JP5378645B2 - 多孔体の製造方法 - Google Patents

多孔体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5378645B2
JP5378645B2 JP2006279084A JP2006279084A JP5378645B2 JP 5378645 B2 JP5378645 B2 JP 5378645B2 JP 2006279084 A JP2006279084 A JP 2006279084A JP 2006279084 A JP2006279084 A JP 2006279084A JP 5378645 B2 JP5378645 B2 JP 5378645B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pore
forming agent
temperature
kneading
porous body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006279084A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008094981A (ja
Inventor
雅司 根本
淳士 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Rubber Inc
Original Assignee
Asahi Rubber Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Rubber Inc filed Critical Asahi Rubber Inc
Priority to JP2006279084A priority Critical patent/JP5378645B2/ja
Publication of JP2008094981A publication Critical patent/JP2008094981A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5378645B2 publication Critical patent/JP5378645B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Description

本発明は、多孔体の製造方法及び当該方法により製造される多孔体に関する。
気孔率の調節が可能で、しかも安価な多孔体の製造方法として、脱塩法が知られている(例えば、特許文献1参照)。脱塩法は、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウムなどの粉末状の気孔形成剤(以下、このような塩の気孔形成剤を「塩型気孔形成剤」という)を樹脂やゴムに添加した成形材料を用いて、塩型気孔形成剤を含む充実成形体を成形し、得られた充実成形体を水で洗浄することにより気孔形成剤である塩を溶出して、塩型気孔形成剤が存在していた部分に気孔を形成する多孔体の製造方法である。
このような脱塩法では、塩型気孔形成剤の融点が高いために、通常の樹脂の成形温度では固体(粉末)のままであり、特に射出成形や押出し成形などでは粉末状の塩型気孔形成剤は十分に押し出し又は射出されなかった。したがって、脱塩法では、空隙率の高い多孔体を射出成形、押し出し成形により製造することは困難であった。
上記脱塩法による問題点を解決する方法として、成形温度で溶融できる溶融型気孔形成剤を用いて、高分子物質の多孔体を形成する方法が提案された(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、成形温度で完全に溶融する気孔形成剤を用いた場合、粒状気孔形成剤を用いたにも拘わらず、気孔形成剤が完全に溶融してしまうために、気孔の大きさが不均一で、さらには空孔の分布も不均質な多孔体しか製造できなかった。
そこで、粒状気孔形成剤として充実成形体の成形温度で一部が溶融する溶融型気孔形成剤を用いた多孔体の製造方法が提案された(例えば、特許文献3参照)。この方法では、一部が溶融する粒状気孔形成剤として、例えば、成形温度で溶融する気孔形成剤(溶融可能気孔形成剤)と、成形温度で溶融しない気孔形成剤(難溶融気孔形成剤)との混合物(「混合型粒状気孔形成剤」という)と、が用いられた。しかしながら、この方法では、加硫剤を用いて架橋して成形体を形成する材料を用いて、成形材料を厚手のプレート状に前加工してから金型で加熱成形する場合、該成形材料は、溶融可能気孔形成剤が溶融状態下で十分な混練を経ることなく成形されてしまうので、溶融可能気孔形成剤が加熱成形工程において互いに連結する頻度が少なく、連通孔を有する均質な多孔体が得にくい。押出成形工程あるいは射出成形工程にも混練作用はあるが、押出機のスクリュー及び成形材料の流れだけでは、溶融した溶融可能気孔形成剤が互いに連結する頻度が少ない結果、同様の傾向が発生する。
同文献には、ゴムを用いる記載及び加硫剤を用いる記載はあるものの、混練温度が高いと加硫剤が反応をするので、加硫剤自体が均一に分散できず、その後の多孔体全体の耐熱性などの物性が均質にならないばかりか、気孔形成剤の均一な分散が難しく、成形時に気孔形成剤の一部が溶融しても連通孔を有する均質な多孔体を成形することはできない問題があった。
同文献が開示する、成形時に難溶融気孔形成剤と溶融可能気孔形成剤とを混合して溶融可能気孔形成剤を溶融して多孔体を製造する技術においては、混練温度が高いと加硫剤が反応をするので、均質な多孔体を製造することが難しく、加硫された耐熱性の高い、連通孔を有する均質な多孔体を製造することはできなかった。
特開8−198998号公報 特開2001−2825号公報 特開2002−194131号公報
そこで、本発明の目的は、耐熱性に優れた連通孔を有する均質な多孔体の製造方法及び当該方法により製造される多孔体を提供することにある。
そこで、本発明の多孔体の製造方法は、
シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン−プロピレンゴムから選択されるゴムに、気孔形成剤及び加硫剤を混練してゴム組成物を得る混練工程と、
前記ゴム組成物を前記加硫剤が反応する温度に設定された加硫温度で加硫して加硫ゴム組成物を得る加硫工程と、
