JP2006289365A - ナトリウム系脱塩剤及び廃棄物処理装置 - Google Patents

ナトリウム系脱塩剤及び廃棄物処理装置 Download PDF

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八朗 平野
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茂 桜井
Makoto Yoshida
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Abstract

【課題】集じん装置の濾布での圧力損失の発生とリーク発生を抑制する。
【解決手段】廃棄物を熱分解して熱分解ガスと主として不揮発性成分からなる熱分解残留物とを発生する熱分解反応器と、熱分解残留物を燃焼性成分と不燃焼性成分とに分離する分離手段と、熱分解ガスと燃焼性成分とが供給され、これらを燃焼させて溶融スラグ及び排ガスを排出する燃焼溶融炉と、燃焼溶融炉から排出される排ガスG6中にナトリウム系脱塩剤gを投入し、排ガス中の塩化水素を脱塩残渣hとして除去する排ガス処理手段16とを備える。この排ガス処理手段にて排ガスG6に投入されるナトリウム系脱塩剤gは、炭酸水素ナトリウムと親水性シリカとの混合物からなり、炭酸水素ナトリウムの平均粒径は2〜30μm、親水性シリカの平均粒径は0.001〜1μmであり、安息角が40度以上、分散度が50未満、および噴流性指数が90未満であるものとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、排ガス中から塩化水素を除去するための技術に関するものである。
塩化水素を含む排ガスを処理する装置は、たとえば、廃棄物を燃焼処理する廃棄物処理装置などに設置されている。この廃棄物処理装置には排ガスを浄化するために第1集じん装置と第2集じん装置が直列に配置され、排ガス中の燃焼飛灰等のダストが第1集じん装置で除去された後、第2集じん装置で排ガスの脱塩処理が行われる。
そして第2集じん装置で脱塩処理を行うために、第2集じん装置の手前で排ガス中に脱塩剤が投入される。この脱塩剤として、従来では、水酸化カルシウム(Ca(OH))等のカルシウム系脱塩剤が主に使用されていた。排ガス中に水酸化カルシウムを投入すると、排ガス中の塩化水素(HCl)と反応して塩化カルシウム(CaCl)とその他の物質を含む脱塩残渣が発生する。ところが、この脱塩残渣は塩化カルシウムが融雪剤や吸湿剤などに使用されるだけで、有効利用の用途が少ない。ほとんどが薬剤処理若しくはセメントで固化されて埋立て処分されているが、その埋立て処分地の確保が難しくなっている。
そこで、カルシウム系脱塩剤の代わりに、炭酸水素ナトリウム(重曹:NaHCO)や炭酸ナトリウム(ソーダ灰:NaCO)等のナトリウム系脱塩剤を使用することが提案されている。この場合、排ガス中にナトリウム系脱塩剤を投入すると、排ガス中の塩化水素は塩化ナトリウム(NaCl)となり、脱塩残渣に水を加えることにより塩化ナトリウムは溶解するので、これを希釈放流し、水に溶けなかった非水溶性成分だけを分離して燃焼溶融炉で燃焼処理することができ、埋立て処分の必要がなくなる。
ところで、ナトリウム系脱塩剤として炭酸水素ナトリウムを選択した場合、炭酸水素ナトリウムの粒径が30μm以上の場合は、粉体同士が固結したりすることはなく、粉体として安定はしているが、塩化水素の除去率が極めて低く、脱塩剤としての使用は適切でない。このため、一般には粒径30μm以下に粉砕された炭酸水素ナトリウムが脱塩剤として使用されている。
しかし、炭酸水素ナトリウムは粒径を30μm以下に粉砕すると、粉体同士が固結して毛玉状になったり、もしくは石のような固まりになったりして、粉体としての安定性が悪くなり、排ガス中へ安定して供給することができなくなる。
