JP2016141786A - ポリプロピレン系樹脂多孔体、並びに、それを用いた電子部材用セパレータ及び電子部材 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂多孔体、並びに、それを用いた電子部材用セパレータ及び電子部材 Download PDF

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Abstract

【課題】均一な多孔構造と高い透気特性を有するポリプロピレン系樹脂多孔体であって、乾式多孔化による高い生産性の下に製造することができるポリプロピレン系樹脂多孔体、及びそれを用いた電子部材用セパレータと電子部材を提供する。【解決手段】ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分とし、重量平均分子量Mwが100,000以上のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上45質量%以下含有する樹脂組成物からなる多孔層を少なくとも一層有し、当該多孔層は少なくとも一軸方向に延伸されることにより多孔化された層であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂多孔体。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂多孔体に関する。より詳細には、包装用、衛生用、畜産用、農業用、建築用、医療用、分離膜、水処理膜、光拡散板、電子部材用セパレータとして利用でき、特に、電子部材用セパレータ、及び、該セパレータを用いてなる電子部材に好適に利用できるポリプロピレン系樹脂多孔体に関する。
本発明はまた、このポリプロピレン系樹脂多孔体を用いた電子部材用セパレータ及び電子部材に関する。
多数の微細連通孔を有する高分子多孔体は、超純水の製造、薬液の精製、水処理などに使用する分離膜、衣類・衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、あるいはキャパシタ、電池、電解コンデンサなどの電子部材に使用するセパレータなど各種の分野で利用されている。
中でも、二次電池はOA、FA、家庭用電器または通信機器等のポータブル機器用電源として幅広く使用されている。特に機器に装備した場合に容積効率がよく機器の小型化および軽量化につながることから、非水電解液二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池を使用したポータブル機器が増加している。
一方、大型の二次電池はロードレベリング、UPS、電気自動車をはじめ、エネルギー/環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められ、大容量、高出力、高電圧および長期保存性に優れている点より、リチウムイオン二次電池の用途が広がっている。
リチウムイオン二次電池の使用電圧は通常4.1Vから4.2Vを上限として設計されている。このような高電圧では水溶液は電気分解を起こすので電解液として使うことができない。そのため、高電圧でも耐えられる電解液として有機溶媒を使用したいわゆる非水電解液が用いられている。非水電解液用溶媒としては、より多くのリチウムイオンを存在させることができる高誘電率有機溶媒が用いられ、該高誘電率有機溶媒としてプロピレンカーボネートやエチレンカーボネート等の有機炭酸エステル化合物が主に使用されている。溶媒中でリチウムイオン源となる支持電解質として、6フッ化リン酸リチウム等の反応性の高い電解質を溶媒中に溶解させて使用している。
一方、リチウムイオンキャパシタや、電気二重層キャパシタなどのキャパシタは、二次電池と比較して1回あたりの充電容量は小さいものの、瞬間充放電特性に優れ、充放電における特性劣化がないため、各種機器の補助電源や回生エネルギーの貯蔵などに適用されており、自動車における電子制御ブレーキ用バックアップ電源やアイドリングストップバックアップ用途等で普及してきている。
電気二重層キャパシタは、化学反応を電気エネルギーに変換する二次電池とは異なり、固体 (電極) と液体 (電解液) の界面に形成される電気二重層を利用し、充放電を行うものである。そのため、電極には、表面積の大きな活性炭が使用される。また、リチウムイオンキャパシタは、正極が電気二重層を形成し物理的な作用で充放電するのに対し、負極では、リチウムの酸化還元反応によって充放電を行う電気二重層とリチウムイオン二次電池の性格を併せ持つキャパシタとなっている。
これらの電子部材には内部短絡の防止の点から、セパレータが正極と負極の間に介在されている。該セパレータにはその役割から当然絶縁性が要求される。また、電解液中のイオンが移動しやすいこと、すなわち低い内部抵抗が要求される。そのため、イオンの通路となる透気性と電解液の拡散・保持機能を付与するため、セパレータとしては多孔構造を有する多孔性フィルムが使用されている。
リチウムイオン二次電池のセパレータとしては、ポリエチレンやポリプロピレンの多孔質膜、ポリエチレンとポリプロピレンを積層した二層膜、ポリプロピレンの間にポリエチレンを挟んだ三層膜などが使用されている。また、アルミ電解コンデンサや電気二重層キャパシタ用のセパレータとしては、ポリオレフィン系の多孔膜や、セルロース繊維や各種合成繊維からなる不織布などが使用されている。
ポリオレフィン系微多孔膜の多孔化手法は、一般に乾式法と湿式法に大別される。乾式法としては、ポリオレフィンに無機粒子などの非相溶粒子を大量添加した未延伸シートを延伸することにより、ポリオレフィンと粒子との界面を剥離させて孔を形成する手法がある。例えば、結晶性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、及び表面処理剤により表面を親水化処理された無機微細粉末の3成分を含む一軸延伸樹脂フィルムが提案されている(特許文献1)。
また、湿式法としては、ポリオレフィンに被抽出物を添加し、混練、賦形した後、溶媒などで被抽出物を抽出し多孔化を行い、場合によっては、抽出前、及び/または後に延伸して孔径を制御する手法がある。例えば、高分子量ポリオレフィン樹脂と飽和型熱可塑性エラストマーと溶媒とを加熱し得られた溶液を、混練・冷却して成形したゲル状シートを圧延して、溶媒を抽出し、次いで、この脱溶媒した圧延フィルムを二軸延伸して得られる多孔質フィルムの製造方法が開示されている(特許文献2、3)。
特開2005−343958号公報 特開2000−219767号公報 特開2010−275539号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているフィルムは、無機微細粉末を多量に含むため、得られるフィルムの比重が大きくなることや無機微細粉末の滑落などの問題があり、各種物性への影響が懸念される。
また、特許文献2、3においては、特定の重量平均分子量を有する超高分子量ポリオレフィン樹脂と、特定のスチレンブロック重量比と、特定の重量平均分子量を有する飽和型熱可塑性エラストマーとからなる多孔質フィルムが合わせて提案されているが、飽和型熱可塑性エラストマーは、超高分子量ポリオレフィン樹脂の可塑剤として機能して、超高分子量ポリオレフィン樹脂溶液の混練り時の粘度を低くすることができるため、超高分子量ポリオレフィン樹脂を高濃度に含むにもかかわらず、超高分子量ポリオレフィン樹脂を均一に混練りすることができ、このような均一な混練り物から均質なゲル状シートを容易に得ることができるとの記載がある。
すなわち、特許文献2、3に開示されている多孔性フィルムは、湿式法を前提とした技術であり、溶媒抽出により、多孔構造形成が形成される。
しかしながら、特許文献2、3のような湿式法では、多量の溶剤を使用し、その他の成分を除去する工程を含むため、溶剤や添加剤の回収のための設備が必要となり、生産性を著しく低下させる。また、湿式法は、乾式法のようにマトリックスの開裂が伴わないため、一般的に突き刺し強度に優れる傾向があるが、捲回を行わずに製造する電子部材などでは、必ずしも高い突き刺し強度が必要とされるわけではない。そのような電子部材では、電子部材の高出力化、低コスト化のため、高い透気特性を有する多孔体を簡便な手法により得られることが強く切望されている。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたもので、均一な多孔構造と高い透気特性を有するポリプロピレン系樹脂多孔体であって、乾式多孔化による高い生産性の下に製造することができるポリプロピレン系樹脂多孔体、及びそれを用いた電子部材用セパレータと電子部材を提供することを目的とする。
本発明者は上記の課題を鑑みて鋭意検討を進めた結果、ポリプロピレン系樹脂を主成分とし、特定の重量平均分子量Mwを有する熱可塑性エラストマーを特定比率含有する樹脂組成物からなる多孔層を少なくとも一層有し、当該多孔層は少なくとも一軸方向に延伸されることにより多孔化された層であるポリプロピレン系樹脂多孔体が、上記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は以下の通りである。
