JP2008105254A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 Download PDF

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俊之 幕田
Masaaki Konno
雅章 紺野
Yutaka Maeno
裕 前野
Tsutomu Umebayashi
励 梅林
Tetsuzo Kadomatsu
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Abstract

【課題】長期保存安定性に優れた、にじみや打滴干渉が抑制された高画質の画像形成が可能であり、画像の定着性に優れ、所望の打滴形状を保つことができるインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】少なくとも着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含有する記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて打滴することで画像を記録する方法において、液滴a1と液滴a2とを重なり部分をもって打滴すると共に、実質的に着色剤を含有しない処理液を前記画像と同一も又は広い範囲に予め付与しておき、処理液を付与してから記録液の打滴が終了するまでの間において、処理液の表面を液体状に維持し、記録液の着弾時から活性エネルギー付与までの間において、被記録媒体を少なくとも搬送状態で、かつ加速度を3.8m/s以下の状態とし、活性エネルギーを付与し重合性材料等を重合するインクジェット記録方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関し、詳細には、多液を用いて高速に、高画質な画像を形成するのに好適なインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
ノズル等のインク吐出口からインクを液滴で吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、印字媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から多くのプリンタに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用しインクを液滴吐出する熱インクジェット方式は、高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
現在、インクジェットプリンタにより、普通紙あるいは、プラスチックなど非吸水性の記録媒体にインクを打滴して印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっている。
インクジェット記録は、インク(液体)の液滴を連続的に液滴n1、液滴n2、液滴n3、・・・、液滴nxと吐出し、被記録媒体上に液滴n1、液滴n2、液滴n3、・・・、液滴nxにてラインを形成したり、画像を形成するものであるが、特に打滴後の液滴の浸透に時間が掛かると、画像に滲みが生じやすく、また、隣接するインク液滴n1とインク液滴n2の間で混合が生じ、鮮鋭な画像形成の妨げとなるなど、実用上問題があった。液滴間での混合の際には、打滴された隣接の液滴が合一して液滴の移動が起こるために、着弾した位置からずれ、細線を描く場合には線幅の不均一が生じ、着色面を描く場合には色ムラ等が発生する。
画像の滲みや線幅の不均一等を抑制する方法の一つとして、インクの硬化を促進する方法がある。その一つとして、インク溶媒の揮発ではなく放射線によって硬化し固着する技術が提案されている。更には、精密描画性を付与するために2液式のインクを用い、記録媒体上で両者を反応させるものであり、例えば、塩基性ポリマーを有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有するインクを記録する方法(例えば、特許文献1参照)や、カチオン性物質を含む液体組成物を適用した後、アニオン性化合物と色材を含有するインクを適用する方法(例えば、特許文献2参照)、一方に光硬化型樹脂を、他方に光重合開始剤を含むインクを用いる記録方法(例えば、特許文献3参照)などが開示されている。
しかしながら、これらの方法では、画像の滲み抑制にはある程度の効果はあるものの、液滴間の混合に起因する線幅の不均一や色ムラ等の解消には不充分であり、また、水性溶媒を含むために乾燥速度が遅い、析出した染料が不均一に分布しやすく画質低下を招く懸念もある。
上記に関連する技術として、着色成分として顔料を用い、放射線によって硬化して固着する技術がある(例えば、特許文献4参照)。ここでは、固化するモノマーを含有するインクと顔料分散体を含有するインクとのいずれか一方を用いて画素を形成した後に他方で前記画像と同一ポイントに画素を形成し、硬化を紫外線、電子線等を用いて行なうことが記載されている。
また、水と共に反応性モノマーや着色剤等を含有するインク組成物と凝集物を生じさせる凝集剤を含有する凝集溶液とを用い、記録媒体上に前記凝集溶液を付着させた後に前記インク組成物を付着させることが記載されたものがある(例えば、特許文献5参照)。さらに、光重合開始剤を含有する反応液を全面付与した後にモノマー含有のインク組成物を付与し、紫外線照射を行なうことが記載されたものもある(例えば、特許文献6参照)。
上記以外に、インクを2種類に分けて互いに重なるように打滴することに関する記載がなされたものもある(例えば、特許文献7参照)。
特開昭63−60783号公報 特開平8−174997号公報 特許第3478495号 特開平8−218018号公報 特開2001−348519号公報 特許3642152 特開2000−135781号公報
ところで、高速・短時間で画像を形成する手法として、例えば、ロール状とした被記録媒体を停止することなく搬送して印画するという手法が知られている。しかしながら、上記2液系のインクをこの手法に適用すると、液体である第1液上に、第2液を打滴する形態であるため、印字に際して被記録媒体の搬送を止めたり減速したりすると、既に打滴された液体が慣性力により影響を受け、打滴が所望の形で留まらない場合があるという問題があった。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、長期保存安定性に優れた、にじみや隣接する噴射インクの打滴干渉が抑制された高画質の画像形成が可能であり、被記録媒体と画像との定着性に優れ、所望の打滴形状を保つことができるインクジェット記録方法、及び該記録方法の実施に好適なインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明は、連続して被記録媒体を搬送することによって高速に画像を形成するに際し、打滴してから、硬化するまでの間に被記録媒体を急速に加減速しないことにより上記問題を解決できることを見出しなされたものである。すなわち本発明は、
(1)少なくとも着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含む記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するインクジェット記録方法において、
前記液滴a1と前記液滴a2とを重なり部分をもって打滴すると共に、実質的に着色剤を含有しない処理液を前記記録液で形成される前記画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め前記被記録媒体に付与しておき、
処理液を付与してから記録液の打滴が終了するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持し、
前記記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、被記録媒体を搬送状態で、かつ加速度を3.8m/s以下の状態とし、活性エネルギーを付与し重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋することを特徴とするインクジェット記録方法である。
(2)前記被記録媒体をロール搬送方式で搬送させることを特徴とする(1)に記載のインクジェット記録方法である。
(3)前記液滴a1と液滴a2との重なり部分における重なり率が10%以上90%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のインクジェット記録方法である。
(4)前記処理液が、少なくとも、前記記録液中の重合性もしくは架橋性材料を架橋反応させる重合開始剤を含むことを特徴とする(1)から(3)のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
(5)前記処理液が、親油性溶剤を含み、該親油性溶剤の含有量が前記処理液の全質量の50質量%以上であることを特徴とする(1)から(4)のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
(6)前記親油性溶剤が、沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒であることを特徴とする(5)に記載のインクジェット記録方法である。
(7)前記処理液の付与後、前記第1の液滴a1が打滴されるまでの打滴間隔を5μ秒以上400m秒以下とすることを特徴とする(1)から(6)のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
(8)前記第1の液滴a1及び液滴a2の液滴サイズを、0.1ピコリットル以上100ピコリットル以下とすることを特徴とする(1)から(7)のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
(9)被記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記被記録媒体に液体を付与する液体付与部と、
前記液体付与部よりも、被記録媒体の搬送方向下流側に配置され、前記被記録媒体上に付与された液体に活性エネルギーを付与するエネルギー付与手段と、
前記液体付与部から液体を吐出させつつ、前記搬送手段と前記エネルギー付与手段とを制御する制御手段と、を有し、
前記液体付与部には、搬送される被記録媒体の搬送方向と直交する方向に配置され、前記被記録媒体の記録可能領域の全幅に対応した長さのライン型の打滴ヘッドが複数配備されており、
前記複数の打滴ヘッドとして、画像を形成するための着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含有する記録液の液滴を吐出する打滴ヘッドと、実質的に着色剤を含有しない処理液の液滴を吐出する打滴ヘッドと、を有し、
前記処理液を吐出する打滴ヘッドと、前記記録液を吐出する打滴ヘッドと、前記エネルギー付与手段とが、被記録媒体の搬送方向上流側から順に配置されており、
前記記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、前記制御手段が、被記録媒体を搬送状態とし、かつ加速度を3.8m/s以下の状態となるように搬送手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置である。
(10)前記処理液の液滴を吐出する打滴ヘッドに代え、前記液体付与部よりも、被記録媒体の搬送方向上流側に、前記処理液を付与する液体付与手段を有することを特徴とする(9)に記載のインクジェット記録装置である。
本発明によれば、長期保存安定性に優れた、にじみや隣接する噴射インクの打滴干渉が抑制された高画質の画像形成が可能であり、被記録媒体と画像との定着性に優れ、所望の打滴形状を保つことができるインクジェット記録方法、及び該記録方法の実施に好適なインクジェット記録装置を提供することができる。
<インクジェット記録方法>
以下に先ず、本発明のインクジェット記録方法について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、少なくとも着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含む記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するインクジェット記録方法において、前記液滴a1と前記液滴a2とを重なり部分をもって打滴すると共に、実質的に着色剤を含有しない処理液を前記記録液で形成される前記画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め前記被記録媒体に付与しておき、処理液を付与してから記録液の打滴が終了するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持し、前記記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、被記録媒体を搬送状態で、かつ加速度を3.8m/s以下の状態とし、活性エネルギーを付与し重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋することを特徴としている。
高い画像濃度を得るために、互いに重なり部分をもって付与した隣接の液滴(第1の液滴a1と液滴a2)が乾燥前に媒体上に留まって接触していると、互いに合一して画像の滲みや細線の線幅が不均一になって先鋭な画像の形成性が損なわれやすいが、第1の液滴a1及び液滴a2の打滴前に、予め処理液を前記記録液で形成される前記画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に付与し、該処理液が固化する前に第1の液滴a1及び液滴a2を打滴することにより、液滴a1及び液滴a2が互いに重なり部分を有して付与されても液滴a1及び液滴a2間の合一を抑えて、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生が効果的に防止される。また、記録液の着弾時からエネルギー付与までの間の被記録媒体を少なくとも搬送状態とし、加速度を3.8m/s以下とすることで、被記録媒体の搬送に伴って生じる慣性力の液滴への影響が抑えられ、液滴の打滴形状を保つことができる。また、ベタツキがなく擦過性にも優れる。
本発明においては、被記録媒体として、非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体を用いることが本発明の効果を顕著に発揮することができる点で好ましい。
ここで、非浸透性の記録媒体とは、実質的に液滴が浸透しない媒体をいう。「実質的に浸透しない」とは、1分後の液滴の浸透率が5%以下であることをいう。また、緩浸透性記録媒体とは、10pl(ピコリットル)の液滴を被記録媒体上に滴下した場合に、全液量が浸透するまでの時間が100m秒以上である媒体をいい、具体的にはアート紙などが挙げられる。非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体の詳細については後述する。
なお、浸透性の記録媒体は、10plの液滴を被記録媒体上に滴下した場合に全液量が浸透するまでの時間が100m秒以下である媒体であり、具体的には普通紙、多孔質紙などである。
上記の被記録媒体上には、第1の液滴a1を打滴した後、後続の液滴a2を前記液滴a1と重なり部分を有するように打滴する。そして、第1の液滴a1及び液滴a2の付与前には予め、実質的に着色剤を含有しない処理液を、被記録媒体上における前記液滴a1及び前記液滴a2で打滴形成される画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に付与しておき、処理液を付与してから記録液の打滴が終了するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持する。
本発明においては、画像を形成するための液体として、第1の液滴a1及び液滴a2を含む記録液と、実質的に着色剤を含有しない処理液とを用いる。ここで、第1の液滴a1及び液滴a2は、単一の記録液を用いてインク吐出口から打滴される液滴a1、a2、a3、・・・axにおける液滴であって重なり合って打滴されるものを意味する。打滴が同時である液滴であってもよいし、先行打滴と後続打滴の関係である先行液滴と後続液滴であってもよく、先行液滴と後続液滴であることが好ましい。記録液と処理液とは組成が異なる液体である。
また、本発明においては、記録液の付与前に予め付与しておくための処理液のsp値を35以下とすると共に、記録液と処理液との間のsp値の差を10以下とすることが好ましい。
