭素原子数1〜24の脂肪族基(好ましくは3〜20)〔例えばn−プロピル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、n−ペンタデシル、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシメチル、4−t−オクチルフェノキシメチル、3−(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)プロピル、1−(2,4−ジ−t−ブチルフェキシ)プロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル〕、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記Arについて挙げたアリール基、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、R12は特に、n−ウンデシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニルが好ましい。
13及びR14は、水素原子、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、シクロペンチル、シクロプロピル)又は炭素原子数6〜18(好ましくは6〜15)のアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、p−トリル)が好ましく、これらの中でも、R13及びR14は特に、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチル、n−テトラデシル、フェニルが好ましい。
13とR14とが互いに結合し、Nとともにピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成してもよく、R12とR13とが互いに結合し、Nとともにピロリドン環、ピペリジン環を形成してもよい。
Xは−CO−又は−SO2−であり、好ましくはXは−CO−である。
式〔S−7〕においてR15は炭素原子数1〜24(好ましくは3〜18)の脂肪族基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル、2−ブチル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ドデシル、2−ヘキサデシル、t−ペンタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素原子数2〜24(好ましくは5〜17)のアルコキシカルボニル基(例えばn−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル)、炭素原子数7〜24(好ましくは7〜18)のアリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、クレジルオキシカルボニル基)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル、n−ブチルスルホニル、n−ドデシルスルホニル)、炭素原子数6〜30(好ましくは6〜24)のアリールスルホニル基(例えばp−トリルスルホニル、p−ドデシルフェニルスルホニル、p−ヘキサデシルオキシフェニルスルホニル)、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)又はシアノ基が好ましく、これらの中でも、R15は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基、炭素原子数1〜24のアルコキシカルボニル基がより好ましく、特に、炭素原子数1〜24の脂肪族基が好ましい。
16はハロゲン原子(好ましくはCl)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基{より好ましくは、アルキル基(例えば前記R15について挙げたアルキル基)、炭素原子数3〜18(更に好ましくは5〜17)のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)}、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ)又は炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−t−オクチルフェノキシ、m−ペンタデシルフェノキシ、p−ドデシルオキシフェノキシ)が好ましく、これらの中でも、R16は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基がより好ましく、特に炭素原子数1〜12の脂肪族基が好ましい。
hは1〜2の整数である。
式〔S−8〕においてR17及びR18の好ましい例は、前記R13及びR14における水素原子以外の例と同じであり、これらの中でも、R17及びR18は、更に脂肪族基がより好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、n−ドデシルが好ましい。但し、R17及びR18は互いに結合して環を形成することはない。
19の好ましい例は、前記R16と同じであり、これらの中でもR19は、更にアルキル基及びアルコキシ基がより好ましく、特に、n−オクチル、メトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシが好ましい。
iは1〜5の整数である。
式〔S−9〕においてR20及びR21の好ましい例は、結合して環を形成しない場合には、前記R1、R2及びR3と同じであり、これらの中でもR20及びR21は、特に、炭素原子数1〜24の置換又は無置換の脂肪族基が好ましい。
20とR21とが互いに結合し環を形成してもよく、形成される環としては、3〜10員環が好ましく、5〜7員環が特に好ましい。
jは1又は2を表し、好ましくは、jは1である。
以下に本発明において用いられる高沸点有機溶媒の具体例(S−1〜53)と、各高沸点有機溶媒の粘度(25℃及び60℃の環境下、前述の手段によって測定した値)及び沸点を示す。ここで、本明細書中に記載した高沸点有機溶媒の沸点は、減圧蒸留時の沸点から常圧に換算した値である。尚、以下の具体例中において、沸点の記載のないものに関しては、170℃で沸騰しないことを確認している。また、25℃における粘度の記載のないものは、25℃において固体であることを表す。
Figure 2006312711
Figure 2006312711
Figure 2006312711
Figure 2006312711
Figure 2006312711
Figure 2006312711
Figure 2006312711
Figure 2006312711
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本発明において、高沸点有機溶媒は1種類を単独で使用しても、2種以上を混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕して使用してもよい。
本発明において、前記着色剤と前記高沸点有機溶媒との質量比としては、着色剤:高沸点有機溶媒が、1:0.01〜1:1であるのが好ましく、1:0.05〜1:0.5であるのがより好ましい。
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例、及び/又はこれら高沸点有機溶媒の合成方法については、例えば、米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号等の各明細書、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等の各公報に記載されている。
