JP4103938B1 - R−t−b系焼結磁石 - Google Patents

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Abstract

本願発明のR−T−B系焼結磁石は、希土類元素R:12原子%以上、17原子%以下、硼素B:5.0原子%以上、8.0原子%以下、Al:0.1原子%以上、1.0原子%以下、Mn:0.02原子%以上、0.5原子%未満、遷移金属T:残部の組成を有している。希土類元素Rは、Y(イットリウム)を含む希土類元素から選択された少なくとも1種であって、NdおよびPrの少なくとも一方を含み、遷移元素TはFeを主成分とする。
【選択図】なし

Description

本願発明は、R−T−B(希土類−鉄−硼素)系焼結磁石に関する。
R−T−B系焼結磁石は、その優れた磁気特性により、各種モータ、アクチュエータなど、様々な用途に使用され、エレクトロニクス産業においては欠くことのできない材料となっている。また、省エネルギー志向から、ますます用途が拡大している。
近年では、ハイブリッド自動車の駆動/発電用回転機や、エレベーターの巻上機用モータなど、従来以上に高性能が要求される用途が急拡大しており、それに伴い、要求性能もますます厳しくなっている。
元来、R−T−B系磁石は、強磁性を失う温度であるキュリー点が300℃程度と比較的低く、保磁力の温度変化が大きいため不可逆熱減磁が生じやすいと云う欠点を有しており、この改善のため、希土類種の調整により保磁力を高めたり、特許文献1などに記載されたCo添加によりキュリー点を高めるなどの方策が採られているが、保磁力の温度変化に関してはあまり改善効果がない。
保磁力を高める方法にはいくつかの方法が提案されている。
一つは、例えば特許文献2に示された技術で、希土類元素中に、特定比率のDy、Tb等の重希土類元素を含めることである。実用上、DyとTbの2種のみが有効である。この方法は、磁性を担う磁石主相の異方性磁界そのものを高めて、磁石としての保磁力を高めるものである。しかし、DyやTbなどの重希土類元素は、希土類元素の中では希少で高価なため、大量に用いると磁石の価格が高くなる等の問題が生じる。また、用途の急拡大により、重希土類元素の、埋蔵量や産出地域などの資源的制約が問題となっている。
次に、例えば特許文献3、4などに示された、Al、Ga、Sn、Cu、Agなどの添加元素により保磁力を高める方法である。これらの元素は、詳細は未だ完全に解明されたわけではないが、主としてR−richと呼ばれる粒界相の、高温域での主相との濡れ性など、物性を変えて、ミクロな組織を変えることで保磁力を高めたり、また保磁力向上のための熱処理条件を緩和する効果が知られているが、例えばAlは、磁石主相にも固溶するので、添加量を増した場合に主相のキュリー点や磁化を低下させる欠点を有する。
更に、例えば特許文献5などに示されたTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、W等の添加元素は、焼結時の結晶粒成長を抑制し、結果的に焼結体の金属組織を微細化することで保磁力を高める働きをする。
これらの手法のうち、重希土類を用いる方法が磁束密度の低下が比較的小さいため、最も有用である。一方で他の方法は、磁石の磁束密度の大きな低下が避けられないため、活用範囲が狭い。実用磁石ではこれらの技術が適宜組み合わされて利用されている。
特開昭59−64733号公報 特開昭60−34005号公報 特開昭59−89401号公報 特開昭64−7503号公報 特開昭62−23960号公報
従来の実用磁石は、要求される磁石性能、特に保磁力を実現するため、前記の技術を適宜組み合わせて組成設計されてきた。しかしながら、もう一段の保磁力向上が求められている。
本願発明の目的は、Dy、Tb等の重希土類元素を必ずしも必須としない、磁化の低下を最小限に抑えて効果的に保磁力を向上する手段を確立することにある。
本願発明のR−T−B系焼結磁石は、希土類元素R:12原子%以上、17原子%以下、硼素B:5.0原子%以上、8.0原子%以下、Al:0.1原子%以上、1.0原子%以下、Mn:0.02原子%以上、0.5原子%未満、遷移金属T:残部の組成を有し、希土類元素Rは、Y(イットリウム)を含む希土類元素から選択された少なくとも1種であって、NdおよびPrの少なくとも一方を含み、遷移元素TはFeを主成分とする。
好ましい実施形態において、希土類元素Rとして、TbおよびDyの少なくとも一方を含む。
好ましい実施形態において、遷移金属Tとして、Co:磁石全体の20原子%以下を含有する。