sp値が35以下であると、処理液は、例えば後述するように重合性もしくは架橋性材料を含む記録液(液滴a1、液滴a2・・・)との間の親和性が増大し、第1の液滴a1及び液滴a2を互いに重なり部分を有して付与したときの液滴同士の合一を抑止でき、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生を効果的に防止することができる。
処理液において、前記sp値としては、30以下がより好ましく、25以下が特に好ましい。また、記録液と処理液との間のsp値の差としては、5以下がより好ましい。
また、記録液と処理液との間のsp値の差が前記範囲内であると、互いに溶解しやすく、液滴a1は液滴a2との間よりも処理液との間の方が接触面積が大きいため処理液との間で親和性が良好になり、したがって例えば、液滴a1及び液滴a2間で色滲みや混色を起こしたり、着色された線像の線幅バラツキの回避に効果的である。
sp値は、種々の溶剤、溶質に対して定義されるものであり、溶剤/溶剤間、溶剤/溶質間における溶けやすさを示す値である。この値は、溶剤と溶剤とが混ざり合う場合、溶剤に溶質が溶ける場合のエネルギーの変化から算出されるものであり、本発明で用いたsp値は、具体的には、東北大学 R.L.smithによるsp値計算プログラムにより計算して得られるものである。計算に際しては、25℃を基準とし、炭素原子を含まない化合物を除き、ポリマーやポリエチレン鎖等の構成単位については結合手を持つ飽和の繰り返し単位(例えばスチレンの場合は-CH2-CH(C6H5)-)とし、水(H2O)は47.8として計算される。
本発明のインクジェット記録方法においては、既述の第1の液滴a1及び液滴a2を、インクジェットノズル等を用いて打滴するようにし、処理液については、必ずしもインクジェットノズルを用いた噴射による付与に限られず、塗布等の他の液体付与手段によって付与することができる。
次に、被記録媒体上に処理液を付与する際の付与手段について説明する。なお、第1の液滴a1及び液滴a2(記録液)を打滴する打滴手段については、前記のようにインクジェットノズルを用いた噴射を中心に説明する。以下に、具体例を示す。
(i)塗布装置を用いた塗布
塗布装置を用いて、処理液を被記録媒体上に塗布し、その後に液滴a1及び液滴a2(記録液)をインクジェットノズルにより打滴することによって、画像記録する態様は好適である。
塗布装置としては、特に制限はなく、公知の塗布装置の中から目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。詳しくは、原崎勇次著「コーティング工学」を参照できる。
また、インクジェットノズルは、特に制限はなく、公知のノズルから目的等に応じて適宜選択することができる。なお、インクジェット記録方式については後述する。
なお、第1の液滴a1及び液滴a2(記録液)並びに処理液以外の他の液体を用いてもよく、他の液体については、前記塗布装置による塗布やインクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で被記録媒体上に付与してもよく、また、付与のタイミングも特に限定されるものではない。着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射によるのが好ましく、処理液を塗布した後に付与することが好ましい。
(ii)インクジェットノズルによる噴射
インクジェットノズルによって処理液を液滴b1、液滴b2、液滴b3、・・・液滴bxにて噴射し、その後に第1の液滴a1、液滴a2、液滴a3、・・・液滴ax(記録液)をインクジェットノズルにより打滴することによって、画像記録する態様は好適である。インクジェットノズルについては、前記同様である。
この場合もまた、第1の液滴a1及び液滴a2(記録液)並びに処理液以外の他の液体については、塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で被記録媒体上に付与してもよく、付与のタイミングも特に限定されるものではない。着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射によるのが好ましく、処理液をノズルから噴射した後に更に噴射して付与されることが好ましい。
次に、インクジェットノズルによる噴射の方式(インクジェット記録方式)について説明する。
本発明においては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、等の公知の方式が好適である。
なお、インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
前記(i)の付与手段による場合、少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2が、予め被記録媒体上に塗布された処理液の上にインクジェット記録方式によって打滴され、画像形成される。前記(ii)の付与手段による場合は、予めインクジェット記録方式により被記録媒体上に付与された処理液の上に更に、少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2がインクジェット記録方式により打滴され、画像形成される。
本発明においては、液滴a1と液滴a2とが重なり部分を有するので、単位長さ当たりの打滴数が増し、より高解像度の画像記録が可能である。このとき、処理液を付与してから記録液の打滴が終了するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持する。
液体状とは固化してない状態であり、処理液が重合性化合物もしくは架橋性化合物を含有する場合には、まったく重合または架橋が起こっていなくとも良いし、また、重合または架橋が進行していても、固化していなければ良い。液状である場合と、液状でない場合の判定方法としては、普通紙を処理液が付与された部分に密着させ、処理液が普通紙に移らない場合は、固化している、移る場合は液状であると判定する。ここで、光照射等の固化過程が入る場合には、上記判定は固化過程終了後1秒以内に判定を行う。処理液表面にベトツキ間があっても、普通紙に移らなければ固化したと判断する。液体状である場合の粘度はいかなる粘度であってもかまわないが、好ましくは1mPa・s〜100Pa・sの範囲である。
重なり部分を有して打滴する際の重なり率は、少なくとも液滴a1と液滴a2とが重なって打滴されてから1秒後の重なり率であり、特に第1の液滴a1を打滴した後の液滴a2の打滴から1秒後の重なり部分における重なり率が10%以上90%以下となるように打滴するようにするのが好ましい。より高解像度の画像記録に有効である。
中でも、重なり率は、20%以上80%以下であるのが好ましく、30%以上70%以下であるのが好ましい。
前記重なり率とは、隣接する液滴(液滴a1、液滴a2、・・・)が、いかなる割合で重なっているかを示す指標である。被記録媒体上に着弾後の液滴の直径をaとした場合、(1/2)aが重なっている場合には重なり率は50%である。本発明における場合、隣接して打滴された液滴は互いに合一せずに打滴形状を保持しうるが、重なり率は、1滴打滴して1秒後の液滴半径をbとし、隣接打滴間の間隔をcとしたとき、100×(2b−c)/(2b)[%]で表される。
画像記録の際、第1の液滴a1及び液滴a2の1打滴当たりの処理液の付与量のバランスとしては、液滴a1又は液滴a2の量を1とした場合の処理液の付与量(質量比)は0.05〜5の範囲が好ましく、0.07〜1の範囲がより好ましく、0.1〜1の範囲が特に好ましい。
第1の液滴a1及び/又は液滴a2は、0.1pL(ピコリットル;以下同様)以上100pL以下の液滴サイズにて(好ましくはインクジェットノズルにより)打滴されるのが好ましい。液滴サイズが前記範囲内であると、高先鋭度の画像を濃度で描写できる点で有効である。また、より好ましくは0.5pL以上50pL以下である。
また、処理液についても液滴サイズは記録液と同様の範囲が好ましい。
本発明においては、処理液を付与してから記録液の打滴が終了するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持する。換言すると、記録液の打滴が完了するまで、処理液の表面が固体状になるまで硬化させる過程を含まないことである。前記期間において、処理液を液体状に維持せず固化させると、処理液の打滴干渉防止の機能が発揮されない。
また、処理液の付与後、第1の液滴a1が打滴されるまでの打滴間隔としては、5μ秒以上400m秒以下の範囲内であるのが好ましい。打滴間隔が前記範囲内であると、本発明の効果を顕著に奏し得る点で有効である。打滴間隔は、より好ましくは10μ秒以上300m秒以下であり、特に好ましくは20μ秒以上200μ秒以下である。
本発明において、上記のように予め処理液を付与しておき、その後に第1の液滴a1及び液滴a2を打滴した後には、優れた定着性を得る観点から、活性エネルギーを付与し、前記重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋することで記録画像を固定化する工程を設ける。エネルギーの付与により、含まれる重合性もしくは架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応を促進させ、より強固な画像をより効率よく形成することができる。例えば重合開始剤を含む系では、活性光や加熱などの活性エネルギーの付与により重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されると共に、活性種の増加や温度上昇により、活性種に起因する重合性もしくは架橋性材料の重合もしくは架橋による硬化反応が促進される。
エネルギーの付与は、活性光の照射、又は加熱によって好適に行なうことができる。
前記活性光としては、例えば、紫外線、可視光線など、並びにα線、γ線、X線、電子線などが使用できる。これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点で好ましく、紫外線が特に好ましい。
硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般には1〜500mJ/cm2程度である。
また、加熱によりエネルギーを付与する場合は、被記録媒体の表面温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で0.1〜1秒間加熱することが好ましい。
加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行なうことができ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等の全面露光による加熱手段等が好適である。加熱手段としての露光に好適な光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
また、本発明においては、記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、被記録媒体を少なくとも搬送状態で、かつ加速度を3.8m/s以下の状態とし、活性エネルギーを付与し重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋する。
被記録媒体上に液滴が着弾した状態で、一定以上の加速度をもって搬送させると、液滴に慣性力が作用し、形状が乱れたり、液滴が微動したりしてしまう。そこで、本発明においては、上記のように、被記録媒体を搬送状態とし、かつ加速度を3.8m/s以下の状態とすることで、画像形成が高速・短時間でありながら、液滴に作用する慣性力を抑えて形状の乱れや微動を防止することができ、所望の打滴形状を保つことができる。
ここで、前記「被記録媒体を搬送状態とする」とは、被記録媒体の搬送速度を0m/sではない状態とすることを意味する。
本発明においては、前記活性エネルギー付与前の期間内において、被記録媒体の加速度を3.8m/s以下の状態とするが、2m/s以下とすることが好ましく、1m/s以下とすることがさらに好ましい。被記録媒体の加速度を3.8m/sを超えると慣性力の影響で、打滴された液滴の形状が乱れたり微動したりしてしまう。
また、本発明において、前記活性エネルギー付与前の期間内における被記録媒体の搬送速度及び加速度は、具体的には、搬送速度5〜50m/sで、加速度0〜3.8m/sであることが好ましい。
上記のように、本発明においては被記録媒体の搬送中における液滴の形状や微動を防止するため、搬送速度と加速度とを規定しているが、搬送中の液滴の形状や微動は液滴の粘度により変動があるため、前記記録液と前記処理液の粘度を考慮して前記加速度を設定することが好ましい。すなわち、高粘度の液体、具体的には100mPa・sを超えるような液体では3.8m/sの加速度まで良好な画像が得られるが、これより、低粘度の液体を用いる場合においては加速度は2m/s以下が好ましい。
−被記録媒体−
被記録媒体としては、非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体を用いる。
非浸透性の記録媒体としては、例えば、合成樹脂、ゴム、樹脂コート紙、ガラス、金属、陶器、木材等が挙げられる。また、機能付加の目的で、これら材質を複数組み合わせて複合化した基材も使用できる。
前記合成樹脂としては、いかなる合成樹脂も使用可能であるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等が挙げられる。合成樹脂を用いた場合の厚みや形状としては、フィルム状、カード状、ブロック状のいずれでもよく、特に限定されるものではなく、透明又は不透明のいずれであってもよい。
前記合成樹脂の使用形態としては、いわゆる軟包装に用いられるフィルム状にして用いることも好ましく、各種非吸収性のプラスチックス及びそのフィルムを用いることができる。プラスチックスフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、PNyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等が挙げられる。その他プラスチックスとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などを使用できる。
前記樹脂コート紙としては、例えば、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム、及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体等が挙げられる。特に好ましいのは、紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
前記金属としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム、鉄、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、シリコン、鉛、亜鉛等、又はステンレス等、及びこれらの複合材料が好適である。
また更に、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスク等を用いることも可能であり、レーベル面側にインク受容層および光沢付与層を付与することもできる。
次に、本発明のインクジェット記録方法に用いる記録液(液滴a1、a2・・・)及び処理液、並びにこれらを構成する各種成分等について詳細に説明する。
−記録液(第1の液滴a1、液滴a2・・・)−
本発明に係る記録液(第1の液滴a1、液滴a2・・・)は、被記録媒体上に予め付与された後述の処理液の上に打滴して記録画像を構成するものであり、少なくとも着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含んでなり、好ましくは親油性溶剤を含んでなる。更に必要に応じて、重合開始剤やその他成分を用いて構成することができる。
〈重合性もしくは架橋性材料〉
記録液(第1の液滴a1、液滴a2・・・)は、重合性もしくは架橋性材料の少なくとも一種を含有する。重合性もしくは架橋性材料は、後述する重合開始剤などから発生するラジカルなどの開始種により重合もしくは架橋反応を生起し、硬化する機能を有するものである。