(貯蔵安定剤)
本発明においては、複数種の液体の保存中の好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性化合物と同じ液体に共存させて用いることが好ましく、また、該液体或いは共存する他の成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
貯蔵安定剤としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
貯蔵安定剤の添加量は、用いる重合開始剤の活性や重合性化合物の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、保存安定性と液体混合時のインクの硬化性とのバランスといった観点からは、液体中における固形分換算で0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。
(導電性塩類)
導電性塩類は、導電性を向上させる固体の化合物である。本発明においては、保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで溶解性が良い場合には、適当量添加してもよい。導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
(その他の添加剤)
また、その他の添加剤として、ポリマー、表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤を併用することができる。
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、公知の化合物を適宜選択して用いればよいが、具体的には例えば、特開2001−181549号公報に記載されている添加剤などを用いることができる。
また、上記のほか、混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物を、それぞれ異なる液体中に含有することができる。上記1組の化合物は、凝集体を急速に形成させるか、或いは、液体を急速に増粘させる特徴を有し、これにより隣接する液滴との打滴干渉の発生を更に効果的に抑制することができる。
上記混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物の反応例としては、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応等が挙げられる。
<インクジェット記録用インク:本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様であるインクジェット記録用インクは、少なくとも、前記高沸点有機溶媒と、前記金属化合物とを含有する。更に、前記重合開始剤を含有させることができるが、前記着色剤及び前記重合性化合物は実質的に含有しないことが好ましい。つまり、本発明のインクジェット記録用インクは、上記本発明の第1の態様における、第1の液体の好適な組成及び態様を適用させることができる。
なお、本発明のインクジェット記録用インクは、上記本発明の第1の態様である、インクジェット記録用インクセットの第1の液体として用いることが好ましい。本発明のインクジェット記録用インクをこのような態様で使用することで、上記インクセットと同様に、滲みや打滴干渉を抑制することができる。
<インクジェット画像記録方法:本発明の第2の態様>
次に、本発明のインクジェット画像記録方法について説明する。
本発明のインクジェット画像記録方法(以下、単に「画像記録方法」ということがある。)は、前述の第1の液体と第2の液体とを含む複数種の液体を用い、前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に同時又はいずれか一方を先に、他方をその後に両液体が接触するように付与することによって画像を形成することを特徴とする。
金属化合物を含有してなる第1の液体と、好適には着色剤を含有してなる第2の液体と、を接触するように付与することにより、滲みや打滴干渉を効果的に抑制でき、また色分かれが無い画像を得ることができる。
(液体の付与手段)
上記画像記録方法においては、第1の液体及び第2の液体を含む複数種の液体を、必ずしも全てインクジェットノズルでの噴射によって記録媒体上に付与する必要はなく、塗布等の他の手段によって付与してもよいが、着色剤を含有してなる第2の液体は、インクジェットノズルでの噴射によって記録媒体上に付与する態様が好ましく、更には、第1の液体を付与すると同時、又は付与した後に、第2の液体をインクジェットノズルによる噴射で行うことが、滲みや打滴干渉の抑制の観点から好ましい。
ここで、上記画像記録方法における、記録媒体上への第1の液体の付与手段について説明する。尚、第2の液体の付与手段に関しては、前記の通り、好ましい態様であるインクジェットノズルでの噴射を例にして説明する。
該付与手段としては、特に限定されるわけではないが、具体例として以下の2点が挙げられる。
(i)塗布装置を用いた塗布
本発明のインクジェット画像記録方法においては、塗布装置を用いて第1の液体を記録媒体上に塗布し、その後に第2の液体をインクジェットノズルによって噴射することにより、画像を形成する態様が好ましい。
上記塗布装置としては、特に制限はなく公知の塗布装置を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。その他塗布の技術に関しては、原崎勇次著「コーティング工学」を参照することができる。
また、上記インクジェットノズルとしては、特に制限はなく公知のノズルを目的に応じて適宜選択することができる。インクジェットノズル(インクジェット方式)については後に詳述する。
尚、第1の液体及び第2の液体以外の他の液体は、上記塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で記録媒体上に付与してもよく、また付与のタイミングも特に限定されるわけではないが、着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射による手段が好ましく、且つ第1の液体を塗布した後に付与されることが好ましい。
(ii)インクジェットノズルによる噴射
また、インクジェットノズルによって前記第1の液体を噴射し、それと同時か又はその後に、第2の液体を同様にインクジェットノズルによって第1液と接触するように噴射することにより、画像を形成する態様が好ましい。
上記インクジェットノズルについては、前記と同様である。
また、前記同様、第1の液体及び第2の液体以外の他の液体は、上記塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で記録媒体上に付与してもよく、また付与のタイミングも特に限定されるわけではないが、着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射による手段が好ましく、且つ第1の液体を塗布した後に付与されることが好ましい。
尚、後述する本発明におけるインクジェット記録用インクセットは、上記(ii)の手段であって、他の液体全てがインクジェットノズルで噴射される態様のインクジェット画像記録方法に用いることにより、その優れた効果を顕著に発揮する。
ここで、上記インクジェットノズルによる噴射の方式(インクジェット記録方式)について説明する。本発明においては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、等の公知の方式が好適に使用される。
