JP2006264317A - 金属化フィルム、コンデンサ用フィルム及びそれを用いたフィルムコンデンサ - Google Patents
金属化フィルム、コンデンサ用フィルム及びそれを用いたフィルムコンデンサ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006264317A JP2006264317A JP2006037528A JP2006037528A JP2006264317A JP 2006264317 A JP2006264317 A JP 2006264317A JP 2006037528 A JP2006037528 A JP 2006037528A JP 2006037528 A JP2006037528 A JP 2006037528A JP 2006264317 A JP2006264317 A JP 2006264317A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- metal layer
- metallized film
- capacitor
- protective layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】高い耐湿性を得ることのできる金属化フィルム、コンデンサ用フィルムおよびそれを用いたコンデンサを提供する。
【解決手段】第一の形態として、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を蒸着してなる金属蒸着フィルムであって、該金属化フィルムの少なくとも一方の面上に炭素を含む保護層が形成されており、該保護層の少なくとも一方の保護層表面のESCAによるC1sピークによる炭素の化学状態が、炭素全体を1としたピーク比においてCHxのピーク比が0.80以下である蒸着フィルム。保護層の少なくとも一方の保護層表面の表面エネルギーの分散力成分が38mN/m以下であり、金属層の少なくとも一方の金属層面の表面エネルギーの分散力成分が27mN/m以下である。
【選択図】なし
【解決手段】第一の形態として、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を蒸着してなる金属蒸着フィルムであって、該金属化フィルムの少なくとも一方の面上に炭素を含む保護層が形成されており、該保護層の少なくとも一方の保護層表面のESCAによるC1sピークによる炭素の化学状態が、炭素全体を1としたピーク比においてCHxのピーク比が0.80以下である蒸着フィルム。保護層の少なくとも一方の保護層表面の表面エネルギーの分散力成分が38mN/m以下であり、金属層の少なくとも一方の金属層面の表面エネルギーの分散力成分が27mN/m以下である。
【選択図】なし
Description
本発明は、金属化フィルム、コンデンサ用フィルムおよびそれを用いたフィルムコンデンサに関するものである。
従来より、有機高分子フィルムを誘電体として用いたコンデンサは広く用いられている。例えば、特許文献1及び特許文献2などに例示されるように、ポリエステルフィルムと金属箔を交互に巻回するか、あるいはフィルムに金属蒸着などをすることで金属層を形成し、これを巻回または積層することによりコンデンサを得る技術が知られている。
真空蒸着によりフィルムに金属層を形成する場合、蒸着の容易さやコスト面、そして電気特性の面で、使用する金属としては一般的にアルミニウムや亜鉛が広く用いられている。
上記のように薄い金属層を有するフィルムを用いたコンデンサは、高温高湿下で金属薄膜が酸化、消失して、コンデンサ容量が徐々に低下し、ついには実用に耐えなくなるという問題を持っている。この耐湿性の問題点を改善するために、特許文献3に例示されるように、金属層を酸化することで不動態皮膜を生成する技術や、また、特許文献4に例示されるように、金属層表面にさらに酸化物層を形成する技術が知られている。
特開昭63−182351号公報
特開昭63−194318号公報
特開平6−251991号公報
特開平7−201632号公報
上述したような従来の方法では、近年の電子部品の使用環境の過酷化に伴い、耐湿性が十分ではなくなってきている。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、極めて高い耐湿性を有する優れた金属化フィルム、コンデンサ用フィルムおよびそれを用いたコンデンサを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の金属化フィルムは、第一の形態としては、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を蒸着してなる金属蒸着フィルムであって、該金属化フィルムの一方の面上に炭素を含む保護層が形成されており、該保護層の表面のESCAによるC1sピークによる炭素の化学状態が、炭素全体を1としたピーク比においてCHxのピーク比が0.80以下であることを特徴とするものである。
また第二の形態としては、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成してなる金属化フィルムであって、該金属化フィルムの一方の面上に炭素を含む保護層が形成されており、該保護層の表面の表面エネルギーの分散力成分が38mN/m以下であることを特徴とするものである。
また、第三の形態としては、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成してなる金属化フィルムであって、該金属層の一方の金属層面の表面エネルギーの分散力成分が27mN/m以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、従来では得られなかった極めて高い耐湿性を得ることのできるコンデンサ用フィルムを提供することができる。また、本発明のより好ましい態様によれば、耐電圧特性や耐電流特性にも優れたコンデンサフィルムを提供することができる。本発明により、フィルムコンデンサの、外装の簡略化もしくは無外装化、また、従来対応できなかった過酷な環境への対応が可能となり、工業的に極めて高い価値のあるものである。
本発明のフィルムは、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成してなる金属化フィルムである。
本発明で好適に用いられる高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、などのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリパラキシレンなどのフィルムが挙げられる。また、これらの共重合体や、他の有機重合体との混合体、積層体であっても良い。これらの高分子化合物に、公知の添加剤、例えば、滑剤や可塑剤などが含まれても良い。
本発明で用いられる高分子フィルムの主成分としては、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィドから選ばれた1種であることが、耐湿性及びコンデンサ電気特性の観点から好ましい。ここで、主成分とは高分子フィルム全体に対して50質量%以上、より好ましくは60質量%以上が、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィドから選ばれた1種であることを言う。特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド及びこれらの共重合体から選ばれた1種であることがコンデンサの電気特性上好ましい。