[1] ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分とし、重量平均分子量Mwが100,000以上のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上45質量%以下含有する樹脂組成物からなる多孔層を少なくとも一層有し、当該多孔層は少なくとも一軸方向に延伸されることにより多孔化された層であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂多孔体。
[2] 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が2.0g/10分以下であることを特徴とする[1]に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
[3] 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のスチレン含有量が1質量%以上55質量%以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
[4] 結晶核剤(C)をさらに含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
[5] 前記結晶核剤(C)の含有量が前記ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜5.0質量部であることを特徴とする[4]に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
[6] 突き刺し強度が厚み25μm当たり、100gf以上、400gf未満であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
[7] [1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体を用いてなる電子部材用セパレータ。
[8] [7]に記載の電子部材用セパレータが組み込まれている電子部材。
[9] [7]に記載の電子部材用セパレータが組み込まれているキャパシタ。
[10] [7]に記載の電子部材用セパレータが組み込まれている電池。
[11] [7]に記載の電子部材用セパレータが組み込まれているコンデンサ。
本発明によれば、均一な多孔構造と高い透気特性を有し、特に、電子部材用セパレータとして利用する際に、電子部材の出力特性に優れたポリプロピレン系樹脂多孔体を、高い生産性を持って提供することができる。
走査型電子顕微鏡による、実施例3で作製した多孔フィルムの表面の観察写真である。 走査型電子顕微鏡による、実施例3で作製した多孔フィルムの表面の拡大観察写真である。 走査型電子顕微鏡による、実施例8で作製した多孔フィルムの表面の観察写真である。 走査型電子顕微鏡による、実施例8で作製した多孔フィルムの表面の拡大観察写真である。
以下、本発明の実施形態の一例としてのポリプロピレン系樹脂多孔体(以下、「本多孔体」ともいう)、及び、その製造方法について詳細に説明する。但し、本発明の範囲は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
以下に、本多孔体を構成する各成分について説明する。
<ポリプロピレン系樹脂(A)>
本多孔体を構成する樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分とすることが重要である。ここで主成分とは、本多孔体を構成する樹脂組成物において最も多い質量比率を占める成分であることをいい、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)としては、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、またはプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1―ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンもしくは1−デセンなどα オレフィンとのランダム共重合体またはブロック共重合体などが挙げられる。また、2種以上のポリプロピレン系樹脂をブレンドしてもよい。また、酸無水物等の官能基を修飾したポリプロピレン系樹脂の変性物も用いることができる。この中でも、機械的強度の観点からホモポリプロピレンがより好適に使用される。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)としては、立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率が80〜99%であることが好ましく、より好ましくは83〜98%、更に好ましくは85〜97%であるものを使用する。アイソタクチックペンタッド分率が低すぎると、多孔性フィルムの機械的強度が低下する恐れがある。一方、アイソタクチックペンタッド分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合においてはこの限りではない。アイソタクチックペンタッド分率とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素―炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に位置する立体構造あるいはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et at al.(Macromol.8,687(1975)に準拠している。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)は、分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが1.5〜10.0であることが好ましい。より好ましくは2.0〜8.0、更に好ましくは2.0〜6.0である。Mw/Mnが小さいほど分子量分布が狭いことを意味するが、Mw/Mnが1.5以上とすることで、十分な押出成形性が得られ、工業的に大量生産が可能である。一方、Mw/Mnが10.0以下とすることで、十分な機械的強度を確保することができる。Mw/MnはGPC(ゲルパーエミッションクロマトグラフィー)法によって得られる。
また、ポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常、MFRは0.5〜15g/10分であることが好ましく、1.0〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分以上とすることで、成形加工時において十分な溶融粘度を有し、高い生産性を確保することができる。
一方、MFRが15g/10分以下とすることで、多孔性フィルムの強度を十分に有することができる。なお、MFRはJIS K7210に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定している。
ポリプロピレン系樹脂(A)としては、例えば、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」(日本ポリプロ社製)、「ノティオ」「タフマーPN」「タフマーXM」(三井化学社製)、「ゼラス」「サーモラン」(三菱化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」(住友化学社製)、「プライム TPO」(プライムポリマー社製)、「Adflex」「Adsyl」「HMS−PP(PF814)」(サンアロマー社製)、「バーシファイ」「インスパイア」(ダウケミカル)など市販されている商品を使用できる。
<スチレン系熱可塑性エラストマー(B)>
本多孔体を構成する樹脂組成物は、重量平均分子量Mwが100,000以上のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を含むことが重要である。前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の重量平均分子量Mwは、120,000以上、1,000,000以下が好ましく、150,000以上、800,000以下がより好ましく、200,000以上、600,000以下がさらに好ましい。
また、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwの比(分子量分布)Mw/Mnは、1.00以上、1.50以下が好ましく、1.00以上、1.30以下がより好ましく、1.00以上、1.20以下がさらに好ましい。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の重量平均分子量を、本発明の規定する範囲に選択することが、本発明における最も重要な点である。なぜならば、前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を含む樹脂組成物からなる層を少なくとも一軸方向に延伸して多孔化する際、延伸前の樹脂組成物における前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のモルフォロジーが、良好な多孔体を得るに当たり、重要な因子となる為である。
