JP2007238648A - インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット画像記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット画像記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高画質な画像が形成可能であり、光安定性及び熱安定性の高いインクジェット記録用インクセット、及び、該インクセットを用いたインクジェット画像記録方法を提供すること。
【解決手段】複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
前記複数種の液体の少なくとも1つがラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有し、他の液体の少なくとも1つがカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセット、及び、該インクセットを用いて画像を形成することを特徴とするインクジェット画像記録方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インクセット、及びインクジェット画像記録方法に関し、詳細には、高画質な画像を形成することができるインクジェット記録用インクセット、及び多液凝集型のインクジェット記録用インクセットに適用できるインクジェット画像記録方法に関する。
ノズル等のインク吐出口からインクを吐出するインクジェット方式は、小型で安価であり、印字媒体に非接触で画像形成が可能である等の理由から多くのプリンターに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、及び、熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用しインクを吐出する熱インクジェット方式は高解像度、高速印字性に優れるという特徴を有する。
現在、インクジェットプリンターにより、普通紙或いはプラスチックなど非吸水性の被記録媒体に印字する際の高速化及び高画質化が重要な課題となっている。特に、印字後の液滴の乾燥に時間が掛かると、画像の滲みが生じやすく、また、隣接するインク液滴間の混合による打滴干渉が生じ、鮮鋭な画像形成の妨げとなるばかりでなく、非吸水性被記録媒体を用いた場合、溶剤の乾燥が極めて遅いために印字直後には記録物を重ねずに乾燥させる必要があるなど、実用上の問題があった。尚、打滴干渉とは、隣接して打滴された液滴同士が表面エネルギーを低下させるため(表面積を小さくするため)に、合一する現象である。隣接する液滴が合一するときに液滴の移動が起こるために、着弾した位置からずれ、特に着色剤を含むインクで細線を描く場合には、線幅の不均一が生じ、面を描写する場合には、ムラとなって現れる。
画像のにじみや打滴干渉の抑制のため、インクの硬化を促進する方法の一つとして、インク溶媒の揮発ではなく放射線によって硬化し固着するインクジェット用インクが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし着色成分として顔料分散物を用いているために、顔料の凝集によりノズルが目詰りし安定してインクを吐出させることが困難であった。
このため、顔料を用いずに透明性や色調に優れた画像形成を行うため、着色剤に染料を用いた紫外線硬化型インクも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。このインクは、保存中に好ましくない重合反応が起こりやすく、保存安定性が充分ではないといった問題点を有していた。
保存性と高速乾燥性との両立を目的として、2液式のインクを用いて、被記録媒体上で両者を反応させる技術が提案され、例えば、塩基性ポリマーを有する液体を付着させた後、アニオン染料を含有するインクを記録する方法(例えば、特許文献3参照。)、カチオン性物質を含む液体組成物を適用した後、アニオン性化合物と色材を含有するインクを適用する方法(例えば、特許文献4参照。)、また、一方に光硬化型樹脂を、もう一方に光重合開始剤を含んだインクを用いる記録方法(例えば、特許文献5参照。)などが開示されている。しかし、これらの方法は、染料自体の析出により画像のにじみを抑制させようとするものであり、打滴干渉を抑制しうるものではなく、また、水性溶媒を含むため、乾燥速度が遅く、さらに、析出した染料が被記録媒体上に不均一に分布しやすく、画質の低下を招く懸念もあった。
また、活性光線硬化型インクを用い、種々の記録材料に、文字品質に優れ、色混じりの発生がなく、高精細な画像を安定に記録することを目的として、色材を含有しない活性光線硬化型インクまたは色材の含有量が1%未満の活性光線硬化型インクを記録材料上に先に吐出し、その後色材入り活性光線硬化型インクを吐出することを特徴とする画像形成方法が開示される(例えば、特許文献6参照。)。しかし、同文献に開示され活性光線硬化型インク及びこれ用いた画像形成方法は、インクの硬化に多くのエネルギーを要するため、特に、発光ダイオードなどを露光光源として用いた場合には、画像を安定に記録することができなという問題があった。
さらに、上記のような紫外線硬化型のインクジェット記録用インクは、インクジェット装置に装填して使用する際、漏れ光によりノズル部分が固化するという問題があり、光安定性についても改善が求められていた。
特開平5−214279号公報 米国特許第4303924号明細書 特開昭63−60783号公報 特開平8−174997号公報 特許第3478495号明細書 特開2005−96254号公報
本発明の目的は、高画質な画像が形成可能であり、光安定性及び熱安定性の高いインクジェット記録用インクセットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、優れた定着性を維持しつつ、高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法を提供することにある。
前記課題を解決するための具体的手段は以下通りである。
<1> 複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
前記複数種の液体の少なくとも1つがラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有し、他の液体の少なくとも1つがカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセットである。
<2> 前記複数の液体の少なくとも1つが着色剤を含有することを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録用インクセット。
<3> 前記カチオン重合性化合物が、少なくとも1種のオキセタン基含有化合物、及び、少なくとも1種のオキシラン基含有化合物であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<4> 前記ラジカル重合性化合物が、単官能(メタ)アクリレート及び二官能(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットである。
<5> 第1の液体及び第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体から構成される前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、
前記第1の液体及び第2の液体を被記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に、両液体が接触するように付与することによって画像を形成するインクジェット画像記録方法である。
<6> 前記第1の液体及び第2の液体を被記録媒体上に付与する手段が、インクジェットノズルによる噴射であることを特徴とする前記<5>に記載のインクジェット画像記録方法である。
<7> 被記録媒体上に形成された画像に、エネルギーを付与して画像を固定する工程を設けたことを特徴とする前記<5>又は<6>に記載のインクジェット画像記録方法である。
<8> 前記エネルギーの照射光源として、活性エネルギー線の中心波長が356±20nmである発光ダイオードを用いることを特徴とする前記<7>に記載のインクジェット画像記録方法である。
本発明によれば、高画質な画像が形成可能であり、光安定性及び熱安定性の高いインクジェット記録用インクセットを提供することができる。
また、本発明によれば、優れた定着性を維持しつつ、高画質な画像を形成することができるインクジェット画像記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録用インクセット(以下、単に「インクセット」ということがある。)は、複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
前記複数種の液体の少なくとも1つがラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有し、他の液体の少なくとも1つがカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセットである。
上記構成を有する本発明のインクジェット記録用インクセットは、長期保存安定性に優れ、滲みや打滴干渉を効果的に抑制され、光安定性及び熱安定性が高いインクセットとすることができ、かかるインクセットにより高画質な画像を形成することができるともに、インクジェット装置におけるノズル部分の固化も効果的に防止できる。
また、本発明のインクジェット画像記録方法(以下、単に「画像記録方法」ということがある。)は、

前記第1の液体及び第2の液体を被記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に付与することによって画像を形成するインクジェット画像記録方法である。尚、前記第1の液体及び第2の液体の被記録媒体上への付与は、インクジェットノズルによる噴射で行うことが、生産性及び装置小型化の観点からより好ましい。
以下、本発明を詳細に説明するにあたり、まず上記複数種の液体を構成する成分について述べる。
<重合性化合物及び重合開始剤>
本発明のインクセットは、該インクセットを構成する複数種の液体の少なくとも1つがラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有し、他の液体の少なくとも1つがカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有することが必要である。このように、本発明においては、ラジカル重合系及びカチオン重合系の重合性化合物及び重合開始剤を用い、一方の重合系の重合性化合物と他方の重合系の重合開始剤とを組み合わせ、インクセットを構成する別個の液体中にそれぞれ含有させたことにより、各液体単独ではエネルギー付与が行われても重合が開始せず、極めて光安定性及び熱安定性に優れたインクセットを達成することができる。
以下、本発明における重合性化合物(カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物)、及び、重合開始剤(カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤)について詳細に説明する。
−カチオン重合性化合物−
本発明におけるカチオン重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与によりカチオン重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、後述するカチオン重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。また、カチオン重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
本発明におけるカチオン重合性化合物としては、硬化性及び耐擦過性の観点から、オキセタン基含有化合物及びオキシラン基含有化合物が好適であり、オキセタン基含有化合物及びオキシラン基含有化合物の両方を含有する態様がより好ましい。
ここで、本明細書において、オキシラン基含有化合物(以下、適宜「オキシラン化合物」と称する場合がある。)とは、分子内に、オキシラン環を有する少なくとも1つのオキシラン基(オキシラニル基)を含む化合物であり、具体的にはエポキシ樹脂として通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、従来公知の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよい。また、オキセタン基含有化合物(以下、適宜「オキセタン化合物」と称する場合がある。)とは、分子内に少なくとも1つのオキセタン基(オキセタニル基)を含む化合物である。
