JP2011146553A - フィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極膜を薄膜化しても高温高湿下での経年劣化を十分に抑制できるようにしたフィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】第1巻出巻取ローラ2から冷却ドラム3を介して第2巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを搬送しつつ、プラズマ発生ユニット6によりフィルム状基材aの表面にプラズマ処理を施す前プラズマ工程を行う。次に、第2巻出巻取ローラ2から第1巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを搬送しつつ、成膜ユニット5によりフィルム基材aのプラズマ処理面に電極膜を形成する成膜工程を行う。最後に、第1巻出巻取ローラ2から第2巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを搬送しつつ、プラズマ発生ユニット6により電極膜にプラズマ処理を施す後プラズマ工程を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘電体から成るフィルム状基材の表面に金属から成る電極膜を形成したフィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法に関する。
フィルムコンデンサは、誘電体から成るフィルム状基材の表面に金属から成る電極膜を形成した金属化フィルムを積層又は巻回して形成される。ここで、近年、フィルムコンデンサはハイブリッド電気自動車での利用が盛んになっており、フィルムコンデンサの高静電容量化や小型化、更には、自己回復性(誘電体の局部に破壊が生じ電極膜に短絡が起きたときに、短絡電流によって電極膜が部分的に消失して絶縁回復する機能)が要求されている。そのため、フィルムコンデンサ用の金属化フィルムの電極膜の薄膜化が進んできており、膜厚をシート抵抗値換算で現在の10Ω/□前後から30Ω/□前後にした電極膜が必要とされている。
然し、ハイブリッド電気自動車用等の高温高湿の環境下で使用されるフィルムコンデンサでは、電極膜の膜厚が薄くなるのに伴い、経年劣化による電極膜の抵抗値の上昇と有効面積の低下が顕著になり、その結果、フィルムコンデンサの静電容量の低下を招き、製品の品質劣化を起こす問題が起きている。
ところで、従来、フィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法として、フィルム状基材の表面にプラズマ処理を施してから、フィルム状基材のプラズマ処理面に電極膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。このものでは、フィルム状基材と電極膜との密着性が向上し、耐電流性を確保した上で電極膜の薄膜化を図ることができるとしている。
また、本願発明者が試験したところ、上記方法で製造した金属化フィルムは、高温高湿下での経年劣化をある程度抑制できることが判明した。然し、電極膜を薄膜化した場合の経年劣化を十分に抑制できるには至っていない。
特開2008−115417号公報 特開2007−300126号公報
本発明は、以上の点に鑑み、電極膜を薄膜化しても高温高湿下での経年劣化を十分に抑制できるようにしたフィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するために、本発明のフィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法は、誘電体から成るフィルム状基材の表面にプラズマ処理を施す前プラズマ工程と、フィルム状基材のプラズマ処理面に金属から成る電極膜を形成する成膜工程と、電極膜の表面にプラズマ処理を施す後プラズマ工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、前プラズマ工程を行うことにより、フィルム状基材から水分等の不純物が除去され、その後の成膜工程でフィルム状基材に形成される電極膜の密着性が向上する。そのため、電極膜を薄膜化しても膜割れが生じにくくなり、自然酸化が抑制される。更に、本発明では、後プラズマ工程を行うことにより、電極膜の表面が改質される。その結果、電極層を薄膜化しても、高温高湿下での経年劣化による電極膜の抵抗値の上昇を十分に抑制できるようになる。従って、本発明の方法で製造した金属化フィルムを用いることにより、高静電容量と高い自己回復性を有し、且つ、高温高湿下での耐久性に優れた高品質のフィルムコンデンサを得ることができる。
