JP5045513B2 - 巻取式真空蒸着方法および装置 - Google Patents
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Description
図3において、耐熱性と熱容量の大きい材料から構成される坩堝1内に挿入された蒸発材料2に高エネルギーの電子線を照射させることで前記蒸発材料を加熱、蒸発させることができる。巻出ロール3から巻出されたフィルム基材4は成膜ドラム5へ搬送される。フィルム基材4は、成膜室6内で蒸発材料2がフィルム基材4上に薄膜積層され、成膜ドラム5から離れた後に巻取ロール7によって巻き取られる。成膜ドラム5にはフィルム基材4から、蒸発過程で生じた熱によって発生する放出ガス及び坩堝1および蒸発材料2から放射される熱線によって基材が変形するのを抑制するために通常0℃〜−20℃近辺にまで冷却調整される。さらに、蒸発過程において成膜室内蒸発中に酸素や窒素などの反応性ガスを導入することにより酸化物や窒化物のセラミックス薄膜を形成することができる。
前記フィルム基材が成膜ドラムに密着する近傍の成膜ドラムの内部、および、前記フィルム基材が成膜ドラムから剥離する近傍の成膜ドラム内部に、それぞれ永久磁石を設置するとともに、前記成膜ドラムの対極をチャンバー外壁とし、前記成膜ドラムに40KHz〜100KHzの高周波電位を印加する
ことを特徴とする巻取式真空蒸着方法である。
前記フィルム基材が成膜ドラムに密着する近傍の成膜ドラムの内部、および、前記フィルム基材が成膜ドラムから剥離する近傍の成膜ドラム内部に、それぞれ永久磁石を設置するとともに、前記成膜ドラムの対極がチャンバー外壁であり、前記成膜ドラムに40KHz〜100KHzの高周波電位を印加する
ことを特徴とする巻取式真空蒸着装置である。
特に、成膜ドラムに40KHz〜100KHzの高周波電位を印加ことにより、安定した連続放電により高周波電位を成膜ドラムに印加できる。また、成膜ドラムからフィルム基材が剥離する箇所の圧力帯域を10−1Pa以下としたことにより、適正な放電を維持しつつ、成膜圧力を低く抑え不純物が混入しない環境を整備することが可能となる。
図1は本発明の実施の形態による巻取式真空蒸着装置の一例を示す概略断面図である。
なお、図1に示す従来例と共通の構成は同一符号を付して説明する。
一般的な分離において、100KHz以上の高周波を用いた放電(以下高周波放電)と、それ以下の周波数において放電する(以下、低周波放電という)がある。
低周波放電とは、放電空間において電子衝突電離(α効果)と、電極での荷電粒子の衝突による二次電子放出(γ効果)によって放電が維持するものをいい、半周期ごとに極性が切り変わる直流放電的な振舞を示すため、著しい低周波放電(40KHz以下)では、不連続な放電状態になる場合がある(例えば、河合良信著 最新プラズマ発生技術(アイピーシー) P62参照)。
よって、40KHz〜100KHzの高周波帯では、複雑な整合回路を必要としない。
この結果、本実施の形態では、成膜ドラム5への印加電圧に40〜100KHzの高周波を用いる。
まず、2枚の平行電極の間隔をd、内部の圧力をPとし、電極の間に電圧Vsをかけた
ときに、放電を開始する電圧は、P×dの項に対して極小値を持つ。これは、Pを下げると電子の平均自由工程が長くなり、電界による加速が大きく、衝突電離が盛んになるためであるが、ある所まで平均自由工程が長くなると、逆に電極間で電子の衝突回数が減少するために、衝突電離が不活発となり、放電開始電圧は再び上昇する。
一般に、マグネトロンを用いた放電においては、電子が磁石の効果によって電極間に捕捉されるために、衝突回数が増え、圧力が低くても放電が維持できる。
また、一般に蒸着プロセスにおいて、高密度の膜を形成するためには、成膜圧力を低く抑え不純物が混入しない環境を整備する必要があるため、蒸着プロセスに隣接する剥離放電抑制プロセスにおいても極力低圧力下での放電が望ましい。
まず、実施例1として、フィルム基材として12μmの厚みを有するPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを選定し、加速電圧40kV、5kWの電子ビームを酸化ケイ素塊に照射し昇華・蒸発させた環境下に、酸素ガスを導入し、60m/minの速さでフィルム基材上にシリカ薄膜を形成した。
成膜ドラムにサマリム−コバルト合金からなる永久磁石13a及び13bを、図2に示すように、内部のS極17をヨーク18を介してN極16で包囲するような形で配置し、成膜ドラムに40kHzの高周波を印加しながら膜形成を行った。ここで、成膜ドラムの表面近傍の磁力をガウスメータにて測定したところ約200ガウスであり、蒸着膜厚は約40nmであった。
次に、比較例1として、フィルム基材として12μmの厚みを有するPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを選定し、加速電圧40kV、5kWの電子ビームを酸化ケイ素塊に照射し昇華・蒸発させた環境下に、酸素ガスを導入し、60m/minの速さでフィルム基材上にシリカ薄膜を形成した。
