JP4989870B2 - インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット画像記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット画像記録方法 Download PDF

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本発明は、インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット画像記録方法に関し、詳細には、多液凝集型のインクジェット画像記録方法に用いられるインクジェット記録用インクセット、及び高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法に関する。
ノズル等のインク吐出口からインクを吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、印字媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から多くのプリンターに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び、熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用しインクを吐出する熱インクジェット方式は高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
現在、インクジェットプリンターにより、普通紙或いはプラスチックなど非吸水性の記録媒体に印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっている。特に、印字後の液滴の乾燥に時間が掛かると、画像の滲みが生じやすく、また、隣接するインク液滴間の混合による打滴干渉が生じ、鮮鋭な画像形成の妨げとなるばかりでなく、非吸水性記録媒体を用いた場合、溶剤の乾燥が極めて遅いために印字直後には記録物を重ねずに乾燥させる必要があるなど、実用上の問題があった。
画像のにじみや打滴干渉の抑制のため、インクの硬化を促進する方法の一つとして、インク溶媒の揮発ではなく放射線によって硬化し固着するインクジェッ用インクが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし着色成分として顔料分散物を用いているために、顔料の凝集によりノズルが目詰りし安定してインクを吐出させることが困難であった。
このため、顔料を用いずに透明性や色調に優れた画像形成を行うため、着色剤に染料を用いた紫外線硬化型インクも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。このインクは、保存中に好ましくない重合反応が起こりやすく、保存安定性が十分ではないといった問題点を有していた。更には、導電性塩類を含んでおり、それらのインク中での溶解性が悪い場合があるため、長期保存状態での析出による印字不良の懸念があった。
保存性と高速乾燥性との両立を目的として、2液式のインクを用いて、記録媒体上で両者を反応させる技術が提案され、例えば、塩基性ポリマーを有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有するインクを記録する方法(例えば、特許文献3参照。)、カチオン性物質を含む液体組成物を適用した後、アニオン性化合物と色材を含有するインクを適用する方法(例えば、特許文献4参照。)、また、一方に光硬化型樹脂を、もう一方に光重合開始剤を含んだインクを用いる記録方法(例えば、特許文献5参照。)などが開示されている。
しかし、これらの方法は、染料自体の析出により画像のにじみを抑制させようとするものであり、打滴干渉による画質の劣化を十分に回避しうるものではなかった。インクジェット記録はインク(液体)の液滴を連続的に液滴n1、液滴n2、液滴n3、、、、液滴nxと吐出し、被記録媒体上に液滴n1、液滴n2、液滴n3、、、、液滴nxにてラインを形成したり、画像を形成するものであるが、ここで言う打滴干渉とは、隣接して打滴された液滴同士(例えば液滴n1と液滴n2)が表面エネルギーを低下させるため(表面積を小さくするため)に、合一する現象である。隣接する液滴が合一するときに液滴の移動が起こるために、着弾した位置からずれ、特に着色剤を含むインクで細線を描く場合には、線幅の不均一が生じる。更に、打滴されたインク液は時間が経つにつれ被記録媒体上で拡散しやすく、活性光線による硬化までの時間が長い場合にはドット径が目的としたものより大きくなってしまい、ドットで形成されるラインが太くなるという問題点を有していた。
また、上記の特許文献3のような方法では、水性溶媒を含むため、乾燥速度が遅く、さらに、析出した染料が記録媒体上に不均一に分布しやすく、画質の低下を招く懸念もあった。
特開平5−214279号公報 米国特許第4303924号明細書 特開昭63−60783号公報 特開平8−174997号公報 特許第3478495号明細書
本発明は、前記従来の技術に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、長期保存安定性と優れた定着性を維持すると共に、滲みや印字後に露光するまでの時間間隔が空いた際に生じうる打滴形状の変化(線幅の太り)が抑制され、高画質な画像を形成することができるインクセット、及び該インクセットに好適に使用し得るインク組成物を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、優れた定着性を維持しつつ、滲みや印字後に露光するまでの時間間隔が空いた際に生じうる打滴形状の変化(線幅の太り)が抑制され、ベタツキが無く、耐擦過性に優れた高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。すなわち、
<1> 下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体及び重合開始剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物である。
〔一般式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
<2> 前記重合体が下記一般式(2)で表される共重合体であることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録用インク組成物である。
〔一般式(2)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Qは有機概念図における無機性/有機性比(I/O値)が1.5以下の単位を表す。m、nは共重合組成比であり、mは5〜50モル%、nは50〜95モル%を表す。〕
<3> 前記一般式(1)又は前記一般式(2)において、R2が水素原子であることを特徴とする前記<1>または<2>に記載のインクジェット記録用インク組成物である。
<4> 前記一般式(2)において、Qで表される単位が下記一般式(3)で表される単位であることを特徴とする前記<2>または<3>に記載のインクジェット記録用インク組成物である。
〔一般式(3)中、R4は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
> さらに、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする前記<1>から<>のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物である。
<6> 第1の液体および第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体で構成されるインクジェット記録用インクセットであって、前記第1の液体が下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体と重合開始剤を含有し、前記第2の液体が着色剤及び重合性材料を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセットである。
〔一般式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
> 前記重合体が下記一般式(2)で表される共重合体であることを特徴とする前記<>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
〔一般式(2)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Qは有機概念図における無機性/有機性比(I/O値)が1.5以下の単位を表す。m、nは共重合組成比であり、mは5〜50モル%、nは50〜95モル%を表す。〕
> 前記一般式(1)または前記一般式(2)において、R2が水素原子であることを特徴とする前記<>または<>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<9> 前記一般式(2)において、Qで表される単位が下記一般式(3)で表される単位であることを特徴とする前記<7>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
〔一般式(3)中、R4は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
10> 前記第1の液体中の着色剤の含有量が、1cm厚の該第1の溶液を透過した時の最大吸収波長の溶液吸光度に換算して0以上0.5以下となる量であることを特徴とする前記<6>から<>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットである。
11> 前記第1の液体及び前記第2の液体の少なくとも一方に、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする前記<6>から<10>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットである。
12> 前記高沸点有機溶媒が、前記第1の液体に含まれることを特徴とする前記<11>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
13> 前記着色剤が、顔料であることを特徴とする前記<6>から<12>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットである。
14> 前記複数種の液体の溶媒が非水溶性の液体であることを特徴とする前記<6>から<13>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットである。
15> 前記<6>から<14>のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットを用い、前記第1の液体及び前記第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に付与することによって画像を形成するインクジェット画像記録方法である。
16> 前記第1の液体を記録媒体上に付与すると同時、又は付与した後に、前記第2の液体をインクジェットノズルによって噴射し画像を形成することを特徴とする前記<15>に記載のインクジェット画像記録方法である。
17> 前記第1の液体を記録媒体上に付与する手段が、塗布装置を用いた塗布であり、第1の液体を塗布した後に第2の液体をインクジェットノズルによって噴射することを特徴とする前記<15>または<16>に記載のインクジェット画像記録方法である。