このような欠点を解決するために、通常、固結防止剤が採用される。従来では、このような固結防止剤として疎水性固結防止剤が用いられている。疎水性固結防止剤は固結防止の効果が大きく、また疎水性固結防止剤が添加された炭酸水素ナトリウムは流動性や噴流性が大きく、しかも粉体としての安定性も良好である。
しかしながら、疎水性固結防止剤を添加した炭酸水素ナトリウムを脱塩剤として排ガス中に投入すると、炭酸水素ナトリウム粒子と固結防止剤の粒子は流動性が大きいために、第2集じん装置たとえばバグフィルタ内に取り付けられた濾布の内部にまで入り込みやすい。濾布の内部に炭酸水素ナトリウム粒子や固結防止剤の粒子が入り込むと、そこが詰まってしまい、その結果、濾布での圧力損失が過大となって、運転の継続ができなくなる。また、この詰まりはバグフィルタのパルスエアーによる逆洗でも解消困難である。
さらに、濾布の内部に入り込んだ炭酸水素ナトリウム粒子と固結防止剤の粒子の一部は濾布を通過して、脱塩剤のリークが発生する。濾布としては、通常、二重織りガラスクロスが使用されているが、上記リークを防ぐには、二重織りガラスクロスの表面にテフロン(登録商標)のメンブレン処理を施した特殊な濾布を使用する必要がある。しかし、このメンブレンが使用中に傷ついたり剥離したりすると、この部分からの薬剤のリークという新たな問題が発生する。
本発明は、集じん装置に取り付けられた濾布での過大な圧力損失の発生とリーク発生を抑制することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、ナトリウム系脱塩剤に改良を加えた。すなわち、本発明のナトリウム系脱塩剤は、炭酸水素ナトリウムと親水性シリカとの混合物からなり、炭酸水素ナトリウムの平均粒径は2〜30μm、親水性シリカの平均粒径は0.001〜1μmであり、安息角が40度以上、分散度が50未満、および噴流性指数が90未満であることを特徴とする。
上記構成のナトリウム系脱塩剤によれば、親水性シリカ、つまり、親水性固結防止剤がやや凝集性を持っているために、炭酸水素ナトリウム粒子と親水性シリカの流動性がやや緩慢となり、炭酸水素ナトリウム粒子や親水性シリカの粒子が濾布の内部に入り込むことはなく、濾布表面に安定した濾過層を形成する。その結果、濾布での圧力損失の発生を抑制することができ、また濾布からのリーク発生も抑制することができる。
ここで各物性値はホソカワミクロン株式会社製のパウダテスタPT−D型を使用し測定した。
安息角は、粉体試料を直径80mm、目開き710μmの篩を振動させながら通過させた後、水平面に160mmの高さの漏斗から直径80mmのテーブルに静かに落下させた時に、粉体によって形成された円錐体の母線と水平面のなす角を測定することで規定され、流動性の良い粉体ほど小さい値となる。ここで、粉体の落下量は安息角が実質的に安定するまで落下させるものとする。
噴流性指数は、噴流性を数的に評価する一基準で、流動性、崩壊角、差角、分散度の各測定値から表5及び表6より指数を求め、各指数を合算した数値と規定され、この数値が大きいほど噴流性が強いと評価される。各物性の規定について説明する。流動性は、安息角、圧縮度、スパチュラ角、均一度の各測定値から、同様に指数を求め、各指数を合算した数値で規定される。安息角は、前述の方法で求める。
圧縮度は、
{(かため比重)−(ゆるみ比重)}/(かため比重)×100
で規定される。ここでゆるみ比重は、粉体試料を直径80mm、目開き710μmの篩を振動させながら通過させた後、落下させた粉体を、容積100cmの容器に摺り切り一杯ためた時の粉体の質量を測定することで規定され、かため比重は、粉体を入れた容器を、180秒間に180回のペースでタッピングさせた時の、100cmの容積分の質量を測定することで規定される。スパチュラ角は、120×22mmの金属製のへらを水平にして、その上に粉体を堆積させた時の側面の傾斜角を測定することで規定される。
