JP6384128B2 - ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルム及びその製造方法、並びに該多孔性フィルムを用いた電池用セパレータ及び電池に関する。
多数の微細連通孔を有する高分子多孔性フィルムは、超純水の製造、薬液の精製及び水処理などに使用する分離膜、並びに衣類、包装用品及び衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、並びに電池及びキャパシタなどに使用するセパレータ、並びに医療用品など各種分野で利用されている。
高分子多孔性フィルムの中でも、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、安価で低比重で環境負荷が小さいという点で優れている。その一方、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、素材であるポリオレフィン系樹脂の表面張力が低いために濡れ性が悪く、その結果、水や薬液を浸透させるために高い圧力を要していた。このため、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムには親水化処理を施す必要があった。
親水化処理としては、コロナ処理やプラズマ処理が知られている。しかし、これらの処理は、多孔膜の内部まで処理することは困難であるとともに、処理時のスパークや熱により多孔構造を破壊してしまう恐れがある。
一方、界面活性剤の塗布によっても親水性を賦与することができるが、界面活性剤の流出により恒久的に親水性を維持することが難しいという問題があった。
そこで、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムを工業的に親水化する方法として、以下に示すような種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1ではポリオレフィン多孔膜にアクリル酸のような親水性モノマーを電子線照射によりグラフト重合してなる親水性多孔膜が提案されている。しかし、特許文献1では、電子線の照射源が必要となる上、電子線照射により多孔膜の強度が低下するという問題があった。
一方、ポリオレフィン系樹脂をスルホン化することにより親水化する技術が特許文献2や特許文献3に提案されている。しかし、ポリオレフィンのスルホン化は反応性が低いため、熱濃硫酸への浸漬や、三酸化硫黄ガス中での処理などの苛烈な条件でスルホン化を行なう必要があり、その結果、多孔構造の変質や、腐食性ガスの漏出などの問題がある。
他方、多孔膜に芳香族ポリマーを担持させた後にスルホン化する方法が、特許文献4により提案されている。しかし、該手法は空孔率の高い多孔膜に限られ、空孔率が70%以下であるような多孔膜に対しては、芳香族ポリマーの被覆により空孔が閉塞し連通性が失われ、透気性が低下するという問題があった。
特開平11−106552号公報 特公平7−32008号公報 特開2001−294706号公報 特開2007−115446号公報
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、透気性及び親水性に優れた多孔性フィルム、並びにそれを用いた電池用セパレータ、電池を提供することを目的とする。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系エラストマーを含有する樹脂組成物を原料とし、該樹脂組成物から多孔性フィルムを形成し、かつスチレン系エラストマーをスルホン化することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させることに至った。
即ち、本発明は、以下の[1]〜[]の発明を提供する。
[1]ポリオレフィン系樹脂(A)を主成分として含有する樹脂組成物から形成されてなる多孔性フィルムの製造方法であって、前記樹脂組成物はさらに5〜45質量%のスチレン系エラストマー(B)を含有してなり、かつ前記スチレン系エラストマー(B)は前記多孔性フィルム中で、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の2−プロパノール溶液によりスルホン化されることを特徴とする、スルホン化されてなるポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
[2]前記樹脂組成物中において、前記スチレン系エラストマー(B)がドメイン状態で前記ポリオレフィン系樹脂(A)に分散されてなる上記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
[3]前記スチレン系エラストマー(B)が、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体からなる群の中から選ばれる1種類以上である上記[1]または[2]に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
[4]前記樹脂組成物がさらに結晶核剤(C)を含有する上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
[5]前記樹脂組成物中に前記結晶核剤(C)を0.001〜5.0質量%含有してなる上記[4]に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
[6]空孔率が70%以下である上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
[7]25℃での透気度が10000秒/100ml以下である上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
]以下の(1)及び(2)の工程を有し、かつ以下の(3a)〜(3c)の何れかの一以上の工程を有するポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法。
(1)主成分であるポリオレフィン系樹脂(A)と、5〜45質量%のスチレン系エラストマー(B)とを含有する樹脂組成物から無孔膜状物を得る工程。
(2)無孔膜状物を延伸して多孔性フィルムを得る工程。
(3a)工程(1)と工程(2)との間に、工程(1)で得た無孔膜状物に、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の2−プロパノール溶液であるスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
