JP2006307332A - 磁性合金材料およびその製造方法 - Google Patents

磁性合金材料およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006307332A
JP2006307332A JP2006087995A JP2006087995A JP2006307332A JP 2006307332 A JP2006307332 A JP 2006307332A JP 2006087995 A JP2006087995 A JP 2006087995A JP 2006087995 A JP2006087995 A JP 2006087995A JP 2006307332 A JP2006307332 A JP 2006307332A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
alloy
magnetic alloy
sample
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006087995A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5157076B2 (ja
Inventor
Satoru Hirozawa
哲 広沢
Hiroyuki Tomizawa
浩之 冨澤
Ryosuke Kogure
亮介 木暮
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Neomax Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Neomax Co Ltd filed Critical Neomax Co Ltd
Priority to JP2006087995A priority Critical patent/JP5157076B2/ja
Publication of JP2006307332A publication Critical patent/JP2006307332A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5157076B2 publication Critical patent/JP5157076B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】NaZn13型化合物相を含む焼結体を粉末冶金法を用いて比較的安価で短時間の焼結により製造する方法およびその製造方法に用いられる原料合金を提供する。
【解決手段】本発明の磁性合金材料は、組成式Fe100-a-b-cREabCoc(REはLaを必ず含む希土類元素、AはSiまたはAl、6at%≦a≦11at%、8at%≦b≦18at%、0at%≦c≦9at%)で表され、実質的にα−Fe相および30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相から成る2相組織、または、実質的にα−Fe相、30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相およびNaZn13型結晶構造のRE(Fe、A)13化合物相から成る3相組織を有し、各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下の範囲内にある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気冷凍作業物質あるいは磁歪材料として好適に用いられる磁性合金材料およびその製造方法に関する。
近年、組成式:La1-zREz(Fe1-xx-yTMy13(A=Al、Si、Ga、Ge、Snのうち少なくとも1種の元素0.05≦x≦0.2、TMは遷移金属元素のうち少なくとも1種の元素0≦y≦0.1、REはLaを除く希土類元素のうち少なくとも1種の元素0≦z≦0.1)で表される磁性合金(以下、「La(Fe、Si)13系磁性合金」と称する。)は、NaZn13型の結晶構造を有し、キュリー温度(Tc)付近で、大きな磁気熱量効果および磁気体積効果を示すことから、磁気冷凍作業物質および磁歪材料として、有望視されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
従来、La(Fe、Si)13系磁性合金は、例えば、アーク溶解あるいは高周波溶解により得られた金型鋳造合金を真空中で1050℃、約168時間の熱処理をすることによって製造されており、非常に製造効率が低かった。
本出願人は、特許文献3に、液体急冷法(超急冷法ともいう。)を用いてLa(Fe、Si)13系磁性合金材料を高い効率で製造する方法を開示した。しかしながら、特許文献3に開示された磁性合金材料を磁気冷凍作業物質として使用する際には、薄帯状の合金材料を粗粉砕した合金材料を用いて、熱交換媒体との熱接触面積が大きな磁気冷凍作業物質を作製する必要がある。例えば、熱交換媒体としては、比熱が比較的高く作動温度で良好な流動性を有する水系不凍液や低融点の炭化水素系溶媒などの液体状熱交換媒体が好適に用いられ、磁気冷凍作業物質としては、合金材料の粗粉末を籠状の容器に格納したベッドや、薄板状に圧縮成形した圧粉成形体、内部を液体が通過可能なポーラスバルク状に焼結した焼結体が用いられ得る。
一方、粉末冶金法を用いて所望の形状のLa(Fe、Si)13系磁性合金焼結体を得る方法が特許文献4に記載されている。粉末冶金法は、合金粉末(微粉末)をプレス成形して得られた成形体(圧粉体)を焼結することにより焼結体を得るので、製造工程数は増えるが、形状賦与の自由度が大きく、加工コストをかえって低減させることができる。
特開2000−54086号公報 特開2002−69596号公報 特開2004−100043号公報 特開2005−36302号公報
本発明者はLa(Fe、Si)13系磁性合金材に対して粉末冶金法を適用することを検討した結果、以下の問題があることを見出した。
特許文献3に開示されているLa(Fe、Si)13系磁性合金材料に対して粉末冶金法を適用するには、熱処理によって目的相であるNaZn13型化合物相を生成した後、微粉砕し、得られた粉末を用いて成形体を作製し、これを焼結する必要がある。すなわち、特許文献3に記載されている製造方法を用いることによって熱処理時間を大幅に短縮できるものの、NaZn13型化合物相を得るための熱処理と、焼結のための熱処理と、合計2回の熱処理を真空中で行う必要があり、製造効率が悪い。
また、特許文献3に記載の方法は、as−spun合金(急冷合金)の薄帯内の元素拡散過程に基づく固相反応によってNaZn13型化合物相を生成するので、比較的大きな組織を含んでいても、急冷合金薄帯を熱処理することによってNaZn13型化合物相を得ることができる。しかしながら、大きな組織を有する急冷合金に対して粉末冶金法を適用すると、組織を構成する各相がそれぞれ別個の粒子となったり、粒子間で組成が大きく異なってしまうので、目的相を生成するためには、粉末の粒子間の元素移動が必要で、そのためには長時間の焼結(熱処理)が必要になり、実用上好ましくない。
さらに、as−spun状態での微粉砕性は、一般には粗大な初晶鉄が柱状に発達した組織では非常に悪く、超急冷法を適用した場合でも、粉末冶金に必要な粒子径(例えば2μm)に粉砕する場合に鉄初晶相がそれ以上の大きさであれば目的粒径の粉末を得ることが極めて困難になる。
特許文献4に記載されている合金原料も、冷却速度が1×104℃/sと遅い条件で作製されているので、組織が十分に微細でない。その結果、実質的にNaZn13型化合物相で構成される焼結体を得るためには、(1)原料合金の熱処理によって合金中のNaZn13型化合物相の比率を予め85mass%以上とする必要がある、(2)長い焼結時間を必要とする、(3)1280℃以上の高い焼結温度を必要とする、などの問題がある。
母合金をインゴットのような急冷度の小さい合金とした場合の焼結工程上の問題点は、包晶温度以下の焼結温度では事実上α−Fe相を消失させることができない。一方、包晶温度以上では新たにα−Fe相やLaFeSi化合物相が生成する。従って、単相かつ高密度の焼結体を得るためには、高温かつ狭い温度範囲で、長時間の焼結を行う必要があった。
本発明は上記諸点に鑑みてなされたものであって、本発明の主な目的は、NaZn13型化合物相を含む焼結体を粉末冶金法を用いて比較的安価で短時間の焼結により製造する方法およびその製造方法に用いられる原料合金(粉末)を提供することにある。
本発明の磁性合金材料は、組成式Fe100-a-b-cREabCoc(REはLaを必ず含む希土類元素、AはSiまたはAl、6at%≦a≦11at%、8at%≦b≦18at%、0at%≦c≦9at%)で表され、実質的にα−Fe相および30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相から成る2相組織、または、α−Fe相、30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相およびNaZn13型結晶構造のRE(Fe、A)13化合物相から成る3相組織を有し、各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下の範囲内にあることを特徴とする。本発明の磁性合金材料は、液体急冷法(ストリップキャスト法やメルトスピニング法を含む)で作製されたas−spun合金(急冷凝固後に熱処理を受けていない合金)である。
ある実施形態において、前記組成式中のaは7at%以上9at%以下である。
ある実施形態において、前記(RE、Fe、A)相は、REFeSi化合物相である。
ある実施形態において、前記Coは、前記α−Fe相、前記(RE、Fe、A)相および前記RE(Fe、A)13化合物相の内の少なくとも1つの相のFeを置換している。
ある実施形態において、酸素含有率が0.07原子%以上0.18原子%以下である。
ある実施形態において、600℃以上の温度で10秒以上の時間に亘って熱処理することにより実質的に全てがRE(Fe、A)13化合物相に変化し得る。
ある実施形態の磁性合金材料は、粉末であって、前記粉末を構成する粒子の短軸方向のサイズが2μm以上200μm以下の範囲内にある。
ある実施形態の磁性合金材料は、前記粉末を構成する粒子の短軸方向のサイズが10μm未満である。
