JP2022152950A - 塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法 Download PDF

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裕樹 芦川
Yuki Ashikawa
雅己 西口
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Abstract

【課題】高い耐油性と耐熱性とを兼ね備えながらも射出成形不良のない塩素含有架橋樹脂成形体、及びこの成形体を簡便な方法で製造できる方法を提供する。【解決手段】塩素化ポリエチレン20~50質量部とポリ塩化ビニル50~80質量部とを含む塩素含有樹脂100質量部と、エチレン-一酸化炭素共重合体15~70質量部と、可塑剤30~100質量部と、有機過酸化物0.01~0.5質量部と、無機フィラー0.5~50質量部と、シランカップリング剤1~10質量部と、シラノール縮合触媒とを含有するシラン架橋用樹脂組成物を射出成形後にシラン架橋してなる塩素含有架橋樹脂成形体、及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、塩素含有架橋樹脂成形体及びその製造方法に関する。
各種産業用ケーブル(電線を含む。)の端末に付属(付設)する接続材やモールド材の成形体(成形品)は、機械油等の油に接触若しくは浸漬しうる状態、更には室温(25℃)を超える高温環境下で使用されることもあり、耐油性及び耐熱性が求められている。このような成形体を形成する材料として、ポリ塩化ビニル等の塩素含有樹脂を含有する組成物が広く用いられている。
例えば、特許文献1には、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤を90~150重量部含有し、かつ上記可剤の内訳が(a)特定の分子量のアジピン酸ポリエステル系可塑剤30~55重量%、(b)(b-1)特定の分子量のアジピン酸ポリエステル系可塑剤および/または(b-2)アジピン酸エステル系可塑剤70~45重量%である、射出成形靴用塩化ビニル系樹脂組成物が記載されている。
また、特許文献2には、(A)塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、(B)エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体及び/又はエチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体10~100質量部、(C)可塑剤0~100質量部、(D)非鉛系安定剤1~20質量部、並びに(E)難燃剤0~50質量部をそれぞれ含有する、塩化ビニル樹脂組成物が記載されている。
特開2004-143235号公報 特開2013-231134号公報
上記成形体は、多種多様な形状をしているため、一般に、精密で多彩(複雑)な形状にも成形可能な射出成形法(金型を用いた成形法)により、製造される。しかし、耐油性及び耐熱性が求められる成形体の材料として好適な塩素含有樹脂を含有する組成物は、粘度が高くなりやすいため、射出成形法には不向きとされる。例えば、射出成形法では、材料の流れ性をコントロールしないと、金型への材料の射出量が不十分となり(不足し)所定の形状に成形できず(形状特性に劣り)、また成形体の外観不良が発生する等の射出成形不良を引き起こす。
塩素含有樹脂を含有する組成物の流れ性を改善するには、可塑剤の含有量を多くすることが有効であるが、その反面、耐油性、更には耐熱性を低下させる要因となる。しかも、上述の成形体は、その用途の拡張や高性能化によって、耐油性及び耐熱性等の要求特性が高くなっている。高度な耐油性としては、例えば、温度120℃、浸漬時間18時間の条件での耐油性試験(例えば日本産業規格(JIS) C 3005(2014)4.18(耐油)条件C)に合格する水準が求められる。一方、成形体に高い耐熱性を発現させるには、塩素含有樹脂を架橋させること(架橋物で成形体を構成すること)が効果的である。しかし、塩素含有樹脂、特にポリ塩化ビニルは、そもそも架橋しにくく、架橋させるには電子線架橋法や有機過酸化物架橋法等の特殊な装置や高温での架橋反応が必要になる。しかも、塩素含有樹脂を含む組成物は通常多量の可塑剤を含有しているから、塩素含有樹脂を架橋しても十分な耐熱性を発現しにくい。
このような状況において、従来の、塩素含有樹脂を含有する組成物、例えば特許文献1及び2に記載の組成物では、近年の高い要求レベルの耐油性及び耐熱性を実現できず、しかも、射出成形法を適用すると射出成形不良の発生を効果的に抑えることもできない。そのうえ、特殊な装置や高温での架橋工程を実施せざるを得ない。
本発明は、高い耐油性と耐熱性とを兼ね備えながらも射出成形不良のない塩素含有架橋樹脂成形体を提供することを課題とする。また、本発明は、高い耐油性と耐熱性を示す塩素含有架橋樹脂成形体を簡便な方法で製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、塩素含有樹脂を含有する組成物について鋭意検討したところ、成形体を構成するベース樹脂としてポリ塩化ビニルと塩素化ポリエチレンとを特定の割合で併用した塩素含有樹脂に対して、特定の割合でエチレン-一酸化炭素共重合体及び可塑剤を併用したうえで、架橋方法としてシラン架橋法を適用する(シラン架橋法に必要な各成分を共存させる)ことにより、射出成形不良の発生を効果的に抑えて射出成形が可能となる塩素含有架橋性樹脂組成物を調製でき、しかも、この架橋性樹脂組成物を射出成形し、次いでシラン架橋させることにより、高い耐油性と耐熱性とを兼ね備えながらも射出成形不良のない塩素含有架橋樹脂成形体を簡便な方法で製造できることを見出した。本発明者らはこの知見に基づきさらに研究を重ね、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
<1>塩素含有樹脂100質量部に対して、エチレン-一酸化炭素共重合体15~70質量部と、可塑剤30~100質量部と、有機過酸化物0.01~0.5質量部と、無機フィラー0.5~50質量部と、前記有機過酸化物から発生したラジカルの存在下で前記塩素含有樹脂とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤1~10質量部と、シラノール縮合触媒とを含有するシラン架橋用樹脂組成物を射出成形後にシラン架橋してなる塩素含有架橋樹脂成形体であって、
前記塩素含有樹脂が塩素化ポリエチレン20~50質量部とポリ塩化ビニル50~80質量部とを含み、
前記エチレン-一酸化炭素共重合体がエチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体の少なくとも1種を含む、
塩素含有架橋樹脂成形体。
<2>前記エチレン-一酸化炭素共重合体がエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体である、<1>に記載の塩素含有架橋樹脂成形体。
<3>前記エチレン-一酸化炭素共重合体の含有量が前記塩素含有樹脂100質量部に対して20~50質量部である、<1>又は<2>に記載の塩素含有架橋樹脂成形体。
<4>前記塩素含有樹脂が、塩素化ポリエチレン20~35質量部とポリ塩化ビニルを65~80質量部とを含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載の塩素含有架橋樹脂成形体。
<5>前記可塑剤の含有量が前記塩素含有樹脂100質量部に対して50~80質量部である、<1>~<4>のいずれか1項に記載の塩素含有架橋樹脂成形体。
<6>下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)を有する塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法であって、
工程(1):塩素含有樹脂100質量部に対して、エチレン-一酸化炭素共重合体1
5~70質量部と、可塑剤30~100質量部と、有機過酸化物0.0
1~0.5質量部と、無機フィラー0.5~50質量部と、前記有機過
酸化物から発生したラジカルの存在下で前記塩素含有樹脂とグラフト化
反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤1~10
質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合して、前記有機過酸化物か
ら発生したラジカルによって前記グラフト化反応部位と前記塩素含有樹
脂のグラフト化反応可能な部位とをグラフト化反応させることにより、
塩素含有架橋性樹脂組成物を調製する工程
工程(2):前記塩素含有架橋性樹脂組成物を射出成形して、成形体を得る工程
工程(3):前記成形体と水とを接触させて、塩素含有架橋樹脂成形体を得る工程

前記塩素含有樹脂が塩素化ポリエチレン20~50質量部とポリ塩化ビニル50~80質量部とを含み、
前記エチレン-一酸化炭素共重合体がエチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体の少なくとも1種を含み、
前記工程(1)を行うにあたり、
下記工程(a-2)で塩素含有樹脂の全部を溶融混合する場合には、工程(1)が下記工程(a-1)、工程(a-2)及び工程(c)を有し、下記工程(a-2)で塩素含有樹脂の一部を溶融混合する場合には、工程(1)が下記工程(a-1)、工程(a-2)、工程(b)及び工程(c)を有する、塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法。
工程(a-1):前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を混合して混合物
を調製する工程
工程(a-2):前記混合物と前記塩素含有樹脂の全部又は一部とエチレン-一酸化
炭素共重合体と可塑剤とを、前記有機過酸化物の存在下で前記有機
過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、前記グラフ
ト化反応部位と前記グラフト化反応可能な部位とをグラフト化反応
させることにより、シランマスターバッチを調製する工程
工程(b):前記塩素含有樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、
触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):前記シランマスターバッチと、前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マ
スターバッチとを溶融混合して、前記塩素含有架橋性樹脂組成物を調製
する工程
<7>前記エチレン-一酸化炭素共重合体がエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体である、<6>に記載の製造方法。
<8>前記エチレン-一酸化炭素共重合体を前記塩素含有樹脂100質量部に対して20~50質量部溶融混合する、<6>又は<7>に記載の製造方法。
<9>前記塩素含有樹脂が、塩素化ポリエチレン20~35質量部とポリ塩化ビニルを65~80質量部とを含む、<6>~<8>のいずれか1項に記載の製造方法。
<10>前記可塑剤の含有量が前記塩素含有樹脂100質量部に対して50~80質量部である、<6>~<9>のいずれか1項に記載の製造方法。