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
上記(i)の手段による場合には、少なくとも第2の液体が、このようなインクジェット記録方式により、既に第1の液体が塗布された記録媒体上に適用され、画像が形成される。一方、上記(ii)の手段による場合には、少なくとも第1の液体及び第2の液体が、このようなインクジェット記録方式により、同時に又は順次記録媒体上に適用され、画像が形成される。
尚、2種以上の液体が上記インクジェット記録方式によって記録媒体上に噴射される場合、それらの液体が互いに接触するように付与される。2種以上の液体が接触する態様には特に制限はなく、互いに隣接するよう噴射されてもよく、一方の液体の付与領域と同じ領域になるように噴射されてもよい。
噴射のタイミングは任意であり、同時であっても順次であってもよいが、順次噴射される場合には、最初の液体を噴射した後、1秒以下で、次の液体を噴射することが好ましい。また、液滴の質量には特に制限はなく、形成される画像の鮮鋭度により選択されるが、一般的には1つの液体の1液滴あたりの質量は0.5pl〜100pl程度であることが好ましい。
上記(i)の手段において、第2の液体より先に第1の液体をインクジェットノズルにより噴射する場合、第1の液体自体は記録媒体上に直接接するため打滴干渉が発生し、打滴された液滴の周辺部はギザギザの状態となる。しかし、第1の液体は着色剤を含んでいないため、打滴干渉の発生は問題とはならない。
また、上記(i)及び(ii)の手段のいずれによる場合でも、第2の液体は、第1の液体と同時に、又は既に第1の液体が付与された記録媒体上に、第1の液体と接触するように噴射されるため打滴干渉は発生せず、ドット形状が保持された形となる。より良好なドット形状保持の観点から、第2の液体より先に記録媒体上に付与される第1の液体は、第2の液体を噴射しようとする範囲より幅広く付与することが好ましい。
また、2液式の場合における、画像形成部への1打滴当たりの液体の付与量のバランスとしては、第2の液体付与量を1とした場合の第1の液体付与量(単位面積あたりの質量比)は、0.05〜5の範囲であることが好ましく、0.07〜1の範囲であることがより好ましく、0.1〜1の範囲であることが特に好ましい。第2の液体に対する第1の液体の比率が5以下であることにより、レリーフ感の観点で良好な画像品質が得られ、また、0.05以上であることにより、本発明の効果である打滴干渉回避が充分に行われる。
尚、上記インクジェット記録方式によって記録媒体上に噴射される液体(インク:本発明の第1の態様における第1の液体及び第2の液体、本発明の第2の態様におけるインクジェット記録用インク)の好ましい物性は、印字装置により異なるが、一般的には、各液体の25℃での粘度は5〜100mPa・sが好ましく、10〜80mPa・sがより好ましい。インク組成物の表面張力は20〜60mN/mが好ましく、30〜50mN/mがより好ましい。
さらに好ましい物性は、第1の液体と第2の液体との関係において、粘度差が25mPa・s以内であり、表面張力差は、20mN/m以内の場合である。
(エネルギー付与工程)
また、上記画像記録方法においては、優れた定着性を得る観点から、画像形成後に活性エネルギーを付与することによって画像を固定する工程を設けることができる。活性エネルギーを付与することで、凝集体中の重合、硬化反応を促進させ、より強固な画像をより効率よく形成することができる。このような活性エネルギー付与は光照射又は加熱により行われることが好ましい。
露光、加熱などのエネルギー付与により、混合された液体中の重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されるとともに、活性種の増加や温度の上昇により、活性種に起因する重合性化合物の重合硬化反応が促進される。
本発明において重合性化合物の重合を進行させるための露光光源としては、紫外線、可視光線などを使用することができる。また、光以外の放射線、例えば、α線、γ線、X線、電子線などを照射してエネルギー付与を行うこともできるが、これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般的には、1〜500mJ/cm2程度である。
また、加熱によりエネルギー付与を行う場合には、記録媒体表面の温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で、0.1秒〜1秒間、加熱することが好ましい。
この加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行われ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等による全面露光を行う加熱手段などが好ましく用いられる。ここで、加熱手段としての露光に用いられる光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
(記録媒体)
本発明においては、インク浸透性の記録媒体、インク非浸透性乃至緩浸透性の記録媒体共に使用することができる。インク浸透性の記録媒体としては、普通紙、インクジェット専用紙、コート紙、電子写真共用紙、布、不織布、多孔質膜、高分子吸収体等が挙げられる。これらについては、特開2001−1891549号公報などに「被記録材」として記載されている。
本発明の優れた効果は、インク非浸透性乃至緩浸透性の記録媒体で顕著に発現する。インク非浸透性乃至緩浸透性の記録媒体としては、アート紙、合成樹脂、ゴム、樹脂コート紙、ガラス、金属、陶器、木材等が挙げられる。加えて機能を付加するために、これら材質を複数組み合わせ複合化した基材も使用することができる。
合成樹脂としては、いかなる合成樹脂も用いることができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は、フィルム状でもよいし、カード状、ブロック状でもよく、何ら限定されることはない。また、これら合成樹脂は透明でも不透明でもよい。
合成樹脂の使用形態としては、所謂軟包装に用いられるフィルム状で用いることも好ましく、各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、PNyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。
樹脂コート紙としては、例えば、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム、及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体等が挙げられるが、特に好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
金属としては、いかなる金属も用いることが可能であるが、アルミニウム、鉄、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、シリコン、鉛、亜鉛等、又はステンレス等のこれらの複合材料が好ましく用いられる。
尚、本発明のインクジェット画像記録方法に用いる支持体としては、更に、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスク等を用いることもでき、レーベル面側にインク受容層および光沢付与層を付与することもできる。
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
1.第2の液体の調製
<インクジェット記録用液体(I−1)の調製>
(A)酸化合物<以下に示す化合物(A−1)> 3.56g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 1.07g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 8.53g