重合性もしくは架橋性材料としては、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、二量化反応など公知の重合性もしくは架橋性材料(以下、まとめて重合性材料という)を適用することができる。少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、オキシラン系化合物、マレイミド基を側鎖に有する高分子化合物、芳香核に隣接した光二量化可能な不飽和二重結合を有するシンナミル基、シンナミリデン基やカルコン基等を側鎖に有する高分子化合物などが挙げられ、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物がより好ましく、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、より好ましくは2個以上有する化合物(単官能又は多官能化合物)から選択されるものであることが特に好ましい。具体的には、本発明に係る産業分野において広く知られるものの中から適宜選択することができ、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物、並びにそれらの共重合体などの化学的形態を持つものが含まれる。
重合性材料は、具体的には分子内にアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)などの重合性基を有するものが好ましく、中でも、低エネルギーで硬化反応を生起させ得る点で、アクリロイル基、メタクリロイル基を有する化合物が好ましい。
前記多官能化合物としては、ビニル基含芳香族化合物、2価以上のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである(メタ)アクリレート、2価以上のアミンと(メタ)アクリル酸とのアミドである(メタ)アクリルアミド、多塩基酸と2価アルコールとの結合で得られるエステル又はポリカプロラクトンに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステル(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイドと多価アルコールとの結合で得られるエーテルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入するか、あるいは2価以上のアルコールとエポシキ含有モノマーを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン結合を持つウレタンアクリレート、アミノ樹脂アクリレート、アクリル樹脂アクリレート、アルキッド樹脂アクリレート、スピラン樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーとの反応生成物、及びワックス類と前記重合性モノマーとの反応生成物などが挙げられる。
中でも、(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、不飽和ポリエステルと前記光重合性モノマーとの反応生成物が好ましく、アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートが特に好ましい。
なお、本明細書中において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタアクリル酸の双方を取り得ることを示す。
前記多官能化合物の具体例としては、ジビニルベンゼン、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,6−アクリロイルアミノヘキサン、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、2塩基酸と2価アルコールとからなる分子量500〜30000のポリエステルの分子鎖末端に(メタ)アクリロイル基を持つポリエステルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ビスフェノール(AあるいはS、F)骨格を有する分子量450〜30000のエポキシアクリレート、フェノールノボラック樹脂の骨格を含有する分子量600〜30000のエポキシアクリレート、分子量350〜30000の多価イソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリル酸モノマーとの反応物、分子内にウレタン結合を有するウレタン変性物などが挙げられる。
また、単官能化合物として、(メタ)アクリレート、スチレン、アクリルアミド、ビニル基含有モノマー(ビニルエステル類、ビニルエーテル類、N−ビニルアミドなど)、(メタ)アクリル酸などを挙げることができ、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、ビニルエステル類、ビニルエーテル類が好ましく、(メタ)アクリレート、アクリルアミドが特に好ましい。
重合性化合物は、無置換でも置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミド基、カルボン酸基などが挙げられる。
前記単官能化合物の具体例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、アリルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、2−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチルアクリレート、エステルにポリブチルアクリレート部位を有するアクリレート、エステルにポリジメチルシロキサン部位を有するアクリレートなどが挙げられる。
重合性もしくは架橋性材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性材料の、記録液又は必要に応じて処理液中における含有量としては、各液滴の全固形分(質量)に対して、50〜99.6質量%の範囲が好ましく、70〜99.0質量%の範囲がより好ましく、80〜99.0質量%の範囲がさらに好ましい。
また、液滴中における含有量としては、各液滴の全質量に対して、20〜98質量%の範囲が好ましく、40〜95質量%の範囲がより好ましく、50〜90質量%の範囲が特に好ましい。
記録液(第1の液滴a1、液滴a2・・・)は、処理液とのsp値の差が10以下となるように調製される。第1の液滴a1の打滴前に予め付与される処理液とのsp値の差が10以下で親和性が高く、後続の液滴a2と接触させて打滴されたときの液滴同士の合一を効果的に防止することができる。
sp値の調整は、後述の親油性溶剤、重合性材料などを用いて好適に調整が可能であり、例えば液滴中の親油性溶剤の割合を高めることでよりsp値を下げることができる。
記録液(第1の液滴a1、液滴a2・・・)に含有することができる着色剤、親油性溶剤、重合開始剤、及びその他成分についての詳細、好ましい態様については後述する。
−処理液−
本発明においては、既述の第1の液滴a1を打滴する前に予め、被記録媒体上に、該被記録媒体上における少なくとも第1の液滴a1、液滴a2で打滴形成される画像と同一領域もしくは該画像より広い領域に、実質的に着色剤を含有しない処理液を付与しておく。
尚、前記「着色剤を実質的に含有しない」とは、これは無色透明の染料・顔料の含有や、視認できない程度のごく微量の含有をも除外するものではない。その許容量としては、処理液全質量に対して1質量%以下であることが好ましく、含有しないことが特に好ましい。
処理液は、sp値が35以下となるように調製されることが好ましく、非水溶性であって、油溶性の有機溶剤系側の性質に調整された状態にあることが好ましい。既述の少なくとも第1の液滴a1は、重合性もしくは架橋性材料を含んで有機溶剤系に好適に調製でき、有機溶剤系に調製されているときには処理液と混合しやすく、互いに接触して重なり部分を有するように打滴される第1の液滴a1と液滴a2間の合一を効果的に回避できる。これにより、既述のように、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生を効果的に防止される。
処理液のsp値の調整は、親油性溶剤などを用いて好適に行なえる。好ましい調整態様の一つとして、親油性溶剤を処理液の全質量の50質量%以上100質量%以下の範囲で含有する構成とすることができる。親油性溶剤の含有量が前記範囲内であると、sp値を低減して35以下の範囲に調整することができる。sp値の好ましい範囲は30以下である。
〈親油性溶剤〉
親油性溶剤は、画像の滲み及び画像中の細線などの線幅バラツキの発生防止に効果的であると共に、処理液のsp値を既述の範囲に調整することができる。
「親油性」とは、水100mLに対して1g以下の溶解性を有する化合物をいう。
なお、親油性溶剤は、処理液に含有すると共にあるいは含有せずに、既述の記録液に含有することもできる。また、処理液並びに記録液以外の他の液体に含有するようにしてもよい。
親油性溶剤としては、高沸点有機溶媒、前述の重合性化合物などが挙げられ、ノズル固化回避などに対しては高沸点有機溶剤が好ましく、インクにより形成する膜の膜強度を高めるためには重合性化合物を用いることが好ましい。
以下、本発明において好適な高沸点有機溶媒について説明する。
前記高沸点有機溶媒としては、(1) 25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、かつ(2) 沸点が100℃よりも高いものが好ましい。
前記(1)の粘度条件のいずれをも満たさない高沸点有機溶媒では、粘度が高くなって、被記録媒体上への付与に支障を来すことがあり、前記(2)の沸点条件を満たさない高沸点有機溶媒では、沸点が低くなりすぎて画像記録中に蒸発し、本発明の効果が低下することがある。
前記(1)の条件のうち、25℃での粘度は、更に70mPa・s以下の範囲が好ましく、40mPa・s以下の範囲がより好ましく、20mPa・s以下の範囲が特に好ましい。60℃での粘度は、更に20mPa・s以下の範囲が好ましく、10mPa・s以下の範囲が特に好ましい。また、前記(2) の条件については、沸点は150℃以上の範囲がより好ましく、170℃以上の範囲が特に好ましい。また、融点の下限値としては80℃以下の範囲が好ましい。更には、水の溶解度(25℃)が4g以下であるものが好ましく、3g以下の範囲がより好ましく、2g以下の範囲がさらに好ましく、1g以下の範囲が特に好ましい。
ここでの「粘度」は、東機産業(株)製のRE80型粘度計を用いて求めた粘度である。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、ロータコードNo.1番のロータを用い、10r.p.m.の回転数にて測定を行なった。但し、60mPa・sより高粘なものについては、必要により回転数を5r.p.m.、2.5r.p.m.、1r.p.m.、0.5r.p.m.等に変化させて測定を行なった。
なお、「水の溶解度」とは、25℃における高沸点有機溶媒中の水の飽和濃度であり、25℃での高沸点有機溶媒100gに溶解できる水の質量(g)を意味する。
前記高沸点有機溶媒としては、下記式〔S−1〕〜〔S−9〕で表される化合物が好ましい。
Figure 2008105254
前記式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。また、a,b,cは、各々独立に0又は1を表す。
式〔S−2〕においてR4及びR5は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R6は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I以下同じ)、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、dは0〜3の整数を表す。dが複数のとき、複数のR6は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−3〕においてArはアリール基を表し、eは1〜6の整数を表し、R7はe価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
式〔S−4〕においてR8は脂肪族基を表し、fは1〜6の整数を表し、R9はf価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
式〔S−5〕においてgは2〜6の整数を表し、R10はg価の炭化水素基(ただしアリール基を除く)を表し、R11は脂肪族基又はアリール基を表す。
式〔S−6〕においてR12、R13及びR14は各々独立に、水素原子、脂肪族基又はアリール基を表す。Xは−CO−又は−SO2−を表す。R12とR13又はR13とR14は互いに結合して環を形成していてもよい。
式〔S−7〕においてR15は脂肪族基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基又はシアノ基を表し、R16はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、hは0〜3の整数を表す。hが複数のとき、複数のR16は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−8〕においてR17及びR18は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R19はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、iは0〜5の整数を表す。iが複数のとき、複数のR19は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−9〕においてR20及びR21は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。jは1又は2を表す。R20及びR21は互いに結合して環を形成していてもよい。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21が脂肪族基又は脂肪族基を含む基であるとき、脂肪族基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、また不飽和結合を含んでいても置換基を有していてもよい。置換基の例として、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、エポキシ基等がある。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21が環状脂肪族基、すなわちシクロアルキル基であるか、又はシクロアルキル基を含む基であるとき、シクロアルキル基は3〜8員の環内に不飽和結合を含んでよく、また置換基や架橋基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、脂肪族基、ヒドロキシル基、アシル基、アリール基、アルコキシ基、エポキシ基等があり、架橋基の例としてメチレン、エチレン、イソプロピリデン等が挙げられる。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21、Arがアリール基又はアリール基を含む基であるとき、アリール基はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基等の置換基で置換されていてもよい。
式〔S−3〕、〔S−4〕、〔S−5〕においてR7、R9又はR10が炭化水素基であるとき、炭化水素基は環状構造(例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環)や不飽和結合を含んでいてもよく、また置換基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基等がある。
以下に、式〔S−1〕〜〔S−9〕で表される高沸点有機溶媒の中でも、特に好ましい高沸点有機溶媒について述べる。
式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えばn−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシリル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R1、R2及びR3は特に、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、2−クロロエチル、2−ブトキシエチル、シクロヘキシル、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、クメニルが好ましい。
a、b、cは各々独立に0又は1であり、より好ましくはa、b、cすべて1である。
