JP5052466B2 - オープン架橋用の炭素質含有ゴム組成物 - Google Patents
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Description
唯一シリコーンゴムにおいては、空気中でも有機過酸化物架橋できるものとして知られているが、EPDMやSBRなど、シリコーンゴム以外の合成ゴムでは、酸素存在下でパーオキサイド加硫を実施できないことは周知の事実であった。 従って、従来技術においてパーオキサイド加硫によってゴム製品を得ようとすれば、金型プレス機、射出成型機、溶融金属塩中など酸素の供給を遮断する雰囲気下で、架橋反応を実施する必要があるため、特殊な加熱装置を用意する必要があったのである。
本発明に使用可能な合成ゴムとしては、エチレン−プロピレン系ゴムを主体とするゴムが使用できる。エチレン−プロピレン系ゴムの中でも、特に、エチレン−プロピレンゴム(EPT)や、その他多様なエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が好ましく使用できる。EPDMは、エチレンとプロピレンと第三成分とのモノマーを共重合させたゴムである。前記第三成分としては、側鎖に不飽和結合を持つ有機化合物が用いられる。この有機化合物としては、ジシクロペンタジエン(DCP)、エチリデンノルボーネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)、ビニルノルボルネン等がある。エチレン−プロピレン系ゴムとして、EPTや各種EPDMを単独で使用することもできるが、これらをブレンドして使用しても良い。
本発明においてゴム組成物に配合される炭素質としては、膨張性黒鉛やカーボンブラックが例示される。炭素質として、カーボンブラックのみあるいは膨張性黒鉛のみを配合するようにしても良いし、カーボンブラックと膨張性黒鉛の双方を配合するようにしても良く、要求されるゴムの特性に応じて配合すればよい。
膨張性黒鉛とは、加熱により体積が膨張する黒鉛のことであり、具体的には、天然鱗片状黒鉛などの黒鉛(グラファイト)の層間に化学品を挿入されたものである。鱗片状黒鉛は主に中国の山東地区、モンゴリア地区の2箇所で産出される。前地区では石英を含有、後地区ではマイカを含有しており、膨張性黒鉛の用途によって産地を使い分けられている。例えば、樹脂などに混練させる場合は、混練機の磨耗を抑えるために、マイカ含有のものが多く使用されている。
本発明で使用可能なカーボンブラックは、一般的にゴム工業用として市販されているものであり、特に本発明を限定するものではない。具体的には、天然ガス、石油系または石炭系重質油などを不完全燃焼、あるいは熱分解によって精製されたものを指す。また、カーボンブラックは、製造方法によって、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラックなどに分類される。本発明においては、前記製造方法によって得られたカーボンブラックであれば使用することができる。
脂肪酸エステルは、脂肪酸とアルコールによるエステル化反応物である。脂肪酸エステルは、通常、ゴム・樹脂製品を成型する上で各種の加工性を改善するために、加工助剤として使用されている。脂肪酸エステルは、ゴムコンパウンドへの軟化作用が少なく、化学的に中性であることから、架橋速度、架橋特性に対する影響が少なく、分散性、内部離型性、熱安定性などの効果が得られることが一般に知られており、脂肪酸、アルコールの種類、またはそのエステル化度の限定などにより、適宜選択されて使用される。また、一般的に、エステル化度の高いタイプは高飽和ゴムである特殊ゴムに、低エステル化度のタイプはジエン系ゴムに使用されることが多い。
本発明で配合される有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキシド(例えば、日油株式会社製の商品名「ナイパーBW」)または、t−ブチルパーオキシベンゾエート(例えば、日油株式会社製の商品名「パーブチル Z」)が使用できる。前記した有機過酸化物の分類において、ベンゾイルパーオキシドは(1)ジアシルパーオキサイドのグループに分類され、t−ブチルパーオキシベンゾエートは(2)パーオキシエステルのグループに分類されるものである。いずれのグループも、ゴム組成物にカーボンブラックなどの炭素質が配合された場合には架橋反応が阻害されるため、その使用は不適当とされているグループである。
本発明の炭素質を含有するゴム組成物は、各成分を任意の順序で配合し、十分に混合する事により調製できる。また、このゴム組成物には、前記材料が必須成分として添加される他、任意成分として、パラフィン系オイルなどの可塑剤、あるいは、りん酸エステル、金属酸化物、シリカ系補強充填剤、架橋助剤、滑剤などの加工性改善助剤を必要に応じて、配合することができる。これら薬剤を配合したゴム組成物の混合は、二本ロール、ニーダー、バンバリー、二軸混練押出機、および各種ミキサー、その他の混練機を使用して行うことができ、薬剤が均一に分散された未加硫のゴム組成物を得ることができる。
ゴム成分にEPDMとして、第3成分がエチリデンノルボーネンの3072E(三井化学株式会社製)を140部を使用し、膨張性黒鉛として、SYZR2003(三洋貿易株式会社社製)を100部、カーボンブラックとして、シーストG-SO(東海カーボン株式会社製)を20部、可塑剤としてフッコールP200(富士興産株式会社製)を40部、酸化亜鉛として、第二種ZnO(正同化学工業株式会社製)を5部、消泡剤として、CML#31(近江化学工業株式会社製)を3部、滑剤としてステアリン酸(日油株式会社製)を1部配合して加圧ニーダーを用いてコンパウンドを得た。これにオープンロールにて、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルとして、エマスター430W(理研ビタミン株式会社製)を1部、有機過酸化物であるベンゾイルパーオキシドとして、ナイパーBW(日油株式会社製)を2部加えて、シート状に分出しした。得られた未架橋コンパウンドを規定の金型に入れて予備成型を行い、その後熱風式ギアーオーブンで、120℃×10分間保持して架橋し、厚さ2mmの架橋シートを得た。
