JP5019015B2 - 高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法 - Google Patents

高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法、特に、充填、交換作業が容易なシート状、ブロック状など任意の形状に成形して用いることができ、高い空間効率でイオン交換処理に供することができると共に、水流による衝突等によって破砕を引き起こさずに安定的に形状を保って使用できる高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法に関する。
イオン交換樹脂は、純水や軟水の製造などにおいて、水の中に含まれる金属イオン等の陽イオンを取り除く手段として広く用いられており、化学品、食品、医薬品、電子部品の製造や発電など清浄な水を必要とする様々な分野において使用されている。
現在、一般に用いられているイオン交換樹脂は、スチレン系イオン交換樹脂が主流であるが、スチレン系イオン交換樹脂は、通常、スチレンとジビニルベンゼンとを懸濁共重合させて、小径の球状粒子を製造し、得られた共重合体の球状粒子に所定のイオン交換基を導入することにより製造される。
このような粒子状のイオン交換樹脂をイオン交換処理に用いる場合、イオン交換樹脂をそのままで又は適宜なケーシングに充填してカートリッジ化して、被処理液を流通させる充填塔に充填することになり、粒子状のイオン交換樹脂を充填又は交換する操作が必要となるが、この操作ではイオン交換樹脂を均一に充填しなければならないため非常に煩雑である。また、粒子状のイオン交換樹脂では、イオン交換樹脂を最密充填してもデットスペースが発生するため空間効率が悪くなってしまう。
更に、粒状イオン交換樹脂は、イオン交換基の導入により樹脂自体が多少脆くなってしまうこともあって、使用中に水流による粒子同士の衝突により破砕しやすく、これにより充填塔内の均一性が失われやすいという問題もある。
なお、この発明に関する先行技術文献情報としては以下のものがある。
特開2001−2825号公報 特開2002−194131号公報 特開平8−252579号公報 特開平10−192716号公報 特開2002−306976号公報 特開2003−164734号公報
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、充填、交換作業が容易なシート状、ブロック状など任意の形状に成形して用いることができ、高い空間効率でイオン交換処理に供することができ、水流による衝突等によって破砕を引き起こさずに安定的に形状を保って使用できる高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、骨格ポリマーとなる高分子材料としてスチレン系熱可塑性樹脂及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形して充実成形体を製造し、該充実成形体中の気孔形成剤を、前記高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて得られる連続気孔を有する高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入してなることを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体、或いは
骨格ポリマーとなる硬化物を与える高分子組成物としてスチレン系熱硬化性樹脂組成物及び/又はスチレン系ゴム組成物とポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形して充実成形体を製造し、該充実成形体中の気孔形成剤を、前記高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて得られた連続気孔を有する高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入してなることを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体に、
例えば、陽イオン交換基導入剤に接触させることにより陽イオン交換基を導入して得られた高分子多孔質陽イオン交換体が、材料の成形時に設定した形状を反映させたシート状、ブロック状など任意の形状でイオン交換処理に供することができ、高い空間効率でイオン交換処理に供することができること、また、水流による衝突等によって破砕が引き起こされることがないことから安定的に形状を保って使用できること、更には、高分子多孔質陽イオン交換体の孔径が、成形材料の配合や成形方法、成形条件によって調整可能であることから、陽イオン交換基の導入量の調整のみならず、高分子多孔質体の孔径の調整によってもイオン交換効率を制御することができ、イオン交換容量調整、イオン交換効率調整の自由度が高いものであることを知見し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下の高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法を提供する。
[請求項1] 骨格ポリマーとなる高分子材料としてスチレン系熱可塑性樹脂及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形して充実成形体を製造し、該充実成形体中の気孔形成剤を、前記高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて得られる連続気孔を有する高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入してなることを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体。
