JP2023064466A - 樹脂シート及び樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱特性、電気特性、磁気特性、特定物質に対する吸着に影響を与える性質等といった機能が向上し、取り扱いが容易な樹脂シートを提供する。【解決手段】[1]多孔性樹脂フィルム(A)と、前記多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に充填された機能性材料(B)とを含む、樹脂シート、[2]多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を充填させる工程を含む、前記[1]に記載の樹脂シートの製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂シート及び樹脂シートの製造方法に関する。
多孔性樹脂フィルムは、例えば、衣類・衛生材料等に使用する透湿防水性フィルム、水処理に使用する各種フィルター、電子機器の断熱材、住宅・建材等に使用する断熱フィルム、電池等に使用する電池用セパレータ等の各種分野で幅広く利用されている。
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマー25~75質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物にて形成され、前記ポリプロピレン樹脂を主成分として含む海部と、前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーを主成分として含む島部とからなる海島構造を有する微多孔フィルムであって、前記ポリオレフィン・ポリスチレン系エラストマーの230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが0~0.1g/10分であることを特徴とする二軸延伸微多孔フィルムが記載されている。前記特許文献1には、前記二軸延伸微多孔フィルムが、粉落ちもなく衛生性に優れ、滅菌処理等に必要な高度な水蒸気透過性を有する連通孔を外観のムラ無く均一に有し、かつ注射針やカテーテル等の鋭利な物を包装するのに十分な突刺し強度を有すると記載されている。
特開2016-216726号公報
近年、多孔性樹脂フィルムの新たな用途展開が期待されている。例えば、多孔性樹脂フィルムにおける特定の機能を向上させることができれば、新たな用途に展開することが可能となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、熱特性、電気特性、磁気特性、特定物質に対する吸着に影響を与える性質等といった機能が向上し、取り扱いが容易な樹脂シートを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、多孔性樹脂フィルムの空孔に特定の機能を有する機能性材料を充填させることにより、多孔性樹脂フィルムにおける特定の機能を向上できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下に示す樹脂シート及び樹脂シートの製造方法が提供される。
<1> 多孔性樹脂フィルム(A)と、前記多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に充填された機能性材料(B)とを含む、樹脂シート。
<2> JIS K7127:1999に準拠して測定される、シート面と平行な少なくとも1方向(X方向)の引張伸度が15%以上である、前記<1>に記載の樹脂シート。
<3> 厚さが10μm以上300μm以下である、前記<1>又は<2>に記載の樹脂シート。
<4> 前記多孔性樹脂フィルム(A)の平均孔径が0.01μm以上5.0μm以下である、前記<1>~<3>のいずれかに記載の樹脂シート。
<5> JIS Z1707:2019に準拠して測定される、突刺し強さが1.0N以上である、前記<1>~<4>のいずれかに記載の樹脂シート。
<6> 前記機能性材料(B)の分子量が100以上6,000以下である、前記<1>~<5>のいずれかに記載の樹脂シート。
<7> 前記機能性材料(B)は23℃で固体状である、前記<1>~<6>のいずれかに記載の樹脂シート。
<8> 前記機能性材料(B)の融点が20℃以上100℃以下である、前記<1>~<7>のいずれかに記載の樹脂シート。
<9> 前記機能性材料(B)が、単独で自立膜を形成できない化合物を含む、前記<1>~<8>のいずれかに記載の樹脂シート。
<10> 前記機能性材料(B)が、炭素数が16以上50以下の炭化水素化合物、炭素数が12以上34以下のアルコール化合物、炭素数が17以上62以下のエステル化合物、及び炭素数が10以上32以下のカルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、前記<1>~<9>のいずれかに記載の樹脂シート。
<11> 前記機能性材料(B)が、高熱容量材料、高熱伝導材料、高導電材料、電解質材料、高誘電材料、高磁性材料、高吸水材料、低たんぱく吸着材料、及び、治癒促進材料からなる群から選択される少なくとも一種を含む、前記<1>~<10>のいずれかに記載の樹脂シート。
<12> 前記多孔性樹脂フィルム(A)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む、前記<1>~<11>のいずれかに記載の樹脂シート。
<13> 前記機能性材料(B)の含有量が、前記多孔性樹脂フィルム(A)100質量部に対して、100質量部以上3,000質量部以下である、前記<1>~<12>のいずれかに記載の樹脂シート。
<14> 蓄熱シート、放熱シート、導電シート、電解質シート、誘電体シート、磁性シート、吸水シート、低たんぱく吸着シート又は創傷被覆シートである、前記<1>~<13>のいずれかに記載の樹脂シート。
<15> 多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を充填させる工程を含む、前記<1>~<14>のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
本発明によれば、熱特性、電気特性、磁気特性、特定物質に対する吸着に影響を与える性質等といった機能が向上し、取り扱いが容易な樹脂シートを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書において、数値の記載に関する「A~B」という用語は、「A以上B以下」を意味する。本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。本発明においては、「フィルム」とも称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」とも称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シート(以下、「本樹脂シート」ともいう。)は、多孔性樹脂フィルム(A)と、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に充填された機能性材料(B)とを含む。
本発明によれば、多孔性樹脂フィルム(A)に対して、機能性材料(B)に基づく特定の機能を向上させることができる。このため、多孔性樹脂フィルムを新たな用途に展開することが可能となる。