<11>上記<6>~<10>のいずれか1項に記載の製造方法により得られた塩素含有架橋樹脂成形体。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明は、高い耐油性と耐熱性とを兼ね備えながらも射出成形不良のない塩素含有架橋樹脂成形体、及び高い耐油性と耐熱性を示す塩素含有架橋樹脂成形体を簡便な方法で製造する方法を提供できる。
[塩素含有架橋樹脂成形体]
本発明の塩素含有架橋樹脂成形体は、後述する塩素含有架橋性樹脂組成物の架橋樹脂成形体であって、具体的には、後述するシラン架橋用樹脂組成物(好ましくは、このシラン架橋用樹脂組成物において無機フィラーと前混合されたシランカップリング剤と塩素含有樹脂とをグラフト化反応させて調製した塩素含有架橋性樹脂組成物)を射出成形後にシラン架橋して形成された成形体であり、好ましくは、後述する本発明の塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法で製造された成形体である。本発明の塩素含有架橋樹脂成形体は、上述のように、塩素含有架橋性樹脂組成物の優れた射出成形性(射出成形不良の発生を効果的に抑えて射出成形が可能となる特性)を活かして射出成形不良のない成形体となる。この成形体は、低コストで外観及び形状特性に優れ、更に高い耐油性と耐熱性とを兼ね備えている。
この塩素含有架橋樹脂成形体は、塩素含有樹脂、通常塩素化ポリエチレン、更にエチレン-一酸化炭素共重合体がシラン架橋した架橋構造(シランカップリング剤又はそのシラノール縮合物を介した架橋構造)を有しており、後述するように、架橋構造に無機フィラーが組み込まれていてもよく、架橋構造の一部に無機フィラーが組み込まれていることが好ましい。
本発明の塩素含有架橋樹脂成形体及び本発明の製造方法で製造される塩素含有架橋樹脂成形体は、高い耐油性と耐熱性とが要求される製品(半製品、部品、部材も含む。)、例えば、ケーブルの端末に付属する接続材やモールド材、更には射出成形(金型成形)により製造されるゴム部品の代替品の成形体(成形品)として、好適に用いることができる。より具体的には、上記接続材、モールド材の他に、電源プラグ、コネクター、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、パッキン、ガスケット、クッション材、防震材等が挙げられる。特に、高度な耐熱性(例えばJIS C 3005(2014)4.17(加熱)に合格する水準)、又は上述の高度な耐油性が要求される、耐熱ケーブルに付属する接続材、モールド材、自動車若しくは電車等の車両用部材として用いられるパッキン、ガスケット等が好ましい。
[シラン架橋用樹脂組成物]
シラン架橋用樹脂組成物は、塩素含有樹脂100質量部に対して、エチレン-一酸化炭素共重合体15~70質量部と、可塑剤30~100質量部と、有機過酸化物0.01~0.5質量部と、無機フィラー0.5~50質量部と、シランカップリング剤1~10質量部と、シラノール縮合触媒とを含有している。このシラン架橋用樹脂組成物は、無機フィラーと前混合されたシランカップリング剤を塩素含有樹脂、更にはエチレン-一酸化炭素共重合体にグラフト化反応させること(後述する工程(1))により、優れた射出成形性を示す塩素含有架橋性樹脂組成物を形成でき、高い耐油性と耐熱性と射出成形不良のない成形体の製造、特に本発明の塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法に好適に用いられる。
[塩素含有架橋性樹脂組成物]
塩素含有架橋性樹脂組成物は、塩素含有樹脂100質量部に対して、エチレン-一酸化炭素共重合体15~70質量部と、可塑剤30~100質量部と、有機過酸化物0.01~0.5質量部と、無機フィラー0.5~50質量部と、有機過酸化物から発生したラジカルの存在下で塩素含有樹脂とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤1~10質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合して、有機過酸化物から発生したラジカルによってグラフト化反応部位と塩素含有樹脂のグラフト化反応可能な部位とをグラフト化反応させること(後述する工程(1))により、得られるシラン架橋性の塩素含有樹脂組成物である。この塩素含有架橋性樹脂組成物は、無機フィラーと結合若しくは解離したシランカップリング剤が塩素含有樹脂にグラフト化反応したシラン架橋性塩素含有樹脂を含有しており、適宜に無機フィラーと結合若しくは解離したシランカップリング剤がエチレン-一酸化炭素共重合体にグラフト化反応したシラン架橋性共重合体を含有することもある。塩素含有架橋性樹脂組成物は、優れた射出成形性を示し、高い耐油性と耐熱性と射出成形不良のない成形体の製造、特に本発明の塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法に好適に用いられる。
本明細書において、特に断わらない限り、シラン架橋性塩素含有樹脂等というときは、シラン架橋性塩素含有樹脂とシラン架橋性共重合体との両者を意味する。
以下に、本発明の塩素含有架橋樹脂成形体を構成する各成分について説明する。
各成分は、それぞれ、1種又は2種以上を用いることができる。
<塩素含有樹脂>
本発明の塩素含有架橋樹脂成形体を構成するベース樹脂として塩素含有樹脂を用いる。塩素含有樹脂は通常耐油性に優れるが、本発明において後述する特定の塩素含有樹脂を用いることにより、塩素含有架橋性樹脂組成物に優れた射出成形性を付与しながらも、塩素含有架橋樹脂成形体に耐熱性と高度な耐油性とを付与できる。
本発明においては、塩素含有樹脂として、ポリ塩化ビニルと塩素化ポリエチレンとを組み合わせて用いる。なお、塩素含有樹脂は、ポリ塩化ビニル以外で、かつ塩素化ポリエチレン以外の塩素含有樹脂(その他の塩素含有樹脂ということがある。)、例えば、ポリ塩化ビニリデン、クロロプレンゴムを含有していてもよい。
(塩素化ポリエチレン)
塩素化ポリエチレンとしては、ポリエチレン主鎖に結合する水素原子が塩素原子で置換されているポリエチレンであれば特に限定されず、例えば、エチレン(共)重合体を塩素化して得られるもの等が挙げられる。塩素化ポリエチレンは、通常、シランカップリング剤のグラフト化反応部位と有機過酸化物の存在下でグラフト化反応可能な部位、例えば炭素鎖の不飽和結合部位や、水素原子を有する炭素原子を主鎖中又はその末端に有している。そのため、塩素化ポリエチレンは、シランカップリング剤がグラフト化反応したシラン架橋性塩素含有樹脂を形成する。塩素化ポリエチレンは、塩素含有量が20質量%以上のものが好ましく、25質量%以上のものがより好ましく、30質量%以上のものが更に好ましい。塩素含有量が多くなると、高い耐油性を発現する。塩素含有量の上限は、塩素化する前のポリエチレンが有する、塩素原子で置換可能な水素原子のすべてを塩素原子で置換した場合の質量割合となり、塩素化する前のポリエチレンの分子量、塩素原子で置換可能な水素原子の数等により、一義的に決定できない。例えば、75質量%程度である。塩素含有量は、塩素化ポリエチレン全量に対する塩素原子の質量割合をいい、JIS K 7229に記載の電位差滴定法により、定量できる。
塩素化ポリエチレンの質量平均分子量は、特に制限されず、特性や用途等に応じて適宜に設定できる。
(ポリ塩化ビニル)
ポリ塩化ビニルとしては、ポリ塩化ビニルの重合体(単独重合体又は共重合体)であれば、特に限定されない。ポリ塩化ビニルは、通常、シランカップリング剤がグラフト化反応しにくい。塩化ビニルの共重合体としては、塩化ビニルと他のビニルモノマー(エチレン性不飽和結合を有する化合物)との共重合体が挙げられる。他のビニルモノマーとしては、特に制限されず、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルマレイン酸、アクリロニトリル、フマル酸、アクリロニトリル、アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
ポリ塩化ビニルの平均重合度としては、好ましくは400~3000、より好ましくは700~2600、更に好ましくは700~1500である。平均重合度が上記範囲にあると、高い耐熱性及び耐油性を兼ね備えながら射出成形不良の発生を抑制することができる。
(各樹脂の含有量)
塩素含有樹脂は、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及びその他の塩素含有樹脂の合計含有量が100質量%となるように、各樹脂(成分)の含有量を下記範囲から適宜に設定される。
塩素化ポリエチレンの、塩素含有樹脂中の含有率は20~50質量%である。本発明においては、ポリ塩化ビニル及びエチレン-一酸化炭素共重合体に対して塩素化ポリエチレンを併用するため、塩素化ポリエチレンの含有量を20質量%以上にしても射出成形性の低下を効果的に抑制できる。一方、50質量%以下としても高い耐油性を実現できる。塩素化ポリエチレンの、塩素含有樹脂中の含有率は、高い耐油性及び耐熱性を備え、射出成形性の低下も抑制できる点で、20~35質量%であることが好ましく、25~35質量%であることがより好ましい。一方、ポリ塩化ビニルの、塩素含有樹脂中の含有率は50~80質量%である。本発明においては、塩素化ポリエチレン及びエチレン-一酸化炭素共重合体に対してポリ塩化ビニルを併用するため、ポリ塩化ビニルの含有量を50質量%以上に設定しても高い耐油性と耐熱性とを実現できる。一方、80質量%以下としても優れた射出成形性を維持できる。ポリ塩化ビニルの、塩素含有樹脂中の含有率は、優れた射出成形性を維持しながらも高い耐油性と耐熱性とを実現できる点で、65~80質量%であることが好ましく、65~75質量%であることがより好ましい。上記その他の塩素含有樹脂の、塩素含有樹脂中の含有率は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜に決定され、例えば15質量%以下とすることができる。
<エチレン-一酸化炭素共重合体>
本発明においては、上記塩素含有樹脂に対して、エチレン-一酸化炭素共重合体を併用する。これにより耐油性を高い水準に改善できる。エチレン-一酸化炭素共重合体はグラフト化反応可能な部位を主鎖中又はその末端に有しており、シランカップリング剤がグラフト化反応したシラン架橋性共重合体を形成することができる。
エチレン-一酸化炭素共重合体としては、エチレンと一酸化炭素との共重合体であればよく、更に酸共重合成分との3元共重合体が好ましい。酸共重合成分としては、特に制限されないが、カルボン酸のビニルエステル、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸化合物、及び(メタ)アクリル酸エステル化合物等が挙げられる。3元共重合体としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体等が挙げられ、射出成形性の点でエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体が好ましい。
(エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体)
エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体は、エチレンと酢酸ビニルと一酸化炭素の共重合体であればよく、公知の各種共重合体を特に制限されることなく用いることができる。エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体において、各成分の含有量は特に制限されず、適宜に設定できる。例えば、エチレンの含有量は40~80質量%、酢酸ビニルの含有量は5~50質量%、一酸化炭素の含有量は3~30質量%であることが好ましく、必要に応じて更に他の単量体を共重合させることも可能である。エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体としては、例えば、エルバロイ(商品名、デュポン社製)等が挙げられる。
(エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体)
エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体は、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルと一酸化炭素との共重合体であればよく、公知の各種共重合体を特に制限されることなく用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルは、アルキルエステルでもアリールエステルでもよいが、アルキルエステルが好ましい。アルキルエステルを形成するアルキル基は、直鎖又は分岐鎖が好ましく、その炭素数は1~18であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基(n-プロピル基、イソプロピル基)、ブチル基(n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基)、ヘキシル基、オクチル、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体としては、具体的には、エチレン-(メタ)アクリル酸ブチル-一酸化炭素共重合体、エチレン-アクリル酸エチル-一酸化炭素共重合体、エチレン-アクリル酸メチル-一酸化炭素共重合体等が挙げられ、市販品としては、例えばエルバロイ(商品名、デュポン社製)等が挙げられる。
エチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体において、各成分の含有量は特に制限されず、適宜に設定できる。例えば、エチレンの含有量は40~80質量%、(メタ)アクリル酸エステルの含有量は15~60質量%、一酸化炭素の含有量は5~30質量%であることが好ましく、必要に応じて更に他の単量体を共重合させることも可能である。
<可塑剤>
可塑剤は、特に限定されず、塩素含有樹脂に通常用いられる各種可塑剤を特に限定されることなく、用いることができる。例えば、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤(好ましくは、トリメリット酸トリアルキル(アルキル基の炭素数8~10))、ポリエステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤等の低分子可塑剤、ポリエステル系可塑剤、酢酸ビニル系共重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の高分子可塑剤等が挙げられる。中でも、低分子可塑剤が好ましく、可塑効果の点から、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸エステル系可塑剤等がより好ましい。
<有機過酸化物>
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、シランカップリング剤の塩素含有樹脂等へのラジカル反応によるグラフト化反応(シランカップリング剤のグラフト化反応部位と塩素含有樹脂等のグラフト化反応可能な部位との共有結合形成反応であって、(ラジカル)付加反応ともいう。)を生起させる働きをする。特にシランカップリング剤がグラフト化反応部位としてエチレン性不飽和基を含む場合、エチレン性不飽和基と塩素含有樹脂等とのラジカル反応(塩素含有樹脂等からの水素ラジカルの引き抜き反応を含む)によるグラフト化反応を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はなく、例えば、一般式:R-OO-R、R-OO-C(=O)R、RC(=O)-OO(C=O)Rで表される化合物が好ましい。ここで、R~Rは各々独立にアルキル基、アリール基又はアシル基を表す。各化合物のR~Rのうち、いずれもアルキル基であるもの、又は、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
このような有機過酸化物としては、国際公開第2015/046478号の段落[0037]に記載の有機過酸化物が挙げられ、その記載はここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。臭気性、着色性、スコーチ安定性の点で、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3が好ましい。
有機過酸化物の分解温度は、120~195℃であるのが好ましく、125~180℃であるのが特に好ましい。有機過酸化物の分解温度は、後述する工程(a-2)における溶融混合温度以下である。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
<無機フィラー>
本発明において、無機フィラーは、その表面に、シランカップリング剤のシラノール基等の反応部位と水素結合等が形成できる部位若しくは共有結合による化学結合しうる部位を有するものであれば特に制限なく用いることができる。この無機フィラーにおける、シランカップリング剤の反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水もしくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミニウムウイスカ、水和ケイ酸アルミニウム、水和ケイ酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の水酸基あるいは結晶水を有する化合物のような金属水和物や、窒化ほう素、シリカ(結晶質シリカ、非晶質シリカ等)、カーボンブラック、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、ほう酸亜鉛、ホワイトカーボン、硼酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛を使用することができる。
無機フィラーは、これらの中でも、金属水和物(より好ましくは水酸化マグネシウム)、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト、タルク、クレー、シリカ、若しくはカーボンブラック、又はこれらの混合物が好ましい。
無機フィラーの平均粒径は、0.2~10μmが好ましく、0.3~8μmがより好ましく、0.4~5μmが更に好ましく、0.4~3μmが特に好ましい。平均粒径は、無機フィラーをアルコールや水で分散させて、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置等の光学式粒径測定器によって求められる。
無機フィラーは、シランカップリング剤等で表面処理した無機フィラーを使用することができる。例えば、シランカップリング剤表面処理金属水和物として、キスマ5L、キスマ5P(いずれも商品名、水酸化マグネシウム、協和化学社製等)等が挙げられる。シランカップリング剤による無機フィラーの表面処理量は、特に限定されないが、例えば、3質量%以下である。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤としては、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下で、塩素含有樹脂等のグラフト化反応可能な部位にグラフト化反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)を有している。また、無機フィラーの化学結合しうる部位と反応し、シラノール縮合可能な反応部位として加水分解性シリル基を有している。このようなシランカップリング剤であれば特に限定されることなく用いることができる。このようなシランカップリング剤としては、従来のシラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては、不飽和基を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルジメトキシブトキシシラン、ビニルジエトキシブトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニルアルコキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルコキシシラン等が挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤は、そのままの形態で用いてもよいし、溶剤で希釈した形態で用いてもよい。
<シラノール縮合触媒>
シラノール縮合触媒は、塩素含有樹脂等にグラフトされたシランカップリング剤の加水分解性シリル基を水分の存在下で縮合反応(促進)させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して塩素含有樹脂等が架橋される。
このようなシラノール縮合触媒としては、特に制限されず、例えば、有機スズ化合物、金属石けん、白金化合物等が挙げられる。有機スズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクチエート、ジブチルスズジアセテート等の有機スズ化合物が挙げられる。
<その他の重合体>
本発明においては、塩素含有樹脂以外で、かつエチレン-一酸化炭素共重合体以外の重合体(樹脂、エラストマー、ゴムを含む。)を用いることもできる。例えば、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、フッ素ゴム、各種エラストマー等が挙げられる。
<添加剤>
本発明においては、樹脂組成物に一般的に使用される各種の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、滑剤、金属不活性剤、難燃(助)剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン酸化防止剤、フェノール酸化防止剤又はイオウ酸化防止剤等が挙げられる。
<塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法>
以下、本発明の塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法を具体的に説明する。
本発明の塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法(単に、本発明の製造方法ということがある。)は、下記工程(1)、工程(2)、及び工程(3)を有する。
本発明の製造方法に用いる塩素含有樹脂及びエチレン-一酸化炭素共重合体は上述の通りである。
工程(1):塩素含有樹脂100質量部に対して、エチレン-一酸化炭素共重合体15~
70質量部と、可塑剤30~100質量部と、有機過酸化物0.01~0.