均一度は、粒度分布の測定より得られた、累積質量分布(篩)における60%粒径を10%粒径で割った値で規定される。粒度分布は篩分け法、レーザー回折散乱方式など、対象粉体の粒度等に応じて、種々の方法が使用されるが、今回はレーザー回折散乱方式での測定値を採用した。測定には日機装株式会社製「マイクロトラックFRA9220」を使用した。
崩壊角は、安息角を測定する目的で形成させた粉体による円錐体に、測定器に付属するショッカーにて所定の振動を3回与えて崩壊により形成した円錐体の傾斜角度を測定することで規定される。
差角は、安息角から崩壊角の数値を差し引いて得られる数値で規定される。
分散度は、粉体試料10gを、凹面が上になる様に設置した直径10cmの時計皿の上に、61cmの高さから一気に落下させ、落下させた粉体試料の全質量に対する時計皿の外に飛散した粉体試料の質量の100分率として規定され、この値が大きい粉体ほど、一般に飛散性、噴流性も大きい粉体といえる。
前記炭酸水素ナトリウムは、平均粒径2〜30μmが好ましい。平均粒径が30μmを越えていると、ナトリウム系脱塩剤と塩化水素との反応が不十分となる恐れがある。また、2μm未満では粉砕に手間が掛かる。ナトリウム系脱塩剤の十分な反応を得るには2〜30μmでよいが、2〜10μmであるとより高い反応が得られ、さらに好ましい。
なお、一般的に固結防止剤としては、親水性シリカの他、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどがある。
本発明における親水性シリカは、脱塩剤全質量中に0.1%以上混合されていることが好ましい。0.1%未満では固結防止の効果を得るには不十分である。また、親水性シリカは水に非溶解性であるから、あまり多く混合されていると脱塩残渣の処理が大変となり、好ましくは0.1〜5%である。
さらに、前記親水性シリカの平均粒径は0.001〜1μmであることが好ましい。粒径が小さいほど固結防止の効果は大きいが、0.001μm未満の粉末を工業的に安価に得ることは技術的に容易でない。また、1μmを越えると固結防止の効果が小さくなる。好ましくは0.001〜0.1μmである。
また、本発明の廃棄物処理装置は、廃棄物を熱分解して熱分解ガスと主として不揮発性成分からなる熱分解残留物とを発生する熱分解反応器と、熱分解残留物を燃焼性成分と不燃焼性成分とに分離する分離手段と、熱分解ガスと燃焼性成分とが供給され、これらを燃焼させて溶融スラグ及び排ガスを排出する燃焼溶融炉と、燃焼溶融炉から排出される排ガス中に脱塩剤を投入して脱塩を行う排ガス処理手段とを備え、排ガス処理手段には、脱塩剤として、上記のナトリウム系脱塩剤が投入されることを特徴とする。
本発明によれば、集じん装置に取り付けられた濾布の内部に炭酸水素ナトリウム粒子や親水性シリカの粒子が入り込むことがなく、濾布が炭酸水素ナトリウム粒子や親水性シリカの粒子で詰まるのを回避できるので、濾布での圧力損失の発生を抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
(実施の形態1)図1は実施の形態1を示しており、本発明に係るナトリウム系脱塩剤によって脱塩処理が可能な装置の系統図である。本実施の形態は、排ガス、たとえば廃棄物を処理する際に発生する排ガスG5の脱塩処理に適用したものである。すなわち、排ガスの脱塩処理装置は、第1の排ガス処理手段としての第1集じん装置14と、第2の排ガス処理手段としての第2集じん装置16とを有し、二段階に集じんするものである。
廃棄物を処理する際に発生する排ガスG5は、第1集じん装置14に送られる。第1集じん装置14は、排ガスG5からダスト(焼却飛灰)f1を除去する。ダストf1を除去された排ガスG6は、第2集じん装置16に送られる。この際、本発明に係るナトリウム系脱塩剤gが第2集じん装置16の上流側流路に投入される。
