JP2009054669A - 金属化コンデンサフィルムの製造方法及び金属化フィルム - Google Patents

金属化コンデンサフィルムの製造方法及び金属化フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、極めて高い耐湿性および耐酸化性に優れた金属層を有する金属化フィルム、およびその製造方法に関する。
【解決手段】
高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成し、さらにその少なくとも片面に、2重結合を有する有機基を側鎖及び/又は末端基として含むシリコーン組成物を成分とするコート層を積層し、このコート層にグロー放電処理を施すことで得られうる金属化フィルムにより本発明の課題は達成できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、極めて高い耐湿性および耐酸化性に優れた金属層を有する金属化フィルムとその製造方法に関する。
従来、高分子フィルムに金属層を形成した金属化フィルムを用いることにより自己回復性(セルフヒーリング性)の優れたコンデンサが作製できることが広く知られている。例えば、ポリエステルフィルムと金属箔を交互に巻回するか、あるいはフィルムに金属を蒸着することで金属層を形成し、これを巻回または積層することによりコンデンサを得る技術が知られている(特許文献1,2)。
しかしこれらの金属化フィルムは金属層厚みが100〜500オングストロームと薄いため、高湿中に保持すると金属層が酸化あるいは水酸化して電極として機能しなくなり、容量低下、tanδの上昇を引き起こす問題を持っている。この耐湿性の問題点を改善するために、金属層を酸化することで不動態皮膜を生成する技術が知られている(特許文献3)。また、金属層表面にさらに酸化物層を形成する技術も知られている(特許文献4)。
特開昭63−182351号公報 特開昭63−194318号公報 特開平6−251991号公報 特開平7−201632号公報
しかしながら、これら従来の方法では近年の電子部品の使用環境の過酷化に伴う要求特性を満たせなくなってきている。そこで、本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、従来では得られなかった極めて高い耐湿性を有する、金属層の耐酸化性に優れた金属化フィルムとその製造方法を提供するものである。
本発明の金属化フィルムは、かかる背景技術の課題を解決するために、次の製造方法により得られうるものである。すなわち、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成する工程と、この金属層を形成した高分子フィルムの少なくとも片面に、2重結合を有する有機基を側鎖及び/又は末端基として含むシリコーン組成物を成分とするコート層を形成する工程と、このコート層にグロー放電処理を施す工程とを有する金属化フィルムの製造方法である。
本発明によれば、以下に説明する通り、極めて高い耐湿性を持つ金属化フィルムを得ることができる。かかる金属化フィルムは、従来の金属化フィルムの耐湿性を大幅に改善するものであり、その工業的価値は極めて高い。また本発明の金属化フィルムを用いることにより外装などを用いることなく、優れた耐湿性を持つコンデンサを簡単容易、かつ確実に製造可能になるものである。
本発明の金属化フィルムはコンデンサ用途に限らず、包装用途などにも応用することができるが、その応用範囲が、これらに限られるものではない。
本発明は、前記課題、つまり従来では得られなかった極めて高い耐湿性を有する、金属層の耐酸化性に優れた金属化フィルムについて鋭意検討し、高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成し、この高分子フィルムを形成した高分子フィルムの少なくとも片面に、2重結合を有する有機基を側鎖及び/又は末端基として含むシリコーン組成物を成分とするコート層を積層し、このコート層にグロー放電処理を施したところ、かかる課題を一挙に解決する金属化フィルムが得られることを究明したものである。
本発明にかかるシリコーン組成物とは、シリコーンを70重量%以上、好ましくは85重量%以上含む樹脂組成物のことを言う。樹脂組成物の30重量%未満、好ましくは15重量%未満であれば有機、無機の添加剤、不活性粒子等を含むことは差し支えない。