本発明の磁性合金材料の製造方法は、所定の組成を有する合金原料の溶湯を用意する工程と、前記合金原料の溶湯を、1500℃から600℃までの温度範囲における平均冷却速度が2×104℃/s以上2×106℃/s以下の範囲内となる条件で、急冷凝固することによって、組成式Fe100--a-b-cREabCoc(REはLaを必ず含む希土類元素、AはSiまたはAl、6at%≦a≦11at%、8at%≦b≦18at%、0at%≦c≦9at%)で表され、実質的にα−Fe相および30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相からなる2相組織、または実質的にα−Fe相、30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相およびNaZn13型結晶構造のRE(Fe、A)13化合物相からなる3相組織を有し、各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下の範囲内にある急冷合金を形成する工程とを包含することを特徴とする。
ある実施形態において、前記組成式中のaは7at%以上9at%以下である。
ある実施形態において、前記(RE、Fe、A)相は、REFeSi化合物相である。
ある実施形態において、前記Coは、前記α−Fe相、前記(RE、Fe、A)相および前記RE(Fe、A)13化合物相の内の少なくとも1つの相のFeを置換している。
ある実施形態において、前記急冷合金の厚さが、2μm以上200μm以下である。
ある実施形態において、前記急冷合金を形成する工程において、前記合金原料の出湯温度は前記合金原料の液相線温度よりも50℃以上150℃以下の温度だけ高い。
ある実施形態において、前記急冷合金を形成する工程において、冷却ロールのロール周速度は3m/s以上30m/s以下の範囲内にある。
ある実施形態において、前記急冷合金を粉砕することによって、短軸方向のサイズが2μm以上200μm以下の範囲内にある粒子からなる粉末を得る工程をさらに包含する。
ある実施形態において、前記粉末を構成する粒子の短軸方向のサイズは10μm未満である。
本発明の磁性合金の焼結体の製造方法は、上記の製造方法によって得られた粉末を用意する工程と、前記粉末を成形することによって成形体を得る工程と、前記成形体を焼結する工程とを包含することを特徴とする。
ある実施形態において、前記焼結工程は、600℃以上1320℃未満の温度範囲内で焼結する工程を含む。ある実施形態において、焼結温度は900℃以上である。
ある実施形態において、前記焼結工程において、前記温度範囲内で焼結される時間は10秒以上8時間以下である。より好ましい焼結時間は、4時間以下である。
本発明のLa(Fe、Si)系磁性合金を構成する各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下の範囲内にあるので、粉末冶金法を用いた場合の焼結工程において粒子間の元素拡散が必要なく、短時間で目的相であるLa(Fe、Si)13系のNaZn13型化合物相を得ることができる。すなわち、本発明によると粉末冶金法を用いて1回の熱処理(焼結)によって、La(Fe、Si)13系のNaZn13型化合物相を得ることが可能となる。
また、本発明の磁性合金は、as−spun(急冷合金)の状態で粉砕が容易であり、粉砕して得られた原料粉末の合金中の酸素濃度は比較的低く、原料粉末を用いて作製した成形体を焼結(熱処理)することによって得られた(La、Fe、Si)系磁性合金(焼結体)の酸素濃度は比較的低い。したがって、as−spun合金を粉砕・成形・焼結して得られたLa(Fe、Si)13型化合物の磁気特性は、いずれも従来と同等もしくはそれ以上で、磁気冷凍作業物質または磁歪材料として有効に用いられる。
本発明者らは、特許文献3で開示された急冷合金に対し、熱処理前の急冷合金(as−spun合金)を原料合金として使用して粉末冶金法を適用することにより、最終形状への加工がより低コスト短時間で可能となる可能性があり、その際に原料合金の微細組織を充分制御することにより、長時間を有する粉末粒子間の元素拡散を必要とせずに粉末粒子内部の元素拡散だけで、目的相であるNaZn13型化合物相が焼結プロセスで得られるようになるのではないかと考えた。
そこで、本発明者は鋭意検討の結果、La(Fe、Si)13系磁気冷凍作業物質の成形体の作製に用いる原料粉末に適した組織を有するas−spun合金材料を見出した。
[基本組成]
本発明による合金磁性材料は、組成式Fe100--a-b-cREabCoc(REはLaを必ず含む希土類元素、AはSiまたはAl、6at%≦a≦11at%、8at%≦b≦18at%、0at%≦c≦9at%)で表され、実質的にα−Fe相およびREを30at%〜90at%含有する(RE、Fe、A)相から成る2相組織、または、実質的にα−Fe相、30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相およびNaZn13型結晶構造のRE(Fe、A)13化合物相から成る3相組織を有し、各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下の範囲内にある磁性合金材料である。REは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、ErおよびTmからなる群から選択され、Laを90at%以上含む少なくとも1種の希土類元素であることが好ましい。Aは、Siを必ず含むことが好ましく、Siであることがさらに好ましい。
La(Fe、Si)13型化合物は、図24のLa−Fe−Siの600℃における3元状態図に示すように、Fe対Siの比に幅があるが、磁気冷凍作業物質に適した比率はFe−rich側の組成である。本発明の目的は、最終的にNaZn13型化合物でかつFe−richの化合物組成を有する焼結体を得ることにある。
La−Fe−Siの3元組成を例とすれば、数種あるLa−Fe−Si化合物のうち、30at%以上のLaを含むLaFeSi化合物が存在することが目的化合物を得るために望ましいのに対し、30at%未満のLaを含むLaFe2Si2化合物が生成した場合は、得られるNaZn13型化合物中のFeとSiとの比がSi−rich側に寄ってしまい、磁気冷凍作業物質としての性能が低下する。従って、α−Feと共存すべき(RE、Fe、A)相のREは、30at%以上であることが必要である。
一方、合金組成および急冷過程によっては(RE、Fe、A)相としてLa5(Fe,Si)3化合物相と金属Laと金属Feからなる共晶組織が生成することがあり得るが、この共晶組織は熱処理過程でLaFeSiを生成することにより目的相であるLa(Fe、Si)13型化合物の生成に寄与する。この共晶組織は複数の相からなり初晶であるα−(Fe、Si)相が成長した隙間に希土類リッチな領域として認められ、分析の技法によっては1つの希土類リッチ相(RE、Fe、A)として認識される場合がある。その平均組成は凝固時の冷却条件により異なるが、そのLa濃度はFe-La系の共晶組成である約90at%を超えることは無い。従って、α−Feと共存すべき(RE、Fe、A)相のRE濃度の上限は90at%とした。
また、α−(Fe,Si)とLaFeSiとLa(Fe,Si)13が共存関係にある組成領域内でなければLa(Fe,Si)13が生成しない。この条件を満たすにはSi濃度に下限値を設ける必要がある。この下限値を下回るとα−(Fe,Si)とLa5(Fe,Si)3とLaFeSiの三相が共存関係にある組成域に入り、La(Fe,Si)13が生成しなくなる。従って、REの下限値が6%であることから、Aの下限値は約8at%とする。後に実施例に詳述するように、好ましくは、REの下限値が7%であり、その時のAの下限値は約8.3%となる。さらに、Si濃度が増加すると最終的に生成するLa(Fe、Si)13相のキュリー温度は上昇するが、同時に飽和磁化と磁気熱量効果は小さくなる。Si濃度が18at%(x=0.167)を超えると合金の印加磁界0Tと1T間の−ΔSmagの値が1J/K/kgを下回り、実用的価値がなくなるのでA濃度の上限値を18at%とする。
REの組成比率については、後に実施例において詳しく説明する。
本発明による磁性合金材料(原料合金)は、粘く靭性に富むため粉砕性を阻害する軟鉄相を主体とする凝固初晶が2μm以下なので、as−spun状態での微粉砕性に優れ、且つ、成形後の焼結反応において元素拡散距離が短いので短時間の焼結で組成均一性の優れた焼結体が得られる。その結果、磁気冷凍作業物質としての形態付与が容易で、且つ、磁気転移温度での磁化の温度変化が急峻で磁気熱量効果が大きい磁気冷凍用作業物質が得られる。もちろん、本発明による磁性合金材料(原料合金)を用いた粉末冶金プロセスで得られる焼結体は、磁歪材料としても好適に用いられる。
[結晶粒の短軸方向のサイズ]
結晶粒径の上限は、焼結(熱処理)時の拡散距離によって決まる。例えば、900℃で1時間程度の熱処理で目的相を生成させるには、組織の大きさは約3μm以下でなければならない。また、生成相の組成の均一性を確保するためには更に微細でなければならず、さらに、粉末冶金プロセスで要求される粉末粒子径よりも小さいことが必要である。これらの要求を満足する結晶粒径の上限は2μmである。すなわち、生成組織の大きさが2μmを超えると微粉砕プロセスの能率が極端に低下し、目的相を得るための焼結時間または粉砕および粉末プレス成型後の熱処理時間が長くなり過ぎる。
一方、実用上製造可能な下限の結晶粒径は40nm〜50nmである。これより小さい粒径の結晶粒を作ろうとすれば、急冷合金は非晶質化してしまう。非晶質となった場合、薄体または粉末状の材料を得ることは容易であるが、非晶質のまま粉砕することが困難であり、粉末冶金プロセスには適さない。
結晶粒径は冷却速度によりほぼ決定される。冷却速度が大きいほど結晶粒径が小さく合金厚さも薄い。急冷合金の厚さに下限が存在することにより冷却速度に上限が存在することになり、2次的結果として結晶粒径の下限が決まる。
後に示すように、種々実験を行った結果、液体急冷法の条件を最適化することによって、急冷合金を構成する各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下の範囲内にある合金を得ることができる。
[酸素濃度]
また、本発明による好ましい実施形態の磁性合金材料(焼結前の原料合金)の酸素濃度は0.02mass%以上0.05mass%以下(0.07原子%以上0.18原子%以下)であり、このような磁性合金材料を用いて作製した焼結体(磁気冷凍作業物質)の酸素濃度は、従来のものに比べて低くなり、その結果として磁気エントロピーの変化の値が向上する。
酸素濃度は低いほうが好ましい。酸素は原料溶解工程、微粉砕工程、および焼結工程で不純物として取り込まれ、主としてLaと化合し一部はSiとも化合する。目的物質はLaと(Fe+Si)との量比、およびFeとSiとの量比によりその磁気転移挙動が変化し、磁気熱量効果も敏感に影響を受ける。酸素は不可避的に取り込まれるがその濃度は制御が難しく、酸素濃度が高いほど磁気特性変動の幅も大きくなる。それは物質内の磁気転移点の分布をもたらし、シャープな転移が損なわれて磁気熱量効果が低下する。