以下、本発明に適用しうるカチオン重合性化合物について詳細に説明する。
カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等があげられる。
これらのエポキシ化合物のなかでも、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
本発明に用いうる単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明におけるオキセタン化合物としては、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載される如き、公知のオキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明に使用しうるオキセタン化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インクジェット記録用液体の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインクの被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
本発明で用いられる単官能オキセタン化合物の例としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、4−メトキシ−〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、〔1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル〕フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
多官能オキセタン化合物の例としては、例えば、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3'−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタンが挙げられる。
このようなオキセタン化合物については、前記特開2003−341217公報、段落番号〔0021〕乃至〔0084〕に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に使用しうる。
本発明で使用するオキセタン化合物のなかでも、インクジェット記録用液体の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1〜2個有する化合物を使用することが好ましい。
本発明においては、これらのカチオン重合性化合物は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
カチオン重合性化合物の含有量としては、カチオン重合性化合物を含有する液体の全固形分に対し50〜95質量%が適当であり、好ましくは60〜92質量%、さらに好ましくは70〜90質量%の範囲である。
−ラジカル重合性化合物−
本発明におけるラジカル重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与によりラジカル重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、モノマー、オリゴマー、ポリマーの種を問わず使用することができるが、特に、後述するラジカル重合開始剤から発生する開始種により重合反応を生起する、光ラジカル重合性モノマーとして知られる各種公知のラジカル重合性のモノマーを使用することができる。また、ラジカル重合性化合物は単官能化合物であっても、多官能化合物であってもよい。
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、等が挙げられる。なお、本明細書において「アクリレート」、「メタクリレート」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
本発明におけるラジカル重合性化合物としては、硬化性、粘度の点から、(メタ)アクリレート類であることが好ましい。特に、粘度の点から、単官能(メタ)アクリレート及び二官能(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種であることより好ましい。
以下、本発明に適用しうるラジカル重合性化合物について詳細に説明する。
本発明に用いられる(メタ)アクリレートとしては、例えば以下のものが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル基(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2Hパーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
二官能の(メタ)アクリレートの具体例として、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
三官能の(メタ)アクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等を挙げることができる。
四官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
五官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
六官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
本発明に用いられる(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
本発明に用いられる芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3―オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
さらに本発明におけるラジカル重合性モノマーとしてはビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど]、アリルエステル類[酢酸アリルなど]、ハロゲン含有単量体[塩化ビニリデン、塩化ビニルなど]、ビニルエーテル[メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなど]、シアン化ビニル[(メタ)アクリロニトリルなど]、オレフィン類[エチレン、プロピレンなど]などが挙げられる。
ラジカル重合性化合物の含有量としては、ラジカル重合性化合物を含有する液体の全固形分に対し50〜95質量%が適当であり、好ましくは60〜92質量%、さらに好ましくは70〜90質量%の範囲である。
−カチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤−
本発明のインクセットにおいては、前記カチオン重合性化合物を含有する液体にラジカル重合開始剤が、前記ラジカル重合性化合物を含有する液体にカチオン重合性開始剤が含有される。本発明におけるカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤としては、光重合開始剤であることが特に好ましい。
本発明におけるカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤は、光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸、又は塩基を生成する化合物であり、中でも、露光という簡便な手段で重合開始させることができるという観点から前記光ラジカル発生剤、又は、光酸発生剤であることが好ましい。
本発明においては、以下に詳述する重合開始剤の中から、併用されるカチオン重合性化合物又はラジカル重合性化合物との関係等を考慮して、カチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤を適宜選択して使用することができる。
光重合開始剤としては、照射される活性光線、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
具体的な光重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用でき、具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue,93,435(1993).や、R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A :Chemistry,73.81(1993).や、J.P.Faussier"Photoinitiated Polymerization−Theory and Applications":Rapra Review vol.9,Report,Rapra Technology(1998).や、M.Tsunooka et al.,Prog.Polym.Sci.,21,1(1996).に多く、記載されている。また、(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)に化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が多く、記載されている。さらには、F.D.Saeva,Topics in Current Chemistry,156,59(1990).、G.G.Maslak,Topics in Current Chemistry,168,1(1993).、H.B.Shuster et al,JACS,112,6329(1990).、I.D.F.Eaton et al,JACS,102,3298(1980).等に記載されているような、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
好ましい光重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。
(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.FOUASSIER J.F.RABEK (1993)、p77〜117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
(b)芳香族オニウム塩としては、周期律表の第V、VIおよびVII族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、またはIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、および同422570号各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、および同2833827号各明細書に記載されるスルホニウム塩類、ジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、および特公昭46−42363号各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、および同52−14279号各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
(c)「有機過酸化物」としては分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'4,4'−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'4,4'−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'4,4'−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'4,4'−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'4,4'−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
(d)ヘキサアリールビイミダゾールとしては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(e)ケトオキシムエステルとしては3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
本発明における光重合開始剤の他の例である(f)ボレート塩の例としては米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物が挙げられる。
光重合開始剤の他の例である(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号各公報記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