(3b)工程(2)で無孔膜状物を延伸する過程中に、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の2−プロパノール溶液であるスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
(3c)工程(2)の後に、工程(2)で得た多孔性フィルムに、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の2−プロパノール溶液であるスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、透気性及び親水性を良好にすることができる。かかる本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、超純水の製造、薬液の精製及び水処理などに使用する分離膜、並びに衣類、包装用品及び衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、並びに電池及びキャパシタなどに使用するセパレータなどに利用できる点で有用である。
<ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルム>
本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂(A)を主成分として含有する樹脂組成物から形成されてなる多孔性フィルムであって、前記樹脂組成物はさらに5〜45質量%のスチレン系エラストマー(B)を含有してなり、かつ前記スチレン系エラストマー(B)は前記多孔性フィルム中でスルホン化されてなるものである。
(ポリオレフィン系樹脂(A))
樹脂組成物の主成分であるポリオレフィン系樹脂(A)としては、ホモポリエチレン(エチレン単独重合体)、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα−オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び機械的強度の観点から、ホモポリプロピレンが好適に使用される。特に、本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムを電池用セパレータに用いる場合には、ポリオレフィン系樹脂(A)としてホモポリプロピレンを用いることが有用である。
なお、主成分とは、樹脂組成物の50質量%以上であることを意味する。
また、ホモポリプロピレンは、立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率が80〜99%であることが好ましく、より好ましくは83〜98%、更に好ましくは85〜97%である。アイソタクチックペンタッド分率を80%以上とすることにより、多孔性フィルムの機械的強度の低下を抑制することができる。一方、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合においてはこの限りではない。
アイソタクチックペンタッド分率とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素―炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et at al.(Macromol.8,687(1975)に準拠している。
また、ポリオレフィン系樹脂(A)は、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが1.5〜10.0であることが好ましい。より好ましくは2.0〜8.0、更に好ましくは2.0〜6.0である。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnを1.5以上とすることで、十分な押出成形性が得られ、工業的に大量生産が可能である。一方、Mw/Mnを10.0以下とすることで、十分な機械的強度を確保することができる。Mw(重量平均分子量)及びMn(数平均分子量)は、GPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィー)法により測定されるポリスチレン換算のMw及びMnである。
また、ポリオレフィン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFRは0.5〜15g/10分であることが好ましく、1.0〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分以上とすることで、成形加工時において十分な溶融粘度を有し、高い生産性を確保することができる。一方、MFRが15g/10分以下とすることで、多孔性フィルムの強度を十分に有することができる。
なお、本発明において、ポリオレフィン系樹脂(A)及び後述のスチレン系エラストマー(B)のMFRは、JIS K7210に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。
ポリオレフィン系樹脂(A)としては、例えば、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」(日本ポリプロ社製)、「ノバテックHD」「ノバテックLD」「ノバテックLL」「カーネル」「ハーモレックス」(日本ポリエチレン社製)、「バーシファイ」「ノティオ」「タフマーXR」(三井化学社製)、「ゼラス」「サーモラン」(三菱化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」(住友化学社製)、「ハイゼックス」「ネオゼックス」「プライム TPO」(プライムポリマー社製)、「Adflex」「Adsyl」「HMS−PP(PF814)」(サンアロマー社製)、「インスパイア」(ダウケミカル)など市販されている商品を使用できる。
(スチレン系エラストマー(B))
本発明においては、樹脂組成物中に、ポリオレフィン系樹脂(A)とともに、スチレン系エラストマー(B)を添加することが重要である。スチレン系エラストマー(B)を添加することにより、効率的に微細で均一性の高い多孔構造を得ることができるとともに、スチレン成分が芳香族求電子置換反応を受けることにより容易にスルホン化されることで親水化が進行し易くなる。
