JP2014022707A - アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、駆動用電解液中における水和反応に起因するアルミニウム箔の劣化を抑制し、かつ、静電容量が高い、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 アルミニウム箔1の表面に、金属及びその窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物のうちの少なくとも一種からなる第一層2と、前記第一層2の上に、金属及びその窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物のうちの少なくとも一種からなる第二層3を、形成し、前記第一層2は前記第二層3よりも緻密な構造であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔に関するものである。
アルミニウム電解コンデンサは、アルミニウム箔の表面に陽極酸化処理等により誘電体を形成した陽極箔と一般的には陽極酸化処理等を行なっていない陰極箔を、セパレータを介在させて対向させ、もってコンデンサ素子を形成し、そのコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸することで、コンデンサを構成している。しかし、陽極酸化処理等を行なっていない陰極箔では、アルミニウムが自然酸化皮膜を形成してしまうため、コンデンサの静電容量は下記の式(1)に示すとおり、陽極箔の静電容量と陰極箔の静電容量との直列合成容量となっている。ただし、式(1)において、Cはアルミニウム電解コンデンサの静電容量、Caは陽極箔の静電容量、Ccは陰極箔の静電容量とする。
式(1)より、アルミニウム電解コンデンサの静電容量を高くするためには、陽極箔はもとより陰極箔の静電容量も高くする必要があり、エッチング処理によって粗面化し、陰極箔の表面積を拡大する方法がある。しかしながら、アルミニウム電解コンデンサの静電容量の高容量化といった需要を満たすために陽極箔の静電容量を高めるも、エッチング処理によって粗面化された陰極箔では、陽極箔の静電容量の増加に比例してコンデンサの静電容量を高くすることが困難になりつつある。また場合によっては、陽極箔の中では箔厚が薄い陽極箔を陰極箔として用いることもあるが、それでも通常の陰極箔と比較すると箔厚は厚いため、同一のケースサイズでコンデンサを作製した場合には、コンデンサを構成するのに用いることができる陽極箔及び陰極箔の代替である陽極箔の面積は、通常の陰極箔を用いた場合よりも少なくなってしまうため、エッチング処理による粗面化では、コンデンサの静電容量を高くすることはやはり困難になりつつあるという状況にかわりはない。
そこで、箔厚を厚くすることなく陰極箔の静電容量を高めるための手段としてエッチング処理を行なうことの他に、アルミニウム箔の表面に弁金属やそれらの窒化物を蒸着するといったことが、これまでに知られている。なお蒸着処理の方法としては、真空蒸着法,陰極アーク蒸着法,イオンプレーティング法などの各種物理的方法がある。
ただし蒸着処理による場合、所定の厚さの蒸着層を一回の蒸着処理で一度に形成しようとすると、基材温度の上昇により蒸着層は蒸着粒子が融合したような状態となりやすく、所期する静電容量が得られないことから、粗面化されたアルミニウム箔の表面に設定条件を変えずに、2〜10回に分割して少量ずつ繰り返しチタン蒸着を行なうことが知られている(例えば、特許文献1)。また、高表面積を得るために、各個別の層が多孔質である複数の隣接した層で構成する多孔質皮膜を基材表面に形成することも知られている(例えば、特許文献2)。
しかし、駆動用電解液中においてアルミニウム箔が劣化しやすく、コンデンサの特性が安定しないという問題点が従来から指摘されていた。
そこで、アルミニウム箔の表面に窒化チタン層を形成する(例えば、特許文献3)、平滑なアルミニウム箔の表面に緻密なチタン層を形成した後イオンエッチングを行なう(例えば、特許文献4)といったことが、知られている。
また、高い静電容量と高い耐水和性を兼ね備えたアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔として、アルミニウム箔表面にアルミニウムカーバイド(Al)によって酸化チタンを固定した電極用複合材料も知られている(例えば、非特許文献1)。ただし、高い静電容量と高い耐水和性という発明の目的に関して、以下に述べる本発明の目的と非特許文献1とでは共通する点はあるものの、その目的を実現するための発明の形態は、本発明と非特許文献1とでは異なっている。
特開昭63−255910号公報 特開2007−208254号公報 特開平3−150820号公報 特開平2−61039号公報
中山邦彦、"電極用複合材料 トーヤルチタン(登録商標)"、[online]、平成24年4月12日、東洋アルミ、[平成24年6月8日検索]、インターネット〈URL:http://www.toyal.co.jp/tech_report/2012/pdf/b02_2012spring_report02.pdf〉
しかし、上述した特許文献記載の先行技術には、それぞれ次のような問題点がある。
すなわち特許文献1では、蒸着処理前に行なった粗面化によって生じた孔の底部で、蒸着処理後においてもアルミニウムが露出していることから(例えば、特許文献1の第1図)、また特許文献2では、多孔質皮膜内に分布する孔が、多孔質な各層と同じく多孔質な界面を経由することで、皮膜の外部と基材表面を結ぶことから(例えば、特許文献2の図2B)、電解コンデンサの陰極箔に使用した際には、駆動用電解液と基材であるアルミニウムが反応し、陰極箔の劣化を起こしやすい。
