JP4989870B2 - インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット画像記録方法 - Google Patents
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Description
このため、顔料を用いずに透明性や色調に優れた画像形成を行うため、着色剤に染料を用いた紫外線硬化型インクも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。このインクは、保存中に好ましくない重合反応が起こりやすく、保存安定性が十分ではないといった問題点を有していた。更には、導電性塩類を含んでおり、それらのインク中での溶解性が悪い場合があるため、長期保存状態での析出による印字不良の懸念があった。
しかし、これらの方法は、染料自体の析出により画像のにじみを抑制させようとするものであり、打滴干渉による画質の劣化を十分に回避しうるものではなかった。インクジェット記録はインク(液体)の液滴を連続的に液滴n1、液滴n2、液滴n3、、、、液滴nxと吐出し、被記録媒体上に液滴n1、液滴n2、液滴n3、、、、液滴nxにてラインを形成したり、画像を形成するものであるが、ここで言う打滴干渉とは、隣接して打滴された液滴同士(例えば液滴n1と液滴n2)が表面エネルギーを低下させるため(表面積を小さくするため)に、合一する現象である。隣接する液滴が合一するときに液滴の移動が起こるために、着弾した位置からずれ、特に着色剤を含むインクで細線を描く場合には、線幅の不均一が生じる。更に、打滴されたインク液は時間が経つにつれ被記録媒体上で拡散しやすく、活性光線による硬化までの時間が長い場合にはドット径が目的としたものより大きくなってしまい、ドットで形成されるラインが太くなるという問題点を有していた。
また、上記の特許文献3のような方法では、水性溶媒を含むため、乾燥速度が遅く、さらに、析出した染料が記録媒体上に不均一に分布しやすく、画質の低下を招く懸念もあった。
本発明の目的は、長期保存安定性と優れた定着性を維持すると共に、滲みや印字後に露光するまでの時間間隔が空いた際に生じうる打滴形状の変化(線幅の太り)が抑制され、高画質な画像を形成することができるインクセット、及び該インクセットに好適に使用し得るインク組成物を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、優れた定着性を維持しつつ、滲みや印字後に露光するまでの時間間隔が空いた際に生じうる打滴形状の変化(線幅の太り)が抑制され、ベタツキが無く、耐擦過性に優れた高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法を提供することにある。
<1> 下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体及び重合開始剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物である。
また、本発明によれば、優れた定着性を維持しつつ、滲みや印字後に露光するまでの時間間隔が空いた際に生じうる打滴形状の変化(線幅の太り)が抑制され、ベタツキが無く、耐擦過性に優れた高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)は、下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体及び重合開始剤を含有することを特徴としている。
また、本発明のインクジェット記録用インクセット(以下、単に「インクセット」ともいう。)は、第1の液体および第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体で構成されるインクジェット記録用インクセットであって、前記第1の液体が下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体と重合開始剤を含有し、前記第2の液体が着色剤及び重合性材料を含有することを特徴としている。
上記画像記録方法においては、前記複数種の液体の少なくとも1つの第2の液体に重合性材料を含有し、前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に付与することによって画像を形成することを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まず上記複数種の液体を構成する成分について述べる。
本発明のインク組成物又はインクセットの第1の液体は、下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体を含有する。
本発明に係る重合体の好ましい使用量は、前記重合体を含有する液体全体に対して1質量%〜90質量%が好ましく1質量%〜75質量%が更に好ましく1質量%〜20質量%が特に好ましい。当該範囲とすることが、本発明の効果を発揮する点、及びインク液の吐出性に適した粘度となる点において好ましい。
次いで、着色剤について説明する。既述の通り、本発明のインクセットは、前記第1の液体が着色剤を実質的に含有せず、前記第2の液体が着色剤を含有する。第1の液体及び第2の液体以外の別の液体に含有することもできる。
吸光度=−log(I0/I)
吸光度は測定液のセル長によって変化するため、本文では1cm厚の溶液における吸光度をその値として用いることとする。
本発明に使用可能な油溶性染料には特に制限はなく、任意のものを使用することができる。以下、本発明に使用しうる油溶性染料を色相別に例示する。
イエロー染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などが挙げられ、その他の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
着色剤として顔料を用いる態様もまた、複数種の液体の混合時に凝集が生じやすいという観点から好ましい。
本発明において使用される顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用できるが、黒色顔料としては、カーボンブラック顔料等が好ましく挙げられる。また、一般には黒色、及び、シアン、マゼンタ、イエローの3原色の顔料が用いられるが、その他の色相、例えば、赤、緑、青、茶、白等の色相を有する顔料や、金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料なども目的に応じて用いることができる。
また、シリカ、アルミナ、樹脂などの粒子を芯材とし、表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することができる。