(HDDA ダイセル・ユービーシー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.29g
(E)着色剤<以下に示す染料(M−1)> 0.46g
以上の成分を攪拌混合溶解し、マゼンタインクジェット記録用液体(I−1)を得た。25℃でのインクジェット記録用液体(I−1)の粘度は、19.6mPa・sであった。以下、粘度は25℃で測定を行い、その値を記載した。
Figure 2006312711
2.第1の液体の調製
<金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II−1)の調製>
(F)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−6)) 10g
(G)重合開始剤 (TPO−L、下記(開始剤−1)) 1.8g
(H)本発明にかかる金属化合物(前記具体例 1−1) 2g
以上の成分を攪拌混合溶解し、インクジェット記録用液体(II−1)を得た。
Figure 2006312711
<金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II−2)〜(II−9)の作製>
前記インクジェット記録用液体(II−1)の調整において、金属化合物を下記表1の如く当重量で置き換えた以外は、インクジェット記録用液体(II−1)と同じようにして本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II−2)〜(II−9)を作製した。
表1に、II液の調製に用いた金属化合物と液体の粘度を示す。
Figure 2006312711
3.1液型インクの調製
<1液型の比較用インクジェット記録用液体I−0の調製>
(A)酸化合物<前記化合物(A−1)> 3.56g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 1.07g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 7.67g
(HDDA ダイセル・ユービーシー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.29g
(E)着色剤<前記染料(M−1)> 0.46g
(G)重合開始剤 (TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.81g
以上の成分を攪拌混合溶解し、マゼンタインクジェット記録用液体(I−0)を得た。インクジェット記録用液体(I−0)の粘度は、19.6mPa・sであった。
<1液型の比較用インクジェット記録用液体I−00の調製>
(A)酸化合物<前記化合物(A−1)> 3.56g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 1.07g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 9.53g
(HDDA ダイセル・ユービーシー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.29g
(E)着色剤<前記染料(M−1)> 0.46g
(F)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−6)) 13.10g
(G)重合開始剤 (TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.81g
以上の成分を攪拌混合溶解し、インクジェット記録用液体(I−00)を得た。インクジェット記録用液体(I−00)の粘度は、19.6mPa・sであった。
<1液型のインクジェット記録用液体I−000の調製>
(A)酸化合物<前記化合物(A−1)> 3.56g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 1.07g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 8.53g
(HDDA ダイセル・ユービーシー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.29g
(E)着色剤<前記染料(M−1)> 0.46g
(F)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−1)) 10.10g
(G)重合開始剤 (TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.81g
(H)本発明にかかる金属化合物(前記具体例 1−1) 2g
比較用インクジェット記録用液体I−000は、調製中に凝集物が生成した。
4.評価
<印字方法>
まず、1液型の液体を用いた印字について説明する。
調製したインクジェット記録用液体(I−0)をインクジェットプリンター(マイクロジェット社製実験機(商品名:インクジェット実験システムIJET1000R)、印字密度:300dpi、打滴周波数:2KHz、ノズル数:64、2列配列)で記録媒体上に印字した。
また、調製したインクジェット記録用液体(I−00)を、前記インクジェット記録用液体(I−0)と同様に印字した。ただし、打滴周波数を4KHzとした。
次に、2液型の液体を用いた印字について説明する。
更に、調製したインクジェット記録用液体(II−1)〜(II−9)を、それぞれ、前記インクジェット記録用液体(I−0)と同様に印字した。次いで、表2に記載の組み合わせで、インクジェット記録用液体(I−1)を、それぞれインクジェット記録用液体(II−1)〜(II−9)を付与した後に、その上から、重なるように印字した。
いずれの液体も、インクジェットプリンター(マイクロジェット社製実験機(商品名:インクジェット実験システムIJET1000R)、印字密度:300dpi、打滴周波数:2KHz、ノズル数:64、2列配列)で印字した。
尚ここで、上記印字は、厚さ60μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(商品名:PPL/レーザープリンタ用ゼロックスFILM(OHP FILM),富士ゼロックス社製)及びアート紙(商品名:特菱アート両面,三菱製紙社製)の2種類の記録媒体に行った。
印字後、メタルハライドランプで365nm波長のものを使い、紫外線量〜500mJ/cm2で紫外線照射を行って画像を形成した。得られた画像については、下記の項目で評価を行った。
<打滴干渉性能評価>
(ライン品質)
上記印字の工程において、各液体をライン状に重ね打ちし、打滴形状の重なり具合(滲み具合)を下記基準で評価した。具体的に、ライン状の重ね打ちとは、第1の液体を5列ラインが接するように打滴し、第1の液体打滴10秒後に、その上から第2の液体を1列打滴した。ただし、1液式である(I−0)(I−00)はその1液のみをライン状に打滴し、その滲み具合を評価した。
A:ラインの太さが均一である。
B:ラインのところどころに液だまり由来の微細な線太さのばらつきがある。
C:ライン上に液溜り由来のはっきりとした線のばらつきがある。
(ベタ画像品質)
上記印字の工程において、各液体をベタ画像状に重ね打ちし、濃度ムラ具合を下記基準で評価した。具体的に、ベタ画像状の重ね打ちとは、第1の液体を60列ラインが接するように打滴し、第1の液体打滴10秒後に、その上から第2の液体を50列ラインが接するように打滴した。ただし、1液式である(I−0)(I−00)はその1液のみをベタ画像状に打滴し、その濃度ムラ具合を評価した。
