JP2003301069A - 多孔体の製造方法 - Google Patents

多孔体の製造方法

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JP2003301069A JP2002108865A JP2002108865A JP2003301069A JP 2003301069 A JP2003301069 A JP 2003301069A JP 2002108865 A JP2002108865 A JP 2002108865A JP 2002108865 A JP2002108865 A JP 2002108865A JP 2003301069 A JP2003301069 A JP 2003301069A
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pentaerythritol
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Hisayoshi Ito
久義 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶融成形法を用いた多孔体の製造法であ
り、分離膜として利用可能な10μm以下の孔径でかつ
均一な孔径分布を有する多孔体を得る方法を提供するこ
と。 【解決手段】 気孔形成材として用いるペンタエリスリ
トールの柔粘性結晶として特性に注目し、さらに適当な
樹脂を選定することにより該樹脂の溶融温度以上という
条件において、ペンタエリスリトールを分子レベルで該
樹脂に溶解させることにより一相状態を作り出した。高
温で一相状態にある柔粘性結晶と樹脂の混合物を冷却す
ることにより、任意の温度で、柔粘性結晶の再結晶化も
しくは、柔粘性結晶と該樹脂の溶融体のスピノーダル分
解などの熱的相分離のいずれかのメカニズムにより、任
意のサイズの均一な分散構造が得られ、最終的に組成物
から柔粘性結晶化合物を除去することにより、元々の柔
粘性結晶化合物の結晶サイズに依存し無い均一な孔径を
有する多孔体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分離膜として利用
できる、溶融成形、抽出法を用いた連続通孔性の多孔体
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来連続通孔を有する多孔体の製造法と
しては、目的とする孔のサイズや形状に応じて、発泡、
湿式相転換法、乾式相転換法など様々な方法が採られて
いる。中でも、樹脂に粉末状の気孔形成剤を混合し、混
錬、成形後に気孔形成剤のみを溶媒などで除去すること
により多孔体を得る、溶融成形溶媒抽出法は、その加工
の簡便さから、スポンジ状成形物の製造法として古くか
ら実施されてきた。中でもペンタエリスリトールは、融
点が250℃以上と高く、かつ水に可溶で成形物からの
除去が容易なことから、これまでにも気孔形成剤として
ペンタエリスリトールを用いたスポンジ状多孔体の製造
法に関する報告がなされている。しかし、これまでに実
施されてきた方法では、連続通孔を得るために大量の気
孔形成剤を樹脂に練りこむ必要があったり、また気孔形
成剤を分散させる駆動力は、混錬の過程で機械的に与え
られるもののみであるため、孔径をコントロールするこ
とは事実上不可能であり、仮に方法が提示されていたと
しても、気孔形成剤の初期の粒径が微小なものを用いる
方法のみであり、分離膜として利用できる10μm以下
の孔径でかつ均一な孔径分布を有する多孔体を得ること
は不可能であった。
【0003】また、ペンタエリスリトールは水に可溶で
あり、液晶と並んで結晶性物質の準安定状態の一形態と
して知られている柔粘性結晶と呼ばれる融点以下に2次
相転移温度を有する化合物(柔粘性結晶化合物)であ
る。ペンタエリスリトールは、この2次相転移温度以上
では、その結晶構造を保つ水素結合が失われる。2次相
転移温度以下では通常の硬い固体であるが、2次相転移
温度以上では軟らかい固体となって塑性変形できるよう
になる。ペンタエリスリトールの場合、187℃に2次
相転移点、258℃に融点がある。187℃以下では各
分子間が水素結合により強く固定されているため非常に
硬い固体であるが、187℃以上では水素結合が切断さ
れ分子間を繋ぎとめる相互作用は非常に弱いファンデル