具体的には、前記ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分としてなるマトリックスに対し、ドメインとして存在する前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)が、粒子状に存在することが重要である。
一般に、マトリックス/ドメインの海島構造を有する樹脂組成物を溶融押出し、冷却固化させる場合、口金、もしくはノズル等の賦形設備より押し出されて流れる樹脂組成物を、キャストロール(冷却ロール)や空冷、水冷等の冷却固化設備により冷却固化する。その際、賦形設備と冷却固化設備の間のギャップ(間隙)において樹脂組成物が溶融伸長するため、ドメインであるスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の重量平均分子量が小さい場合、ドメインが流れ方向(押出方向)に伸長した樹脂組成物が得られる。
このドメインが流れ方向(押出方向)に伸長した樹脂組成物を延伸する際に、変形により付与される応力が樹脂組成物全体に均一に加わりやすくなり、マトリックス/ドメインの界面への応力集中を妨げる。これは、ドメインが予め伸長していることにより、応力を受ける界面の断面積が小さい為である。
一方、ドメインの重量平均分子量が大きい場合、ドメインが溶融伸長の影響を受け難く、得られる延伸前の樹脂組成物内のドメインは粒子状を保ちやすい。そのため、得られた樹脂組成物を延伸する際に、変形により付与される応力がマトリックス/ドメインの界面に集中しやすく、また、応力を受ける界面の断面積も大きくなるため、界面剥離が生じやすく、その結果として均一な多孔構造を形成することが出来る。
また、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の重量平均分子量が100,000よりも小さい場合、得られるポリプロピレン系樹脂多孔体から、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)がブリードアウトしやすいといった問題があるが、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の重量平均分子量が100,000以上の場合、得られるポリプロピレン系樹脂多孔体より、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)がブリードアウトしにくいため、経時劣化しにくいポリプロピレン系樹脂多孔体が得られやすい。
このようなことから、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の重量平均分子量Mwを選択することが重要となる。
また、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwの比(分子量分布)Mw/Mnが、前記好適範囲の場合、形成されるドメインの分散径が均一になりやすいため好ましい。
なお、本発明において、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されたポリスチレン換算の値をさし、具体的には後述の実施例の項に記載される方法で測定、算出される。
また、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)は、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が2.0g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分以下がより好ましく、流動しないことがさらに好ましい。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のMFRが2.0g/10分以下が好ましい理由は、MFRが2.0g/10分以下のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)であれば、延伸前の樹脂組成物における前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のモルフォロジーが、前記ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分としてなるマトリックスに対し、ドメインとして存在する前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)が、粒子状に存在しやすいからである。
一般に、マトリックス/ドメインの海島構造を有する樹脂組成物を溶融押出し、冷却固化させる場合、口金、もしくはノズル等の賦形設備より押し出されて流れる樹脂組成物を、キャストロール(冷却ロール)や空冷、水冷等の冷却固化設備により冷却固化する。その際、賦形設備と冷却固化設備の間のギャップ(間隙)において樹脂組成物が溶融伸長するため、ドメインであるスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の溶融粘度が低い場合、ドメインが流れ方向(押出方向)に伸長した樹脂組成物が得られる。
このドメインが流れ方向(押出方向)に伸長した樹脂組成物を延伸する際に、変形により付与される応力が樹脂組成物全体に均一に加わりやすくなり、マトリックス/ドメインの界面への応力集中を妨げる。これは、ドメインが予め伸長していることにより、応力を受ける界面の断面積が小さい為である。
一方、ドメインの溶融粘度が高い場合、ドメインが溶融伸長の影響を受け難く、得られる延伸前の樹脂組成物内のドメインは粒子状を保ちやすい。そのため、得られた樹脂組成物を延伸する際に、変形により付与される応力がマトリックス/ドメインの界面に集中しやすく、また、応力を受ける界面の断面積も大きくなるため、界面剥離が生じやすく、その結果として均一な多孔構造を形成しやすくなる。そのため、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)として、MFRが前記上限以下のものを選択することが好ましい。
また、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のスチレン含有量が1質量%以上55質量%以下であることが好ましい。前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のスチレン含有量は、2質量%以上、50質量%以下が好ましく、3質量%以上、45質量%以下がより好ましく、5質量%以上、40質量%以下がさらに好ましい。
なお、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のスチレン含有量とは、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を構成する全構成単位(全原料モノマーに由来する構成単位)に占めるスチレンに由来する構成単位の割合であり、核磁気共鳴装置(NMR)による組成分析により求められる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のスチレン含有量が、1質量%以上55質量%以下であることが好ましい理由としては、前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を含む樹脂組成物からなる層を少なくとも一軸方向に延伸して多孔化する際、延伸前の樹脂組成物における前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)との弾性率差が大きくなることにより、良好な多孔体を得られるためである。
具体的には、前記ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分としてなるマトリックスに対し、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)からなるドメインから形成される海島構造を有する樹脂組成物を溶融押出し、冷却固化した後、少なくとも一方向に延伸して、多孔構造を形成する際、マトリックス/ドメインの界面に応力集中させることにより、マトリックス/ドメインの界面にて解離が生じ、多孔の起点となる。しかしながら、ドメインの弾性率が高い場合、マトリックス/ドメイン間の弾性率差が小さくなるため、変形により付与される応力が組成物全体に均一に加わりやすくなり、マトリックス/ドメインの界面への応力集中を妨げる。ドメインであるスチレン系熱可塑性エラストマー(B)に含まれるスチレン含有量は、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の弾性率に大きく寄与するため、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のスチレン含有量が1質量%以上、55質量%以下の場合、得られた樹脂組成物を延伸する際において、変形により付与される応力が、マトリックス/ドメインの界面に応力集中させやすく、界面剥離が生じやすくなり、均一な多孔構造を形成することが出来るため、好ましい。
