JP2007321116A - ポリオレフィン樹脂多孔膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】セパレータとして用いた場合の高容量化や大出力化が実現可能で、製膜時の安定性にも優れた、孔径が小さく、空隙率が高く、強度に優れたポリオレフィン樹脂多孔膜を提供する。
【解決手段】結晶性ポリプロピレン(A)と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)とからなる特定のポリオレフィン樹脂(C)と、重量平均分子量Mwが3×10〜1×10の範囲である高密度ポリエチレン(D)を含有する樹脂組成物(F)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、この膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された多孔膜であって、共重合体(B)領域に、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂多孔膜に関する。詳しくは、分離膜や電池セパレータ等に好適なポリオレフィン樹脂多孔膜に関する。
連通した細孔を有するプラスチック多孔膜は様々な用途に用いられており、医療用、工業用の濾過、分離等に用いられる分離膜や、電池セパレータ、電解コンデンサー用セパレータ等のセパレータ、更に紙おむつ用バッグシート等の衛生材料、ハウスラップや屋根下地材等の建材等に広く使用されている。特に、ポリオレフィン樹脂多孔膜は有機溶剤やアルカリ性または酸性の溶液に対する耐性を有するため、これら用途に広く好適に使用されている。
ポリオレフィン樹脂多孔膜の製造方法としては次のものが知られている。
(a)ポリオレフィン樹脂にシリカやタルク等の無機質充填剤やポリオレフィンと非相溶性のナイロンやポリエチレンテレフタレート等の有機質充填剤を混合して成形したシートを、少なくとも一方向に延伸し、マトリックスポリマーと充填剤の界面に空隙(細孔)を生じさせる方法(以下「多成分延伸法」という)が開示されている。
(b)高ドラフト比で製膜した結晶性ポリプロピレンのシートを、必要に応じて加熱処理し、少なくとも一方向に延伸し、結晶ラメラ間をフィブリル化させ多孔膜を得る方法(以下「単成分延伸法」という)が開示されている。
(c)ポリオレフィン樹脂に有機液状体や無機質充填剤等を混合して成形したシートから、該有機液状体や無機質充填剤を抽出し、必要に応じ該抽出の前後に延伸を行う方法(以下「混合抽出法」という)が開示されている。
上記(a)の多成分延伸法には、無機質充填剤混合系と有機質充填剤混合系が知られているが、前者の場合、無機質充填剤の添加量を多くする必要があり、マトリックスポリマーであるポリオレフィン本来の物性や風合いが低下したり、酸・アルカリに弱い等の課題があった。また、後者の有機質充填剤混合系では、ポリオレフィン本来の物性や風合いが低下するだけでなく、マトリックスポリマーへの有機質充填剤の微分散が難しく、細孔の孔径が小さい多孔膜や空隙率の大きい多孔膜が得られ難い等の課題がある。
上記(b)の単成分延伸法は、高ドラフト比で製膜した膜状成形物を別工程で長時間に渡り熱処理した後、特殊な条件下で多段延伸を行うものであり、方法が特殊なだけでなく、製造に長時間を要し、生産性が低いという課題があった。また、結晶ラメラ間をフィブリル化させるため、空隙率の大きい多孔膜が得られ難く、更に、高配向でかつ高結晶化されたシートを延伸するため、得られた多孔膜が裂けやすいという課題を有している。
上記(c)の混合抽出法は、シート中の有機液状体を有機溶媒にて、また、無機質充填剤をアルカリ性溶媒にて抽出する工程、抽出後のシートを洗浄及び乾燥する工程からなり、製造工程が複雑であった。また、有機液状体を用いる場合は、シート中の有機液状体の含有率が40〜60重量%にも達するため、高速製膜性や延伸性に課題がある他に、各工程でロール等への有機液状物の付着等が発生し、生産性に課題がある。
一方、容易に多孔膜を得る方法として、エチレン−プロピレンブロックコポリマーからなる成分Aとプロピレンホモポリマーまたはランダムコポリマーからなる成分B及び低分子量ポリプロピレンからなる成分Cに、必要に応じ炭酸カルシウムからなる成分Dやベータ球晶成核剤からなる成分Eを添加した高分子性組成物からなる多孔膜及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、エチレン−プロピレンブロックコポリマー単独または必要に応じポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂を併用した結晶性ポリオレフィン樹脂に融点が100℃以下の鉱物油やエステル化合物を含有させた多孔性シートが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
これらの技術では、エチレン−プロピレンブロックコポリマーだけでは十分な多孔性及び通気性を示さないため、多成分系によりその改良を図っているが、該成分系では多孔膜中に形成された細孔の径が大きいため、多孔膜厚みの薄肉化に難があったり、高空隙率化が難しく通気度や透湿度の向上が図りにくい等の課題を有しており、小さな細孔の径を必要とする電池セパレータや高い空隙率と通気度を必要とする精密濾過用フィルタに使用することは難しい。
本発明者らは、従来のポリオレフィン樹脂多孔膜に関する前記課題を解決すべく樹脂の組成を単純にすることによって、生産工程における均一分散の実現を容易にし、単純な樹脂組成にも関わらず、細孔径が小さく空隙率が高いポリオレフィン樹脂多孔膜を提供する方法(特願2002−134232、特願2003−37456)を開発した。
しかしながら、特願2002−134232、特願2003−37456のポリオレフィン樹脂多孔膜は、多孔特性、電池用セパレータとして良好な物性を有しているが、孔径が大きく、空隙率が低く、電気自動車用やハイブリッド自動車用二次電池用のセパレータとしてのより高容量化、大出力化や高強度化には、必ずしも十分対応ができないでいた。また、膜状溶融物を膜状成形物に成形する際ロールへの粘着・取られが頻繁に発生し、高製膜安定性にも十分満足できるものではなかった。
特開平4−309546号公報 特開平8−208862号公報
本発明は、セパレータとして用いた場合の高容量化や大出力化が実現可能で、製膜時の安定性にも優れた、孔径が小さく、空隙率が高く、強度に優れたポリオレフィン樹脂多孔膜を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、結晶性ポリプロピレン(A)と、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)とからなる特定のポリオレフィン樹脂(C)と、重量平均分子量Mwが3×10〜1×10の範囲である高密度ポリエチレン(D)を含有する樹脂組成物(F)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、この膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された多孔膜であって、共重合体(B)領域に、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜によって本課題が解決されることを見出しこの知見に基づいて本発明を完成した。尚、本発明において連通した細孔とは、共重合体(B)領域に連続的に形成され、結果的に多孔膜の両面をつなぐ経路となる細孔をいう。
