JP2009121940A - 放射性廃棄物の固型化方法 - Google Patents

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【課題】硫酸ナトリウムを含有する固体状の放射性廃棄物と、固型化材と、水とを混練した混練物の粘性を低下させる。
【解決手段】硫酸ナトリウムを含有する固体状の放射性廃棄物4と、固型化材17と、水とを混練して固型化する放射性廃棄物の固型化方法において、水に炭酸水素イオンを溶解させ、この炭酸水素イオンが溶解した水と放射性廃棄物4とを混練した後に、固型化材17を加えて混練することにより、単に水と放射性廃棄物と固型化材とを混練する場合に比べて、混練物の粘性を低下させることができる。その結果として、多量の放射性廃棄物をドラム缶5に充填することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子力発電所や原子力関連施設から発生する硫酸ナトリウムを含有する固体状放射性廃棄物を、セメントなどの固型化材と混練してドラム缶などの固型化容器内に固型化する方法に係り、特に、混練物の粘性を低下させる技術に関する。
原子力発電所などの原子力関連施設では硫酸イオンを含有する低レベル放射性廃液が発生するので、施設にて処理を施した上で保管している。その際、一部の施設では廃液を乾燥して粉末やペレットなどの固体状として保管している。この処理過程で薬品が添加され、粉末やペレットの主成分は硫酸ナトリウムとなる。
一方、施設で保管している放射性廃棄物は、固型化容器内にセメントなどの固型化材を用いて固めた上で、放射性廃棄物処分場に埋設されることになっている。上述した硫酸ナトリウムを含有する粉末状あるいはペレット状の放射性廃棄物も、固型化容器内で固型化材と混練して、硬化させることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−153689号公報
ところで、限られた処分場を有効に利用するために、固型化容器にできるだけ多くの放射性廃棄物を充填して、スペース効率を高めることが求められているところ、特許文献1に記載の放射性廃棄物の固型化はこの点について考慮がなされていない。
すなわち、単に固型化容器に放射性廃棄物を多く充填すると、固型化容器の容積は容器に応じて定まっているので、相対的に放射性廃棄物以外の固型化材及び混練に必要な水の割合が少なくなる。特に、水が少なくなると混練物の粘性が高くなり、(1)混練物の均一性が悪くなる、(2)混練物が移動し難くなり固型化容器への移送が困難になる、(3)混練に使用した設備(例えば撹拌翼など)に混練物が多量に付着し、付着した混練物を洗浄するのに手間を要するようになる、といった問題が生じる。
したがって、固型化容器になるべく多くの放射性廃棄物を充填するためには、混練物の粘性を低くする必要がある。
本発明は、硫酸ナトリウムを含有する固体状の放射性廃棄物と、固型化材と、水とを混練した混練物の粘性を、各成分の混合割合を変えることなく低下させることを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の放射性廃棄物の固型化方法は、硫酸ナトリウムを含有する固体状の放射性廃棄物と、固型化材と、水とを混練して固型化するものであって、水に炭酸水素イオンを溶解させ、この炭酸水素イオンが溶解した水と放射性廃棄物とを混練した後に、固型化材を加えて混練することを特徴とする。
このように、炭酸水素イオンが溶解した水と放射性廃棄物とを混練した後に固型化材を加えて混練することにより、単に水と放射性廃棄物と固径化材とを混練する場合に比べて、混練物の粘性を低下させることができる。その結果、固型化容器により多くの放射性廃棄物を充填することができ、スペースに限りのある処分場を有効に利用することができる。
すなわち、硫酸ナトリウム廃液を乾燥して得られる放射性廃棄物の粉末の粒径は数μmから数十μmの範囲であることが多く、セメントなどの固型化材の粒子の大きさも10μm程度である。一般に、数μmから数十μmの範囲の粉体と水を混練した場合、同じ重量割合で混練しても粒径が細かい粉末ほど混練物の粘性が高くなることが知られている。一方、粉末が押し固められたペレット状の放射性廃棄物の場合には、粉末状の放射性廃棄物の場合に比べて混練物の粘性は低くなるが、硫酸ナトリウムの溶解性が高いという化学的性質により、混練とともにペレットが解け、結局は粒径の細かい粉末として混練されて粘性が高くなる。