光重合開始剤の他の例である(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号各公報記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
上記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
(i)活性エステル化合物の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、および同0388343号各明細書、米国特許3901710号、および同4181531号各明細書、特開昭60−198538号、および特開昭53−133022号各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、および同0101122号各明細書、米国特許4618564号、同4371605号、および同4431774号各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、および特開平4−365048号各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、および特開昭59−174831号各公報に記載される化合物等が挙げられる。
(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、たとえば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、あるいはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群、等を挙げることができる。
上記(a)〜(j)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
Figure 2007238648
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本発明におけるカチオン重合開始剤としては、硬化性の点から、上記した中でも、芳香族オニウム塩が好ましく、ヨードニウム塩、スルホニウム塩がより好ましく、ヨードニウムのPF6塩、スルホニウム塩のPF6塩が特に好ましい。
本発明におけるカラジカル重合開始剤としては、硬化性の点から、上記した中でも、芳香族ケトン類が好ましく、ベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物がより好ましく、α−アミノベンゾフェノン化合物、アシルホスフィンスルフィド化合物が特に好ましい。
カチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、感度向上の目的で公知の増感剤と併用することもできる。
カチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤の含有量は、該重合開始剤を含有する液体各々の全固形分に対し0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
また、カチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤と、それらと併用される重合性化合物の含有比(質量比)としては、それぞれ、0.5:100〜30:100であることが好ましく、より好ましくは1:100〜15:100、更に好ましくは2:100〜10:100である。
<着色剤>
本発明のインクセットを構成する複数の液体は、その少なくとも1つに着色剤を含有することができる。インクセットを構成する液体に着色剤を含有することにより、着色画像を形成することができる。
本発明に用いられる着色剤には特に制限はなく、インクの使用目的に適合する色相、色濃度を達成できるものであれば、公知の水溶性染料、油溶性染料及び顔料から適宜選択して用いることができる。なかでも、本発明のインクセットを構成する液体は、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことがインク打滴安定性及び速乾性の観点から好ましく、そのような観点からは、非水溶性の液体に均一に分散、溶解しやすい油溶性染料や顔料を用いることが好ましい。
(油溶性染料)
本発明に使用可能な油溶性染料には特に制限はなく、任意のものを使用することができる。以下、本発明に使用しうる油溶性染料を色相別に例示する。
イエロー染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などが挙げられ、その他の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
マゼンタ染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
シアン染料としては、例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
前記の各染料は、発色原子団(クロモフォア)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
着色剤として油溶性染料を用いる場合の染料の含有量は、着色剤を含有する液体中において、固形分換算で0.05〜20質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜15質量%が更に好ましく、0.2〜6質量%が特に好ましい。
(顔料)
着色剤として顔料を用いる態様もまた、複数種の液体の混合時に凝集が生じやすいという観点から好ましい。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料および無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとしては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー93,C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤またはマゼンタ色を呈するものとしては、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G'レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青またはシアン色を呈する顔料としては、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料としては、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
顔料の分散には、例えばボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、本発明のインクセットは、放射線硬化型であり、インクを被被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、重合性化合物を用い、中でも、粘度が低い重合性モノマーを選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
本発明における液体中に含まれる顔料粒子の体積平均粒子径は、光学濃度と保存安定性とのバランスといった観点からは、30〜250nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは50〜200nmである。ここで、顔料粒子の体積平均粒子径は、例えば、LB−500(HORIBA(株)製)などの測定装置により測定することができる。
着色剤として顔料を用いる場合の含有量は、光学濃度と噴射安定性の観点から、着色剤を含有する液体中において、固形分換算で0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
着色剤は1種のみならず、2種以上を混合して使用してもよい。また、液体毎に異なった着色剤を用いても、同じであってもよい。
<インクジェット記録用インクセット>
本発明のインクジェット記録用インクセットは複数種の液体から構成される。
本発明に係る複数種の液体においては、その少なくとも1つがラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有し、他の液体の少なくとも1つがカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する。
ここで、第1の液体と第2の液体とからなる、2液式を例に挙げてインクジェット記録用インクセットを説明すれば、
<1> 第1の液体にカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とが、第2の液体にラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤と着色剤とが、含まれる組み合わせ、
<2> 第1の液体にラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とが、第2の液体にカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤と着色剤とが、含まれる組み合わせ、
を例示することができる。
また、3液式の場合のインクジェット記録用インクセットとしては、
<1> 第1の液体にカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とが、第2の液体にラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤と着色剤とが、第3の液体にラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤と着色剤とが、含まれる組み合わせ、
<2> 第1の液体にカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とが、第2の液体にラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤と着色剤とが、第3の液体にカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤と着色剤とが、含まれる組み合わせ
等を例示することができる。
<その他の成分>
本発明における複数種の液体には、上記した成分の他、目的に応じて下記のような添加剤を併用することができる。
(高沸点有機溶媒)
本発明においては、複数種の液体のいずれか1つ、又はそれ以上の液体中に、(1)25℃での粘度が100mPa・s以下又は60℃での粘度が30mPa・s以下であり、且つ(2)沸点が100℃よりも高い高沸点有機溶媒を含有することができる。
上記高沸点有機溶媒を含有させることにより、滲み、打滴干渉の発生をより効果的に防止することができる。
尚、滲み、打滴干渉の発生の更なる抑制という観点からは、上記高沸点有機溶媒は、着色剤を含有しない液体中に含有することがより好ましい。
上記(1)の粘度条件のいずれをも満たさない高沸点有機溶媒では、粘度が高くなり、被記録媒体上への液体の付与に支障をきたす場合がある。一方、(2)の沸点条件を満たさない高沸点有機溶媒では、沸点が低くなりすぎて画像形成中に蒸発し、本発明の打滴干渉回避の効果を阻害することがある。また、蒸発して大気中に放出されるということは、環境面からも好ましくない。
尚、上記(1)の条件の内、25℃での粘度は、更に70mPa・s以下であることが好ましく、40mPa・s以下であることがより好ましく、20mPa・s以下であることが特に好ましい。60℃での粘度は、更に20mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることが特に好ましい。また、(2)の条件である沸点は、150℃以上であることがより好ましく、170℃以上であることが特に好ましい。更に、上記高沸点有機溶媒は、融点が80℃以下であることが好ましく、水の溶解度(25℃)が4g以下であることが好ましい。水の溶解度は、更に3g以下であることが好ましく、2g以下であることがより好ましく、1g以下であることが特に好ましい。
ここで、本発明における「粘度」は、東機産業(株)社製のRE80型粘度計を用いて求めた粘度をさす。RE80型粘度計は、E型に相当する円錐ロータ/平板方式粘度計であり、ロータコードNo.1番のロータを用い、10rpmの回転数にて測定を行う。但し、60mPa・sより高粘なものについては、必要により回転数を5rpm、2.5rpm、1rpm、0.5rpm等に変化させて測定を行う。
また、本発明において「水の溶解度」とは、25℃における高沸点有機溶媒中の水の飽和濃度であり、25℃での高沸点有機溶媒100gに溶解できる水の質量(g)を意味する。
上記高沸点有機溶媒の使用量としては、使用する着色剤に対し、塗設量換算で5〜2000質量%が好ましく、10〜1000質量%がより好ましい。