着色剤は1種のみならず、2種以上を混合して使用してもよい。また、液体毎に異なった着色剤を用いても、同じであってもよい。
本発明においては、第1の液体及び第2の液体を含む複数種の液体の内、少なくとも1つに、第2の液体に、重合性材料を含有する。上記重合性材料は、後述する重合開始剤から発生するラジカルなどの開始種により、重合反応を生起し、硬化する機能を有する。
なお、本明細書では、アクリル酸、メタアクリル酸のいずれか、又は、双方を指すとき、「(メタ)アクリル酸」と表記することがある。
複数種の液体の内、いずれか1つ若しくはそれ以上に含有させる重合性材料の含有量としては、全液体中における固形分換算で20〜98質量%の範囲が好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましく、50〜90質量%の範囲がさらに好ましい。
本発明のインク組成物においては、重合開始剤を含有する。本発明のインクジェット記録用インクセットにおいては、前述したように、用いる複数種の液体(第1の液体及び第2の液体を含む)の内、少なくともいずれか第1の液体に、重合性材料を重合によって硬化させる重合開始剤を含有することが必要である。また、該重合開始剤は、液体の保存安定性の観点から、重合性材料を実質的に含まない液体中に含有させ、記録媒体上において両者がエネルギーを付与されることで重合・硬化反応が生起する。
そのようなラジカル発生剤としては、有機ハロゲン化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物等が挙げられる。
重合開始剤は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、感度向上の目的で公知の増感剤と併用することもできる。
本発明のインクセットは、前述の第1の液体(インク)及び第2の液体(インク)を少なくとも含み、複数種の液体から構成される。本発明に係る複数種の液体においては、事実上着色剤を含有せず、且つ一般式(1)で表される単位を含む重合体(a)及び前記重合開始剤を含有してなる第1の液体と、着色剤(b)を含有してなる第2の液体と、を少なくとも含む複数種の液体を用い、該複数種の液体の少なくとも1つに重合性材料(c)を含有する態様が好ましい。
ここで、第1の液体と第2の液体とからなる、2液式を例に挙げて説明すれば、
(1)第1の液体に重合体(a)と前記重合開始剤と重合性材料(c)が、第2の液体に着色剤(b)が含まれる組み合わせ、
(2)第1の液体に重合体(a)と前記重合開始剤が、第2の液体に着色剤(b)と重合性材料(c)が含まれる組み合わせ、
(3)第1の液体に重合体(a)と前記重合開始剤と重合性材料(c)が、第2の液体に着色剤(b)と重合性材料(c)が含まれる組み合わせ、
が挙げられる。
また、3液以上の液体を用いる場合は、第1及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有してもよく、また第1及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有せず第3の液体に含有していてもよい。あるいは第1及び/又は第2の液体に重合開始剤を含有し且つ第3の液体に含有していてもよい。
前記条件を満たす第1の液体と第2の液体とを付与することにより、滲みや線幅の太りを効果的に抑制でき、ベタツキや耐擦過性に優れた画像を得ることができる。
本発明における複数種の液体には、上記した成分の他、目的に応じて下記のような添加剤を併用することができる。
本発明においては、複数種の液体のいずれか1つ、又はそれ以上の液体中に、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することができる。
前記高沸点有機溶媒を含有させることにより、滲み、線幅の太りの防止効果やベタツキや耐擦過性を向上させることができる。
尚、滲み、線幅の太りの発生の更なる抑制という観点からは、前記高沸点有機溶媒は、重合性材料を含まない液体中に含有することがより好ましい。
尚、上記(1)の条件の内、25℃での粘度は、更に70mPa・s以下であることが好ましく、40mPa・s以下であることがより好ましく、20mPa・s以下であることが特に好ましい。60℃での粘度は、更に20mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることが特に好ましい。また、(2)の条件である沸点は、150℃以上であることよりが好ましく、170℃以上であることが特に好ましい。更に、上記高沸点有機溶媒は、融点が80℃以下であることが好ましく、水の溶解度(25℃)が4g以下であることが好ましい。水の溶解度は、更に3g以下であることが好ましく、2g以下であることがより好ましく、1g以下であることが特に好ましい。
粘度は、東機産業(株)社製RE80型粘度計を用いて測定した値である。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、通常、ロータコードNo.1のロータを用い、回転数は10rpmで測定する。但し、60mPa・sより高粘なものについては、回転数を5,2.5,1,0.5に適宜変更し測定する。
本発明のインクセットにおいて、上記高沸点有機溶媒の使用量としては、使用する着色剤に対し、塗設量換算で5〜2000質量%が好ましく、10〜1000質量%がより好ましい。
式〔S−1〕においてR11、R12及びR13は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えばn−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシリル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R11、R12及びR13は特に、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、2−クロロエチル、2−ブトキシエチル、シクロヘキシル、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、クメニルがより好ましい。
a、b、cは各々独立に0又は1であり、より好ましくはa、b、cすべて1である。
R16はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、炭素原子数1〜18のアルキル基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ドデシル)、炭素原子数1〜18のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ)又は炭素原子数2〜19のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)又は炭素原子数6〜25のアリールオキシカルボニル基が好ましい。これらの中でも、R16は更に、アルコキシカルボニル基が好ましく、特に、n−ブトキシカルボニルがより好ましい。
