JP2004090546A - 連続気泡を有する多孔質ゴム印字体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴムと比較的相溶性の良いフェノール樹脂であっても、経時的にはゴムとフェノール樹脂が分離し始め、スプリング性が低下したり、脆くなって欠けたりし、多孔質ゴム印字体の物性が大きく低下する欠点があった。本発明は、捺印時に過度の押圧力が印字体に加えられても印面が圧潰されずに、吸蔵されているスタンプインクが過剰に流出して捺印される印字が太くなったり、滲んだりしてせず、鮮明な捺印ができ、スタンプインキの消耗や印字面の磨耗が防止でき、かつ、長時間にわたって物性が低下しない多孔質ゴム印字体を提供するものである。
【解決手段】原料ゴム、ジアリルフタレート樹脂、水溶性微粉末、加硫剤、充填剤、及び、必要に応じて添加剤等を混練してマスタ−バッチとし、当該マスターバッチを加硫した後、水溶性微粉末を除去して得られる連続気泡を有する多孔質ゴム印字体。
【解決手段】原料ゴム、ジアリルフタレート樹脂、水溶性微粉末、加硫剤、充填剤、及び、必要に応じて添加剤等を混練してマスタ−バッチとし、当該マスターバッチを加硫した後、水溶性微粉末を除去して得られる連続気泡を有する多孔質ゴム印字体。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、インク内蔵タイプのゴム印に使用される連続気泡を有する多孔質ゴム印字体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無数の連続気泡を有する多孔質ゴムを印材として使用することにより、使用の都度スタンプ台を使用することなく連続捺印できるようにした印判は広く使用されており、本出願人から実公昭31−2912等が開示されている。このような多孔質ゴム印字体は、比較的高粘度の顔料インキであっても、多量のインキを含有することができ、かつ、良好なインキ吐出量を誇っている。
しかし、従前の多孔質ゴム印字体は、無数の連続気泡を有するため硬度が低く、捺印時に過度の押圧力が印字体に加えられると印字面が圧潰されて吸蔵されているスタンプインクが過剰に流出して捺印される印字が太くなったり、滲んだりして鮮明な捺印を行い難いうえにスタンプインキの消耗や印字面の磨耗が速くて長時間にわたる連続捺印ができなくなる等の欠点があった。
そこで、このような欠点を解決し、印字体の硬度を向上させるため、本出願人はフェノール樹脂を配合した多孔質ゴム印字体を発明し、特公昭57−50675として出願した。一般的にゴムと樹脂は非相溶系であって、混合しにくい場合が多く、機械的に強い剪断を加えても混ざり合わないために、比較的ゴムと相溶性の良いフェノール樹脂を選択したものであった。
【0003】
【特許文献1】
実公昭31−2912号公報
【特許文献2】
特公昭57−50675号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ゴムと比較的相溶性の良いフェノール樹脂であっても、経時的にはゴムとフェノール樹脂が分離し始め、スプリング性が低下したり、脆くなって欠けたりし、多孔質ゴム印字体の物性が大きく低下する欠点があった。
そこで、本発明は、捺印時に過度の押圧力が印字体に加えられても印面が圧潰されずに、吸蔵されているスタンプインクが過剰に流出して捺印される印字が太くなったり、滲んだりしてせず、鮮明な捺印ができ、スタンプインキの消耗や印字面の磨耗が防止でき、かつ、長時間にわたって物性が低下しない多孔質ゴム印字体を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する為に、原料ゴム、ジアリルフタレート樹脂、水溶性微粉末、加硫剤、充填剤、及び、必要に応じて添加剤等を混練してマスタ−バッチとし、当該マスターバッチを加硫した後、水溶性微粉末を除去して得られる連続気泡を有する多孔質ゴム印字体を提供する。
【0006】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において使用することのできる原料ゴムとしては、分子量約2万〜100万程度(JIS K6300ムーニー粘度中心値=約70〜95)の天然ゴム又は合成ゴムをあげることができる。合成ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、ポリウレタンゴム等が使用できる。特に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ニトリル含有量30〜50%)は、耐油性、耐老化性、弾性および靭性に優れているので、ゴム印字体原料として最適である。
【0007】
