JPH08311645A - Ito成膜装置 - Google Patents
Ito成膜装置Info
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- JPH08311645A JPH08311645A JP12131495A JP12131495A JPH08311645A JP H08311645 A JPH08311645 A JP H08311645A JP 12131495 A JP12131495 A JP 12131495A JP 12131495 A JP12131495 A JP 12131495A JP H08311645 A JPH08311645 A JP H08311645A
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- Japan
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- high voltage
- abnormal discharge
- target
- film
- ito film
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Abstract
(57)【要約】
【目的】真空容器、真空容器中の長尺のフィルム、フィ
ルムを連続的に搬送する搬送ドラム、真空容器中に設置
されたITO成膜用のターゲット、および搬送ドラムと
ターゲットとの間に直流高電圧を印加してグロー放電を
生じさせる直流高圧電源とを備えて、フィルム上に連続
的にITO膜を成膜するITO成膜装置において、異常
放電の発生を低減する。 【構成】真空容器中での異常放電を検出する異常放電検
出手段と、異常放電検出手段が異常放電を検出すると、
検出後10μsec以内に直流高圧電源の高電圧出力を
止める電源制御手段とを備える。あるいは搬送ドラムは
電気的に接地され、かつターゲットに対しては−電位の
高電圧と+電位の高電圧とが交互に繰り返しながら印加
されるように、直流高圧電源がパルス波形の直流高電圧
を出力する。
ルムを連続的に搬送する搬送ドラム、真空容器中に設置
されたITO成膜用のターゲット、および搬送ドラムと
ターゲットとの間に直流高電圧を印加してグロー放電を
生じさせる直流高圧電源とを備えて、フィルム上に連続
的にITO膜を成膜するITO成膜装置において、異常
放電の発生を低減する。 【構成】真空容器中での異常放電を検出する異常放電検
出手段と、異常放電検出手段が異常放電を検出すると、
検出後10μsec以内に直流高圧電源の高電圧出力を
止める電源制御手段とを備える。あるいは搬送ドラムは
電気的に接地され、かつターゲットに対しては−電位の
高電圧と+電位の高電圧とが交互に繰り返しながら印加
されるように、直流高圧電源がパルス波形の直流高電圧
を出力する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、真空容器、真空容器中
の長尺のフィルム、フィルムを連続的に搬送する搬送ド
ラム、真空容器中に設置されたITO成膜用のターゲッ
ト、および搬送ドラムとターゲットとの間に直流高電圧
を印加してグロー放電を生じさせる直流高圧電源とを備
えて、フィルム上に連続的にITO膜を成膜するITO
成膜装置に関する。
の長尺のフィルム、フィルムを連続的に搬送する搬送ド
ラム、真空容器中に設置されたITO成膜用のターゲッ
ト、および搬送ドラムとターゲットとの間に直流高電圧
を印加してグロー放電を生じさせる直流高圧電源とを備
えて、フィルム上に連続的にITO膜を成膜するITO
成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】真空中で合成樹脂フィルム等のフィルム
を連続的に搬送しつつ、フィルムに薄膜処理、熱処理等
を施すスパッタリング装置は、導電性フィルム、耐熱性
フィルム等フィルムの高次加工に広く利用されている。
を連続的に搬送しつつ、フィルムに薄膜処理、熱処理等
を施すスパッタリング装置は、導電性フィルム、耐熱性
フィルム等フィルムの高次加工に広く利用されている。
【0003】上記スパッタリング装置には、グロー放電
を生じさせるための高圧電源の種類によって、陰極に高
周波の電位を印加するRFスパッタリングと、直流の電
位を印加するDCスパッタリングとに分けられる。近
年、成膜速度が速いこと・フィルム上の温度上昇が少な
いこと・設備が安価などの理由から、DCスパッタリン