本願発明の他のR−T−B系焼結磁石は、希土類元素R:12原子%以上、17原子%以下、硼素B:5.0原子%以上、8.0原子%以下、Al:0.1原子%以上、1.0原子%以下、Mn:0.02原子%以上、0.5原子%未満、添加元素M:合計で0を超え、5.0原子%以下、遷移金属T:残部の組成を有し、希土類元素Rは、Y(イットリウム)を含む希土類元素から選択された少なくとも1種であって、NdおよびPrの少なくとも一方を含み、添加元素Mは、Ni、Cu、Zn、Ga、Ag、In、Sn、Bi、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種であり、遷移元素Tは、Feを主成分とする。
好ましい実施形態において、希土類元素Rとして、TbおよびDyの少なくとも一方を含む。
好ましい実施形態において、遷移金属Tとして、Co:20原子%以下を含有する。
R−T−B系焼結磁石において、Al添加により保磁力を向上させることができるが、さらにそのT成分の特定量をMnで置換することで、Al添加時の、キュリー点や飽和磁化などの磁気特性の低下を極小に抑えることができる。つまり、MnとAlを極小量添加することにより、磁気特性の低下を極小に抑えつつ保磁力を高めることができる。また同時に、減磁曲線の角形性も改善される。
実施例の組成を示す表である。 Nd−Dy−Fe−Co−Cu−B焼結磁石において、5種のMn添加量yについて、残留磁化のAl添加量x依存性を示す図である。 Nd−Dy−Fe−Co−Cu−B焼結磁石において、5種のMn添加量yについて、保磁力のAl添加量x依存性を示す図である。 Nd−Fe−Co−Cu−Ga−B焼結磁石において、4種のAl添加量xについて、残留磁化のMn添加量y依存性を示す図である。 Nd−Fe−Co−Cu−Ga−B焼結磁石において、4種のAl添加量xについて、保磁力のMn添加量y依存性を示す図である。
本願発明者の検討により、磁石組成に対するAlの添加に加え、特定量のMnを添加することにより、Al添加によって保磁力を高めつつ、Al添化時の欠点であった磁化とキュリー点の低下を最小限に抑制できることが明らかになった。
本願発明のR−T−B系焼結磁石は、希土類元素R:12原子%以上、17原子%以下、硼素B:5.0原子%以上、8.0原子%以下、Al:0.1原子%以上、1.0原子%以下、Mn:0.02原子%以上、0.5原子%未満、遷移金属T:残部の組成を有する。
希土類元素Rは、Y(イットリウム)を含む希土類元素から選択された少なくとも1種であって、NdおよびPrの少なくとも一方を含む。また、遷移元素TはFeを主成分とする。また、種々の効果を得るため、Ni、Cu、Zn、Ga、Ag、In、Sn、Bi、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種の添加元素Mを添加しても良い。
従来、Mn添加の影響は、キュリー点、異方性磁界、磁化という、主たる磁気特性の全てを低下させるものと認識されていた。一方、Alは、添加により焼結磁石の保磁力が向上することは知られていたが、同時にキュリー点や飽和磁化が低下するという欠点も有していた。Al添加による保磁力の向上は、主相の異方性磁界が向上するためではなく、粒界相の改質によるものと解釈されているが、一方、Alは、主相にも比較的多く固溶してしまうために前記欠点が生じる。
しかしながら、Alの所定量と同時に、所定量のMnを添加すると、Alの主相への固溶量が減少し、Al添加時の磁気特性の低下を抑制できることがわかった。すなわち、Nd2Fe14B相を主とする焼結磁石では、FeをMnで置換すると、Mnは主相に固溶するが、このとき、Alの主相への固溶量を抑制する効果を持つため、結果的に磁気特性の低下を最小限に抑制しつつ保磁力の向上が図れる。なお、Mn添加自体も、保磁力と磁化を低下させるが、極く僅かな添加量で効果が得られるので悪影響は小さい。
また、Mnを添加することにより、R−T−B系焼結磁石の製造工程において、焼結挙動の改善も果たせることが明らかとなった。すなわち、従来技術に比べて低温または短時間で充分焼結反応が進行するため、磁石の組織がより均質になり、磁石の性能上は減磁曲線の角形性が改善される。
[組成]
希土類元素の量は、以下に示す所定範囲であれば、多いほど保磁力が高く、同時に残留磁化が小さくなる傾向にある。12原子%未満であると、主相であるR214B化合物の量が少なくなり、代わって、例えばαFeなどの軟磁性相が生成して保磁力が大幅に低下する。一方、17原子%を超えると、主相であるR214B化合物の量が少なくなって磁化が低下すると共に、余剰のRが金属状態で主相粒界に集まるので、水分や酸素との反応が生じやすく、耐食性が著しく低下する恐れがある。従って、Rは、12原子%以上、17原子%以下が好ましい。さらに好ましくは、Rは、12.5原子%以上、15原子%以下である。
