JP2006308538A - 体温計、体温計を有する電子機器および体温測定方法 - Google Patents

体温計、体温計を有する電子機器および体温測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 被測定体の体型の違いや衣服や寝具などの接触による伝熱特性の変動に関わらず、高精度に温度を測定できる体温計、体温計を有する電子機器および体温測定方法を提供すること。
【解決手段】 深部温度演算手段441は、体表面センサ31A,31Bからの第1の体表面温度(第1の基準温度)および第2の体表面温度(第2の基準温度)、中間センサ32A,32Bからの第1の中間温度(第1の参照温度)および第2の中間温度(第2の参照温度)に基づいて、深部の温度Tcoreを演算する。2箇所の体表面温度および中間温度から深部の温度Tcoreを求めるので、人体の深部から体表面までの熱抵抗値を仮定することなく、体温計の熱抵抗値にもよらず深部の温度Tcoreを演算できる。これにより、生体の体型の違いや衣服や寝具などの接触にかかわらず、深部の温度Tcoreを演算でき、高精度に体温を測定できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、体温を測定する体温計、体温計を有する電子機器および体温測定方法に関する。
人体などの生体の体温を測定する体温測定方法としては、体表面に接触させた断熱材の体表面側の温度と外気側の温度とを測定し、深部の温度を計算するというものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この測定方法では、体表面から、核心温が得られる深部までの深さを2cmと仮定し、また熱伝導率は、筋肉の熱伝導率を用いて1×10―3cal/cm.sec.℃と仮定して、皮膚の熱抵抗を算出している。そして、この熱抵抗の値、断熱材の熱抵抗値、および外気側の温度を用いて、測定された体表面の温度に対する深部の温度を算出する。このような測定方法では、従来生体から体温計へ伝導する熱流をキャンセルするために必要であったヒータなどの加温手段が不要となるため、省電力化が促進される。
特開昭61−120026号公報(第3頁)
しかしながら、生体は、人体の場合でも幼児から成人、老人までさまざまな体格があり、また筋肉発達状況もそれぞれ大きく異なるため、これら様々な体型の違いによって伝熱特性が大きく異なり、体表面から深部までの熱抵抗値が大きく変動してしまう。このため、熱抵抗を一定の固定値としたこの体温測定方法では、体型の違いなどによって測定値と実際の体温との間に差が生じる。また、断熱材の外気側に衣服や寝具などが接触すると断熱材の熱抵抗値が変動してしまい、高精度な測定ができないという問題がある。
本発明の目的は、生体の体型の違いや衣服や寝具の接触などによる伝熱特性の変動に関わらず、高精度に温度を測定できる体温計、体温計を有する電子機器および体温測定方法を提供することにある。
本発明の体温計は、生体の第1の体表面に接触可能に構成され、前記第1の体表面から第1の熱抵抗値を有する第1基準温度測定位置で第1の基準温度を測定する第1基準温度測定部と、前記第1基準温度測定位置での第1の熱流束値を測定する第1熱流束測定部とを備えた第1温度測定手段と、前記第1の体表面とは異なる位置の第2の体表面に接触可能に構成され、前記第2の体表面から前記第1の熱抵抗値との比率が既知の第2の熱抵抗値を有する第2基準温度測定位置で第2の基準温度を測定する第2基準温度測定部と、前記第2基準温度測定位置での第2の熱流束値を測定する第2熱流束測定部を備えた第2温度測定手段と、前記第1の熱流束値と前記第2の熱流束値とを異なる値にする熱流束調整手段と、前記第1および第2の基準温度、前記第1および第2の熱流束値、前記第1および第2の熱抵抗値の比率を用いて前記生体の深部の温度を演算するように構成された深部温度演算手段とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、異なる体表面に構成された第1温度測定手段および第2温度測定手段によって、それぞれ第1の基準温度とその測定位置での第1の熱流束値および第2の基準温度とその測定位置での第2の熱流束値が測定される。このとき、第1温度測定手段の熱流束と第2温度測定手段の熱流束とは、熱流束調整手段によって異なる値になっている。したがって、第1温度測定手段と第2温度測定手段とでは、異なる温度と熱抵抗値の関係が得られる。
また、第1の体表面から第1基準温度測定位置までの第1の熱抵抗値と第2の体表面から第2基準温度測定位置までの第2の熱抵抗値との比率が既知である。つまり、生体の深部から体表面までの熱抵抗値および生体の表面から基準温度測定位置まで熱抵抗値が未知であっても、これらの値は二つの異なる温度と熱抵抗値の関係から計算上除去され、生体の深部の温度が演算される。したがって、予め既知の体温計などによって深部の温度を測定する必要がない。
さらに、生体の深部から体表面までの熱抵抗値を固定値として仮定する必要がなく、これにより、生体の体型の違いなどによる伝熱特性に違いがあっても、生体の体表面温度から深部の温度が正確に演算される。
ここで、生体の深部とは、体表面における温度に比べてより温度変化が少なく温度分布が安定した部位をいい、例えば核心部などのことをいう。したがって、深部の温度とは、例えば核心温を意味する。なお、核心温とは、恒温動物の生態内部の温度状態において、循環調節や生体の外殻部に影響する環境への熱放散の変化によって変わらない温度をいい、理論的には核心部の平均温度をいう。以下、各発明でも同様である。
本発明では、前記第1温度測定手段は、前記第1の体表面からの熱抵抗値が前記第1の熱抵抗値と異なる第1参照温度測定位置の温度を第1の参照温度として測定する第1参照温度測定部を備え、前記第2温度測定手段は、前記第2の体表面からの熱抵抗値が前記第2の熱抵抗値と異なる第2参照温度測定位置の温度を第2の参照温度として測定する第2参照温度測定部を備え、前記第1熱流束測定部は、前記第1の基準温度、第1の参照温度、第1基準温度測定位置および第1参照温度測定位置間の熱抵抗値に基づいて前記第1の熱流束値を算出し、前記第2熱流束測定部は、前記第2の基準温度、第2の参照温度、第2基準温度測定位置および第2参照温度測定位置間の熱抵抗値に基づいて前記第2の熱流束値を算出し、前記第1基準温度測定位置および第1参照温度測定位置間の熱抵抗値と、第2基準温度測定位置および第2参照温度測定位置間の熱抵抗値との比率が既知であることが好ましい。
この発明によれば、第1の熱流束値と第2の熱流束値とは、第1および第2の基準温度の他に、第1および第2の参照温度を測定し、基準温度と参照温度との間の熱抵抗値を用いることによって得られる。ここで、第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱抵抗値と、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱抵抗値との比率が既知であれば、第1温度測定手段と第2温度測定手段とで得られる温度と熱抵抗の二つの関係から生体の深部の温度が演算される。
したがって、比較的測定の容易な温度のみを用いて生体の深部の温度が測定される。また、体温測定作業が簡略化することにより、体温計の取扱性が向上する。
本発明では、前記第1基準温度測定位置と前記第1参照温度測定位置との間および前記第2基準温度測定位置と前記第2参照温度測定位置との間には、共通の熱抵抗値を有する断熱材が設けられ、前記熱流束調整手段は、前記第1参照温度測定位置と外気との間に設けられた第1の断熱材と、前記第2参照温度測定位置と外気との間に設けられた第1の断熱材の熱抵抗値とは異なる熱抵抗値を有する第2の断熱材とを備えることが好ましい。
この発明によれば、第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間および第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間には、共通の熱抵抗値を有する断熱材が設けられる。したがって、同じ断熱材を用いることにより厚みも同じとなり構造が簡単になる。
また、このような構成によれば、参照温度測定位置と外気との間の熱抵抗値が、被服や寝具などの接触によって変化した場合であっても、基準温度測定位置と参照温度測定位置との間の熱抵抗値は一定かつ共通で、基準温度と参照温度との温度差が変化するだけである。したがって、測定温度のみから生体の深部の温度が演算されることに変わりはなく、深部の温度が正確に演算される。
本発明では、前記熱流束調整手段は、前記第1基準温度測定位置と前記第1参照温度測定位置との間に設けられた第1の断熱材と、前記第2基準温度測定位置と前記第2参照温度測定位置との間に設けられた第2の断熱材とを備え、前記第1の断熱材と前記第2の断熱材とは、共通の熱伝導率および断面積を有し、前記第1の断熱材の厚みと前記第2の断熱材の厚みとは、異なる値であることが好ましい。
この発明によれば、第1温度測定手段と第2温度測定手段とにおける熱流束を、第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間に設けられた第1の断熱材と、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間に設けられた第2の断熱材との熱抵抗値を変えることによって調整する。したがって、熱流束調整手段は、第1の断熱材と第2の断熱材とによって構成され、他の位置に設ける必要がなく構造が簡単になる。
また、第1の断熱材と第2の断熱材は厚みだけが異なるので、その厚みの比率は、第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱抵抗値と、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱抵抗値との比率に対応する。したがって、厚みの比率を利用して生体の深部の温度が演算される。
本発明では、前記第1の熱抵抗値と前記第2の熱抵抗値が同じ値を有し、前記第1の基準温度をTb1、前記第1の参照温度をTb2、前記第2の基準温度をTb3、および前記第2の参照温度をTb4、前記第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱抵抗値と、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱抵抗値との比率をαとすると、前記深部温度演算手段には、前記深部の温度Tcoreを演算する演算式として
Figure 2006308538
が記憶されていることが好ましい。
この発明によれば、深部温度演算手段に適切な演算式が記憶されているので、第1の基準温度Tb1、第1の参照温度Tb2、第2の基準温度Tb3、および第2の参照温度Tb4が測定されると、これらの測定値を直接演算式に代入すれば、深部の温度Tcoreが演算される。したがって、これらの測定値から生体の深部から体表面までの熱抵抗値を算出する必要がなく、演算が簡単になる。これにより、演算処理が迅速となるので体温計の応答性が良好となる。
本発明の体温計は、生体の第1の体表面に接触可能に構成されるとともに、前記第1の体表面からの熱抵抗値が互いに異なる位置での温度をそれぞれ測定可能な複数の測定部で構成される第1温度測定手段と、前記第1の体表面とは異なる位置の第2の体表面に接触可能に構成されるとともに、前記第2の体表面からの熱抵抗値が互いに異なる位置での温度をそれぞれ測定可能な複数の測定部で構成される第2温度測定手段と、前記第1温度測定手段の熱流束値と前記第2温度測定手段の熱流束値とを異なる値にする熱流束調整手段と、前記第1温度測定手段の各測定部で検出された温度とその各測定部における各熱抵抗値とを用いて曲線近似により第1の温度分布を演算するとともに、前記第2温度測定手段の各測定部で検出された温度とその各測定部における各熱抵抗値とを用いて曲線近似により第2の温度分布を演算する温度分布演算手段と、前記第1の温度分布および前記第2の温度分布より前記生体の深部の温度を演算するように構成された深部温度演算手段とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、温度測定手段は第1温度測定手段と、第2温度測定手段とを備え、温度分布演算手段は、第1および第2温度測定手段の各測定部で検出された温度と各測定部における各熱抵抗値とを用いて、それぞれ第1および第2温度測定手段における温度分布を演算する。深部温度演算手段は、これら二つの温度分布を用いて深部の温度を演算する。
ここで、熱流束測定手段によって、第1温度測定手段の熱流束値と第2温度測定手段の熱流束値とを異なる値になっており、それぞれ異なる温度分布が得られる。これら二つの温度分布から深部の温度を演算するので、予め既知の体温計などによって深部の温度を測定する必要がない。したがって、体温測定手順が簡素化され、体温計の取扱性が向上する。
本発明では、前記温度分布演算手段は、多項式近似により前記温度分布を演算するように構成されることが好ましい。
この発明によれば、多項式近似により温度分布を演算するので、簡単な演算式で正確な深部の温度の演算が可能となる。
本発明では、前記測定部の少なくとも一つは、前記生体の前記体表面に接触し、当該体表面の温度を測定することが好ましい。
この発明によれば、測定部の少なくとも一つが体表面に接触しているので、より正確な温度測定が可能となる。
本発明では、前記深部温度演算手段で演算された前記深部の温度を表示する表示部を有する表示装置と、第1温度測定手段および第2温度測定手段を有する体温計本体とを備え、前記表示装置と前記体温計本体とは、別体で構成されていることが好ましい。
この発明によれば、表示装置と体温計本体とが別体で構成されているので、生体の体表面に接触する必要がある第1および第2温度測定手段を有する体温計本体の軽量化が促進される。したがって、生体の体表面に体温計本体を長時間接触させても負担とはならず、長時間にわたって連続的な体温のモニタリングが可能となる。
本発明では、前記熱抵抗算出手段および前記深部温度演算手段は、前記表示装置に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、深部温度演算手段が表示装置に設けられているので、体温計本体の構成部品が最小限に抑制される。したがって、体温計本体の軽量化、小型化が促進され、生体の体表面に接触させる際にも、長時間の測定であっても負担がより一層低減される。
本発明では、前記表示装置および前記体温計本体は、無線通信により互いに情報の送受信が可能な送受信手段をそれぞれ備えていることが好ましい。
この発明によれば、表示装置および体温計本体がそれぞれ送受信手段を備え、互いに無線通信が可能に構成されているので、表示装置を体温計本体に対してある程度離して設置することが可能となる。表示装置が体温計本体と配線されないため、体温計本体を表示装置から完全に分離できるので、体温計本体の軽量化がより一層促進され、体温計本体の取扱性が向上する。
送受信手段としては、消費電力が小さく、製造コストも低い無線通信技術、微弱電波を使用した通信もしくは特定小電力通信を使用するのが好ましい。以下の各発明でも同様である。
本発明の体温計は、生体の体表面から所定の基準温度測定位置で基準温度を測定する基準温度測定部と、前記基準温度測定位置での熱流束を測定する熱流束測定部と、前記基準温度測定部で測定される算出用基準温度および前記熱流束測定部で測定される算出用熱流束と同時に測定される生体の深部の算出用深部温度に基づいて、前記生体の深部から前記基準温度測定位置までの表層部熱抵抗値を算出する熱抵抗算出手段と、前記熱抵抗算出手段で算出された前記表層部熱抵抗値が記憶される記憶手段と、体温測定時に、前記基準温度測定部で測定された基準温度、前記熱流束測定部で測定された熱流束値、および前記記憶手段に記憶された前記表層部熱抵抗値を用いて前記深部の温度を演算する深部温度演算手段とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、生体の体表面から所定の基準温度測定位置で算出用基準温度と熱流束がそれぞれ測定されると、熱抵抗算出手段は、これらの温度、生体の深部の算出用深部温度、熱流束値から、生体の深部から基準温度測定位置までの表層部熱抵抗値を算出する。この表層部熱抵抗値は、記憶手段に記憶され、これにより体温測定のための準備が整う。実際に体温を測定する際には、深部温度演算手段は、熱抵抗算出手段で算出され記憶手段に記憶された表層部熱抵抗値を用いて、基準温度、熱流束値から、生体の深部の温度を演算する。
熱抵抗算出手段により、基準温度と熱流束値とを測定し、これらに基づいて表層部熱抵抗を算出するので、生体ごとに深部から基準温度測定位置までの熱抵抗が算出される。つまり、深部温度演算手段では、生体固有の熱抵抗値が用いられるので、生体の深部の温度がより正確に算出される。これにより、生体の体型の違いなどによる伝熱特性に違いがあっても、基準温度から深部の温度が正確に算出される。
また、算出用深部温度は、例えば、腋下温や舌下温などを測定する既知の体温計などによって温度を測定し、その体温値を算出用深部温度として取得することが考えられる。以下の各発明においても同様である。
本発明では、前記熱流束測定部は、前記基準温度測定位置とは異なりかつ前記基準温度測定位置との間の熱抵抗値が既知である参照温度測定位置の温度を参照温度として測定する参照温度測定部を備え、前記基準温度、前記参照温度、前記既知の熱抵抗値に基づいて熱流束値を測定することが好ましい。
この発明によれば、体の体表面から所定の基準温度測定位置の算出用基準温度と算出用参照温度がそれぞれ測定されると、熱抵抗算出手段は、これらの温度、生体の深部の算出用深部温度、および基準温度測定位置から参照温度の測定位置までの既知の熱抵抗値から、生体の深部から基準温度測定位置までの表層部熱抵抗値を算出する。この表層部熱抵抗値は、記憶手段に記憶され、これにより体温測定のための準備が整う。実際に体温を測定する際には、深部温度演算手段は、熱抵抗算出手段で算出され記憶手段に記憶された表層部熱抵抗値を用いて、基準温度、参照温度、および既知の熱抵抗値から、生体の深部の温度を演算する。
熱抵抗算出手段により、生体の体表面に接触した状態で生体の基準温度と参照温度とを測定し、これらの温度に基づいて表層部熱抵抗を算出するので、生体ごとに深部から基準温度測定位置までの熱抵抗値が算出される。つまり、深部温度演算手段では、生体固有の熱抵抗値が用いられるので、生体の深部の温度がより正確に算出される。これにより、生体の体型の違いなどによる伝熱特性に違いがあっても、基準温度から深部の温度が正確に算出される。
また、深部温度演算手段が、基準温度および参照温度に基づいて深部の温度を演算するので、実際の体温測定時には、基準温度および参照温度を測定すればよいから、体温測定作業が簡略化する。これにより、体温計の取扱性が向上する。
本発明の体温計は、生体の体表面に接触可能に構成されるとともに、前記体表面からの熱抵抗値が互いに異なる位置での温度をそれぞれ測定可能な複数の測定部で構成される温度測定手段と、前記温度測定手段で検出された温度と複数の前記熱抵抗値とを用いて曲線近似により熱抵抗値と温度との関係を温度分布として演算する温度分布演算手段と、前記温度分布演算手段で得られた前記温度分布を用いて前記生体の深部の温度を演算する深部温度演算手段と、前記温度測定手段で検出された温度、前記熱抵抗値、および前記温度と同時に測定される前記生体の深部の算出用深部温度を用いて曲線近似を行うことにより前記生体の深部から前記体表面に最も近い測定部までの表層部熱抵抗値を算出する熱抵抗算出手段と、前記熱抵抗算出手段で算出された前記表層部熱抵抗値が記憶される記憶手段とを備え、前記深部温度演算手段は、前記温度分布演算手段で演算された前記温度分布と前記記憶手段に記憶された前記表層部熱抵抗値とを用いて前記生体の深部の温度を演算するように構成されたことを特徴とする。