グが用いられることが多くなってきた。特にインジウム
・錫・酸化物膜、すなわちITO膜を成膜する場合は、
反応性ガスとしてO2を少量加えターゲット材料を反応
させながらスパッタリングを行うDC反応性スパッタリ
ングが行われる。
を生じさせるための高圧電源の種類によって、陰極に高
周波の電位を印加するRFスパッタリングと、直流の電
位を印加するDCスパッタリングとに分けられる。近
年、成膜速度が速いこと・フィルム上の温度上昇が少な
いこと・設備が安価などの理由から、DCスパッタリン
グが用いられることが多くなってきた。特にインジウム
・錫・酸化物膜、すなわちITO膜を成膜する場合は、
反応性ガスとしてO2を少量加えターゲット材料を反応
させながらスパッタリングを行うDC反応性スパッタリ
ングが行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、DC反応性ス
パッタリングの場合、スパッタリングによって生成した
絶縁物により、ターゲット表面に電荷がチャージアップ
することによって異常放電を起こすという問題がある。
特に長尺のフィルムにITO膜を連続的に成膜する場
合、生産性を上げるために高電力密度を長時間印加し続
けるので異常放電が発生しやすい。この異常放電によっ
て均一な膜質に影響を与えるだけでなく、ターゲットの
破損が生じる場合もある。
パッタリングの場合、スパッタリングによって生成した
絶縁物により、ターゲット表面に電荷がチャージアップ
することによって異常放電を起こすという問題がある。
特に長尺のフィルムにITO膜を連続的に成膜する場
合、生産性を上げるために高電力密度を長時間印加し続
けるので異常放電が発生しやすい。この異常放電によっ
て均一な膜質に影響を与えるだけでなく、ターゲットの
破損が生じる場合もある。
【0005】そこで本発明の目的は、直流高圧電源を用
いてフィルムにITO膜を連続的に成膜するスパッタリ
ング装置において、異常放電の発生を低減することにあ
る。
いてフィルムにITO膜を連続的に成膜するスパッタリ
ング装置において、異常放電の発生を低減することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のITO成膜装置
は、真空容器、真空容器中の長尺のフィルム、フィルム
を連続的に搬送する搬送ドラム、真空容器中に設置され
たITO成膜用のターゲット、および搬送ドラムとター
ゲットとの間に直流高電圧を印加してグロー放電を生じ
させる直流高圧電源とを備えて、フィルム上に連続的に
ITO膜を成膜するITO成膜装置において、真空容器
中での異常放電を検出する異常放電検出手段と、異常放
電検出手段が異常放電を検出すると、検出後10μse
c以内に直流高圧電源の高電圧出力を止める電源制御手
段とを備えたことを特徴としている。
は、真空容器、真空容器中の長尺のフィルム、フィルム
を連続的に搬送する搬送ドラム、真空容器中に設置され
たITO成膜用のターゲット、および搬送ドラムとター
ゲットとの間に直流高電圧を印加してグロー放電を生じ
させる直流高圧電源とを備えて、フィルム上に連続的に
ITO膜を成膜するITO成膜装置において、真空容器
中での異常放電を検出する異常放電検出手段と、異常放
電検出手段が異常放電を検出すると、検出後10μse
c以内に直流高圧電源の高電圧出力を止める電源制御手
段とを備えたことを特徴としている。
【0007】あるいは本発明のITO成膜装置は、真空
容器、真空容器中の長尺のフィルム、フィルムを連続的
に搬送する搬送ドラム、真空容器中に設置されたITO
成膜用のターゲット、および搬送ドラムとターゲットと
の間に直流高電圧を印加してグロー放電を生じさせる直
流高圧電源とを備えて、フィルム上に連続的にITO膜
を成膜するITO成膜装置において、搬送ドラムは電気
的に接地され、かつターゲットに対しては−電位の高電
圧と+電位の高電圧とが交互に繰り返しながら印加され
るように、直流高圧電源がパルス波形の直流高電圧を出
力することを特徴としている。
容器、真空容器中の長尺のフィルム、フィルムを連続的
に搬送する搬送ドラム、真空容器中に設置されたITO
成膜用のターゲット、および搬送ドラムとターゲットと
の間に直流高電圧を印加してグロー放電を生じさせる直
流高圧電源とを備えて、フィルム上に連続的にITO膜
を成膜するITO成膜装置において、搬送ドラムは電気
的に接地され、かつターゲットに対しては−電位の高電
圧と+電位の高電圧とが交互に繰り返しながら印加され
るように、直流高圧電源がパルス波形の直流高電圧を出
