JP4844711B2 - 連続気孔を有する高分子多孔質体及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、キレート能を備えた連続気孔を有する高分子多孔質体及びその製造方法に関する。
液中の金属イオンを捕捉する最も一般的な方法としては、粒子状キレート樹脂をカラムに詰めて被処理液を通液する方法が挙げられるが、この粒子状キレート樹脂は、被処理液処理時の粒子状キレート樹脂内部への金属イオンの拡散や、粒子状キレート樹脂の再生時の処理剤の拡散速度が遅いため、処理効率が悪い。
また、粒子状キレート樹脂は、そのままで又は適宜なケーシングに充填してカートリッジ化して被処理液を通液する充填塔に充填されるが、ケーシングや充填塔に粒子状キレート樹脂を充填する際に粒子を均一に充填しなければならないため作業が煩雑であり、また、粒子状キレート樹脂では、粒子を最密充填してもデッドスペースが発生するため空間効率が悪くなってしまう。
更に、キレート樹脂は、樹脂自体が脆く、通液時に粒子同士の衝突により破砕した微粒子が処理液に混入することがあり、また、粒子の破砕により充填塔内の均一性が失われて処理能力が低下してしまうという問題もある。
なお、この発明に関する先行技術文献情報としては以下のものがある。
特開2004−277633号公報 特開2004−344871号公報
本発明は、前記問題を解決するためになされたもので、金属イオンの回収処理における処理容積を最大限利用して高い処理能力で金属イオンを回収でき、水流による破砕などを引き起こさずに安定に形状を保って使用できるキレート能を備えた連続気孔を有する高分子多孔質体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーと、キレート樹脂及び/又はキレート繊維と、気孔形成剤とを混合した成形材料を成形して得られた充実成形体から気孔形成剤を溶媒で溶出させて得られた連続気孔を有する高分子多孔質体が、高い処理能力で金属イオンを回収できることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下の連続気孔を有する高分子多孔質体及びその製造方法を提供する。
[請求項1] キレート樹脂の配合量が、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーの総量との比で、[熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー]:[キレート樹脂]=80:20〜30:70(質量比)の範囲になるように、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーと、キレート樹脂と、気孔形成剤と、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンとを熱溶融状態で混合した成形材料を成形して得られたシート状の充実成形体から気孔形成剤を溶媒で溶出させて得られたことを特徴とする連続気孔を有する高分子多孔質体。
[請求項2] 前記熱可塑性樹脂がポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1記載の高分子多孔質体。
[請求項3] 前記熱可塑性エラストマーがオレフィン系熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の高分子多孔質体。
[請求項4] 前記気孔形成剤がペンタエリスリトールを含む多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の高分子多孔質体。
[請求項5] 連続気孔を有する高分子多孔質体の製造方法であって、キレート樹脂の配合量が、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーの総量との比で、[熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー]:[キレート樹脂]=80:20〜30:70(質量比)の範囲になるように、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーと、キレート樹脂と、気孔形成剤と、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンとを熱溶融状態で混合した成形材料を成形してシート状の充実成形体を得、次いで、該シート状充実成形体から気孔形成剤を溶媒で溶出させて連続気孔を形成することを特徴とする連続気孔を有する高分子多孔質体の製造方法。
本発明の連続気孔を有する高分子多孔質体は、金属イオンの回収処理における処理容積を最大限利用して高い処理能力で金属イオンを回収でき、水流による破砕などを引き起こさずに安定に形状を保って使用できる。また、成形形状を変えることにより様々な形状のものを製造することができ、柔軟性もあることから、充填塔の形状に合わせた形状のものを提供でき、交換作業におけるハンドリングが良好である。更に、高分子多孔質体の孔径を変えることにより、処理液通液時の許容流速の調整や、処理液の高分子多孔質体内部への拡散性の調整が可能であり、必要とする処理能力に合わせた高分子多孔質体のカスタマイズが容易である。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の高分子多孔質体は、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーと、キレート樹脂と、気孔形成剤と、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンとを混合した成形材料を成形して得られたシート状の充実成形体から気孔形成剤を溶媒で溶出させて得られものであり、連続気孔を有するものである。
本発明において、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーは、キレート樹脂、気孔形成剤、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン、更には後述する必要に応じて添加する添加剤と熱溶融状態で混合することができるものであり、これにより、気孔形成剤を均一に分散させることができ、連続気孔が全体にわたって均一に存在する高分子多孔質体が得られる。このような熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーは単独で用いてもこれらを混合して用いてもよいが、250℃以下、特に180〜230℃で熱溶融するものであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、エチレン系アイオノマー、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエーテルイミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体、ポリ3フッ化塩化エチレン、ポリアリレート、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリエステルアミド、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリアクリロニトリルなどが挙げられるが、なかでもポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂、特にポリプロピレンを含むものが好適である。