ワールス力だけとなるため、例え融点以下の温度にあっ
ても塑性変形させることが可能となる。しかし、柔粘性
結晶化合物は分子間力の結合力が弱く樹脂中への分散が
容易ではあるものの、通常の押出機の混錬力程度では分
子レベルでの分散を得ることは不可能であり、従って通
常得られる多孔体の孔径は、元来のペンタエリスリトー
ルの結晶サイズに依存した大きく、かつ分布の広いもの
にしかならない。従って、分離膜に利用する多孔体とし
ては不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
鋭意研究を重ねた結果、融点以下に2次相転移温度を有
する柔粘性結晶化合物を用い、該柔粘性結晶化合物の2
次相転移温度以上融点以下の温度で、気孔形成剤として
の柔粘性結晶化合物と特定の樹脂を共存させ、該樹脂の
溶融温度以上という条件において、柔粘性結晶化合物を
分子レベルで該樹脂に溶解させることができる事を見出
し、本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、樹脂と気孔形
成剤とからなる樹脂組成物を、該樹脂の溶融温度以上で
溶融成形した後に、該気孔形成剤を溶媒などで除去する
溶融成形溶媒抽出法による多孔体製造法であって、該気
孔形成剤として柔粘性結晶化合物を用い、該樹脂組成物
を構成する柔粘性結晶化合物と樹脂とが分子単位での一
相状態となり得る組み合わせを用いることを特徴とする
多孔体の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、気孔形成剤とし
ては、柔粘性結晶化合物が用いられる。本発明で用いら
れる柔粘性結晶化合物としては、ペンタエリスリトール
やアダマンタン、四塩化炭素、フラーレンなどが挙げら
れるが、多孔体を得る段階での除去の容易さ、また2次
相転移温度が一般的な樹脂の加工温度付近にある点から
ペンタエリスリトールが最も好適である。
【0007】本発明において気孔形成剤と混合して用い
られる樹脂の種類は、用いる柔粘性結晶化合物によって
異なるが、柔粘性結晶化合物としてペンタエリスリトー
ルを用いた場合、好適な樹脂として水素結合形成能力に
優れた樹脂、すなわちエチレンビニルアルコール共重合
樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。中で
も、エチレンビニルアルコール共重合樹脂が、その水素
結合能力の高さから最も好適である。これらの樹脂は、
単独で用いても構わないし、極性基の含有量、種類が異
なる2種類以上の樹脂を併用しても構わない。また、本
発明の性質上、用いる樹脂は、気孔形成剤として好適な
ペンタエリスリトールを用いる場合、ペンタエリスリト
ール単独の2次相転移温度である187℃以下の温度で
樹脂が溶融状態となる必要がある。
【0008】本発明においては、柔粘性結晶化合物と混
連する樹脂とが分子単位での一相状態となり得る組み合
わせを用いることが必要なので、柔粘性結晶化合物と混
連する樹脂として、柔粘性結晶化合物を構成する分子と
の相互作用に優れる樹脂を用いることを特徴としてい
る。この相互作用の有無あるいは大きさは、樹脂との混
合状態での柔粘性結晶化合物の2次相転移温度、特に降
温条件下で測定される2次相転移温度に低温側へのシフ
トが見られるか否かで判断することができる。すなわ
ち、柔粘性結晶化合物の2次相転移温度以上かつ、該樹
脂が溶融状態にある温度領域では一相状態である柔粘性
結晶化合物と樹脂との混合物を、この温度領域から冷却
していった場合、柔粘性結晶化合物と樹脂の相互作用に
より、柔粘性結晶化合物の分子同士の相互作用が妨げら
れ、これが2次相転移温度の低下として観察される。こ
の2次相転移温度の低下量により、本発明では樹脂組成
物を構成する柔粘性結晶化合物と樹脂とが分子単位での
一相状態となっているか否かを判断する。この2次相転
移温度の低下量は、用いた柔粘性結晶化合物と樹脂の相
互作用の大きさ及び両者の混合比率により変化するが、
柔粘性結晶化合物としてペンタエリスリトールを用いる
場合、5℃を超える必要がある。すなわち、本発明では
ペンタエリスリトールを用いる場合、下記の方法により
樹脂組成物を構成する柔粘性結晶化合物と樹脂とが分子
単位での一相状態となっているか否かを定義する。
【0009】樹脂とペンタエリスリトールの混合体から
