JP2007266199A - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 Dyを含む希土類焼結磁石の保磁力Hcjをさらに改善する。
【解決手段】 Dyを含む希土類合金粉末を焼結して希土類焼結磁石とするに際し、焼結後に温度450℃〜650℃で熱処理し、冷却速度を0.1℃/分〜10℃/分として徐冷する。徐冷は、少なくとも熱処理の温度より150℃低い温度領域まで行う。Dyの含有量は0.5質量%〜35質量%である。
【選択図】 図1
【解決手段】 Dyを含む希土類合金粉末を焼結して希土類焼結磁石とするに際し、焼結後に温度450℃〜650℃で熱処理し、冷却速度を0.1℃/分〜10℃/分として徐冷する。徐冷は、少なくとも熱処理の温度より150℃低い温度領域まで行う。Dyの含有量は0.5質量%〜35質量%である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、希土類合金粉末を焼結して希土類焼結磁石とする希土類焼結磁石の製造方法に関し、特に、Dyを含む希土類焼結磁石の製造における熱処理条件の改良に関する。
例えばハードディスクドライブ用ボイスコイルモータや自動車駆動用モータ等の幅広い分野において、モータの小型化及び高性能化が要求されている。モータの小型化及び高性能化を図るためには、モータに組み込まれる磁石の性能向上が重要であり、近年では非常に高い磁気特性を示す例えばネオジム鉄ボロン系焼結磁石等の希土類焼結磁石が広く使用されている。また、使用環境上、熱減磁が懸念される場合、保磁力の大きな磁石が使われており、そのためにネオジム鉄ボロン系焼結磁石の場合では、ディスプロシウム(Dy)等を添加したものが広く利用されている。
希土類焼結磁石の製造方法としては、粉末冶金法が一般的であり、具体的には、所望組成の原料合金を用い、粗粉砕工程、微粉砕工程、成形工程、焼結工程といった工程を経て製造されている。すなわち、前記希土類焼結磁石を作製するには、粉砕により形成した原料合金粉末を成形装置の金型キャビティ内に充填して所定の形状の成形体に成形し、これを焼結して焼結体とする。
焼結後には、特性(保磁力Hcj)向上のために、いわゆる時効処理が行われており、1回あるいは複数回の時効処理を行うことで、前記特性を向上することが試みられている(例えば、特許文献1〜特許文献4等を参照)。
例えば、特許文献1には、合金粉を900〜1200℃で焼結した後、500〜700℃の範囲内の温度であってかつ徐冷よりも実質的に高い保磁力iHcが得られる温度で熱処理し、次に50℃/min以上の冷却速度で急冷する永久磁石の製造方法が開示されている。
特許文献2には、焼結後、真空中または非酸化性雰囲気中で時効処理を施す工程を有し、前記時効処理が、700〜900℃の範囲内に1〜3時間保持する1段目の時効処理工程と、室温〜200℃の範囲内にまで急冷する第1急冷工程と、500〜700℃の範囲内に1〜3時間保持する2段目の時効処理工程と、室温まで急冷する第2急冷工程とを順次有する焼結永久磁石の製造方法が開示されている。
特許文献3には、目的組成に調合した合金粉末を用い焼結後熱処理する希土類磁石の製造方法において、熱処理を2段階行い1段目の熱処理の温度を700〜1100℃とし、30℃/min以上の冷却速度で300℃以下まで冷却した後、2段目の熱処理を450℃〜700℃で行った後、10〜100℃/minの冷却速度で200℃以下まで冷却する希土類磁石の製造方法が開示されている。
特許文献4には、R−Fe−B系急冷合金の粉末を1000℃以上1100℃以下の温度T1で焼結することによって焼結体を形成する工程と、前記焼結体を温度T1から50℃/分以下の平均冷却速度で冷却することにより、前記焼結体の温度を400℃以上900℃以下の温度T2にまで低下させる工程と、前記焼結体に対する温度T2での熱処理を、0.01時間以上100時間以下の間、実行する工程とを含む希土類焼結磁石の製造方法が開示されている。
特開昭62−120457号公報
特開平5−47533号公報
特開平6−163226号公報
特開2004−111481号公報
前述の各特許文献にも記載されるように、様々な条件での時効処理が検討されているが、いずれも時効後の冷却速度に関しては、例えば30℃/分以上の急冷が必要とされている。特許文献4には、1段目の時効処理後の冷却速度を小さくすることで、特性向上を試みているが、この場合にも2段目の時効処理後の冷却速度は、やはり20℃/分以上の急冷が良いとされている。