18> 前記第1の液体及び前記第2の液体を記録媒体上に付与する手段が、インクジェットノズルによる噴射であることを特徴とする前記<15>から<17>のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法である。
19> 記録媒体上に形成された画像に、活性エネルギーを付与して画像を固定する工程を設けたことを特徴とする前記<15>から<18>のいずれかに記載のインクジェット画像記録方法である。
20> 前記活性エネルギーの付与が、光照射又は加熱により行われることを特徴とする前記<19>に記載のインクジェット画像記録方法である。
本発明によれば、長期保存安定性と優れた定着性を維持すると共に、滲みや印字後に露光するまでの時間間隔が空いた際に生じうる打滴形状の変化(線幅の太り)が抑制され、高画質な画像を形成することができるインクセット、及び該インクセットに好適に使用し得るインク組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、優れた定着性を維持しつつ、滲みや印字後に露光するまでの時間間隔が空いた際に生じうる打滴形状の変化(線幅の太り)が抑制され、ベタツキが無く、耐擦過性に優れた高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法を提供することができる。
以下、本発明のインクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット画像記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体及び重合開始剤を含有することを特徴としている。
また、本発明のインクジェット記録用インクセット(以下、単に「インクセット」ともいう。)は、第1の液体および第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体で構成されるインクジェット記録用インクセットであって、前記第1の液体が下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体と重合開始剤を含有し、前記第2の液体が着色剤及び重合性材料を含有することを特徴としている。
〔一般式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
本発明のインク組成物は、本発明のインクセットの第1の液体として好適に使用することができる。従って、以下の本発明のインクセットの説明において、第1の液体をインク組成物と読み替えることで本発明のインク組成物の説明としてそのまま妥当する。
本発明のインクセットは、インクジェット記録用に好適に用いられるもので、前記第1の液体が着色剤を実質的に含有せず、且つ前記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体と重合開始剤を含有し、前記第2の液体が着色剤及び重合性材料を含有する。このような態様を用いることにより、滲みや印字後に露光するまでの時間間隔が空いた場合でも打滴形状の変化を効果的に抑制でき、またベタツキが無く、高度の耐擦過性を有する画像が得られる。
また、本発明においては、優れた定着性を得る観点から、上記画像記録方法に用いる複数種の液体(上記第1の液体及び第2の液体を含む)の内、少なくとも第1の液体に、重合性材料を硬化させる重合開始剤を含有することが必要である。該重合開始剤は、液体の保存安定性の観点から、重合性材料を含まない液体(第1の液体)中に含有させる。
尚、本発明においては、上記複数種の液体に用いる溶媒として、低沸点有機溶媒(沸点100℃以下)を含むと硬化性に影響を与える懸念があり、また、水溶性溶媒を含むと揮発に時間がかかり、速乾性を得られない場合があることから、これらの溶媒を用いずに上記液体を構成することが好ましい。
また、本発明のインクジェット画像記録方法(以下、単に「画像記録方法」ということがある。)は、前記第1の液体と、前記第2の液体と、を少なくとも含む複数種の液体を用い、記録媒体上に画像を形成するインクジェット画像記録方法である。
上記画像記録方法においては、前記複数種の液体の少なくとも1つの第2の液体に重合性材料を含有し、前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に付与することによって画像を形成することを特徴とする。
尚、前記第1の液体及び第2の液体の記録媒体上への付与は、第1の液体を付与すると同時、又は付与した後に、第2の液体をインクジェットノズルによる噴射で行うことが、滲みや打滴干渉、色分かれの抑制の観点からより好ましい。
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まず上記複数種の液体を構成する成分について述べる。
<一般式(1)で表される単位を含む重合体>
本発明のインク組成物又はインクセットの第1の液体は、下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体を含有する。
〔一般式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
前記一般式(1)において、R1は、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の炭素数としては、1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。該アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルカルボニルオキシ等が好ましく挙げられる。R1としては水素原子が特に好ましい。
一般式(1)において、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。該置換基としてはアリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アリールアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、イミダゾリル基、ピリジル基、イミダゾリウム基、ピリジニウム基、アンモニオ基等が挙げられ、中でもアリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、イミダゾリル基、ピリジル基が好ましい。アルキル基の炭素数としては、1〜32が好ましく、2〜24がより好ましく、3〜18が特に好ましい。アルキル基の具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、オクタデシル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシブチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、アセトキシエチル基、アセトキシブチル基、フェニルオキシエチル基、フェニルオキシブチル基、フェニルエチルオキシエチル基、等が好ましく挙げられ、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基が特に好ましい。アリール基の炭素数としては、6〜32が好ましく、6〜24がより好ましく、6〜18が特に好ましい。アリール基の具体例としてはフェニル基、ナフチル基、2−メトキシフェニル基、2−デシルオキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−オクチルオキシナフチル基、ジメチルアミノフェニル基、2−ドデシルチオフェニル基、4−(4−メチルフェニルチオキシ)フェニル基、2−メトキシ−4−ドデシルチオキシフェニル基、2−フェノキシエトキシフェニル基、2−ドデシルオキシフェニル基、2−オクタデシルオキシフェニル基、2,5−ジベンジルオキシフェニル基、2,5−ジシクロへキシルメチルオキシフェニル基、2−メトキシ−4−(2−エチルヘキサノイルアミノ)フェニル基、2−ブトキシ−4−ベンジルオキシカルボニルアミノフェニル基、2−オクチルオキシ−4−ブチルオキシカルボニルアミノフェニル基が挙げられる。これらのうち、R2としては水素原子が特に好ましい。
3は、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。これらは前記R2の説明において示したアルキル基、アリール基と同様のものが好ましく挙げることができる。
本発明に係る重合体は下記一般式(2)で表される共重合体であることを好ましい。
〔一般式(2)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Qは有機概念図における無機性/有機性比(I/O値)が1.5以下の単位を表す。m、nは共重合組成比であり、mは5〜50モル%、nは50〜95モル%を表す。〕
一般式(2)中、Qは有機概念図における無機性/有機性比(I/O値)が1.5以下の単位であるが、該I/O値は1.0以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましい。ここでI/O値とは、化合物あるいは置換基の親水性/親油性の尺度を表すパラメーターであり、「有機概念図」(甲田善生著・三共出版 1984年)にその詳細な解説がある。Iは無機性をOは有機性を表し、I/O値が大きいほど無機性が大きい(極性高く親水性が大きい)ことを示す。親油性の大きい単位を共重合することで、本発明に係る重合体の溶剤への溶解性が向上し、良好なインク物性となる。
また、前記一般式(2)におけるm、nは共重合組成比であり、mは5〜50モル%、nは50〜95モル%を表す。mとしては5〜40モル%がより好ましく、10〜30モル%であることが特に好ましい。nとしては60〜95モル%がより好ましく、70〜90モル%であることが特に好ましい。
前記一般式(2)において、Qで表される単位は下記一般式(3)で表される単位であることが好ましい。
〔一般式(3)中、R4は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
一般式(3)において、R4は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表す。該アルキル基の炭素数としては1〜12が好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4が特に好ましい。該アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、メチルカルボニルオキシ等が好ましく挙げられる。R4としては水素原子が特に好ましい。
一般式(3)において、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。該置換基としては、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ハロゲン原子、アリールアミノ基、アミノ基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、ヘテロ環基等が挙げられ、中でもアリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環基が好ましい。アルキル基の炭素数としては1〜32が好ましく、2〜24がより好ましく、4〜18が特に好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、オクタデシル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシブチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、アセトキシエチル基、アセトキシブチル基、フェニルオキシエチル基、フェニルオキシブチル基、フェニルエチルオキシエチル基、等が好ましく挙げられ、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基が特に好ましい。アリール基の炭素数としては、6〜32が好ましく、6〜24がより好ましく、6〜18が特に好ましい。アリール基の具体例としてはフェニル基、ナフチル基、2−メトキシフェニル基、2−デシルオキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−オクチルオキシナフチル基、ジメチルアミノフェニル基、2−ドデシルチオフェニル基、4−(4−メチルフェニルチオキシ)フェニル基、2−メトキシ−4−ドデシルチオキシフェニル基、2−フェノキシエトキシフェニル基、2−ドデシルオキシフェニル基、2−オクタデシルオキシフェニル基、2,5−ジベンジルオキシフェニル基、2,5−ジシクロへキシルメチルオキシフェニル基、2−メトキシ−4−(2−エチルヘキサノイルアミノ)フェニル基、2−ブトキシ−4−ベンジルオキシカルボニルアミノフェニル基、2−オクチルオキシ−4−ブチルオキシカルボニルアミノフェニル基が挙げられる。