本発明では、放射性廃棄物を炭酸水素イオンが溶解した水と混練し、その後固型化材を加えて混練することにより、ペレット状の放射性廃棄物が解けることを抑制することができると考えられ、その結果、混練物の粘性を低下させることができると考えられる。
なお、廃液を乾燥して得られる放射性廃棄物の粉末の大きさは、廃液に含まれる硫酸ナトリウムの濃度、不純物の濃度、乾燥処理装置の状態といった様々な要因が関連しており、事前に予測することは難しい。また、数μmから数十μmの範囲の放射性廃棄物の粉末の大きさを調べるには専用の設備を必要とするし、仮に作製した粉末の大きさを大きくするための処理を施すにも専用の設備を必要とする。
この点、本発明によれば、そのような専用の設備などを用いることなく、簡便な方法で、混練物の粘性を低下させることができる。したがって、放射性廃棄物の粉末とペレットとの割合が異なったり、又は粉末の大きさが異なったりして、固型化材との混練物の粘性がばらつき、粘性が高くなった場合でも、粘性が低い場合と同程度の充填量を確保して放射性廃棄物を固型化することができる。
また、上述の放射性廃棄物の固型化は、いわゆるインドラム方式を用いて、固型化容器内で炭酸水素化合物と水とを混練し、次に放射性廃棄物を加えて混練し、さらに固型化材を加えて混練してもよい。また、いわゆるアウトドラム方式を用いて、混練容器内で炭酸水素化合物と水とを混練し、次に放射性廃棄物を加えて混練し、さらに固型化材を加えて混練し、混練物を固型化容器に充填してもよい。
また、炭酸水素化合物と水とを混練する際に、pH調整剤として放射性廃棄物及び固型化材を加えた後の混練物のpHを9以下に保つことが可能な化合物を加えることが望ましい。
つまり、炭酸水素化合物を水に溶解させても、放射性廃棄物の他の化学成分や固型化材により水溶液のpHが高くなると、炭酸水素イオンはこれに従って炭酸イオンに変化して炭酸水素イオン濃度は低くなる。混練物の粘性率は炭酸水素イオン濃度に依存するので、水溶液のpHが高くなるにつれて混練物の粘性は高くなる。
これに対して、炭酸水素イオンが溶解した水にpH調整剤加えてpHを9以下に保つことにより、炭酸水素イオン濃度が低下することを抑制することができ、混練物の粘性を低く保つことができる。
また、放射性廃棄物の混練は、混練物の温度を40℃以上に保ちながら行うようにするのが望ましい。つまり、廃棄物の主成分である硫酸ナトリウムは温度約32℃以下では、硫酸ナトリウム10水塩として存在するようになり、混練物中の水が硫酸ナトリウム10水塩に取り込まれて水割合が少なくため、粘性が高くなる。したがって、混練物の温度を硫酸ナトリウム10水塩が形成されない程度に、実用的には40℃以上に保つことが望ましい。
本発明によれば、硫酸ナトリウムを含有する固体状の放射性廃棄物と、固型化材と、水とを混練した混練物の粘性を、各成分の混合割合を変えることなく低下させることができる。
以下、本発明の放射性廃棄物の固型化方法の実施例を、図1〜図8を用いて説明する。なお、以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。
図1は、本発明による放射性廃棄物の固型化方法の実施例1の処理手順を示す図である。
手順1:硫酸イオンを含有し廃液タンク1に保管されていた放射性廃液を、乾燥機2により加熱処理して、硫酸ナトリウムを主成分とする粉末状及びペレット状を含む固体状の放射性廃棄物4を作製する。固体状の放射性廃棄物4は、保管容器3に蓄えられる。固体状の放射性廃棄物4は、処理の進行状況に応じて、複数の保管容器3に一時的に保管しておくことができる。
手順2:固型化容器として200Lドラム缶5を用い、空の200Lドラム缶5に60℃の温水を投入し、炭酸水素化合物を加え、例えば撹拌翼6により混練し、炭酸水素イオン溶解液7を作製する。炭酸水素化合物としては、炭酸水素ナトリウム塩や炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの複塩を用いることができる。
手順3:炭酸水素イオン溶解液7の入った200Lドラム缶5を放射性廃棄物投入場所に搬送し、一時的に保管していた固体状の放射性廃棄物4を炭酸水素イオン溶解液7の入った200Lドラム缶5に投入する。
手順4:200Lドラム缶5を混練設備のある場所まで再び搬送し、撹拌翼6を用いて固体状の放射性廃棄物4と炭酸水素イオン溶解液7とを混練する。これにより、放射性廃棄物4と炭酸水素イオン溶解液7との中間混練物8が生成される。
手順5:固型化材を加えて再び混練し、固型化材が均一に分散した混練物であるペースト9とする。撹拌翼6を抜いて養生すると、200Lドラム缶5を容器とした固化体10が得られる。