良好な磁気熱量効果を得るには焼結体中の酸素濃度が0.08mass%以下であることが望ましく、原料合金では0.05mass%以下が好ましい。粉末冶金プロセスにおいて不可避的に酸素濃度が増加してしまう事を前提にすれば、本発明の磁性合金材料(原料合金)の酸素濃度は0.02mass%以上0.05mass%以下(0.07原子%以上0.18原子%以下)の範囲内にあることが望ましい。
[液体冷却法(超急冷法)]
上述の微細な組織を有する磁性合金材料は、所定の組成を有する合金原料の溶湯を、1500℃から600℃までの温度範囲における平均冷却速度が2×104℃/s以上2×106℃/s以下の範囲内となる条件で、急冷凝固することによって作製される。上記平均冷却速度は2×105℃/s以上であることが好ましい。
液体急冷法としては、ガスアトマイズ法、単ロール急冷法、双ロール急冷法、ストリップキャスト法、メルトスピニング法などを用いることができる。特に、メルトスピニング法、ストリップキャスト法などを用いると、厚さが20μm以上200μm以下の薄帯状の急冷合金を高い効率で製造できるので好ましい。なお、ガスアトマイズ法は、一般に冷却速度が遅く、2×104℃/s以上の平均冷却速度を得ることが難しいが、粉末の粒径を小さく、例えば、50μm以下にすれば、過冷却度(ΔT)が100K以上となり、105℃/s台の冷却速度を得ることができ、球状粒子が得られる。球状粒子からなる粉末は、高分子バインダと混合・混練し易く、また得られたコンパウンドの成形性(流動性)に優れるので、例えば射出成形用コンパウンドの原料粉末として好適である。
例えば、図1に示す急冷装置を用いて、メルトスピニング法によって急冷合金を作製することができる。酸化しやすい希土類元素(上記組成式中のLaおよびRE)やFeを含む原料合金の酸化を防ぐため、不活性ガス雰囲気中で急冷工程を実行することが好ましい。不活性ガスとしては、ヘリウムまたはアルゴン等の希ガスや窒素を用いることができる。なお、窒素は希土類元素と比較的に反応しやすいため、ヘリウムまたはアルゴンなどの希ガスを用いることが好ましい。
図1の急冷装置は、真空または不活性ガス雰囲気を保持し、その圧力を調整することが可能な原料合金の溶解室1および急冷室2を備えている。図1(a)は全体構成図であり、図1(b)は、一部の拡大図である。
図1(a)に示されるように、溶解室1は、所望の合金組成になるように配合された原料20を高温にて溶解する溶解炉3と、底部に出湯ノズル5を有する貯湯容器4と、大気の進入を抑制しつつ配合原料を溶解炉3内に供給するための配合原料供給装置8とを備えている。貯湯容器4は原料合金の溶湯21を貯え、その出湯温度を所定のレベルに維持できる加熱装置(不図示)を有している。
急冷室2は、出湯ノズル5から出た溶湯21を急冷凝固するための回転冷却ロール7を備えている。
この装置においては、溶解室1および急冷室2内の雰囲気およびその圧力が所定の範囲に制御される。そのために、雰囲気ガス供給口1b、2b、および8bとガス排気口1a、2a、および8aとが装置の適切な箇所に設けられている。特にガス排気口2aは、急冷室2内の絶対圧を30kPa〜常圧(大気圧)の範囲内(好ましくは100kPa以下)に制御するため、ポンプに接続されている。溶解室1の圧力を変化させることにより、ノズル5から出る溶湯の噴射圧を調節することができる。
溶解炉3は傾動可能であり、ロート6を介して溶湯21を貯湯容器4内に適宜注ぎ込む。溶湯21は貯湯容器4内において不図示の加熱装置によって加熱される。
貯湯容器4の出湯ノズル5は、溶解室1と急冷室2との隔壁に配置され、貯湯容器4内の溶湯21を下方に位置する冷却ロール7の表面に流下させる。出湯ノズル5のオリフィス径は0.5mm以上4.0mm以下の範囲内に設定される。溶湯21の粘性に応じて、オリフィス径および/または溶解室1と急冷室2との間の圧力差(例えば10kPa以上)を調節することによって、溶湯21の出湯がスムーズに実行される。本実施形態で用いる装置によれば、合金溶湯の供給レートを1.5kg/分〜10kg/分に設定することができる。供給レートが10kg/分を超えると、溶湯冷却速度が遅くなり、鋳片の厚さ方向に組織が変化する多層構造が形成されるという不都合が生じる。合金溶湯の更に好ましい供給レートは2kg/分〜8kg/分である。
冷却ロール7は、Cu、Fe、またはCuやFeを含む合金から形成することが好ましい。CuやFeを含む合金以外の材料で冷却ロールを作製すると、急冷合金の冷却ロールに対する剥離性が悪くなるため、急冷合金がロールに巻き付くおそれがあり好ましくない。冷却ロール7の直径は例えば300mm〜500mmである。冷却ロール7内に設けた水冷装置の水冷能力は、単位時間あたりの凝固潜熱と出湯量とに応じて算出し、調節される。
まず、所定の原料合金の溶湯21を作製し、図1の溶解室1の貯湯容器4に貯える。次に、この溶湯21は出湯ノズル5から減圧Ar雰囲気中の冷却ロール7上に出湯され、冷却ロール7との接触によって急冷され、凝固する。
合金の溶湯21が冷却ロール7によって冷却される時間は、回転する冷却ロール7の外周表面に合金が接触してから離れるまでの時間に相当し、その間に、合金の温度は急に低下し、過冷却状態の、すなわち殆どアモルファス状態の固体になる。その後、過冷却状態の合金は冷却ロール7から離れ、不活性雰囲気中を飛行する。合金は薄帯状で飛行している間に雰囲気ガスに熱を奪われる結果、その温度は更に低下する。例えば、雰囲気ガスの圧力は10kPa〜常圧の範囲内に設定している。雰囲気ガスによる二次冷却効果を高めるために雰囲気ガス圧力を30kPa以上にすることによって、均質な組織を有する薄帯状の急冷合金を得ることができる。
なお、本発明で用いる合金溶湯の急冷法は、上述の片ロール法に限定されず、ノズルオリフィスによる流量制御を行なわない急冷方法であるストリップキャスト法を用いてもよい。ストリップキャスト法による場合はノズルオリフィスを用いないので、注湯量を調節することによって、容易に、溶湯供給レートを大きくし、かつ、安定化できるという利点がある。しかし、冷却ロールと溶湯との間に雰囲気ガス巻き込みが発生しやすく、急冷面側での冷却速度が不均一化する可能性がある。このような問題を解決するには、冷却ロールが置かれた空間の雰囲気圧力を上述した範囲に低下させ、雰囲気ガスの巻き込みを抑制する必要がある。また、生産効率は低下するが、ガスアトマイズ法を用いても良い。
[冷却速度]
上述の、結晶組織を構成する各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下である微細な組織を有する急冷合金を得るためには、1500℃から600℃までの温度範囲における平均冷却速度は、2×104℃/s以上2×106℃/s以下の範囲内にあることが好ましく、特に、2×105℃/s以上であることが好ましい。
平均冷却速度2×105℃/sは例えばノズルオリフィス径0.8mmの丸ノズルを用いた場合、ロール周速度約3m/sで2×105℃/s、約30m/sで2×106℃/sが得られる。
ストリップキャスト法によれば幅広のストリップを連続的に生産する事が可能であり、単位時間あたりに処理できる合金量を飛躍的に増加できる。反面、冷却ロールからの抜熱量もそれにしたがって増す必要があり、生産性と実現可能なロールの抜熱量のバランス範囲を見出すことが工学的課題となる。経験によれば、ストリップキャスト法で実現できる冷却速度はメルトスピニング法での冷却速度よりも小さく、103℃/s〜4×105℃/sの程度である。例えば直径500mmの内部水冷構造を有する冷却ロールを用いて幅10mm、厚さ90μmのストリップを生産する場合、2×105℃/sの冷却速度が得られるロール周速度は10〜15m/sの範囲にある。同時に生成するストリップの本数はタンディッシュの湯口の数に等しく、ストリップあたりの溶湯供給量は典型的な場合におよそ1〜5kg/minの範囲にある。
冷却速度を上記のようにするには、具体的には出湯条件および冷却ロールのロール周速度を以下のようにすることが好ましい。
[出湯温度の好ましい範囲]
上記組成式で表される合金の液相線温度はおよそ1450℃であり、出湯温度はそれ以上であることが必要である。液相線温度以下で初晶鉄が生成するので出湯温度がそれよりも低いと粗大な初晶鉄を含んだ溶湯が冷却ロールに注がれることとなり、微細組織を得るという目的が達成できない。従って溶湯温度は液相線温度よりも充分高い必要がある。しかし、温度が過剰に高温になると超急冷過程で必要な抜熱量も絶対温度に比例して増加するので好ましくない。適正な溶湯温度は工学的観点からはこれらの理由により50℃程度の狭い範囲に制御することが好ましく、液相線温度よりも、50℃以上150℃以下の温度だけ高いことが好ましい。実際に計測される温度は、計測機器に依存し、また溶湯温度の計測位置にもよるが、一般にはタンディッシュ内の湯貯まりまたは溶解るつぼ内の溶湯温度を計測するのが操業上最も失敗が少なく、溶湯温度計測時点から冷却ロールに到達するまでに更に温度低下が進行する可能性を考慮すると、出湯温度の下限値は液相線温度よりも50℃以上高いことが好ましい。
[急冷合金の厚さ]
急冷合金薄帯の厚さは冷却ロールの周速度にほぼ反比例し、単位時間辺りのストリップあたりの出湯量に比例し、ストリップの幅に反比例する。最も重要な冷却速度は冷却ロールの周速度にほぼ比例するので、急冷合金薄帯厚さの範囲は冷却速度の好ましい範囲によりほぼ一義的に決定される。これらの比例常数を決定する因子としては例えば冷却ロールの直径、冷却ロールの抜熱能力等があり、後者はロールの材質、肉厚、内部水冷構造、冷却水流量、冷却水流速度などに依存する。従って、好ましい急冷合金薄帯の厚さの範囲は製造装置により決まる比較的狭い範囲にあるが、おおむね厚さが20μmの時に平均冷却速度の上限値2×106℃/s、厚さが200μmの時に平均冷却速度の下限値2×105℃/sが得られる。
急冷合金薄帯厚さを規定することにより、適正冷却速度で合金を作製できたことが保証され、本発明の組織的特徴を有する合金の製造が容易になる。
ここで液体急冷法を用いることによって得られる効果について、参考実験例を示して詳しく説明する。
(参考実験例1)
[原料合金溶湯の作製工程]
La(Fe0.88Si0.1213の組成を有するLa(Fe、Si)13型化合物相が得られるように、La、FeおよびSi原料を所定量配合し、高周波溶解炉を用いて鋳造合金を作製した。この段階で得られた鋳造合金(as−cast合金)を試料(e)とする。なお、本明細書では、熱処理を施していない急冷合金(as−spun合金)と区別するために、熱処理を施していない鋳造合金をas−cast合金と呼ぶことがある。
[急冷工程]
図1と同様の構成の実験機を用いて、塊状の鋳造合金約10gの溶湯を直径0.8mmの石英製ノズルから20m/秒で回転するCuロールに噴射し、合金薄帯を作製した。ここで得られた合金薄帯(as−spun合金)を試料(a)とする。