本発明に係る重合体は、前記一般式(1)で表される単位と、さらに共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。共重合可能な単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリールなどの(メタ)アクリル酸C1−18アルキルエステルなど]、(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、(メタ)アクリル酸、芳香族ビニル類[スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾールなど]、ビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バ−サチック酸ビニルなど]、アリールエステル類[酢酸アリールなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
本発明に係る重合体の分子量は重量平均分子量として1000〜500000程度が好ましく、2000〜100000がより好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が1000未満では打滴干渉の防止効果が不十分であり、また分子量が500000以上ではハンドリング適性が不良となり、インクジェット方式でのインクノズルでの目詰まりを生じることがある。
本発明に係る好ましい重合体としては以下のような化合物を挙げることができる。
上記本発明に係る重合体は、少なくとも第1の液体に含有され、更に複数種の液体の内、第1の液体及び第2の液体以外の別の液体中に含有されていてもよい。
本発明に係る重合体の好ましい使用量は、前記重合体を含有する液体全体に対して1質量%〜90質量%が好ましく1質量%〜75質量%が更に好ましく1質量%〜20質量%が特に好ましい。当該範囲とすることが、本発明の効果を発揮する点、及びインク液の吐出性に適した粘度となる点において好ましい。
<着色剤>
次いで、着色剤について説明する。既述の通り、本発明のインクセットは、前記第1の液体が着色剤を実質的に含有せず、前記第2の液体が着色剤を含有する第1の液体及び第2の液体以外の別の液体に含有することもできる。
第1の液体の着色剤を実質的に含まないとは、無色透明の染料・顔料の含有や、視認できない程度のごく微量の含有をも除外するものではなく、含有量の具体的な値としては、1cm幅のインク溶液を透過した可視光域の最大吸収波長の溶液吸光度に換算して0以上0.5以下であればよく、0.1以下であることが好ましく、0.01以下であることが特に好ましい。
ここで、吸光度とは試料入射前と試料透過後の光の強さをそれぞれ I0、Iとすると以下の式で表される値である。
吸光度=−log(I0/I)
吸光度は測定液のセル長によって変化するため、本文では1cm厚の溶液における吸光度をその値として用いることとする。
また、上記着色剤を、第1の液体及び第2の液体以外の別の液体に含有させる場合、滲みや打滴干渉の抑制という観点から、着色剤を含有させる上記他の液体は、第2の液体と同様、本発明に係る重合体を含有しないことが好ましい。
本発明に用いられる着色剤には特に制限はなく、インクの使用目的に適合する色相、色濃度を達成できるものであれば、公知の水溶性染料、油溶性染料及び顔料から適宜選択して用いることができる。なかでも、第2の液体は、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことがインク打滴安定性及び速乾性の観点から好ましく、そのような観点からは、非水溶性の液体に均一に分散、溶解しやすい油溶性染料や顔料を用いることが好ましい。
(油溶性染料)
本発明に使用可能な油溶性染料には特に制限はなく、任意のものを使用することができる。以下、本発明に使用しうる油溶性染料を色相別に例示する。
イエロー染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などが挙げられ、その他の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
マゼンタ染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
シアン染料としては、例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
前記の各染料は、発色原子団(クロモフォア)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
着色剤として油溶性染料を用いる場合の染料の含有量は、第2の液体中において、固形分換算で0.05〜20質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜15質量%が更に好ましく、0.2〜6質量%が特に好ましい。また、第1の液体及び第2の液体以外の別の液体に含有する場合の含有量としては、該液体中における固形分換算で0〜1質量%の範囲が好ましい。
(顔料)
着色剤として顔料を用いる態様もまた、複数種の液体の混合時に凝集が生じやすいという観点から好ましい。
本発明において使用される顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用できるが、黒色顔料としては、カーボンブラック顔料等が好ましく挙げられる。また、一般には黒色、及び、シアン、マゼンタ、イエローの3原色の顔料が用いられるが、その他の色相、例えば、赤、緑、青、茶、白等の色相を有する顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料なども目的に応じて用いることができる。
また、シリカ、アルミナ、樹脂などの粒子を芯材とし、表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することができる。
さらに、樹脂被覆された顔料を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などから市販品としても入手可能である。
本発明における液体中に含まれる顔料粒子の体積平均粒子径は、光学濃度と保存安定性とのバランスといった観点からは、10〜250nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50〜200nmである。ここで、顔料粒子の体積平均粒子径は、例えば、LB−500(HORIBA(株)製)などの測定装置により測定することができる。
着色剤として顔料を用いる場合の含有量は、光学濃度と噴射安定性の観点から、第2の液体中において、固形分換算で0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。また、第1の液体及び第2の液体以外の別の液体に含有する場合の含有量としては、該液体中における固形分換算で0〜1質量%の範囲が好ましい。
着色剤は1種のみならず、2種以上を混合して使用してもよい。また、液体毎に異なった着色剤を用いても、同じであってもよい。
<重合性材料>
本発明においては、第1の液体及び第2の液体を含む複数種の液体の内、少なくとも1つに、第2の液体に、重合性材料を含有する。上記重合性材料は、後述する重合開始剤から発生するラジカルなどの開始種により、重合反応を生起し、硬化する機能を有する。
重合性材料としては、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、二量化反応など公知の重合性材料を適用することができる。少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、オキシラン系化合物、マレイミド基を側鎖に有する高分子化合物、芳香核に隣接した光二量化可能な不飽和二重結合を有するシンナミル基、シンナミリデン基やカルコン基等を側鎖に有する高分子化合物などが挙げられ、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物がより好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物(単官能又は多官能化合物)から選択されるものであることが特に好ましい。具体的には、本発明に係る産業分野において広く知られるものの中から適宜選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものが含まれる。
重合性材料は、分子内に、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリール基、ビニル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)などの重合性基を有することが好ましく、なかでも、アクリロイル基、メタクリロイル基を有する化合物が低エネルギーで硬化反応を生起させることができるので好ましい。
本発明に用いうる多官能の重合性材料としては、ビニル基含芳香族化合物、2価以上のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである(メタ)アクリレート、2価以上のアミンと(メタ)アクリル酸とのアミドである(メタ)アクリルアミド、多塩基酸と2価アルコールの結合で得られるエステル又はポリカプロラクトンに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステル(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイドと多価アルコールの結合で得られるエーテルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入するか、あるいは2価以上のアルコールとエポシキ含有モノマーを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン結合をもったウレタンアクリレート、アミノ樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレート、アルキッド樹脂アクリレート、スピラン樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーの反応生成物およびワックス類と前記重合性モノマーの反応生成物などが挙げられ、(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーの反応生成物が好ましく、アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートが特に好ましい。
なお、本明細書では、アクリル酸、メタアクリル酸のいずれか、又は、双方を指すとき、「(メタ)アクリル酸」と表記することがある。