手順6:ペースト9から抜き出した撹拌翼6には、ペーストの残留物が付着しているので、洗浄する。固型化処理を繰り返す場合は、炭酸水素ナトリウムを入れた200Lドラム缶5を混練設備に搬送し、温水11を撹拌翼6に吹き付けるなどして、撹拌翼6に付着していたペースト9の残留物を落とす。
手順6の後には、炭酸水素イオンが溶解した温水が得られるので、200Lドラム缶5を放射性廃棄物投入場所に搬送し、手順3以降を繰り返す。
図2は、実施例1及び比較例1における固化体の成分を対比して示す図表である。図表は、本実施例1及び比較例1における放射性廃棄物、炭酸水素ナトリウム、固型化材、温水の重量を示している。固型化容器として200Lドラム缶を使用しているので、図2に示した配合は、固化体10の容積がおおよそ180〜190Lとなるように定めたものである。
図3は、実施例1、比較例1、比較例2における処理手順及びペースト粘性率を対比して示す図表である。比較例1は、炭酸水素イオン溶解液を使用しない場合、比較例2は、炭酸水素イオン溶解液を使用するが、温水と放射性廃棄物を混連した後に炭酸水素ナトリウムを投入して炭酸水素イオン水溶液とする場合である。
固型化材を投入し混練して得られるペースト9の粘性は、C型粘度計で測定した。本実施例のペーストの粘性率が4〜5Pa・sであるのに対して、炭酸水素イオン溶解液を使用しない場合や、温水と放射性廃棄物を混連した後に炭酸水素ナトリウムを投入して炭酸水素イオン水溶液とする場合のペーストの粘性率は約20Pa・sとなる。粘性率が20Pa・sでは、手順5で固型化材を均一に分散させることが困難になる。
固型化材が不均一に分散していると、固化体内部で固型化材のある場所とない場所が局所的に存在するので、固化体が脆くなる。これに対して、本実施例の場合、ペーストの粘性率が4〜5Pa・sであるので固型化材を均一に分散させることができる。
図4は、本実施例で添加する炭酸水素ナトリウムの重量%とペースト粘性率との関係を示す図である。縦軸がペーストの粘性率を示し、横軸は固体状の硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物の充填量に対する炭酸水素ナトリウムの重量%を示している。
本実施例においては、炭酸水素ナトリウムの重量割合が約4%以上のとき、ペーストの粘性率は約5Pa・sとなり最も低くなる。なお、ペーストの粘性率は、例えば約10Pa・s以下であればよいので、加える炭酸水素ナトリウムの量は4%以上に限定されない。
実用的には、2%以上から10数%以下の範囲となる。粘性率を低下させる効果は、温水に溶解している炭酸水素ナトリウムによりもたらされるので、飽和溶解度以上の炭酸水素ナトリウムを加えても、粘性率の低下の度合いが増すことはない。飽和溶解度は、温水の温度に依存し、本実施例の60℃では、温水95kgに溶解する炭酸水素ナトリウムは、約13kgであり、炭酸水素ナトリウムの重量割合は、放射性廃棄物が200kgなので、6.5%となる。
飽和溶解度より過剰分の炭酸水素ナトリウムは、固体として存在するので、その分だけ混練物の容積が多くなり、固化体の容積も多くなる。10%程度の容積増量は許容されることもあるので、加える炭酸水素ナトリウムの上限は10数%ということになる。しかし、特に限定されるものではない。
また、温水の温度に関しても限定されるものではない。例えば、ペーストの粘性率が10Pa・s以下となるのは、炭酸水素ナトリウムの重量割合2%であり、放射性廃棄物200kgから炭酸水素ナトリウム4kgが溶解すればよい。
ただし、廃棄物の主成分である硫酸ナトリウムは、温度約32℃以下では、硫酸ナトリウム10水塩として存在するようになる。言い換えると、ペースト中の水が硫酸ナトリウム10水塩に取り込まれて水割合の少ないペーストとなり、粘性が高くなる。したがって、混練物の温度は硫酸ナトリウム10水塩が形成されない程度に、例えば温水の温度を調整したり、外部加熱をしたりして、実用的には40℃以上に保つことが望ましい。
なお、本実施例で使用した硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物の粉末の粒径をレーザー回折式粒度計で測定すると約5μmであった。粉末の粒径は、手順1における廃液に含まれる硫酸ナトリウムや不純物の濃度、乾燥機の据付時のセッティング、操作条件などの様々な要因に依存する。このため、全ての硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物で、炭酸水素イオン溶解液を使用しない場合のペーストの粘性率が約20Pa・sであるということではない。
