JP2006302593A - リチウム一次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フッ化黒鉛などのフッ化物を正極としたリチウム一次電池において、低温大電流放電を行った際に放電初期の電圧降下が大きく、その後緩やかに上昇するという課題を有していた。
【解決手段】 正極活物質表面にリチウムイオンを吸蔵・放出可能(リチウムイオン導電性を有す)であって、スピネル構造を有し、リチウム金属を対極としたときの開回路電位が前記正極活物質よりも低いチタン酸リチウム、マンガン酸リチウムなどの金属酸化物を添加することにより、放電反応時の正極の濃度過電圧を低減し、低温放電特性に優れ、かつ高温保存特性に優れた信頼性の高いリチウム一次電池を提供することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フッ化黒鉛などのフッ化物を活物質とする正極と、負極と、有機電解液と、セパレータを用いたリチウム一次電池に関し、特に低温での大電流放電特性および保存特性に優れたリチウム一次電池に関するものである。
正極にフッ化黒鉛を用い、負極活物質にリチウム金属またはその合金を用いたリチウム一次電池は、従来の水溶液系電池に比べて高電圧でエネルギー密度が高く、長期貯蔵性、高温度域での安定性の面で優れた特長を有しているため、小型電子機器の主電源やバックアップ用電源などさまざまな用途に使用されている。
しかしながら、電子機器の多機能化・小型化に伴い、さらなる特性の改善が要望されている。特に車載用電子機器の主電源、バックアップ電源などの場合には−40℃の低温から125℃前後の高温までの非常に広範囲の環境下での放電特性が要求されている。これらの電池では、大電流放電を行った際に放電初期に電圧が降下した後、緩やかに電圧が上昇するという特性を示すが、特に低温度域での放電において初期の電圧降下が大となる課題を有している。
この放電初期の電圧降下の対策としては、正極中にCrO3およびCr23の中間酸化物を添加する例(特許文献1)が報告されている。これは、フッ化黒鉛よりもリチウムに対する電位が貴であるクロム酸化物を優先的に放電させて電位を向上させようとする改良案である。また、リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な金属酸化物として二酸化チタン(特許文献2)、またはバナジウム酸化物(特許文献3)を混合し、耐充電特性を向上する提案も報告されている。
特開昭58−161260号公報 特開昭58−206061号公報 特開昭58−206062号公報
しかしながら特許文献1については、本発明者らの検討によると低温度域におけるごく初期の電圧向上には効果があるものの、高温保存試験においては添加により劣化が早まるという結果が観測された。これは、フッ化黒鉛よりリチウムに対する電位が高い物質を用いたことにより、電解液の分解を引き起こしたためと考えられる。また、特許文献2、3については添加する金属酸化物がフッ化黒鉛よりもリチウムに対する電位が低いため高温保存時の安定性には悪影響がないものの、低温度域における特性改良には至らなかった。
本発明は上記課題を解決するもので、一次電池の正極の改良に関し、特に低温での大電流放電時の分極を低減することにより、低温での大電流放電特性に優れたリチウム一次電池を提供し、かつ保存特性にも優れた効果を発揮することを目的とする。
本発明のリチウム一次電池は、フッ化物を正極活物質とする正極にリチウムイオンを吸蔵・放出可能であってスピネル構造を有しリチウム金属を対極としたときの酸化還元電位が前記正極活物質よりも低い金属酸化物を混合したことを特徴とするものである。
本発明の構成では、正極中にリチウムイオンを吸蔵・放出可能つまりリチウムイオン導
電性を持つ金属酸化物が存在することで、正極の濃度過電圧を低減することが可能となり、低温放電特性を向上させることができる。また、リチウム金属を対極としたときの酸化還元電位が正極活物質よりも低い金属酸化物を用いることで、高温保存時でも電解液の分解による特性劣化も抑制できる。
以上のように本発明によれば、本来の高温安定性、長期信頼性などを損なうことなく、低温特性に優れ信頼性に優れたリチウム一次電池を提供することが可能となる。
本発明のリチウム一次電池は、フッ化物を正極活物質とする正極と、負極と、有機電解液と、セパレータとからなるリチウム一次電池において、前記正極にリチウムイオンを吸蔵・放出可能であってスピネル構造を有しリチウム金属を対極としたときの酸化還元電位が前記正極活物質よりも低い金属酸化物を混合したことを特徴とするものである。