ナトリウム系脱塩剤gは、炭酸水素ナトリウム(重曹:NaHCO)に親水性固結防止剤が混合されたものである。ここで、炭酸水素ナトリウムは、平均粒径が2〜30μm、好ましくは2〜10μmに粉砕され、その中に、シリカ系の親水性固結防止剤が0.1質量%以上、好ましくは0.1〜5質量%混合されている。親水性固結防止剤の平均粒径は0.001〜1μm、好ましくは0.001〜0.1μmである。親水性固結防止剤としては、例えば(株)トクヤマ製の親水性ヒュームドシリカなどがある。粒径が2〜30μmに粉砕された炭酸水素ナトリウム粒子は、粒の表面から内部まで反応が進み、粒径が微細であるので第2集じん装置16に取り付けられた濾布への付着が良く利用効率も良好になる。なお、排ガス中にイオウ酸化物がある場合には、ナトリウム系脱塩剤gは脱硫剤として作用し、脱塩とともに第2集じん装置16で脱硫も行わせることも可能である。
ナトリウム系脱塩剤gの投入により、第2集じん装置16からは、排ガス中の塩化水素(HCl)と反応して生成した塩化ナトリウム(NaCl)が脱塩残渣hとして排出される。脱塩された排ガスG7は、クリーンなガスとなって煙突20から排出される。
一方、第2集じん装置16で除去された脱塩残渣hは、水iが加えられて溶解槽22で溶解され、さらに中継槽24に送られ、水溶液jとして溜められる。水が加えられると、脱塩残渣h中の水溶性成分は水に溶けるが、非水溶性成分kは、水に溶けず、水溶液中で縣濁物として存在する。
次に、生成した水溶液jは、分離機26に送られ分離処理、たとえば濾過され、懸濁物である非水溶性成分kが水溶液から分離される。分離された非水溶性成分kは、後述のように、図示していない熱分解反応器に戻され、最終的に燃焼溶融炉で溶融スラグ化されるなどして、系外に排出される。この時、非水溶性成分k中に含まれるダイオキシン類は、燃焼溶融炉内で完全に分解除去される。
非水溶性成分kが分離された残りの水溶液lは、水溶性成分が含まれており、次工程のpH調整槽28に送られpHが調整される。pH調整剤として例えば塩酸(HCl)などの酸性物質が加えられ、水に溶解した未反応の脱塩剤を中和する。さらに、ダイオキシン類除去装置32に送られダイオキシン類が除去される。ダイオキシンの除去方法としては、たとえば活性炭層に水溶液を通し除去する活性炭吸着法、その他の方法が適用される。上記残りの水溶液lからダイオキシンが除去された水溶液は、処理水mとして排水処理槽34に溜められるが、上記水溶性成分のうち、塩化ナトリウムなどのナトリウム塩が溶解した水溶液だけがpH調整後に、海域、河川、下水処理場などに放流される。非水溶性成分kを分離後の水溶液lからダイオキシン類を除去することは、水溶液l中に含まれるダイオキシンが微量であるので、加熱分解するよりも設備的に簡便であり安価である。
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2を示している。図1では、分離器26からの残りの水溶液lに含まれるダイオキシン類を除去するために、ダイオキシン類除去装置32をpH調整装置28の後流側に設置していたが、脱塩残渣h中のダイオキシン類を予め除去することも可能である。
本実施の形態では、第2集じん装置16と溶解槽22との間にダイオキシン類除去装置32aを配置し、第2集じん装置16からの脱塩残渣hが水で溶解される前に、脱塩残渣h中のダイオキシン類を除去するようにしている。ダイオキシン類除去装置32aとしては、例えば加熱、脱塩素化装置がある。
このように構成すれば、ダイオキシン類除去装置32aから排出される脱塩残渣hからダイオキシン類がほとんど除去されているので、非水溶性成分kは勿論、残りの水溶液lに含まれるダイオキシン類はほとんどなくなる。