前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体、及び、これらの変性体や、水添体、側鎖にスチレン構造を有するグラフト共重合体、シェルにスチレン構造を有するコアシェル型多層構造ゴム等が好適に用いることができ、2種以上のブレンド物でもよい。中でも、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレン共重合体などが好ましい。
本多孔体を構成する樹脂組成物中には、上記のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を含有する樹脂組成物において、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有することは、本発明において重要である。
前記樹脂組成物中の前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量が45質量%を超える場合、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の体積に対して、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の体積が大きくなり、形成される樹脂組成物のマトリックスがスチレン系熱可塑性エラストマー(B)となり、多孔構造が形成しにくくなると共に、耐熱性が著しく低下するおそれがある。
また、前記樹脂組成物中の前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量が1質量%未満の場合、前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)との界面における多孔化が形成し難いおそれがある。
そのため、前記樹脂組成物中の前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の含有量は、5質量%以上、43質量%以下が好ましく、10質量%以上、41質量%以下がより好ましく、15質量%以上、39質量%以下がさらに好ましく、20質量%以上、37質量%以下が特に好ましい。
<結晶核剤(C)>
本発明では、ポリプロピレン系樹脂組成物中に結晶核剤(C)を更に含有することが好ましい。結晶核剤(C)を含有することにより、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の結晶化が促進され、結晶構造が緻密に均一化する。それゆえ、延伸前の樹脂組成物における前記プロピレン系樹脂(A)は緻密に均一化した結晶部と、該結晶部間に存在する非晶部とからなり、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)は前記プロピレン系樹脂(A)の非晶部に多く存在する。そのため、延伸により前記ポリプロピレン系樹脂(A)の緻密な結晶部と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)との界面で生じる多孔化は、マトリックスの結晶化に伴う弾性率の向上によって容易になり、かつ、結晶の緻密な均一化によって、得られる多孔構造も緻密で均一な多孔構造を形成しやすくなる。
ポリプロピレン系樹脂(A)の緻密な結晶構造を得るために用いる結晶核剤(C)としては、α晶核剤又はβ晶核剤が好ましい。α晶核剤を含有することによって、得られるポリプロピレン系樹脂(A)の球晶サイズは微細なものとなる。そのため、延伸工程時に得られる多孔構造は均一性が高くなる。また、β晶核剤を含有することで、上述した作用だけでなく、生成されるβ晶の延伸工程でのα晶への転位によるクレーズ形成も可能となる。このクレーズを二軸延伸により拡大させることで、さらに良好な透気性能を得ることができるようになる。
前記結晶核剤(C)の含有量は、前記ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜5.0質量部であることが好ましい。
α晶核剤としては、例えば、タルク、ミョウバン、シリカ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、カーボンブラック、粘土鉱物などの無機化合物;マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの脂肪族モノカルボン酸を除くカルボン酸;前記非脂肪族モノカルボン酸のリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウムなどの正塩または塩基性塩;1・2,3・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン-2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−(2'・4'−ジメチルベンジリデン)−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−(2'・4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3',4'−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、および1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトールなどのジベンジリデンソルビトール系化合物;リチウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−ビス(4−クミルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−ビス(4−クミルフェニル)フォスフェート、カリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−モノ(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム−モノ(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ジンク−モノ(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ジンク−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムヒドロキシ−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-トリス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン-ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム(4,4'−ジメチル−6,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ジンク−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[2,2'−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−チオビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−チオビス(4−t−オクチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム−ビス[(4,4'−ジメチル−6,6'−ジ−t−ブチル−2,2'−ビフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロキシ−2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムヒロドオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムヒロドオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−クミル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、チタンジヒドロキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、チンジヒドロキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ジルコニウムオキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロキシ−2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムヒドロキシ−ビス[2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロキシ−2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムヒドロキシ−ビス[2,2'−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]などのアリールフォスフェート系化合物;前記アリールフォスフェート系化合物の内、環状多価金属アリールフォスフェート系化合物と酢酸、乳酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、ベヘン酸、エルカ酸、モンタン酸、メリシン酸、ステアロイル乳酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−N−ラウロイルアミノプロピオン酸などの脂肪酸族モノカルボン酸のリチウム、ナトリウムまたはカリウム塩など脂肪酸モノカルボン酸アルカリ金属塩、もしくは塩基性アルミニウム・リチウム・ヒドロキシ・カーボネート・ハイドレートとの混合物;ポリ3−メチル−1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−エチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ4−メチル−1−ヘキセン、ポリ4,4−ジメチル−1−ペンテン、ポリ4、4−ジメチル−1−ヘキセン、ポリ4−エチル−1−ヘキセン、ポリ3−エチル−1−ヘキセン、ポリアリルナフタレン、ポリアリルノルボルナン、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリアリルベンゼン、ポリアリルトルエン、ポリビニルシクロペンタン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリビニルシクロペプタン、ポリビニルトリメチルシラン、ポリアリルトリメチルシランなどの高分子化合物、などが挙げられる。
市販されているα晶核剤の具体例としては、新日本理化社製「ゲルオールD」シリーズ、「ゲルオールMD」シリーズ、ADEKA社製「NA」シリーズ、ミリケンケミカル社製「Millad」シリーズ、「Hyperform」シリーズ、BASF社製「IRGACLEAR」シリーズなどが挙げられる。
β晶核剤としては、例えば、アミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはナフタレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分Aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分Bとからなる二成分系化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などが挙げられる。
市販されているβ晶核剤の具体例としては、新日本理化社製β晶核剤「エヌジェスターNU−100」、β晶核剤の添加されたポリプロピレン系樹脂の具体例としては、Aristech社製ポリプロピレン「Bepol B−022SP」、Borealis社製ポリプロピレン「Beta(β)−PP BE60−7032」、mayzo社製ポリプロピレン「BNX BETAPP−LN」などが挙げられる。
<その他の成分>
本多孔体を構成する樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、前記のポリプロピレン系樹脂(A)及びスチレン系熱可塑性エラストマー(B)以外の成分、例えばポリプロピレン系樹脂(A)以外の他の樹脂を含有することを許容することができる。他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩素化ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリメチルペンテン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミドビスマレイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、アラミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
また、前記樹脂組成物には、前述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、一般に樹脂組成物に配合される添加剤を適宜添加できる。前記添加剤としては、成形加工性、生産性および多孔性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で添加される、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂や、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤などの添加剤が挙げられる。
<本多孔体>
本多孔体は、ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分とし、重量平均分子量Mwが100,000以上のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物からなる多孔層を少なくとも一層有し、当該多孔層は、少なくとも一軸方向に延伸されることにより多孔化された層である。
本多孔体の形状としては特に制限はないが、シート状物、又は繊維状物、又は中空状物が挙げられる。「シート状物」とは、厚い(mmオーダー)プレートから薄い(μmオーダー)フィルムまでを含み、また、「繊維状物」とは、太いロッドから細い糸までを含み、また「中空状物」とは、太いパイプから細いチューブ、中空繊維、インフレーションフィルム等を意味する。勿論、インフレーションフィルムをカットしたシート状物を含むことは言うまでもない。
本多孔体は、前記樹脂組成物からなる多孔層を少なくとも一層有していればよい。すなわち、本多孔体は前記樹脂組成物からなる多孔層のみで形成しても良く、本多孔体の特徴を阻害しない範囲で、他の多孔層と積層して形成しても良い。
また、本多孔体がシート状物の場合は、シート状物の厚み方向に積層された積層シート状多孔体でもよく、繊維状物の場合は、いわゆる芯鞘構造状多孔体でもよく、中空状の場合は、中空体の径方向に積層された多孔体でもよい。
特に、本多孔体を電子部材用セパレータとして用いる場合、シート状物が好ましい。
さらに、本多孔体において前記樹脂組成物からなる層は、少なくとも一軸方向に延伸されてなることが重要である。前記樹脂組成物からなる層が少なくとも一軸方向、好ましくは二軸方向に延伸されてなることによって、当該層が多孔化し、本多孔体が優れた透気特性を有することとなる。
本多孔体を電子部材用セパレータとして用いる場合、シート状物としての多孔体の厚みは、5μm〜100μmが好ましく、10μm〜90μmがより好ましい。電子部材用セパレータとして使用する場合、厚みが5μm以上であれば、実質的に必要な電気絶縁性を得ることができ、例えば大きな電圧がかかった場合にも短絡しにくく安全性に優れる。
また、厚みが100μm以下であれば、多孔性フィルムの電気抵抗を小さくできるので電池の性能を十分に確保することができる。
本多孔体の透気度は500秒/100mL以下が好ましく、200秒/100mL以下がより好ましく、100秒/100mL以下が更に好ましい。透気度が500秒/100mL以下であれば、多孔体に連通性があることを示し、優れた透気性能を示すことができるため好ましい。
透気度は厚み方向の空気の通り抜け難さを表し、具体的には100mLの空気が当該多孔体を通過するのに必要な秒数で表現されている。そのため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方が厚み方向の連通性が良いことを意味し、その数値が大きい方が厚み方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とは厚み方向の孔のつながり度合いである。本多孔体の透気度が低ければ様々な用途に使用することができる。例えば電子部材用セパレータとして使用した場合、透気度が低いということはイオン等の移動が容易であることを意味し、電子部材の出力性能に優れるため好ましい。
なお、本多孔体の透気度の下限には特に制限はないが、通常1秒/100mL程度である。
透気度は後述の実施例の項に測定方法が記載されている。