希土類元素Rのうち、特にNdとPrは、高性能磁石を得るためには少なくともどちらか一方は必須である。さらに高い保磁力が必要な場合は、Rの一部としてTbやDyを用いることができる。TbおよびDyの少なくとも一方による合計置換量は、6原子%を超えると、残留磁化が1.1Tを下回り、特に高温環境での用途を考慮した場合、Sm−Co磁石と性能が逆転する。またTbやDyを大量に用いると、磁石の原料費も高額になり、この点でもSm−Co磁石に対する優位性が小さくなることから、工業的に有用なTbおよび/またはDyの量は、6原子%以下である。さらに、Yを含むその他の希土類元素は、磁気特性上は有用ではないが、不可避不純物として含むことはできる。
硼素は、R−T−B系焼結磁石には必須の元素であり、この量により主相であるR214B化合物の量が決まる。焼結磁石の保磁力を確保しつつ大きな磁化を得るためには、Bの量が重要である。B量は、以下に示す所定範囲の量であれば、多いほど大きな保磁力を得やすくなる。また、B量が少ないときの保磁力は、Bの所定量を境に急激に小さくなるため、工業的にはB量が所定量を下回らないことは特に重要である。残留磁化はB量に応じて多いほど小さくなる。B量が5.0原子%未満であると、主相の量が少なくなると共に主相以外の軟磁性化合物が生成し、磁石の保磁力が低下する。一方、8.0原子%を超えると、主相の量が減少し、磁石の磁化が低下する。従って、Bの量は、5.0原子%以上、8.0原子%以下である。高性能磁石を得るためにさらに好ましい範囲は、5.5原子%以上、8.0原子%以下、さらに好ましい範囲は5.5原子%以上7.0原子%以下である。
Alは、R−T−B系焼結磁石に添加すると保磁力が向上する一方、磁化は低下し、またキュリー点も低下する。保磁力は小量のAl添加で増加するが、Al添加量を増しても一定以上は向上せず、Al添加量の増加に比例して磁化やキュリー点は低下する。このことから、保磁力向上の原因は、主相の磁気的性質の改善ではなく、粒界の物性改善によってもたらされていることが示唆される。
従って、Alは磁石の組織中では主相にも粒界にも存在するが、保磁力向上に寄与するのは粒界相に存在するAlであるといえる。主相に存在するAlは、磁気特性には悪影響をもたらすので、可能な限り減少させるべきであり、そのためには以下に説明するMnの同時添加が有効である。
Mnを同時添加するという前提のもので、Alの好ましい添加量は、0.1原子%以上、1.0原子%以下である。Alが0.1原子%未満であると、粒界相の物性改善効果が得られず、高い保磁力が得られないため好ましくない。一方、1.0原子%を超えると、更なる保磁力向上効果がない上、Mnを同時添加しても主相へのAlの固溶量が増え、顕著に磁化が低下し、キュリー点が下がるため好ましくない。
Mnは、磁石合金中では殆どが主相に固溶し、主相の磁化、異方性磁界、キュリー点の全てが低下するが、Mnを添加することで、他の添加元素であるAlの主相への固溶量を減少させる働きをする。
Mnの量は、0.5原子%を超えると、磁化の低下が顕在化し、また保磁力の低下も顕在化する。このため、Mnの添加量は、0.5原子%未満にすることが好ましく、0.2原子%以下にすることが更に好ましい。一方、Mn添加量が0.02原子%未満では、本願発明の効果は現れないため、Mn添加量は0.02原子%以上であることが好ましい。Mnによる焼結挙動改善の効果を高めるには、Mn添加量を0.05原子%以上にすることが好ましい。
焼結性改善効果を発揮し得る、コスト面で有用な元素はMnだけであると思われる。この理由は、Mnが有用元素の中で唯一、実質的に主相のみに固溶する元素であるからであると考えられる。従来、焼結性改善のための元素としては、AlやCuが挙げられていたが、これらの元素は、粒界相の物性を改善する効果を発揮するものであり、主相であるR214B相の焼結反応には間接的にしか作用しない。これに対し、Mnは、主相の析出に関与するため、焼結反応に直接作用する。このため、本願発明では、Alによって粒界相の物性改善を、Mnによって主相の焼結性改善を同時に実現できる。したがって、Mnと後述のAlの量を特定範囲に調整することにより、安定的に、効率よく、R−T−B系焼結磁石を製造できる。
ところで、AlやMnは、素原料等によって不可避に混入する場合がある。例えば、Alは、フェロボロン合金に不純物として含まれることがあり、また溶解時にるつぼの成分から混入することがある。Mnは鉄原料やフェロボロンから混入することがある。しかし、AlとMnの量を共に特定範囲に制御しなければ本願発明の効果は得られず、本願発明実施にあたっては原料合金の製造工程からAlとMnの量の管理を行わなければならない。