一方、熱可塑性エラストマーとは、ゴム状弾性を示すソフトセグメント及び三次元網目の結び目となるハードセグメントから構成されるもので、常温ではゴム弾性を示し、高温で可塑化するものであり、例えば、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、イソプレン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、フッ素系エラストマーなどが挙げられる。
具体的には、ポリオレフィン系エラストマーとして、エチレン・プロピレン・ジエン(EPDM)とポリプロピレンとの共重合体、ポリスチレン系エラストマーとして、ポリブタジエンとポリスチレンとの共重合体やポリイソプレンとポリスチレンとの共重合体など、ポリアミド系エラストマーとして、ナイロン6とポリエーテルとの共重合体など、ポリエステル系エラストマーとして、ポリエチレンテレフタレートと高分子量ポリエチレンエーテルグリコールとの共重合体やポリブチレンテレフタレートと高分子量ポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体など、ウレタン系エラストマーとして、短鎖グリコールが結合したジイソシアナートと長鎖ポリオールが結合したジイソシアナートとの共重合体などを使用することができるが、なかでもポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを含むものが好適である。
本発明においては、熱可塑性樹脂若しくは熱可塑性エラストマーを単独で用いること、又は熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを併用することのいずれも可能であるが、比較的柔軟性の高いソフトタイプのものとする場合には、熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=100:0〜60:40(質量比)、特に熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=95:5〜70:30(質量比)であることが好ましい。一方、硬さが必要なハードタイプのものとする場合は、熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=0:100〜20:80(質量比)であることが好ましい。
本発明において、キレート樹脂としては、従来公知のキレート樹脂を用いることができるが、特にイミノジ酢酸型のキレート基を有するものが好ましい。このようなものとしては市販品を使用し得、キレート樹脂としては、アンバーライトIRC748(オルガノ社製)などの市販品が挙げられる。なお、キレート樹脂は、粒径が1〜300μm程度の粒状のものが好ましく、粒径の大きい市販品は、必要に応じて適宜粉砕して用いることが可能である
なお、これらキレート樹脂の配合量は、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーの総量との比で、[熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー]:[キレート樹脂]=80:20〜30:70(質量比)の範囲とするキレート樹脂が少なすぎると、十分なキレート能が得られない場合があり、キレート樹脂が多すぎると、成形材料成形時の取扱性が悪くなって、うまく成形できなくなるおそれがある。
本発明において気孔形成剤は、高分子多孔質体の連続気孔を形成するために配合されるものであり、高分子多孔質体の連続気孔は、気孔形成剤を含む成形材料を用いて成形した充実成形体から、気孔形成剤を溶媒により溶出させることにより形成される。気孔形成剤は、常温で固体であって、成形温度でその一部又は全部が熱溶融するものであることが好ましい。このような気孔形成剤の融点は、高分子多孔質体の骨格部分を形成する熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーの種類により成形温度が異なるため一概には言えないが、40〜250℃、特に180〜250℃であることが好ましい。気孔形成剤としては、特に、成形材料の熱溶融時にその一部のみが熱溶融する(固体部分が残存する)融点のものを用いることが好ましい。このようなものを用いることにより、得られる高分子多孔質体の気孔形状が一定となり、気孔を再現性よく形成することができる。
更に、充実成形体中の気孔形成剤は、気孔形成剤は溶解するが気孔形成剤以外の成分は溶解しない溶媒で溶出させるため、気孔形成剤を溶解させる溶媒に対する気孔形成剤及び気孔形成剤以外の成分の溶解性を考慮して選択する必要がある。
このような気孔形成剤としては、ペンタエリスリトール、L−エリスリトール、D−エリスリトール、meso−エリスリトール、ピナコール等の炭素数2〜5程度の多価アルコールや尿素などが挙げられる。これらのうちでは、多価アルコールが好ましく、特にペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールが好ましい。多価アルコールを用いることにより、洗浄工程に用いる溶媒として水を選択することが可能となる。
ペンタエリスリトール自体の融点は250℃であるが、一般にペンタエリスリトールとして市販されているものは、2量体、3量体等の不純物を含んでいるため、その融点は180〜250℃程度の範囲で幅を有しており、広い成形温度範囲を設定することができる。従って、このようなペンタエリスリトールを主成分とする気孔形成剤を用いることにより、高分子多孔質体の骨格部分を形成する熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーの選択範囲を広くでき、しかも成形後の固化が速いので、充実成形体の冷却時間が短くなり、生産性が優れたものとなるため好適である。また、ペンタエリスリトールは成形材料を成形して冷却して再び固化したときに、充実成形体中に分散する気孔形成剤粒子の形状が球形となる点からも好適である。