この発明によれば、温度測定手段により、複数の測定部における温度を測定する。ここで、体表面から各測定部までの熱抵抗値は互いに異なるので、生体の深部から体表面、および体表面から体温計を通って外気までの温度分布のうち、互いに熱抵抗値が異なる複数の測定点における温度データが取得される。温度分布演算手段は、これらの複数の温度データに基づいて曲線近似を行うことにより、生体の深部から体表面までにおける熱抵抗値と温度との関係を演算する。深部温度演算手段は、この温度分布を用いて生体の深部の温度を演算する。
温度分布演算手段で複数の温度データから生体固有の熱抵抗値と温度との関係を演算するので、生体固有の深部から体表面までの熱抵抗値を考慮して生体の深部の温度が演算される。実際の測定値および設定された熱抵抗値から深部の温度が演算されるので、生体の深部から体表面までの熱抵抗値を固定値として仮定する必要がなく、これにより、生体の体型の違いなどによる伝熱特性に違いがあっても、生体の体表面温度から深部の温度が正確に算出される。
また、温度分布演算手段が、複数の測定部において測定された温度から曲線近似を行うことにより温度分布を演算するので、例えば2点の測定点から直線近似により熱抵抗値と温度との関係を演算する場合に較べて、温度分布がより正確となる。つまり、人体などの生体から体表面までの熱抵抗値に対する温度の関係は、通常定常状態であっても非線形となるため、例えば2点の測定データから直線近似を行うと、実際の温度分布に対して誤差が生じる。この発明では、複数の温度データを取得し曲線近似を行うので、実際の温度分布により即した温度分布が演算可能となるため、深部温度演算手段での生体の深部の温度がより正確に演算される。
熱抵抗算出手段は、温度測定手段で検出された複数の温度、熱抵抗値、および生体の深部の算出用深部温度を用いて曲線近似を行うことにより、生体の深部から体表面までの表層部熱抵抗値を算出する。この表層部熱抵抗値は、記憶手段に記憶され、これにより体温測定のための準備が整う。実際に体温を測定する際には、深部温度演算手段は、熱抵抗算出手段で算出され記憶手段に記憶された表層部熱抵抗値を用いて、温度分布演算手段で演算された温度分布から、生体の深部の温度を演算する。
熱抵抗算出手段により、生体の体表面に接触した状態で、温度測定手段で複数の測定部における温度を測定し、これらの温度に基づいて表層部熱抵抗値を算出するので、生体ごとに深部から体表面までの熱抵抗値が算出される。つまり、深部温度演算手段では、生体固有の熱抵抗値が用いられるので、生体の深部の温度がより正確に算出される。これにより、生体の体型の違いなどによる伝熱特性に違いがあっても、生体の体表面温度から深部の温度が正確に算出される。
本発明では、前記温度分布演算手段は、多項式近似により前記温度分布を演算するように構成されることが好ましい。
この発明によれば、多項式近似により温度分布を演算するので、簡単な演算式で正確な深部の温度の演算が可能となる。
本発明では、前記測定部の少なくとも一つは、前記生体の前記体表面に接触し、当該体表面の温度を測定することが好ましい。
この発明によれば、測定部の少なくとも一つが体表面に接触しているので、より正確な温度測定が可能となる。
本発明では、前記深部温度演算手段で演算された前記深部の温度を表示する表示部を有する表示装置と、前記基準温度測定部および前記熱流束測定部、または前記温度測定手段を有する体温計本体とを備え、前記表示装置と前記体温計本体とは、別体で構成されていることが好ましい。
この発明によれば、表示装置と体温計本体とが別体で構成されているので、生体の体表面に接触する必要がある基準温度測定部および熱流束測定部を有する体温計本体の軽量化が促進される。したがって、生体の体表面に体温計本体を長時間接触させても負担とはならず、長時間にわたって連続的な体温のモニタリングが可能となる。
本発明では、前記熱抵抗算出手段および前記深部温度演算手段は、前記表示装置に設けられていることが好ましい。
この発明によれば、熱抵抗算出手段および深部温度演算手段が、表示装置に設けられているので、体温計本体の構成部品が最小限に抑制される。したがって、体温計本体の軽量化、小型化が促進され、生体の体表面に接触させる際にも、長時間の測定であっても負担がより一層低減される。
本発明では、前記表示装置および前記体温計本体は、無線通信により互いに情報の送受信が可能な送受信手段をそれぞれ備えていることが好ましい。
この発明によれば、表示装置および体温計本体がそれぞれ送受信手段を備え、互いに無線通信が可能に構成されているので、表示装置を体温計本体に対してある程度離して設置することが可能となる。表示装置が体温計本体と配線されないため、体温計本体を表示装置から完全に分離できるので、体温計本体の軽量化がより一層促進され、体温計本体の取扱性が向上する。
本発明では、前記送受信手段は、既知の体温計によって測定された前記算出用深部温度の情報を受信可能に構成されることが好ましい。
この発明によれば、送受信手段が算出用深部温度を受信可能に構成されているので、既知の体温計で測定された算出用深部温度を操作者が手で入力するなどの作業が省略され、体温測定作業が簡略化する。また、体温計本体と表示装置との間で情報の送受信を行うための送受信手段を、算出用深部温度の情報を受信するために用いているので、もともと存在する送受信手段の構成を流用でき、体温計の構成が簡単になる。
本発明では、前記記憶手段は、複数の生体に対する各表層部熱抵抗値を記憶可能に構成されていることが好ましい。
この発明によれば、記憶手段が複数の生体の表層部熱抵抗値を記憶可能に構成されているので、生体が変わった場合でも、その生体に応じた表層部熱抵抗値を読み出して体温を測定できるので、改めて表層部熱抵抗値を算出する必要がなく、測定作業が簡略化する。また、複数の生体の表層部熱抵抗値が記憶されるので、体温計を複数で使用可能となり、体温計の取扱性が向上する。
なお、記憶手段は、各表層部熱抵抗値に対して、算出用基準温度および算出用参照温度の測定位置が記憶可能であることが好ましい。表層部熱抵抗値は、算出用基準温度および算出用参照温度の測定位置によって値が異なる。このため、記憶手段がこれらの測定位置を記憶可能に構成されていることにより、繰り返し体温計を使用する場合でも、同じ測定位置に体温計を配置でき、正確な体温測定が可能となる。
本発明では、体温計本体は、前記生体の体表面に貼付可能に構成されていることが好ましい。
この発明によれば、体温計が生体の体表面に貼付可能に構成されているので、従来の舌下温や腋下温の測定のように一定時間体温計を保持する必要がないため、体温計の操作性、携帯性が向上する。例えば、体温計を幼児や乳幼児などに使用する場合では、一定時間体温計と体表面との接触を良好に保持することが困難である。このような場合でも、体温計が体表面に貼付可能に構成されているので、幼児や乳幼児が動いても体表面と体温計との接触状況を良好に維持できるから、正確な温度が測定可能となる。
本発明の電子機器は、前述のいずれかの体温計を有することを特徴とする。
前述の効果を達成できる電子機器を提供できる。
本発明の体温測定方法は、生体の深部の体温を測定する体温測定方法であって、前記生体の第1の体表面から第1の熱抵抗値を有する第1基準温度測定位置で第1の基準温度を測定する第1温度測定工程と、前記第1基準温度測定位置での第1の熱流束値を測定する第1熱流束測定工程と、前記第1の体表面とは異なる第2の体表面から前記第1の熱抵抗値との比率が既知の第2の熱抵抗値を有する第2基準温度測定位置で第2の基準温度を測定する第2温度測定工程と、前記第2基準温度測定位置での第2の熱流束値を測定する第2熱流束測定工程と、前記第1および第2の基準温度、前記第1および第2の熱流束値、前記第1および第2の熱抵抗値の比率を用いて前記生体の深部の温度を演算するように構成された深部温度演算工程とを備えていることを特徴とする。
この発明によれば、第1温度測定工程および第2温度測定工程、第1熱流束測定工程および第2熱流束測定工程で、第1の基準温度、第1の熱流束値、第2の基準温度、および第2の熱流束値が得られると、深部温度演算工程では、これらの測定値に基づいて生体の深部の温度を演算する。
ここで、第1の熱抵抗値と第2に熱抵抗値の比率が既知なので、演算からこれらの熱抵抗値が消去され、第1の基準温度、第1の熱流束値、第2の基準温度、および第2の熱流束値を用いて生体の深部の温度が演算される。つまり、衣服や寝具などによる熱抵抗値の変化にかかわらず、複数の基準温度および熱流束の測定値のみを用いて生体の深部の温度が演算されるので、深部の体温がより高精度に測定可能となる。また、実際の測定値から深部の温度が演算されるので、生体の深部から体表面までの熱抵抗値を固定値として仮定することなく、生体の伝熱特性に対応した深部の温度の算出が可能となり、深部の体温がより高精度に測定可能となる。
本発明では、前記第1熱流束測定工程は、前記第1の体表面からの熱抵抗値が前記第1の熱抵抗値と異なる第1参照温度測定位置の温度を第1の参照温度として測定するとともに、前記第1の基準温度、第1の参照温度、第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱抵抗値に基づいて前記第1の熱流束値を算出し、前記第2熱流束測定工程は、前記第2の体表面からの熱抵抗値が前記第2の熱抵抗値と異なる第2参照温度測定位置の温度を第2の参照温度として測定するとともに、前記第2の基準温度、第2の参照温度、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱抵抗値に基づいて前記第2の熱流束値を算出することが好ましい。
この発明によれば、第1熱流束測定工程および第2熱流束測定工程で、第1の基準温度、第1の参照温度、第2の基準温度、および第2の参照温度が得られると、深部温度演算工程では、これらの測定値に基づいて生体の深部の温度を演算する。
第1の基準温度、第1の参照温度、第2の基準温度、第2の参照温度値、および第1の基準温度測定位置と第1の参照温度の測定位置との間、および第2の基準温度測定位置と第2の参照温度の測定位置との間の熱抵抗値に基づいて生体の深部の温度が演算される。つまり、複数の体表面温度および参照温度の測定値を用いて生体の深部の温度が演算されるので、温度測定という簡便な方法で、深部の体温がより高精度に測定可能となる。
本発明では、前記第1の熱抵抗値と前記第2の熱抵抗値が同じ値を有し、前記第1の基準温度をTb1、前記第1の参照温度をTb2、前記第2の基準温度をTb3、および前記第2の参照温度をTb4、前記第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱抵抗値と、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱抵抗値との比率をαとすると、前記深部温度演算工程は、
Figure 2006308538
の式より前記深部の温度Tcoreを演算することが好ましい。
この発明によれば、深部温度演算工程では、第1の基準温度Tb1、第1の参照温度Tb2、第2の基準温度Tb3、および第2の参照温度Tb4から生体の深部の温度を演算するので、これらの温度が測定されると、これらの測定値を直接演算式に代入すれば、深部の温度が演算される。したがって、これらの測定値から生体の深部から体表面までの熱抵抗値を算出する必要がなく、演算が簡単になる。また、これにより、演算処理が迅速となるので体温計の応答性が良好となる。
本発明の体温測定方法は、前記生体の深部から基準温度測定位置までの表層部熱抵抗値を算出して記憶する体温測定準備工程と、この体温測定準備工程で算出された前記表層部熱抵抗値を用いて、深部の温度を算出する体温測定工程とを備え、前記体温測定準備工程は、前記生体の算出用基準温度を測定する基準温度測定工程と、前記基準温度測定位置での算出用熱流束を測定する熱流束測定工程と、前記算出用基準温度および前記算出用熱流束と同時に測定された生体の深部の算出用深部温度に基づいて、前記生体の深部から基準温度測定位置までの表層部熱抵抗値を算出する熱抵抗算出工程と、この熱抵抗算出工程で算出された前記表層部熱抵抗値を記憶する記憶工程とを有し、前記体温測定工程は、前記基準温度を測定する基準温度測定工程および前記熱流束を測定する熱流束測定工程と、前記基準温度、前記熱流束および前記記憶工程で記憶された前記表層部熱抵抗値に基づいて前記深部の温度を演算する深部温度演算工程とを有することを特徴とする。
この発明によれば、前述の体温計を用いて生体の深部の体温を測定するので、前述の体温計の効果と同様の効果が得られる。つまり、熱抵抗算出工程では、算出用温度測定工程で得られた生体の算出用基準温度および算出用参照温度を用いて表層部熱抵抗値を算出するので、生体固有の熱抵抗値の算出が可能となる。したがって、生体の伝熱特性に対応した深部の温度の算出が可能となり、深部の体温がより高精度に測定可能となる。
また、体温測定準備工程において、表層部熱抵抗値を算出して記憶しておけば、体温測定工程では、記憶された表層部熱抵抗値を用いて深部の温度を演算するので、二回目以降の体温測定時には体温測定準備工程を省略できる。したがって、体温測定作業が簡略化するとともに、体温測定時間が短縮される。
本発明では、前記熱流束測定工程は、前記基準温度測定位置とは異なりかつ前記基準温度測定位置との間の熱抵抗値が既知である参照温度測定位置の温度を参照温度として測定し、前記基準温度、前記参照温度、前記既知の熱抵抗値に基づいて熱流束値を算出することが好ましい。
この発明によれば、温度測定という簡便な方法で熱流束が測定される。
本発明の体温測定方法は、生体の深部の体温を測定する体温測定方法であって、前記生体の体表面からの熱抵抗値が互いに異なる位置での温度をそれぞれ測定する温度測定工程と、前記温度測定工程で測定された複数の温度と複数の前記熱抵抗値とを用いて曲線近似により熱抵抗値と温度との関係を温度分布として演算する温度分布演算工程と、前記温度分布演算工程で演算された前記温度分布を用いて前記生体の深部の温度を演算する深部温度演算工程とを備えたことを特徴とする。
この発明によれば、温度測定工程により、複数の測定部における温度を測定する。ここで、体表面から各測定部までの熱抵抗値は互いに異なるので、生体の深部から体表面、および体表面から体温計を通って外気までの温度分布のうち、互いに熱抵抗値が異なる複数の測定点における温度データが取得される。温度分布演算工程では、これらの複数の温度データに基づいて曲線近似を行うことにより、生体の深部から体表面までにおける熱抵抗値と温度との関係を演算する。そして深部温度演算工程において、この温度分布を用いて生体の深部の温度を演算する。
温度分布演算工程で複数の温度データから生体固有の熱抵抗値と温度との関係を演算するので、生体固有の深部から体表面までの熱抵抗値を考慮して生体の深部の温度が演算される。実際の測定値および設定された熱抵抗値から深部の温度が演算されるので、生体の深部から体表面までの熱抵抗値を固定値として仮定する必要がなく、これにより、生体の体型の違いなどによる伝熱特性に違いがあっても、生体の体表面温度から深部の温度が正確に算出される。
また、温度分布演算工程で、複数の測定部において測定された温度から曲線近似を行うことにより温度分布を演算するので、例えば2点の測定点から直線近似により熱抵抗値と温度との関係を演算する場合に較べて、温度分布がより正確となる。つまり、人体などの生体から体表面までの熱抵抗値に対する温度の関係は、通常定常状態であっても非線形となるため、例えば2点の測定データから直線近似を行うと、実際の温度分布に対して誤差が生じる。この発明では、複数の温度データを取得し曲線近似を行うので、実際の温度分布により即した温度分布が演算可能となるため、深部温度演算工程での生体の深部の温度がより正確に演算される。
ここで、前記深部温度演算手段、温度分布演算手段、熱抵抗算出手段は、ICなどのハードウェアで実現してもよいし、体温計にコンピュータを設け、このコンピュータに体温計用制御プログラムを実行させることで実現しても良い。
すなわち、体温計用制御プログラムは、前記各体温計に設けられたコンピュータを、前記深部温度演算手段や、温度分布演算手段や、熱抵抗算出手段として機能させるためのプログラムであることを特徴とする。
また、前記体温計用制御プログラムは、無線または有線のネットワークを介して体温計に組み込んでもよいが、前記体温計用制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介在して組み込んでも良い。
本発明の体温計、体温計を有する電子機器および体温測定方法によれば、生体において、体表面から互いに共通する熱抵抗値を有する位置までの温度の測定値を用いて深部の体温を演算するので、生体の体型や衣服や寝具の接触などによる伝熱特性の違いにかかわらず、深部の体温をより高精度に測定できるという効果が得られる。
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第二実施形態以降で、以下に説明する第一実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付す。
[第一実施形態]
図1には、本実施形態にかかる体温計1のブロック構成図が示されている。この体温計1は、生体である人体2(図3参照)の体表面2A(図3参照)に接触する体温計本体3と、体温計本体3とは別体に設けられる表示装置4とを備えている。
図2には、体温計本体3が人体2に装着された状態の拡大図が示されており、また図3には、体温計本体3および表示装置4が装着された図が示されている。
まず、図2に示されるように、体温計本体3は、第1および第2温度測定手段である二つ(一対)の温度測定手段3A,3Bを備えている。温度測定手段3Aは、人体2の体表面2Aに接触する接触面300Aを有している断熱材37と、熱流束調整手段として、断熱材37と外気との間に設けられた第1の断熱材としての断熱材38Aとを備えている。一方、温度測定手段3Bは、温度測定手段3Aの接触位置とは異なる位置の体表面2Aに接触する接触面300Bを有している断熱材37と、熱流束調整手段として、断熱材37と外気との間に第2の断熱材としての断熱材38Bを備えている。すなわち、断熱材37は、温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとで共通しており、共通の熱抵抗値を有している。
温度測定手段3Aは、体表面2Aの温度を第1の基準温度として測定する第1基準温度測定部としての体表面センサ31Aと、断熱材37と断熱材38Aとの界面301Aの温度を第1の参照温度として測定する第1参照温度測定部としての中間センサ32Aとを備えている。
また、温度測定手段3Bは、体表面2Aの温度を第2の基準温度として測定する第2基準温度測定部としての体表面センサ31Bと、断熱材37と断熱材38Bとの界面301Bの温度を第2の参照温度として測定する第2の参照温度測定部としての中間センサ32Bとを備えている。
これらの温度測定手段3A,3Bからなる体温計本体3は、粘着剤などによって接触面300A,300Bが人体2にそれぞれ貼付可能となっており、この粘着剤などにより、体表面2Aに良好な接触圧力で密着できるように構成されている。本実施形態では、体温計本体3は幼児(人体2)の胸部に密着されている。
ここで、体温計本体3の貼付位置は、比較的安定して体表面温度を測定できる額や後頭部、胸部、背中などの部位に設定されることが望ましい。また、体温計本体3の上に衣服を着用していても、体温計本体3が寝具と接触していてもよい。さらに、断熱材37,38A,38Bは、温度測定手段3A,3Bを体表面2Aに貼り付けた際に、人体2の深部から体表面2Aおよび断熱材37,38A,38Bを通って表面までの熱流束が定常状態で一定と近似できるように、ある程度の大きさを有していることが望ましい。つまり、断熱材37,38A,38Bの寸法は、熱の移動が平衡状態である場合において、人体2の深部と温度測定手段3A,3Bが貼り付けられた体表面2Aの位置とを結ぶ方向に略直交する方向、具体的には体表面2Aに沿う方向の熱の移動を無視でき、人体2の深部から体表面2Aまでの熱の移動が1軸方向であるとみなせて、熱流束が一方向に移動していると近似できる寸法であることが望ましい。
