JP2006257275A - 高分子多孔質体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】 非水溶性高分子材料に、水溶性高分子を含有する気孔形成剤を分散させてなる成形材料を、該非水溶性高分子材料が熱溶融し、かつ該気孔形成剤の一部又は全部が熱溶融する温度で成形し、冷却して充実成形体を得、次いで該充実成形体中の気孔形成剤を水で溶出させる高分子多孔質体の製造方法。
【効果】 本発明によれば、高空隙率を保ちつつ、気孔径の大きい高分子多孔質体を製造することができ、この高分子多孔質体は、十分な強度と通気量を兼ね備えたものとなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高分子多孔質体の製造方法、特に、高い通気性を与えることができ、気孔径が大きく、かつ高空隙率の高分子多孔質体の製造方法に関する。
空隙率の調節が可能で、しかも安価な多孔質体の製造方法として、脱塩法が知られている。脱塩法は、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウムなどの粉末状の気孔形成剤(以下、このような塩の気孔形成剤を「塩型気孔形成剤」という)を樹脂やゴムに添加した成形材料を用いて、塩型気孔形成剤を含む充実成形体を成形し、得られた充実成形体を水で洗浄することにより気孔形成剤である塩を溶出させて、塩型気孔形成剤が存在していた部分に気孔を形成する多孔質体の製造方法である。
このような脱塩法では、気孔形成剤の溶出部分が気孔となり、しかも気孔形成剤自体は成形の過程で膨張、発泡等することはないので、空隙率に見合う量の気孔形成剤を含有させる必要がある。従って、空隙率50%の多孔質体を製造しようとする場合、気孔形成剤を、樹脂成分に対して容積率で50容積%以上添加する必要がある。
しかし、塩型気孔形成剤の含有率が50容積%以上という成形材料を成形することは困難である。つまり、塩型気孔形成剤は融点が高いために、通常、樹脂の成形温度では固体(粉末)のままである。このため、塩型気孔形成剤の含有量が多くなるほど成形材料の流動性が低下し、塩型気孔形成剤50容積%以上を含有する成形材料では、成形に必要な流動性(MFR値)を得ることはできない。
特に、射出成形や押出成形などでは、ダイを通過する際や金型内に射出する際に溶融状態の樹脂成分は射出又は押出されても、粉末状の塩型気孔形成剤は十分に射出又は押出されない。このため、塩型気孔形成剤を多量に含有させた成形材料を用いたにもかかわらず、含有されている気孔形成剤の量が少ない充実成形体や、気孔形成剤が成形体内部だけに存在する不均一な充実成形体が得られたりする。充実成形体における気孔形成剤の含有量の減少は空隙率の低下をもたらすことになる。そして、不均一な充実成形体からは、不均一な多孔質体しか得られないばかりか、成形体表面に存在する気孔形成剤が少なすぎるために、水洗段階で気孔形成剤を十分に溶出することができず、結局、所期の空隙率よりも低い空隙率の多孔質体しか得られないことにもなる。
一方、成形温度を上げて、樹脂成分の流動性を高めることも考えられる。しかし、この場合であっても、塩型気孔形成剤は粉末状で成形材料中に存在することとなるため、気孔形成剤は樹脂に比べて、金型内に射出する際に射出されにくく、又はダイを通過する際に押出されにくく、結果として空隙率の高い多孔質体を製造できない。また、空隙率を上げようとすると、その分、塩型気孔形成剤の含有量を多くしなければならないが、このことは成形材料の粘度上昇、流動性低下につながり、更に成形温度を上げて粘度を調整しようとすると、樹脂の劣化を招き、ひいては多孔質体の特性の低下を引き起こすことになる。このような理由から、空隙率の高い多孔質体を射出成形、押出成形により製造することは困難であった。
本発明者らはこれまでに、連通気孔を有する高分子多孔質体として、気孔形成剤を、高分子物質に分散させてなる成形材料を、上記気孔形成剤が溶融する温度で成形して充実成形体を作製し、これから気孔形成剤を溶媒で溶出させて得た多孔質体及びその製造方法について報告した(下記特許文献1:特開2001−2825号公報,特許文献2:特開2002−194131号公報参照)。この方法は、高い空隙率、特に50%以上の空隙率を有する多孔質体を、射出成形、押出成形などの方法で効率よく製造することができるものである。この方法においては、高い空隙率を有する多孔質体を得ることができるが、このような多孔質体を、特に高い通気性が求められる部材、例えば液体フィルター、エアフィルターや自動車用エアダクトの部材などに用いる場合、通気量が大きいことも必要となるため、空隙率と共に、気孔径の大きい多孔質体が求められる。しかも、部材自体にもその使用環境において十分な強度が要求される。
