JP3979550B2 - 高効率酸性ガス処理剤の性能判定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性ガス成分を含有する廃ガス、特にごみ焼却廃ガス等の酸性ガス中の酸性ガス成分を効率よく除去しうる高効率酸性ガス処理剤についての性能判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ごみ焼却炉、火力発電所その他のボイラー等から生じる廃ガスは、一般に硫黄酸化物、塩化水素等の酸性ガス成分を多量に含有するため、通常はこれを反応塔において塩基性アルカリ土類金属化合物水性懸濁液と接触させて硫酸塩や塩化物の粉体とし、これをバグフィルターや電気集塵器で分離した後にガス分を大気中に放出している。
【0003】
ところで、酸性ガス処理剤として例えば通常市販されている工業用消石灰を水性懸濁液にして用いた場合、該懸濁液中の消石灰粒子の平均粒径は15〜30μmと大きく、また比表面積は5〜20m2/gと小さい。この場合、一般に、廃ガス中に含まれる酸性ガス成分と消石灰との反応性は、消石灰粒子の表面積と相関があり、消石灰粒子の表面積にほぼ比例して酸性ガス成分との反応性が定まるとされているので、消石灰と廃ガス中の酸性ガス成分との反応が粒子の表面でしか起こらず、酸性ガス処理剤の大部分は未反応のままダストとして排出されてしまうため、モル比で酸性ガス成分の2〜3倍量の酸性ガス処理剤を投入する必要があった。また、粒径が大きいために噴射ノズルが詰まることが多く、管中輸送の際に沈殿、閉塞を起こすことがあった。
このような問題を解決するために、生石灰を粉砕しながら消化し微粒消石灰懸濁液を製造する方法や、超音波照射によって消石灰粒子を微粒化する方法が知られているが、前者の方法では粉砕機内部で消化工程を行うため、発熱及び発生する蒸気の処理に煩雑な装置を必要とし、またどちらの方法においても、消石灰粒子が微粒化されることによって懸濁液中の消石灰粒子の平均粒径が小さくなるにつれて、該懸濁液の粘度が上昇するため、濃度の高い懸濁液の場合、懸濁液タンク中や配管中で流動性が低下したり、場合によっては閉塞を起こしたりするという問題があった。
また、消石灰によっては、不純分としてSiO2を含有するものがあり、その粗大粒子が配管や噴射ノズルを著しく摩耗させてしまうという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの消石灰含有懸濁液からなる酸性ガス処理剤について、それが酸性ガス中の酸性ガス成分を高効率でよく除去できるかどうかその性能を判定する方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高効率酸性ガス処理剤を製造するに当って、摩砕により生成する消石灰粒子の水性懸濁液の性能がどの程度にまで向上しているかを事前に知る方法について種々研究を重ねた結果、水性懸濁液から経時的に消石灰粒子を採取し、その比表面積が特定の関係式を満たした場合に酸性ガス成分の除去率の高い、処理剤消費量の少ない、配管や噴射ノズルの閉塞防止などの点で優れた酸性ガス処理剤が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、比表面積Xが5.8〜18.9m2/gの粒子からなる消石灰粉末に水を加えて撹拌混合し、固形分濃度0.1〜30重量%の水性懸濁液を調製したのち、摩砕することにより高効率酸性ガス処理剤を製造する際に、摩砕処理液の一部を採取し、その25℃における粘度を測定するとともに、その中の消石灰粒子を分離して、比表面積Y(m2/g)を測定し、上記粘度が150cPを超えない範囲で、この数値が式
Y≧0.0036X2+0.689X+7.2055
の関係を満たすことを確かめることによって、得られる酸性ガス処理剤の酸性ガス除去性能を評価する高効率酸性ガス処理剤の性能判定方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の判定方法において適用可能な消石灰水性懸濁液は消石灰粒子が水中に懸濁されたものであって、0.1〜30重量%の固形分濃度を有し、かつ消石灰粒子が5.8〜18.9m2/gの比表面積をもつものである。