[請求項2] 骨格ポリマーとなる硬化物を与える高分子組成物としてスチレン系熱硬化性樹脂組成物及び/又はスチレン系ゴム組成物とポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形して充実成形体を製造し、該充実成形体中の気孔形成剤を、前記高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて得られた連続気孔を有する高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入してなることを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体。
[請求項3] 前記気孔形成剤がペンタエリスリトールを含む多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の高分子多孔質陽イオン交換体。
[請求項4] 前記陽イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の高分子多孔質陽イオン交換体。
請求項5骨格ポリマーとなる高分子材料としてスチレン系熱可塑性樹脂及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形して充実成形体を形成する工程、該充実成形体中の気孔形成剤を前記高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて連続気孔を有する高分子多孔質体を形成する工程、及び該高分子多孔質体を陽イオン交換基導入剤に接触させて高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入する工程を含むことを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体の製造方法。
請求項6骨格ポリマーとなる硬化物を与える高分子組成物としてスチレン系熱硬化性樹脂組成物及び/又はスチレン系ゴム組成物とポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形し、硬化させて充実成形体を形成する工程、該充実成形体中の気孔形成剤を前記高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて連続気孔を有する高分子多孔質体を形成する工程、及び該高分子多孔質体を陽イオン交換基導入剤に接触させて高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入する工程を含むことを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体の製造方法。
[請求項7] 気孔形成剤の一部または全部が熱溶融する温度で充実成形体を成形する請求項5又は6記載の高分子多孔質陽イオン交換体の製造方法。
本発明の高分子多孔質陽イオン交換体は、材料の成形時に設定した形状を反映させたシート状、ブロック状など任意の形状でイオン交換処理に供することができ、高い空間効率でイオン交換処理に供することができる。また、水流による衝突等によって破砕が引き起こされることがないことから安定的に形状を保って使用できる。更に、高分子多孔質陽イオン交換体の孔径が、成形材料の配合や成形方法、成形条件によって調整可能であることから、陽イオン交換基の導入量の調整のみならず、高分子多孔質体の孔径の調整によってもイオン交換効率を制御することができ、イオン交換容量調整、イオン交換効率の自由度が高いものである。また更に、従来のイオン交換樹脂に比べ軽量化も可能である。
以下、本発明について更に詳しく説明する。
まず、本発明の高分子多孔質イオン交換体の第1の態様について説明する。
本発明の第1の態様の高分子多孔質イオン交換体は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマーを含有する高分子材料に気孔形成剤を混合分散させてなる成形材料を成形して得られた充実成形体中の気孔形成剤を、前記高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて得られる連続気孔を有する高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入してなるものである。
本発明の第1の態様において、高分子材料は、気孔形成剤、更には後述する必要に応じて添加する添加剤と熱溶融状態で混合することができるものであり、これにより、気孔形成剤を均一に分散させることができ、気孔が全体にわたって均一に存在する均質な高分子多孔質イオン交換体が得られる。このような高分子材料としては、温度を上げることによって溶融状態となる熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーを含有するものが用いられる。熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーは単独で用いてもこれらを混合して用いてもよいが、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーが、共に250℃以下、特に180〜230℃で熱溶融するものであることが好ましい。