一方で、近年、希土類焼結磁石の組成や構造が多様化しており、それに合わせて時効処理等の熱処理も最適化することが求められている。例えば、希土類焼結磁石の保磁力Hcjの改善を目的として希土類元素としてDyを含有する希土類焼結磁石が提案されているが、さらに保磁力を向上する検討を行い、本発明を完成するに至った。例えば、前記各特許文献に開示されるような急冷条件では、必ずしも満足し得る磁気特性(保磁力Hcj)が得られていない。
本発明は、前述のような従来の実情に鑑みて提案されたものであって、Dyを含み高い保磁力Hcjを有する希土類焼結磁石を製造することが可能な希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、Dyを含む希土類合金粉末を焼結して希土類焼結磁石とするに際し、焼結後に1段もしくは複数段の時効処理を行い、前記時効処理中、最終段の時効処理において、温度450℃〜850℃で熱処理し、冷却速度を0.1℃/分以上、4℃/分未満として徐冷することを特徴とする。あるいは、Dyを含む希土類合金粉末を焼結して希土類焼結磁石とするに際し、焼結後に1段もしくは複数段の時効処理を行った後、温度450℃〜850℃での熱処理及び冷却速度0.1℃/分以上、4℃/分未満での徐冷を時効処理後の再処理として行うことを特徴とする。
本発明者らは、Dyを含む希土類焼結磁石の製造に関して、磁気特性、特に保磁力Hcjがさらに向上する製造条件を検討してきた。その結果、Dyを含有する場合には、時効処理後の冷却速度を却って遅くした方が保磁力Hcjが向上することを見出した。これは、前記各特許文献に記載されるような希土類焼結磁石の時効条件の通説を覆すものであり、驚きに値する。
具体的には、本発明においては、前記の通り、焼結後に1段もしくは複数段の時効処理を行い、前記時効処理中、最終段の時効処理において、あるいは時効処理後の再処理として、温度450℃〜850℃で熱処理し、冷却速度を0.1℃/分以上、4℃/分未満として徐冷することにより、保磁力Hcjがさらに改善された希土類焼結磁石が得られることを見出し発明を完成するに至った。前記保磁力Hcjが向上することについて、詳細な機構は不明であるが、実験を重ねたところ良好な結果が得られ、これに基づいて発明を完成するに至ったものである。
Dyを含む希土類焼結磁石は高い保磁力Hcjを有するという特徴を有するが、その製造に際して本発明を適用することにより、前記保磁力Hcjをさらに向上することができる。したがって、本発明によれば、これまで以上に保磁力Hcjの高い希土類焼結磁石を製造することが可能である。
以下、本発明を適用した希土類焼結磁石の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
希土類焼結磁石は、例えば希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素を主成分とするものであるが、磁石組成は特に限定されず、用途等に応じて任意に選択すればよい。例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらから1種又は2種以上を用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。この場合、Nd+Prの総和量に対して概ね20質量%までのPrを含んでもよい。
ただし、本発明の製造方法を適用するにあたっては、前記希土類元素としてDyを含有することが前提となる。希土類元素としてDyを含む場合、高い保磁力Hcjが期待されるが、本発明を適用することでより一層の高保磁力化が実現できる。なお、Dyの含有量としては、0.5質量%以上であることが好ましい。Dyの含有量が0.5質量%未満であると、本発明の効果があまり顕著に現れなくなる。特に効果があるのは1.0質量%以上の場合である。Dyの含有量の上限については、特に制約はなく、磁石特性を維持できる範囲で設定すればよい。Dyの含有量が35質量%を越えると、磁石特性が得られなくなるおそれがあることから、上限を規定するとすれば35質量%以下ということになる。