多官能重合性材料の具体例としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,6−アクリロイルアミノヘキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、2塩基酸と2価アルコールからなる分子量500〜30000のポリエステルの分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基をもつポリエステルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノール(AあるいはS、F)骨格を含有する分子量450〜30000のエポキシアクリレート、フェノールノボラック樹脂の骨格を含有する分子量600〜30000のエポキシアクリレート、分子量350〜30000の多価イソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリル酸モノマーとの反応物、また分子内にウレタン結合を有するウレタン変性物などが挙げられる。
また、本発明に用いうる単官能の重合性モノマーとしては、(メタ)アクリレート、スチレン、アクリルアミド、ビニル基含有モノマー(ビニルエステル類、ビニルエーテル類、N−ビニルアミドなど)、(メタ)アクリル酸などが挙げられ、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ビニルエステル類、ビニルエーテル類が好ましく、(メタ)アクリレート、アクリルアミドが特に好ましい。これらの重合性モノマーは、置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミド基、カルボン酸基などが挙げられる。
単官能重合性モノマーとしては、具体的には、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、アリールアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N、N−ジメチルアクリルアミド、N、N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、2−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチルアクリレート、エステルにポリブチルアクリレート部位を含有するアクリレート、エステルにポリジメチルシロキサン部位を含有するアクリレートなどが挙げられる。
重合性材料は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
複数種の液体の内、いずれか1つ若しくはそれ以上に含有させる重合性材料の含有量としては、全液体中における固形分換算で20〜98質量%の範囲が好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましく、50〜90質量%の範囲がさらに好ましい。
<重合開始剤>
本発明のインク組成物においては、重合開始剤を含有する。本発明のインクジェット記録用インクセットにおいては、前述したように、用いる複数種の液体(第1の液体及び第2の液体を含む)の内、少なくともいずれか第1の液体に、重合性材料を重合によって硬化させる重合開始剤を含有することが必要である。また、該重合開始剤は、液体の保存安定性の観点から、重合性材料を実質的に含まない液体中に含有させ、記録媒体上において両者がエネルギーを付与されることで重化反応が生起する。
本発明において用いられる重合開始剤は、光、熱、或いはその両方のエネルギーによりラジカルなどの開始種を発生し、前記重合性材料の重合を開始、促進させる化合物を指す。本発明における重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを選択して使用することができる。
そのようなラジカル発生剤としては、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物等が挙げられる。
本発明における重合開始剤の好ましい例として以下に示す光重合開始剤が挙げられる。例えば、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等の光重合開始剤が挙げられ、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が好ましく、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が特に好ましい。
このような光重合開始剤の具体的化合物としての例を挙げれば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインーn−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシーシクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,2−ジメチルプロピオイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルナフチルフォスフォネート、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フィニル)チタニウム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
また、他の好ましい光重合開始剤の例として、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤を挙げることができる。
なお、重合開始剤としては、感度に優れるものが好ましいが、例えば、80℃以下の温度で熱分解を起こすものを用いることは、保存安定性の観点から好ましくなく、80℃までの温度では熱分解を起こさない重合開始剤を選択することが好ましい。
重合開始剤は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、感度向上の目的で公知の増感剤と併用することもできる。
重合開始剤は、前記重合性材料とは別の液体中に含まれることが好ましいが、当該液体中の添加量は、経時安定性と硬化性、硬化速度との観点から0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。なお、この含有量が多すぎる場合には、経時による析出や分離が生じたり、硬化後のインクの強度や擦り耐性などの性能が悪化したりする場合があるので好ましくない。
<インクセット>
本発明のインクセットは、前述の第1の液体(インク)及び第2の液体(インク)を少なくとも含み、複数種の液体から構成される。本発明に係る複数種の液体においては、事実上着色剤を含有せず、且つ一般式(1)で表される単位を含む重合体(a)及び前記重合開始剤を含有してなる第1の液体と、着色剤(b)を含有してなる第2の液体と、を少なくとも含む複数種の液体を用い、該複数種の液体の少なくとも1つに重合性材料(c)を含有する態様が好ましい。
ここで、第1の液体と第2の液体とからなる、2液式を例に挙げて説明すれば、
(1)第1の液体に重合体(a)と前記重合開始剤と重合性材料(c)が、第2の液体に着色剤(b)が含まれる組み合わせ、
(2)第1の液体に重合体(a)と前記重合開始剤が、第2の液体に着色剤(b)と重合性材料(c)が含まれる組み合わせ、
(3)第1の液体に重合体(a)と前記重合開始剤と重合性材料(c)が、第2の液体に着色剤(b)と重合性材料(c)が含まれる組み合わせ、
が挙げられる。
尚、(1)〜(3)のそれぞれにおいて、第1の液体に、重合開始剤を含有、保存安定性の観点から、(1)又は(2)の態様において、(2)が好ましい。
また、3液以上の液体を用いる場合は、第1及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有してもよく、また第1及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有せず第3の液体に含有していてもよい。あるいは第1及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有し且つ第3の液体に含有していてもよい。
前記条件を満たす第1の液体と第2の液体とを付与することにより、滲みや線幅の太りを効果的に抑制でき、ベタツキや耐擦過性に優れた画像を得ることができる。
<その他の成分>
本発明における複数種の液体には、上記した成分の他、目的に応じて下記のような添加剤を併用することができる。
(高沸点有機溶媒)
本発明においては、複数種の液体のいずれか1つ、又はそれ以上の液体中に、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することができる。
前記高沸点有機溶媒を含有させることにより、滲み、線幅の太りの防止効果やベタツキや耐擦過性を向上させることができる。
尚、滲み、線幅の太りの発生の更なる抑制という観点からは、前記高沸点有機溶媒は、重合性材料を含まない液体中に含有することがより好ましい。
上記(1)の粘度条件のいずれをも満たさない高沸点有機溶媒では、粘度が高くなり、記録媒体上への液体の付与に支障をきたす場合がある。一方、(2)の沸点条件を満たさない高沸点有機溶媒では、沸点が低くなりすぎ、画像形成中に蒸発し、本発明の滲み、線幅の太りの回避の効果が得られなくなる場合がある。また、有機溶媒が蒸発し、大気中に放出させることは、環境面からも望ましくない。
尚、上記(1)の条件の内、25℃での粘度は、更に70mPa・s以下であることが好ましく、40mPa・s以下であることがより好ましく、20mPa・s以下であることが特に好ましい。60℃での粘度は、更に20mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることが特に好ましい。また、(2)の条件である沸点は、150℃以上であることよりが好ましく、170℃以上であることが特に好ましい。更に、上記高沸点有機溶媒は、融点が80℃以下であることが好ましく、水の溶解度(25℃)が4g以下であることが好ましい。水の溶解度は、更に3g以下であることが好ましく、2g以下であることがより好ましく、1g以下であることが特に好ましい。
ここで、本発明における「粘度」は、下記手段によって求めた粘度を指す。
粘度は、東機産業(株)社製RE80型粘度計を用いて測定した値である。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、通常、ロータコードNo.1のロータを用い、回転数は10rpmで測定する。但し、60mPa・sより高粘なものについては、回転数を5,2.5,1,0.5に適宜変更し測定する。
また、本発明において「水の溶解度」とは、25℃における高沸点有機溶媒中の水の飽和濃度であり、25℃での高沸点有機溶媒100gに溶解できる水の質量(g)を意味する。
高沸点有機溶媒の液体中における添加量としては、該液体の全質量に対して、50%質量以上100質量%以下の範囲が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
本発明のインクセットにおいて、上記高沸点有機溶媒の使用量としては、使用する着色剤に対し、塗設量換算で5〜2000質量%が好ましく、10〜1000質量%がより好ましい。
本発明において、前記高沸点有機溶媒としては、下記式〔S−1〕から〔S−9〕で表される化合物が好ましい。
前記式〔S−1〕においてR11、R12及びR13は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。また、a,b,cは、各々独立に0又は1を表す。
