JP2003017355A - コンデンサ用金属化フィルム及びコンデンサ - Google Patents

コンデンサ用金属化フィルム及びコンデンサ

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JP2003017355A
JP2003017355A JP2001196281A JP2001196281A JP2003017355A JP 2003017355 A JP2003017355 A JP 2003017355A JP 2001196281 A JP2001196281 A JP 2001196281A JP 2001196281 A JP2001196281 A JP 2001196281A JP 2003017355 A JP2003017355 A JP 2003017355A
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metal
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Akira Hatayama
章 畑山
Satoru Tani
知 谷
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】わずかな工程の変更で、高い耐湿性を得ること
のできるコンデンサ用金属化フィルムとその製造方法を
提供する。 【解決手段】有機高分子フィルムの片面もしくは両面を
金属化してなるフイルムであって、少なくとも片面の金
属化層の金属と酸素の組成比が下記の式を満たし、か
つ、表面の酸化層の厚みが5nm〜20nmであり、界
面の酸化層の厚みが7nm〜20nmであるコンデンサ
用金属化フィルム。 a1>a2 ・・・・・・・・・(1) a3>a2 ・・・・・・・・・(2) a1/b1>0.50 ・・・(3) a3/b3>0.50 ・・・(4) amin<17 ・・・・・・・・・(5)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルムコンデン
サに使用される金属化フィルム及びその製造方法、並び
にその金属化フィルムを用いてなるコンデンサに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、有機高分子フィルムを誘電体
として用いたコンデンサは広く用いられている。例え
ば、特開昭63−182351号公報及び特開昭63−
194318号公報などに例示されるように、ポリエス
テルフィルムと金属箔を交互に巻回するか、あるいはフ
ィルムに金属を蒸着することで金属化し、これを巻回ま
たは積層することによりコンデンサを得る技術が知られ
ている。
【0003】真空蒸着によるフィルムの金属化の場合、
金属薄膜としては、蒸着の容易さやコストの面、そして
電気特性の面で、金属としては一般的にアルミニウムや
亜鉛が特に広く用いられている。このような金属化フィ
ルムを用いたコンデンサは、高温高湿下で金属薄膜が酸
化、消失し、コンデンサ容量が徐々に低下し、ついには
実用に耐えなくなるという問題を持っている。この耐湿
性の問題点を改善するために、特開平6−251991
号公報に例示されるように、金属薄膜を酸化することで
不動態皮膜を生成する技術や、また特開平7−2016
32号公報に例示されるように、金属薄膜表面にさらに
酸化物層を形成する技術が知られている。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特開平6−251991号公報に記載されている、水に
浸漬して不動態を形成する方法、あるいは、上記の特開
平7−201632号公報に記載されているような電子
ビーム蒸着やスパッタなどを用いて酸化物層を形成する
方法は、設備が複雑になったり工程が増えたりし、総合
的な加工速度が落ちることで、加工コストが極端に上が
ってしまう。また、近年の電子部品の使用環境の過酷化
に伴い、これらの技術で改善される耐湿性でも十分では
なくなってきている。
【0004】本発明の目的は、わずかな工程の変更で、
従来では得られなかった極めて高い耐湿性を得ることの
できるコンデンサ用金属化フィルムとその製造方法を提
供することにある。
【0005】また、本発明の他の目的は、かかる金属化
フィルムを用いたフィルムコンデンサを提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる問題を
解決するために次の構成を有する。即ち、本発明のコン
デンサ用金属化フィルムは、高分子フィルムの片面もし
くは両面を金属化してなるフイルムであって、少なくと
も片面の金属化層の金属と酸素の組成比が下記の(1)
〜(5)式を満たし、かつ、該金属化層の表面の酸化層
の厚みが5nm〜20nmであり、該金属化層のフィル
ム界面の酸化層の厚みが7nm〜20nmであることを
特徴とするコンデンサ用金属化フィルムである。 a1>a2 ・・・・・・・・・・・・・(1) a3>a2 ・・・・・・・・・・・・・(2) a1/b1>0.50 ・・・・・・・(3) a3/b3>0.50 ・・・・・・・(4) amin<17 ・・・・・・・・・・・・・(5) (但し、a1(%):該金属化層の表面における最大酸
素組成比 a2(%):該金属化層の中間面における酸素の原子数
比 a3(%):該金属化層のフィルム界面における最大酸
素組成比 b1(%):該金属化層の表面の最大酸素組成比を持つ
点の金属の原子数比 b3(%):該金属化層のフィルム界面に最大酸素組成
比を持つ点の金属の原子数比 amin(%):該金属化層の金属の原子数比の、表面か
らフィルム界面の間での最小値) また、本発明のコンデンサ用金属化フィルムの製造方法
は、真空蒸着機内において、高分子フィルムに付着する
蒸発金属原子の流れの層の両断部近傍にガス導入管を配
置し、該ガス導入管のガス導出口が各々高分子フィルム
の蒸発金属原子の流れの層に入ってくる方向と出ていく
方向に向き、ガスを蒸発金属原子の流れの中に導出しな
がら蒸着することを特徴とするコンデンサ用金属化フィ
ルムの製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のコンデンサ用金属化フィ
ルムは、高分子フィルムの片面もしくは両面を金属化し
てなるフイルムである。
【0008】本発明で好適に用いられる高分子フィルム
としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリプロピ
レン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、ポリフェニ
レンスルフィド、ポリカーボネートなどのポリアミド、
ポリフッ化ビニリデン、ポリパラキシレンなどのフィル
ムが挙げられる。また、これらの共重合体や、他の有機
重合体との混合体、積層体であっても良い。これらの高
分子化合物に、公知の添加剤、例えば、滑剤や可塑剤な
どが含まれても良い。
【0009】本発明で用いられる高分子フィルムの主成
分は、耐湿性の観点から、好ましくは60重量%以上が
ポリエステルもしくはポリオレフィンなどの高分子化合
物であり、より好ましくはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリ
フェニレンスルフィド及びそれらの共重合体であること
がコンデンサの電気特性上好ましい。
【0010】本発明で用いられる高分子フィルムの厚み
は、特に限定されないが、0.5μm〜25μmの範囲
で、本発明の効果をより高く発揮することができる。さ
らに好ましくは高分子フィルムの厚みは0.7μm〜2
0μmの範囲であり、さらに好ましくは1.0μm〜6
μmの範囲である。
【0011】また、本発明の金属化フィルムは、フィル
ムの片面もしくは両面を金属化してなる金属化層を有す
るものである。この金属化層は、蒸着、スパッタリン
グ、イオンプレーティングあるいはメッキなどの方法を
用いて形成されるが、後述のように、真空蒸着を用いる
と、非常に効率的に本発明に記載の構成のフィルムが生
産することができる。
【0012】本発明のフィルムの金属化で形成される金
属化層の材質としては、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニ
ッケル、クロム、鉄、銅、チタン、あるいはこれらを含
有する合金が挙げられる。コンデンサの電気特性や生産
性の面からは、亜鉛、アルミニウム、またはそれらを含
む合金が好ましく用いられる。
【0013】本発明の金属化フィルムは、少なくとも片
面の金属化層について、オージェ電子分光法により測定
したデプスプロファイルにおいて、酸素及び該金属の組