[熱処理工程]
試料(a)をNb箔に包み、石英管に入れ、ロータリーポンプで真空排気しながら(実質的に10Pa以下の真空度)、1000℃で1時間熱処理を施した。得られた急冷合金を試料(b)とする。
試料(a)を10-2Pa以下に真空排気した石英管に封入して、1050℃で24時間熱処理を施した急冷合金を試料(c)とし、120時間熱処理を施した急冷合金を試料(d)とする。
試料(e)(鋳造合金)約10gを10-2Pa以下に真空排気した石英管に封入して、1050℃で1時間、24時間および120時間熱処理を施した鋳造合金を試料(f)、試料(g)、および試料(h)とする。
[評価]
各試料の結晶構造をX線回折法(XRD法)で評価した。それぞれの試料を150μm以下に粉砕した粉末を用いた。ターゲットにはCuを用いた。スキャンスピードは4.0°/min、サンプリング幅は0.02°、測定範囲は20〜80°とした。
得られた試料(a)〜(h)の熱処理条件および合金中の生成相をまとめて表1に示す。
また、各試料の形態および組成分布を電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて評価した。EPMA観察用の試料は次のようにして作製した。それぞれの試料合金をエポキシ樹脂に含浸し表面を研磨した後、厚さ約20nmのAu蒸着を施したものをEPMA用試料とした。EPMAの加速電圧は15kVとした。照射電流はB.E.I.(反射電子像)で1.0nAとした。
各試料の磁気特性(磁気熱量効果)を評価した。磁気冷凍作業物質には、磁気熱量効果の大きい材料が好ましい。磁気熱量効果の評価には磁気エントロピー変化−ΔSmagが用いられる。一般に−ΔSmagが大きいほど磁気熱量効果は大きい。高磁界VSM(試料振動式磁束計)を用いて0Tから1Tまで0.2T間隔で設定した一定強度の印加磁界下で磁化(M)−温度(T)曲線を測定し、測定結果から下記の式(1)を用いて−ΔSmagを算出した。
急冷合金を用いて作製した試料(a)、(b)、(c)および(d)のXRDの測定結果を図2に示す。また、試料(c)について得られた−ΔSmagの温度依存性を図3に示す。更に、試料(c)のEPMAによる反射電子像(B.E.I)を図4に示す。
比較のために、鋳造合金を用いて作製した試料(e)、(f)、(g)および(h)のXRDの測定結果を図5に示す。また、試料(e)および(h)のEPMAによる反射電子像(B.E.I)を図6(a)および(c)に示す。図6(b)には、熱処理時間が8時間の試料の反射電子像を合せて示している。
図2と図5とを比較しながら急冷合金試料と鋳造合金試料との組織の違いを説明する。
図2からわかるように、急冷合金は、急冷直後(試料(a))からLa(Fe、Si)13型化合物相(図中○)が形成されている。なお、試料(a)においてはLa、Fe、Siからなる(La、Fe、Si)化合物相(図中▲)およびα−Fe相も形成されている。1時間の熱処理を施すと(試料(b))、(La、Fe、Si)化合物相はほぼ消失し、α−Fe相も減少する。その後、熱処理時間を長くすると、α−Fe相に由来するピークの強度が若干増大する以外は、ほとんど変化が見られず、この場合、約1時間の熱処理で、急冷合金のほぼ全てがLa(Fe、Si)13型化合物相となっていることがわかる。また、図4に示した試料(c)の反射電子像を見ると、薄帯の端部にFeが多く存在する以外は、薄帯の全体に亘ってほぼ均一な組成分布を有していることがわかる。
また、図3に示した磁気エントロピー変化−ΔSmagの温度依存性からわかるように、急冷合金(試料(c))は、大きな磁気エントロピー変化を示している。0T〜1Tまでの−ΔSmagは、7.5Jkg-1-1であった。現在、室温付近で動作する磁気冷凍試験機に使用されているGd(ガドリニウム)は、0Tから1Tで−ΔSmag=3Jkg-1-1程度であり、これと比較しても大きな磁気エントロピー変化を有していることがわかる。なお、鋳造合金を用いて作製した試料(h)の表面の酸化層(厚さ約2μm)を除去した後の試料について求めた−ΔSmagは19Jkg-1-1であった。試料(c)の−ΔSmagが試料(h)よりも低い原因は、表面の酸化層の有無が影響しているものと考えられる。工業的な利用可能性を考えると、この−ΔSmagの低下よりも、熱処理時間の短縮効果、原料コストの低減効果、さらには、粉砕工程の簡略化による利点が大きいと考えられる。
一方、図5に示した、従来の鋳造合金を用いて作製した試料(e)から(h)のXRDの測定結果および図6に示した反射電子像を見ると、鋳造合金(試料(e))にはLa(Fe、Si)13型化合物相は存在せず、熱処理が進むに連れて、徐々に(La、Fe、Si)化合物相およびα−Fe相が減少し、La(Fe、Si)13型化合物相が形成されている様子がわかる。また、図5と図2とを比較すると分かるように、急冷合金を1時間熱処理した試料(b)では、(La、Fe、Si)化合物相はほぼ完全に消失しているのに対し、鋳造合金を24時間熱処理した試料(g)においては(La、Fe、Si)化合物相が残存している。
ここで固相拡散反応によるLa(Fe、Si)13型化合物の生成過程を説明するために、図25に、鋳造合金組織の一例を示す。図25は、EPMAによる反射電子像(B.E.I)および蛍光X線による組成像である。各元素の分布は下に示す蛍光X線像で確認でき、α固溶体にLaFeSi液相が作用して包晶反応でLa(Fe、Si)13型化合物が形成される様子が判る。α−Fe相中のSi濃度は、EPMAを用いた定量分析によれば、1.8at%〜8.5at%の範囲にあった。なお、La量を増すとこれらの相以外にLa−Si化合物も生成する。熱分析によれば、本組成の液相線は1675K、包晶点は1575K、凝固点は1511Kであり、凝固点の高いことが均質化困難の原因と考えられる。以上のことは急冷合金においても同様であり、適当な最終組成を得るためには、α−Fe相には、1.5at%以上10at%以下のSiが固溶している合金が好ましいと考えられる。Siの固溶量が10at%を超えると、包晶反応により生成するLa(Fe、Si)13型化合物のFeとSiとの比がSi−rich側に寄り、磁気的性質を損ねる可能性がある。
このように、急冷合金を用いることによって、短時間の熱処理によって、La(Fe、Si)13型化合物相を主相とするLa(Fe、Si)13系磁性合金が得られることがわかる。
(参考実験例2)
次に、液体急冷法により得たLa-Fe-Si合金に対して最適な熱処理時間を求めるための実験を行った結果を説明する。
[試料作製]
上述の実験例1と同様に、La(Fe0.88Si0.1213の組成を有するLa(Fe、Si)13型化合物相が得られるように、La、FeおよびSi原料を所定量配合し、高周波溶解炉を用いて鋳造合金を作製した。得られた塊状の鋳造合金約10gの溶湯を直径0.8mmの石英製ノズルから20m/秒で回転するCuロールに噴射し、合金薄帯を作製した。ここで得られた合金薄帯(as−spun合金)を試料(i)とした。
試料(i)をAr気流中で、1050℃で、1分、5分、10分、30分および60分間それぞれ熱処理した合金薄帯を試料(j)、試料(k)、試料(l)、試料(m)および試料(n)とした。
また、上述の方法と同様に、La(Fe1-xSix13(x=0.10,0.11,0.12,0.13,0.14)の組成を有する鋳造合金を作製した。それぞれの鋳造合金から、上述の方法に従って、合金薄帯を作製した。ただし、ここでは、Cuロールの回転速度は10m/秒とした。
得られた合金薄帯をNb箔に包み、Ar気流中1050℃で1時間熱処理して得られた合金薄帯をそれぞれ試料(o)、試料(p)、試料(q)、試料(r)および試料(s)とした。
一方、比較のために、上述の鋳造合金約10gを10-2Pa以下に真空排気した石英管に封入して1050℃で120時間熱処理を施した合金をそれぞれ試料(t)、試料(u)、試料(v)、試料(w)および試料(x)とした。
液体急冷法による試料(i)から(s)と鋳造法による試料(t)から(x)の組成および作製条件を表2にまとめて示す。
[評価]
実験例1と同様の方法で、各試料の評価を行った。試料(i)、試料(j)、試料(k)、試料(l)、試料(m)および試料(n)の結晶構造をXRDで評価した結果を図7に示す。
図7からわかるように、急冷直後の合金薄帯(試料(i))に熱処理を施すと、熱処理時間が僅か1分(試料(j))であってもα−Fe相が減少することが明確に観察される。このことから、ごく僅かな時間(例えば1秒)であっても急冷直後よりもLa(Fe、Si)13型化合物相が増大する効果が得られると考えられる。
熱処理時間をさらに長くしても、熱処理時間が1時間(試料(n))まではα−Fe相に由来するピークの強度は変化しない。先に図2を参照しながら説明したように、熱処理時間が24時間(試料(c))になると、α−Fe相は逆に増大する。α−Fe相に由来する回折ピーク強度の熱処理時間依存性から、熱処理時間が約1時間まではα−Fe相は増大しないと考えられる。すなわち急冷合金の最適な熱処理時間は約1時間以下である。
次に、試料(i)、試料(k)および試料(n)の破断面を電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察した結果を図8(a)、(b)および(c)に示す。
図8(a)からわかるように、急冷直後の合金薄帯(試料(i))には、1μm以下の粒子状の微細組織が観察されるが、熱処理を5分施した試料(k)では図8(b)からわかるように、1μm程度の比較的大きな粒子状の組織が形成されている。さらに熱処理時間を1時間とした試料(n)では、図8(c)に示すように、粒子状の組織は観察されず均質な組織となっている。
このように、熱処理を施すことによって、α−Fe相が減少するとともに、La(Fe、Si)13型化合物相が増大し、組織の均質化が進む。
図9に、液体急冷法の試料(o)、試料(p)、試料(q)、試料(r)、試料(s)および鋳造法の試料(t)、試料(u)、試料(v)、試料(w)および試料(x)の磁気特性(磁気熱量効果)を評価した結果を示す。
液体急冷法の各試料の磁気エントロピー変化−ΔSmagの温度依存性と、対応する鋳造法の各試料の磁気エントロピー変化−ΔSmagの温度依存性とを比較すると、いずれも205K以下では−ΔSmagの最大値は15〜21Jkg-1-1であり、205Kを超えると−ΔSmagの最大値は9Jkg-1-1以下となり、ほぼ同程度の値となっていることがわかる。すなわち、急冷合金を1時間熱処理することによって、鋳造合金を120時間に亘って熱処理したものと同等の磁気エントロピー変化−ΔSmagの温度依存性を有するLa(Fe、Si)13系磁性合金材料を製造できることがわかる。
(参考実験例3)
[表面酸化]