R−T−B系焼結磁石では、磁気特性、特にキュリー点や、耐食性の改善のために、Feの一部をCoで置換する場合がある。Coを添加すると、その一部は主相のFeを置換してキュリー点を高める。残りのCoは粒界に存在し、例えばNd3Coのような化合物を形成して粒界の化学的安定性を高める。しかし、Coが大量に存在すると、粒界に強磁性かつ軟磁性の化合物が生成し、減磁界に対して容易に逆磁区が発生し、磁壁移動が起こるため、磁石の保磁力を低下させてしまう。
遷移金属Tは、Feを基本とする。R214B化合物は、TがFeの時に最も高い磁化が得られるためである。また、他の有用な強磁性の遷移金属であるCoやNiよりも安価である。
本願発明の実施にあたって、Coの添加を特定範囲とすれば、前記のような悪影響は避けられる。また本願発明の効果を阻害することなく、キュリー点の上昇や耐食性の向上などの効果は得られることから、Coの添加は好ましい。Co添加量は、20原子%を超えると、磁化の低下が大きくなり、また軟磁性相の析出により保磁力が低下するので、Coの添加量の上限は20原子%とするのが好ましい。
添加元素Mは、その作用効果から、Ni、Cu、Zn、Ga、Ag、In、Sn、Biの第1グループと、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wの第2グループに分けられる。前者の第1グループは、Alと異なり殆ど主相には固溶せず、主に粒界に存在し、粒界相と主相との相互作用に寄与する。具体的には、粒界相の融点を低下させて磁石の焼結挙動を改善したり、主相と粒界相の濡れ性を改善して粒界相を主相界面により効果的に回り込ませ、結果として磁石の保磁力を高める働きをする。これらの元素で最も効果的に用いられるのはCuであり、またGaとAgは、高価であるという欠点はあるものの、特性改善の効果は優れている。なお、この中でNiは、多量に添加すると主相にも固溶し、主相の磁化を低下させる欠点を有する。一方後者の第2グループは、微細な高融点の析出物を作るなどの作用により焼結組織を微細にして保磁力を高める働きをする。
Niを除く第1および第2グループの全元素も、強磁性相としての働きは示さないので、添加量が多いと、磁石の磁化は低下する。Niについても、多量添加して粒界に軟磁性の化合物が生じると保磁力が低下する。従って、これら添加元素の最大量は、すべての元素の合計で5原子%以下にする。さらに好ましくは、2原子%以下が良い。なお、第1グループから複数の元素を用いることもできるし、第2グループから複数の元素を用いることもできる。また第1グループの元素と第2グループの元素を組み合わせて用いることもできる。
その他の元素は、本願発明の限定にはないが、本願発明の効果とは無関係であり、その存在を排除するものではない。例えば、水素、炭素、窒素、酸素は、製造工程上不可避であり、本願発明の実施例においても検出されている。これらのうち、炭素や窒素は、Bと一部置換可能である場合もあるが、その場合は磁石の保磁力が低下するなどの磁気特性への顕著な影響が生じる。通常の焼結磁石においては、炭素や窒素は、酸素と同様、希土類元素と反応して何らかの形態の炭化物、窒化物、酸化物を形成し、磁気特性に影響を与えない形で存在しているものと思われる。また、水素や窒素は、主相の格子間に侵入し、キュリー点を向上させる等の効果も期待できるが、多量に添加した場合は保磁力を低下させる。何れも本願発明とは独立の効果である。F、Cl、Mg、Ca等は、希土類金属の精錬過程で混入する恐れがあり、そのまま磁石組成に含まれる可能性がある。P、Sは、Fe原料に含まれている可能性がある。また、Siは、原料ソースであるフェロボロン合金から取り込まれる以外に、磁石用母合金の溶解時にるつぼ成分が混入する可能性もある。
[製造方法]
本願発明は、R−T−B系焼結磁石のあらゆる製造方法で同様の効果が得られ、従って製造方法を限定するものではないが、以下に製造方法の一例を示す。
[原料合金]
種々の製法によって製造され、また種々の形態を有する原料合金が利用可能である。原料合金の代表例は、インゴット、ストリップキャスト、アトマイズ粉末、還元拡散法による粉末、また超急冷法による合金リボン等である。これらの原料合金は単独で用いられるだけではなく、異なる種類の原料合金を混合して用いることもできる。さらに、組成の異なる合金を混合して用いる、いわゆる2合金法を採用することもできる。この場合、MnとAlは、両方をどちらか一方の合金に含有させる方法、両方の合金に含有させる方法、また磁石組成に近いほうの合金:主合金にMnを含有させ、添加合金にAlを含有させる方法において、本願発明の効果を発揮しうる。さらに、主合金にAl、添加合金にMnを含ませる方法でも、本願発明の効果の一つである焼結性の改善は達成し得る。