熱可塑性樹脂としては、スチレン系熱可塑性樹脂、即ち、高分子骨格中にスチレン由来の単位構造を有するものが用いられ、このようなものとしては、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン共重合体などを好ましく例示できる。なお、スチレン系熱可塑性樹脂とスチレン系熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂とを併用することも可能である。
一方、熱可塑性エラストマーとは、ゴム状弾性を示すソフトセグメント及び三次元網目の結び目となるハードセグメントから構成されるもので、常温ではゴム弾性を示し、高温で可塑化するものである。本発明では、熱可塑性エラストマーの中でもスチレン系熱可塑性エラストマー、即ち、高分子骨格中にスチレン由来の単位構造を有するものが用いられ、具体的には、ポリブタジエンとポリスチレンとの共重合体やポリイソプレンとポリスチレンとの共重合体などを用いることができる。なお、ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとポリスチレン系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性エラストマーとを併用することも可能である。
上記高分子材料としては、熱可塑性樹脂若しくは熱可塑性エラストマーを単独で用いること、又は熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとを併用することができるが、いずれの場合においても、単独で用いる場合は、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー各々の量、併用する場合はそれらの総量が、高分子材料全体の30〜99質量%、特に50〜99質量%であることが好ましい。一方、熱可塑性樹脂及び熱可塑性エラストマーを併用する場合、それらの混合比は任意であるが、ソフトタイプのものの場合は、熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=100:0〜60:40(質量比)、特に熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=95:5〜70:30(質量比)であることが好ましい。一方、硬さが必要なハードタイプのものの場合は、熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=0:100〜40:60(質量比)、特に熱可塑性エラストマー:熱可塑性樹脂=5:95〜30:70(質量比)であることが好ましい。
本発明の第1の態様において気孔形成剤は、高分子多孔質体、即ち、これから形成される高分子多孔質陽イオン交換体の気孔を形成するために配合されるものであり、高分子多孔質体の気孔は、気孔形成剤を含む成形材料を用いて成形した充実成形体から、この気孔形成剤を溶媒により溶出させることにより形成される。気孔形成剤は、常温で固体であって、成形温度でその一部又は全部が熱溶融するものであることが好ましい。このような気孔形成剤の融点は、高分子多孔質体の骨格部分を形成する高分子材料の種類により成形温度が異なるため一概には言えないが、40〜250℃、特に180〜250℃であることが好ましい。気孔形成剤としては、特に、成形材料の熱溶融時にその一部のみが熱溶融する(固体部分が残存する)融点のものを用いることが好ましい。このようなものを用いることにより、得られる高分子多孔質体の気孔形状が一定となり、気孔を再現性よく形成することができる。
更に、充実成形体中の気孔形成剤は、高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させるため、気孔形成剤を溶解させる溶媒に対する高分子材料及び気孔形成剤の溶解性を考慮して選択する必要がある。
このような気孔形成剤としては、ペンタエリスリトール、L−エリスリトール、D−エリスリトール、meso−エリスリトール、ピナコール等の炭素数2〜5程度の多価アルコールや尿素などが挙げられる。これらのうちでは、多価アルコールが好ましく、特にペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールが好ましい。多価アルコールを用いることにより、洗浄工程に用いる溶媒として水を選択することが可能となる。
ペンタエリスリトール自体の融点は250℃であるが、一般にペンタエリスリトールとして市販されているものは、2量体、3量体等の不純物を含んでいるため、その融点は180〜250℃程度の範囲で幅を有しており、広い成形温度範囲を設定することができる。従って、このようなペンタエリスリトールを主成分とする気孔形成剤を用いることにより、高分子材料の選択範囲を広くでき、しかも成形後の固化が速いので、充実成形体の冷却時間が短くなり、生産性が優れたものとなるため好適である。また、ペンタエリスリトールは成形材料を成形して冷却して再び固化したときに、充実成形体中に分散する気孔形成剤粒子の形状が球形となる点からも好適である。
また、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合、水溶性無機塩を併用して気孔形状を制御することもできる。無機塩は、ペンタエリスリトールが溶融する温度では熱溶融しないので無機塩の形状をそのまま気孔形状に反映させることができる。水溶性無機塩としては、例えば、NaCl、KClなどの塩酸塩、Na2SO4、K2SO4などの硫酸塩、Na2CO3などの炭酸塩などが挙げられる。この場合、水溶性無機塩の量は、全気孔形成剤中の1〜30容量%とすることが好ましい。