1.結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%と結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)60〜95重量%と、重量平均分子量Mwが3×10〜1×10の範囲である高密度ポリエチレン(D)5〜40重量%とを含有する樹脂組成物(F)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された膜であって、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
2.結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%と結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)30〜95重量%と、重量平均分子量Mwが3×10〜1×10の範囲である高密度ポリエチレン(D)5〜40重量%と、メルトマスフローレイトMFR(E)が0.1g/10min以上2g/10min未満の範囲である結晶性ポリプロピレン(E)0〜30重量%とを含有する樹脂組成物(F)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された膜であって、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
3.結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトMFRPPとプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトマスフローレイトMFRRCのメルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRCが10より大きく1,000以下の範囲である前記1または2項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
4.膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜5の範囲である前記1〜3項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
5.プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が30〜80重量%である前記1〜4項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
6.プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が40〜70重量%である前記1〜4項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
7.ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られる前記1〜6項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
8.多孔膜の透気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000s/100mlの範囲、透湿度が200〜10,000g/m・24hの範囲である前記1〜7項のいずれか1項記載のポリオレフィンポリオレフィン樹脂多孔膜。
9.樹脂組成物(F)を膜状成形物に成形する製膜法がカレンダー成形法である前記1〜8項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
10.結晶性ポリプロピレン(A)30〜90重量%と結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)10〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)60〜95重量%と、重量平均分子量Mwが3×10〜1×10の範囲である高密度ポリエチレン(D)5〜40重量%とを含有する樹脂組成物(F)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された膜であって、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
11.結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトMFRPPとプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトマスフローレイトMFRRCのメルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRCが0.1〜10である前記10項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
12.膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜3の範囲である前記10または11項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
13.メルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRCが0.2〜5の範囲である前記10〜12項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
14.ポリオレフィン樹脂(C)が結晶性ポリプロピレン(A)40〜70重量%とポリプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜60重量%とからなる前記10〜13項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
15.プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が30〜80重量%である前記10〜14項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
16.プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が40〜70重量%である前記10〜14項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
17.ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られる前記10〜16項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
18.多孔膜の透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000s/100mlの範囲、透湿度が1,000〜20,000g/m・24hの範囲である前記10〜17項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
19.樹脂組成物(F)を膜状成形物に成形する製膜法がカレンダー成形法である前記10〜18項のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、特定の加工方法のもと、結晶性ポリプロピレン(A)中にプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が微分散した特定のポリプロピレン樹脂(C)に、特定の高密度ポリエチレン(D)を併用することで、低温時の延伸性を向上させ、また、共重合体(B)領域内のラメラ結晶を発達させ、共重合体(B)のラメラ間の開裂が盛んとなり、空隙率、通気度や細孔径等の多孔膜特性に優れた多孔膜である。また、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、従来のような複雑な製造工程を用いないで得られる経済的な多孔膜であり、連通した微細孔を必要とする分離膜、電池セパレータ、通気防水材等の用途に好適に使用することができる。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