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3を示している。本実施の形態では、実施の形態1と実施の形態2を組み合わせた構成で、pH調整装置28の後流側にダイオキシン類除去装置32が、第2集じん装置16と溶解槽22との間にダイオキシン類除去装置32aがそれぞれ配置されている。
ダイオキシン類除去装置32aで殆どのダイオキシン類を除去できるが、万一、除去しきれなかったダイオキシン類があると問題であるので、pH調整の後に、ダイオキシン類除去装置32でダイオキシン類を完全に除去するようにしている。
(実施の形態4)
図4は本発明の実施の形態4を示している。本実施の形態では、炭酸水素ナトリウムを粉砕して親水性固結防止剤を混合する手段として混合装置35と粉砕装置18とが設けられている。一般に炭酸水素ナトリウムg1は平均粒径で50〜270μmであるから、炭酸水素ナトリウムg1に親水性固結防止剤g2として平均粒径0.001〜1μmの親水性シリカを0.1質量%以上加えて、炭酸水素ナトリウムg1と親水性固結防止剤g2とを混合装置35で混合し、これを粉砕装置18で粉砕して平均粒径2〜30μmとし、ナトリウム系脱塩剤gを生成する。そして、このナトリウム系脱塩剤gは、第1集じん装置14でダスト(燃焼飛灰)が除去された排ガスG6に投入される。平均粒径が2〜30μmに粉砕された炭酸水素ナトリウム粒子は、前述したように、粒の表面から内部まで反応が進み、粒径が微細であるのでバグフィルタの濾布への付着が良く利用効率も良好になる。図4におけるその他の構造と作用は図1の場合と同じであるので、その説明を省略する。
また、本実施の形態ではダイオキシン類除去装置32がpH調整装置28の後流側に配置されているが、実施の形態2と同様に、第2集じん装置16と溶解槽22との間にダイオキシン類除去装置32aを配置することもできる。さらに、実施の形態3と同様に、pH調整装置28の後流側にダイオキシン類除去装置32を、第2集じん装置16と溶解槽22との間にダイオキシン類除去装置32aをそれぞれ配置することもできる。
(実施の形態5)
図5は本発明の実施の形態5を示している。本実施の形態では、分離器26からの残りの水溶液lに含まれる水銀を除去するために、pH調整装置28とダイオキシン類除去装置32との間に水銀除去装置30が配置されている。
このような構成によれば、分離機26で非水溶性成分kが分離された残りの水溶液lをpH調整槽28でpHの調整がなされた後に、重金属である水銀が、水銀除去装置30で除去される。ここで、水銀の除去方法としては、たとえば沈殿法、イオン交換法、吸着法などがある。沈殿法では一般的には硫化水銀として沈殿させる方法やたとえばジチオカルバミド酸基などを持つ重金属補集剤を用いる方法がある。イオン交換法では、水銀が陽イオンとして存在するときには陽イオン交換樹脂が、ハロゲン化錯イオンのように陰イオンとして存在するときには陰イオン交換樹脂が用いられる。吸着法では、キレート結合により特定の金属イオンに対して高選択性を持つキレート樹脂や活性炭あるいは活性コークスなどが用いられる。キレート樹脂としては、基体としてたとえばポリアクリル、ポリスチレンまたはフェノール樹脂などが、配位基としてたとえばチオール型、ジチオカルバミン酸型、イソチウロニウム型、ジチゾン型、チオ尿素型、イミノジ酢酸型またはポリアミン型などがある。また、活性炭ではたとえばガス賦活炭、塩化亜鉛賦活炭、粒状活性炭、ヤシ殻活性炭または造粒活性カーボンブラックなどがある。こられの方法のうち、特にキレート物質を使用する方法が簡便かつ確実で好ましい。