式〔S−2〕においてR14及びR15は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R16は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I以下同じ)、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、dは0〜3の整数を表す。dが複数のとき、複数のR16は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−3〕においてArはアリール基を表し、eは1〜6の整数を表し、R17はe価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
式〔S−4〕においてR18は脂肪族基を表し、fは1〜6の整数を表し、R19はf価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
式〔S−5〕においてgは2〜6の整数を表し、R20はg価の炭化水素基(ただしアリール基を除く)を表し、R21は脂肪族基又はアリール基を表す。
式〔S−6〕においてR22、R23及びR24は各々独立に、水素原子、脂肪族基又はアリール基を表す。Xは−CO−又は−SO2−を表す。R22とR23又はR23とR24は互いに結合して環を形成していてもよい。
式〔S−7〕においてR25は脂肪族基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基又はシアノ基を表し、R26はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、hは0〜3の整数を表す。hが複数のとき、複数のR26は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−8〕においてR27及びR28は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R29はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、iは0〜4の整数を表す。iが複数のとき、複数のR29は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−9〕においてR30及びR31は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。jは1又は2を表す。R30及びR31は互いに結合して環を形成していてもよい。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR11〜R16、R18、R21〜R31が脂肪族基又は脂肪族基を含む基であるとき、脂肪族基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、また不飽和結合を含んでいても置換基を有していてもよい。置換基の例として、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、エポキシ基等がある。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR11〜R16、R18、R21〜R31が環状脂肪族基、すなわちシクロアルキル基であるか、又はシクロアルキル基を含む基であるとき、シクロアルキル基は3〜8員の環内に不飽和結合を含んでよく、また置換基や架橋基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、脂肪族基、ヒドロキシル基、アシル基、アリール基、アルコキシ基、エポキシ基、アルキル基等があり、架橋基の例としてメチレン、エチレン、イソプロピリデン等が挙げられる。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR11〜R16、R21〜R31、Arがアリール基又はアリール基を含む基であるとき、アリール基はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基等の置換基で置換されていてもよい。
式〔S−3〕、〔S−4〕、〔S−5〕においてR17、R19又はR20が炭化水素基であるとき、炭化水素基は環状構造(例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環)や不飽和結合を含んでいてもよく、また置換基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基等がある。
以下に、式〔S−1〕〜〔S−9〕で表される高沸点有機溶媒の中でも、特に好ましい高沸点有機溶媒について述べる。
式〔S−1〕においてR11、R12及びR13は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えばn−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシリル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R11、R12及びR13は特に、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、2−クロロエチル、2−ブトキシエチル、シクロヘキシル、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、クメニルがより好ましい。
a、b、cは各々独立に0又は1であり、より好ましくはa、b、cすべて1である。
式〔S−2〕においてR14及びR15は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えば前記R11について挙げた脂肪族基と同じ基、ヘプチル、エトキシカルボニルメチル、1,1−ジエチルプロピル、2−エチル−1−メチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、1−エチル−1,5−ジメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ボルニル、1−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R1について挙げたアリール基、4−t−ブチルフェニル、4−t−オクチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2,4,−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,−ジ−t−ペンチルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R14及びR15は更に、脂肪族基が好ましく、特に、n−ブチル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、2−ブトキシエチル、エトキシカルボニルメチルがより好ましい。
16はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、炭素原子数1〜18のアルキル基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ドデシル)、炭素原子数1〜18のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ)又は炭素原子数2〜19のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)又は炭素原子数6〜25のアリールオキシカルボニル基が好ましい。これらの中でも、R16は更に、アルコキシカルボニル基が好ましく、特に、n−ブトキシカルボニルがより好ましい。
dは0又は1が好ましい。
式〔S−3〕においてArは炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、1−ナフチル、4−n−ブトキシフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、Arは特に、フェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニルがより好ましい。
eは1〜4(好ましくは1〜3)の整数が好ましい。
17はe価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基〔例えば前記R14について挙げた脂肪族基、n−オクチル、前記R14について挙げたアリール基、−(CH22 -
又はe価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに結合した炭化水素基〔例えば、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2(OCH2CH23−、−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−、
が好ましい。これらの中でも、R17は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
式〔S−4〕においてR18は炭素原子数1〜24(好ましくは1〜17)の脂肪族基(例えばメチル、n−プロピル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、n−ヘプチル、n−ウンデシル、n−トリデシル、ペンタデシル、8,9−エポキシヘプタデシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)が好ましく、これらの中でも、R18は特に、n−ヘプチル、n−トリデシル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、8,9−エポキシヘプタデシルが好ましい。
fは1〜4(好ましくは1〜3)の整数が好ましい。
19はf価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基又はf価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに連結した炭化水素基(例えば前記R17について挙げた基、1−メチル−2−メトキシエチル、2−ヘキシルデシル)が好ましく、これらの中でも、R19は特に、2−エチルヘキシル、2−ヘキシルデシル、1−メチル−2−メトキシエチル、
が好ましい。
式〔S−5〕においてgは2〜4が好ましく、2又は3がより好ましい。
21はg価の炭化水素基〔例えば、−CH2−、−(CH22−、−(CH24−、−(CH27−、−(CH28−、
が好ましく、これらの中でも、R20は特に、−(CH24−、−(CH28−、
が好ましい。
21は炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R14について挙げた脂肪族基、アリール基)が好ましく、これらの中でも、R21は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
式〔S−6〕において、R22は水素原子、炭素原子数1〜24の脂肪族基(好ましくは3〜20)〔例えばn−プロピル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、n−ペンタデシル、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシメチル、4−t−オクチルフェノキシメチル、3−(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)プロピル、1−(2,4−ジ−t−ブチルフェキシ)プロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル〕、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記Arについて挙げたアリール基、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、R22は特に、n−ウンデシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニルが好ましい。