ここで、シリコーンとはケイ素あるいはケイ素と酸素を骨格とし、そのケイ素原子に側鎖及び/又は末端基として有機基が直接結合した化合物であり、特に限定されないが、例示するならば、シリコーンオイル、シラン、シリコーンゴム、シリコーンレジンなどである。本発明にかかるシリコーンは、側鎖及び/又は末端基の有機基の全部又は一部が2重結合を有する有機基であること、つまり2重結合を有する有機基を側鎖及び/又は末端基として含むことが、グロー放電処理による重合硬化性の観点から重要である。中でもシリコーンオリゴマーと呼ばれる分子末端がアルコキシシリル基で封鎖された数平均分子量100〜2000と比較的低分子量のシリコーンレジンが蒸着性の観点から好ましい。また、本発明にかかるシリコーンは、2重結合を有する有機基がメタクリル基であることが蒸着性およびグロー放電処理による重合硬化性の観点から好ましい。中でもメタクリル変性シリコーンアルコキシオリゴマーが特に好ましい。これらシリコーン組成物の組成および結合状態は、例えば、XPS(X線光電子分光法)、FT−IR(フーリエ変換赤外分光法)、FT−NMR(フーリエ変換磁気共鳴法)などにてコート層表面を分析し、各元素のピークとそのエネルギーシフトから解析することができる。
本発明において、金属層を形成した高分子フィルムの表面にシリコーン組成物を成分とするコート層を形成する方法は特に限定されないが、例示するならば、有機溶剤で希釈して、スリットダイコーターで塗布した後に溶媒分を蒸散させて付着させる方法、真空中において点状もしくは細いスリット状のノズルから加熱したシリコーン組成物を噴霧する方法などを使用することができる。
後者の方法は、例えば、真空蒸着機で金属層を形成する場合、同じ蒸着機内にシリコーン組成物付着工程を設けられるため、金属の蒸着と同時にシリコーン組成物を噴霧できるので生産性が良い利点があり、かつ均一性の高いシリコーン組成物の付着が実現できるので望ましい。
本発明においては、さらに、高分子フィルム上に形成したシリコーン組成物にグロー放電処理を施す。シリコーン組成物にグロー放電処理を施すことにより、本発明の金属化フィルムは良好な耐湿性を有することができる。シリコーン組成物のどのような構造によって、この良好な耐湿性が発現するのかは明らかではないが、シリコーン組成物がプラズマ重合あるいは架橋し、3次元ネットワークを形成して強固なシリコーン膜を形成することにより、良好な耐湿性を有すると推定される。
本発明において、金属層は高分子フィルムの片面のみ又は両面に設けることができ、コート層はこの金属層を設けた高分子フィルムの片面のみ又は両面に設けることができる。具体的には、(i)コート層/金属層/高分子フィルム (ii)コート層/高分子フィルム/金属層 (iii)コート層/金属層/高分子フィルム/金属層 (iv)コート層/金属層/高分子フィルム/コート層 (v)コート層/金属層/高分子フィルム/金属層/コート層 の構成となる。中でも生産性の観点から(i)の構成が好ましい。また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、高分子フィルムと金属層、高分子フィルムとコート層、金属層とコート層の間に易接着層等の別の層が設けられていてもよい。金属化コンデンサ用フィルムのみを巻回してコンデンサを製作する場合には、高分子フィルムの片面のみに金属層とコート層を設けた金属化コンデンサ用フィルムを用いることが好ましい。一方、金属化コンデンサ用フィルムと金属層を設けていないフィルムとを重ね、その状態で巻回してコンデンサを製作する場合には、高分子フィルムの両面に金属層とコート層を設けた金属化コンデンサ用フィルムを用いることが好ましい。
本発明の金属化コンデンサ用フィルムはコート層の片面あたりの厚みが1nm〜500nmであることが自己回復性の点で好ましい。より好ましくは1nm以上100nm以下である。コート層の片面あたりの厚みが500nm以上であると自己回復性が低下するだけでなく、誘電正接(tanδ)の悪化する場合があり、1nm未満では本発明の目的である耐湿性が向上しない場合がある。ここで、「コート層の片面あたりの厚み」とは、コート層が金属化フィルムの片面にのみ設けられている場合、コート層が金属化フィルムの両面に設けられている場合いずれの場合でも片面のコート層の厚みを意味する。