本発明において、前記高沸点有機溶媒としては、下記式〔S−1〕から〔S−9〕で表される化合物が好ましい。
Figure 2007238648
前記式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。また、a,b,cは、各々独立に0又は1を表す。
式〔S−2〕においてR4及びR5は各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R6は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I以下同じ)、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基を表し、dは0〜3の整数を表す。dが複数のとき、複数のR6は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−3〕においてArはアリール基を表し、eは1〜6の整数を表し、R7はe価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
式〔S−4〕においてR8は脂肪族基を表し、fは1〜6の整数を表し、R9はf価の炭化水素基又はエーテル結合で互いに結合した炭化水素基を表す。
式〔S−5〕においてgは2〜6の整数を表し、R10はg価の炭化水素基(ただしアリール基を除く)を表し、R11は脂肪族基又はアリール基を表す。
式〔S−6〕においてR12、R13及びR14は各々独立に、水素原子、脂肪族基又はアリール基を表す。Xは−CO−又は−SO2−を表す。R12とR13又はR13とR14は互いに結合して環を形成していてもよい。
式〔S−7〕においてR15は脂肪族基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリール基又はシアノ基を表し、R16はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、hは0〜3の整数を表す。hが複数のとき、複数のR16は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−8〕においてR17及びR18は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表し、R19はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を表し、iは0〜5の整数を表す。iが複数のとき、複数のR19は同じでも異なっていてもよい。
式〔S−9〕においてR20及びR21は、各々独立に、脂肪族基又はアリール基を表す。jは1又は2を表す。R20及びR21は互いに結合して環を形成していてもよい。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21が脂肪族基又は脂肪族基を含む基であるとき、脂肪族基は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、また不飽和結合を含んでいても置換基を有していてもよい。置換基の例として、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、エポキシ基等がある。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R8、R11〜R21が環状脂肪族基、すなわちシクロアルキル基であるか、又はシクロアルキル基を含む基であるとき、シクロアルキル基は3〜8員の環内に不飽和結合を含んでよく、また置換基や架橋基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、脂肪族基、ヒドロキシル基、アシル基、アリール基、アルコキシ基、エポキシ基等があり、架橋基の例としてメチレン、エチレン、イソプロピリデン等が挙げられる。
式〔S−1〕〜〔S−9〕においてR1〜R6、R11〜R21、Arがアリール基又はアリール基を含む基であるとき、アリール基はハロゲン原子、脂肪族基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基等の置換基で置換されていてもよい。
式〔S−3〕、〔S−4〕、〔S−5〕においてR7、R9又はR10が炭化水素基であるとき、炭化水素基は環状構造(例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環)や不飽和結合を含んでいてもよく、また置換基を有していてもよい。置換基の例としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エポキシ基等がある。
以下に、式〔S−1〕〜〔S−9〕で表される高沸点有機溶媒の中でも、特に好ましい高沸点有機溶媒について述べる。
式〔S−1〕においてR1、R2及びR3は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えばn−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,3,5−トリメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、n−オクタデシル、ベンジル、オレイル、2−クロロエチル、2,3−ジクロロプロピル、2−ブトキシエチル、2−フェノキシエチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、キシリル、クメニル、p−メトキシフェニル、p−メトキシカルボニルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R1、R2及びR3は特に、n−ヘキシル、n−オクチル、EH−オクチル、2−エチルヘキシル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデシル、2−クロロエチル、2−ブトキシエチル、シクロヘキシル、フェニル、クレジル、p−ノニルフェニル、クメニルが好ましい。
a、b、cは各々独立に0又は1であり、より好ましくはa、b、cすべて1である。
式〔S−2〕においてR4及びR5は、各々独立して、炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基(例えば前記R1について挙げた脂肪族基と同じ基、ヘプチル、エトキシカルボニルメチル、1,1−ジエチルプロピル、2−エチル−1−メチルヘキシル、シクロヘキシルメチル、1−エチル−1,5−ジメチルヘキシル、3,5,5−トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ボルニル、1−メチルシクロヘキシル)、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R1について挙げたアリール基、4−t−ブチルフェニル、4−t−オクチルフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2,4,−ジ−t−ブチルフェニル、2,4,−ジ−t−ペンチルフェニル)が好ましい。これらの中でも、R4及びR5は更に、脂肪族基が好ましく、特に、n−ブチル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、2−ブトキシエチル、エトキシカルボニルメチルが好ましい。
6はハロゲン原子(好ましくは塩素原子)、炭素原子数1〜18のアルキル基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、n−ドデシル)、炭素原子数1〜18のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、炭素原子数6〜18のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−トリルオキシ、4−メトキシフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ)又は炭素原子数2〜19のアルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル)又は炭素原子数6〜25のアリールオキシカルボニル基が好ましい。これらの中でも、R6は更に、アルコキシカルボニル基がより好ましく、特に、n−ブトキシカルボニルが好ましい。
dは0又は1である。
式〔S−3〕においてArは炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えばフェニル、4−クロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、4−メトキシフェニル、1−ナフチル、4−n−ブトキシフェニル、1,3,5−トリメチルフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、Arは特に、フェニル、2,4−ジクロロフェニル、2−(2−n−ブトキシカルボニルフェニル)フェニルが好ましい。
eは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
7はe価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基〔例えば前記R4について挙げた脂肪族基、n−オクチル、前記R4について挙げたアリール基、−(CH22−、
Figure 2007238648
〕又はe価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに結合した炭化水素基〔例えば、−CH2CH2OCH2CH2−、−CH2CH2(OCH2CH23−、−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−、
Figure 2007238648
〕が好ましい。これらの中でも、R7は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
式〔S−4〕においてR8は炭素原子数1〜24(好ましくは1〜17)の脂肪族基(例えばメチル、n−プロピル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、n−ヘプチル、n−ウンデシル、n−トリデシル、ペンタデシル、8,9−エポキシヘプタデシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル)が好ましく、これらの中でも、R8は特に、n−ヘプチル、n−トリデシル、1−ヒドロキシエチル、1−エチルペンチル、8,9−エポキシヘプタデシルが好ましい。
fは1〜4(好ましくは1〜3)の整数である。
9はf価の炭素原子数2〜24(好ましくは2〜18)の炭化水素基又はf価の炭素原子数4〜24(好ましくは4〜18)のエーテル結合で互いに連結した炭化水素基(例えば前記R7について挙げた基、1−メチル−2−メトキシエチル、2−ヘキシルデシル)が好ましく、これらの中でも、R9は特に、2−エチルヘキシル、2−ヘキシルデシル、1−メチル−2−メトキシエチル、
Figure 2007238648
が好ましい。
式〔S−5〕においてgは2〜4(好ましくは2又は3)である。
10はg価の炭化水素基〔例えば、−CH2−、−(CH22−、−(CH24−、−(CH27−、−(CH28−、
Figure 2007238648
〕が好ましく、これらの中でも、R10は特に、−(CH24−、−(CH28−、
Figure 2007238648
が好ましい。
11は炭素原子数1〜24(好ましくは4〜18)の脂肪族基、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記R4について挙げた脂肪族基、アリール基)が好ましく、これらの中でも、R11は、更にアルキル基が好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシルが好ましい。
式〔S−6〕において、R12は水素原子、炭素原子数1〜24の脂肪族基(好ましくは3〜20)〔例えばn−プロピル、1−エチルペンチル、n−ウンデシル、n−ペンタデシル、2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシメチル、4−t−オクチルフェノキシメチル、3−(2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ)プロピル、1−(2,4−ジ−t−ブチルフェキシ)プロピル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル〕、又は炭素原子数6〜24(好ましくは6〜18)のアリール基(例えば前記Arについて挙げたアリール基、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニル)が好ましく、これらの中でも、R12は特に、n−ウンデシル、8−N,N−ジエチルカルバモイルオクチル、3−メチルフェニル、2−(N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル)フェニルが好ましい。