力することを特徴としている。
【0008】異常放電は次のようなメカニズムで生じる
と考えられている。この説明のため、まずは図1にスパ
ッタリング部の概略構成例を示す。また図2にはその際
のターゲットの表面を示す。図1において、ターゲット
10は直流高圧電源11に接続されて、陰極として機能
する。またフィルム12に近接して陽極13が接地さ
れ、これは電気的に接地されている。高電圧の印加によ
って、雰囲気14はプラズマの状態となっており、そこ
にはAr+やO+などの正イオンが存在する。
と考えられている。この説明のため、まずは図1にスパ
ッタリング部の概略構成例を示す。また図2にはその際
のターゲットの表面を示す。図1において、ターゲット
10は直流高圧電源11に接続されて、陰極として機能
する。またフィルム12に近接して陽極13が接地さ
れ、これは電気的に接地されている。高電圧の印加によ
って、雰囲気14はプラズマの状態となっており、そこ
にはAr+やO+などの正イオンが存在する。
【0009】図1中に示すように、ターゲット10上の
非エロージョン部分に、スパッタされたターゲット材料
が雰囲気中のO+と反応し絶縁物15となって堆積す
る。この絶縁物15上にはAr+,O+などの正イオン
によってプラスの電荷が徐々に蓄積し、ある蓄積レベル
を超えるとエロージョン部16や陽極13などに放電
し、エネルギーを放出する。これが異常放電となる。ま
たターゲット10内からノジュールと呼ばれる絶縁突起
物17が生じ、この突起物から異常放電が生じる場合も
ある。
非エロージョン部分に、スパッタされたターゲット材料
が雰囲気中のO+と反応し絶縁物15となって堆積す
る。この絶縁物15上にはAr+,O+などの正イオン
によってプラスの電荷が徐々に蓄積し、ある蓄積レベル
を超えるとエロージョン部16や陽極13などに放電
し、エネルギーを放出する。これが異常放電となる。ま
たターゲット10内からノジュールと呼ばれる絶縁突起
物17が生じ、この突起物から異常放電が生じる場合も
ある。
【0010】こうした異常放電が発生するとその熱エネ
ルギーにより、陰極としてのターゲット10が加熱さ
れ、その加熱により蒸発した蒸気が電離して、低い放電
電圧でも電流密度の高い電流が流れる。そのため、正常
なグロー放電に戻すには、一度異常放電を遮断しなけれ
ばならない。
ルギーにより、陰極としてのターゲット10が加熱さ
れ、その加熱により蒸発した蒸気が電離して、低い放電
電圧でも電流密度の高い電流が流れる。そのため、正常
なグロー放電に戻すには、一度異常放電を遮断しなけれ
ばならない。
【0011】そこでこのようなメカニズムによって生じ
る異常放電を低減する手段について詳細に説明する。ま
ず第一の特徴について詳細に説明する。異常放電による
電流の増加量△Iarc は、放電回路のインピーダンスお
よびグロー放電電流に依存し、 △Iarc =I0×△d
i/dt×△t で表される。なおここで、I0は定常
状態での出力放電電流、△di/dtは異常放電電流増
加率、△tは異常放電から電源遮断までの時間(遮断時
間)である。従って、異常放電発生後電源遮断までに到
達する放電電流値Iapは、 Iap=I0×(1+△di
/dt×△t)で表される値まで増加する。ここで放電
電流を10A、遮断時間を5μsec、△di/dtを
0.6A/μsecと仮定すると、△Iarc =30A、
Iap=40Aとなる。
る異常放電を低減する手段について詳細に説明する。ま
ず第一の特徴について詳細に説明する。異常放電による
電流の増加量△Iarc は、放電回路のインピーダンスお
よびグロー放電電流に依存し、 △Iarc =I0×△d
i/dt×△t で表される。なおここで、I0は定常
状態での出力放電電流、△di/dtは異常放電電流増
加率、△tは異常放電から電源遮断までの時間(遮断時
間)である。従って、異常放電発生後電源遮断までに到
達する放電電流値Iapは、 Iap=I0×(1+△di
/dt×△t)で表される値まで増加する。ここで放電
電流を10A、遮断時間を5μsec、△di/dtを
0.6A/μsecと仮定すると、△Iarc =30A、
Iap=40Aとなる。
【0012】また、異常放電エネルギーEarc は、 E
arc ≒(△Iarc ×Varc ×△t)/2 で表される。
なおここで、Varc は異常放電時の放電電圧である。異
常放電エネルギーはフィルムの膜質に大きく影響を与え
る要因であり、遮断時間△tを短くし異常放電エネルギ
ーを小さくすれば膜質への影響も小さい。