実施例2として、実施例1のベンゾイルパーオキシドであるナイパーBWの代わりに、t-ブチルパーオキシベンゾエート(日油株式会社製 商品名「パーブチルZ」)を2部配合した他は、実施例1と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
実施例3として、実施例2のEPDMである3072E(三井化学株式会社製)を140部の代わりに、EPDMである3072E(三井化学株式会社製)を112部にSBRである1778(ジェイ・エス・アール株式会社製)を25部ブレンドしたゴムを使用した他は、実施例2と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例1として、実施例1のベンゾイルパーオキシドであるナイパーBWの代わりに、1,1−t-ヘキシルパーオキシシクロヘキサン(日油株式会社製 商品名「パーヘキサHC」)を2部配合した他は、実施例1と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例2として、実施例1のベンゾイルパーオキシドであるナイパーBWの代わりに、ジ-t-ヘキシルパーオキシド(日油株式会社製 商品名「パーヘキシルD」)を2部配合した他は、実施例1と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例3として、実施例1のベンゾイルパーオキシドであるナイパーBWの代わりに、ジクミルパーオキシド(日油株式会社製 商品名「パークミル D」)を2部配合した他は、実施例1と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例4として、実施例1のベンゾイルパーオキシドであるナイパーBWの代わりに、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日油株式会社製 商品名「パーブチル P」)を2部配合した他は、実施例1と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例5として、実施例1のベンゾイルパーオキシドであるナイパーBWの代わりに、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキセン-3(日油株式会社製 商品名「パーヘキシン 25B」)を2部配合した他は、実施例1と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例6として、実施例1のベンゾイルパーオキシドであるナイパーBWの代わりに、ジ-t-ブチルパーオキシド(日油株式会社製 商品名「パーブチル D」)を2部配合した他は、実施例1と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例7として、実施例2のペンタエリスリトール脂肪酸エステルであるエマスター430Wの代わりに、プロピレングリコール脂肪酸エステルとして、リケマールPS-100(理研ビタミン株式会社製)を1部配合した他は、実施例2と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例8として、実施例2のペンタエリスリトール脂肪酸エステルであるエマスター430Wの代わりに、高級アルコール脂肪酸エステルとして、リケマールSL-800(理研ビタミン株式会社製)を1部配合した他は、実施例2と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
比較例9として、実施例2のペンタエリスリトール脂肪酸エステルであるエマスター430Wの代わりに、グリセリン脂肪酸エステルとして、リケマールS-100(理研ビタミン株式会社製)を1部配合した他は、実施例2と同じ配合及び混練・架橋工程を経たシート状ゴム試験片を得た。
Claims (5)
- 合成ゴムに炭素質と有機過酸化物と脂肪酸エステルを配合したゴム組成物であって、合成ゴムはエチレンープロピレン系ゴムを主体とするゴムであり、有機過酸化物はベンゾイルパーオキシド、またはt−ブチルパーオキシベンゾエートであり、脂肪酸エステルはペンタエリスリトール脂肪酸エステルであることを特徴とする、オープン架橋用ゴム組成物。
- スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴムのうち少なくとも1つをエチレンープロピレン系ゴムにブレンドしたことを特徴とする請求項1に記載のオープン架橋用ゴム組成物。
- 炭素質として膨張性黒鉛を配合したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオープン架橋用ゴム組成物。
- 合成ゴムに炭素質と有機過酸化物と脂肪酸エステルを配合したゴム組成物の架橋方法であって、合成ゴムとしてエチレンープロピレン系ゴムを主体とするゴム、有機過酸化物としてベンゾイルパーオキシド、またはt−ブチルパーオキシベンゾエート、脂肪酸エステルとしてペンタエリスリトール脂肪酸エステルを混練した後、オープン架橋により架橋することを特徴とするゴム組成物の過酸化物架橋方法。
- 炭素質として膨張性黒鉛を配合したことを特徴とする請求項4に記載のゴム組成物の過酸化物架橋方法。
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