JP4238999B2 - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents

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本発明は、磁気特性に優れた希土類永久磁石(焼結磁石)の製造方法に関する。
希土類永久磁石は優れた磁気特性と経済性のため電気・電子機器の分野で多用されており、近年益々その高性能化が要求されている。これら永久磁石のうちR214B系希土類永久磁石(通称ネオジ磁石)は、希土類コバルト磁石に比べて主要元素であるNdがSmより豊富に存在すること、高価なCoを多用しないことから原材料費が安価であり、磁気特性も希土類コバルト磁石を遥かに凌ぐ極めて優れた永久磁石である。
従来、希土類磁石の原料用合金は、溶湯を金型に鋳造する金型鋳造法により製造されてきたが、該方法によると、合金の冷却凝固過程において初晶γ−Feが析出して、これが冷却後α−Feとして偏析していた。このα−Feは希土類磁石の製造工程の中の微粉砕工程において、粉砕能力を悪化させるだけでなく、焼結工程後の磁石に残存した場合、磁気特性の低下をもたらす原因ともなる。このため高温で長時間熱処理を行って均質化させ、α−Feを消失させることが必要となるが、この熱処理により合金中の主相(R214B)の結晶粒径が粗大化し、その結果、磁気特性を低下させるとともに、製造コストの上昇を招くこととなる。このような課題を解決するため、ストリップキャスティング法等の急冷技術を用いて、α−Feの偏析を抑制すると共に主相の結晶粒径が細かくなるように制御して得られた合金薄帯を希土類磁石の原料合金として用いて希土類磁石を製造する技術が報告がされている。
例えば、(1)特許第1889311号公報(特許文献1)には、5μm以下の結晶質である主相を得、該合金がボンド磁石の原料となるだけでなく、焼結磁石の原料となることが開示され、(2)特許第2665590号公報(特許文献2)には、主相が短軸3〜20μmの均質な柱状結晶を得、これを原料として保磁力(iHc)の高い磁石を製造する技術が開示され、(3)特許第2639609号公報(特許文献3)には、冷却速度10〜500℃/秒で均一に凝固させ、主相の結晶粒径が短軸0.1〜50μm、長軸0.1〜100μmの永久磁石原料用合金を製造し、残留磁化(Br)を上昇させる技術が開示され、(4)特開平7−176414号公報(特許文献4)には、平均粒径3〜50μmの柱状結晶の主相用母合金と平均粒径0.1〜20μmの粒界用助剤合金を混合して水素を吸蔵させる方法で磁気特性を向上させるとともに、粉砕性をも向上させる技術が開示され、(5)特開平9−170055号公報(特許文献5)には、鋳造後、800〜600℃の冷却を10℃/秒以下に制御することで、主相の平均粒径が20〜100μmでNdリッチ相間隔が15μm以下の合金を製造し、残留磁化を上昇させる技術が開示されている。
これら報告は平均粒径の揃った均質な合金を用いて磁気特性を向上させているのが特徴であるが、ネオジ磁石の高特性化が進み、量産で400kJ/m3を超えるものが要求されるようになってきたため、更に良質の組織を持つ合金が要望されるようになり、特開2000−219943号公報(特許文献6)では、チル晶と、α−Fe相の析出形態を制御することで、従来よりも20〜100℃低い焼結温度で密度が上昇するようになり、残留磁化(Br)を損なうことなく、高い保磁力(iHc)が得られるという技術が開示されている。特開2000−303153号公報(特許文献7)では、α−Fe相だけでなく、Rリッチ相、Bリッチ相(多くの場合はNd1+αFe44相)、及びR214B相を含めた4相共存領域を制御することで、残留磁束密度を向上させる技術が開示されている。しかしながら、量産レベルの大型炉では該組織を安定的に生産するのは難しく、問題となっていた。