本発明で用いられる高分子フィルムの厚みは、特に限定されないが、0.5μm〜20μmの範囲が好ましい。厚みをこの範囲とすることで、本発明の効果をより高く発揮することができる。より好ましくは高分子フィルムの厚みは0.7μm〜13μmの範囲であり、さらに好ましくは1.0μm〜6μmの範囲である。
本発明の金属化フィルムは、フィルムの少なくとも片面に金属層を有する。金属化フィルムとは、高分子フィルムの片面もしくは両面に金属層を形成したフィルムであり、その金属層の形成方法は特に限定されない。例えば、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングあるいはメッキなどの方法を用いて形成することができる。好ましくは真空蒸着法を用いて形成された金属層である。真空蒸着法を用いると、効率的に本発明のフィルムを製造することができる。
本発明における金属層の材質としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニッケル、クロム、鉄、銅、チタン、あるいはこれらを含有する合金等が挙げられる。コンデンサの電気特性や生産性の面からは、亜鉛、アルミニウム、またはそれらを含む合金が好ましく用いられる。より好ましくは、金属層がアルミニウムを90質量%以上含むことである。具体的には、アルミニウム単体またはアルミニウムを90質量%以上含むアルミニウム合金を用いることが耐湿性の観点から好ましい。
金属層の厚みは1〜100nmであることが好ましい。特に金属層が薄いほど従来技術による蒸着フィルムでは高湿度下での金属層の劣化は早くなるので、相対的に本発明の効果が顕著に表れるので好ましい。ただし、1nmより薄いと、膜抵抗が高くなりすぎ、コンデンサの電気特性に影響がある場合がある。
本発明の第一の形態及び第二の形態の金属化フィルムでは、該金属化フィルムの少なくとも一方の面上に炭素を含む保護層が形成されていることが必要である。発明者らの鋭意検討の結果、当該保護層の炭素(C)の化学状態をある特定の範囲に制御することにより、耐湿性を改善することができることが分かった。
ここで、第一の形態及び第二の形態の金属化フィルムの構成としては、
(I) 保護層/金属層/高分子フィルム
(II) 保護層/高分子フィルム/金属層
(III) 保護層/金属層/高分子フィルム/保護層
(IV) 保護層/金属層/高分子フィルム/金属層
(V) 保護層/金属層/高分子フィルム/金属層/保護層
が考えられるが、本発明の効果を阻害しない限りにおいては、これらの表面や各層の間に別の層を設けてもよい。
(I) 保護層/金属層/高分子フィルム
(II) 保護層/高分子フィルム/金属層
(III) 保護層/金属層/高分子フィルム/保護層
(IV) 保護層/金属層/高分子フィルム/金属層
(V) 保護層/金属層/高分子フィルム/金属層/保護層
が考えられるが、本発明の効果を阻害しない限りにおいては、これらの表面や各層の間に別の層を設けてもよい。
本発明の第一の形態の金属化フィルムでは、保護層が片面のみに形成されている場合は該保護層表面の、保護層が両面に形成されている場合は少なくとも一方の保護層表面のESCAにおけるC1sピークによる炭素の化学状態が、炭素全体を1としたピーク比においてCHxのピーク比が0.80以下であることが必要である。
また、本発明の第一の形態の金属化フィルムの保護層表面のESCAによるC1sピークによる炭素の化学状態が、炭素全体を1としたピーク比においてCOOのピーク比が0.10以上であることが好ましく、さらに、好ましくはC=Oのピーク比が0.10以上であることが好ましい。
ESCA分析によるCHxピークは−CH3に代表される無極性基の比率を表しており、COOピークおよびC=Oピークは極性基を表していると考えられる。発明者らの検討によると無極性基であるCHxが少なく極性基のCOO、C=Oなどが多い方が、耐湿性に優れることを確認している。
これは、電荷の偏りを持つ極性基が側鎖や末端基に多く存在する方が、水素結合的な引力が互いに発生して3次元ネットワークを形成して自由体積を減少するためか、もしくは水分子が極性基に強固に捉えられて水の透過を阻害するためのいずれかもしくは両方により、結果として保護層が水分が金属層に到達することを妨げていると考えられる。
より好ましくは、CHxピークは0.75以下であり、さらに好ましくは0.70以下であることが耐湿性の観点から好ましい。またCOOピークは0.15以上であることが耐湿性の観点から望ましく、C=Oピークは0.10以上であることが好ましい。
また、本発明の第二の形態の金属化フィルムでは、保護層が片面のみに形成されている場合は該保護層表面の、保護層が両面に形成されている場合は少なくとも一方の保護層表面エネルギーの分散力成分は38mN/m以下であることが必要であり、より好ましくは36mN/m以下である。
さらに当該保護層の表面エネルギーの水素結合力成分は1.7mN/m以上であることが好ましく、より好ましくは2.0mN/m以上である。
さらに当該保護層の表面エネルギーの極性力成分は5.0mN/m以上であることが好ましく、より好ましくは7.0mN/m以上である。
表面エネルギーはその成分を分散力成分、水素結合成分、極性力成分の3成分に分解することができる。分散力成分は、表面に露出している無極性基を表していると考えて良く、分散力成分が小さいほど耐湿性は良好となる。水素結合力成分、極性力成分についても、同様にそれぞれの特徴を持つ基を表していると考えられ、後者2成分は大きいほど耐湿性は良好な結果となる。
このことからも、保護層の表面には無極性基よりもむしろ水素結合力や極性力を持つ基が多く存在する方が、耐湿性改善に好ましいと考えられる。
耐湿性の点からは、金属化フィルム両面に保護層が付着しているのがより好ましい。ただし、その場合は、製造工程が増加し効率的に量産しづらくなったり、素子作製の際に保護層のすべり性のために素子巻性が低下したりする場合がある。
本発明にかかる保護層としては、絶縁性の観点から非電導性の有機物、より好ましくはオイルであることが工業上生産効率が高くでき好ましい。
かかるオイルを付着する面は問わないが、生産性を考慮した上で特に好ましくは、金属面側に保護層を付着する方が、装置構成を簡略化できて好ましい。
本発明にかかる保護層に使用するオイルは、特に限定されないが、例示するならば、フッ素系オイル類、パーフロロアルキルポリエーテル類、鉱物油類、およびジメチルポリシロキサン類、メチルフェニルシリコーン類などのシリコーンオイル類などである。 耐湿性及び電気特性の観点から、シリコーンオイルかフッ素オイルが好ましい。
シリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサンまたはメチルフェニルシリコーンオイルが好ましく、メチルフェニルジメチルポリシロキサンが耐湿性の観点から特に好ましい。
また、有機変性シリコーンオイルとして、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アルコール変性オイル、エポキシ変性オイル、カルボキシル変性オイルが好ましく、より好ましくはカルボキシル変性オイルである。
また、保護層の厚みは、好ましくは0.1〜5.0μg/10cm2、より好ましくは0.2〜2.0μg/10cm2、さらに好ましくは0.3〜1.5μg/10cm2である。0.1μg/10cm2より小さいと保護層の材質によっては耐湿性が顕著に発揮されない場合があり、5.0μg/10cm2以上であるとコンデンサの素子巻性が悪化する可能性がある。