尚、後プラズマ工程でのプラズマ処理は、雰囲気ガスとして酸素と窒素との少なくとも一方を含む雰囲気下で行われることが望ましい。これによれば、電極膜の表面に金属酸化物や金属窒化物から成る改質層が形成され、高温高湿下での耐久性が一層向上する。
また、本発明においては、真空チャンバ内に、第1と第2の一対の巻出巻取ローラと、両巻出巻取ローラ間でフィルム状基材を巻回する冷却ドラムと、フィルム状基材を巻回する冷却ドラムの周面部分に対向するように配置される成膜ユニットと、冷却ドラムと第1の巻出巻取ローラとの間と、冷却ドラムと第2の巻出巻取ローラとの間との少なくとも一方に配置されるプラズマ発生ユニットとを収納した真空巻取成膜装置を用い、第1の巻出巻取ローラから第2の巻出巻取ローラにフィルム状基材を搬送しつつ、プラズマ発生ユニットを作動させて前プラズマ工程を実行し、次に、第2の巻出巻取ローラから第1の巻出巻取ローラにフィルム状基材を搬送しつつ、成膜ユニットを作動させて成膜工程を実行し、次に、第1の巻出巻取ローラから第2の巻出巻取ローラにフィルム状基材を搬送しつつ、プラズマ発生ユニットを作動させて後プラズマ工程を実行することが望ましい。
また、上記の如く真空巻取成膜装置を用いて金属化フィルムを製造する場合は、プラズマ発生ユニットとして、フィルム状基材が通過する一対のスリット状開口部と、雰囲気ガスの導入口とを有する箱体内に、フィルム状基材を挟んで対向するように一対のカソード電極を配置して成るものを用いることが望ましい。これによれば、前後のプラズマ工程において、電極膜を形成するフィルム状基材の面とは反対の面(裏面)にもプラズマ処理が施されて、フィルム状基材の裏面から不純物が除去される。従って、各巻出巻取ローラにフィルム状基材が巻取られて、電極膜にフィル状基材の裏面が接触したときに、電極膜が不純物で汚染されることを防止できる。
本発明の実施形態の製造方法の実施に用いる真空巻取成膜装置を示す断面図。 図1の装置のプラズマ発生ユニットの部分の拡大断面図。 金属化フィルムの模式的断面図。
図1は、フィルムコンデンサ用の金属化フィルムを製造する真空巻取成膜装置を示している。尚、金属化フィルムは、図3に示す如く、フィルム状基材aの表面にアルミニウム等の金属から成る電極膜bを形成したものである。フィルム状基材aは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PEN)、ポリプロピレン(PP)等の誘電体から成り、その厚さは1〜10μmである。
真空巻取成膜装置は、油拡散ポンプ等の真空ポンプ(図示省略)に接続される複数の排気口1a,1b,1cを有する真空チャンバ1を備えている。真空チャンバ1内には、第1と第2の一対の巻出巻取ローラ2,2と、両巻出巻取ローラ2,2間に位置する冷却ドラム3と、冷却ドラム3と各巻出巻取ローラ2,2との間に位置する複数のガイドローラ4とが収納されている。そして、フィルム状基材aを、冷却ドラム3の周面に所定の抱き角で巻回させた状態で、第1と第2の両巻出巻取ローラ2,2の一方から他方に搬送するようにしている。尚、冷却ドラム3は、その内部に流す冷却媒体により周面が冷却されるようになっている。
また、真空チャンバ1内には、フィルム状基材aを巻回する冷却ドラム3の周面部分に対向するように成膜ユニット5が配置され、更に、冷却ドラム3と第1の巻出巻取ローラ2との間にプラズマ発生ユニット6が配置されている。また、真空チャンバ1内には、電極膜bの膜厚を測定するための渦電流センサ7が設けられると共に、成膜ユニット5を配置した空間を真空チャンバ1内の他の空間と仕切る仕切り板8が設けられている。
成膜ユニット5は、ルツボ51に収納したアルミニウム等の金属材料を電子銃52からの電子ビーム52aで加熱蒸発させるEB蒸着方式のものである。尚、成膜ユニット5として、抵抗加熱蒸着方式、誘導加熱蒸着方式、スパッタ方式等のEB蒸着方式以外のものを用いることも可能である。
プラズマ発生ユニット6は、図2に示す如く、フィルム状基材aが通過する一対のスリット状開口部61a,61bを形成した導電性の箱体61内に、フィルム状基材aを挟んで対向するように円筒状の一対のカソード電極62,62を配置したものである。そして、箱体61内に、これに形成したガス導入口63から雰囲気ガスを導入し、カソード電極62に直流又は交流を印加し、雰囲気ガス中で放電させてプラズマpを発生させることにより、フィルム状基材aや電極膜bに電子、イオンを照射するプラズマ処理を行う。