特許第1889311号公報 特許第2665590号公報 特許第2639609号公報 特開平7−176414号公報 特開平9−170055号公報 特開2000−219943号公報 特開2000−303153号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、磁気特性に優れた希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、従来のロール急冷法では、ロールの周速を制御することで、冷却速度を制御し、結晶組織を制御するという考え方が一般的であったが、同じロール周速でも、ロールの外径や、厚さや、使用する材料の熱伝導度等が違うと、組織が大きく変わることを見出し、これを深く検討することで、チル晶の領域、α−Fe相、Rリッチ相、Bリッチ相、及びR1214B相からなる非常に活性な領域である4相共存領域、球状結晶の領域、柱状結晶の領域、及び添加元素Mに起因する相の領域が混在する良質な結晶組織を有する希土類合金薄帯が安定的に製造できることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示す希土類焼結磁石の製造方法を提供する。
[1]R(RはYを含む希土類元素のうち一種又は二種以上の組み合わせ)、T(TはFe、又はFe及びCo)、Bを主成分とし、Rが26.8〜32.0質量%、Bが0.3〜1.5質量%、Cが0.005〜1.2質量%、添加元素M(MはGa、Zr、Nb、Hf、Ta、W、Mo、Al、Si、V、Cr、Ti、Cu、Ag、Mn、Ni、Ge、Sn、Bi、Pb、Znのうち一種又は二種以上の組み合わせ)が0〜4.0質量%、残部がT及び不可避不純物からなる組成の合金溶湯を、冷却ロールで急冷して合金薄帯を得た後、この合金薄帯を平均粒径2〜8μmに微粉砕し、得られた微粉を600kA/m以上の磁場中で配向させながら加圧成形し、続いて真空雰囲気下、950〜1,200℃で焼結し、更に真空又はAr雰囲気下、時効処理を行って希土類焼結磁石を製造する方法において、上記合金薄帯を、上記合金溶湯温度を1,500〜1,600℃とし、上記冷却ロールとして、上記合金溶湯と接触する表面層が厚さ10〜30mmで200W/m・℃以上の熱伝導度を持つ銅又は銅合金により形成された外径が600〜1,000mmである冷却ロールを使用し、この冷却ロール内部を水冷しながら20〜90回転/分の速度で回転させて上記合金溶湯を急冷することにより得ることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
上記合金薄帯が、平均厚さが100〜800μmであり、チル晶を体積率で1〜30%有し、かつ、平均粒径8μm以下のα−Fe相、平均粒径10μm以下のRリッチ相、平均粒径8μm以下のBリッチ相、及びR214B相からなる4相共存領域を体積率で1〜20%有し、残部は球状結晶、柱状結晶、及び添加元素Mに起因する相からなることを特徴とする[記載の希土類焼結磁石の製造方法
希土類焼結磁石の最大エネルギー積が400kJ/m 3 を超えるものである[1]又は[2]記載の希土類焼結磁石の製造方法。
本発明によれば、量産レベルで最大エネルギー積が400kJ/m3を超える高特性希土類磁石合金を安定して製造できるようになる。
本発明の希土類合金薄帯の製造に使用される原料合金は、26.8〜32.0質量%のR(RはYを含む希土類元素のうち一種又は二種以上の組み合わせ)、0.3〜1.5質量%のB、0.005〜1.2質量%のC、0〜4.0質量%の添加元素M(MはGa、Zr、Nb、Hf、Ta、W、Mo、Al、Si、V、Cr、Ti、Cu、Ag、Mn、Ni、Ge、Sn、Bi、Pb、Znのうち一種又は二種以上の組み合わせ)、残部がT(TはFe、又はFe及びCo)及び不可避不純物からなる組成のR214B系合金である。
ここで、上記Rは好ましくはY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuから選ばれる一種又は二種以上の希土類元素であり、中でもPr、Nd、Tb、Dyを用いることが好ましい。一方、MはGa、Zr、Nb、Hf、Ta、W、Mo、Al、Si、V、Cr、Ti、Cu、Ag、Mn、Ni、Ge、Sn、Bi、Pb、Znのうちから選ばれる一種又は二種以上の金属元素であり、中でもZr、Al、Si、Cuを用いることが好ましい。また、TはFe、又はFe及びCoである。