本発明において、保護層をフィルムに付着せしめる方法は特に限定されないが、例えば、有機溶媒で希釈してスリットダイコーターで塗布した後に溶媒分を蒸散させて付着させる方法、真空中において加熱して蒸散するものであれば、点状もしくは細いスリット状のノズルから加熱した物質を蒸散・噴霧する方法などを使用することができる。後者の方法は、例えば、真空蒸着法で金属層を形成する場合、真空蒸着機内に保護層形成工程を設けられるため生産性が良い利点があり、かつ均一性の高い保護層形成ができて好ましい。
これらの物質を保護層として形成し、かつESCAのC1sピーク比あるいは表面エネルギーを本発明の範囲に制御するには、もとよりCOOHやC=O結合その他の極性基を多く含む高分子を保護層の材料として選択するか、保護層を形成した後にグロー放電処理を行って表面を活性化し極性基を導入する方法、あるいは大気中、もしくは酸素か窒素雰囲気中でコロナ処理を行い、同様に極性基を導入する方法があげられる。
真空蒸機内で金属層を、次いで保護層を形成する場合は、真空蒸着機内でグロー放電処理をするのが生産効率上最も好ましい。
前述のグロー放電処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの表面処理は、金属表面を活性化させることも知られている。発明者らの検討によると、保護層がない金属蒸着フィルムの金属表面に上記あるいはそれに類似した方法を施し、金属表面の表面エネルギーをある特定の範囲内に制御することでも、耐湿性が向上することが明らかになった。
即ち、本発明の第三の形態は、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成してなる金属化フィルムであって、該金属層の少なくとも一方の金属層面の表面エネルギーの分散力成分が27mN/m以下であることを特徴とする金属化フィルムである。表面エネルギーの分散力成分は27mN/m以下であることが耐湿性の観点から必要であり、より好ましくは26mN/m以下である。
また、本発明の上記の形態における蒸着フィルムは、その金属面の表面エネルギーの極性力成分はが25mN/m以上であることが、耐湿性の観点からさらに好ましい。より好ましくは26mN/m以上である。
本発明の金属層の膜抵抗はいずれの値であってもその効果を発揮することができるが、0.5〜300Ω/□の範囲とすることが好ましい。かかる範囲内でも、0.5〜30Ω/□が好ましく、より好ましくは1.5〜25Ω/□、さらに好ましくは3〜20Ω/□の範囲である。膜抵抗が0.5Ω/□未満では、セルフヒーリング不良を発生し絶縁抵抗が悪化するなど本来のコンデンサ特性が得られないことがある。また、30Ω/□を越えると直列等価抵抗が増大して、誘電正接(tanδ)が悪化する傾向が見られる。ここでセルフヒーリングとは、絶縁破壊が発生した際に、周囲の金属蒸着膜が短絡電流により溶融飛散しその周辺に絶縁部を形成することで、破壊領域周辺以外の部分で形成されるコンデンサを回復させる現象のことである。
また、耐電圧性の観点からすると15〜300Ω/□であることが好ましい。耐湿性という大きな欠点の一方で、蒸着フィルムコンデンサが好んで用いられる理由の一つに、前記のセルフヒーリング性と呼ばれる特徴を持っていることがあげられる。このセルフヒーリング性は一般に金属蒸着膜厚が薄い方が良好であり、蒸着フィルムコンデンサの耐電圧を上げ信頼性を高くするためには、蒸着膜厚をできるだけ薄くし、このセルフヒーリング性を上げることが好ましいことは従来より知られていた。しかしながら、従来の技術では金属蒸着膜厚を薄くすると、耐湿性が悪化してしまうため、良好な耐電圧特性を得られるほど金属蒸着膜厚を薄くすることはできなかった。本発明の金属化フィルムは、前述したような特殊な金属層又は保護層を設けることにより耐湿性の問題は解決されるので、従来の実用の範囲を超えて金属蒸着膜厚を薄く、すなわち金属膜抵抗を高くすることができる。
さらに、従来技術では、金属膜抵抗を高くすると耐湿性の問題の他に、耐電流性の問題があった。これは、金属の膜抵抗が上がるため、コンデンサ素子内部に大電流が流れた際に金属膜が溶断し亀裂が発生してしまい、コンデンサが故障してしまうという問題である。これに対し電極引き出しのためのメタリコン(溶射金属)に接する側の金属膜厚を上げる、ヘビーエッジあるいはハイエッジ蒸着、段付き蒸着と称される技術が有効であることが知られている。この技術はメタリコン部分と蒸着金属膜との接合を強化するが、金属膜内に流れる大電流に対して効果はない。発明者らの検討によれば、本発明の金属化フィルムは、前述したような特殊な金属層又は保護層を設けることで、耐電流性も向上することが明らかになった。耐電流性の効果をより大きく発現させるために、金属層の膜抵抗は20〜200Ω/□であるのが好ましく、より好ましくは25〜150Ω/□である。
なお、金属膜抵抗を上記範囲にするには、金属層の厚みの制御および金属種の選定をすることで可能である。
次に、本発明の金属化フィルムの製造方法を記載する。本発明の第一の形態及び第二の形態の金属化フィルムの製造方法は、真空蒸着機内で高分子基材上に金属を蒸着し、その後もしくはその前に金属蒸着面側あるは金属蒸着面と反対の面側にオイルを付着させ、次いで、オイル付着面にグロー放電処理に類する表面処理を施すことを特徴とする。第三の形態の金属化フィルムの製造方法は、真空蒸着機内で高分子基材上に金属を蒸着し、次いで、該金属蒸着面にグロー放電処理に類する表面処理を施すことを特徴とする。
本発明の第一の形態及び第二の形態の金属化フィルムの製造方法の好ましい一態様を以下に記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
高分子フィルムを真空蒸着機内の巻出軸から巻出して、冷却ドラムへ導く。高分子フィルムを冷却ドラム上で冷却しながら、蒸着源から誘導加熱法もしくは抵抗加熱法、電子ビーム法などにより加熱・溶融させ、飛来した金属を蒸着する。冷却ドラムの後に、細いスリット状のノズルを設けた容器を配置し、その中に保護層となる物質を加熱し、蒸散、噴霧させる。このノズルを高分子フィルムに向けることで、表面に保護層が形成される。
引き続き、オイルを付着させた面に真空中にてグロー放電処理を行う。これを蒸着機の巻取軸で巻き取り中間製品とする。中間製品は、所定の幅にスリットしリール状のフィルムを得る。
次に本発明の第三の形態の金属化フィルムの製造方法の好ましい一態様を以下に記載するが、同様に本発明はこれに限定されるものではない。
高分子フィルムを第一および第二の形態と同様に真空蒸着機内で巻き出し、フィルム上に金属を蒸着する。 引き続き、該金属蒸着面に真空中にてグロー放電処理を行う。これを蒸着機の巻取軸で巻き取り中間製品とする。中間製品は、所定の幅にスリットしリール状のフィルムを得る。
グロー放電処理においては、局部的に電極周辺にガスを導入する。用いられるガスの種類は特に限定されないが、例えば、O2、Ar、CO、CO2などが挙げられる。特に好ましくはO2やAr、あるいはこれらの1種以上を含む混合ガスである。
この場合、処理電力密度を15W・min/m2以上にすることが、フィルムの特性を本願の範囲に制御するために好ましい。
また、グロー放電電極には、Cuかアルミ、あるいはステンレス電極を使用するのが好ましい。また、本発明の範囲に特性を制御するためには、グロー放電電源はパルスDC電源を用いるのが好ましく、周波数を200〜500kHzにすることが好ましい。
このようにして得られた金属化フィルムはコンデンサ用フィルムとして好ましく用いることが出来、公知の方法で積層もしくは巻回してコンデンサを得ることができる。