式〔S−2〕においてR4及びR5は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えば前記R1について挙げた脂肪族基と同じ基、ヘプチル、エトキシカルボニルメチル、1,1−ジエチルプロピル、2−エチル−1−メチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、1−エチル−1,5−ジメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ボルニル、1−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R1について挙げたアリール基、4−t−ブチルフェニル、4−t−オクチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2,4,−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,−ジ−t−ペンチルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R4及びR5は更に、脂肪族基が好ましく、特に、n−ブチル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、2−ブトキシエチル、エトキシカルボニルメチルが好ましい。
6はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、炭素原子数1〜18のアルキル基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ドデシル)、炭素原子数1〜18のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ)又は炭素原子数2〜19のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)又は炭素原子数6〜25のアリールオキシカルボニル基が好ましい。これらの中でも、R6は更に、アルコキシカルボニル基が好ましく、特に、n−ブトキシカルボニルが好ましい。
dは0又は1である。
式〔S−3〕においてArは炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、1−ナフチル、4−n−ブトキシフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、Arは特に、フェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニルが好ましい。
eは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
7はe価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基〔例えば前記R4について挙げた脂肪族基、n−オクチル、前記R4について挙げたアリール基、−(CH22−、
Figure 2008105254
〕又はe価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに結合した炭化水素基〔例えば、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2(OCH2CH23−、−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−、
Figure 2008105254
〕が好ましい。これらの中でも、R7は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
式〔S−4〕においてR8は炭素原子数1〜24(好ましくは1〜17)の脂肪族基(例えばメチル、n−プロピル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、n−ヘプチル、n−ウンデシル、n−トリデシル、ペンタデシル、8,9−エポキシヘプタデシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)が好ましく、これらの中でも、R8は特に、n−ヘプチル、n−トリデシル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、8,9−エポキシヘプタデシルが好ましい。
fは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
9はf価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基又はf価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに連結した炭化水素基(例えば前記R7について挙げた基、1―メチル−2−メトキシエチル、2−ヘキシルデシル)が好ましく、これらの中でも、R9は特に、2−エチルヘキシル、2−ヘキシルデシル、1―メチル−2−メトキシエチル、
Figure 2008105254
が好ましい。
式〔S−5〕においてgは2〜4(好ましくは2又は3)である。
10はg価の炭化水素基〔例えば、−CH2−、−(CH22−、−(CH24−、−(CH27−、
Figure 2008105254
〕が好ましく、これらの中でも、R10は特に、−(CH24−、−(CH28−、
Figure 2008105254
が好ましい。
11は炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R4について挙げた脂肪族基、アリール基)が好ましく、これらの中でも、R11は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
式〔S−6〕において、R12は水素原子、炭素原子数1〜24の脂肪族基(好ましくは3〜20)〔例えばn−プロピル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、n−ペンタデシル、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシメチル、4−t−オクチルフェノキシメチル、3−(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)プロピル、1−(2,4−ジ−t−ブチルフェキシ)プロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル〕、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記Arについて挙げたアリール基、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、R12は特に、n−ウンデシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニルが好ましい。
13及びR14は、水素原子、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、シクロペンチル、シクロプロピル)又は炭素原子数6〜18(好ましくは6〜15)のアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、p−トリル)が好ましく、これらの中でも、R13及びR14は特に、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチル、n−テトラデシル、フェニルが好ましい。
13とR14とが互いに結合し、Nとともにピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成してもよく、R12とR13とが互いに結合し、Nとともにピロリドン環、ピペリジン環を形成してもよい。
Xは−CO−又は−SO2−であり、好ましくはXは−CO−である。
式〔S−7〕においてR15は炭素原子数1〜24(好ましくは3〜18)の脂肪族基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル、2−ブチル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ドデシル、2−ヘキサデシル、t−ペンタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素原子数2〜24(好ましくは5〜17)のアルコキシカルボニル基(例えばn−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル)、炭素原子数7〜24(好ましくは7〜18)のアリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、クレジルオキシカルボニル基)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル、n−ブチルスルホニル、n−ドデシルスルホニル)、炭素原子数6〜30(好ましくは6〜24)のアリールスルホニル基(例えばp−トリルスルホニル、p−ドデシルフェニルスルホニル、p−ヘキサデシルオキシフェニルスルホニル)、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)又はシアノ基が好ましく、これらの中でも、R15は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基、炭素原子数2〜24のアルコキシカルボニル基がより好ましく、特に、炭素原子数1〜24の脂肪族基が好ましい。
16はハロゲン原子(好ましくはCl)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基{より好ましくは、アルキル基(例えば前記R15について挙げたアルキル基)、炭素原子数3〜18(更に好ましくは5〜17)のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)}、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ)又は炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−t−オクチルフェノキシ、m−ペンタデシルフェノキシ、p−ドデシルオキシフェノキシ)であり、これらの中でも、R16は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基がより好ましく、特に炭素原子数1〜12の脂肪族基が好ましい。
hは1〜2の整数である。
式〔S−8〕においてR17及びR18の好ましい例は、前記R13及びR14における水素原子以外の例と同じであり、これらの中でも、R17及びR18は、更に脂肪族基がより好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、n−ドデシルが好ましい。但し、R17及びR18は互いに結合して環を形成することはない。
19の好ましい例は、前記R16と同じであり、これらの中でもR19は、更にアルキル基及びアルコキシ基がより好ましく、特に、n−オクチル、メトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシが好ましい。
iは1〜5の整数である。
式〔S−9〕においてR20及びR21の好ましい例は、結合して環を形成しない場合には、前記R1、R2及びR3と同じであり、これらの中でもR20及びR21は、特に、炭素原子数1〜24の置換又は無置換の脂肪族基が好ましい。
20とR21とが互いに結合し環を形成してもよく、形成される環としては、3〜10員環が好ましく、5〜7員環が特に好ましい。
jは1又は2を表し、好ましくは、jは1である。
以下、高沸点有機溶媒の具体例(例示化合物S−1〜S−53)並びに、各高沸点有機溶媒の粘度(25℃及び60℃の環境下、前記手段により測定した値;mPa・s)及び沸点(℃)を示す。
ここで、高沸点有機溶媒の沸点は、減圧蒸留時の沸点から常圧に換算した値である。なお、下記具体例において、沸点の記載のないものは170℃で沸騰しないことが確認されたものであり、25℃における粘度の記載のないものは25℃で固体であることを表す。
Figure 2008105254
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高沸点有機溶媒は、1種類を単独で用いても、2種以上〔例えば、トリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕を混合して使用してもよい。
高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例、及び/又はこれら高沸点有機溶媒の合成方法については、例えば、米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号等の各明細書、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等の各公報に記載されている。
本発明においては、沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶剤が好適であり、更には沸点が170℃よりも高い高沸点有機溶剤が好ましい。
親油性溶剤の処理液中における添加量としては、該液体の全質量に対して、50%質量以上100質量%以下の範囲が好ましく、70質量%以上100質量%以下がより好ましく、90質量%以上100質量%以下が特に好ましい。
処理液は、好ましくは重合開始剤を含有する。より好ましくは、さらに親油性溶剤を含有し、必要に応じて重合性材料、及びその他成分を用いることができる。なお、重合性材料の詳細は既述の通りである。
〈重合開始剤〉
処理液には、重合開始剤の少なくとも一種を好適に含有することができる。この重合開始剤は、活性光、熱、あるいはその両方のエネルギーの付与によりラジカルなどの開始種を発生し、重合性もしくは架橋性材料の重合もしくは架橋反応を開始、促進させ、硬化する化合物である。
この重合開始剤は、既述の記録液、並びに処理液の保存安定性を確保する観点から、重合性材料とは別に含有させることが望ましく、本発明においては、重合性材料を含有する記録液以外の処理液やそれ以外の液体に含有させておくことが好ましい。
重合開始剤としては、公知の光重合開始剤(ラジカル発生剤を含む。)、熱重合開始剤、及び結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物などを選択して使用することができる。
光重合開始剤(ラジカル発生剤を含む。)の例として、有機ハロゲン化化合物、カルボニル化合物、有機過酸化化合物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物等が挙げられる。
重合開始剤の好ましい例として、下記光重合開始剤を挙げることができる。
例えば、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等の光重合開始剤が挙げられ、アセトフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が好適に挙げられ、中でも、アセトフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体が特に好ましい。
前記光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、p,p'−ジクロロベンゾフェノン、p,p'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,2−ジメチルプロピオイル ジフェニルフォスフィンオキサイド、2−メチル−2−エチルヘキサノイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、2,3,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,3,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメトキシベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルナフチルフォスフォネート、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸、アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ベンゾインパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
上記以外に、他の好ましい光重合開始剤の例として、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤を挙げることができる。