arc ≒(△Iarc ×Varc ×△t)/2 で表される。
なおここで、Varc は異常放電時の放電電圧である。異
常放電エネルギーはフィルムの膜質に大きく影響を与え
る要因であり、遮断時間△tを短くし異常放電エネルギ
ーを小さくすれば膜質への影響も小さい。
【0013】本発明では、従来50μsec程度であっ
た遮断時間を10μsec以下に抑えることにより、異
常放電による電流の増加量Iarc を小さく抑え、結果と
して異常放電エネルギーを抑えている。また小さい異常
放電を生じさせることにより、ターゲット内から生じた
ノジュール(絶縁突起物)がなくなる効果も期待でき
る。このように、フィルムの膜質に影響するような大き
な異常放電になる前に電源を遮断する機能を持つことが
本発明の第一の特徴である。
た遮断時間を10μsec以下に抑えることにより、異
常放電による電流の増加量Iarc を小さく抑え、結果と
して異常放電エネルギーを抑えている。また小さい異常
放電を生じさせることにより、ターゲット内から生じた
ノジュール(絶縁突起物)がなくなる効果も期待でき
る。このように、フィルムの膜質に影響するような大き
な異常放電になる前に電源を遮断する機能を持つことが
本発明の第一の特徴である。
【0014】さらには、数々の実験を重ねた結果、IT
O膜をフィルムに連続的に成膜する場合は遮断時間を5
μsec以下とするのがより好ましい。またこのように
短時間で電源出力の遮断を行うためには、IGPT(絶
縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用いれば良い。
O膜をフィルムに連続的に成膜する場合は遮断時間を5
μsec以下とするのがより好ましい。またこのように
短時間で電源出力の遮断を行うためには、IGPT(絶
縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用いれば良い。
【0015】前述の通り、異常放電の発生により電流密
度の高い電流が流れるため、異常放電を停止して正常な
グロー放電に戻すには一時的に高圧電源の出力を停止す
る時間(電源出力停止時間)を設ける必要がある。更
に、電源出力停止時間後直ぐに電源復帰を行うと、再び
異常放電を生じてしまうので、電源停止後異常放電発生
前の出力レベルまで復帰する時間(電源復帰時間)を数
msec設ける必要がある。
度の高い電流が流れるため、異常放電を停止して正常な
グロー放電に戻すには一時的に高圧電源の出力を停止す
る時間(電源出力停止時間)を設ける必要がある。更
に、電源出力停止時間後直ぐに電源復帰を行うと、再び
異常放電を生じてしまうので、電源停止後異常放電発生
前の出力レベルまで復帰する時間(電源復帰時間)を数
msec設ける必要がある。
【0016】図3は、こうした際の高圧電源からの出力
電流の時間経過を示すグラフである。図3中、横軸
(t)は時間経過を示し、縦軸(i)は高圧電源からの
出力電流値を示す。なお図中の「Δt」は、異常放電発
生から電源出力を停止するまでの時間を示す。
電流の時間経過を示すグラフである。図3中、横軸
(t)は時間経過を示し、縦軸(i)は高圧電源からの
出力電流値を示す。なお図中の「Δt」は、異常放電発
生から電源出力を停止するまでの時間を示す。
【0017】こうしたの電源出力停止時間および電源復
帰時間は、出力のロスタイムとなり、特に反応性スパッ
タリングの場合、正常なグロー放電が継続している間保
たれていた反応ガスの消費と供給のバランスが崩れ、均
一な膜質に大きな影響を及ぼす。
帰時間は、出力のロスタイムとなり、特に反応性スパッ
タリングの場合、正常なグロー放電が継続している間保
たれていた反応ガスの消費と供給のバランスが崩れ、均
一な膜質に大きな影響を及ぼす。
【0018】そこで本発明における、異常放電を検出後
10μsec以内に直流高圧電源の高電圧出力を止める
ことにより、停止時間および復帰時間を設けなくても再
び異常放電が起こらず復帰可能となった。図4は、その
際の高圧電源からの出力電流の時間経過を示すグラフで
ある。
10μsec以内に直流高圧電源の高電圧出力を止める
ことにより、停止時間および復帰時間を設けなくても再
び異常放電が起こらず復帰可能となった。図4は、その
際の高圧電源からの出力電流の時間経過を示すグラフで
ある。
【0019】なお異常放電の検出方法については、放電
電圧や放電電流の微分値を測定し、その測定値がある基
準値を越えたとき異常放電が生じたと見なす方法を用い