例えば、巻回型フィルムコンデンサの場合を例示する。フィルムに金属層を形成する際に、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着する。次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左側もしくは右側にマージンを有するテープ状の巻取リールにする。得られたリールのうち、左側にマージンを有するフィルムと、右側にマージンを有するフィルム各1本ずつを、幅方向に非マージン側のフィルム端面がマージン側のフィルム端面からはみ出すように2枚を少しずらして重ね合わせて巻回し、巻回体を得る。この巻回体から芯材を抜いてプレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型コンデンサ素子を得ることができる。
[物性の測定方法並びに効果の評価方法]
(1)ESCA(X線光電子分光法)
ESCA(XPS)にて下記の測定条件にて保護層表面を分析した。
・装置:SSI社製 SSX−100
・励起X線:単結晶分光 Al Kα1線
・光電子脱出角度:35度
・X線スポット:表面分析 1000×1750μmの楕円形
Constant Analyzer Energyモードにて、各元素のピークとそのエネルギーシフトから、各元素の化学状態を分析した。
(1)ESCA(X線光電子分光法)
ESCA(XPS)にて下記の測定条件にて保護層表面を分析した。
・装置:SSI社製 SSX−100
・励起X線:単結晶分光 Al Kα1線
・光電子脱出角度:35度
・X線スポット:表面分析 1000×1750μmの楕円形
Constant Analyzer Energyモードにて、各元素のピークとそのエネルギーシフトから、各元素の化学状態を分析した。
(2)表面エネルギー
表面張力は、接触角測定器(協和界面科学社製CA-X型)を用いて、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ヨウ化メチレンに対する各塗膜の接触角を測定し、表面張力を求めた。(1)式(Youngの式)と(2)式(Fowkesの式の拡張式)により、これらの表面エネルギーの各成分が既知の溶媒と保護層(又は金属層)との接触角から3元連立方程式を得て、保護層(又は金属層)の表面張力の極性項γp、水素結合項γh、拡散項γdを求める。
表面張力は、接触角測定器(協和界面科学社製CA-X型)を用いて、水、エチレングリコール、ホルムアミド、ヨウ化メチレンに対する各塗膜の接触角を測定し、表面張力を求めた。(1)式(Youngの式)と(2)式(Fowkesの式の拡張式)により、これらの表面エネルギーの各成分が既知の溶媒と保護層(又は金属層)との接触角から3元連立方程式を得て、保護層(又は金属層)の表面張力の極性項γp、水素結合項γh、拡散項γdを求める。
γSL : 保護層(又は金属層)の表面張力(mN/m)
γSL : 保護層(又は金属層)−溶媒の界面張力(mN/m)
γL : 溶媒の表面張力(mN/m)
γLp :溶媒の表面張力の極性項(mN/m)
γLh : 溶媒の表面張力の水素結合項(mN/m)
γLd :溶媒の表面張力の拡散項(mN/m)
θ : 接触角(rad)。
γSL : 保護層(又は金属層)−溶媒の界面張力(mN/m)
γL : 溶媒の表面張力(mN/m)
γLp :溶媒の表面張力の極性項(mN/m)
γLh : 溶媒の表面張力の水素結合項(mN/m)
γLd :溶媒の表面張力の拡散項(mN/m)
θ : 接触角(rad)。
具体的には、表1の定数を用い、下記の式に従って計算する。
水の接触角θ1[rad]について、
水の接触角θ1[rad]について、
エチレングリコールの接触角θ2[rad]について、
ホルムアミドの接触角θ3[rad]について、
ヨウ化メチレンの接触角θ1[rad]について、
γL1〜γL4:それぞれの溶媒の合計の表面エネルギー
γLd1〜γLd4:それぞれの溶媒の表面エネルギーの分散力成分
γLp1〜γLp4:それぞれの溶媒の表面エネルギーの極性力成分
γLh1〜γLh4:それぞれの溶媒の表面エネルギーの水素結合成分
γLp1〜γLp4:それぞれの溶媒の表面エネルギーの極性力成分
γLh1〜γLh4:それぞれの溶媒の表面エネルギーの水素結合成分
γSd:保護層(又は金属層)の表面エネルギーの分散力成分
γSp:保護層(又は金属層)の表面エネルギーの極性力成分
γSh:保護層(又は金属層)の表面エネルギーの水素結合力成分
γSp:保護層(又は金属層)の表面エネルギーの極性力成分
γSh:保護層(又は金属層)の表面エネルギーの水素結合力成分
(3)金属層厚み
金属層の表面より、アルゴンイオンにより下記条件でエッチングを行いながら上述のESCA分析を実施し、深さ方向の元素組成プロファイルを得る。金属元素が50%以下となる点を界面として、表面から界面までの距離(深さ)を金属層厚みとする。事前にエッチング速度をSiO2を同条件で処理して形状測定機でエッチング量を測定することで測定しておき、このSiO2のエッチング速度から、エッチング量を換算した。
・イオン種 :アルゴン
・イオンビーム強度:3kV 10mA。
金属層の表面より、アルゴンイオンにより下記条件でエッチングを行いながら上述のESCA分析を実施し、深さ方向の元素組成プロファイルを得る。金属元素が50%以下となる点を界面として、表面から界面までの距離(深さ)を金属層厚みとする。事前にエッチング速度をSiO2を同条件で処理して形状測定機でエッチング量を測定することで測定しておき、このSiO2のエッチング速度から、エッチング量を換算した。
・イオン種 :アルゴン
・イオンビーム強度:3kV 10mA。
(4)膜抵抗
4端子法により、100mmの電極間の金属膜の抵抗を測定し、測定値を測定幅と電極間距離で除し、幅10mm、電極間距離10mm当たりの膜抵抗を算出した。単位はΩ/□と表示する。
4端子法により、100mmの電極間の金属膜の抵抗を測定し、測定値を測定幅と電極間距離で除し、幅10mm、電極間距離10mm当たりの膜抵抗を算出した。単位はΩ/□と表示する。
(5)金属化フィルムの総厚み
JIS C 2151に従い、10枚重ねの金属化フィルムの厚みを電子マイクロメータで測定し、5点平均した平均値を金属化フィルム枚数(10)で除して金属化フィルム厚みとした。
JIS C 2151に従い、10枚重ねの金属化フィルムの厚みを電子マイクロメータで測定し、5点平均した平均値を金属化フィルム枚数(10)で除して金属化フィルム厚みとした。
(6)金属層の組成
金属化フィルムサンプル9cm2を希硝酸で溶解した後、20mlに定溶し、この定溶液をICP発光分光分析法により各金属の組成を定量する。ICP発光分光分析装置はセイコー電子工業製SPS1200VRを用いた。
金属化フィルムサンプル9cm2を希硝酸で溶解した後、20mlに定溶し、この定溶液をICP発光分光分析法により各金属の組成を定量する。ICP発光分光分析装置はセイコー電子工業製SPS1200VRを用いた。
(7)処理電力密度
連続式蒸着機において、処理幅L[m]、速度V[m/min]、処理電力W[W]とした場合に、下の式により算出する。
連続式蒸着機において、処理幅L[m]、速度V[m/min]、処理電力W[W]とした場合に、下の式により算出する。
(8)耐湿性
金属化フィルムサンプルを20cm角に切断したものを、プレッシャークッカー(タバイTPC−211)の槽内に1枚ずつ水平に入れ、130℃、95%RHの条件で1時間、2時間、3時間、4時間、6時間処理した。処理後取りだしたサンプルを目視で観察し、シワ、キズの部分や、誤って人脂が付着した部分など、明らかに異常と思われる部分を除いて、目視観察で面積の半分以上が透明になった時間を記録した。3回の試行を行い平均時間を記録した。時間が長い方が耐湿性は良く、4時間以上を耐湿性が良好とした。