成比が、下記の式を満たす必要がある。 a1>a2 ・・・・・・・・・・・・・(1) a3>a2 ・・・・・・・・・・・・・(2) a1/b1>0.50 ・・・・・・・(3) a3/b3>0.50 ・・・・・・・(4) amin<17 ・・・・・・・・・・・・・(5) (但し、a1(%):該金属化層の表面における最大酸
素組成比 a2(%):該金属化層の中間面における酸素の原子数
比 a3(%):該金属化層のフィルム界面における最大酸
素組成比 b1(%):該金属化層の表面の最大酸素組成比を持つ
点の金属の原子数比 b3(%):該金属化層のフィルム界面に最大酸素組成
比を持つ点の金属の原子数比 amin(%):該金属化層の金属の原子数比の、表面か
ら界面の間での最 小値) オージェ電子分光法は、通常2〜5keV程度の電子線
を固体表面に入射させ,散乱電子のエネルギー分析をし
て、オージェ効果による放出電子を検出し存在元素の定
量分析や、その元素の結合状態を分析する方法である。
これにイオンエッチングの手法を組み合わせ、蒸着層の
表面より、アルゴンイオンにより、下記の条件で少しず
つエッチングを行いながら、この測定を行うことによ
り、深さ方向の情報を得、存在元素の組成比のデプスプ
ロファイルを得る。エッチング速度は、SiO2などを
同条件で処理したものを、形状測定機でエッチング量を
測定することにより見積もる。
【0014】X線光電子分光法によっても、酸素及び該
金属の組成について、同様の測定をすることが可能であ
る。
【0015】図3に、典型的なデプスプロファイルの一
例を示す。即ち図3は、本発明の金属化フィルムの典型
的なデプスプロファイルの一例を説明するためのグラフ
である。元素組成比は、各点での存在元素を多いものか
ら5種類選択し、それらの5種の合計を分母とする元素
数比である。
【0016】図3に例示されるようなデプスプロファイ
ルにおいて、金属化層と高分子フィルムの境界は必ずし
も明確にならない。そこで、金属化層の厚みは、高分子
フィルムに含まれる炭素の元素組成比曲線が、金属化層
の金属元素組成比曲線と交差する点22を界面と規定
し、ここに至るまでのエッチング深さ、即ち表面から点
22までの距離をもって金属化層の厚みとする。
【0017】金属化層の表面側及び金属化層のフィルム
界面側の酸化層の厚みは、それぞれ下記の手順により算
出する。
【0018】まず、図3に例示されるようなデプスプロ
ファイルにおいて、酸素組成比の曲線について、表面及
び界面に最も近い、上に凸の極大点18及び19を見出
し、この点を表面及び界面の最大酸素組成比と称する。
表面の最大酸素組成比は、最表面が最も酸素濃度の高
く、形状としては山形の右半分の形を持つことが一般的
である。表面の酸化層の厚みの算出は、表面の最大酸素
組成比よりも深さの深い点で、酸素組成比が表面の最大
酸素組成比の1/2になる近傍の点20を見出す。表面
からこの点までの距離を算出し、表面の酸化層の厚みと
する。同様に界面の酸化層の厚みは、界面の最大酸素組
成比の深さよりも深さの浅い点で、酸素組成比が界面の
最大酸素組成比の1/2になる最も近傍の点21を見出
し、この点から界面22までの距離を算出し界面の酸化
層の厚みとする。
【0019】該金属化層の表面、界面及び中間面の酸素
及び金属組成比a1〜a3、b1〜b3については、図
3に例示されるようなデプスプロファイルより下記のよ
うに読みとる。ここで言う表面とは、未エッチング状態
を指し、界面とは上項で定めた高分子フィルムと金属化
層の界面22である。また、中間面とは、表面と界面と
の距離を丁度2等分するようにとられた面23である。
便宜上面と表現しているが、オージェ電子分光法におけ
る測定のスポット径は数十μmと小さく、現実的には点
を分析した測定値である。各面における酸素組成比とは
上項で述べた元素組成比を酸素について算出したもので
ある。各面における金属組成比とは、上項で述べた元素
組成比のうち、金属について合算した合計値である。
【0020】通常金属化フィルムにおける金属薄膜は、
その表面(側)及び界面(側)に、自然酸化によりごく
薄い酸化層が形成されるが、それだけではフィルムコン
デンサの耐湿性には不十分である。例えば、アルミニウ
ムであれば、高湿度下では、湿度の浸入により非常に早
く水和物などを生成して腐食・消失し、電極面積減少、