【0008】
この消石灰水性懸濁液は、消石灰粒子を水に懸濁させたり、生石灰を湿式消化し、必要に応じ水を加えて濃度調整を行ったりするなどして調製される。
消石灰粒子は、通常、生石灰の乾式消化により製造される。生石灰は特に制限されないが、石灰石のカ焼によるものが一般的である。
消石灰水性懸濁液を有利に調製するには、生石灰を消化して比表面積が5.0〜20.0m2/gの消石灰粒子を生成させ、該粒子を水中に懸濁させて懸濁液とする。この際、懸濁液中の固形分濃度は0.1〜30重量%に調整される。
【0009】
本発明方法によれば、上記消石灰水性懸濁液を、摩砕処理するに当り、生成する懸濁液の一部を採取し、その粘度を測定するとともに、その中に含まれる消石灰粒子の比表面積Y(m2/g)を測定し、その測定値が式
Y≧0.0036X2+0.689X+7.2055 (I)
[これら式中のXは、摩砕処理される消石灰水性懸濁液中の消石灰粒子の比表面積(m2/g)である]
で示される関係を満たすか否かを確かめることにより、その性能を評価する。
摩砕処理後の消石灰粒子が上記の式(I)の右辺の値よりも低い比表面積を有する場合、摩砕処理による酸性ガス成分除去率向上効果が十分には得られないし、所要の除去効果を達成するには酸性ガス処理剤の用量をより多く用いねばならず、コスト的にも不利となるのを免れない。
【0010】
また、摩砕処理液の一部として採取された懸濁液については、25℃における粘度が150cPを超えない限度のものであることが必要である。
摩砕処理に用いられる装置としては、好ましくは機械式のもの、例えばサンドミル、ボールミル、振動ミルなどが挙げられる。
【0011】
本発明方法により判定される摩砕処理物は、必要に応じ、摩砕処理後の該懸濁液中の粒子の粒径をコントロールするために、サイクロン処理により粒径を15μm以下とするのが有利である。
上記摩砕処理後でも消石灰水性懸濁液中にはSiO2等の摩砕されない粗大粒子が含まれていることがあり、15μmより大きい粗大粒子が含まれていると、配管や噴射ノズルを著しく摩耗させるため、好ましくないが、サイクロン処理によりこのような問題が生じなくなる。
【0012】
このようにして、粒径が細かくなり、比表面積が増大した消石灰粒子を含有する低粘度の水性懸濁液が得られ、該懸濁液はそのままで酸性ガス処理剤とすることができる。
【0013】
本発明方法においては、消石灰懸濁液に粘度調整のため分散剤を添加することができる。この分散剤としては、好ましくはカルボン酸塩、中でもカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、特にナトリウム塩を主成分とするものが用いられる。
分散剤の添加量は、消石灰の全量に対して0.01〜10.0重量%の範囲、好ましくは0.05〜5.0重量%の範囲で選ばれる。添加量が少なすぎると分散効果が十分には得られないし、また多すぎると酸性ガス成分除去能力が低下する。
【0014】
このようにして摩砕処理して得られる酸性ガス処理剤は、消石灰粒子が摩砕されることによって懸濁液中の消石灰粒子の平均粒径が小さくなると、該懸濁液の粘度が上昇するため、懸濁液タンク中や配管中にトラブルを生じやすくなるので、懸濁液の25℃における粘度は150cP以下に保つことが必要であり、好ましくは100cP以下、より好ましくは20cP以下とするのが有利である。
【0015】
このようにして、本発明の判定方法により、その性能が看視されながら得られる酸性ガス処理剤は、固形分濃度が0.1〜30重量%、中でも1〜20重量%の範囲であるのが好ましい。固形分濃度が0.1重量%よりも低くなると、酸性ガス成分除去能力が低下するし、また30重量%よりも高くなると懸濁液の粘度が高くなりすぎる。
【0016】
本発明方法は、元来低い比表面積を有する消石灰粒子、例えば塩焼生石灰を乾式消化した消石灰や、粗大粒子が多く含まれる品質の良くない消石灰を酸性ガス処理剤として用いる場合、その性能を判定し、より品質のよい酸性ガス処理剤を製造するのに好適に利用される。
【0017】
