JP2005015848A - 金属化フィルムの製造方法およびその製造方法により製造された金属化フィルムを用いたコンデンサ - Google Patents

金属化フィルムの製造方法およびその製造方法により製造された金属化フィルムを用いたコンデンサ Download PDF

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俊晴 斎藤
Hiroki Takeoka
宏樹 竹岡
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浩平 塩田
Tomoyuki Yamagata
知之 山形
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Abstract

【課題】金属蒸着時の誘電体フィルムに与える熱ダメージを軽減し、耐湿性に優れた金属化フィルムを製造し、その金属化フィルムを用いた長期信頼性に優れたコンデンサを提供する。
【解決手段】Zn−Al合金や、Zn−Al−M(M=Mg、Ni、Co、Mnのうちいずれかの金属元素)合金を蒸発源として用いることによって、Alが蒸着膜表面に出る割合を増やし、なおかつ第3成分のMの効果によって、Zn膜の耐湿性を高める。また、合金組成の調整により融点を下げることで、誘電体フィルムに与える熱ダメージの少ない金属化フィルムが得られかかる製造方法によって、耐圧が高く、耐湿性に優れた信頼性の高いコンデンサを提供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンデンサに使用される金属化フィルムの製造方法およびその製造方法により製造された金属化フィルムを用いたコンデンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属を蒸着した誘電体フィルムからなる金属化フィルムコンデンサは、従来から家電機器用や産業機器用途として交流用/直流用の両方で広く用いられている。そして蒸着する金属の蒸発源としては、ZnまたはAlが主として用いられてきた。
【0003】
Znの融点は420℃であり、Alの融点が660℃であるのに比べると低いため、Zn蒸着においてはAl蒸着よりも加熱蒸発源の温度を低くして蒸着できる。そのため、Zn蒸着は、誘電体フィルムに与える熱ダメージを軽減することができる。また、Zn蒸着膜は交流300V以上で発生するコロナ放電に対してAl蒸着膜よりも劣化しにくいという利点がある。しかし、Zn蒸着膜は耐湿性がAl蒸着膜より劣るという欠点がある。
【0004】
Zn蒸着においては、Zn単独で蒸着金属を誘電体フィルム表面に付着させるのが困難であったため核付け金属が必要であった。このためZnよりも沸点の高い金属である、Cu、Sn、Ag、Alなどを核付け金属として2源で混合蒸着する方法がとられてきた。
【0005】
一方、Al蒸着膜は、Zn蒸着膜よりも電気伝導度が高いため、同じ膜抵抗値の場合を比較すると膜厚を薄くできるため、Zn蒸着膜よりも自己回復性が優れている。そのため、前述のコロナ放電による膜劣化の心配がない直流使用の場合にはAl蒸着を用いる場合が多い。
【0006】
上述のZn蒸着とAl蒸着の利点を生かすために、Zn蒸着時に数〜10重量%程度のAl量となるようにZnと異なる蒸発源でAlを混合蒸着する方法も良く用いられてきた(特許文献1、2ならびに非特許文献1参照)。Zn単独と、Al単独の異なる蒸発源を別々にしてそれぞれからの金属蒸気を混合して誘電体フィルムに蒸着しその蒸着膜は蒸着時にZnとAlの合金層となっていたり、およびあるいはZnとAlの混合層になっていたりするもので、この蒸着方法はアロイ蒸着と呼ばれ、AlがZn蒸着の核付けとしても機能する。一般的なアロイ蒸着の装置概略の模式図を図4に示す。
【0007】
この図4に示すように、蒸着機内で誘電体フィルムを走行させながら蒸着させる時にZnよりも先にAlが蒸着されるような位置としてAlの蒸発源をZnの蒸発源よりも前に配置するのが一般的である。このような方法で蒸着した蒸着膜の耐湿性は、Al以外の核付け金属を用いた場合のZn蒸着膜に比べて格段に向上する。
【0008】
蒸着膜を劣化させる要因となる水分は、誘電体フィルム側、もしくは外気と接触する蒸着膜の表面から侵入する。水分が侵入すると、Znは以下の化学式に示すように、2段階で酸化現象が進行することが知られている。
【0009】
(1)Zn + 2HO → Zn(OH) + H
(2)2Zn(OH) + O → 2ZnO + 2HO + O
Alを混合蒸着すると耐湿性が向上する理由としては、水分が侵入する経路の蒸着膜と誘電体フィルムの界面、および蒸着膜表面にAlの薄い層が形成されるためと考えられる。Alは安定で緻密な酸化膜を形成するので、Znの保護膜となり上記の反応を抑制し耐湿性を向上させる。Alが誘電体フィルム界面や蒸着膜表面に存在し、酸化膜層を形成していることは、X線光電子スペクトル(XPS)、オージェ電子分光等の表面分析によって確認することができる。