また特許文献3では、アルミニウム箔表面が窒化チタン層で均一に覆われるため、箔表面の誘電体の比誘電率は高くなるものの、窒化チタン層の形成前後で表面積に変わりはない、もしくはアルミニウム箔が粗面化されたものである場合には、粗面化によって生じた孔が窒化チタン層の形成によりふさがれるため表面積としては減少してしまい、陽極箔の静電容量増加に比例してコンデンサの静電容量を高めるのには、静電容量が不十分である。
そして、特許文献4では、緻密なチタン層を形成した後イオンエッチングを行なうとあるが、特許文献4の第1図のとおりチタン層に選択的に孔を設けるためには実際には箔の表面にマスキングを行なう必要があり、処理工程が煩雑になり製造コストも著しく高くなってしまう。
そこで上記問題点を解決し、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔を提供することが、本発明の目的とするところである。
そこで本発明者らは、アルミニウム箔の表面に形成される層の構造と耐水和性には密接な関係があることを究明し、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔に要求される2つの機能を分割して実現することで、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔を見い出した。
本発明のうち請求項1に記載の発明は、アルミニウム箔の表面に、金属及びその窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物(以下、金属及びその化合物)のうちの少なくとも一種からなる第一層と、第一層の上に、金属及びその化合物のうちの少なくとも一種からなる第二層を、形成し、第一層が第二層よりも緻密な構造であることを特徴とする。
陰極箔として十分な静電容量を得るためには、駆動用電解液が陰極箔に接することが可能な面積、すなわち表面積を大きくする必要がある。そこで、アルミニウム箔の表面に金属などの層を形成する場合は、表面積を大きくするために、その層を空隙や凹凸が多い構造にする。しかし、そのような静電容量を追求した層の構造では、駆動用電解液に含まれる水が層を通過してアルミニウム箔の表面上で水和反応を起こしてしまい、陰極箔の特性が低下してしまう。そこで、駆動用電解液が層を通過して基材であるアルミニウム箔の表面にまで達してしまうことを妨げるために、静電容量を追求した層とアルミニウム箔の間に、静電容量を追求した層よりも空隙や凹凸が少ない構造、すなわちより緻密な構造をした層を別途設ける。このように、アルミニウム箔の表面に水和反応を抑制するという機能を担っている第一層を、その第一層の上に、静電容量を高めるという機能を担っている第二層を形成し、そのために第一層を第二層よりも緻密な構造とすることで、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔の提供という目的を達するものである。
請求項2に記載の発明は請求項1に記載の発明において、アルミニウム箔の表面に形成する第一層を構成する、金属及びその化合物のうちの少なくとも一種からなるものの比表面積が0.1〜50m/gで、空隙率が45%以下であることを特徴とする。
ここで本発明における比表面積とは、層を形成する前のアルミニウム箔の重量を含めて計算されたBET法より求めた比表面積をもとに、層を形成する前のアルミニウム箔の重量を除外して、層を構成する金属及びその化合物のうちの少なくとも一種からなるものの比表面積に換算したものを指す。また、本発明における空隙率とは、空隙がない部分には厚さが均一な層が形成されるが、空隙がある部分にはまったく層は形成されないとの仮定のもとにおいて、原子吸光分析法より計測した実際の付着量と、走査型電子顕微鏡で観察した陰極箔の断面画像より測定した層の厚さと密度から計算した、空隙がまったくない場合に形成される層の重さとを比較することで、どの程度の空隙があるのかを表したものである。
アルミニウム箔の表面に形成する第一層が有する機能は、水がアルミニウムと接することを妨げ、もって水和反応を抑制することである。そのため、第一層の比表面積が50m/gより大きく、空隙率が45%より大きいときは、もはやアルミニウムの水和反応を抑制することが困難になってしまう程度にまで、水がアルミニウムと接することが可能な面積が増えてしまうことから、第一層の比表面積を0.1〜50m/gとし、空隙率を45%以下とすることが好ましく、より好ましくは、比表面積が2.5〜50m/g、空隙率が1.0〜45%、さらにより好ましくは、比表面積が2.5〜25m/g、空隙率が1.0〜35%である。
請求項3に記載の発明は請求項1または2に記載の発明において、第一層及び/または第二層における金属が、チタンであることを特徴とする。
チタン,窒化チタン,炭化チタン,炭窒化チタン及び酸化チタンは、誘電率が高いため静電容量が高くなり、かつ、耐水和性に優れていることから、第一層及び/または第二層における金属をチタンとすることを発明の特徴とするものである。しかし、第一層及び/または第二層における金属は、必ずしもチタンに限定されるものではない。アルミニウムよりも誘電率が高く、かつ、耐水和性に優れている金属及びその化合物であれば、第一層及び/または第二層を形成するのに用いることは可能であり、例えば、タンタル,ハフニウム,ニオブ,ジルコニウム,バナジウム等の金属及びこれらの窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物が挙げられる。