本発明の樹脂シートが上記構成であることにより本発明の効果を奏する理由については定かではないが、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)が充填されることで、多孔性樹脂フィルム(A)と機能性材料(B)とが効果的に一体化するため、得られる樹脂シートの機能性材料(B)に基づく特定の機能を向上できると考えられる。
<多孔性樹脂フィルム(A)>
多孔性樹脂フィルム(A)は、多孔性フィルムを形成することが可能な樹脂(a)により構成される。ただし、本発明に係る多孔性樹脂フィルム(A)には、紙、織布、不織布等の繊維状の原料を積層して製造されるシートは含まれない。多孔性フィルム(A)は紙と比較すると空孔率が高く機能性材料(B)を多く充填することができる。多孔性フィルム(A)は織布や不織布と比較すると、孔径が小さく分布が均一であるため、機能性材料(B)をフィルム内に均一に充填することができる。さらに、多孔性フィルム(A)は一枚のフィルムで構成されるため、紙や織布、不織布と比べて繊維状くずが出にくいので、コンタミを少なくできる。また、樹脂(a)から、後述の非相溶性樹脂は除かれる。ここで、多孔性樹脂フィルム(A)は、樹脂(a)のみから構成されてもよいし、樹脂(a)を主成分として含む樹脂組成物から構成されてもよい。
また、多孔性樹脂フィルム(A)は、単層構成であってもよいし、多層構成であってもよい。また、多孔性樹脂フィルム(A)は、無延伸フィルムであってもよいし、一軸延伸又は二軸延伸フィルムであってもよいが、本樹脂シートの機械的特性をより向上させる観点から、一軸延伸又は二軸延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。
ここで、本明細書において、「主成分」とは含有量が最も多い成分を意味する。
多孔性樹脂フィルム(A)が樹脂(a)を主成分として含む樹脂組成物から構成される場合、前記樹脂組成物中の樹脂(a)の含有量は、本樹脂シートの機械的特性をより向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上である。前記樹脂組成物中の樹脂(a)の含有量の上限は特に限定されないが、例えば99質量%以下であり、95質量%以下であってもよく、90質量%以下であってもよく、85質量%以下であってもよい。
(樹脂(a))
樹脂(a)としては特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂、イミド系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。これらの中でも、突刺し強さ及び引張伸度等の機械的特性、並びに透明性をより向上させる観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレンや、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等のα-オレフィンを重合した単独重合体又は共重合体が挙げられ、これらの中でも、本樹脂シートの機械的特性をより向上させる観点から、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂が好ましく、ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、プロピレンとエチレン又はプロピレン以外のα-オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられる。
前記プロピレン以外のα-オレフィンの具体例としては、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等が挙げられる。プロピレンと共重合させるエチレン又はα-オレフィンは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記各共重合体においては、前記α-オレフィンに由来する構成単位の含有量(α-オレフィン含有量)は、延伸によりポリプロピレン系樹脂を多孔化させやすくする観点から、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。同様の観点から、前記各共重合体におけるプロピレンに由来する構成単位の含有量は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上である。
ポリプロピレン系樹脂としては、本樹脂シートの機械的特性をより向上させる観点から、ホモポリプロピレンが好ましい。
樹脂(a)は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた重合方法等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、商品名「ノバテックPP」、「WINTEC」(日本ポリプロ株式会社製);「ノティオ」、「タフマーXR」(三井化学株式会社製);「ゼラス」、「サーモラン」(三菱ケミカル株式会社製);「住友ノーブレン」、「タフセレン」(住友化学株式会社製);「プライムPP」、「プライムTPO」(株式会社プライムポリマー製);「Adflex」、「Adsyl」、「HMS-PP(PF814)」(サンアロマー株式会社製);「バーシファイ」、「インスパイア」(ダウ・ケミカル社製)等の市販されている商品を使用できる。
樹脂(a)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.5g/10分以上、更に好ましくは1.0g/10分以上、更に好ましくは1.5g/10分以上である。MFRを前記下限値以上とすることで、成形加工時において十分な溶融粘度を有し、高い生産性を確保することができる。
また、前記MFRは、本樹脂シートの機械的特性をより向上させる観点から、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下、更に好ましくは20g/10分以下、更に好ましくは15g/10分以下、更に好ましくは10g/10分以下、更に好ましくは5.0g/10分以下である。
樹脂(a)として、2種以上の樹脂を使用する場合には、各樹脂の混合物のMFRを樹脂(a)のMFRとする。
前記MFRは、JIS K7210-1:2014に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。
(多孔性樹脂フィルム(A)中の他の成分)
多孔性樹脂フィルム(A)が樹脂(a)を主成分として含む樹脂組成物から構成される場合、前記樹脂組成物中には、その性質を損なわない程度に、樹脂(a)以外の成分を含む。前記樹脂組成物中の他の成分としては、例えば、不溶融性粒子、結晶核剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃剤等の各種添加剤、樹脂(a)に対して非相溶性の樹脂(以下、「非相溶性樹脂」ともいう。)等が挙げられる。
これらの中でも、前記樹脂組成物は、不溶融性粒子、結晶核剤、及び非相溶性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
不溶融性粒子としては、例えば、タルク、クレイ、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、カオリナイト、シリカ、アルミナ等の無機系粒子;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子量ポリエチレン、酢酸ナトリウム等の有機系粒子等が挙げられる。
樹脂(a)の剛性を高めることが空孔形成に有効であると考えられることから、前記樹脂組成物中に結晶核剤が含まれていてもよい。