【0010】
しかしながら、従来の2源混合蒸着すなわちZn単独の蒸発源と、Al単独の蒸発源とを用いる蒸着では、図4に示すようにAlをまず蒸着し、その後Znを蒸着するのが一般的であった。このように先にAlを蒸着すると、誘電体フィルムと蒸着膜界面のAl濃度は高くなるが、蒸着膜表面のAl濃度を高くすることには限界があり、純粋なAlのみを蒸着した場合に比べて長期的な耐湿性については問題があった。
【0011】
また、近年、生産性の拡大を狙って蒸着機内で誘電体フィルムの両面を同時に蒸着する工法を導入したり、コンデンサを小型にするために誘電体フィルムを薄膜化する傾向が一層顕著になってきた。
【0012】
誘電体フィルムの両面に蒸着する工法は、同じ蒸着機内で一度に誘電体フィルムの表裏両面を蒸着するため、片面のみを蒸着する場合に比べて蒸発源の影響による熱ダメージを受けやすい。また、誘電体フィルムを薄膜化すると、蒸発源の熱で誘電体フィルムが熱ダメージを受け易くなり、大きな課題となっていた。特に、誘電体として特性の良いポリプロピレンフィルムを用いる場合には、ポリエステルフィルムよりも耐熱性が低いため、熱ダメージの影響を受け易く蒸着時には特に熱ダメージを受けないようにすることが必要であった。
【0013】
【特許文献1】
特開平7ー278787号公報
【特許文献2】
米国特許第4477858号
【非特許文献1】
表面技術 Vol.45、No.5、p.14 (1994)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記する従来の技術上の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、誘電体フィルムに金属を蒸着する時の熱ダメージを軽減し、耐湿性に優れた金属化フィルムを製造し、その製造方法により製造した金属化フィルムを用いた長期信頼性に優れたコンデンサを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の金属化フィルムの製造方法は、ZnとZn以外の1種または複数種の金属元素と合金化したZn合金材料を蒸発源として誘電体フィルムに前記Zn合金材料を蒸着して金属化フィルムを形成することとした。
【0016】
また、本発明の金属化フィルムの製造方法は、蒸発源のZn合金材料中に、Alが合金成分として含まれることとした。
【0017】
また、本発明の金属化フィルムの製造方法は、蒸発源のZn合金材料中のAlの重量比を、0.1重量%以上10重量%以下とした。
【0018】
また、本発明の金属化フィルムの製造方法は、蒸発源のZn合金材料の合金組成に、第3成分の元素を混入して合金化することとした。
【0019】
また、本発明の金属化フィルムの製造方法は、Zn合金材料中で合金成分となる第3成分の元素は、Mg、Ni、Co、Mnから成る群のうちから選ばれた少なくとも1種の元素とした。
【0020】
また、本発明の金属化フィルムの製造方法は、Zn合金材料中の第3成分の元素の重量比は、0.01〜5重量%とした。
【0021】
また、本発明の金属化フィルムの製造方法は、誘電体フィルムの表裏両面に蒸着を行うこととした。
【0022】
また、本発明の金属化フィルムの製造方法は、誘電体フィルムがポリプロピレンであることとした。
【0023】
また、本発明の金属化フィルムの製造方法は、ポリプロピレンフィルムの厚みが、6μm以下であることとした。
【0024】
上記の目的を達成するために本発明のコンデンサは、上記のいずれかに記載の方法で蒸着した金属化フィルムを用いることとした。
【0025】
また、本発明のコンデンサは、ZnとAlの合金を含む蒸着膜を有する金属化フィルムにおいて、蒸着膜表面におけるZnとAlの重量比をそれぞれX、Y(X+Y=100)とすると、Yは10以上とした金属化フィルムを用いることとした。
【0026】
また、本発明のコンデンサは、蒸着金属中での第3成分のMg、Ni、Co、Mnから成る群のうちから選ばれたいずれかの元素の混入量が、0.001〜3重量%とした。
【0027】
【発明の実施の形態】
上記した本発明の目的は、各請求項に記載した構成を実施の形態とすることにより、達成できるので、以下には各請求項の構成にその構成による作用効果を併記し併せて請求項記載の構成のうち説明を必要とする特定用語については詳細な説明を加えて、本発明における実施の形態の説明とする。
【0028】
本発明の請求項1に記載の発明は、ZnとZn以外の1種または複数種の金属元素と合金としたZn合金材料を蒸発源として用いて誘電体フィルムに前記Zn合金材料の蒸着膜を蒸着して金属化フィルムを形成する金属化フィルムの製造方法であるから、目的に応じて合金組成を変えることによって、意図的に蒸発源の融点を変更したり、蒸着膜の耐湿性を改善することができる。