本発明にかかる金属層とは、Al,Zn,Sn,Ni,Cr,Fe,CuおよびTiから選ばれる少なくとも一種以上の金属、および、これら金属の合金から選ばれる少なくとも一種からなる層である。コンデンサの電気特性や生産性の面からは、Zn、Al、またはそれらを含む合金が好ましく用いられる。より好ましくは、金属層がアルミニウムを90質量%以上含むことである。具体的には、アルミニウム単体またはアルミニウムを90質量%以上含むアルミニウム合金を用いることが耐湿性の観点から好ましい。
本発明にかかる金属層の抵抗値は0.5〜50Ω/□の範囲であることが好ましい。抵抗値が0.5Ω/□未満では、セルフヒーリング不良を発生したり絶縁抵抗が悪化する傾向が出てくるなど本来のコンデンサ特性が得られないことがある。50Ω/□を越えると直接等価抵抗が増大したり、誘電正接(tanδ)が悪化したりする傾向が出てくることがある。また、金属層の抵抗が大きいほど、本発明の耐湿効果が発現しやすいことから2〜50Ω/□がより好ましく、10〜50Ω/□がさらに好ましい。金属層の抵抗を上記範囲にするには、金属種の選定および金属層の厚みで制御することが可能である。
本発明で好適に用いられる高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレン、などのポリオレフィン、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリパラキシレンなどのフィルムが挙げられる。また、これらの共重合体や、他の有機重合体との混合体、積層体であっても良い。これらの高分子化合物に、公知の添加剤、例えば、滑剤や可塑剤などが含まれても良い。
本発明で用いられる高分子フィルムの主成分はポリエステル、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィドから選ばれた1種であるのが、耐湿性及びコンデンサ電気特性の観点から好ましい。ここで、主成分とは高分子フィルム全体に対して50質量%以上の成分のことを言う。より好ましくは60質量%以上が、ポリエステル、ポリオレフィンおよびポリフェニレンスルフィドから選ばれた1種である。特に好ましくは、主成分がポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド及びこれらの共重合体から選ばれた1種であることがコンデンサの電気特性上好ましい。
本発明の金属化コンデンサ用フィルムの製造方法の好ましい一態様を以下に記載する。高分子フィルムを真空蒸着機内の巻出軸から巻出して高分子フィルムを冷却ドラム上で冷却しながら、蒸着源から誘導加熱法もしくは抵抗加熱法、電子ビーム法などにより加熱・溶融させ、飛来した金属を蒸着する。蒸着する金属はアルミニウム、亜鉛を主成分とする金属が好ましい。金属化する際、あるいは金属化後に対向電極が短絡しないようにテープマスク、オイルマージン、あるいはレーザービーム等により非金属化部分(いわゆるマージン)を設けることが好ましい。
続いて冷却ドラム後に、細いスリット状あるいは連続した孔状のノズルを設けた容器を配置し、その中にコート層となるシリコーン組成物を加熱し、蒸散、噴霧させる。このノズルを高分子フィルムに向けることで、表面にコート層が形成される。引き続き、シリコーン組成物を付着させた面に真空中にてグロー放電処理を行う。グロー放電処理することによりコート層がプラズマ重合し、強固な膜を形成できることにより優れた耐湿性、自己回復性を実現できる。グロー放電処理においては、局部的に電極周辺にガスを導入する。用いられるガスの種類は特に限定されないが、例えば、O、Ar、CO、COなどが挙げられる。特に好ましくはOやAr、あるいはこれらの1種以上を含む混合ガスである。また、グロー放電電極には、Cuかアルミニウム、あるいはステンレス電極を使用するのが好ましい。また、本発明の範囲に特性を制御するためには、グロー放電電源はパルスDC電源を用いるのが好ましく、周波数を200〜500kHzにすることが好ましい。
この金属化フィルムを蒸着機の巻取軸で巻き取り中間製品とする。中間製品は、所定の幅にスリットしリール状のフィルムを得る。一方の端に非金属化部分がくるように細幅のテープ状にスリットすることもある。
このようにして得られた金属化フィルムは、公知の方法で積層もしくは巻回してコンデンサを得ることができる。