原料合金の製造にあたっては、純鉄、フェロボロン合金、純B、希土類金属、希土類−鉄合金等を素原料として用いることができ、本願発明の必須元素であるMnやAlを不純物として含むものもある。従って、最終的にMnとAlが特定組成範囲になるよう、MnやAlを不純物として含む素原料を用いることもできるし、MnやAlを別途添加することもできる。一般的に、不純物量の制御だけでは特定組成範囲に制御することは困難なので、不純物として含有されるMnやAlに対し、適量のMnやAlを添加し、併せて特定組成範囲になるようにする。
M元素については、純金属で添加することもできるし、例えば鉄との合金の形で添加することもできる。
また、母合金に対し、組織改善、元素分布改善、均質化等を目的として、熱処理を行うこともできる。
[粉砕]
粉砕工程も、任意の方法が採られる。出発原料の性状によって選択することができるが、例えばストリップキャスト合金を出発原料とする場合、粗粉砕−微粉砕の2段階の工程を経ることが多い。このとき、粗粉砕は、機械的に粉砕する方法や、希土類合金に適する、水素脆化を利用した粉砕方法を採ることができる。水素脆化法とは、合金を容器に水素ガスと共に封じ込め、合金に水素ガスを侵入させ、その際の合金の体積変化に伴う歪を利用して粉砕する方法である。この方法では、粗粉末に多量の水素が含まれた形になるので、必要に応じて粗粉末を加熱することで、余分な水素を放出させることもできる。
なお、粗粉砕の後、微粉砕工程の前に、例えばふるいなどを用いて粒度を特定粒度以下に揃えることもできる。
微粉砕は、高速気流を用いるジェットミル粉砕が一般的だが、機械的に微粉砕する方法や、分散媒を用いた湿式ボールミル粉砕も利用可能である。また、粉砕に際して、事前に粉砕助剤を加えても良い。特に微粉砕工程の粉砕効率を高めるためには有用である。
なお、原料合金の取扱、粉砕粉の取扱については、高性能磁石を製造するためには不活性雰囲気で取り扱うことが重要である。不活性雰囲気とは、少なくとも常温での取扱に関しては窒素ガスで充分であるが、例えば300℃以上の熱処理を行うような場合はヘリウムガスまたはアルゴンガスを用いる必要がある。
粉砕粒度は、磁石の性能と、次の成形工程での取り扱い上の制約とから決めればよいが、通常、気流分散式レーザー回折法によるD50粒径で3−7μmとする。この粒度は、逆に、高速気流式の粉砕方法で得やすい粒度範囲である。なお、微粉粒度を気流分散法で測るのは、微粉末が強磁性体で容易に磁気的に凝集してしまうためである。
[成形]
異方性焼結磁石では、磁界中で微粉末を成形し、磁石の磁気異方性を付与する。一般的には、粉砕工程で得られた微粉末を、成形機のダイスホールに充填し、パンチでキャビティを構成しつつ外部から磁界を印加し、そのままパンチで加圧して成形した後取り出す。この工程において、原料の微粉末は、磁界による配向を向上させる目的、また金型潤滑を高める目的で潤滑剤を添加したものでも良い。この潤滑剤は、固体状のものや液体状のものがあり、種々の要因を考慮して選択すればよい。また、ダイスホールへの充填を容易にすることなどを目的に、適宜造粒することもできる。
また、配向のために印加する磁界として、直流電源による静磁界だけでなく、例えばコンデンサ放電によるパルス磁界や、交流磁界も利用できる。
本願発明の組成系では、磁界の強さは通常0.4MA/m以上、より好ましくは0.8MA/m以上を用いる。さらに、成形後、脱磁処理として、逆磁界を印加しても良い。脱磁処理により、その後の成形体の取扱において、残磁がなく、取扱が容易になる効果がある。
なお、成形時の磁界印加の方向を工夫することで、種々の配向状態の磁石を作ることができる。例えば、円環形状では軸方向の配向の他、径方向のラジアル配向や、磁極を複数持つ極異方配向も可能である。
成形方法も、ダイスとパンチによる方法以外に、ゴム型を用いる方法、例えばRIPと呼ばれる方法も適用可能である。
さらに、成形と磁界印加を別々に行っても良い。
[焼結]
焼結工程は、真空、またはアルゴンガス雰囲気で行われる。雰囲気の圧力等は任意に設定できる。例えば、Arガスを導入しつつ減圧する方法や、Arガスで加圧する方法も適用できる。本願発明の磁石の場合、焼結工程以前に原料粉末に含まれるガスが昇温過程で放出されたり、工程途中で添加した潤滑剤、結合剤、保形剤等の蒸発させることを目的として、焼結時の昇温工程は減圧下で行われることもあり、昇温途中で一定時間、一定温度で保持することもある。また、前記潤滑剤、結合剤、保形剤を効率的に放出させるために、昇温過程の特定温度範囲を水素雰囲気とすることもできる。なお、ヘリウムガス雰囲気でも焼結は可能だが、日本ではヘリウムガスが高価であるし、ヘリウムガスの熱伝導の良さのために焼結炉の熱効率が低下する可能性がある。