上記Rの量が26.8質量%未満では、保磁力が著しく減少し、一方、32.0質量%を超えると、Rリッチ相の量が必要以上に増えるため、残留磁化が低くなり、結果として磁気特性が低下する。中でもRの量が27.0〜29.0質量%の間であると、4相共存領域中の微細なα−Fe相等の析出を制御しやすいために好ましい。
また、Bの量が0.3質量%未満では、Nd2Fe17相の析出により保磁力が著しく低下することとなり、1.5質量%を超えると、Bリッチ相(組成により変わるが、多くの場合はNd1+αFe44相)の量が増えて残留磁化が低くなってしまう。好ましいBの量は0.8〜1.2質量%である。
Cは、焼結後の磁石合金中ではBと似た金属間化合物を作ることが多い添加物であるが、0.005質量%未満では、焼結時の密度上昇が妨げられ、残留磁化が低くなることとなり、1.2質量%を超えると、保磁力が著しく低くなってしまう。好ましいCの量は0.01〜0.3質量%である。
添加元素Mは、保磁力を上昇させる等の目的に応じて用いられるものであるが、4.0質量%を超えると、残留磁化が著しく減少する。好ましいMの量は0.05〜1.5質量%である。
なお、上記希土類合金には、上記元素の他に、例えば、H、O、Nなどの製造上不可避の不純物を含んでもよい。
本発明において、上記合金の溶湯温度は、一般的には1,400〜1,500℃がよいといわれているが、本発明の冷却ロールにて所望の組織を得るためには1,500〜1,600℃、特に1,520〜1,580℃とすることが好ましい。1,500℃未満では4相共存領域の割合が少なくなってしまう場合があり、1,600℃を超えると坩堝と溶湯の反応性が高くなり、歩留まりの低下や坩堝寿命の低下を引き起こすおそれがある。
本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、上記組成の合金溶湯を冷却ロールで急冷することにより、合金薄帯を得るものであるが、この場合、この冷却ロールとして、上記合金溶湯と接触する表面層が厚さ10〜30mmで200W/m・℃以上の熱伝導度を持つ銅又は銅合金により形成された外径600〜1,000mmで、内部が水冷可能なロールを使用し、このロールを内部を水冷しながら20〜90回転/分の速度で回転させ、これの表面に上記合金溶湯を注いで合金溶湯を急冷するものである。
ここで、冷却ロールの外径は、上記した通り、600〜1,000mmであり、600〜800mmであることが好ましい。冷却ロールとしては、一般的には200〜400mmの外径のロールが通常であるが、これでは微細なα−Fe相、Rリッチ相、Bリッチ相等が含まれる4相共存領域を安定的に得ることができず、ロール外径を500mm以上にすることでこのことが可能となる。500mm未満では所定の周速を得るために回転速度を上げる必要がある。そのため遠心力が強く働き、合金薄帯が完全にロールにて冷却される前に剥がれてしまう物の割合が増えてしまう。該合金薄帯はロールにて冷却されないため冷却速度が大幅に低下するので、4相共存領域中の各相の粒径が制御できず、8μmを超え、時には20μmを超えるような粗大化したα−Fe相が析出してしまい、磁気特性が低下してしまう。なお、ロールは定期的に交換する部品であるため1,000mmを超えると、メンテナンス上好ましくない。
冷却ロールの回転速度は同様の理由で120回転/分以下であり、また、20回転/分より下回ると合金薄帯の厚さが厚くなってしまうため、20〜90回転/分とすることが必要であり、30〜90回転/分とすることが好ましい。
冷却ロールの表面層の厚さは10〜30mmであり、15〜25mmであることが好ましい。ロールの厚さ(表面層の厚さ)としては、30〜60mmの厚さが一般的ではあるが、これでは冷却面近傍に体積率で1〜30%のチル晶を安定的に得ることができず、表面層の厚さを30mm以下にすることで可能となる。30mmを超えると、高温の溶湯(冷却されて合金薄帯となる)に接触し温度が上昇するロール外面と、水冷されて水温付近に保たれるロール内面の距離が大きくなるため、温度勾配が緩慢になり、冷却速度が低下するので、チル晶が減ってしまうこととなる。また、10mm未満では安全上好ましくない。