尚、雰囲気ガスとしては、Ar(アルゴン)、O(酸素)、N(窒素)、He(ヘリウム)、CF(四フッ化炭素)、CO(二酸化炭素)、CH(メタン)、C(アセチレン)の中から選ばれた1種類のガス又は2種類以上の混合ガスを用いることができる。また、カソード電極62の内部や周囲に図示省略したマグネットを配置して、雰囲気ガス中でマグネトロン放電やぺニング放電させるが、放電形式はこれに限定されない。また、カソード電極62は平板状であってもよい。
金属化フィルムを製造する際は、先ず、第1の巻出巻取ローラ2から第2の巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを搬送しつつ、プラズマ発生ユニット6を作動させて、フィルム状基材aの表面にプラズマ処理を施す前プラズマ工程を実行する。次に、第2の巻出巻取ローラ2から第1の巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを搬送しつつ、成膜ユニット5を作動させて、フィルム状基材aのプラズマ処理面に電極膜bを形成する成膜工程を実行する。次に、第1の巻出巻取ローラ2から第2の巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを搬送しつつ、プラズマ発生ユニット6を作動させて、電極膜bの表面にプラズマ処理を施す後プラズマ工程を実行する。尚、成膜工程では、渦電流センサ7で電極膜bの膜厚をモニターして基板搬送速度を調整することにより、所定の膜厚の電極膜bを形成する。
ところで、冷却ドラム3と第2の巻出巻取ローラ2との間にもプラズマ発生ユニットを配置し、第1の巻出巻取ローラ2から第2の巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを搬送しつつ、冷却ドラム3と第1の巻出巻取ローラ2との間に配置したプラズマ発生ユニット6と、成膜ユニット5と、冷却ドラム3と第2の巻出巻取ローラ2との間に配置したプラズマ発生ユニットとを作動させて、前プラズマ工程と成膜工程と後プラズマ工程とを連続して行うことも考えられる。然し、電極膜bを薄膜化するには、成膜工程時の基材搬送速度をかなり速くすることが必要になり、一方、前後のプラズマ工程において、フィルム状基材aに損傷を与えないような強度で所要のプラズマ処理を施すには、基材搬送速度を遅くせざるを得ない。そのため、前プラズマ工程と成膜工程と後プラズマ工程とを上記の如く別々に行い、各工程で基板搬送速度を変更する必要がある。また、成膜ユニット5がEB蒸着方式のものであると、フィルム状基材aが帯電する。そのため、成膜工程時に、プラズマ発生ユニット6を作動させて、除電処理を行うようにしている。
本実施形態によれば、前プラズマ工程を行うことにより、フィルム状基材aから水分等の不純物が除去され、その後の成膜工程でフィルム状基材aに形成される電極膜bの密着性が向上する。そのため、電極膜bを薄膜化しても膜割れが生じにくくなり、自然酸化が抑制される。更に、後プラズマ工程を行うことにより、電極膜bの表面が改質される。その結果、電極層bの膜厚を10nm程度に薄膜化しても、高温高湿下での経年劣化による電極膜bの抵抗値の上昇を十分に抑制できる。従って、本実施形態の如く製造した金属化フィルムを用いることにより、高静電容量と高い自己回復性を有し、且つ、高温高湿下での耐久性に優れた高品質のフィルムコンデンサを得ることができる。特に、後プラズマ工程を雰囲気ガスとして酸素と窒素との少なくとも一方を含む雰囲気下で行えば、電極膜bの表面に金属酸化物や金属窒化物から成る改質層が形成され、高温高湿下での耐久性が一層向上する。
また、後プラズマ工程において、フィルム状基材aが第1の巻出巻取ローラ2から第2の巻出巻取ローラ2に冷却ドラム3を介して搬送されることになり、成膜工程で加熱されたフィルム状基材aの冷却を冷却ドラム3により促進することができる。従って、後プラズマ工程後、金属化フィルムを真空チャンバ1から取出すまでに要する冷却のための待ち時間を短縮することができ、生産性が向上する。
また、本実施形態では、プラズマ発生ユニット6として、フィルム状基材aを挟むようにして対向する一対のカソード電極62,62を有するものを用いているため、前後のプラズマ工程において、電極膜bを形成するフィルム状基材aの面とは反対の面(裏面)にもプラズマ処理が施されて、フィルム状基材aの裏面から不純物が除去される。従って、第1と第2の各巻出巻取ローラ2,2にフィルム状基材aが巻取られて、電極膜bにフィル状基材aの裏面が接触したときに、電極膜bが不純物で汚染されることを防止できる。