5質量部と、無機フィラー0.5~50質量部と、有機過酸化物から発生し
たラジカルの存在下で塩素含有樹脂とグラフト化反応しうるグラフト化反応
部位を有するシランカップリング剤1~10質量部と、シラノール縮合触媒
とを溶融混合して、有機過酸化物から発生したラジカルによってグラフト化
反応部位と塩素含有樹脂のグラフト化反応可能な部位とをグラフト化反応さ
せることにより、塩素含有架橋性樹脂組成物を調製する工程
工程(2):塩素含有架橋性樹脂組成物を射出成形して、成形体を得る工程
工程(3):成形体と水とを接触させて、塩素含有架橋樹脂成形体を得る工程
上記工程(1)は、塩素含有樹脂の使用態様に応じて、以下の工程を有する。
すなわち、下記工程(a-2)で塩素含有樹脂の全部を溶融混合する場合、工程(1)は下記工程(a-1)、工程(a-2)及び工程(c)を有する。一方、下記工程(a-2)で塩素含有樹脂の一部を溶融混合する場合、工程(1)は下記工程(a-1)、工程(a-2)、工程(b)及び工程(c)を有する。

工程(a-1):無機フィラー及びシランカップリング剤を混合して混合物を調製する工

工程(a-2):得られた混合物と塩素含有樹脂の全部又は一部とエチレン-一酸化炭素
共重合体と可塑剤とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温
度以上の温度において溶融混合して、グラフト化反応部位とグラフト化
反応可能な部位とをグラフト化反応させることにより、シランマスター
バッチを調製する工程
工程(b):塩素含有樹脂の残部及びシラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスター
バッチを調製する工程
工程(c):シランマスターバッチと、シラノール縮合触媒又は触媒マスターバッチとを
溶融混合して、塩素含有架橋性樹脂組成物を調製する工程
上記工程(b)において、シラノール縮合触媒と混合される塩素含有樹脂の残部をキャリア樹脂ということがある。
また、工程(a-1)及び工程(a-2)の両工程を併せて工程(a)ということがある。
上述のように、本発明の製造方法においては、塩素含有樹脂を工程(a-2)に加えて工程(b)で用いる態様を含む。この場合、工程(1)における塩素含有樹脂の配合量100質量部は工程(a-2)及び工程(b)で混合される塩素含有樹脂の合計量となる。
ここで、工程(a-2)及び工程(b)に用いる塩素含有樹脂は、特に制限されず、塩素化ポリエチレンでもポリ塩化ビニルでも、またこれらの混合物でもよい。好ましくは、工程(a-2)においてグラフト化反応する塩素化ポリエチレンを用い、グラフト化反応しにくいポリ塩化ビニルを工程(b)でキャリア樹脂として用いる。また、エチレン-一酸化炭素共重合体は、工程(a-2)及び工程(b)のいずれで混合されてもよいが、グラフト化反応しやすい点で、工程(a-2)で混合されることが好ましい。
工程(b)で塩素含有樹脂の残部を配合する場合、塩素含有樹脂は、工程(a-2)において、好ましくは70~95質量%、より好ましくは85~92質量%が配合され、工程(b)において、好ましくは5~30質量%、より好ましくは8~15質量%が配合される。
工程(1)において、エチレン-一酸化炭素共重合体の混合量(配合量)は、塩素含有樹脂100質量部に対して、15~70質量部である。本発明においては、塩素化ポリエチレン及びポリ塩化ビニルに対してエチレン-一酸化炭素共重合体を併用するため、エチレン-一酸化炭素共重合体の含有量を15質量%以上にすると高い耐油性を実現できる。一方、70質量%以下とすると射出成形性の低下を効果的に抑制できる。エチレン-一酸化炭素共重合体の混合量は、高い耐油性及び耐熱性を備え、射出成形性の低下も抑制できる点で、塩素含有樹脂100質量部に対して、20~50質量部であることが好ましく、20~35質量%であることがより好ましい。
工程(1)において、可塑剤の混合量は、塩素含有樹脂100質量部に対して、30~100質量部である。この混合量で可塑剤を溶融混合すると、高い耐油性及び耐熱性を大きく損なうことなく射出成形性を改善できる。可塑剤の混合量は、高い耐油性、耐熱性及び射出成形性をバランスよく鼎立できる点で、塩素含有樹脂100質量部に対して、50~80質量部であることが好ましく、50~65質量%であることがより好ましい。なお、可塑剤を工程(b)で混合する場合、その混合量は上記混合量の一部とされ、例えば、3~20質量部であることが好ましく、5~15質量部であることがより好ましい。
工程(1)において、有機過酸化物の混合量は、塩素含有樹脂100質量部に対して、0.01~0.5質量部であり、0.05~0.2質量部が好ましく、0.05~0.12質量部がより好ましい。有機過酸化物の混合量を0.01~0.5質量部にすることにより、適切な範囲でグラフト化反応を行うことができ、シランカップリング剤同士の縮合を抑制して、成形体にゲルブツや荒れが生じて外観が悪化することを抑制することができる。
工程(1)において、無機フィラーの混合量は、塩素含有樹脂100質量部に対して、0.5~50質量部であり、3~30質量部が好ましく、10~20質量部がより好ましい。無機フィラーの混合量を0.5~50質量部とすることにより、高い耐油性、耐熱性及び射出成形性をバランスよく鼎立できる。
工程(1)において、シランカップリング剤の混合量は、塩素含有樹脂100質量部に対して、1~10質量部であり、2~8質量部であることが好ましく、2~6質量部であることがより好ましい。シランカップリング剤の混合量が1~10質量部であると、架橋反応を適度に進行させて高い耐熱性と射出成形性を両立できる。また、無機フィラーの表面にシランカップリング剤が吸着して、シランカップリング剤が混練中に揮発するのを抑制できるため、経済的である。更に、吸着しないシランカップリング剤が縮合して、成形体にゲルブツや荒れが生じて外観が悪化することを抑制することができる。
工程(1)において、シラノール縮合触媒の混合量は、特に限定されず適宜に設定される。例えば、塩素含有樹脂100質量部に対して、0.03~0.5質量部であることが好ましく、0.03~0.2質量部であることがより好ましく、0.05~0.15質量部であることが更に好ましい。シラノール縮合触媒の混合量を0.03~0.5質量部に設定すると、架橋反応を適度に進行させて高い耐熱性と射出成形性を両立できる。また、成形時にゲルブツの発生が抑制できる。
工程(1)を行うに際して、工程(a-1)及び工程(a-2)を順次行う。すなわち、まず、無機フィラー及びシランカップリング剤を混合し、次いで、得られた混合物と、塩素含有樹脂の全部又は一部と、エチレン-一酸化炭素共重合体と、可塑剤とを、上記混合量で、有機過酸化物の分解温度以上の温度に加熱しながら溶融混練することにより、上記グラフト化反応を生起させて、シランマスターバッチ(シランMB)を調製する。
本発明において、「混合物と、塩素含有樹脂の全部又は一部、エチレン-一酸化炭素共重合体と、可塑剤とを溶融混合する」際の混合順は、特に限定されるものではなく、どのような順で各成分を混合してもよいことを意味する。すなわち、工程(a-2)における混合順は特に限定されない。例えば、混合物と塩素含有樹脂とエチレン-一酸化炭素共重合体と可塑剤と残余の成分とを一度に溶融混合することもでき、また、混合物と塩素含有樹脂と可塑剤とを後述する工程(a-1)の乾式処理混合と同様にして混合(好ましくは粉体同士のドライブレンド)し、次いで得られた混合物と、残余の成分、例えばエチレン-一酸化炭素共重合体、その他の成分等とを溶融混合することもできる。また、塩素含有樹脂の混合方法も特に限定されない。例えば、予め混合調製された塩素含有樹脂を用いてもよく、各成分それぞれを別々に混合してもよい。
工程(1)においては、まず、無機フィラーとシランカップリング剤とを適宜の混合装置を用いて混合して混合物を調製する(工程(a-1))。前混合されたシランカップリング剤は、無機フィラーの表面を取り囲むように存在し、その一部又は全部が無機フィラーに吸着又は結合すると考えられる。これにより、無機フィラーに弱い結合で結合又は吸着したシランカップリング剤と、無機フィラーに強い結合で結合又は吸着したシランカップリング剤とをバランスよく形成することができる。ここで、シランカップリング剤について、無機フィラーとの弱い結合としては、水素結合による相互作用、イオン、部分電荷もしくは双極子間での相互作用、吸着による作用等が挙げられる。また、無機フィラーとの強い結合としては、無機フィラー表面の化学結合しうる部位との化学結合等が挙げられる。また、上記工程(a-1)により、後の溶融混合の際にシランカップリング剤の揮発を低減でき、更に、無機フィラーに吸着又は結合しないシランカップリング剤が縮合して溶融混練が困難になることも防止できる。