13及びR14は、水素原子、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基(例えばメチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、シクロペンチル、シクロプロピル)又は炭素原子数6〜18(好ましくは6〜15)のアリール基(例えばフェニル、1−ナフチル、p−トリル)が好ましく、これらの中でも、R13及びR14は特に、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチル、n−テトラデシル、フェニルが好ましい。
13とR14とが互いに結合し、Nとともにピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環を形成してもよく、R12とR13とが互いに結合し、Nとともにピロリドン環、ピペリジン環を形成してもよい。
Xは−CO−又は−SO2−であり、好ましくはXは−CO−である。
式〔S−7〕においてR15は炭素原子数1〜24(好ましくは3〜18)の脂肪族基(例えばメチル、イソプロピル、t−ブチル、t−ペンチル、t−ヘキシル、t−オクチル、2−ブチル、2−ヘキシル、2−オクチル、2−ドデシル、2−ヘキサデシル、t−ペンタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル)、炭素原子数2〜24(好ましくは5〜17)のアルコキシカルボニル基(例えばn−ブトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル)、炭素原子数7〜24(好ましくは7〜18)のアリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、クレジルオキシカルボニル基)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルキルスルホニル基(例えばメチルスルホニル、n−ブチルスルホニル、n−ドデシルスルホニル)、炭素原子数6〜30(好ましくは6〜24)のアリールスルホニル基(例えばp−トリルスルホニル、p−ドデシルフェニルスルホニル、p−ヘキサデシルオキシフェニルスルホニル)、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)又はシアノ基が好ましく、これらの中でも、R15は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基、炭素原子数1〜24のアルコキシカルボニル基がより好ましく、特に、炭素原子数1〜24の脂肪族基が好ましい。
16はハロゲン原子(好ましくはCl)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)の脂肪族基{より好ましくは、アルキル基(例えば前記R15について挙げたアルキル基)、炭素原子数3〜18(更に好ましくは5〜17)のシクロアルキル基(例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)}、炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリール基(例えばフェニル、p−トリル)、炭素原子数1〜24(好ましくは1〜18)のアルコキシ基(例えばメトキシ、n−ブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ベンジルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ)又は炭素原子数6〜32(好ましくは6〜24)のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−t−ブチルフェノキシ、p−t−オクチルフェノキシ、m−ペンタデシルフェノキシ、p−ドデシルオキシフェノキシ)が好ましく、これらの中でも、R16は、更に炭素原子数1〜24の脂肪族基がより好ましく、特に炭素原子数1〜12の脂肪族基が好ましい。
hは1〜2の整数である。
式〔S−8〕においてR17及びR18の好ましい例は、前記R13及びR14における水素原子以外の例と同じであり、これらの中でも、R17及びR18は、更に脂肪族基がより好ましく、特に、n−ブチル、n−オクチル、n−ドデシルが好ましい。但し、R17及びR18は互いに結合して環を形成することはない。
19の好ましい例は、前記R16と同じであり、これらの中でもR19は、更にアルキル基及びアルコキシ基がより好ましく、特に、n−オクチル、メトキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシが好ましい。
iは1〜5の整数である。
式〔S−9〕においてR20及びR21の好ましい例は、結合して環を形成しない場合には、前記R1、R2及びR3と同じであり、これらの中でもR20及びR21は、特に、炭素原子数1〜24の置換又は無置換の脂肪族基が好ましい。
20とR21とが互いに結合し環を形成してもよく、形成される環としては、3〜10員環が好ましく、5〜7員環が特に好ましい。
jは1又は2を表し、好ましくは、jは1である。
本発明において、高沸点有機溶媒は1種類を単独で使用しても、2種以上を混合〔例えばトリクレジルホスフェートとジブチルフタレート、トリオクチルホスフェートとジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブチルフタレートとポリ(N−t−ブチルアクリルアミド)〕して使用してもよい。
本発明において、前記着色剤と前記高沸点有機溶媒との質量比としては、着色剤:高沸点有機溶媒が、1:0.01〜1:1であるのが好ましく、1:0.05〜1:0.5であるのがより好ましい。
本発明において用いられる高沸点有機溶媒の前記以外の化合物例、及び/又はこれら高沸点有機溶媒の合成方法については、例えば、米国特許第2,322,027号、同第2,533,514号、同第2,772,163号、同第2,835,579号、同第3,594,171号、同第3,676,137号、同第3,689,271号、同第3,700,454号、同第3,748,141号、同第3,764,336号、同第3,765,897号、同第3,912,515号、同第3,936,303号、同第4,004,928号、同第4,080,209号、同第4,127,413号、同第4,193,802号、同第4,207,393号、同第4,220,711号、同第4,239,851号、同第4,278,757号、同第4,353,979号、同第4,363,873号、同第4,430,421号、同第4,430,422号、同第4,464,464号、同第4,483,918号、同第4,540,657号、同第4,684,606号、同第4,728,599号、同第4,745,049号、同第4,935,321号、同第5,013,639号、欧州特許第276,319A号、同第286,253A号、同第289,820A号、同第309,158A号、同第309,159A号、同第309,160A号、同第509,311A号、同第510,576A号、東独特許第147,009号、同第157,147号、同第159,573号、同第225,240A号、英国特許第2,091,124A号等の各明細書、特開昭48−47335号、同50−26530号、同51−25133号、同51−26036号、同51−27921号、同51−27922号、同51−149028号、同52−46816号、同53−1520号、同53−1521号、同53−15127号、同53−146622号、同54−91325号、同54−106228号、同54−118246号、同55−59464号、同56−64333号、同56−81836号、同59−204041号、同61−84641号、同62−118345号、同62−247364号、同63−167357号、同63−214744号、同63−301941号、同64−9452号、同64−9454号、同64−68745号、特開平1−101543号、同1−102454号、同2−792号、同2−4239号、同2−43541号、同4−29237号、同4−30165号、同4−232946号、同4−346338号等の各公報に記載されている。
(貯蔵安定剤)
本発明においては、複数種の液体の保存中の好ましくない重合を抑制する目的で、貯蔵安定剤を添加することができる。貯蔵安定剤は、重合性化合物と同じ液体に共存させて用いることが好ましく、また、該液体或いは共存する他の成分に可溶性のものを用いることが好ましい。
貯蔵安定剤としては、4級アンモニウム塩、ヒドロキシアミン類、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、複素環化合物、有機酸、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジエチルヒドロキシルアミン、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、クエン酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。
貯蔵安定剤の添加量は、用いる重合開始剤の活性や重合性化合物の重合性、貯蔵安定剤の種類に基づいて適宜調整するのが好ましいが、保存安定性と液体混合時のインクの硬化性とのバランスといった観点からは、液体中における固形分換算で0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましく、0.01〜0.2質量%がさらに好ましい。
(導電性塩類)
導電性塩類は、導電性を向上させる固体の化合物である。本発明においては、保存時に析出する懸念が大きいために実質的に使用しないことが好ましいが、導電性塩類の溶解性を上げたり、液体成分に溶解性の高いものを用いたりすることで溶解性が良い場合には、適当量添加してもよい。導電性塩類の例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
(溶剤)
溶剤は、インクの極性や、粘度、表面張力、着色材料の溶解性・分散性の向上、導電性の調整および印字性能の調整などのために使用できる。前記溶剤としては、非水溶性の液体であって水性溶媒を含有しないことがインク打滴安定性及び速乾性の観点から好ましく、特に前述の高沸点有機溶媒が好ましい。
低沸点有機溶媒は沸点が100℃以下の有機溶剤である。該低沸点有機溶媒は、硬化性に影響を与える懸念があり、また、低沸点有機溶媒は環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましい。使用する場合には、安全性の高いものを用いることが好ましく、安全性が高い溶媒とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶媒であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。具体的には、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、メタノール、2−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
溶剤は一種類でも複数組み合わせて使用してもよく、上記の水及び/又は低沸点有機溶媒を用いる場合のその使用量は、各液体中0〜20質量%が好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないのが特に好ましい。ここで実質的に含まないとは、不可避不純物の存在を容認することを意味する。液体中に水を含有すると、経時による不均一化、染料の析出等に起因する液体の濁りが生じるという経時安定性の点、及び、非吸水性の被記録媒体を用いた場合の乾燥性の観点から好ましくない。
(その他の添加剤)
また、その他の添加剤として、ポリマー、表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤等の公知の添加剤を併用することができる。
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、公知の化合物を適宜選択して用いればよいが、具体的には例えば、特開2001−181549号公報に記載されている添加剤などを用いることができる。
また、上記のほか、混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物を、それぞれ異なる液体中に含有することができる。上記1組の化合物は、凝集体を急速に形成させるか、或いは、液体を急速に増粘させる特徴を有し、これにより隣接する液滴との打滴干渉の発生を更に効果的に抑制することができる。