A:濃度ムラがほとんど観察されない。
B:僅かに濃度ムラが観察されるが、全体として問題の無いレベルである。
C:ベタ画像に濃度ムラがあり、品質が劣る。
<ライン色分かれ評価>
上記印字の工程において、各液体をライン状に重ね打ちし、ラインの色分かれを下記基準で評価した。ただし、1液式である(I−0)(I−00)はその1液のみをライン状に打滴し、その色分かれを評価した。
A:色分かれが無い。
B:僅かに色分かれが観測され、中心に僅かな白抜けが観測される。
C:大きく色分かれし、中心に太い白抜けが観測される。
<ベタツキ評価>
印字面を指で触り、下記基準で評価した。
A:ベタツキが無い
B:若干ベタツキがある
C:著しくベタツキがある
<耐擦過性評価>
前記PETシート又はアート紙上に印字した後、30分経過した画像について、印字部を消しゴムで10往復擦り、その変化を下記基準で評価した。
A:色落ち(濃度の低下)がまったく無い
B:色落ちが僅かに生じる
C:著しく色落ちが生じる
<耐光性評価>
画像を形成したPETシート又はアート紙に、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000Lux)を1週間照射し、その照射前後での画像部の濃度をX−rite310濃度計(X−rite社製)にて測定し、測定結果から色素残存率を求め、下記基準で評価した。尚、反射濃度は、〜1.0で測定した。
A:色素残存率が90%以上
B:色素残存率が80%以上、90%未満
C:色素残存率が70%以上、80%未満
D:色素残存率が50%以上、70%未満
E:色素残存率が50%未満
<オゾン耐性>
画像を形成したPETシート又はアート紙を、オゾン濃度5.0ppm条件下に1週間保存し、その前後での画像部の濃度をX−rite310濃度計(X−rite社製)にて測定し、測定結果から色素残存率を求め、下記基準で評価した。
A:色素残存率が90%以上
B:色素残存率が80%以上、90%未満
C:色素残存率が70%以上、80%未満
D:色素残存率が50%以上、70%未満
E:色素残存率が50%未満
上記評価の結果を、表2に示す。
Figure 2006312711
表2から明らかなように、インクジェット記録用インクとして着色剤を含む液と金属化合物を含む液の2液に分け、2液が重なるように印字すると、インク非吸収性のPETシート上、又はアート紙上で、打滴干渉無く、また色別れの無い画像形成がすばやく起こる。更に本発明においてはメタルハライドランプで365nm波長のものを使い、紫外線光量〜500mJ/cm2で紫外線照射を行うことで、効率的にすばやく硬化反応が進行し、印刷性能に優れ、ベタツキが無く、高度の擦過性、耐光性、オゾン耐性を有する画像が得られることが分かる。
一方、1液で打滴したサンプルはベタツキが無く、高度の擦過性、耐光性、オゾン耐性を有する安定な画像品質は得られるが、PETシート上、又はアート紙上で打滴干渉が起こり、画像形成性が十分でなく、高品質画像の観点からは問題があることが分かる。
尚ここで、上記色分かれとは、顔料などの微粒子を含む液体中では、温度差、溶媒濃度差、硬化速度差などにより過流が発生し、粒子の大きさ、比重、電荷の違いが、動き易さの差となって、顔料と溶媒(モノマー)が分離する現象である。インクジェット方式でライン状に打滴した場合に、上記色別れが発生すると、液滴の周辺部のみに色素が集まり、中心部が白抜けすることとなる。
[実施例2]
実施例1の第2の液体の調製において、染料(M−1)をフタロシアニンに代え同様の実験を行った。以下に、顔料を用いたインク液の処方を示す。
<重合性化合物を含有するインクジェット記録用液体(III−1)の調製>
(A)酸化合物<前記化合物(A−1)> 0.22g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 11.70g
(HDDA ダイセル・ユービーシー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(E)着色剤<顔料:フタロシアニン> 1.40g
(商品名::Irgulite Blue GLO、チバスペシャリティケミカルズ製)
以上の成分を攪拌混合分散し、シアンのインクジェット記録用液体(III−1)を得た。液体(III−1)の25℃における粘度は19.8mPa・sであった。
但し、顔料は事前にボールミル(硬質硝子製ボールミルポット,ボールミル回転架台1段式―A型:堀江商会(株)製)にて、分散剤としてソルスパース3200(ゼネカ(株)社製)を用い、1,6ヘキサンジオールジアクリレートに、20質量%になるように分散したものを添加した。
添加量は顔料として上記の量になるように添加した。
<1液型のインクジェット記録用比較インク液体III−0>
(A)酸化合物<前記化合物(A−1)> 0.22g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 10.89g
(HDDA ダイセル・ユービーシー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(E)着色剤<顔料:フタロシアニン> 1.40g
(商品名::Irgulite Blue GLO、チバスペシャリティケミカルズ製)
(G)重合開始剤 (TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.81g
以上の成分を攪拌混合分散し、シアンインクジェット記録用液体(III−0)を得た。インクジェット記録用液体(III−0)の粘度は19.8mPa・sであった。
但し、顔料は事前にボールミル(硬質硝子製ボールミルポット,ボールミル回転架台1段式―A型:堀江商会(株)製)にて、分散剤としてソルスパース3200(ゼネカ(株)社製)を用い、1,6ヘキサンジオールジアクリレートに、20質量%になるように分散したものを添加した。
添加量は顔料として上記の量になるように添加した。
<1液型のインクジェット記録用比較インク液体III−00>
(A)酸化合物<前記化合物(A−1)> 0.22g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 12.70g
(HDDA ダイセル・ユービーシー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(E)着色剤<顔料:フタロシアニン> 1.40g
(商品名::Irgulite Blue GLO、チバスペシャリティケミカルズ製)
(F)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−6)) 13.10g
(G)重合開始剤 (TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.81g
以上の成分を攪拌混合分散し、シアンインクジェット記録用液体(III−00)を得た。インクジェット記録用液体(III−00)の粘度は19.8mPa・sであった。
但し、顔料は事前にボールミル(硬質硝子製ボールミルポット,ボールミル回転架台1段式−A型:堀江商会(株)製)にて、分散剤としてソルスパース3200(ゼネカ(株)社製)を用い、1,6ヘキサンジオールジアクリレートに、20質量%になるように分散したものを添加した。
添加量は顔料として上記の量になるように添加した。
<1液型のインクジェット記録用比較インク液体III−000>
(A)酸化合物<前記化合物(A−1)> 0.22g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 11.60g
(HDDA ダイセル・ユービーシー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(E)着色剤<顔料:フタロシアニン> 1.40g