無機フィラーとシランカップリング剤とを前混合する方法としては、特に限定されないが、湿式処理、乾式処理等の混合方法が挙げられる。具体的には、好ましくは、有機過酸化物の分解温度未満の温度、好ましくは10~60℃、より好ましくは室温近傍(20~25℃)で無機フィラーとシランカップリング剤を、数分~数時間程度、乾式又は湿式により、混合する方法が挙げられ、無機フィラー、好ましくは乾燥させた無機フィラー中にシランカップリング剤を加熱又は非加熱で加えて混合する乾式処理がより好ましい。工程(a-1)においては、上記分解温度未満の温度が保持されている限り、塩素含有樹脂、エチレン-一酸化炭素共重合体を混合していてもよい。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(a-1)で得られた、無機フィラーとシランカップリング剤との混合物と、塩素含有樹脂の全部又は一部と、適宜に工程(a-1)で混合されていない残余の成分とを、有機過酸化物の存在下で有機過酸化物の分解温度以上の温度に加熱しながら溶融混合する(工程(a-2))。工程(a-2)により、塩素含有樹脂成分同士の過剰な架橋反応を防止することができ、外観に優れた架橋成形体が得られる。
工程(a-2)における溶融混合により、有機過酸化物から発生したラジカルによって、シランカップリング剤のグラフト化反応部位と塩素含有樹脂等のグラフト化反応可能な部位とをグラフト化反応させる。その結果、シランカップリング剤が塩素含有樹脂等に共有結合で結合したシラン架橋性塩素含有樹脂等が合成され、このシラン架橋性塩素含有樹脂等を含むシランMBが調製される。工程(a-2)において、シランカップリング剤が塩素含有樹脂等にグラフト化反応する態様としては、少なくとも次のものが挙げられる。すなわち、無機フィラーと弱い結合で結合又は吸着したシランカップリング剤が無機フィラーから脱離して塩素含有樹脂等にグラフト化反応する態様である。この態様で形成される架橋構造は無機フィラーを組み込まず、通常、シランカップリング剤同士のシラノール縮合物を介する架橋構造となる。また、無機フィラーと強い結合で結合又は吸着したシランカップリング剤が無機フィラーとの結合を保持した状態で塩素含有樹脂等にグラフト化反応する態様である。この態様で形成される架橋構造は無機フィラーを組み込んでおり、無機フィラーを起点としてそれに結合したシランカップリング剤を介する架橋構造となる。この工程においては、エチレン-一酸化炭素共重合体に対してもシランカップリング剤が無機フィラーとの結合又は吸着状態を維持しつつグラフト化反応することがある。
工程(a-2)において、上記成分を溶融混合する温度は、有機過酸化物の分解温度以上、好ましくは有機過酸化物の分解温度+(25~110)℃の温度で、より好ましくは150~230℃である。上記混合温度であれば、上記成分が溶融し、有機過酸化物が分解、作用して必要なシラングラフト化反応が工程(a-2)において十分に進行する。その他の条件は適宜設定することができる。例えば混合時間は3~40分の範囲で適宜に設定される。有機過酸化物の分解温度は塩素含有樹脂が溶融する温度以上であることが好ましい。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混練装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。塩素含有樹脂等の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
有機過酸化物及びエチレン-一酸化炭素共重合体は、それぞれ、上記工程(a-2)の溶融混合時、すなわち工程(a-1)で得られた混合物と塩素含有樹脂とを溶融混合する際、に存在していればよい。これら各成分は、例えば、工程(a-1)において混合されてもよく、工程(a-2)において混合されてもよい。有機過酸化物は、工程(a-1)において混合されることが好ましく、エチレン-一酸化炭素共重合体は工程(a-2)において混合されることが好ましい。
可塑剤は、その一部が上記工程(a-2)の溶融混合時に存在していればよく、工程(a-1)において混合されても工程(a-2)において混合されてもよい。可塑剤は工程(a-2)において混合されることが好ましいが、残部を後述する工程(b)で混合することもできる。
工程(a-1)及び工程(a-2)、特に工程(a-2)においては、シラノール縮合触媒を実質的に混合せずに上述の各成分を溶融混合することが好ましい。これにより、シランカップリング剤の縮合反応を抑えることがでる。ここで、「実質的に混合せず」とは、不可避的に存在するシラノール縮合触媒をも排除するものではなく、シランカップリング剤のシラノール縮合による上述の問題が生じない程度に存在していてもよいことを意味する。例えば、工程(a-2)において、シラノール縮合触媒は、塩素含有樹脂100質量部に対して0.01質量部以下であれば、存在していてもよい。
このようにして、工程(a-1)及び工程(a-2)からなる工程(a)を行い、シランカップリング剤と塩素含有樹脂、更には適宜にエチレン-一酸化炭素共重合体とをグラフト化反応させて、シランMBを調製する。シランMBは、後述の工程(2)により成形可能な程度にシランカップリング剤が塩素含有樹脂等にグラフト化反応したシラン架橋性塩素含有樹脂等を含有する混合物である。
本発明の製造方法において、次いで、工程(a-2)で塩素含有樹脂の一部を溶融混合する場合には、塩素含有樹脂の残部とシラノール縮合触媒とを溶融混合して、触媒マスターバッチ(触媒MB)を調製する工程(b)を行う。したがって、工程(a-2)で塩素含有樹脂の全部を溶融混合する場合は、工程(b)を行わなくてもよく、また他の塩素含有樹脂成分とシラノール縮合触媒とを混合してもよい。
キャリア樹脂としての塩素含有樹脂の残部とシラノール縮合触媒との混合割合は、特に限定されないが、好ましくは、工程(1)における上記配合量を満たすように、設定される。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、塩素含有樹脂の溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(a-2)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、塩素含有樹脂成分の溶融温度以上で適宜設定でき、好ましくは120~200℃、より好ましくは140~180℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
工程(b)において、塩素含有樹脂の残部に代えて、又は加えて、適宜の配合量で他の樹脂をキャリア樹脂として用いることができる。すなわち、工程(b)は、工程(a-2)で塩素含有樹脂の一部を溶融混合する場合の塩素含有樹脂の残部、又は、工程(a-2)で用いた塩素含有樹脂以外の樹脂とシラノール縮合触媒とを溶融混合して、触媒マスターバッチを調製してもよい。
また、工程(b)において、無機フィラー又は可塑剤を混合することもできる。この場合、無機フィラー及び可塑剤の配合量は、それぞれ、特に制限されず、上記混合量を考慮して適宜に設定される。例えば、可塑剤は3~20質量部とすることができる。
工程(b)において、塩素含有樹脂及び可塑剤を用いる場合、好ましくは、まず塩素含有樹脂及び可塑剤を上記工程(a-1)の乾式処理混合条件で前混合し、次いで、得られた前混合物とシラノール縮合触媒と適宜に残余の成分とを溶融混合することが好ましい。
このようにして調製される触媒MBは、シラノール縮合触媒及びキャリア樹脂、所望により添加されるフィラー又は可塑剤の(溶融)混合物である。
本発明の製造方法において、次いで、シランMBと、シラノール縮合触媒又は触媒MBとを溶融混合して、塩素含有架橋性樹脂組成物を調製する工程(c)を行う。