請求項4に記載の発明は請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、第一層及び/または第二層が複数の層から構成されていることを特徴とする。
アルミニウム箔の表面に、第二層よりも緻密な構造をした第一層を1層だけ形成し、さらにその上に第二層を形成することでも、耐水和性に優れた陰極箔を提供することはできるのであるが、アルミニウム箔の表面に第二層よりも緻密な構造をした層を1層形成した後、さらにその上に緻密な構造をした層を積み重ねることで、耐水和性の更なる向上という効果を得ることができる。
また、アルミニウム箔の表面に、第二層よりも緻密な構造をした第一層を形成した後、その上に空隙や凹凸が多い第二層を1層だけ形成することでも、静電容量が高い陰極箔を提供することはできるのであるが、第一層を形成し、その上に空隙や凹凸が多い層を1層形成した後、さらにその上に空隙や凹凸が多い層を積み重ねることで、静電容量の更なる増加という効果を得ることができる。
そしてさらには、アルミニウム箔の表面に、第二層よりも緻密な構造をした層を複数回積層して第一層を形成した後、空隙や凹凸が多い層をさらに複数回積層して第二層を形成することで、耐水和性と静電容量の両方の特性がさらに向上した陰極箔を提供することができるのである。
よって、以上のような効果が得られることから、第一層及び/または第二層が複数の層から構成されていることを発明の特徴とするものである。なお、第一層と第二層のいずれにおいても複数の層を積層することで一つの層とする場合、複数の層を積層する際の作製条件は同一であっても構わないし、各層ごとに適宜変更しても構わない。(例えば、第一層を構成する複数の層のうち、最初に形成する層と最後に形成する層で、装置内の圧力を変更する。)
本発明においては、アルミニウム箔の表面に金属などからなる構造が異なる層を二層形成するが、そのうちアルミニウム箔の表面に形成する第一層を、第一層の上に形成する第二層よりも緻密な構造とすることで、駆動用電解液中の水がアルミニウム箔の表面に接することが妨げられ水和反応が抑制されるとともに、基材であるアルミニウム箔と第一層との密着性も高まることから、耐水和性に優れるという効果が得られ、なおかつ第一層の上に空隙や凹凸が多い第二層を形成することで、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔として使用した際に、陽極箔の静電容量の増加をコンデンサの静電容量の増加に反映させるのに足るほどの高い静電容量になるという効果が得られる。すなわち、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔に要求される二つの機能を分割し、まずアルミニウム箔の表面に水和抑制という機能を有した第一層を形成し、次いでその第一層の上に静電容量増大という機能を有した第二層を形成することで、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔を提供することができる。
本発明の一実施形態であるアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔(実施例1)の層構造を表した断面模式図である。 本発明の一実施形態であるアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔(実施例1の片面側のみ)の走査型電子顕微鏡の断面画像である。 本発明の一実施形態であるアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔(実施例2)の層構造を表した断面模式図である。 本発明の一実施形態であるアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔(実施例2の片面側のみ)の走査型電子顕微鏡の断面画像である。
本発明の一実施形態であるアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔の層構造の断面模式図を表した図1及び図3、並びに走査型電子顕微鏡の断面画像である図2及び図4をもとに、本発明を実施するための形態について以下説明する。なお、以下の説明におけるものは本発明の実施形態の一つにすぎず、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
基材としてのアルミニウム箔1
本発明はアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔に関するものであることから、基材としてはアルミニウム箔に限定されるが、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔として用いることができる程度のアルミニウムの純度を有しているものであれば、本発明において用いることができる。箔厚は特に限定されるものではないが、従来のエッチング処理を行なったアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔の箔厚に鑑みれば、5〜50μmが好ましい。