23及びR24は、水素原子、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、シクロペンチル、シクロプロピル)又は炭素原子数6〜18(好ましくは6〜15)のアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、p−トリル)が好ましく、これらの中でも、R23及びR24は特に、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチル、n−テトラデシル、フェニルが好ましい。
23とR24とが互いに結合し、窒素原子とともにピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成してもよく、R22とR23とが互いに結合し、窒素原子とともにピロリドン環、ピペリジン環を形成してもよい。
Xは−CO−又は−SO2−であり、好ましくはXは−CO−である。
式〔S−7〕においてR25は炭素原子数1〜24(好ましくは3〜18)の脂肪族基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル、2−ブチル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ドデシル、2−ヘキサデシル、t−ペンタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素原子数2〜24(好ましくは5〜17)のアルコキシカルボニル基(例えばn−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル)、炭素原子数7〜24(好ましくは7〜18)のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、ナフトキシカルボニル、クレジルオキシカルボニル)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル、n−ブチルスルホニル、n−ドデシルスルホニル)、炭素原子数6〜30(好ましくは6〜24)のアリールスルホニル基(例えばp−トリルスルホニル、p−ドデシルフェニルスルホニル、p−ヘキサデシルオキシフェニルスルホニル)、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)、炭素原子数3〜18(更に好ましくは5〜17)のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ)又は炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−t−オクチルフェノキシ、m−ペンタデシルフェノキシ、p−ドデシルオキシフェノキシ)又はシアノ基が好ましく、これらの中でも、R25は、更に脂肪族基が好ましく、特に、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニルが好ましい。
式〔S−8〕においてR27及びR28は、前記R23及びR24における水素原子以外の例と同じであり、これらの中でも、R27及びR28は、更に脂肪族基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、n−ドデシルが好ましい。但し、R27及びR28は互いに結合して環を形成することはない。
29は、前記R26と同じであり、これらの中でもR29は、更にアルキル基及びアルコキシ基が好ましく、特に、n−オクチル、メトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシが好ましい。
iは1〜3の整数が好ましい。
式〔S−9〕においてR30及びR31は、結合して環を形成しない場合には、前記R11、R12及びR13と同じであり、これらの中でもR30及びR31は、特に、メチル、エチル、ブチル、ヘキシル、オクチルが好ましい。
30とR31とが互いに結合し環を形成してもよく、形成される環として5員環、6員環が好ましい。
jは1又は2を表し、好ましくは、jは1である。
以下に本発明において用いられる高沸点有機溶媒の具体例(S−1〜53)を示す。
本発明において、高沸点有機溶媒は1種類を単独で使用しても、2種以上を混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2ーエチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕して使用してもよい。
本発明のインクセットにおいて、前記着色剤と前記高沸点有機溶媒との質量比としては、着色剤:高沸点有機溶媒が、1:0.01〜1:1であるのが好ましく、1:0.05〜1:0.5であるのがより好ましい。
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例、及び/又はこれら高沸点有機溶媒の合成方法については、例えば、米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号等の各明細書、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等の各公報に記載されている。
(貯蔵安定剤)
本発明においては、複数種の液体の保存中の好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性材料と同じ液体に共存させて用いることが好ましく、また、該液体或いは共存する他の成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
貯蔵安定剤としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
貯蔵安定剤の添加量は、用いる重合開始剤の活性や重合性材料の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、保存安定性と液体混合時のインクの硬化性とのバランスといった観点からは、液体中における固形分換算で0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。
(導電性塩類)
導電性塩類は、導電性を向上させる固体の化合物である。本発明においては、保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで溶解性が良い場合には、適当量添加してもよい。導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
(溶剤)
溶剤は、インクの極性や、粘度、表面張力、着色材料の溶解性・分散性の向上、導電性の調整および印字性能の調整などのために使用できる。前記溶剤としては、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことがインク打滴安定性及び速乾性の観点から好ましく、特に前述の高沸点有機溶媒が好ましい。
低沸点有機溶媒は沸点が100℃以下の有機溶剤である。該低沸点有機溶媒は、硬化性に影響を与える懸念があり、また、低沸点有機溶媒は環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましい。使用する場合には、安全性の高いものを用いることが好ましく、安全性が高い溶媒とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶媒であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、メタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
溶剤は一種類でも複数組み合わせて使用してもよく、上記の水及び/又は低沸点有機溶媒を用いる場合のその使用量は、各液体中0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないのが特に好ましい。ここで実質的に含まないとは、不可避不純物の存在を容認することを意味する。液体中に水を含有すると、経時による不均一化、染料の析出等に起因する液体の濁りが生じるという経時安定性の点、及び、非吸水性の記録媒体を用いた場合の乾燥性の観点から好ましくない。
(その他の添加剤)
また、その他の添加剤として、溶剤やポリマー、表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤を併用することができる。
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、公知の化合物を適宜選択して用いればよいが、具体的には例えば、特開2001−181549号公報に記載されている添加剤などを用いることができる。
また、上記のほか、混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物を、それぞれ異なる液体中に含有することができる。上記1組の化合物は、凝集体を急速に形成させるか、或いは、液体を急速に増粘させる特徴を有し、これにより隣接する液滴との打滴干渉の発生を更に効果的に抑制することができる。
上記混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物の反応例としては、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応等が挙げられる。
<インクジェット画像記録方法>
次に、本発明のインクジェット画像記録方法について説明する。
本発明のインクジェット画像記録方法は、前述の第1の液体と第2の液体とを含む複数種の液体を用い、前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に付与することによって画像を形成することを特徴とする。
着色剤を含有せず、且つ前記一般式(1)で表される単位を含む重合体を含有してなる第1の液体と、着色剤を含有してなる第2の液体と、を付与することにより、滲みや線幅の太りを効果的に抑制することができ、またベタツキや耐擦過性の品質に優れた色別れの無い画像を得ることができる。
尚、上記において、着色剤を含有してなる第2の液体は、インクジェットノズルでの噴射によって記録媒体上に付与する態様が好ましく、更には、第1の液体を付与すると同時、又は付与した後に、第2の液体をインクジェットノズルによる噴射で行うことが、滲みや線幅の太りの抑制並びにベタツキや耐擦過性の観点から好ましい。
(液体の付与手段)
ここで、上記画像記録方法における、記録媒体上への第1の液体の付与手段について説明する。尚、第2の液体の付与手段に関しては、前記の通り、好ましい態様であるインクジェットノズルでの噴射を例にして説明する。
該付与手段としては、特に限定されるわけではないが、具体例として以下の2点が挙げられる。
(i)塗布装置を用いた塗布
本発明のインクジェット画像記録方法においては、塗布装置を用いて第1の液体を記録媒体上に塗布し、その後に第2の液体をインクジェットノズルによって噴射することにより、画像を形成する態様が好ましい。
上記塗布装置としては、特に制限はなく公知の塗布装置を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IPドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。その他塗布の技術に関しては、原崎勇次著「コーティング工学」を参照することができる。