巻回型コンデンサを得る場合は、本発明の金属化フィルムを一方の端に非金属化部分がくるように細幅のテープ状にスリットして2枚重ねて個々の素子を個別に巻回するのが一般的である。また、両面金属化フィルムにコーティング法などで第2の誘電体を設けた1枚の複合フィルムを巻回する方法もある。
積層型コンデンサの場合は、大径のドラム、あるいは平板に巻回した母素子を熱処理する、あるいはリング等で締め付ける、あるいは平行平板等でプレスするなどフィルムの厚さ方向に圧力を加えて成型する。その後、外部電極の取り付け工程(金属溶射、導電性樹脂等による)を行い、必要なら樹脂または油含浸工程、リード線の取り付け工程、外装工程を経てコンデンサを得ることができる。
本発明の金属化フィルムを用いて構成されるコンデンサは、無外装コンデンサ、あるいは無含浸(乾式)コンデンサの形式で特にその効果を発揮し、自動車や電車の電装用及びエンジン、モーター制御用、力率改善のための進相コンデンサ等に好適に用いられる。

各実施例、比較例で得られたサンプルフィルムの特性および数値について、その測定方法、評価方法を含めて以下に定義する。
[特性の評価法]
(1)コート層の有無
XPS(ESCA)にてフィルム表面を評価することにより、シリコーン組成物の有無を確認する。
・装置:SSI社製 SSI−100
・励起X線:monochromatized Al Kα1線(1486.6eV)
・光電子脱出角度:35度
・X線径:0.1mm
・エネルギー補正:C13 メインピークの結合エネルギーを284.6eVに合わせる。
なお、XPSは感度が良いため汚染による有機物を検出する場合があるが、表面上に形成されたオイルからの信号は強度が高く、汚染による有機物とは区別できる。
(2)金属層の抵抗値
4端子法により、100mmの電極間の金属層の抵抗を測定し、測定値を測定幅と電極間距離で除し、幅10mm、電極間距離10mm当たりの抵抗値を算出し、5つのサンプルを各1点ずつ測定し5点平均した平均値を金属層の抵抗値とする。単位はΩ/□で表示する。
(3)金属層の組成
フィルムサンプル9cmを希硝酸で溶解した後、20mlに定溶し、この定溶液をICP発光分光分析法により各金属の組成を定量する。ICP発光分光分析装置はセイコー電子工業製SPS1200VR型を用いる。
(4)高分子フィルムの厚み
JIS C 2151に従い、10枚重ねのフィルムの厚みを電子マイクロメータで測定し、5点平均した平均値をフィルム枚数(10)で除してフィルム厚みとする。
(5)耐湿性
コンデンサ用フィルムから得られたコンデンサ素子各20個を、温度85℃、相対湿度85%の雰囲気下で、電位傾度(フィルム単位厚み当たりにかかる電圧)が50V/μmとなるように直流電圧を印加し、1000時間経過後の静電容量変化率ΔC/C×100(%)を得る。尚、蒸着金属がアルミニウムと亜鉛の合金の場合はアルミニウムの場合と比較して耐湿性が劣ることが分かっているため試験条件を温度65℃、相対湿度80%とする。ここでC(μF)は耐湿性試験前の静電容量、ΔC(μF)は耐湿性試験後の静電容量変化量(=耐湿性試験後の静電容量(μF)−耐湿性試験前の静電容量(μF))であり、静電容量変化率ΔC/C×100は増加方向を+、減少方向を−で表した。20個の素子の測定値の平均を算出し、静電容量変化率が−10〜+10%のものを良好と判断する。コンデンサ素子は、皆藤製作所社製半自動素子巻機KMW−2HCを用いてコンデンサ用フィルムからなる巻回体を作製した後に、端面にメタリコン(帝国メタル工業社製TM801C)を溶射し作製したものを用いる。
(9)自己回復性(セルフヒーリング性)
直流耐電圧試験器(春日電機(株)製)を用いて電圧上昇速度100V/secにて電流が10mA以上流れて電圧上昇が止まるまで印加する。次いで印加電圧をゼロに戻し、1回目同様に2回目の電圧印加を行い、電圧上昇があればセルフヒール1回、なければ0回とカウントする。この操作を4回繰り返し、4回目まで電圧上昇があった場合にはセルフヒール3回である。セルフヒール性は下記基準で判断する。
○:3回ともセルフヒールした。セルフヒーリング性は良好である。
△:1回または2回、セルフヒールした。
×:1回もセルフヒールしなかった。セルフヒーリング性は劣る。
(実施例1)