焼結は、通常、1000℃−1100℃で30分−16時間行われる。本願発明の組成範囲では液相焼結となるので、さほど高い温度は必要でない。なお、同じ温度または異なる温度で、複数回に分けて焼結を行うこともできる。温度保持後の冷却については、必ずしも急冷または徐冷が必須でなく、以下の熱処理を含め、適宜条件を組み合わせることができる。
焼結後は、本願発明の磁石では、比重7.3以上が得られる。より好ましくは7.4以上である。
なお、外部から圧力を加えながら加温するホットプレスや、成形体に通電してジュール熱により過熱する通電焼結など、粉末冶金法で用いられるあらゆる焼結手段も適用できる。これらの手法を用いる場合は、焼結温度、時間は前記の限りでない。
[熱処理]
保磁力を高めることを目的に、焼結終了後、焼結温度以下で熱処理を行うことができる。また、この熱処理を、同じ温度または温度を変えて複数回行っても良い。熱処理の際の冷却条件も、種々の条件を選択できる。
なお、焼結上がりで充分な保磁力が得られている場合は、あえて熱処理を行う必要はない。
[加工]
焼結後の磁石は、最終形状に近い状態のこともあるが、一般的には切断、研削、研磨等の機械加工を行い、所定形状に仕上げる。なお、この加工は、焼結後であれば、熱処理の前でも後でも、または複数回の熱処理の中間に行っても良い。
[表面処理]
本願発明の組成系の焼結磁石は、通常の環境では長期的には錆が発生するため、適宜表面を被覆する処理を行う。例えば、樹脂塗装、金属めっき、蒸着膜などが用いられており、用途、要求性能、コストを勘案して適切な表面処理を選択することができる。勿論使用環境により、表面処理による保護が不要の場合は、表面処理を行わないこともある。
[着磁]
本願発明の磁石は、通常、パルス磁界で着磁する。この工程は、一般的には製品の組立の便から、組立後に行うことが多いが、当然磁石単体で着磁してから製品に組み込むことも可能である。
着磁の方向は、当然磁界中成形時の配向方向を考慮して決めるべきであり、その方向が一致して初めて高性能磁石が得られるが、用途によっては必ずしも成形時の配向方向と着磁方向を一致させる必要はない。
(実施例1)
純度99.5%以上のPr、Nd、純度99.9%以上のTb、Dy、電解鉄、低炭素フェロボロン合金を主として、その他目的元素を純金属またはFeとの合金の形で添加して目的組成の合金を溶解し、ストリップキャスト法で鋳造し、厚さ0.3−0.4mmの板状合金を得た。
この合金を原料として、水素加圧雰囲気で水素脆化させた後、600℃まで真空中で加熱、冷却した後、ふるいにて425μm以下の粒度の合金粗粉を得た。この粗粉に対し、質量比で0.05%のステアリン酸亜鉛を添加、混合した。
次いでジェットミル装置を用いて、窒素気流中で乾式粉砕し、粒径D50が4−5μmである微粉砕粉を得た。このとき、特に酸素量1原子%以下を目標とする試料では、粉砕ガス中の酸素濃度を50ppm以下に制御している。なお、この粒径は、気流分散法によるレーザー回折法で得られた値である。
得られた微粉末を、磁界中で成形して成形体を作製した。このときの磁界はおよそ0.8MA/mの静磁界で、加圧力は196MPaとした。なお、磁界印加方向と加圧方向とは直交している。また、特に酸素量を目標とする試料では、粉砕から焼結炉に入れるまでの雰囲気を可能な限り窒素雰囲気とした。
次に、この成形体を、真空中、1020−1080℃の温度範囲で2時間焼結した。焼結温度は組成により異なるが、何れも焼結後の密度が7.5Mg/m3が得られる範囲で低い温度を選択して焼結を行った。
得られた焼結体の組成を分析した結果を、原子%に換算したうえで図1に示す。分析は、ICPを用いた。但し酸素、窒素、炭素は、ガス分析装置での分析結果である。なお、何れの試料も、溶解法による水素分析の結果、水素量は10−30ppmの範囲にあった。磁石特性を以下の表1に示す。
Figure 0004103938
表以外の元素では、水素の他にSi、Ca、Cr、La、Ce等が検出される場合があるが、Siは主にフェロボロン原料と合金溶解時のるつぼから混入し、Ca、La、Ceは希土類の原料から混入する。またCrは、鉄から混入する可能性があり、これらを完全に0にすることはできない。