次に、本発明においては、ジアリルフタレート樹脂を配合することが必須であって、ダイソーダップ(商品名:ダイソー株式会社製)などを例示することができる。
ジアリルフタレート樹脂は、熱硬化性のジアリルフタレートプレポリマーであって、原料ゴムとの相溶性に優れており、多孔質ゴム印字体の硬度を高くしつつ、連泡性を向上することができる。
【0008】
本発明において使用することができる水溶性微粉末としては、塩、糖などの微粉末をあげることができる。塩は、微粉末化し易く、ゴムの加硫温度(110℃〜160℃)において分解ガス化せず、かつ、加熱後は水によって容易に除去できる無機化合物をいい、具体的には塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどの塩が用いられる。直径は、通常32〜350メッシュ(0.044〜0.498mm)のものを使用し、その使用比率はゴム100部に対し約200〜2000部用いられ、特に400〜1500部が好ましく用いられる。糖は、ペントースやヘキトースなどの単糖類、サッカロースやマルトースなどの二糖類、デンプンやグリコーゲンなどの多糖類のいずれも使用でき、更に、これらを併用して使用することもできる。粒径は、通常150メッシュパス(0.010〜0.103mm)のものを使用する。中でも特に、バレイショデンプンが可溶性において優れているうえ、均一な所要粒径を有する粉末が容易に得られ、また、安価であるため好ましく使用される。使用比率は、ゴム100部に対し、約50〜300部であり、好ましくは100〜200部である。これらの糖は、加硫の際、熱の影響をうけて膨潤し、含量した微量水分をガスとして発生する。そして、このガスが一種の発泡剤的作用をなして気泡形成に良い結果を与える。本発明において水溶性微粉末は、塩と糖をそれぞれ単独で用いてもよいし、併用して用いてもよく、用途によって適宜選択すればよい。併用する場合には、塩と糖の配合重量比は9:1ないし3:1程度がよく、特に4:1の割合で使用するのが好ましい。本発明において、塩と糖の配合重量比をこのような範囲にする理由は、糖の量が多すぎると加硫する際に水分および炭酸ガスの発生が多くなって、これらが気泡を作りすぎて多孔質ゴムの気泡が不均一になるおそれがあり、また糖自体の分解が進行しすぎて金型内で混合物が成型不能となるおそれもあるからである。他方、逆に糖の量が少なすぎると塩粒子相互間に糖粒子が適確に介在せず、糖の効果が充分発揮できない。
【0009】
本発明において使用することができる加硫剤としては、沈降硫黄、硫黄、セレン、テルル、塩化硫黄などの公知の加硫剤をあげることができ、その使用比率はゴム100部に対して約2〜10部が使用でき、3〜8部が特に好ましい。
【0010】
本発明において使用することができる充填剤としては、公知のカ−ボンブラック、シリカ、微粉ケイ酸、人工ケイ酸塩、炭酸カルシルムなどがあり、とりわけカ−ボンブラックは使用ゴムと強力な結合をし補強的作用をするので好ましい。その使用比率はゴム100部に対して約40〜60部であり、45〜65部の範囲は特に好ましい。
【0011】
更に、本発明ではゴム製造で通常使用されている添加物等も必要に応じて使用することができる。例えば、アミン系の老化防止剤、ワセリン、可塑剤などの軟化剤、亜鉛華などの加硫助剤、グアニジン系の加硫促進剤などを有効量添加することができる。また、有機系合成繊維を適量添加することもできる。有機系合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アクリル系繊維、ナイロン6・ナイロン6/6・ナイロン4/6・ナイロン6/10・ナイロン11等の脂肪族ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアルキルパラオキシベンゾエート繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール繊維、ポリ−p−フェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリオキシメチレン繊維などを用いることができ、繊維長0.2〜2mmとしたステープルが用いられる。また、これらの有機系合成繊維は、特に繊度0.1〜100dのものが好ましく用いられる。
【0012】
次に、本発明の多孔質ゴム印字体の製造法について説明する。
前記各原料を混練機に入れ混練し、マスターバッチとする。次に、カレンダーロール等で未加硫シートを作成する。次に、シート化したマスターバッチを金型に入れ、10分〜2時間、約80℃〜160℃の温度下で加熱加硫させる。加熱手段としては公知のものが使用可能である。例えば電熱加熱や蒸気加熱を利用できる。次に、金型より取り出し、冷水または温水を使用して圧縮と膨張復元をくり返しつつ、水溶性微粉末の洗い出しを行なう。そうすると連続気泡を有するシート状の多孔質ゴム印字体が得られる。