なる樹脂組成物において、示差走査熱量測定装置を用い
て得られるJIS−K7121の降温速度10℃/分に
おける発熱ピークのピークトップの位置で測定される樹
脂と混合したペンタエリスリトールの2次相転移温度T
℃と同条件の測定で得られるペンタエリスリトール単独
の2次相転移温度である187℃との間で、187−T
>5(℃、ピークシフト値)の関係を満足するとき、該
樹脂とペンタエリスリトールは温度T℃以上で分子単位
での一相状態にあると定義する。
【0010】尚、本発明では上記したように気孔形成剤
として柔粘性結晶化合物を用いることが必要である。従
って、例えばアルコール系化合物を用い、該アルコール
系化合物と高い相互作用を持つ樹脂を用いたとしても、
アルコール系化合物は柔粘性結晶化合物ではないので分
離膜として利用できる10μm以下の孔径でかつ均一な
孔径分布を有する本発明の多孔体を得ることはできな
い。例えばエリスリトールやキシリトールのように融点
がエチレンビニルアルコール共重合樹脂のそれよりも低
い多価アルコールを用いた場合、混錬時に両者の粘度間
の差が非常に大きく、混連したとしても、両者を均一分
散させることが出来なく、分子単位での一相状態を得る
ことができない。本発明では、ペンタエリスリトール
は、樹脂に溶解する寸前までは、結晶もしくは柔粘性結
晶として固体状態を保つため、通常の混錬法で十分に樹
脂中に分散させることが可能であり、分子単位での一相
状態を得ることができる。
【0011】以上のことから、樹脂に対して高い相互作
用を持っており、高温で該樹脂と一相状態を作るが、混
錬時に相溶状態になるまでは柔粘性結晶化合物として混
連されるに十分な粘度を保つことができる化合物と、該
化合物に対して相互作用の高い樹脂の組み合わせを用い
ることにより、分子レベルでの均一な分散状態すなわち
一相状態を混錬時に達成することが、本発明の特徴とす
るところである。高温で一相状態にある柔粘性結晶化合
物と樹脂の混合物を冷却することにより、任意の温度
で、柔粘性結晶の再結晶化もしくは、柔粘性結晶と該樹
脂の溶融体のスピノーダル分解などの熱的相分離のいず
れかのメカニズムにより、任意のサイズの均一な分散構
造が得られ、最終的に組成物から柔粘性結晶化合物を溶
媒により抽出除去することにより、元々の柔粘性結晶化
合物の結晶サイズに依存しない均一な孔径を有する多孔
体を得ることができる。
【0012】以下に、気孔形成剤として本発明で好まし
く用いられるペンタエリスリトールを用いた場合を例
に、本発明における樹脂と気孔形成剤との樹脂組成物の
調整方法を説明する。
【0013】本発明の樹脂組成物中のペンタエリスリト
ールと樹脂との混錬は、単軸もしくは二軸スクリュー押
出機、ニーダー、カレンダーロールなどの装置を用いて
行う。また混錬に先立ち、樹脂を予め凍結粉砕機などで
ペンタエリスリトール同様の粉体状に予備加工したり、
ヘンシェルミキサー、タンブルミキサー、ボールミルな
どで予備混錬してもよい。
【0014】ペンタエリスリトールと樹脂の混合比率に
ついては、目的とする多孔体の孔径や空孔率、また用い
る樹脂の極性基の種類や含有量、分子量等によって好適
な範囲が変化するが、ペンタエリスリトールの量が過小
な場合は連続通孔を得るに至らず、また、ペンタエリス
リトールの量が過大な場合は樹脂中にペンタエリスリト
ールが完全に溶解できずに得られる多孔体に不適当に大
きな孔が発生するので、混合後のペンタエリスリトール
の含有量が30質量%〜60質量%であることが好まし
い。また、樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合
樹脂を用いる場合において、エチレン含量が高すぎる
と、すなわちビニルアルコールの含量が低すぎると、樹
脂とペンタエリスリトールとの相性が低下し、所望の一
相状態を得られないため、樹脂中のエチレン含量が10
質量%〜40質量%であることが好ましい。
【0015】また、本発明において、例えば樹脂組成物
の機械的強度や、熱成型加工の利便性を改善する目的で
粘度特性を改良するために、気孔成形剤及び樹脂に加え
て任意の熱可塑性樹脂を添加しても何ら問題は無い。こ
のような樹脂としては、原則としてペンタエリスリトー
ルと相互作用が無く、最終的な多孔体中に孔の存在しな
い相として存在する樹脂を用いることが望ましく、また
添加量は樹脂100重量部に対して100重量部以下が