ひいては静電容量低下が発生し、実用に供しなくなる。
本発明は、表面と界面に酸化層を意図的に形成し、それ
により耐湿性を改善するものである。
【0021】上記の式(1)と(2)が満たされない場
合、表面及び界面には十分な酸化層が形成されず、その
面からの湿度の侵入・拡散により、耐湿性は悪くなる。
また、上記の式(3)と(4)が満たされない場合、例
え、表面と界面に酸化層を形成していてもその酸化膜の
性質が脆弱なものとなり、耐湿性は悪くなる。
【0022】該金属化層の金属組成比を、表面からフィ
ルムとの界面まで見た場合、酸素組成比は、通常は、該
金属化層の表面とフィルムとの界面の中間の位置付近
で、その間での最小値を持つ。このときの酸素組成比a
minが、上記の式(5)を満たさない場合、金属層の体
積抵抗は許容できる以上に高くなり、等価直列抵抗が高
くなってしまいコンデンサとして用をなさないか、必要
以上に厚い金属層を形成しなければならなくなり、セル
フヒーリング不良を通じて耐電圧が低下し、実用に供し
ないものとなる。
【0023】本発明においては、より好ましくは、a1
/b1及びa3/b3は、0.6以上、1.8以下であ
り、さらに好ましくはa1/b1が0.7以上、1.7
以下である。また、該金属化層の、オージェ電子分光法
により測定した表面の酸化層の厚みは5nm〜20nm
の範囲であり、界面の酸化層の厚みは7nm〜20nm
であることが必要である。表面と界面の酸化層の厚みが
この範囲を超えて小さいと、酸化層に保護層としての役
割を期待できなくなり、耐湿性が低下する。また、酸化
層の厚みが20nmを超えて大きいと、大量の酸化層を
形成するために生産性が悪化する。また同時に、ヒーリ
ング不良を通じて耐電圧が低下する傾向になり好ましく
ない。表面と界面の酸化層の厚みは、好ましくは8nm
〜17nmの範囲であり、より好ましくは9〜15nm
の範囲である。
【0024】また、本発明の金属化フィルムの金属化層
の厚みは、酸化層を含めて15〜100nmの範囲にあ
ることがより好ましい。金属化層の厚みが15nmより
小さい場合は、電極として有効な金属層が薄くなり、比
較的早期の静電容量現象につながることがある。また、
金属化層の厚みが、100nmより大きい場合は、厚く
なるにつれ生産性が徐々に悪化する。金属化層の厚み
は、より好ましくは、17〜70nmであり、さらに好
ましくは20〜50nmである。
【0025】同様の理由により、本発明の金属化フィル
ムの金属化層の膜抵抗は、耐湿性の効果がより高く発揮
される上で、0.5〜10Ω/□であることが好まし
く、より好ましくは1〜7Ω/□であり、さらに好まし
くは2〜5Ω/□である。
【0026】蒸着後の金属化フィルムには、必要によ
り、特定の温度でエージング処理を行ったり、再度オフ
ラインで熱処理を行ったりすることができる。また、絶
縁もしくは他の目的で、この金属化フィルムの少なくと
も片面にコーティングを施すこともできる。金属化層表
面の耐湿性改質のために、グロー処理やプラズマ処理を
行うこともできる。
【0027】次に、本発明の金属化フィルムを製造する
ための装置を例示し説明するが、本発明はこの実施様態
の一例に限定されるものではない。
【0028】図1は、本発明のコンデンサ用金属蒸着フ
ィルムを製造する際に用いられる、非常に生産性の高い
装置の一例を示す概略図である。
【0029】図1において、巻出し軸2に取り付けられ
た高分子フィルム1は、冷却ドラム5を経由して、巻取
り軸3に巻き取られる。より具体的に、真空蒸着機4内
において、巻出し軸2に取り付けられた高分子フィルム
1を一定速度で巻出し、冷却ドラム5を経由させる際
に、蒸発源7から蒸着金属を蒸発させると共に、ガス導
入管8、9から所定の酸化ガスを供給する。高分子フィ
ルム1が、蒸発した金属原子の流れ15の中に入る蒸着
工程初期においては、蒸着金属はガス導入管8から供給
された酸化ガスと反応し、酸化層が形成される。引き続
き蒸着工程中期では、蒸着金属は酸化ガスと反応するこ
となく高分子フィルム1上に到着し金属層が形成され
る。そして蒸着工程後期においては、蒸着工程初期と同
様に、今度はガス導入管9から供給された酸化ガスが蒸
着金属と反応し、表面酸化層が形成される。この蒸着部
分は、防着板6で覆われている。
【0030】図2は、図1の酸化ガス導入管のガス導出
口の方向を例示する部分拡大図である。図2において、