前記ゴムは溶解しないが前記気孔形成剤は溶解する溶媒で洗浄することにより気孔を形成する溶出工程と、
を含み、
前記混練工程は、前記加硫温度よりも低い混練温度で行なわれ、
前記気孔形成剤は、前記混練温度で溶融する第1の気孔形成剤と、前記混練温度で溶融しない第2の気孔形成剤と、を含み、
前記第2の気孔形成剤は、不純物を含むペンタエリスリトールを含み、
前記ペンタエリスリトールは、前記不純物を含むことによって前記加硫温度で一部が溶融する
本発明の多孔体の製造方法によれば、ゴム組成物中に加硫剤を含むため混練工程は加硫温度よりも低い温度で行ない、混練温度で第1の気孔形成剤が溶融するため、混練工程及びその後の成形工程における良好な加工性を実現することができる。また、この製造方法によって得られた多孔体は、加硫工程によって高耐熱性及び低圧縮残留ひずみ率が付与され、かつ、溶出工程によって通気性及び透湿性に優れた気孔が形成される。さらに、ゴム組成物に含有される気孔形成剤の大部分が洗浄工程にて実質的に除去されることになるので、衛生性や人体への安全が要求されるような商品に利用することができる。
本発明にかかる多孔体の製造方法において、
前記混練温度は、前記加硫温度より50℃以上低い温度であることが好ましい。
本発明にかかる多孔体の製造方法において、
前記気孔形成剤中の前記第1の気孔形成剤の含有割合は、前記気孔形成剤総量に対して2〜25質量%であることができる。
本発明にかかる多孔体の製造方法において、
前記第1の気孔形成剤及び前記第2の気孔形成剤は水溶性物質であり、前記溶媒は水であることができる。
本発明にかかる多孔体の製造方法において、
前記第1の気孔形成剤は、融点が40〜70℃の水溶性化合物であることができる。
本発明にかかる多孔体の製造方法において、
前記第1の気孔形成剤は、トリメチロールプロパン及びエステルグリコールから選択される1種もしくは2種であることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態にかかる多孔体の製造方法で用いる成形材料について説明する。
1.ゴム
多孔体の骨格を形成するゴムは、加硫剤によって架橋することによって好ましい耐熱性が得られるゴムが好ましく、特に本発明に用いられるゴムとしては、架橋することで優れた耐熱性が得られるシリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン−プロピレンゴムから選択される。シリコーンゴムは、加硫方法により高温加硫型(HTV)と室温加硫型(RTV)とに大別されるが、本発明に用いられるシリコーンゴムは、高温加硫型のシリコーンゴムであって、加硫温度としては110℃以上が好ましく、例えば、ベースポリマーとしてのオルガノポリシロキサンを含むものが挙げられる。フッ素ゴムは、分子中にフッ素原子を含む合成ゴムであり、含フッ素ゴム(FKM)とも呼ばれ、例えば、含フッ素アクリレートの重合体、フッ化ビニリデン系共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体(TFE-P)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(TFE-PMVE)、含フッ素ホスファゼン系、含フッ素シリコーン系などが挙げられる。エチレン−プロピレンゴムは、エチレンとプロピレンの系に第三成分として非共役ジエン類を加えて得られる三元共重合体であるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)が好ましい。
2.加硫剤
加硫剤としては、ゴムの種類、架橋度、加硫時間、硬化速度などを考慮して硫黄、過酸化物、キノイドなど公知の加硫剤を適宜選択することができるが、特に、加硫剤の反応する温度が本発明の混練温度を超える温度であるものの中から選択されることが好ましい。特に、加硫工程で設定される加硫温度と混練温度との差が50℃以上となるように選択されることが好ましい。過酸化物の加硫剤としては、例えば、Dicumyl peroxide、2,5−dimethyl−2,5−di(t−butyl peroxy)hexane、Di−(4−methyl benzoyl)peroxideなどが挙げられる。また、加硫剤に加えて加硫促進剤を加えてもよい。なお、「加硫温度」とは、加硫工程においてゴムを加硫するために設定される加硫剤が反応する温度であって、過酸化物加硫剤の場合、1分間の半減期を得る温度を基準として適宜設定される。
3.気孔形成剤
気孔形成剤としては、混練温度で溶融する第1の気孔形成剤と、混練温度で溶融しない第2の気孔形成剤と、を含む。混練温度とは、ゴム、気孔形成剤及び加硫剤を混練してゴム組成物を得る混練工程におけるゴムの温度であり、多孔体の骨格部分を形成するゴムの種類や加硫剤により異なるが、混練工程の途中で加硫剤が反応しないように加硫温度よりも十分低い温度に設定される。気孔形成剤は、気孔形成剤の溶出工程で用いる溶媒との関係から、水溶性物質であることが好ましく、溶媒は水であることが好ましい。
第1の気孔形成剤としては、少なくとも加硫温度より低い混練温度で溶融する水溶性化合物であることが好ましい。このような第1の気孔形成剤としては、融点が40〜70℃の水溶性化合物であることが好ましく、例えば、トリメチロールプロパン及びエステルグリコールから選択される1種もしくは2種とすることができる。
第2の気孔形成剤としては、混練温度で溶融しない、不純物を含むペンタエリスリトールを含み、ペンタエリスリトールは不純物を含むことによって加硫温度で一部が溶融する。工業用に製造されているペンタエリスリトールは、不純物として、トリペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールを含み、それぞれの純粋化合物の融点(ペンタエリスリトール269℃、トリペンタエリスリトール250℃、ジペンタエリスリトール223℃)よりも低い温度(純度により異なるが、約170℃程度)で溶融しはじめることができる。
気孔形成剤中の第1の気孔形成剤の含有割合は、気孔形成剤総量に対して2〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは2.5〜15質量%である。したがって、混練工程においては、気孔形成剤総量における2〜25質量%の第1の気孔形成剤分だけが溶融することになる。気孔形成剤中の第1の気孔形成剤の含有割合が2質量%未満の場合には、混練工程における加工が難しい。また、気孔形成剤中の第1の気孔形成剤の含有割合が25質量%を超える場合には、混練中に溶融する気孔形成剤が多くなり、加工性の点ではスリップが発生し易く、また気孔形成剤の分散性の点ではゴムと気孔形成剤とが分離し易くなるため、好ましくない。