なお、重合開始剤は感度に優れるものが好ましいが、例えば、80℃以下の温度で熱分解を起こすものを用いることは保存安定性の観点から好ましくなく、80℃までの温度では熱分解を起こさない重合開始剤を選択することが好ましい。
重合開始剤は、1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、感度向上の目的で公知の増感剤を併用することもできる。
重合開始剤の処理液中における含有量としては、経時安定性と硬化性、硬化速度との観点から、記録液、処理液を画像形成に必要な最大量を媒体上に打滴した場合、単位面積あたりに塗設された重合性材料に対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。なお、含有量が多すぎる場合には、経時による析出や分離が生じたり、硬化後のインクの強度や擦り耐性などの性能が悪化したりすることがある。
なお、重合開始剤を処理液に含有すると共に、既述の記録液に含有させてもよく、この場合には記録液の保存安定性を所望の程度に保持できる範囲で適宜選択して含有することができる。
また、重合開始剤は、処理液に含有せず既述の記録液に含有させるようにしてもよい。この場合は、第1の液滴中の含有量は、記録液中の重合性もしくは架橋性化合物に対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
〈着色剤〉
既述の記録液には、着色剤の少なくとも一種を含有し、単色の若しくは多色の可視画像の記録が可能な構成とすることができる。
なお、着色剤は、記録液以外のその他の液体に含有してもよい。
着色剤としては、特に制限はなく、公知の水溶性染料、油溶性染料、及び顔料等から適宜選択して用いることができる。中でも、本発明に係る記録液及び処理液は非水溶性の有機溶剤系に構成されるのが本発明の効果の観点から好ましく、非水溶性媒体に均一に分散、溶解しやすい油溶性染料、顔料を用いるのが好ましい。
以下、本発明に好適な油溶性染料、顔料を中心に説明する。
〜油溶性染料〜
油溶性染料としては、特に制限はなく、任意のものを選択して使用することができる。以下、油溶性染料を色相別に例示する。
イエロー染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などが挙げられ、その他の染料種として、キノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
マゼンタ染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
シアン染料としては、例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料、あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
前記各染料は、発色原子団(クロモフォア)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
着色剤として油溶性染料を用いる場合、油溶性染料の記録液中における含有量は、全固形分質量に対して、0.05〜20質量%の範囲が好ましく、0.1〜15質量%が更に好ましく、0.2〜6質量%が特に好ましい。また、処理液又は他の液体に油溶性染料を含有する場合の、油溶性染料の各液中における含有量としては、全固形分質量に対して、0〜1質量%の範囲が好ましい。
〜顔料〜
着色剤として、複数の液の混合時に凝集が生じやすい点で、顔料を用いる態様も好ましい。顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれも使用できるが、黒色顔料としては、カーボンブラック顔料等が好ましく挙げられる。また、一般には黒色、並びにシアン、マゼンタ、及びイエローの3原色の顔料が用いられるが、その他の色相、例えば、赤、緑、青、茶、白等の色相を有する顔料や金、銀色等の金属光沢顔料、無色又は淡色の体質顔料なども目的に応じて用いることができる。
また、シリカ、アルミナ、樹脂などの粒子を芯材とし、表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することができる。さらに、樹脂被覆された顔料を使用することもできる。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販品が入手可能である。
液中に含有される顔料粒子の体積平均粒子径は、光学濃度と保存安定性とのバランスといった観点からは、10〜250nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50〜200nmである。ここで、顔料粒子の体積平均粒子径は、例えば、LB−500(HORIBA(株)製)などの測定装置により測定することができる。
着色剤として顔料を用いる場合、顔料の記録液中における含有量としては、光学濃度と噴射時の安定性の観点から、全固形分質量に対して、0.1〜20質量%の範囲が好ましく、1〜10質量%の範囲がより好ましい。また、処理液又は他の液体に顔料を含有する場合の、顔料の各液中における含有量としては、全固形分質量に対して、0〜1質量%の範囲が好ましい。
着色剤は、1種単独のみならず、2種以上を混合して使用してもよい。また、打滴する液滴及び液体ごとに異なる着色剤を用いてもよいし、同一の着色剤を用いてもよい。
本発明においては、好ましい形態として、
(1)記録液が重合性材料及び着色剤を含み、処理液が重合開始剤を含む形態
(2)記録液が重合性材料及び着色剤を含み、処理液が重合開始剤及び親油性溶剤を含む形態
などが挙げられる。
上記において、重合性材料は、記録液に含有すると共に、本発明の効果を阻害しない範囲において処理液に含有されていてもよく、重合開始剤は、本発明に係る処理液に含有すると共に、本発明の効果を阻害しない範囲において記録液に含有されていてもよい。
〈その他成分〉
上記した成分以外に、公知の添加剤などを目的に応じて併用することができる。
〜貯蔵安定剤〜
本発明に係る記録液及び処理液(好ましくは記録液に)には、保存中における好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性もしくは架橋性材料と共存させて用いることが好ましく、また、含有する液滴又は液体あるいは共存の他成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
貯蔵安定剤としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
貯蔵安定剤の添加量は、重合開始剤の活性や重合性もしくは架橋性材料の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、保存安定性と硬化性とのバランスの点で、液中における固形分換算で、0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。
〜導電性塩類〜
導電性塩類は、導電性を向上させる固体の化合物である。本発明においては、保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで溶解性が良い場合には、適当量添加してもよい。
前記導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
〜溶剤〜
本発明においては、既述の高沸点溶剤以外の溶剤を用いることができる。溶剤としては、液(インク)の極性や粘度、表面張力、着色材料の溶解性・分散性の向上、導電性の調整、及び印字性能の調整などの目的で使用できる。
なお、溶剤は、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことが、速乾性及び線幅の均一な高画質画像を記録する点で好ましいことから、中でも既述した高沸点有機溶媒を用いた構成とするのが望ましい。
100℃以下の有機溶剤である低沸点有機溶媒も挙げられるが、硬化性に影響を与える懸念があり、また、低沸点有機溶媒は環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましい。使用する場合には、安全性の高いものを用いることが好ましく、安全性が高い溶媒とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶媒であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、メタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
溶剤は一種単独で用いる以外に複数組み合わせて使用することができるが、水及び/又は低沸点有機溶媒を用いる場合には、両者の使用量は各液中0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないのが好ましい。本発明に係る記録液及び処理液に水を含有すると、経時による不均一化、染料の析出等に起因する液体の濁りが生じる等の経時安定性の点、及び非浸透性ないし緩浸透性の記録媒体を用いたときの乾燥性の点で好ましくない。なお、実質的に含まないとは、不可避不純物の存在を容認することを意味する。
〜その他添加剤〜
さらに、ポリマー、表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤を併用することができる。
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、公知の化合物を適宜選択して用いればよいが、具体的には例えば、特開2001−181549号公報に記載されている添加剤などを用いることができる。
また、上記のほか、混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物をそれぞれ、本発明に係る記録液と処理液とに分けて含有することができる。前記1組の化合物は、凝集体を急速に形成させるか、あるいは液を急速に増粘させる特徴を有するものであり、これにより互いに隣接する液滴間の合一をより効果的に抑制することができる。
前記1組の化合物の反応例としては、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応等が挙げられる。
(界面活性剤)
本発明において、前述の通り、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、処理液は少なくとも1種類の界面活性剤を含有することが好ましい。
本発明でいう界面活性剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、p−キシレン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ブチルカルビトール、シクロヘキサノン、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、メタノール、水、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、好ましくは、ヘキサン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質であり、特に好ましくは、イソボニルアクリレート、1,6−ヘキサンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートのうち少なくとも1種類の溶媒に対して強い表面活性を有する物質である。
上記に列挙した溶媒に対して、ある化合物が強い表面活性を有する物質か否かは、下記の手順によって判断することができる。
(手順)
上記に列挙した溶媒から1種類の溶媒を選択し、該溶媒の表面張力γ(0)溶媒を測定する。前記γ(0)溶媒を求めた溶媒と同じ液に該化合物を添加し、該化合物の濃度を0.01質量%ずつ増加させ、表面張力の変化が0.01mN/m以下になったときの溶液の表面張力γ(飽和)溶媒を測定する。前記γ(0)溶媒と前記γ(飽和)溶媒の関係が、
γ(0)溶媒 − γ(飽和)溶媒 > 1 mN/m
であれば、該化合物は該溶媒に対して強い表面活性を有する物質であると判断する。
処理液に含有する界面活性剤の具体例としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。その他、界面活性剤としては、例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。
(記録液と処理液の表面張力の関係)
被記録媒体上に、少なくとも着色剤および重合性化合物を含む記録液からなる液滴(I)を打滴する前に、実質的に着色剤を含有しない処理液からなる液滴(II)を液滴(I)の液滴で形成される画像より広い領域に付与することによって画像を形成した場合、記録滴が滲んだり、また、液滴サイズが拡大したりして乱れた画像が得られることがある。このように記録液の滲みや拡大による画像の乱れがない優れた画像を形成するために、本発明に係る記録液と処理液は、下記の条件(A)、(B)、および、(C)のすべてを満たすことが好ましい。
なお、以下において、少なくとも1種類の記録液と少なくとも1種類の処理液との組み合わせであって、本発明のインクジェット記録方法に用いられる組み合わせを「インクジェット記録用インクセット」ということがある。
(A)該処理液の表面張力は、該インクジェット記録用インクセットに含まれるいずれかの記録液の表面張力よりも小さい。
(B)該処理液が界面活性剤を少なくとも1種類含有し、該処理液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、
γs(0)−γs(飽和)>1mN/m
の関係を満たす。
(C)該処理液の表面張力は、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2
の関係を満たす。
ここで、γsは、該処理液の表面張力の値である。γs(0)は、該処理液のうちすべての界面活性剤を除いた液体成分の表面張力の値である。γs(飽和)は、該処理液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を該液体成分に添加し、該界面活性剤の濃度を増加させたときに飽和する該液体成分の表面張力の値である。γs(飽和)最大は、該処理液に含有する界面活性剤のうち、前記条件(B)を満たすすべての界面活性剤に対して求めたγs(飽和)のうちの最大値である。
(条件(A))
本発明において、前述の通り、被記録媒体上に目的の大きさの記録液ドットを形成するためには、処理液の表面張力γsは、インクジェット記録用インクセットに含まれるいずれかの記録液の表面張力γkよりも小さくすることが好ましい。
さらに、着滴から露光までの間の記録液ドットの拡大をより効果的に防ぐ観点から、γs<γk−3(mN/m)がより好ましく、γs<γk−5(mN/m)が特に好ましい。
また、フルカラーの画像を印字する場合は、画像の鮮鋭性を向上させる観点から、該処理液の表面張力γsは、少なくとも視感度の高い着色剤を含有する記録液の表面張力よりも小さくすることが好ましく、インクジェット記録用インクセットに含まれるすべての記録液の表面張力より小さいことがより好ましい。尚、ここで視感度の高い着色剤とは、マゼンタ、または、ブラック、または、シアン色を呈する着色剤が挙げられる。
また、記録液の表面張力γkと処理液の表面張力γsの値が上記の関係を満たしていても、両者の値が15mN/m未満であるとインクジェット打滴時に液滴の形成が困難になり不吐出が生じる場合がある。一方、50mN/mを超えると、インクジェットヘッドとの濡れ性が悪くなり不吐出の問題が生じる場合がある。従って、吐出適正の観点から、記録液の表面張力γkと処理液の表面張力γsは、15mN/m以上50mN/m以下が好ましく、18mN/m以上40mN/m以下がより好ましく、20mN/m以上38mN/m以下が特に好ましい。
ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温20℃にて測定した値である。
(条件(B)と(C))
本発明において、被記録媒体上に目的の大きさのインクドットを形成するためには、処理液は少なくとも1種類以上の界面活性剤を含有することが好ましい。尚、この場合は、該処理液に含まれる界面活性剤のうち少なくとも1種類は、下記の条件(B)を満たすことが好ましい。
γs(0)−γs(飽和)>1mN/m 条件(B)
さらに、該処理液の表面張力は、下記の条件(C)の関係を満たすことが好ましい。
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2 条件(C)