また、上記インクジェットノズルとしては、特に制限はなく公知のノズルを目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、上記インクジェットノズルによる噴射の方式(インクジェット記録方式)について説明する。本発明においては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、等の公知の方式が好適に使用される。
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
尚、第1の液体及び第2の液体以外の他の液体は、上記塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で記録媒体上に付与してもよく、また付与のタイミングも特に限定されるわけではないが、着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射による手段が好ましく、且つ第1の液体を塗布した後に付与されることが好ましい。
(ii)インクジェットノズルによる噴射
また、インクジェットノズルによって前記第1の液体を噴射し、それと同時か又はその後に、第2の液体を同様にインクジェットノズルによって噴射することにより、画像を形成する態様が好ましい。
上記インクジェットノズルについては、前記と同様である。
また、前記同様、第1の液体及び第2の液体以外の他の液体は、上記塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で記録媒体上に付与してもよく、また付与のタイミングも特に限定されるわけではないが、着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射による手段が好ましく、且つ第1の液体を塗布した後に付与されることが好ましい。
尚、後述する本発明におけるインクジェット記録用インクセットは、上記(ii)の手段であって、他の液体全てがインクジェットノズルで噴射される態様のインクジェット画像記録方法に用いることにより、その優れた効果を顕著に発揮する。
上記(i)の手段による場合には、少なくとも第2の液体が、このようなインクジェット記録方式により、既に第1の液体が塗布された記録媒体上に適用され、画像が形成される。一方、上記(ii)の手段による場合には、少なくとも第1の液体及び第2の液体が、このようなインクジェット記録方式により、同時に又は順次記録媒体上に適用され、画像が形成される。
尚、2種以上の液体が上記インクジェット記録方式によって記録媒体上に噴射される場合、それらの液体が互いに接触するように付与される。2種以上の液体が接触する態様には特に制限はなく、互いに隣接するよう噴射されてもよく、一方の液体の付与領域と同じ領域になるように噴射されてもよい。
噴射のタイミングは任意であり、同時であっても順次であってもよいが、順次噴射される場合には、最初の液体を噴射した後、1秒以下で、次の液体を噴射することが好ましい。また、液滴の質量には特に制限はなく、形成される画像の鮮鋭度により選択されるが、一般的には1つの液体の1液滴あたりの質量は0.5pl〜10pl程度であることが好ましい。
本発明において、1つの打滴により画像を形成するための複数種の液体についての付与量の比率としては、2液式の場合、第1の液体付与量と第2の液体付与量との質量比は、0.5:5〜5:0.5の範囲であることが反応性、粘度の観点から好ましい。
尚、上記インクジェット記録方式によって記録媒体上に噴射される第1の液体及び第2の液体を含むすべての液体(インク)において、好ましい物性は印字装置により異なるが、一般的には、各液体の粘度(25℃)は5〜100mPa・sが好ましく、10〜80mPa・sがより好ましい。インク組成物の表面張力は20〜60mN/mが好ましく、30〜50mN/mがより好ましい。
さらに好ましい物性は、第1の液体と第2の液体との関係において、粘度(25℃)差が25mPa・s以内であり、表面張力差は、20mN/m以内の場合である。
(エネルギー付与工程)
また、上記画像記録方法においては、優れた定着性を得る観点から、画像形成後に活性エネルギーを付与することによって画像を固定する工程を設けることができる。活性エネルギーを付与することで、凝集体中の重合、硬化反応を促進させ、より強固な画像をより効率よく形成することができる。このような活性エネルギー付与は光照射又は加熱により行われることが好ましい。
露光、加熱などのエネルギー付与により、混合された液体中の重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されるとともに、活性種の増加や温度の上昇により、活性種に起因する重合性材料の重合硬化反応が促進される。
本発明において重合性材料の重合を進行させるための露光光源としては、紫外線、可視光線などを使用することができる。また、光以外の放射線、例えば、α線、γ線、X線、電子線などを照射してエネルギー付与を行うこともできるが、これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般的には、1〜500mJ/cm2程度である。
また、加熱によりエネルギー付与を行う場合には、記録媒体表面の温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で、0.1秒〜1秒間、加熱することが好ましい。
この加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行われ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等による全面露光を行う加熱手段などが好ましく用いられる。ここで、加熱手段としての露光に用いられる光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
(記録媒体)
本発明においては、インク浸透性の記録媒体、インク非浸透性の記録媒体共に使用することができる。インク浸透性の記録媒体としては、普通紙、インクジェット専用紙、コート紙、電子写真共用紙、布、不織布、多孔質膜、高分子吸収体等が挙げられる。これらについては、特開2001−1891549号公報などに「被記録材」として記載されている。
本発明の優れた効果は、インク非浸透性の記録媒体で顕著に発現する。インク非浸透性の記録媒体としては、アート紙、合成樹脂、ゴム、樹脂コート紙、ガラス、金属、陶器、木材等が挙げられる。加えて機能を付加するために、これら材質を複数組み合わせ複合化した基材も使用することができる。
合成樹脂としては、いかなる合成樹脂も用いることができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリルーブタジエン−スチレン共重合体等、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は、フィルム状でもよいし、カード状、ブロック状でもよく、何ら限定されることはない。また、これら合成樹脂は透明でも不透明でもよい。
合成樹脂の使用形態としては、所謂軟包装に用いられるフィルム状で用いることも好ましく、各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、PNyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。
樹脂コート紙としては、例えば、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム、及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体等が挙げられるが、特に好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
以下、最も好ましいポリオレフィンの代表である、ポリエチレンでラミネートした紙支持体について説明する。
紙支持体に用いられる原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70質量%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P8118に規定の方法に準ずる)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P8143(1998年度版)に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズ剤と同様のものを使用することができる。
原紙のpHは、JIS P8113(1998年度版)で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/又は高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
また、塗布層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ルチル又はアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用することができる。
原紙の表裏のポリエチレン使用量は、水系塗布組成物の膜厚や、バック層を設けた後で低湿及び高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、本発明に係る水系塗布組成物を塗布する側のポリエチレン層としては20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲であることが好ましい。
金属としては、いかなる金属も用いることが可能であるが、アルミニウム、鉄、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、シリコン、鉛、亜鉛等、又はステンレス等のこれらの複合材料が好ましく用いられる。
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例)
以下に示す処方のインクジェット用記録インクを調製した。
<重合性材料を含有するインクジェット記録用液体(I−0)の調製>
(A)酸化合物<下記化合物(Ac−1)、分子量8000> 0.22g
(B)重合性材料:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(C)重合性材料:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 11.60g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(E)着色剤<顔料:銅フタロシアニン PB15:3> 1.40g
以上の成分を攪拌混合溶解し、顔料シアンインク用液体(I−0)(第2の液体)を得た。液体(I−0)の粘度は19.6mPa・sであった。
<重合性材料を含有するインクジェット記録用液体(I−1)の調製>
酸化合物<前記化合物(Ac−1)>0.22gを用いないこと以外は、インクジェット記録用液体(I−0)と同様に調製することでインクジェット記録用液体(I−1)を得た。I−0と同様に粘度を測定したところその粘度は15.0mPa・sであった。
<重合体を含有するインクジェット記録用インク液体(II−1)の調製>
(F)高沸点有機溶媒(例示化合物(S−15)) 4.15g
(G)重合開始剤(TPO−L(下記開始剤−1)) 0.6g
(H)重合体(前記例示化合物MM−1) 0.08g
以上の成分を攪拌混合溶解し、インクジェット記録用インク液体(II−1)(第1の液体)を得た。
<重合体を含有するインクジェット記録用インク液体(II−2)〜(II−7)の調製>