dは0又は1が好ましい。
eは1〜4(好ましくは1〜3)の整数が好ましい。
R17はe価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基〔例えば前記R14について挙げた脂肪族基、n−オクチル、前記R14について挙げたアリール基、−(CH2)2 -、
fは1〜4(好ましくは1〜3)の整数が好ましい。
R21はg価の炭化水素基〔例えば、−CH2−、−(CH2)2−、−(CH2)4−、−(CH2)7−、−(CH2)8−、
R23とR24とが互いに結合し、窒素原子とともにピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成してもよく、R22とR23とが互いに結合し、窒素原子とともにピロリドン環、ピペリジン環を形成してもよい。
Xは−CO−又は−SO2−であり、好ましくはXは−CO−である。
R29は、前記R26と同じであり、これらの中でもR29は、更にアルキル基及びアルコキシ基が好ましく、特に、n−オクチル、メトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシが好ましい。
iは1〜3の整数が好ましい。
R30とR31とが互いに結合し環を形成してもよく、形成される環として5員環、6員環が好ましい。
jは1又は2を表し、好ましくは、jは1である。
本発明においては、複数種の液体の保存中の好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性材料と同じ液体に共存させて用いることが好ましく、また、該液体或いは共存する他の成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
貯蔵安定剤の添加量は、用いる重合開始剤の活性や重合性材料の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、保存安定性と液体混合時のインクの硬化性とのバランスといった観点からは、液体中における固形分換算で0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。
導電性塩類は、導電性を向上させる固体の化合物である。本発明においては、保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで溶解性が良い場合には、適当量添加してもよい。導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
溶剤は、インクの極性や、粘度、表面張力、着色材料の溶解性・分散性の向上、導電性の調整および印字性能の調整などのために使用できる。前記溶剤としては、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことがインク打滴安定性及び速乾性の観点から好ましく、特に前述の高沸点有機溶媒が好ましい。
また、その他の添加剤として、溶剤やポリマー、表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤を併用することができる。
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、公知の化合物を適宜選択して用いればよいが、具体的には例えば、特開2001−181549号公報に記載されている添加剤などを用いることができる。
上記混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物の反応例としては、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応等が挙げられる。
次に、本発明のインクジェット画像記録方法について説明する。
本発明のインクジェット画像記録方法は、前述の第1の液体と第2の液体とを含む複数種の液体を用い、前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に付与することによって画像を形成することを特徴とする。
ここで、上記画像記録方法における、記録媒体上への第1の液体の付与手段について説明する。尚、第2の液体の付与手段に関しては、前記の通り、好ましい態様であるインクジェットノズルでの噴射を例にして説明する。
該付与手段としては、特に限定されるわけではないが、具体例として以下の2点が挙げられる。
本発明のインクジェット画像記録方法においては、塗布装置を用いて第1の液体を記録媒体上に塗布し、その後に第2の液体をインクジェットノズルによって噴射することにより、画像を形成する態様が好ましい。
ここで、上記インクジェットノズルによる噴射の方式(インクジェット記録方式)について説明する。本発明においては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、等の公知の方式が好適に使用される。
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
また、インクジェットノズルによって前記第1の液体を噴射し、それと同時か又はその後に、第2の液体を同様にインクジェットノズルによって噴射することにより、画像を形成する態様が好ましい。
上記インクジェットノズルについては、前記と同様である。
尚、2種以上の液体が上記インクジェット記録方式によって記録媒体上に噴射される場合、それらの液体が互いに接触するように付与される。2種以上の液体が接触する態様には特に制限はなく、互いに隣接するよう噴射されてもよく、一方の液体の付与領域と同じ領域になるように噴射されてもよい。
噴射のタイミングは任意であり、同時であっても順次であってもよいが、順次噴射される場合には、最初の液体を噴射した後、1秒以下で、次の液体を噴射することが好ましい。また、液滴の質量には特に制限はなく、形成される画像の鮮鋭度により選択されるが、一般的には1つの液体の1液滴あたりの質量は0.5pl〜10pl程度であることが好ましい。
さらに好ましい物性は、第1の液体と第2の液体との関係において、粘度(25℃)差が25mPa・s以内であり、表面張力差は、20mN/m以内の場合である。
また、上記画像記録方法においては、優れた定着性を得る観点から、画像形成後に活性エネルギーを付与することによって画像を固定する工程を設けることができる。活性エネルギーを付与することで、凝集体中の重合、硬化反応を促進させ、より強固な画像をより効率よく形成することができる。このような活性エネルギー付与は光照射又は加熱により行われることが好ましい。