上記混合により反応して凝集物を生成するか、増粘する1組の化合物の反応例としては、酸/塩基反応、カルボン酸/アミド基含有化合物による水素結合反応、ボロン酸/ジオールに代表される架橋反応、カチオン/アニオンによる静電的相互作用による反応等が挙げられる。
<インクジェット画像記録方法>
次に、本発明のインクジェット画像記録方法について説明する。
本発明のインクジェット画像記録方法(以下、単に「画像記録方法」ということがある。)は、第1の液体及び第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体から構成される本発明のインクジェット記録用インクセットを用い、前記第1の液体及び第2の液体を被記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に、両液体が接触するように付与することによって画像を形成することを特徴とする。
(液体の付与手段)
上記画像記録方法においては、第1の液体及び第2の液体を含む複数種の液体を、必ずしも全てインクジェットノズルでの噴射によって被記録媒体上に付与する必要はなく、塗布等の他の手段によって付与してもよいが、第1の液体と第2の液体の双方をインクジェットノズルでの噴射によって被記録媒体上に付与する態様が好ましく、更には、第1の液体を付与すると同時、又は付与した後に、第2の液体をインクジェットノズルによる噴射で行うことが、滲みや打滴干渉の抑制の観点から好ましい。
ここで、上記画像記録方法における、被記録媒体上への液体の付与手段について説明する。該付与手段としては、特に限定されるわけではないが、具体例として以下の2点が挙げられる。
(i)塗布装置を用いた塗布
本発明のインクジェット画像記録方法における液体の付与手段の一態様として、塗布装置を用いて第1の液体及び第2の液体のいずれか一方を被記録媒体上に塗布し、その後に他方をインクジェットノズルによって先に塗布した液体に接触するように噴射することにより、画像を形成する態様が挙げられる。
上記塗布装置としては、特に制限はなく公知の塗布装置を目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロットコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、押出コーター等が挙げられる。詳しくは、原崎勇次著「コーティング工学」を参照されたい。
また、上記インクジェットノズルとしては、特に制限はなく公知のノズルを目的に応じて適宜選択することができる。インクジェットノズル(インクジェット方式)については後に詳述する。
尚、第1の液体及び第2の液体以外の他の液体は、上記塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で被記録媒体上に付与してもよく、また付与のタイミングも特に限定されるわけではないが、着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射による手段が好ましい。
(ii)インクジェットノズルによる噴射
また、インクジェットノズルによって第1の液体及び第2の液体のいずれか一方を噴射し、それと同時か又はその後に、他方を同様にインクジェットノズルによって先に噴射した液体に接触するように噴射することにより、画像を形成する態様が挙げられる。
上記インクジェットノズルについては、前記と同様である。
また、前記同様、第1の液体及び第2の液体以外の他の液体は、上記塗布装置による塗布や、インクジェットノズルによる噴射など、いかなる方法で被記録媒体上に付与してもよく、また付与のタイミングも特に限定されるわけではないが、着色剤を含有する場合には、インクジェットノズルでの噴射による手段が好ましい。
尚、前述した本発明のインクジェット記録用インクセットは、上記(ii)の手段であって、他の液体全てがインクジェットノズルで噴射される態様のインクジェット画像記録方法に用いることにより、その優れた効果を顕著に発揮する。
ここで、上記インクジェットノズルによる噴射の方式(インクジェット記録方式)について説明する。本発明においては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式、等の公知の方式が好適に使用される。
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
上記(i)の手段による場合には、第1の液体及び第2の液体のいずか一方が、このようなインクジェット記録方式により、既に他方の液体が塗布された被記録媒体上に適用され、画像が形成される。一方、上記(ii)の手段による場合には、少なくとも第1の液体及び第2の液体が、このようなインクジェット記録方式により、同時に又は順次被記録媒体上に適用され、画像が形成される。
尚、2種以上の液体が上記インクジェット記録方式によって被記録媒体上に噴射される場合、それらの液体が互いに接触するように付与される。2種以上の液体が接触する態様には特に制限はなく、互いに隣接するよう噴射されてもよく、一方の液体の付与領域と同じ領域になるように噴射されてもよい。
噴射のタイミングは任意であり、同時であっても順次であってもよいが、順次噴射される場合には、最初の液体を噴射した後、1秒以下で、次の液体を噴射することが好ましい。また、液滴の質量には特に制限はなく、形成される画像の鮮鋭度により選択されるが、一般的には1つの液体の1液滴あたりの質量は0.5pl〜10pl程度であることが好ましい。
上記(i)及び(ii)の手段のいずれによる場合でも、第1の液体及び第2の液体は、双方の液体が同時に、又は既に他方の液体が付与された被記録媒体上に、先に付与された液体と接触するように、後に付与する液体が噴射されるため打滴干渉は発生せず、ドット形状が保持された形となる。より良好なドット形状保持の観点から、先に被記録媒体上に付与される液体は、後に付与される液体を噴射しようとする範囲より幅広く付与することが好ましい。
また、2液式の場合における、画像形成部への1打滴当たりの液体の付与量のバランスとしては、後に付与する液体の付与量を1とした場合の先に付与する液体の付与量(質量比)は、0.05〜5の範囲であることが好ましく、0.07〜1の範囲であることがより好ましく、0.1〜1の範囲であることが特に好ましい。先に付与する液体に対する後に付与する液体の比率が5以下であることにより、レリーフ感の観点で良好な画像品質が得られ、また、0.05以上であることにより、本発明の効果である打滴干渉回避が充分に行われる。
液滴を重なり部分を有して打滴する際の重なり率は、少なくとも液滴が重なって打滴されてから1秒後の重なり率であり、特に先に付与された液滴を打滴した後に付与された液滴の打滴から1秒後の重なり部分における重なり率が10%以上90%以下となるように打滴するようにするのが好ましい。より高解像度の画像記録に有効である。中でも、重なり率は、20%以上80%以下であるのが好ましく、30%以上70%以下であるのが好ましい。
前記重なり率とは、隣接する液滴(液滴a1、液滴a2、・・・)が、いかなる割合で重なっているかを示す指標である。被記録媒体上に着弾後の液滴の直径をaとした場合、1/2aが重なっている場合には重なり率は50%である。本発明における場合、隣接して打滴された液滴は互いに合一せずに打滴形状を保持しうるが、重なり率は、1滴打滴して1秒後の液滴半径をbとし、隣接打滴間の間隔をcとしたとき、100×(2b−c)/2b[%]で表される。
また、被記録媒体に、先に付与する液体の付与した後、後に付与する液体の液滴が打滴されるまでの打滴間隔としては、5μ秒以上400m秒以下の範囲内であるのが好ましい。打滴間隔が前記範囲内であると、本発明の効果を顕著に奏し得る点で有効である。打滴間隔は、より好ましくは10μ秒以上300m秒以下であり、特に好ましくは20μ秒以上200μ秒以下である。
尚、上記インクジェット記録方式によって被記録媒体上に噴射される液体(インク)の好ましい物性は、印字装置により異なるが、一般的には、各液体の粘度は5〜100mPa・sが好ましく、10〜80mPa・sがより好ましい。インク組成物の表面張力は20〜60mN/mが好ましく、30〜50mN/mがより好ましい。
更に好ましい物性は、第1の液体と第2の液体との関係において、粘度差が25mPa・s以内であり、表面張力は20mN/m以内である。
(エネルギー付与工程)
また、本発明の画像記録方法においては、優れた定着性を得る観点から、画像形成後エネルギーを付与することによって画像を固定する工程を設けることができる。エネルギーを付与することで、凝集体中の重合、硬化反応を促進させ、より強固な画像をより効率よく形成することができる。このようなエネルギー付与は光照射又は加熱により行われることが好ましい。
露光、加熱などのエネルギー付与により、混合された液体中の重合開始剤の分解による活性種の発生が促進されるとともに、活性種の増加や温度の上昇により、活性種に起因する重合性化合物の重合硬化反応が促進される。
本発明において重合性化合物の重合を進行させるための露光光源としては、紫外線、可視光線などを使用することができる。また、光以外の放射線、例えば、α線、γ線、X線、電子線などを照射してエネルギー付与を行うこともできるが、これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。
特に、本発明においては、エネルギーの照射光源として活性エネルギー線の中心波長が365±20nmである発光ダイオードを好適に用いることができ、低露光エネルギーであっても優れた硬化画像を得ることができる。
硬化反応に必要なエネルギー量は、重合開始剤の種類や含有量などによって異なるが、一般的には、10〜500mJ/cm2程度である。
また、加熱によりエネルギー付与を行う場合には、被記録媒体表面の温度が40〜80℃の温度範囲となる条件で、0.1秒〜1秒間、加熱することが好ましい。
この加熱は、非接触型の加熱手段を使用して行われ、オーブン等の加熱炉内を通過させる加熱手段や、紫外光〜可視光〜赤外光等による全面露光を行う加熱手段などが好ましく用いられる。ここで、加熱手段としての露光に用いられる光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、カーボンアーク灯、水銀灯等が挙げられる。
また、被記録媒体に先に付与した液体と後に付与した液体との打滴の間に前記活性光線で硬化させる過程を含むことも可能であるが、全く硬化させない、または半硬化させるというということが好ましい態様である。
(被記録媒体)
本発明においては、インク浸透性の被記録媒体、インク非浸透性の被記録媒体共に使用することができる。インク浸透性の被記録媒体としては、普通紙、インクジェット専用紙、コート紙、電子写真共用紙、布、不織布、多孔質膜、高分子吸収体等が挙げられる。これらについては、特開2001−1891549号公報などに「被記録材」として記載されている。
本発明の優れた効果は、インク非浸透性の被記録媒体で顕著に発現する。インク非浸透性の被記録媒体としては、アート紙、合成樹脂、ゴム、樹脂コート紙、ガラス、金属、陶器、木材等が挙げられる。加えて機能を付加するために、これら材質を複数組み合わせ複合化した基材も使用することができる。
合成樹脂としては、いかなる合成樹脂も用いることができるが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等、ジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、セロハン、セルロイド等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は、フィルム状でもよいし、カード状、ブロック状でもよく、何ら限定されることはない。また、これら合成樹脂は透明でも不透明でもよい。
合成樹脂の使用形態としては、所謂軟包装に用いられるフィルム状で用いることも好ましく、各種非吸収性のプラスチック及びそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、PNyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。
樹脂コート紙としては、例えば、透明ポリエステルフィルム、不透明ポリエステルフィルム、不透明ポリオレフィン樹脂フィルム、及び紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体等が挙げられるが、特に好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂でラミネートした紙支持体である。
金属としては、いかなる金属も用いることが可能であるが、アルミニウム、鉄、金、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、シリコン、鉛、亜鉛等、又はステンレス等のこれらの複合材料が好ましく用いられる。