(商品名::Irgulite Blue GLO、チバスペシャリティケミカルズ製)
(F)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−1)) 10.10g
(G)重合開始剤 (TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.81g
(H)本発明にかかる金属化合物(前記具体例 1−1) 2g
比較用インクジェット記録用液体III−000は、調製中に凝集物が生成した。
実施例1において用いたインクジェット記録用液体(I−1)、(I−0)、(I−00)の代わりに、それぞれ(III−1)、(III−0)、(III−00)を用いた以外は同様にして、被記録媒体上に印字した。その結果を表3に示す。
Figure 2006312711
表3から分るように、着色剤として顔料を用いた場合にも、インクジェット記録用インクとして着色剤を含む液と金属化合物を含む液の2液に分け、2液が重なるように印字すると、インク非吸収性のPETシート上、又はアート紙上で、打滴干渉無く、また色別れの無い画像形成がすばやく起こる。更に本発明においてはメタルハライドランプで365nm波長のものを使い、紫外線光量〜500mJ/cm2で紫外線照射を行うことで、効率的にすばやく硬化反応が進行し、印刷性能に優れ、ベタツキが無く、高度の耐札擦過性、耐光性、オゾン耐性を有する画像が得られることが分かる。
また、顔料を用いた場合には、耐光性、耐オゾン性が更に良化するのみならず、僅かにムラの観測された金属化合物を用いた場合でも、ムラの無い画像を得ることができる。
[実施例3]
実施例2にて調製した液体のうち、2液式用のインクジェット記録用液体(III−1)及び(II−1)〜(II−9)を用い、液体(II−1)〜(II−9)の記録媒体上への付与を、ロットコーター((株)マツボー製)での塗布によって行った以外は、実施例2と同様に印字し、評価を行った。実施例2と同様の評価を得ることができた。
[実施例4]
<金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(IV−1)〜(IV−9)の調製>
実施例2にて調整した液体(II−1)〜(II−9)の調整において、高沸点有機溶媒を除き、本発明にかかる金属化合物の量を11.8gに変えた以外は同様にして、インクジェット記録用液体(IV−1)〜(IV−9)を調整した。
実施例3においてインクジェット記録用液体(II−1)〜(II−9)の代わりにインクジェット記録用液体(IV−1)〜(IV−9)を用いた以外は同様にして、実施例3と同様の評価を行った。この場合でも、実施例3と同様の優れた効果が得られた。
[比較例]<特許第3478495号対応>
以下の組成のインクジェット記録用液体を作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
<比較用インクジェット記録用液体I−X>
(A)ユニディック SI−929(大日本インキ化学工業(株)社製) 20g
(B)染料X 1.5g
(C)水 68.5cc
(D)グリセリン(和光純薬社製) 10g
<比較用インクジェット記録用液体II−X>
(A)水 97cc
(B)ダイロキュア2529(メルク社製) 3g
Figure 2006312711
Figure 2006312711
表4から分るように、一方に光硬化型樹脂を、もう一方に光重合開始剤を含んだインクを用いる記録方法であっても、本発明における金属化合物を用いず、溶媒に水を用いた場合には、ラインの太さにばらつきがあり、ベタ画像に濃度ムラが発生し、また、耐光性、オゾン耐性に劣り、且つ色別れが発生する結果となった。
[実施例5]
実施例1では第2の液体のみに重合性化合物を含有させて調製したが、実施例5では、第1の液体及び第2の液体ともに重合性化合物を含有させて調製を行い、実施例1と同様の実験を行った。更に、第2の液体の重合性化合物の種類を変更して実験を行った。以下に、実施例5における第1の液体及び第2の液体の処方を示す。
1.第2の液体の調製
<インクジェット記録用液体(I’−1)の調製>
(A)酸化合物[前記化合物(A−1)] 3.56g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 0.87g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA;ダイセル・ユービーシー製) 6.93g
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.29g
(E)着色剤[前記染料(M−1)] 0.46g
(F)重合開始剤(TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.8g
以上の成分を攪拌混合溶解し、マゼンタインクジェット記録用液体(I’−1)を得た。25℃でのインクジェット記録用液体(I’−1)の粘度は、19.6cpであった。以下、粘度は25℃で測定を行い、その値を記載した。
<インクジェット記録用液体(I’−11)の調製>
〜インクジェット記録用液体(I’−1)の重合性化合物を一部変更したもの〜
(A)酸化合物[前記化合物(A−1)] 3.56g
(B)重合性化合物:DPCA−60(日本化薬社製) 0.87g
(C)重合性化合物:ACMO(興人製) 6.93g
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.29g
(E)着色剤[前記染料(M−1)] 0.46g
(F)重合開始剤(TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.8g
以上の成分を攪拌混合溶解し、マゼンタインクジェット記録用液体(I’−11)を得た。25℃でのインクジェット記録用液体(I’−11)の粘度は、23.5cpであった。
2.第1の液体の調製
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II−31)の調製>
(G)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−32)) 2g
(H)重合開始剤(TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.8g
(I)本発明にかかる金属化合物(前記具体例 1−1) 2g
(J)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 1.1g
(K)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA;ダイセル・ユービーシー製) 8.7g
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II−32)の作製>
前記インクジェット記録用液体(II−31)の作製において、本発明にかかる金属化合物を下記表5の如く当重量で置き換えた以外は、インクジェット記録用液体(II−31)と同様にして本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II−32)を作製した。
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II−41)の調製>
(G)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−1)) 2g
(H)重合開始剤(TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.8g
(I)本発明にかかる金属化合物(前記具体例 1−1) 2g