フッ化黒鉛などのフッ化物を正極活物質とするリチウム一次電池の放電反応は負極からリチウムイオンが有機電解液中に溶出し、正極活物質内にリチウムイオンが挿入する反応である。この放電反応過程において正負極板の電子抵抗、極板内とセパレータ内の有機電解液中をイオン輸送する際の抵抗、正負極の電荷移動に伴う反応抵抗が存在する。極板構造、電池の構成条件、放電温度条件、放電電流密度などの条件によりこれらの抵抗成分による過電圧は変化するが、この過電圧を小さくすることが特性改良の大きなファクターとなる。
正極活物質に挿入されるリチウムイオンは、正極活物質粒子と正極中に介在する有機電解液との界面から供給されると考えられる。本発明のリチウム一次電池では、リチウムイオン導電性を持つ金属酸化物を正極中に内在させることにより、正極中に正極活物質へのリチウムイオン供給サイトが増えることとなり正極の濃度過電圧を低減することが可能となる。
しかし、このリチウムイオン導電性を持つ金属酸化物のリチウムに対する電位が、正極活物質より高いと、電解液の分解等を引き起こす可能性があるため、保存特性など他の特性が低下する恐れがある。実験を重ねた結果、この現象はフッ化黒鉛のような充電方向には反応が進行しない正極活物質を使用した際に顕著となることが分かった。理由は定かではないが、充電方向には反応が進行しない正極活物質を用いた場合、より金属酸化物表面での電解液の分解反応が促進されると推測される。よって、添加する金属酸化物の電位は正極活物質より低い電位であることが必要である。具体的には、リチウム金属を対極とした際の酸化還元電位が正極活物質より低いことが重要である。
この正極活物質よりも低い電位を持つリチウムイオン導電性の金属酸化物は、基本的には正極活物質の反応が進行して電位が等しくなるまでは、放電側には反応が進行しないと考えるのが一般的ではあるが、電極表面など部分的に正極活物質の電位が低下する部位においては、リチウムイオンの供与体となり得、正極活物質の電位変動に伴いリチウムイオンの充放電反応が進行すると考えられる。この際、充放電反応において副生成物を生じたり、骨格が変化したりする物質は好ましくないと言えるが、本発明者らが金属酸化物について鋭意検討した結果、スピネル構造を有する金属酸化物を用いた場合に顕著な放電特性の改良効果が得られることを見出した。最も大きな特徴の違いは、効果の持続時間であり、スピネル構造を有しない金属酸化物の場合は、1分に1回程度のパルス放電において100回程度までは効果が確認されたものの、数百回程度で効果が見られなくなったのに対し、スピネル構造を有する金属酸化物は、実用レベルの数千から数万回以上のパルスを繰り返しても、安定に効果を発揮し続けた点である。これは、スピネル構造を有する金属酸
化物が、リチウムイオンがドープ・脱ドープされても破壊されにくい結晶形態を構成していることに起因していると考えられる。ここで、スピネル構造を有する金属酸化物としては、リチウムに対する酸化還元電位が正極活物質より低いものであればよい。例えばチタン酸リチウム、バナジウム酸リチウムなどがあり、なかでも代表的なものとしてはLiV24、Li4Ti512が挙げられるが、それらに限定されるものではなく、例えばTi、V、Al、Mn、Fe、Co、Niなどの様々な金属酸化物を用いることが可能である。またそれらの酸化物の一部を異種元素で置換してもよく、またそれらを混合して用いてもかまわない。
また本発明の正極中に混合するスピネル構造を持つ金属酸化物としては、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウムの群から選ばれた少なくとも一つであることが望ましい。特にチタン酸リチウムを用いた場合には、低温での大電流放電時の電圧向上効果に加えて、高温保存特性において著しい向上効果が見られた。この理由については、明らかではないが、チタン酸リチウムが有する充放電反応時の構造安定性や、リチウムに対する電位がフッ化黒鉛に対して著しく低いことなどに起因しているものと考えられる。さらにリチウムイオンのドープ・脱ドープの仕方を決定すると考えられるスピネル構造を確認するために、CuをターゲットとしてX線回折を行った結果、そのピーク(面間隔)が、4.84Å、2.53Å、2.09Å、1.48Åの場合に、より効果が得られることが分かった。なお、スピネル構造を有した金属酸化物については、いくつかの製造法や形状が存在するが本発明はこれを特定するものではない。
また、本発明の構成要素である金属酸化物の混合量は0.5重量%から50重量%の範囲が好ましいことがわかった。混合量が0.5重量%以下では添加による効果がみられず、混合量を増加させると、0.5重量%から50重量の範囲では20重量%混合した時に低温での放電電圧向上効果が最大となった。また50重量%を越えると、かえって正極の電荷移動抵抗が増加して効果がなくなることがわかった。