気孔形成剤の具体的形状は常温において粒状であることが好ましいが、所望する多孔体に合わせて適宜選択することができる。例えば、球状、米粒状、短繊維状、多角形状などが挙げられる。また、粒状の気孔形成剤には、一般に粉末に属するような小径粒子の気孔形成剤も含まれる。
ゴムに対する気孔形成剤の配合割合は、最終的に得ようとする多孔体の気孔率に応じて選択される。本実施の形態では、気孔形成剤が溶出されて、気孔形成剤が存在していた部分が気孔となるので、ゴム組成物における気孔形成剤の容積率が気孔率にほぼ該当することになるからである。一方、気孔形成剤の含有割合が少なすぎると、ゴム組成物において粒状の気孔形成剤が不連続に存在することになり、気孔形成剤の溶出工程で、ゴム組成物内部の気孔形成剤を十分に溶出できなくなる。従って、ゴム組成物における気孔形成剤の体積率が40〜90体積%となる量、さらに好ましくは50〜90体積%となる量を配合することが好ましく、気孔形成剤の密度に応じて選択すればよい。
混練工程では、上記ゴム、加硫剤及び気孔形成剤の他、必要により、老化防止剤、可塑剤、熱安定剤、滑剤、増粘剤、難燃剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、強化材などの添加剤を添加してもよい。尚、これらの添加剤は、溶媒に溶解しないものでなければならない。溶出工程で溶出されるものであれば、多孔体に残存できず、添加剤の役目を果たせないからである。このような添加剤は、ゴム100質量部に対して50質量部以下の範囲で添加することが好ましい。
以上のように、混練温度、加硫温度、第1の気孔形成剤および第2の気孔形成剤の溶融温度の特殊な組み合わせにより、本発明の耐熱性に優れた均質な多孔体を得ることが可能となる。
4.多孔体の製造方法
次に、本発明の実施形態にかかる多孔体の製造方法について説明する。
多孔体の製造方法は、シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン−プロピレンゴムから選択されるゴムに、気孔形成剤及び加硫剤を混練してゴム組成物を得る混練工程と、ゴム組成物を加硫剤が反応する温度に設定された加硫温度で加硫して加硫ゴム組成物を得る加硫工程と、ゴムは溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で洗浄することにより気孔を形成する溶出工程と、を含む。混練工程は、加硫温度よりも低い混練温度で行なわれ、特に、加硫温度より50℃以上低い温度であることが好ましい。
混練工程は、ゴムに、気孔形成剤及び加硫剤、さらに必要に応じて添加される添加剤を配合し、オープンロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機などの装置を用いて混練し、均質に混合する。混練工程は、加硫剤が反応しない程度に加硫温度より十分低い混練温度、好ましくは加硫温度より50℃以上低い温度で行なわれ、気孔形成剤における第1の気孔形成剤だけが溶融して連通孔を有する均質なゴム多孔体となるべきゴム組成物ができる。混練温度がシリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン−プロピレンゴムから選択されたゴムを用いたときに設定される加硫温度より50℃以上低い温度に設定されることで、混練工程中に加工性を低下させるような加硫反応はほとんど起こらない。第1の気孔形成剤が溶融することで、混練加工を容易に行うことができ、気孔形成剤及び加硫剤が均一に分散したゴム組成物を得ることができる。混練温度は、ゴムの種類や加硫剤により異なるが、例えば、シリコーンゴムの場合には40〜130℃が好適であり、フッ素ゴムの場合には40〜130℃が好適であり、エチレン−プロピレンゴムの場合には40〜125℃が好適である。
加硫工程は、ゴム組成物を所望の形状に成形加工後もしくは成形加工と同時に行なわれ、例えば加硫剤の加硫反応が起こる温度以上の加硫温度に設定したプレス金型内でゴム組成物を加圧しながら所定時間保持することで行うことができる。加硫温度は、ゴムや加硫剤の種類に影響を受けるが、工業的な生産性を損なわない範囲で加硫工程の時間に応じて設定される。加硫工程に用いる加硫機械としては、プレス機、加硫缶、射出成形機や押出成形機を含む連続加硫機など公知の加硫機械を用いることができる。加硫工程において、第2の気孔形成剤は粒子状を保持した状態で含有された充実成形体となる。また、第2の気孔形成剤は、粒子状を保持した気孔形成剤同士が連続性を失わない程度に、溶融した第1の気孔形成剤と、例えば第2の気孔形成剤の一部が溶融した第2の気孔形成剤と、が存在したような状態になる。加硫温度の下限は第2の気孔形成剤の不純物を含むペンタエリスリトールが溶融しはじめる温度以上であり、加硫温度の上限はゴムの種類や加硫剤により異なるが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、及びエチレン−プロピレンゴムの場合には220℃以下が好適である。
溶出工程は、加硫された加硫ゴム組成物を、ゴムは溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で洗浄することにより気孔を形成する。溶媒としては、ゴムおよび気孔形成剤の種類によって適宜選択され、例えば水、グリコール、グリコールエーテル、高分子量アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリコールエステル、鉱油、石油、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンエステル、グリセロール、グリセロールエステルなどを挙げることができる。溶媒として有機溶剤などを使用した場合、後処理などの付帯設備が必要となるので、そのような設備が不要となる水を溶媒として使用できるような気孔形成剤を選ぶのが望ましい。気孔形成剤として、多価アルコール、糖、水溶性金属塩、尿素、水溶性高分子を用いた場合、溶媒として水を好適に使用できる。溶媒による加硫されたゴム組成物の洗浄は、溶媒にゴム組成物を浸漬したり、加硫ゴム組成物に溶媒を噴射したりすることによって行うことができる。溶媒での洗浄工程により、加硫ゴム組成物に含まれていた気孔形成剤が溶媒に溶解して溶出されることとなる。加硫ゴム組成物の表面に存在していた気孔形成剤が溶出され、これにより形成される凹部から溶媒が次第に加硫ゴム組成物の内部へ浸入して、加硫ゴム組成物の内部に存在する気孔形成剤が溶出される。このようにして、気孔形成剤が連続的に空孔となったような連続気孔タイプの多孔体が形成される。