また、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合、水溶性無機塩を併用して気孔形状を制御することもできる。無機塩は、ペンタエリスリトールが溶融する温度では熱溶融しないので無機塩の形状をそのまま気孔形状に反映させることができる。水溶性無機塩としては、例えば、NaCl、KClなどの塩酸塩、Na2SO4、K2SO4などの硫酸塩、Na2CO3などの炭酸塩などが挙げられる。この場合、水溶性無機塩の量は、全気孔形成剤中の1〜30容量%とすることが好ましい。
更に、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合には、融点が40〜180℃の水溶性化合物を気孔形成剤の総量に対して好ましくは50質量%以下の割合で配合して用いることも好ましい。このような水溶性化合物としては、例えば、分子量が35,000以下、特に200〜25,000のポリエチレングリコールが挙げられる。また、エステルグリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなども好適である。
このように気孔形成剤として2種又はそれ以上を併用する場合は、これらの融点の違いを利用してその一部のみが溶融する組み合わせとすることも可能であり、このようにすると、得られる高分子多孔質体の気孔形状が一定となり、気孔を再現性よく形成することができる。また、気孔形成剤を2種又はそれ以上で併用することにより、孔径のコントロールを行うことができる。
なお、成形材料中の気孔形成剤の配合量は、製造しようとする高分子多孔質体の空隙率に応じて適宜選定することができ、配合する気孔形成剤の含有量により空隙率を制御することができる。即ち、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー、キレート樹脂、気孔形成剤、及び必要に応じて添加する後述の添加剤を合わせた全成形材料中の気孔形成剤の割合を、空隙率とほぼ同じ体積率にすることにより、所望の空隙率を有する高分子多孔質体を得ることができる。例えば、空隙率を60%とするには、全成形材料中の気孔形成剤の割合を約60容量%とすればよい。また、連通気孔の高分子多孔質体を確実に得るためには、全成形材料中の気孔形成剤の割合を50容量%以上、特に50〜85容量%とすることが好ましく、これにより空隙率が50%以上、特に50〜85%の連通気孔を有する高分子多孔質体を得ることができる。
本発明において、成形材料には、更に、必要に応じて、高分子改質剤等の改質剤、滑剤、加工助剤、老化防止剤、可塑剤、熱安定剤、増粘剤、難燃剤、抗酸化剤(酸化防止剤)、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、強化材などの添加剤を添加してもよい。なお、このような添加剤は、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーと、キレート樹脂との総量100質量部に対して50質量部以下の範囲で添加することが好ましい。特に、添加剤として高分子改質剤を添加することが好ましく、高分子改質剤としては、例えば、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンが挙げられ、メタブレンA3000(三菱レイヨン社製)等の市販品を使用し得る。
本発明において、高分子多孔質体は、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー、キレート樹脂、気孔形成剤、並びに必要に応じて添加剤を添加して混合分散させた成形材料(コンパウンド)を成形し、冷却して充実成形体を得、更に、充実成形体中の気孔形成剤を、気孔形成剤は溶解するが気孔形成剤以外の成分は溶解しない溶媒で溶出させることにより得ることができる。
成形材料中の各成分の混合分散は、オープンロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機などの装置を使用して、混練、混合して分散させることが好ましい。また、混練に先立ち、各構成成分を、ヘンシェルミキサー、V字型混合機、ボールミル、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合機を用いて予め混合してもよい。この場合、気孔形成剤の一部が熱溶融するような温度で混合分散すると、気孔形成剤を均一に分散させることができるため好ましい。例えば、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合、180〜230℃で混合分散することが好適である。なお、混合した成形材料をペレット化することも可能である。
次に、調製されたコンパウンドを成形してシート状の充実成形体を製造する。成形温度は、成形材料を成形できる温度で、かつ気孔形成剤が熱溶融する温度である。ここで、成形材料を成形できる温度とは、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーの種類によっても異なるが、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーが溶融する温度で、かつコンパウンドを成形できる温度であり、コンパウンドの組成によっても異なるが250℃以下、特に180〜230℃であることが好ましい。前記範囲より低温であると、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーや気孔形成剤の溶融が十分でなく溶融粘度が高くなりすぎて成形が困難となる場合がある。一方、前記範囲より高温であると、溶融粘度が低くなりすぎて溶融張力が低くなり、やはり成形が困難となる場合がある。
特に、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合、その一部が熱溶融する180〜245℃であることが好ましい。成形温度が180℃未満では、溶融が不十分で成形がうまくいかない場合があり、成形温度が245℃を超えるとペンタエリスリトールがほとんど溶融してしまい、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーと気孔形成剤との分離が起こり、密度のばらつきが大きいものになるおそれがある。なお、この場合、気孔形成剤の溶融率は10〜95容量%程度であることが好ましい。