スチレン系エラストマー(B)のスルホン化については、本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法の項において詳述する。
樹脂組成物中においては、ポリオレフィン系樹脂(A)をマトリックスとして、該マトリックスにスチレン系エラストマー(B)がドメイン状態で分散されてなることが好ましい。該構成とすることにより、樹脂組成物をフィルム化する際に、フィルムを多孔化しやすくできる。
本発明におけるスチレン系エラストマー(B)とは、スチレン成分を基材とした熱可塑性エラストマーの1種で、軟質成分(例えばブタジエン成分)と硬質成分(例えばスチレン成分)との連続体からなる共重合体である。
また、前記共重合体の種類について、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。一般にブロック共重合体としては、線状ブロック構造や放射状枝分れブロック構造等種々のものが知られている。本発明においてはいずれの構造のものを用いてもよい。
スチレン系エラストマー(B)のメルトフローレート(MFR)は、0〜10g/10分であることが好ましく、0.01〜5g/10分であることがより好ましく、0.1〜1g/10分であることがより好ましい。また、スチレン系エラストマー(B)のMFRは、ポリオレフィン系樹脂(A)のMFRよりも小さいことが好ましい。
樹脂組成物中に分散したスチレン系エラストマー(B)は、ポリオレフィン系樹脂(A)との粘度差によってその形状が変化するが、MFRが前記範囲内であれば、スチレン系エラストマー(B)の形状が球状になりやすい。そして、マトリックス(ポリオレフィン系樹脂(A))に球状分散したドメイン(スチレン系エラストマー(B))は、アスペクト比が大きなドメインとは異なり、その後の延伸工程によって得られる多孔構造の均一性が高くなり易く、物性安定性に優れるので好ましい。さらに、MFRを上記範囲内としてドメイン構造を形成することにより、延伸工程時において、高い弾性率を有するマトリックス(ポリオレフィン系樹脂(A))と、低い弾性率を有するドメイン(スチレン系エラストマー(B))との界面部分に応力が集中しやすくなるため、開孔起点が生じやすく、多孔化しやすくできる。
一方、MFRが10g/10分を超える場合、樹脂組成物中のスチレン系エラストマー(B)の分散形状が球状でなくなり、延伸時に多孔化しにくくなるため、好ましくない。
スチレン系エラストマー(B)は、スチレン含有量が5〜40質量%であることが好ましく、10〜35質量%であることがより好ましい。スチレン系エラストマー(B)中のスチレン含有量が5質量%以上であることにより、樹脂組成物中に効果的にドメインを形成することができ、スチレン含有量が40質量%以下であることにより、過度に大きなドメインが形成されることを抑制できる。
スチレン系エラストマー(B)の具体的な種類については特に限定しないが、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIR)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)などが挙げられる。
これらの中でも、エチレン成分、ブチレン成分が含有されているものは、ポリプロピレン系樹脂(A)との相溶性が高く、樹脂組成物中に効率的にスチレン系エラストマー(B)を分散させることができる点で好ましい。該好適なスチレン系エラストマー(B)としては、具体的には、SEP、SEPS、SEBSが挙げられる。
(組成比)
樹脂組成物中におけるスチレン系エラストマー(B)の含有割合は5〜45質量%である。スチレン系エラストマー(B)の含有割合が5質量%未満であると、延伸による多孔化が生じ難くなり、透気性が不十分となるとともに、スルホン化される割合が少なくなり、親水化の効果が薄くなる。一方、スチレン系エラストマー(B)が45質量%を超えると、樹脂組成物中のスチレン系エラストマー(B)同士が凝集を生じやすくなり、均質な孔径を得ることが困難となる。
また、樹脂組成物中におけるポリオレフィン系樹脂(A)及びスチレン系エラストマー(B)の含有割合は、ポリオレフィン系樹脂(A)が55〜95質量%、スチレン系エラストマー(B)が5〜45質量%であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂(A)が60〜80質量%、スチレン系エラストマー(B)が20〜40質量%であることがより好ましい。
なお、本発明において、樹脂組成物中における含有割合とは、樹脂組成物の全固形分(溶媒等の非固形分を除いた成分)における含有割合を意味する。
(結晶核剤(C))
本発明では、樹脂組成物中にさらに結晶核剤(C)を含有することが好ましい。樹脂組成物中に結晶核剤(C)を含有することにより、ポリオレフィン系樹脂(A)の緻密な球晶を得ることができるようになる。そうすると延伸工程時において、ポリオレフィン系樹脂(A)のうちの緻密に結晶化した部分と、ポリオレフィン系樹脂(A)のうちの非晶部分との間で開孔が生じやすくなり、より一層均質微細な多孔構造を得やすくできる。
ポリオレフィン系樹脂(A)(中でもポリプロピレン系樹脂)の緻密な結晶構造を得るために用いる結晶核剤(C)としては、α晶核剤又はβ晶核剤が好ましい。α晶核剤を添加することによって得られるポリオレフィン系樹脂(A)(中でもポリプロピレン系樹脂)の球晶サイズは微細なものとなる。そのため、延伸工程時に得られる多孔構造は均一性が高くなる。また、β晶核剤を添加することで、上述した作用だけでなく、生成されるβ晶の延伸工程でのα晶への転位によるクレーズ形成も可能となる。このクレーズをさらに延伸により拡大させることで、良好な透気性能を得ることができるようになる。
α晶核剤としては、例えば、タルク、ミョウバン、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、カーボンブラック、粘土鉱物などの無機化合物;
マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの脂肪族モノカルボン酸を除くカルボン酸;
前記非脂肪族モノカルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどの正塩または塩基性塩;