(1)樹脂組成物(F)
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜には、結晶性ポリプロピレン(A)とプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)とからなり結晶性ポリプロピレン(A)のマトリックス中に共重合体(B)がドメインとして微分散しているポリオレフィン樹脂(C)と、高密度ポリエチレン(D)とからなる樹脂組成物(F)が使用される。また、ポリオレフィン樹脂多孔膜の細孔径をより小さくするため、樹脂組成物(F)のポリオレフィン樹脂(C)または高密度ポリエチレン(D)の一部の代わりに、特定メルトマスフローレイトを持つ結晶性ポリプロピレン(E)が使用される。
(i)結晶性ポリプロピレン(A)
結晶性ポリプロピレン(A)は、主としてプロピレン重合単位からなる結晶性の重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリプロピレンである。具体的には、プロピレンの単独重合体であってもよく、また、プロピレン重合単位90重量%以上とα−オレフィン10重量%以下とのランダムまたはブロック共重合体であってもよい。結晶性ポリプロピレン(A)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位の含量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
また、結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトMFRPPは、製膜の安定性から、樹脂組成物(F)に結晶性ポリプロピレン(E)が使用されない場合は0.1〜50g/10minの範囲のものが好ましく、樹脂組成物(F)に結晶性ポリプロピレン(E)が使用される場合は2〜50g/10minの範囲のものが好ましい。
(ii)プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)は、プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体である。プロピレン重合単位の含量は、共重合体(B)全体に対し重量基準で30〜80重量%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは35〜75重量%、更に好ましくは40〜70重量%である。プロピレン重合単位の含量が前記範囲より多過ぎる場合には、結晶性ポリプロピレン(A)のマトリックス中に存在する共重合体(B)領域に細孔が形成されにくく、また、プロピレン重合単位の含量が前記範囲より少なすぎる場合には、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)の界面剥離が生じ易くなるため低温延伸性が低下し、細孔径も大きなものとなり易い。
共重合体(B)に使用されるプロピレン以外のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。このうちα−オレフィンとしてエチレンを用いたプロピレン−エチレン共重合体が、製造コストの点から好ましく用いられる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトマスフローレイトMFRRCは特に限定されないが、0.05〜20g/10minの範囲が成形加工性に優れるため好適である。
(iii)ポリオレフィン樹脂(C)
ポリオレフィン樹脂(C)は、結晶性ポリプロピレン(A)とプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)からなる。結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトMFRPPとプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトマスフローレイトMFRRCとのメルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRC(以下、「MFR比」という)は、特に限定されないが、成形加工性の観点から0.1〜1,000が好ましい。
中でも、MFR比が、0.1〜10、特に0.2〜5の場合には、共重合体(B)が結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散するために微細で連通した細孔が得られ易く、微細な細孔同士の接触点が増加し、JIS P8117に規定される透気抵抗度(ガーレー)が小さく、通気性の大きな多孔膜が得られ易い。また、延伸性に優れるために空隙率の高い多孔膜が得られ易く、通気性も一層大きくなる。
MFR比が10より大きく1,000以下の場合は、延伸により形成される細孔の孔径は、MFR比が、0.1〜10の場合に比べて大きく、連通した細孔の割合が低下する傾向があるが、樹脂組成物が製膜条件や延伸条件の変動の影響を受け難いため、特性の安定した多孔膜が得られ易い。
(iv)高密度ポリエチレン(D)
高密度ポリエチレン(D)は、主としてエチレン重合単位からなる重合体であり、好ましくはエチレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリエチレンである。具体的には、エチレンの単独重合体であってもよく、また、エチレン重合単位90重量%以上とα−オレフィン10重量%以下との共重合体であってもよい。高密度ポリエチレン」(E)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位の含量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
特定の高密度ポリエチレン(D)を併用することで、共重合体(B)領域内のラメラ結晶を発達させ、共重合体(B)のラメラ間の開裂が盛んとなり、空隙率、通気度や細孔径等の多孔膜特性が向上する。高密度ポリエチレン(D)の重量平均分子量Mwは3×10〜1×10である。また、添加量は、5〜40重量%である。重量平均分子量Mw及び添加量が、この範囲であれば、製膜時のロールへの粘着がなく、また、共重合体(B)領域内のラメラ結晶が十分で多孔性が改善され、延伸性にも問題がない。
(v)結晶性ポリプロピレン(E)
結晶性ポリプロピレン(E)は、主としてプロピレン重合単位からなる結晶性の重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位が全体の90重量%以上であるポリプロピレンである。具体的には、プロピレンの単独重合体であってもよく、また、プロピレン重合単位90重量%以上とα−オレフィン10重量%以下とのランダムまたはブロック共重合体であってもよい。結晶性ポリプロピレン(E)が共重合体の場合に使用されるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。このうち、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位の含量が90重量%以上のプロピレン−エチレン共重合体を用いるのが、製造コストの点から好ましい。
結晶性ポリプロピレン(E)のメルトマスフローレイトMFR(E)は0.1g/10min以上2g/10min未満、好ましくは0.1〜1.5g/10minの範囲である。また、添加量は、0.1〜30重量%、好ましくは5〜30重量%であり、この範囲であれば、ポリオレフィン樹脂多孔膜を形成する際の延伸性にも問題がなく、細孔径の小さな多孔膜が形成される。