以上のようにして製造された多孔体は、ゴムに配合した気孔形成剤の量に応じた空隙率を有し、しかも気孔形成剤が溶融することにより空孔が連通している。また、多孔体のゴム成分は加硫されているので、均質な連続気孔が形成された高耐熱性の多孔体を得ることができる。多孔体は、空隙率が40〜90体積%であることが好ましい。このような耐熱性を有する加硫ゴム組成物からなる多孔体は、通気性及び透湿性に優れ、さらに圧縮残留ひずみが小さいため、緩衝材、保温材、各種フィルターとして好適に用いることができる。また、多孔体は、通気性に優れ、しかも成形材料に含有される気孔形成剤の大部分が洗浄工程にて実質的に除去されることになるので、衛生性や人体への安全が要求されるようなブラジャー、ショーツ、パンツ、シャツ、靴下、帽子などの衣類用クッション、サポーター、ヘッドギア用クッション、耳栓、化粧用パフ材に利用することができる。多孔体の空隙率が40体積%未満であると溶出工程において気孔形成剤の一部が溶出されずに残る可能性があり、多孔体の空隙率が90%を超えると強度が低く圧縮残留ひずみの大きいものとなる。
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明から実体的に逸脱しない範囲で変形が可能である。例えば、上記実施形態の混練工程では、ゴムに気孔形成剤及び加硫剤を加えたが、さらに光触媒としての例えば酸化チタン粒子を配合することによって、黄色度(YI値)の変化が小さい多孔体を得ることができる。また、上記実施形態の加硫工程において、例えば金型内にあらかじめ加硫したゴム組成物を配置し、そのゴム組成物に上記実施形態の気孔形成剤を含むゴム組成物を重ね合わせるように配置して加熱・加圧することで加硫接着することもできる。こうして得られた多孔体とソリッドゴムとの複合構造体は、通気性と防水性とを兼ね備えることができる。さらに、ソリッドゴムに代えて空隙率の異なる多孔体を加硫接着によって組み合わせてもよい。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試料の作製)
(A)混練工程:
シリコーンゴム100質量部に、過酸化物加硫剤2質量部を配合し、二本ロールで混合分散させて、シリコーンゴムコンパウンドを作製した。
加硫剤を含むシリコーンゴムコンパウンド110質量部に、第1の気孔形成剤としてトリメチロールプロパン10質量部と、第2の気孔形成剤としてペンタエリスリトール390質量部と、を配合し、缶体温度(T1)110℃に設定されたニーダーで10分間混練して気孔形成剤を混合分散させたゴム組成物を得た。
(B)加硫工程:
混練工程で得られたゴム組成物を、プレス金型内で加硫温度(T2)170℃で10分間圧縮成形して厚さ2mmのシート状の加硫ゴム組成物を得た。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、−60℃とした。
(C)溶出工程:
シート状の加硫ゴム組成物を温水を用いて水洗し、加硫ゴム組成物中から気孔形成剤を溶出させ、多孔体の試料を得た。
なお、シリコーンゴムは東レ・ダウコーニング社製「SH−851U」、過酸化物加硫剤は東レ・ダウコーニング社製「RC−4 50(化学名:2,5−dimethyl−2,5−di(tert−butylperoxy)hexane)」、トリメチロールプロパンは溶融温度61℃の三菱ガス化学社製「トリメチロールプロパン」、ペンタエリスリトールは溶融温度165〜250℃の融解ピークを持つ広栄化学社製「ペンタリット」を用いた。なお、「ペンタリット」は、モノペンタエリスリトールが96〜99%であり、不純物としてトリペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールを1〜4%含む。したがって、混練工程において、トリメチロールプロパンは混練温度(110℃)で溶融しているが、ペンタエリスリトールは溶融していない。
(評価、測定方法)
抽出工程を経て得られた多孔体を以下の測定方法及び評価方法で評価した。
(1)ゴム組成物における気孔形成剤の体積率(vol%)
まず加硫ゴム組成物の体積と質量を測定し、次に多孔体の質量を測定した。水洗前・後の質量差と気孔形成剤の比重とから気孔形成剤の体積を算出し、これを成形材料全体の体積で割って気孔形成剤の体積率(vol%)とした。その結果を表1に示した。
(2)多孔体の見掛け密度(g/cm
JIS A 9511に準拠して、約200×200mmの試験片を70±5℃で乾燥し、恒量となった後質量Wと容積Vとから下記式により算出した。その結果を表1に示した。
見掛け密度(g/cm)=W/V
(3)多孔体の空隙率(vol%)
多孔体の質量Wを、多孔体原料(成形材料から気孔形成剤を除いたもの)の比重で割って、多孔体の気孔を考慮しない容積V1を算出する。算出した容積V1及びで得られた多孔体の容積Vを用いて、下記式により算出した。その結果を表1に示した。
多孔体の空隙率=100−(V1/V)×100
(4)多孔体の硬さ
JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」に準拠して、厚さ8mmの試料をタイプEデュロメータ硬さ計で測定した。
(5)多孔体の引張強さ(MPa)、伸び(%)、引裂強さ(N/mm)
多孔体の引張強さ及び伸びは、JIS K 6251「加硫ゴムの引張試験方法」に準拠して、ダンベル状3号形を用いて測定した。また、多孔体の引裂強さは、JIS K 6252「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引裂強さの求め方」に準拠して、切込み無しアングル形を用いて測定した。
(6)耐熱性