特開2001−2825号公報 特開2002−194131号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、高い通気性を与えることができ、気孔径が大きく、かつ高空隙率の高分子多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、非水溶性高分子材料に、水溶性高分子を含有する気孔形成剤を分散させてなる成形材料を、該非水溶性高分子材料が熱溶融し、かつ該気孔形成剤の一部又は全部が熱溶融する温度で成形し、冷却して充実成形体を得、次いで該充実成形体中の気孔形成剤を、水で溶出させること、特に、上記気孔形成剤として水溶性高分子と共に、ペンタエリスリトールを含有するものを用いること、とりわけ、これらと共に、水溶性無機塩を気孔形成剤の総量に対して40質量%以下で含有するものを用いることにより、高空隙率を保ちつつ、気孔径の大きい高分子多孔質体を製造することができ、この高分子多孔質体が、十分な強度と通気量を兼ね備えたものとなることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下の高分子多孔質体の製造方法を提供する。
[請求項1] 非水溶性高分子材料に、水溶性高分子を含有する気孔形成剤を分散させてなる成形材料を、該非水溶性高分子材料が熱溶融し、かつ該気孔形成剤の一部又は全部が熱溶融する温度で成形し、冷却して充実成形体を得、次いで該充実成形体中の気孔形成剤を水で溶出させることを特徴とする高分子多孔質体の製造方法。
[請求項2] 上記水溶性高分子が、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレンオキシド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の高分子多孔質体の製造方法。
[請求項3] 上記気孔形成剤が、更にペンタエリスリトールを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の高分子多孔質体の製造方法。
[請求項4] 上記気孔形成剤が、更に水溶性無機塩を気孔形成剤の総量に対して40質量%以下で含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の高分子多孔質体の製造方法。
[請求項5] 上記非水溶性高分子材料が熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の高分子多孔質体の製造方法。
[請求項6] 上記高分子多孔質体の空隙率が50%以上であり、かつ平均孔径が5μm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の高分子多孔質体の製造方法。
本発明によれば、高空隙率を保ちつつ、気孔径の大きい高分子多孔質体を製造することができ、この高分子多孔質体は、十分な強度と通気量を兼ね備えたものとなる。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の高分子多孔質体の製造方法は、非水溶性高分子材料に、水溶性高分子を含有する気孔形成剤を分散させてなる成形材料を、該非水溶性高分子材料が熱溶融し、かつ該気孔形成剤の一部又は全部が熱溶融する温度で成形し、冷却して充実成形体を得、次いで該充実成形体中の気孔形成剤を水で溶出させて高分子多孔質体を製造するものである。
本発明において非水溶性高分子材料は、気孔形成剤、更には後述する添加剤と熱溶融状態で混合することができるものであり、これにより、気孔形成剤を均一に分散させることができ、気孔が全体にわたって均一に存在する均質な高分子多孔質体を製造することができる。このような非水溶性高分子材料としては、温度を上げることによって溶融状態となる熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどが好ましい。これらは単独で用いてもこれらを混合して用いてもよいが、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーが、共に250℃以下、特に180〜230℃で熱溶融するものであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、エチレン系アイオノマー、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエーテルイミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体、ポリ3フッ化塩化エチレン、ポリアリレート、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリエステルアミド、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンが特に好ましい。熱可塑性樹脂は、1種類だけで用いても2種類以上をブレンドして用いてもよい。