温度測定手段3Aおよび温度測定手段3Bは、互いに所定距離Lを有して配置されている。ここで、所定距離Lは、人体2の深部から体表面2Aまでの熱の移動が1軸方向であるとみなせるように、つまり、温度測定手段3A,3B間での体表面2Aに沿う方向の熱の移動が無視できるように所定値以上の距離に設定されることが望ましい。
また、断熱材37を温度測定手段3Aの部分と温度測定手段3Bの部分とで別に設け、温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとを完全に分離しても良い。
さらに、温度測定手段3Aの断熱材38Aと、温度測定手段3Bの断熱材38Bとは異なる材料で構成され、これにより、断熱材38Aの熱抵抗値と断熱材38Bの熱抵抗値とは異なる値に設定されている。したがって、温度測定手段3Aの熱流束値と温度測定手段3Bの熱流束値とは異なる値となる。
体表面センサ31A,31Bおよび中間センサ32A,32Bは、体表面2Aの温度および界面301A,301Bの温度値を抵抗値に変換するものや、温度値を電圧値に変換するものなどが採用できる。なお、温度値を抵抗値に変換するものとしては、チップサーミスタや、サーミスタパターンがプリントされたフレキシブル基板、白金測温抵抗体などが採用できる。また、温度値を電圧値に変換するものとしては、熱電対素子や、PN接合素子、ダイオードなどが採用できる。
また、温度測定手段3A,3Bは、体表面センサ31A,31Bおよび中間センサ32A,32Bの他に、前述の図1に示されるように、A/D変換器34A,34Bと、送受信手段35A,35Bとをそれぞれ備えている。なお、温度測定手段3A,3Bが一体で形成されているので、A/D変換器34A,34Bを共通のA/D変換器、送受信手段35A,35Bを共通の送受信手段として組み込むことも可能である。
A/D変換器34A,34Bは、体表面センサ31A,31Bおよび中間センサ32A,32Bで変換された抵抗値や電圧値のアナログ信号をデジタル信号に変換し、送受信手段35A,35Bに出力する。もしくは、A/D変換器34A,34Bの代わりにCR発振を利用したRFコンバータを使用しても良い。
送受信手段35A,35Bは、それぞれアンテナコイル36A,36Bを備え、A/D変換器34A,34Bでデジタル信号に変換された温度値(抵抗値や電圧値)の信号を表示装置4側に電波送信する。なお、アンテナコイル36A,36Bも共通のアンテナコイルとすることも可能である。
表示装置4は、図3に示されるように、腕時計型で携帯可能に構成されており、体温計本体3を装着した幼児を抱いた操作者5が装着できるようになっている。表示装置4は、前述の図1に示されるように、体温計本体3との間で信号を送受信する送受信手段41と、体温の測定結果などを表示する表示部42と、表示装置4を外部から操作する操作部43と、表示装置4の動作を制御する制御手段44と、送受信手段41や制御手段44などから得られた情報を蓄積する記憶部45とを備えている。
送受信手段41は、アンテナコイル46を備え、体温計本体3のアンテナコイル36A,36Bとの間でそれぞれ電波の送受信を行う。また、アンテナコイル46は、アンテナコイル36A,36Bに対して電波を送信することにより、アンテナコイル36A,36Bに電磁誘導によって起電力を発生させ、温度測定手段3A,3Bのチャージを行う。このため、体温計本体3はこの起電力によって駆動され、内部に電池などの電源を必要としない。
表示部42は、液晶画面などによって温度情報や操作画面を表示するものであり、例えば測定された体表面温度や、演算された深部の温度などが表示可能となっている。本実施形態では腕時計の通常文字板に相当する部分に表示部42が設けられ、操作者5が表示装置4を腕につけた状態で表示部42が視認可能となっている。
操作部43は、ボタンやレバー、キーなどによって外部から表示装置4に情報を入力可能に構成されており、例えば表示部42に表示される画面に従ってメニューを選択したり、その他被測定者(本実施形態では幼児)の氏名、年齢、体温の測定日時などの情報を入力可能に構成されている。
制御手段44は、体表面センサ31A,31Bからの第1の体表面温度および第2の体表面温度と、中間センサ32A,32Bからの第1の中間温度および第2の中間温度とに基づいて、人体2の深部の温度を演算する深部温度演算手段441を備えている。
深部温度演算手段441は、体表面センサ31Aで得られた第1の体表面温度(第1の基準温度)Tb1、中間センサ32Aで得られた第1の中間温度(第1の参照温度)Tb2、体表面センサ31Bで得られた第2の体表面温度(第2の基準温度)Tb3、および中間センサ32Bで得られた第2の中間温度(第2の参照温度)Tb4を用いて人体2の深部の温度Tcoreを演算する。
図4には、人体2の深部から体表面2Aおよび体温計本体3を通って外気までの温度分布のモデルが示されている。温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとの温度分布モデルについて、実線(温度測定手段3A側)と一点鎖線(温度測定手段3B側)とで示している。縦軸は温度(T)を、横軸は熱抵抗(R)を示している。ここで、温度(T)と熱抵抗(R)との関係が直線であれば、その傾きは熱流束Qを表す。温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとの温度分布モデルは、同様の振る舞いをするので、以下には、実線で示された温度測定手段3A側を中心に説明する。
この図4に示されるように、人体2の深部から外気までの温度の伝達モデルにおいては、人体2の深部の温度Tcoreは略一定となっている。深部よりも外殻側の表層部では、皮膚の熱抵抗や外気温の影響により体温が下降する。なお、実際には、体表面2Aと温度測定手段3Aの接触面300Aとの間には、体温計本体3のケースに相当する部分があってもよい。また、微視的には隙間が生じているため、この隙間での熱放出等により、接触熱抵抗部でも温度が低下する。したがって、実際に温度測定手段3Aの体表面センサ31Aで体表面2Aの体温を測定する場合には、この接触熱抵抗部により低下した第1の体表面温度Tb1が測定されることとなる。
また、温度測定手段3A自体には断熱材37による熱抵抗(熱抵抗値Ru0)が存在するため、温度測定手段3A内でも温度の降下が生じ、温度測定手段3Aの界面301Aでは第1の中間温度Tb2となる。中間センサ32Aでは、この第1の中間温度Tb2が測定されることとなる。さらに、温度測定手段3Aの界面301Aと外気との間には熱抵抗値Ru1を有する断熱材38Aが存在しているために温度が低下し、外気温接触部での熱放出(接触部の熱抵抗値Rvによるもの)もあるため、さらに温度が低下して最終的に外気温Tambとなる。
定常状態では、各部における熱流束Qは一定となるため、図4ではグラフの傾きが一定となっている。このとき、温度測定手段3Aの第1の体表面温度Tb1および第1の中間温度Tb2がわかれば、熱抵抗値Ru0を使って、次の式(1)により温度測定手段3Aの体表面センサ31A側の表面から界面301Aまでの熱流束Qu1が算出できる。
Figure 2006308538
一方、表層部および接触熱抵抗部を合わせた部分、つまり人体2の深部から体表面2Aまでの部分(実際には深部から接触面300Aまでの部分)における熱流束Qs+tは、人体2の深部の体温Tcore、および人体2の深部から体表面2Aまでの部分の熱抵抗R+Rを用いると次の式(2)で表される。
Figure 2006308538
ここで、接触熱抵抗部の熱抵抗値Rtは、体温計本体3のケースに相当する部分のように接触熱抵抗部に介在する物質の性質による他、体表面2Aに接触する体温計1の断熱材37の熱抵抗値によっても変化する。つまり、人体2の熱伝導率をλ1、体温計1の熱伝導率をλ2、人体2の表面粗さをδ1、体温計1の接触面300Aの表面粗さをδ2、体温計1の体表面2Aへの押しつけ圧力をP、人体2および体温計1のうち軟らかい方の硬さをH、体表面2Aと接触面300Aとの間の介在物質の熱伝導率λf、介在物質の表面粗さをδf、定数をcとすると、例えば次の式(3)から求められる。このように、接触熱抵抗部の熱抵抗値Rtは、種々の条件によって変化するので、本実施形態では接触熱抵抗部の熱抵抗値Rtが極力小さくなるように設定されることが望ましく、体表面2Aと接触面300Aとの間に隙間が空かないように設定することが望ましい。なお、接触熱抵抗部の熱抵抗値Rtを小さくする方法としては、例えば体表面2Aと接触面300Aとの接触部分にオイルを塗布するなどして接触状態を良好にする方法などが考えられる。
Figure 2006308538
熱流束Qは各部において一定であるから、体温計本体3内部における熱流束Qu1と、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱流束Qs+tは等しくなる(Qu1=Qs+t)。したがって、式(1)および式(2)は、次の式(4)のように整理され、深部の温度Tcoreはこの式(4)により求められる。
Figure 2006308538
ここで、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱抵抗値Rs+Rtは、未知の値である。そこで、温度測定手段3Bにおいても、温度測定手段3Aと同様に体表面センサ31Bおよび中間センサ32Bから、第2の体表面温度Tb3および第2の中間温度Tb4を得れば、深部の温度Tcoreは次の式(5)のように求められる。
Figure 2006308538
断熱材38Aの熱抵抗値Ru1と断熱材38Bの熱抵抗値Ru2とは異なる値に設定されているため、温度測定手段3Aと温度測定手段3Bの熱抵抗(R)に対する温度(T)の傾きが変わる(図4参照)。つまり、熱抵抗と温度に関する異なる二つの関係式が得られる。
式(4)および式(5)より、熱抵抗値(R+R)/Ru0を消去すると、深部の温度Tcoreは次の式(6)によって求められる。ここで、温度測定手段3Aと温度測定手段3Bに対する熱抵抗値(R+R)は同じ必要があるので、体表面センサ31A,31Bと体表面2Aとの間に、体温計本体3のケースに相当する部分が存在する時は、これらのケース部分は同じ熱抵抗を持つように構成する。
Figure 2006308538
したがって、深部温度演算手段441には、この式(6)が、深部の温度Tcoreの演算式として記憶されている。
記憶部45には、体温計本体3から送信された第1の体表面温度Tb1、第2の体表面温度Tb3、第1の中間温度Tb2、および第2の中間温度Tb4が記憶される。また、深部温度演算手段441で演算された人体2の深部の温度Tcoreも記憶される。
ここで、記憶部45は、複数の人体2に関する温度情報を記憶可能に構成されており、深部の温度Tcoreなどが、人体2毎に記憶されている。また、記憶部45は、深部の温度Tcoreを算出する際に測定した第1の体表面温度Tb1および第2の体表面温度Tb3などの測定位置を記憶可能となっている。なお、記憶部45には、前述の温度情報以外にも、例えば被測定者(人体2、幼児)の氏名、年齢、測定日時などの測定情報を記憶させてもよい。この場合に、これらの測定情報は、操作部43から入力されてもよい。
このような体温計1では、次のように動作する。
図5には、本実施形態における体温計1の動作を示すフローチャートが示されている。
人体2(本実施形態では幼児の胸部)に体温計本体3を装着し、幼児を抱いた体温計1の操作者5は表示装置4を腕に装着する。操作者5が表示装置4の操作部43を操作することにより表示装置4のスイッチがONされると、送受信手段41が体温計本体3(温度測定手段3Aおよび温度測定手段3B)に電波を送信する。この電波による電磁誘導でアンテナコイル36A,36Bに起電力を発生させることにより体温計本体3にチャージを行う(ステップS1)。起電力により体温計本体3が起動し(ステップS2)、体表面センサ31A,31Bおよび中間センサ32A,32Bが起動する。これらのセンサ31A,31B,32A,32Bが起動すると、体温計本体3は、送受信手段35A,35Bから表示装置4にスタンバイ信号を送信する(ステップS3)。
表示装置4の制御手段44は、このスタンバイ信号を受信すると温度測定指令信号を送受信手段41から送信する(ステップS4)。体温計本体3は、この温度測定指令信号を受信して、体表面センサ31A,31Bおよび中間センサ32A,32Bを駆動し、体表面2Aの第1の体表面温度Tb1、第2の体表面温度Tb3、および界面301A,301Bの第1の中間温度Tb2,第2の中間温度Tb4を測定する(ステップS5、第1温度測定工程および第2温度測定工程)。これらの体表面温度Tb1、Tb3および中間温度Tb2,Tb4の温度情報は、A/D変換器34A,34Bでアナログ信号からデジタル信号に変換され、送受信手段35A,35Bによって表示装置4に送信される。なお、体表面温度Tb1、Tb3および中間温度Tb2,Tb4は、人体2の深部から体表面2Aまでの伝熱が定常状態(平衡状態)となるように、所定時間経過後に測定することが望ましい。
制御手段44の深部温度演算手段441では、体温計本体3から送信された体表面温度Tb1、Tb3および中間温度Tb2,Tb4から式(6)によって深部の温度Tcoreを演算する(ステップS6、深部温度演算工程)。制御手段44は、記憶部45に温度Tcoreを記憶させるとともに(ステップS7)、表示部42に温度Tcoreを表示する(ステップS8)。操作者5は、幼児を抱いた状態で、腕時計型の表示装置4の表示部42で、温度Tcoreを確認できる。
制御手段44は、内蔵されたタイマーにより体表面温度Tb1、Tb3の測定時からの経過時間をカウントし、所定時間経過したか否かを監視する(ステップS9)。経過時間が所定時間以上となると、ステップS4に戻って、制御手段44は体温計本体3に測定開始信号を送信し、再度体表面温度Tb1、Tb3および中間温度Tb2,Tb4の測定を行う。
このようにして所定時間毎に体表面温度Tb1、Tb3および中間温度Tb2,Tb4を測定して深部の温度Tcoreを演算し、記憶部45に蓄積する。
このような第一実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)温度測定手段3Aから第1の体表面温度Tb1および第1の中間温度Tb2を得るとともに、温度測定手段3Bから第2の体表面温度Tb3および第2の中間温度Tb4を得ることにより、深部温度演算手段441では、人体2の深部の温度Tcoreを算出できる。全体としての熱抵抗値の異なる2つの温度測定手段3A,3Bを用いることで、2種類の温度分布(熱流束)における体表面温度Tb1,Tb3および中間温度Tb2,Tb4を測定できるので、実際の温度の測定値のみから深部の温度Tcoreを演算できる。このため、従来人体2の深部から表層部までの熱抵抗値Rを固定値として仮定して設定していた場合に比べて、より実際の温度分布に即した深部の温度Tcoreの演算ができる。よって、より正確な深部の温度Tcoreが得られ、体温計1の測定精度を向上させることができる。
また、全体としての熱抵抗値を、体表面温度測定位置と中間温度測定位置との間の熱抵抗Ru0は共通とし、中間温度測定位置と外気との間の熱抵抗値Ru1,Ru2を変えることによって異なる値としている。したがって、体温計本体3の外気側に衣服や寝具が接触しても、全体としての熱抵抗値が変化するだけで体表面温度測定位置と中間温度測定位置との間の熱抵抗値Ru0は変化しないので、これらの外乱による測定への影響を少なくできる。
さらに、人体2の深部から外気までの熱流束が一定であることを利用して、深部温度演算手段441が人体2の深部の温度Tcoreを算出するので、従来の体温計のように熱流をキャンセルするためのヒータなどの加熱手段が不要となるから、体温計1の構成を簡単にできる。これにより体温計1の小型化をより一層促進できる。そして、従来の加熱手段が不要なので、体温計1の省電力化を促進できるとともに、体温計1を長時間体表面2Aに貼り付けていても安全であるから、体温計1の安全性、取扱性を向上させることができる。
(2)深部温度演算手段441が、前述の式(6)を演算式として有するので、第1の体表面温度Tb1、第1の中間温度Tb2、第2の体表面温度Tb3、および第2の中間温度Tb4が得られると、これらの値を直接代入することによって深部の温度Tcoreを演算できる。2箇所の体表面温度Tb1,Tb3および中間温度Tb2,Tb4を測定することにより人体2の深部から体表面2Aまでの部分の熱抵抗値R+Rを演算上消去できるから、この熱抵抗値R+Rを用いる必要がなく、演算処理を簡単にできるとともに、演算処理を迅速にできる。したがって、体温計1の応答性を向上させることができる。また、予め既知の体温計などによって深部の温度を測定する必要がない。
(3)体温計本体3が人体2の皮膚に一体で貼付可能に構成されているので、従来の腋下温や舌下温の測定のように一定時間体温計1を保持する必要がない。したがって、体温計本体3の取扱性を向上させることができる。また、体温計本体3が一体で貼付可能に構成されているので、幼児や乳幼児、子供が使用する場合などに多少動いても、体温計本体3が皮膚に良好に接触するから、正確な体温を測定できる。さらに、衣服や寝具が体温計本体3に接触した状態でも深部の温度Tcoreが計算できる。したがって、連続的に長時間にわたって温度変化を監視したい場合などでも、容易かつ正確に測定を行うことができる。
例えば女性が基礎体温を測定する場合などでは、起床直後に安静状態で測定しなければならないなど、体温測定方法に制約が多く、体温測定が面倒であった。ところが、本実施形態の体温計1で測定すれば、長時間体表面2Aに貼り付けた状態で体温を連続的に測定できるので、体温計本体3を装着した状態で就寝すれば、就寝中に自動的に基礎体温が測定でき、起床時には既に基礎体温の測定を終了できる。したがって、体温測定の煩雑さを除去できるから、家庭や旅行先でも測定忘れを防止でき、確実に正確な基礎体温を測定できる。
また、本実施形態の体温計1は、人体2の体温の常時計測ができるから、例えば入院患者などの体温の変化のモニタリングなどに適している。
(4)体温計本体3と表示装置4とを別体に構成し、送受信手段35A,35B,41によって通信可能に構成したので、人体2に接触させる体温計本体3に搭載する部品数を最小限に抑制でき、体温計本体3の軽量化、小型化を促進できる。よって、体温計本体3を長時間貼り付けていても負担にはならないため、体温計本体3の携帯性を向上させることができる。また、深部温度演算手段441を備えた制御手段44を表示装置4側に設けたことにより、体温計本体3の軽量化、小型化をより一層促進できる。
送受信手段35A,35B,41がアンテナコイル36A,36B,46によって無線通信を行う構成となっているので、配線などが邪魔にならず、体温計1の取扱性を向上させることができる。
さらに、表示装置4が、腕時計型に形成されているので、操作者5が腕につけて表示部42を視認できる。したがって、本実施形態のように体温を測定したい幼児を抱いた状態で体温の表示を確認できるので、体温計1の操作性を向上させることができる。
(5)表示装置4のアンテナコイル46から電波を送信することで、電磁誘導により体温計本体3のアンテナコイル36A,36Bに起電力を生じさせることができる。この起電力により体温計本体3を駆動するので、体温計本体3には電池などの電源が不要となり、体温計本体3の軽量化、小型化をより一層促進できる。