図10に、ロール周速度Vs=20m/sで作製したas−spun薄帯を1050℃(1323K)で30分、1時間、2時間の各時間熱処理した薄帯表面のXRD図を示す。薄帯表面では熱処理時間が長くなるに従って、La(Fe、Si)13型化合物相のピーク強度は減少し、α−Fe相のピークが増加している。これは、熱処理中に表面付近の希土類が酸化物を形成し、乖離したためと考えられる。
以上の結果から、液体急冷法を用いることで、均質化熱処理を大幅に短縮できることが明らかとなった。一方で、熱処理時間を長くすると薄帯表面の酸化により、磁気特性を低下させる可能性が示唆された。
(参考実験例4)
[熱処理時間と磁気エントロピー変化−ΔSmagの関係]
粉末冶金法の焼結工程においてLa(Fe、Si)13型化合物相を生成させるには、組成と組織の均質性、薄帯の表面状態などを考慮して、最適な熱処理時間を選択することが必要と考えられる。そこで、組織の均質性と磁気エントロピー変化−ΔSmagの関係を検討した。
図11に、ロール周速度Vs=20m/sで作製したas−spun薄帯を1050℃(1323K)で5分、10分、30分、1時間、および24時間熱処理した試料の−ΔSmagを示す。比較のために図11中にバルク状試料(鋳造法で作製した試料)の−ΔSmagも示す。なお、バルク状試料は1050℃、120時間熱処理後、表面層を除去した部分を−ΔSmag評価用の試料としている。薄帯は表面状態に関わらず、熱処理後の試料をそのまま用いた。
バルクと薄帯全体とを比較すると、薄帯では−ΔSmagのピーク温度が高温側に位置し、ピーク高さも低い。図9にも示すように、La(Fe1-xSix13はx=0.12を超えると−ΔSmagが減少することから、薄帯試料の−ΔSmagが全体的に低いのは、試料作製過程における組成ずれの可能性が大きい。
薄帯試料のそれぞれの−ΔSmagに注目すると、5分から30分にかけて、最大値を示すピーク温度は高温側にシフトし、30分以上では−ΔSmagの立ち上がりはほぼ同じで、ピークの高さが減少している。最も高い−ΔSmagは30分の熱処理で、−ΔSmag =10.2Jkg-1-1であった。ピーク位置はキュリー温度Tcの違い、すなわち薄帯試料内におけるLa(Fe、Si)13型化合物相中のSi量の違いによる可能性が高い。ピーク高さは薄帯中の特性分布、すなわち元素分布の均一性、および薄帯表層の酸化等によるLa(Fe、Si)13型化合物相の体積減少分の2つが支配的と考えられる。
以上の結果から、−ΔSmagが試料内部の組織の均質性によっても影響されることがわかった。また、30分以降ではLa(Fe、Si)13型化合物相の体積減少が大きく影響していると考えられる。
(参考実験例5)
[ロール周速度Vsと磁気エントロピー変化−ΔSmagの関係]
メルトスピニング法において、ロール周速度Vsは薄帯厚さに影響する。また、Vsは溶湯の冷却速度を変え、as−spun合金の結晶粒径に影響し、目的相を得るための焼結時間またはその後の熱処理時間に影響する。そこで、ロール周速度Vsが−ΔSmagに与える影響を調査した。図12には、ねらい組成をLa(Fe0.88Si0.1213としてロール周速度Vs=5、10、20m/sで得られた薄帯試料の−ΔSmagを示す。熱処理は1050℃で30分および1時間とした。バルクの値−ΔSmag=18.8Jkg-1-1と比較して全体的に低く、やはりSi量のずれが、影響していると考えられる。最も高い値はVs=10m/s、1050℃、30分の条件で作製した試料で、−ΔSmag=14.2Jkg-1-1が得られた。いずれのVsにおいても、1時間の熱処理で−ΔSmagは低下した。
ロール周速度Vsが速くなれば、薄帯は薄くなり試料の表面積は増加して熱処理過程での特性の低下は顕著になる。しかし、冷却速度が増すことでas−spun合金の結晶粒径は細かくなり、均質化は進行しやすくなると考えられる。今回検討した条件範囲内ではVs=10m/sが薄帯厚さ、結晶粒径において最適な条件であったと考えられる。
以上の結果をまとめると、高い−ΔSmagを持つ粉末冶金法に好適な急冷薄帯を得るには、組成ずれのない試料を作製することと、合金組成に応じて最適なロール周速度Vsと熱処理温度、熱処理時間を選択すればよいと考えられる。また、一次磁気相転移の観測は組成の不均一性や異相に強く影響されるため、同一の配合組成としても、若干の組成ずれや不純物の影響で最適条件は変化する。例えば、ねらい組成をLa(Fe0.88Si0.1213として再度、溶解から試料を作製し、図12と同様の実験をおこなったが、このときの最適熱処理時間は1時間であった。
(参考実験例6)
[酸素濃度]
メルトスピニング法でロール周速度を変化させて急冷合金を作製した。as−spunの急冷合金の酸素濃度(△)およびこれを熱処理して得られた目的相を含む磁性合金の含有酸素濃度(□)とロール周速度の関係を図13に示す。また、磁性合金の磁気エントロピー変化量を図14に示す。
これらの結果から、ロール周速度が3m/s〜25m/sの範囲で高い磁気エントロピー変化が得られている。従って、as−spun合金の酸素濃度範囲は0.02mass%〜0.05mass%、熱処理後の急冷合金の酸素濃度範囲をおよそ0.25mass%〜0.8mass%の範囲に限定することが有利であることがわかる。
[その他の組成]
上述の組成に限らず、上記の組成式で表される組成の合金について上述の効果を得られることを実験例を示して説明する。実験に用いた試料((1)〜(19))の組成および急冷条件、熱処理条件を[表3]に示す。
図15に示すXRDのデータから分かるように、La以外のRE(Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Dy、Tb、Er)を含む急冷合金(試料(1)〜(8))のいずれにおいてもNaZn13型結晶構造を有する化合物相が生成されていることがわかる。
また、図16および図17に示すように、La以外のREを10at%添加しても、190K付近の磁化の変化の様子はLa以外のREを添加しない合金(試料(9)図18参照)と変わらない。なお、他の希土類元素(Pm、Eu、Gd、HoおよびTm)についても、同様の効果が得られると考えられる。
また、図19および図20に示すように、上記組成式における「A」の全てをAlとした合金においてもNaZn13型結晶構造を有する化合物相が生成され、磁気エントロピー変化を起こす。
さらに、図21および図22に示すように、上記組成式においてCoを含む合金においてもNaZn13型結晶構造を有する化合物相が生成され、磁気エントロピー変化も見られる。特に、Coは、化合物相中のFeに置換するので、その添加量によってキュリー温度を室温付近まで自由に設定することができるという利点がある。
図23に示す試料(16)のXRDデータにおいて、NaZn13型結晶構造を有する化合物相に帰属されるピークが観察されていることから、900℃において結晶化できることが分かる。さらに、図23の試料(17)〜(19)のXRDデータにおいて、NaZn13型結晶構造を有する化合物相に帰属されるピークが観察されていることから、熱処理時間が「1秒」であっても結晶化できることが分かる。
次に、得られた急冷合金を粉砕してから、粉末冶金法までの工程について説明する。
[急冷合金粉末]
以上のようにして作製された急冷合金(原料合金)をパワーミル、ピンミル、ハンマーミル、ボールミル、アトライター、ジェットミルなどを用いて粉砕することによって、微粉末状にする。
作製したい磁気冷凍作業物質の最終形状は多数の平行に配置した薄板の間を熱媒体である液体が流れる熱交換器のような構造を構成するための薄板であり、熱交換効率を上げるには機械強度が保持できる範囲内でなるべく薄い板状の形状が必要である。そのためには粉末粒径は微細なほど有利であるが、余り微細にすると比表面積が増大して酸素濃度の増加を招く。したがって、急冷合金粉末の短軸方向のサイズの下限値は2μmが好ましい。一方、急冷合金粉末の短軸方向のサイズの上限値は、上述の通り最終形状により設定されるが、2mm程度の厚さを想定すると200μm以下でなければ焼結前の成形体の作製が困難となる。より密度の高い焼結体を形成するという観点から、より好ましい急冷合金粉末の短軸方向のサイズの上限値は10μm未満である。
[成形体]
薄板状の焼結体を得る方法は、微粉砕工程、一次成形工程、および焼結工程の基本工程で構成される。
上述のようにして得られた合金粉末を用いて成形体を作製する一次成形工程は、例えば、合金粉末に必要に応じて潤滑剤等を添加混合した粉末材料を、金型を用いてプレス成形(圧縮成形)することによって行われる。このほかに、合金粉末とバインダとを混合したコンパウンドを調製し、射出成形などの成形方法を用いて成形する方法や、MIM法、グリーシート法などの成形法がある。また、プレス成形法においても、成形体の機械強度を確保するためにバインダを使用することがある。バインダを使用する場合は、焼結工程の前に、成形体中のバインダを除去するための脱バインダ工程を設けることが好ましい。バインダはLaと化合しやすい低分子量の炭化水素ガスの発生がなるべく少ないものを選ぶことが重要で、特にLaとの化学反応により炭化物が生成することを回避するために低温で脱バインダが可能なものが好ましい。水素ガスを脱バインダ促進のために用いる場合は700℃以下で脱バインダ処理を終了し、700℃以上で脱水素のため真空炉で減圧処理することが望ましい。
[焼結体]
焼結工程は、均質なNaZn13型化合物相が得られるように適宜条件を設定すればよい。本発明の合金粉末は、上述したような微細な組織を有しているので、比較的低い温度度で、比較的短い時間の焼結で、目的相を得ることが出来る。例えば、600℃以上の温度で10秒以上の焼結(熱処理)で目的相を得ることが出来る。典型的には、900℃以上の温度で1時間以下の焼結時間で目的相を得ることが出来る。1320℃を超える焼結温度や8時間を超える焼結時間を必要することは無い。焼結時間は4時間以下であることが好ましい。
公知のホットプレス法や放電焼結法を用いれば、600℃以上の温度、1時間以下の焼結時間で目的相を得ることができる。
本発明によると、粉末冶金法を用いて、外部磁界を0Tから1Tまで変化させたときの磁気エントロピー変化(−ΔSmag)が5JK-1kg-1を超える磁気熱量効果を有するLa(Fe、Si)13系磁性合金(磁気冷凍作業物質)を得ることができる。
また、本実施形態によるLa(Fe、Si)13系磁性合金を用いて、特開2003−028532号公報に記載されている蓄冷式熱交換器および磁気冷凍装置を構成することができる。
本発明によるLa(Fe、Si)13系磁性合金は、磁気冷凍作業物質として特に好適に用いられるが、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されているように、磁歪材料としても好適に用いることが出来る。
(実施例)