望ましい。
【0016】さらに本発明で用いる樹脂組成物には、気
孔成形剤及び樹脂の他、必要に応じて、熱安定剤、滑
剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、増粘剤、難燃剤、酸化防
止剤、帯電防止剤、ファイバーなどの強化剤を添加して
も良い。このような添加剤は、多孔体中の総樹脂100
重量部に対して30重量部以下の添加量であることが望
ましい。
【0017】以上のような方法で調製された樹脂組成物
を、冷却後、成形装置を用いて目的の形状に加工する。
成形温度は、用いる樹脂の種類や、樹脂と気孔成形剤の
混合比率、あるいは用いる成形方法の違いによって、そ
の好適範囲が変化するが、気孔成形剤としてペンタエリ
スリトールを用いた場合、ペンタエリスリトールが昇華
性であることを踏まえると、210℃以下が好ましい。
また、成形温度の下限は、樹脂と混合された状態でのペ
ンタエリスリトールの2次相転移温度になる。
【0018】樹脂組成物を成形する方法としては、射出
成形、押出成形、ブロウ成形、カレンダー成形などが挙
げられるが、生産性や加工の容易さを鑑みて射出成形、
押出成形が好ましく用いられる。
【0019】以上のようにして作成した成形体を溶媒に
浸漬して洗浄することによりペンタエリスリトールを抽
出し多孔体を得る。ここで用いられる溶媒としては、水
が好ましい。
【0020】本発明の製造方法で得られた多孔体の用途
としては特に限定するものではないが、得られる多孔体
の孔径が0.1−10μmと非常に小さくまた孔径分布
も均一であることから排水などの浄化用分離膜として利
用可能である。また、水との親和性の高さを利用して吸
湿剤や保湿剤、あるいはインクの受像体として利用する
ことも出来る。
【0021】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらにより限定されるものではな
い。
【0022】実施例1〜3、比較例1〜3 表1に示す組成の樹脂と気孔形成剤とからなる樹脂組成
物を、ブラベンダー(東洋精機製ラボプラストミル)に
より設定温度185℃で5分間溶融混錬した後、一旦室
温まで冷却し、その後プレス機にて190℃、200k
g/m、3分間の条件で、厚さ2mmの板状に成形し
た。プレスした成形品を速やかに30℃、200kg/
、3分間の条件で冷却した。得られた成形品を60
℃の湯水中に浸漬し、仕込んだ気孔形成剤の重量の95
%相当の重量減少が確認できるまでそのまま放置し、多
孔体を得た。なお、用いた各成分の詳細は以下のとおり
である。 樹脂−1:エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EP
−L101B、エチレン含量19.8質量%、クラレ
製) 樹脂−2:エチレンビニルアルコール共重合樹脂(ES
−H101B、エチレン含量28.1質量%、クラレ
製) 樹脂−3:スチレンブタジエンブロック共重合樹脂(K
K38、スチレン含量70wt%、フィリップス石油
製) 樹脂−4:ポリプロピレン樹脂(F219D、グランド
ポリマー社製) 気孔形成剤−1:ペンタエリスリトール(三井化学製) 気孔形成剤−2:エリスリトール(三菱化学フーズ製)
【0023】得られた多孔体について、下記方法によ
り、ペンタエリスリトールの2次相転移温度及び多孔体
の孔径を測定し、評価した。 (1)熱分析(樹脂組成物中のペンタエリスリトールの
2次相転移温度) 示差走査熱量測定装置(DSC:島津製作所製DSC6
00E)を用いた。予めブラベンダー(東洋精機製ラボ
プラストミル)を用いて185℃で5分間混連すること
に得られたサンプルを装置に供し、一旦200℃まで加
熱して5分間放置後、JIS K7121に準拠する降
温速度10K/分で、組成物の結晶化もしくは2次相転
移に伴う発熱ピークのピークトップ位置から温度を読み
取りTを得た。ペンタエリスリトール単独での2次相転
移温度は同様の操作をペンタエリスリトール単独に対し
て行うことにより得た。 (2)多孔体の孔径測定 走査型電子顕微鏡(SEM:日本電子製)を用いた。1
00−10000倍で撮影された多孔体断面の写真から
無作為に選んだ100個の孔の面積を測定し、円換算の
直径により孔径を得た。このとき、平均孔径を算出する
ともに未溶解の気孔形成剤に起因する円換算孔径50μ
mを超える巨大な孔の存在を確認した。