更に、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合には、融点が40〜180℃の水溶性化合物を気孔形成剤の総量に対して好ましくは50質量%以下の割合で配合して用いることも好ましい。このような水溶性化合物としては、例えば、分子量が35,000以下、特に200〜25,000のポリエチレングリコールが挙げられる。また、エステルグリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなども好適である。
このように気孔形成剤として2種又はそれ以上を併用する場合は、これらの融点の違いを利用してその一部のみが溶融する組み合わせとすることも可能であり、このようにすると、得られる高分子多孔質体の気孔形状が一定となり、気孔を再現性よく形成することができる。また、気孔形成剤を2種又はそれ以上で併用することにより、孔径のコントロールを行うことができる。
なお、成形材料中の気孔形成剤の配合量は、製造しようとする高分子多孔質体の空隙率に応じて適宜選定することができ、配合する気孔形成剤の含有量により空隙率を制御することができる。即ち、高分子材料、気孔形成剤、及び必要に応じて添加する後述の添加剤を合わせた全成形材料中の気孔形成剤の割合を、空隙率とほぼ同じ体積率にすることにより、所望の空隙率を有する高分子多孔質体を得ることができる。例えば、空隙率を60%とするには、全成形材料中の気孔形成剤の割合を約60容量%とすればよい。また、連通気孔の高分子多孔質体を確実に得るためには、全成形材料中の気孔形成剤の割合を50容量%以上、特に50〜85容量%とすることが好ましく、これにより空隙率が50%以上、特に50〜85%の連通気孔を有する高分子多孔質体を得ることができる。
本発明の第1の態様において、成形材料には、更に、必要に応じて、高分子改質剤等の改質剤、滑剤、加工助剤、老化防止剤、可塑剤、熱安定剤、増粘剤、難燃剤、抗酸化剤(酸化防止剤)、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、強化材などの添加剤を添加してもよい。なお、このような添加剤は、前記高分子材料100質量部に対して50質量部以下の範囲で添加することが好ましい。また、本発明では、添加剤として高分子改質剤を添加し、その高分子改質剤としては、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを用いる。アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンとしては、メタブレンA3000(三菱レイヨン社製)、PTFE系改質剤としては、Alphaflex Industries社製アルファフレックス101等の市販品を使用し得る。
本発明の第1の態様において、高分子多孔質体は、高分子材料、気孔形成剤、必要に応じて添加剤を添加して混合分散させた成形材料(コンパウンド)を成形し、冷却して充実成形体を得、更に、充実成形体中の気孔形成剤を、高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させることにより得ることができる。
前記成形材料中の各成分の分散は、オープンロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機などの装置を使用して、混練、混合して分散させることが好ましい。また、混練に先立ち、各構成成分を、ヘンシェルミキサー、V字型混合機、ボールミル、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合機を用いて予め混合してもよい。この場合、気孔形成剤の一部が熱溶融するような温度で混合分散すると、気孔形成剤を均一に分散させることができるため好ましい。例えば、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合、180〜230℃で混合分散することが好適である。なお、混合した成形材料をペレット化することも可能である。
次に、調製されたコンパウンドを成形して充実成形体を製造する。成形温度は、高分子材料を成形できる温度で、かつ気孔形成剤が熱溶融する温度である。ここで、高分子材料を成形できる温度とは、高分子材料の種類に応じて異なるが、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー等の高分子材料が溶融する温度で、かつコンパウンドを成形できる温度であり、コンパウンドの組成によっても異なるが250℃以下、特に180〜230℃であることが好ましい。前記範囲より低温であると、高分子材料や気孔形成剤の溶融が十分でなく溶融粘度が高くなりすぎて成形が困難となる場合がある。一方、前記範囲より高温であると、溶融粘度が低くなりすぎて溶融張力が低くなり、やはり成形が困難となる場合がある。
特に、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合、その一部が熱溶融する180〜245℃であることが好ましい。成形温度が180℃未満では、溶融が不十分で成形がうまくいかない場合があり、成形温度が245℃を超えるとペンタエリスリトールがほとんど溶融してしまい、高分子材料と気孔形成剤との分離が起こり、密度のばらつきが大きいものになるおそれがある。なお、この場合、気孔形成剤の溶融率は10〜95容量%程度であることが好ましい。
一方、成形材料の成形方法は、特に限定されず、圧縮成形、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形方法を採用し得る。なお、その他の成形条件は、使用する高分子材料、気孔形成剤等の種類や量によって適宜決定すればよい。