本発明の判定方法を利用して製造された高効率酸性ガス処理剤を用いて酸性ガスを処理するには、酸性ガスに対し、この高効率酸性ガス処理剤を噴射して酸性ガス成分を除去するのが一般的である。
このような酸性ガス処理方法に用いられる高効率酸性ガス処理剤は、通常、あらかじめ製造されたものとして、ごみ焼却場などの酸性ガス発生施設において、例えば懸濁液タンクに収容するなどして使用に供される他、ごみ焼却場などの酸性ガス発生施設においてその場で製造するようにしてもよく、この場合の製造例としては、生石灰の消化などで調製された比表面積5.8〜18.9m2/gの消石灰粒子の水性懸濁液を該発生施設に設けた懸濁液タンクに収容し、この懸濁液タンクと反応塔との間の流路にボールミルなどの摩砕装置を設け、必要に応じさらにサイクロンなどの分級装置を設けて該懸濁液中の消石灰粒子を摩砕し、必要に応じさらに分級するようにしたものが挙げられる。
【0018】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例において、摩砕処理後の懸濁液中の消石灰粒子の平均粒径及びBET比表面積は摩砕処理後の懸濁液を一部採取し、それから消石灰粒子を分離して測定したものであり、粘度は回転粘度計を用いて25℃、60rpmで測定した値であり、各廃ガス中の酸性成分濃度は1時間積算値の平均値であり、上記BET比表面積はBET法で測定された比表面積を意味する。
【0019】
実施例1
生石灰を消化して得た平均粒径9.4μm、BET比表面積14.8m2/gのJIS特号消石灰(奥多摩工業社製)に水を加え、撹拌混合して固形分濃度7重量%の水性懸濁液とし、これをサンドグラインダーに通して該懸濁液中の消石灰粒子を摩砕して平均粒径1.8μm、BET比表面積28.4m2/gに微細粒化することにより粘度12cPの懸濁液を得た。この懸濁液を酸性ガス処理剤として用い、処理能力100トン/日のごみ焼却炉の稼動時の廃ガス処理を行った。廃ガス処理塔の廃ガス煙道入口における廃ガス中の酸性成分の濃度はHClが580ppm、SO2が40ppmであり、HClとSO2の入口合計量に対して酸性ガス処理剤を消石灰量が約1.5当量となるような割合で噴射した。塔出口における酸性成分の濃度はHClが11ppm、SO2が7ppmであり、除去率はHClが98%、SO2が83%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0020】
実施例2
生石灰を消化して得た平均粒径9.4μm、BET比表面積14.8m2/gのJIS特号消石灰(奥多摩工業社製)に水を加え、撹拌混合して固形分濃度20重量%の水性懸濁液とし、該懸濁液中の消石灰粒子をボールミルを用いて摩砕して平均粒径2.3μm、BET比表面積25.3m2/gに微細粒化することにより粘度90cPの懸濁液とした。これに分散剤としてAT−40(東亜合成社製)を消石灰量に対して0.2重量%添加して粘度を25cPとした。この懸濁液を酸性ガス処理剤として用いた以外は実施例1と同様にして廃ガス処理を行った。塔出口における廃ガス中の酸性成分の濃度はHClが15ppm、SO2が7ppmであり、除去率はHClが97%、SO2が83%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0021】
実施例3
塩焼生石灰を乾式消化して得た平均粒径15.5μm、BET比表面積5.8m2/gの消石灰に水を加え、撹拌混合して固形分濃度15重量%の水性懸濁液とし、該懸濁液中の粒子をサンドグラインダーを用いて摩砕して平均粒径5.1μm、BET比表面積20.6m2/gに微細粒化することにより粘度98cPの懸濁液とした。これに分散剤としてAT−40(東亜合成社製)を消石灰量に対して0.2重量%添加して粘度を25cPとした。この懸濁液を酸性ガス処理剤として用いた以外は実施例1と同様にして廃ガス処理を行った。塔出口における廃ガス中の酸性成分の濃度はHClが20ppm、SO2が8ppmであり、除去率はHClが97%、SO2が80%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0022】
実施例4