一方、熱可塑性エラストマーとは、ゴム状弾性を示すソフトセグメント及び三次元網目の結び目となるハードセグメントから構成されるもので、常温ではゴム弾性を示し、高温で可塑化するものであり、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、イソプレン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系エラストマーなどが挙げられる。
具体的には、ポリオレフィン系エラストマーとして、エチレン・プロピレン・ジエン(EPDM)とポリプロピレンとの共重合体、ポリスチレン系エラストマーとして、ポリブタジエンとポリスチレンとの共重合体やポリイソプレンとポリスチレンとの共重合体など、ポリアミド系エラストマーとしてナイロン6とポリエーテルとの共重合体など、ポリエステル系エラストマーとして、ポリエチレンテレフタレートと高分子量ポリエチレンエーテルグリコールとの共重合体やポリブチレンテレフタレートと高分子量ポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体など、ウレタン系エラストマーとして、短鎖グリコールが結合したジイソシアナートと長鎖ポリオールが結合したジイソシアナートとの共重合体などの親水性のものを使用することができるが、吸水膨潤抑制の観点から、これらの中でも水と接した場合において膨潤性が低いものが好ましい。熱可塑性エラストマーは、1種類だけで用いても2種類以上をブレンドして用いてもよい。
上記非水溶性高分子材料としては、熱可塑性樹脂単独で、熱可塑性エラストマー単独で、又は熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを混合して用いることができる。それらの混合比は任意であり、得られる高分子多孔質体の用途によって異なるが、ソフトタイプのものを製造する場合は、熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=100:0〜60:40(質量比)、特に熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=95:5〜70:30(質量比)の比で用いることが好ましい。一方、硬さが必要なハードタイプのものを製造する場合の混合比は、熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=0:100〜40:60(質量比)、特に熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=5:95〜30:70(質量比)であることが好ましい。
本発明において気孔形成剤は、高分子多孔質体の気孔を形成するために配合されるものであり、高分子多孔質体の気孔は、気孔形成剤を含む成形材料を用いて成形した充実成形体から、この気孔形成剤を水により溶出させることにより形成される。本発明において気孔形成剤は、常温で固体であって、成形材料の成形温度でその一部又は全部が熱溶融するものであるが、本発明においては、このような気孔形成剤として、水溶性高分子を含有する気孔形成剤を用いる。水溶性高分子を含有する気孔形成剤を用いることにより、成形材料を成形する際、又は成形後に冷却する際に、充実成形体中の気孔形成剤の油滴同士が適度に一体化するため、その後の工程で気孔形成剤を溶出することによって形成される気孔の気孔径を大きく形成することができる。また、成形後に冷却する際に、水溶性高分子が充実成形体の表面に出現しやすいことから、充実成形体の表面の気孔径を大きく形成することができる。
このような水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレンオキシド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。水溶性高分子は、1種類だけで用いても2種類以上をブレンドして用いてもよい。
これら水溶性高分子の中でも、ポリビニルアルコールが特に好適であり、特に、けん化度が65〜90モル%、より好ましくは66〜81モル%、更に好ましくは67〜77モル%、特に好ましくは68〜75モル%のものが好ましい。けん化度が90モル%より大きいポリビニルアルコールは、水に対する溶解性が低いため多孔質体を安定に製造することが困難となる場合がある。また、ポリビニルアルコールは、その重合度やけん化度に応じて様々な融点のものがあり、成形材料の成形温度に応じて適宜選定可能であるが、融点が140〜230℃、特に150〜220℃のものが好ましい。