(6)記憶部45が、複数の人体2について深部の温度Tcoreなどの情報を記憶できるので、体温計1を複数人に交互に使用することもでき、体温計1の利便性を向上させることができる。これにより、体温計1を複数人で使用する場合でも、記憶部45から対象となる被測定者の以前の深部の温度Tcoreを読み出すことができるので、長期間にわたる体温のモニタリングにも適している。
(7)体表面2Aと界面301A,301Bとの間の断熱材37は、共通の熱抵抗値を持つので同じ素材で同じ厚みの断熱材が使用でき、製造が簡単で、一体構造を採用できる。また、温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとの距離Lも固定することができ、貼り付けも簡単にできる。
[第二実施形態]
以下、本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。
図6には、本実施形態にかかる体温計1のブロック構成図が示されている。この体温計1は、生体である人体2(図8参照)の体表面2A(図8参照)に接触する体温計本体3と、体温計本体3とは別体に設けられる表示装置4とを備えている。
図7には、体温計本体3が人体2に装着された状態の拡大図が示されており、また図8には、体温計本体3および表示装置4が装着された図が示されている。
まず、図7に示されるように、体温計本体3は、第1および第2温度測定手段である二つ(一対)の温度測定手段3A,3Bを備えている。温度測定手段3Aは、人体2の体表面2Aに接触する接触面300Aを有し、この体表面2Aの温度を第1の基準温度として測定する第1基準温度測定部としての体表面センサ31Aと、温度測定手段3Aの外気側に露出する外表面302Aを有するとともに、この外表面302Aの温度を第1の参照温度として測定する第1参照温度測定部としての外表面センサ33Aと、体表面センサ31Aおよび外表面センサ33Aの間に介装される第1の断熱材としての断熱材37Aとを備えている。
また、温度測定手段3Bは、温度測定手段3Aとは別体で設けられており、温度測定手段3Aの接触位置とは異なる位置の体表面2Aに接触する接触面300Bを有し、この体表面2Aの温度を第2の基準温度として測定する第2基準温度測定部としての体表面センサ31Bと、温度測定手段3Bの外気側に露出する外表面302Bを有するとともに、この外表面302Bの温度を第2の参照温度として測定する第2参照温度測定部としての外表面センサ33Bと、体表面センサ31Bおよび外表面センサ33Bの間に介装される第2の断熱材としての断熱材37Bとを備えている。
温度測定手段3Aの断熱材37Aと温度測定手段3Bの断熱材37Bとは、熱伝導率λが同じ材料で同じ断面積で構成されている。ここで、断熱材37Aの熱抵抗値と断熱材37Bの熱抵抗値とは、それぞれの断熱材の厚みをdおよびd´とすることで、異なる値に設定されている。したがって、熱抵抗値の比率αは、d/d´で表される。つまり厚みを変えることにより、断熱材37Aと断熱材37Bとは、熱流束調整手段としての役目も果たす。
ここで、断熱材37Aと断熱材37Bとを異なる材料で構成して熱流束調整手段としても良いが、この場合、予めそれぞれの断熱材の熱抵抗値を測定しておく必要がある。本実施形態のように同じ材料の断熱材であれば、厚みの比が分かっていれば良い。
さらに、断熱材が同じ材料であれば、熱伝導率λが同じであるので、温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとの体表面に対する接触熱抵抗の差も少ない。
これらの温度測定手段3A,3Bからなる体温計本体3は、第一実施形態と同様に幼児(人体2)の胸部に密着されている。
ここで、体温計本体3の貼付位置は、人体2で皮膚温が外気の影響を受けにくく、比較的安定して体表面温度を測定できる額や後頭部、胸部、背中などの部位に設定されることが望ましい。また、断熱材37A,37Bは、温度測定手段3A,3Bを体表面2Aに貼り付けた際に、人体2の深部から体表面2Aおよび断熱材37A,37Bを通って外表面302A,302Bまでの熱流束が定常状態で一定と近似できるように、ある程度の大きさを有していることが望ましい。つまり、断熱材37A,37Bの寸法は、熱の移動が平衡状態である場合において、人体2の深部と温度測定手段3A,3Bが貼り付けられた体表面2Aの位置とを結ぶ方向に略直交する方向、具体的には体表面2Aに沿う方向の熱の移動を無視でき、人体2の深部から体表面2Aまでの熱の移動が1軸方向であるとみなせて、熱流束が一方向に移動していると近似できる寸法であることが望ましい。
温度測定手段3Aおよび温度測定手段3Bは、第一実施形態と同様に互いに所定距離Lを有して配置されている。
体表面センサ31A,31Bおよび外表面センサ33A,33Bは、体表面2Aの温度または外表面302A,302Bの温度値を抵抗値に変換するものや、温度値を電圧値に変換するものなどが採用できる。なお、温度値を抵抗値に変換するものとしては、第一実施形態で挙げたものが採用できる。
また、温度測定手段3A,3Bは、体表面センサ31A,31Bおよび外表面センサ33A,33Bの他に、前述の図1に示されるように、A/D変換器34A,34Bと、送受信手段35A,35Bとをそれぞれ備えている。
A/D変換器34A,34Bは、体表面センサ31A,31Bおよび外表面センサ33A,33Bで変換された抵抗値や電圧値のアナログ信号をデジタル信号に変換し、送受信手段35A,35Bに出力する。もしくは、A/D変換器34A,34Bの代わりにCR発振を利用したRFコンバータを使用しても良い。
表示装置4は、図8に示されるように、腕時計型で携帯可能に構成されており、体温計本体3を装着した幼児を抱いた操作者5が装着できるようになっている。表示装置4は、前述の図6に示されるように、体温計本体3との間で信号を送受信する送受信手段41と、体温の測定結果などを表示する表示部42と、表示装置4を外部から操作する操作部43と、表示装置4の動作を制御する制御手段44と、送受信手段41や制御手段44などから得られた情報を蓄積する記憶部45とを備えている。
送受信手段35A,35B、送受信手段41、表示部42および操作部43は、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
制御手段44は、体表面センサ31A,31Bからの第1の体表面温度(第1の基準温度)および第2の体表面温度(第2の基準温度)と、外表面センサ33A,33Bからの第1の外表面温度(第1の参照温度)および第2の外表面温度(第2の参照温度)とに基づいて、人体2の深部の温度を演算する深部温度演算手段441を備えている。
深部温度演算手段441は、体表面センサ31Aで得られた第1の体表面温度Tb1、外表面センサ33Aで得られた第1の参照温度Tb2、体表面センサ31Bで得られた第2の体表面温度Tb3、外表面センサ33Bで得られた第2の参照温度Tb4、および温度測定手段3Aの第1の熱抵抗値Ru1と温度測定手段3Bの第2の熱抵抗値Ru2との比率αを用いて人体2の深部の温度Tcoreを演算する。
図9には、人体2の深部から体表面2Aおよび体温計本体3を通って外気までの温度分布のモデルが示されている。温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとの温度分布モデルは同様であるので、図9では、温度測定手段3Aの温度分布モデルについて図示している。
この図9に示されるように、人体2の深部から外気までの温度の伝達モデルにおいては、人体2の深部の温度Tcoreは略一定となっている。深部よりも外殻側の表層部では、皮膚の熱抵抗や外気温の影響により体温が下降する。なお、実際には、体表面2Aと温度測定手段3Aとの間には、微視的には隙間が生じているため、この隙間での熱放出により、接触熱抵抗部でも温度が低下する。したがって、実際に温度測定手段3Aで体表面2Aの体温を測定する場合には、この接触熱抵抗部により低下した第1の体表面温度Tb1が測定されることとなる。
温度測定手段3A自体にも熱抵抗(第1の熱抵抗値Ru1)が存在するため、温度測定手段3A内でも温度の降下が生じ、温度測定手段3Aの外表面302Aでは第1の外表面温度Tb2となる。外表面センサ33Aでは、この第1の外表面温度Tb2が測定されることとなる。さらに、温度測定手段3Aの外表面302Aと外気との間でも外気温接触部での熱放出があるため、温度が低下し、最終的に外気温Tambとなる。
ここで、横軸を熱抵抗とし、縦軸を温度とすると、温度分布グラフの傾きは熱流束Qとなり、定常状態では、各部における熱流束Qは一定となるため、図9ではグラフの傾きが一定となっている。このとき、温度測定手段3Aの第1の体表面温度Tb1および第1の外表面温度Tb2がわかれば、温度測定手段3Aの第1の熱抵抗値Ru1を用いて次の式(7)により温度測定手段3Aの体表面センサ31A側の表面から外表面302Aまでの熱流束Qu1が算出できる。
Figure 2006308538
一方、表層部および接触熱抵抗部を合わせた部分、つまり人体2の深部から体表面2Aまでの部分(実際には深部から接触面300Aまでの部分)における熱流束Qs+tは、人体2の深部の体温Tcore、および人体2の深部から体表面2Aまでの部分の熱抵抗R+Rを用いると次の式(8)で表される。
Figure 2006308538
ここで、接触熱抵抗部の熱抵抗値Rtは、第一実施形態と同様に接触熱抵抗部に介在する物質の性質による他、体表面2Aに接触する体温計1(断熱材37A,37Bなど)の熱抵抗値によっても変化する。
熱流束Qは各部において一定であるから、体温計本体3内部における熱流束Qu1と、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱流束Qs+tは等しくなる(Qu1=Qs+t)。したがって、式(7)および式(8)は、次の式(9)のように整理され、深部の温度Tcoreはこの式(9)により求められる。
Figure 2006308538
ここで、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱抵抗値Rs+Rtは、未知の値である。そこで、温度測定手段3Bにおいても、温度測定手段3Aと同様に体表面センサ31Bおよび外表面センサ33Bから、第2の体表面温度Tb3および第2の外表面温度Tb4を得れば、深部の温度Tcoreは次の式(10)のように求められる。
Figure 2006308538
ここで、温度測定手段3Aの第1の熱抵抗値Ru1と温度測定手段3Bの第2の熱抵抗値Ru2との比率αは分かっているので、式(9)および式(10)より、熱抵抗値R+Rを消去すると、比率αを用いて深部の温度Tcoreは次の式(11)によって求められる。
Figure 2006308538
したがって、深部温度演算手段441には、この式(11)が、深部の温度Tcoreの演算式として記憶されている。
記憶部45に記憶されるものは、第一実施形態と同一であるので説明を省略する。
このような体温計1では、次のように動作する。
図10には、本実施形態における体温計1の動作を示すフローチャートが示されている。
人体2(本実施形態では幼児の胸部)に体温計本体3を装着し、幼児を抱いた体温計1の操作者5は表示装置4を腕に装着する。操作者5が表示装置4の操作部43を操作することにより表示装置4のスイッチがONされると、送受信手段41が体温計本体3(温度測定手段3Aおよび温度測定手段3B)に電波を送信する。この電波による電磁誘導でアンテナコイル36A,36Bに起電力を発生させることにより体温計本体3にチャージを行う(ステップS1)。起電力により体温計本体3が起動し(ステップS2)、体表面センサ31A,31Bおよび外表面センサ33A,33Bが起動する。これらのセンサ31A,31B,33A,33Bが起動すると、体温計本体3は、送受信手段35A,35Bから表示装置4にスタンバイ信号を送信する(ステップS3)。
表示装置4の制御手段44は、このスタンバイ信号を受信すると温度測定指令信号を送受信手段41から送信する(ステップS4)。体温計本体3は、この温度測定指令信号を受信して、体表面センサ31A,31Bおよび外表面センサ33A,33Bを駆動し、体表面2Aの第1の体表面温度Tb1、第2の体表面温度Tb3、および外表面302A,302Bの第1の外表面温度Tb2,第2の外表面温度Tb4を測定する(ステップS5、第1温度測定工程および第2温度測定工程)。これらの体表面温度Tb1、Tb3および外表面温度Tb2,Tb4の温度情報は、A/D変換器34A,34Bでアナログ信号からデジタル信号に変換され、送受信手段35A,35Bによって表示装置4に送信される。なお、体表面温度Tb1、Tb3および外表面温度Tb2,Tb4は、人体2の深部から体表面2Aまでの伝熱が定常状態(平衡状態)となるように、所定時間経過後に測定することが望ましい。
制御手段44の深部温度演算手段441では、体温計本体3から送信された体表面温度Tb1、Tb3および外表面温度Tb2,Tb4から式(11)によって深部の温度Tcoreを演算する(ステップS6、深部温度演算工程)。制御手段44は、記憶部45に温度Tcoreを記憶させるとともに(ステップS7)、表示部42に温度Tcoreを表示する(ステップS8)。操作者5は、幼児を抱いた状態で、腕時計型の表示装置4の表示部42で、温度Tcoreを確認できる。
制御手段44は、内蔵されたタイマーにより体表面温度Tb1、Tb3の測定時からの経過時間をカウントし、所定時間経過したか否かを監視する(ステップS9)。経過時間が所定時間以上となると、ステップS4に戻って、制御手段44は体温計本体3に測定開始信号を送信し、再度体表面温度Tb1、Tb3および外表面温度Tb2,Tb4の測定を行う。
このようにして所定時間毎に体表面温度Tb1、Tb3および外表面温度Tb2,Tb4を測定して深部の温度Tcoreを演算し、記憶部45に蓄積する。
このような第二実施形態によれば、第一実施形態で得られた効果の他に次のような効果が得られる。
(8)温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとにおける熱流束を、断熱材37Aと、断熱材37Bとの熱抵抗値を変えることによって調整できる。したがって、熱流束調整手段は、断熱材37Aと断熱材37Bとによって構成され、別途設ける必要がなく構造が簡単にできる。
(9)断熱材37Aと断熱材37Bは厚みだけが異なるので、その厚みの比率は、体表面センサ31Aと外表面センサ33A間の熱抵抗値,体表面センサ31Bと外表面センサ33B間の熱抵抗値との比率αに対応する。したがって、厚みの比率を利用して、生体の深部の温度が演算できる。
[第三実施形態]
図11には、第三実施形態のブロック構成図が示されている。この図11に示されるように、体温計本体3は、第1および第2温度測定手段の一部として熱流束測定部5A,5Bを備え、これらの熱流束測定部5A,5Bは、前述の実施形態での中間センサ32A,32Bおよび外表面センサ33A,33Bを備えておらず、第1の熱流束測定部としての熱流束センサ51Aと、第2熱流束測定部としての熱流束センサ51Bとをそれぞれ備えている。これらの熱流束センサ51A,51Bは、熱流束測定部5A,5Bを体表面2Aに接触させて体温計1中の熱流束値をそれぞれ測定する。ここで、熱流束センサ51A,51Bは、それぞれ体表面2Aから所定区間(例えば外表面302Aまで)の間に互いに異なる熱抵抗値(第1の熱抵抗値および第2の熱抵抗値)を有する断熱材の中に埋め込まれており、熱流束センサ51A,51Bは、当該所定区間の熱流束Qu1,Qu2を測定する。
深部温度演算手段441には、次の式(12)および式(13)のいずれかが記憶されている。
Figure 2006308538
このような構成の体温計1では、体表面センサ31Aで第1の体表面温度Tb1の測定および熱流束測定部5Aで第1の熱流束値Qu1を測定する第1の熱流束測定工程を行い、また、体表面センサ31Bで第2の体表面温度Tb3の測定および熱流束測定部5Bで第2の熱流束値Qu2を測定する第2の熱流束測定工程を行う。その後、これらの測定値が表示装置4に送信されると、深部温度演算工程において、深部温度演算手段441が、これらの第1の体表面温度Tb1、第1の熱流束値Qu1、第2の体表面温度Tb3、および第2の熱流束値Qu2に基づいて、深部の温度Tcoreを演算する。
このような第三実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(10)このような構成の体温計1であっても、前述の実施形態と同様に、実際の測定値から生体の深部の温度Tcoreが算出できるので、より正確な体温を測定できる。
ここで、前述の式(12)および式(13)に示されるように、深部の温度Tcoreの算出式には、熱抵抗値が含まれない。したがって、熱流束センサ51A,51Bが熱流束を測定する所定区間の熱抵抗値は、既知である必要はなく、互いに異なる値であればよい。つまり、これらの熱抵抗値を高精度に設定する必要がなく、互いに異なる熱抵抗値を有する断熱材を使用すればよいので、材料の選定や製造管理が容易となり、体温計1の製造が容易となる。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図12には、本実施形態にかかる体温計1の構成ブロック図が示されている。また、図13には、体温計本体3が人体2に装着された状態の拡大図が示されている。これらの図12および図13に示されるように、体温計本体3は、第1温度測定手段としての温度測定手段3Aおよび第2温度測定手段としての温度測定手段3Bの二つ(一対)の温度測定手段を備えている。
温度測定手段3Aは、人体2の体表面2Aに接触する接触面300Aを有し、この体表面2Aの温度を第1の体表面温度として測定する第1の測定部としての体表面センサ31Aと、温度測定手段3Aの外気側に露出する外表面302Aを有するとともに、この外表面302Aの温度を第1の外表面温度として測定する第1の測定部としての外表面センサ33Aと、体表面センサ31Aおよび外表面センサ33A間の中央に配置され当該位置の温度を第1の中間温度として測定する第1の測定部としての中間センサ32Aと、各センサ31A,33A,32Aが取り付けられ固定される断熱材37Aとを備えている。
また、温度測定手段3Bは、温度測定手段3Aとは別体で設けられており、温度測定手段3Aの接触位置とは異なる位置の第2の体表面2Aに接触する接触面300Bを有し、この体表面2Aの温度を第2の体表面温度として測定する第2の測定部としての体表面センサ31Bと、温度測定手段3Bの外気側に露出する外表面302Bを有するとともに、この外表面302Bの温度を第2の外表面温度として測定する第2の測定部としての外表面センサ33Bと、体表面センサ31Bおよび外表面センサ33B間の中央に配置され当該位置の温度を第2の中間温度として測定する第2の測定部としての中間センサ32Bと、各センサ31B,33B,32Bが取り付けられ固定される断熱材37Bとを備えている。
これらの温度測定手段3A,3Bからなる体温計本体3は、第一実施形態と同様に体表面2Aに良好な接触圧力で密着できるように構成されている
また、温度測定手段3Aおよび温度測定手段3Bは、第一実施形態と同様に、互いに所定距離Lを有して配置されている。
また、温度測定手段3Aの断熱材37Aと、温度測定手段3Bの断熱材37Bとは異なる材料で構成され、これにより、断熱材37Aの熱抵抗値RuA2と断熱材37Bの熱抵抗値RuB2とは異なる値に設定されている。また、接触面300A,300Bから中間センサ32A,32Bまでの距離を設定することにより、接触面300A,300Bからそれぞれの中間センサ32A,32Bまでの熱抵抗値は予め設定された所定値となる。本実施形態では、中間センサ32A,32Bまでの熱抵抗値は、それぞれ熱抵抗値RuA1と熱抵抗値RuB1に設定されている。
また、第四実施形態では、制御手段44は、温度分布演算手段442および深部温度演算手段441を備えている。
図14には、温度測定手段3A,3Bの温度分布モデルが図示されている。この図14に示されるように、温度測定手段3Aの熱抵抗値と温度測定手段3Bの熱抵抗値は互いに異なるため、人体2の深部から外気までの熱流束が異なり、したがって、温度分布T(R)も互いに異なる。