本発明においては、上述のMFR比が0.1〜10の場合には、透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000s(秒)/100ml、透湿度が1,000〜20,000g/m・24hの多孔膜を得ることができる。該多孔膜では、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面観察によれば、0.1〜0.5μmの微細な細孔が多数連なっており、細孔径の長軸の最大値が0.5μm以下の微細な細孔が認められる。
MFR比が10より大きく1,000以下の場合には、透気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000s/100ml、透湿度が200〜10,000g/m・24hの多孔膜を得ることができる。該多孔膜では、SEMによる断面観察によれば、0.5μm前後の細孔が多数連なっており、細孔径の長軸の最大値が1.0μm以下の細孔が認められる。このような多孔膜は、高いろ過精度が求められる分離膜、電池セパレータ、通気防水材等の建築資材分野、使い捨ておむつ用通気性シート等の衛材分野等に好適に使用可能である。
なお、電池セパレータの場合、電池の誤使用等により電池内部が異常に温度上昇し発火等の事故が生じるのを防止するために、ある程度の温度に達したらセパレータが膜破れすることなく細孔を閉塞して電流をシャットダウンする機能(以下「シャットダウン機能」という)が求められており、膜破れする温度Tと細孔を閉塞する温度(以下「シャットダウン温度」という)Tの差ΔT=T−Tを大きくし、かつ、より早い段階で異常反応を停止し温度上昇を抑えるべくシャットダウン温度を低減することが望まれているが、本発明において、 MFR比が0.1より大きく1,000以下の場合には、膜破れ温度Tとシャットダウン温度Tの差が20℃以上とすることができることから、特に電池セパレータとして好適に用いることができる。この電池セパレータとしての優れたシャットダウン機能は MFR比が10より大きく1,000以下とすることにより、細孔径が小さく閉塞しやすいこと、また、共重合体(B)自体が占める領域の中での細孔形成が多く、共重合体(B)が相溶性を有するマトリックスポリマーと強固に絡み合い、マトリックスポリマーが共重合体(B)の熱収縮を抑えることが原因と推察される。
ポリオレフィン樹脂(C)における、結晶性ポリプロピレン(A)の含量は30〜90重量%、好ましくは40〜70重量%であり、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の含量は10〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。共重合体(B)の含量が10重量%未満の場合には、共重合体(B)領域に形成された細孔の連なりが少なくなることから本発明の連通した細孔が得られにくく、70重量%を超える場合には、結晶性ポリプロピレン(A)中に存在する共重合体(B)の微分散構造が得られ難くなる。 尚、MFR比が10より大きく1,000以下の場合は、ポリオレフィン樹脂(C)における、結晶性ポリプロピレン(A)の含量は30〜70重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましく、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の含量は70〜30重量%が好ましく、60〜40重量%がより好ましい。結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)の含量が上記の範囲であれば連通した細孔が得られ共重合体(B)の分散性も良い。
前記ポリオレフィン樹脂(C)の製造方法は特に限定されず、上記の条件を満足すれば、いかなる製造方法を用いてもよい。例えば、各々別個に重合して得られた結晶性ポリプロピレン(A)とプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)とを溶融混練等によって混合することによりポリオレフィン樹脂(C)を製造してもよい。具体的には、チタン担持触媒等のチーグラーナッタ触媒を用いて重合したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)や共重合体(B)に該当する市販のエチレン−プロピレンゴムと結晶性ポリプロピレン(A)とを溶融混合する方法が例示できる。
また、結晶性ポリプロピレン(A)と共重合体(B)とを多段重合により連続的に重合することによってポリオレフィン樹脂(C)を製造してもよい。例えば、複数の重合器を使用し、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、引続き2段目で結晶性ポリプロピレン(A)の存在下に共重合体(B)を製造し、ポリオレフィン樹脂(C)を連続的に製造する方法が例示できる。この連続重合法は、上記した溶融混合法に比べて製造コストが低く、また、結晶性ポリプロピレン(A)中に共重合体(B)が均一に分散したポリオレフィン樹脂(C)が安定して得られるため好ましい。
本発明において、特に好ましいポリオレフィン樹脂(C)は、上記連続重合法により製造し、前記MFR比を1、000以下、更に好ましくは0.2〜800の範囲となるように調整したものである。MFR比をこの範囲とすることにより、結晶性ポリプロピレン(A)中に共重合体(B)が均一にかつ微細に分散するため、ポリオレフィン樹脂(C)の延伸処理を行う際に、結晶性ポリプロピレン(A)中に分散した共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に均一かつ微細な細孔が生じ、その結果、細孔径が小さく空隙率の大きい多孔膜が得られる。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜には、結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散した共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に微細な開裂が多数認められる。プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)が一定以上のプロピレン成分を含有するために結晶性ポリプロピレンと相溶性を有しており、また、高密度ポリエチレン(D)が共重合体(B)と相溶性を有するため、共重合体(B)領域内にラメラ結晶が発達するため、この結晶性ポリプロピレン(A)と相溶性を有する共重合体(B)領域のラメラ結晶間領域が、結晶性ポリプロピレン(A)より低強度であるため、延伸応力により共重合体(B)領域内のラメラ結晶間で開裂が発生したと推察される。このメカニズムは従来の無機質フィラーや異種ポリマーを混合及び延伸した多成分延伸法と根本的に異なるところであり、その結果、得られた多孔膜は、細孔径が小さく、空隙率や通気度が大きいものとなっている。
尚、本発明において共重合体(B)領域とは、共重合体(B)自体が占める領域、及び共重合体(B)とそれに隣接する物質との境界領域をいう。従って、共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に生じる細孔には、共重合体(B)領域内のラメラ結晶とラメラ結晶間で生じる開裂による細孔、及び結晶性ポリプロピレン(A)等と共重合体(B)領域内のラメラ結晶との境界領域で生じる界面剥離による細孔が含まれる。
前記のようなMFR比を有するポリオレフィン樹脂(C)は、具体的には国際公開第97/19135号パンフレット、特開平8−27238号公報等に記載されている方法により製造することができる。