また本発明の金属酸化物は、正極活物質に機械的エネルギーにより複合化されていることが好ましい。金属酸化物は、正極活物質等と均一に混合されていることが好ましく、混合法については乾式、湿式混合等の公知の方法を用いることが出来るが、鋭意検討の結果、さらに予め機械的な圧縮・剪断力を伴う機械的エネルギーによるメカノケミカル処理によって、フッ化物母粒子に金属酸化物を埋め込むことが好ましい。メカノケミカル処理を施し、活物質と金属酸化物を複合化することによって、単なる乾式および湿式混合するだけよりもさらに顕著な効果が得られることを確認した。ここでのメカノケミカル処理による複合化とは、フッ化物母粒子と金属酸化物を混合した状態で圧縮力と剪断力を同時に加え、フッ化物母粒子に金属酸化物を埋め込む処理のことをいう。複合化状態としては、金属酸化物の単粒子がフッ化物母粒子に埋め込まれている状態が好ましいが、微粒子で二次粒子化した金属酸化物が存在していても良い。
なおメカノケミカル処理による複合化装置としては、複合化する母粒子材料の表面に介在する複合物前駆体に圧縮力と剪断力とを同時に掛けることができる装置であればよく、構造、種類は特に限定されない。例えば、加圧ニーダー、二本ロールなどの混練機、回転ボールミル、ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノマイクロス((株)奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)などを使用することができる。
また本発明に用いる有機電解液としては、主溶媒としてγ−ブチロラクトンを用い、溶質として、テトラフルオロ硼酸リチウムを用いることが好ましい。この電解液を用いることでより高温での安定性に優れたリチウム一次電池を得ることが可能となる。
以下に本発明の好ましい態様を示す。
まず、図1は評価に用いたコイン型電池の断面図である。1はステンレス鋼製正極ケース、2はステンレス鋼製負極ケースであり、3のポリプロピレン製絶縁パッキングを介して発電要素を密封口してなる。正極4と金属リチウム負極5はポリプロピレン製不織布セパレータ6を介して対向配置している。
本発明に用いる正極活物質のフッ化物としてはフッ化黒鉛やフッ化黒鉛層間化合物などが考えられるが、長期信頼性、安全性、高温安定性などの点から一般式(CFxn(0<x≦1)で表されるフッ化黒鉛(換言すれば、(CF)n、(C2F)nで示される単独物もしくは混在物および未反応炭素を含有するものを含む)が好ましい。フッ化黒鉛の出発原料としては、サーマルブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、気相成長炭素繊維、熱分解炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズマイクロビーズ、石油コークス、石炭コークス、石油系炭素繊維、石炭系炭素繊維、木炭、活性炭、ガラス状炭素、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンなどを用いることができるが、本発明はこれらを特に限定するものではない。
本発明に用いられる正極用導電剤は、電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカ−ボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類およびポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料などを単独又はこれらの混合物として含ませることができる。
本発明に用いられる正極用結着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。本発明において好ましい結着剤は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体または前記材料の(Na+)イオン架橋体を挙げる事ができ、これらの材料を単独又は混合物として用いることができるが、本発明はこれらを限定するものではない。
本発明に用いられる負極活物質はリチウムまたは数%レベルまでのアルミニウム、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウムなどのリチウム合金を用いることができる。
本発明に用いられる有機電解液については、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,3−ジオキソラン、ジメチルカーボネート(DMC)