尚、本発明のインクジェット画像記録方法に用いる支持体としては、更に、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスク等を用いることもでき、レーベル面側にインク受容層および光沢付与層を付与することもできる。
以下、本発明を、実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
<顔料分散体の作製>
まず、表1に示す顔料と分散剤と重合性化合物とをボールミルに入れて、直径0.5mmのジルコンビーズを使用して、12時間分散して、シアン顔料分散体及びマゼンタ顔料分散体を得た。顔料分散体の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2007238648
1.第2の液体の調整
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−M1)の調製>
モノマー:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 6.0g
(DPCA60、SARTOMER社製)
モノマー:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 14.0g
(HDDA、ダイセル・ユーシービー(株)製)
光重合開始剤:ビス〔4−ジフェニルスルフォニオフェニル〕スルファイド、
ビス(ヘキサフルオロフォスヘイト)とフォスヘイト(1−)、
ヘキサフルオロジフェニル〔(フェニルチオ)フェニル〕
スルフォニームとプロピレンカーボネートとの混合物 (UVI−6992、ダウ・ケミカル社製) 0.6g
着色剤:表1に示すマゼンタ顔料分散体 4.0g
以上の成分を撹拌混合溶解して、マゼンタインクジェット記録用液体(I−M1)を得た。
インクジェット記録用液体(I−M1)は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−M2)の調製>
前記インクジェット記録用液体(I−M1)の調製において、光重合開始剤として用いたUVI−6992 0.6gに代えて、ヨードニウム塩とプロピレンカーボネートとの混合物(Irgacure 250、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 0.6gを用いた以外は、インクジェット記録用液体(I−M1)と同様にして着色剤を含有するマゼンタインクジェット記録用液体(I−M2)を調製した。
インクジェット記録用液体(I−M2)は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−M3)の調製>
前記インクジェット記録用液体(I−M1)の調製において、光重合開始剤として用いたUVI−6992 0.6gに代えて、ヨードニウム塩とγ−ブチロラクトンとの混合物(CI−5102、日本曹達(株)製)0.6gを用いた以外は、インクジェット記録用液体(I−M1)と同様にしてマゼンタインクジェット記録用液体(I−M3)を調製した。
インクジェット記録用液体(I−M3)は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−M4)の調製>
前記インクジェット記録用液体(I−M1)の調製において、光重合開始剤として用いたUVI−6992 0.6gに代えて、スルフォニウム塩(アデカオプトマー SP−170、旭電化工業(株)製)0.6gを用いた以外は、インクジェット記録用液体(I−M1)と同様にしてマゼンタインクジェット記録用液体(I−M4)を調製した。
インクジェット記録用液体(I−M5)は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有する比較用インクジェット記録用液体(I−M5)の調製>
モノマー:カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 6.0g
(DPCA60、SARTOMER社製)
モノマー:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 14.0g
(HDDA、ダイセル・ユーシービー(株)製)
光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンと
ビス(2.6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチル−
ペンチルフォスフィンオキサイドとの混合物 1.4g
(Irgacure 1870、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
着色剤:表1に示すマゼンタ顔料分散体 4.0g
以上の成分を撹拌混合溶解し、比較用マゼンタインクジェット記録用液体(I−M5)を得た。
インクジェット記録用液体(I−M5)は、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−C1)の調製>
モノマー:(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−
エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(セロキサイド2021A、ダイセル・ユーシービー(株)製) 6g
モノマー:ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル
(アロンオキセタンOXT−221、東亜合成(株)製) 14g
光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンと
ビス(2.6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチル−
ペンチルフォスフィンオキサイドとの混合物
(Irgacure 1870、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
1.4g
着色剤:表1に示すシアン顔料分散体 2.0g
以上の成分を撹拌混合溶解し、シアンインクジェット記録用液体(I−C1)を得た。
インクジェット記録用液体(I−C1)は、カチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−C2)の調製>
前記インクジェット記録用液体(I−C1)の調製において、光重合開始剤として用いたIrgacure 1870 1.4gに代えて、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−オン(Irgacure 907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.4gを用いた以外は、インクジェット記録用液体(I−C1)と同様にして着色剤を含有するマゼンタインクジェット記録用液体(I−C2)を調製した。
インクジェット記録用液体(I−C2)は、カチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−C3)の調製>
前記インクジェット記録用液体(I−C1)の調製において、光重合開始剤として用いたIrgacure 1870 1.4gに代えて、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(DAROCUR TPO、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.4gを用いた以外は、インクジェット記録用液体(I−C1)と同様にして着色剤を含有するマゼンタインクジェット記録用液体(I−C3)を調製した。
インクジェット記録用液体(I−C3)は、カチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−C4)の調製>
前記インクジェット記録用液体(I−C1)の調製において、光重合開始剤として用いたIrgacure 1870 1.4gに代えて、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(Irgacure 819、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.4gを用いた以外は、インクジェット記録用液体(I−C1)と同様にして着色剤を含有するマゼンタインクジェット記録用液体(I−C4)を調製した。
インクジェット記録用液体(I−C4)は、カチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有するインクジェット記録用液体(I−C5)の調製>
前記インクジェット記録用液体(I−C1)の調製において、光重合開始剤として用いたIrgacure 1870 1.4gに代えて、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(Irgacure 369、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.4gを用いた以外は、インクジェット記録用液体(I−C1)と同様にして着色剤を含有するマゼンタインクジェット記録用液体(I−C5)を調製した。
インクジェット記録用液体(I−C5)は、カチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有する比較用インクジェット記録用液体(I−C6)の調製>
モノマー:(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキ
サンカルボキシレート
(セロキサイド2021A、ダイセル・ユーシービー(株)製) 6g
モノマー:ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル
(アロンオキセタンOXT−221、東亜合成(株)製) 14g

光重合開始剤:ヨードニウム塩とプロピレンカーボネートとの混合物 1.2g
(Irgacure 250、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)

イソプロピルチオキサントン 0.5g
(DAROCUR ITX、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
着色剤:表1に示すシアン顔料分散体 2.0g
以上の成分を撹拌混合溶解して、比較用シアンインクジェット記録用液体(I−C6)を得た。
インクジェット記録用液体(I−C6)は、カチオン重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有する液体である。
2.第1の液体の調整
<着色剤を含有しないインクジェット記録用液体(IIa−1)の調製>
モノマー:(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキ
サンカルボキシレート
(セロキサイド2021A、ダイセル・ユーシービー(株)製) 3g
モノマー:3−フェニル−3−フェノキシメチルオキセタン
(アロンオキセタンOXT−211、東亜合成(株)製) 17g
光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンと
ビス(2.6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチル−
ペンチルフォスフィンオキサイドとの混合物 1.4g
(Irgacure 1870、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
イソプロピルチオキサントン 0.5g
(DAROCUR ITX、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
界面活性剤:メガファックF178K(大日本インキ化学工業(株)製) 0.2g
以上の成分を撹拌混合溶解し、インクジェット記録用液体(IIa−1)を得た。
インクジェット記録用液体(IIa−1)は、カチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有しないインクジェット記録用液体(IIa−2)の調製>
モノマー:1,2,8,9−ジエポキシリモネン
(セロキサイド3000、ダイセル・ユーシービー(株)製) 12g
モノマー:ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル
(アロンオキセタンOXT−221、東亜合成(株)製) 6g
モノマー:3−エチルー3−ヒドロキシメチルオキセタン
(アロンオキセタンOXT−101 東亜合成製) 2g
光重合開始剤:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕
−2−モルフォリノ−1−オン 1.4g
(Irgacure 907、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
イソプロピルチオキサントン 0.5g