冷却ロールの表面層の材質は熱伝導度の高い金属として銅又は銅合金が好ましい。一般的に熱伝導度の高い金属といえば、銀と銅が挙げられるが、コスト的な面から、銅又は銅を主体とした合金系が使われる。純銅の熱伝導度は、酸素等の不可避不純物量により若干の違いはあるが、400W/m・℃程度であるので、これに少しでも近い方がよいが、純銅は軟らかいため、ロールが傷つきやすく、ロール寿命の問題があるので、様々な添加物、例えばCr、Zr、Beなどの硬度を上げる添加物や、Agなどの熱伝導率を向上させる添加物を加えて合金化し、硬度を上げたものが使われる。なお、本発明においては、200W/m・℃以上、特に250〜400W/m・℃の熱伝導度を有する銅又は銅合金を用いるものである。熱伝導度が200W/m・℃未満であると、チル晶の割合が減ってしまうおそれがあり、更に4相共存領域中のα−Fe相等の粒径が大きくなるおそれがある。
冷却ロールの内部に流す冷却媒体は特に限定されないが、通常、冷却水が使用される。冷却水温が上昇して気泡が生じるようになると冷却効率が落ちるため、80℃以上、好ましくは50℃以上に冷却水温が上昇しないように、冷却水量を確保したり、供給する冷却水温度を下げる必要がある。
本発明の希土類合金薄帯の製造方法は、上記合金溶湯を上述した冷却ロールで急冷することにより合金薄帯が得られるものであり、この場合、上述したロール条件とする以外は、公知の方法を採用し得、単ロール法でも双ロール法でもよい。
このようにして得られた希土類合金薄帯は、平均厚さが100〜800μmであり、チル晶を体積率で1〜30%有し、かつ、平均粒径8μm以下のα−Fe相、平均粒径10μm以下のRリッチ相、平均粒径8μm以下のBリッチ相、及びR214B相からなる4相共存領域を体積率で1〜20%有し、残部は球状結晶、柱状結晶、及び添加元素Mに起因する相からなるものである。
得られた希土類合金薄帯の組織に関して、簡単に説明すると、チル晶は、その粒径の細かさにより微粉砕時に細かく粉砕されるため、最適焼結温度を下げ、残留磁化を損なうことなく、高い保磁力が得られる効果があるが、希土類合金薄帯中1体積%を下回るとその効果が少なくなってしまうし、30体積%を超えると酸素濃度が上昇するため、1〜30体積%有するものである。最大エネルギー積が400kJ/m3を超える高特性希土類磁石の製造には、5〜15体積%の割合で有することがより好ましい。
また、チル晶は、合金溶湯がロールと接触した瞬間に冷却された等晶微結晶で、一般には3μm以下の粒径のものである。なお、チル晶の体積率の測定は、合金薄帯断面を偏光顕微鏡で倍率200倍の写真観察を行い、合金薄帯に占めるチル晶の面積率(%)を測定してそれを体積率(%)とした値である。
4相共存領域は、希土類合金薄帯中に含まれるα−Fe相、Rリッチ相、Bリッチ相の反応が活性であり、焼結時の磁石の密度が上昇しやすく、残留磁束密度が上昇するものであるが、希土類合金薄帯中1体積%を下回るとその効果が少なくなってしまうし、20体積%を超えるとその活性度の高さのために酸素濃度が上昇してしまうため、1〜20体積%有するものであり、好ましくは3〜12体積%有するものである。
また、4相共存領域は、平均粒径8μm以下、好ましくは1〜5μmのα−Fe相、平均粒径10μm以下、好ましくは1〜8μmのRリッチ相、平均粒径8μm以下、好ましくは1〜5μmのBリッチ相、及び好ましくはR214B相からなるものである。合金薄帯の冷却が完了する前にロールから剥がれてしまう、あるいは合金薄帯とロールが接触していない部分が存在する等の理由で、合金薄帯がロール上で制御して冷却されなかった場合、4相共存領域の中に含まれるα−Fe相等の粒径が大きくなってしまう。α−Fe相の粒径は、磁気特性に大きく影響を及ぼすことはよく知られているが、本発明のようにα−Fe相の平均粒径を8μm以下に制御し、かつ、平均粒径が10μm以下のRリッチ相と平均粒径が8μm以下のBリッチ相とを同時に析出させると、磁気特性が向上するものである。α−Fe相の平均粒径が8μmを超えるとその効果がなくなり、更に20μmを超えると逆に磁気特性(特にBrとbHc)を大きく低下させるおそれがあるので注意が必要である。