【0029】
本発明の請求項2に記載の発明は、蒸発源のZn合金材料中に、Alが合金成分として含まれていることから、Zn蒸着膜の表面のAl濃度を増やすことが可能になる。
【0030】
本発明の請求項3に記載の発明は、蒸発源のZn合金材料中のAlの重量比を、0.1重量%以上10重量%以下とすることから、蒸発源の融点を下げることができ、従って誘電体フィルムの熱ダメージを少なくし、なおかつZn蒸着膜の表面のAl濃度を増やして耐湿性を向上すことが可能になる。
【0031】
本発明の請求項4に記載の発明は、蒸発源のZn合金材料の合金組成に、第3成分の元素を混入して合金化することから、さらに蒸発源の融点を変更したり、蒸着膜の耐湿性を改善できる。なお、第3成分の元素は微量混入とすることが好ましい。
【0032】
本発明の請求項5に記載の発明は、第3成分の元素は、Mg、Ni、Co、Mnから成る群のうちから選ばれた少なくとも1種の元素とするものであることから、蒸着膜の耐湿性を改善できる。
【0033】
本発明の請求項6に記載の発明は、前記第3成分の元素の重量比は、0.01〜5重量%とすることから、蒸着膜の耐湿性を改善できる。
【0034】
本発明の請求項7に記載の発明は、誘電体フィルムの表裏両面に蒸着を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属化フィルムの製造方法であることから、Zn合金材料の蒸発源の融点を下げることが可能になり、誘電体フィルムの熱ダメージを軽減することができる。
【0035】
本発明の請求項8に記載の発明は、誘電体フィルムがポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属化フィルムの製造方法であることから、Zn合金材料の蒸発源の融点を下げることが可能になり、誘電体フィルムの熱ダメージを軽減することができる。
【0036】
本発明の請求項9に記載の発明は、ポリプロピレンフィルムの厚みが、6μm以下の金属化フィルムの製造方法であることから、Zn合金材料の蒸発源の融点を下げることが可能になり、誘電体フィルムの熱ダメージを軽減することができる。
【0037】
本発明の請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の金属化フィルムを用いたコンデンサであることから、耐圧が高く、耐湿性に優れたコンデンサとなっている。
【0038】
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項2〜9のいずれかに記載の方法で蒸着されたZnとAlを含むZn合金材料の蒸着膜を有する金属化フィルムにおいて、蒸着膜表面におけるZnとAlの重量比をそれぞれX、Y(X+Y=100)とすると、Yは10以上とすることから、耐湿性の優れたコンデンサとなっている。
【0039】
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項3〜9に記載の金属化フィルムにおいて、蒸着金属中での第3成分のMg、Ni、Co、Mnから成る群のうちから選ばれたいずれかの元素の混入量が、0.001〜3重量%であることから、耐湿性の優れたコンデンサとなっている。
【0040】
(実施の形態1)
以下に本実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
図1は本実施の形態1で説明する金属化フィルムを製造する際に用いる真空蒸着機の模式図である。図1において1は真空蒸着機、2はポリプロピレンフィルム3の巻き出しロールを示し、4はポリプロピレンフィルム3のクーリングキャン、5はAl蒸発源、6はZnとAlからなるZn合金の蒸発源、7はAl蒸発源5からのAlと、ZnとAlからなるZn合金の蒸発源6からのZn合金とをポリプロピレンフィルムに蒸着膜として蒸着して製造した金属化ポリプロピレンフィルム8を巻き取る巻き取りロール、9はポリプロピレンフィルム3ならびに金属化ポリプロピレンフィルム8の走行をガイドするガイドロール、10は上室と下室とを区画する隔壁を示す。
【0042】
図1では、ポリプロピレンフィルム3が蒸着機1内で巻き出しロール2から巻き出されて、巻き取りロール7で巻き取られるまでに、まずAl蒸発源5、次にZnとAlからなるZn合金の蒸発源6の順に金属がポリプロピレンフィルム3の表面上に蒸着されて、金属化ポリプロピレンフィルム8が製造できる。本実施の形態1では、マイクロ厚みで3μmのポリプロピレンフィルム3を用いた。
【0043】
本実施の形態1のZnとAlからなるZn合金の蒸発源6では、Znが95重量%、Alが5重量%組成の合金を用いた。図2に、Zn−Al系合金の融点のAl含量依存性を示す。図2からわかるように、Zn−Al系の合金では、Al含量が5重量%の時に融点は382℃(常圧)で最も低い。このようにすると、従来例のZnのみの蒸発源よりも融点を約40℃低くできる。