また、平滑箔の他に、第一層を形成する前にエッチング処理などで粗面化された箔を用いてもよい。エッチング処理などを行なったアルミニウム箔の表面に第一層を、さらに第一層の上に第二層を形成することで、アルミニウム箔の表面の凹凸形状が第一層に、次いで第二層にも波及し、静電容量がより高くなるという効果が得られるからである。ただし、第一層を形成した後にも、エッチング処理などによって生じた孔の底部などでアルミニウムが露出している部分が残ってしまうことがないように、しかしその一方においては、孔がすべて埋まってしまい結果的にはあらかじめ粗面化を行なった効果がなくなってしまうことがないように、エッチング処理などによって形成される孔などの大きさを含めた形状の設計及び第一層を形成する条件の設定などを適切に行なうものとする。
また、アルミニウム箔はその表面に自然酸化皮膜が形成されているが、イオンエッチングや酸性溶液への浸漬などにより、第一層を形成する前にアルミニウム箔表面の酸化皮膜を取り除いてから第一層を形成してもよい。アルミニウム箔表面の酸化皮膜を取り除くことにより、アルミニウム箔と第一層の密着性が高まり、耐水和性という機能を担っている第一層がアルミニウム箔からより剥離しにくくなることから、耐水和性のさらなる向上という効果が得られるからである。
第一層2の形成
真空チャンバー内の所定の位置にアルミニウム箔1及び蒸着源であるチタンの金属材料を配置した後、チャンバー内の圧力を3.0×10−1Pa以下まで減圧する。チャンバー内の圧力が3.0×10−1Pa以下まで減圧したら、冷却ドラムでアルミニウム箔1を冷却しながら、蒸発源を加熱する。そうすると蒸発源であるチタンが気化し、アルミニウム箔1の表面に気化したチタンが衝突し、比表面積が0.1〜50m/g、空隙率が45%以下である、チタンなどからなる緻密な構造をした第一層2がアルミニウム箔1の表面に形成される。すなわち、チャンバー内の圧力が3.0×10−1Pa以下において、比表面積が0.1〜50m/gで、空隙率が45%以下である、耐水和性といった機能に好ましい構造をした層が形成されることから、第一層2を形成する工程における装置工程における装置内の圧力は3.0×10−1Pa以下が好ましいのである。
なお、チャンバー内の圧力が3.0×10−1Paを超えない範囲内で適宜、窒素ガス,アルゴンガス,メタンガス,酸素ガスを流しながら第一層2の形成を行なってもよい。これは、第一層2の形成に用いることができるものは必ずしも金属に限定されるのではなく、金属及びその窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物のうちの少なくとも一種からなるものであれば用いることができるのであり、金属だけからなる層以外の層を形成する場合には、窒素ガスなどの雰囲気下で行なうことになるため、窒素ガスなどを流しながら第一層2を形成してもよいのである。なお、例えば、窒化物を含有する層を形成するのであれば、窒素ガス雰囲気中の他にアンモニアガス雰囲気中で行なってもよく、また炭化物を含有する層を形成するのであれば、メタンガス雰囲気中の他にアセチレンガス雰囲気中で行なってもよいなど、チャンバー内におけるガスの雰囲気は必ずしもここで列挙したものに限定されるものではない。
また、第一層2を形成するための手段として真空蒸着,電子ビーム蒸着,アークプラズマ蒸着などの蒸着法を用いることができ、さらに蒸着法のほかに、スパッタリング法やCVD法などを用いてもよい。
また、図2及び図4のように、第一層2を形成する工程を複数回行なってもよく、その際に作製条件、例えばチャンバー内の圧力を、2回目以降も1回目と同一のままでもよく、3.0×10−1Paを超えない範囲内で回数ごとに適宜変更してもよい。これは、空隙が少ない緻密な層をさらに重ねることによって、第一層2に求められる耐水和性が向上するからである。そしてその際に、比表面積及び空隙率が同一の構造をした層を積層してもよく、当初から複数の層で構成することを想定して、例えば第一層2全体としての耐水和性がさらに向上する構造になるように、複数の層の各層ごとにチャンバー内の圧力などの作製条件を適宜変更して積層してもよい。なお、第一層2を形成する工程を複数回行なう場合、各工程の間で、箔をいったんチャンバーの外に取り出しても取り出さなくてもどちらでもかまわない。
第二層3の形成
アルミニウム箔1の表面に第一層2を形成した後、真空チャンバー内の圧力を第一層2を形成したときよりも高い値に設定し、その設定圧力になったら、第一層2の形成時と同様に、冷却ドラムで冷却しながら蒸発源を加熱する。そうすると蒸発源であるチタンが気化し、アルミニウム箔1の表面に形成された第一層2の上に、空隙や凹凸が多い第二層3が形成される。
ここで、第二層3を形成する真空チャンバー内の圧力を第一層2を形成したときよりも高い値に設定するとしたのは、チャンバー内の圧力によって形成される層の構造が変化する、すなわち、チャンバー内の圧力が低いと空隙が少ない緻密な構造となり、チャンバー内の圧力が高いと空隙や凹凸が多い構造となるからである。アルミニウム箔1の表面に形成される第一層2は、アルミニウムの水和反応を抑制する機能を担っていることから、水がアルミニウムと接することを妨げるために空隙が少ない緻密な構造が要求され、そのような構造にするためには、第一層2を形成する工程におけるチャンバー内の圧力を低めに設定する必要がある。一方、第一層2の上に形成される第二層3は、第一層2だけでは不十分である静電容量を高める機能を担っていることから、表面積をより大きくするために空隙や凹凸が多い構造が要求され、そのような構造にするためには、第二層3を形成する工程におけるチャンバー内の圧力を高めに設定する必要がある。よって、第一層2と第二層3との関係においては、第二層3を形成する真空チャンバー内の圧力を第二層2を形成する真空チャンバー内の圧力よりも高く設定することになるのである。