(DAROCUR ITX、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
フッ素系界面活性剤:メガファックF475(大日本インキ化学工業(株)製)0.2g
以上の成分を撹拌混合し、インクジェット記録用液体(IIa−2)を得た。
インクジェット記録用液体(IIa−2)は、カチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有しないインクジェット記録用液体(IIb−1)の調製>
モノマー:エトキシ化ペンタエリスリトールヘキサアクリレート 10.0g
(SR494:SARTOMER社製)
モノマー:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 10.0g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
光重合開始剤:ビス〔4−ジフェニルスルフォニオフェニル〕スルファイド、
ビス(ヘキサフルオロフォスヘイト)とフォスヘイト(1−)、
ヘキサフルオロジフェニル〔(フェニルチオ)フェニル〕
スルフォニームとプロピレンカーボネートとの混合物 0.6g
(UVI−6992、ダウ・ケミカル製)
増感剤:9,10−ジブトキシアントラセン 0.3g
以上の成分を撹拌混合し、インクジェット記録用液体(IIb−1)を得た。
インクジェット記録用液体(IIb−1)は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有しないインクジェット記録用液体(IIb−2)の調製>
モノマー:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 20.0g
(HDDA ダイセル・ユーシービー製)
光重合開始剤:ヨードニウム塩とプロピレンカーボネート との混合物 0.6g
(Irgacure 250、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
フッ素系界面活性剤:メガファックF475(大日本インキ化学工業(株)製)0.2g
以上の成分を撹拌混合し、インクジェット記録用液体(IIb−2)を得た。
インクジェット記録用液体(IIb−2)は、ラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有しない比較用インクジェット記録用液体(IIc−1)の調製>
モノマー:1,6ヘキサンジオールジアクリレート 20.0g
(HDDA、ダイセル・ユーシービー(株)製)
光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンと
ビス(2.6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチル−
ペンチルフォスフィンオキサイドとの混合物 1.4g
(Irgacure 1870、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
イソプロプルチオキサントン 0.5g
(Irgacure 1870、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
フッ素系界面活性剤:メガファックF475(大日本インキ化学工業(株)製)0.2g
以上の成分を撹拌混合し、比較用インクジェット記録用液体(IIc−1)を得た。
インクジェット記録用液体(IIc−1)は、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有する液体である。
<着色剤を含有しない比較用インクジェット記録用液体(IIc−2)の調製>
モノマー:(3’,4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−
エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 3g
(セロキサイド2021A、ダイセル・ユーシービー(株)製)
モノマー:3−フェニル−3−フェノキシメチルオキセタン
(アロンオキセタンOXT−211、東亜合成(株)製) 17g
光重合開始剤:ヨードニウム塩とプロピレンカーボネート との混合物 0.6g
(Irgacure 250、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 増感剤:9,10−ジブトキシアントラセン 0.3g
界面活性剤:メガファックF178K(大日本インキ化学工業(株)製) 0.2g
以上の成分を撹拌混合し、比較用インクジェット記録用液体(IIc−2)を得た。
インクジェット記録用液体(IIc−2)は、カチオン重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有する液体である。
(実施例1〜18、比較例1〜2)
上記により得られたインクジェット記録用液体(第1の液体及び第2の液体)を、表2及び表3に示すように組み合わせて、実施例1〜18、比較例1〜2のインクジェット記録用インクセットとした。なお、実施例1〜8、比較例1はマゼンタ色のインクセットであり、実施例9〜18、比較例2はシアン色のインクセットである。
3.評価方法
<印字・露光方法>
2液型の液体を用いた印字・露光方法について説明する。
−印字−
各実施例及び比較例のインクセットを構成するインクジェット記録用液体のうち、着色剤を含有しない液体(第1の液体)を印字した。次いで、着色剤を含有する液体(第2の液体)をその上から重なるように印字した。
いずれの液体もインクジェットプリンター(東芝TEC社製ヘッドを搭載した実験機、印字密度:300dpi、打滴周波数:2KHz、ノズル数:64、2列配列)で被記録媒体上に文字(フォントサイズ5、10、20、30)を印字した。
なお、ここで、上記印字を行った被記録媒体としては、厚さ60μmのポリエチレンテレフタレート(PET)シート(商品名:PPL/レーザープリンタ用ゼロックスFILM(OHP FILM)を用いた。
−LED露光−
被記録媒体(メディア)に印字(打滴)した後、紫外発光ダイオード(UV−LED)により露光し画像を形成した。なお、UV−LEDとしては、日亜化学製の「NCCU033」を用いた。本LEDは1チップから波長365nmの紫外光を出力するものであって、約500mAの電流を通電することにより、チップから約100mWの光が発光される。これを7mm間隔に複数個配列し、メディア表面で0.3W/cm2のパワーが得られる。打滴後露光されるまでの時間、及び、露光時間はメディアの搬送速度及びヘッドとLEDの搬送方向の距離により変更可能である。本実施例では着弾後、約0.5秒後に露光される。
メディアとの距離及び搬送速度の設定に応じて、メディア上の露光エネルギーを0.01〜15J/cm2の間で調整することができる。本実施例では搬送速度により露光エネルギーを調整した。
これら露光パワー、露光エネルギーの測定には、ウシオ電機製のスペクトロラディオメータ「URS−40D」を用い、波長220nmから400nmの間を積分した値を用いた。
なお、本実施例では印字及び露光テストは23℃、R.H.60%の環境で実施した。
<メタルハライドランプ露光(ノズル固化テスト)>
ノズル固化テストは下記のように実施した。
実施例及び比較例のマゼンタ及びシアンインクジェット記録用インクセットをインクジェットプリンター(東芝TEC社製ヘッドを搭載した実験機;ノズル密度300dpi)のインクヘッドに充填した状態にし、紫外線光源(365nm波長のメタルハライドランプ VZero 085(ネオプト製);照射照度は被記録媒体上で1000mJ/cm2)を照射した状態で一定時間この状態で待機し、その後、インクの吐出性について下記評価基準に従って評価した。なお、ノズル面における漏れ光の照度は約0.1mWであった。
○:待機状態が2時間を超えても不吐出が生じない。
△:待機状態が2時間で50%未満のノズルが詰まり、不吐出となる。
×:待機状態が2時間で50%以上のノズルが詰まり、不吐出となる。
<硬化性評価>
実施例及び比較例の各インクセットを用い、前記した方法により、印字を行った後、200mJ/cm2、1000mJ/cm2の各露光エネルギーで露光を行った。硬化性は、露光直後の各被記録媒体(印字サンプル)に上質紙を重ね、圧力ローラー(50kg/cm2)を通したときの着色剤の上質紙への転写の程度を、下記基準により目視で評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
○:まったく転写せず。
△:一部転写する。
×:ほとんど全量転写する。
<耐擦過性評価>
各インクセットにおいて、最も低エネルギーの露光でまったく転写がなかった被記録媒体(印字サンプル)の印字面を消しゴムで数回こすり印字面の変化を観察し、下記基準により評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
なお、いずれの露光エネルギーにおいても画像が硬化しなかったサンプルについては、当該評価は実施せず、「−」で示した。
○:変化無し
×:印字面が剥がれる。
<打滴干渉性能評価>
(ライン品質)
上記印字の工程において、各液体をライン状に重ね打ちし、打滴形状の重なり具合(滲み具合)を下記基準で評価した。具体的に、ライン状の重ね打ちとは、第1の液体を5列ラインが接するように打滴し、第1の液体打滴10秒後に、その上から第2の液体を1列打滴した。
A:ラインの太さが均一である。
B:ラインのところどころに液だまり由来の微細な線太さのばらつきがある。
C:ライン上に液溜り由来のはっきりとした線のばらつきがある。
<インク耐熱性>
得られた各インクジェット記録用液体を60℃のオーブン中に4週間保存し、保存前後の25℃における粘度(mPa)をRE80L型粘度計(東機産業社製)を用いて測定し、下記基準で評価した。評価結果を表2及び表3に示す。
○:粘度上昇が20%未満
△:粘度上昇が20%以上(ゲル化はしていない)
×:インクがゲル化している
Figure 2007238648
Figure 2007238648
表2及び表3に示されるように、実施例のインクセットは、LEDによるエネルギー付与で効率的に素早く硬化反応が進行し、印字画質に優れると共に、高い耐擦過性を有する画像が得られると共に、ノズル部での固化がまったく発生せず光安定性に優れていることが分かる。また、実施例のインクセットは、保存時における充分なインク耐熱性を有しており、長期保存安定性(熱安定性)にも優れたインクセットであることが分かる。

Claims (8)

  1. 複数種の液体から構成されるインクジェット記録用インクセットであって、
    前記複数種の液体の少なくとも1つがラジカル重合性化合物とカチオン重合開始剤とを含有し、他の液体の少なくとも1つがカチオン重合性化合物とラジカル重合開始剤とを含有することを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
  2. 前記複数の液体の少なくとも1つが着色剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用インクセット。
  3. 前記カチオン重合性化合物が、少なくとも1種のオキセタン基含有化合物、及び、少なくとも1種のオキシラン基含有化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録用インクセット。
  4. 前記ラジカル重合性化合物が、単官能(メタ)アクリレート及び二官能(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. 第1の液体及び第2の液体を少なくとも含み、複数種の液体から構成される請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクセットを用い、
    前記第1の液体及び第2の液体を被記録媒体上に同時に付与するか、又はいずれか一方を先に、他方をその後に、両液体が接触するように付与することによって画像を形成するインクジェット画像記録方法。
  6. 前記第1の液体及び第2の液体を被記録媒体上に付与する手段が、インクジェットノズルによる噴射であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット画像記録方法。
  7. 被記録媒体上に形成された画像に、エネルギーを付与して画像を固定する工程を設けたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のインクジェット画像記録方法。
  8. 前記エネルギーの照射光源として、活性エネルギー線の中心波長が365±20nmである発光ダイオードを用いることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット画像記録方法。
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