ることができる。
電圧や放電電流の微分値を測定し、その測定値がある基
準値を越えたとき異常放電が生じたと見なす方法を用い
ることができる。
【0020】また前述の異常放電の生じるメカニズムで
説明したように、ターゲット上の非エロージョン部分に
堆積した絶縁物に+電荷がチャージしているので、この
+電荷の蓄積エネルギーを放出させることが必要とな
る。そのため、直流高圧電源によってターゲットに印加
される放電電圧をパルス波とし、−電荷を印加する時間
(ON時間)と+電荷を印加する時間(OFF時間)と
を交互に繰り返すことにより、プラズマ中の電子をター
ゲット表面に引き込み、蓄積エネルギーの+電荷を高速
に中和させ、結果として異常放電の発生を防止すること
ができる。図5は、その際の高圧電源からの出力電流の
時間経過を示すグラフである。なお評価試験の結果か
ら、与える+電荷の大きさは−電荷の大きさに対して、
絶対値で10%〜30%とすることが好ましい。
説明したように、ターゲット上の非エロージョン部分に
堆積した絶縁物に+電荷がチャージしているので、この
+電荷の蓄積エネルギーを放出させることが必要とな
る。そのため、直流高圧電源によってターゲットに印加
される放電電圧をパルス波とし、−電荷を印加する時間
(ON時間)と+電荷を印加する時間(OFF時間)と
を交互に繰り返すことにより、プラズマ中の電子をター
ゲット表面に引き込み、蓄積エネルギーの+電荷を高速
に中和させ、結果として異常放電の発生を防止すること
ができる。図5は、その際の高圧電源からの出力電流の
時間経過を示すグラフである。なお評価試験の結果か
ら、与える+電荷の大きさは−電荷の大きさに対して、
絶対値で10%〜30%とすることが好ましい。
【0021】また直流高圧電源によって陰極に印加され
る放電電圧をパルス波とし、ON時間には−電荷を、O
FF時間には+電荷とする機能と、異常放電を検出後1
0μsec以内で電源を遮断する機能は、各々独立に用
いることができるが、併用することでより効果を高める
ことができる。
る放電電圧をパルス波とし、ON時間には−電荷を、O
FF時間には+電荷とする機能と、異常放電を検出後1
0μsec以内で電源を遮断する機能は、各々独立に用
いることができるが、併用することでより効果を高める
ことができる。
【0022】
【実施例1】図6は、本発明の一実施例を示すスパッタ
リング装置の構成図である。図中の1はITO用ターゲ
ット、2はフィルム搬送用ドラムを示す。アンワインダ
ー3から巻き出されたフィルムは、フィルム搬送用ドラ
ム2の表面に接触して搬送され、ワインダー4に至る。
5は直流高圧電源で、カソード9を介してITO用ター
ゲット1に接続されている。ITO用ターゲット1とフ
ィルム搬送用ドラム2との間にはアノード6があり、フ
ィルム搬送用ドラム2およびアノード6は電気的に接地
されている。7は真空ポンプで、真空容器8の内部を高
真空に制御可能である。
リング装置の構成図である。図中の1はITO用ターゲ
ット、2はフィルム搬送用ドラムを示す。アンワインダ
ー3から巻き出されたフィルムは、フィルム搬送用ドラ
ム2の表面に接触して搬送され、ワインダー4に至る。
5は直流高圧電源で、カソード9を介してITO用ター
ゲット1に接続されている。ITO用ターゲット1とフ
ィルム搬送用ドラム2との間にはアノード6があり、フ
ィルム搬送用ドラム2およびアノード6は電気的に接地
されている。7は真空ポンプで、真空容器8の内部を高
真空に制御可能である。
【0023】ターゲットとしては、170mm×340
mmの長方形のITOターゲットを用いる。真空容器8
内の圧力は0.3μTorrに設定する。また、注入するA
rガス流量とO2 ガス流量の比を99:1となるように
調整する。そして、直流高圧電源5によって単位ターゲ
ット面積当たり3W/平方cmとなるよう電力を印加し
てスパッタリングを行う。ただし、直流高圧電源5によ
ってターゲットに印加する直流高電圧は、周波数20k
Hzのパルス波形とする。
mmの長方形のITOターゲットを用いる。真空容器8
内の圧力は0.3μTorrに設定する。また、注入するA
rガス流量とO2 ガス流量の比を99:1となるように
調整する。そして、直流高圧電源5によって単位ターゲ
ット面積当たり3W/平方cmとなるよう電力を印加し
てスパッタリングを行う。ただし、直流高圧電源5によ
ってターゲットに印加する直流高電圧は、周波数20k
Hzのパルス波形とする。
【0024】そして実施例1としては、ON時間は−電