尚、ポリオレフィン樹脂(C)は前記の方法で製造することができる他に、市販品の中から所望の仕様のものを選択して用いてもよい。
尚、前記MFR比は、通常は結晶性ポリプロピレン(A)のMFRPP及びプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のMFRRCを各々測定することにより求められる。しかし、ポリプロピレン樹脂を多段重合により連続的に製造した場合(最初に結晶性ポリプロピレン(A)を重合し、次いで共重合体(B)を重合する場合)は、共重合体(B)のMFRRCを直接測定できないため、直接測定可能な結晶性ポリプロピレン(A)のMFRPP、得られるポリオレフィン樹脂(C)のメルトフローレートMFRWHOLE及びポリオレフィン樹脂(C)中の共重合体(B)の含有量WRC(重量%)から、下記式によりMFRRCを算出して、MFR比を求めることができる。
log(MFRRC)={log(MFRWHOLE)−(1−WRC/100)log(MFRPP)}/(WRC/100)
(2)ポリオレフィン樹脂多孔膜形成用樹脂組成物
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜を形成するための膜状成形物の成形材料である樹脂組成物は、樹脂組成物(F)の他に、通常のポリオレフィンに使用される酸化防止剤、中和剤、α晶造核剤、β晶造核剤、ヒンダードアミン系耐候剤、紫外線吸収剤、防曇剤や帯電防止剤等の界面活性剤、無機充填剤、滑剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、防黴剤、顔料等を必要に応じて配合することができる。
酸化防止剤としては、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系酸化防止剤、またはトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト等のリン系酸化防止剤等が例示できる。
中和剤としてはステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸塩類が例示でき、無機充填剤及びブロッキング防止剤としては炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が例示でき、滑剤としてはステアリン酸アマイド等の高級脂肪酸アマイド類が例示でき、帯電防止剤としてはグリセリンモノステアレート等の脂肪酸エステル類が例示できる。
α晶造核剤としては、タルク、アルミニウムヒドロキシ−ビス(4−t−ブチルベンゾエート)、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(2’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、ナトリウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウムジヒドロキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等の公知のα晶造核剤が挙げられる。これらは単独使用でも、2種以上の併用でも良い。
これらの添加剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂多孔膜の使用目的等により適宜選択することができるが、通常前記樹脂組成物全量に対し0.001〜5重量%程度とするのが好ましい。
また、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜を形成するための前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、プロピレンの単独重合体、プロピレンを主成分とするプロピレン以外の単量体との二元以上のランダム重合体やポリエチレン樹脂、ポリブテン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂等の他のオレフィン樹脂の1種以上を併用しても構わない。
更に、前記樹脂組成物の軟化温度を低下させたり柔軟性を向上させるためにシングルサイト触媒や公知のマルチサイト触媒で重合されたエチレン−ジエン弾性共重合体、エチレンープロピレン弾性共重合体、スチレン−ブタジエン弾性共重合体等の弾性共重合体を添加しても構わない。
前記樹脂組成物(F)と上記添加剤を配合する方法は特に限定されず、例えばヘンシェルミキサー(商品名)等の高速撹拌機付混合機及びリボンブレンダー並びにタンブラーミキサー等の通常の配合装置により配合する方法(ドライブレンド)が例示でき、更に通常の単軸押出機または二軸押出機等を用いてペレット化する方法が例示できる。
(3)ポリオレフィン樹脂多孔膜の形成
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、樹脂組成物(F)を主成分とした前記樹脂組成物を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を100℃以下の温度で少なくとも一方向に延伸することにより形成することができる。その工程は、製膜工程と延伸工程からなる。
(i)製膜工程
前記樹脂組成物から膜状成形物を得るための製膜工程には、公知のインフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法、カレンダー成形法等の方法が用いられるが、ドラフト比のコントロールが容易なカレンダー成形法が好適に用いられる。
インフレーションフィルム成形法、Tダイフィルム成形法の場合、前記樹脂組成物は、180℃以上の押出成形温度で製膜することができるが、ダイス内圧力を低減させ後述のドラフト比を低減させる目的と、マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に均一かつ微細な細孔が生じさせやすくするため、220〜300℃の押出成形温度が好適に用いられる。
溶融混練された前記樹脂組成物は、ダイリップより押し出されるが、この際、ダイリップを通過する樹脂組成物の流れ方向(MD)の線速度VCLと膜状成形物の流れ方向(MD)の線速度Vの比で定義されるドラフト比(VCL/V)が本願発明を達成するための重要な要因である。一般に熱可塑性樹脂フィルムの成形時にはドラフト比は10〜50程度である。本発明においては、該樹脂組成物を製膜する際のドラフト比は1〜10であり、これによって得られる膜状成形物は延伸性に優れ、延伸によって微細な連通した細孔が形成され易くなる。
カレンダー成形法の場合、カレンダーへの投入以前の該組成物の予備混練には、バンバリーミキサー、予備混練ロールを使用する方法、単軸、2軸、プラネタリー等のイクストルーダーを用いる方法等、公知の方法が用いられるが、前述のマトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に均一かつ微細な細孔が生じさせやすくするため、220〜300℃の温度が好適に用いられ、また該温度を保って安定したカレンダーへの予備混練物を投入するには、イクストルーダーが好適に使用される。
カレンダー成形法は、ロールの本数として2本〜6本、配列としてL型、逆L型、Z型、およびロール径を代えたもの等既知のカレンダー装置を用いることができるが、特に200μm以下の薄い製膜には厚み精度の面から4本以上のロールが好適に用いられ、カレンダーロールの温度としては160〜220℃が好ましい。
また、最終ロールを剥離したフィルムはテイクオフロールへと巻き取られるが、カレンダー最終ロールの回転表面速度(V0)とテイクオフロールの回転表面速度(V1)の比(V1/V0)がドラフト比として定義され、この場合も上記同様に本発明においては、該樹脂組成物を製膜する際のドラフト比は1〜10であり、これによって得られる膜状成形物は延伸性に優れ、延伸によって微細な連通した細孔が形成され易くなる。