以下、実施例を示して、本発明によるLa(Fe、Si)13系磁性合金の製造方法の具体例を説明するが、本発明はこれに限られない。
(実施例1)
ストリップキャスト法で周速度5m/sおよび15m/sにて、La(Fe0.88Si0.1213組成で急冷薄帯を作製した。その平均厚さは、それぞれ、150μm(標準偏差15μm)、100μm(標準偏差10μm)であった。また、粉末XRDおよびSEMでその結晶組織を観察したところ、その構成相はNaZn13型La(Fe、Si)13、bcc−(Fe、Si)、および結晶構造未同定のLaリッチ領域(相)であり、各相の短軸方向の平均サイズは、それぞれ、1.5μm、および、1.1μmであった。それらの薄帯をパワーミルにより粗粉砕した後、ジェットミルを用いて窒素ガス中で平均粒度6μmの粉体にした。さらに潤滑剤としてステアリン酸亜鉛0.05mass%、バインダとしてワックス0.1mass%を添加し混合した。これを10mm×40mmの金型に充填し金型を用いたプレス成形(圧粉成形)により厚さ2mmの成形体を作製した。得られた成形体を真空焼結炉にてAr流気中400℃で脱バインダした後、50PaのAr流気中1250℃(1523K)で3時間焼結し、真密度の約95%で、寸法は8.4mm×33.5mm×1.7mmの薄板焼結体を得た。この方法で焼結体を50枚作製し、この工程での再現性を確認した。また、得られた焼結体の磁気エントロピー変化を測定した。冷却ロール周速度5m/s、15m/sで作製した試料それぞれについて、転移温度は190K、および、199Kで、印加磁界0Tと1T間の平均のΔSmagは−7Jkg-1-1、および、−9Jkg-1-1であった。以上により、本発明の磁性合金材料を原料として、粉末冶金的手法により磁気冷凍作業物質の作製が可能であることを確認した。
(実施例2)
次に、合金作製工程の差異の影響、組成および製造方法が焼結工程に及ぼす影響について検討を行った結果を説明する。
図24のLa−Fe−Siの3元状態図中に検討組成(星印)を記してある。
作製工程としては、金型鋳造法で鋳造合金(as−cast合金)を作製し、粉砕、成形、焼結したものと、メルトスピニング法(10m/s)で得られたas−spun合金(急冷合金薄帯)を粉砕、成形、焼結したものとを比較した。メルトスピニング法で得られたas−spun合金の結晶組織を粉末XRDとSEMで観察したところ、その構成相はNaZn13型La(Fe、Si)13およびbcc−(Fe、Si)であり、各相の短軸方向の平均サイズは50〜100nmであった。なお、鋳造合金と急冷薄帯の組織比較のため、各々熱処理したものも評価した。評価は主にX線回折法で行った。なお、成形はφ3×3mm程度のペレット(D:4Mgm-3)とし、熱分析装置を用いて焼結した。
図26は急冷合金のX線回折結果である。as−spunの状態では組成をLa−richとすることで、LaFeSi化合物相が増すことが判る。
図27は、鋳造合金(as−cast合金)を粉砕、成形し、1100℃(1373K)で焼結した場合の構成相変化をXRDにて評価したもので、目標組成の合金を用いた場合でも、(α−Fe、Si)相およびLaFeSi化合物相を消失できていない。
一方、図28は、急冷薄帯を同様に処理した場合を示し、ほぼ単相のLa(Fe、Si)13相が生成していることがわかる。しかし、1100℃(1373K)では焼結密度は真密度の80%以下であった。
図29および図30は、それぞれLa−rich組成での焼結処理の評価結果を示す。何れも焼結後はLa(Fe,Si)13相とLaFeSi化合物相が認められるが、一方焼結密度は、特に急冷薄帯では1100℃(1373K)でも真密度の85%程度に達し、La−rich化は緻密化には有効であると思われる。
図31Bに、種々の組成の急冷合金から得られた成形体(密度:約4Mg/m3)を120分間焼結した場合の焼結体の密度と焼結温度との関係を示す。なお、合金の真密度は7.2Mg/m3である。合金組成は図中に組成式(原子比)で示してある。図中、塗りつぶしの印と実線は、急冷薄帯(as−spun合金)を原料とした場合であり、白抜きの印と破線は鋳造合金(as−cast合金)を原料とした場合である。図31Bから急冷合金の方が鋳造合金よりも緻密な焼結体が得られていることが分かる。また、Laの組成比率が高い組成の方が緻密化に有利であることがわかる。
(実施例3)
次に、焼結工程における目的相形成の詳細について示す。
図32は、La7Fe82Si11の組成の原料合金を1200℃(1473K)2時間焼結することによって得られた焼結体の断面の反射電子像であり、左側が鋳造合金を用いた焼結体、右側が急冷合金を用いた焼結体である。図中の黒い部分は空孔を示し、濃い灰色部分がα−Fe相、薄い灰色の部分が目的相(La(Fe、Si)13相)、白い部分がLaFeSi化合物相又はLa−Si相又はLa相である。左側の鋳造合金を用いた焼結体に対して、右側の急冷合金を用いた焼結体では、α−Fe相が少なく、かつ小さいことが観察される。
図33は、La11Fe76Si13の組成の急冷合金を1200℃(1473K)2時間焼結することによって得られた焼結体の断面のEPMAによる反射電子像(B.E.I)および組成像を示す写真である。図33に示した焼結体では、図32(左側)の鋳造合金を用いた焼結体の組織と異なり、目的相の粒界をLaFeSi化合物相、La−Si相およびLa相のうちの複数の相が埋めている様子が観察され、焼結時に液相が多く生成し、その結果、焼結体の緻密化が促進されたことが判る。
図34は、La9Fe78Si13組成の急冷合金を、種々の温度で各2時間焼結することによって得られた焼結体のX線回折結果を示す。1270℃(1543K)で焼結した場合には、ほぼ目的相(La(Fe、Si)13相)単相になっているが、より高温の1320℃(1593K)で焼結した場合には却ってLaFeSi化合物相が生成している。これは、目的相の包晶温度を一部超えていることを示しており、焼結温度は1320℃(1593K)未満とすることが好ましいことがわかる。
(実施例4)
次に以上の結果と磁気熱量効果との関係を示す。
図31Aに、Laの組成比率と磁気熱量効果(−ΔSmag)との関係を示す。原料合金は、組成式LaxFebalSi13(x=5〜12、balは残余を示す。)で表されるねらい組成で、メルトスピニング法(10m/s)で得られたas−spun合金(急冷合金薄帯)を用い、焼結温度を1220℃(1493K)としたこと以外は実施例1と同様の方法で焼結体を作製した。
図31Aからわかるように、Laの組成比率が8at%程度までは、Laの組成比率が高いほど−ΔSmagが上昇し、8at%程度でピークを迎え後は減少する。この理由は以下のように考えられる。
Laの組成比率が8at%程度までは、Laの組成比率が高いほど合金中に生成されるα−(Fe、Si)相の量が少なく、焼結過程で元素が拡散すべき距離が短くなる。従って、短時間で焼結でき、緻密化し(図31B参照)、優れた磁気熱量効果を担うLa(Fe、Si)13相の割合が増加するので、−ΔSmagが上昇する。一方、Laの組成比率が8at%を超えると、La(Fe、Si)13相以外の相(例えば、LaFeSi相)の割合が増加し、その結果、−ΔSmagが低下する。
以上のことから、磁気熱量効果の観点からは、粉末冶金法に適した磁性材料のLaの組成比率は6at%以上11at%以下の範囲内であり、より好ましくは、7at%以上9at%以下の範囲内である。
このように、本発明による急冷合金を原料として粉末冶金プロセスで焼結体を作製すると、比較的短い時間で、比較的低い温度で、緻密な焼結体を得ることができることが分かった。
本発明によると、従来よりも高い生産効率でLa(Fe、Si)13系磁性合金材料を製造することが可能となる。従って、磁性冷凍作業物質や磁歪材料を従来よりも安く提供することが可能となり、例えば、磁気冷凍装置を実用的なコストで提供することが可能となる。磁気冷凍装置は、気体圧縮型の様に冷媒を用いることが無いので、環境に優しく、また、永久磁石材料の併用により高いエネルギー変換効率が得られるという特長を有している。
(a)は、本発明による急冷合金を製造する方法に用いる装置の全体構成例を示す断面図であり、(b)は急冷凝固が行われる部分の拡大図である。 急冷合金を用いて作製した試料(a)、(b)、(c)および(d)のXRDの測定結果を示す図である。 急冷合金を用いて作製した試料(c)について得られた−ΔSmagの温度依存性を示す図である。 急冷合金を用いて作製した試料(c)のEPMAによる反射電子像(B.E.I)を示す写真である。 鋳造合金を用いて作製した試料(e)、(f)、(g)および(h)のXRDの測定結果を示す図である。 鋳造合金を用いて作製した試料のEPMAによる反射電子像(B.E.I)を示す写真である。 急冷合金を用いて作製した試料(i)、試料(j)、(k)、(l)、(m)および(n)のXRDの測定結果を示す図である。 急冷合金を用いて作製した試料(i)、(k)および(n)のFE−SEMによる破断面の組織を示す写真である。 合金薄帯を用いて作製した試料(o)、試料(p)、試料(q)、試料(r)および試料(s)について得られた−ΔSmagの温度依存性を示すグラフ(上段)と、鋳造合金を用いて作製した試料(t)、試料(u)、試料(v)、試料(w)および試料(x)について得られた−ΔSmagの温度依存性を示すグラフ(下段)である。 各時間熱処理した薄帯表面のXRD図である。 ロール周速度Vs=20m/sで作製したas−spun薄帯を5分、10分、30分、1時間および24時間熱処理した試料の−ΔSmagを示すグラフである。 ロール周速度と得られた薄帯試料の−ΔSmagとの関係を示すグラフである。 as−spunの急冷合金の酸素濃度(△)およびこれを熱処理して得られた目的相を含む磁性合金の含有酸素濃度(□)とロール周速度の関係を示すグラフである。 図13に示した磁性合金の磁気エントロピー変化量を示すグラフである。 La以外のREを含む合金のXRDデータを示す図である。 La以外のREを含む合金のキュリー温度の測定データを示すグラフである。 La以外のREを含む他の合金のキュリー温度の測定データを示すグラフである。 La以外のREを含まない合金のキュリー温度の測定データを示すグラフである。 Alを含む急冷合金のXRDデータを示す図である。 Alを含む急冷合金の−ΔSmagを示すグラフである。 Coを含む急冷合金のXRDデータを示す図である。 Coを含む急冷合金の−ΔSmagを示すグラフである。 熱処理時間が短い(1秒)磁性合金のXRDデータを示す図である。 La−Fe−Siの3元状態図である。 合金試料のEPMAによる反射電子像(B.E.I)および組成像を示す写真である。 急冷合金のXRDの測定結果を示す図である。 鋳造合金を1100℃で焼結した場合の構成相変化を示すXRDの測定結果を示す図である。 急冷合金を1100℃で焼結した場合の構成相変化を示すXRDの測定結果を示す図である。 Laリッチな鋳造合金を1100℃で焼結した場合の構成相変化を示すXRDの測定結果を示す図である。 Laリッチな急冷合金を1100℃で焼結した場合の構成相変化を示すXRDの測定結果を示す図である。 Laの組成比率と磁気熱量効果(−ΔSmag)との関係を示すグラフである。 種々の組成の急冷合金から得られた焼結体の密度と焼結温度との関係を示すグラフである。 La7Fe82Si11組成の合金を1200℃で焼結することによって得られた焼結体の断面のEPMAによる反射電子線像を示す写真である。 La11Fe76Si13組成の急冷合金を1200℃で焼結することによって得られた焼結体の断面のEPMAによる反射電子像(B.E.I)および組成像を示す写真である。 La9Fe78Si13組成の急冷合金を種々の温度で焼結することによって得られた焼結体のX線回折結果を示す図である。