ところで、本実施形態では、冷却ドラム3と第1の巻出巻取ローラ2との間にプラズマ発生ユニット6を配置しているが、成膜工程で帯電せず、その後の除電処理が不要であるなら、冷却ドラム3と第2の巻出巻取ローラ2との間にプラズマ発生ユニットを配置してもよい。また、冷却ドラム3と第1の巻出巻取ローラ2との間と、冷却ドラム3と第2の巻出巻取ローラ2との間との双方にプラズマ発生ユニットを配置し、前プラズマ工程と後プラズマ工程を夫々両プラズマ発生ユニットで行うようにしてもよく、一方のプラズマ発生ユニットで前プラズマ工程を行い、他方のプラズマ発生ユニットで後プラズマ工程を行うようにしてもよい。
(実施例1)
図1の真空巻取成膜装置を用い、真空チャンバ1内を4.7×10−3Paまで真空引きした後に、第1の巻出巻取ローラ2から第2の巻出巻取ローラ2にフィルム状基材a(材質PP、厚さ12μm、幅220mm)を3.0m/minの速度で搬送しつつ、プラズマ発生ユニット6に雰囲気ガスとして酸素を300sccmの流量で導入すると共に、カソード電極62に直流電圧を印加し、電流0.1A、電圧250Vの条件でフィル状基材aの表面にプラズマ処理を施す前プラズマ工程を行った。次に、第2の巻出巻取ローラ2から第1の巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを搬送しつつ、成膜ユニット5のルツボ51内のアルミ材料(純度99.9%)をパワー5.8kWの電子ビーム52aで加熱し、成膜時の圧力1.0〜1.4×10−2Pa、冷却ドラム3とルツボ51間の距離275mm、基材張力24.5N、冷却ドラム3の周面温度20℃の条件で、フィルム状基材aのプラズマ処理面にアルミ材料から成る電極膜bを形成する成膜工程を行った。電極膜bの膜厚は、渦電流センサ7でモニターして基板搬送速度を調整することにより、20nm、10nmになるようにした。尚、基材搬送速度は、膜厚20nmの電極膜bを形成する場合に48m/min程度、膜厚10nmの電極膜bを形成する場合に80m/min程度になった。また、成膜工程では、プラズマ発生ユニット6により除電処理を行った。最後に、第1の巻出巻取ローラ2から第2の巻出巻取ローラ2にフィルム状基材aを3.0m/minの速度で搬送しつつ、プラズマ発生ユニット6に雰囲気ガスとして窒素を300sccmの流量で導入すると共に、カソード電極62に直流電圧を印加し、電流0.1A、電圧230Vの条件で電極膜bの表面にプラズマ処理を施す後プラズマ工程を行い、金属化フィルムのサンプルを製造した。
また、同一のバッチ内で、上記と同一条件で成膜工程のみを行ったサンプルと、上記と同一の条件で前プラズマ工程と成膜工程とを行ったサンプルと、上記と同一の条件で成膜工程と後プラズマ工程とを行ったサンプルを製造した。そして、高温高湿下での劣化を加速するため、各サンプルを恒温恒湿炉の中に入れ、温度40℃、湿度90%の状態で30日間維持して、各サンプルのシート抵抗値Rsの変化を測定した。Rsは四端子法で測定した。電極膜bの膜厚を20nmにした場合の結果を下記表1に示し、10nmにした場合の結果を下記表2に示す。
表1
Figure 2011146553
表2
Figure 2011146553
表1と表2の比較から、高温高湿下での経年劣化によるRsの上昇が電極膜bを薄膜化するほど顕著になることが分かる。そして、電極膜bの膜厚が10nmと薄膜化した場合、前プラズマ工程と後プラズマ工程とを省略したサンプルでは、Rsが30日間で104.1%も上昇した。また、後プラズマ工程を省略したサンプルでは、Rsが30日間で55.1%上昇し、前プラズマ工程を省略したサンプルでは、Rsが30日間で53.9%上昇した。これに対し、前プラズマ工程と後プラズマ工程との両者を行ったサンプルでは、Rsが30日間で26.4%しか上昇していない。従って、前プラズマ工程及び後プラズマ工程を行うことにより、電極膜bを薄膜化しても高温高湿下での経年劣化を十分に抑制できることが分かる。
尚、表2から明らかなように、電極膜bを薄膜化した場合、前プラズマ工程を行ったサンプルでは、成膜直後のRsが前プラズマ工程を省略したサンプルよりも大幅に低くなっている。これは、前プラズマ工程でフィルム状基材aの表面から不純物が除去され、電極膜bの密着性が向上して、膜割れによるRsの増加が抑制されるためである。
(実施例2)