、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどのリチウム一次電池、リチウムイオン二次電池で用いられている有機溶媒を単独または複数の混合溶媒として用いることができる。特に、γ−ブチロラクトン(γ−BL)が幅広い温度範囲で安定であり、溶質を溶かしやすいため好ましいが、低温でのイオン伝導度を改良する為に低沸点溶媒であるDMEなどを混合して用いても良い。
溶質についても、6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、テトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウム・ビスペンタフロロエチルスルホン酸イミド(LiN(SO2252)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiCF3CO2、LiAsF6、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどの各種リチウム化合物を単独または組み合わせて用いることができる。特に主溶媒としてγ−BLを用いた場合にはLiBF4を組み合わせた有機電解液が好ましい。
また、有機電解液の他に次の様な固体電解質も用いることができる。固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、xLi3PO4−(1−x)Li4SiO4、Li2SiS3、Li3PO4−Li2S−SiS2、硫化リン化合物などが有効である。有機固体電解質では、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリホスファゼン、ポリエチレンスルフィド、ポリヘキサフルオロプロピレンなどやこれらの誘導体、混合物、複合体などのポリマー材料が有効である。
セパレータについては、リチウム電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないがポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムを、単一あるいは複合して用いるのが一般的でありまた好ましい。
電池の形状はコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型、電気自動車等に用いる大型のものなどいずれにも適用できる。
正極活物質として、石油コークスをフッ素化した平均粒径15μmのフッ化黒鉛を用い、フッ化黒鉛とLiV24で示される平均粒径10μmのバナジウム酸リチウムの微粒子(高純度化学研究所製)と導電剤のアセチレンブラックと結着剤のSBRを固形分比100:10:15:6の比率となるように秤量したものをマイクロスピードミキサ(宝工機製)で乾式混合したものを水・エタノール混合液を用いて品川式万能混合機(品川工業製)で十分に混練した。この合剤を100℃で乾燥したものを所定の成型金型を用いて油圧プレス機にて圧縮成型し正極板を作製した。
厚み200μmの金属リチウムフープを所定の金型で打ち抜いて負極板を作製した。次
に、打ち抜いたリチウム負極5を、絶縁パッキング3を装着した負極ケース2に圧着した。セパレータ6はポリプロピレン製不織布を金型で打ち抜いて作製した。リチウム負極5を圧着した負極ケース2にセパレータ6と正極板を載せ、1mol/LのLiBF4/γ−BLの有機電解液を注液した後、正極ケースを取り付けたものをかしめ封口を行い、直径23mm、高さ20mmで容量110mAhの電池を作製した。この電池を10セル作製し、実施例1とした。
(比較例1)
正極のフッ化黒鉛と導電材、結着剤の配合を変えずにバナジウム酸リチウムの添加を行なわずに実施例1と同様に作製した電池を比較例1とした。
(比較例2)
実施例1のバナジウム酸リチウムの代わりに、平均粒径10μmのV25(太陽鉱工製;VT−2)を用いたこと以外は実施例1と同様に作製した電池を比較例2とした。
(比較例3)
実施例1のバナジウム酸リチウムの代わりに、平均粒径10μmのTiO2(高純度化学研究所製;ルチル型)を用いたこと以外は実施例1と同様に作製した電池を比較例3とした。
実施例1における、正極にバナジウム酸リチウムを添加し混合する工程において、予めフッ化黒鉛とバナジウム酸リチウムのみでホソカワミクロン製「メカノフュージョンシステム」を用い、回転速度2000rpmで30分間メカノケミカル処理を施した後、導電材および結着材を加えて混合した以外は実施例1と同様に作製した電池を実施例2とした。
実施例1のバナジウム酸リチウムの代わりに、平均粒径10μmのLi4Ti512で示されるチタン酸リチウム(チタン工業(株)製、LT−1)を用いたこと以外は実施例1と同様に作製した電池を実施例3とした。