水銀が除去された水溶液は、ダイオキシン類除去装置32に供給されダイオキシン類が除去される。ダイオキシン類除去方法としては、先に説明した図1の場合と同様の方法が適用される。図5におけるその他の構造と作用は、図1の場合と同じであるので、その説明を省略する。
また、本実施の形態ではダイオキシン類除去装置32がpH調整装置28の後流側(水銀除去装置30の後流側)に配置されているが、実施の形態2と同様に、第2集じん装置16と溶解槽22との間にダイオキシン類除去装置32aを配置することもできる。さらに、実施の形態3と同様に、pH調整装置28の後流側にダイオキシン類除去装置32を、第2集じん装置16と溶解槽22との間にダイオキシン類除去装置32aをそれぞれ配置することもできる。
(実施の形態6)
次に、廃棄物を処理し発生する排ガスを処理する廃棄物処理装置について説明する。
図6は、本発明に係る廃棄物処理装置の一実施の形態を説明する系統図である。この廃棄物処理装置において、たとえば150mm角以下に破砕された都市ごみなどの廃棄物aは、スクリューフィーダなどの供給手段により熱分解反応器2に供給される。この熱分解反応器2は、たとえば横型回転ドラムが用いられ、図示しないシール機構によりその内部は低酸素雰囲気に保持されると共に、下流の燃焼溶融炉6の後流側に配置される熱交換器8により加熱される加熱空気AがラインL1から供給される。
この加熱空気Aにより熱分解反応器2に供給される廃棄物aは、300〜600℃に、通常は450℃程度に加熱される。これによって、この廃棄物aは熱分解され、熱分解ガスG1と、主として不揮発性の熱分解残留物bとを生成する。そして、この熱分解反応器2で生成される熱分解ガスG1と熱分解残留物bとは図示していない排出装置により分離され、熱分解ガスG1は、熱分解ガス配管であるラインL2を経て燃焼溶融炉6のバーナに供給される。
熱分解残留物bは、廃棄物aの種類によって種々異なるが、日本国内の都市ごみの場合、本発明者等の知見によれば、それぞれ質量基準で
大部分が比較的細粒の可燃分 10〜60%
比較的細粒の灰分 5〜40%
粗粒金属成分 7〜50%
粗粒ガレキ、陶器、コンクリート等 10〜60%
より構成されていることが判明した。
このような成分を有する熱分解残留物bは、450℃程度の比較的高温で排出されるため、図示していない冷却装置により80℃程度に冷却され、分離手段としての分別装置4に導かれ、ここで燃焼性成分である熱分解カーボンcと不燃焼性成分である有価物dに分離される。分別装置4は、例えば磁選式、遠心式又は風力選別式の公知の分別機が使用される。
このように不燃焼性成分が分離、除去された熱分解カーボンcは、図示していないロール式、チューブミル式、ロッドミル式、ボールミル式などの粉砕機で粉砕され、燃焼溶融炉6に供給される。粉砕機は、廃棄物の種類、性状により適宜選択されるが、この粉砕機において熱分解カーボンcは、好ましくは全て1mm以下に粉砕され、ラインL3を経て燃焼溶融炉6のバーナに供給される。
一方、図示していない送風機により供給される燃焼用空気および熱分解ガスG1と熱分解カーボンcとは燃焼溶融炉6で1300℃程度の高温域で燃焼され、この燃焼により熱分解カーボンcの比較的細粒の灰分より発生する燃焼灰は溶融され溶融スラグeを生成する。この際、有価物d中の不燃焼性成分のうちガレキ等は、溶融効率を向上させるために1mm以下の微粉粒体とされることが好ましい。このため供給ラインに設ける破砕機、粉砕機などの装置により破砕、粉砕などの処理がなされ燃焼溶融炉6に供給されると良い。溶融スラグeは、燃焼溶融炉6のスラグ排出口から図示していない水槽に落下させ水砕スラグとされる。水砕スラグは図示していない装置により所定の形状にブロック化されるかまたは粒状に形成され、建材または舗装材などとして再利用される。