ここで、γsは、該処理液の表面張力の値である。γs(0)は、該処理液のうちすべての界面活性剤を除いた液体成分の表面張力の値である。γs(飽和)は、該処理液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を該液体成分に添加し、該界面活性剤の濃度を増加させたときに飽和する該液体成分の表面張力の値である。γs(飽和)最大は、該処理液に含有する界面活性剤のうち、前記条件(B)を満たすすべての界面活性剤に対して求めたγs(飽和)のうちの最大値である。
尚、前記γs(0)は、該処理液のうちすべての界面活性剤を除いた液体成分の表面張力値を測定することによって得られる。前記γs(飽和)は、該処理液に含まれる界面活性剤のうち1種類の界面活性剤を該液体成分に添加し、該界面活性剤の含有濃度を0.01質量%ずつ増加させたときに、表面張力の変化量が0.01mN/m以下になった時の該液体成分の表面張力を測定することによって得られる。
以下、具体的に前記γs(0)、γs(飽和)、γs(飽和)最大 について説明する。
例えば、処理液(例1)を構成する成分が、高沸点溶媒(フタル酸ジエチル、和光純薬製)、重合開始剤(Irg907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、フッ素系界面活性剤(メガファックF475、大日本インキ化学工業(株)製)、炭化水素系界面活性剤(スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム)とした場合、γs(0)、γs(飽和)(フッ素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)(炭化水素系界面活性剤を添加した時)、γs(飽和)、および、γs(飽和)最大は、下記の通りとなる。
即ち、γs(0)は、処理液のうち全ての界面活性剤を除いた液体成分の表面張力値であり、36.7mN/mとなった。また、該液体成分にフッ素系界面活性剤を添加し、濃度を増加させた時の該液体成分の表面張力の飽和値をγs(飽和)としたとき、その値は20.2mN/mとなった。さらに、同様に該液体成分に炭化水素系界面活性剤を添加し、濃度を増加させた時の該液体成分の表面張力の飽和値をγs(飽和)としたとき、その値は30.5mN/mとなった。
前記処理液(例1)は、条件(B)を満たす界面活性剤を2種類含有するため、γs(飽和)は、フッ素系界面活性剤を添加した時(γs(飽和))と炭化水素系界面活性剤を添加した時(γs(飽和))の2つの値をとり得る。これらから、γs(飽和)最大は、前記γs(飽和)及びγs(飽和)のうちの最大値であることから、γs(飽和)の値となる。
以上より、それらを纏めると下記のようになる。
γs(0)=36.7mN/m
γs(飽和)=20.2mN/m(フッ素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)=30.5mN/m(炭化水素系界面活性剤を添加した時)
γs(飽和)最大=30.5mN/m
以上の結果から、処理液の表面張力γsとしては、
γs<(γs(0)+γs(飽和)最大)/2=33.6mN/m
の関係を満たすことが好ましい。
尚、条件(C)については、着滴から露光までの間のインク滴の拡大をより効果的に防ぐ観点から、処理液の表面張力としては、
γs<γs(0)−3×{γs(0)−γs(飽和)}/4
の関係を満たすことがより好ましく、
γs≦γs(飽和)
の関係を満たすことが特に好ましい。
ここで、前記表面張力は、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温20℃にて測定した値である。
以上の本発明のインクジェット記録方法は、後述する本発明のインクジェット記録装置(所謂シングルパス方式)の他、図10に示す所謂シャトルスキャン方式のインクジェット記録装置において実施することができる。これらの中でも、高速性の点からシングルパス方式が好ましい。シングルパス方式は後述するため、ここでは、シャトルスキャン方式について簡単に説明する。なお、シャトルスキャン方式のインクジェット記録装置はその構成自体は公知である。
図10は、シャトルスキャン方式のインクジェット記録装置の要部を示す斜視図である。図10において、被記録媒体16の搬送方向と直交する方向を主走査方向(矢印Mで表す)、被記録媒体16の搬送方向を副走査方向(矢印Sで表す)とする。
図10に示すように、打滴ヘッド(Kインク(記録液)、Yインク(記録液)、Mインク(記録液)、Cインク(記録液)、Sインク(処理液))を搭載したキャリッジ15が被記録媒体16の上方に位置し、このキャリッジ15は主走査方向Mに往復移動可能となるように構成されている。キャリッジ15の副走査方向下流側には、UV光源27が照射部を被記録媒体16に向けた状態で配備されている。また、被記録媒体16は、不図示の副走査機構により副走査方向Sに所定のピッチで搬送されるように構成されている。
記録に際し、被記録媒体16は、副走査機構により副走査方向Sに所定のピッチで搬送される。キャリッジ15上に搭載された打滴ヘッドは、不図示の主走査機構によって主走査方向Mに移動しながら、被記録媒体16に対してノズル(図示せず)から液滴を吐出することにより、所定のバンド巾で画像が記録される。
主走査方向へのキャリッジ15の1回の移動が終了すると、被記録媒体16は副走査方向Sに所定のピッチで搬送され、再びキャリッジ15が主走査方向Mに移動しながら、所定のバンド巾で画像が記録される。このような動作を複数回繰り返すことによって、被記録媒体16のほぼ全面に画像データに基づく画像が記録される。
以上のように、キャリッジ15に搭載された打滴ヘッドからの液滴による記録後、被記録媒体16が搬送され、記録された画像はUV光源27の直下に移動し、UV光源27により露光され、画像が硬化する。
なお、キャリッジにUV光源が搭載され、キャリッジの走査時において、液滴の打滴後すぐに露光を行うものも知られているが、本発明のインクジェット記録方法においては、処理液を付与してから記録液を打滴するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持する必要があるため、そのような構成は適さない。
<インクジェット記録装置>
以上の本発明のインクジェット記録方法は、以下に説明する本発明のインクジェット記録装置により好適に実施される。
本発明のインクジェット記録装置は、被記録媒体を搬送する搬送手段と、前記被記録媒体に液体を付与する液体付与部と、前記液体付与部よりも、被記録媒体の搬送方向下流側に配置され、前記被記録媒体上に付与された液体に活性エネルギーを付与するエネルギー付与手段と、前記液体付与部から液体を吐出させつつ、前記搬送手段と前記エネルギー付与手段とを制御する制御手段と、を有し、前記液体付与部には、搬送される被記録媒体の搬送方向と直交する方向に配置され、前記被記録媒体の記録可能領域の全幅に対応した長さのライン型の打滴ヘッドが複数配備されており、前記複数の打滴ヘッドとして、画像を形成するための着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含有する記録液の液滴を吐出する打滴ヘッドと、実質的に着色剤を含有しない処理液の液滴を吐出する打滴ヘッドと、を有し、前記処理液を吐出する打滴ヘッドと、前記記録液を吐出する打滴ヘッドと、前記エネルギー付与手段とが、被記録媒体の搬送方向上流側から順に配置されており、前記記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、前記制御手段が、被記録媒体を搬送状態とし、かつ加速度を3.8m/s以下の状態となるように搬送手段を制御することを特徴としている。
本発明のインクジェット記録装置は、所謂シングルパス方式のインクジェット記録装置であって、被記録媒体の搬送方向上流側から順に、処理液を吐出する打滴ヘッドと、記録液を吐出する打滴ヘッドと、エネルギー付与手段とが、配置されていることで、処理液を付与してから記録液を打滴するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持することができる。また、記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、前記制御手段が、被記録媒体を搬送状態とし、かつ加速度を3.8m/s以下の状態となるように搬送手段を制御することで、液滴の被記録媒体の搬送に伴って生じる慣性力の液滴への影響が抑えられ、液滴の打滴形状を保つことができる
次に、図1〜図8を参照して、本発明のインクジェット記録装置の好ましい態様について説明する。図1は、インクジェット記録装置10の一例の全体構成図である。このインクジェット記録装置10は、少なくとも着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含む記録液と、処理液の少なくとも2種類の液体を、被記録媒体16に付与して、所望の画像を被記録媒体16に形成するものである。
図1において、インクジェット記録装置10は、記録液および処理液を打滴することにより被記録媒体16に付与する液体付与部12を備えている。
また、インクジェット記録装置10は、液体付与部12に供給する記録液および処理液を貯蔵しておく液体貯蔵/装填部14と、被記録媒体16を供給する給紙部18と、被記録媒体16のカールを除去するデカール処理部20と、液体付与部12の吐出面に対向して配置され、被記録媒体16の平面性を保持しながら被記録媒体16を搬送するベルト搬送部22と、液体付与部12によるインクの打滴結果(インク滴の着弾状態である)としての画像を読み取る画像検出部24と、記録済みの被記録媒体を外部に排出する排紙部26を備えている。
図1においては、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)を給紙するものを示しているが、図9に示すような、予めカットされているカット紙を給紙するものを用いてもよい。ロール紙を使用する装置構成の場合、裁断用のカッタ28が設けられる。ところで、給紙部18から送り出される被記録媒体16は一般に巻き癖が残りカールする。このカールを除去するために、デカール処理部20において巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で被記録媒体16に熱を与える。デカール処理後、カット済の被記録媒体16は、ベルト搬送部22へと送られる。
ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、液体付与部12の吐出面および画像検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。ベルト33は、被記録媒体16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において液体付与部12の吐出面及び画像検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト上の被記録媒体16が吸着保持される。ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、反時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された被記録媒体16は、図1の右から左へと搬送される。なお、縁無しプリント等を形成するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(記録領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ここで本実施例では被記録媒体の保持、搬送手段として負圧による被記録媒体の吸着の例を挙げたが、他の保持、搬送手段(静電吸着搬送、ローラー搬送など)を選択的に用いることもできる。
インクジェット記録装置10の液体付与部12およびその周辺部分を、図2の平面図及び図4の側面図に示す。
図2、図4において、液体付与部12は、シングルパスで被記録媒体16に処理液を打滴する処理液用の打滴ヘッド12S、および、シングルパスで被記録媒体16に記録液を打滴する記録液用の打滴ヘッド12C、12M、12Y、12Kによって構成されている。詳細には、被記録媒体16の記録可能幅の全幅に対応した長さのライン型ヘッドを媒体搬送方向(図2中に矢印Sで示す副走査方向である)と直交する方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている。
本例の各打滴ヘッド12S、12C、12M、12Y、12Kは、本インクジェット記録装置10が対象とする最大サイズの被記録媒体16の少なくとも一辺を超える長さにわたって複数のノズル(液体吐出口)が配列されている。
また、媒体搬送方向Sに沿って、上流側(図2、図4の右側)から、処理液(S)、シアン色の記録液(C)、マゼンタ色の記録液(M)、イエロー色の記録液(Y)、黒色の記録液(K)の順に、各液体に対応した打滴ヘッド12S、12C、12M、12Y、12Kが配置されており、被記録媒体16上にカラーの画像を形成し得る。
具体的には、まず、処理液用の打滴ヘッド12Sから被記録媒体16に向けて処理液が打滴されることによって被記録媒体16上に処理液液滴(II)が付与され、この液滴(II)を付与した領域に重なるように、次に、記録液用の打滴ヘッド12C、12M、12Y、12Kから被記録媒体16に向けて記録液の液滴(I)が打滴される。
また、フルライン型の打滴ヘッドからなる液体付与部12によれば、媒体搬送方向(副走査方向)について被記録媒体16と液体付与部12を相対的に移動させる動作を一回行うことのみで、被記録媒体16の全面に画像を記録することができる。これにより、媒体搬送方向と直交する方向(主走査方向)に打滴ヘッドが往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速プリントが可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、主走査方向及び副走査方向とは、次にいうような意味で用いている。すなわち、被記録媒体の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、被記録媒体の幅方向(被記録媒体の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)のプリントをするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
一方、上述したフルラインヘッドと被記録媒体とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットからなるライン)のプリントを繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、被記録媒体の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
なお、本実施形態では、YMCKの標準色(4色)の構成を例示したが、記録液の色数や色の組み合わせについては本実施形態に示す例には限定されず、必要に応じて、淡インク、濃インク、白色又は他色の特色インク等を追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系記録液を吐出する打滴ヘッドを追加する構成、又は白色インクによる背景の描画をおこなう構成、透明インクによる光沢度調整等を行う構成も可能である。
UV光源(エネルギー付与手段)27は、重合性化合物を含むインクを硬化させるために被記録媒体16に向けて紫外線を照射するものである。紫外線発光光源としては公知の光源、例えば高圧水銀灯、中圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、紫外用蛍光灯、紫外LED、紫外LD等を用いることができるが、実用性の面から高圧水銀灯またはメタルハライドランプを用いるのが好ましい。またUV光源としては200nm〜400nmの波長範囲内に光量のピークをもつものが好ましく、光量ピーク波長において1〜500mJ/cmの範囲の照射光量を持つものが好ましい。UV光源はリフレクタにコールドミラー、カバーガラスに赤外線カットガラスを用いることで、熱線照射による被記録媒体の温度上昇を防ぐ構成とするのが好ましい。
図1に示す液体貯蔵/装填部14は、処理液を貯蔵する処理液タンク、および、YMCK各色別にインクを貯蔵する液体タンクを有し、図示を省略した管路を介して各打滴ヘッド12S、12C、12M、12Y、12Kとそれぞれ連通している。
画像検出部24は、液体付与部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った画像からノズルの目詰まりその他の吐出異常をチェックする手段として機能する。