(J)重合性化合物:DPCA−60(日本化薬社製) 1.1g
(K)重合性化合物:ACMO(興人製) 8.7g
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II−42)の作製>
前記インクジェット記録用液体(II−41)の作製において、本発明にかかる金属化合物を下記表5の如く当重量で置き換えた以外は、インクジェット記録用液体(II−41)と同様にして、着色剤を含有しないインクジェット記録用液体(II−42)を作製した。
表5に、第1の液体の調製に用いた金属化合物と重合性化合物の種類、及び第1の液体の25℃における粘度を示す。
Figure 2006312711
実施例1において用いたインクジェット記録用液体(I−1)、(I−0)、(I−00)の代わりに、それぞれ(I’−1)、(I’−11)を用い、インクジェット記録用液体(II−1)〜(II−29)の代わりに、それぞれ(II−31)、(II−32)、(II−41)、(II−42)を用いた以外は同様にして、記録媒体上に印字し、評価を行った。その結果を表6に示す。
Figure 2006312711
表6から明らかなように、2液式のインクジェット記録用液体として、一方の液体に着色剤を含有させ、もう一方に本発明における金属化合物を含有させ、且つ両液体に重合性化合物を含有させて、2液が重なるように印字した場合でも、インク非吸収性のPETシート上、又はアート紙上で、打滴干渉無く、また色別れの無い画像形成がすばやく起こる。更に本発明においてはメタルハライドランプで365nm波長のものを使い、紫外線光量〜500mJ/cm2で紫外線照射を行うことで、効率的にすばやく硬化反応が進行し、印刷性能に優れ、ベタツキが無く、高度の耐擦過性、耐光性、オゾン耐性を有する画像が得られることが分かる。
このような重合性化合物と重合開始剤の両方を含有するインク組成物を用いてインクジェット記録行った場合には、長時間の印字を行うとノズルのつまりが見られた。重合性化合物と重合開始剤が入っているインクに、さらに着色剤が入っている場合には、そのノズルつまりは抑制された。
[実施例6]
実施例5の第2の液体の調製において、染料(M−1)をフタロシアニン顔料に代え、さらに第1の液体の調整において重合開始剤を除いて同様の実験を行った。以下に、顔料を用いた液体の処方を示す。
1.第2の液体の調製
<インクジェット記録用液体(III’−1)の調製>
(A)酸化合物[前記化合物(A−1)] 0.22g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 0.32g
(C)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 9.86g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(E)着色剤[顔料:銅フタロシアニン(PB15:3)] 1.40g
(商品名:Irgalite Blue GLO、チバスペシャリティケミカルズ製)
(F)重合開始剤(TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.8g
以上の成分を攪拌混合溶解分散し、シアンのインクジェット記録用液体(III’−1)を得た。液体(III’−1)の25℃における粘度は19.8mPa・sであった。
但し、顔料は事前にボールミル(硬質硝子製ボールミルポット、ボールミル回転架台1段式−A型:堀江商会(株)製)にて、分散剤としてソルスパース3200(ゼネカ(株)製)を用い、1,6ヘキサンジオールジアクリレートに、20質量%になるように分散したものを添加した。
添加量は含量として上記した量になるように添加した。
<インクジェット記録用液体(III’−2)の調製>
(A)酸化合物<前記化合物(A−1)> 0.22g
(B)重合性化合物:DPCA60(日本化薬社製) 0.32g
(C)重合性化合物:ACMO(興人社製) 9.86g
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(E)着色剤<顔料:フタロシアニン> 1.40g
(商品名::Irgulite Blue GLO、チバスペシャリティケミカルズ製)
(F)重合開始剤(TPO−L、前記(開始剤−1)) 1.8g
以上の成分を攪拌混合分散し、シアンインインクジェット記録用液体(III’−2)を得た。インクジェット記録用液体(III’−2)の25℃における粘度は23.5cpであった。
但し、顔料は事前にボールミル(硬質硝子製ボールミルポット,ボールミル回転架台1段式−A型:堀江商会(株)製)にて、分散剤としてソルスパース3200(ゼネカ(株)社製)を用い、1,6ヘキサンジオールジアクリレートに、20質量%になるように分散したものを添加した。添加量は顔料として上記の量になるように添加した。
2.第1の液体の調製
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II’ −31)の調製>
(G)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−32)) 2g
(I)本発明にかかる金属化合物(前記具体例 1−1) 2g
(J)重合性化合物:DPCA60(日本化薬製) 1.1g
(K)重合性化合物:1,6ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA;ダイセル・ユービーシー製) 10.5g
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II’−32)の作製>
前記インクジェット記録用液体(II’−31)の作製において、本発明の金属化合物を下記表7の如く当重量で置き換えた以外は、インクジェット記録用液体(II’−31)と同様にして本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II’−32)を作製した。
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II’−41)の調製>
(G)高沸点有機溶媒(前記具体例(S−1)) 2g
(I)本発明の金属化合物(前記具体例1−1) 2g
(J)重合性化合物:DPCA−60(日本化薬社製) 1.1g
(K)重合性化合物:ACMO(興人製) 10.5g
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(II’−42)の作製>
前記インクジェット記録用液体(II’−41)の作製において、本発明の金属化合物を下記表7の如く当重量で置き換えた以外は、インクジェット記録用液体(II’−41)と同様にして、着色剤を含有しないインクジェット記録用液体(II’−42)を作製した。
表7に、第1の液体の調製に用いた金属化合物と重合性化合物の種類、及び第1の液体の25℃における粘度を示す。
Figure 2006312711
実施例5において用いたインクジェット記録用液体(I’−1)、(I’−11)の代わりに、それぞれ(III’−1)、(III’−2)を用い、インクジェット記録用液体(II−31)、(II−32)、(II−41)、(II−42)の代わりに、それぞれ(II’−31)、(II’−32)、(II’−41)、(II’−42)を用いた以外は同様にして、記録媒体上に印字し、評価を行った。その結果を表8に示す。
Figure 2006312711