一方、成形材料の成形方法は、特に限定されず、圧縮成形、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形方法を採用し得る。なお、その他の成形条件は、使用する熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー、キレート樹脂及び/又はキレート繊維、気孔形成剤等の種類や量によって適宜決定すればよい。
次に、成形された充実成形体を、気孔形成剤は溶解するが気孔形成剤以外の成分は溶解しない溶媒で溶出させることにより高分子多孔質体が得られる。
この溶媒としては、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー、キレート樹脂及び気孔形成剤の種類によって適宜選択され、例えば水、グリコール、グリコールエーテル、高分子量アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリコールエステル、鉱油、石油、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンエステル、グリセロール、グリセロールエステルなどを挙げることができる。溶媒として有機溶剤などを使用した場合、後処理などの付帯設備が必要となるので、そのような設備が不要となる水を溶媒として使用できるような気孔形成剤を選ぶことが望ましい。
このような溶媒を用い、例えば、充実成形体を溶媒に浸せきして洗浄することにより、充実成形体に含まれていた気孔形成剤が溶媒に溶解して溶出され、個々の気孔が微小な連続気孔を有する高分子多孔質体が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
参考例1〜4
ポリプロピレン、キレート樹脂繊維、気孔形成剤としてペンタエリスリトール、高分子改質剤としてアクリル変性PTFE、及び酸化防止剤を各々表1に示す量配合し、200℃で溶融混合分散させて成形材料を得、成形材料を成形温度200℃で押出成形して厚さ1mmのシート状充実成形体を作製した。
次に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。得られた高分子多孔質体の物性について測定した結果を表1に示す。なお、各測定法は下記のとおりである(以下の例において同じ)。
鉄捕捉能
(1)前処理
φ47mmにカットした高分子多孔質体を36%塩酸に浸せきし、20℃で6時間攪拌する。次に、2mol/Lの塩酸水溶液に浸せきし、20℃で3時間攪拌する。その後、純水で十分すすぐ。次に、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸せきし、20℃で6時間攪拌し、イオン交換基をナトリウム型にする。その後、純水で中性になるまで洗浄する。
(2)乾燥質量測定
洗浄後、50℃の真空オーブンで12時間乾燥し、乾燥質量を測定する。
(3)鉄溶液への浸せき攪拌
1mol/L塩酸水溶液でpH2付近に調整した鉄2ppm水溶液100mLに、乾燥させた高分子多孔質体を投入し、20℃で12時間攪拌する。
(4)鉄イオンの定量
鉄水溶液中に残存する鉄イオンをICP発光分光分析法で定量することによって鉄補足能を算出する。
実施例1〜4
ポリプロピレン、キレート樹脂(粒状)、気孔形成剤としてペンタエリスリトール、高分子改質剤としてアクリル変性PTFE、及び酸化防止剤を各々表1に示す量配合し、200℃で溶融混合分散させて成形材料を得、成形材料を成形温度200℃で押出成形して厚さ1mmのシート状充実成形体を作製した。なお、キレート樹脂は粉砕して平均粒径50μmとしたものを用いた。
次に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。得られた高分子多孔質体の物性について測定した結果を表1に示す。
Figure 0004844711


ポリプロピレン:三井住友ポリオレフィン社製「三井住友ポリプロS−131」
キレート繊維:キレスト社製「キレート繊維IRY−S」
キレート樹脂:オルガノ社製「アンバーライトIRC748」
アクリル変性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン):三菱レイヨン社製「メタブレンA3000」
酸化防止剤:チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」
ペンタエリスリトール:広栄化学社製「ペンタリット」

Claims (5)

  1. キレート樹脂の配合量が、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーの総量との比で、[熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー]:[キレート樹脂]=80:20〜30:70(質量比)の範囲になるように、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーと、キレート樹脂と、気孔形成剤と、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンとを熱溶融状態で混合した成形材料を成形して得られたシート状の充実成形体から気孔形成剤を溶媒で溶出させて得られたことを特徴とする連続気孔を有する高分子多孔質体。
  2. 前記熱可塑性樹脂がポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項1記載の高分子多孔質体。
  3. 前記熱可塑性エラストマーがオレフィン系熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の高分子多孔質体。
  4. 前記気孔形成剤がペンタエリスリトールを含む多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の高分子多孔質体。
  5. 連続気孔を有する高分子多孔質体の製造方法であって、キレート樹脂の配合量が、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーの総量との比で、[熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマー]:[キレート樹脂]=80:20〜30:70(質量比)の範囲になるように、熱可塑性樹脂及び/又は熱可塑性エラストマーと、キレート樹脂と、気孔形成剤と、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンとを熱溶融状態で混合した成形材料を成形してシート状の充実成形体を得、次いで、該シート状充実成形体から気孔形成剤を溶媒で溶出させて連続気孔を形成することを特徴とする連続気孔を有する高分子多孔質体の製造方法。
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