JIS K 6257「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−熱老化特性の求め方」に準拠して125℃×168時間の寸法変化率(%)を測定し、耐熱性を評価した。その結果を表1に示した。なお、表1では、「試験片の長さ方向の寸法変化率/試験片の厚さ方向の寸法変化率」で示した。
(7)圧縮残留ひずみ率(%)
JIS K 6400「軟質ウレタンフォーム試験方法」に準拠して50℃×22時間、50%圧縮してひずみ率を測定した。その結果を表1に示した。
(8)通気度(cm/cm・s)
JIS L 1096「通気性A法(フラジール型試験機)」に準拠して測定した。
表1に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表1に示した。なお、第1の気孔形成剤としてのポリエチレングリコールは、溶融温度53〜57℃のライオン社製「PEG#4000」を用いた。
表1に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。なお、ペンタエリスリトールを380質量部とした。その結果を表1に示した。
表1に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表1に示した。なお、ポリビニルアルコールは、溶融温度174℃のクラレ社製「クラレポバールCP−1000」を用いた。
表1に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表1に示した。
表1に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表1に示した。また、多孔体を切断し、その断面を電子顕微鏡(1000倍)による写真撮影を行った。その写真を図1に示す。
表1に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表1に示した。
表2に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表2に示した。なお、シリコーンゴムとして、東レ・ダウコーニング社製「SH−871U」を用いた。
表2に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表2に示した。なお、シリコーンゴムとして、東レ・ダウコーニング社製の難燃性シリコーンゴム「SH502U A/B」を用いた。
(試料の作製)
(A)混練工程:
シリコーンゴム100質量部に、過酸化物加硫剤4質量部を配合し、二本ロールで混合分散させて、シリコーンゴムコンパウンドを作製した。
加硫剤を含むシリコーンゴムコンパウンド290質量部に、第1の気孔形成剤としてトリメチロールプロパン10質量部及びポリエチレングリコール20質量部と、第2の気孔形成剤としてペンタエリスリトール370質量部と、を配合し、缶体温度70℃に設定されたニーダーで10分間混練して気孔形成剤を混合分散させたゴム組成物を得た。
(B)加硫工程:
混練工程で得られたゴム組成物を、シリンダー温度70℃で押出成形し、加硫炉温度180℃×30分間加硫して厚さ2mmのシート状の加硫ゴム組成物を得た。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、−110℃とした。
(C)溶出工程:
シート状の加硫ゴム組成物を温水を用いて水洗し、加硫ゴム組成物中から気孔形成剤を溶出させ、多孔体(試料)を得た。
実施例1と同様に(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表2に示した。なお、シリコーンゴムとして、東レ・ダウコーニング社製「SE−1186U」を用いた。
表2に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表2に示した。
表2に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表2に示した。
表2に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表1に示した。なお、第1の気孔形成剤としてのエステルグリコールは、溶融温度50℃の三菱ガス化学社製「エステルグリコール」を用いた。
表3に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表3に示した。混練工程においてシリコーンゴムコンパウンドに対して気孔形成剤が大量に配合されているため、得られた多孔体は空隙率が91%と高くなり、強度が低く、実施例1より硬さや圧縮残留ひずみが劣っていた。
表3に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表3に示した。混練工程においてシリコーンゴムコンパウンドに対して気孔形成剤の配合が少ないため、得られた多孔体は実施例1より空隙率が低くなった。
表3に示す実施例1と同様の配合で試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。なお、混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、−30℃とした。その結果を表3に示した。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)が比較的小さいため、混練時に加硫剤の一部が反応し、実施例1に比べて気孔形成剤の分散が不十分で、得られた多孔体の均質性も実施例1の多孔体に劣っていた。
(試料の作製)
(A)混練工程:
フッ素ゴム100質量部に、酸化マグネシウム3質量部と、過酸化物加硫剤2.5質量部と、TAIC2.5質量部と、を配合し、二本ロールで混合分散させて、フッ素ゴムコンパウンドを作製した。
加硫剤を含むフッ素ゴムコンパウンド180質量部に、第1の気孔形成剤としてトリメチロールプロパン10質量部と、第2の気孔形成剤としてペンタエリスリトール390質量部と、を配合し、缶体温度110℃に設定されたニーダーで10分間混練して気孔形成剤を混合分散させたゴム組成物を得た。
(B)加硫工程:
混練工程で得られたゴム組成物を、プレス金型内で170℃×10分間圧縮成形して厚さ2mmのシート状の加硫ゴム組成物を得た。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、−60℃とした。