1・2,3・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン-2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−(2'・4'−ジメチルベンジリデン)−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−(2'・4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、および1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトールなどのジベンジリデンソルビトール系化合物;
リチウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−ビス(4−クミルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−クミルフェニル)フォスフェート、カリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−モノ(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム−モノ(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ジンク−モノ(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ジンク−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムヒドロキシ−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-トリス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン-ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4'−ジメチル−6,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ジンク−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[(4,4'−ジメチル−6,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロキシ−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムヒロドオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムヒロドオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、チタンジヒドロキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、チンジヒドロキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ジルコニウムオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロキシ−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムヒドロキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロキシ−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムヒドロキシ−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]などのアリールフォスフェート系化合物;
前記アリールフォスフェート系化合物の内、環状多価金属アリールフォスフェート系化合物と酢酸、乳酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、モンタン酸、メリシン酸、ステアロイル乳酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピオン酸などの脂肪酸族モノカルボン酸のリチウム、ナトリウムまたはカリウム塩など脂肪酸モノカルボン酸アルカリ金属塩、もしくは塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレートとの混合物;
ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−エチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ヘキセン、ポリ4,4−ジメチル−1−ペンテン、ポリ4、4−ジメチル−1−ヘキセン、ポリ4−エチル−1−ヘキセン、ポリ3−エチル−1−ヘキセン、ポリアリルナフタレン、ポリアリルノルボルナン、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリアリルベンゼン、ポリアリルトルエン、ポリビニルシクロペンタン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペプタン、ポリビニルトリメチルシラン、ポリアリルトリメチルシランなどの高分子化合物、などが挙げられる。
市販されているα晶核剤の具体例としては、新日本理化社製「ゲルオールD」シリーズ、「ゲルオールMD」シリーズ、ADEKA社製「NA」シリーズ、ミリケンケミカル社製「Millad」シリーズ、「Hyperform」シリーズ、BASF社製「IRGACLEAR」シリーズなどが挙げられる。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと、周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。
市販されているβ晶核剤の具体例としては、新日本理化社製β晶核剤「エヌジェスターNU−100」、β晶核剤の添加されたポリプロピレン系樹脂の具体例としては、Aristech社製ポリプロピレン「Bepol B−022SP」、Borealis社製ポリプロピレン「Beta(β)−PP BE60−7032」、mayzo社製ポリプロピレン「BNX BETAPP−LN」などが挙げられる。
これらの結晶核剤の含有割合は、樹脂組成物中の0.001〜5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜2.5質量%であり、さらに好ましくは0.05〜1.0質量%である。
(その他の成分)