前記インク組成物用液体(II−1)の調製において、重合体を下記表1の如く当重量で置き換えたこと以外は、インク液体(II−1)と同じようにして本発明に係る重合体を含有するインクジェット記録用インク液体(II−2)〜(II−7)を調製した。
表1に、インク液体(II−1)〜(II−7)の調製に用いた重合体と液体の粘度を示す。
(比較例)
<1液型のインクジェット記録用比較インク液体I−00>
(A)重合性材料:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(B)重合性材料:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 11.60g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
(C)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(D)着色剤<顔料:銅フタロシアニン PB15:3> 1.40g
(E)高沸点有機溶媒(例示化合物(S−15)) 12.10g
(F)重合開始剤(TPO−L(前記開始剤−1)) 1.81g
<1液型のインクジェット記録用比較インク液体I−000>
(A)重合性材料:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(B)重合性材料:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 11.60g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
(C)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(D)着色剤<顔料:銅フタロシアニン PB15:3> 1.40g
(E)高沸点有機溶媒(例示化合物(S−15)) 10.10g
(F)重合開始剤(TPO−L(前記開始剤−1)) 1.81g
<2液型インクジェット記録用比較インク液体(II−0)>
(A)酢酸エチル 4.15g
(B)重合開始剤(TPO−L(前記開始剤−1)) 0.6g
<評価>
調製したインク用液体(II−1)〜(II−7)および(II−0)をインクジェットプリンター(マイクロジェット社製実験機、印字密度:300dpi、打滴周波数:2KHz、ノズル数:64、2列配列)で被記録媒体上に印字した。この後に、被記録媒体に付与したインク用液体(II−1)〜(II−7)および(II−0)と重なるように、インク用液体(I−0)を印字した。
同様にインク用液体(I−1)もインク用液体(II−1)〜(II−7)および(II−0)の上に重なるように印字した。
調製したインク用液体(I−00)をインクジェットプリンター(マイクロジェット社製実験機、印字密度:300dpi、打滴周波数:2KHz、ノズル数:64、2列配列)で被記録媒体上に印字した。ただし、この場合はI−00のみ単独で印字を行った。
調製したインク用液体(I−000)をインク用液体(I−00)と同様に印字した。ただし打滴周波数は4KHzとした。ただし、この場合はI−000のみ単独で印字を行った。このとき、比較用インクI−000はノズル詰まりが生じ、安定に吐出することができなかった。
被記録媒体としては、厚さ60μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート、(商品名:PPL/レーザープリンター用ゼロックスフィルム OHP FILM,富士ゼロックス社製)及びアート紙(商品名:特菱アート両面,三菱製紙社製)を用いた。
印字後、60秒後に、メタルハライドランプで365nm波長のものを使い、紫外線量〜500mJ/cm2で紫外線照射を行い。画像を形成した。得られた画像については、以下の項目で評価を行った。結果を表2に示す。
<打滴干渉性能評価>
(ライン太さ)
I液、II液をライン状に重ね打ち、印字後に露光するまでの時間間隔が空いた場合の打滴形状の具合を下記基準で評価した。但し、(I−00)、(I−000)は1液のみライン状に打滴した。
A:ラインの太さが均一で、0.3mm以下である。
(0.3mmは拡がり度がほぼ3倍である。ここで、拡がり度とは、被記録媒体上に到達する直前のインク液滴直径に対する割合である。)
B:ラインの太さが均一であるが、線の太さは0.3mmを超える。
C:ライン上に液溜り由来のはっきりとした線のばらつきがある。
<ベタツキ評価>
印刷面を指で触り、下記基準で評価した。
A:ベタツキが無い
B:若干ベタツク
C:著しくベタツク
<耐擦過性評価>
前記画像を形成したPET又はアート紙を、印字後、30分経過した画像について、消しゴムで10往復擦り、変化を観察し、下記基準で評価した。
A:濃度低下がまったく無い
B:濃度低下が僅かに生じる
C:著しく濃度低下が生じる
表2から分るように、インクジェット記録用インクとして、第1の液体と第2の液体との2液に分け、2液が重なるように印字すると、インク非吸収性のPETシート上、又はアート紙上で、印字後に露光するまでの時間間隔が空いた場合でも打滴形状の変化が改善される。更に本発明においてはメタルハライドランプで365nm波長のものを使い、紫外線光量〜500mJ/cm2で紫外線照射を行うことで、効率的にすばやく硬化反応が進行し、ベタツキが無く、高度の耐擦過性を有する画像が得られることが分かる。

Claims (20)

  1. 下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体及び重合開始剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。

    〔一般式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
  2. 前記重合体が下記一般式(2)で表される共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。

    〔一般式(2)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Qは有機概念図における無機性/有機性比(I/O値)が1.5以下の単位を表す。m、nは共重合組成比であり、mは5〜50モル%、nは50〜95モル%を表す。〕
  3. 前記一般式(1)又は前記一般式(2)において、R2が水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  4. 前記一般式(2)において、Qで表される単位が下記一般式(3)で表される単位であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録用インク組成物。

    〔一般式(3)中、R4は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
  5. さらに、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
  6. 第1の液体および第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体で構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
    前記第1の液体が下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体と重合開始剤を含有し、前記第2の液体が着色剤及び重合性材料を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセット。

    〔一般式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
  7. 前記重合体が下記一般式(2)で表される共重合体であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用インクセット。

    〔一般式(2)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Qは有機概念図における無機性/有機性比(I/O値)が1.5以下の単位を表す。m、nは共重合組成比であり、mは5〜50モル%、nは50〜95モル%を表す。〕
  8. 前記一般式(1)または前記一般式(2)において、R2が水素原子であることを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット記録用インクセット。
  9. 前記一般式(2)において、Qで表される単位が下記一般式(3)で表される単位であることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録用インクセット。

    〔一般式(3)中、R4は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕
  10. 前記第1の液体中の着色剤の含有量が、1cm厚の該第1の溶液を透過した時の最大吸収波長の溶液吸光度に換算して0以上0.5以下となる量であることを特徴とする請求項6からのいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  11. 前記第1の液体及び前記第2の液体の少なくとも一方に、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  12. 前記高沸点有機溶媒が、前記第1の液体に含まれることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録用インクセット。
  13. 前記着色剤が、顔料であることを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  14. 前記複数種の液体の溶媒が非水溶性の液体であることを特徴とする請求項6から13のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  15. 請求項6から14のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、前記第1の液体及び前記第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に付与することによって画像を形成するインクジェット画像記録方法。
  16. 前記第1の液体を記録媒体上に付与すると同時、又は付与した後に、前記第2の液体をインクジェットノズルによって噴射し画像を形成することを特徴とする請求項15に記載のインクジェット画像記録方法。
  17. 前記第1の液体を記録媒体上に付与する手段が、塗布装置を用いた塗布であり、第1の液体を塗布した後に第2の液体をインクジェットノズルによって噴射することを特徴とする請求項15または16に記載のインクジェット画像記録方法。
  18. 前記第1の液体及び前記第2の液体を記録媒体上に付与する手段が、インクジェットノズルによる噴射であることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法。
  19. 記録媒体上に形成された画像に、活性エネルギーを付与して画像を固定する工程を設けたことを特徴とする請求項15から18のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法。
  20. 前記活性エネルギーの付与が、光照射又は加熱により行われることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット画像記録方法。
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