(C)溶出工程:
シート状の加硫ゴム組成物を温水を用いて水洗し、加硫ゴム組成物中から気孔形成剤を溶出させ、多孔体を得て、さらにオーブンで180℃×4時間の2次加硫を実施して多孔体(試料)を得た。
実施例1と同様に(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表4に示した。また、実施例6と同様に電子顕微鏡による写真撮影を行ない、その写真を図2に示した。なお、フッ素ゴムとして住友スリーエム社製「LJ−206007」、酸化マグネシウムとして協和化学工業社製「キョウワマグ150」、過酸化物加硫剤として日本油脂社製「パーヘキサ25B」、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)として日本化成社製「TAIC」を用いた。
(試料の作製)
(A)混練工程:
エチレン−プロピレンゴム175質量部に、ステアリン酸1質量部と、酸化亜鉛5質量部と、SRFカーボンブラック40質量部と、軽質炭酸カルシウム80質量部と、TMTD0.3質量部と、TRA0.3質量部と、CBS1.4質量部と、硫黄1.5質量部と、を配合し、二本ロールで混合分散させて、エチレン−プロピレンゴムコンパウンドを作製した。
加硫剤を含むエチレン−プロピレンゴムコンパウンド120質量部に、第1の気孔形成剤としてトリメチロールプロパン10質量部と、第2の気孔形成剤としてペンタエリスリトール390質量部と、を配合し、缶体温度110℃に設定されたニーダーで10分間混練して気孔形成剤を混合分散させたゴム組成物を得た。
(B)加硫工程:
混練工程で得られたゴム組成物を、プレス金型内で170℃×10分間圧縮成形して厚さ2mmのシート状の加硫ゴム組成物を得た。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、−60℃とした。
(C)溶出工程:
シート状の加硫ゴム組成物を温水を用いて水洗し、加硫ゴム組成物中から気孔形成剤を溶出させ、多孔体(試料)を得た。
実施例1と同様に(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表4に示した。なお、エチレン−プロピレンゴムとしてJSR社製「JSR EP98」、TMTDとして大内新興化学社製「ノクセラーTT」、TRAとして大内新興化学社製「ノクセラーTRA」、CBSとして大内新興化学社製「ノクセラーCZ」を用いた。
表4に示す配合で実施例15と同様に試料を作製し、実施例1と同様に(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表4に示した。なお、TAICとして日本化製社製「TAIC」、過酸化物加硫剤として日本油脂社製「パークミルD−40」を用いた。
表4に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表4に示した。なお、酸化チタン10質量部は、シリコーンゴムコンパウンドを作製する過程で、シリコーンゴムに対して過酸化物加硫剤と共に二本ロールで混合した。
また、実施例20の試料を用いて1ヶ月間の屋外暴露試験を行った。その結果、試料の黄色度(YI値)は、4.5と小さく、光触媒作用のあるものだった。
[比較例1]
表5に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表5に示した。混練工程において、第1の気孔形成剤が配合されていないため、混練温度で気孔形成剤が溶融せず、混練加工性が悪く、ペンタエリスリトールの分散状態が悪かった。
[比較例2]
表5に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表5に示した。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、−140℃とした。混練温度が第1の気孔形成剤であるトリメチロールプロパンの溶融温度より低いため、混練工程において第1の気孔形成剤が溶融せず、混練加工性が悪く、気孔形成剤の分散性も悪かった。多孔体は、密度は実施例1と同じであるが、粗密が確認され、全体に均質なものではなかった。
[比較例3]
表5に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表5に示した。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、0℃とした。混練温度が加硫温度と同じであり、混練工程中に架橋反応が始まるため、混練加工性が悪く、気孔形成剤の分散性も悪かった。多孔体は、部分的に波打ったシート状で全体に均質なものではなかった。したがって、多孔体は、密度以外の評価が不可能であった。
[比較例4]
表5に示す配合で実施例1と同様に試料を作製し、(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表5に示した。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、40℃とした。混練温度が加硫温度よりも高温であり、混練工程中に架橋反応が始まるため、混練加工性が悪く、気孔形成剤の分散性も悪かった。多孔体は、部分的に波打ったシート状で全体に均質なものではなかった。したがって、多孔体は、密度以外の評価が不可能であった。
[比較例5]
(試料の作製)
(A)混練工程:
スチレン系エラストマー90質量部に、ポリプロピレン10質量部と、高分子改質剤としてのアクリル変性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)5質量部と、酸化防止剤0.5質量部と、高分子アクリル系滑剤1質量部と、第2の気孔形成剤としてペンタエリスリトール350質量部と、を配合し、シリンダー温度210℃に設定された二軸押出機で混練して気孔形成剤を混合分散させたゴム組成物(ペレット)を得た。
(B)成形工程:
混練工程で得られたゴム組成物を、シリンダー温度200℃で押出成形して厚さ2mmのシート状のゴム組成物を得た。
(C)溶出工程:
シート状のゴム組成物を温水を用いて水洗し、ゴム組成物中から気孔形成剤を溶出させ、多孔体(試料)を得た。