一方、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましく、特に、キュリー温度の向上、粒界相の耐蝕性向上等に効果があるCoを添加することが好ましい。また、前記希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bのみならず、他の元素の含有を許容する。例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を7000ppm以下、さらには5000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
希土類焼結磁石は粉末冶金法によって作製されるが、その製造プロセスは、基本的には、合金化工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、成形工程、焼結工程、時効工程とにより構成される。なお、酸化防止のために、焼結後までの各工程は、ほとんどの工程を真空中、あるいは不活性ガス雰囲気中(窒素ガス雰囲気中、Arガス雰囲気中等)で行う。
合金化工程では、原料となる金属、あるいは合金を所望の希土類合金粉末の組成に応じて配合し、真空あるいは不活性ガス、例えばAr雰囲気中で溶解し、鋳造することにより合金化する。鋳造法としては、任意の方法を採用し得るが、溶融した高温の液体金属を回転ロール上に供給し、合金薄板を連続的に鋳造するストリップキャスト法(連続鋳造法)が生産性等の観点から好適であり、得られる合金の形態の点でも好適である。
前記合金化の際に用いる原料金属(合金)としては、純希土類元素、希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。合金は、ほぼ最終磁石組成である単一の合金を用いても良いし、最終磁石組成になるように、組成の異なる複数種類の合金を混合しても良い。
粗粉砕工程では、先に鋳造した原料合金の薄板、あるいはインゴット等を、粒径数百μm程度になるまで粉砕する。粉砕手段としては、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用いることができる。粗粉砕性を向上させるために、水素を吸蔵させて脆化させた後、粗粉砕を行うことが効果的である。
前述の粗粉砕工程が終了した後、必要に応じて粗粉砕した原料合金粉に潤滑剤を添加する。潤滑剤としては、例えば脂肪酸系化合物等を使用することができるが、特に、融点が60℃〜120℃の脂肪酸や脂肪酸アミドを潤滑剤として用いることで、良好な磁気特性、特に高配向度で高い磁化を有する希土類焼結磁石を得ることができ、その種類や添加量によって、成形体強度を所定の値に調整することができる。
粗粉砕工程の後、微粉砕工程を行うが、この微粉砕工程は、例えば気流式粉砕機等を使用して行われる。微粉砕の際の条件は、用いる気流式粉砕機に応じて適宜設定すればよく、原料合金粉を平均粒径が1〜10μm程度、例えば3〜6μmとなるまで微粉砕する。気流式粉砕機としては、ジェットミル等が好適である。また、微粉砕後、潤滑剤を必要に応じ添加しても良い。
微粉砕工程の後、磁場中成形工程において、原料合金粉を磁場中にて成形する。具体的には、微粉砕工程にて得られた原料合金粉を電磁石を配置した金型内に充填し、磁場印加によって結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。磁場中成形は、成形圧力と磁界方向が平行な平行磁界成形、成形圧力と磁界方向が直交する直行磁界成形のいずれであってもよい。さらに、磁界印加手段として、パルス電源と空芯コイルも採用することができる。この磁場中成形は、例えば700〜1600kA/mの磁場中で、30〜300MPa、好ましくは130〜160MPa前後の圧力で行えばよい。
前記成形工程により所定の形状に成形した後、焼結工程において、成形体に対して焼結処理を実施する。焼結処理では、前記成形体を真空または不活性ガス雰囲気中(Arガス雰囲気中等)で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、例えば1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよく、焼結後、急冷することが好ましい。なお、焼結工程においては、必要に応じて、焼結に先立って脱脂処理を行うことが好ましい。
前記焼結後には、得られた焼結体に時効処理を施す。この時効処理は、得られる希土類磁石の保磁力Hcjを制御する上で重要な工程であり、例えば不活性ガス雰囲気中あるいは真空中で時効処理を施す。