本多孔体の空孔率は30%以上が好ましく、35%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。空孔率が30%以上であれば、連通性を確保し透気特性に優れた多孔性フィルムとすることができる。
一方、空孔率の上限については80%以下が好ましく、75%以下がより好ましく、70%以下が更に好ましい。空孔率が80%以下であれば、微細孔が増えすぎて本多孔体の強度が低下する問題もなくなり、ハンドリングの観点からも好ましい。
なお、空孔率は後述の実施例の項に測定方法が記載されている。
本多孔体の突き刺し強度は、厚み25μm当たり、100gf以上、400gf未満であることが好ましい。乾式法にて多孔化を行う場合、厚み25μm当たりの突き刺し強度が100gf以下となる場合、空孔率が大きく、粗大な孔が形成されている傾向がある。また、厚み25μm当たりの突き刺し強度が400gf以上となる場合、空孔率が小さく、透気特性を阻害する傾向がある。また、突き刺し強度は厚み25μmに当たり、150gf以上400gf未満がより好ましく、200gf以上400gf未満がさらに好ましく、250gf以上400gf未満が特に好ましい。
<本多孔体の製造方法>
次に、本多孔体の製造方法について説明する。上記の通り、本多孔体においては、ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分とし、かつ、重量平均分子量Mwが100,000以上のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上、45質量%以下含有する樹脂組成物からなる層が、少なくとも一軸方向に延伸されることにより多孔化されてなることが重要である。
より具体的には、本多孔体は、前記樹脂組成物を(a)溶融押出し、前記樹脂組成物からなる層を少なくとも一層有するシート状物、又は繊維状物、又は中空状物に、冷却固化し成形する工程と、(b)前記工程(a)で成形した該シート状物、又は繊維状物、又は中空状物を、−20℃以上90℃以下の温度で延伸する工程と、(c)前記工程(b)で延伸した該シート状物、又は繊維状物、又は中空状物を、さらに100℃以上160℃以下の温度で延伸する工程と、を経由して製造されることが好ましい。
[工程(a)]
前記樹脂組成物を溶融押出し、前記樹脂組成物からなる実質的に無孔状の層を少なくとも一層有するシート状物、又は繊維状物、又は中空状物に、冷却固化し成形する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いてよいが、例えば押出機を用いて前記樹脂組成物を溶融押出し、Tダイ、丸ダイ、ノズル、中空ノズル等の賦形設備より押出し、キャストロール(冷却ロール)や、空冷、水冷等の設備で冷却固化するという方法が挙げられる。また、インフレーション法や、チューブラー法により製造した膜状物を切り開いて平面状とする方法も適用できる。
なお、「実質的に無孔状の層」とは、前記樹脂組成物を溶融押出し、冷却固化し成形する工程において、意図的に当該層に空孔を設けないことを意味し、当該工程における不測の要因で意図せず微細なピンホールが生じている場合も含むことを意味する。
前記樹脂組成物の溶融押出において、押出加工温度は樹脂組成物の流動特性や成形性等によって適宜調整されるが、概ね180〜250℃が好ましく、190〜240℃がより好ましく、200〜230℃が更に好ましい。押出加工温度が上記下限以上の場合、溶融樹脂の粘度が十分に低く成形性に優れ生産性が向上することから好ましい。一方、押出加工温度を上記上限以下にすることにより、樹脂組成物の劣化、ひいては得られる本多孔体の機械的強度の低下を抑制できる。
また、冷却固化温度、例えばキャストロールの冷却固化温度は好ましくは20〜160℃、より好ましくは40〜150℃、更に好ましくは50〜140℃である。冷却固化温度を上記下限以上とすることで、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の結晶化を促進し、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)との弾性率差が生じやすく、延伸時において多孔体を形成しやすいために好ましい。また、上記上限以下とすることで押出された溶融樹脂がキャストロールへ粘着し巻き付いてしまうなどのトラブルが起こりにくく、効率よく成形することが可能であるので好ましい。
[工程(b)]
工程(b)では、工程(a)により得られたシート状物、又は繊維状物、又は中空状物を−20℃以上90℃以下の温度で延伸する(以下、この工程(b)を「低温延伸工程」と称す場合がある。)。工程(b)における延伸方法については、ロール延伸法、圧延法、テンター延伸法、同時二軸延伸法などの手法があり、これらは単独で行っても2つ以上組み合わせて行ってもよい。中でも、生産性の観点から、工程(a)における流れ方向(即ち、押出方向ないしは引き取り方向、以下「縦方向」又は「MD」と称す場合がある。)への延伸が好ましく、前記樹脂組成物内の前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)への応力集中をさせる観点から、延伸速度を上げやすいロール延伸法が好ましい。
ここで、−20℃以上の温度で延伸することで、延伸雰囲気下を−20℃未満の温度にするための特殊な設備が不要であるため、生産上好ましい。また延伸雰囲気下におけるポリプロピレン系樹脂(A)の弾性率が高くなりすぎず、延伸に対して変形が追随でき、破断するおそれが小さい。一方、90℃以下の温度で延伸することで、ポリプロピレン系樹脂(A)の弾性率が低くなりすぎず、スチレン系熱可塑性エラストマー(B)への応力集中が適度に発現し、前記樹脂組成物からなる層を容易に多孔化することができる。低温延伸工程における温度は、特に0℃以上70℃以下であることが好ましい。
また、この低温延伸工程における延伸倍率は特に制限はないが1.15倍以上、4.00倍以下、特に1.25倍以上、3.00倍以下であることが好ましい。延伸倍率が上記下限以上であると、マトリックス/ドメインの界面に応力が集中し、変形に伴う界面の剥離により、多孔構造を形成しやすく、上記上限以下であると、形成された多孔構造が過度の変形により閉塞されることがないため、好ましい。
[工程(c)]
工程(c)では、工程(b)により得られた前記樹脂組成物からなる多孔性層を100℃以上160℃以下の温度でさらに延伸する(以下、この工程(c)を「高温延伸工程」と称す場合がある。)。工程(c)における延伸方法については、上述の工程(b)と同様の方法を採用することができるが、中でも、ロール延伸法や、テンター延伸法が好ましく、特に、工程(b)により形成された孔を拡張する観点から、ロール延伸法により、さらに流れ方向(縦方向)へ延伸することが好ましい。
ここで、100℃以上の温度で延伸することで、工程(b)で形成された孔を伸長し、孔径を拡大できる。一方、160℃以下の温度で延伸することで、工程(b)で形成された孔の閉塞を抑制することができる。高温延伸工程における温度は、特に110℃以上150℃以下であることが好ましい。
また、この高温延伸工程における延伸倍率は特に制限はないが1.25倍以上、6.00倍以下、特に1.40倍以上、5.00倍以下であることが好ましい。さらに、低温延伸工程と高温延伸工程とを合わせた延伸倍率として、1.4倍以上、24倍以下、特に1.75倍以上、15倍以下であることが好ましい。延伸倍率が上記下限以上であると、孔径の拡張や多孔構造の保持を行いやすく、上記上限以下であると、孔の閉塞を抑制することができ、好ましい。
本多孔体の製造方法において、前記各工程は、(a)、(b)、(c)の順に連続していること、特に工程(b)の後に工程(c)を行うことによって、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)が延伸時に伸長しすぎることなく、前記樹脂組成物からなる層を容易に多孔化することができる。仮に、工程の順序が、(a)、(c)、(b)の順に経由して行われる場合、前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)が、工程(c)により伸長してしまい、応力を受ける界面の断面積が小さい為、多孔化が困難となるため好ましくない。これは、前述した、工程(a)において、ドメインが流れ方向に伸長した状態と同じである。なお、本多孔体の製造方法は、(a)、(b)、(c)の順に各工程を行えばよく、(a)、(b)、(c)の各工程の間にそれ以外の工程を含んでも良い。また、工程(c)の後にそれ以外の工程を含んでも良い。
具体的には、工程(c)の後に、寸法安定性向上の観点から、熱処理を行うことが好ましい。また、さらなる孔の拡張の目的で、工程(c)の後に、テンター延伸法等により縦方向と直交する方向(以下、「横方向」又は「TD」と称す場合がある。)に延伸(横延伸)することも好ましい。さらに、テンター延伸法等により横延伸した後、寸法安定性向上の観点から、熱処理を行うことも好ましい。また、さらなる寸法安定性の観点から、得られた多孔体を電子線架橋等により架橋させても良いし、後述するように他の多孔層等と積層する場合に密着性を向上する観点から、得られた多孔体にコロナ放電処理、プラズマ処理、親水化処理等を施して表面処理を行っても良い。