本発明では、ポリオレフィン系樹脂(A)及びスチレン系エラストマー(B)を含有し、さらに必要に応じて結晶核剤(C)を含有する樹脂組成物からポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムを形成することが可能である。そのため、樹脂組成物中には、ポリオレフィン系樹脂(A)、スチレン系エラストマー(B)、及び結晶核剤(C)以外のその他の成分を少なくすることが好ましい。具体的には、樹脂組成物中におけるその他の成分の含有割合は2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましい。
その他の成分としては、マット剤、フィラー、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃剤などの添加剤、ポリオレフィン系樹脂(A)及びスチレン系エラストマー(B)以外の樹脂が挙げられる。
(ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの物性等)
本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、上述したポリオレフィン系樹脂(A)及びスチレン系エラストマー(B)を含有する樹脂組成物から形成することができる。樹脂組成物からポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムを形成する手段は、本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの項において詳述する。
[厚み]
ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの厚みは、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。一方で下限として、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましい。電池用セパレータとして使用する場合、厚みが200μm以下であれば、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの電気抵抗が小さくできるので電池の性能を十分に確保することができる。また、厚みが5μm以上あれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば大きな電圧がかかった場合にも短絡しにくく安全性に優れる。
[25℃での透気度]
ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、25℃での透気度が10000秒/100ml以下であることが好ましく、より好ましくは5000秒/100ml以下、さらに好ましくは1000秒/100ml以下である。電池用セパレータとして使用する場合、25℃での透気度が10000秒/100ml以下とすることによって、室温下で十分な電気抵抗を有することができ、優れた電池性能を有することができる。
透気度は多孔性フィルムの厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mlの空気が当該多孔性フィルムを通過するのに必要な秒数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方が多孔性フィルムの厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方が当該多孔性フィルムの厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とは多孔性フィルムの厚み方向の孔のつながり度合いである。
[空孔率]
空孔率は多孔構造を規定するための重要なファクターであって、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルム中の空間部分の割合を示す数値である。本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムにおいては、空孔率が30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上である。空孔率が30%以上であれば、連通性を十分に確保し透気性に優れたポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムとすることができる。空孔率の上限については特に定めないが、本発明では、ポリオレフィン系樹脂(A)及びスチレン系エラストマー(B)を含有する樹脂組成物から多孔性フィルムを形成してなることから、特許文献4の方法では困難であると考えられる空孔率70%以下の多孔性フィルムを製造することができる。
[濡れ性]
本発明の効果として、水や電解液に対して濡れ性が向上することが重要である。濡れ性については、接触角測定、濡れ試薬、含水率等の測定法が挙げられるが、本発明に関しては、多孔膜の内部までの浸透性が確認できる点と、評価が簡便であるという点から濡れ試薬を用いる評価が好ましい。評価法については後述する。
ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの濡れ性は、40dyne/cm以上が好ましく、42dyne/cm以上がより好ましい。濡れ性が40dyne/cm以上あることで、大気圧下で水や電解液の多孔膜への自発的浸透が速やかに進行するという効果がある。上限としては75dyne/cm以下が好ましく、72dyne/cm以下がより好ましい。75dyne/cm以下であることで、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの吸湿性が抑えられるという効果がある。
本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、コロナ処理、プラズマ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面加工、さらにはミシン目加工などを施してもよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、連通性を維持しつつ、親水性が良好であることから、超純水の製造、薬液の精製及び水処理などに使用する分離膜、並びに衣類、包装用品及び衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、並びに電池及びキャパシタなどに使用するセパレータ、並びに医療用品等として好適に利用できる。特に、本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは電池用セパレータとして好適に用いられる。