廃棄物処理装置の燃焼溶融炉6で発生した燃焼排ガスG2は、熱交換器8で熱回収されて排ガスG3となり廃熱ボイラ10に供給され熱回収されて排ガスG4となり、さらに減温塔12に送られ温度が下げられる。減温塔12で温度が下げられた排ガスG5は、第1集じん装置14に送られる。廃熱ボイラ10、減温塔12および第1集じん装置14では、それぞれダストf2、f3、f1が回収され、分別設備4で分離される熱分解カーボンcとともに、ラインL4、L3を介して燃焼溶融炉6のバーナに戻され、燃焼溶融炉6内で燃焼・溶融してスラグ化される。
また、分離機26で分離される非水溶性成分kについてもラインL5を介して熱分解反応器2に戻され、最終的に燃焼溶融炉6内で燃焼・溶融してスラグ化されるが、この際、重金属類はスラグ化により無害化する。第1集じん装置14に送られた排ガスG5のこれ以降の処理については図5に示したものと同じであるので、その説明を省略する。なお、第1集じん装置14に送られた排ガスG5のこれ以降の処理を、図1、図2または図3の構成の処理システムで行うこともできる。
次に、本発明に係るナトリウム系脱塩剤を作成して実用性についての実験を行った。本発明に係るナトリウム系脱塩剤(ナトリウム系脱塩剤Aという)では、上述したように固結防止剤として親水性固結防止剤を混合させている。比較のために、固結防止剤として疎水性固結防止剤を混合させたナトリウム系脱塩剤(ナトリウム系脱塩剤Bという)も作製し、その実用性についての実験を行った。
ナトリウム系脱塩剤Aは、平均粒径が8μmの炭酸水素ナトリウムの中に、固結防止剤として平均粒径0.014μmの親水性ヒュームドシリカを1質量%混合したものである。また、ナトリウム系脱塩剤Bは、平均粒径が8μmの炭酸水素ナトリウムの中に、固結防止剤として平均粒径0.013μmの疎水性ヒュームドシリカを1質量%混合したものである。ナトリウム系脱塩剤A・Bに添加した固結防止剤についての諸データを表1に示す。ここで、固結防止剤Aはナトリウム系脱塩剤Aに添加された固結防止剤を、固結防止剤Bはナトリウム系脱塩剤Bに添加された固結防止剤をそれぞれ示している。
Figure 2006289365
上記の固結防止剤が添加されたナトリウム系脱塩剤A・Bについて、安息角、流動性指数、分散度を求めた。分析はホソカワミクロン株式会社製のパウダテスタPT−D型を使用し前述の方法で測定した。本実施例のナトリウム系脱塩剤Aでは、安息角が53°、分散度が21%の測定値を得、表5及び表6より、安息角では12、分散度では16の指数を読取った。同様に、その他の項目の測定により、噴流性指数は74となり、噴流性程度はかなり強かった。ナトリウム系脱塩剤Bにおいても同様に評価を実施したところ、噴流性指数は90で、噴流性程度は非常に強かった。その結果を表2に示す。
Figure 2006289365
ナトリウム系脱塩剤Aとナトリウム系脱塩剤Bとを比較すると、粉体性状については、ナトリウム系脱塩剤Aでは流動性は正常で消石灰並みで、水になじみやすい特性を有するものであったのに対し、ナトリウム系脱塩剤Bでは流動性は極めて高く、また水に馴染まず水を弾いてしまった。
また、実用性について検討するために、バグフィルタの操作性について、実証プラントを用いて実験を行った。その結果を表3に示す。なお、濾布の種類はナトリウム系脱塩剤A・B共に二重織ガラスクロスにテフロンラミネートを処理したものであるが、濾布の一部にテフロンラミネートの剥離等が見られたため、ナトリウム系脱塩剤Bの薬剤リーク量が多くなっている。
Figure 2006289365
ナトリウム系脱塩剤Aでは濾布の圧損は4.9×10Pa以下と低く、また濾布からのリークは1mg/Nm以下で、実用上問題はなかった。これに対し、ナトリウム系脱塩剤Bでは濾布の圧損が2×10Pa以上と高く、また濾布からのリークも120mg/Nm以下と高く、実用化は困難であった。