また、すでに述べた第一層2を形成する工程を複数回行なう場合と同様、第一層2を形成する工程と第二層3を形成する工程の間で、箔をいったん装置の外に取り出しても取り出さなくてもどちらでもかまわず、例えば、第一層2を形成した後、箔をチャンバーから取り出さずにチャンバー内の所定の位置に配置したまま、第二層3を形成するためにチャンバー内の圧力を第一層2を形成した時よりも高い値に設定し、圧力がその設定値に達したら、引き続き第二層3の形成工程に入ってもよい。
なお、チャンバー内に窒素ガス,アルゴンガス,メタンガス,酸素ガスを流しながら第二層3の形成を行なってもよいが、第一層2の形成時と同様、チャンバー内におけるガスの雰囲気は必ずしもここで列挙したものに限定されるものではない。
また、第二層3を形成するための手段として真空蒸着,電子ビーム蒸着,アークプラズマ蒸着などの蒸着法を用いることができ、さらに蒸着法のほかに、スパッタリング法やCVD法などを用いてもよい。
また、第二層3を形成する工程を複数回行なってもよく、その際に作製条件、例えばチャンバー内の圧力を、2回目以降も1回目と同一のまま積層してもよく、当初から複数の層で構成することを想定して、例えば陰極箔4全体としての静電容量がより高くなる構造になるように、第一層2を形成したときの値より低くならない範囲内で複数の層の各層ごとにチャンバー内の圧力などの作製条件を適宜変更してもよい。なお、第一層2を形成する工程を複数回行なう場合同様、第二層3を形成する工程を複数回行なう場合、各工程の間で、箔をいったんチャンバーの外に取り出しても取り出さなくてもどちらでもかまわない。
陰極箔4
以上の工程により、図1及び図2のように、まずアルミニウム箔1の表面に、第二層3よりも緻密な構造をした第一層2が形成され、ついで第一層2の上に、空隙や凹凸が多い構造をした第二層3が形成されることで、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔4を提供することができる。また、図3及び図4のように、まずアルミニウム箔1の表面に、第一層の1層目2aを形成し、第一層の1層目2aの上に第一層の2層目2bを形成、ついで第一層の2層目2bの上に、第二層の1層目3aを形成し、第二層の1層目3aの上に第二層の2層目3bを形成することで、第一層と第二層が各1層ずつのものよりも、さらに耐水和性に優れ、かつ、さらに静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔4を提供することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例によって本発明の詳細な説明を行なうが、これにより本発明が実施例に限定されるものではない。
陰極箔の基材として、箔厚30μm、純度99.8%の平滑アルミニウム箔を用いた。この平滑アルミニウム箔と蒸着源としてのチタンの金属材料をチャンバー内の所定の場所に配置した後、チャンバー内を5.0×10−4Paの真空とした。なお、ガスは一切流していない。チャンバー内の圧力が5.0×10−4Paの真空になった後、蒸着源を加熱して、平滑アルミニウム箔の表面に第一層を形成する工程を、1回行なった。その後、チャンバーを大気開放してチャンバー内から箔を取り出し、再び箔をチャンバー内の所定の場所に配置し、今度はチャンバー内の圧力を5.1×10−1Paの真空とした。なお、第二層の形成工程では窒素ガスを流しながら行なった。チャンバー内の圧力が5.1×10−1Paの真空になった後、蒸着源を加熱して、すでに形成された第一層の上に第二層を形成する工程を、1回行なった。
前記実施例1の第一層の形成工程及び第二層の形成工程を2回ずつ行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
前記実施例1の第一層の形成工程において、チャンバー内の圧力を5.0×10−2Paにして行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
前記実施例1の第一層の形成工程において、窒素ガスを流しながらチャンバー内の圧力を2.2×10−1Paにして行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
前記実施例1の第一層の形成工程において、窒素ガスを流しながらチャンバー内の圧力を3.2×10−1Paにして行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
前記実施例1の第一層の形成工程において、窒素ガスを流しながらチャンバー内の圧力を4.4×10−1Paにして行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
(比較例1)
前記実施例1の第一層の形成工程において、窒素ガスを流しながらチャンバー内の圧力を5.1×10−1Paにして行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
(比較例2)
前記実施例3において、第一層の形成工程のみ行ない、第二層の形成工程は行なわなかった。
(比較例3)
前記比較例1において、第一層の形成工程のみ行ない、第二層の形成工程は行なわなかった。