位そしてOFF時間は電圧ゼロとなる直流高電圧のパル
ス波形を、ターゲットに印加するものとする。かつ実施
例1においては、異常放電検出手段とそれに連動した電
源制御手段とを備えて、異常放電を検出すると検出後5
μsecで直流高圧電源の高電圧出力を一時的に止める
電源制御手段とを備える。そしてスパッタリングを行
い、1時間ごとの放電回数を測定した。その結果を表1
に示す。この表1に示す結果から分かるように、異常放
電を検出後約5μsecで電源を遮断する機能を有する
ことにより、異常放電防止効果があることが分かる。
位そしてOFF時間は電圧ゼロとなる直流高電圧のパル
ス波形を、ターゲットに印加するものとする。かつ実施
例1においては、異常放電検出手段とそれに連動した電
源制御手段とを備えて、異常放電を検出すると検出後5
μsecで直流高圧電源の高電圧出力を一時的に止める
電源制御手段とを備える。そしてスパッタリングを行
い、1時間ごとの放電回数を測定した。その結果を表1
に示す。この表1に示す結果から分かるように、異常放
電を検出後約5μsecで電源を遮断する機能を有する
ことにより、異常放電防止効果があることが分かる。
【0025】
【比較例】比較例としては、異常放電検出後50μse
cで直流高圧電源の高電圧出力を一時的に止める以外
は、実施例1と同じ条件でスパッタリングを行い、1時
間ごとの放電回数を測定した。その結果を表1に示す。
この場合、異常放電の回数が、スパッタリングを開始し
てすぐに増え、さらにそれは時間の経過とともに大きく
増加していることが分かる。
cで直流高圧電源の高電圧出力を一時的に止める以外
は、実施例1と同じ条件でスパッタリングを行い、1時
間ごとの放電回数を測定した。その結果を表1に示す。
この場合、異常放電の回数が、スパッタリングを開始し
てすぐに増え、さらにそれは時間の経過とともに大きく
増加していることが分かる。
【0026】
【実施例2】また実施例2としては、比較例においてタ
ーゲットに印加したパルス波形を、OFF時間に印加す
る電圧は+電位で、かつその電圧は絶対値でON時間に
おける印加電圧の20%としてた以外は、比較例と同じ
条件でスパッタリングを行い、1時間ごとの放電回数を
測定した。その結果を表1に示す。この場合、実施例1
に比較して異常放電の回数は多いが、それでも異常放電
防止効果があることが分かる。
ーゲットに印加したパルス波形を、OFF時間に印加す
る電圧は+電位で、かつその電圧は絶対値でON時間に
おける印加電圧の20%としてた以外は、比較例と同じ
条件でスパッタリングを行い、1時間ごとの放電回数を
測定した。その結果を表1に示す。この場合、実施例1
に比較して異常放電の回数は多いが、それでも異常放電
防止効果があることが分かる。
【0027】
【実施例3】実施例3としては、実施例1においてター
ゲットに印加したパルス波形を、OFF時間に印加する
電圧は+電位で、かつその電圧は絶対値でON時間にお
ける印加電圧の20%としてた以外は、実施例1と同じ
条件でスパッタリングを行い、1時間ごとの放電回数を
測定した。その結果を表1に示す。この場合、スパッタ
リングを10時間継続しても異常放電は発生しておら
ず、実施例1や2に比較しても極めて優れた異常放電防
止効果があることが分かる。
ゲットに印加したパルス波形を、OFF時間に印加する
電圧は+電位で、かつその電圧は絶対値でON時間にお
ける印加電圧の20%としてた以外は、実施例1と同じ
条件でスパッタリングを行い、1時間ごとの放電回数を
測定した。その結果を表1に示す。この場合、スパッタ
リングを10時間継続しても異常放電は発生しておら
ず、実施例1や2に比較しても極めて優れた異常放電防
止効果があることが分かる。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は直流高圧
電源を用いてフィルムにITO膜を連続的に成膜するI
TO成膜装置において、異常放電が発生しても10μs
ec以内で電源を遮断する機能により、膜質に影響する
ような大きな異常放電に成長しないだけでなく、放電電
圧をパルス波とし、ON時間には−電位を、OFF時間
には+電位を上記陰極に印加する機能により、絶縁物上
にチャージアップされた電荷を中和し、異常放電の原因
を除去することにより、従来の直流高圧電源に比べて異
常放電の回数を飛躍的に減少させることができる。
電源を用いてフィルムにITO膜を連続的に成膜するI
TO成膜装置において、異常放電が発生しても10μs
ec以内で電源を遮断する機能により、膜質に影響する