厚さ3.4μm、幅0.6mのポリエチレンテレフタレートフィルムを真空蒸着法によってアルミニウムを蒸着し、非蒸着部分の幅2mm、金属層の抵抗値が3Ω/□になるようにした。次いで、同一蒸着機内で金属蒸着面に、メタクリル変性シリコーンアルコキシオリゴマー(信越化学社製X40−2655A)を加熱蒸着し、続けてポリマー蒸着面に、Oガスを微量供給しながら250kHz、2.0kWのパルスDC電源を用いてグロー放電を発生してグロー放電処理を施し、これを巻取軸で巻き取りアルミニウム蒸着フィルムを得た。蒸着中の高分子フィルムの走行速度は300m/minとした。ポリマー蒸着量はノズルの蒸気圧を30Paにすることにより制御した。
得られたアルミニウム蒸着フィルムを、幅20mm、マージン幅1mmとなるように細幅リールに切断した。得られたコンデンサ用フィルムのコート層の厚みを測定したところ50nmであった。
これらの細幅リールを、外径9mmのコアに巻回し、メタリコン、熱処理、電極端子の半田付けを実施し、無含浸、無外装の評価用コンデンサ素子を作成した。これらの素子について、上述の方法で耐湿性を評価した結果、静電容量変化率は+3%であり、耐湿性は良好であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。
(実施例2)
蒸着中の高分子フィルムの走行速度が40m/minである以外は、実施例1と同様のアルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたコンデンサ用フィルムの金属層の抵抗値は3Ω/□であり、コート層の厚みが400nmであった。実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、静電容量変化率は+5%と、耐湿性は良好であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。
(実施例3)
ノズルの蒸気圧が5Paであることと、蒸着中の高分子フィルムの走行速度が600m/minである以外は、実施例1と同様のアルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたコンデンサ用フィルムの金属層の抵抗値は3Ω/□であり、コート層の厚みが5nmであった。実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、静電容量変化率は1%と、耐湿性は良好であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。
(実施例4)
ポリマー蒸着面およびグロー放電処理面が非金属蒸着面であり、2.0kWのグロー放電処理を施すこと以外は、実施例1と同様のアルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたコンデンサ用フィルムの金属層の抵抗値は3Ω/□であり、コート層の厚みが50nmであった。実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、静電容量変化率は−4%と、耐湿性は良好であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。
(実施例5)
厚さ4.3μm、幅0.6mのポリプロピレンフィルムを真空蒸着法によってアルミニウムを蒸着し、非蒸着部分の幅2mm、金属層の抵抗値が10Ω/□になるようにした。次いで、実施例1と同様の方法でポリマーを蒸着し、グロー処理を施し、アルミニウム蒸着フィルムを得た。蒸着中のフィルムの走行速度は400m/minとした。得られたアルミニウム蒸着フィルムを、幅40mm、マージン幅1mmとなるように細幅リールに切断した。得られたコンデンサ用フィルムのコート層の厚みを測定したところ50nmであった。実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、静電容量変化率は+5%であり、耐湿性は良好であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。
(実施例6)
蒸着金属がアルミニウムと亜鉛の合金であり、金属層の抵抗値が15Ω/□になるようにしたこと以外は実施例5と同様の金属蒸着フィルムを得た。得られたコンデンサ用フィルムのコート層の厚みを測定したところ50nmであった。上述の方法で耐湿性を評価した結果、静電容量変化率は−8%と、耐湿性は良好であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。