本発明の多孔質ゴム印字体は、単層のゴム印字体としてだけでなく、上層(インキ保持部)と下層(印字部)の2層からなるゴム印字体の上層(インキ保持部)及び/又は下層(印字部)としても使用することができる。ただし、上層用水溶性微粉末は下層用水溶性微粉末よりやや大きいものを用いている。こうすると上層の気泡径が下層の気泡径より大きくなるので、インキを含浸させると、毛細管現象により、下層へ安定したインキ供給が可能となるからである。
【0013】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。
(実施例1)
合成ゴム(NBR)100部、硫黄5部、亜鉛華5部、加硫促進剤5部、液状ゴム(低重合NBR分子量)・ワセリン・DBP等からなる軟化剤30部、カーボンブラック50部、老化防止剤2部、80〜100メッシュ(0.149〜0.176mm)の塩化ナトリウム800部、150〜250メッシュ(0.062〜0.103mm)のバレイショデンプン200部、ジアリルフタレート樹脂20部を加え混練してマスターバッチとし、これを厚さ7mmの平板状のシートとした。
次に、当該シートを平滑な金型内に収容し、次いで200kg/cm2程度の圧力を加えて熱盤間に挟圧し、120℃の温度下で60分間加硫した。加硫後離型して、塩化ナトリウム、バレイショデンプンが完全に除去されるまで充分に水洗し、脱水乾燥して多孔質ゴムシートとした。
このようにして得られた多孔質ゴムシートをYAGレーザ加工機にて彫刻した後、所要のサイズに切断して多孔質ゴム印字体を得ることができた。
当該多孔質ゴム印字体に500〜2000mPa・s(25℃)の高粘度の顔料系インキを吸蔵させて捺印したところ、インキ吸蔵量も充分で、にじみやかすれのない鮮明な捺印を長期間にわたって行なうことができた。
【0014】
(実施例2)
合成ゴム(NBR)100部、硫黄5部、亜鉛華5部、加硫促進剤5部、液状ゴム(低重合NBR)・ワセリン等からなる軟化剤30部、カーボンブラック50部、老化防止剤2部、200〜350メッシュ(0.044〜0.074mm)の塩化ナトリウム400部、200メッシュ(0.010〜0.074mm)のバレイショデンプン100部、ジアリルフタレート樹脂20部、繊維長0.9mm・直径0.011mmのアラミド繊維2部を加え混練してマスターバッチAとし、これを厚さ2mmの平板状のシートAとした。
これとは別に、合成ゴム(NBR)100部、硫黄5部、亜鉛華5部、加硫促進剤5部、液状ゴム(低重合NBR)・ワセリン・DBP等からなる軟化剤30部、カーボンブラック50部、老化防止剤2部、32〜100メッシュ(0.149〜0.498mm)の塩化ナトリウム800部、200メッシュ(0.010〜0.074mm)のバレイショデンプン150部を加え混練してマスターバッチBとし、これを厚さ5mmの平板状のシートBとした。
次に、シートA上にシートBを重ね合わせて平滑な金型内に収容し、次いで、200kg/cm2程度の圧力を加えて熱盤間に挟圧し、120℃の温度下で60分間加硫した。加硫後離型して、塩化ナトリウム、バレイショデンプンが完全に除去されるまで充分に水洗し、脱水乾燥して多孔質ゴムシートとした。
このようにして製造された多孔質ゴムシートは、シートAとシートBが一体化した一枚のシートとなり、シートA側から炭酸ガスレーザ加工機にて彫刻した後、所要のサイズに切断すると、シートB部分は多量のインキを吸蔵するインキ保持部をなし、シートA部分は印面を形成した印字部をなした多孔質ゴム印字体を得ることができた。
当該多孔質ゴム印字体に500〜2000mPa・s(25℃)の高粘度の顔料系インキを吸蔵させて捺印したところ、インキ吸蔵量も充分で、にじみやかすれのない鮮明な捺印を長期間にわたって行なうことができた。
【0015】
【効果】
原料ゴムに相溶性の高いジアリルフタレート樹脂を配合させたので、経時的に多孔質ゴム印字体の物性が低下することがなく、スプリング性が低下したり、脆くなって印面が欠けたりすることがなくなった。
また、硬度を向上させることができるので、捺印時に過度の押圧力が印字体に加えられても印字面が圧潰されずに、吸蔵されているスタンプインクが過剰に流出して捺印される印字が太くなったり、滲んだりしてせず、鮮明な捺印ができ、スタンプインキの消耗や印面の磨耗が防止できた。
【産業上の利用分野】