第一層の構造を解明するために、実施例1から6及び比較例1について、第一層の形成工程が終了し、チャンバーを大気開放して陰極箔を取り出した際、その一部を切り出して、以下の2つの試験に供した。なお、本発明を実施するための形態である実施例と言えるためには、第二層よりも緻密な構造をした第一層の上に空隙や凹凸が多い構造をした第二層を形成しなければならないが、以下の2つの試験に供さなかった部分について引き続き第二層の形成工程を行ない、それぞれ実施例及び比較例とした。
第一層の比表面積
BET法(日本ベル製、自動比表面積/細孔分布測定装置、BELSORP−mini II)により比表面積を計測したが、これは基材であるアルミニウム箔の重量を含めて計算した値である。そこでまず、陰極箔を硫酸で溶解し、原子吸光分析法(バリアン製、原子吸光分光光度計、SpectrAA−220)により計測した第一層の付着量と、基材の重量とから、第一層形成後の陰極箔の重量を求めた。そして次に、BET法で計測した基材であるアルミニウム箔の重量を含めて計算された比表面積を、第一層の比表面積に換算した。以上の過程を数式で表すと、式(2)のようになる。ただし、式(2)において、S1は第一層の比表面積、ScはBET法より計測した比表面積、W1は第一層の付着量、Wbは基材の重量とする。
第一層の空隙率
本発明における空隙率は、空隙がない部分には厚さが均一な層がアルミニウム箔の両面に形成されるが、空隙がある部分にはまったく層は形成されない、との仮定のもとに定めたものである。よって、まず、走査型電子顕微鏡(日本電子製、電界放出形走査電子顕微鏡、JSM−7401F)で断面画像を観察し、計測したそれぞれの第一層の厚さから、空隙がまったくない層が形成されたときの第一層の重量を求めた。そして次に、原子吸光分析法により実際の第一層の付着量を計測した。この実際の第一層の付着量と空隙がまったくない層が形成されたときの第一層の重量より、空隙率を求めた。なお、実施例1から6及び比較例1においては、第一層に窒化チタンが含まれていてもごく微量であったため、ここでは第一層はチタンのみからなるものとした。以上のことを数式で表すと、式(3)のようになる。ただし、式(3)において、P1は第一層の空隙率、t1は走査型電子顕微鏡にて計測した第一層の厚さ、W1は原子吸光分析法により計測した実際の第一層の付着量とする。
次に、実施例1から6及び比較例1から3について、以下の陰極箔に関する特性試験を行なった。なお、実施例1から6及び比較例1については、第二層の形成工程まで行なったものを用いた。
水和による静電容量の変化
JEITA(電子情報技術産業協会)規格・規格番号RC−2364Aの静電容量試験法にもとづき静電容量を測定し、純水で洗浄した後、同じくJEITA規格・規格番号RC−2364Aの耐水和性試験法にもとづき各陰極箔を95℃以上の純水中に放置した。1時間経過した後、一度陰極箔を取り出し静電容量を測定し、純水で洗浄してから、再び95℃以上の純水中に放置した。さらに1時間経過した後に静電容量を測定した。各々、耐水和性試験開始前の静電容量と比較して、静電容量の変化率を求めた。
実施例及び比較例における、第一層及び第二層の作製条件、及び第一層の構造に関する結果を表1に、陰極箔の特性に関する結果を表2に、それぞれ示す。なお、比較例2及び3の第一層の構造については、それぞれ実施例3及び比較例1と第一層の作製条件が同じであることから、参考値として括弧書きで、実施例3及び比較例1の値をそれぞれ表1に記載した。
比較例2より、比表面積が小さく空隙率が低い緻密な構造をした層のみをアルミニウム箔の表面に形成しただけでは、静電容量の変化率が低く耐水和性は良好であったが、静電容量は低かった。一方、比較例3より、比表面積が大きく空隙率が高い構造をした層のみをアルミニウム箔の表面に形成しただけでは、静電容量は高かったが、静電容量の変化率が高く耐水和性は良くなかった。以上の結果より、アルミニウム箔の表面に1種類の構造の層を形成しただけでは、本発明の目的である、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いコンデンサ用陰極箔を作製することはできないことがわかった。
第一層の作製条件を変化させて第二層まで形成した実施例1から6及び比較例1より、アルミニウム箔の表面に比表面積が小さく空隙率が低い緻密な構造をした第一層を形成し、その第一層の上に、第一層よりも比表面積が大きく空隙率が高い構造をした第二層を形成することで、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高い陰極箔を作製することができることがわかった。
特に、第一層の構造として、比表面積が0.1〜50m/g、空隙率が45%以下であることが好ましく、より好ましくは比表面積が2.5〜50m/g、空隙率が1.0〜45%、さらにより好ましくは比表面積が2.5〜25m/g、空隙率が1.0〜35%であることがわかった。
また、実施例1及び2より、第一層を形成する工程を1回しか行なわなかったものは、なお耐水和性に優れたものではあるものの、95℃以上の純水中に2時間放置することで静電容量が低下し始めたのに対し、2回行なったものは、ほとんど変化しなかったことから、第一層を形成する工程を複数回行なうことで、より耐水和性に優れる陰極箔を作製することができることがわかった。さらに、第二層を形成する工程を2回行なったもののほうが、耐水和性試験開始前の静電容量が高くなっていたことから、第二層を形成する工程を複数回行なうことで、より静電容量が高い陰極箔を作製することができることがわかった。