次に、以上のようにして成形された充実成形体を、前記高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させることにより高分子多孔質体が得られる。
前記溶媒としては、高分子材料及び気孔形成剤の種類によって適宜選択され、例えば水、グリコール、グリコールエーテル、高分子量アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリコールエステル、鉱油、石油、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンエステル、グリセロール、グリセロールエステルなどを挙げることができる。溶媒として有機溶剤などを使用した場合、後処理などの付帯設備が必要となるので、そのような設備が不要となる水を溶媒として使用できるような高分子材料と気孔形成剤との組み合わせを選ぶのが望ましい。気孔形成剤として、多価アルコールを用いた場合、溶媒として水が好適に使用できる。
このような溶媒を用い、例えば、充実成形体を溶媒に浸漬して洗浄することにより、充実成形体に含まれていた気孔形成剤が溶媒に溶解して溶出され、個々の気孔が微小な連続気孔を有する高分子多孔質体が得られる。
次に、得られた高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入する。陽イオン交換基としてはスルホン酸基が特に好適である。陽イオン交換基を導入する方法としては、例えば、導入する陽イオン交換基を高分子多孔質体に置換反応により導入することができる陽イオン交換基導入剤に高分子多孔質体を好ましくは10〜100℃程度の温度で浸漬する方法などにより可能である。この場合、陽イオン交換基導入剤としては、スルホン酸基を導入するには硫酸、クロロ硫酸、発煙硫酸を選択することができる。特に、硫酸を用いてスルホン酸基を導入する場合は、濃硫酸に0.5〜12時間程度接触させることによりスルホン酸基を導入することができる。その後、陽イオン交換基が導入された高分子多孔質体を、水等により洗浄液が中性になるまで適宜洗浄して余剰の陽イオン交換基導入剤を除去することにより高分子多孔質イオン交換体が得られる。
次に、本発明の高分子多孔質イオン交換体の第2の態様について説明する。
本発明の第2の態様の高分子多孔質イオン交換体は、熱硬化性樹脂組成物又はゴム組成物からなる未硬化の高分子組成物に気孔形成剤を混合分散させてなる成形材料を成形し、硬化させて得られた充実成形体中の気孔形成剤を、前記高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて得られた連続気孔を有する高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入してなるものである。
本発明の第2の態様において、高分子組成物は、気孔形成剤、更には後述する必要に応じて添加する添加剤と混合分散され、気孔形成剤を均一に分散させることにより気孔が全体にわたって均一に存在する均質な高分子多孔質イオン交換体が得られる。
熱硬化性樹脂組成物は、ベース樹脂と必要に応じて配合される硬化剤とを含有し、熱若しくは放射線による架橋、又は硬化剤による架橋反応により硬化させることにより熱硬化性樹脂を与えるものである。本発明では、熱硬化性樹脂組成物の中でもスチレン系熱硬化性樹脂組成物、即ち、硬化物の高分子骨格中にスチレン由来の単位構造を与えるものが好ましく、このようなものとしては、スチレン・マレイン酸樹脂、スチレン・メチルメタクリレート共重合体などを好ましく例示できる。
一方、ゴム組成物は、ベースゴムと必要に応じて配合される硬化剤(架橋剤)とを含有し、熱若しくは放射線による架橋、又は硬化剤による架橋反応により硬化(架橋)させることによりゴムを与えるものである。本発明では、ゴム組成物の中でもスチレン系ゴム組成物、即ち、硬化物の高分子骨格中にスチレン由来の単位構造を与えるものが好ましく、このようなものとしては、スチレンブタジエンゴム組成物、特にスチレン含有量の高いスチレンブタジエンゴムなどを好ましく例示できる。
本発明の第2の態様において気孔形成剤は、高分子多孔質体、即ち、これから形成される高分子多孔質陽イオン交換体の気孔を形成するために配合されるものであり、高分子多孔質体の気孔は、気孔形成剤を含む成形材料を用いて成形した充実成形体から、この気孔形成剤を溶媒により溶出させることにより形成される。気孔形成剤は、常温で固体であって、成形温度でその一部又は全部が熱溶融するものであることが好ましい。このような気孔形成剤の融点は、高分子多孔質体の骨格部分を形成する高分子組成物の硬化物の種類により成形温度が異なるため一概には言えないが、40〜250℃、特に180〜250℃であることが好ましい。気孔形成剤としては、特に、成形材料の熱溶融時にその一部のみが熱溶融する(固体部分が残存する)融点のものを用いることが好ましい。このようなものを用いることにより、得られる高分子多孔質体の気孔形状が一定となり、気孔を再現性よく形成することができる。また、気孔形成剤を2種又はそれ以上で併用することにより、孔径のコントロールが行える。
更に、充実成形体中の気孔形成剤は、高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させるため、気孔形成剤を溶解させる溶媒に対する高分子組成物(その硬化物)及び気孔形成剤の溶解性を考慮して選択する必要がある。