本発明は、インク内蔵タイプのゴム印に使用される連続気泡を有する多孔質ゴム印字体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無数の連続気泡を有する多孔質ゴムを印材として使用することにより、使用の都度スタンプ台を使用することなく連続捺印できるようにした印判は広く使用されており、本出願人から実公昭31−2912等が開示されている。このような多孔質ゴム印字体は、比較的高粘度の顔料インキであっても、多量のインキを含有することができ、かつ、良好なインキ吐出量を誇っている。
しかし、従前の多孔質ゴム印字体は、無数の連続気泡を有するため硬度が低く、捺印時に過度の押圧力が印字体に加えられると印字面が圧潰されて吸蔵されているスタンプインクが過剰に流出して捺印される印字が太くなったり、滲んだりして鮮明な捺印を行い難いうえにスタンプインキの消耗や印字面の磨耗が速くて長時間にわたる連続捺印ができなくなる等の欠点があった。
そこで、このような欠点を解決し、印字体の硬度を向上させるため、本出願人はフェノール樹脂を配合した多孔質ゴム印字体を発明し、特公昭57−50675として出願した。一般的にゴムと樹脂は非相溶系であって、混合しにくい場合が多く、機械的に強い剪断を加えても混ざり合わないために、比較的ゴムと相溶性の良いフェノール樹脂を選択したものであった。
【0003】
【特許文献1】
実公昭31−2912号公報
【特許文献2】
特公昭57−50675号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ゴムと比較的相溶性の良いフェノール樹脂であっても、経時的にはゴムとフェノール樹脂が分離し始め、スプリング性が低下したり、脆くなって欠けたりし、多孔質ゴム印字体の物性が大きく低下する欠点があった。
そこで、本発明は、捺印時に過度の押圧力が印字体に加えられても印面が圧潰されずに、吸蔵されているスタンプインクが過剰に流出して捺印される印字が太くなったり、滲んだりしてせず、鮮明な捺印ができ、スタンプインキの消耗や印字面の磨耗が防止でき、かつ、長時間にわたって物性が低下しない多孔質ゴム印字体を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する為に、原料ゴム、ジアリルフタレート樹脂、水溶性微粉末、加硫剤、充填剤、及び、必要に応じて添加剤等を混練してマスタ−バッチとし、当該マスターバッチを加硫した後、水溶性微粉末を除去して得られる連続気泡を有する多孔質ゴム印字体を提供する。
【0006】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明において使用することのできる原料ゴムとしては、分子量約2万〜100万程度(JIS K6300ムーニー粘度中心値=約70〜95)の天然ゴム又は合成ゴムをあげることができる。合成ゴムとしては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロプレン、ポリウレタンゴム等が使用できる。特に、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ニトリル含有量30〜50%)は、耐油性、耐老化性、弾性および靭性に優れているので、ゴム印字体原料として最適である。
【0007】
次に、本発明においては、ジアリルフタレート樹脂を配合することが必須であって、ダイソーダップ(商品名:ダイソー株式会社製)などを例示することができる。
ジアリルフタレート樹脂は、熱硬化性のジアリルフタレートプレポリマーであって、原料ゴムとの相溶性に優れており、多孔質ゴム印字体の硬度を高くしつつ、連泡性を向上することができる。
【0008】
本発明において使用することができる水溶性微粉末としては、塩、糖などの微粉末をあげることができる。塩は、微粉末化し易く、ゴムの加硫温度(110℃〜160℃)において分解ガス化せず、かつ、加熱後は水によって容易に除去できる無機化合物をいい、具体的には塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどの塩が用いられる。直径は、通常32〜350メッシュ(0.044〜0.498mm)のものを使用し、その使用比率はゴム100部に対し約200〜2000部用いられ、特に400〜1500部が好ましく用いられる。糖は、ペントースやヘキトースなどの単糖類、サッカロースやマルトースなどの二糖類、デンプンやグリコーゲンなどの多糖類のいずれも使用でき、更に、これらを併用して使用することもできる。粒径は、通常150メッシュパス(0.010〜0.103mm)のものを使用する。中でも特に、バレイショデンプンが可溶性において優れているうえ、均一な所要粒径を有する粉末が容易に得られ、また、安価であるため好ましく使用される。使用比率は、ゴム100部に対し、約50〜300部であり、好ましくは100〜200部である。これらの糖は、加硫の際、熱の影響をうけて膨潤し、含量した微量水分をガスとして発生する。