本発明は、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔に用いることができる。
1 アルミニウム箔
2 第一層
2a 第一層の1層目
2b 第一層の2層目
3 第二層
3a 第二層の1層目
3b 第二層の2層目
4 陰極箔
本発明は、アルミニウム箔の表面に、金属及びその窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物(以下、金属及びその化合物)のうちの少なくとも一種からなる第一層と、第一層の上に、金属及びその化合物のうちの少なくとも一種からなる第二層を、形成し、第一層が第二層よりも緻密な構造であることを特徴とする。
さらに本発明は前記記載の発明において、アルミニウム箔の表面に形成する第一層を構成する、金属及びその化合物のうちの少なくとも一種からなるものの比表面積が0.1〜50m/gで、空隙率が45%以下であることを特徴とする。
さらに本発明は前記記載の発明において、第一層及び第二層における金属が、チタンであることを特徴とする。
チタン,窒化チタン,炭化チタン,炭窒化チタン及び酸化チタン(以下、チタン及びその化合物)は、誘電率が高いため静電容量が高くなり、かつ、耐水和性に優れていることから、第一層及び第二層における金属をチタンとすることを発明の特徴とするものである。しかし、第一層及び第二層における金属は、必ずしもチタンに限定されるものではない。アルミニウムよりも誘電率が高く、かつ、耐水和性に優れている金属及びその化合物であれば、第一層及び第二層を形成するのに用いることは可能であり、例えば、タンタル,ハフニウム,ニオブ,ジルコニウム,バナジウム等の金属及びこれらの窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物が挙げられる。
また、本発明は前記記載の発明において、第一層及び/または第二層が複数の層から構成されていることを特徴とする。
本発明においては、アルミニウム箔の表面にチタン及びその化合物のうちの少なくとも一種からなる構造が異なる層を二層形成するが、そのうちアルミニウム箔の表面に形成する第一層を、第一層の上に形成する第二層よりも緻密な構造(比表面積0.1〜50m /g、空隙率45%以下)とすることで、駆動用電解液中の水がアルミニウム箔の表面に接することが妨げられ水和反応が抑制されるとともに、基材であるアルミニウム箔と第一層との密着性も高まることから、耐水和性に優れるという効果が得られ、なおかつ第一層の上に空隙や凹凸が多い第二層を形成することで、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔として使用した際に、陽極箔の静電容量の増加をコンデンサの静電容量の増加に反映させるのに足るほどの高い静電容量になるという効果が得られる。すなわち、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔に要求される二つの機能を分割し、まずアルミニウム箔の表面に水和抑制という機能を有した第一層を形成し、次いでその第一層の上に静電容量増大という機能を有した第二層を形成することで、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔を提供することができる。
なお、チャンバー内の圧力が3.0×10−1Paを超えない範囲内で適宜、窒素ガス,アルゴンガス,メタンガス,酸素ガスを流しながら第一層2の形成を行なってもよい。これは、第一層2の形成に用いることができるものは必ずしもチタンに限定されるのではなく、チタン及びその窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物のうちの少なくとも一種からなるものであれば用いることができるのであり、チタンだけからなる層以外の層を形成する場合には、窒素ガスなどの雰囲気下で行なうことになるため、窒素ガスなどを流しながら第一層2を形成してもよいのである。なお、例えば、窒化物を含有する層を形成するのであれば、窒素ガス雰囲気中の他にアンモニアガス雰囲気中で行なってもよく、また炭化物を含有する層を形成するのであれば、メタンガス雰囲気中の他にアセチレンガス雰囲気中で行なってもよいなど、チャンバー内におけるガスの雰囲気は必ずしもここで列挙したものに限定されるものではない。
陰極箔4
以上の工程により、図1及び図2のように、まずアルミニウム箔1の表面に、第二層3よりも緻密な構造(比表面積0.1〜50m /g、空隙率45%以下)をした第一層2が形成され、ついで第一層2の上に、空隙や凹凸が多い構造をした第二層3が形成されることで、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔4を提供することができる。また、図3及び図4のように、まずアルミニウム箔1の表面に、第一層の1層目2aを形成し、第一層の1層目2aの上に第一層の2層目2bを形成、ついで第一層の2層目2bの上に、第二層の1層目3aを形成し、第二層の1層日3aの上に第二層の2層目3bを形成することで、第一層と第二層が各1層ずつのものよりも、さらに耐水和性に優れ、かつ、さらに静電容量が高いアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔4を提供することができる。
比較
前記実施例1の第一層の形成工程において、窒素ガスを流しながらチャンバー内の圧力を3.2×10−1Paにして行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