混合方法は、上述のように均一な反応組成物を得ることができれば、どのような混合方法でもよく、工程(a-2)の溶融混合と基本的に同様である。少なくとも塩素含有樹脂が溶融する温度で混合する。溶融混合温度は、塩素含有樹脂又はキャリア樹脂の溶融温度に応じて適宜に選択され、例えば、好ましくは80~250℃、より好ましくは100~240℃、さらに好ましくは120~200℃である。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
工程(c)においては、シラノール縮合反応を避けるため、シランMBとシラノール縮合触媒が混合された状態で高温状態に長時間保持されないことが好ましい。
この工程(c)を行うに際して、シランマスターバッチとシラノール縮合触媒又は触媒MBとをドライブレンドした後に溶融混合することもできる。ドライブレンドの条件は、特に制限されないが、例えば、上記工程(a-1)の乾式混合条件が挙げられる。
このようにして、工程(a)~(c)(工程(1))を行い、塩素含有架橋性樹脂組成物が調製される。この塩素含有架橋性樹脂組成物は、上記シラン架橋性塩素含有樹脂等、塩素含有樹脂、エチレン-一酸化炭素共重合体、可塑剤、無機フィラー、シラノール縮合触媒等を含有している。
この塩素含有架橋性樹脂組成物は、架橋方法の異なるシラン架橋性塩素含有樹脂等を含有する。このシラン架橋性塩素含有樹脂等において、シランカップリング剤の、シラノール縮合可能な反応部位は、無機フィラーと結合又は吸着していてもよいが、後述するようにシラノール縮合していない。したがって、シラン架橋性塩素含有樹脂等は、無機フィラーと結合又は吸着したシランカップリング剤が塩素含有樹脂等にグラフト化した架橋性塩素含有樹脂等と、無機フィラーと結合又は吸着していないシランカップリング剤が塩素含有樹脂等にグラフト化した架橋性塩素含有樹脂等とを少なくとも含む。
上記のように、シラン架橋性塩素含有樹脂等は、シランカップリング剤がシラノール縮合していない未架橋体である。実際的には、工程(c)で溶融混合されると、一部架橋(部分架橋)は避けられないが、得られる塩素含有架橋性樹脂組成物等について、少なくとも工程(2)での射出成形における射出成形性が保持されたものとする。
工程(1)において、工程(a)~(c)は、同時又は連続して行うことができる。
工程(1)において、上記添加剤は、いずれの工程で混合されてもよいが、触媒MBに混合されるのがよい。
本発明の製造方法においては、次いで、得られた塩素含有架橋性樹脂組成物を射出成形して成形体を得る工程(2)を行う。この工程(2)は、塩素含有架橋性樹脂組成物を射出成形できればよく、本発明の塩素含有架橋性樹脂組成物に応じて適宜に射出成形条件が選択される。射出成形温度は、塩素含有架橋性樹脂組成物が溶融する温度以上の温度に設定され、一義的に決定することはできないが、例えば、ノズル部で約190~230℃、シリンダー後部(フィーダー側)で約170~220℃、シリンダー中部で約170~220℃、シリンダー前部(ノズル側)で約180~220℃、金型温度は25~40℃程度に設定することが好ましい。その他の射出成形条件は、特に制限されず、塩素含有架橋性樹脂組成物の物性等に応じて適宜に設定され、例えば実施例で採用した射出成形条件が挙げられる。
射出成形は、汎用のプラスチック用射出成形機を用いて行うことができ、金型は成形体の形状、寸法等に応じて適宜に決定される。
また、工程(2)は、工程(c)と同時に又は連続して、行うことができる。すなわち、工程(c)の溶融混合の一実施態様として、射出成形の際に、又は、その直前に、成形原料を溶融混合する態様が挙げられる。例えば、ドライブレンド等のペレット同士を常温又は高温で混ぜ合わせて射出成形機に導入(溶融混合)してもよいし、混ぜ合わせた後に溶融混合し、再度ペレット化をして射出成形機に導入してもよい。より具体的には、シランMBとシラノール縮合触媒又は触媒MBとからなる成形材料を射出成形置内で溶融混合(溶融混練)し、次いで、所望の形状の金型に射出成形する一連の工程を採用できる。
このようにして、塩素含有架橋性樹脂組成物の(射出)成形体が得られる。この射出成形体は塩素含有架橋性樹脂組成物と同様に、一部架橋は避けられないが、工程(2)で射出成形可能な射出成形性を保持する未架橋若しくは部分架橋状態にある。したがって、この射出成形体は、工程(3)を実施することによって、架橋又は最終架橋されたシラン架橋成形体となる。
本発明の製造方法においては、次いで、工程(2)で得られた成形体と水とを接触させる工程(3)を行う。これにより、シランカップリング剤のシラノール縮合可能な反応部位(加水分解性シリル基)加水分解されてシラノール基となり、次いで別のシラノール基(水酸基同士)と縮合して、架橋反応が起こる。こうして、シランカップリング剤がシラノール縮合して架橋した塩素含有架橋樹脂成形体を得ることができる。
この工程(3)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合反応は常温、例えば20~25℃程度の温度環境下で放置するだけで進行する。したがって、工程(3)において、成形体と水とを積極的に接触させる必要はない。この架橋反応を促進させるために、成形体と水分とを積極的に接触させることもできる。例えば、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水と接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
このようにして、塩素含有架橋性樹脂組成物から塩素含有架橋樹脂成形体が製造される。この塩素含有架橋樹脂成形体は、塩素含有樹脂等がシロキサン結合を介して縮合した塩素含有架橋樹脂を含んでいる。また、塩素含有架橋樹脂成形体は無機フィラーを含有しており、この無機フィラーは塩素含有架橋樹脂のシランカップリング剤に結合していてもよい。したがって、この塩素含有架橋樹脂は、複数の塩素含有樹脂等がシランカップリング剤により無機フィラーに結合又は吸着して、無機フィラー及びシランカップリング剤を介して結合(架橋)した塩素含有架橋樹脂と、上記塩素含有樹脂等のシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シランカップリング剤を介して架橋した塩素含有架橋樹脂とを少なくとも含んでいる。
本発明の製造方法は、上述のように、一連の上記工程(1)~(3)を有するシラン架橋法において、シラン架橋法に必須の各成分に対して、上述の、塩素含有樹脂、エチレン-一酸化炭素共重合体及び可塑剤を併用する。そのため、一連の工程、特に工程(1)において、上述の、塩素含有樹脂、エチレン-一酸化炭素共重合体及び可塑剤、更には無機フィラーが上述の作用を示しつつ、所定のグラフト化反応が進行して、射出成形性に優れた塩素含有架橋性樹脂組成物が調製される。そして、この塩素含有架橋性樹脂組成物を射出成形後にシラノール縮合反応させて上述のシラン架橋構造を形成することにより、各成分の特性若しくは作用が効果的に発現して、高い耐油性と耐熱性とを示す塩素含有架橋樹脂成形体を製造できる。
このように、本発明の製造方法は、高い耐油性と耐熱性とを兼ね備えながらも、好ましくは射出成形不良のない(外観及び形状特性に優れ、低コストの)、塩素含有架橋樹脂成形体を、(非加熱でも架橋可能となる)簡便なシラン架橋法、すなわち従来の架橋工程が不要で省エネかつ高い生産性で、製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
表1-1及び表1-2(併せて表1という。)において、各例の配合量(含有量)に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。また、各成分について空欄は対応する成分の配合量が0質量部であることを意味する。
表1の「架橋性樹脂組成物」欄には、本発明に必須の成分について、シランMBと触媒MBとの合計含有量を示す。
実施例及び比較例に用いた各化合物の詳細を以下に示す。
<塩素含有樹脂>
ポリ塩化ビニル:ZEST 1400Z(商品名)、平均重合度1450、新第一塩ビ社製
塩素化ポリエチレン:CPE 140B(商品名)、塩素含有量40%、Weifang Yaxing Chemical Co., Ltd.製
<エチレン-一酸化炭素共重合体>
エチレン-アクリル酸ブチルエステル-一酸化炭素共重合体:エルバロイ HP662(商品名)、デュポン社製
エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体:エルバロイ 742(商品名)、デュポン社製
<エチレン-酢酸ビニル共重合体>
エチレン-酢酸ビニル共重合体:エバフレックス EV150(商品名)、エチレン含有量67質量%、酢酸ビニル含有量33質量%、三井・ダウポリケミカル社製
<可塑剤>
フタル酸ジイソノニル:DINP、ジェイ・プラス社製
<無機フィラー>
フュームドシリカ:KONASIL K-200D(商品名)、OCI社製
炭酸カルシウム:ソフトン1200(商品名)、備北粉化工業社製
ハイドロタルサイト:DHT-4A-2(商品名)、備北粉化工業社製
<シランカップリング剤>
KBM-1003:商品名、ビニルトリメトキシシラン、信越化学工業社製
<有機過酸化物>
パーヘキサ 25B:商品名、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、日油社製
<酸化防止剤>
イルガノックス1076:商品名、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、BASF社製
<シラノール縮合触媒>
アデカスタブOT-1:商品名、ジオクチルスズジラウレート、ADEKA社製
(実施例1~11及び比較例1~13)
実施例1~11及び比較例1~13において、塩素含有樹脂のうちポリ塩化ビニルの一部(具体的には表1の「工程(b)触媒MB」欄に示す質量割合)を触媒MBのキャリア樹脂として用いた。
まず、無機フィラーとシランカップリング剤と有機過酸化物とを表1の「工程(a)シランMB」欄に示す質量比で、回転刃式ミキサー(マゼラーPM:商品名、マゼラー社製)に投入し、混合温度25℃及び回転数10rpmで1分間攪拌(前混合)し、混合物を得た(工程(a-1))。
次いで、上記回転刃式ミキサーに、塩素含有樹脂及び可塑剤を表1の「工程(a)シランMB」欄に示す質量比で投入して、混合温度25℃及び回転数10rpmで5分間攪拌した。その後、得られた粉体混合物と、エチレン-一酸化炭素共重合体と、酸化防止剤とを、表1の「工程(a)シランMB」欄に示す質量比で、予め150℃に昇温したニーダー(容量75L)へ投入し、回転数40rpmで5分間混合した後、更に回転数30rpmで3分間、仕上げ混練を行った。混合物の温度が有機過酸化物の分解温度以上である180~200℃に達したことを確認した後、フィーダー・ルーダー及びペレタイザーを用いて、溶融混合物をペレット化することで、シランMBを調製した(工程(a-2))。
ただし、比較例5は、表1の「工程(a)シランMB」欄に示す各成分を同欄に示す質量比で、予め150℃に昇温したニーダー(容量75L)へ投入して一括混合したこと以外は、実施例1と同様にして、シランMBを調製した。
一方、塩素含有樹脂及び可塑剤を表1の「工程(b)触媒MB」欄に示す質量比で回転刃式ミキサー(マゼラーPM)に投入し、混合温度25℃及び回転数10rpmで5分間攪拌した。次いで、得られた混合物と、酸化防止剤と、シラノール縮合触媒とを、表1の「工程(b)触媒MB」欄に示す質量比で、予め130℃に昇温したニーダー(容量75L)へ順次投入し、回転数30rpmで5分間混合した後、更に回転数25rpmで3分間、仕上げ混練を行った。混合物の温度が160℃程度に達し、塩素含有樹脂が十分に溶融したことを確認した後、フィーダー・ルーダー及びペレタイザーを用いて、溶融混合物をペレット化することで、触媒MBを調製した(工程(b))。
次いで、シランMBと触媒MBを密閉型のリボンブレンダーに投入し、混合温度25℃で5分間ドライブレンドして、ドライブレンド物を得た。このとき、シランMBと触媒MBとの混合比は表1の「工程(a)シランMB」欄及び「工程(b)触媒MB」欄に示す質量比とし、表1の「架橋性樹脂組成物」欄に示す質量比となる。例えば、実施例1においては、シランMBの塩素含有樹脂の混合量が90質量部で、触媒MBの塩素含有樹脂の混合量が10質量部となる割合とした。
次いで、スクリュー直径26mm、50t射出成形機(ROBOSHOTα―50iA:商品名、ファナック社製)にて、ノズル温度200℃、以下フィーダー側へ、前部200℃、中部190℃、後部180℃、金型温度30℃の射出温度条件に設定した。金型は、JIS規格に定める「A4」サイズ(210mm×297mm)で厚さ2mmのキャビティーを有する金型を準備した。
この射出成形機に調製したドライブレンド物を投入して、下記射出成形条件にて、溶融混合しながら(工程(c))、金型に射出して、シート状の未架橋樹脂成形体を得た(工程(2))。上記工程(c)の溶融混合により塩素含有架橋性樹脂組成物が調製される。

(射出成形条件)
ノズル数:1本
ノズル径:3mm
充填圧力:7MPa
射出速度:100mm/秒
保圧:3MPa
保圧時間(射出開始から保圧終了までの時間):10秒
冷却時間:30秒
得られたシート状の未架橋樹脂成形体を、室温環境(23℃、50%RH)下で48時間放置して水と接触させ、シラノール縮合反応(シラン架橋)を進行させた(工程(3))。
こうして、塩素含有架橋樹脂成形体として厚さ2mmの「A4」サイズのシートサンプルを製造した。
得られた各シートサンプルについて、下記試験方法を行い、特性を評価した。
<試験1:引張試験>
各シートサンプルから、JIS K 6251に規定されているダンベル状3号形の試験片を作製した。この試験片を用いて、JIS K 6251に基づき、標線間20mm、引張速度500mm/分の条件で、引張強さ(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
得られた引張強さ及び引張伸びをそれぞれ下記評価基準に当てはめて、試験片の引張特性を評価した。
なお、本試験は、後述する耐油引張試験の基準となる引張特性を測定するものであり、参考試験である。

(引張強さの評価基準)
A:7.0MPa以上(極めて優れている)
B:5.5MPa以上、7.0MPa未満(優れている)
C:4.0MPa以上、5.5MPa未満(良好)
D:4.0MPa未満(不合格)

(引張伸びの評価基準)
A:450%以上(極めて優れている)
B:375%以上、450%未満(優れている)
C:300%以上、375%未満(良好)
D:300%未満(不合格)
<試験2:耐油引張試験>
各シートサンプルから、JIS K 6251に規定されているダンベル状3号形の試験サンプルを作製した。この試験片を、JIS K 2204に規定されている2号の軽油中に、120℃(軽油温度)で18時間浸漬した。その後、試験片を取り出して、23℃で24時間静置した後、油をよく拭き取って、JIS K 6251に基づき、標線間20mm、引張速度500mm/分の条件で、浸漬後試験片について、引張強さ(MPa)及び引張伸び(%)を測定した。
浸漬後試験片の引張強さを浸漬前の引張強さ(上記試験1:引張試験で得られた引張強さ)で除して、浸漬後試験片の引張強の残率(%)を算出した。同様にして、浸漬後試験片の引張伸の残率(%)を算出した。
算出した引張強さ残率及び引張伸び残率をそれぞれ下記評価基準に当てはめて、試験片の耐油性を評価した。なお、下記評価基準「A」は従来の耐油性を超える高いレベルの耐油性を示すものである。

(引張強さ残率及び引張伸び残率の評価基準)
A:80%以上(極めて優れている)
B:70%以上、80%未満(優れている)
C:60%以上、70%未満(良好)
D:60%未満(不合格)
<試験3:射出成形性試験>
各シートサンプルの外観及び形状を観察して、下記評価基準に当てはめて、塩素含有架橋性樹脂組成物及び塩素含有架橋樹脂成形体の射出成形性を判断した。
なお、塩素含有架橋性樹脂組成物がキャビティーに行き渡たる割合は、下記計算式によって算出した。
計算式:(作製したシートサンプルの質量[g])/(キャビティー全体に塩素含有架橋性樹脂組成物が行き渡った場合の質量[g])
ここで、キャビティー全体に塩素含有架橋性樹脂組成物が行き渡った場合の質量は、作製したシートサンプルの比重をJIS K 0061:2001(化学製品の密度及び比重測定方法)に従って20℃で測定し、測定した比重にキャビティーの体積を掛けることで算出した。
この射出成形性試験は、キャビティー全体に成形材料を射出、充填しにくい金型を用いた過酷条件での試験であり、厚さ2mmの「A4」サイズのキャビティーの9割以上に塩素含有架橋性樹脂組成物が行き渡れば、実際に製造する接続材やモールド材等の射出成形には十分であるため、評価基準B以上を本試験の合格とした。