金属化フィルムサンプルを20cm角に切断したものを、プレッシャークッカー(タバイTPC−211)の槽内に1枚ずつ水平に入れ、130℃、95%RHの条件で1時間、2時間、3時間、4時間、6時間処理した。処理後取りだしたサンプルを目視で観察し、シワ、キズの部分や、誤って人脂が付着した部分など、明らかに異常と思われる部分を除いて、目視観察で面積の半分以上が透明になった時間を記録した。3回の試行を行い平均時間を記録した。時間が長い方が耐湿性は良く、4時間以上を耐湿性が良好とした。
(9)耐電流性
金属化フィルムサンプルを金属蒸着膜に傷を付けないように注意して長手方向200mm×幅方向20mmの短冊状に切り出す。図1に示すように40×20mmの底面を持つ金属ブロックに導電性ゴムを薄く貼り付けたものを2つ、蒸着面を上にして置いたフィルム片の上に100mmの間隔をあけて置いて、電極を取り出す。図1のような回路を用いて、まず直流電源で0.8μFのアルミ電解コンデンサに電圧をかけて充電し、充電された電荷をスイッチ操作により一気に上記のフィルム片に長手方向に流す操作を一定電圧で5回繰り返す。開始電圧を700Vとし、5回の試行によってもフィルムの金属膜に亀裂が入るなどの異常がなかった際は、電圧を50V上げて上記の操作を繰り返す。フィルムの金属膜にわずかでも亀裂が見られた際は、試験を終了しその電圧を記録する。この評価を5回繰り返し、記録した電圧の平均値を算出した。この評価の判断基準は使用用途により異なるが、一般的には1000V以上であることが好ましい。
金属化フィルムサンプルを金属蒸着膜に傷を付けないように注意して長手方向200mm×幅方向20mmの短冊状に切り出す。図1に示すように40×20mmの底面を持つ金属ブロックに導電性ゴムを薄く貼り付けたものを2つ、蒸着面を上にして置いたフィルム片の上に100mmの間隔をあけて置いて、電極を取り出す。図1のような回路を用いて、まず直流電源で0.8μFのアルミ電解コンデンサに電圧をかけて充電し、充電された電荷をスイッチ操作により一気に上記のフィルム片に長手方向に流す操作を一定電圧で5回繰り返す。開始電圧を700Vとし、5回の試行によってもフィルムの金属膜に亀裂が入るなどの異常がなかった際は、電圧を50V上げて上記の操作を繰り返す。フィルムの金属膜にわずかでも亀裂が見られた際は、試験を終了しその電圧を記録する。この評価を5回繰り返し、記録した電圧の平均値を算出した。この評価の判断基準は使用用途により異なるが、一般的には1000V以上であることが好ましい。
(10)耐電圧性(ステップアップDCBDVテスト)
金属化フィルムを用いて、下記の条件で扁平型の巻回フィルムコンデンサを作製した。
・静電容量 :1μF
・フィルム幅:20mm
・マージン幅:2mm
・ずらし幅 :1mm
・プレス条件:130℃、30kg/cm2、10分
可変直流電源に作製したコンデンサ素子のリード線を接続し、常温にて電圧を段階的に上げ、各ステップで10分間保持した。開始電圧を800Vとし、100Vずつのステップアップとし、各ステップ終了ごとにLCRメータで静電容量を測定した。容量測定は安藤電気株式会社製LCRメータ AG−4311を用いて1V、1kHzの条件で測定した。
コンデンサが破壊(導通あるいは容量がゼロ)した時、あるいは、電圧印加前の容量に対して容量が10%低下した時の印加電圧値を直流耐電圧とした。
金属化フィルムを用いて、下記の条件で扁平型の巻回フィルムコンデンサを作製した。
・静電容量 :1μF
・フィルム幅:20mm
・マージン幅:2mm
・ずらし幅 :1mm
・プレス条件:130℃、30kg/cm2、10分
可変直流電源に作製したコンデンサ素子のリード線を接続し、常温にて電圧を段階的に上げ、各ステップで10分間保持した。開始電圧を800Vとし、100Vずつのステップアップとし、各ステップ終了ごとにLCRメータで静電容量を測定した。容量測定は安藤電気株式会社製LCRメータ AG−4311を用いて1V、1kHzの条件で測定した。
コンデンサが破壊(導通あるいは容量がゼロ)した時、あるいは、電圧印加前の容量に対して容量が10%低下した時の印加電圧値を直流耐電圧とした。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
[実施例1]
厚さ4μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製”ルミラー”#4−C23)の上に、真空蒸着法によってライン速度300m/minで連続的にアルミニウムを膜抵抗5Ω/□になるように蒸着し、ついで同面(金属蒸着面)に、フェニルメチルジメチルポリシロキサンオイル(東レダウコーニングシリコーン社製SH702)を加熱蒸着し、続けてオイル付着面に、O2ガスを微量供給しながら250kHz、5kWのパルスDC電源を用いてグロー放電を発生してグロー放電処理を施し(処理電力密度 E=30.0W・min/m2)、これを巻取軸で巻き取りアルミニウム蒸着フィルムを得た。ここで、オイル付着量を0.5μg/10cm2となるようにオイルの蒸着量を制御した。
上述の耐湿性評価を行ったところ、耐湿性は良好であった。また、耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
厚さ4μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製”ルミラー”#4−C23)の上に、真空蒸着法によってライン速度300m/minで連続的にアルミニウムを膜抵抗5Ω/□になるように蒸着し、ついで同面(金属蒸着面)に、フェニルメチルジメチルポリシロキサンオイル(東レダウコーニングシリコーン社製SH702)を加熱蒸着し、続けてオイル付着面に、O2ガスを微量供給しながら250kHz、5kWのパルスDC電源を用いてグロー放電を発生してグロー放電処理を施し(処理電力密度 E=30.0W・min/m2)、これを巻取軸で巻き取りアルミニウム蒸着フィルムを得た。ここで、オイル付着量を0.5μg/10cm2となるようにオイルの蒸着量を制御した。
上述の耐湿性評価を行ったところ、耐湿性は良好であった。また、耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
[実施例2]
処理電圧を約半分に調整し、電力密度を10.0W・min/m2にする以外は実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、耐湿性は良好であった。耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
処理電圧を約半分に調整し、電力密度を10.0W・min/m2にする以外は実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、耐湿性は良好であった。耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
[実施例3]
金属面側にカルボニル変性シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン社製BY16−750)を0.5μg/10cm2になるように蒸着し、グロー放電処理を実施しない以外は実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、耐湿性は良好であった。耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
金属面側にカルボニル変性シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン社製BY16−750)を0.5μg/10cm2になるように蒸着し、グロー放電処理を実施しない以外は実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、耐湿性は良好であった。耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