また、本発明においては、気孔形成剤として上述したような水溶性高分子のみからなる気孔形成剤を用いることも可能であるが、気孔形成剤として上記水溶性高分子と共に、ペンタエリスリトールを含有するものを用いることもできる。ペンタエリスリトール自体の融点は250℃であるが、一般にペンタエリスリトールとして市販されているものは、2量体、3量体等の不純物を含んでいるため、その融点は180〜260℃程度の範囲で幅を有している。また、ペンタエリスリトールを含む気孔形成剤を用いると、成形後の固化が速いので、充実成形体の冷却時間が短くなり、生産性が優れたものとなることから好適である。
なお、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを併用する場合、水溶性高分子とペンタエリスリトールとの配合比は、水溶性高分子:ペンタエリスリトール=1:99〜40:60(質量比)、特に、水溶性高分子:ペンタエリスリトール=2:98〜30:70(質量比)であることが好ましい。
更に、本発明においては、気孔形成剤として上記水溶性高分子と共に、水溶性無機塩を気孔形成剤の総量に対して40質量%以下、好ましくは35質量%以下で含有するものを用いることもできる。水溶性無機塩の量が気孔形成剤の総量に対して40質量%以下であれば、成形材料の成形に際して、成形が困難になる程の著しい粘度上昇、流動性低下が引き起こされないため、水溶性無機塩の使用も可能である。
水溶性無機塩としては、アルカリ金属、即ち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム又はフランシウムの塩化物塩、硫酸塩、炭酸塩など、具体的には、NaCl、KClなどの塩化物塩、Na2SO4、K2SO4などの硫酸塩、Na2CO3などの炭酸塩などが挙げられる。水溶性高分子は、1種類だけで用いても2種類以上をブレンドして用いてもよい。
このように気孔形成剤として水溶性高分子と共に、ペンタエリスリトール、水溶性無機塩又はその両方を併用することにより、これらの融点の違いを利用してその一部のみが溶融する組み合わせとすることも可能である。このようにすると、得られる高分子多孔質体の気孔形状がより一定となり、気孔を再現性よく形成することができる。
なお、成形材料中の気孔形成剤の配合量は、製造しようとする高分子多孔質体の空隙率に応じて適宜選定することができ、配合する気孔形成剤の含有量により空隙率を制御することができる。即ち、非水溶性高分子材料、気孔形成剤、及び後述の添加剤を合わせた全成形材料中の気孔形成剤の割合を、空隙率とほぼ同じ体積率にすることにより、所望の空隙率を有する高分子多孔質体を得ることができる。例えば、空隙率を50%とするには、全成形材料中の気孔形成剤の割合を約50容量%とすればよい。また、連通気孔の高分子多孔質体を得るためには、全成形材料中の気孔形成剤の割合を50容量%以上、特に60〜85容量%とすることが好ましく、これにより空隙率が50%以上、特に60〜85%の連通気孔を有する高分子多孔質体を得ることができる。
本発明において、成形材料には、更に、必要に応じて、高分子改質剤等の改質剤、滑剤、老化防止剤、可塑剤、熱安定剤、増粘剤、難燃剤、抗酸化剤(酸化防止剤)、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、強化材などの添加剤を添加してもよい。なお、このような添加剤は、上記非水溶性高分子材料100質量部に対して50質量部以下の範囲で添加することが好ましい。例えば、高分子改質剤としては、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンとしては、メタブレンA3000(三菱レイヨン社製)等の市販品を使用し得る。
本発明において、高分子多孔質体は、非水溶性高分子材料、気孔形成剤、必要に応じて添加剤を添加して分散させた成形材料(コンパウンド)を、非水溶性高分子材料が熱溶融し、かつ該気孔形成剤の一部又は全部が熱溶融する温度で成形し、冷却して充実成形体を得、次いで該充実成形体中の気孔形成剤を水で溶出させることにより得られる。