(評価基準)
A:金型のキャビティー全体に塩素含有架橋性樹脂組成物が行き渡っており(形状特性に極めて優れる)、シートサンプルの外観が良好な(ゲルブツや荒れ等の外観不良がない)もの(射出成形性に優れる)
B:金型のキャビティーの9割以上10割未満に塩素含有架橋性樹脂組成物が行き渡っており(形状特性に優れる)、シートサンプルの外観が良好な(外観不良がない)もの(射出成形性が良好)
D:金型のキャビティーの9割未満しか塩素含有架橋性樹脂組成物が行き渡らず(形状特性に劣る)、かつ、シートサンプルの表面にゲルブルや荒れ等が確認された(外観不良が発生)もの(射出成形性に劣る:不合格)
<試験4:加熱変形試験>
各シートサンプルから、約35mm×35mmの試験サンプルを作製した。この試験片を用いて、JIS K 6723に基づいて、測定温度120℃、荷重1000gfの条件で、加熱変形試験を行った。
測定値を下記評価基準に当てはめて、加熱変形特性(耐熱性)を評価した。

A:10%以下(極めて優れる)
B:10%を超え、20%以下(優れる)
C:20%を超え、40%以下(良好)
D:40%を超える(不合格)
Figure 2022152950000001
Figure 2022152950000002
比較例1~13に示す、本発明で規定する成分含有量を満たさないシラン架橋用樹脂組成物を射出成形後にシラン架橋して(本発明の製造方法により)塩素含有架橋樹脂成形体を製造しても、高い耐油性と耐熱性とを両立できない。特に、比較例5は、無機フィラーとシランカップリングと有機過酸化物を前混合する工程(a-1)を実施しなかったため、シランカップリング剤及び有機過酸化物が、化学結合を形成できる無機フィラーだけでなく、シラン架橋構造を形成できないポリ塩化ビニルにも多く吸着されてしまい、十分なシラン架橋構造を形成することができないため、加熱変形試験での変形量が大きくなって十分な耐熱性を示していない。
これに対して、実施例1~11に示す、本発明で規定する成分含有量を満たすシラン架橋用樹脂組成物を射出成形後にシラン架橋すると(本発明の製造方法に適用すると)、射出成形不良のない高い耐油性と耐熱性とを両立した塩素含有架橋樹脂成形体を、簡便な方法で製造できる。

Claims (11)

  1. 塩素含有樹脂100質量部に対して、エチレン-一酸化炭素共重合体15~70質量部と、可塑剤30~100質量部と、有機過酸化物0.01~0.5質量部と、無機フィラー0.5~50質量部と、前記有機過酸化物から発生したラジカルの存在下で前記塩素含有樹脂とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤1~10質量部と、シラノール縮合触媒とを含有するシラン架橋用樹脂組成物を射出成形後にシラン架橋してなる塩素含有架橋樹脂成形体であって、
    前記塩素含有樹脂が塩素化ポリエチレン20~50質量部とポリ塩化ビニル50~80質量部とを含み、
    前記エチレン-一酸化炭素共重合体がエチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体の少なくとも1種を含む、
    塩素含有架橋樹脂成形体。
  2. 前記エチレン-一酸化炭素共重合体がエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体である、請求項1に記載の塩素含有架橋樹脂成形体。
  3. 前記エチレン-一酸化炭素共重合体の含有量が前記塩素含有樹脂100質量部に対して20~50質量部である、請求項1又は2に記載の塩素含有架橋樹脂成形体。
  4. 前記塩素含有樹脂が、塩素化ポリエチレン20~35質量部とポリ塩化ビニルを65~80質量部とを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の塩素含有架橋樹脂成形体。
  5. 前記可塑剤の含有量が前記塩素含有樹脂100質量部に対して50~80質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の塩素含有架橋樹脂成形体。
  6. 下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)を有する塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法であって、
    工程(1):塩素含有樹脂100質量部に対して、エチレン-一酸化炭素共重合体1
    5~70質量部と、可塑剤30~100質量部と、有機過酸化物0.0
    1~0.5質量部と、無機フィラー0.5~50質量部と、前記有機過
    酸化物から発生したラジカルの存在下で前記塩素含有樹脂とグラフト化
    反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤1~10
    質量部と、シラノール縮合触媒とを溶融混合して、前記有機過酸化物か
    ら発生したラジカルによって前記グラフト化反応部位と前記塩素含有樹
    脂のグラフト化反応可能な部位とをグラフト化反応させることにより、
    塩素含有架橋性樹脂組成物を調製する工程
    工程(2):前記塩素含有架橋性樹脂組成物を射出成形して、成形体を得る工程
    工程(3):前記成形体と水とを接触させて、塩素含有架橋樹脂成形体を得る工程

    前記塩素含有樹脂が塩素化ポリエチレン20~50質量部とポリ塩化ビニル50~80質量部とを含み、
    前記エチレン-一酸化炭素共重合体がエチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体の少なくとも1種を含み、
    前記工程(1)を行うにあたり、
    下記工程(a-2)で塩素含有樹脂の全部を溶融混合する場合には、工程(1)が下記工程(a-1)、工程(a-2)及び工程(c)を有し、下記工程(a-2)で塩素含有樹脂の一部を溶融混合する場合には、工程(1)が下記工程(a-1)、工程(a-2)、工程(b)及び工程(c)を有する、塩素含有架橋樹脂成形体の製造方法。
    工程(a-1):前記無機フィラー及び前記シランカップリング剤を混合して混合物
    を調製する工程
    工程(a-2):前記混合物と前記塩素含有樹脂の全部又は一部とエチレン-一酸化
    炭素共重合体と可塑剤とを、前記有機過酸化物の存在下で前記有機
    過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、前記グラフ
    ト化反応部位と前記グラフト化反応可能な部位とをグラフト化反応
    させることにより、シランマスターバッチを調製する工程
    工程(b):前記塩素含有樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、
    触媒マスターバッチを調製する工程
    工程(c):前記シランマスターバッチと、前記シラノール縮合触媒又は前記触媒マ
    スターバッチとを溶融混合して、前記塩素含有架橋性樹脂組成物を調製
    する工程
  7. 前記エチレン-一酸化炭素共重合体がエチレン-(メタ)アクリル酸エステル-一酸化炭素共重合体である、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記エチレン-一酸化炭素共重合体を前記塩素含有樹脂100質量部に対して20~50質量部溶融混合する、請求項6又は7に記載の製造方法。
  9. 前記塩素含有樹脂が、塩素化ポリエチレン20~35質量部とポリ塩化ビニルを65~80質量部とを含む、請求項6~8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記可塑剤の含有量が前記塩素含有樹脂100質量部に対して50~80質量部である、請求項6~9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 請求項6~10のいずれか1項に記載の製造方法により得られた塩素含有架橋樹脂成形体。
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