例えば前記結晶核剤としては、ジベンジリデンソルビトール(新日本理化株式会社製、商品名「ゲルオールMD」)、「アデカスタブNA-11」、「アデカスタブNA-27」、「アデカスタブNA-902」、「アデカスタブNA-21」、「アデカスタブNA-71」(左記5種ともに株式会社ADEKA製)、ステアリン酸マグネシウムとシリカの混合物を含むマスターバッチ(大日精化工業株式会社製、商品名「ハイサイクルマスター」)、2-ヒドロキシ-2-オキソ-4,6,10,12-テトラ-tert-ブチル-1,3,2-ジベンゾ[d,g]ペルヒドロジオキサホスファロシンのナトリウム塩を含むマスターバッチ(株式会社ADEKA製、商品名「アデカスタブM-701」)等が利用できる。
その他、α晶核剤としては、無機系核剤としてシリカ、タルク、炭酸カルシウムが挙げられる。有機系核剤(カルボン酸金属塩タイプ)としてはステアリン酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸アルミニウム塩、アルミニウムジベンゾエート、カリウムベンゾエート、リチウムベンゾエート、ソジウムβ・ナフタレートソジウムシクロヘキシサンカルボキシレート、ピメリン酸金属塩、ロジン酸金属塩等が挙げられる。また、ベンジリデンソルビトール及びその誘導体タイプ、リン酸エステル金属塩もある。さらには、ポリマータイプとしては、ポリ-3-メチルブテン-1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、EPR、ケブラー繊維、リン酸2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ナトリウム等が挙げられる。
多孔性樹脂フィルム(A)を構成する樹脂組成物に、樹脂(a)と非相溶性樹脂を添加し、樹脂(a)のマトリックス中に非相溶性樹脂がドメインを形成する海島構造を形成することにより、効率的に微細で均一性の高い多孔構造を有する多孔性樹脂フィルムを得ることができ、空孔の形状や孔径を制御しやすくなる。ここで非相溶性樹脂とは、樹脂(a)と海島構造を形成する樹脂をいう。
非相溶性樹脂としては、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーとは、スチレン成分を基材とした熱可塑性エラストマーの1種で、軟質成分(例えばブタジエン成分)と硬質成分(例えばスチレン成分)との連続体からなる共重合体であり、その共重合体の炭素の二重結合を単結合にするため水素添加されたものでもよい。
また、前記共重合体の種類としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。
また、ブロック共重合体としては、線状ブロック構造や放射状枝分れブロック構造等が挙げられ、本発明においてはいずれの構造のものを用いてもよいが、マトリックスとなるポリオレフィン系樹脂の中で明確等メインを形成させるためには、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの中でも、温度230℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が1g/10分以下のスチレン系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
樹脂組成物中に分散した前記スチレン系熱可塑性エラストマーは、樹脂との粘度差によって、その形状が変化するが、前記MFR範囲内のスチレン系熱可塑性エラストマーを使用すると、その形状が球状になりやすい。
球状分散したドメインは、アスペクト比が大きなドメインとは異なり、その後の延伸工程によって得られる多孔構造の均一性が高くなりやすく、物性安定性に優れるので好ましい。
さらに、前記MFR範囲内のスチレン系熱可塑性エラストマーを使用すれば、延伸工程時において、高い弾性率を有するマトリックスと低い弾性率のドメイン界面部分に応力が集中しやすくなるため、開孔起点が生じやすく、多孔化しやすいという利点がある。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーのスチレン含有量は、好ましくは10~40質量%、より好ましくは10~35質量%である。スチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレン含有量が10質量%以上であれば、効果的に樹脂(a)中にドメインを形成することができ、スチレン含有量が40質量%以下であれば過度に大きなドメイン形成を抑制することができる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、特に制限されるものではないが、例えばスチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBR)、水素添加スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SEB)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIR)、スチレン-エチレン-プロピレンブロック共重合体(SEP)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)等が挙げられる。
これらの中でも、効率的に前記樹脂組成物中にスチレン系熱可塑性エラストマーを分散させる観点から、樹脂(a)、とりわけポリプロピレン系樹脂との相溶性が高い、エチレン成分(水添ブタジエン成分)、エチレン・プロピレン成分(水添イソプレン成分)、ブチレン成分が含有されているものが好ましく、中でもSEP、SEPS、SEBSがより好ましく、更には両末端がスチレン重合体となるSEPS、SEBSが特に好ましい。
多孔性樹脂フィルム(A)が樹脂(a)を主成分として含み、さらに非相溶性樹脂を含む樹脂組成物から構成される場合、前記樹脂組成物中の非相溶性樹脂の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
前記樹脂組成物中の非相溶性樹脂の含有量が上記下限値以上であると、延伸による多孔化が生じやすくなり、孔径の増大が望めるため好ましい。一方、前記樹脂組成物中の非相溶性樹脂の含有量が上記上限値以下であると、延伸に伴う多孔構造の過度な粗大化を防ぎ、機械特性を向上させることができる。
多孔性樹脂フィルム(A)には、本発明を損なわない範囲で必要に応じてコロナ処理、プラズマ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面加工、更にはミシン目加工等を施すことができ、用途に応じて多孔性樹脂フィルム(A)を数枚重ねて使用することも可能である。
多孔性樹脂フィルム(A)の厚さは特に制限されるものではないが、本樹脂シートの機械的特性をより向上させる観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは15μm以上、更に好ましくは20μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。
多孔性樹脂フィルム(A)の平均孔径は、本樹脂シートの機械的特性をより向上させる観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.10μm以上、更に好ましくは0.13μm以上であり、そして、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは3.0μm以下、更に好ましくは2.0μm以下、更に好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.50μm以下、更に好ましくは0.30μm以下、更に好ましくは0.25μm以下である。