実施例1と同様に(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表5に示した。なお、スチレン系エラストマーとしてクラレ社製「ハイブラー7125」、ポリプロピレンとして三井住友ポリオレフィン社製「三井住友ポリプロS131」、アクリル変性PTFEとして三菱レイヨン社製「メタブレンA3000」、酸化防止剤としてチバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」、高分子アクリル系滑剤として三菱レイヨン社製「メタブレンL−1000」を用いた。こうして得られた多孔体は、表5に示すように、特に耐熱性と圧縮残留ひずみに劣っていた。
[比較例6]
(試料の作製)
(A)成形工程:
表6に示す配合で、シリコーンゴム、過酸化物加硫剤、気孔形成剤としてトリメチロールプロパンをシリンダ温度110℃の射出成形機に投入し、溶融・混合して、金型温度200℃の金型内へ射出成形すると共に、加硫してゴム組成物を得た。
(B)溶出工程:
シート状のゴム組成物を温水を用いて水洗し、ゴム組成物中から気孔形成剤を溶出させ、多孔体(試料)を得た。
実施例1と同様に(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表6に示した。混練工程がなく一軸スクリューの射出成形機で成形したため気孔形成剤や加硫剤の分散は困難であり、得られた多孔体は、全体にかなり粗密が確認された。また、得られた多孔体は、加硫剤が分散不十分であったため、表6に示すように、強度の弱い多孔体であった。
[比較例7]
(試料の作製)
シリコーンゴム100質量部に、過酸化物加硫剤2質量部を配合し、二本ロールで混合分散させて、シリコーンゴムコンパウンドを作製した。
加硫剤を含むシリコーンゴムコンパウンド110質量部に、第1の気孔形成剤としてトリメチロールプロパン200質量部及びポリエチレングリコール200質量部を配合し、缶体温度(T1)110℃に設定されたニーダーで10分間混練して気孔形成剤を混合分散させたゴム組成物を得た。
(B)加硫工程:
混練工程で得られたゴム組成物を、プレス金型内で加硫温度(T2)170℃で10分間圧縮成形して厚さ2mmのシート状の加硫ゴム組成物を得た。混練温度(T1)に対する加硫温度(T2)の差(T1−T2)は、−60℃とした。
(C)溶出工程:
シート状の加硫ゴム組成物を温水を用いて水洗し、加硫ゴム組成物中から気孔形成剤を溶出させ、多孔体の試料を得た。
実施例1と同様に(1)〜(8)の評価、測定を行なった。その結果を表6に示した。第1の気孔形成剤は混練工程において全て溶融するため、加工時にスリップが発生しやすく、またゴムと気孔形成剤が分離していた。得られた多孔体は、かなりの粗密が確認された。
表1〜3に示すように、実施例1〜20の多孔体の試料は、連続気孔によって通気性を有し、かつ、耐熱性に優れた多孔体であった。しかも、実施例1〜20の多孔体の製造方法において、気孔形成剤の中に混練工程で溶融した状態の第1の気孔形成剤が2〜25質量%含まれるため、混練加工性に優れ、気孔形成剤をほぼ均一に分散させることができた。図1及び図2に示すように、実施例6、17のゴム組成物中から均一分散された気孔形成剤を抽出したことで全体に均一な多孔体に形成されたことがわかった。また、実施例1〜13及び16〜20の多孔体は、空隙率が40〜90%であり、通気性に優れ、抽出工程において気孔形成剤のほとんど全てを抽出することができた。
実施例6の多孔体の電子顕微鏡写真である。 実施例17の多孔体の電子顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. シリコーンゴム、フッ素ゴム及びエチレン−プロピレンゴムから選択されるゴムに、気孔形成剤及び加硫剤を混練してゴム組成物を得る混練工程と、
    前記ゴム組成物を前記加硫剤が反応する温度に設定された加硫温度で加硫して加硫ゴム組成物を得る加硫工程と、
    前記ゴムは溶解しないが前記気孔形成剤は溶解する溶媒で洗浄することにより気孔を形成する溶出工程と、
    を含み、
    前記混練工程は、前記加硫温度よりも低い混練温度で行なわれ、
    前記気孔形成剤は、前記混練温度で溶融する第1の気孔形成剤と、前記混練温度で溶融しない第2の気孔形成剤と、を含み、
    前記第2の気孔形成剤は、不純物を含むペンタエリスリトールを含み、
    前記ペンタエリスリトールは、前記不純物を含むことによって前記加硫温度で一部が溶融する多孔体の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記混練温度は、前記加硫温度より50℃以上低い温度である多孔体の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記気孔形成剤中の前記第1の気孔形成剤の含有割合は、前記気孔形成剤総量に対して2〜25質量%である多孔体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記第1の気孔形成剤及び前記第2の気孔形成剤は水溶性物質であり、前記溶媒は水である多孔体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    前記第1の気孔形成剤は、融点が40〜70℃の水溶性化合物である多孔体の製造方法。
  6. 請求項5において、
    前記第1の気孔形成剤は、トリメチロールプロパン及びエステルグリコールから選択される1種もしくは2種である多孔体の製造方法。
JP2006279084A 2006-10-12 2006-10-12 多孔体の製造方法 Active JP5378645B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006279084A JP5378645B2 (ja) 2006-10-12 2006-10-12 多孔体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006279084A JP5378645B2 (ja) 2006-10-12 2006-10-12 多孔体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008094981A JP2008094981A (ja) 2008-04-24
JP5378645B2 true JP5378645B2 (ja) 2013-12-25