また、濾布として二重織ガラスクロスだけを使用した場合と、二重織ガラスクロスの表面にテフロンラミネートを形成した場合とについて、もれ濃度と圧力損失の実験を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2006289365
二重織ガラスクロスだけの場合は、ナトリウム系脱塩剤Bではもれ濃度および圧力損失の双方が大きいが、ナトリウム系脱塩剤Aではもれ濃度および圧力損失共に小さい。また、二重織ガラスクロス表面にテフロンラミネートを形成した場合では、もれ濃度はナトリウム系脱塩剤A・B共に0であるが、圧力損失についてはナトリウム系脱塩剤Bではかなり大きい。
Figure 2006289365
Figure 2006289365
以上説明したように、本発明によれば、集じん装置に取り付けられた濾布の内部に炭酸水素ナトリウム粒子や固結防止剤の粒子が入り込むことがなく、濾布が炭酸水素ナトリウム粒子や固結防止剤の粒子で詰まるのを回避できるので、濾布での圧力損失の発生を抑えることができる。
また、濾布の内部に炭酸水素ナトリウム粒子や固結防止剤の粒子が入り込むことがないため、炭酸水素ナトリウム粒子や固結防止剤の粒子が濾布を通過して下流側に流れてしまうこともなく、脱塩剤のリーク発生を防ぐこともできる。
本発明の実施の形態1を示し、ナトリウム系脱塩剤によって脱塩処理が可能な装置の系統図である。 本発明の実施の形態2を示し、ナトリウム系脱塩剤によって脱塩処理が可能な装置の系統図である。 本発明の実施の形態3を示し、ナトリウム系脱塩剤によって脱塩処理が可能な装置の系統図である。 本発明の実施の形態4を示し、ナトリウム系脱塩剤によって脱塩処理が可能な装置の系統図である。 本発明の実施の形態5を示し、ナトリウム系脱塩剤によって脱塩処理が可能な装置の系統図である。 本発明の実施の形態6を示し、廃棄物処理装置を説明する系統図である。
符号の説明
2 熱分解反応器
4 分別設備(分離手段)
6 燃焼溶融炉
14 第1集じん装置(第1の排ガス処理手段)
16 第2集じん装置(第2の排ガス処理手段)
18 粉砕・混合装置
26 分離機
28 pH調整装置
30 水銀除去装置
32,32a ダイオキシン類除去装置
G1 熱分解ガス
G6 排ガス
A 加熱空気
a 都市ごみ(廃棄物)
b 熱分解残留物
c 熱分解カーボン(燃焼性成分)
d 有価物(不燃焼性成分)
e 溶融スラグ
f1 ダスト
g,g1 ナトリウム系脱塩剤
g2 親水性固結防止剤
h 脱塩残渣
i 水
j 水溶液
k 非水溶性成分
l 残りの水溶液

Claims (3)

  1. 炭酸水素ナトリウムと親水性シリカとの混合物からなり、前記炭酸水素ナトリウムの平均粒径は2〜30μm、前記親水性シリカの平均粒径は0.001〜1μmであり、安息角が40度以上、分散度が50未満、および噴流性指数が90未満であることを特徴とするナトリウム系脱塩剤。
  2. 炭酸水素ナトリウムと親水性シリカとの混合物からなり、前記炭酸水素ナトリウムの平均粒径は2〜30μm、前記親水性シリカの平均粒径は0.001〜0.1μmであり、安息角が40度以上、分散度が50未満、および噴流性指数が90未満であることを特徴とするナトリウム系脱塩剤。
  3. 廃棄物を熱分解して熱分解ガスと主として不揮発性成分からなる熱分解残留物とを発生する熱分解反応器と、前記熱分解残留物を燃焼性成分と不燃焼性成分とに分離する分離手段と、前記熱分解ガスと前記燃焼性成分とが供給され、これらを燃焼させて溶融スラグ及び排ガスを排出する燃焼溶融炉と、前記燃焼溶融炉から排出される排ガス中に脱塩剤を投入して脱塩を行う排ガス処理手段とを備え、
    前記排ガス処理手段には、前記脱塩剤として、請求項1又は2に記載のナトリウム系脱塩剤が投入されることを特徴とする廃棄物処理装置。
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