このような気孔形成剤としては、ペンタエリスリトール、L−エリスリトール、D−エリスリトール、meso−エリスリトール、ピナコール等の炭素数2〜5程度の多価アルコールや尿素などが挙げられる。これらのうちでは、多価アルコールが好ましく、特にペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールが好ましい。多価アルコールを用いることにより、洗浄工程に用いる溶媒として水を選択することが可能となる。
ペンタエリスリトール自体の融点は250℃であるが、一般にペンタエリスリトールとして市販されているものは、2量体、3量体等の不純物を含んでいるため、その融点は180〜250℃程度の範囲で幅を有しており、広い成形温度範囲を設定することができる。従って、このようなペンタエリスリトールを主成分とする気孔形成剤を用いることにより、高分子組成物の選択範囲を広くでき、しかも成形後の固化が速いので、充実成形体の冷却時間が短くなり、生産性が優れたものとなるため好適である。また、ペンタエリスリトールは成形材料を成形して冷却して再び固化したときに、充実成形体中に分散する気孔形成剤粒子の形状が球形となる点からも好適である。
また、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合、水溶性無機塩を併用して気孔形状を制御することもできる。無機塩は、ペンタエリスリトールが溶融する温度では熱溶融しないので無機塩の形状をそのまま気孔形状に反映させることができる。水溶性無機塩としては、例えば、NaCl、KClなどの塩酸塩、Na2SO4、K2SO4などの硫酸塩、Na2CO3などの炭酸塩などが挙げられる。この場合、水溶性無機塩の量は、全気孔形成剤中の1〜30容量%とすることが好ましい。
更に、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合には、融点が40〜180℃の水溶性化合物を気孔形成剤の総量に対して好ましくは90質量%以下の割合で配合して用いることも好ましい。このような水溶性化合物としては、例えば、分子量が35,000以下、特に200〜25,000のポリエチレングリコールが挙げられる。また、エステルグリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなども好適である。
このように気孔形成剤として2種又はそれ以上を併用する場合は、これらの融点の違いを利用してその一部のみが溶融する組み合わせとすることも可能であり、このようにすると、得られる高分子多孔質体の気孔形状が一定となり、気孔を再現性よく形成することができる。また、気孔形成剤を2種又はそれ以上で併用することにより、孔径のコントロールが行える。
なお、成形材料中の気孔形成剤の配合量は、製造しようとする高分子多孔質体の空隙率に応じて適宜選定することができ、配合する気孔形成剤の含有量により空隙率を制御することができる。即ち、高分子組成物、気孔形成剤、及び必要に応じて添加する後述の添加剤を合わせた全成形材料中の気孔形成剤の割合を、空隙率とほぼ同じ体積率にすることにより、所望の空隙率を有する高分子多孔質体を得ることができる。例えば、空隙率を60%とするには、全成形材料中の気孔形成剤の割合を約60容量%とすればよい。また、連通気孔の高分子多孔質体を確実に得るためには、全成形材料中の気孔形成剤の割合を50容量%以上、特に50〜85容量%とすることが好ましく、これにより空隙率が50%以上、特に50〜85%の連通気孔を有する高分子多孔質体を得ることができる。
本発明の第2の態様において、成形材料には、更に、必要に応じて、高分子改質剤等の改質剤、滑剤、加工助剤、老化防止剤、可塑剤、熱安定剤、増粘剤、難燃剤、抗酸化剤(酸化防止剤)、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、強化材などの添加剤を添加してもよい。なお、このような添加剤は、前記高分子組成物100質量部に対して50質量部以下の範囲で添加することが好ましい。また、本発明では、添加剤として高分子改質剤を添加し、その高分子改質剤としては、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを用いる。アクリル変性ポリテトラフルオロエチレンとしては、メタブレンA3000(三菱レイヨン社製)、PTFE系改質剤としては、Alphaflex Industries社製アルファフレックス101等の市販品を使用し得る。
本発明の第2の態様において、高分子多孔質体は、高分子組成物、気孔形成剤、必要に応じて添加剤を添加して混合分散させた成形材料を成形し、硬化させ、冷却して充実成形体を得、更に、充実成形体中の気孔形成剤を、高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させることにより得ることができる。
前記成形材料中の各成分の分散は、オープンロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機などの装置を使用して、混練、混合して分散させることが好ましい。また、混練に先立ち、各構成成分を、ヘンシェルミキサー、V字型混合機、ボールミル、リボンブレンダー、タンブルミキサー等の混合機を用いて予め混合してもよい。この場合、高分子組成物の硬化が開始されない温度で混合分散することが好ましい。
次に、調製された成形材料を成形して充実成形体を製造する。成形温度は、高分子組成物を硬化させることができる温度で、かつ気孔形成剤が熱溶融する温度である。ここで、高分子組成物を硬化させることができる温度とは、高分子組成物の種類に応じて異なるが、250℃以下、特に180〜230℃であることが好ましい。前記範囲より低温であると、高分子組成物の硬化や気孔形成剤の溶融が十分でなく硬化不良となる場合や、気孔が十分成長せずに気孔の形成不良となる場合がある。一方、前記範囲より高温であると、高分子組成物の硬化が速すぎて、やはり気孔の形成不良となる場合がある。