実施例1の有機電解液(LiBF4/γ−BL)の代わりに、1mol/LのLiCF3SO3/γ−BLを用いたこと以外は実施例1と同様に作成した電池を実施例4とした。また、有機電解液にLiCF3SO3/PC+DME(体積比3:1の混合溶媒)を用いた電池を実施例5、LiBF4/PC+DME(体積比3:1の混合溶媒)を用いた電池を実施例6とした。
実施例3のチタン酸リチウムの添加量を0.1,0.5,20,40,50,60%とした電池を、それぞれ実施例7,8,9,10,11,12とした。
実施例1〜12、比較例1〜3の電池を作製した後、5mA定電流で30分間の予備放電を行った。次に、60℃で1日のエージングを行い、酸化還元電位(OCV)が安定した後、室温で静特性を測定し、実施例、比較例とも異常が見られないことを確認した。次に、実施例、比較例の各3セルを25℃で15kΩの定抵抗放電により2Vまで放電し、容量を確認した。
また、別の各3セルを用いて、低温における大電流放電特性評価を行なった。評価は−40℃でのパルス放電により行い、パルス条件は10mA定電流1秒間放電/59秒休止として、30サイクル行った。30サイクルまでの最小パルス電圧値を低温放電特性値とした。実施例1〜12、比較例1〜3の放電容量と低温パルスの最低値とを3セルの平均
値を求めて(表1)に示す。
Figure 2006302593
続いて、高温保存安定性の評価として電池を4セル準備し、100℃で5日間保存試験を行なった。保存後の2セルを、25℃で15kΩの定抵抗放電を行い、高温保存による容量劣化を確認した。残りの2セルは−40℃のパルス放電を行い、低温特性の変化を確認した。実施例1〜12、比較例1〜3の保存後の特性を平均値として(表2)に示す。
Figure 2006302593
(表1)より明らかなように、本発明の実施例はいずれも−40℃のパルス放電の最低電圧が、比較例1の2.125Vを上回っており、低温での大電流放電における放電初期特性を改良できることが分る。比較例2、3のスピネル構造を有しないリチウムイオン導電性金属酸化物は、放電初期には比較例1を上回る放電電圧を示したが、数百時間後に効果がなくなり結果的にスピネル構造を有す金属酸化物を混合した実施例より低い電圧を示した。また表2より実施例はいずれも保存後の、−40℃のパルス放電の最低電圧が、比較例1の1.774Vを上回っており、金属酸化物の添加によって、高温保存特性の低下を起こさずに低温パルス特性の改良を果たしている。
また、メカノケミカル処理を行った実施例2はメカノケミカル処理を行わなかった実施例1よりも更に低温パルスの向上効果が確認されている。
金属酸化物にチタン酸リチウムを添加した実施例3は、高温保存後の低温パルス電圧の低下が比較例1よりも著しく抑制されており、チタン酸リチウムを用いることで保存特性を大きく改良できることが示された。一方で、チタン酸リチウムの混合量は、0.5重量%以上の混合でパルス電圧の向上効果が顕著となり、混合量が50%を越えるとほぼ比較例と同等になることがわかった。よって、この金属酸化物の添加量は、0.5〜50%の範囲が好ましい。
また、異なる有機電解液を用いた実施例4〜6の電池では保存後容量、低温パルス特性、共に実施例1よりも低下し、保存劣化が実施例1よりも大となっている。従って、高温での安定性には、LiBF4/γBL系電解液を用いた方が優れていることが分かった。
本発明にかかるリチウム一次電池は優れた低温大電流放電特性を有し、高温保存特性にも優れており、電子機器等の電源として有用である。
本発明のリチウム一次電池の一実施例に用いたコイン型電池の断面図
符号の説明
1 正極ケース
2 負極ケース
3 絶縁パッキング
4 正極
5 リチウム負極
6 セパレータ

Claims (4)

  1. フッ化物を正極活物質とする正極と、負極と、有機電解液と、セパレータとからなるリチウム一次電池において、前記正極にリチウムイオンを吸蔵・放出可能であってスピネル構造を有しリチウム金属を対極としたときの酸化還元電位が前記正極活物質よりも低い金属酸化物を混合したことを特徴とするリチウム一次電池。
  2. 前記金属酸化物が、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウムの群から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載のリチウム一次電池。
  3. 前記金属酸化物および前記正極活物質は、機械的エネルギーにより複合化されていることを特徴とする請求項1、または2に記載のリチウム一次電池。
  4. 前記有機電解液の主溶媒としてγ−ブチロラクトンを用い、溶質として、テトラフルオロ硼酸リチウムを用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のリチウム一次電池。



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