多孔性樹脂フィルム(A)の平均孔径は、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定される。
多孔性樹脂フィルム(A)の空孔率は多孔構造を規定する要素であり、多孔性樹脂フィルム(A)の空間部分の割合を示す数値である。多孔性樹脂フィルム(A)の空孔率は、好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、更に好ましくは40%以上、更に好ましくは45%以上、更に好ましくは50%以上、更に好ましくは55%以上であり、そして、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは75%以下である。
空孔率が上記下限値以上であると、機能性材料(B)が多孔性樹脂フィルム(A)の内部まで浸入し易くなり、機能性材料(B)を空孔に高密度に充填できるため、得られる樹脂シートの機能性材料(B)に基づく機能、並びに、突刺し強さ及び引張伸度等の機械的特性をより一層向上させることができる。
また、空孔率が上記上限値以下であると、多孔性樹脂フィルム(A)の機械的強度を向上できるとともに機能性材料(B)の保持力を向上させることができるため、得られる樹脂シートをより一層薄膜化することができるとともに、寸法安定性も向上させることができる。
なお、空孔率の測定方法は以下のとおりである。
測定試料の実質量Wを測定し、多孔性樹脂フィルム(A)を構成する樹脂(a)又は樹脂組成物の密度に基づいて空孔率が0%の場合の質量Wを計算し、これらの値から下記式に基づいて空孔率を算出する。
空孔率(%)={(W-W)/W}×100
空孔率は、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定される。
多孔性樹脂フィルム(A)の融点は、本樹脂シートの機械的特性や耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、更に好ましくは150℃以上、更に好ましくは160℃以上であり、本樹脂シートのマテリアルリサイクル性及び多孔性樹脂フィルム(A)の成形性を向上させる観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは175℃以下である。
融点は、示差走査熱量測定(DSC)で得られる融解ピークのピークトップ温度を意味し、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定される。DSC曲線に複数の融解ピークが表れる場合は、最も温度が高い融解ピークの頂点温度を融点とする。
(多孔性樹脂フィルム(A)の製造方法)
多孔性樹脂フィルム(A)は、例えば、樹脂(a)又は樹脂(a)を主成分として含む樹脂組成物を溶融押出成形して延伸前シートを作製し、次いで、得られた延伸前シートを延伸することにより得ることができる。
まず、樹脂(a)の融点以上、分解温度未満の温度条件下で押出機等を用いて溶融・混錬した後、成形することによって、延伸前の無孔シートを得る。前記無孔シートの成形方法としては、例えばTダイ成形が挙げられる。
次に、得られた延伸前シートを一軸延伸又は二軸延伸する。一軸延伸は、縦一軸延伸であってもよいし、横一軸延伸であってもよい。二軸延伸は、同時二軸延伸であってもよいし、逐次二軸延伸であってもよい。
多孔性樹脂フィルム(A)を作製するには、各延伸工程で延伸条件を選択すればよく、多孔構造を制御しやすい逐次二軸延伸を採用することがより好ましい。
なお、シートの流れ方向(MD)への延伸を「縦延伸」といい、流れ方向に対して垂直方向(TD)への延伸を「横延伸」という。
逐次二軸延伸を用いる場合、多孔構造の制御が比較的容易であり、機械強度や収縮率等の他の諸物性とのバランスがとりやすい。
また、延伸温度は、使用する樹脂(a)や樹脂組成物の組成、結晶融解ピーク温度、結晶化度等によって適時選択すればよい。
縦延伸は低温で行うことが望ましく、具体的な延伸温度は、好ましくは0~50℃、より好ましくは5~40℃である。縦延伸温度が50℃以下であれば、延伸時に高い弾性率を有するマトリックスと低い弾性率のドメイン界面部分に応力が集中しやすくなり、ボイド形成に伴う白化が進行するため好ましい。一方、0℃以上であれば、延伸時の破断が抑制できるため好ましい。
低温での縦延伸倍率は、好ましくは1.1~5.0倍、より好ましくは1.2~4.0倍、更に好ましくは1.3~3.0倍である。低温での延伸倍率を1.1倍以上とすることで白化が進行して、延伸による多孔化が十分起こっていることが示唆される。また、5.0倍以下とすることで、空孔の変形は抑制され、十分に白化した多孔性樹脂フィルムを得ることができる。
また、縦延伸は、上記低温での延伸に続き、高温で延伸する二段階延伸工程としてもよい。具体的な高温での延伸温度は、好ましくは60~155℃、より好ましくは70~140℃、更に好ましくは80~130℃である。高温での縦延伸温度を60℃以上とすることで延伸時の破膜を抑制することができる。一方、155℃以下とすることで、低温での延伸で形成されたボイドが閉塞してしまうことを抑制できる。
高温での縦延伸倍率は、好ましくは1.5~7.0倍、より好ましくは1.8~6.0倍、更に好ましくは2.0~5.0倍である。高温での延伸倍率を1.5倍以上とすることで低温での縦延伸で形成されたボイドを拡大することができる。また、7.0倍以下とすることで、延伸破膜を抑えることができる。
次に、横延伸の温度は、好ましくは100~155℃、より好ましくは110~150℃である。前記横延伸温度が規定された範囲内であることによって、縦延伸時に生じた空孔が拡大されて多孔性樹脂フィルム(A)の空孔率を増加することができる。
横延伸倍率は、任意に選択できるが、好ましくは1.1~10倍、より好ましくは1.5~8.0倍、更に好ましくは1.5~5.0倍である。規定した横延伸倍率で延伸することによって、縦延伸時に生じた空孔を変形することなく、十分な空孔率を有することができる。
<機能性材料(B)>
機能性材料(B)は多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に充填されるものである。
多孔性樹脂フィルム(A)の空孔には、機能性材料(B)のみが充填されていてもよいし、機能性材料(B)を主成分として含む組成物が充填されていてもよい。
多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を主成分として含む組成物が充填される場合、前記組成物中の機能性材料(B)の含有量は、機能性材料(B)に基づく機能や機械的特性をより向上させる観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上である。前記組成物中の機能性材料(B)の含有量の上限は特に限定されないが、例えば100質量%以下である。
多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を主成分として含む組成物が充填される場合、前記組成物中には、その性質を損なわない程度に、機能性材料(B)以外の成分を含む。前記組成物中の他の成分としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、加水分解防止剤、滑剤、難燃剤等の各種添加剤、機能性材料(B)以外の樹脂等が挙げられる。