例えば、炭酸水素イオン溶解液を使用しない場合でもペーストの粘性率が7Pa・s程度と粘性の低い廃棄物も存在する。この廃棄物の粉末の粒径は10μm以上であった。ただし、粘性が低い廃棄物に本発明を適用しても、炭酸水素ナトリウムを使用しない場合のペーストの粘性率より低い粘性率となるだけで何ら問題は生じない。
すなわち、本発明は、一時保管されている固体状の硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物の粉末の粒径や、炭酸水素イオン溶解液を使用しない場合の廃棄物の粉末粒径に起因するペーストの粘性率を気にすることなく、全ての廃棄物に適用できる。
本発明の特徴は、水と例えば炭酸水素ナトリウムなどを混練して水に炭酸水素イオンを溶解させ、この炭酸水素イオンが溶解した水と放射性廃棄物とを混練した後に、固型化材を加えて混練することにあるので、どのような装置を用いて混練してもよい。
本実施例によれば、炭酸水素イオン溶解液を使用しない場合にはペーストの粘性率が約20Pa・sと高くなるような粉末状の硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物であっても、粘性率を4〜5Pa・sに低下させることができ、200Lドラム缶当り200kgの放射性廃棄物の充填量を確保できる。
なお、本実施例では、温水と炭酸水素ナトリウムを混練した後に放射性廃棄物を投入して混連し、その後固型化材を投入して混連する例を示したが、温水と炭酸水素ナトリウムと放射性廃棄物を投入して混連し、その後固型化材を投入して混連してもよい。
実施例2が実施例1と異なる点は、固化体の成分が異なることと、水にpH調整剤を加えることなので、固型化方法の処理手順の説明は省略する。
図5は、実施例2及び比較例3における固化体の成分を対比して示す図表である。実施例1より固型化材が多く、水が少ない。この成分における混練物の粘性を図6に示す。pH調整剤を使用しない比較例3のペースト粘性率は、図3に示した実施例1の粘性率よりも高い値となった。これに対して、pH調整剤を加えた本実施例2の粘性率は2〜4Pa・sと低い値とすることができた。図7を用いて本実施例2の粘性率が低くなる理由を説明する。
図7は温度50℃の水溶液中における炭酸化学種の存在割合を示す図である。炭酸水素化合物を溶解させても、放射性廃棄物の他の化学成分や固型化材により水溶液のpHが変化すると、炭酸水素イオンは水溶液のpHに従って炭酸イオンに変化する。なお、二酸化炭素ガスはpHの変化に関わらず、ほとんど発生しない。
炭酸水素イオン溶解液を使用した比較例3の混練物のpH変化を説明する。炭酸水素イオン溶解液に放射性廃棄物を加えて混練物のpHが9程度になると、炭酸水素イオンの化学形態を保つのは元の80%程度になる。混練物の粘性率は炭酸水素イオン濃度に依存するので、炭酸水素イオンが減じた分だけ混練物の粘性は高くなる。
さらに固型化材としてセメントを加えると混練物のpHは混練とともに徐々に高くなり十分に時間が経つと12以上となる。このとき炭酸水素イオンはほぼなくなり、混練物の粘性は炭酸水素イオン溶解液を使用した効果が喪失され、粘性は高くなる。図6の比較例3の混練物の粘性率は混練物のpHが変化している途中のもので、時間が経てばさらに粘性は高くなる。
これに対して炭酸水素イオン溶解液にpH調整剤加えた本実施例2の混練物のpHは、放射性廃棄物や固型化材を加えた後でも、約8.4で一定である。すると、比較例3と異なり、炭酸水素イオン濃度が低下しないので、混練物の粘性を低く保つことができる。
本発明に用いるpH調整剤は、放射性廃棄物や固型化材を加えた後の混練物pHを炭酸水素イオンが存在可能な程度に低く保つことができるものであれば何でも良い。例えば、弱酸と強塩基の無機化合物や有機酸と強塩基の有機酸化合物を用いることができる。また、1種類の化合物である必要はなく、複数の化合物であっても良い。加えるpH調整剤の量は、使用するpH調整剤の種類に応じて、固型化材を加えた後の混練物のpHを炭酸水素イオンが存在可能な程度に低く保つことができる量にする。実用上はpH9以下となるように予め加えるpH調整剤の量を確認しておけば良い。
本実施例によれば、炭酸水素イオン溶解液にpH調整剤を加えることで、炭酸水素イオン濃度が低下することを抑制することができ、混練物の粘性を低く保つことができる。
図8は、本発明による放射性廃棄物の固型化方法の実施例3における処理手順を示す図である。