比較
前記実施例1の第一層の形成工程において、窒素ガスを流しながらチャンバー内の圧力を4.4×10−1Paにして行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
(比較例
前記実施例1の第一層の形成工程において、窒素ガスを流しながらチャンバー内の圧力を5.1×10−1Paにして行なったことを除いては、実施例1と同様にして作製した。
(比較例
前記実施例3において、第一層の形成工程のみ行ない、第二層の形成工程は行なわなかった。
(比較例
前記比較例において、第一層の形成工程のみ行ない、第二層の形成工程は行なわなかった。
第一層の構造を解明するために、実施例1から及び比較例1から3について、第一層の形成工程が終了し、チャンバーを大気開放して陰極箔を取り出した際、その一部を切り出して、以下の2つの試験に供した。なお、本発明を実施するための形態である実施例と言えるためには、第二層よりも緻密な構造をした第一層の上に空隙や凹凸が多い構造をした第二層を形成しなければならないが、以下の2つの試験に供さなかった部分について引き続き第二層の形成工程を行ない、それぞれ実施例及び比較例とした。
第一層の空隙率
本発明における空隙率は、空隙がない部分には厚さが均一な層がアルミニウム箔の両面に形成されるが、空隙がある部分にはまったく層は形成されない、との仮定のもとに定めたものである。よって、まず、走査型電子顕微鏡(日本電子製、電界放出形走査電子顕微鏡、JSM−7401F)で断面画像を観察し、計測したそれぞれの第一層の厚さから、空隙がまったくない層が形成されたときの第一層の重量を求めた。そして次に、原子吸光分析法により実際の第一層の付着量を計測した。この実際の第一層の付着量と空隙がまったくない層が形成されたときの第一層の重量より、空隙率を求めた。なお、実施例1から及び比較例1から3においては、第一層に窒化チタンが含まれていてもごく微量であったため、ここでは第一層はチタンのみからなるものとした。以上のことを数式で表すと、式(3)のようになる。ただし、式(3)において、P1は第一層の空隙率、t1は走査型電子顕微鏡にて計測した第一層の厚さ、W1は原子吸光分析法により計測した実際の第一層の付着量とする。
次に、実施例1から及び比較例1からについて、以下の陰極箔に関する特性試験を行なった。なお、実施例1から及び比較例1から3については、第二層の形成工程まで行なったものを用いた。
実施例及び比較例における、第一層及び第二層の作製条件、及び第一層の構造に関する結果を表1に、陰極箔の特性に関する結果を表2に、それぞれ示す。なお、比較例及びの第一層の構造については、それぞれ実施例3及び比較例と第一層の作製条件が同じであることから、参考値として括弧書きで、実施例3及び比較例の値をそれぞれ表1に記載した。
比較例より、比表面積が小さく空隙率が低い緻密な構造をした層のみをアルミニウム箔の表面に形成しただけでは、静電容量の変化率が低く耐水和性は良好であったが、静電容量は低かった。一方、比較例より、比表面積が大きく空隙率が高い構造をした層のみをアルミニウム箔の表面に形成しただけでは、静電容量は高かったが、静電容量の変化率が高く耐水和性は良くなかった。以上の結果より、アルミニウム箔の表面に1種類の構造の層を形成しただけでは、本発明の目的である、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高いコンデンサ用陰極箔を作製することはできないことがわかった。
第一層の作製条件を変化させて第二層まで形成した実施例1から及び比較例1から3より、アルミニウム箔の表面に比表面積が小さく空隙率が低い緻密な構造をした第一層を形成し、その第一層の上に、第一層よりも比表面積が大きく空隙率が高い構造をした第二層を形成することで、耐水和性に優れ、かつ、静電容量が高い陰極箔を作製することができることがわかった。そして特に、第一層の構造として、比表面積が0.1〜50m /g、空隙率が45%以下であることが好ましく、より好ましくは比表面積が2.5〜50m /g、空隙率が1.0〜45%、さらにより好ましくは比表面積が2.5〜25m /g、空隙率が1.0〜35%であることがわかった。

Claims (4)

  1. アルミニウム箔の表面に、金属及びその窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物のうちの少なくとも一種からなる第一層と、前記第一層の上に、金属及びその窒化物,炭化物,炭窒化物,酸化物のうちの少なくとも一種からなる第二層を、形成し、前記第一層は前記第二層よりも緻密な構造であることを特徴とする、アルミニウム電解コンデンサ用陰極箔。
  2. 前記第一層の比表面積が0.1〜50m/gで、空隙率が45%以下である、請求項1に記載のアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔。
  3. 前記第一層及び/または前記第二層における金属がチタンである、請求項1または2に記載のアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔。
  4. 前記第一層及び/または前記第二層が複数の層から構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のアルミニウム電解コンデンサ用陰極箔。
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