[実施例4]
グロー放電処理を実施しない以外は実施例1と同様の蒸着フィルムを得、得られたフィルムを信光電気計装社製コロナ表面改質装置「コロナマスター」PSM−1M型にて、蒸着面に10kVの条件でコロナ処理を行った。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、大気中のコロナ処理をすることによっても耐湿性は良好となった。耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
グロー放電処理を実施しない以外は実施例1と同様の蒸着フィルムを得、得られたフィルムを信光電気計装社製コロナ表面改質装置「コロナマスター」PSM−1M型にて、蒸着面に10kVの条件でコロナ処理を行った。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、大気中のコロナ処理をすることによっても耐湿性は良好となった。耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
[実施例5]
金属蒸着を実施した後、フェニルメチルジメチルポリシロキサンオイルを付与せず、そのまま金属蒸着面にグロー放電処理を施した(処理電力密度は実施例1と同様E=30.0W・min/m2)以外は実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、保護層を付与せずに金属蒸着面をグロー放電処理することによっても耐湿性は良好となった。耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
金属蒸着を実施した後、フェニルメチルジメチルポリシロキサンオイルを付与せず、そのまま金属蒸着面にグロー放電処理を施した(処理電力密度は実施例1と同様E=30.0W・min/m2)以外は実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、保護層を付与せずに金属蒸着面をグロー放電処理することによっても耐湿性は良好となった。耐電流性評価についても良好であった。結果を表2に示す。
[実施例6〜9]
金属膜抵抗をそれぞれ20、100、280、350Ω/□に変更する以外は、実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。これらのフィルムの耐湿性は、350Ω/□の実施例9で若干下がる傾向が見られたがいずれも良好であった。耐電圧性は金属膜抵抗が5Ω/□である実施例1〜5と比較して高く、良好な結果が得られた。耐電流性については金属膜抵抗が大きくなるほど、値が上昇する傾向が見られ、非常に良好な結果が得られた。結果を表2に示す。
金属膜抵抗をそれぞれ20、100、280、350Ω/□に変更する以外は、実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。これらのフィルムの耐湿性は、350Ω/□の実施例9で若干下がる傾向が見られたがいずれも良好であった。耐電圧性は金属膜抵抗が5Ω/□である実施例1〜5と比較して高く、良好な結果が得られた。耐電流性については金属膜抵抗が大きくなるほど、値が上昇する傾向が見られ、非常に良好な結果が得られた。結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、アルミニウム蒸着を膜抵抗5Ω/□になるように実施した後、オイルを付着する工程のみを行い、これをグロー放電処理を実施せずそのまま巻取軸で巻き取りアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ保護層が本発明の第一の形態及び第二の形態に必要な条件をいずれも満たさない本比較例は、耐湿性は不良であった。また耐電流性も本発明による実施例1よりもわずかながら劣っていた。結果を表2に示す。
実施例1において、アルミニウム蒸着を膜抵抗5Ω/□になるように実施した後、オイルを付着する工程のみを行い、これをグロー放電処理を実施せずそのまま巻取軸で巻き取りアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ保護層が本発明の第一の形態及び第二の形態に必要な条件をいずれも満たさない本比較例は、耐湿性は不良であった。また耐電流性も本発明による実施例1よりもわずかながら劣っていた。結果を表2に示す。
[比較例2]
オイルをジメチルシリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン製PRX413)にし、グロー放電処理を実施しない以外は実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、保護層が本発明の第一の形態及び第二の形態に必要な条件をいずれも満たさない本比較例は、耐湿性は不良であった。また耐電流性も同様にわずかながら劣っていた。結果を表2に示す。
オイルをジメチルシリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン製PRX413)にし、グロー放電処理を実施しない以外は実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、保護層が本発明の第一の形態及び第二の形態に必要な条件をいずれも満たさない本比較例は、耐湿性は不良であった。また耐電流性も同様にわずかながら劣っていた。結果を表2に示す。
[比較例3〜5]
アルミニウム蒸着を膜抵抗5、20、280Ω/□になるように実施し、そのままこれを巻取軸で巻き取りアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ金属層が本発明の第三の形態に必要な条件を満たさない本比較例は、耐湿性は不良であった。また同じ膜抵抗値の実施例1〜5、6、8と比較して耐電圧性はほぼ同等であったが、耐電流性も劣っていた。結果を表2に示す。
アルミニウム蒸着を膜抵抗5、20、280Ω/□になるように実施し、そのままこれを巻取軸で巻き取りアルミニウム蒸着フィルムを得た。
実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ金属層が本発明の第三の形態に必要な条件を満たさない本比較例は、耐湿性は不良であった。また同じ膜抵抗値の実施例1〜5、6、8と比較して耐電圧性はほぼ同等であったが、耐電流性も劣っていた。結果を表2に示す。
ここで耐電流性に着目すると、実施例と比較例の対比で分かるとおり、単に金属膜抵抗が大きいからといって耐電流性が良くなるわけではなく、本発明にかかる金属層又は保護層を設けることによって初めて耐電流性が良くなるものである。さらに、実施例同士を比較すると、本発明で得られるコンデンサは、金属膜抵抗が高くなるほど耐電流性が良くなることが分かる。
1:可変直流電源
2:電解コンデンサ
3:切り替えスイッチ
4:蒸着フィルム
5および6:電極(金属ブロック)
7および8:導電性ゴム
2:電解コンデンサ
3:切り替えスイッチ
4:蒸着フィルム
5および6:電極(金属ブロック)
7および8:導電性ゴム
本発明で得られるコンデンサは、無外装コンデンサ、あるいは無含浸(乾式)コンデンサの形式で特にその効果を発揮し、自動車や電車の電装用及びエンジン、モーターの制御用やインバータ平滑コンデンサ、照明用などに好適に用いられる。
Claims (16)