実施例1と同様にフィルム状基材a(材質PP、厚さ5μm、幅200mm)の表面にプラズマ発生ユニット6によりプラズマ処理を施す前プラズマ工程を行った後、成膜ユニット5によりフィルム状基材aのプラズマ処理面にアルミ材料から成る電極膜bを形成する成膜工程を行い、最後に、プラズマ発生ユニット6により電極膜bの表面にプラズマ処理を施す後プラズマ工程を行った。成膜時の圧力は5.0〜6.0×10−3Pa、冷却ドラム3とルツボ51間の距離は280mmとし、渦電流センサ7でモニターして基板搬送速度を調整することにより、電極膜bの膜厚が10nmになるようにした。前プラズマ工程及び後プラズマ工程は、雰囲気ガスを300sccmの流量で導入すると共に、カソード電極62に直流を電流0.4A、電圧250〜300Vの条件で印加して行った。そして、前プラズマ工程及び後プラズマ工程で使用する雰囲気ガスとして、アルゴンを用いたサンプルと、酸素を用いたサンプルと、窒素を用いたサンプルと、ヘリウムを用いたサンプルと、四フッ化炭素を用いたサンプルと、二酸化炭素を用いたサンプルとを作成した。また、比較例として、上記と同一条件で成膜工程のみを行ったサンプルも作成した。
その後、各サンプルを恒温恒湿炉の中に入れ、温度40℃、湿度90%の状態で30日間維持して、各サンプルのシート抵抗値Rsの変化を測定した。Rsは四端子法で測定した。その結果を下記表3に示す。
表3
Figure 2011146553
Rsの変化率は、雰囲気ガスとして上記何れのガスを用いても、前プラズマ工程と後プラズマ工程とを省略したものより低くなっている。尚、Rsの30日経過時点での上昇率は、アルゴン、四フッ化炭素、二酸化炭素を用いた場合、80%を上回るのに対し、酸素を用いた場合は42.2%、窒素を用いた場合は33.4%と大幅に低下している。これは、電極膜bの表面に酸化アルミ、窒化アルミから成る改質層が形成され、高温高湿下での耐久性が一層向上したためである。このことから、後プラズマ工程でのプラズマ処理は、雰囲気ガスとして酸素と窒素との少なくとも一方を含む雰囲気下で行うとよいことが分かる。
a…フィルム状基材、b…電極膜、1…真空チャンバ、2…第1の巻出巻取ローラ、2…第2の巻出巻取ローラ、3…冷却ドラム、5…成膜ユニット、6…プラズマ発生ユニット、61…箱体、61a,61b…スリット状開口部、62…カソード電極、63…ガス導入口。

Claims (4)

  1. 誘電体から成るフィルム状基材の表面にプラズマ処理を施す前プラズマ工程と、フィルム状基材のプラズマ処理面に金属から成る電極膜を形成する成膜工程と、電極膜の表面にプラズマ処理を施す後プラズマ工程とを有することを特徴とするフィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法。
  2. 前記後プラズマ工程でのプラズマ処理は、雰囲気ガスとして酸素と窒素との少なくとも一方を含む雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1記載のフィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法。
  3. 真空チャンバ内に、第1と第2の一対の巻出巻取ローラと、両巻出巻取ローラ間でフィルム状基材を巻回する冷却ドラムと、フィルム状基材を巻回する冷却ドラムの周面部分に対向するように配置される成膜ユニットと、冷却ドラムと第1の巻出巻取ローラとの間と、冷却ドラムと第2の巻出巻取ローラとの間との少なくとも一方に配置されるプラズマ発生ユニットとを収納した真空巻取成膜装置を用い、
    第1の巻出巻取ローラから第2の巻出巻取ローラにフィルム状基材を搬送しつつ、プラズマ発生ユニットを作動させて前記前プラズマ工程を実行し、
    次に、第2の巻出巻取ローラから第1の巻出巻取ローラにフィルム状基材を搬送しつつ、成膜ユニットを作動させて前記成膜工程を実行し、
    次に、第1の巻出巻取ローラから第2の巻出巻取ローラにフィルム状基材を搬送しつつ、プラズマ発生ユニットを作動させて前記後プラズマ工程を実行することを特徴とする請求項1又は2記載のフィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法。
  4. 前記プラズマ発生ユニットとして、フィルム状基材が通過する一対のスリット状開口部と、雰囲気ガスを導入するガス導入口とを有する箱体内に、フィルム状基材を挟んで対向するように一対のカソード電極を配置して成るものを用いることを特徴とする請求項3記載のフィルムコンデンサ用金属化フィルムの製造方法。
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