以下、この時効処理について詳述すると、時効処理としては、2段時効処理が好ましく、1段目の時効処理工程では700〜950℃(例えば800℃前後)の温度で1〜3時間保持する。次いで、室温〜200℃の範囲内にまで冷却する第1冷却工程を設ける。2段目の時効処理工程では、450℃〜650℃(例えば600℃前後)で1〜3時間保持する。次いで、室温まで冷却する第2冷却工程を設ける。
この場合、前記第1冷却工程及び第2冷却工程は、急冷とするのが通常であり、本発明においても第1冷却工程については急冷とする。なお、ここで急冷とは、4℃/分以上の冷却を指すものとし、例えば時効処理の際に用いる熱処理炉の電源を切断した際の放冷を含むものとする。
一方、最後の冷却工程である第2冷却工程については、Dyを含む希土類焼結磁石を製造する際には、徐冷とすることが効果的である。なお、ここで徐冷とは、冷却速度を0.1℃/分以上、4℃/分未満に設定することを言う。より好ましくは0.3℃/分以上、3℃/分以下である。最後の冷却工程である第2冷却工程を徐冷とすることにより、Dyを含む希土類焼結磁石の保磁力Hcjをより一層向上することができる。
図1は、焼結から時効処理に至るまでの温度プロファイルの一例を示すものである。原料合金粉の焼結及び時効処理は、図1に示すように、昇温工程A、焼結温度保持B、焼結後急冷C、1段目時効処理D、第1冷却工程E、2段目時効処理F、第2冷却工程Gを経て行われる。焼結温度保持Bの期間中は、温度T1は1000℃〜1200℃に設定される。1段目時効処理Dでは、温度T2は700〜950℃(例えば800℃前後)、あるいは450℃〜650℃に設定される。第1冷却工程Eは、4℃/分以上の急速冷却であり、図1において傾斜の傾きが大きい。2段目時効処理Fでは、温度T3は450℃〜650℃(例えば600℃前後)に設定される。第2冷却工程Gは、徐冷工程であり、冷却速度0.1℃/分以上、4℃/分未満である。
前記第2冷却工程Gにおいて、前記冷却速度は、少なくとも2段目時効処理Fにおける設定温度T3より150℃低い温度まで維持すればよく、その後は室温まで急冷するようにしてもよい。具体的には、前記2段目時効処理Fにおける設定温度T3を600℃とした場合、第2冷却工程Gにおいて、450℃に到達するまでは冷却速度を0.1℃/分以上、4℃/分未満とする。その後は、前記冷却速度を維持してもよいし、生産性等を考慮して4℃/分以上の急冷としてもよい。
図1に示すような温度プロファイルを有するような2段時効処理の場合、最終時効処理である2段目時効処理F後の冷却工程を前述のような徐冷により行うこととしたが、3段以上の時効処理を施す場合にも、最後の時効処理の後の冷却工程を徐冷とすればよい。例えば、3段時効処理の場合には、3段目の時効処理の後の冷却工程を徐冷により行う。時効処理を1段で行う場合には、時効処理後の冷却工程を徐冷とすればよい。例えば600℃〜850℃の熱処理で保磁力Hcjが大きく増加するため、時効処理を一段で行う場合には、600℃〜850℃の時効処理を施すとよいが、この場合には、600℃〜850℃の時効処理の後、冷却速度0.1℃/分以上、4℃/分未満で徐冷する。
また、本発明の熱処理及び徐冷は、時効処理とは別に、例えば再処理として行うことも可能である。図2は、前記熱処理及び徐冷を再処理として行う場合の温度プロファイルの一例を示すものである。本例の場合、図1に示す例と同様、2段の時効処理を行う。この時効処理においては、第1冷却工程E及び第2冷却工程Gのいずれもが急冷であってよい。前記時効処理が終わった希土類焼結磁石に対して、再処理として熱処理H及び第3冷却工程Iを行う。熱処理Hの設定温度T4は、2段目の時効処理Fと同様、450℃〜650℃とする。熱処理Hの後、第3冷却工程Iにおいて、冷却速度0.1℃/分以上、4℃/分未満で徐冷する。
前述の焼結工程及び時効処理の後、機械加工工程や被膜形成工程を行い、希土類焼結磁石を完成する。機械加工工程は、所望の形状に機械的に加工する工程である。被膜形成工程は、得られた希土類焼結磁石の酸化を抑えること等を目的に行う工程であり、例えばめっき被膜や樹脂被膜を希土類焼結磁石の表面に形成する工程である。
以上のような希土類焼結磁石の製造方法においては、Dyを含む希土類焼結磁石における保磁力Hcjを一層向上することができる。したがって、例えばTbやGa等の高価な原料の使用量を減らすことができる。さらに、CoやAl、Zr、Nb、V等の複合添加が不要であり、そのために前記複合添加による残留磁束密度の低下も小さなものとすることができる。