ガス導入管8、9から供給される酸化ガスは、酸素が好
ましいが、酸素を含む他の気体やそれらの混合気体を選
択することもできる。ガス導入管8、9は、中空の管状
構造体に等間隔に設けた細孔のガス導出口16、17を
配置したものなどを用いることができる。ガス導入管8
側のガス導出口16は、界面側の酸化層を形成するため
のガス導入管8のガス導出口16であり、ガス導入管9
側のガス導出口17は、表面側の酸化層を形成するため
のガス導入管9のガス導出口17である。
【0031】図1中、ガス導入パイプ10、11は、そ
れぞれガス供給源からガス導出管8,9にガスを供給す
るための配管であり、ガス流量調節器12、13はその
供給量を調節するためのものである。
【0032】蒸発した金属原子の中に酸化ガスを導入す
ると、蒸発した金属原子は該酸化ガスと反応し、酸化し
た金属が高分子フィルム1上に付着し酸化層を形成す
る。しかしながら、酸化ガスを、蒸発した金属原子の流
れ14、15の外側あるいは内部から一様に導入した場
合は、本発明のように表面側と界面側にのみ酸化層を形
成することはできず、金属化層の中央部まで酸化層が形
成され、膜抵抗値の増大やセルフヒーリング性の悪化を
引き起こす。
【0033】本発明のようにフィルム界面側と表面側に
のみ酸化層を形成する好ましい方法は、図2に例示する
ごとく、高分子フィルム1に付着する蒸発した金属原子
の流れ15の端の近傍部にガス導入管8、9を設置し、
ガス導入管8のガス導出口16を高分子フィルム1が蒸
発した金属原子の流れに入ってくる方向に、またガス導
入管9のガス導出口17を高分子フィルム1が蒸発した
金属原子の流れ15から出ていく方向に向ける方法であ
る。酸化ガスを蒸発した金属原子の流れ15の中で、高
分子フィルム1の入ってくる方向、及び出ていく方向に
流すことで、フィルム界面側と表面側のみに酸化層を形
成することができる。蒸発した金属原子の流れ15は、
防着板6によりフィルムの流れ方向の外側の一部を遮蔽
され、蒸着した金属原子の流れ14の範囲のみの金属原
子が高分子フィルムに到達し、膜を形成する。蒸発した
金属原子の流れ14の外側の部分の金属原子の流れは、
上述の方法の原理上、導入したガスの分布が不安定な部
分であり、この部分を遮蔽することにより、高分子フィ
ルムの上には安定した、望ましい構造の膜を形成するこ
とができる。
【0034】このようにして得られたコンデンサ用金属
化フィルムは、公知の方法で積層もしくは巻回してフィ
ルムコンデンサを得ることができる。巻回型フィルムコ
ンデンサを例示するならば、フィルムを金属化する際
に、フィルムの両面に長手方向に走るマージン部を有す
るストライプ状に蒸着する。この際、表面と裏面のパタ
ーンは交互になるようにずらして蒸着する。
【0035】次に、表面の各蒸着部の中央と各マージン
部の中央に刃を入れてスリットし、表面が一方にマージ
ンを有し、裏面が反対側にマージンを有するような、テ
ープ状の巻取リールにする。得られたリールと、金属化
しない合わせフィルム各1本ずつを、幅方向に金属化フ
ィルムが合わせフィルムよりはみ出すように2枚重ね合
わせて巻回し、巻回体を得る。この巻回体から芯材を抜
いてプレスし、両端面にメタリコンを溶射して外部電極
とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型コンデン
サ素子を得る。
【0036】本発明で得られるフィルムコンデンサは、
無外装コンデンサ、あるいは無含浸(乾式)コンデンサ
の形式で特にその効果を発揮し、自動車や電車の電装用
及びエンジン、モーター制御用、力率改善のための進相
コンデンサ等に好適に用いられる。
【0037】[物性の測定方法並びに効果の評価方法] (1)オージェ電子分光法 JEOL製JAMP−10S型のオージェ電子分光分析
装置にて、金属及び酸素の定量分析を行った。 [測定条件] 加速電圧 :3kV スリットNO.:5 試料電流 :8×10-8A 試料傾斜角度 :72度 ビーム径 :10μm 蒸着層の表面からアルゴンイオンにより、下記の条件で
少しずつエッチングを行いながら、この測定を行うこと
により、深さ方向の情報を得、デプスプロファイルを得
た。エッチング速度は、SiO2を同条件で処理して形
状測定機でエッチング量を測定することにより見積もっ