- 高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成してなる金属化フィルムであって、該金属化フィルムの少なくとも一方の面上に炭素を含む保護層が形成されており、該保護層の少なくとも一方の保護層表面のESCAによるC1sピークによる炭素の化学状態が、炭素全体を1としたピーク比においてCHxのピーク比が0.80以下であることを特徴とする金属化フィルム。
- 保護層の表面のESCAによるC1sピークによる炭素の化学状態が、炭素全体を1としたピーク比においてCOOのピーク比が0.10以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルム。
- 保護層の表面のESCAによるC1sピークによる炭素の化学状態が、炭素全体を1としたピーク比においてC=Oのピーク比が0.10以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の金属化フィルム。
- 高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成してなる金属化フィルムであって、該金属化フィルムの少なくとも一方の面上に炭素を含む保護層が形成されており、該保護層の少なくとも一方の保護層表面の表面エネルギーの分散力成分が38mN/m以下であることを特徴とする金属化フィルム。
- 保護層の表面の表面エネルギーの水素結合力成分が1.7mN/m以上であることを特徴とする請求項4に記載の金属化フィルム。
- 保護層の表面の表面エネルギーの極性力成分が5.0mN/m以上であることを特徴とする請求項4〜5のいずれかに記載の金属化フィルム。
- 保護層がシリコーンオイルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属化フィルム。
- 高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成してなる金属化フィルムであって、該金属層の少なくとも一方の金属層面の表面エネルギーの分散力成分が27mN/m以下であることを特徴とする金属化フィルム。
- 高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成してなる金属化フィルムであって、該金属層の少なくとも一方の金属層面の表面エネルギーの極性力成分が25mN/m以下であることを特徴とする請求項8に記載の金属化フィルム。
- 金属層が該金属層に対してアルミニウムを90質量%以上含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の金属化フィルム。
- 金属層の膜抵抗が0.5〜300Ω/□であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の金属化フィルム。
- 高分子フィルムの主成分が、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィドから選ばれた1種であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の金属化フィルム。
- 金属化フィルムの総厚みが0.5〜20μmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の金属化フィルム。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の金属化フィルムをコンデンサ用として用いるコンデンサ用フィルム。
- 請求項14に記載のコンデンサ用フィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
- コンデンサの用途が、チップコンデンサ、インバータ回路の平滑コンデンサ、あるいは昇圧コンデンサであることを特徴とする請求項16に記載のフィルムコンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006037528A JP2006264317A (ja) | 2005-02-22 | 2006-02-15 | 金属化フィルム、コンデンサ用フィルム及びそれを用いたフィルムコンデンサ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005045475 | 2005-02-22 | ||
JP2006037528A JP2006264317A (ja) | 2005-02-22 | 2006-02-15 | 金属化フィルム、コンデンサ用フィルム及びそれを用いたフィルムコンデンサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006264317A true JP2006264317A (ja) | 2006-10-05 |
Family
ID=37200757
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006037528A Pending JP2006264317A (ja) | 2005-02-22 | 2006-02-15 | 金属化フィルム、コンデンサ用フィルム及びそれを用いたフィルムコンデンサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006264317A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008263172A (ja) * | 2007-03-20 | 2008-10-30 | Toray Ind Inc | 金属化フィルム、およびそれを用いたコンデンサ |
JP2009206296A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Panasonic Corp | 金属化フィルムコンデンサ |
JP2009206224A (ja) * | 2008-02-27 | 2009-09-10 | Panasonic Corp | 金属化フィルムコンデンサ |
JP2010046845A (ja) * | 2008-08-20 | 2010-03-04 | Toray Ind Inc | ガスバリア性フィルムの製造方法 |
JP2011146553A (ja) * | 2010-01-15 | 2011-07-28 | Ulvac Japan Ltd | フィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法 |
JP2011187865A (ja) * | 2010-03-11 | 2011-09-22 | Mitsubishi Shindoh Co Ltd | フィルムコンデンサ用金属蒸着フィルム及びその製造方法 |
JP2013207158A (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-07 | Hitachi Aic Inc | 金属化フィルムコンデンサ |
JP2016087982A (ja) * | 2014-11-07 | 2016-05-23 | 東レ株式会社 | 金属積層フィルム |
CN111225994A (zh) * | 2018-04-27 | 2020-06-02 | 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 | 一种金属化薄膜 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003297707A (ja) * | 2002-03-29 | 2003-10-17 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 金属化フィルムコンデンサとその製造方法および製造装置 |