以下、本発明を具体的な実験結果に基づいて説明する。
希土類焼結磁石の作製
合金組成を表1に示すように設定し、所定の組成に調整した原料合金を水素粉砕処理により粗粉とし、さらに気流式粉砕機にて平均粒径4.5μmの微粉とした。得られた微粉を960kA/mの配向磁界中、成形圧力150MPaにて成形し、成形体とした。
合金組成を表1に示すように設定し、所定の組成に調整した原料合金を水素粉砕処理により粗粉とし、さらに気流式粉砕機にて平均粒径4.5μmの微粉とした。得られた微粉を960kA/mの配向磁界中、成形圧力150MPaにて成形し、成形体とした。
前記成形体を真空中、1060℃で4時間焼結した後、2段時効を施した。1段目の時効処理は850℃、1時間とし、50℃/分の速度で室温まで急冷した。2段目の時効処理は550℃、1時間の時効処理をAr雰囲気中で行った。焼結体は、バーティカル加工機を用いて17mm×12mm×10mmのサイズに加工した。
表1に示す各組成について、前述のプロセスにより希土類焼結磁石の作製を行い、2段目の時効処理後の冷却速度を50℃/分、10℃/分、3℃/分、1℃/分として、400℃まで冷却した。その後、時効処理炉の電源を切り、室温まで急冷した。磁気特性の相違を比較した。測定した磁気特性は残留磁束密度Br及び保磁力Hcjであり、これら特性はB−Hトレーサを用いて測定した。結果を表2に示す。
表2から明らかな通り、Dyを含有している場合、2段目の時効処理後の冷却を徐冷とすることで、保磁力Hcjの向上が見られる。残留磁束密度Brについても、ほぼ同じか若干高い値が維持されている。また、Dyの含有量が多くなると保磁力Hcjの向上が大きくなる傾向が認められた。一方、Dyを含有していない合金0では、50℃/分の冷却速度よりも1℃/分の冷却速度の方が保磁力Hcjは小さくなっており、徐冷の効果がないことが判明した。また、合金5によると、冷却速度50℃/分に比べ、冷却速度10℃/分では保磁力Hcjはほとんど増加していない。しかし、冷却速度3℃/分では保磁力Hcjの向上が認められ、冷却速度1℃/分では更に大きく向上していた。このように、最終段(本実施例の場合2段目)の時効後の冷却速度を0.1℃/分以上、4℃/分未満とすることにより、保持力Hcjの向上に有効であることが判明した。
Claims (6)
- Dyを含む希土類合金粉末を焼結して希土類焼結磁石とするに際し、焼結後に1段もしくは複数段の時効処理を行い、前記時効処理中、最終段の時効処理において、温度450℃〜850℃で熱処理し、冷却速度を0.1℃/分以上、4℃/分未満として徐冷することを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記Dyの含有量が0.5質量%〜35質量%であることを特徴とする請求項1記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記冷却速度を0.1℃/分以上、4℃/分未満とする徐冷は、少なくとも前記熱処理の温度より150℃低い温度領域まで行うことを特徴とする請求項1または2記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記焼結の後、複数段の時効処理を行い、最終段の時効処理を温度450℃〜650℃で熱処理し、冷却速度を0.1℃/分以上、4℃/分未満として徐冷することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記複数段の時効処理が2段時効処理であり、2段目の時効処理として前記熱処理及び徐冷を行うことを特徴とする請求項4記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- Dyを含む希土類合金粉末を焼結して希土類焼結磁石とするに際し、焼結後に1段もしくは複数段の時効処理を行った後、温度450℃〜850℃での熱処理及び冷却速度0.1℃/分以上、4℃/分未満での徐冷を時効処理後の再処理として行うことを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
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