た。 [イオンエッチング条件] 導入ガス :アルゴン 加速電圧 :3kV 試料電流 :1×10-6A エッチング速度:19μm/min この測定の結果より、上述の要領で金属化層の厚み、表
面及び界面の酸化層の厚み、金属化層の表面、界面及び
中間面の酸素及び金属組成比を得た。
【0038】(2)膜抵抗 4端子法により、100mmの電極間の金属化膜の抵抗
を測定し、測定値を測定幅と選挙区間距離で除し、幅1
0mm、電極間距離10mm当たりの膜抵抗を算出し
た。単位はΩ/□と表示する。
【0039】(3)高分子フィルムの厚み JIS C 2151に従い、10枚重ねのフィルムの
厚みを電子マイクロメータで測定し、5点平均した平均
値をフィルム枚数(10)で除してフィルム厚みとした。
【0040】(4)耐湿性 金属化フィルムから得られたコンデンサ素子各20個
を、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気下で、電位傾
度(フィルム単位厚み当たりにかかる電圧)が50V/
μmとなるように直流電圧を印加し、1000時間経過
後の静電容量変化率を得た。変化率が−3%以上のもの
を良好と判断した。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。
【0042】[実施例1]厚さ6μmのポリエチレンテ
レフタレートフィルム上に、図1に示す装置を用いて、
ガス導入管8と9の両方から、それぞれ200ml/m
inの酸素を導入しながらアルミニウムを蒸着すること
により、a1/b1=1.5、a3/b3=0.73、
表面ピーク厚みが9nm、界面ピーク厚みが10nmで
あり、膜抵抗が3.5Ω/□であるアルミニウム蒸着フ
ィルムを作成した。得られたアルミニウム蒸着フィルム
を、幅30mm、マージン幅2mmとなるように細幅リ
ールに切断した。これらの細幅リールを、外径9mmの
コアに巻回し、メタリコン、熱処理、電極端子の半田付
けし、無含浸、無外装の評価用コンデンサ素子を作成し
た。これらの素子について、上述の方法で耐湿性を評価
した結果、容量変化率で+2.3%と耐湿性は良好であ
った。結果を表1に示す。
【0043】[実施例2]蒸着源の出力を上げると共に
蒸着速度を下げることにより、膜抵抗が0.4Ω/□と
したこと以外は、実施例1と同様の蒸着フィルムを作成
した。蒸着時熱負けが多数発生し収率が低下したが、熱
負けのないリールを選択して実施例1と同様の評価を行
ったところ、容量変化率にして+3.0%と、耐湿性は
良好であった。結果を表1に示す。
【0044】[比較例1]ガス導入管8と9から何らガ
スを供給せず、膜抵抗が3.5Ω/□となるように蒸着
したこと以外は、実施例1と同様の蒸着フィルムを作成
した。同様に、上述の方法で耐湿性を評価した結果、容
量変化率で−21.5%と耐湿性は不良であった。結果
を表1に示す。
【0045】[比較例2]ガス導入管9のみから酸素を
200ml/min供給し、ガス導入管8からはガスを
供給しないこと以外は、実施例1と同様の蒸着フィルム
を作成した。同様に、上述の方法で耐湿性を評価した結
果、容量変化率で−10.3%と耐湿性は不良であっ
た。結果を表1に示す。
【0046】[比較例3]ガス導入管8のみから酸素を
200ml/min供給し、ガス導入管9からはガスを
供給しないこと以外は、実施例1と同様の蒸着フィルム
を作成した。同様に、上述の方法で耐湿性を評価した結
果、容量変化率で−15.3%と耐湿性は不良であっ
た。結果を表1に示す。
【0047】[比較例4]ガス導入管9の酸素を100
ml/minに減すること以外は、実施例1と同様の蒸
着フィルムを作成した。同様に、上述の方法で耐湿性を
評価した結果、容量変化率で−4.0%と耐湿性は不良
であった。結果を表1に示す。
【0048】[比較例5]ガス導入管9の酸素を400
ml/minに増やすこと外は、実施例1と同様の蒸着
フィルムを作成した。蒸着時熱負けが多数発生し収率が
低下したが、熱負けのないリールを選択して同様に上述
の方法で耐湿性を評価した結果、20個中5個の素子が
破壊した。残存した素子で容量変化率を測定したとこ
ろ、−13.2%と耐湿性は不良であった。結果を表1
に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、わずかな工程の変更
で、従来では得られなかった極めて高い耐湿性を得るこ