塩焼生石灰を乾式消化して得た平均粒径15.5μm、BET比表面積5.8m2/gの消石灰に水を加え、撹拌混合して固形分濃度7重量%の水性懸濁液とし、該懸濁液中の粒子をサンドグラインダーを用いて摩砕して平均粒径6.9μm、BET比表面積11.5m2/gに微細粒化することにより粘度9cPの懸濁液とした。この懸濁液からサイクロン処理によって粒径15μm以上の粗粒を除去した懸濁液を酸性ガス処理剤として用い、処理能力100トン/日のごみ焼却炉の稼動時の廃ガス処理を行った。廃ガス処理塔の廃ガス煙道入口における酸性成分の濃度はHClが580ppm、SO2が40ppmであり、HClとSO2の入口合計量に対して酸性ガス処理剤を消石灰量が約2当量となるような割合で噴射した。塔出口における廃ガス中の酸性成分の濃度はHClが28ppm、SO2が12ppmであり、除去率はHClが95%、SO2が70%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0023】
実施例5
生石灰を消化して得た平均粒径9.4μm、BET比表面積14.8m2/gのJIS特号消石灰(奥多摩工業社製)に水を加え、撹拌混合して固形分濃度7重量%の水性懸濁液とし、ごみ焼却場の懸濁液タンク中に投入した。この懸濁液タンクと反応塔との間の流路にボールミルを設け、該懸濁液中の消石灰粒子を摩砕して平均粒径3.9μm、BET比表面積23.1m2/gに微細粒化することにより粘度11cPの懸濁液を得た。この懸濁液を酸性ガス処理剤として用い、処理能力150トン/日のごみ焼却炉の稼動時の廃ガス処理を行った。廃ガス処理塔の廃ガス煙道入口における酸性成分の濃度はHClが860ppm、SO2が70ppmであり、HClとSO2の入口合計量に対して酸性ガス処理剤を消石灰量が約1.5当量となるような割合で噴射した。塔出口における酸性成分の濃度はHClが34ppm、SO2が13ppmであり、除去率はHClが96%、SO2が81%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0024】
実施例6
塩焼生石灰を乾式消化して得た平均粒径15.5μm、BET比表面積5.8m2/gの消石灰に水を加え、撹拌混合して固形分濃度15重量%の水性懸濁液とし、ごみ焼却場の懸濁液タンク中に投入した。この懸濁液タンクと反応塔との間の流路にボールミルを設け、かつ分散剤としてAT−40(東亜合成社製)を消石灰量に対して0.7重量%の割合で添加し、該懸濁液中の消石灰粒子を摩砕して平均粒径4.1μm、BET比表面積21.0m2/gに微細粒化することにより粘度10cPの懸濁液を得た。この懸濁液を酸性ガス処理剤として用いた以外は実施例5と同様にして廃ガス処理を行った。塔出口における酸性成分の濃度はHClが43ppm、SO2が18ppmであり、除去率はHClが95%、SO2が74%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0025】
参考例
塩焼生石灰を湿式消化して得た平均粒径5.8μm、BET比表面積18.9m2/gの消石灰粒子を含有する固形分濃度15重量%の水性懸濁液をごみ焼却場の懸濁液タンク中に投入した。この懸濁液タンクと反応塔との間の流路にボールミルを設け、かつ分散剤としてAT−40(東亜合成社製)を消石灰量に対して0.7重量%の割合で添加し、該懸濁液中の消石灰粒子を摩砕して平均粒径3.6μm、BET比表面積24.0m2/gに微細粒化することにより粘度13cPの懸濁液を得た。この懸濁液を酸性ガス処理剤として用いた以外は実施例5と同様にして廃ガス処理を行った。塔出口における酸性成分の濃度はHClが29ppm、SO2が17ppmであり、除去率はHClが97%、SO2が76%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0026】
実施例7
実施例4と同様にして得られた消石灰懸濁液を水で希釈して固形分濃度3重量%とした。この懸濁液を用いて、日本フィルコン社製摩耗試験機でブロンズワイヤーの摩耗試験を行い、30分の条件で測定したところ、ワイヤー摩耗度は5.0mgであった。
【0027】