温度分布演算手段442は、温度測定手段3Aにおいて、熱抵抗値(R=0)における体表面温度Tb1、熱抵抗値(R=RuA1)における中間温度Tb2、および熱抵抗値(R=RuA2)における外表面温度Tb5から、第七実施形態の式(14)を用いて第1の温度分布TA(R)を演算する。また、温度分布演算手段442は、温度測定手段3Bにおいても同様に、熱抵抗値(R=0)における体表面温度Tb3、熱抵抗値(R=RuB1)における中間温度Tb4、および熱抵抗値(R=RuB2)における外表面温度Tb6から、第2の温度分布TB(R)を演算する。
深部温度演算手段441は、これらの温度分布TA(R)および温度分布TB(R)を連立させてこれらの交点を求めることにより、深部の温度Tcoreを演算する。
したがって、第四実施形態では、二つの温度分布TA(R)および温度分布TB(R)から人体2の深部の温度Tcoreが求められるため、既知の体温計で予め深部の温度を測定するなどの体温測定の準備工程が不要となる。つまり、第四実施形態の体温計1では、制御手段44から体温計本体3に温度測定指令信号が送信されると、各センサ31A,32A,33A,31B,32B,33Bからの温度情報が制御手段44に送信される。温度分布演算手段442は、これらの温度情報から温度分布TA(R)および温度分布TB(R)を演算する。そして、深部温度演算手段441が、これらの温度分布TA(R)および温度分布TB(R)より深部の温度Tcoreを演算することとなる。
このような第四実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(11)体温計1が二つの温度測定手段3A,3Bを備えているので、温度分布演算手段442によりそれぞれ得た温度分布TA(R)および温度分布TB(R)を用いて、深部温度演算手段441では深部の温度Tcoreを演算できる。つまり、表層部熱抵抗値Rsを算出する必要がないので、制御手段44の構成を簡略化できるとともに演算処理を迅速にできる。したがって、体温計1の応答性を向上させることができる。
また、体温計1が二つの温度測定手段3A,3Bを備えているので、温度分布TA(R)および温度分布TB(R)を用いて直接深部の温度を演算できるから、表層部熱抵抗値Rsを求めるために既知の体温計などによって予め深部の温度を測定する必要がなく、体温測定のための準備工程が不要となる。よって体温計1の体温測定時間を短縮できるとともに、体温計1の取扱性を向上させることができる。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。第五実施形態は、第四実施形態における第1の測定部と第2の測定部との熱抵抗値が共通となっている点が異なる他は、第四実施形態と同様である。
図15には、第五実施形態の体温計本体3が示されている。この図15において、体温計本体3は、第四実施形態と同様に温度測定手段3A,3Bを備えている。
温度測定手段3Aは、人体2の体表面2Aに接触する接触面300Aを有する断熱材37と、断熱材37と外気との間に設けられた第1の断熱材としての断熱材38Aとを備えている。一方、温度測定手段3Bは、温度測定手段3Aの接触位置とは異なる位置の体表面2Aに接触する接触面300Bを有する断熱材37と、断熱材37と外気との間に設けられた第2の断熱材としての断熱材38Bとを備えている。すなわち、断熱材37は、温度測定手段3Aと温度測定手段3Bとで共通しており、したがって、共通の熱抵抗値Ru0を有する。
温度測定手段3Aは、体表面2Aに接触し体表面2Aの温度を測定する体表面センサ31Aと、断熱材37と断熱材38Aとの界面301Aの温度を測定する界面センサ39Aと、体表面センサ31Aと界面センサ39Aとの間に設けられた中間センサ32Aとを備えている。また、温度測定手段3Bは、温度測定手段3Aと同様に体表面センサ31Bと、断熱材37と断熱材38Bとの界面301Bの温度を測定する界面センサ39Bと、中間センサ32Bとを備えている。
なお、体表面2Aから中間センサ32A,32Bまでの熱抵抗値は既知の値であり、それぞれ熱抵抗値RuA1、熱抵抗値RuB1に設定されている。そして、本実施形態では、中間センサ32A,32Bの体表面2Aからの設置距離を等しくするなどの方法により、これらの熱抵抗値RuA1,RuB1は同じ値(RuA1=RuB1)に設定されている。
一方で、断熱材38Aと断熱材38Bとの熱抵抗値は互いに異なる値に設定されており、したがって、温度測定手段3A,3Bは、全体として異なる熱抵抗値となっているが、体表面センサ31A,31Bまでの熱抵抗値、中間センサ32A,32Bまでの熱抵抗値、および界面センサ39A,39Bまでの熱抵抗値は、それぞれ等しく設定されている。
このような第五実施形態では、第四実施形態と同様に、温度分布演算手段442で二つの温度分布TA(R)および温度分布TB(R)を演算し、深部温度演算手段441がこれらの温度分布TA(R)および温度分布TB(R)から深部の温度Tcoreを演算する。この際に、温度測定手段3A,3Bの全体としての熱抵抗値は異なるため、内部を流れる熱流束は異なり温度分布TA(R)および温度分布TB(R)もそれぞれ異なる。ところが、体表面センサ31A,31Bまでの熱抵抗値(R=0)、中間センサ32A,32Bまでの熱抵抗値(R=RuA1=RuB1)、および界面センサ39A,39Bまでの熱抵抗値(R=Ru2)がそれぞれ等しく設定されているので、深部温度演算手段441が深部の温度を演算する際には、演算上、これらの共通の熱抵抗値が消去されるため、これらの熱抵抗値を用いることなく深部の温度Tcoreを演算できる。つまり、体表面センサ31A,31Bで測定される体表面温度Tb1,Tb3、中間センサ32A,32Bで測定される中間温度Tb2,Tb4、および界面センサ39A,39Bで測定される界面温度Tb5,Tb6の測定値のみから、深部の温度Tcoreが測定されることとなる。
このような第五実施形態によれば、第四実施形態の(11)の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
(12)温度測定手段3A,3Bが共通の断熱材37に配置されているので、温度測定手段3A,3Bを一体的に構成することができるから、体温計1の取扱性を向上させることができる。
温度測定手段3A,3Bが全体として互いに異なる熱抵抗値を有しながら、体表面センサ31A,31Bの位置における熱抵抗値、中間センサ32A,32Bの位置における熱抵抗値、および界面センサ39A,39Bの位置における熱抵抗値がそれぞれ等しいので、深部温度演算手段441での深部の温度の演算において、これらの熱抵抗値が消去される。したがって、深部温度演算手段441での演算処理が簡単となり、演算処理を迅速に行える。
また、深部の温度を演算する際に各熱抵抗値が必要とならないので、温度測定手段3A,3Bが全体として互いに異なる熱抵抗値を有し、かつ体表面センサ31A,31Bの位置における熱抵抗値、中間センサ32A,32Bの位置における熱抵抗値、および界面センサ39A,39Bの位置における熱抵抗値がそれぞれ等しければ、その設定値を厳密に管理する必要がない。したがって、体温計1の製造時に熱抵抗値の管理を厳しく行う必要がないため、体温計1の製造管理を簡略化できる。
また、例えば体温計1の上から被服を着用して被服が体温計1に触れたり、体温計1を装着して寝具に横たわった際に寝具が触れたりすると、温度測定手段3A,3Bの熱抵抗値が変化するが、温度測定手段3A,3Bの全体の熱抵抗値が互いに違いさえすれば、深部の温度を正確に測定できる。したがって、体温計1を装着している間の姿勢や服装などの制限を少なくでき、体温計1の取扱性を向上させることができる。
[第六実施形態]
以下、本発明の第六実施形態を図面に基づいて説明する。
図16には、本実施形態にかかる体温計1のブロック構成図が示されている。この体温計1は、生体である人体2(図17参照)の体表面に接触する体温計本体3と、体温計本体3とは別体に設けられる表示装置4とを備えている。
図17には、体温計本体3が人体2に装着された図が示されており、また図18には、体温計本体3および表示装置4が装着された図が示されている。
まず、図17に示されるように、体温計本体3は、人体2の体表面2Aに接触し、この体表面2Aの温度を検出する基準温度測定部としての体表面センサ31と、体温計本体3の外気側に露出する外表面30を有するとともに、この外表面30の温度を検出する参照温度測定部としての外表面センサ33と、体表面センサ31および外表面センサ33の間に介装される断熱材37とを備えている。この体温計本体3は、粘着剤などによって体表面センサ31側の面を人体2に貼付可能となっており、この粘着剤などにより、体温計本体3が体表面2Aに良好な接触圧力で密着できるように構成されている。本実施形態では、体温計本体3は幼児(人体2)の額に密着されている。
ここで、体温計本体3の貼付位置は、人体で皮膚温が外気の影響を受けにくく、比較的安定して体表面温度を測定できる額や後頭部、胸部、背中などの部位に設定されることが望ましい。また、断熱材37は、体温計本体3を体表面2Aに貼り付けた際に、人体2の深部から体表面2Aおよび断熱材37を通って外表面30までの熱流束が定常状態で一定と近似できるように、ある程度の大きさを有していることが望ましく、例えば断熱材37が縦横10cm以上の寸法を有する略矩形状に形成されることが考えられる。この場合には、人体2の深部と体温計本体3が貼り付けられた体表面2Aの位置とを結ぶ方向に略直交する方向、具体的には体表面2Aに沿う方向の熱の移動を無視でき、人体2の深部から体表面2Aまでの熱の移動が1軸方向であるとみなせて熱の移動に直線性が得られるので、熱流束が一定であると近似できる。
体表面センサ31および外表面センサ33は、第一実施形態で挙げたものが採用できる。
また、体温計本体3は、体表面センサ31および外表面センサ33の他に、前述の図1に示されるように、A/D変換器34と、送受信手段35とを備えている。
A/D変換器34は、体表面センサ31および外表面センサ33で変換された抵抗値や電圧値のアナログ信号をデジタル信号に変換し、送受信手段35に出力する。
送受信手段35は、アンテナコイル36を備え、A/D変換器34でデジタル信号に変換された温度値(抵抗値や電圧値)の信号を表示装置4側に電波送信する。
表示装置4は、図18に示されるように、腕時計型で携帯可能に構成されており、体温計本体3を装着した幼児を抱いた操作者5が装着できるようになっている。表示装置4は、前述の図16に示されるように、体温計本体3との間で信号を送受信する送受信手段41と、体温の測定結果などを表示する表示部42と、表示装置4を外部から操作する操作部43と、表示装置4の動作を制御する制御手段44と、送受信手段41や制御手段44などから得られた情報を蓄積する記憶部(記憶手段)45とを備えている。
送受信手段41は、アンテナコイル46を備え、体温計本体3のアンテナコイル36との間で電波の送受信を行う。また、アンテナコイル46は、アンテナコイル36に対して電波を送信することにより、アンテナコイル36に電磁誘導によって起電力を発生させ、体温計本体3のチャージを行う。このため、体温計本体3はこの起電力によって駆動され、内部に電池などの電源を必要としない。
表示部42および操作部43は、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
制御手段44は、体表面センサ31からの体表面温度と外表面センサ33からの外表面温度とに基づいて、体表面2Aから外表面30までの間の熱流束を算出する熱流束算出手段444と、算出された熱流束に基づいて、人体2の深部から体表面2Aまでの熱抵抗値を算出する熱抵抗算出手段443と、この熱抵抗算出手段443で算出された熱抵抗値に基づいて、人体2の深部の温度を演算する深部温度演算手段441とを備えている。
熱流束算出手段444は、体表面センサ31で測定した体表面温度Tb1と、外表面センサ33で測定した外表面温度Tb2とから、体表面2Aと外表面30との間に流れる熱流束Qを算出する。
図19には、人体2の深部から体表面2Aおよび体温計本体3を通って外気までの温度分布のモデルが示されている。この図19に示されるように、人体2の深部から外気までの温度の伝達モデルにおいては、人体2の深部の温度Tcoreは略一定となっている。深部よりも外殻側の表層部では、皮膚の熱抵抗や外気温の影響により体温が下降する。また、体表面2Aと体温計本体3との間には、微視的には隙間が生じているため、この隙間での熱放出により、接触熱抵抗部でも温度が低下する。なお、実際に体温計本体3で体表面2Aの体温を測定する場合には、この接触熱抵抗部により低下した温度Tb1が測定されることとなる。
体温計本体3自体にも熱抵抗が存在するため、体温計本体3内でも温度の降下が生じ、体温計本体3の外表面30では温度Tb2となる。外表面センサ33では、この温度Tb2が測定されることとなる。さらに、体温計本体3の外表面30と外気との間でも外気温接触部での熱放出があるため、温度が低下し、最終的に外気温Tambとなる。
ここで、横軸を熱抵抗とし、縦軸を温度とすると、温度分布グラフの傾きは熱流束Qとなり、定常状態では、各部における熱流束Qは一定となるため、図19ではグラフの傾きが一定となっている。このとき、体温計本体3の熱抵抗値Ru0は、断熱材37の熱抵抗値とほぼ等しく既知であるため、体温計本体3の体表面温度Tb1および外表面温度Tb2がわかれば、次式により熱流束Qが算出できる。
Figure 2006308538
熱抵抗算出手段443は、この数式1により求めた熱流束Qを用いて、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱抵抗値R+Rを次のように算出する。
表層部および接触熱抵抗部を合わせた部分、つまり人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱流束Qs+tは、人体2の深部の体温Tcore、および熱抵抗R+Rを用いると次式で表される。
Figure 2006308538
ここで、熱流束Qは各部において一定であるから、体温計本体3内部における熱流束Qと、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱流束Qs+tは等しくなる。したがって、これらの式は、次式のように整理される。
この式に示されるように、体表面センサ31で測定された熱抵抗算出用の算出用体表面温度T0,b1と、外表面センサ33で測定された熱抵抗算出用の算出用外表面温度T0,b2と、熱抵抗算出用の深部の算出用深部体温T0,coreとがわかれば、深部から体表面2Aまでの部分の表層部熱抵抗値R+Rが求められる。
Figure 2006308538
実際に人体2の体温を測定する際には、深部温度演算手段441は、熱抵抗算出手段443で算出した表層部熱抵抗値R+Rを用いて、体表面センサ31で得た体表面温度Tb1および外表面センサ33で得た外表面温度Tb2から、次式より深部の温度Tcoreを算出する。
Figure 2006308538
記憶部45には、体温計本体3から送信された体表面温度Tb1および外表面温度Tb2が記憶される。また、熱抵抗算出手段443で算出された人体2の深部から体表面2Aまでの部分の表層部熱抵抗値R+R、深部温度演算手段441で演算された人体2の深部の温度Tcoreなどが記憶される。
ここで、記憶部45は、複数の人体2に関する温度情報を記憶可能に構成されており、表層部熱抵抗値R+Rや深部の温度Tcoreなどが、各人体2毎に記憶されている。また、記憶部45は、表層部熱抵抗値R+Rを算出する際に測定した算出用体表面温度T0,b1および算出用参照温度T0,b2などの測定位置を記憶可能となっている。なお、記憶部45には、前述の温度情報以外にも、例えば被測定者(人体2、幼児)の氏名、年齢、測定日時などの測定情報を記憶させてもよい。この場合に、これらの測定情報は、操作部43から入力されてもよい。
このような体温計1では、次のように動作する。
図20には、本実施形態における体温計1の動作を示すフローチャートが示されている。この図20に示されるように、体温計1で人体2の体温を測定するには、まず、その人体2における深部から体表面2Aまでの表層部熱抵抗値R+Rを算出する体温測定準備工程を行う。
人体2(本実施形態では幼児の額)に体温計本体3を装着し、幼児を抱いた体温計1の操作者5は表示装置4を腕に装着する。操作者5が表示装置4の操作部43を操作することにより表示装置4のスイッチがONされると、送受信手段41が体温計本体3に電波を送信する。この電波による電磁誘導でアンテナコイル36に起電力を発生させることにより体温計本体3にチャージを行う(ステップS11)。起電力により体温計本体3が起動し(ステップS12)、体表面センサ31および外表面センサ33が起動する。これらのセンサ31,33が起動すると、体温計本体3は、送受信手段35から表示装置4にスタンバイ信号を送信する(ステップS13)。
表示装置4の制御手段44は、このスタンバイ信号を受信すると温度測定指令信号を送受信手段41から送信する(ステップS14)。体温計本体3は、この温度測定指令信号を受信して、体表面センサ31および外表面センサ33を駆動し、体表面2Aの算出用体表面温度T0,b1および外表面30の算出用外気温度T0,b2を測定する(ステップS15およびステップS16、熱抵抗算出用温度測定工程)。これらの算出用体表面温度T0,b1および算出用外気温度T0,b2の温度情報は、A/D変換器34でアナログ信号からデジタル信号に変換され、送受信手段35によって表示装置4に送信される(ステップS17)。なお、算出用体表面温度T0,b1および算出用外気温度T0,b2は、人体2の深部から体表面2Aまでの伝熱が定常状態となるように、所定時間経過後に測定することが望ましい。
ここで、制御手段44は、体表面センサ31および外表面センサ33から得た温度情報を用いて表層部熱抵抗値R+Rの算出を行うのか、深部の温度の演算を行うのかを判断する必要がある。このため、制御手段44には、図示しない選択手段が設けられている。この選択手段は、例えば表示部42に、「体温測定準備モード」および「体温測定モード」のいずれかを選択させる選択画面を表示し、操作者5は、操作部43を操作することなどによってどちらかのモードを選択するように構成されていればよい。ここでは、操作者5は、体温測定準備モードを選択して、制御手段44に温度情報を用いて表層部熱抵抗値R+Rの算出を行う指示を行えばよい。表示装置4の制御手段44は、体温計本体3から送信された算出用体表面温度T0,b1および算出用外表面温度T0,b2に基づいて熱流束算出手段444で熱流束Qs+rを算出する(ステップS18、熱流束算出工程)。
次に、表示装置4は、表示部42に熱抵抗算出用の深部の温度である算出用深部温度T0,coreを入力するよう求める画面を表示する。操作者5は、操作部43を操作することによって、測定した算出用深部温度T0,coreを入力する。これにより、表示装置4は、算出用深部温度T0,coreを取得する(ステップS19)。なお、算出用深部温度T0,coreは、腋下温や舌下温などを測定する既知の体温計により測定すればよい。
制御手段44の熱抵抗算出手段443は、取得した算出用深部温度T0,coreと、熱流束算出手段444で算出した熱流束Qs+rとから、数式3によって人体2の深部から体表面2Aまでの表層部熱抵抗値R+Rを算出する(ステップS20、熱抵抗算出工程)。制御手段44は、算出した表層部熱抵抗値R+Rを記憶部45に記憶させて(ステップS21、記憶工程)体温測定準備を終了する。
次に、実際に人体2の体温を連続的に測定する場合の体温測定工程における体温計1の動作について説明する。