MFR比が0.1〜10の場合、前記ドラフト比は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。また、MFR比が10より大きく1,000以下の場合には、該ドラフト比
1〜5がより好ましい。
上記の方法によって、一般的なドラフト比においては連通した細孔が得られ難いMFR比が10より大きく1,000以下のポリオレフィン樹脂(C)においても、連通した細孔の形成が可能である。
また、マトリックスポリマーである結晶性ポリプロピレン(A)の剛性を向上させて結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に均一かつ微細な細孔を生じさせやすくするため、ダイリップより押出される膜状成形物の冷却は、徐冷とすることが望ましく、インフレーション成形の場合は空冷式の冷却方式が望ましく、Tダイフィルム成形法の場合はテイクオフロール100〜150℃、冷却ロールの温度70〜120℃の範囲で冷却することが望ましい。
また、カレンダー成形法の場合は、テイクオフロール100〜150℃、冷却ロールの温度70〜120℃の範囲で冷却することが望ましい。100℃未満のテイクオフロール温度、および60℃未満の冷却ロール温度では所期の多孔化が得られ難く、一方冷却ロール温度が130℃を超えると溶融樹脂がロールへ密着しやすく生産性に劣る等の課題がある。
製膜工程で得られた膜状成形物の厚さは特に限定されるものではないが、次の延伸工程における延伸及び熱処理条件と多孔膜の用途の要求特性によって決定され、20μm〜2mm、好ましくは50μm〜500μm程度であって、製膜速度は1〜100m/minの範囲が好適に用いられる。これらの厚さの膜状成形物は、インフレーション成形装置を初めとして、前記冷却ロールとエアー吹き出し口を有するエアーナイフ、前記冷却ロールと一対の金属ロール、前記冷却ロールとステンレスベルト等の組み合わせからなるTダイフィルム成形装置やカレンダー成形装置等の各種製膜装置により得られる。
更に、本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、公知の無機質充填剤、有機質充填剤等を含有した樹脂組成物を本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜形成用樹脂組成物と共押出しして膜状成形物としても構わない。この場合、充填剤等を含有した樹脂組成物を構成するポリマーは、ポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂が相溶性の観点から望ましい。
尚、得られた膜状成形物には、次の延伸工程に供する前に、結晶化度を更に向上させるために熱処理を施しても構わない。熱処理は、例えば、加熱空気循環オーブンまたは加熱ロールにより、80〜150℃程度の温度で1〜30min間程度加熱することにより実施される。
(ii)延伸工程
前記製膜工程で製膜された膜状成形物は、次いで少なくとも縦(MD)方向もしくは横(TD)方向のいずれか一方向に延伸され、結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)領域内のラメラ結晶間に連通した細孔が形成される。この点が、本発明の製造方法が、従来技術である単成分延伸法、多成分延伸法及び混合抽出法等と根本的に異なるところである。これにより本発明の製造方法は、混合抽出法のような複雑な抽出及び乾燥工程等の製造工程や、結晶性ポリオレフィン(A)のラメラ結晶間のフィブリル化により細孔を発現させる単成分延伸法に見られる製膜後の熱処理による結晶化工程等を不要とするだけでなく、マトリックスポリマーと充填剤の界面に空隙を生じさせる多成分延伸法の場合の延伸性不良や平均細孔径が大きくなりやすく空隙率が低い等の課題を大幅に改善し、任意の平均細孔径や空隙率を有する多孔膜を優れた生産性を以って提供することを可能にする。
延伸の方法は、一方向に延伸する一軸延伸法の他に、一方向に延伸した後、もう一方の方向に延伸する逐次二軸延伸法、縦横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法、更に、一軸方向に多段延伸を行ったり、逐次二軸延伸や同時二軸延伸の後に更に延伸を行う方法が挙げられ、何れの方法を用いても良い。尚、膜状成形物は前記製膜工程においてドラフトされるため、例え低ドラフト比で製膜された膜状成形物であっても、結晶性ポリプロピレン(A)中に微分散するエチレン−α−オレフィン共重合体(B)は樹脂の流れ方向つまり縦(MD)方向に沿って配向しており、一段目の延伸は横方向への一軸延伸法もしくは縦横方向への同時二軸延伸法により行うことが望ましいが、一段目に縦方向への延伸を行い二段目に横方向へ延伸を行う逐次二軸延伸法でも構わない。
この一段目の延伸温度は、プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の融点Tmαより低いことが好ましく、10〜100℃の温度範囲が好適に用いられるが、更に本発明では、樹脂組成物(F)を特定の組成とすることによりこれらの温度領域における低温延伸性に優れることを見出した。また、延伸倍率は、特に限定はなく必要に応じ行われる二段目の延伸条件や多孔膜の用途の要求特性から決定されるが、通常1.5倍〜7倍の範囲である。
延伸倍率が上記の範囲であれば優れた特性を持つ多孔膜が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。また、同時二軸延伸の場合には、面積倍率(=縦延伸倍率×横延伸倍率)は2〜50倍が好ましく、更に好ましくは4〜40倍である。面積倍率がこの範囲であれば優れた特性を持つ多孔膜が得られ、延伸切れの多発による生産性低下の恐れもない。
本発明の多孔膜は、必要に応じ二段目の延伸を行うが、二段目の延伸温度は、高密度ポリエチレン(D)の融点Tmcより10℃以上低いことが好ましい。また、該延伸温度がプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)の融点Tmαより高い場合には、空隙率がそれほど増加せず、得られる多孔膜の厚さが低減する傾向がある。更に、該延伸温度がTmαより低い場合には、空隙率が増加するが、厚さがあまり低減しない傾向がある。
二段目の延伸倍率は、多孔膜の用途の要求特性により決定されるが、通常1.5倍〜7倍の範囲である。
延伸倍率が1.5倍未満の場合には延伸効果が不十分となり、7倍を超えると延伸切れが多発し、生産性が低下する恐れがある。
上記の延伸工程で細孔が形成され多孔質となった膜状成形物は、次いで熱処理されることが好ましい。この熱処理は、形成された細孔を保持するための熱固定を主なる目的とするものであり、通常、加熱ロール上、加熱ロール間または熱風循環炉を通すことによって行なわれる。
この熱処理(熱固定)は、延伸状態を保持したまま多孔質となった膜状成形物を高密度ポリエチレン(D)の融点Tmcより5〜60℃低い温度に加熱し、緩和率を0〜50%とすることにより実施される。加熱温度が上記の上限温度より高いと、形成された細孔が閉塞することもあり、また、温度が上記の下限温度より低いと熱固定が不十分となり易く、後に細孔が閉鎖したり、またポリオレフィン樹脂多孔膜として使用する際に温度変化により熱収縮を起こし易くなる。
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜の厚さは、特に限定されるものではないが、生産性の観点から10〜200μm程度が好ましい。
本発明のオレフィン樹脂多孔膜には、必要に応じ、界面活性剤処理、コロナ放電処理、低温プラズマ処理、スルホン化処理、紫外線処理、放射線グラフト処理等の親水化処理を施すことができ、また各種塗膜を形成することができる。