Family

ID=39378173

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006279084A Active JP5378645B2 (ja) 2006-10-12 2006-10-12 多孔体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5378645B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9127131B2 (en) * 2010-02-19 2015-09-08 Shachihata Inc. Porous synthetic resin molded part and method of producing the same
JP2013213102A (ja) * 2012-03-30 2013-10-17 Sekisui Chem Co Ltd 発泡体
US20160325278A1 (en) 2013-12-27 2016-11-10 Asahi Fr R&D Co., Ltd. Three-dimensional microchemical chip
JP6537944B2 (ja) * 2015-09-24 2019-07-03 株式会社イノアックコーポレーション シリコーン多孔体の製造方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11166071A (ja) * 1997-09-30 1999-06-22 Inoac Corporation:Kk ミクロ多孔体及びその製造方法
JP2000238398A (ja) * 1998-12-25 2000-09-05 Mitsubishi Pencil Co Ltd 連続気孔を有する多孔性ゴム状部材の製造方法及び連続気孔を有する多孔性ゴム状部材
JP4759108B2 (ja) * 1999-06-24 2011-08-31 株式会社朝日ラバー 多孔体の製造方法
JP4937447B2 (ja) * 2000-12-25 2012-05-23 株式会社朝日ラバー 多孔体の製造方法
JP2003237205A (ja) * 2002-02-13 2003-08-27 Shachihata Inc 多孔質ゴム印字体
JP2005097367A (ja) * 2003-09-22 2005-04-14 Inoac Corp フッ素ゴムを含むミクロ多孔体およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008094981A (ja) 2008-04-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5378645B2 (ja) 多孔体の製造方法
CN109996834B (zh) 过氧化物母料
JP2006257275A (ja) 高分子多孔質体の製造方法
JP2001072890A (ja) 表面処理炭酸カルシウム、及び多孔性フィルム用樹脂組成物、並びに多孔性フィルムの製造方法
TW202239843A (zh) 再循環聚合物組成物及其方法
JP5052466B2 (ja) オープン架橋用の炭素質含有ゴム組成物
DE102006017346B4 (de) Migrationsstabiler Masterbatch mit verbesserten Vernetzungseigenschaften, Verfahren zu dessen Herstellung und Verwendung desselben
CN110054853A (zh) 一种柔性拖链磨砂高弹聚氯乙烯料及其制备方法
CN105924758A (zh) 一种可辐照交联低密度改性聚乙烯-四氟乙烯共聚物绝缘料
JP5312893B2 (ja) 膨張性黒鉛を含有する過酸化物架橋用ゴム組成物およびその過酸化物架橋方法
EP2986667B1 (en) Fluororesin and mesoporous silica composition and molded product thereof
JP5179550B2 (ja) 再生樹脂含有ポリオレフィン系樹脂発泡体用組成物及びその発泡体
JP2011032472A (ja) Voc及び曇りが少ない、シームレス式エアバッグドア用の低温pvc
JP6448416B2 (ja) 発泡樹脂シート用樹脂組成物、および、発泡樹脂シート
JP2018059079A (ja) 熱膨張性樹脂組成物及び多層耐火成形体
JP3929091B2 (ja) 架橋性フッ化ビニリデン重合体組成物、該組成物の架橋方法及び造形品
JP3556744B2 (ja) 棒状発泡ゴムの製造法
JP4688519B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
JP4844711B2 (ja) 連続気孔を有する高分子多孔質体及びその製造方法
KR20160023173A (ko) 향기나는 고무조성물 및 그의 제조방법
JP2016065124A (ja) 多孔体
JP2009209189A (ja) 架橋ポリマの製造方法
JP2004131718A (ja) 塩素化ポリオレフィンおよびその製造方法
JP2018100402A (ja) 熱膨張性樹脂組成物及び耐火成形材
JP2005314594A (ja) 高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090908

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100604

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121219

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130911

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130926

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5378645

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250