【0024】
【表1】
【0025】実施例1〜3の多孔体では、いずれも円換
算孔径50μmを超える巨大な孔の存在は認められず、
また平均孔径も0.1〜10μmの非常に均一で微細な
孔を有する、優れた結果が得られた。参考のため、図1
に実施例1で得られた多孔体の断面のSEM写真を示
す。実施例1〜3の多孔体は、平均孔径は0.1〜3μ
mで±50%の孔径均一性を有する。また、これら多孔
体が得られる場合の、気孔形成剤を取り除く前の樹脂組
成物において、ペンタエリスリトールの固体−固体相転
移温度の低温側へのシフト量(187−T)℃は5℃を
超えており、本発明で定義する樹脂組成物を構成するペ
ンタエリスリトールと樹脂とが分子単位での一相状態で
あり、すなわちこの条件ではペンタエリスリトールは樹
脂に良好に溶解していることが分かる。
【0026】比較例1〜2の処方では、ペンタエリスリ
トールの2次相転移温度に全く低下が見られず、得られ
た多孔体の平均孔径も50μmを越える非常に大きなも
のであった。参考のため、図2に比較例2で得られた多
孔体の断面のSEM写真を示す。また、比較例3の処方
では、樹脂と気孔形成剤を均一に分散させることが不可
能であり、評価用の多孔体を得ることが出来なかった。
【0027】
【発明の効果】以上ように、本発明は、多孔体の製造に
おいて、樹脂に対して高い相互作用を持ち、高温で樹脂
と一相状態を作るが、混錬時に相溶状態になるまでは柔
粘性結晶化合物として混連されるに十分な粘度を保つこ
とができる柔粘性結晶化合物と、該柔粘性結晶化合物に
対して相互作用の高い樹脂の組み合わせを用いることに
より、分子レベルでの均一な分散状態を混錬時に達成す
ることができる。高温で一相状態にある柔粘性結晶化合
物と特定の樹脂との混合物を冷却することにより、任意
の温度で均一な分散構造が得られ、最終的に組成物から
柔粘性結晶化合物を除去することにより、元々の柔粘性
結晶化合物の結晶サイズに依存せず、非常に小さくまた
孔径分布も均一な孔径を有する多孔体を得ることがで
き、得られた多孔体は排水などの浄化用分離膜や、吸湿
剤や保湿剤、あるいはインクの受像体などとして好適に
使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた多孔体断面の走査型電子顕
微鏡写真である。
【図2】比較例2で得られた多孔体断面の走査型電子顕
微鏡写真である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂と気孔形成剤とからなる樹脂組成物
    を、該樹脂の溶融温度以上で溶融成形した後に、該気孔
    形成剤を溶媒などで除去する溶融成形溶媒抽出法による
    多孔体製造法であって、該気孔形成剤として柔粘性結晶
    化合物を用い、該樹脂組成物を構成する柔粘性結晶化合
    物と樹脂とが分子単位での一相状態となり得る組み合わ
    せを用いることを特徴とする多孔体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記柔粘性結晶化合物がペンタエリスリ
    トールであることを特徴とする請求項1記載の多孔体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記樹脂がエチレンビニルアルコール共
    重合樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の
    多孔体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記樹脂組成物中に含まれる柔粘性結晶
    化合物の含有量が30質量%〜60質量%であり、前記
    エチレンビニルアルコール共重合樹脂に含まれるエチレ
    ン含量が10質量%〜40質量%であることを特徴とす
    る請求項3記載の多孔体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
    製造方法により得られることを特徴とする多孔体。
  6. 【請求項6】 前記多孔体の平均孔径が0.1〜10μ
    mで±50%の孔径均一性を有することを特徴とする請
    求項5記載の多孔体。
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