なお、本発明において、4相共存領域の平均粒径は、FEの電子銃をもつオージェ電子分光装置にて倍率1,000〜5,000倍、主に5,000倍にて測定した値である。粒径が大きくて5,000倍では測定が困難な場合は、1,000倍にて測定した。また、4相共存領域の体積率の測定は、チル晶の体積率の測定と同様にして偏光顕微鏡(倍率200倍)で測定した値とすることができる。
また、希土類合金薄帯中のチル晶と4相共存領域以外の部分は、球状結晶、柱状結晶や添加元素Mに起因する相からなるものであればよく、これらの割合が変動したり、その他の相が存在したとしても、その他の相が5体積%未満であれば、本発明の効果を損なうものではない。
希土類合金薄帯は、内部組織が上記の割合であれば厚さは制限されないが、平均厚さが100〜800μmのときに良好な内部組織を得やすい。中でも平均厚さが200〜400μmであるときに、より安定して所望の組織をもつ合金薄帯が得られる。
このような希土類合金薄帯をジェットミル等で平均粒径2〜8μmに微粉砕し、得られた微粉を600kA/m以上、特に900kA/m以上の磁場中で配向させながら、加圧成形し、続いて、真空雰囲気下、950〜1,200℃、特に1,000〜1,080℃で焼結し、更に真空又はAr雰囲気下、時効処理をすることにより、希土類磁石(希土類焼結磁石)とすることができる。
この際、本発明の希土類合金薄帯を母合金として、添加助剤として、RリッチなR−TM−B型合金粉末(TM:Fe,Co等の遷移金属)を1〜20質量%添加してもよい。更に、ステアリン酸等の潤滑剤を適宜配合することは任意である。
また、本発明の希土類合金薄帯は、微粉末にし、樹脂等で結合してなるボンド磁石の原料として用いることもできる。
このようにして得られる本発明の希土類磁石は、量産レベルにおいて最大エネルギー積が400kJ/m3を超える高特性を有するものとなり得る。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、下記の例において、チル晶及び4相共存領域の体積率は偏光顕微鏡による写真観察にて合金薄帯断面に占めるそれぞれの面積率(%)を測定し、それを体積率(%)として値を示し、4相共存領域中のα−Fe相の平均粒径、Rリッチ相の平均粒径、Bリッチ相の平均粒径は、FEの電子銃をもつオージェ電子分光装置により測定した値を示す。
[実施例]
組成式27.8Nd−0.95B−0.05C−1.0Co−80.0Fe−0.2Al(各質量%)の組成になるように秤量した原料約500kgをAr雰囲気中で高周波溶解して1,550℃に加熱し、溶湯とした。外径600mm、厚さ20mmの冷却ロールを約2.0m/秒の周速になるように64回転/分の速度で回転させた状態で該溶湯を約8分で供給する単ロール法にて冷却して主相用合金薄帯を製造した。なお、使用した冷却ロールの材質はCrが約0.6質量%、Zrが約0.07質量%添加された無酸素銅で、その熱伝導率は約340W/m・℃であり、冷却開始前に♯200のサンドペーパーで約5分間研磨し、金属光沢が出るような状態にした。以上のような合金薄帯の製造を10ロット繰り返した。製造した合金薄帯のロット毎の平均した厚さや組織を表1に示す。
製造した合金薄帯を常温で4時間水素吸蔵処理を行った後、真空中600℃で8時間加熱して脱水素化処理を行い、主相用合金粉末とした。これとは別に、40.0Nd−16.0Dy−0.5B−25.0Co−18.3Fe−0.2Al(各質量%)の組成の合金を金型鋳造法にて製造した後、ブラウンミルにて粉砕して粒界相用合金粉末とした。その後、得られた主相用合金粉末を93質量%、粒界相用合金粉末を6.95質量%、潤滑剤としてステアリン酸を0.05質量%の割合で混合した。次に、得られた粗粉末を窒素雰囲気中でジェットミルを使用して平均粒径4.8μmになるように微粉砕を行った。得られた微粉末を酸素を遮断した窒素雰囲気の状態のままで、955kA/mの磁場中で配向させながら加圧成型した。次にこの成型体を真空中で1,020℃で2時間焼結し、更にAr雰囲気中で2時間時効熱処理を行い、磁石合金を製造した。製造した磁石合金のロット毎の磁気特性の値を表2に示す。
なお、得られた磁石合金中の酸素濃度は0.12〜0.17質量%、C濃度は0.07〜0.09質量%であった。
[比較例]