符号の説明
1b、2b、8b、および9b 雰囲気ガス供給口
1a、2a、8a、および9a ガス排気口
1 溶解室
2 急冷室
3 溶解炉
4 貯湯容器
5 出湯ノズル
6 ロート
7 回転冷却ロール
21 溶湯
22 合金薄帯

Claims (20)

  1. 組成式Fe100-a-b-cREabCoc(REはLaを必ず含む希土類元素、AはSiまたはAl、6at%≦a≦11at%、8at%≦b≦18at%、0at%≦c≦9at%)で表され、実質的にα−Fe相および30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相から成る2相組織、または、実質的にα−Fe相、30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相およびNaZn13型結晶構造のRE(Fe、A)13化合物相から成る3相組織を有し、各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下の範囲内にある、磁性合金材料。
  2. 前記組成式中のaは7at%以上9at%以下である、請求項1に記載の磁性合金材料。
  3. 前記(RE、Fe、A)相は、REFeSi化合物相である、請求項1または2に記載の磁性合金材料。
  4. 前記Coは、前記α−Fe相、前記(RE、Fe、A)相および前記RE(Fe、A)13化合物相の内の少なくとも1つの相のFeを置換している、請求項1から3のいずれかに記載の磁性合金材料。
  5. 酸素含有率が0.07原子%以上0.18原子%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の磁性合金材料。
  6. 600℃以上の温度で10秒以上の時間に亘って熱処理することにより実質的に全てがRE(Fe、A)13化合物相に変化し得る、請求項1から5のいずれかに記載の磁性合金材料。
  7. 粉末であって、前記粉末を構成する粒子の短軸方向のサイズが2μm以上200μm以下の範囲内にある、請求項1から6のいずれかに記載の磁性合金材料。
  8. 前記粉末を構成する粒子の短軸方向のサイズが10μm未満である、請求項7に記載の磁性合金材料。
  9. 所定の組成を有する合金原料の溶湯を用意する工程と、
    前記合金原料の溶湯を、1500℃から600℃までの温度範囲における平均冷却速度が2×104℃/s以上2×106℃/s以下の範囲内となる条件で、急冷凝固することによって、組成式Fe100-a-b-cREabCoc(REはLaを必ず含む希土類元素、AはSiまたはAl、6at%≦a≦11at%、8at%≦b≦18at%、0at%≦c≦9at%)で表され、実質的にα−Fe相および30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相から成る2相組織、または、α−Fe相、30at%以上90at%以下のREを含有する(RE、Fe、A)相およびNaZn13型結晶構造のRE(Fe、A)13化合物相から成る3相組織を有し、各相の短軸方向の平均サイズが40nm以上2μm以下の範囲内にある急冷合金を形成する工程と、
    を包含する、磁性合金材料の製造方法。
  10. 前記組成式中のaは7at%以上9at%以下である、請求項9に記載の磁性合金材料の製造方法。
  11. 前記(RE、Fe、A)相は、REFeSi化合物相である、請求項9または10に記載の磁性合金材料の製造方法。
  12. 前記Coは、前記α−Fe相、前記(RE、Fe、A)相および前記RE(Fe、A)13化合物相の内の少なくとも1つの相のFeを置換している、請求項9から11のいずれかに記載の磁性合金材料の製造方法。
  13. 前記急冷合金の厚さが、2μm以上200μm以下である、請求項9から12のいずれかに記載の磁性合金材料の製造方法。
  14. 前記急冷合金を形成する工程において、前記合金原料の出湯温度は前記合金原料の液相線温度よりも50℃以上150℃以下の温度だけ高い、請求項9から13のいずれかに記載の磁性合金材料の製造方法。
  15. 前記急冷合金を形成する工程において、冷却ロールのロール周速度は3m/s以上30m/s以下の範囲内にある、請求項9から14のいずれかに記載の磁性合金材料の製造方法。
  16. 前記急冷合金を粉砕することによって、短軸方向のサイズが2μm以上200μm以下の範囲内にある粒子からなる粉末を得る工程をさらに包含する、請求項9から15のいずれかに記載の磁性合金材料の製造方法。
  17. 前記粉末を構成する粒子の短軸方向のサイズが10μm未満である、請求項16に記載の磁性合金材料の製造方法。
  18. 磁性合金の焼結体の製造方法であって、請求項16に記載の製造方法によって得られた粉末を用意する工程と、
    前記粉末を成形することによって成形体を得る工程と、
    前記成形体を焼結する工程と
    を包含する、磁性合金の焼結体の製造方法。
  19. 前記焼結工程は、600℃以上1320℃未満の温度範囲内で焼結する工程を含む、請求項18に記載の磁性合金の焼結体の製造方法。
  20. 前記焼結工程において、前記温度範囲内で焼結される時間は10秒以上8時間以下である、請求項19に記載の磁性合金の焼結体の製造方法。
JP2006087995A 2005-04-01 2006-03-28 磁性合金の焼結体の製造方法 Expired - Fee Related JP5157076B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006087995A JP5157076B2 (ja) 2005-04-01 2006-03-28 磁性合金の焼結体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005106425 2005-04-01
JP2005106425 2005-04-01
JP2006087995A JP5157076B2 (ja) 2005-04-01 2006-03-28 磁性合金の焼結体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006307332A true JP2006307332A (ja) 2006-11-09
JP5157076B2 JP5157076B2 (ja) 2013-03-06

Family

ID=37474540

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006087995A Expired - Fee Related JP5157076B2 (ja) 2005-04-01 2006-03-28 磁性合金の焼結体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5157076B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009221494A (ja) * 2008-03-13 2009-10-01 Chubu Electric Power Co Inc 磁気冷凍材料
CN102077303A (zh) * 2008-04-28 2011-05-25 巴斯夫欧洲公司 用于换热器的开孔多孔成型体
JP2011520252A (ja) * 2008-04-28 2011-07-14 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 熱磁気発生機
JP2011523676A (ja) * 2008-04-28 2011-08-18 テクノロジー、ファウンデーション、エステーヴェー 磁気冷却用またはヒートポンプ用の金属系材料の製造方法
WO2012124721A1 (ja) * 2011-03-16 2012-09-20 株式会社三徳 磁気冷凍材料
WO2013005579A1 (ja) * 2011-07-05 2013-01-10 株式会社三徳 磁気冷凍材料及び磁気冷凍デバイス
KR101233549B1 (ko) * 2008-10-01 2013-02-14 바쿰슈멜체 게엠베하 운트 코. 카게 자기 열교환용 물품, 자기 열교환용 물품의 중간 물품 및 제조 방법
KR101233462B1 (ko) 2008-10-01 2013-02-14 바쿰슈멜체 게엠베하 운트 코. 카게 적어도 하나의 자기열량적 활성상을 포함하는 물품 및 적어도 하나의 자기열량적 활성상을 포함하는 물품의 가공 방법
JP2013153165A (ja) * 2013-01-22 2013-08-08 Vacuumschmelze Gmbh & Co Kg 磁気熱量活性物質を有する複合構造体及びその製造方法
US9666340B2 (en) 2007-12-27 2017-05-30 Vacuumschmelze Gmbh & Co. Kg Composite article with magnetocalorically active material and method for its production
WO2017094741A1 (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 新日鐵住金株式会社 金属薄帯の製造装置及びそれを用いた金属薄帯の製造方法
CN115229144A (zh) * 2022-08-05 2022-10-25 桂林电子科技大学 一种TbDyHoEr薄带及其制备方法和应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002356749A (ja) * 2001-03-27 2002-12-13 Alps Electric Co Ltd Fe基軟磁性合金とその製造方法