機能性材料(B)は、熱特性、電気特性、磁気特性、特定物質に対する吸着に影響を与える性質等といった機能を有する材料である。より具体的な機能としては、高熱容量特性、熱伝導特性、導電特性、電解質特性、誘電特性、高磁気特性、吸水特性、低タンパク吸着特性、及び治癒促進特性からなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。つまり、機能性材料(B)としては、例えば、高熱容量材料、高熱伝導材料、高導電材料、電解質材料、高誘電材料、高磁性材料、高吸水材料、低たんぱく吸着材料、及び、治癒促進材料からなる群から選択される少なくとも一種等が挙げられる。
高熱容量材料とは、融解熱量が例えば100J/g以上の材料で、好ましくは120J/g以上、さらに好ましくは150J/g以上の材料を指す。例えば、直鎖状炭化水素、脂肪酸、直鎖アルコール、水和塩(硫酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム水和物)等が挙げられる。ここで、融解熱量は後述の通り、DSC測定によって得られるサーモグラムプロファイルから算出するものである。
高熱伝導材料としては、例えば、カーボン系材料(カーボンブラック、黒鉛、グラファイト、グラフェン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、ダイアモンド等)、金属系粒子(金、銀、銅、アルミニウム等)、セラミックス系粒子(酸化アルミニウム、窒化ホウ素)等が挙げられる。
高導電材料としては、例えば、カーボン系材料(カーボンブラック、黒鉛、グラファイト、グラフェン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、ダイアモンド等)、金属系粒子(金、銀、銅、アルミニウム等)等が挙げられる。
電解質材料としては、例えば、電解質樹脂(リン酸基、スルホン酸基等を導入した高分子(例えば、パーフルオロスルホン酸樹脂、ベンゼンスルホン酸樹脂)、硫化物固体電解質((LiPS)、酸化物固体電解質(LiLaZr12、Li1.4Al0.4Ti1.6(PO等)等が挙げられる。
高誘電材料としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ポリフッ化ビニリデン、ポリ乳酸、チタン酸鉛、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。
高磁性材料としては、例えば、鉄、ケイ素鉄、アルニコ磁石、サマリウム磁石、ネオジム磁石等が挙げられる。
高吸水材料としては、例えば、ポリアクリル酸塩系樹脂、ポリスルホン酸塩系樹脂、無水マレイン酸塩系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリグルタミン酸塩系樹脂、ポリアルギン酸塩系樹脂、デンプン系樹脂、ポリグルコール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる、
低たんぱく吸着材料としては、例えば、フッ素系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン樹脂等が挙げられる。
治癒促進材料としては、例えば、キチン、キトサン、成長因子、ヘパリン誘導体、コラーゲン、ヒアルロン酸等が挙げられる。
ここで、各材料は、熱可塑性樹脂や溶媒等の流動性が良好な化合物と組み合わせて用いてもよい。
また、機能性材料(B)としては、本樹脂シートの熱容量をより効果的に向上させる観点から、炭素数が16以上50以下の炭化水素化合物、炭素数が12以上34以下のアルコール化合物、炭素数が17以上62以下のエステル化合物、及び炭素数が10以上32以下のカルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
炭素数が16以上50以下の炭化水素化合物としては、例えば、イコサン、オクタデカン、ヘキサデカン、トリアコンタン、テトラトリアコンタン、パラフィン、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
炭素数が12以上34以下のアルコール化合物としては、例えば、1-テトラデカノール、ラウリルアルコール、テトラトリアコンタノール等が挙げられる。
炭素数が17以上62以下のエステル化合物としては、例えば、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、トリアコンタニルパルミチン酸、水添ホホバオイル、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、セロチン酸ミリシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ミリシル等が挙げられる。
炭素数が10以上32以下のカルボン酸化合物としては、例えば、カプリン酸、ドトリアコンタン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
機能性材料(B)は、23℃で固体状であることが好ましい。これにより、本樹脂シートの使用時において、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔内から機能性材料(B)が漏出するのを抑制でき、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔への機能性材料(B)の保持性をより向上させることができる。
機能性材料(B)の融点は、本樹脂シートの機械的特性及び耐熱性をより向上させる観点、並びに本樹脂シートの使用時において、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔内から機能性材料(B)が漏出するのを抑制し、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔への機能性材料(B)の保持性をより向上させる観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは23℃以上、更に好ましくは25℃以上であり、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔への機能性材料(B)の充填性をより向上させる観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは60℃以下、更に好ましくは45℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
融点は、示差走査熱量測定(DSC)で得られる融解ピークのピークトップ温度を意味し、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定される。DSC曲線に複数の融解ピークが表れる場合は、最も温度が高い融解ピークの頂点温度を融点とする。
機能性材料(B)の分子量は、本樹脂シートの機械的特性及び耐熱性をより向上させる観点、並びに、本樹脂シートの使用時において、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔内から機能性材料(B)が漏出するのを抑制し、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔への機能性材料(B)の保持性をより向上させる観点から、好ましくは100以上、より好ましくは150以上、更に好ましくは200以上であり、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔への機能性材料(B)の充填性をより向上させる観点から、好ましくは6,000以下であり、より好ましくは3,000以下、更に好ましくは1,500以下、更に好ましくは1,000以下、更に好ましくは500以下、更に好ましくは350以下である。