この加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行われ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等による全面露光を行う加熱手段などが好ましく用いられる。ここで、加熱手段としての露光に用いられる光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
本発明においては、インク浸透性の記録媒体、インク非浸透性の記録媒体共に使用することができる。インク浸透性の記録媒体としては、普通紙、インクジェット専用紙、コート紙、電子写真共用紙、布、不織布、多孔質膜、高分子吸収体等が挙げられる。これらについては、特開2001−1891549号公報などに「被記録材」として記載されている。
合成樹脂としては、いかなる合成樹脂も用いることができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリルーブタジエン−スチレン共重合体等、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は、フィルム状でもよいし、カード状、ブロック状でもよく、何ら限定されることはない。また、これら合成樹脂は透明でも不透明でもよい。
合成樹脂の使用形態としては、所謂軟包装に用いられるフィルム状で用いることも好ましく、各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、PNyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。
更に、原紙剛度としては、JIS P8143(1998年度版)に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙のpHは、JIS P8113(1998年度版)で規定された熱水抽出法により測定した場合、5〜9であることが好ましい。
以下に示す処方のインクジェット用記録インクを調製した。
(A)酸化合物<下記化合物(Ac−1)、分子量8000> 0.22g
(B)重合性材料:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(C)重合性材料:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 11.60g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
(D)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(E)着色剤<顔料:銅フタロシアニン PB15:3> 1.40g
酸化合物<前記化合物(Ac−1)>0.22gを用いないこと以外は、インクジェット記録用液体(I−0)と同様に調製することでインクジェット記録用液体(I−1)を得た。I−0と同様に粘度を測定したところその粘度は15.0mPa・sであった。
(F)高沸点有機溶媒(例示化合物(S−15)) 4.15g
(G)重合開始剤(TPO−L(下記開始剤−1)) 0.6g
(H)重合体(前記例示化合物MM−1) 0.08g
前記インク組成物用液体(II−1)の調製において、重合体を下記表1の如く当重量で置き換えたこと以外は、インク液体(II−1)と同じようにして本発明に係る重合体を含有するインクジェット記録用インク液体(II−2)〜(II−7)を調製した。
表1に、インク液体(II−1)〜(II−7)の調製に用いた重合体と液体の粘度を示す。
<1液型のインクジェット記録用比較インク液体I−00>
(A)重合性材料:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(B)重合性材料:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 11.60g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
(C)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(D)着色剤<顔料:銅フタロシアニン PB15:3> 1.40g
(E)高沸点有機溶媒(例示化合物(S−15)) 12.10g
(F)重合開始剤(TPO−L(前記開始剤−1)) 1.81g
(A)重合性材料:DPCA60(日本化薬製) 0.38g
(B)重合性材料:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 11.60g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
(C)N−エチルジエタノールアミン 0.20g
(D)着色剤<顔料:銅フタロシアニン PB15:3> 1.40g
(E)高沸点有機溶媒(例示化合物(S−15)) 10.10g
(F)重合開始剤(TPO−L(前記開始剤−1)) 1.81g
(A)酢酸エチル 4.15g
(B)重合開始剤(TPO−L(前記開始剤−1)) 0.6g
調製したインク用液体(II−1)〜(II−7)および(II−0)をインクジェットプリンター(マイクロジェット社製実験機、印字密度:300dpi、打滴周波数:2KHz、ノズル数:64、2列配列)で被記録媒体上に印字した。この後に、被記録媒体に付与したインク用液体(II−1)〜(II−7)および(II−0)と重なるように、インク用液体(I−0)を印字した。
調製したインク用液体(I−000)をインク用液体(I−00)と同様に印字した。ただし打滴周波数は4KHzとした。ただし、この場合はI−000のみ単独で印字を行った。このとき、比較用インクI−000はノズル詰まりが生じ、安定に吐出することができなかった。
印字後、60秒後に、メタルハライドランプで365nm波長のものを使い、紫外線量〜500mJ/cm2で紫外線照射を行い。画像を形成した。得られた画像については、以下の項目で評価を行った。結果を表2に示す。
(ライン太さ)
I液、II液をライン状に重ね打ち、印字後に露光するまでの時間間隔が空いた場合の打滴形状の具合を下記基準で評価した。但し、(I−00)、(I−000)は1液のみライン状に打滴した。
A:ラインの太さが均一で、0.3mm以下である。
(0.3mmは拡がり度がほぼ3倍である。ここで、拡がり度とは、被記録媒体上に到達する直前のインク液滴直径に対する割合である。)
B:ラインの太さが均一であるが、線の太さは0.3mmを超える。
C:ライン上に液溜り由来のはっきりとした線のばらつきがある。