<電池用セパレータ、電池>
本発明の電池用セパレータは、上述した本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムからなるものである。本発明の電池用セパレータは、安価であり、また、低比重で環境負荷が小さく、さらに、電解液の浸透性に優れるものである。
また、本発明の電池は、正極と負極との間のセパレータとして、本発明の電池用セパレータを用いてなるものである。本発明の電池は、安価であり、また、低比重で環境負荷が小さく、さらに、電解液の浸透性に優れるものである。
<ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法>
本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法は、以下の(1)及び(2)の工程を有し、かつ以下の(3a)〜(3c)の何れかの一以上の工程を有するものである。
(1)主成分であるポリオレフィン系樹脂(A)と、5〜45質量%のスチレン系エラストマー(B)とを含有する樹脂組成物から無孔膜状物を得る工程。
(2)無孔膜状物を延伸して多孔性フィルムを得る工程。
(3a)工程(1)と工程(2)との間に、工程(1)で得た無孔膜状物にスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
(3b)工程(2)で無孔膜状物を延伸する過程中にスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
(3c)工程(2)の後に、工程(2)で得た多孔性フィルムにスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
[工程(1)]
工程(1)では、主成分であるポリオレフィン系樹脂(A)と、5〜45質量%のスチレン系エラストマー(B)とを含有する樹脂組成物から無孔膜状物を作製する。
樹脂組成物は、上述した本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムで用いる樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
無孔膜状物は、例えば、ポリオレフィン系樹脂(A)及びスチレン系エラストマー(B)を含有する樹脂組成物の融点以上、分解温度未満の温度条件下で、該樹脂組成物を溶融し、成形することによって得ることができる。無孔膜状物の成形方法としては、Tダイ成形、インフレーション成形等が挙げられ、本発明においては、Tダイ成形を用いることが好ましい。
また、工程(1)では、Tダイ成形、インフレーション成形等の成形機のキャストロールの温度を100℃以上とすることが好ましく、110℃以上とすることがより好ましく、120℃以上とすることがさらに好ましい。キャストロールの温度を100℃以上とすることでポリオレフィン系樹脂(A)の結晶化度を高めることができ、その結果、延伸工程時に、ポリオレフィン系樹脂(A)の結晶部分と非晶部分との間で開孔が生じ、透気性を良好にしやすくできる。
[工程(2)]
工程(2)では得られた無孔膜状物を延伸して多孔性フィルムを作製する。延伸は、一軸延伸または二軸延伸が挙げられる。一軸延伸は縦一軸延伸であってもよいし、横一軸延伸であってもよい。二軸延伸は同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。これらの中でも逐次二軸延伸は、各延伸工程で延伸条件を選択でき、多孔構造を制御し易いため、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの透気性能を高くしやすい点で好適である。また、逐次二軸延伸は、機械強度や収縮率など他の諸物性とのバランスがとりやすい点でも好適である。
なお、膜状物の流れ方向(MD)への延伸を「縦延伸」といい、流れ方向に対して垂直方向(TD)への延伸を「横延伸」という。
縦延伸温度は、好ましくは0〜50℃であり、より好ましくは5〜40℃である。縦延伸温度を50℃以下とすることで、延伸工程時において、高い弾性率を有するマトリックス(ポリオレフィン系樹脂(A))と、低い弾性率を有するドメイン(スチレン系エラストマー(B))との界面部分に応力が集中しやすくなり、ボイド形成に伴う白化が進行するため好ましい。一方、縦延伸温度を0℃以上とすることで、延伸工程時の破断を抑制できるため好ましい。
縦延伸倍率は、任意に選択できるが、延伸倍率は1.1〜10倍が好ましく、より好ましくは1.5〜8.0倍であり、さらに好ましくは1.5〜4.0倍である。延伸倍率を1.1倍以上とすることで白化が進行して、延伸による多孔化が十分起こっていることを示唆している。また、10倍以下とすることで、空孔の変形が抑制され、十分に白化した多孔性フィルムを得ることができる。
横延伸温度は、好ましくは100〜160℃であり、より好ましくは110〜150℃である。延伸温度を160℃以下とすることで、ポリオレフィン系樹脂(A)が溶融して、縦延伸時に生じた空孔を潰してしまうことを防止できる。一方、延伸温度を100℃以上とすることにより、延伸時の破断を防止しやすくできる。
横延伸倍率は、任意に選択できるが、好ましくは1.1〜10倍であり、より好ましくは1.5〜8.0倍、さらに好ましくは1.5〜4.0倍である。規定した横延伸倍率で延伸することによって、縦延伸時に生じた空孔を変形することなく、十分な透気性を付与することができる。
[工程(3a)〜(3c)]
本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法は、さらに以下の(3a)〜(3c)の何れかの一以上の工程を有するものである。
(3a)工程(1)と工程(2)との間に、工程(1)で得た無孔膜状物にスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
(3b)工程(2)で無孔膜状物を延伸する過程中にスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
(3c)工程(2)の後に、工程(2)で得た多孔性フィルムにスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