JP2004039715A (ja) * | 2002-07-01 | 2004-02-05 | Toray Ind Inc | コンデンサ用フィルム及びそれを用いたコンデンサ |
JP2004111774A (ja) * | 2002-09-20 | 2004-04-08 | Toray Ind Inc | 金属蒸着フィルム及びその製造方法及びそれを用いたコンデンサ |
JP2004214278A (ja) * | 2002-12-27 | 2004-07-29 | Toyo Metallizing Co Ltd | 電子部品用金属化フィルム |
-
2006
- 2006-02-15 JP JP2006037528A patent/JP2006264317A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003297707A (ja) * | 2002-03-29 | 2003-10-17 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 金属化フィルムコンデンサとその製造方法および製造装置 |
JP2004039715A (ja) * | 2002-07-01 | 2004-02-05 | Toray Ind Inc | コンデンサ用フィルム及びそれを用いたコンデンサ |
JP2004111774A (ja) * | 2002-09-20 | 2004-04-08 | Toray Ind Inc | 金属蒸着フィルム及びその製造方法及びそれを用いたコンデンサ |
JP2004214278A (ja) * | 2002-12-27 | 2004-07-29 | Toyo Metallizing Co Ltd | 電子部品用金属化フィルム |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008263172A (ja) * | 2007-03-20 | 2008-10-30 | Toray Ind Inc | 金属化フィルム、およびそれを用いたコンデンサ |
JP2009206224A (ja) * | 2008-02-27 | 2009-09-10 | Panasonic Corp | 金属化フィルムコンデンサ |
JP2009206296A (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-10 | Panasonic Corp | 金属化フィルムコンデンサ |
JP2010046845A (ja) * | 2008-08-20 | 2010-03-04 | Toray Ind Inc | ガスバリア性フィルムの製造方法 |
JP2011146553A (ja) * | 2010-01-15 | 2011-07-28 | Ulvac Japan Ltd | フィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法 |
JP2011187865A (ja) * | 2010-03-11 | 2011-09-22 | Mitsubishi Shindoh Co Ltd | フィルムコンデンサ用金属蒸着フィルム及びその製造方法 |
JP2013207158A (ja) * | 2012-03-29 | 2013-10-07 | Hitachi Aic Inc | 金属化フィルムコンデンサ |
JP2016087982A (ja) * | 2014-11-07 | 2016-05-23 | 東レ株式会社 | 金属積層フィルム |
CN111225994A (zh) * | 2018-04-27 | 2020-06-02 | 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 | 一种金属化薄膜 |
CN111225994B (zh) * | 2018-04-27 | 2022-05-17 | 东丽先端材料研究开发(中国)有限公司 | 一种金属化薄膜 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2006264317A (ja) | 金属化フィルム、コンデンサ用フィルム及びそれを用いたフィルムコンデンサ | |
JP6660736B2 (ja) | モノリシック全固体状態電池の製造プロセス | |
EP2717281B1 (en) | Metalized film capacitor | |
JP6220359B2 (ja) | フィルム外装電池用タブリード材料及びその製造方法 | |
CN104350558B (zh) | 金属化薄膜电容器 | |
JP3775414B2 (ja) | 積層フィルムコンデンサとその製造方法 | |
JP4201623B2 (ja) | 固体電解コンデンサ | |
JP2008115417A (ja) | 金属化フィルムの製造方法、及び金属化フィルム | |
JP4915947B2 (ja) | 金属化フィルムコンデンサ | |
JP2009054669A (ja) | 金属化コンデンサフィルムの製造方法及び金属化フィルム | |
JP2018157055A (ja) | コンデンサ用金属化フィルム、およびそれを用いたコンデンサ | |
EP2202766A1 (en) | Capacitor production method, capacitor, circuit board, electronic device, and ic card | |
EP2469549A1 (en) | Electrode foil and capacitor using same | |
JP5057067B2 (ja) | 金属化コンデンサ用フィルムおよびそれを用いてなるコンデンサ | |
JP2008263172A (ja) | 金属化フィルム、およびそれを用いたコンデンサ | |
JP5526931B2 (ja) | 蒸着用線材とこれを用いて形成された金属化フィルムコンデンサ | |
JP2007109845A (ja) | コンデンサ用金属蒸着フィルムおよびコンデンサ | |
JP4211301B2 (ja) | コンデンサ用フィルム及びそれを用いたコンデンサ | |
CN101356604A (zh) | 金属化电容器用薄膜和使用该薄膜的电容器 | |
JP2006231544A (ja) | コンデンサ用フィルム及びそれを用いてなるコンデンサ | |
JP3767436B2 (ja) | 金属化フィルムコンデンサ | |
JP5299863B2 (ja) | 金属蒸着フィルム、及びその製造方法 | |
JP3874138B2 (ja) | コンデンサ及びコンデンサ用金属化誘電体 | |
WO2023189919A1 (ja) | コンデンサおよびその製造方法 | |
JP7477898B2 (ja) | 電解コンデンサ用陰極箔、及び電解コンデンサ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20090206 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110311 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20110405 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110802 |