上記の方法で得られるポリオレフィン樹脂多孔膜は、従来の多孔膜と同様に、空気清浄化や水処理用の濾過膜または分離膜、電池や電気分解用のセパレータ、建材や衣料等の透湿防水用途等、各種の分野に用いることができる。
以下、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。尚、用いられた測定方法及び評価方法は下記の通りである。
(1)空隙率:延伸後の多孔膜サンプル100×100mmから嵩比重を求め、また、延伸前の多孔化されていないサンプル100×100mmから(株)東洋精機製作所製の自動比重計DENSIMETER,D−Sにて真比重を求め、下記式より空隙率を求めた。
空隙率(%)=(1−嵩比重/真比重)×100
(2)平均孔径及び最大細孔径:ASTM F 316に準拠し、PMI社製のPerm−Porometerを用いてポリオレフィン樹脂多孔膜の孔径を測定し、平均流量細孔径を平均細孔径、バブルポイント細孔径を最大細孔径とした。
(3)メルトマスフローレイト:MFRはJIS K 7210に準拠し、温度230℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定した。MIはJIS K 7210に準拠し、温度190℃、公称荷重2.16kgの条件にて測定した。
(4)透気抵抗度(ガーレー):JIS P 8117に準じて、B型ガーレーデンソメーター(テスター産業(株)製)により空気100mlが通過する時間を測定した。
(5)透湿度:JIS L 1099に準じて測定した。
(6)製膜性:カレンダー法で製膜したときの、カレンダーロールへの粘着・取られの頻度によって製膜性を評価した。
○:1時間で全くカレンダーロールへの粘着・取られが発生しなかった。
△:1時間でカレンダーロールへの粘着・取られが1〜10回発生した。
×:1時間でカレンダーロールへの粘着・取られが10回以上発生した。
(7)寸法が幅40mm、長さ100mmの、長さ方向を縦方向(MD)または横方向(TD)とする試験片を膜状成形物から調製した。試験片を、延伸温度23℃、変形速度200%/秒の条件で、長さ方向に0.5倍毎に一軸延伸を行い、延伸破断しない延伸倍率を可延伸倍率とし、延伸性を評価した。可延伸倍率が高いほど延伸性が優れ、多孔化し易い膜状成形物ほど、高空隙率化が容易である。
○:5倍以上の延伸倍率が可能
△:2〜5倍以上の延伸倍率が可能
×:2倍以下の延伸で破断
(実施例1)
1)多孔膜形成用樹脂組成物の作成
表1の実施例1に示す樹脂組成物(F)に、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.1重量%、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを0.1重量%、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量%、滑剤として特殊脂肪酸エステル(商品名:リケスターEW−100、理研ビタミン(株))を0.4%配合し、ヘンシェルミキサー(商品名)で混合後、2軸押出機(口径50mm)を用いて溶融混練してペレット化し、多孔膜形成用樹脂組成物を得た。尚、ここで用いたポリオレフィン樹脂(C)は、連続重合法により1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を重合し、2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)(プロピレン−エチレン共重合体)を重合することによって得た。
2)多孔膜の作成
[製膜工程/未延伸膜状成形物の作成]
プラネタリーローラーイクストルーダーを用い、前記のペレット状の樹脂組成物(F)を、押出温度230℃、吐出量15kg/hで溶融し、逆L型に配置した4本カレンダロールにヘッドより棒状に押出し、テイクオフロール、アニーリングロール上で冷却固化し、幅600mm、厚さ100μmの膜状成形物を作成した。尚、カレンダロール温度、テイクオフロール温度、及びアニーリングロール温度は、それぞれ190℃、140℃、及び90℃とし、最終カレンダーロールとテイクオフロールの表面速度比のドラフト比は、2とした。得られた膜状成形物の製膜性、延伸性の評価結果を表1に示した。
3)[延伸工程/多孔膜の作成]
前記膜状成形物を、三菱重工業社製の逐次延伸装置にて、MD方向に、延伸温度23℃、延伸倍率3倍の条件で近接延伸したのち、更に、TD方向に延伸温度120℃、延伸倍率3倍の条件で延伸しポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。得られた多孔膜の特性を表1に示した。
(実施例2)
表1の実施例2に示す樹脂組成物(F)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。膜状成形物の製膜性、延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。
(実施例3)
表1の実施例3に示す樹脂組成物(F)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。膜状成形物の製膜性、延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。
(実施例4)
表1の実施例4に示す樹脂組成物(F)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。膜状成形物の製膜性、延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。
(実施例5)
表1の実施例5に示す樹脂組成物(F)を用いた以外は、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。膜状成形物の製膜性、延伸性と多孔膜の特性を表1に示した。
(比較例1)
表2の比較例1に示す樹脂組成物(F)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を得た。膜状成形物の延伸性と多孔膜の特性を表2に示した。比較例1では、カレンダーロールへの粘着・取られが頻繁に発生し製膜性に難があった。
(比較例2)
表2の比較例2に示す樹脂組成物(F)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。膜状成形物の延伸性を表2に示した。比較例2では、縦方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣り、横延伸倍率1.2倍程度の僅かな延伸では多孔膜としての特性は得られなかった。
(比較例3)
表2の比較例3に示す樹脂組成物(F)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。膜状成形物の延伸性を表2に示した。比較例3では、カレンダーロールへの粘着・取られが頻繁に発生し製膜性に難がり、また、縦方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣り、横延伸倍率1.2倍程度の僅かな延伸では多孔膜としての特性は得られなかった。
(比較例4)
表2の比較例4に示す樹脂組成物(F)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。膜状成形物の延伸性を表2に示した。比較例4では、縦方向への延伸時に、延伸倍率1.5倍未満で延伸切れが発生して延伸性に劣り、横延伸倍率1.2倍程度の僅かな延伸では多孔膜としての特性は得られなかった。
(比較例5)
表1の比較例5に示す樹脂組成物(F)を用い、実施例1に準じてポリオレフィン樹脂多孔膜を作成した。膜状成形物の延伸性と多孔膜の特性を表2に示した。比較例5では、カレンダーロールへの粘着・取られが頻繁に発生し製膜性に難があり、また、平均細孔径が大きく多孔特性にも難があった。