工程(3a)〜(3c)は、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程である。工程(3a)〜(3c)は、2つ行ってもよいし、3つとも行ってもよいが、作業性の観点から、工程(3a)〜(3c)のうちの何れか一つのみを行うことが好ましい。また、工程(3a)〜(3c)の中では、延伸時の熱を有効に利用でき、かつ全体のプロセスを簡便にできる工程(3b)が好適である。
工程(3b)としては、例えば、逐次二軸延伸の場合において、無孔膜状物の一方向の延伸が完了した後、他方向の延伸をする前に、スルホン化剤を付与する手法が挙げられる。
スルホン化処理剤としては、熱濃硫酸、三酸化硫黄ガス(無水硫酸)、クロロスルホン酸などが一般に知られている。しかし、本発明では比較的温和な条件でスルホン化が進行することが明らかとなっており、危険性・環境負荷が低いという観点から、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の溶液をスルホン化剤として用いることが好ましい。該溶液の硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度は20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他薬剤)
スルホン化処理剤として、前述のスルホン化剤以外に界面活性剤を含んでなることが好ましい。界面活性剤を含むことで、親水化処理の均一性が向上するという効果がある。界面活性剤としては、カチオン型、アニオン型、ノニオン型が挙げられるが、硫酸との反応性が低いという点でノニオン型が好ましく、より好ましくはフッ素化されたノニオン型界面活性剤である。
本発明の製造方法により得られたポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、優れた透気性及び親水性を有する。また、本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法では、多孔化するための粒子やフィラーを必要としないため、より軽量な多孔性フィルムを作製することができる。さらに、本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法は、厳密な製造条件の制御を必要とせず、わずかな原料を溶融混練し、得られた樹脂組成物を少なくとも一軸方向に延伸するのみで簡便にかつ効率よく生産することができる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムについてさらに詳しく説明するが、本発明は何ら制限を受けるものではない。
1.評価
実施例および比較例で得られた多孔性フィルムについて、フィルムの厚み(膜厚)、透
気度、空孔率について以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
(1)フィルムの厚み(膜厚)
1/1000mmのダイアルゲージを用いて測定した。
(2)25℃での透気度
25℃の空気雰囲気下にて、JIS P8117に準拠して透気度を測定した。測定にはデジタル型王研式透気度専用機(旭精工社製)を用いた。
(3)空孔率
多孔性フィルムの実質量W1を測定し、樹脂組成物の密度と厚みから空孔率0%の場合の質量W0を計算し、それらの値から下記式に基づき算出した。
空孔率(%)={(W0−W1)/W0}×100
(4)濡れ性
多孔性フィルムに濡れ試薬を滴下し、10秒後に拭き取り、目視で多孔性フィルムへの濡れ試薬の浸透の有無を確認した。なお、濡れ試薬が浸透した場合、白色であった多孔性フィルムが半透明を示すようになる。
浸透が認められる濡れ試薬の濡れ指数の上限値を、多孔性フィルムの濡れ性とした。
2.樹脂組成物の原料
(ポリオレフィン系樹脂)
・A−1;ポリプロピレン(ノバテックFY6HA、日本ポリプロ製、MFR:2.4g/10分、Mw/Mn:3.2)
(熱可塑性エラストマー)
・B−1;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、グレード名;SEPTON1001、スチレン含有量:35質量%、MFR:0.1g/10分、クラレ社製)
・B−2;スチレン系エラストマー(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、グレード名;SEPTON8006、MFR:0.1g/10分、クラレ社製)
・B−3;エチレン―プロピレン系エラストマー(グレード名;タフマーP0480、MFR:1.2g/10分、三井化学社製)
(結晶核剤)
・C−1;β晶核剤(3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)
3.多孔性フィルムの作製
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)70質量%、スチレン系エラストマー(B−1)30質量%を混合して、二軸押出機にて200℃で溶融押出した。リップ開度1mmのTダイで成形を行い、キャストロールに導かれて無孔膜状物を得た。無孔膜状物の厚みは平均100μmであった。
縦延伸機を用いて、20℃に設定したロールと40℃に設定したロールとの間で、ドロー比100%(縦延伸倍率2.0倍)を掛けて、無孔膜状物を低温延伸し、次いで、120℃に設定したロール間において、ドロー比100%(縦延伸倍率2.0倍)を掛けて高温延伸し、縦延伸フィルムを得た。
縦延伸フィルムに対し、下記のスルホン化剤を浸漬し乾燥した後、フィルムテンター設備(京都機械社製)にて、予熱温度150℃、予熱時間12秒間で予熱し、その後、延伸温度150℃で横方向に2.0倍延伸し、その後、153℃で熱処理を行い、二軸延伸フィルム(ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルム)を得た。
<スルホン化剤組成>
・90%硫酸(ナカライテスク社製) :10質量部
・2−プロパノール(ナカライテスク社製):90質量部
・フッ素系ノニオン界面活性剤
(DIC社製:メガファックF−444):0.2質量部
(実施例2)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)69.9質量%、スチレン系エラストマー(B−1)30質量%に加え、結晶核剤(C−1)0.1質量%を混合した以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸多孔性フィルムを得た。
(実施例3)
スチレン系エラストマー(B−1)に代え、スチレン系エラストマー(B−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸多孔性フィルムを得た。