画像が形成されたプリント物としての被記録媒体16は、排紙部26から排出される。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テストプリントのプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテストプリントとを同時に並列に形成する場合は、カッタ(第2のカッタ)48によってテストプリントの部分を切り離す。カッタ48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテストプリントを行った場合に、本画像とテストプリント部を切断するものである。また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダ別に画像を集積するソータが設けられている。
[打滴ヘッドの構造]
図3(a)は、図2に示した打滴ヘッド12S、12C、12M、12Y、12Kを代表する打滴ヘッドに符号50を付して、その打滴ヘッド50の基本的な全体構造の一例を示す平面透視図である。
図3(a)に一例として示す打滴ヘッド50は、いわゆるフルライン型のヘッドであり、被記録媒体16の搬送方向(図中に矢印Sで示す副走査方向)と直交する方向(図中に矢印Mで示す主走査方向)において、被記録媒体16の幅Wmに対応する長さにわたり、被記録媒体16に向けて液体を吐出する多数のノズル51(液体吐出口)を2次元的に配列させた構造を有している。
打滴ヘッド50は、ノズル51、ノズル51に連通する圧力室52、および、液体供給口53を含んでなる複数の圧力室ユニット54が、主走査方向Mおよび主走査方向Mに対して所定の鋭角θ(0度<θ<90度)をなす斜め方向の2方向に沿って配列されている。なお、図3(a)では、図示の便宜上、一部の圧力室ユニット54のみ描いている。
ノズル51は、具体的には、主走査方向Mに対して所定の鋭角θをなす斜め方向において、一定のピッチdで配列されており、これにより、主走査方向Mに沿った一直線上に「d×cosθ」の間隔で配列されたものと等価に取り扱うことができる。
打滴ヘッド50を構成する一吐出素子としての前述の圧力室ユニット54について、図3(a)中のb−b線に沿った断面図を図3(b)に示す。
図3(b)に示すように、各圧力室52は液体供給口53を介して共通液室55と連通している。共通液室55は図示を省略した液体供給源たるタンクと連通しており、そのタンクから供給される液体が共通液室55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成する振動板56の上には圧電体58aが配置され、この圧電体58aの上には個別電極57が配置されている。振動板56は、接地されており、共通電極として機能する。これらの振動板56、個別電極57および圧電体58aによって、液体吐出力を発生する手段としての圧電アクチュエータ58が構成されている。
圧電アクチュエータ58の個別電極57に所定の駆動電圧が印加されると、圧電体58aが変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力室52内の圧力の変化によって、ノズル51から液体が吐出される。液体吐出後、圧力室52の容積が元に戻ると共通液室55から液体供給口53を通って新しい液体が圧力室52に供給される。
なお、図3(a)には、被記録媒体16に高解像度の画像を高速で形成し得る構造として、複数のノズル51が2次元配列されている場合を例に示したが、本発明における打滴ヘッドは、複数のノズル51が2次元配列された構造に特に限定されるものではなく、複数のノズル51が1次元配列された構造であってもよい。また、打滴ヘッドを構成する吐出素子として図3(b)に示した圧力室ユニット54は、一例であって、このような場合に特に限定されない。例えば、圧力室52よりも下(すなわち圧力室52よりも吐出面50a側)に共通液室55を配置する代りに、圧力室52よりも上(すなわち吐出面50aとは反対側)に共通液室55を配置してもよい。また、例えば、圧電体58aを用いる代りに、発熱体を用いて、液体吐出力を発生するようにしてもよい。
打滴ヘッド12S、12C、12M、12Y、及び12Kに加え、さらに、打滴ヘッド12C〜12Kの下流側に白色インク打滴用の打滴ヘッド12Wを設けてもよい。図5はその形態を示した図である。図5において、図4と同じ構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。この形態は、例えば、透明の被記録媒体に画像を記録して、画像記録面とは反対側の面から画像を観察する場合に有用である。すなわち、透明の被記録媒体に画像を記録するに際しては、打滴ヘッド12S、12C、12M、12Y、12K、及び12Wを使用し、打滴ヘッド12C、12M、12Y、及び12Kによる打滴後に、打滴ヘッド12Wによる白インクを付与することで、画像記録面とは反対側から画像を観察する際に、十分な反射濃度を得ることができる。
ここで、白インクについて説明する。白インクは、白色顔料、顔料分散剤、溶媒を含み、その他必要とされる成分を含んでもよい。
白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、シリカ三酸化アンチモン、燐酸チタン、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等の無機白色顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂、等の有機顔料等が好適に挙げられる。これらの白色顔料の中でも、無機白色顔料が好ましく、特に酸化チタンが好ましい。これらの顔料は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
白色顔料の粒子サイズとしては、体積平均粒子径0.1〜0.5μmが好ましい。該粒子サイズを特に上記範囲にすることによって、白色度が低下したりあるいは光沢度が低下するのを効果的に回避することができる。
前記酸化チタンは、ルチル系、アナターゼ型のいずれでもよく、これらを単独もしくは混合して使用することができる。また、硫酸法で製造されたものや塩素法で製造されたもののいずれでもよい。前記酸化チタンとしては、含水アルミナ処理、含水二酸化ケイ素系処理、又は酸化亜鉛処理等の無機物質による表面被覆処理したもの、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,4−ジヒドロキシ−2−メチルペンタン等の有機物質による表面被覆処理したもの、あるいはポリジメチルシロキサン等のシロキサン処理したもの等から適宜選択できる。
白色顔料の屈折率としては、1.5以上であるのが好ましい。屈折率が該範囲にある白色顔料を含むと、高画質画像を形成することができる。
また、本発明においては、処理液の被記録媒体上への付与手段として、ノズルからの処理液の吐出によるもののほかに、塗布等、他の手段を用いてもよい。図6は、処理液を塗布によって付与する形態を示すものである。この形態では、図4の構成において、打滴ヘッド12Sに代え、搬送方向の上流側に塗布機構13Sを配備したものであり、処理液は塗布機構13Sにより塗布された後、打滴ヘッド12C〜12Kの直下に搬送される。その他の構成は図1〜図2と同様である。
前記塗布に用いる装置としては特に制限はなく、公知の塗布装置を目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。
[液体供給系の説明]
図7は、インクジェット記録装置10における液体供給系統の構成を示した概要図である。
液体タンク60は、打滴ヘッド50に液体を供給するための基タンクである。液体タンク60と打滴ヘッド50を繋ぐ管路の途中には、液体タンク60から打滴ヘッド50へ液体を送液する液体供給ポンプ62が設けられている。液体タンク60および打滴ヘッド50および両者を繋ぐ管路は温度検出手段とヒーターにより内部のインクとともに温度調節されることが好ましい。このときのインク温度は40℃〜80℃に調節されることが好ましい。
また、インクジェット記録装置10には、長期の吐出休止期間におけるノズル51のメニスカスの乾燥を防止又はメニスカス近傍の粘度の上昇を防止する手段としてのキャップ64と、吐出面50aを清掃する手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。
これらのキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、図示を省略した移動機構によって打滴ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から打滴ヘッド50の下方のメンテナンス位置に移動されるようになっている。
また、キャップ64は、図示しない昇降機構によって打滴ヘッド50に対して相対的に昇降される。昇降機構は、キャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、打滴ヘッド50に密着させることにより、吐出面50aの少なくともノズル領域をキャップ64で覆うようになっている。
また、好ましくは、キャップ64の内側が仕切壁によってノズル列に対応した複数のエリアに分割されており、これら仕切られた各エリアをセレクタ等によって選択的に吸引できる構成とする。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示を省略したクリーニングブレード用の移動機構により打滴ヘッド50の吐出面50aにおいて摺動可能である。吐出面50aに液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66を吐出面50aにおいて摺動させることで吐出面50aを拭き取り、吐出面50aを清浄するようになっている。
吸引ポンプ67は、打滴ヘッド50の吐出面50aをキャップ64が覆った状態で、その打滴ヘッド50のノズル51から液体を吸引し、吸引した液体を回収タンク68へ送液する。
このような吸引動作は、インクジェット記録装置10に液体タンク60が装填されて液体タンク60から打滴ヘッド50へ液体を充填するとき(初期充填時)のほか、長時間停止して粘度が上昇した液体を除去するとき(長時間停止の使用開始時)にも行われる。
ここで、ノズル51からの吐出について整理しておくと、第1に、紙などの被記録媒体に画像形成するために被記録媒体に向けて行う通常の吐出があり、第2に、キャップ64を液体受けとしてそのキャップ64に向けて行うパージ(空吐出ともいう)がある。
また、打滴ヘッド50のノズル51や圧力室52内に気泡が混入したり、ノズル51内の粘度上昇があるレベルを超えたりすると、前述の空吐出では液体をノズル51から吐出できなくなるので、打滴ヘッド50の吐出面50aにキャップ64を当てて打滴ヘッド50の圧力室52内の気泡が混入した液体又は増粘した液体を吸引ポンプ67で吸引する動作が行われる。
ここで、液体タンク60、打滴ヘッド50、液体供給ポンプ62、キャップ64、クリーニングブレード66、吸引ポンプ67、回収タンク68また、これらを繋ぐインク流路、その他インクが直接触れる部材および機器は、耐溶解性、耐膨潤性をもつことが好ましい。またこれらの部材および機器は遮光性を持つことが好ましい。
[制御系の説明]
図8は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。
図8において、インクジェット記録装置10は、主として、液体付与部12、画像検出部24、UV光源27、通信インターフェース110、システムコントローラ112、メモリ114、152、搬送手段として搬送用のモータ116、モータドライバ118、ヒータ122、ヒータドライバ124、媒体種別検出部132、インク種別検出部134、照度検出部135、環境温度検出部136、環境湿度検出部137、媒体温度検出部138、給液部142、給液ドライバ144、プリント制御部150、ヘッドドライバ154、および、光源ドライバ156を含んで構成されている。
なお、液体付与部12、画像検出部24、および、UV光源27については、それぞれ図1に記載したものと同一であり既に説明したので、ここでは説明を省略する。
通信インターフェース110は、ホストコンピュータ300から送信される画像データを受信する画像データ入力手段である。通信インターフェース110には、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394などの有線、又は、無線のインターフェースを適用することができる。この通信インターフェース110を介してインクジェット記録装置10に入力された画像データは、画像データ記憶用の第1のメモリ114に一旦記憶される。
システムコントローラ112は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、第1のメモリ114に予め記憶された所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する主制御手段である。すなわち、システムコントローラ112は、通信インターフェース110、モータドライバ118、ヒータドライバ124、媒体種別検出部132、インク種別検出部134、プリント制御部150等の各部を制御する。
搬送用のモータ116は、紙などの被記録媒体を搬送するためのローラやベルト等に動力を与える。この搬送用モータ116によって、液体付与部12を構成する打滴ヘッド50と被記録媒体とが相対的に移動する。モータドライバ118は、システムコントローラ112からの指示に従って搬送用のモータ116を駆動する回路である。
このシステムコントローラ112は、記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、モータドライバ118を介してモータ116を稼働させ、被記録媒体16を搬送状態とし、かつ加速度を3.8m/s以下の状態となるように制御する。
ヒータ122は、図1の加熱ドラム30その他のヒータ122を駆動する回路である。ヒータドライバ124は、システムコントローラ112からの指示に従ってヒータ122を駆動する回路である。
媒体種別検出部132は、被記録媒体の種別を検出するものである。被記録媒体の種別の検出態様には各種ある。例えば、図1の給紙部18にセンサを設けて検出する態様、ユーザの操作により入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力された画像データ(例えば、解像度や色)またはその画像データの付加データを解析することにより自動で検出するようにした態様がある。
インク種別検出部134は、インクの種別を検出するものである。インクの種別の検出態様には各種ある。例えば、図1の液体貯蔵/装填部14にセンサを設けて検出する態様、ユーザの操作により入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力されるようにした態様、ホストコンピュータ300から入力された画像データ(例えば、解像度や色)またはその画像データの付加データを解析することにより自動で検出するようにした態様がある。
照度検出部135はUV光源27から発せられた紫外線の照度を検出するものである。照度の検出態様としては例えば図1のUV光源27の近傍に照度センサを設けて検出する態様がある。
環境温度検出部136は外気またはインクジェット記録装置内の温度を検出するものである。環境温度検出態様としては例えば装置外部または装置内部に温度センサを設けて検出する態様がある。
環境湿度検出部137は外気またはインクジェット記録装置内の湿度を検出するものである。環境湿度検出態様としては例えば装置外部または装置内部に湿度センサを設けて検出する態様がある。
媒体温度検出部138は被記録媒体の画像形成時の温度を検出するものである。媒体温度検出態様には各種ある。たとえば図1のベルト搬送部22に接触式の温度センサを設けて検出する態様、被記録媒体16の上方に非接触式の温度センサを設けて検出する態様がある。
給液部142は、図7の液体タンク60から液体付与部12へインクを流動させる管路及び給液ポンプ62などによって構成されている。
給液ドライバ144は、液体付与部12に液体が供給されるように、給液部142を構成する給液ポンプ62などを駆動する回路である。
プリント制御部150は、インクジェット記録装置10に入力される画像データに基づいて、液体付与部12を構成する各打滴ヘッド50が被記録媒体に向けて吐出(打滴)を行うために必要なデータ(打滴データ)を生成する。すなわち、プリント制御部150は、システムコントローラ112の制御に従い、第1のメモリ114内の画像データから打滴データを生成するための各種の加工、補正などの画像処理を行う画像処理手段として機能し、生成した打滴データをヘッドドライバ154へ供給する。