上記成形材料中の各成分の分散は、オープンロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機などの装置を使用して、混練、混合して分散させることが好ましい。また、混練に先立ち、各構成成分を、ヘンシェルミキサー、V字型混合機、ボールミル、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合機を用いて予め混合してもよい。この場合、気孔形成剤の一部が熱溶融するような温度で混合分散すると、気孔形成剤を均一に分散させることができるため好ましい。この場合の温度は、例えば、水溶性高分子としてポリビニルアルコールを用い、ペンタエリスリトールと併用する場合、180〜230℃で混合分散することが好適である。なお、混合した成形材料をペレット化することも可能である。
次に、調製されたコンパウンドを成形して、充実成形体を製造する。成形温度は、非水溶性高分子材料を成形できる温度で、かつ気孔形成剤が熱溶融する温度である。ここで、非水溶性高分子材料を成形できる温度とは、非水溶性高分子材料の種類に応じて異なるが、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等の非水溶性高分子材料が溶融する温度で、かつコンパウンドを成形できる温度であり、コンパウンドの組成によっても異なるが250℃以下、特に180〜230℃であることが好ましい。上記範囲より低温であると、非水溶性高分子材料や気孔形成剤の溶融が十分でなく溶融粘度が高くなりすぎて成形が困難となる場合がある。一方、上記範囲より高温であると、溶融粘度が低くなりすぎて溶融張力が低くなり、やはり成形が困難となる場合がある。
一方、成形材料の成形方法は、特に限定されず、圧縮成形、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形方法を採用し得る。なお、その他の成形条件は、使用する非水溶性高分子材料、気孔形成剤等の種類や量によって適宜決定すればよい。
次に、以上のようにして成形された充実成形体中の気孔形成剤を、水で溶出させることにより高分子多孔質体が得られ、例えば、充実成形体を水に浸漬して洗浄することにより、充実成形体に含まれていた気孔形成剤が水に溶解して溶出されて、気孔形成剤が存在していた部分が気孔となった高分子多孔質体が得られる。
本発明によれば、非水溶性高分子材料の種類や空隙率によっても異なるが、密度(見かけ密度)が0.1〜0.6g/cm3程度の高分子多孔質体を得ることができる。また、本発明によれば、空隙率が50%以上、特に60〜85%であると共に、気孔径(平均孔径)が5μm以上、特に6〜200μm、とりわけ7〜180μmの連通気孔を有する高分子多孔質体を得ることができる。更に、本発明によれば、厚さ2mmのシートで測定した通気度(例えば、JIS L 1096 通気性A法(フラジール試験機)にて測定できる)が0.8cm3/cm2・s以上、特に0.9cm3/cm2・s以上、とりわけ1.0cm3/cm2・s以上である高分子多孔質体を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1,2]
骨格ポリマーとなる非水溶性高分子材料としてポリプロピレン及びポリオレフィン系エラストマー、気孔形成剤としてポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール及び硫酸ナトリウム、高分子改質剤としてアクリル変性PTFE、並びに酸化防止剤を各々表1に示す量配合し、溶融混合分散させて成形材料を得、これらの成形材料を用い、成形温度170℃で押出成形にて厚さ2mmのシート状充実成形体を作製した(成形材料の配合を表1に示す)。
次に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。この高分子多孔質体の物性について測定した結果を表1に、実施例2で得られた高分子多孔質体のSEM写真を図1に示す。なお、各測定法は下記のとおりである(以下の例において同じ)。
密度(見かけ密度)
JIS A 9511に準じて、約200×200mmの試験片を60℃で乾燥し、恒量となった後の質量と見かけ容積から算出した。
空隙率
上記密度測定で得られた質量と、成形材料から気孔形成剤を除いたものの比重から高分子多孔質体の真容積を算出し、見かけ容積と真容積との差分の割合(%)を空隙率とした。
通気度
JIS L 1096 通気性A法(フラジール型試験機)に準じて測定した。
孔径測定
ASTM F316−86、JIS K 3832に基づく水銀圧入法にて測定した(多孔質体の貫通孔(連通気孔)の平均孔径を評価する)。
SEM観察
加速電圧15kVにて観察した。
[比較例1,2]
骨格ポリマーとなる非水溶性高分子材料としてポリプロピレン及びポリオレフィン系エラストマー、気孔形成剤としてペンタエリスリトール及び硫酸ナトリウム、高分子改質剤としてアクリル変性PTFE、並びに酸化防止剤を各々表1に示す量配合し、溶融混合分散させて成形材料を得、これらの成形材料を用い、成形温度170℃で押出成形しようとしたが、成形材料の流動性が不十分で、良好なシートを得ることは出来なかった(成形材料の配合を表1に示す)。