(比較例1)
熱可塑性エラストマーを加えず、ポリプロピレン系樹脂(A−1)100質量%のみを用いて溶融押出し、膜状物を得た以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
(比較例2)
スチレン系エラストマー(B−1)に代え、エチレン‐プロピレン系エラストマー(B−2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを得た。
(比較例3)
スルホン化剤に代えて、硫酸を含有しない下記の組成の浸漬剤を用いた以外は、実施例1と同様の方法で横延伸を行い、二軸延伸多孔性フィルムを得た。
<浸漬剤組成>
・2−プロパノール(ナカライテスク社製):100質量部
・フッ素系ノニオン界面活性剤
(DIC社製:メガファックF−444):0.2質量部
(比較例4)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)99.8質量%、結晶核剤(C−1)0.2質量%を混合した混合し、二軸押出機にて200℃で溶融押出した。リップ開度1mmのTダイで成形を行い、キャストロールに導かれて膜状物を得た。膜状物の厚みは平均100μmであった。
縦延伸機を用いて、105℃に設定したロール間において、ドロー比65%を掛けて、膜状物の高温延伸を3段行った(縦延伸倍率4.5倍)。縦延伸後の工程は実施例1と同様にして、スルホン化剤に浸漬し、横延伸を行なった。
Figure 0006384128
実施例1〜3のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、ポリオレフィン系樹脂(A)及びスチレン系エラストマー(B)を含有する樹脂組成物から形成されてなるものであり、かつスチレン系エラストマー(B)が多孔性フィルム中でスルホン化されてなることから、良好な親水性と透気性能を有するものであった。
一方、比較例1、2はスチレン系エラストマーを含有しないため、多孔膜とならず、透気性を有するフィルムを得られなかった。比較例3では浸漬薬剤が硫酸を含まないため、スルホン化が起こらず、十分な親水性を発揮できなかった。比較例4では、スチレン系エラストマーを含有しないため、スルホン化が進行しにくいため、充分な親水性を発揮できなかった。
本発明のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムは、連通性を維持しつつ、親水性が良好であることから、超純水の製造、薬液の精製及び水処理などに使用する分離膜、並びに衣類、包装用品及び衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、並びに電池及びキャパシタなどに使用するセパレータ、並びに医療用品、光拡散反射シートなどとして幅広く利用が期待できる。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)を主成分として含有する樹脂組成物から形成されてなる多孔性フィルムの製造方法であって、前記樹脂組成物はさらに5〜45質量%のスチレン系エラストマー(B)を含有してなり、かつ前記スチレン系エラストマー(B)は前記多孔性フィルム中で、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の2−プロパノール溶液によりスルホン化されることを特徴とする、ポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
  2. 前記樹脂組成物中において、前記スチレン系エラストマー(B)がドメイン状態で前記ポリオレフィン系樹脂(A)に分散されてなる請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
  3. 前記スチレン系エラストマー(B)が、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体及びスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体からなる群の中から選ばれる1種類以上である請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
  4. 前記樹脂組成物がさらに結晶核剤(C)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
  5. 前記樹脂組成物中に前記結晶核剤(C)を0.001〜5.0質量%含有してなる請求項4に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
  6. 空孔率が70%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
  7. 25℃での透気度が10000秒/100ml以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法
  8. 以下の(1)及び(2)の工程を有し、かつ以下の(3a)〜(3c)の何れかの一以上の工程を有するポリオレフィン系樹脂多孔性フィルムの製造方法。
    (1)主成分であるポリオレフィン系樹脂(A)と、5〜45質量%のスチレン系エラストマー(B)とを含有する樹脂組成物から無孔膜状物を得る工程。
    (2)無孔膜状物を延伸して多孔性フィルムを得る工程。
    (3a)工程(1)と工程(2)との間に、工程(1)で得た無孔膜状物に、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の2−プロパノール溶液であるスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
    (3b)工程(2)で無孔膜状物を延伸する過程中に、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の2−プロパノール溶液であるスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
    (3c)工程(2)の後に、工程(2)で得た多孔性フィルムに、硫酸濃度またはクロロスルホン酸濃度が30質量%以下の2−プロパノール溶液であるスルホン化剤を付与し、スチレン系エラストマー(B)をスルホン化する工程。
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