特に、気孔形成剤としてペンタエリスリトールを主成分とする多価アルコールを用いる場合、その一部が熱溶融する180〜245℃であることが好ましい。成形温度が180℃未満では、溶融が不十分で成形がうまくいかない場合があり、成形温度が245℃を超えると、高分子組成物の硬化が速すぎて、やはり気孔の形成不良となり、密度のばらつきが大きいものになるおそれがある。なお、この場合、気孔形成剤の溶融率は10〜95容量%程度であることが好ましい。
一方、成形材料の成形方法は、圧縮成形が好ましい。なお、その他の成形条件は、使用する高分子組成物、気孔形成剤等の種類や量によって適宜決定すればよい。
次に、以上のようにして成形された充実成形体を、前記高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させることにより高分子多孔質体が得られる。
前記溶媒としては、高分子組成物(その硬化物)及び気孔形成剤の種類によって適宜選択され、例えば水、グリコール、グリコールエーテル、高分子量アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリコールエステル、鉱油、石油、アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンエステル、グリセロール、グリセロールエステルなどを挙げることができる。溶媒として有機溶剤などを使用した場合、後処理などの付帯設備が必要となるので、そのような設備が不要となる水を溶媒として使用できるような高分子組成物(その硬化物)と気孔形成剤との組み合わせを選ぶのが望ましい。気孔形成剤として、多価アルコールを用いた場合、溶媒として水が好適に使用できる。
このような溶媒を用い、例えば、充実成形体を溶媒に浸漬して洗浄することにより、充実成形体に含まれていた気孔形成剤が溶媒に溶解して溶出され、個々の気孔が微小な連続気孔を有する高分子多孔質体が得られる。
次に、得られた高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入する。陽イオン交換基としてはスルホン酸基が特に好適である。陽イオン交換基を導入する方法としては、例えば、導入する陽イオン交換基を高分子多孔質体に置換反応により導入することができる陽イオン交換基導入剤に高分子多孔質体を好ましくは10〜100℃程度の温度で浸漬する方法などにより可能である。この場合、陽イオン交換基導入剤としては、スルホン酸基を導入するには硫酸、クロロ硫酸、発煙硫酸を選択することができる。特に、硫酸を用いてスルホン酸基を導入する場合は、濃硫酸に0.5〜12時間程度接触させることによりスルホン酸基を導入することができる。その後、陽イオン交換基が導入された高分子多孔質体を、水等により洗浄液が中性になるまで適宜洗浄して余剰の陽イオン交換基導入剤を除去することにより高分子多孔質イオン交換体が得られる。
以下、実施例及び参考例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3]
骨格ポリマーとなる高分子材料としてスチレン系エラストマー及びポリプロピレン、気孔形成剤としてペンタエリスリトール、高分子改質剤としてアクリル変性PTFE、並びに酸化防止剤を各々表1に示す量配合し、210℃で溶融混合分散させて成形材料を得、これらの成形材料を用い、成形温度210℃で押出成形(実施例1)、射出成形(実施例2)、圧縮成形(実施例3)にて厚さ1mmのシート状充実成形体を作製した(成形材料の配合を表1に示す)。
次に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。
次に、得られた高分子多孔質体を200mm角に切断し、これを市販の濃硫酸に浸漬して、60℃で1時間スルホン化反応を行い、スルホン酸基を有する高分子多孔質陽イオン交換体を得た。このスルホン酸基を有する高分子多孔質陽イオン交換体の物性について測定した結果を表1に示す。なお、各測定法は下記のとおりである(以下の例において同じ)。
比重(見かけ比重)
JIS A 9511に準じて、約200×200mmの試験片を60℃で乾燥し、恒量となった後の質量と見かけ容積から算出した。
空隙率
前記密度測定で得られた質量と、成形材料から気孔形成剤を除いたものの比重から高分子多孔質体の真容積を算出し、見かけ容積と真容積との差分の割合(%)を空隙率とした。
イオン交換容量測定
中性塩分解容量測定法により、乾燥重量当たりの交換容量(meq/g−dry)を測定した。
[参考例1]
実施例1と同じ配合で、210℃で溶融混合分散させて成形材料を得、これらの成形材料を用い、成形温度210℃で押出成形にて厚さ1mmのシート状充実成形体を作製し(成形材料の配合を表1に示す)、更に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。この高分子多孔質体の物性について測定した結果を表1に示す。
[実施例4]
骨格ポリマーとなる高分子材料としてスチレン樹脂、ポリスチレン系エラストマー及びポリエチレン、気孔形成剤としてペンタエリスリトール、高分子改質剤としてアクリル変性PTFE、並びに酸化防止剤を表1に示す量配合し、210℃で溶融混合分散させて成形材料を得、これらの成形材料を用い、成形温度210℃で押出成形にて厚さ1mmのシート状充実成形体を作製した(成形材料の配合を表1に示す)。
次に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。