いわゆるインドラム方式の混練手順を採用した実施例1に対して、本実施例3は、アウトドラム方式の混練手順を採用している。固体状の硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物4は、実施例1と同様に、一時的に保管されている。炭酸水素ナトリウム13は、添加剤サイロ12に入れられ、温水11は、温水タンク14に入れられ、固型化材17は固型化材サイロ16に入れられている。
まず、混練容器18に温水11を投入し、炭酸水素ナトリウム13を投入して撹拌翼6で混練する。そして、固体状の硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物4を投入して混練する。その後、固型化材17を投入して混練する。混練終了後に、ペースト9を200Lドラム缶5に注入する。
本実施例においても、図2に示した成分の場合、固型化材を加える前に炭酸水素ナトリウムを溶解させた温水と硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物とを混練しているので、図3に示したようにペーストの粘性率を4〜5Pa・sと低く抑制することができる。
その結果、炭酸水素ナトリウムを使用しない場合の粘性率が約20Pa・sのペーストではハンドリングが悪く、配管を通して200Lドラム缶にペーストを注入することはできなかったのに対して、本実施例によれば、配管を通してペーストを200Lドラム缶にスムーズに注入することができた。
本発明による放射性廃棄物の固型化方法の実施例1における処理手順を示す図である。 本発明の実施例1と実施例3、比較例1における固化体の成分を対比して示す図表である。 本発明の実施例1と実施例3、比較例1、比較例2における処理手順及びペースト粘性率を対比して示す図表である。 本発明の実施例1と実施例3で添加する炭酸水素ナトリウムの重量%とペースト粘性率との関係を示す図である。 本発明の実施例2、比較例3における固化体の成分を対比して示す図表である。 本発明の実施例2、比較例3における処理手順及びペースト粘性率を対比して示す図表である。 温度50℃における炭酸水素化学種の存在割合と水溶液のpHとの関係を示す図である。 本発明による放射性廃棄物の固型化方法の実施例3における処理手順を示す図である。
符号の説明
1 廃液タンク
2 乾燥機
3 保管容器
4 放射性廃棄物
5 ドラム缶
6 撹拌翼
7 炭酸水素イオン溶解液
8 中間混練物
9 ペースト
10 固化体
11 温水
12 添加剤サイロ
13 炭酸水素ナトリウム
14 温水タンク
16 固型化材サイロ
17 固型化材
18 混練容器

Claims (8)

  1. 硫酸ナトリウムを含有する固体状の放射性廃棄物と、固型化材と、水とを混練して固型化する放射性廃棄物の固型化方法において、
    前記水に炭酸水素イオンを溶解させ、該炭酸水素イオンが溶解した水と前記放射性廃棄物とを混練した後に、前記固型化材を加えて混練することを特徴とする放射性廃棄物の固型化方法。
  2. 請求項1の放射性廃棄物の固型化方法において、固型化容器内で炭酸水素化合物と水とを混練し、次に放射性廃棄物を加えて混練し、さらに固型化材を加えて混練する放射性廃棄物の固型化方法。
  3. 請求項1の放射性廃棄物の固型化方法において、混練容器内で炭酸水素化合物と水とを混練し、次に放射性廃棄物を加えて混練し、さらに固型化材を加えて混練し、混練物を固型化容器に充填する放射性廃棄物の固型化方法。
  4. 請求項2又は3の放射性廃棄物の固型化方法において、前記炭酸水素化合物の重量割合が、前記放射性廃棄物の重量の2%以上である放射性廃棄物の固型化方法。
  5. 請求項2又は3の放射性廃棄物の固型化方法において、炭酸水素化合物と水とを混練する際にpH調整剤を加えることを特徴とする放射性廃棄物の固型化方法。
  6. 請求項5の放射性廃棄物の固型化方法において、前記pH調整剤が放射性廃棄物及び固型化材を加えた後の混練物のpHを9以下に保つことが可能な化合物であることを特徴とする放射性廃棄物の固型化方法。
  7. 請求項2から6のいずれか1項の放射性廃棄物の固型化方法において、炭酸水素化合物が炭酸水素ナトリウム塩もしくは炭酸水素ナトリウムと炭酸ナトリウムの複塩である放射性廃棄物の固型化方法。
  8. 請求項1から7のいずれか1項の放射性廃棄物の固型化方法において、前記放射性廃棄物の混練は、混練物の温度が40℃以上に保たれるようにして行われる放射性廃棄物の固型化方法。
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