得られた焼結体に対し、Ar雰囲気中にて、種々の温度で1時間の熱処理を行い、冷却した。熱処理は、組成により種々の温度条件で行い、また、温度を変えて最大3回の熱処理を行なったものもある。これらの試料を、機械加工後、B−Hトレーサにより室温での磁気特性Jr、HcJを測定した。また、試料の一部を欠きとって、およそ20−50mgの試料とし、磁界中の熱天秤測定により、キュリー点Tcを求めた。この方法は、熱天秤の外側から、永久磁石による弱い磁界を試料に印加し、試料が強磁性から常磁性に変態することによる磁気的な力の変化を天秤で検出するもので、天秤の指示値を微分して変化率が極大となる温度を求めたものである。なお、各組成の試料で種々の熱処理条件のもののうち、それぞれ室温での保磁力が最も大きい試料を評価対象とした。
試料17−20は、比較例に相当し、No.17、18はMn:<0.02原子%であり、類似組成の実施例に比べ、残留磁化Jrとキュリー点Tcが劣る。No.17では、Mn:<0.02原子%のために、Al添加にも関わらず保磁力HcJが低い。No.19は、Mn、Al両方が過剰の場合で、残留磁化Jr、キュリー点Tc共に低い。No.20はAl:<0.1原子%であり、特に保磁力HcJが低い。
(実施例2)
Nd13.0Dy0.7Febal.Co2.2Cu0.15.9AlxMny(原子%)組成の磁石において、y=0.01、0.05、0.10、0.40、0.80の場合について、種々のAlの値xについての室温の残留磁化Jrを図2に、室温の保磁力HcJを図3に示した。y=0.01のデータは、比較例として示したものである。このときの酸素量は1.8原子%であり、その他炭素、窒素についてもそれぞれ0.4原子%以下、0.1原子%以下含有し、またSi、Ca、La、Ce等の不可避不純物もそれぞれ0.1原子%以下含んでいる。なお、実施例2の磁石は、実施例1と同様の製造方法によった。
図2によれば、y=0.01の場合よりも、y=0.05の場合のほうが、Al添加時の残留磁化Jrの低下が小さく、Mn添加によってAlの主相固溶量が減少した結果と考えられる。また、y=0.80の場合は、Mnの主相固溶量増大のために、残留磁化Jrが大きく低下する。
また、図3によれば、Mn添加によりAlがより粒界相に濃化する結果、より少量のAl添加で保磁力HcJが向上することがわかる。一方、y=0.80では、Mnの主相固溶量増大のために、保磁力HcJが大きく低下する。
(実施例3)
Nd12.8Febal.Co2.2Cu0.1Ga0.055.7AlxMny(原子%)組成の磁石において、x=0.02、0.50、1.00、1.50の場合について、種々のMnの値yについての室温の残留磁化Jrを図4に、室温の保磁力HcJを図5に示した。x=0.02、1.50のデータは、比較例として示したものである。このときの酸素量は1.8原子%であり、その他炭素、窒素についてもそれぞれ0.4原子%以下、0.1原子%以下含有し、またSi、Ca、La、Ce等の不可避不純物もそれぞれ0.1原子%以下含んでいる。なお、実施例3の磁石は、実施例1と同様の製造方法によった。
図4によれば、Mnを添加せずにAl:x=0.5原子%添加すると、残留磁化Jrは大きく低下するが、y=0.05とすれば、Alの有無による残留磁化Jrの差異は非常に小さくなる。またx=1.50では、Al自身の主相固溶量が増加するために残留磁化Jrは大きく低下する。
一方、図5によれば、Alの添加により、Mn量に関わらず一様に保磁力HcJが向上することがわかる。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で、表2に示す組成の焼結磁石を得た。表2の組成は、ICP及びガス分析の結果から、原子%に換算して示した分析値である。表2に示した以外に、水素、炭素、窒素、Si、Ca、La、Ceなどの不可避不純物を含んでいる。
Figure 0004103938
磁石特性を表3に示す。
Figure 0004103938
実施例1と同様の手法により、残留磁化Jr、保磁力HcJ、キュリー点Tcを評価し、表中に示した。本実施例は、Al量とMn量を一定にした上で、本願組成範囲のR量、B量、Co量の影響を示しており、何れも良好な磁気特性を示す。
(実施例5)
Nd13.8Febal.Al0.2Mnx6.0(原子%)組成の磁石において、種々のxの値の焼結磁石を作製し、磁気特性を評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 0004103938