ここで、機能性材料(B)の分子量とは、モノマーの場合はその分子量、ポリマーの場合はゲル浸透クロマトグラフィーを用いたポリスチレン換算分子量で算出した数平均分子量のことである。
また、機能性材料(B)は、単独で自立膜を形成できない化合物を含んでいてもよい。本樹脂シートは機能性材料(B)が単独で自立膜を形成できなくても、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を充填させることによって機能性材料(B)をシート化することが可能である。ここで、本明細書において、自立膜とは他の支持体が存在しなくとも膜としての形状を保つことができる膜をいい、例えば引張強度及び引張伸度等の機械的特性を測定できるものをいう。
本樹脂シートにおける機能性材料(B)の含有量は、機能性材料(B)に基づく機能をより向上させる観点、並びに、突刺し強さ及び引張伸度等の機械的特性をより向上させる観点から、多孔性樹脂フィルム(A)100質量部に対して、好ましくは100質量部以上、より好ましくは150質量部以上、更に好ましくは200質量部以上、更に好ましくは250質量部以上、更に好ましくは300質量部以上であり、本樹脂シートの引張強度をより向上させる観点から、好ましくは3,000質量部以下、より好ましくは2,500質量部以下、更に好ましくは2,000質量部以下、更に好ましくは1,500質量部以下、更に好ましくは1,000質量部以下、更に好ましくは800質量部以下、更に好ましくは600質量部以下である。
[樹脂シートの特性]
(突刺し強さ)
本樹脂シートにおいて、JIS Z1707:2019に準拠して測定される、突刺し強さは、好ましくは1.0N以上、より好ましくは1.2N以上、更に好ましくは1.5N以上、更に好ましくは2.0N以上、更に好ましくは2.5N以上である。前記突刺し強さの上限値は特に限定されないが、他のフィルム物性とのバランスを考慮して、例えば、20.0N以下、好ましくは15.0N以下、より好ましくは10.0N以下、更に好ましくは5.0N以下、更に好ましくは3.0N以下である。
突刺し強さは、JIS Z1707:2019に準拠して測定した値であり、試験片をジグで固定し、測定温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下で、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を試験速度150mm/分で突き刺し、針が貫通するまでの最大力(N)である。
(引張強度)
本樹脂シートにおいて、JIS K7127:1999に準拠して測定される、シート面と平行な少なくとも1方向(X方向)の引張強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上、更に好ましくは18MPa以上、更に好ましくは20MPa以上である。前記引張強度の上限値は特に限定されないが、他のフィルム物性とのバランスを考慮して、例えば、300MPa以下、好ましくは200MPa以下、より好ましくは150MPa以下、更に好ましくは100MPa以下、更に好ましくは80MPa以下、更に好ましくは60MPa以下である。
引張強度は、JIS K7127:1999に準拠して、引張試験機を用いて、測定方向の長さ50mm、幅10mmの試験片を用いて、測定温度23±2℃、チャック間距離20mm、試験速度200mm/分の条件で測定した値である。
また、本樹脂シートにおいて、JIS K7127:1999に準拠して測定される、前記X方向の引張強度(fx)と、前記シート面に平行で前記X方向と直角な方向(Y方向)の引張強度(fy)との比(fx/fy)は、本樹脂シートの引張伸度をより向上させる観点から、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.5以下である。前記(fx/fy)は低いほど好ましいため、下限は特に限定されないが、例えば1.0以上であり、1.1以上であってもよい。ただし、fx≧fyとする。
(引張伸度)
本樹脂シートにおいて、JIS K7127:1999に準拠して測定される、シート面と平行な少なくとも1方向(X方向)の引張伸度は、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上、更に好ましくは20%以上である。前記引張伸度の上限値は特に限定されないが、他のフィルム物性とのバランスを考慮して、例えば、200%以下、好ましくは150%以下、より好ましくは100%以下、更に好ましくは80%以下、更に好ましくは60%以下、更に好ましくは40%以下である。
引張伸度は、JIS K7127:1999に準拠して、引張試験機を用いて、測定方向の長さ50mm、幅10mmの試験片を用いて、測定温度23±2℃、チャック間距離20mm、試験速度200mm/分の条件で測定した値である。
本樹脂シートにおいて、多孔性樹脂フィルム(A)の融点(Tma)と機能性材料(B)の融点(Tmb)との差(Tma-Tmb)は、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔への機能性材料(B)の充填性の観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、更に好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上、更に好ましくは100℃以上、更に好ましくは120℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは150℃以下である。
本樹脂シートの厚さは特に限定されないが、突刺し強さ及び引張伸度等の機械的特性、コスト、取扱い性、外観、透明性、成形性、軽量性等の所望の目的に応じて任意に設定することができ、特に限定されないが、本樹脂シートの機械的特性をより向上させる観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、更に好ましくは40μm以上、更に好ましくは50μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、更に好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
[樹脂シートの製造方法]
本発明の樹脂シートの製造方法は、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を充填させる工程を含む。
多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を充填させる方法としては特に限定されないが、多孔性樹脂フィルム(A)の表面上に機能性材料(B)の粉体やペレット、フィルム状物を配置した後に加圧する方法;機能性材料(B)を溶融又は溶媒や熱可塑性樹脂等の流動性に優れた化合物に分散あるいは溶解させて液状物にし、その液状物に多孔性樹脂フィルム(A)を浸漬して引き上げた後に乾燥又は冷却する方法;機能性材料(B)を溶融又は溶媒や熱可塑性樹脂等の流動性に優れた化合物に分散あるいは溶解させて液状物にし、その液状物を多孔性樹脂フィルム(A)の上側又は上下両側から塗布又は注入・圧入して乾燥又は冷却する方法等が挙げられる。塗布、注入、圧入の方法としては、一般的なコーティング方法(スプレー法、カーテン法、グラビア法、スロットダイ法、ナイフコート法等)や押出方法、濾過方法(減圧濾過、吸引濾過、加圧濾過等)等を選択できる。機能性材料(B)を充填した後に本発明の樹脂シートの厚みや表面の平滑性、パターンを付加するためにカレンダー処理やプレス処理、ラミネート処理を行うことができる。