Figure 2007321116
Figure 2007321116
本発明のポリオレフィン樹脂多孔膜は、電池セパレータや分離膜、通気防水材等の建築資材分野、使い捨ておむつ用通気性シート等の衛材分野に好適に使用される。
実施例1で得られた多孔膜形成用樹脂組成物のTD断面(End View)の透過型電子顕微鏡写真である。 比較例1で得られた多孔膜形成用樹脂組成物のTD断面(End View)の透過型電子顕微鏡写真である。

Claims (19)

  1. 結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%と結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)60〜95重量%と、重量平均分子量Mwが3×10〜1×10の範囲である高密度ポリエチレン(D)5〜40重量%とを含有する樹脂組成物(F)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された膜であって、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
  2. 結晶性ポリプロピレン(A)30〜70重量%と結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)30〜95重量%と、重量平均分子量Mwが3×10〜1×10の範囲である高密度ポリエチレン(D)5〜40重量%と、メルトマスフローレイトMFR(E)が0.1g/10min以上2g/10min未満の範囲である結晶性ポリプロピレン(E)0〜30重量%とを含有する樹脂組成物(F)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された膜であって、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
  3. 結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトMFRPPとプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトマスフローレイトMFRRCのメルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRCが10より大きく1,000以下の範囲である請求項1または2記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  4. 膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜5の範囲である請求項1〜3のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  5. プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が30〜80重量%である請求項1〜4のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  6. プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が40〜70重量%である請求項1〜4のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  7. ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られる請求項1〜6のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  8. 多孔膜の透気抵抗度(ガーレー)が10〜20,000s/100mlの範囲、透湿度が200〜10,000g/m・24hの範囲である請求項1〜7のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  9. 樹脂組成物(F)を膜状成形物に成形する製膜法がカレンダー成形法である請求項1〜8のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  10. 結晶性ポリプロピレン(A)30〜90重量%と結晶性ポリプロピレン(A)中に分散したプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)10〜70重量%とからなるポリオレフィン樹脂(C)60〜95重量%と、重量平均分子量Mwが3×10〜1×10の範囲である高密度ポリエチレン(D)5〜40重量%とを含有する樹脂組成物(F)を溶融混練して膜状溶融物とし、該膜状溶融物をドラフト比1〜10の範囲で膜状成形物に成形した後、その膜状成形物を少なくとも一方向に延伸することにより形成された膜であって、連通した細孔を有するポリオレフィン樹脂多孔膜。
  11. 結晶性ポリプロピレン(A)のメルトマスフローレイトMFRPPとプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のメルトマスフローレイトMFRRCのメルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRCが0.1〜10である請求項10記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  12. 膜状溶融物を膜状成形物に成形する際のドラフト比が1〜3の範囲である請求項10または11記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  13. メルトマスフローレイト比MFRPP/MFRRCが0.2〜5の範囲である請求項10〜12のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  14. ポリオレフィン樹脂(C)が結晶性ポリプロピレン(A)40〜70重量%とポリプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)30〜60重量%とからなる請求項10〜13のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  15. プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が30〜80重量%である請求項10〜14のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  16. プロピレン−α−オレフィン共重合体(B)のプロピレン含量が40〜70重量%である請求項10〜14のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  17. ポリオレフィン樹脂(C)が、1段目で結晶性ポリプロピレン(A)を製造し、連続して2段目でプロピレン−α−オレフィン共重合体(B)を製造する工程を含む多段重合法により得られる請求項10〜16のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  18. 多孔膜の透気抵抗度(ガーレー)が1〜2,000s/100mlの範囲、透湿度が1,000〜20,000g/m・24hの範囲である請求項10〜17のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
  19. 樹脂組成物(F)を膜状成形物に成形する製膜法がカレンダー成形法である請求項10〜18のいずれか1項記載のポリオレフィン樹脂多孔膜。
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