【0044】
そのため、本実施の形態1のようにポリプロピレンフィルムのような熱ダメージを受けやすいフィルムに、このような融点を下げることができる合金組成を適用することは品質向上に効果がある。特に、熱ダメージを受けやすい6μm以下の厚みのポリプロピレンフィルムに対しては効果を発揮する。本発明では、実施の形態1の合金組成や誘電体フィルムの種類に限定されるものではない。ZnとAlを含む合金系では、Znのみの場合よりも融点が低下する組成であるAlが0.1重量%〜10重量%の範囲にするのが好適である。
【0045】
表1に、本実施の形態1で製造した金属化ポリプロピレンフィルム3に付着していたZnとAlの組成分布を示す。このような組成分布を求める際には、オージェ電子分光分析装置によって、蒸着膜の表面からArエッチングしながらZnとAlの定量分析を行った。また、蒸着膜全体のZnとAlの比率を求める場合は、蒸着膜を酸またはアルカリで溶解し、その溶解した液を原子吸光分析装置で測定することによって求めた。
【0046】
【表1】
Figure 2005015848
【0047】
表1に、本実施の形態1の蒸着膜中のZnとAlの組成分布を示す。本実施の形態1では、2番目の蒸発源をAlを含むZn合金にしていたため、蒸着膜表面のAlの重量%を20.2%と10%以上にすることができた。
【0048】
AlとZnの酸化の自由エネルギーを比較すると、Alが酸化される方がエネルギーが小さい。そのため、Alの方が、Znよりも蒸着機中に微量に存在する酸素と反応しやすく、蒸着膜中の表面のAl濃度は高くなる。本実施の形態1のように、後から蒸着する蒸発源にもAlを含有させておけば、Znのみで蒸着する場合よりも耐湿効果を高めるAlの濃度が蒸着膜表面付近で高くなる。
【0049】
本発明では、本実施の形態1の合金組成に限定されるものではなく、Znに対して耐湿性を発揮する他の金属を含む合金の蒸発源であっても良い。
【0050】
次に、実施の形態1で製造した金属化ポリプロピレンフィルム3を用いて、初期の静電容量は100μF、tanδは0.03%のフィルムコンデンサを5個作製した。
【0051】
表2に、実施の形態1で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値とした。
【0052】
【表2】
Figure 2005015848
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態2では、両面蒸着装置を用いて両面蒸着を行ったこと以外は、実施の形態1と同様な蒸着源を用いて金属化フィルムを製造した。図3に、本実施の形態2で用いた両面蒸着装置11の概略図を示す。図1に示す蒸着装置と同じ構成部分について同一符号を付与する。なお、図3において12は両面蒸着金属化ポリプロピレンフィルムを示す。
【0054】
実施の形態2では、製造した金属化ポリプロピレンフィルムと蒸着していないポリプロピレンフィルムを巻回して初期の静電容量は100μF、tanδは0.03%の金属化フィルムコンデンサを5個製造した。
【0055】
表1に、本実施の形態2の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0056】
表2に、実施の形態2で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値とした。
【0057】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、実施の形態1の合金組成全体に対して、重量比率で1.5%のMgを加えて合金化したものを蒸発源として用いた以外は、実施の形態1と同様に金属化フィルム、およびコンデンサを作製した。蒸着膜中のMgの比率は1重量%であった。
【0058】
表1に、本実施の形態3の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0059】
表2に、実施の形態3で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値である。
【0060】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、実施の形態1の合金組成全体に対して、重量比率で1.5%のNiを加えて合金化したものを蒸発源として用いた以外は、実施の形態1と同様に金属化フィルム、およびコンデンサを作製した。蒸着膜中のNiの比率は0.9重量%であった。
【0061】
表1に、本実施の形態4の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0062】
表2に、実施の形態3で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値である。