図21は、体温計1の動作を示すフローチャートである。この図21において、体温計1で人体2の体温を測定する際には、まず前述のステップS11と同様に、表示装置4のアンテナコイル46からの電波によるアンテナコイル36に電磁誘導によって、体温計本体3にチャージを行う(ステップS31)。体温計本体3の各センサ31,33が起動すると(ステップS32)、体温計本体3は表示装置4にスタンバイ信号を送信する(ステップS33)。これにより、表示装置4は、体温計本体3が体温を測定する準備が整ったと判断し、記憶部45から人体2の表層部熱抵抗値R+Rを読み出す(ステップS34)。そして、送受信手段41を介して体温計本体3に体温の測定開始信号を送信する(ステップS35)。
体温計本体3は、表示装置4からの測定開始信号を受信して、体表面センサ31による体表面2Aの体表面温度Tb1の測定および外表面センサ33による外表面温度Tb2の測定を開始する(ステップS36、温度測定工程)。体表面センサ31で検出された温度値Tb1,Tb2は、A/D変換器34でデジタル信号に変換された後、送受信手段35で表示装置4に送信される。
なお、制御手段44では、体表面センサ31および外表面センサ33からの温度情報を用いて深部の体温を演算するために、前述の選択手段によって「体温測定モード」が選択されている必要がある。
制御手段44の深部温度演算手段441では、体温計本体3から送信された体表面温度Tb1および外表面温度Tb2から本実施形態で示した前述の式によって深部の温度Tcoreを演算する(ステップS37、深部温度演算工程)。制御手段44は、記憶部45に温度Tcoreを記憶させるとともに(ステップS38)、表示部42に温度Tcoreを表示する(ステップS39)。操作者5は、幼児を抱いた状態で、腕時計型の表示装置4の表示部42で、温度Tcoreを確認できる。
制御手段44は、内蔵されたタイマーにより体表面温度Tb1の測定時からの経過時間をカウントし、所定時間経過したか否かを監視する(ステップS40)。経過時間が所定時間以上となると、ステップS35に戻って、制御手段44は体温計本体3に測定開始信号を送信し、再度体表面温度Tb1および外表面温度Tb2の測定を行う。
このようにして所定時間毎に体表面温度Tb1および外表面温度Tb2を測定して深部の温度Tcoreを演算し、記憶部45に蓄積する。
なお、表層部熱抵抗値R+Rは、人体2の体型が急激に変化するなどの特別の事情がある場合以外は、大きく変化しないので、熱流束算出手段444による熱流束Qs+rの算出、および熱抵抗算出手段443による表層部熱抵抗値R+Rの算出は、体温の測定を始める際に最初の一回行えばよい。なお、体型が急激に変化するなどして人体2の伝熱特性が変化した場合には、もう一度深部の温度データT0,coreを取得し、体表面温度Tb1および外表面温度Tb2を測定して熱流束Qs+rおよび表層部熱抵抗値R+Rを算出すればよい。
また、人体2に固有の表層部熱抵抗値R+Rは、変化が小さいので、体温計1を再び使用する場合にも、前回算出した表層部熱抵抗値R+Rを用いることができるので、二回目からの測定時には、体温測定開始までの時間の短縮を図ることができる。この場合に、記憶部45に複数の人体2に対する表層部熱抵抗値R+Rを記憶しておけば、操作部43で操作することによって前回算出した表層部熱抵抗値R+Rを読み出して再度利用することができる。この場合には、体温測定工程を行う際に、操作部43によって人体2を特定するための生体選択を行えばよい。
このような第六実施形態によれば、第一実施形態の(3)および(5)の効果のほかに次のような効果が得られる。
(13)熱抵抗算出手段443が、人体2の算出用体表面温度T0,b1、算出用外表面温度T0,b2、断熱材37等の既知の熱抵抗値Ru0、および算出用深部温度T0,coreに基づいて表層部熱抵抗値R+Rを算出するので、人体2の伝熱特性に応じた表層部熱抵抗値R+Rを得ることができる。深部温度演算手段441は、この表層部熱抵抗値R+Rを基に深部の温度Tcoreを算出するので、人体2の体型の違いなどによる影響を受けることなく、人体2の伝熱特性に応じて、深部の体温Tcoreを正確に演算できる。
また、人体2の深部から外気までの熱流束が一定であることを利用して、熱抵抗算出手段443が人体2の表層部熱抵抗値R+Rを算出するので、従来の体温計のように熱流をキャンセルするためのヒータなどの加熱手段が不要となるから、体温計1の構成を簡単にできる。これにより体温計1の小型化をより一層促進できる。そして、従来の加熱手段が不要なので、体温計1の省電力化を促進できるとともに、体温計1を長時間体表面2Aに貼り付けていても安全であるから、体温計1の安全性、取扱性を向上させることができる。
(14)体温計本体3と表示装置4とを別体に構成し、送受信手段35,41によって通信可能に構成したので、人体2に接触させる体温計本体3に搭載する部品数を最小限に抑制でき、体温計本体3の軽量化、小型化を促進できる。よって、体温計本体3を長時間貼り付けていても負担にはならないため、体温計本体3の携帯性を向上させることができる。また、熱抵抗算出手段443や深部温度演算手段441を備えた制御手段44も表示装置4に設けたことにより、体温計本体3の軽量化、小型化をより一層促進できる。
送受信手段35,41がアンテナコイル36,46によって無線通信を行う構成となっているので、配線などが邪魔にならず、体温計1の取扱性を向上させることができる。
さらに、表示装置4が、腕時計型に形成されているので、操作者5が腕につけて表示部42を視認できる。したがって、本実施形態のように体温を測定したい幼児を抱いた状態で体温の表示を確認できるので、体温計1の操作性を向上させることができる。
(15)記憶部45に表層部熱抵抗値R+Rが記憶されるので、体温測定工程では、記憶された表層部熱抵抗値R+Rを読み出して用いることができる。このため、体温測定準備工程と体温測定工程とを連続して行う必要がなく、予め表層部熱抵抗値R+Rを算出しておくことができる。したがって、体温計1の取扱性を向上させることができるとともに、体温測定工程での測定時間を短縮できる。また、記憶部45が、複数の人体2の表層部熱抵抗値R+Rを記憶できるので、体温計1を複数人に交互に使用することもでき、体温計1の利便性を向上させることができる。
[第7実施形態]
図22には、本実施形態にかかる体温計1のブロック構成図が示されている。この体温計1は、生体である人体2(図23参照)の体表面に接触する温度測定手段としての体温計本体3と、体温計本体3とは別体に設けられる表示装置4とを備えている。
図23には、体温計本体3が人体2に装着された図が示されており、また図24には、体温計本体3および表示装置4が装着された図が示されている。
まず、図23に示されるように、体温計本体3は、人体2の体表面2Aに接触する接触面300を有し、体表面2Aの温度を検出する測定部としての体表面センサ31と、体温計本体3の外気側に露出する外表面30を有するとともに、この外表面30の温度を検出する測定部としての外表面センサ33と、体表面センサ31と外表面センサ33との中間位置に配置される測定部としての中間センサ32とを備え、これらの体表面センサ31、中間センサ32、および外表面センサ33は断熱材37に取り付けられ固定されている。この体温計本体3は、粘着剤などによって体表面センサ31側の面を人体2に貼付可能となっており、この粘着剤などにより、体温計本体3が体表面2Aに良好な接触圧力で密着できるように構成されている。
ここで、体温計本体3の貼付位置は、人体で皮膚温が外気の影響を受けにくく、比較的安定して体表面温度を測定できる額や後頭部、胸部、背中などの部位に設定されることが望ましい。本実施形態では、体温計本体3は、幼児(人体)2の胸部に貼り付けられている。
また、断熱材37は、体温計本体3を体表面2Aに貼り付けた際に、人体2の深部から体表面2Aおよび断熱材37を通って外表面30までの熱流束が外部の環境に影響されにくく安定するように、ある程度の大きさを有していることが望ましく、例えば断熱材37が縦横10cm以上の寸法を有する略矩形状に形成されることが考えられる。
なお、断熱材37の熱抵抗値Ru0は、適宜な材料を選択することにより所定値に設定されており、したがって、接触面300から外表面センサ33までの熱抵抗値は、断熱材37の熱抵抗値にほぼ等しく、熱抵抗値Ru0となる。また、接触面300から中間センサ32までの熱抵抗値は、接触面300から中間センサ32が設けられた位置までの距離などによって設定可能な所定値であり、本実施形態では、熱抵抗値Ru01に設定されている。
体表面センサ31、外表面センサ33、および中間センサ32は、第一実施形態で示した温度値を抵抗値に変換するものや、温度値を電圧値に変換するものなどが採用できる。
また、体温計本体3は、体表面センサ31、外表面センサ33、および中間センサ32の他に、前述の図22に示されるように、A/D変換器34と、送受信手段35とを備えている。
A/D変換器34は、体表面センサ31、外表面センサ33、および中間センサ32で変換された抵抗値や電圧値のアナログ信号をデジタル信号に変換し、送受信手段35に出力する。もしくは、A/D変換器34の代わりにCR発振を利用したRFコンバータを使用しても良い。
送受信手段35は、アンテナコイル36を備え、A/D変換器34でデジタル信号に変換された温度値(抵抗値や電圧値)の信号を表示装置4側に電波送信する。
表示装置4は、図24に示されるように、腕時計型で携帯可能に構成されており、体温計本体3を装着した幼児を抱いた操作者5が装着できるようになっている。表示装置4は、前述の図22に示されるように、体温計本体3との間で信号を送受信する送受信手段41と、体温の測定結果などを表示する表示部42と、表示装置4を外部から操作する操作部43と、表示装置4の動作を制御する制御手段44と、送受信手段41や制御手段44などから得られた情報を蓄積する記憶部(記憶手段)45とを備えている。
送受信手段41は、第六実施形態と同一であるので説明を省略する。また、表示部42および操作部43は、第一実施形態と同様であるので説明を省略する。
制御手段44は、体表面センサ31からの体表面温度、中間センサ32からの中間温度、および外表面センサ33からの外表面温度に基づいて熱抵抗値と温度との関係を温度分布として演算する温度分布演算手段442と、体表面温度、中間温度、外表面温度、および既知の体温計などで測定された算出用深部温度とを用いて人体2の深部から体表面2Aまでの表層部熱抵抗値を算出する熱抵抗算出手段443と、熱抵抗算出手段443で算出された表層部熱抵抗値を用いて人体2の深部の温度を演算する深部温度演算手段441とを備えている。
ここで図25に、人体2の深部から体表面2Aまでの距離に対する体温の温度分布のシミュレーション結果を示す。この図25に示されるように、深部からの距離に対する温度変化は直線的とはならず曲線的となっている。これは、深部からの熱の移動が、実際には深部から体表面に向かって1次元的に行われるのではなく、体表面に沿った方向にも行われることにより3次元的に行われていることや、その他の理由によるものと考えられる。
図26には、人体2の深部から体表面2Aおよび体温計本体3を通って外気までの温度分布のモデルが示されている。この図26において、横軸は熱抵抗値であり、縦軸は温度(体温)となっている。図26に示されるように、人体2の深部から外気までの温度の伝達モデルにおいては、人体2の深部の温度Tcoreは略一定となっている。深部よりも外殻側の表層部では、皮膚の熱抵抗や外気温の影響により体温が下降する。なお、図示はしないが、体表面2Aと体温計本体3との間には、微視的には隙間が生じているため、この隙間での熱放出により、接触熱抵抗部でも温度が低下する。したがって実際に体温計本体3で体表面2Aの体温を測定する場合には、この接触熱抵抗部により低下した温度Tb1が測定されることとなる。
体温計本体3自体にも熱抵抗が存在するため、体温計本体3内でも温度の降下が生じ、体温計本体3の外表面30では温度Tb2となる。また、中間センサ32の位置では温度Tb2が測定され、外表面センサ33では、この温度Tb4が測定されることとなる。さらに、体温計本体3の外表面30と外気との間でも外気温接触部での熱放出があるため、温度が低下し、最終的に外気温Tambとなる。
ここで、前述の図25に示したように、人体2の深部から体表面2Aまでの熱の移動は1次元的に行われるものではないため、図26においても熱抵抗値と温度との関係は、曲線的となっている。
温度分布演算手段442は、体表面センサ31で測定した体表面温度Tb1と、中間センサ32で測定した中間温度Tb2と、外表面センサ33で測定した外表面温度Tb4とから曲線近似を行うことにより熱抵抗値Rと温度Tの関係を人体2の温度分布T(R)として求める。
具体的には、温度分布T(R)は、熱抵抗値Rの多項式近似式として、次の式(14)で表される。
Figure 2006308538
温度分布演算手段442は、この式(14)に体表面2Aの熱抵抗値(R=0)における体表面温度Tb1を入力した式、中間センサ32の位置の熱抵抗値(R=Ru01)における中間温度Tb2を入力した式、および外表面30の熱抵抗値(R=Ru0)における外表面温度b4を入力した式より、定数a,b,cを決定し、熱抵抗値Rに関する温度Tの関数(温度分布)T(R)を求める。
熱抵抗算出手段443は、表層部熱抵抗値Rsを求めるために測定された算出用体表面温度T0,b1、算出用中間温度T0,b2、および算出用外表面温度T0,b4から、温度分布演算手段442によって演算された熱抵抗値算出用の温度分布T0(R)を用い、この温度分布T0(R)に熱抵抗算出用の人体2の深部の算出用深部温度T0,coreを代入することにより、深部から体表面2Aまでの部分の表層部熱抵抗値Rsを求める。
実際に人体2の体温を測定する際には、深部温度演算手段441は、熱抵抗算出手段443で算出した表層部熱抵抗値Rsを用いて、温度分布演算手段442で求められた温度分布T(R)に表層部熱抵抗値Rsを代入することにより、深部の温度Tcoreを算出する。
記憶部45には、体温計本体3から送信された体表面温度Tb1、中間温度Tb2、および外表面温度Tb4が記憶される。また、熱抵抗算出手段443で算出された人体2の深部から体表面2Aまでの部分の表層部熱抵抗値Rs、深部温度演算手段441で演算された人体2の深部の温度Tcoreなどが記憶される。
ここで、記憶部45は、複数の人体2に関する温度情報を記憶可能に構成されており、表層部熱抵抗値Rsや深部の温度Tcoreなどが、各人体2毎に記憶されている。また、記憶部45は、表層部熱抵抗値Rsを算出する際に測定した算出用体表面温度T0,b1、算出用中間温度T0,b2、および算出用外表面温度T0,b4などの測定位置を記憶可能となっている。なお、記憶部45には、前述の温度情報以外にも、例えば被測定者(人体2、幼児)の氏名、年齢、測定日時などの測定情報を記憶させてもよい。この場合に、これらの測定情報は、操作部43から入力されてもよい。
このような体温計1では、次のように動作する。
図27には、本実施形態における体温計1の動作を示すフローチャートが示されている。この図27に示されるように、体温計1で人体2の体温を測定するには、まず、その人体2における深部から体表面2Aまでの表層部熱抵抗値Rsを算出する体温測定準備工程を行う。
人体2(本実施形態では幼児の胸部)に体温計本体3を装着し、幼児を抱いた体温計1の操作者5は表示装置4を腕に装着する。操作者5が表示装置4の操作部43を操作することにより表示装置4のスイッチがONされると、送受信手段41が体温計本体3に電波を送信する。この電波による電磁誘導でアンテナコイル36に起電力を発生させることにより体温計本体3にチャージを行う(ステップS41)。起電力により体温計本体3が起動すると(ステップS42)、体表面センサ31、中間センサ32、および外表面センサ33が起動する。これらのセンサ31,32,33が起動すると、体温計本体3は、送受信手段35から表示装置4にスタンバイ信号を送信する(ステップS43)。
表示装置4の制御手段44は、このスタンバイ信号を受信すると温度測定指令信号を送受信手段41から送信する(ステップS44)。体温計本体3は、この温度測定指令信号を受信して、体表面センサ31、中間センサ32、および外表面センサ33を作動させ、表層部熱抵抗値Rsの算出用温度、つまり体表面2Aの算出用体表面温度T0,b1、断熱材37の中間の算出用中間温度T0,b2、および外表面30の算出用外表面温度T0,b4を測定する(ステップS45、熱抵抗算出用温度測定工程)。これらの算出用体表面温度T0,b1、算出用中間温度T0,b2、および算出用外表面温度T0,b4の温度情報は、A/D変換器34でアナログ信号からデジタル信号に変換され、送受信手段35によって表示装置4に送信される(ステップS46)。なお、算出用体表面温度T0,b1、算出用中間温度T0,b2、および算出用外表面温度T0,b4は、人体2の深部から体表面2Aまでの伝熱が定常状態となるように、所定時間経過後に測定することが望ましい。
ここで、制御手段44は、体表面センサ31、中間センサ32、および外表面センサ33から得た温度情報を用いて表層部熱抵抗値Rsの算出を行うのか、深部の温度Tcoreの演算を行うのかを判断する必要がある。このため、制御手段44には、図示しない選択手段が設けられている。この選択手段は、例えば表示部42に、「体温測定準備モード」および「体温測定モード」のいずれかを選択させる選択画面を表示し、操作者5は、操作部43を操作することなどによってどちらかのモードを選択するように構成されていればよい。ここでは、操作者5は、体温測定準備モードを選択して、制御手段44に温度情報を用いて表層部熱抵抗値Rsの算出を行う指示を行えばよい。
表示装置4の制御手段44は、体温計本体3から送信された算出用体表面温度T0,b1、算出用中間温度T0,b2、および算出用外表面温度T0,b4に基づいて温度分布演算手段442で定数a,b,cを決定することにより、温度分布T0(R)を演算する(ステップS47、温度分布演算工程)。
次に、表示装置4は、表示部42に熱抵抗値算出用の深部の温度である算出用深部温度T0,coreを入力するよう求める画面を表示する。操作者5は、操作部43を操作することによって、測定した算出用深部温度T0,coreを入力する。これにより、表示装置4は、算出用深部温度T0,coreを取得する(ステップS48)。なお、算出用深部温度T0,coreは、腋下温や舌下温などを測定する既知の体温計により測定すればよく、算出用体表面温度T0,b1、算出用中間温度T0,b2、算出用外表面温度T0,b4の測定とほぼ同時に測定しておく必要がある。
制御手段44の熱抵抗算出手段443は、取得した算出用深部温度T0,coreを、温度分布演算手段442で演算した温度分布T0(R)に代入することによって人体2の深部から体表面2Aまでの表層部熱抵抗値Rsを算出する(ステップS49、熱抵抗算出工程)。制御手段44は、算出した表層部熱抵抗値Rsを記憶部45に記憶させて(ステップS50)体温測定準備を終了する。
次に、実際に人体2の体温を連続的に測定する場合の体温測定工程における体温計1の動作について説明する。図28は、体温計1の動作を示すフローチャートである。この図28において、体温計1で人体2の体温を測定する際には、まず前述のステップS41と同様に、表示装置4のアンテナコイル46からの電波によるアンテナコイル36に電磁誘導によって、体温計本体3にチャージを行う(ステップS51)。体温計本体3の各センサ31,32,33が起動すると(ステップS52)、体温計本体3は表示装置4にスタンバイ信号を送信する(ステップS53)。これにより、表示装置4は、体温計本体3が体温を測定する準備が整ったと判断し、記憶部45から人体2の表層部熱抵抗値Rsを読み出す(ステップS54)。そして、送受信手段41を介して体温計本体3に体温の測定開始信号を送信する(ステップS55)。