製造方法は実施例1と同様に行い、すべての組成で焼結を1020℃2時間で行った。また、焼結後の熱処理は、560℃−640℃の範囲で行い、磁気特性上最も優れたものを評価対象とした。磁気特性の評価は、指標としてHkを求め、Hk/HcJの値を角形性の指標とした。Hkは、減磁界中で、磁化の値が残留磁化Jrの90%になったときの減磁界の値であり、Hk/HcJの値が1に近いほど角形性が良く、磁石として有用であると判断される。Mn添加量x≧0.02原子%で、明らかに密度ρ、残留磁化Jrの向上が認められる。一方、Mn添加量x>0.5原子%では、残留磁化Jrが顕著に低下し、Mn無添加の場合と同等以下となっている。
なお、ガス分析によれば、焼結磁石に含まれる不可避不純物として、酸素:0.41−0.44質量%、炭素:0.037−0.043質量%、窒素:0.012−0.015質量%、水素:<0.002質量%の範囲で含まれていた。また、ICP分析によれば、Siが最大0.04質量%、Cr、Ce、Ca等が0.01質量%以下検出された。
(実施例6)
インゴット法またはストリップキャスト法:SC法にて母合金を作製し、水素脆化法による粗粉砕、気流式粉砕機による微粉砕を経て、粒径:D50=4.1−4.8μmの微粉末を得た。これに内部潤滑剤としてステアリン酸亜鉛0.05質量%を混合し、磁界中で金型成形を行った。このときの磁界強度は1.2MAm-3で、加圧力は196MPaであった。なお、加圧方向と磁界印加方向は直交している。
得られた成形体を、組成ごとに温度条件を設定して真空焼結し、密度7.5Mgm-3以上の焼結体を得た。得られた焼結体に対し、それぞれ種々の温度で熱処理を行い、その後、機械加工により磁石試料とし、閉回路のBHトレーサで磁気特性を測定した。なお、保磁力が1500kAm-1以上の試料については、パルス法:東英工業製TPM型磁力計にて保磁力を再測定した。
一部の試料:試料No.58と62は、微粉砕工程以降を実質的に不活性ガスの雰囲気で取り扱ったものである。
表5は、焼結磁石の組成:ICP分析値、但しOはガス分析法による分析値を原子%に換算したものを示す。各試料における最高の保磁力が得られた条件での磁気特性を表6に示す。
Figure 0004103938
Figure 0004103938
合金製法がインゴット法であるか、ストリップキャスト法であるかを問わず、各添加元素に関して、何れもAlとMnの同時添加により、優れた磁気特性が得られている。
なお、記載以外の不純物は、炭素:0.031−0.085質量%、窒素0.013−0.034質量%、水素:<0.003質量%、Si:<0.04質量%、La、Ce、Caがそれぞれ<0.01質量%検出された。
本願発明による焼結磁石は、高性能な焼結磁石が使用される各種の用途に広く利用され得る。

Claims (6)

  1. 希土類元素R:12原子%以上、17原子%以下、
    硼素B:5.0原子%以上、8.0原子%以下、
    Al:0.1原子%以上、1.0原子%以下、
    Mn:0.02原子%以上、0.2原子%未満、
    遷移金属T:残部
    の組成を有し、
    希土類元素Rは、Y(イットリウム)を含む希土類元素から選択された少なくとも1種であって、NdおよびPrの少なくとも一方を含み、
    遷移金属TはFeを主成分とする、R−T−B系焼結磁石。
  2. 希土類元素Rとして、TbおよびDyの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のR−T−B系焼結磁石。
  3. 遷移金属Tとして、Co:磁石全体の20原子%以下を含有する、請求項1または2に記載のR−T−B系焼結磁石。
  4. 希土類元素R:12原子%以上、17原子%以下、
    硼素B:5.0原子%以上、8.0原子%以下、
    Al:0.1原子%以上、1.0原子%以下、
    Mn:0.02原子%以上、0.2原子%未満、
    添加元素M:合計で0を超え、5.0原子%以下、
    遷移金属T:残部
    の組成を有し、
    希土類元素Rは、Y(イットリウム)を含む希土類元素から選択された少なくとも1種であって、NdおよびPrの少なくとも一方を含み、
    添加元素Mは、Ni、Cu、Zn、Ga、Ag、In、Sn、Bi、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、およびWからなる群から選択された少なくとも1種であり、
    遷移金属Tは、Feを主成分とする、R−T−B系焼結磁石。
  5. 希土類元素Rとして、TbおよびDyの少なくとも一方を含む請求項4に記載のR−T−M−B系焼結磁石。
  6. 遷移金属Tとして、Co:20原子%以下を含有する、請求項4または5に記載のR−T−M−B系焼結磁石。
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