工程(c)の後に横延伸を行う場合、その横延伸工程における温度は100℃以上160℃以下、特に110℃以上150℃以下であることが、孔径の更なる拡張と孔の閉塞抑制の点において好ましい。また、その際の延伸倍率は孔径の更なる拡張と孔の閉塞抑制の点において、1.25倍以上、6.00倍以下、特に1.40倍以上、5.00倍以下であることが好ましい。
また、工程(c)の後に熱処理を行う場合、熱処理工程における温度は120℃以上200℃以下、特に140℃以上180℃以下であることが、寸法安定性の点において好ましい。
また、前記樹脂組成物からなる層以外の他の多孔層を有する本多孔体とする場合、前記工程(a)において、前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を含有する樹脂組成物の層と、他の多孔層を構成する組成物の層とを、共押出法やラミネート法などによって積層し、実質的に無孔状の積層体を作製した後、工程(b)及び工程(c)において延伸して多孔化することにより本多孔体を製造しても良く、前記ポリプロピレン系樹脂(A)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)を含有する樹脂組成物からなる層を、前記工程(a)〜(c)を経て多孔化した後、他の多孔層とラミネート法やコーティング法などによって積層して、本多孔体を製造しても良い。
<電子部材用セパレータ及び電子部材>
本発明の他の実施態様は、本多孔体を用いてなる電子部材用セパレータ、及び該電子部材用セパレータを用いてなる電子部材である。本発明の電子部材用セパレータを好ましく使用できる電子部材としては、アルカリ電池、ニッケル金属水素化物電池、リチウム電池、リチウムイオン二次電池といった電池や、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタといったコンデンサなどの電子部材が挙げられる。
本発明の電子部材は、本多孔体を電子部材用セパレータとして用いたものであればその他の構成部材が特に限定されるものではなく、電子部材用として従来公知の電極や電解液などを用いて構成することができる。
次に、実施例および比較例を示し、本多孔体について更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本多孔体の実施形態として、シート状物に賦形した。以下、本多孔体を多孔性フィルムと呼ぶ。また、多孔性フィルムの引き取り(流れ)方向を「MD」、その直角方向を「TD」と記載する。
(1)分子量、分子量分布
実施例、比較例で使用したスチレン系熱可塑性エラストマーをクロロホルムに溶解した後、GPCを用いて重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及び、分子量分布Mw/Mnを測定、算出した。分子量の算出は、ポリスチレン標準サンプルの分子量を検量線に用いて行った。
(2)厚み
得られた多孔性フィルムを1/1000mmのダイヤルゲージにて、面内を不特定に5箇所測定しその平均を厚みとした。
(3)透気度
得られた多孔性フィルムから直径φ40mmの大きさでサンプルを切り出し、JIS P8117に準拠して透気度(秒/100mL)を測定した。
(4)空孔率
得られた多孔性フィルムの実質量Wを測定し、樹脂組成物の密度と厚みから空孔率0%の場合の質量Wを計算し、それらの値から下記式に基づき算出した。
空孔率(%)={(W−W)/W}×100
(5)突き刺し強度
日本農林規格告示1019号に準じ、ピン径:1.0mm、先端部:0.5R、突き刺し速度:300mm/minの条件にて測定した。
(6)厚み25μmあたりの突き刺し強度
上記突き刺し強度の値(P:単位gf)、測定に用いた多孔性フィルムの厚み(d:単位μm)としたとき、下記式に基づき算出した。
厚み25μmあたりの突き刺し強度(gf)=(P/d)×25
実施例、比較例で使用した原材料は以下の通りである。
(ポリプロピレン系樹脂)
・A−1;ポリプロピレン(グレード名;ノバテックFY6HA、日本ポリプロ社製)
(スチレン系熱可塑性エラストマー)
・B−1;スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、グレード名;SEPTON1001、クラレ社製、重量平均分子量Mw;186,000、分子量分布Mw/Mn;1.07、MFR(230℃、2.16kg);0.1g/10分、スチレン含有量;35質量%)
・B−2;スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON2006、クラレ社製、重量平均分子量Mw;271,000、分子量分布Mw/Mn;1.09、MFR(230℃、2.16kg);流動せず、スチレン含有量;35質量%)
・B−3;スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON8006、クラレ社製、重量平均分子量Mw;285,000、分子量分布Mw/Mn;1.11、MFR(230℃、2.16kg);流動せず、スチレン含有量;33質量%)
・B−4;スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、グレード名;SEPTON2007、クラレ社製、重量平均分子量Mw;95,400、分子量分布Mw/Mn;1.04、MFR(230℃、2.16kg);2.4g/10分、スチレン含有量;30質量%)
(結晶核剤)
・C−1;β晶核剤(3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)
・C−2;α晶核剤(ソルビトール系化合物、グレード名:ゲルオールMD―LM30G、新日本理化社製)
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を90質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)を10質量%の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、120℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、3.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
(実施例2)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を80質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)を20質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、120℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、3.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
(実施例3)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、127℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比150%(延伸倍率2.50倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、2.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。また、得られたフィルムの走査型電子顕微鏡による観察写真を図1、2に示す。
(実施例4)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を60質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)を40質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、100℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、2.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
(実施例5)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−2)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、120℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、3.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