そして、このガスが一種の発泡剤的作用をなして気泡形成に良い結果を与える。本発明において水溶性微粉末は、塩と糖をそれぞれ単独で用いてもよいし、併用して用いてもよく、用途によって適宜選択すればよい。併用する場合には、塩と糖の配合重量比は9:1ないし3:1程度がよく、特に4:1の割合で使用するのが好ましい。本発明において、塩と糖の配合重量比をこのような範囲にする理由は、糖の量が多すぎると加硫する際に水分および炭酸ガスの発生が多くなって、これらが気泡を作りすぎて多孔質ゴムの気泡が不均一になるおそれがあり、また糖自体の分解が進行しすぎて金型内で混合物が成型不能となるおそれもあるからである。他方、逆に糖の量が少なすぎると塩粒子相互間に糖粒子が適確に介在せず、糖の効果が充分発揮できない。
【0009】
本発明において使用することができる加硫剤としては、沈降硫黄、硫黄、セレン、テルル、塩化硫黄などの公知の加硫剤をあげることができ、その使用比率はゴム100部に対して約2〜10部が使用でき、3〜8部が特に好ましい。
【0010】
本発明において使用することができる充填剤としては、公知のカ−ボンブラック、シリカ、微粉ケイ酸、人工ケイ酸塩、炭酸カルシルムなどがあり、とりわけカ−ボンブラックは使用ゴムと強力な結合をし補強的作用をするので好ましい。その使用比率はゴム100部に対して約40〜60部であり、45〜65部の範囲は特に好ましい。
【0011】
更に、本発明ではゴム製造で通常使用されている添加物等も必要に応じて使用することができる。例えば、アミン系の老化防止剤、ワセリン、可塑剤などの軟化剤、亜鉛華などの加硫助剤、グアニジン系の加硫促進剤などを有効量添加することができる。また、有機系合成繊維を適量添加することもできる。有機系合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アクリル系繊維、ナイロン6・ナイロン6/6・ナイロン4/6・ナイロン6/10・ナイロン11等の脂肪族ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアルキルパラオキシベンゾエート繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリ−p−フェニレンベンゾビスチアゾール繊維、ポリ−p−フェニレンベンズビスオキサゾール繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、ポリオキシメチレン繊維などを用いることができ、繊維長0.2〜2mmとしたステープルが用いられる。また、これらの有機系合成繊維は、特に繊度0.1〜100dのものが好ましく用いられる。
【0012】
次に、本発明の多孔質ゴム印字体の製造法について説明する。
前記各原料を混練機に入れ混練し、マスターバッチとする。次に、カレンダーロール等で未加硫シートを作成する。次に、シート化したマスターバッチを金型に入れ、10分〜2時間、約80℃〜160℃の温度下で加熱加硫させる。加熱手段としては公知のものが使用可能である。例えば電熱加熱や蒸気加熱を利用できる。次に、金型より取り出し、冷水または温水を使用して圧縮と膨張復元をくり返しつつ、水溶性微粉末の洗い出しを行なう。そうすると連続気泡を有するシート状の多孔質ゴム印字体が得られる。
本発明の多孔質ゴム印字体は、単層のゴム印字体としてだけでなく、上層(インキ保持部)と下層(印字部)の2層からなるゴム印字体の上層(インキ保持部)及び/又は下層(印字部)としても使用することができる。ただし、上層用水溶性微粉末は下層用水溶性微粉末よりやや大きいものを用いている。こうすると上層の気泡径が下層の気泡径より大きくなるので、インキを含浸させると、毛細管現象により、下層へ安定したインキ供給が可能となるからである。
【0013】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。
(実施例1)
合成ゴム(NBR)100部、硫黄5部、亜鉛華5部、加硫促進剤5部、液状ゴム(低重合NBR分子量)・ワセリン・DBP等からなる軟化剤30部、カーボンブラック50部、老化防止剤2部、80〜100メッシュ(0.149〜0.176mm)の塩化ナトリウム800部、150〜250メッシュ(0.062〜0.103mm)のバレイショデンプン200部、ジアリルフタレート樹脂20部を加え混練してマスターバッチとし、これを厚さ7mmの平板状のシートとした。
次に、当該シートを平滑な金型内に収容し、次いで200kg/cm2程度の圧力を加えて熱盤間に挟圧し、120℃の温度下で60分間加硫した。加硫後離型して、塩化ナトリウム、バレイショデンプンが完全に除去されるまで充分に水洗し、脱水乾燥して多孔質ゴムシートとした。