(実施例7)
厚さ6.0μm、幅0.6mのポリフェニレンスルフィドフィルムを真空蒸着法によってアルミニウムを蒸着し、非蒸着部分の幅1mm、金属層の抵抗値が2.0Ω/□になるようにした。次いで、実施例1と同様の方法でポリマーを蒸着し、グロー処理を施しアルミニウム蒸着フィルムを得た。蒸着中のフィルムの走行速度は300m/minとした。
得られたアルミニウム蒸着フィルムを、幅6.5mm、マージン幅0.5mmとなるように細幅リールに切断した。得られたコンデンサ用フィルムのコート層の厚みを測定したところ50nmであった。実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、静電容量変化率は0%であり、耐湿性は良好であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。
(比較例1)
ポリマーを蒸着する工程、及びグロー放電処理を全く行わないこと以外は実施例1と同様のアルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたコンデンサ用フィルムの金属層の抵抗値は3Ω/□であった。実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、静電容量変化率が−98%と、耐湿性は不良であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。本比較例はポリマー蒸着工程およびグロー放電処理を行わなかったため耐湿性の劣るものとなった。
(比較例2)
グロー放電処理を全く行わないこと以外は実施例1と同様のアルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたコンデンサ用フィルムの金属層の抵抗値は3Ω/□であった。実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、静電容量変化率が−90%と、耐湿性は不良であった。セルフヒーリング性を評価した結果は劣る結果であった。本比較例はグロー放電処理を行わなかったためコート層が重合硬化されず、耐湿性、セルフヒーリング性が劣るものとなった。
(実施例3)
蒸着ポリマーがメチルフェニル変性シリコーンアルコキシオリゴマー(信越化学社製KR−9218)であること以外は実施例1と同様のアルミニウム蒸着フィルムを得た。得られたコンデンサ用フィルムの金属層の抵抗値が3Ω/□であり、コート層の厚みが50nmであった。実施例1と同様の耐湿性評価を行ったところ、静電容量変化率は50%と、耐湿性は不良であった。セルフヒーリング性を評価した結果良好であった。本比較例は、2重結合を有する有機基を側鎖あるいは末端基として含まないポリマーを使用したことにより、グロー処理による重合硬化が十分に進まず、耐湿性が劣るものとなった。
各実施例、比較例での測定・評価結果を表1に示す。
Figure 2009054669

Claims (4)

  1. 高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を形成する工程と、
    この金属層を形成した高分子フィルムの少なくとも片面に、2重結合を有する有機基を側鎖及び/又は末端基として含むシリコーン組成物を成分とするコート層を形成する工程と、
    このコート層にグロー放電処理を施す工程を有する金属化フィルムの製造方法。
  2. 前記有機基がメタクリル基である請求項1に記載の金属化フィルムの製造方法。
  3. 高分子フィルムの少なくとも片面に金属層を有し、
    この金属層を有する高分子フィルムの少なくとも片面に、2重結合を有する有機基を側鎖及び/又は末端基として含むシリコーン組成物にグロー放電処理を施すことで得られうる組成物を成分とするコート層を有する金属化フィルム。
  4. 請求項1若しくは2に記載の金属化フィルムの製造方法により得られる金属化フィルム、又は請求項3に記載の金属化フィルムを用いたコンデンサ。
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