(実施例6)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−3)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機(スクリュー径25mmφ)に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、120℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、3.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
(実施例7)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)を30質量%、前記ポリプロピレン系樹脂(A−1)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)との混合樹脂組成物100質量部に対し、結晶核剤(C−1)を0.1質量部(ポリプロピレン系樹脂100質量部に対しては、0.14質量部)の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混練後、ストランドダイにてストランド状に賦形した後、ストランドカッターにて裁断し、ペレット化した。次いで、得られたペレットを単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、127℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、2.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
(実施例8)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)を30質量%、前記ポリプロピレン系樹脂(A−1)と前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)との混合樹脂組成物100質量部に対し、結晶核剤(C−2)を0.1質量部(ポリプロピレン系樹脂100質量部に対しては、0.14質量部)の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混練後、ストランドダイにてストランド状に賦形した後、ストランドカッターにて裁断し、ペレット化した。次いで、得られたペレットを単軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、127℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比150%(延伸倍率2.50倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、2.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。また、得られたフィルムの走査型電子顕微鏡による観察写真を図3、4に示す。
(比較例1)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を50質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−1)を50質量%の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、100℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール(P)と120℃に設定したロール(Q)間において、ドロー比100%(延伸倍率2.00倍)を掛けて高温延伸を行い、MD延伸多孔フィルムを得た。次いで、得られたMD延伸多孔フィルムを、京都機械社製フィルムテンター設備にて、予熱温度145℃、予熱時間12秒間で予熱した後、延伸温度145℃、2.0倍横方向に延伸した後、145℃で熱処理を行い、二軸延伸多孔フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1にまとめた。
(比較例2)
ポリプロピレン系樹脂(A−1)を70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(B−4)を30質量%の割合で配合し、2軸押出機に投入し、設定温度200℃で溶融混練後、Tダイにてシート状に賦形した後、120℃に設定したキャストロールにて冷却固化を行い、厚み100μmの未延伸シート状物を得た。その後、得られた未延伸シート状物を、20℃に設定したロール(X)と40℃に設定したロール(Y)間において、ドロー比50%(延伸倍率1.50倍)を掛けて低温延伸を行ったが、フィルムが破断し、延伸フィルムが得られなかった。そのため、各種評価を行うことができなかった。
Figure 2016141786
表1より、実施例1〜8で得られた本発明のポリプロピレン系樹脂多孔体は、優れた透気性と高い空孔率を有することが分かる。また、厚み25μmあたりの突き刺し強度も100gf以上あることから、良好な機械特性を有していることも明らかとなった。
また、走査型電子顕微鏡による、実施例3で得られた多孔フィルムの表面の観察写真(図1、2)を確認すると、多孔構造はサブミクロンオーダーの均一な孔が形成されていることが確認された。また、結晶核剤を含有する実施例8で得られた多孔フィルムの表面の観察写真(図3、4)を確認すると、結晶核剤の効果により、さらに緻密で均一な多孔構造が形成されていることが確認された。
一方、比較例1では、本発明が規定するスチレン系熱可塑性エラストマーの重量比を逸脱しているため、フィルムが白化するものの、空孔率は低く、透気特性は発現しなかった。また、比較例2では、本発明が規定する重量平均分子量の範囲外であるスチレン系熱可塑性エラストマーを用いているため、キャストシートの製膜時において、ドメインを形成するスチレン系熱可塑性エラストマーがシートの流れ方向に伸長し、マトリックス/ドメインの界面への応力集中を妨げたため、フィルムが破断したものと思われる。
本発明のポリプロピレン系樹脂多孔体は、透気特性が要求される種々の用途に応用することができる。電子部材用セパレータ;使い捨て紙オムツ、生理用品等の体液吸収用パットもしくはベッドシーツ等の衛生材料;手術衣もしくは温湿布用基材等の医療用材料;ジャンパー、スポーツウエアもしくは雨着等の衣料用材料;水処理用中空糸膜;壁紙、屋根防水材、断熱材、吸音材等の建築用材料;乾燥剤;防湿剤;脱酸素剤;使い捨てカイロ;鮮度保持包装もしくは食品包装等の包装材料等の資材として極めて好適に使用できる。

Claims (11)

  1. ポリプロピレン系樹脂(A)を主成分とし、重量平均分子量Mwが100,000以上のスチレン系熱可塑性エラストマー(B)を1質量%以上45質量%以下含有する樹脂組成物からなる多孔層を少なくとも一層有し、当該多孔層は少なくとも一軸方向に延伸されることにより多孔化された層であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂多孔体。
  2. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)の、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が2.0g/10分以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
  3. 前記スチレン系熱可塑性エラストマー(B)のスチレン含有量が1質量%以上55質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
  4. 結晶核剤(C)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
  5. 前記結晶核剤(C)の含有量が前記ポリプロピレン系樹脂(A)100質量部に対し、0.001〜5.0質量部であることを特徴とする請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体。
  6. 突き刺し強度が厚み25μm当たり、100gf以上、400gf未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリエチレン系樹脂多孔体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂多孔体を用いてなる電子部材用セパレータ。
  8. 請求項7に記載の電子部材用セパレータが組み込まれている電子部材。
  9. 請求項7に記載の電子部材用セパレータが組み込まれているキャパシタ。
  10. 請求項7に記載の電子部材用セパレータが組み込まれている電池。
  11. 請求項7に記載の電子部材用セパレータが組み込まれているコンデンサ。
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