【0063】
(実施の形態5)
本実施の形態5では、実施の形態1の合金組成全体に対して、重量比率で1.5%のCoを加えて合金化したものを蒸発源として用いた以外は、実施の形態1と同様に金属化フィルム、およびコンデンサを作製した。蒸着膜中のCoの比率は0.7重量%であった。
【0064】
表1に、本実施の形態4の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0065】
表2に、実施の形態3で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値である。
【0066】
(実施の形態6)
本実施の形態6では、実施の形態1の合金組成全体に対して、重量比率で1.5%のMnを加えて合金化したものを蒸発源として用いた以外は、実施の形態1と同様に金属化フィルム、およびコンデンサを作製した。蒸着膜中のMnの比率は0.1重量%であった。
【0067】
表1に、本実施の形態4の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0068】
表2に、実施の形態3で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値である。
【0069】
(比較例1)
以下に比較例1について、図面を参照しながら説明する。
【0070】
図4は比較例1で説明する金属化フィルムを製造する際に用いる真空蒸着機41の模式図である。比較例1では、第2の蒸発源42にはZnを用いたこと以外は、実施の形態1と同様な方法で金属化フィルムを製造し、およびその金属化フィルムを用いたコンデンサを作製した。なお、図4において、図1と同じ構成部分については同じ符号を付与して詳細な説明を省く。
【0071】
表1に、比較例1の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0072】
表2に、比較例1で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値である。
【0073】
(比較例2)
比較例2では、図4に示す第1の蒸発源43にCu、第2の蒸発源42にはZnを用いたこと以外は、比較例1と同様な方法で金属化フィルムを製造し、およびその金属化フィルムを用いたコンデンサを作製した。
【0074】
表1に、比較例2の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0075】
表2に、比較例2で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値である。
【0076】
(比較例3)
比較例3では、図4において第1の蒸発源43にAl、第2の蒸発源42にはZnを用いたこと以外は、実施の形態2と同様な方法で両面金属化フィルムを製造し、およびその両面金属化フィルムを用いたコンデンサを作製した。
【0077】
表1に、比較例2の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0078】
表2に、比較例2で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値である。
【0079】
(比較例4)
比較例4では、実施の形態3のMgのかわりにFeを添加したこと以外は、実施の形態3と同様な方法で金属化フィルムを製造し、およびその金属化フィルムを用いたコンデンサを作製した。
【0080】
表1に、比較例4の蒸着膜中の片面のZnとAlの組成分布を示す。
【0081】
表2に、比較例4で製造した金属化フィルムコンデンサの破壊電圧(DCV)および温度85℃相対湿度85%で2000時間放置した後の容量変化率(ΔC)、tanδ(%)を示す。なお、上記の数値は5個の平均値である。
【0082】
次に上記した本発明の実施の形態1〜6と、比較例1〜4との作用効果の比較について詳述する。
【0083】
実施の形態1では、第2の蒸発源にZn−Alの合金を用いたため、蒸着膜中の表面層のAlの比率が比較例1においては8.3%であったのがそれよりも大きい20.2%となった。そのため、実施の形態1の方が、比較例1よりも耐湿性が高くなり、耐湿試験における容量減少が小さい。
【0084】
また、実施の形態1では、合金中のAlの濃度を5重量%としたため、蒸発源の融点を比較例1よりも低くすることができる。そのため、誘電体フィルムの熱ダメージを軽減でき、比較例1よりも破壊電圧が高くできる。
【0085】
両面蒸着を行った実施の形態2では、比較例3と比べて、実施の形態1と比較例1との比較で述べたと同様の効果が得られた。特に、両面蒸着の場合は、誘電体フィルムが熱ダメージを受けやすいため、蒸発源の融点を下げると効果がある。
【0086】