[用途]
本発明の樹脂シートは、種々の機能性材料(B)に基づいた機能を有することができるため、種々の用途での幅広い利用が期待される。本発明の樹脂シートは、例えば、機能性材料(B)として前述した高熱容量材料、高熱伝導材料、高導電材料、電解質材料、治癒促進材料等をそれぞれ使用することで、蓄熱シート、放熱シート、導電シート、電解質シート、誘電体シート、磁性シート、吸水シート、低たんぱく吸着シート、創傷被覆シート等としてそれぞれ好適に用いることができる。
本発明の樹脂シートは、多孔性樹脂フィルム(A)を有するため、取り扱い時に破れにくい、ある程度の柔軟性を有しているといった点で、シートとして取り扱いが容易な点においても有用である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の樹脂シート及び樹脂シートの製造方法について更に詳しく説明する。本発明は、これら実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。また、シートの押出機からの流れ方向を(MD)と表記し、MDの直交方向を(TD)と表記する場合がある。
[原料]
実施例及び比較例で用いる多孔性樹脂フィルム及び樹脂シートの製造に用いた原材料は、以下のとおりである。
(多孔性樹脂フィルム(A))
多孔性樹脂フィルム(A1):以下の製造例1に従って作製された多孔性樹脂フィルム
多孔性樹脂フィルム(A2):以下の製造例2に従って作製された多孔性樹脂フィルム
(機能性材料(B))
・機能性材料(B1):1-テトラデカノール(分子量:214、融点:36℃)
・機能性材料(B2):イコサン(分子量:282、融点:34℃)
・機能性材料(B3):オクタデカン(分子量:254、融点:25℃)
[多孔性樹脂フィルム(A)の製造]
製造例1
ポリプロピレン(「ノバテックPP FY6HA」、MFR:2.4g/10分、日本ポリプロ株式会社製)70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(セプトン8004、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン含有量31質量%、株式会社クラレ製、MFR:<0.1g/10分)30質量%の割合で混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混錬し、ストランドダイから押出して水槽にて冷却したのち、ストランドをペレタイザーにてカットすることで樹脂組成物のペレットを得た。
前記樹脂組成物のペレットを単軸押出機に投入し、200℃で溶融させ、Tダイよりシート状の溶融樹脂を押出し、延伸前シートを得た。
次いで、得られた延伸前シートを縦延伸機にて20℃に設定したロールにおいて、ドロー比100%(縦延伸倍率2.0倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール間において、更にドロー比50%(縦延伸倍率1.5倍)を掛けて高温延伸を行った。縦延伸後のフィルムは、フィルムテンター設備(京都機械株式会社製)にて、130℃の温度で横方向に3.0倍延伸した後、140℃で熱処理を行い、多孔性樹脂フィルム(A1)を得た。
製造例2
ポリプロピレン(「ノバテックPP FY6HA」、MFR:2.4g/10分、日本ポリプロ株式会社製)70質量%、スチレン系熱可塑性エラストマー(セプトン2005、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン含有量20質量%、株式会社クラレ製、MFR:流動せず測定不可)30質量%の割合で混合して、二軸押出機にて230℃で溶融混錬し、ストランドダイから押出して水槽にて冷却したのち、ストランドをペレタイザーにてカットすることで樹脂組成物のペレットを得た。
前記樹脂組成物のペレットを単軸押出機に投入し、200℃で溶融させ、Tダイよりシート状の溶融樹脂を押出し、延伸前シートを得た。
次いで、得られた延伸前シートを縦延伸機にて20℃に設定したロールにおいて、ドロー比100%(縦延伸倍率2.0倍)を掛けて低温延伸を行った。次いで、120℃に設定したロール間において、更にドロー比50%(縦延伸倍率1.5倍)を掛けて高温延伸を行った。縦延伸後のフィルムは、フィルムテンター設備(京都機械株式会社製)にて、130℃の温度で横方向に3.0倍延伸した後、140℃で熱処理を行い、多孔性樹脂フィルム(A2)を得た。
[樹脂シートの製造]
実施例1
まず、機能性材料(B1)を60℃の湯煎で液体にした。
次いで、多孔性樹脂フィルム(A1)を液状の機能性材料(B1)に浸漬して引き上げた後、機能性材料(B1)を含む多孔性樹脂フィルム(A1)をポリイミドフィルムで上下面を挟み、さらに鉄板で挟み、60℃のオーブン内で10分間保持した。10分後、得られたシートをオーブンから2枚の鉄板で挟んだまま取り出し、室温に戻るまで冷却した。その後、鉄板やポリイミドフィルムを外すことで、多孔性樹脂フィルム(A1)の空孔に機能性材料(B1)が充填された樹脂シートを得た。
実施例2
機能性材料(B1)を機能性材料(B2)に変更し、機能性材料(B2)の含有量が表2に示す値になるようにした以外は実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
実施例3
機能性材料(B1)を機能性材料(B3)に変更し、機能性材料(B3)の含有量が表2に示す値になるようにした以外は実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
実施例4
多孔性樹脂フィルム(A1)を多孔性樹脂フィルム(A2)に変更し、機能性材料(B1)の含有量が表2に示す値になるように、機能性材料(B1)の使用量を変更した以外は実施例1と同様にして樹脂シートを作製した。
比較例1
機能性材料(B1)を鉄板、ポリイミドフィルム、内部がくり抜かれた金枠の順に重ねた上の金枠中央のポリイミドフィルム上に移した。その後、もう1枚のポリイミドフィルムにて上部を覆い、もう1枚の鉄板をさらに重ねた後、電熱プレス機にて、熱プレスを行った。電熱プレス機の設定温度は、上面、下面ともに60℃とし、油圧の保持圧を一定にした状態にて、3分間保持した。3分後、油圧を開放し、2枚の鉄板で挟んだまま室温まで冷却した。その後、鉄板やポリイミドフィルム、金枠を外すことで、機能性材料(B1)からなるシートを得た。評価に供するため、シートを取り出そうとすると、シートが脆く崩れてしまった。
比較例2
機能性材料(B2)を準備し、比較例1と同様にシートを作製した。評価に供するため、シートを取り出そうとすると、シートが脆く崩れてしまった。
比較例3
機能性材料(B3)を準備し、比較例1と同様にシートを作製した。評価に供するため、シートを取り出そうとすると、シートが脆く崩れてしまった。
比較例4
多孔性樹脂フィルム(A1)を準備し評価を行った。
比較例5
多孔性樹脂フィルム(A2)を準備し評価を行った。
[物性評価及び測定]
各多孔性樹脂フィルム(A)及び樹脂シートに関し、以下に示す方法により、各種物性評価及び測定を行った。得られた結果を表1及び2に示す。また、表2に記載した多孔性樹脂フィルム(A)及び機能性材料(B)の比率の単位は質量部である。
(1)厚さ
JIS K7130:1999に準拠して、スタンドタイプ定圧厚さ測定器にて無作為に10点測定し、その平均値を厚さとした。
(2)平均孔径