体温計本体3は、表示装置4からの測定開始信号を受信して、体表面センサ31による体表面2Aの体表面温度Tb1の測定、中間センサ32による中間温度Tb2の測定、および外表面センサ33による外表面温度Tb4の測定を開始する(ステップS56、温度測定工程)。各センサ31,32,33で検出された温度値Tb1,Tb2,Tb4は、A/D変換器34でデジタル信号に変換された後、送受信手段35で表示装置4に送信される。
なお、制御手段44では、体表面センサ31、中間センサ32、および外表面センサ33からの温度情報を用いて深部の体温を演算するために、前述の選択手段によって「体温測定モード」が選択されている必要がある。
制御手段44の温度分布演算手段442では、体温計本体3から送信された体表面温度T、中間温度T、および外表面温度Tから、式(14)を用いて多項式近似の曲線近似を行うことにより、温度分布T(R)を演算する(ステップS57)。
深部温度演算手段441では、熱抵抗算出手段443で算出された表層部熱抵抗値Rsと、温度分布演算手段442で演算された温度分布T(R)とに基づき、深部の温度Tcoreを演算する(ステップS58、深部温度演算工程)。制御手段44は、記憶部45に温度Tcoreを記憶させるとともに(ステップS59)、表示部42に温度Tcoreを表示する(ステップS60)。操作者5は、幼児を抱いた状態で、腕時計型の表示装置4の表示部42で、温度Tcoreを確認できる。
制御手段44は、内蔵されたタイマーにより体表面温度Tb1、中間温度Tb2、および外表面温度Tb4の測定時からの経過時間をカウントし、所定時間経過したか否かを監視する(ステップS61)。経過時間が所定時間以上となると、ステップS65に戻って、制御手段44は体温計本体3に測定開始信号を送信し、再度体表面温度Tb1、中間温度Tb2、および外表面温度Tb4の測定を行う。
このようにして所定時間毎に体表面温度Tb1、中間温度Tb2、および外表面温度Tb4を測定して深部の温度Tcoreを演算し、記憶部45に蓄積する。
なお、表層部熱抵抗値Rsは、人体2の体型が急激に変化するなどの特別の事情がある場合以外は、大きく変化しないので、表層部熱抵抗値Rsを算出する際の温度分布演算手段442での温度分布T0(R)の演算、および熱抵抗算出手段443による表層部熱抵抗値Rsの算出は、体温の測定を始める際に最初の一回行えばよい。なお、体型が急激に変化するなどして人体2の伝熱特性が変化した場合には、もう一度深部の温度データT0,coreを取得し、算出用体表面温度T0,b1、算出用中間温度T0,b2、および算出用外表面温度T0,b4を測定して温度分布T(R)および表層部熱抵抗値Rsを算出すればよい。
また、人体2に固有の表層部熱抵抗値Rsは、変化が小さいので、体温計1を再び使用する場合にも、前回算出した表層部熱抵抗値Rsを用いることができるので、二回目からの測定時には、体温測定開始までの時間の短縮を図ることができる。この場合に、記憶部45に複数の人体2に対する表層部熱抵抗値Rsを記憶しておけば、操作部43で操作することによって前回算出した表層部熱抵抗値Rsを読み出して再度利用することができる。この場合には、体温測定工程を行う際に、操作部43によって人体2を特定するための生体選択を行えばよい。
このような第七実施形態によれば、第一実施形態の(3)、(4)、(5)の効果のほかに次のような効果が得られる。
(16)熱抵抗算出手段443が、人体2の深部から体表面2Aまでの温度分布T(R)を用いて、算出用深部温度T0,coreに基づいて表層部熱抵抗値Rsを算出するので、人体2の伝熱特性に応じた表層部熱抵抗値Rsを得ることができる。深部温度演算手段441は、この表層部熱抵抗値Rsに基づいて深部の温度Tcoreを算出するので、人体2の体型の違いなどによる影響を受けることなく、人体2の伝熱特性に応じて、深部の体温Tcoreを正確に演算できる。
また、人体2の深部から外気までにおける熱抵抗値と温度との関係を温度分布T(R)として演算し、この温度分布T(R)を用いて人体2の表層部熱抵抗値Rsを算出するので、従来の体温計のように熱流をキャンセルするためのヒータなどの加熱手段が不要となるから、体温計1の構成を簡単にできる。これにより体温計1の小型化をより一層促進できる。そして、従来の加熱手段が不要なので、体温計1の省電力化を促進できるとともに、体温計1を長時間体表面2Aに貼り付けていても安全であるから、体温計1の安全性、取扱性を向上させることができる。
(17)体表面センサ31、中間センサ32、および外表面センサ33により、3点における温度を測定し、温度分布T(R)を多項近似式として曲線近似するので、例えば2点の測定点から熱抵抗値と温度との関係を直線近似する場合に較べて、実際の熱の移動をより正確に近似できる。したがって、人体2の深部の体温をより正確に演算できる。人体2の体表面2Aに貼り付けられた体温計本体3の各センサ31,32,33で温度を測定することにより、人体2の深部の温度を正確に演算できるので、簡単な作業で体温測定を実現でき、体温計1の取扱性を向上させることができる。
(18)記憶部45に表層部熱抵抗値Rsが記憶されるので、体温測定工程では、記憶された表層部熱抵抗値Rsを読み出して用いることができる。このため、体温測定準備工程と体温測定工程とを連続して行う必要がなく、予め表層部熱抵抗値Rを算出しておくことができる。したがって、体温計1の取扱性を向上させることができるとともに、体温測定工程での測定時間を短縮できる。また、記憶部45が、複数の人体2の表層部熱抵抗値Rを記憶できるので、体温計1を複数人に交互に使用することもでき、体温計1の利便性を向上させることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
[変形例1]
前記第一実施形態では、深部温度演算手段は、式(6)を演算式として記憶し、第1の体表面温度Tb1、第1の中間温度Tb2、第2の体表面温度Tb3、および第2の中間温度Tb4から直接深部の温度Tcoreを演算するものに限らない。例えば、人体の深部から外気までの熱流束Q、および人体の深部から体表面までの部分の熱抵抗値R+Rを求め、これらの熱流束Qおよび熱抵抗値R+Rを用いて深部の温度Tcoreを演算するように構成してもよい。
図29は、本発明の体温計の変形例を示すブロック構成図である。この図29に示されるように、制御手段44は、深部温度演算手段441の他に、体表面温度および中間温度とに基づいて、体表面2Aから界面301A,301Bまでの間の熱流束Qu1,Qu2を算出する熱流束算出手段444と、熱流束算出手段444で算出された熱流束Qu1,Qu2に基づいて、人体2の深部から体表面2Aまでの部分の表層部熱抵抗値R+Rを算出する熱抵抗算出手段443とを備えている。また、深部温度演算手段441は、熱抵抗算出手段443で算出された熱抵抗値R+Rに基づいて、人体2の深部の温度Tcoreを演算するように構成されている。
熱流束算出手段444は、体表面センサ31A,31Bで測定した第1の体表面温度Tb1および第2の体表面温度Tb3と、中間センサ32A,32Bで測定した第1の中間温度Tb2および第2の中間温度Tb4とから、体表面2Aと界面301A,301Bとの間に流れる熱流束Qu1,Qu2をそれぞれ算出する。
具体的には、熱流束算出手段444には、前述の式(1)および次の式(15)に表される算出式が記憶されており、これらの算出式により熱流束Qu1,Qu2を算出する。
Figure 2006308538
前記第一実施形態の式(4)および式(5)より、深部の温度Tcoreは、それぞれ次の式(16)および式(17)で表される。
Figure 2006308538
これらの式(16)および式(17)により、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱抵抗値R+Rは、次の式(18)のように表される。
Figure 2006308538
したがって、熱抵抗算出手段443には、この式(18)が記憶されている。この算出式により熱抵抗算出手段443は、検出された熱流束Qu1,Qu2を用いて、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における表層部熱抵抗値R+Rを算出する。
深部温度演算手段441には、前述の式(16)および式(17)のうちいずれか一方が記憶されている。実際に人体2の深部の温度Tcoreを演算する際には、深部温度演算手段441は、熱抵抗算出手段443で算出した表層部熱抵抗値R+Rを用いて、記憶されている式に使われる体表面温度および中間温度から、深部の温度を算出する。
つまり、例えば深部温度演算手段441に式(16)が記憶されている場合には、体表面センサ31Aから得た第1の体表面温度Tb1および第1の中間温度Tb2、熱抵抗値Ru0を用いて深部の温度Tcoreを演算すればよい。
このような制御手段44の構成によれば、人体2の伝熱特性に応じた表層部熱抵抗値R+Rを得ることができるので、人体2の体型の違いなどによる影響を受けることなく、人体2の伝熱特性に応じて、深部の体温Tcoreを正確に演算できる。
なお、表層部熱抵抗値R+Rは、人体2の体型が急激に変化するなどの特別の事情がある場合以外は、大きく変化しないので、熱流束算出手段444による熱流束Qs+rの算出、および熱抵抗算出手段443による表層部熱抵抗値R+Rの算出は、体温の測定を始める際に最初の一回行うだけであってもよい。この場合には、例えば算出した表層部熱抵抗値R+Rを記憶部45に記憶しておき、深部温度演算手段441で体表面温度および中間温度から深部の温度を算出する毎に、記憶部45から表層部熱抵抗値R+Rを読み出して使用してもよい。
なお、体型が急激に変化するなどして人体2の伝熱特性が変化した場合には、もう一度二つの体表面センサ31A,31Bおよび中間センサ32A,32Bによって第1の体表面温度Tb1および第2の体表面温度Tb3と、第1の中間温度Tb2および第2の中間温度Tb4を測定して熱流束Qu1,Qu2および表層部熱抵抗値R+Rを算出すればよい。
また、人体2に固有の表層部熱抵抗値R+Rは、変化が小さいので、体温計1を再び使用する場合にも、前回算出した表層部熱抵抗値R+Rを用いることができるので、二回目からの測定時には、体温測定開始までの時間の短縮を図ることができる。この場合に、記憶部45に複数の人体2に対する表層部熱抵抗値R+Rを記憶しておけば、操作部43で操作することによって前回算出した表層部熱抵抗値R+Rを読み出して再度利用することができる。この場合には、体温測定工程を行う際に、操作部43によって人体2を特定するための生体選択を行えばよい。
参照温度測定部は、第1参照温度測定部および第2参照温度測定部が中間温度測定手段である場合に限らず、少なくともどちらか一方が中間温度測定手段で構成されていればよい。また、参照温度測定部は、中間の温度を測定する中間温度測定手段に限らず、例えば外気の温度を測定する外気温度測定手段であってもよい。
体表面測定手段および参照温度測定部は、2つずつ設けられるものに限らず、3つ以上の複数個設けられていてもよい。
[変形例2]
深部温度演算手段は、前記第二実施形態のように式(11)を演算式として記憶し、第1の体表面温度Tb1、第1の外表面温度Tb2、第2の体表面温度Tb3、第2の外表面温度Tb4、および第1の熱抵抗値Ru1と第2の熱抵抗値Ru2との比率αから直接深部の温度Tcoreを演算するものに限らない。例えば、人体の深部から外気までの熱流束Q、および人体の深部から体表面までの部分の熱抵抗値R+Rを求め、これらの熱流束Qおよび熱抵抗値R+Rを用いて深部の温度Tcoreを演算するように構成してもよい。
図30は、本発明の体温計の変形例を示すブロック構成図である。この図30に示されるように、制御手段44は、深部温度演算手段441の他に、体表面温度および外表面温度とに基づいて、体表面2Aから外表面302A,302Bまでの間の熱流束Qu1,Qu2を算出する熱流束算出手段444と、熱流束算出手段444で算出された熱流束Qu1,Qu2に基づいて、人体2の深部から体表面2Aまでの部分の表層部熱抵抗値R+Rを算出する熱抵抗算出手段443とを備えている。また、深部温度演算手段441は、熱抵抗算出手段443で算出された熱抵抗値R+Rに基づいて、人体2の深部の温度Tcoreを演算するように構成されている。
熱流束算出手段444は、体表面センサ31A,31Bで測定した第1の体表面温度Tb1および第2の体表面温度Tb3と、外表面センサ33A,33Bで測定した第1の外表面温度Tb2および第2の外表面温度Tb4とから、体表面2Aと外表面302A,302Bとの間に流れる熱流束Qu1,Qu2をそれぞれ算出する。
具体的には、熱流束算出手段444には、前述の式(7)および次の式(19)に表される算出式が記憶されており、これらの算出式により熱流束Qu1,Qu2を算出する。
Figure 2006308538
前記第二実施形態の式(9)および式(10)より、深部の温度Tcoreは、それぞれ次の式(20)および式(21)で表される。
Figure 2006308538
これらの式(20)および式(21)により、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における熱抵抗値R+Rは、次の式(22)のように表される。
Figure 2006308538
したがって、熱抵抗算出手段443には、この式(22)が記憶されている。この算出式により熱抵抗算出手段443は、算出された熱流束Qu1,Qu2を用いて、人体2の深部から体表面2Aまでの部分における表層部熱抵抗値R+Rを算出する。
深部温度演算手段441には、前述の式(20)および式(21)のうちいずれか一方が記憶されている。実際に人体2の深部の温度Tcoreを演算する際には、深部温度演算手段441は、熱抵抗算出手段443で算出した表層部熱抵抗値R+Rを用いて、体表面センサ31A,31Bで得た体表面温度および外表面センサ33A,33Bで得た外表面温度から、深部の温度を算出する。
つまり、例えば深部温度演算手段441に式(21)が記憶されている場合には、体表面センサ31Aから得た第1の体表面温度Tb1および第1の外表面温度Tb2、第1の熱抵抗値Ru1を用いて深部の温度Tcoreを演算すればよい。
このような制御手段44の構成によれば、人体2の伝熱特性に応じた表層部熱抵抗値R+Rを得ることができるので、人体2の体型の違いなどによる影響を受けることなく、人体2の伝熱特性に応じて、深部の体温Tcoreを正確に演算できる。
なお、表層部熱抵抗値R+Rは、人体2の体型が急激に変化するなどの特別の事情がある場合以外は、大きく変化しないので、熱流束算出手段444による熱流束Qs+rの算出、および熱抵抗算出手段443による表層部熱抵抗値R+Rの算出は、体温の測定を始める際に最初の一回行うだけであってもよい。この場合には、例えば算出した表層部熱抵抗値R+Rを記憶部45に記憶しておき、深部温度演算手段441で体表面温度および外表面温度から深部の温度を算出する毎に、記憶部45から表層部熱抵抗値R+Rを読み出して使用してもよい。
なお、体型が急激に変化するなどして人体2の伝熱特性が変化した場合には、もう一度二つの体表面センサ31A,31Bおよび外表面センサ33A,33Bによって第1の体表面温度Tb1および第2の体表面温度Tb3と、第1の外表面温度Tb2および第2の外表面温度Tb4を測定して熱流束Qu1,Qu2および表層部熱抵抗値R+Rを算出すればよい。
また、人体2に固有の表層部熱抵抗値R+Rは、変化が小さいので、体温計1を再び使用する場合にも、前回算出した表層部熱抵抗値R+Rを用いることができるので、二回目からの測定時には、体温測定開始までの時間の短縮を図ることができる。この場合に、記憶部45に複数の人体2に対する表層部熱抵抗値R+Rを記憶しておけば、操作部43で操作することによって前回算出した表層部熱抵抗値R+Rを読み出して再度利用することができる。この場合には、体温測定工程を行う際に、操作部43によって人体2を特定するための生体選択を行えばよい。
[変形例3]
前記第六実施形態において、熱抵抗算出手段は、表層部熱抵抗値を体表面温度と外表面温度とを用いて求めるものに限らず、例えば体表面温度と外気温度とから求めてもよい。
図31には、体温計1の変形例の構成ブロック図が示されている。この図31に示されるように、体温計本体3には、体表面センサ31、A/D変換器34、および送受信手段35が設けられている。一方、表示装置4には、前記第六実施形態と同様の送受信手段41、表示部42、操作部43、制御手段44、および記憶部45の他、外気温度を測定する参照温度測定部(外気温度測定手段)としての外気センサ47と、A/D変換器48とが設けられている。これらの外気センサ47およびA/D変換器48は、前記第六実施形態の外表面センサ33およびA/D変換器34と同様の構成となっている。
このような体温計1では、外気センサ47は、外気温度Tambを測定することとなる。
したがって、熱流束算出手段444では、前述の図19における算出用体表面温度T0,b1と算出用外気温度T0,ambとから表層部熱抵抗値R+Rを次式により算出する。
Figure 2006308538
このような構成によれば、外気センサ47が表示装置4に設けられているので、体温計本体3内の部品点数をより一層減少でき、これにより、体温計本体3をより一層軽量化、小型化できる。また、外気センサ47が体温計本体3の外表面30を測定するのではなく、外気の温度Tambを測定するので、より安定した温度を測定できる。
前記第1,5実施形態では、温度測定手段3A,3Bは、一つの断熱材37によって一体に形成されているが、断熱材37を二つの切り離した構成にして、温度測定手段3A,3Bを別々に形成してもよい。
前記第4,7実施形態において、測定部は、体表面、中間、および外表面の3つに限らず、曲線近似できるように複数(少なくとも3つ)あればよい。また、測定部の位置は、体表面や外表面に限らず、任意の位置に設定できる。なお、測定部が4つ以上設けられた場合には、温度分布を演算する際には、測定部の数だけ次数を増やした多項式を温度分布の関数として使用すればよい。
温度分布の演算の際には、必ずしも対数をとる必要はなく、例えば次の式に示されるように、単に次数を増やした多項式として近似してもよい。
また、曲線近似は、多項式近似に限らず、対数近似、指数近似など、任意の近似方式を採用できる。
Figure 2006308538
なお、前記第1実施形態において、断熱材38Aおよび断熱材38Bを用いて、熱流束を調整していたが、ヒータを用いることによって、熱流束を調整することも可能である。
前記第5実施形態において、温度測定手段3A,3Bは、共通の断熱材37を有していたが、必ずしもこのような構成である必要はなく、温度測定手段3A,3Bの全体の熱抵抗値が異なればよいので、例えば互いに異なる熱抵抗値を有する二つの断熱材でそれぞれ温度測定手段を構成し、それぞれの断熱材において、体表面から二つの温度測定手段の対応する測定部の熱抵抗値がそれぞれ等しくなるような位置に測定部を配置する構成としてもよい。
第六実施形態において、算出用深部温度は、既存の体温計で測定し、操作者5が表示装置4の操作部43を操作することにより制御手段44に入力されていたが、これに限らず、例えば表示装置4が送受信手段41を備えているので、既存の体温計で測定した算出用深部温度を無線通信によって送受信手段41で受信可能に構成してもよい。この場合には、操作者5が算出用深部温度を入力する手間を省略できるので、体温測定作業を簡略化できる。また、もともと存在する送受信手段41による通信手段を用いて算出用深部温度を取得(受信)するので、体温計1の構成を複雑化するのを防止できる。したがって、体温計1の構成部品の増加を防止できるので、体温計1の小型化を促進できる。
なお、体温計本体と表示装置とが別体ではなく、一体に構成されている場合には、体温計に別途算出用深部温度を無線通信によって受信するための受信手段を設けてもよい。