実施例と同じ組成の合金溶湯をAr雰囲気中で高周波溶解して1,450℃に加熱した。外径300mm、厚さ40mmの冷却ロールを実施例と同じ約2.0m/秒の周速になるように128回転/分の速度で回転させた状態で該溶湯を供給する単ロール法にて冷却して主相用合金薄帯を製造した。なお、冷却ロールの材質等は実施例と同じである。この合金薄帯の製造も10ロット繰り返した。製造した合金薄帯のロット毎の平均した厚さや組織を表1に示す。以後の工程は実施例と同様にして、磁石合金を製造した。製造した磁石合金のロット毎の磁気特性の値を表2に示す。磁石合金中の酸素濃度は0.13〜0.19質量%、C濃度は0.07〜0.09質量%であった。
Figure 0004238999
表1に示されるように実施例の合金薄帯には、チル晶が10〜13体積%、4相共存領域が6〜9体積%と析出量が安定しているだけでなく、4相共存領域中のα−Fe相の平均粒径も2.9〜3.2μmに制御されていた。また、Rリッチ相の平均粒径は4.1〜5.3μm、Bリッチ相の平均粒径は2.0〜2.5μmであった。
これに対して、比較例の合金薄帯は、1〜6体積%とチル晶の量が少なめで、バラツキも大きい。4相共存領域の析出量は4〜10体積%となっているが、4相共存領域中のα−Fe相の平均粒径が5.2〜20.5μmと8μmを超えてしまうものが発生している。また、Rリッチ相の平均粒径は7.8〜24.5μm、Bリッチ相の平均粒径は4.1〜10.2μmと、粗大化してしまっている。
Figure 0004238999
表2に示されるように実施例の磁石合金は、チル晶と微細な粒径の4相共存領域を安定して持っている合金薄帯を使用しているため、磁気特性は、Brが1.43T以上、iHcが1,210kA/m以上、bHcが1,100kA/m以上、(BH)maxが400kJ/m3以上と安定して高いことが分かる。それに対して、比較例の磁石合金の磁気特性は、チル晶の量が少なめなだけでなく、4相共存領域中のα−Fe相の粒径が大きくなってしまっているので、実施例の磁石合金の磁気特性に及ばないだけでなく、そのバラツキも大きい。

Claims (3)

  1. R(RはYを含む希土類元素のうち一種又は二種以上の組み合わせ)、T(TはFe、又はFe及びCo)、Bを主成分とし、Rが26.8〜32.0質量%、Bが0.3〜1.5質量%、Cが0.005〜1.2質量%、添加元素M(MはGa、Zr、Nb、Hf、Ta、W、Mo、Al、Si、V、Cr、Ti、Cu、Ag、Mn、Ni、Ge、Sn、Bi、Pb、Znのうち一種又は二種以上の組み合わせ)が0〜4.0質量%、残部がT及び不可避不純物からなる組成の合金溶湯を、冷却ロールで急冷して合金薄帯を得た後、この合金薄帯を平均粒径2〜8μmに微粉砕し、得られた微粉を600kA/m以上の磁場中で配向させながら加圧成形し、続いて真空雰囲気下、950〜1,200℃で焼結し、更に真空又はAr雰囲気下、時効処理を行って希土類焼結磁石を製造する方法において、上記合金薄帯を、上記合金溶湯温度を1,500〜1,600℃とし、上記冷却ロールとして、上記合金溶湯と接触する表面層が厚さ10〜30mmで200W/m・℃以上の熱伝導度を持つ銅又は銅合金により形成された外径が600〜1,000mmである冷却ロールを使用し、この冷却ロール内部を水冷しながら20〜90回転/分の速度で回転させて上記合金溶湯を急冷することにより得ることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 上記合金薄帯が、平均厚さが100〜800μmであり、チル晶を体積率で1〜30%有し、かつ、平均粒径8μm以下のα−Fe相、平均粒径10μm以下のRリッチ相、平均粒径8μm以下のBリッチ相、及びR214B相からなる4相共存領域を体積率で1〜20%有し、残部は球状結晶、柱状結晶、及び添加元素Mに起因する相からなることを特徴とする請求項1記載の希土類焼結磁石の製造方法
  3. 希土類焼結磁石の最大エネルギー積が400kJ/m 3 を超えるものである請求項1又は2記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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