印刷面を指で触り、下記基準で評価した。
A:ベタツキが無い
B:若干ベタツク
C:著しくベタツク
前記画像を形成したPET又はアート紙を、印字後、30分経過した画像について、消しゴムで10往復擦り、変化を観察し、下記基準で評価した。
A:濃度低下がまったく無い
B:濃度低下が僅かに生じる
C:著しく濃度低下が生じる
Claims (20)
- 下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体及び重合開始剤を含有することを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
〔一般式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕 - 前記重合体が下記一般式(2)で表される共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
〔一般式(2)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Qは有機概念図における無機性/有機性比(I/O値)が1.5以下の単位を表す。m、nは共重合組成比であり、mは5〜50モル%、nは50〜95モル%を表す。〕 - 前記一般式(1)又は前記一般式(2)において、R2が水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記一般式(2)において、Qで表される単位が下記一般式(3)で表される単位であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
〔一般式(3)中、R4は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕 - さらに、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 第1の液体および第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体で構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
前記第1の液体が下記一般式(1)で表される単位を少なくとも含む重合体と重合開始剤を含有し、前記第2の液体が着色剤及び重合性材料を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
〔一般式(1)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕 - 前記重合体が下記一般式(2)で表される共重合体であることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録用インクセット。
〔一般式(2)中、R1は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R2は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、R3は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Qは有機概念図における無機性/有機性比(I/O値)が1.5以下の単位を表す。m、nは共重合組成比であり、mは5〜50モル%、nは50〜95モル%を表す。〕 - 前記一般式(1)または前記一般式(2)において、R2が水素原子であることを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記一般式(2)において、Qで表される単位が下記一般式(3)で表される単位であることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録用インクセット。
〔一般式(3)中、R4は水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル基を表し、R5は置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。〕 - 前記第1の液体中の着色剤の含有量が、1cm厚の該第1の溶液を透過した時の最大吸収波長の溶液吸光度に換算して0以上0.5以下となる量であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記第1の液体及び前記第2の液体の少なくとも一方に、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記高沸点有機溶媒が、前記第1の液体に含まれることを特徴とする請求項11に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記着色剤が、顔料であることを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 前記複数種の液体の溶媒が非水溶性の液体であることを特徴とする請求項6から13のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
- 請求項6から14のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、前記第1の液体及び前記第2の液体を記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に付与することによって画像を形成するインクジェット画像記録方法。
- 前記第1の液体を記録媒体上に付与すると同時、又は付与した後に、前記第2の液体をインクジェットノズルによって噴射し画像を形成することを特徴とする請求項15に記載のインクジェット画像記録方法。
- 前記第1の液体を記録媒体上に付与する手段が、塗布装置を用いた塗布であり、第1の液体を塗布した後に第2の液体をインクジェットノズルによって噴射することを特徴とする請求項15または16に記載のインクジェット画像記録方法。
- 前記第1の液体及び前記第2の液体を記録媒体上に付与する手段が、インクジェットノズルによる噴射であることを特徴とする請求項15から17のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法。
- 記録媒体上に形成された画像に、活性エネルギーを付与して画像を固定する工程を設けたことを特徴とする請求項15から18のいずれか1項に記載のインクジェット画像記録方法。
- 前記活性エネルギーの付与が、光照射又は加熱により行われることを特徴とする請求項19に記載のインクジェット画像記録方法。
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