[比較例3,4]
骨格ポリマーとなる非水溶性高分子材料としてポリプロピレン及びポリオレフィン系エラストマー、気孔形成剤としてペンタエリスリトール及び硫酸ナトリウム、高分子改質剤としてアクリル変性PTFE、並びに酸化防止剤を各々表1に示す量配合し、溶融混合分散させて成形材料を得、これらの成形材料を用い、成形温度210℃で押出成形にて厚さ2mmのシート状充実成形体を作製した(成形材料の配合を表1に示す)。
次に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。この高分子多孔質体の物性について測定した結果を表1に、比較例4で得られた高分子多孔質体のSEM写真を図2に示す。実施例1,2と比べて、通気度、平均孔径の小さい多孔質体であった。
[実施例3〜5]
骨格ポリマーとなる非水溶性高分子材料としてポリオレフィン系エラストマー(実施例3)、ポリスチレン系エラストマー(実施例4)、ポリアミド系エラストマー(実施例5)、気孔形成剤としてポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール及び硫酸ナトリウム、アクリル変性PTFE、並びに酸化防止剤を表2に示す量を配合し、溶融混合分散させて成形材料を得、これらの成形材料を用い、成形温度170℃で押出成形にて厚さ2mmのシート状充実成形体を作製した(成形材料の配合を表2に示す)。
次に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。この高分子多孔質体の物性について測定した結果を表2に示す。
ポリプロピレン:日本ポリプロ社製「NEWSTREN SH9000」
ポリオレフィン系エラストマー:DSM社製「サーリンク4175BLK」
ポリスチレン系エラストマー:旭化成ケミカルズ社製「アサフレックスi350」
ポリアミド系エラストマー:宇部興産社製「ウベスタ 3035JIX53」
酸化防止剤:チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」
アクリル変性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン):三菱レイヨン社製「メタブレンA3000」
ペンタエリスリトール:広栄化学社製「ペンタリット」
ポリビニルアルコール:クラレ社製「クラレポバール CP−1000」
硫酸ナトリウム:東ソー社製「中性無水ぼう硝」
実施例2で得られた高分子多孔質体のSEM写真を示す。 比較例4で得られた高分子多孔質体のSEM写真を示す。

Claims (6)

  1. 非水溶性高分子材料に、水溶性高分子を含有する気孔形成剤を分散させてなる成形材料を、該非水溶性高分子材料が熱溶融し、かつ該気孔形成剤の一部又は全部が熱溶融する温度で成形し、冷却して充実成形体を得、次いで該充実成形体中の気孔形成剤を水で溶出させることを特徴とする高分子多孔質体の製造方法。
  2. 上記水溶性高分子が、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、エチレンオキシド、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びメチルヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の高分子多孔質体の製造方法。
  3. 上記気孔形成剤が、更にペンタエリスリトールを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の高分子多孔質体の製造方法。
  4. 上記気孔形成剤が、更に水溶性無機塩を気孔形成剤の総量に対して40質量%以下で含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の高分子多孔質体の製造方法。
  5. 上記非水溶性高分子材料が熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー又はそれらの混合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の高分子多孔質体の製造方法。
  6. 上記高分子多孔質体の空隙率が50%以上であり、かつ平均孔径が5μm以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の高分子多孔質体の製造方法。
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