また、本実施の形態のように、ポリプロピレンフィルムで3μmという薄いものになると、蒸発源の温度を本発明のように下げるようにすることが必要である。
【0087】
実施の形態3では、Mgを微量添加したことによって、Znの水酸化および酸化反応を抑制することができる。実施の形態4〜6のNi、Co、MnでもZn膜の耐湿性を向上させる効果があるため、Mg、Ni、Co、Mnのいずれをも添加しなかった実施の形態1よりも耐湿試験における容量減少が小さい。比較例4のようにFeを添加したのでは耐湿性向上の効果がでず、他の元素で耐湿性向上の効果があるものは上記したMg、Ni、Co、Mnの4種の元素以外は見出せなかった。
【0088】
また、添加量も0.01〜5%の範囲で耐湿性向上の効果が得られ、それ以外の範囲では耐湿性の効果は得られなかった。蒸着膜中の第3成分の元素量は、原子吸光分析で定量した結果、0.001〜3重量%の時に耐湿性を向上できることがわかった。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は誘電体フィルムに金属を蒸着する時の誘電体フィルムにかかる熱ダメージを軽減することができ、しかも耐湿性に優れた金属化フィルムを容易に実現できる製造法を提供し、さらに本発明の製造法により製造した金属化フィルムを使用することによって長期信頼性に優れたコンデンサとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の金属化フィルムを製造する際の片面蒸着機の概略図
【図2】同実施の形態1のZn−Al合金の融点の組成依存性を示す図
【図3】同実施の形態2の金属化フィルムを製造する際の両面蒸着機の概略図
【図4】比較例1の金属化フィルムを製造する際の片面蒸着機の概略図
【符号の説明】
1 11、41 真空蒸着機
2 巻き出しロール
3 ポリプロピレンフィルム
5 Al蒸発源(第1の蒸発源)
6 ZnとAlからなるZn合金の蒸発源(第2の蒸発源)
7 巻き取りロール
8 金属化ポリプロピレンフィルム
12 両面蒸着金属化ポリプロピレンフィルム
42 Zn蒸発源

Claims (12)

  1. ZnとZn以外の1種または複数種の金属元素とで合金としたZn合金材料を蒸発源として用いて誘電体フィルムに前記Zn合金材料の蒸着膜を蒸着して金属化フィルムを形成することを特徴とする金属化フィルムの製造方法。
  2. 蒸発源のZn合金材料中にAlが合金成分として含まれていることを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムの製造方法。
  3. 蒸発源のZn合金材料中のAlの重量比を、0.1重量%以上10重量%以下とすることを特徴とする請求項2に記載の金属化フィルムの製造方法。
  4. 蒸発源のZn合金材料の合金組成に、第3成分の元素を混入して合金化することを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムの製造方法。
  5. 前記第3成分の元素は、Mg、Ni、Co、Mnから成る群のうちから選ばれた少なくとも1種の元素とすることを特徴とする請求項4に記載の金属化フィルムの製造方法。
  6. 前記第3成分の元素の重量比は、0.01〜3重量%とすることを特徴する請求項4または5に記載の金属化フィルムの製造方法。
  7. 誘電体フィルムの表裏両面に蒸着を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属化フィルムの製造方法。
  8. 誘電体フィルムがポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属化フィルムの製造方法。
  9. ポリプロピレンフィルムの厚みが、6μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の金属化フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の金属化フィルムの製造方法により製造された金属化フィルムを用いたことを特徴とするコンデンサ。
  11. 請求項2〜9のいずれかに記載の金属化フィルムの製造方法で蒸発源より蒸着されたZnとAlを含むZn合金材料の蒸着膜を有する金属化フィルムにおいて、蒸着膜表面におけるZnとAlの重量比をそれぞれX、Y(X+Y=100)とすると、Yは10以上としたことを特徴とする金属化フィルムを用いたコンデンサ。
  12. 請求項3〜9に記載の金属化フィルムの製造方法により製造された金属化フィルムにおいて、蒸着金属中での第3成分のMg、Ni、Co、Mnから成る群のうちから選ばれたいずれかの元素の混入量が、0.001〜3重量%としたことを特徴とする請求項10または11に記載の金属化フィルムを用いたコンデンサ。
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