また、プリント制御部150は、媒体種別検出部132によって検出された媒体種別およびインク種別検出部134によって検出されたインク種別に基づいて、処理液によって被記録媒体上に形成される液体膜の厚さを決定し、ヘッドドライバ154を用いて、処理液の打滴量を制御することにより、液体膜の厚さを切り換える。
プリント制御部150には第2のメモリ152が付随しており、プリント制御部150における画像処理時に打滴データ等が第2のメモリ152に一時的に格納される。
なお、図8において第2のメモリ152はプリント制御部150に付随する態様で示されているが、第1のメモリ114と兼用することも可能である。また、プリント制御部150とシステムコントローラ112とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
ヘッドドライバ154は、プリント制御部150から与えられる打滴データ(実際には第2のメモリ152に記憶された打滴データである)に基づき、液体付与部12を構成する各打滴ヘッド50に対して吐出用駆動信号を出力する。このヘッドドライバ154から出力された吐出用駆動信号が各打滴ヘッド50(具体的には図3(b)に示すアクチュエータ58)に与えられることによって、打滴ヘッド50から被記録媒体に向けて液体(液滴)が吐出される。
光源ドライバ156は、プリント制御部150からの指示と照度検出部135によって検出された照度、環境温度検出部136によって検出された環境温度、環境湿度検出部137によって検出された環境湿度、媒体温度検出部138によって検出された媒体温度に基づいてUV光源27に入力する電圧、時間、タイミングを制御し、UV光源27を駆動する回路である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<顔料分散物P−1の調製>
PB15:3(IRGALITE BLUE GLO;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)16g、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDODA;ダイセル・サイテック(株)製)48g、及びBYK−168(ビックケミー社製)16g混合し、スターラーで1時間攪拌した。攪拌後の混合物をアイガーミルにて分散し、顔料分散物P−1を得た。
ここで、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間1時間とした。
<顔料を含有するインクジェット記録用液体I−1(記録液)の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、インクジェット記録用液体I−1を調製した。インクジェット記録用液体I−1のsp値は20、表面張力は32mN/mであった。
・上記の顔料分散物P−1 …3.75g
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(重合性化合物) …11.25g
(HDODA;ダイセル・サイテック(株)製)
sp値は、既述のように、R.L.smith(東北大学)によるsp値計算プログラムにより
計算した(25℃)。以下、同様である。但し、炭素原子を含まない化合物は計算から除くと共に、ポリマーやポリエチレン鎖等の構成単位については結合手を持つ飽和の繰り返し単位とし、水は47.8として計算した。
<顔料を含まないインクジェット記録用インクの液体II−1(処理液)の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、インクジェット記録用インクの液体II−1を調製した。液体II−1のsp値20、表面張力は23mN/mであった。
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(重合性化合物) …11.7g
(HDODA、ダイセル・サイテック(株)製)
・下記重合開始剤−1 …1.5g
(Irg907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・下記増感剤−1 …0.75g
(ダロキュアITX、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・下記増感剤−2 …0.752g
(ダロキュアEDB、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・メガファックF475 …0.3g
(大日本インキ化学工業株式会社製)
Figure 2008105254
<顔料を含有する比較用インクジェット記録用液体I−0の調製>
下記組成の成分を攪拌混合し溶解して、インクジェット記録用液体I−0を調製した。インクジェット記録用液体I−0のsp値は20、表面張力は32mN/mであった。
・上記の顔料分散物P−1 …3.75g
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(重合性化合物) …8.25g
(HDODA;ダイセル・サイテック(株)製)
・上記重合開始剤−1 …1.5g
(Irg907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・上記増感剤−1 …0.75g
(ダロキュアITX、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・上記増感剤−2 …0.75g
(ダロキュアEDB、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
<画像記録及び評価>
調製したインクジェット記録用液体I−1、液体II−1をインクジェットプリンタ(東芝テックヘッド(CA3)搭載冶具:打滴周波数:4.8KHz、ノズル数:318、ノズル密度150npi(ノズル パー インチ)ドロップサイズ6pl〜42plまで7段階に可変、のヘッドを2つ配列し、300npiにしたヘッドセットを4組搭載)に装填した。ヘッドは固定し、ヘッドの直下を被記録媒体が移動する実験機を作成した。被記録媒体の搬送はロール搬送とした。液体II−1を装填したヘッドによって被記録媒体上全面に均一に描画した(42pl)。描画後、液体I−1を装填したヘッドによってその上にライン状に描画した(42pl)。また、ラインを描画する代わりにドットが独立するように描画を行った。被記録媒体として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET:ルミラー:東レ社製)シートを用いた。
液体I−1と液体II−1とを打滴する際の打滴間隔を400m秒とし、搬送速度は150mm/sで一定とした(加速度は0mm/sである)。この時の隣接する(走査方向の)液滴の重なり率はII−1液、I−1共に約50%程度となった。
なお、重なり率は、既述のように、1滴打滴して1秒後の液滴半径をbとし、隣接打滴間の間隔をcとして100×(2b−c)/(2b)[%]にて算出したものである。
メタルハライドランプを、I−1液を装填したノズルに対して進行方向で15cm離して設置した。365nmの波長にて紫外線量〜500mJ/cm2で紫外線を照射し、画像を固定化した。
上記した実験に対してI−1液打滴後、搬送を停止し、再度搬送した以外は上記実験と同様の実験を行った。この時の速度変化における加速度は減速、加速共に150m/sとした。この場合メタルハライドランプはヘッド方向に移動し、I−1液打滴からメタルハライドランプでの固化までの時間は一定にした。
また、上記した画像形成に対してI−1をI−0に置き換え、II−1を用いない以外は同様の画像形成を行った。
以下の評価を行い、結果を表1に示した。
−1.ライン品質の評価−
II−1液を全面に付与し、I−1液をライン状に打滴し、ラインの品質を下記評価基準にしたがって評価した。但し、比較インク液I−0は1液のみをライン状に打滴した。
〈評価基準〉
A :ドット形状が保持され、均質なライン形状が得られた。
A’:ドット形状は保持されていないが、均質なライン形状が得られた。
B :各ドットの独立性がなく、ところどころ隣接する液滴間の合一による線幅の乱れが認められた。
C :各ドットの独立性がなく、全体的に隣接する液滴間の合一による線幅の乱れが認められた。
−2.ドット打滴形状−
ドットの形状を下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:ほぼ円形を保っている。
B:円形は保っているが円の周りがギザギザになっている。
C:楕円形に拡がっている。
−3.ベタツキ性の評価−
紫外線の照射直後、画像面(記録面)を指で触り、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:ベタツキはなかった。
B:若干ベタツキが認められた。
C:著しくベタツキが認められた。
−4.耐擦過性の評価−
ライン状の画像が記録されたPETシートについて、紫外線照射後30分経過した後の画像を消しゴム(MONO、トンボ鉛筆社製)で10往復擦ったときの変化を観察し、下記評価基準にしたがって評価した。
〈評価基準〉
A:擦過による濃度低下は全くなかった。
B:擦過による濃度低下が僅かに認められた。
C:擦過により著しく濃度が低下した。
−5.耐光性の評価−
ライン状の画像が記録されたPETシートに対して、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いてキセノン光(85,000Lux)を1週間照射し、照射前後の濃度をマイクロデンシトメーター(機種名:MICRO−PHOTOMETER MPM−No.172、メーカー名:ユニオン オプティカル(株)製)にて測定して色素残存率〔%〕を求め、下記評価基準にしたがって5段階評価した。
〈評価基準〉
A:色素残存率が90%以上であった。
B:色素残存率が89〜80%であった。
C:色素残存率が79〜70%であった。
D:色素残存率が69〜50%であった。
E:色素残存率が49%未満であった。
−6.オゾン耐性の評価−
ライン状の画像が記録されたPETシートをオゾン濃度5.0ppm条件下に1週間保存し、保存前後での画像の濃度をマイクロデンシトメーター(機種名:MICRO−PHOTOMETER MPM−No.172、メーカー名:ユニオン オプティカル(株)製)にて測定して色素残存率(%)を求め、下記評価基準にしたがって5段階評価した。なお、オゾン耐性の評価はPETシート上の画像のみについて行なった。
〈評価基準〉
A:色素残存率が90%以上であった。
B:色素残存率が89〜80%であった。
C:色素残存率が79〜70%であった。
D:色素残存率が69〜50%であった。
E:色素残存率が49%未満であった。
Figure 2008105254
前記表1に示すように、液体II−1を用いる場合には用いない場合と比較して、良好なライン品質を得ることができることがわかる。しかしながら、被記録媒体を搬送し、打滴後、固定化前に、急速な加減速を行った場合には、特にドットで打滴した場合に、ドットのゆがみが生じ、これが画質にぼけた印象を与える。これに対し、打滴後、硬化前まで一定速度で搬送した場合にはこのようなドットのゆがみが観測されず、良好な画像が得られることが分かる。
(実施例2)
実施例1の液体II−1の調製に用いたHDODA(ダイセル・サイテック(株)製)をこれと等質量の前記高沸点有機溶媒S−30に代えたこと以外、実施例1と同様にして、液体II−2を調製し、画像記録を行なうと共に、ライン品質、ドット打滴形状を評価したところ、本実施例でも、実施例1と同様の結果が得られた。
本発明のインクジェット記録装置の一例を示す全体構成図である。 液体付与部とその周辺部を示す平面図である。 (a)は、打滴ヘッドの基本的な全体構造の一例を示す平面透視図であり、(b)は。(a)におけるb−b線に沿った断面図である。 液体付与部とその周辺部を示す側面図である。 液体付与部とその周辺部を示す、図4とは異なる形態を示す図である。 液体付与部とその周辺部を示す、図4とは異なる形態を示す図である。 インクジェット記録装置における液体供給系統の構成を示した概要図である。 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。 液体付与部とその周辺部を示す、図2とは異なる形態を示す図である。 シャトルスキャン方式のインクジェット記録装置の要部を示す図である。
符号の説明
10 インクジェット記録装置
12 液体付与部
14 液体貯蔵/装填部
16 被記録媒体
18 給紙部
22 ベルト搬送部
27 UV光源

Claims (10)

  1. 少なくとも着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含む記録液を少なくとも第1の液滴a1及び液滴a2にて被記録媒体に打滴することで所望の画像を記録するインクジェット記録方法において、
    前記液滴a1と前記液滴a2とを重なり部分をもって打滴すると共に、実質的に着色剤を含有しない処理液を前記記録液で形成される前記画像と同一もしくは該画像よりも広い範囲に予め前記被記録媒体に付与しておき、
    処理液を付与してから記録液の打滴が終了するまでの間において、打滴された処理液の表面を液体状に維持し、
    前記記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、被記録媒体を搬送状態で、かつ加速度を3.8m/s以下の状態とし、活性エネルギーを付与し重合性もしくは架橋性材料を重合もしくは架橋することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記被記録媒体をロール搬送方式で搬送させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記液滴a1と液滴a2との重なり部分における重なり率が10%以上90%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記処理液が、少なくとも、前記記録液中の重合性もしくは架橋性材料を架橋反応させる重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記処理液が、親油性溶剤を含み、該親油性溶剤の含有量が前記処理液の全質量の50質量%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記親油性溶剤が、沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記処理液の付与後、前記第1の液滴a1が打滴されるまでの打滴間隔を5μ秒以上400m秒以下とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記第1の液滴a1及び液滴a2の液滴サイズを、0.1ピコリットル以上100ピコリットル以下とすることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 被記録媒体を搬送する搬送手段と、
    前記被記録媒体に液体を付与する液体付与部と、
    前記液体付与部よりも、被記録媒体の搬送方向下流側に配置され、前記被記録媒体上に付与された液体に活性エネルギーを付与するエネルギー付与手段と、
    前記液体付与部から液体を吐出させつつ、前記搬送手段と前記エネルギー付与手段とを制御する制御手段と、を有し、
    前記液体付与部には、搬送される被記録媒体の搬送方向と直交する方向に配置され、前記被記録媒体の記録可能領域の全幅に対応した長さのライン型の打滴ヘッドが複数配備されており、
    前記複数の打滴ヘッドとして、画像を形成するための着色剤および重合性もしくは架橋性材料を含有する記録液の液滴を吐出する打滴ヘッドと、実質的に着色剤を含有しない処理液の液滴を吐出する打滴ヘッドと、を有し、
    前記処理液を吐出する打滴ヘッドと、前記記録液を吐出する打滴ヘッドと、前記エネルギー付与手段とが、被記録媒体の搬送方向上流側から順に配置されており、
    前記記録液の被記録媒体への着弾時から活性エネルギー付与までの間において、前記制御手段が、被記録媒体を搬送状態とし、かつ加速度を3.8m/s以下の状態となるように搬送手段を制御することを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 前記処理液の液滴を吐出する打滴ヘッドに代え、前記液体付与部よりも、被記録媒体の搬送方向上流側に、前記処理液を付与する液体付与手段を有することを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
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