表8から分るように、着色剤として顔料を用いた場合にも、2液式のインクジェット記録用液体として、一方の液体に着色剤を含有させ、もう一方に本発明における金属化合物を含有させ、且つ両液体に重合性化合物を含有させて、2液が重なるように印字した場合でも、インク非吸収性のPETシート上、又はアート紙上で、打滴干渉無く、また色別れの無い画像形成がすばやく起こる。更に本発明においてはメタルハライドランプで365nm波長のものを使い、紫外線光量〜500mJ/cm2で紫外線照射を行うことで、効率的にすばやく硬化反応が進行し、印刷性能に優れ、ベタツキが無く、高度の耐擦過性、耐光性、オゾン耐性を有する画像が得られることが分かる。
また、顔料を用いた場合には、耐光性、耐オゾン性が更に良化し、ムラの無い画像を得ることができる。
[実施例7]
実施例6にて調製した液体のうち、2液式用のインクジェット記録用液体(III’−1)及び(II’−31)、(II’−32)を用い、液体(II’−31)、(II’−32)の記録媒体上への付与を、ロットコーター((株)マツボー製)での塗布によって行った以外は、実施例6と同様に印字し、評価を行った。実施例6と同様の評価を得ることができた。
[実施例8]
<本発明の金属化合物を含有するインクジェット記録用液体(IV−31)、(IV−32)の調製>
実施例5にて調製した液体(II−31)、(II−32)の調製において、高沸点有機溶媒を除き、本発明にかかる金属化合物の量を12gに変えた以外は同様にして、インクジェット記録用液体(IV−31)、(IV−32)を調製した。
次いで、実施例7において、用いたインクジェット記録用液体(II’−31)、(II’−32)の代わりに上記インクジェット記録用液体(IV−31)、(IV−32)を用いた以外は同様にして、サンプルを作製した。得られたサンプルは実施例7と同様の評価を行った。この場合でも、実施例7と同様の優れた効果が得られた。

Claims (26)

  1. 第1の液体及び第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
    前記第1の液体が、金属化合物を溶解してなり、
    前記複数種の液体の少なくとも1つが、重合性化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
  2. 前記金属化合物が、脂肪族カルボン酸の金属塩又は1,3−ジケトン金属化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
  3. 前記金属化合物の金属が、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用インクセット。
  4. 前記第1の液体が、着色剤を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. 前記第2の液体が、着色剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  6. 前記第2の液体が、金属化合物を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  7. 前記第2の液体が、重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  8. 前記第1の液体と前記第2の液体とが、それぞれに重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  9. 前記金属化合物を含有する液体のうち少なくとも1つに、高沸点有機溶媒を含有してなることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  10. 前記複数種の液体が溶媒を含有するとき、該溶媒が実質的に水溶性の液体を含有しないことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  11. 前記高沸点有機溶媒が、100℃以上の沸点を有することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のインクジェット記録用インクセット。
  12. 前記着色剤が、油溶性染料又は顔料であることを特徴とする請求項5〜請求項11のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  13. 前記着色剤が、顔料であることを特徴とする請求項12に記載のインクジェット記録用インクセット。
  14. 第1の液体と第2の液体とを少なくとも含み、複数種の液体から構成される請求項1〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、
    前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に、両液体が接触するように付与することによって画像を形成することを特徴とするインクジェット画像記録方法。
  15. 前記第1の液体を記録媒体上に付与すると同時、又は付与した後に、前記第2の液体をインクジェットノズルによって噴射し画像を形成することを特徴とする請求項14に記載のインクジェット画像記録方法。
  16. 前記第1の液体を記録媒体上に付与する手段が、塗布装置を用いた塗布であり、第1の液体を塗布した後に第2の液体をインクジェットノズルによって噴射することを特徴とする請求項14又は請求項15に記載のインクジェット画像記録方法。
  17. 前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に付与する手段が、インクジェットノズルによる噴射であることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載のインクジェット画像記録方法。
  18. 記録媒体上に形成された画像に、エネルギーを付与して画像を固定する工程を設けたことを特徴とする請求項14〜請求項17のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法。
  19. 前記エネルギーの付与が、光照射又は加熱により行われることを特徴とする請求項18に記載のインクジェット画像記録方法。
  20. 少なくとも、高沸点有機溶媒と、金属化合物とを含有するインクジェット記録用インク。
  21. 前記金属化合物が、脂肪族カルボン酸の金属塩又は1,3−ジケトン金属化合物であることを特徴とする請求項20に記載のインクジェット記録用インク。
  22. 前記金属化合物の金属が、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、及び銅からなる群より選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項20又は請求項21に記載のインクジェット記録用インク。
  23. 更に、重合開始剤を含有することを特徴とする請求項20〜請求項22のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
  24. 着色剤を実質的に含有しないことを特徴とする請求項20〜請求項23のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
  25. 重合性化合物を実質的に含有しないことを特徴とする請求項20〜請求項24のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
  26. 少なくとも1つの液体で重合性化合物を含有してなる複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットに用いることを特徴とする請求項20〜請求項25のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
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