このようにして得られた多孔質ゴムシートをYAGレーザ加工機にて彫刻した後、所要のサイズに切断して多孔質ゴム印字体を得ることができた。
当該多孔質ゴム印字体に500〜2000mPa・s(25℃)の高粘度の顔料系インキを吸蔵させて捺印したところ、インキ吸蔵量も充分で、にじみやかすれのない鮮明な捺印を長期間にわたって行なうことができた。
【0014】
(実施例2)
合成ゴム(NBR)100部、硫黄5部、亜鉛華5部、加硫促進剤5部、液状ゴム(低重合NBR)・ワセリン等からなる軟化剤30部、カーボンブラック50部、老化防止剤2部、200〜350メッシュ(0.044〜0.074mm)の塩化ナトリウム400部、200メッシュ(0.010〜0.074mm)のバレイショデンプン100部、ジアリルフタレート樹脂20部、繊維長0.9mm・直径0.011mmのアラミド繊維2部を加え混練してマスターバッチAとし、これを厚さ2mmの平板状のシートAとした。
これとは別に、合成ゴム(NBR)100部、硫黄5部、亜鉛華5部、加硫促進剤5部、液状ゴム(低重合NBR)・ワセリン・DBP等からなる軟化剤30部、カーボンブラック50部、老化防止剤2部、32〜100メッシュ(0.149〜0.498mm)の塩化ナトリウム800部、200メッシュ(0.010〜0.074mm)のバレイショデンプン150部を加え混練してマスターバッチBとし、これを厚さ5mmの平板状のシートBとした。
次に、シートA上にシートBを重ね合わせて平滑な金型内に収容し、次いで、200kg/cm2程度の圧力を加えて熱盤間に挟圧し、120℃の温度下で60分間加硫した。加硫後離型して、塩化ナトリウム、バレイショデンプンが完全に除去されるまで充分に水洗し、脱水乾燥して多孔質ゴムシートとした。
このようにして製造された多孔質ゴムシートは、シートAとシートBが一体化した一枚のシートとなり、シートA側から炭酸ガスレーザ加工機にて彫刻した後、所要のサイズに切断すると、シートB部分は多量のインキを吸蔵するインキ保持部をなし、シートA部分は印面を形成した印字部をなした多孔質ゴム印字体を得ることができた。
当該多孔質ゴム印字体に500〜2000mPa・s(25℃)の高粘度の顔料系インキを吸蔵させて捺印したところ、インキ吸蔵量も充分で、にじみやかすれのない鮮明な捺印を長期間にわたって行なうことができた。
【0015】
【効果】
原料ゴムに相溶性の高いジアリルフタレート樹脂を配合させたので、経時的に多孔質ゴム印字体の物性が低下することがなく、スプリング性が低下したり、脆くなって印面が欠けたりすることがなくなった。
また、硬度を向上させることができるので、捺印時に過度の押圧力が印字体に加えられても印字面が圧潰されずに、吸蔵されているスタンプインクが過剰に流出して捺印される印字が太くなったり、滲んだりしてせず、鮮明な捺印ができ、スタンプインキの消耗や印面の磨耗が防止できた。
Claims (1)
- 原料ゴム、ジアリルフタレート樹脂、水溶性微粉末、加硫剤、充填剤、及び、必要に応じて添加剤等を混練してマスタ−バッチとし、当該マスターバッチを加硫した後、水溶性微粉末を除去して得られる連続気泡を有する多孔質ゴム印字体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002257456A JP2004090546A (ja) | 2002-09-03 | 2002-09-03 | 連続気泡を有する多孔質ゴム印字体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005314594A (ja) * | 2004-04-30 | 2005-11-10 | Asahi Rubber:Kk | 高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法 |
US8559105B2 (en) | 2007-09-27 | 2013-10-15 | Nitto Denko Corporation | Polarizing plate, optical film and image display |
-
2002
- 2002-09-03 JP JP2002257456A patent/JP2004090546A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2005314594A (ja) * | 2004-04-30 | 2005-11-10 | Asahi Rubber:Kk | 高分子多孔質陽イオン交換体及びその製造方法 |
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