前記各実施形態において、送受信手段は、アンテナを有する無線通信に限らず、例えば体温計本体と表示装置とを配線して有線通信を行ってもよい。このような構成によれば、電波通信を行う必要がないので、電波による人体への影響を除去できる。また、有線により体温計本体に電力を供給できるので、電力供給の構成を簡単にできる。
また、温度値のアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を備えていたが、これに限らずA/D変換器を備えていない構成でもよい。この場合には、例えば温度値を周波数に変換するものなどが採用でき、抵抗値または電圧値に変換された温度値を、マルチバイブレータ回路や発振回路、V−Fコンバータなどによって周波数変換すればよい。または、温度値を時間に変換するものであってもよい。この場合には、周波数変換された信号をさらに周期時間またはパルス幅に変換すればよい。
体温計は、表示装置と体温計本体とが別体になっているものに限らず、表示装置と体温計本体とが一体に構成されていてもよい。
体温計は、前記実施形態のように表示装置4と体温計本体3とが別体で構成されている場合に、表示装置4が複数の体温計本体3の情報を管理するように構成されていてもよい。この場合には、各体温計本体3を識別できるIDコードなどを設け、表示装置4で体温計本体3を認識、管理できるように構成すればよい。
また、体温計の情報を端末などに送って複数個の体温計の情報を管理してもよい。この場合には、端末に生体ごとの体温データなどを蓄積、管理できるので、操作性が向上する。また、このような構成では、使用する体温計を変更した場合でも以前に算出した体温データなどを端末から取得できるので、体温計の利便性を向上させることができる。
体温計は、前記各実施形態では、体温計本体3が粘着剤により貼付可能な構成となっていたが、これに限らず、例えば体温計本体3を帽子やヘアバンドに組み込んだりすることにより、帽子やヘアバンドを装着すれば額や後頭部に体表面温測定手段が貼り付き、体表面に接触できる。また、体温計本体を下着などに組み込めば下着を装着することにより背中や胸に体表面温測定手段を接触させることができる。
表示体の形状は、腕時計に限らず、例えば据え置きであってもよいし、その他ペンダント式などにしてもよい。
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
本発明の第一実施形態にかかる体温計を示すブロック構成図。 第一実施形態の体温計本体を示す図。 第一実施形態の体温計本体および表示体を示す図。 第一実施形態の生体および体温計の温度分布モデルを示す図。 第一実施形態の動作を示すフローチャート。 本発明の第二実施形態にかかる体温計を示すブロック構成図。 第二実施形態の体温計本体を示す図。 第二実施形態の体温計本体および表示体を示す図。 第二実施形態の生体および体温計の温度分布モデルを示す図。 第二実施形態の動作を示すフローチャート。 本発明の第三実施形態にかかる体温計を示すブロック構成図。 本発明の第四実施形態にかかる体温計を示すブロック構成図。 第四実施形態の体温計本体を示す図。 第四実施形態の生体および体温計の温度分布モデルを示す図。 本発明の第五実施形態の体温計本体を示す図。 本発明の第六実施形態にかかる体温計を示すブロック構成図。 第六実施形態の体温計本体を示す図。 第六実施形態の体温計本体および表示体を示す図。 第六実施形態の生体および体温計の温度分布モデルを示す図。 第六実施形態の動作を示すフローチャート。 第六実施形態の別の動作を示すフローチャート。 本発明の第七実施形態にかかる体温計を示すブロック構成図。 第七実施形態の体温計本体を示す図。 第七実施形態の体温計本体および表示体を示す図。 第七実施形態の体温の温度分布シミュレーション結果を表す図。 第七実施形態の生体および体温計の温度分布モデルを示す図。 第七実施形態の動作を示すフローチャート。 第七実施形態の別の動作を示すフローチャート。 本発明の変形例1にかかる体温計を示すブロック構成図。 本発明の変形例2にかかる体温計を示すブロック構成図。 本発明の変形例3にかかる体温計を示すブロック構成図。
符号の説明
1…体温計、2…人体(生体)、2A…体表面、3…体温計本体、3A,3B…温度測定手段、4…表示装置、31…体表面センサ、31A…体表面センサ(第1基準温度測定部)、31B…体表面センサ(第2基準温度測定部)、32A…中間センサ(第1参照温度測定部)、32B…中間センサ(第2参照温度測定部)、33…外表面センサ(測定部)、33A,33B…外表面センサ、35…送受信手段、35A,35B…送受信手段、37…共通の熱抵抗値を有する断熱材、38A,38B…第1、第2の断熱材、41…送受信手段、42…表示部、44…制御手段、45…記憶部(記憶手段)、46…送受信手段、47…外気センサ(外気温度測定手段、参照温度測定部)、51A…熱流束センサ(第2熱流束測定部)、51B…熱流束センサ(第2熱流束測定部)、441…深部温度演算手段、442…温度分布演算手段、443…熱抵抗算出手段。

Claims (29)

  1. 生体の第1の体表面に接触可能に構成され、前記第1の体表面から第1の熱抵抗値を有する第1基準温度測定位置で第1の基準温度を測定する第1基準温度測定部と、前記第1基準温度測定位置での第1の熱流束値を測定する第1熱流束測定部とを備えた第1温度測定手段と、
    前記第1の体表面とは異なる位置の第2の体表面に接触可能に構成され、前記第2の体表面から前記第1の熱抵抗値との比率が既知の第2の熱抵抗値を有する第2基準温度測定位置で第2の基準温度を測定する第2基準温度測定部と、前記第2基準温度測定位置での第2の熱流束値を測定する第2熱流束測定部を備えた第2温度測定手段と、
    前記第1の熱流束値と前記第2の熱流束値とを異なる値にする熱流束調整手段と、
    前記第1および第2の基準温度、前記第1および第2の熱流束値、前記第1および第2の熱抵抗値の比率を用いて前記生体の深部の温度を演算するように構成された深部温度演算手段とを備えた
    ことを特徴とする体温計。
  2. 請求項1に記載の体温計において、
    前記第1温度測定手段は、前記第1の体表面からの熱抵抗値が前記第1の熱抵抗値と異なる第1参照温度測定位置の温度を第1の参照温度として測定する第1参照温度測定部を備え、
    前記第2温度測定手段は、前記第2の体表面からの熱抵抗値が前記第2の熱抵抗値と異なる第2参照温度測定位置の温度を第2の参照温度として測定する第2参照温度測定部を備え、
    前記第1熱流束測定部は、前記第1の基準温度、第1の参照温度、第1基準温度測定位置および第1参照温度測定位置間の熱抵抗値に基づいて前記第1の熱流束値を算出し、
    前記第2熱流束測定部は、前記第2の基準温度、第2の参照温度、第2基準温度測定位置および第2参照温度測定位置間の熱抵抗値に基づいて前記第2の熱流束値を算出し、
    前記第1基準温度測定位置および第1参照温度測定位置間の熱抵抗値と、第2基準温度測定位置および第2参照温度測定位置間の熱抵抗値との比率が既知である
    ことを特徴とする体温計。
  3. 請求項2に記載の体温計において、
    前記第1基準温度測定位置と前記第1参照温度測定位置との間および前記第2基準温度測定位置と前記第2参照温度測定位置との間には、共通の熱抵抗値を有する断熱材が設けられ、
    前記熱流束調整手段は、前記第1参照温度測定位置と外気との間に設けられた第1の断熱材と、前記第2参照温度測定位置と外気との間に設けられた第1の断熱材の熱抵抗値とは異なる熱抵抗値を有する第2の断熱材とを備えた
    ことを特徴とする体温計。
  4. 請求項2に記載の体温計において、
    前記熱流束調整手段は、前記第1基準温度測定位置と前記第1参照温度測定位置との間に設けられた第1の断熱材と、
    前記第2基準温度測定位置と前記第2参照温度測定位置との間に設けられた第2の断熱材とを備え、
    前記第1の断熱材と前記第2の断熱材とは、共通の熱伝導率および断面積を有し、
    前記第1の断熱材の厚みと前記第2の断熱材の厚みとは、異なる値である
    ことを特徴とする体温計。
  5. 請求項2〜請求項4のいずれかに記載の体温計において、
    前記第1の熱抵抗値と前記第2の熱抵抗値が同じ値を有し、
    前記第1の基準温度をTb1、前記第1の参照温度をTb2、前記第2の基準温度をTb3、および前記第2の参照温度をTb4、前記第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱抵抗値と、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱抵抗値との比率をαとすると、
    前記深部温度演算手段には、前記深部の温度Tcoreを演算する演算式として
    Figure 2006308538
    が記憶されている
    ことを特徴とする体温計。
  6. 生体の第1の体表面に接触可能に構成されるとともに、前記第1の体表面からの熱抵抗値が互いに異なる位置での温度をそれぞれ測定可能な複数の測定部で構成される第1温度測定手段と、
    前記第1の体表面とは異なる位置の第2の体表面に接触可能に構成されるとともに、前記第2の体表面からの熱抵抗値が互いに異なる位置での温度をそれぞれ測定可能な複数の測定部で構成される第2温度測定手段と、
    前記第1温度測定手段の熱流束値と前記第2温度測定手段の熱流束値とを異なる値にする熱流束調整手段と、
    前記第1温度測定手段の各測定部で検出された温度とその各測定部における各熱抵抗値とを用いて曲線近似により第1の温度分布を演算するとともに、前記第2温度測定手段の各測定部で検出された温度とその各測定部における各熱抵抗値とを用いて曲線近似により第2の温度分布を演算する温度分布演算手段と、
    前記第1の温度分布および前記第2の温度分布より前記生体の深部の温度を演算するように構成された深部温度演算手段とを備えた
    ことを特徴とする体温計。
  7. 請求項6に記載の体温計において、
    前記温度分布演算手段は、多項式近似により前記温度分布を演算するように構成される
    ことを特徴とする体温計。
  8. 請求項6または請求項7に記載の体温計において、
    前記測定部の少なくとも一つは、前記生体の前記体表面に接触し、当該体表面の温度を測定する
    ことを特徴とする体温計。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の体温計において、
    前記深部温度演算手段で演算された前記深部の温度を表示する表示部を有する表示装置と、
    第1温度測定手段および第2温度測定手段を有する体温計本体とを備え、
    前記表示装置と前記体温計本体とは、別体で構成されている
    ことを特徴とする体温計。
  10. 請求項9に記載の体温計において、
    前記深部温度演算手段は、前記表示装置に設けられている
    ことを特徴とする体温計。
  11. 請求項9または請求項10に記載の体温計において、
    前記表示装置および前記体温計本体は、無線通信により互いに情報の送受信が可能な送受信手段をそれぞれ備えている
    ことを特徴とする体温計。
  12. 生体の体表面から所定の基準温度測定位置で基準温度を測定する基準温度測定部と、
    前記基準温度測定位置での熱流束を測定する熱流束測定部と、
    前記基準温度測定部で測定される算出用基準温度および前記熱流束測定部で測定される算出用熱流束と同時に測定される生体の深部の算出用深部温度に基づいて、前記生体の深部から前記基準温度測定位置までの表層部熱抵抗値を算出する熱抵抗算出手段と、
    前記熱抵抗算出手段で算出された前記表層部熱抵抗値が記憶される記憶手段と、
    体温測定時に、前記基準温度測定部で測定された基準温度、前記熱流束測定部で測定された熱流束値、および前記記憶手段に記憶された前記表層部熱抵抗値を用いて前記深部の温度を演算する深部温度演算手段とを備えた
    ことを特徴とする体温計。
  13. 請求項12に記載の体温計において、
    前記熱流束測定部は、前記基準温度測定位置とは異なりかつ前記基準温度測定位置との間の熱抵抗値が既知である参照温度測定位置の温度を参照温度として測定する参照温度測定部を備え、
    前記基準温度、前記参照温度、前記既知の熱抵抗値に基づいて熱流束値を測定する
    ことを特徴とする体温計。
  14. 生体の体表面に接触可能に構成されるとともに、前記体表面からの熱抵抗値が互いに異なる位置での温度をそれぞれ測定可能な複数の測定部で構成される温度測定手段と、
    前記温度測定手段で検出された温度と複数の前記熱抵抗値とを用いて曲線近似により熱抵抗値と温度との関係を温度分布として演算する温度分布演算手段と、
    前記温度分布演算手段で得られた前記温度分布を用いて前記生体の深部の温度を演算する深部温度演算手段と、
    前記温度測定手段で検出された温度、前記熱抵抗値、および前記温度と同時に測定される前記生体の深部の算出用深部温度を用いて曲線近似を行うことにより前記生体の深部から前記体表面に最も近い測定部までの表層部熱抵抗値を算出する熱抵抗算出手段と、
    前記熱抵抗算出手段で算出された前記表層部熱抵抗値が記憶される記憶手段とを備え、
    前記深部温度演算手段は、前記温度分布演算手段で演算された前記温度分布と前記記憶手段に記憶された前記表層部熱抵抗値とを用いて前記生体の深部の温度を演算するように構成された
    ことを特徴とする体温計。
  15. 請求項14に記載の体温計において、
    前記温度分布演算手段は、多項式近似により前記温度分布を演算するように構成される
    ことを特徴とする体温計。
  16. 請求項15に記載の体温計において、
    前記測定部の少なくとも一つは、前記生体の前記体表面に接触し、当該体表面の温度を測定する
    ことを特徴とする体温計。
  17. 請求項12〜請求項16のいずれかに記載の体温計において、
    前記深部温度演算手段で演算された前記深部の温度を表示する表示部を有する表示装置と、
    前記基準温度測定部および前記熱流束測定部、または前記温度測定手段を有する体温計本体とを備え、
    前記表示装置と前記体温計本体とは、別体で構成されている
    ことを特徴とする体温計。
  18. 請求項17に記載の体温計において、
    前記熱抵抗算出手段および前記深部温度演算手段は、前記表示装置に設けられている
    ことを特徴とする体温計。
  19. 請求項18に記載の体温計において、
    前記表示装置および前記体温計本体は、無線通信により互いに情報の送受信が可能な送受信手段をそれぞれ備えている
    ことを特徴とする体温計。
  20. 請求項19に記載の体温計において、
    前記送受信手段は、既知の体温計によって測定された前記算出用深部温度の情報を受信可能に構成される
    ことを特徴とする体温計。
  21. 請求項12〜請求項20のいずれかに記載の体温計において、
    前記記憶手段は、複数の生体に対する各表層部熱抵抗値を記憶可能に構成されている
    ことを特徴とする体温計。
  22. 請求項1〜請求項21のいずれかに記載の体温計において、
    前記体温計本体は、前記生体の体表面に貼付可能に構成されている
    ことを特徴とする体温計。
  23. 請求項1〜請求項22のいずれかに記載の体温計を有する
    ことを特徴とする電子機器。
  24. 生体の深部の体温を測定する体温測定方法であって、
    前記生体の第1の体表面から第1の熱抵抗値を有する第1基準温度測定位置で第1の基準温度を測定する第1温度測定工程と、
    前記第1基準温度測定位置での第1の熱流束値を測定する第1熱流束測定工程と、
    前記第1の体表面とは異なる第2の体表面から前記第1の熱抵抗値との比率が既知の第2の熱抵抗値を有する第2基準温度測定位置で第2の基準温度を測定する第2温度測定工程と、
    前記第2基準温度測定位置での第2の熱流束値を測定する第2熱流束測定工程と、
    前記第1および第2の基準温度、前記第1および第2の熱流束値、前記第1および第2の熱抵抗値の比率を用いて前記生体の深部の温度を演算するように構成された深部温度演算工程とを備えている
    ことを特徴とする体温測定方法。
  25. 請求項24に記載の体温測定方法において、
    前記第1熱流束測定工程は、前記第1の体表面からの熱抵抗値が前記第1の熱抵抗値と異なる第1参照温度測定位置の温度を第1の参照温度として測定するとともに、前記第1の基準温度、第1の参照温度、第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱抵抗値に基づいて前記第1の熱流束値を算出し、
    前記第2熱流束測定工程は、前記第2の体表面からの熱抵抗値が前記第2の熱抵抗値と異なる第2参照温度測定位置の温度を第2の参照温度として測定するとともに、前記第2の基準温度、第2の参照温度、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱抵抗値に基づいて前記第2の熱流束値を算出する
    ことを特徴とする体温測定方法。
  26. 請求項24または請求項25に記載の体温測定方法において、
    前記第1の熱抵抗値と前記第2の熱抵抗値が同じ値を有し、
    前記第1の基準温度をTb1、前記第1の参照温度をTb2、前記第2の基準温度をTb3、および前記第2の参照温度をTb4、前記第1基準温度測定位置と第1参照温度測定位置との間の熱抵抗値と、第2基準温度測定位置と第2参照温度測定位置との間の熱抵抗値との比率をαとすると、
    前記深部温度演算工程は、
    Figure 2006308538
    の式より前記深部の温度Tcoreを演算する
    ことを特徴とする体温測定方法。
  27. 生体の深部の体温を測定する体温測定方法であって、
    前記生体の深部から基準温度測定位置までの表層部熱抵抗値を算出して記憶する体温測定準備工程と、
    この体温測定準備工程で算出された前記表層部熱抵抗値を用いて、深部の温度を算出する体温測定工程とを備え、
    前記体温測定準備工程は、前記生体の算出用基準温度を測定する基準温度測定工程と、前記基準温度測定位置での算出用熱流束を測定する熱流束測定工程と、前記算出用基準温度および前記算出用熱流束と同時に測定された生体の深部の算出用深部温度に基づいて、前記生体の深部から基準温度測定位置までの表層部熱抵抗値を算出する熱抵抗算出工程と、この熱抵抗算出工程で算出された前記表層部熱抵抗値を記憶する記憶工程とを有し、
    前記体温測定工程は、前記基準温度を測定する基準温度測定工程および前記熱流束を測定する熱流束測定工程と、前記基準温度、前記熱流束および前記記憶工程で記憶された前記表層部熱抵抗値に基づいて前記深部の温度を演算する深部温度演算工程とを有する
    ことを特徴とする体温測定方法。
  28. 請求項27に記載の体温測定方法であって、
    前記熱流束測定工程は、前記基準温度測定位置とは異なりかつ前記基準温度測定位置との間の熱抵抗値が既知である参照温度測定位置の温度を参照温度として測定し、
    前記基準温度、前記参照温度、前記既知の熱抵抗値に基づいて熱流束値を算出する
    ことを特徴とする体温測定方法。
  29. 生体の深部の体温を測定する体温測定方法であって、
    前記生体の体表面からの熱抵抗値が互いに異なる位置での温度をそれぞれ測定する温度測定工程と、
    前記温度測定工程で測定された複数の温度と複数の前記熱抵抗値とを用いて曲線近似により熱抵抗値と温度との関係を温度分布として演算する温度分布演算工程と、
    前記温度分布演算工程で演算された前記温度分布を用いて前記生体の深部の温度を演算する深部温度演算工程とを備えた
    ことを特徴とする体温測定方法。
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