次に、得られた高分子多孔質体を200mm角に切断し、これを市販の濃硫酸に浸漬して、60℃で1時間スルホン化反応を行い、スルホン酸基を有する高分子多孔質陽イオン交換体を得た。このスルホン酸基を有する高分子多孔質陽イオン交換体の物性について測定した結果を表1に示す。
参考例2
骨格ポリマーとなる硬化物を与える高分子組成物としてスチレンブタジエンゴム、気孔形成剤としてペンタエリスリトール及びネオペンチルグリコール、PTFE系改質剤、有機過酸化物架橋剤、架橋助剤、並びに酸化防止剤を表1に示す量を配合し、130℃で溶融混合分散させて成形材料を得、これらの成形材料を用い、190℃で10分間圧縮成形しつつ架橋反応を行い、厚さ1mmのシート状充実成形体を作製した(成形材料の配合を表1に示す)。
次に、得られたシート状充実成形体から気孔形成剤を温水により溶出させ、高分子多孔質体を得た。
次に、得られた高分子多孔質体を200mm角に切断し、これを市販の濃硫酸に浸漬して、60℃で1時間スルホン化反応を行い、スルホン酸基を有する高分子多孔質陽イオン交換体を得た。このスルホン酸基を有する高分子多孔質陽イオン交換体の物性について測定した結果を表1に示す。
Figure 0005019015

ポリスチレン系エラストマー:旭化成ケミカルズ社製「アサフレックスi350」
スチレン樹脂:出光石油化学社製「イデミツPS ET−60」
スチレンブタジエンゴム:日本ゼオン社製「Nipol9550」
ポリエチレン:旭化成ケミカルズ社製「サンテックLD M2206」
アクリル変性PTFE(ポリテトラフルオロエチレン):三菱レイヨン社製「メタブレンA3000」
PTFE系改質剤:Alphaflex Industries社製「アルファフレックス101」
酸化防止剤:チバスペシャリティーケミカルズ社製「イルガノックス1010」
有機化酸化物架橋剤:日本油脂社製「パーヘキシン25B」
架橋助剤:日本化成社製「タイク」
ネオペンチルグリコール:三菱ガス化学社製「ネオペンチルグリコール」
ペンタエリスリトール:広栄化学社製「ペンタリット」

Claims (7)

  1. 骨格ポリマーとなる高分子材料としてスチレン系熱可塑性樹脂及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形して充実成形体を製造し、該充実成形体中の気孔形成剤を、前記高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて得られる連続気孔を有する高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入してなることを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体。
  2. 骨格ポリマーとなる硬化物を与える高分子組成物としてスチレン系熱硬化性樹脂組成物及び/又はスチレン系ゴム組成物とポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形して充実成形体を製造し、該充実成形体中の気孔形成剤を、前記高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて得られた連続気孔を有する高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入してなることを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体。
  3. 前記気孔形成剤がペンタエリスリトールを含む多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の高分子多孔質陽イオン交換体。
  4. 前記陽イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の高分子多孔質陽イオン交換体。
  5. 骨格ポリマーとなる高分子材料としてスチレン系熱可塑性樹脂及び/又はスチレン系熱可塑性エラストマーとポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形して充実成形体を形成する工程、該充実成形体中の気孔形成剤を前記高分子材料は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて連続気孔を有する高分子多孔質体を形成する工程、及び該高分子多孔質体を陽イオン交換基導入剤に接触させて高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入する工程を含むことを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体の製造方法。
  6. 骨格ポリマーとなる硬化物を与える高分子組成物としてスチレン系熱硬化性樹脂組成物及び/又はスチレン系ゴム組成物とポリエチレンとを併用するとともに、気孔形成剤及び高分子改質剤としてアクリル変性ポリテトラフルオロエチレンを添加した成形材料を成形し、硬化させて充実成形体を形成する工程、該充実成形体中の気孔形成剤を前記高分子組成物の硬化物は溶解しないが気孔形成剤は溶解する溶媒で溶出させて連続気孔を有する高分子多孔質体を形成する工程、及び該高分子多孔質体を陽イオン交換基導入剤に接触させて高分子多孔質体に陽イオン交換基を導入する工程を含むことを特徴とする高分子多孔質陽イオン交換体の製造方法。
  7. 気孔形成剤の一部または全部が熱溶融する温度で充実成形体を成形する請求項5又は6記載の高分子多孔質陽イオン交換体の製造方法。
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