ような大きな異常放電に成長しないだけでなく、放電電
圧をパルス波とし、ON時間には−電位を、OFF時間
には+電位を上記陰極に印加する機能により、絶縁物上
にチャージアップされた電荷を中和し、異常放電の原因
を除去することにより、従来の直流高圧電源に比べて異
常放電の回数を飛躍的に減少させることができる。
【図1】スパッタリング部の概略構成
【図2】ターゲットの表面
【図3】高圧電源の出力電流(従来例)
【図4】高圧電源の出力電流(10μsec以内で電源
を遮断する例)
を遮断する例)
【図5】高圧電源の出力電流(ターゲットに+電位を印
加する例)
加する例)
【図6】スパッタリング装置の構成
【符号の説明】 1 ITO用ターゲット 2 フィルム搬送用ドラム 3 アンワインダー 4 ワインダー 5 直流高圧電源 6 アノード 7 真空ポンプ 8 真空容器 9 カソード 10 ターゲット 11 直流高圧電源 12 フィルム 13 陽極 14 雰囲気(プラズマ) 15 絶縁物 16 エロージョン部 17 絶縁突起物(ノジュール)
Claims (4)
- 【請求項1】 真空容器、真空容器中の長尺のフィル
ム、フィルムを連続的に搬送する搬送ドラム、真空容器
中に設置されたITO成膜用のターゲット、および搬送
ドラムとターゲットとの間に直流高電圧を印加してグロ
ー放電を生じさせる直流高圧電源とを備えて、フィルム
上に連続的にITO膜を成膜するITO成膜装置におい
て、真空容器中での異常放電を検出する異常放電検出手
段と、異常放電検出手段が異常放電を検出すると、検出
後10μsec以内に直流高圧電源の高電圧出力を止め
る電源制御手段とを備えたことを特徴とするITO成膜
装置。 - 【請求項2】 真空容器、真空容器中の長尺のフィル
ム、フィルムを連続的に搬送する搬送ドラム、真空容器
中に設置されたITO成膜用のターゲット、および搬送
ドラムとターゲットとの間に直流高電圧を印加してグロ
ー放電を生じさせる直流高圧電源とを備えて、フィルム
上に連続的にITO膜を成膜するITO成膜装置におい
て、搬送ドラムは電気的に接地され、かつターゲットに
対しては−電位の高電圧と+電位の高電圧とが交互に繰
り返しながら印加されるように、直流高圧電源がパルス
波形の直流高電圧を出力することを特徴とするITO成
膜装置。 - 【請求項3】 真空容器中での異常放電を検出する異常
放電検出手段と、異常放電検出手段が異常放電を検出す
ると、検出後10μsec以内に直流高圧電源の高電圧
出力を止める電源制御手段とを備えたことを特徴とする
請求項2記載のITO成膜装置。 - 【請求項4】 ターゲットに対して印加するパルス波形
の高電圧において、+電位の大きさは−電位の大きさに
対して絶対値で10〜30%であることを特徴とする請
求項2〜3のいずれかに記載のITO成膜装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12131495A JPH08311645A (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | Ito成膜装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12131495A JPH08311645A (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | Ito成膜装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08311645A true JPH08311645A (ja) | 1996-11-26 |
Family
ID=14808179
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12131495A Pending JPH08311645A (ja) | 1995-05-19 | 1995-05-19 | Ito成膜装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08311645A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1995
- 1995-05-19 JP JP12131495A patent/JPH08311645A/ja active Pending
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