図1に示す永久磁石13a及び13bは取り除き、フィルム走行面(蒸着裏面)と成膜ロールの間のエリアに剥離面に向けて噴射するように固定された直径6mmのPEFE製のチューブを配置し、直径1mm、ピッチ10mmの気体噴出孔から2×10−4m3/minのアルゴンガスを導入しながら膜形成を行った。蒸着膜厚は実施例1と同様に約40nmであった。
比較例2として、永久磁石13aを取り除いた以外は、実施例1と同様な条件で膜形成を行った。
比較例3として、比較例1と同様の装置で、気体噴出孔に水蒸気およびアルゴンガスを導入しない条件で成膜を実施し評価した。
(1)シリカ薄膜酸素透過率:モダンコントロール社製酸素透過度測定器(MOCONOXTRAN)用いて40°C−90%RH雰囲気下にてフィルムを測定する。
(2)シリカ薄膜のピンホール:薄膜面側から強浸透性の液体を噴霧し、浸透させ裏面に滲出したかを目視にて観察する。
(3)フィルムの巻姿:巻き取られた原反を目視にて観察、皺が要因で発生するゲージバンドや巻取張力不安定により発生する蛇行による巻きズレ量を定規にて測定する。
(4)フィルムの裏面傷:巻取成膜された原反を巻き剥がし、成膜されたフィルムの巻取方向での縦傷を目視にて観察する。
(5)シリカ成膜中の圧力:熱陰極電離真空計(イオンゲージ)を用いてシリカ蒸着中の成膜室及び、巻取室の圧力を観察する。
(6)成膜ドラム表面の皺:覗き窓よりフィルム皺を目視にて観察する。
この要因は、大量に蓄積された静電気力が強い放電発光を伴いながら瞬間的にエネルギーを放出しフィルムを弛ませたことにより、張力の制御が間に合わずフィルムが上下に波を打つ挙動を引き起こしたため、皺が発生したと考えられる。
この要因としては、金属酸化物の膜物性(特に水蒸気遮断性)を向上させるためには、成膜室内の圧力を極力下げればよい傾向があり、今回の評価結果においても、前述の傾向が確認され、不活性ガスのみを大量に導入し、放電開始電圧を下げることで易剥離を実現した場合に比べて、放電に必要な最小ガス流量に絞ったほうが、より成膜室内の圧力上昇を抑えることが可能なため、ガス遮断性能が向上したものと考えられる。
一般に蓄積された静電エネルギーを無理なく放出するためには、剥離するエリア近傍の圧力を数Paレベルに上昇させる必要がある。しかし、通常の不活性ガスを導入すると成膜室の圧力も上昇してしまうために成膜環境に多大な影響を与えてしまう(一般に成膜室の圧力が上昇すると、蒸発された分子の平均自由工程が小さくなり、基材フィルムに衝突するエネルギーが小さくなり、基材に対して密着不良が起こる。また、密度が疎(ポーラス)な膜になるために、膜の機能が失われることが多い)。
さらに、従来、フィルムの裏面の帯電を除去するために必要であったガス導入パイプや筒状の放電電極の必要性もなくなり、これによりフィルムの裏面が擦れて著しい傷をつけたりすることを抑制することが可能となる。
Claims (6)
- 真空中においてフィルム基材を巻き出し、成膜ドラム上を走行する前記フィルム基材に金属酸化物を蒸着し、前記金属酸化物が蒸着したフィルム基材を巻き取る巻取式真空蒸着方法であって、
前記フィルム基材が成膜ドラムに密着する近傍の成膜ドラムの内部、および、前記フィルム基材が成膜ドラムから剥離する近傍の成膜ドラム内部に、それぞれ永久磁石を設置するとともに、前記成膜ドラムの対極をチャンバー外壁とし、前記成膜ドラムに40KHz〜100KHzの高周波電位を印加する
ことを特徴とする巻取式真空蒸着方法。 - 前記成膜ドラムからフィルム基材が剥離する箇所の圧力帯域が10−1Pa以下であることを特徴とする請求項1に記載の巻取式真空蒸着方法。
- 真空中においてフィルム基材を巻き出し、成膜ドラム上を走行する前記フィルム基材に金属酸化物を蒸着し、前記金属酸化物が蒸着したフィルム基材を巻き取る巻取式真空蒸着装置であって、
前記フィルム基材が成膜ドラムに密着する近傍の成膜ドラムの内部、および、前記フィルム基材が成膜ドラムから剥離する近傍の成膜ドラム内部に、それぞれ永久磁石を設置するとともに、前記成膜ドラムの対極がチャンバー外壁であり、前記成膜ドラムに40KHz〜100KHzの高周波電位を印加する
ことを特徴とする巻取式真空蒸着装置。 - 前記成膜ドラムからフィルム基材が剥離する箇所の圧力帯域が10−1Pa以下であることを特徴とする請求項3に記載の巻取式真空蒸着装置。
- 前記永久磁石は、成膜ドラムの回転と共に回転しないように固定されていることを特徴とする請求項3または4に記載の巻取式真空蒸着装置。
- 蒸発材料が挿入された坩堝と、前記蒸発材料に電子線を照射させる電子銃と、前記坩堝及び電子銃が配置される成膜室と、前記成膜ドラム、巻出ロール、及び巻取ロールが配置される巻取室と、前記成膜室及び巻取室を真空排気する排気ポンプとを有することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の巻取式真空蒸着装置。
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