とのできるコンデンサ用金属化フィルムを得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のコンデンサ用金属化フィル
ムを製造するための装置を例示する概略図である。
【図2】 図2は、図1の酸化ガス導入管の導入口の方
向を例示する部分拡大図である。
【図3】 図3は、本発明の金属化フィルムの典型的な
デプスプロファイルの一例を説明するためのグラフであ
る。
【符号の説明】
1:高分子フィルム 2:巻出し軸 3:巻取り軸 4:真空容器 5:冷却ドラム 6:防着板 7:蒸発源 8、9:ガス導入管 10、11:ガス導入パイプ 12、13:ガス流量調節器 14:蒸発した金属原子の流れ 15:蒸発した金属分子の流れ 16:ガス導出口 17:ガス導出口 18:表面の最大酸素組成比 19:フィルム界面の最大酸素組成比 20:表面の酸化層の境界 21:フィルム界面の酸化層の境界 22:高分子フィルムと金属化層の界面 23:金属化層の中間面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 67:00 H01G 4/24 331A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムの片面もしくは両面を金
    属化してなるフイルムであって、少なくとも片面の金属
    化層の金属と酸素の組成比が下記の(1)〜(5)式を
    満たし、かつ、該金属化層の表面の酸化層の厚みが5n
    m〜20nmであり、該金属化層のフィルム界面の酸化
    層の厚みが7nm〜20nmであることを特徴とするコ
    ンデンサ用金属化フィルム。 a1>a2 ・・・・・・・・・・・・・(1) a3>a2 ・・・・・・・・・・・・・(2) a1/b1>0.50 ・・・・・・・(3) a3/b3>0.50 ・・・・・・・(4) amin<17 ・・・・・・・・・・・・・(5) (但し、a1(%):該金属化層の表面における最大酸
    素組成比 a2(%):該金属化層の中間面における酸素の原子数
    比 a3(%):該金属化層のフィルム界面における最大酸
    素組成比 b1(%):該金属化層の表面の最大酸素組成比を持つ
    点の金属の原子数比 b3(%):該金属化層のフィルム界面に最大酸素組成
    比を持つ点の金属の原子数比 amin(%):該金属化層の金属の原子数比の、表面か
    らフィルム界面の間での最小値)
  2. 【請求項2】 金属化層の厚みが、15〜100nmで
    あり、かつ膜抵抗が0.5〜10Ω/□であることを特
    徴とする請求項1記載のコンデンサ用金属化フィルム。
  3. 【請求項3】 高分子フィルムの主成分が、ポリエステ
    ルまたはポリオレフィンであることを特徴とする請求項
    1または2記載のコンデンサ用金属化フィルム。
  4. 【請求項4】 高分子フィルムの厚みが、0.5μm〜
    25μmであることを特徴とする請求項1ないし3のい
    ずれかに記載のコンデンサ用金属化フィルム。
  5. 【請求項5】 金属化層の金属が、アルミニウム、亜鉛
    またはその合金であることを特徴とする請求項1ないし
    4のいずれかに記載のコンデンサ用蒸着フィルム。
  6. 【請求項6】 真空蒸着機内において、高分子フィルム
    に付着する蒸発金属原子の流れの層の両断部近傍にガス
    導入管を配置し、該ガス導入管のガス導出口が各々高分
    子フィルムの蒸発金属原子の流れの層に入ってくる方向
    と出ていく方向に向き、ガスを蒸発金属原子の流れの中
    に導出しながら蒸着することを特徴とするコンデンサ用
    蒸着フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 ガスが酸素であることを特徴とする請求
    項6記載のコンデンサ用蒸着フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし5のいずれかに記載の金
    属化フィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
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