比較例1
生石灰を消化して得た平均粒径9.4μm、BET比表面積14.8m2/gのJIS特号消石灰(奥多摩工業社製)に水を加え、撹拌混合して調製した固形分濃度7重量%、粘度19cPの懸濁液をそのままで酸性ガス処理剤として用い、処理能力100トン/日のごみ焼却炉の稼動時の廃ガス処理を行った。廃ガス処理塔の廃ガス煙道入口における酸性成分の濃度はHClが580ppm、SO2が40ppmであり、HClとSO2の入口合計量に対して酸性ガス処理剤を消石灰量が約2当量となるような割合で噴射した。塔出口における酸性成分の濃度はHClが98ppm、SO2が17ppmであり、除去率はHClが83%、SO2が58%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0028】
比較例2
酸性ガス処理剤の噴射量をHClとSO2の入口合計量に対して消石灰量が約4当量となるようにした以外は比較例1と同様にして廃ガス処理を行った。塔出口における酸性成分の濃度はHClが23ppm、SO2が12ppmであり、除去率はHClが96%、SO2が70%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0029】
比較例3
塩焼生石灰を乾式消化して得た平均粒径15.5μm、BET比表面積5.8m2/gの消石灰に水を加え、撹拌混合して調製した固形分濃度7重量%、粘度16cPの懸濁液を酸性ガス処理剤として用いた以外は比較例2と同様にして廃ガス処理を行った。塔出口における酸性成分の濃度はHClが250ppm、SO2が23ppmであり、除去率はHClが57%、SO2が43%であった。この際の飛灰の集塵はバグフィルターで良好に行われ、また、廃ガス温度は175〜185℃であった。
【0030】
比較例4
比較例3と同様にして得られた消石灰懸濁液を水で希釈して固形分濃度3重量%とした。この懸濁液を用いて、日本フィルコン社製摩耗試験機でブロンズワイヤーの摩耗試験を行い、30分の条件で測定したところ、ワイヤー摩耗度は17.7mgであった。
【0031】
【発明の効果】
本発明方法によれば、従来のものよりも酸性ガス中の酸性ガス成分との反応性が高く、より少量で従来と同等あるいは高い酸性ガス成分の除去率を達成でき、しかも飛灰の発生量を減少しうる高効率酸性ガス処理剤を簡単に判定することができる。
本発明方法は、元来低い比表面積を有する消石灰粒子、例えば塩焼生石灰を乾式消化した消石灰や、粗大粒子等の不純分を多く含み、従来では使用困難であった品質の良くない消石灰を酸性ガス処理剤として用いる場合の改良法に利用するのが有利である。
本発明方法により優れた性能をもつと判定された消石灰粒子の比表面積を増大させた酸性ガス処理剤をごみ焼却廃ガス等の酸性ガスと接触させれば酸性ガス成分との反応性が増大し、酸性ガス処理剤の消費量を減少させたり、酸性ガス成分の除去率を向上させたり、酸性ガス成分除去処理で生じる飛灰等の処理物の発生量を減少させたりすることができ、しかも微細粒化された消石灰粒子の懸濁液は沈殿を生じにくいため管中輸送が容易になり、懸濁液中の粒子による配管や噴射ノズルの摩耗や閉塞なども防止できるという利点をもたらす。
従って、本発明方法の判定方法は、特に都市などのごみ焼却場におけるごみ焼却廃ガスの処理に用いられる酸性ガス処理剤を製造する際の性能を判定するのに好適である。
Claims (1)
- 比表面積Xが5.8〜18.9m2/gの粒子からなる消石灰粉末に水を加えて撹拌混合し、固形分濃度0.1〜30重量%の水性懸濁液を調製したのち、摩砕することにより高効率酸性ガス処理剤を製造する際に、摩砕処理液の一部を採取し、その25℃における粘度を測定するとともに、その中の消石灰粒子を分離して、比表面積Y(m2/g)を測定し、上記粘度が150cPを超えない範囲で、この数値が式
Y≧0.0036X2+0.689X+7.2055
の関係を満たすことを確かめることによって、得られる酸性ガス処理剤の酸性ガス除去性能を評価する高効率酸性ガス処理剤の性能判定方法。
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