パームポロメーター(Porous Materials社製)を用いて測定した。試液としてポリヘキサフルオロプロペン系液体「GALWICK」(Porous Materials社製、表面張力:15.6dynes/cm)を使用し、ASTM F316-86に準拠して測定した。
(3)空孔率
測定試料の実質量Wを測定し、多孔性樹脂フィルム(A)を構成する樹脂組成物の密度に基づいて空孔率が0%の場合の質量Wを計算し、これらの値から下記式に基づいて空孔率を算出した。
空孔率(%)={(W-W)/W}×100
(4)融点、融解熱量
示差走査熱量計(DSC)を用いて、多孔性樹脂フィルム(A)、機能性材料(B)及び各実施例、比較例で作製した樹脂シートの融点を測定した。測定は、測定試料(約10mg)を加熱速度10℃/分で-60℃から200℃まで昇温したときに測定されたサーモグラムプロファイルにおいて、融点(Tm)を算出した。また、得られたサーモグラムプロファイルのピークの面積から算出される熱量が最大のピークを示す融点を融点2とし、その熱量を融解熱量とした。
(5)MFR
各樹脂のMFRは、JIS K7210-1:2014に準拠して温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
(6)樹脂シート中の多孔性樹脂フィルム(A)の含有量
樹脂シート中の多孔性樹脂フィルム(A)の含有量(質量%)は、多孔性樹脂フィルム(A)の質量(W)と、機能性材料(B)が充填された樹脂シートの質量(W)を測定し、下記式に基づいて算出した。
樹脂シート中の多孔性樹脂フィルム(A)の含有量(質量%)=100×W/W
(7)突刺し強さ
JIS Z1707:2019を参考にして試験速度を変更して、樹脂シートの突刺し強さを測定した。より具体的には、樹脂シートの試験片をジグで固定し、測定温度23±2℃、相対湿度50±10%の環境下で、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を試験速度150mm/分で突き刺し、針が貫通するまでの最大力(N)を突刺し強さとした。
(8)引張強度及び引張伸度
JIS K7127:1999に準じた方法により、樹脂シートのMD及びTD方向の引張強度及び引張伸度をそれぞれ測定した。測定条件は、引張速度200mm/分、雰囲気温度23℃とした。測定装置は、引張試験機(製品名:オートグラフAG-X、株式会社島津製作所製)を用いた。試験片は、樹脂シートから測定方向の長さ50mm、幅10mmの長方形に切り出したものを用いた。試験片の長さ方向の両端部をチャック間距離20mmでチャックし、クロスヘッドスピード200mm/分で引っ張り、MD方向及びTD方向の引張強度及び引張伸度をそれぞれ3回測定し、その平均値を求めた。
また、MD方向の引張強度とTD方向の引張強度の比をMD/TD強度比として算出した。
Figure 2023064466000001
Figure 2023064466000002
多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を充填した実施例1~4の樹脂シートは、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を充填していない比較例4~5の多孔性樹脂フィルム(A)に比べて、融解熱量、並びに、突刺し強さ及び引張伸度等の機械的特性が向上していた。ここで、機能性材料(B1)~機能性材料(B3)は融解熱量が高い高熱容量材料である。すなわち、多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に高熱容量材料を充填することによって、多孔性樹脂フィルム(A)に対して、高熱容量材料に基づく機能(熱容量)を向上させることができたことが理解できる。
また、実施例1~4と比較例1~3の比較から分かるように、機能性材料(B1)~機能性材料(B3)は自立膜を形成することができず、単独でシートにすることはできなかったが、実施例1~4の樹脂シートのように多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に充填させることによって機能性材料(B1)~機能性材料(B3)をシート化することができた。
実施例1~4のシートはいずれもある程度の機械的特性を有しており、曲げ等の変形も可能であり、取り扱いに容易なシートであった。

Claims (15)

  1. 多孔性樹脂フィルム(A)と、前記多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に充填された機能性材料(B)とを含む、樹脂シート。
  2. JIS K7127:1999に準拠して測定される、シート面と平行な少なくとも1方向(X方向)の引張伸度が15%以上である、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 厚さが10μm以上300μm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂シート。
  4. 前記多孔性樹脂フィルム(A)の平均孔径が0.01μm以上5.0μm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂シート。
  5. JIS Z1707:2019に準拠して測定される、突刺し強さが1.0N以上である、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂シート。
  6. 前記機能性材料(B)の分子量が100以上6,000以下である、請求項1~5のいずれかに記載の樹脂シート。
  7. 前記機能性材料(B)は23℃で固体状である、請求項1~6のいずれかに記載の樹脂シート。
  8. 前記機能性材料(B)の融点が20℃以上100℃以下である、請求項1~7のいずれかに記載の樹脂シート。
  9. 前記機能性材料(B)が、単独で自立膜を形成できない化合物を含む、請求項1~8のいずれかに記載の樹脂シート。
  10. 前記機能性材料(B)が、炭素数が16以上50以下の炭化水素化合物、炭素数が12以上34以下のアルコール化合物、炭素数が17以上62以下のエステル化合物、及び炭素数が10以上32以下のカルボン酸化合物からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1~9のいずれかに記載の樹脂シート。
  11. 前記機能性材料(B)が、高熱容量材料、高熱伝導材料、高導電材料、電解質材料、高誘電材料、高磁性材料、高吸水材料、低たんぱく吸着材料、及び、治癒促進材料からなる群から選択される少なくとも一種を含む、請求項1~10のいずれかに記載の樹脂シート。
  12. 前記多孔性樹脂フィルム(A)は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として含む、請求項1~11のいずれかに記載の樹脂シート。
  13. 前記機能性材料(B)の含有量が、前記多孔性樹脂フィルム(A)100質量部に対して、100質量部以上3,000質量部以下である、請求項1~12のいずれかに記載の樹脂シート。
  14. 蓄熱シート、放熱シート、導電シート、電解質シート、誘電体シート、磁性シート、吸水シート、低たんぱく吸着シート又は創傷被覆シートである、請求項1~13のいずれかに記載の樹脂シート。
  15. 多孔性樹脂フィルム(A)の空孔に機能性材料(B)を充填させる工程を含む、請求項1~14のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
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