JP2004100043A (ja) * 2002-08-21 2004-04-02 Sumitomo Special Metals Co Ltd 磁性合金材料およびその製造方法
JP2005036302A (ja) * 2002-10-25 2005-02-10 Showa Denko Kk 希土類含有合金の製造方法、希土類含有合金、希土類含有合金粉末の製造方法、希土類含有合金粉末、希土類含有合金焼結体の製造方法、希土類含有合金焼結体、磁歪素子、及び磁気冷凍作業物質

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002356749A (ja) * 2001-03-27 2002-12-13 Alps Electric Co Ltd Fe基軟磁性合金とその製造方法
JP2004100043A (ja) * 2002-08-21 2004-04-02 Sumitomo Special Metals Co Ltd 磁性合金材料およびその製造方法
JP2005036302A (ja) * 2002-10-25 2005-02-10 Showa Denko Kk 希土類含有合金の製造方法、希土類含有合金、希土類含有合金粉末の製造方法、希土類含有合金粉末、希土類含有合金焼結体の製造方法、希土類含有合金焼結体、磁歪素子、及び磁気冷凍作業物質

Cited By (22)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9666340B2 (en) 2007-12-27 2017-05-30 Vacuumschmelze Gmbh & Co. Kg Composite article with magnetocalorically active material and method for its production
JP2009221494A (ja) * 2008-03-13 2009-10-01 Chubu Electric Power Co Inc 磁気冷凍材料
KR101553091B1 (ko) * 2008-04-28 2015-09-14 테크놀로지 파운데이션 (테크놀로지스티크팅 에스티더블유) 자기 냉각 또는 히트 펌프를 위한 금속계 재료를 제조하는 방법
CN102077303A (zh) * 2008-04-28 2011-05-25 巴斯夫欧洲公司 用于换热器的开孔多孔成型体
JP2011520252A (ja) * 2008-04-28 2011-07-14 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 熱磁気発生機
JP2011523771A (ja) * 2008-04-28 2011-08-18 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 熱交換器用の連続気泡多孔性成型物
JP2011523676A (ja) * 2008-04-28 2011-08-18 テクノロジー、ファウンデーション、エステーヴェー 磁気冷却用またはヒートポンプ用の金属系材料の製造方法
US9343209B2 (en) 2008-04-28 2016-05-17 Basf Se Open-celled, porous shaped body for heat exchangers
KR101233549B1 (ko) * 2008-10-01 2013-02-14 바쿰슈멜체 게엠베하 운트 코. 카게 자기 열교환용 물품, 자기 열교환용 물품의 중간 물품 및 제조 방법
KR101233462B1 (ko) 2008-10-01 2013-02-14 바쿰슈멜체 게엠베하 운트 코. 카게 적어도 하나의 자기열량적 활성상을 포함하는 물품 및 적어도 하나의 자기열량적 활성상을 포함하는 물품의 가공 방법
WO2012124721A1 (ja) * 2011-03-16 2012-09-20 株式会社三徳 磁気冷凍材料
JP5809689B2 (ja) * 2011-03-16 2015-11-11 株式会社三徳 磁気冷凍材料
US9633769B2 (en) 2011-03-16 2017-04-25 Santoku Corporation Magnetic refrigeration material
JPWO2013005579A1 (ja) * 2011-07-05 2015-02-23 株式会社三徳 磁気冷凍材料及び磁気冷凍デバイス
CN103649352A (zh) * 2011-07-05 2014-03-19 株式会社三德 磁制冷材料和磁制冷装置
CN103649352B (zh) * 2011-07-05 2015-12-02 株式会社三德 磁制冷材料和磁制冷装置
WO2013005579A1 (ja) * 2011-07-05 2013-01-10 株式会社三徳 磁気冷凍材料及び磁気冷凍デバイス
US9732406B2 (en) 2011-07-05 2017-08-15 Santoku Corporation Magnetic refrigeration material and magnetic refrigeration device
JP2013153165A (ja) * 2013-01-22 2013-08-08 Vacuumschmelze Gmbh & Co Kg 磁気熱量活性物質を有する複合構造体及びその製造方法
WO2017094741A1 (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 新日鐵住金株式会社 金属薄帯の製造装置及びそれを用いた金属薄帯の製造方法
CN115229144A (zh) * 2022-08-05 2022-10-25 桂林电子科技大学 一种TbDyHoEr薄带及其制备方法和应用
CN115229144B (zh) * 2022-08-05 2023-12-22 桂林电子科技大学 一种TbDyHoEr薄带及其制备方法和应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP5157076B2 (ja) 2013-03-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5157076B2 (ja) 磁性合金の焼結体の製造方法
US7578892B2 (en) Magnetic alloy material and method of making the magnetic alloy material
US8110049B2 (en) Alloy containing rare earth element, production method thereof, magnetostrictive device, and magnetic refrigerant material
US7670443B2 (en) Magnetic alloy material and method of making the magnetic alloy material
US7833361B2 (en) Alloy and method for producing magnetic refrigeration material particles using same
JP4591633B2 (ja) ナノコンポジットバルク磁石およびその製造方法
JP5477282B2 (ja) R−t−b系焼結磁石およびその製造方法
KR100771676B1 (ko) 희토류 소결자석 및 그 제조방법
JP5274781B2 (ja) R−t−b系合金及びr−t−b系合金の製造方法、r−t−b系希土類永久磁石用微粉、r−t−b系希土類永久磁石
GB2424901A (en) A magnetic Fe-rare earth-Al/Si alloy
JP3630164B2 (ja) 磁性合金材料およびその製造方法
TW201113910A (en) Rare earth magnet and its preparation
JPWO2016162990A1 (ja) 希土類永久磁石およびその製造方法
JPH05295490A (ja) 磁石製造用母合金およびその製造方法ならびに磁石の製造方法
JP2005036302A (ja) 希土類含有合金の製造方法、希土類含有合金、希土類含有合金粉末の製造方法、希土類含有合金粉末、希土類含有合金焼結体の製造方法、希土類含有合金焼結体、磁歪素子、及び磁気冷凍作業物質
JP4254121B2 (ja) 希土類焼結磁石およびその製造方法
EA014583B1 (ru) Композиция для получения спеченного постоянного магнита, спеченный постоянный магнит и способ его получения
JP4371040B2 (ja) 磁性合金材料およびその製造方法
JP2011162811A (ja) 磁気冷凍用希土類−鉄系合金粉末
JP4238999B2 (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
TW567104B (en) The method for controlling inside texture of alloy containing rare earth elements, the powder of aforementioned alloy and the magnetic stone made by it
JP3474684B2 (ja) 耐食性のすぐれた高性能R−Fe−B−C系磁石材料
JPH06256912A (ja) 高磁歪特性を有する超磁歪焼結体の製造法
JP2005136356A (ja) 希土類焼結磁石の製造方法
JP2005136355A (ja) 希土類焼結磁石の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070605

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081127

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120322

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120626

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5157076

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151221

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees